説明

移動通信システム、着信端末選択装置及び呼・セッション制御装置

【課題】着信端末選択サーバ及びドメイン選択サーバがそれぞれ配された移動通信システムにおいて、適切にドメイン及び端末を選択することが出来る移動通信システム等を提供すること。
【解決手段】回線交換ネットワークと、パケット交換ネットワークとの両方の通信ドメインを有する移動通信システムにおいて、通信端末間での呼接続、セッション接続を制御するCSCF30・MSC40と、着信端末選択サーバ10と、ドメイン選択サーバ20とが配されており、端末がセッションを生成する際に、着信端末選択サーバ10において、着信先として選択した端末がいずれの通信ドメインを経由して接続するかを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回線交換ネットワークと、パケット交換ネットワークとの両方の通信ドメインを有する移動通信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動通信ネットワークが多様化するに伴い、ネットワークに接続される端末の形態も多様化している。ユーザは、多様化する移動通信ネットワークに対応して複数の端末を所有・利用するようになっている。複数の端末を所有するユーザは、例えば、音声サービスに利用する端末、データ通信サービスに利用する端末など、自身の好みや端末の能力によって優先する端末を使い分けることが可能となる。
【0003】
通常、移動通信ネットワークは、回線交換を利用するネットワークと、パケット交換を利用するネットワークにより構成されており、移動通信端末が呼・セッションを設定する際には、両方またはいずれか一方のネットワークに接続し、呼・セッションを設定する経路を設けることとなる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
例えば、従来の移動通信ネットワークの概略を図9に示す。図9では、第1端末60aと、第2端末60bが、無線アクセス手段を介してパケット交換ドメイン、回線交換ドメインにそれぞれ接続されている。ここで、回線交換ネットワークとパケット交換ネットワークとが並立して共存しているため、それぞれのネットワーク全体を回線交換ドメイン、パケット交換ドメインと呼んで区別する。
【0005】
端末の回線交換ドメインからの発呼は、回線交換呼の発呼信号として、発呼側の回線交換ドメインから相手の通信端末が接続する回線交換ドメインを経由して着信する。端末のパケット交換ドメインからの発呼もまた、パケット交換呼の発呼信号としてパケット交換ドメインに経由されて着信する。また、パケット交換ドメインと、回線交換ドメインを介して通信を行う場合には、GWが介在して通信が行われる。例えば、第1端末60aがパケット交換ドメインに、第2端末60bが回線交換ドメインにそれぞれ接続されている場合には、端末間の通信は、GW96を介して通信されることとなる。
【0006】
ここで、各ドメインにはセッション制御装置が配されることが一般的である。セッション制御装置は、通信端末間の呼・セッションを制御しており、パケット交換ドメインではCSCF(Call Session Control Function)が、回線交換ドメインではMSC(Mobile Services Switching Center)がセッション制御装置として機能する。
【0007】
ここで、着信をする場合、ユーザが所有する複数の端末の中からどの端末に着信させ、セッションを設定すべきかが問題となる。そこで、移動通信ネットワークには、発呼を着信させてセッションを設定させるべき着信側通信端末を、複数の通信端末の中から選択する着信端末選択サーバがある。
【0008】
着信端末選択サーバの機能としては、ユーザが複数の通信端末を所有している場合等に、当該複数の通信端末のいずれの端末で呼・セッションの着信を受け付けるかの優先度を管理しており、優先度の高い通信端末を着信先端末として選択する。通信端末の優先度は、ユーザが利用したい端末のプリファレンスによってユーザにより指定される。
【0009】
また、着信端末選択サーバは、複数の通信端末それぞれのアクセス手段等の能力を考慮し、着信させるサービスの種類に応じた優先度を設定する場合もある。例えば、大容量のデータ通信サービスの場合にはデータ伝送能力の高いアクセス手段を持つ端末を優先したり、音声サービスの場合には、高速移動に適したアクセス手段を持つ端末を優先したりする。
【0010】
ここで、着信端末選択サーバの概要について図10を用いて説明する。図10においてまず、第1端末60aから第3端末60cを発呼先の端末と指定した発呼要求の信号をCSCF85に送信する(手順1)。CSCF85は、着信端末選択サーバ80に、発呼先の端末を問い合わせる(手順2)。ここで、着信端末選択サーバ80は、第3端末60cが第2端末60bと同じユーザにより所有されている端末であることを判定する(以下、このように同一ユーザにより所有されている端末を「端末グループ」という)。
【0011】
そして、着信端末選択サーバ80は、端末グループの中から、発呼先となる端末を決定し(ここで、第2端末60bとする)、発呼先端末をCSCF85に通知する(手順3)。CSCF85は、着信端末選択サーバ80に通知された第2端末60bに対して発呼し、第1端末60aと、第2端末60bのセッションを生成する(手順4)。
【0012】
さらに、移動通信ネットワークには、通信端末へ呼・セッション設定する際に、発呼側から着信側の通信経路として、回線交換ドメインを中継するか、パケット交換ドメインを中継するかを選択するためのドメイン選択サーバがある。
【0013】
従来、回線交換ドメインは主に音声サービスの呼・セッションを設定する際に用い、パケット交換ドメインはテキストや画像データ等のマルチメディアサービスの呼・セッションの設定に用いられている。しかし、近年は、VoIP技術等のように、音声サービスがパケット交換ドメインでも提供されている。したがって、ネットワークの負荷状況等により、回線交換ドメインを経由して設定するか、パケット交換ドメインを経由して設定するかを、移動通信ネットワークのドメイン選択サーバが選択することが可能となる。
【0014】
例えば、端末が回線交換ドメインから発呼を行ったが、ドメイン選択サーバが、通信経路としてパケット交換ドメインの経由を選択すると、回線交換ドメインとパケット交換ドメイン間を相互接続するゲートウェイ(GW)を介して回線交換の発呼信号をパケット交換の発呼信号に変換する。着信側の端末は、当該発呼をパケット交換の発呼信号として受信し、パケット交換ドメインを経由したセッションを開始する。
【0015】
ドメイン選択サーバは、ドメインの混雑状況(リソースの利用状況等)により、混雑していない方のドメインを選択することができる。
【0016】
ここで、ドメイン選択サーバの概要について図11を用いて説明する。図11において、発呼側端末(第1端末60a)がパケット交換ドメインに接続し、着信端末の電話番号等を指定して発呼すると、CSCF92が発呼要求の信号を受ける(手順1)。そして着信端末(第2端末60b)への発呼をする前に、当該呼・セッションを経由すべきドメインを、ドメイン選択サーバ90に問い合わせる(手順2)。
【0017】
そして、ドメイン選択サーバ90は、経路となるドメイン(回線交換ドメイン)を選択し、当該ドメインをCSCF92に通知する(手順3)。CSCF92は、ドメイン選択サーバ90から、回線交換ドメインを選択する通知を受信すると、GW96に対して発呼要求を行う(手順4)。
【0018】
GW96は、CSCF92から発呼要求を受信すると、回線交換ドメインのセッション制御装置であるMSC94に対して発呼要求の信号を送信する(手順5)。発呼要求の信号を受信すると、MSC94は第2端末60bに発呼する(手順6)。このようにして、発呼側端末(第1端末60a)と、着信側端末(第2端末60b)との間に呼・セッションを設定すると、ブロック矢印に示すように、パケット交換呼がGW96で回線交換呼に変換されて第2端末60bに到着する。
【0019】
なお、前述の着信端末選択サーバ80と、ドメイン選択サーバ90は、アプリケーションサーバであり、回線交換呼及びパケット交換呼を処理するサーバであるが、その目的が違うため分けて構成され、独立に動作する。ドメイン選択サーバ90でのドメイン選択処理は、端末からのすべての発呼について行われるが、着信端末選択サーバ80での着信端末選択処理は、着信先の端末が他の端末と共にユーザに利用されている等、複数の端末がグループの状態であるときに行われ、端末が単体で利用されている時には行われないこととなる。
【特許文献1】特開2006−80693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上述した着信端末選択サーバと、ドメイン選択サーバとが移動通信ネットワークに共存し、それぞれ動作すると、以下のような問題が生じていた。
【0021】
例えば、ドメイン選択サーバが回線交換ドメインを選択したが、着信端末選択サーバでは着信先として、パケット交換専用端末等、すなわちパケット交換ドメインしか接続できない端末を選択する場合がある。この場合、選択結果が整合せず、適切な通信を行うことが出来なかった。
【0022】
また、着信端末選択サーバが音声呼の着信先としてパケット交換に適した端末を選択したが、ドメイン選択サーバは当該音声呼を回線交換ドメインへ経由することを選択する場合がある。この場合も、双方の選択結果が整合せず、適切な通信を行うことが出来なかった。
【0023】
また、ドメイン選択サーバは、着信側端末が確定していることを前提にドメイン選択し、着信端末選択サーバは、要求された呼・セッションの種別(回線交換呼か、パケット交換呼か)に依存せず着信側端末を選択する。したがって、両機能のどちらか一方が独立して動作する場合は問題とはならないが、両機能が並列に動作する場合には、どちらか一方が決まらないと他方が決まらないという問題があった。
【0024】
また、ドメイン選択サーバによるドメイン選択処理、または着信端末選択サーバによる着信側端末選択処理のいずれかを先に確定してから他方を確定したとしても、最適な選択結果を得ることにはならない。例えば、ドメイン選択サーバが、通話品質確保等のため回線交換ドメインを選択しても、着信端末選択サーバが高速パケット伝送可能な端末を選択した場合、当該端末に対してはパケット交換ドメインで伝送する方が高品質のサービスを提供できる可能性があり、適切な結果が選択されていない場合があった。
【0025】
斯かる実情に鑑み、本発明が目的とするところは、着信端末選択サーバ及びドメイン選択サーバがそれぞれ配された移動通信システムにおいて、適切にドメイン及び端末を選択することが出来る移動通信システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上述した課題に鑑み、本発明における移動通信システムは、回線交換ネットワークと、パケット交換ネットワークとの両方の通信ドメインを有する移動通信システムは、通信端末間での呼接続、セッション接続を制御する呼・セッション制御装置と、いずれの通信ドメインを経由して接続するかを決定して前記呼・セッション制御装置に通知するドメイン選択装置と、着信先として接続する端末を選択する着信端末選択装置と、前記通信ドメインを介して接続される通信端末と、を備え、前記着信端末選択装置は、着信先として選択した通信端末がいずれの通信ドメインを経由して接続するかを示すドメイン選択手段を有することを特徴とする。
【0027】
また、本発明における移動通信システムにおいて、前記呼・セッション制御装置は、通信端末からの呼・セッション接続要求を受信すると、前記呼・セッション制御装置から前記着信端末選択装置への問い合わせを行い、前記着信端末選択装置からの応答にドメイン選択結果を示す情報が含まれた場合に、前記呼・セッション制御装置から前記ドメイン選択装置への問い合わせを省略することを特徴とする。
【0028】
また、本発明における移動通信システムにおいて、前記呼・セッション制御装置は、通信端末からの呼・セッション接続要求を受信すると、前記呼・セッション制御装置から前記着信端末選択装置への問い合わせを行い、前記着信端末選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果を示す情報を、前記呼・セッション制御装置から前記ドメイン選択装置へ通知して、経由する通信ドメインの問い合わせを行うことを特徴とする。
【0029】
また、本発明における移動通信システムにおいて、前記呼・セッション制御装置は、前記着信端末選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果と、前記ドメイン選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果とのいずれかを選択して経由する通信ドメインを決定することを特徴とする。
【0030】
また、本発明における移動通信システムは、発呼側の通信端末が要求したドメインと、前記着信端末選択装置が選択したドメインとが同一の場合に、前記着信端末選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果を前記ドメイン選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果に優先して選択することを特徴とする。
【0031】
また、本発明における移動通信システムは、発呼側の通信端末が要求したドメインと、前記着信端末選択装置が選択したドメインとが異なる場合に、前記ドメイン選択装置への問い合わせを行い、前記ドメイン選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果を優先して選択することを特徴とする。
【0032】
また、本発明における移動通信システムは、発呼側の通信端末が要求したドメインが回線交換ドメインである場合には、前記着信端末選択装置への問い合わせと、前記ドメイン選択装置への問い合わせとを行い、発呼側通信端末が要求したドメインがパケット交換ドメインである場合には、前記着信端末選択装置への問い合わせのみを行い、前記ドメイン選択装置への問い合わせを省略することを特徴とする。
【0033】
また、本発明における移動通信システムは、発呼側の通信端末が要求したドメインがパケット交換ドメインである場合に、前記着信端末選択装置への問い合わせと、前記ドメイン選択装置への問い合わせとを行い、発呼側の通信端末が要求したドメインが回線交換ドメインである場合に、前記着信端末選択装置への問い合わせのみ行い前記ドメイン選択装置への問い合わせを省略することを特徴とする。
【0034】
また、本発明における着信端末選択装置は、着信先として選択した通信端末がいずれの通信ドメインを経由して接続するかを示すドメイン選択手段を有することを特徴とする。
【0035】
また、本発明における呼・セッション制御装置は、通信端末からの呼・セッション接続要求を受信すると、前記着信端末選択装置への問い合わせを行い、前記着信端末選択装置からの応答にドメイン選択結果を示す情報が含まれた場合に、前記ドメイン選択装置への問い合わせを省略することを特徴とする。
【0036】
また、本発明における呼・セッション制御装置は、通信端末からの呼・セッション接続要求を受信すると、前記着信端末選択装置への問い合わせを行い、前記着信端末選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果を示す情報を、前記ドメイン選択装置へ通知して、経由する通信ドメインの問い合わせを行うことを特徴とする。
【0037】
また、本発明における呼・セッション制御装置は、前記着信端末選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果と、前記ドメイン選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果とのいずれかを選択して、経由する通信ドメインを決定することを特徴とする。
【0038】
また、本発明における呼・セッション制御装置は、発呼側の通信端末が要求したドメインと、前記着信端末選択装置が選択したドメインとが同一の場合に、前記着信端末選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果を前記ドメイン選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果に優先して選択することを特徴とする。
【0039】
また、本発明における呼・セッション制御装置は、発呼側通信端末が要求したドメインと、前記着信端末選択装置が選択したドメインとが異なる場合に、前記ドメイン選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果を優先して選択することを特徴とする。
【0040】
また、本発明における呼・セッション制御装置は、発呼側通信端末が要求したドメインが回線交換ドメインである場合に、前記着信端末選択装置への問い合わせと、前記ドメイン選択装置への問い合わせとを行い、発呼側通信端末が要求したドメインがパケット交換ドメインである場合には、前記着信端末選択装置への問い合わせのみを行い、前記ドメイン選択装置への問い合わせを省略することを特徴とする。
【0041】
また、本発明における呼・セッション制御装置は、発呼側通信端末が要求したドメインがパケット交換ドメインである場合に、前記着信端末選択装置への問い合わせと、前記ドメイン選択装置への問い合わせとを行い、発呼側の通信端末が要求したドメインが回線交換ドメインである場合に、前記着信端末選択装置への問い合わせのみを行い、前記ドメイン選択装置への問い合わせを省略することを特徴とする。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、移動通信システム内において、ドメイン選択サーバと着信端末選択サーバとをそれぞれ配置して共存することが可能となる。
【0043】
また、着信側端末選択装置にドメイン選択装置を代替する手段を持たせることで、端末の選択と、選択した端末のドメインのプリファレンスを通知することができ、ドメイン選択装置でのドメイン選択処理を補完することができる。また、ドメイン選択装置への問い合わせをスキップすることもでき、制御情報を省略し、システムの処理負荷の軽減になる。
【0044】
ドメイン選択結果が着信側端末選択結果に影響を与えないため、ユーザは自身の指定した優先度の高い通信端末または着信端末選択装置の選択した適当な通信端末で呼・セッションを設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
まず、図を用いて本発明を適用した場合における通信制御システムについて説明する。図1は、通信制御システムの構成を示す図である。通信制御システムには、パケット交換の呼・セッションを制御する為のCSCF30(呼・セッション制御装置)と、回線交換の呼・セッションを制御するMSC40(交換機)と、CSCF30及びMSC40を制御する為のアプリケーションサーバとして、着信端末選択サーバ10と、ドメイン選択サーバ20とを備えて構成されている。
【0046】
また、両ドメイン間を相互接続するGW50(ゲートウェイ)が配置されている。そして、端末60は、CSCF30や、MSC40に接続することにより通信を行うこととなる。図1の通信制御システムにおいては、第1端末60a、第2端末60b、第3端末60cが配置されている。
【0047】
回線交換呼のデータは、MSC40が設定した経路上の回線を占有して伝送され、パケット交換呼のデータは、CSCF30が設定した経路上をパケットとして伝送されることとなり、ドメインを跨ってデータを伝送するには、GW50において、回線交換呼とパケット交換呼の変換を行い、GW50を介してデータを送受信することとなる。
【0048】
また、端末60は両ドメインまたはいずれか一方のドメインに接続する。図1では、第1端末60a、第2端末60bは両ドメインにそれぞれ接続している。また、第3端末60cは、例えば回線交換専用の電話端末であり、回線交換ドメインのみに接続している。また、本実施形態においては、第2端末60bと第3端末60cとは同一ユーザ等により所有された端末(端末グループ)である。
【0049】
ここで、着信端末選択サーバ10は、一人のユーザが複数の端末を所有している場合等に、その複数端末をそのユーザの端末グループとして管理し、その着信優先度を管理している。図1の場合では、第2端末60bと第3端末60cとが端末グループであることを管理する。
【0050】
CSCF30またはMSC40が端末グループ(またはグループに含まれる端末のいずれか)への発呼を受けると、着信端末選択サーバ10に問い合わせ、着信端末選択サーバ10は、呼の着信先となる端末をグループの中から選択し、その選択結果を、問い合わせを行ったCSCF30またはMSC40に応答することとなる。
【0051】
ここで、図2に着信端末選択サーバ10と、ドメイン選択サーバ20の機能構成図を示す。図2に示すように、着信端末選択サーバ10は、優先度記憶部102と、端末選択部104と、端末グループ管理部106とを備えている。また、ドメイン選択サーバ20は、ポリシー記憶部202と、ドメイン選択部204と、ドメイン状態管理部206とを備えている。
【0052】
優先度記憶部102は、着信端末選択サーバ10が、着信する端末を選択する際に用いる端末の選択条件のテーブル(選択条件テーブル)を記憶する領域である。テーブルの情報は、例えば、予めユーザからグループ内に含まれる端末60の着信優先度の通知を受けることにより記憶し、管理する。
【0053】
ここで、選択条件テーブルのデータ構成の一例を図3に示す。選択条件テーブルには、グループ内の端末と、呼・セッションの種別(発呼種別)とに対応づけて優先度が記憶されている。例えば、第2端末60bと第3端末60cを所有するユーザが、第3端末60cを常時携帯し、音声電話のセッションを第3端末60cへ優先的に着信させるように設定させたい場合、第3端末60cの「電話」の優先度を高くする。
【0054】
また、第2端末60bがパソコンのような画面サイズの大きい端末であるため、テレビ電話の発着信において、第2端末60bを利用したい場合、第3端末60cではなく第2端末60bの「テレビ電話」の優先度を高くする。このように、要求された呼・セッションの種別(電話、テレビ電話等)と端末のタイプや能力、利用コスト等を考慮して、優先度を記憶するテーブルである。
【0055】
なお、選択条件テーブルに優先度を設定するのは、ユーザが任意に設定しても良いし、着信端末選択サーバ10が、ユーザからの通知を代替して端末グループに含まれる端末のタイプ、能力等から、呼・セッションの種類によって、テーブルの情報を設定しても良い。
【0056】
端末選択部104は、優先度記憶部で記憶する優先度に従って、着信側端末を選択する機能部であり、端末グループの中から、どの端末に着信するかを選択し、その端末の宛先アドレスをセッション制御装置に応答する。
【0057】
端末グループ管理部106は、ユーザの所有する複数の端末を端末グループとして管理する機能部である。例えば、図1の場合は、第2端末60bと、第3端末60cを端末グループとして管理し、第2端末60bと第3端末60cの電話番号、アドレスに加えて、その端末が回線交換専用の音声電話端末であるのか、パケット交換専用のパソコンであるのか等の端末が接続可能、利用可能なドメインを併せて管理する。また、ユーザが第2端末60bだけを携帯し、第3端末60cはユーザの近くにない場合など、ユーザが端末グループの端末をすべて利用できる時もあれば、一部しか利用できない時がある。こうしたユーザの状態によって、端末グループの中からその時利用可能な端末を管理しておく。
【0058】
ここで、端末グループに含まれる端末60への着信は、回線交換呼の場合もあれば、パケット交換呼の場合もあるが、端末60の選択時はこの違いを問わない。例えば、端末グループの中にユーザが常時利用している回線交換専用の音声電話端末があり、電話の場合はこの音声端末を優先する設定であれば、発呼側の発呼がパケット交換呼であった場合でも、着信端末選択サーバ10では電話サービスであれば回線交換専用の音声電話端末を着信先に選択する。この場合、パケット交換呼はGW50で回線交換呼に変換され、回線交換ドメインを経由して音声端末に着信するようセッション制御装置(CSCFまたはMSC)が制御する。
【0059】
また、端末グループの中に、パソコン等のパケット交換専用端末があるが、ユーザがパソコンの前に座っているので、電話の着信先としてパソコンを優先している場合がある。この場合は、着信端末選択サーバ10は回線交換の電話であっても着信先としてパソコンを選択し、回線交換呼をGWでパケット交換呼に変換し、パケット交換ドメインを経由してパソコンに着信するようセッション制御装置(CSCFまたはMSC)が制御する。
【0060】
着信端末を選択した着信端末選択サーバ10は、その選択結果をセッション制御装置であるCSCF30またはMSC40に応答する際、選択した端末が回線交換呼を受信するのに適しているか、パケット交換呼を受信するのに適しているかの情報を、ドメインのプリファレンス情報として含める。この情報は、ドメイン選択サーバ20において、ドメイン選択処理時に利用されることとなる。
【0061】
続いてドメイン選択サーバ20について説明する。まず、ポリシー記憶部202は、端末とその相手となる端末に呼・セッションを設定する際に、通信品質確保の観点等から、回線交換ドメインを用いるか、パケット交換ドメインを用いるかの選択ポリシーを記憶する機能部である。
【0062】
ドメイン選択部204は、端末に呼・セッションを設定するドメインを選択し、選択したドメインへの経路情報をセッション制御装置に通知する機能部である。
【0063】
ドメイン状態管理部206は、ドメインの状態を管理する機能部である。例えば、各ドメインが混雑しているか否か(輻輳状態となっているか否か)等、各ドメインの状態(リソース)を管理する。
【0064】
端末60は、回線交換ドメイン及びパケット交換ドメインの両方、またはいずれかのドメインに接続している。発呼元の端末が、回線交換ドメインまたはパケット交換ドメインから発呼すると、当該発呼したドメインのセッション制御装置は、ドメイン選択サーバに発呼を経由するドメインを問い合わせる。
【0065】
ここで、ドメイン選択サーバの処理について、図4のフローを用いて説明する。まず、セッション制御装置からのドメイン問い合わせを受信すると、発呼元が回線交換呼で発呼しているか、パケット交換呼で発呼しているかの発呼種別を判断し、着信先に指定された端末がどのドメインに接続されているかを確認する(ステップS100)。
【0066】
つづいて、発呼種別に対応するドメインのリソース状態を確認する(ステップS102)。例えば、パケット交換ドメインのリソースより回線交換ドメインのリソースが不足している場合は、回線交換呼であってもパケット交換ドメインを経由するようパケット交換ドメインを選択する。
【0067】
また、ドメインの選択ポリシーとして、QoSを保証する目的で回線交換ドメインを優先して選択する場合や、帯域を柔軟に制御して可変ビットレートで設定するべくパケット交換ドメインを選択する場合もある。
【0068】
ドメインの選択の結果、設定される呼・セッションの経路の状態について、図5を用いて説明する。例えば、発呼側端末(第1端末)から着信側端末(第2端末)への回線交換呼に対し、ドメイン選択サーバ20が回線交換ドメインを選択すると、回線交換ドメインを経由した呼・セッションが設定される(図5(1))。
【0069】
また、発呼側端末(第1端末)から着信側端末(第2端末)への回線交換呼の発呼に対し、ドメイン選択サーバ20がパケット交換ドメインを選択すると、ドメイン間を相互接続するGW50を介し、パケット交換ドメインへ経由する経路となる(図5(2))。この例のように、ドメインを跨る経路となる場合は、ドメイン選択サーバは、セッション制御装置へのドメイン選択結果の応答に、選択したドメインへの経路情報を含めることとする。
【0070】
ここで、ドメイン選択サーバ20は、ドメイン選択の際に、着信端末選択サーバ10から通知されるドメインのプリファレンス情報を勘案する。例えば、着信先端末が回線交換に適しているプリファレンスが示されていれば、ドメイン選択サーバ20はそれを勘案して回線交換ドメインを選択する。
【0071】
逆に、着信側端末のドメインのプリファレンスが回線交換であっても、回線交換ドメインのリソースの占有状況によりリソースの確保ができない場合等には、ドメインの状態を優先してパケット交換ドメインを選択し、セッションを設定する。このような場合には、着信側端末への発呼、セッション設定時に、回線交換では提供できないのでパケット交換呼として提供することを通知する。
【0072】
さらに、このような場合にも着信側端末のドメインのプリファレンスを優先するよう、着信先ドメインに呼を中継する中継ドメインを介在させる場合もある。例えば、着信側端末のドメインのプリファレンスが回線交換ドメインである場合、着信ドメインはドメインのプリファレンスに従って回線交換ドメインを選択するが、回線交換ドメインが混雑しており一部の区間で所定のリソースを確保できない場合等には、途中の中継ドメインとしてパケット交換ドメインを選択する(図5(3))。
【0073】
この例は、着信端末選択サーバ10からドメインのプリファレンス情報が通知されなかった場合にも応用される。ドメイン選択サーバ20は、着信先ドメインのプリファレンスが通知されなかった場合には、ドメインの状態、ドメインのポリシーを優先して中継ドメインを選択し、着信ドメインとしては、着信端末選択サーバ10が選択した端末の接続ドメインを選択する。
【0074】
セッション制御装置であるCSCF30またはMSC40は、発呼端末から端末グループまたは端末グループのいずれかを着信先に指定した発呼要求を受けると、着信端末選択サーバ10に当該グループ内の着信先端末を問い合わせる。さらに、ドメイン選択サーバ20へ呼・セッションを経由するドメインを問い合わせる。そして、着信端末選択及びドメイン選択結果に応じて呼・セッションを設定する。
【0075】
着信端末選択サーバ10への問い合わせの応答には、端末選択結果と共に、そのドメインのプリファレンスの情報が示されており、CSCF30またはMSC40はドメイン選択サーバにドメインを問い合わせる際に、端末選択結果と、選択した端末のドメインのプリファレンスを通知する。
【0076】
また、ドメインのプリファレンスによって、セッション制御装置であるCSCF30またはMSC40は、ドメイン選択サーバへのドメインの問い合わせをスキップする。例えば、着信端末選択サーバ10が通知したドメインのプリファレンスが、発呼側端末が発呼要求をしたドメインと同一の場合、即ち、ドメインを跨らずに発呼・セッション設定する場合、CSCF30またはMSC40は、ドメイン選択サーバ20への問い合わせをスキップし、選択した端末60へ、その端末60のドメインのプリファレンスに従って発呼する。この場合は、着信端末選択サーバ10がドメイン選択サーバ20の機能を代替し、ドメイン選択までを含めた処理を行うことを意味する。
【0077】
このように、発呼側端末が発呼したドメインと、着信端末選択サーバ10が選択した着信側の端末のドメインのプリファレンスが同一の場合、着信までの処理手順を省略する目的で、セッション制御装置が問い合わせをスキップしてもよいし、ドメインの状態等を勘案しドメインを確定する目的で、ドメイン選択サーバ20への問い合わせをスキップせずに実行してもよい。
【0078】
また、さらに簡易的に、発呼側の端末の最初の発呼要求がパケット交換呼であった場合には、常にドメイン選択サーバへの問い合わせをスキップし、回線交換呼であった場合には、常にドメイン選択サーバにドメインを問い合わせるようにしてもよい。
【0079】
すなわち、回線交換ドメインの場合、回線のリソースの占有状況(混雑状況)の影響を受ける可能性があることを考慮し、ドメイン選択の際にパケット交換ドメインへの中継を選択することが多いことを前提として、回線交換呼の発呼のみを対象に、着信端末選択サーバ10への問い合わせ後、ドメイン選択サーバ20へ問い合わせる。反対に、パケット交換呼の発呼については、着信端末選択サーバ10への問い合わせだけを行い、ドメイン選択サーバ20への問い合わせをスキップすることとしても良い。
【0080】
また、上述とは逆に、QoSを保証する目的で、パケット交換呼で要求された発呼について、リソースを確保して回線交換呼として提供する場合は、パケット交換呼に対して着信端末選択後、ドメイン選択サーバ20へ問い合わせ時にドメインのプリファレンスとして回線交換ドメインを指定し、ドメイン選択処理時に回線交換ドメインが選択されるようにしてもよい。
【0081】
そして、回線交換の発呼に対しては、着信端末選択時に回線交換呼に適した通信端末を選択し、MSCからドメイン選択サーバへの問い合わせをスキップして、回線交換ドメインを着信ドメインとして発呼する。
【0082】
ドメイン選択サーバへの問い合わせを行うか、スキップするかは、通信事業者のポリシーによって決めればよく、すべての発呼に対し、常にセッション制御装置からドメイン選択サーバに問い合わせを行っても良いし、着信までの処理手順の簡略化を優先する場合は、呼・セッションの種類や、ドメインのプリファレンスとの兼ね合い、提供するドメインの能力等によって、スキップを判定してもよい。
【0083】
[第1動作例]
続いて、通信制御システムの動作について図を用いて説明する。図6に、第1端末60aが第2端末60b・第3端末60cの端末グループにパケット交換呼を発呼するケースを例に、制御手順を示す。第3端末60cは、第2端末60bと同一ユーザによって所有され、音声呼の優先度が高く設定された、回線交換方式を利用する電話端末である。また、第2端末60bは、高速パケット伝送処理が可能な携帯電話等の端末である。
【0084】
まず、第1端末60aからCSCF30へ、第2端末60bに対する音声呼の発呼要求があると(手順1)、CSCF30は、当該発呼要求を着信させる端末を、着信端末選択サーバ10に問い合わせる(手順2)。なお、当該発呼は第1端末60aが、パケット交換ドメインに接続して行っているパケット交換の音声呼の発呼である。
【0085】
着信端末選択サーバ10は、端末グループ内で音声電話の着信優先度が高い第3端末60cを選択し(手順3)、選択した第3端末60cの宛先アドレスをCSCF30へ応答する。また、第3端末60cは、回線交換専用の端末であり、音声呼の種類として回線交換呼を嗜好していること、即ちドメインのプリファレンスが回線交換ドメインであることを示す情報を、前記選択結果の応答と共にCSCF30に通知する(手順4)。
【0086】
CSCF30は、ドメイン選択サーバ20に第3端末60cへの発呼を中継するドメインを問い合わせる(手順5)。この問い合わせには、第3端末60cの宛先アドレス、第3端末60cのドメインのプリファレンスが回線交換ドメインであることを示す情報が含まれている。
【0087】
ドメイン選択サーバ20は、ドメインのプリファレンスが回線交換であることを確認し、さらに回線交換トラフィックのリソース状況を勘案し、回線交換ドメインへ経由可能であることを判定し、回線交換ドメインを選択する(手順6)。そして、選択結果をCSCF30に応答する(手順7)。この応答には、回線交換ドメインへの経由の経路情報が含まれるものとする。
【0088】
なお、通知されたドメインのプリファレンスが回線交換であっても、回線交換ドメインのリソース状況によっては、ドメイン選択サーバはパケット交換ドメインを選択する場合がある。その場合は、パケット交換ドメインへの経路情報を含め、CSCF30に応答する。
【0089】
このケースでは、最初の発呼がパケット交換呼であるが、回線交換ドメインを経由する回線交換呼に変換するため、相互接続のためのGW50を中継する経路となり、CSCF30は経路情報に従い回線交換ドメインのMSC40にGW50を介して第3端末60cへの発呼を要求する(手順8、9)。
【0090】
MSC40は、第3端末60cに発呼し(手順10)、第3端末40cが応答すると、音声呼のセッションがパケット交換ドメインと回線交換ドメインを介して設定される。
【0091】
このケースのように、着信端末選択サーバ10が通知した着信側端末のドメインのプリファレンスが、発呼側が発呼したドメインとは異なる場合(相互接続のGW50を介しドメインを跨って発呼する必要がある場合)は、CSCF30が経路情報を得る目的で、ドメイン選択サーバへの問い合わせを行うことを判定する。
【0092】
[第2動作例]
次に、テレビ電話の発呼要求があった場合の動作について、図7を用いて説明する。
【0093】
第1端末60aからCSCF30へ、第2端末60bに対するテレビ電話の発呼要求があると(手順1)、CSCF30は当該発呼要求を着信させる端末を、着信端末選択サーバ10に問い合わせる(手順2)。なお、当該発呼は第1端末60aがパケット交換ドメインに接続して行っているパケット交換呼である。
【0094】
着信端末選択サーバ10は、テレビ電話の着信先として、高速パケット伝送処理が可能なアクセス手段を有する第2端末60bを選択し(手順3)、第2端末60bがパケット交換呼を嗜好していること、即ちドメインのプリファレンスがパケット交換ドメインであることを示す情報と共に、端末選択結果をCSCF30に応答する(手順4)。ここで、選択した端末は発呼側端末が指定した第2端末60bと同一であるので、この応答には、第2端末60bの宛先アドレスは含めなくてもよい。
【0095】
CSCF30は、端末選択結果及びドメインのプリファレンスの情報を受け、着信端末選択サーバが通知したドメインのプリファレンスがパケット交換ドメインであり、発呼側が指定したドメインと同一の場合(ドメインを跨らずに発呼する場合)であるから、CSCF30はドメイン選択サーバへの問い合わせをスキップすると判定する(手順5)。
【0096】
そして、ドメイン選択サーバへの問い合わせの手順をスキップし、第3端末60cにパケット交換呼の発呼を行う(手順6)。
【0097】
[第3動作例]
また、本発明のもうひとつの制御手順として、着信端末選択サーバ10からドメインのプリファレンス情報が通知されなかった場合の動作について、図8を用いて説明する。
【0098】
第1端末60aからCSCF30へ、第2端末60bに対する音声呼の発呼要求があると(手順1)、CSCF30は当該発呼要求を着信する端末を、着信端末選択サーバ10に問い合わせる(手順2)。なお、当該発呼は第1端末60aがパケット交換ドメインに接続して行っているパケット交換の音声呼である。
【0099】
着信端末選択サーバ10は、音声電話の着信優先度が高い第3端末60cを選択し(手順3)、選択した第3端末60cの宛先アドレスを通知する(手順4)。ここで、第3端末60cは回線交換専用の音声端末であるが、ドメインのプリファレンスが回線交換ドメインであることを示す情報は選択結果に含めずにCSCF30に応答する。
【0100】
CSCF30は、応答にドメインのプリファレンスが含まれていないことを確認して、ドメイン選択サーバ20への問い合わせが必要なことを判定し(手順5)、ドメイン選択サーバ20に第3端末60cへの発呼を経由するドメインを問い合わせる(手順6)。この問い合わせには、第3端末60cの宛先アドレスを含める。
【0101】
ドメイン選択サーバ20は、当該発呼がパケット交換呼であることから、第3端末60cがパケット交換ドメインに接続されているかを確認する。
【0102】
そして、第3端末60cがパケット交換ドメインに接続されておらず回線交換ドメインに接続されていることを確認すると、さらに回線交換ドメインのリソース状況を勘案し、回線交換ドメインへ経由可能であることを判定し、回線交換ドメインを選択する(手順7)。そして、選択結果をCSCF30に応答する(手順8)。この応答には、回線交換ドメインへの経路情報を含める。
【0103】
この動作例では、最初の発呼がパケット交換呼であるが、回線交換ドメインを経由する回線交換呼に変換するため、相互接続のためのGW50を中継する経路となり、CSCF30は経路情報に従い、回線交換ドメインのMSC40にGWを介して第3端末60cへの発呼を要求する(手順9、10、11)。
【0104】
MSC40は、第3端末60cに発呼し、第3端末60cが応答すると、音声呼のセッションがGW50を介してパケット交換ドメインと回線交換ドメイン間で設定される。
【0105】
このケースのように、着信端末選択サーバ10が着信先端末のドメインのプリファレンスを通知しない場合は、中継経路の情報を得る目的でCSCF30がドメイン選択サーバへの問い合わせを行う。
【0106】
なお、発呼側のドメインが回線交換ドメインであり、ドメイン選択サーバが選択した着信ドメインも回線交換という場合であっても、ドメインのリソース状況等によっては、ドメイン選択サーバはさらに中継ドメインとしてパケット交換ドメインを選択する場合がある。その場合は、その選択結果としてパケット交換ドメインへの中継後に回線交換ドメインに着信する経路情報をセッション制御装置に応答する。その結果、回線交換呼の発呼は、回線交換ドメインからパケット交換ドメインに中継され、さらに着信側の回線交換ドメインを経由して着信する。
【0107】
なお、本発明の移動通信システムは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】通信制御システムの概略を示す図である。
【図2】着信端末選択サーバ及びドメイン選択サーバの構成を示す図である。
【図3】選択条件テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【図4】通信制御システムの動作フローを示す図。
【図5】ドメイン選択の形態について説明するための図。
【図6】通信制御システムの処理について説明するための図。
【図7】通信制御システムの処理について説明するための図。
【図8】通信制御システムの処理について説明するための図。
【図9】従来の通信制御システムについて説明するための図。
【図10】従来の通信制御システムについて説明するための図。
【図11】従来の通信制御システムについて説明するための図。
【符号の説明】
【0109】
10 着信端末選択サーバ
102 優先度記憶部
104 端末選択部
106 端末グループ管理部
20 ドメイン選択サーバ
202 ポリシー記憶部
204 ドメイン選択部
206 ドメイン状態管理部
30 CSCF
40 MSC
50 GW
60a 第1端末
60b 第2端末
60c 第3端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回線交換ネットワークと、パケット交換ネットワークとの両方の通信ドメインを有する移動通信システムは、
通信端末間での呼接続、セッション接続を制御する呼・セッション制御装置と、
いずれの通信ドメインを経由して接続するかを決定して前記呼・セッション制御装置に通知するドメイン選択装置と、
着信先として接続する端末を選択する着信端末選択装置と、
前記通信ドメインを介して接続される通信端末と、
を備え、
前記着信端末選択装置は、着信先として選択した通信端末がいずれの通信ドメインを経由して接続するかを示すドメイン選択手段を有することを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
前記呼・セッション制御装置は、通信端末からの呼・セッション接続要求を受信すると、前記呼・セッション制御装置から前記着信端末選択装置への問い合わせを行い、前記着信端末選択装置からの応答にドメイン選択結果を示す情報が含まれた場合に、前記呼・セッション制御装置から前記ドメイン選択装置への問い合わせを省略することを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項3】
前記呼・セッション制御装置は、通信端末からの呼・セッション接続要求を受信すると、前記呼・セッション制御装置から前記着信端末選択装置への問い合わせを行い、前記着信端末選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果を示す情報を、前記呼・セッション制御装置から前記ドメイン選択装置へ通知して、経由する通信ドメインの問い合わせを行うことを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項4】
前記呼・セッション制御装置は、前記着信端末選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果と、前記ドメイン選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果とのいずれかを選択して経由する通信ドメインを決定することを特徴とする請求項2又は3に記載の移動通信システム。
【請求項5】
発呼側の通信端末が要求したドメインと、前記着信端末選択装置が選択したドメインとが同一の場合に、前記着信端末選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果を前記ドメイン選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果に優先して選択することを特徴とする請求項4に記載の移動通信システム。
【請求項6】
発呼側の通信端末が要求したドメインと、前記着信端末選択装置が選択したドメインとが異なる場合に、前記ドメイン選択装置への問い合わせを行い、前記ドメイン選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果を優先して選択することを特徴とする請求項4に記載の移動通信システム。
【請求項7】
発呼側の通信端末が要求したドメインが回線交換ドメインである場合には、前記着信端末選択装置への問い合わせと、前記ドメイン選択装置への問い合わせとを行い、発呼側通信端末が要求したドメインがパケット交換ドメインである場合には、前記着信端末選択装置への問い合わせのみを行い前記ドメイン選択装置への問い合わせを省略することを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項8】
発呼側の通信端末が要求したドメインがパケット交換ドメインである場合に、前記着信端末選択装置への問い合わせと、前記ドメイン選択装置への問い合わせとを行い、発呼側の通信端末が要求したドメインが回線交換ドメインである場合に、前記着信端末選択装置への問い合わせのみを行い前記ドメイン選択装置への問い合わせを省略することを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項9】
請求項1から8に記載の移動通信システムにおける着信端末選択装置であって、
着信先として選択した通信端末がいずれの通信ドメインを経由して接続するかを示すドメイン選択手段を有することを特徴とする着信端末選択装置。
【請求項10】
請求項1から8に記載の移動通信システムにおける呼・セッション制御装置であって、
通信端末からの呼・セッション接続要求を受信すると、前記着信端末選択装置への問い合わせを行い、前記着信端末選択装置からの応答にドメイン選択結果を示す情報が含まれた場合に、前記ドメイン選択装置への問い合わせを省略することを特徴とする呼・セッション制御装置。
【請求項11】
通信端末からの呼・セッション接続要求を受信すると、前記着信端末選択装置への問い合わせを行い、前記着信端末選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果を示す情報を、前記ドメイン選択装置へ通知して、経由する通信ドメインの問い合わせを行うことを特徴とする請求項10に記載の呼・セッション制御装置。
【請求項12】
前記着信端末選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果と、前記ドメイン選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果とのいずれかを選択して、経由する通信ドメインを決定することを特徴とする請求項10に記載の呼・セッション制御装置。
【請求項13】
発呼側の通信端末が要求したドメインと、前記着信端末選択装置が選択したドメインとが同一の場合に、前記着信端末選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果を前記ドメイン選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果に優先して選択することを特徴とする請求項12に記載の呼・セッション制御装置。
【請求項14】
発呼側通信端末が要求したドメインと、前記着信端末選択装置が選択したドメインとが異なる場合に、前記ドメイン選択装置からの応答に含まれるドメイン選択結果を優先して選択することを特徴とする請求項12に記載の呼・セッション制御装置。
【請求項15】
発呼側通信端末が要求したドメインが回線交換ドメインである場合に、前記着信端末選択装置への問い合わせと、前記ドメイン選択装置への問い合わせとを行い、発呼側通信端末が要求したドメインがパケット交換ドメインである場合には、前記着信端末選択装置への問い合わせのみを行い、前記ドメイン選択装置への問い合わせを省略することを特徴とする請求項10に記載の呼・セッション制御装置。
【請求項16】
発呼側の通信端末が要求したドメインがパケット交換ドメインである場合に、前記着信端末選択装置への問い合わせと、前記ドメイン選択装置への問い合わせとを行い、発呼側の通信端末が要求したドメインが回線交換ドメインである場合に、前記着信端末選択装置への問い合わせのみを行い、前記ドメイン選択装置への問い合わせを省略することを特徴とする請求項10に記載の呼・セッション制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−219268(P2008−219268A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51592(P2007−51592)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】