説明

移動通信システム、自動接続復旧ノード、および、移動通信システムの接続復旧方法

【課題】所定期間常態で接続が維持されるべき接続維持コネクションに関し当該所定期間内に常態が破れ切断が発生した場合に、途切れた通信を自動的に復旧させ、且つ、この復旧をネットワーク側主導で行い無線リソースの割り当てが逼迫するおそれがないようにする。
【解決手段】移動通信システム10のXSGN(GGSN)内で発生した接続維持コネクションの切断をXSGN(SGSN)210内のコネクション断検出部214で検出しIP−SCP120に通知すると、IP−SCP120は該通知に基づいてHLR130の加入者契約情報に依拠して復旧すべき通信を特定し、XSGN(GGSN)200から、該特定された通信に係る移動機310に向けて復旧動作を促す呼出を発信させるための復旧呼出発信指令を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システム、自動接続復旧ノード、および、移動通信システムの接続復旧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、あらゆる場所で種々広汎な領域に亘る機器に応答器が設けられ、何れに在っても質問器からの問いかけに応答できるようなシステムが、移動通信網を利用することによって所謂ユビキタスの一つの姿として具現化されつつある。
例えば、移動機としての機能を保有する無線端末装置が飲料やたばこ等の自動販売機に備えられ、在庫管理や購入者の認証に用いられるようなケースが既に増加の一途を辿っている。
上述のようなケースでは、旧来のように専ら運用者の経験に依存して自動販売機での販売品目の補充等を人為的に行なうに替えて、現実の在庫に見合った補充作業を行うPOSシステムが実現され、また、セキュリティの確保についても一定の効果を収めるに到っている。
【0003】
更に、未成年者の喫煙や飲酒を防止するために、年齢識別装置を自動販売機に搭載し未成年者が利用できないシステムの構築が進められようとしている(日本自動販売機工業会、たばこ・酒業界等)。
移動機に関するこのような応用的利用技術は、今後、家庭電気製品等に代表される汎用機器にまで波及しようという趨勢にある。
上述のように自動販売機等に組み込まれる移動機(従って、加入者)の数は飛躍的に増加する傾向を呈しており、現実にデータが流れるトラヒックの増加を遥かに凌駕するものとなることが予測に難くない。
【0004】
一方、携帯電話機のようにユーザの意思に従って用いられる移動機では、通話中など常態で移動通信システムにおけるコネクションが維持されるべき期間内に当該コネクションが切断された場合には、ユーザがコネクションの再設定のための操作を行って復旧が図られる。
しかしながら、ユーザにおいて呼再開のための操作を全て負うのは面倒であり、可能な限り、再開に関するこのような操作を行うまでもなく、自動的に復旧が図られることが望ましい。
他方、上述のように自動販売機等に組み込まれる移動機のように平生の運用ないし使用状態においては、時々刻々の状況を上位の管理システムに伝送するために常時呼が設定された状態にある。即ち、移動通信システムにおけるコネクションが常態で維持される。
【0005】
ところが、このような常時接続コネクションが切断された場合における復旧の契機は、一般的には、移動機からの再接続機能のみである。
このため、何等の外部操作も行われなければ、コネクションが切断されたまま回復不可能な状態に陥るおそれがある。
以上のように常時接続コネクションが切断された場合に自動的に復旧が図られるようにするためには、コネクションが切断されたことを検出する機能と、この機能によってコネクションの切断が検出されたときに、自動的に再開のための呼出を起動する機能とを各移動機に備えることが考えられる。
【0006】
しかしながら、常時接続コネクションが切断された場合における復旧の契機を、専ら移動機側における呼出機能に委ねてしまうと、コネクションの切断の影響が配下の多数の移動機に及ぶような形態での不具合が発生した際に、多数の移動機から一斉に呼出が起動され、無線リソースの割り当てが逼迫するといったことが懸念される。
既述のように、今後予想されるユビキタス時代に向けて、移動通信システムに収容される移動機の数は飛躍的に増大することが見込まれる状況にある。
この状況にあって、常時接続コネクションの復旧の契機を専ら各個の移動機における統制のない呼出の起動に依存する場合には、復旧時のピークを吸収するために、現実にデータが流れる通信トラヒックとの対比で見ると、甚だバランスを欠いた過剰な設備が要求されるといった事態を招来してしまうことになる。
【0007】
尚、コンテンツサーバからGGSN(Gateway GPRS(General Packet Radio Service) Support Node )→SGSN(Serving GPRS(General Packet Radio Service) Support Node:複数)→MS(移動局:複数)といったツリー構造を持つコンテンツ配信経路のうちの一つの系統に障害が発生したときには、これが復旧しないうちに当該系統にコンテンツを配信し続けるとリソースの無駄が発生するので、これを解決する技術を提供するといった技術は既に提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
この特許文献1では、3GPP(3rd Generation Partnership Project)におけるMBMS(Multimedia Broadcast/Multicast Service)に規定されたツリー構造における複数の下位ノード(下位サービス制御装置)SGSN(Serving GPRS(General Packet Radio Service) Support Node)のうち特定のものについてのみ障害(輻輳や故障等)が発生した場合であっても、上位ノードGGSN(Gateway GPRS(General Packet Radio Service) Support Node:ブロードキャストデータの送信元)が、当該下位ノードSGSNにおける障害の発生を検出することができないため、当該下位ノードSGSNに対してブロードキャストデータを送信し続ける無駄を排除しようとするものである。
【特許文献1】特開2006−54592号公報(要約、段落0004〜段落0008等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上掲の特許文献1に開示された技術は、端的には、コンテンツを送信しても障害によって所定の配信先に届かない状況下でも一律に配信を継続してしまうといったリソースの無駄使いを排除しようとするものであり、コネクションの切断を復旧させる方途を提供するものではない。
本発明は、上述のような状況に鑑みてなされたものであり、所定期間常態で接続が維持されるべき接続維持コネクションに関し当該所定期間内に常態が破れ切断が発生した場合に、途切れた通信を自動的に復旧させ、且つ、この復旧に際して無線リソースの割り当てが逼迫するおそれがないようにした、移動通信システム、自動接続復旧ノード、および、移動通信システムの接続復旧方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するべく、本願では次に列記するような技術を提案する。
即ち、本発明の移動通信システムでは、移動機を用いた通信に係る呼の設定および解除のために信号伝送路の接続および切断を切り換え制御するコネクションのうち所定期間常態で接続が維持されるべき接続維持コネクションに関し当該所定期間内に常態が破れ切断が発生したことを検出するコネクション断検出手段と、前記コネクション断検出手段が当該コネクションの切断を検出したときには復旧すべき通信を判断して特定する復旧通信特定手段と、前記復旧通信特定手段によって特定された通信に関して該当する移動機に復旧動作を促す呼出を発信させるための復旧呼出発信指令を発する復旧呼出発信指令手段と、が前記移動機を用いた通信を実現するためのノードの総体に含まれるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
上記移動通信システムでは、移動機を用いた通信に係る呼の設定および解除のために信号伝送路の接続および切断を切り換え制御するべく該当するノードに設けられたコネクションのうち所定期間常態で接続が維持されるべき接続維持コネクションに関し当該所定期間内に常態が破れ切断が発生したことをコネクション断検出手段が検出する。
このコネクション断検出手段は、所定のノード(一つの態様としては、上記移動通信システムにおける前記接続維持コネクションを含むノードの下位のノード)に設けられる。
【0012】
前記コネクション断検出手段が当該コネクションの切断を検出したときには、前記復旧通信特定手段が、復旧すべき通信を判断して特定する。
この復旧通信特定手段は、所定のノード(一つの態様としては、上記移動通信システムにおける前記コネクション断検出手段を含むノードからコネクション断の通知を受けるように結ばれたノード)に設けられる。
前記復旧通信特定手段によって復旧すべき通信が特定されると、前記復旧呼出発信指令手段が、該特定された通信に関して該当する移動機に復旧動作を促す呼出を発信させるための復旧呼出発信指令を発する。
【0013】
この復旧呼出発信指令手段は、所定のノード(一つの態様としては、上記移動通信システムにおける前記復旧通信特定手段を含むノードと同じノード)に設けられる。
前記復旧呼出発信指令手段から復旧呼出発信指令が発せられると、所定の経路で復旧呼出発信指令を受けるノード(例えば移動機)が当該指令に応答してコネクション復旧のための呼出を起動させることによって、上述のコネクション断によって途切れた通信の復旧が達成される。従って、ネットワーク側主導でコネクションを復旧させることができる。
【0014】
また、本発明の自動接続復旧ノードは、移動通信網に設けられたノードであって、呼の設定および解除を制御するために上位ノードと移動機間の信号伝送路の接続および切断を切り換えるコネクションのうち所定期間常態で接続が維持されるべき接続維持コネクションに関し当該所定期間内に常態が破れ切断が発生したことを認識するコネクション断認識手段と、前記コネクション断認識手段が当該コネクションの切断を認識したときには自ノード配下にある該当する移動機に復旧動作を促す呼出を発信させるための復旧呼出発信指令を発する復旧呼出発信指令手段と、を備えていることを特徴とする。
【0015】
上記自動接続復旧ノードでは、上位ノードと移動機間の信号伝送路の接続および切断を切り換えるコネクションのうち所定期間常態で接続が維持されるべき接続維持コネクションに関し当該所定期間内に常態が破れ切断が発生すると、前記コネクション断認識手段によって、当該切断が認識される(この認識は、一つの態様としては、下位ノードからコネクション断を検出した通知を受けることにより可能になる)。
前記コネクション断認識手段によって当該切断が認識されたときには、前記復旧通信特定手段が、復旧すべき通信を判断して特定する。
この復旧通信特定手段は、所定のノード(一つの態様としては、上記移動通信システムにおける前記コネクション断検出手段を含むノードからコネクション断の通知を受けるように結ばれたノード)に設けられる。
【0016】
前記復旧通信特定手段によって復旧すべき通信が特定されると、前記復旧呼出発信指令手段が、該特定された通信に関して該当する移動機に復旧動作を促す呼出を発信させるための復旧呼出発信指令を発する。
前記復旧呼出発信指令手段から復旧呼出発信指令が発せられると、所定の経路で復旧呼出発信指令を受けるノード(例えば移動機)が当該指令に応答してコネクション復旧のための呼出を起動させることによって、上述のコネクション断によって途切れた通信の復旧が達成される。
従って、ネットワーク側主導でコネクションを復旧させることができる。
【0017】
一方、前記自動接続復旧ノードはIP−SCP(IP-based service control point)として構成され、前記コネクション断認識手段は該IP−SCPと結ばれたノードであるXGSN(serving/gateway GPRS(General Packet Radio Service)Support Node)によるコネクション断の検出および該検出の通知に基づいてコネクション断を認識するように構成することができる。
この態様を採る場合には、XGSNの通常の機能であるコネクション断の検出機能を利用してXGSNとは別途にコネクション断の検出手段を設けることなく、当該自動接続復旧ノードであるIP−SCPのコネクション断認識手段を構成することができる。
【0018】
また、上記自動接続復旧ノードはIP−SCP(IP-based service control point)として構成され、前記コネクション断認識手段は該IP−SCPと結ばれたノードであるSGSN(Serving GPRS(General Packet Radio Service) Support Node)によるコネクション断の検出および該検出の通知に基づいてコネクション断を認識するように構成することができる。
この態様を採る場合には、SGSNの通常の機能であるコネクション断の検出機能を利用してとは別途にコネクション断の検出手段を設けることなく、当該自動接続復旧ノードであるIP−SCPのコネクション断認識手段を構成することができる。
【0019】
また、一方、上記自動接続復旧ノードは、XGSN(serving/gateway GPRS(General Packet Radio Service)Support Node)として構成され、前記コネクション断認識手段は、該XGSNに含まれているコネクション断検出部による検出に基づいてコネクション断を認識するように構成することができる。
この態様を採る場合には、XGSNの通常の機能であるコネクション断の検出機能を利用してXGSNとは別途にコネクション断の検出手段を設けることなく、当該自動接続復旧ノードであるXGSNのコネクション断認識手段を構成することができる。
【0020】
また、上記自動接続復旧ノードは、SGSNとして構成され、前記コネクション断認識手段は、該SGSNの上位ノードとしてのGGSN(Gateway GPRS(General Packet Radio Service) Support Node )における当該コネクションの切断を検出するように構成することができる。
この場合、SGSNはGGSNの当該コネクションの切断を検出して、該GGSNに対しその配下にある該当する移動機に復旧動作を促す呼出を発信させるように制御するための復旧呼出発信指令を発する。
この復旧呼出発信指令にGGSNが応動することによって、GGSNから該当する移動機に復旧動作を促す呼出を発信させ、この呼出を契機として、ネットワーク側主導でコネクションを復旧させることができる。
【0021】
他方、本発明の移動通信システムの接続復旧方法は、呼の設定および解除を制御するために上位ノードと移動機間の信号伝送路の接続および切断を切り換えるコネクションのうち所定期間常態で接続が維持されるべき接続維持コネクションに関し当該所定期間内に常態が破れ切断が発生したことを検出し、当該コネクションの切断を検出したときには、該当する移動機に復旧動作を促す呼出を発するように制御することを特徴とする。
【0022】
この移動通信システムの接続復旧方法では、上述のような接続維持コネクションに関し当該所定期間内に常態が破れ切断が発生したことを検出し、この検出がされたときには、該当する移動機に対し復旧呼出動作を促す復旧呼出発信指令を発するように制御する。
この制御は、一つの態様としては、上位ノードに対し該上位ノードの配下にある移動機に向けて復旧呼出発信指令を発するようにして行われる。
この復旧呼出発信指令に当該上位ノードが応動することによって、当該上位ノードが配下にある該当する移動機に復旧動作を促す呼出を発信させ、この呼出を契機として、ネットワーク側主導でコネクションを復旧させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、所定期間常態で接続が維持されるべき接続維持コネクションに関し当該所定期間内に常態が破れ切断が発生した場合に、コネクションが自動的に復旧される。
この復旧は、該当するノードを含むネットワーク側主導で行われる。このため、常時接続コネクションの復旧の契機を専ら各個の移動機における統制のない呼出の起動に依存する場合におけるような無線リソースの逼迫を招来するおそれが回避され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳述することにより本発明を明らかにする。
(本発明の移動通信システムの一の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態としての移動通信システムを表す概念図である。
図示の例における移動通信システム10は、コンテンツを配信する源となるコンテンツサーバ、或いは、自動販売機に関するPOSシステムに関する売り上げ情報を管理する管理サーバとして機能するサーバ110(本図では一つのサーバの如く表記)が設けられ、このサーバ110がXGSN(serving/gateway GPRS(General Packet Radio Service)Support Node)200と結ばれている。
このように設置されたXGSN200は、GGSN(Gateway GPRS(General Packet Radio Service) Support Node )として機能する。
【0025】
一方、XGSN200の配下には、2つのXGSN210および220が結ばれており、各XGSN210および220は、それぞれSGSN(Serving GPRS(General Packet Radio Service) Support Node)として機能する。
XGSN210の配下にRNC(Radio Network Controller)230が設けられ、同様に、XGSN220の配下にRNC240が設けられている。
RNC230配下には図示省略された基地局等の無線伝送路を担う機器が備えられ、その管轄エリア(セル)に移動機310が在圏するが、この移動機310は自動販売機510に内蔵されている。
【0026】
一方、図示の場合には、RNC240配下には図示省略された基地局に移動機320が在圏しており、この移動機320は通常の携帯電話機のようにユーザに所持され操作される。
他方、この移動通信システム10には、加入者の契約情報を認識してこのシステム10におけるコネクション断が発生した場合の自動接続復旧を実現するための枢要な機能を担うIP−SCP(Internet Provider - Service Control Point)120が設けられている。
【0027】
このIP−SCP120はHLR(Home Location Register)130と結ばれ、HLR130が保有する加入者の契約情報を所要のタイミングで参照し認識する。
今、サーバ110−XGSN(GGSN)200−XGSN(SGSN)220−RNC240−移動機320の経路が設定されてサーバ110から移動機320にコンテンツの供給が行われていると仮定する。
【0028】
上記仮定において、XGSN(GGSN)200内で呼の設定および解除のために信号伝送路の接続および切断を切り換え制御するコネクションは、コンテンツの供給が行われている期間は常態で接続が維持される。
この期間内に常態が破れコネクションの切断が発生すると、サーバ110−XGSN(GGSN)200−XGSN(SGSN)220−RNC240−移動機320のように一旦確立していた信号伝送路は解除され、コンテンツに係る通信が断たれる。
【0029】
このような状況に陥ったときには、移動機320のユーザが再度接続操作を行えば、この操作によって破線の矢印で概念的に示されたように呼制御(呼の設定処理)が行われて信号伝送路が復旧しコンテンツの供給が再開される。
他方、平生は、移動機310−RNC230−XGSN(SGSN)210−XGSN(GGSN)200−サーバ110の経路が常時維持されて、自動販売機510に関するPOSシステムが稼動を維持する。尚、この場合には、図示のサーバ110は、管理サーバであるとする。
【0030】
上記POSシステムにおける売り上げ時点の情報をリアルタイムで管理サーバ110に伝送するために、XGSN(SGSN)210やXGSN(GGSN)200における該当するコネクションは、常態で常時接続コネクションとして機能する。
この状態において、XGSN(GGSN)200内での当該常時接続コネクションについて常態が破れ切断が発生したときには、下位のXGSN(SGSN)210におけるコネクション断検出手段がコネクション断の発生を検出する。
この場合、XGSN(SGSN)210に替えて、通常のとおりのSGSNを適用可能であることは勿論である。
【0031】
尚、一般的に、ノードは自ノード内で生じたコネクション断の発生を認識できるが、通常、コネクションの復旧によって過去に発生した自ノード内でのコネクション断の履歴は残らず、従って、このような履歴に基づく何等かの処置を自らの認識で講ずることはできない。
上掲の例において、上位のXGSN(GGSN)200内で発生したコネクション断の検出を下位のXGSN(SGSN)210におけるコネクション断検出手段によって検出するのは以上のような理由による。
【0032】
XGSN(SGSN)210が、上述のようにコネクション断検出手段によってXGSN(GGSN)200内でのコネクション断を検出したときには、既述のIP−SCP120に対し、コネクション断の発生を通知する。
この通知に基づいて、IP−SCP120はXGSN(GGSN)200内のコネクションに関してコネクション断の発生を認識し、この認識に基づいて、HLR130が保有する当該コネクション断に関係する加入者の契約情報を参照して取得し、XGSN(GGSN)200に対し該当する移動機に通信の復旧動作を起動するための呼出を発信することを促す復旧呼出発信指令を発する。
【0033】
この復旧呼出発信指令に応じてXGSN(GGSN)200がその下位にあるノードである移動機310にコネクション復旧のための呼出を起動させる。
このようにして、移動機310から当該通信復旧のための呼出が発せられ、該呼出に応じて再度の接続操作が自動的に行われて信号伝送路が復旧する。即ち、コネクションの復旧が達成される。従って、ネットワーク側主導でコネクションを復旧させることができる。
このようにIP−SCP120が加入者の契約情報を参照することにより、上述のコネクション断検出手段によって検出されたコネクション断に係るXGSN(SGSN)210およびXGSN(GGSN)200の下位に在圏する移動機の加入者情報を認識し、該認識に基づいて復旧動作が実行される。
【0034】
(自動接続復旧ノードの一の実施の形態)
図2は、図1中の自動接続復旧ノードとしてのIP−SCPの構成を表すブロック図である。このIP−SCP120は、システムコントローラ121がバス122を通して、XGSN(SGSN)インターフェース部123、コネクション断認識部124、HLRインターフェース部125、復旧通信特定部126、および、XGSN(GGSN)インターフェース部127の各部を統括的に管理して、所定の各機能を営むように構成されている。
【0035】
XGSN(SGSN)インターフェース部123は、システムコントローラ121の制御下で所定のタイミングでXGSN(SGSN)210との信号の授受を行う。
XGSN(SGSN)210における、XGSN(GGSN)200のコネクションにおけるコネクション断の検出に関する該検出の通知も、このXGSN(SGSN)インターフェース部123を通して伝送され、このIP−SCP120内に取り込まれる。
【0036】
コネクション断認識部124は、上述のようにして通知されたコネクション断の発生を認識する。この認識は、例えば、この認識に対応する履歴の一時的保持といった状態を形成する。
HLRインターフェース部125は、システムコントローラ121の制御下で所定のタイミングでHLR130との信号の授受を行う。
このHLRインターフェース部125を通して、既述のように、HLR130が保有する当該コネクション断に関係する加入者の契約情報を参照して取得することができる。
復旧通信特定部126は、HLR130を参照して取得した当該コネクション断に関係する加入者の契約情報に基づいて、上述のようにしてコネクション断認識部124で認識されたコネクション断に関連して、復旧すべき通信を判断して特定する。
【0037】
XGSN(GGSN)インターフェース部127は、システムコントローラ121の制御下で所定のタイミングでXGSN(GGSN)200との信号の授受を行う。
既述の復旧通信特定部126によって特定された通信に関して該当する移動機に復旧動作を促す呼出を発信させるための復旧呼出発信指令を発する復旧呼出発信指令手段がシステムコントローラ121によって担われるが、この復旧呼出発信指令が、XGSN(GGSN)インターフェース部127を通して、GSN(GGSN)200に供給される。
【0038】
(コネクション断検出手段を含むノードの例)
図3は、図1中のXGSN(SGSN)の構成を表すブロック図である。
このXGSN(SGSN)210は、システムコントローラ211がバス212を通して、XGSN(GGSN)インターフェース部213、コネクション断検出部214、IP−SCPインターフェース部215、コネクション断通知部216、および、RNCインターフェース部217の各部を統括的に管理して、所定の各機能を営むように構成されている。
【0039】
XGSN(SGSN)インターフェース部213は、システムコントローラ211の制御下で上位ノードであるXGSN(GGSN)200との信号の授受を行う。
コネクション断検出部214は、XGSN(SGSN)インターフェース部213を通して、XGSN(GGSN)200内でのコネクション断を検出するそれ自体は一般的なこの種の装置に備えられる機能部である。
IP−SCPインターフェース部215は、システムコントローラ211の制御下でIP−SCP120との情報の授受を行う。
【0040】
コネクション断通知部216は、コネクション断検出部214が上述のコネクション断を検出したときに、このコネクション断が生じたことを通知するための信号を形成して、IP−SCPインターフェース部215を通して、IP−SCP120にコネクション断の発生を通知する。
RNCインターフェース部217は、システムコントローラ211の制御下で、所定のタイミングでRNC230との情報の授受を行う。
【0041】
以上の通り、本実施の形態の移動通信システム10では、移動機を用いた通信に係る呼の設定および解除のために信号伝送路の接続および切断を切り換え制御するコネクションのうち所定期間常態で接続が維持されるべき接続維持コネクションに関し当該所定期間内に常態が破れ切断が発生したことを検出するコネクション断検出手段は、図3(図1)を参照して説明したXGSN(SGSN)210に備えられている。
【0042】
(本発明の移動通信システムの一の実施の形態の動作)
図4は、図1ないし図3を参照して説明した本発明の実施の形態としての移動通信システムの動作を表すシーケンス図である。
XGSNの機能によって実現されているGGSNに故障が発生すると(S401)、コネクション断の発生が、図3を参照して既述のように、XGSNの機能によって実現されているSGSNによって検出される(S402)。
次いで、MT(移動機)とSGSN間で通信の秘匿処理(Security Function)が実行される(S403)。
このSecurity Functionの処理過程でSGSNは国際移動機器識別子(IMEI:International Mobile Equipment Identity)データを取得する。
【0043】
次いで、SGSNからIP−SCPにGGSNに故障が発生したことが通知される(「GGSN再開通知−1」と表記:S404)。
S404の通知を受けたIP−SCPがHLRの保有する該当する加入者の契約情報を参照する(「GGSN再開通知−2」と表記:S405)。
このため、HLRでは、コネクション断を通知したSGSN 配下の加入者番号が検索され(S406)、更に、S406の検索によって、抽出された加入者番号および常時接続契約に該当するユーザが抽出される(S407)。
S407によって抽出された情報に基づいて、コネクション断に関係する加入者の情報がHLRからIP−SCPに供給される(「加入者呼び出し通知―1」と表記:S408)。
【0044】
これを受けたIP−SCPでは、供給された加入者情報に基づいて、通信の再開を行うべき系統(移動機への経路)を判断し、特定する。
IP−SCPにおいてこのように判断し特定されたる情報が、GGSNに供給される(「加入者呼び出し通知―2」と表記:S409)。
S409における「加入者呼び出し通知―2」が、上述の復旧呼出発信指令に該当する。
【0045】
これを受けたGGSNが、各加入者が利用可能なAPN(Access Point Name:接続ポイント名)を検索する(S410)。
MTからの、再度の接続要求が起こり、通信の復旧が実現する(S411)。
以上の通り、ネットワーク側主導での通信の復旧が行われるため、ネットワーク側の状況とは無関係に端末(移動機MT)側主導で復旧動作が一斉に行われてしまうことに起因する無線リソースの逼迫が効果的に抑制され得る。
【0046】
(本発明の移動通信システムの他の実施の形態)
図5は、本発明の他の実施の形態としての移動通信システムを表す概念図である。
図示の例における移動通信システム20において、既述の図1との対応部には同一の参照符号を附して、これら対応部自体の説明は省略する。
図1の移動通信システム10との符号を対照して容易に理解される通り、図5の移動通信システム50では、移動通信システム10においてIP−SCP120、HLR130、および、XGSN(SGSN)210によって賄われていた各所要の機能が、HLR130a、および、XGSN(SGSN)610によって賄われるように構成されている。
【0047】
即ち、XGSN(SGSN)610が自動接続復旧ノードとして構成され、XGSN(GGSN)200に発生したコネクション断を検出する機能部も、この検出によってコネクション断を認識するコネクション断認識手段も、このXGSN(SGSN)610に含まれている。
この場合、XGSN(SGSN)610に替えて、通常のとおりのSGSNを適用可能であることは勿論である。
【0048】
(自動復旧ノードの他の実施の形態)
図6は、図5の移動通信システム50におけるXGSN(SGSN)の構成を表すブロック図である。
このXGSN(SGSN)610は、システムコントローラ611がバス612を通して、XGSN(GGSN)インターフェース部613、コネクション断検出部614、HLRインターフェース部615、コネクション認識知部616、および、RNCインターフェース部617の各部を統括的に管理して、所定の各機能を営むように構成されている。
XGSN(GGSN)インターフェース部613は、システムコントローラ611の制御下で上位ノードであるXGSN(GGSN)200との信号の授受を行う。
コネクション断検出部614は、XGSN(GGSN)インターフェース部613を通して、XGSN(GGSN)200内でのコネクション断を検出するそれ自体は一般的なこの種の装置に備えられる機能部である。
【0049】
HLRインターフェース部615は、システムコントローラ211の制御下でHLR130aとの情報の授受、即ち、上述のコネクション断に関係する加入者の契約情報の検索および取得を行う。
コネクション断認識部616は、コネクション断検出部614が上述のコネクション断を検出したときに、このコネクション断が生じたことを認識する。
この認識は、例えば、このコネクション断の認識に対応する履歴の一時的保持といった状態を形成する。
RNCインターフェース部617は、システムコントローラ611の制御下で、所定のタイミングでRNC230との情報の授受を行う。
【0050】
以上の通り、本実施の形態の移動通信システム50では、移動機を用いた通信に係る呼の設定および解除のために信号伝送路の接続および切断を切り換え制御するコネクションのうち所定期間常態で接続が維持されるべき接続維持コネクションに関し当該所定期間内に常態が破れ切断が発生したことを検出するコネクション断検出手段は、図6(図5)を参照して説明したXGSN(SGSN)610に備えられている。
また、システムコントローラ611は、HLRインターフェース部615を通してHLR130aと既述の情報の授受を行って取得した当該コネクション断に関係する加入者の契約情報に基づいて、復旧させるべき通信を特定する復旧通信特定部として機能する。
更にまた、システムコントローラ611は、上述のように特定される通信に関して該当する移動機に復旧動作を促す呼出を発信させるための復旧呼出発信指令を発する復旧呼出発信指令手段としても機能し、この復旧呼出発信指令が、XGSN(GGSN)インターフェース部613を通して、GSN(GGSN)200に供給される。
【0051】
(本発明の移動通信システムの他の実施の形態の動作)
図7は、図5および図6を参照して説明した本発明の他の実施の形態としての移動通信システムの動作を表すシーケンス図である。
XGSNの機能によって実現されているGGSNに故障が発生すると(S701)、コネクション断の発生が、図6を参照して既述のように、XGSNの機能(コネクション断検出部614)によって検出される(S702)。
次いで、MT(移動機)とSGSN間で通信の秘匿処理(Security Function)が実行される(S703)。
このSecurity Functionの処理過程でSGSNは国際移動機器識別子(IMEI:International Mobile Equipment Identity)データを取得する。
コネクション断の発生は、SGSNで検出および認識され、このSGSNからHLRの保有する該当する加入者の契約情報を参照する(「GGSN再開通知」と表記:S704)。
【0052】
このため、HLRでは、コネクション断を通知したSGSN 配下の加入者番号が検索され(S705)、更に、S705の検索によって、抽出された加入者番号および常時接続契約に該当するユーザが抽出される(S706)。
S706によって抽出された情報に基づいて、通信の再開を行うべき系統(移動機への経路)が判断され、特定されて、コネクション断に関係する加入者の情報がHLRからGGSNに供給される(「加入者呼び出し通知」と表記:S707)。
【0053】
これを受けたGGSNが、各加入者が利用可能なAPN(Access Point Name:接続ポイント名)を検索する(S708)。
MTからの、再度の接続要求が起こり、通信の復旧が実現する(S709)。
以上の通り、ネットワーク側主導での通信の復旧が行われるため、ネットワーク側の状況とは無関係に端末(移動機MT)側主導で復旧動作が一斉に行われてしまうことに起因する無線リソースの逼迫が効果的に抑制され得る。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、移動機を用いた通信に係る呼の設定および解除のために信号伝送路の接続および切断を切り換え制御するコネクションのうち所定期間常態で接続が維持されるべき接続維持コネクションに関し当該所定期間内に常態が破れ切断が発生した場合に、ネットワーク側主導で、復旧させるべき通信に関する移動機から通信復旧のための接続要求を起こさせることが可能な移動通信システムの構築に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態としての移動通信システムを表す概念図である。
【図2】図1中の自動接続復旧ノードとしてのIP−SCPの構成を表すブロック図である。
【図3】図1中のXGSN(SGSN)の構成を表すブロック図である。
【図4】図1の移動通信システムの動作を表すシーケンス図である。
【図5】本発明の他の実施の形態としての移動通信システムを表す概念図である。
【図6】図5の移動通信システム50におけるXGSN(SGSN)の構成を表すブロック図である。
【図7】図5および図6を参照して説明した本発明の他の実施の形態としての移動通信システムの動作を表すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0056】
10…移動通信システム
50…移動通信システム
110…コンテンツサーバ(管理サーバ)
120…IP−SCP
121…システムコントローラ
122…バス
123…XSGN(SGSN)インターフェース部
124…コネクション断認識部
125…HLRインターフェース部
126…復旧通信特定部
127…XSGN(GGSN)インターフェース部
130…HLR
130a…HLR
200…XSGN(GGSN)
210…XSGN(SGSN)
211…システムコントローラ
212…バス
213…XSGN(GGSN)インターフェース部
214…コネクション断検出部
215…IP−SCPインターフェース部
216…コネクション断通知部
217…RNCインターフェース部
220…XSGN(SGSN)
230…RNC
240…RNC
310…移動機
320…移動機
500…自動販売機
610…XSGN(SGSN)
611…システムコントローラ
612…バス
613…XSGN(GGSN)インターフェース部
614…コネクション断検出部
615…HLRインターフェース部
616…コネクション断認識部
617…RNCインターフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動機を用いた通信に係る呼の設定および解除のために信号伝送路の接続および切断を切り換え制御するコネクションのうち所定期間常態で接続が維持されるべき接続維持コネクションに関し当該所定期間内に常態が破れ切断が発生したことを検出するコネクション断検出手段と、前記コネクション断検出手段が当該コネクションの切断を検出したときには復旧すべき通信を判断して特定する復旧通信特定手段と、前記復旧通信特定手段によって特定された通信に関して該当する移動機に復旧動作を促す呼出を発信させるための復旧呼出発信指令を発する復旧呼出発信指令手段と、が前記移動機を用いた通信を実現するためのノードの総体に含まれるように構成されていることを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
移動通信網に設けられたノードであって、呼の設定および解除を制御するために上位ノードと移動機間の信号伝送路の接続および切断を切り換えるコネクションのうち所定期間常態で接続が維持されるべき接続維持コネクションに関し当該所定期間内に常態が破れ切断が発生したことを認識するコネクション断認識手段と、前記コネクション断認識手段によって当該切断が認識されたときには復旧すべき通信を判断して特定する復旧通信特定手段と、前記復旧通信特定手段によって特定された通信に関して該当する移動機に復旧動作を促す呼出を発信させるための復旧呼出発信指令を発する復旧呼出発信指令手段と、を備えていることを特徴とする自動接続復旧ノード。
【請求項3】
IP−SCP(IP-based service control point)として構成される自動接続復旧ノードであって、前記コネクション断認識手段は、該IP−SCPと結ばれたノードであるXGSN(serving/gateway GPRS(General Packet Radio Service)Support Node)によるコネクション断の検出および該検出の通知に基づいてコネクション断を認識することを特徴とする請求項2に記載の自動接続復旧ノード。
【請求項4】
IP−SCP(IP-based service control point)として構成される自動接続復旧ノードであって、前記コネクション断認識手段は、該IP−SCPと結ばれたノードであるSGSN(Serving GPRS(General Packet Radio Service) Support Node)によるコネクション断の検出および該検出の通知に基づいてコネクション断を認識することを特徴とする請求項2に記載の自動接続復旧ノード。
【請求項5】
XGSN(serving/gateway GPRS(General Packet Radio Service)Support Node)として構成される自動接続復旧ノードであって、前記コネクション断認識手段は、該XGSNに含まれているコネクション断検出部による検出に基づいてコネクション断を認識することを特徴とする請求項2に記載の自動接続復旧ノード。
【請求項6】
SGSN(Serving GPRS(General Packet Radio Service) Support Node)として構成される自動接続復旧ノードであって、前記コネクション断認識手段は、該SGSNの上位ノードとしてのGGSN(Gateway GPRS(General Packet Radio Service) Support Node )における当該コネクションの切断を検出するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の自動接続復旧ノード。
【請求項7】
呼の設定および解除を制御するために上位ノードと移動機間の信号伝送路の接続および切断を切り換えるコネクションのうち所定期間常態で接続が維持されるべき接続維持コネクションに関し当該所定期間内に常態が破れ切断が発生したことを検出し、当該コネクションの切断を検出したときには、該当する移動機に復旧動作を促す呼出を発するように制御することを特徴とする移動通信システムの接続復旧方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−152854(P2009−152854A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328782(P2007−328782)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】