説明

移動通信端末

【課題】MICHのチェック性能を損なうことなく、MBMS待受時の起き上がり時間を短縮して消費電力の低減を図る。
【解決手段】Modification Period内の4つのDRX受信期間に対し、先頭のDRX受信期間から順にMICHの受信チェックを行い、着信は検出されないものの、このときの受信品質Ec/Ioがしきい値であるSintraを超えていると判定された場合には、上記MICHの受信チェック結果は信頼性が高いと判断して、Modification Period内のそれ以降のDRX受信期間をスリープ状態に設定するようにしている。一方、受信品質Ec/IoがSintraを超えない場合には、MICHの受信チェック結果は信頼性が低いと判断し、Ec/IoがSintraを超えるまで以降のDRX受信期間においてもMICHの受信チェックを繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マルチメディア放送による情報配信サービスを受けるための機能を備える移動通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等の移動通信端末向けに、マルチメディア放送によって種々の情報を同報配信するサービスを提供するシステムが提案されている。この種のサービスの一つに、MBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service)と呼ばれるものがあり、現在規格化作業が進められている。
【0003】
MBMSは、サービス内容が更新された場合に、ネットワークがMBMS Indicator Channel)を用いて移動通信端末に通知する。MICHは、図8に示すようにModification Period と呼ばれる期間が周期的に設定され、各Modification Period にはDRXと呼ばれる複数のReception Periodが設定される。各DRXでは、Radio frameが送信される。1つのRadio frameは10msec長で300ビットにより構成され、この300ビットのうち288ビット(b0 〜b287)がnotification indication用のビットとして使用される。そのフレームフォーマットは、ネットワークから通知される制御データに従い決まり、この結果各ユーザに割り当てられるビット数が決まる。そして、この割り当てられたビットを使用して、ネットワークからユーザ端末に対しサービス内容の更新の有無を表す情報が通知される。図8では、3個のサービスについて更新の有無を通知する場合を例示している。
【0004】
Modification Period 内のMICHにおいて着信が発生すると、端末は次のModification Period 内のSCCPCH、FACH上における新しいMBMS制御チャネル(MCCH)の内容を確認することで、サービス内容がどのように変更になっているかを知ることができる(例えば、非特許文献1又は非特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TS 25.346 V6.7.0 (2005-12) Technical Specification 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Introduction of the Multimedia Broadcast Multicast Service (MBMS) in the Radio Access Network (RAN); Stage 2 (Release 6)
【非特許文献2】3GPP TS 25.331 V6.10.0 (2006-06) Technical Specification 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Radio Resource Control (RRC); Protocol Specification (Release 6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、MICHにおけるフレーム内ビット位置は、MBMS Service ID及びTMGIがサービスごとに異なるため、複数のサービスに対して利用登録をしたユーザは、Radio frame内の複数のMICHポジションをチェックしなければならない。このため、ユーザ端末はMBMS待受時の間欠受信動作において、図8に例示したようにRadio frame内のnotification indicationビット(b0 〜b287 )区間のほぼ全域で起き上がらなければならず、このような起き上がり時間の長い受信動作をDRXごとに繰り返す必要がある。この結果、待受時における起き上がり時間長の合計が長くなって、端末の消費電力の増加を招く。これは、電源としてバッテリを使用する移動通信端末にあっては、バッテリ寿命の短命化を招き非常に好ましくない。
【0007】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、MICHのチェック性能を損なうことなく、MBMS待受時の起き上がり時間を短縮して消費電力の低減を図った移動通信端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためにこの発明の一観点は、ネットワーク側から移動通信端末へマルチメディア放送によって複数のサービスに係わる情報を同報配信すると共に、前記ネットワーク側が、前記複数のサービスの内容変更の有無を表す表示チャネル情報を、予め第1の周期に設定された第1の期間内に、前記第1の周期より短い第2の周期で設定される複数の第2の期間を使用して複数回繰り返し送信するシステムで使用される前記移動通信端末にあって、前記表示チャネル情報を送信する無線チャネルの受信品質を検出する手段と、前記受信品質の検出結果に基づいて、前記第1の期間内で前記表示チャネル情報を受信すべき回数を決定する手段と、間欠受信制御手段とを備える。そして、この間欠受信制御手段により、前記表示チャネル情報を受信するために必要な回路ユニットを、前記第1の期間内に設定される複数の第2の期間のうち、前記決定された受信すべき回数に対応する数の期間のみ動作状態に設定し、その他の期間は非動作状態に設定するように制御するようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
したがって、受信品質が劣化した状態では複数の第2の期間のすべてに対し表示チャネル情報の受信チェックが行われるが、受信品質が良好な状態では複数の第2の期間のうち限られた区間においてのみ表示チャネル情報の受信チェックが行われる。このため、受信品質が劣化した状態では複数の第2の期間すべての受信結果を基に表示チャネル情報の受信チェックを行うことができるので、信頼性の高い受信チェックが可能となる。これに対し、受信品質が良好な状態では、限られた数の第2の期間にのみ表示チャネル情報の受信チェックが行われ、他の期間は非動作状態(スリープ状態)となる。このため、常にすべての第2の期間に対し表示チャネル情報の受信チェックを行う場合に比べ、待受時の消費電力を減らしてバッテリ寿命の延長又はバッテリ容量の小型化が可能となる。
【0010】
すなわちこの発明の一観点によれば、表示チャネル情報のチェック性能を損なうことなく、待受時の起き上がり時間を短縮して消費電力の低減を図った移動通信端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の一実施形態に係わる移動通信端末の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した移動通信端末によるMBMS待受制御の手順と内容の前半部分を示すフローチャートである。
【図3】図1に示した移動通信端末によるMBMS待受制御の手順と内容の後半部分を示すフローチャートである。
【図4】図2に示したMBMS待受制御による間欠受信動作を説明するための図で、1回目のDRXから受信品質が良好な場合の起き上がりタイミングを示す図である。
【図5】図2に示したMBMS待受制御による間欠受信動作を説明するための図で、1回目のDRX受信時点では受信品質が劣化していたが、2回目のDRX受信時点で受信品質が良好になった場合の起き上がりタイミングを示す図である。
【図6】図2に示したMBMS待受制御による間欠受信動作を説明するための図で、1回目のDRX受信時点から4回目のDRX受信時点まで受信品質が劣化していた場合の起き上がりタイミングを示す図である。
【図7】1回目のDRX受信時点から4回目のDRX受信時点まで受信品質が劣化していた場合の、4回目のDRX受信時における起き上がり時間を示す図である。
【図8】MBMSにおけるMICHのフレームフォーマットを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
【0013】
図1は、この発明に係わる移動通信端末の一実施形態である携帯電話機の構成を示すブロック図である。
同図において、図示しない移動通信ネットワークの基地局から送信された無線信号は、アンテナ1で受信されたのちアンテナ共用器(DUP)2を介して受信機(RX)3に入力され、この受信機3でダウンコンバートされたのち符号分割多元接続(Code Division Multiple Access;CDMA)信号処理部6によりスペクトラム逆拡散処理が施されて受信ベースバンドデータに変換される。そして、この受信ベースバンドデータは圧縮伸長処理部(以後コンパンダと称する)7に入力される。
【0014】
コンパンダ7では、上記CDMA信号処理部6から出力された受信ベースバンドデータのパケットを多重分離部によりメディア毎に分離し、メディアデータごとに復号処理を行う。例えば受信ベースバンドデータにオーディオデータが含まれていれば、このオーディオデータをスピーチコーデックにより復号する。また受信ベースバンドデータにビデオデータが含まれていれば、このビデオデータをビデオコーデックにより復号する。上記スピーチコーデックの復号処理により得られたディジタルオーディオ信号はPCM符号処理部(以後PCMコーデックと称する)8へ、またビデオコーデックの復号処理により得られたディジタルビデオ信号は制御部20へそれぞれ出力される。さらに、受信ベースバンドデータにメールやアプリケーション等のテキストデータが含まれている場合には、このテキストデータは制御部20に入力される。
【0015】
コンパンダ7から出力されたディジタルオーディオ信号は、PCMコーデック8でアナログオーディオ信号に変換されたのち、受話増幅器9で増幅されてスピーカ11から音として出力される。一方、コンパンダ7から出力されたディジタルビデオ信号は、制御部20の制御の下で表示部15に表示される。また、メールやアプリケーション等のテキストデータは記憶部16に保存される。そして、入力部14におけるユーザの表示操作に応じて記憶部16から読み出されて表示部15に表示される。なお、上記オーディオデータ及びビデオデータについても、必要に応じて記憶部16に記憶される。
【0016】
一方、マイクロホン12に入力されたユーザの音声信号は、送話増幅器13により符号化する上で適切なレベルに増幅されたのち、PCMコーデック8によりディジタルオーディオ信号に変換され、コンパンダ7に入力される。また、制御部20において作成されたメール等のテキストデータや、写真又は動画像等のディジタルビデオ信号もコンパンダ7に入力される。コンパンダ7では、上記入力されたディジタルオーディオ信号、ディジタルビデオ信号及びテキストデータがそれぞれ符号化されたのち所定のパケットフォーマットに従い多重化される。そして、この多重化された送信パケットデータは、CDMA信号処理部6でスペクトラム拡散処理を施され、送信機(TX)5により変調処理と無線周波帯域へのアップコンバートが行われたのち、アンテナ共用器2を介してアンテナ1から基地局へ向け送信される。
なお、周波数シンセサイザ(SYN)4は、制御部20から出力される無線チャネル制御信号SYCに従い、受信機3及び送信機5に対しそれぞれ受信及び送信のための局部発振信号を供給する。
【0017】
入力部14には、ダイヤルキーに加え、カーソルキー、送信キー、終了キー、電源キー、音量調節キー、モード指定キー等の機能キーが設けられている。また表示部15には、LCD及びLEDが設けられている。LCDには、先に述べた送受信データに加え、端末の動作モードを表すピクトデータ等も表示される。また、電話帳データや送受信履歴等も表示される。またLEDは、着信の報知やバッテリ16の充電状態を表示するために使用される。
【0018】
電源回路18は、バッテリ17の出力電力をもとに、端末の動作に必要な3系統の動作電源電圧Vcc0,Vcc1,Vcc2を生成する。そして、このうちの動作電源電圧Vcc0を制御部20に常時供給する。また電源回路18は、制御部20から出力される電源供給制御信号VSCに従い、電源電圧Vcc1を無線ユニット10及びCDMA信号処理部6に、動作電源電圧Vcc2をその他の回路部にそれぞれ供給する。なお、無線ユニット10には、先に述べたアンテナ1、アンテナ共用器2、受信機3、周波数シンセサイザ4及び送信機5が含まれる。
【0019】
ところで、制御部20は例えばマイクロコンピュータを主制御部として備えたもので、この発明を実現する上で必要な特徴的な制御機能として、MBMS待受制御機能21を新たに有している。なお、このMBMS待受制御機能21は他の既存の制御機能と共に、いずれもアプリケーション・プログラムを上記マイクロコンピュータに実行させることにより実現される。
【0020】
MBMS待受制御機能21は、MBMSシステムに対する利用登録がなされた状態で、その待受時に間欠受信制御によるMICHの受信チェックを行うもので、図8に示したようにModification Period の期間内を分割したDRXと呼ばれる複数のReception Period(図8では4個のDRXの場合を例示)に対し、そのときの受信品質を考慮して選択的に間欠受信制御を行う。
【0021】
次に、以上のように構成された移動通信端末によるMBMS待受動作を、制御部20のMBMS待受制御機能21による制御手順に従い説明する。図2及び図3はその制御手順と制御内容を示すフローチャートである。
制御部20は、先ずステップS21においてMBMS待受時の間欠受信制御に必要なパラメータを初期設定する処理を行う。この初期設定処理では、ネットワーク側が送信するBCCHからMBMSのDRX周期を表す情報を取得すると共に、同じくネットワーク側が送信するMCCHからModification Periodの周期を表す情報を取得する。そして、先ずこの取得したDRX周期とModification Period周期とを比較し、Modification Periodの周期の方がDRX周期より長いかどうかを判定する。これは、Modification Periodの周期の方がDRX周期より長い場合に限り、本発明による間欠受信制御が可能となるからである。上記比較の結果、Modification Periodの周期の方がDRX周期より長いことが確認されると、制御部20は続いて、Modification Periodの期間内でMICHの受信チェックを最大何回行えばよいかを決定する。
【0022】
例えば、Modification period=10.24sec、DRX=2.56secの場合には、図8に例示したようにMICHは4回繰り返し送信されるので、この場合は4回となる。また、Modification period=5.12sec、DRX=2.56secの場合には、MICHは2回繰り返し送信されるので、この場合は2回となる。
【0023】
また、制御部20は、受信品質の良否を判定するためのしきい値としてSintraを取得する。Sitnraは、移動通信端末の受信状態が良好であることを表すパラメータであり、ネットワーク側からBCCHにより通知される。この取得したSintraは、上記決定された受信チェックの回数を表す情報と共に、制御部20内のメモリに保存される。
【0024】
上記初期設定のための処理が終了すると制御部20は、無線受信系を非動作状態(スリープ状態)に設定するための電源供給制御信号VSCを電源回路18に与える。このため、電源回路18から無線ユニット10及びCDMA信号処理部6への動作電圧Vcc1の供給は停止され、無線ユニット10及びCDMA信号処理部6はスリープ状態となる。
【0025】
この状態で制御部20は、ステップS22によりModification period内において、先頭のDRX内のRadio frame受信開始タイミングを監視する。なお、DRX内におけるRadio frameの受信期間は、規格に基づいて予め定められている。そして、上記先頭のDRX内のRadio frame受信開始タイミングになると、ステップS23により無線受信系を動作状態(ウエークアップ状態)にするための電源供給制御信号VSCを電源回路18に与える。この結果、電源回路18から無線ユニット10及びCDMA信号処理部6へ動作電圧Vcc1が供給され、無線ユニット10及びCDMA信号処理部6はウエークアップ状態となる。
【0026】
無線ユニット10及びCDMA信号処理部6はウエークアップ状態になると、上記Radio frameのnotification indication用ビットb0 〜b287 が受信され、このnotification indication用ビットb0 〜b287 に挿入されている、各サービスの内容更新の有無を表す情報が受信再生される。制御部20は、ステップS24により上記CDMA信号処理部6から各サービスの内容更新の有無を表す情報、つまりMICHの受信結果を取得する。また、このときCDMA信号処理部6ではこのMICH受信時における受信品質(例えばEc/Io)が検出され、制御部20はステップS25により上記CDMA信号処理部6から上記受信品質の検出結果であるEc/Ioを取得する。
【0027】
上記先頭のDRX受信期間において、MICHの受信結果と受信品質の検出結果Ec/Ioを取得すると、制御部20はステップS26においてMICHの受信結果をもとに着信があったか否か、つまりPaging Indicator Nq =1だったか否かをサービスごとに判定する。この判定の結果、Nq =1であれば当該サービスに内容変更があると判断し、ステップS27に移行して、次のModification Periodの受信開始タイミングまで無線ユニット10及びCDMA信号処理部6をスリープ状態に設定する。なお、この場合も、制御部20から電源回路18に対しスリープ制御用の電源供給制御信号VSCを与えることにより、無線ユニット10及びCDMA信号処理部6はスリープ状態に設定される。
【0028】
そして、次のModification Period の受信開始タイミングになると、制御部20から電源回路18に対しウエークアップ制御用の電源供給制御信号VSCを与えられ、これにより無線ユニット10及びCDMA信号処理部6は再びウエークアップする。この結果、CDMA信号処理部6では、当該Modification Period 内のSCCPCH、FACH上における新しいMBMS制御チャネル(MCCH)が受信され、制御部20はその受信内容を確認することにより、サービス内容がどのように変更になっているかを知ることが可能となる。
【0029】
一方、上記ステップS26による判定の結果Nq =0だったとする。この場合制御部20は、ステップS28において受信品質の検出結果Ec/Ioをしきい値であるSintraと比較する。そして、この比較の結果、Ec/Io>Sintraであれば、受信品質は良好なため上記MICHの受信結果の信頼性は高いと判断し、ステップS29に移行して電源回路18に対しスリープ制御用の電源供給制御信号VSCを与えることにより、無線ユニット10及びCDMA信号処理部6をスリープ状態に設定する。このとき、スリープ時間はModification Period/DRX−1回分の時間長に設定する。したがって、無線ユニット10及びCDMA信号処理部6は、図4に示すようにModification Period内の2番目以降のすべてのDRX受信期間をスリープすることになり、その分無線ユニット10及びCDMA信号処理部6による消費電力は低減される。
【0030】
ただし、4番目のDRX受信期間では、制御部20は図7に示すようにPICHの受信期間のみ無線ユニット10及びCDMA信号処理部6をウエークアップ状態に設定し、PICHを受信してその内容を確認する。このPICHの受信確認に必要な時間は、複数のサービスのMICHを受信確認するためにRadio frameのほぼ全期間に渡って受信動作を行う場合に比べ短いため、これによる消費電力の増加は少ない。
【0031】
これに対し、上記ステップS28による受信品質の判定の結果、Ec/Io≦Sintraだったとする。この場合制御部20は、受信品質は良好ではないため上記MICHの受信結果の信頼性は低いと判断し、2番目のDRX受信期間でもMICHの受信チェックを継続するために、ステップS30に移行してDRXの繰り返し受信回数COをカウントアップしたのち、ステップS31により次のDRX内の受信タイミングまで無線ユニット10及びCDMA信号処理部6をスリープ状態に設定する。
【0032】
上記スリープ期間中に制御部20は、ステップS33において2番目のDRX受信期間内の受信開始タイミングを監視し、当該受信タイミングになるとステップS34により無線受信系を動作状態(ウエークアップ状態)にするための電源供給制御信号VSCを電源回路18に与える。この結果、電源回路18から無線ユニット10及びCDMA信号処理部6へ動作電圧Vcc1 が供給され、無線ユニット10及びCDMA信号処理部6はウエークアップ状態となる。
【0033】
上記無線ユニット10及びCDMA信号処理部6がウエークアップ状態になり、上記2番目のDRX受信期間内においてMICHが受信されると、制御部20はステップS35によりCDMA信号処理部6からMICHの受信結果を取得する。また、同時にステップS36により、このときの受信品質の検出結果Ec/Ioを取得する。
【0034】
上記2番目のDRX受信期間において、MICHの受信結果と受信品質の検出結果Ec/Ioを取得すると、制御部20はステップS37においてMICHの受信結果をもとに着信があったか否か、つまりPaging Indicator Nq =1だったか否かをサービスごとに判定する。この判定の結果、Nq =1であれば当該サービスに内容変更があると判断し、ステップS38に移行して、次のModification Periodの受信開始タイミングまで無線ユニット10及びCDMA信号処理部6をスリープ状態に設定する。
【0035】
一方、上記ステップS37による判定の結果Nq =0だったとする。この場合制御部20は、ステップS39において受信品質の検出結果Ec/IoをSintraと比較する。そして、この比較の結果、Ec/Io>Sintraであれば、受信品質は良好な状態に回復し、これにより上記MICHの受信結果の信頼性は高まったと判断する。そして、ステップS40に移行して、電源回路18に対しスリープ制御用の電源供給制御信号VSCを与えることにより無線ユニット10及びCDMA信号処理部6をスリープ状態に設定する。このとき、DRX繰り返し受信回数COのカウント値はCO=1となっているため、スリープ時間はModification Period/DRX−2回分の時間長に設定する。したがって、無線ユニット10及びCDMA信号処理部6は、図5に示すようにModification Period内の3番目以降のすべてのDRX受信期間をスリープすることになり、その分無線ユニット10及びCDMA信号処理部6による消費電力は低減される。
【0036】
なお、4番目のDRX受信期間において、PICHの受信期間のみ無線ユニット10及びCDMA信号処理部6を一時的にウエークアップ状態に設定してPICHを受信する点は、この場合も同じである。
【0037】
これに対し、上記ステップS39による受信品質の判定の結果、Ec/Io≦Sintraだったとする。この場合制御部20は、受信品質は良好ではないため上記MICHの受信結果の信頼性は低いと判断する。そして、ステップS41に移行してDRXの繰り返し受信回数COをCO=2にカウントアップし、このカウントアップ後のDRXの繰り返し受信回数COの値を、ステップS21において初期設定したDRXの数(本実施形態では4)とステップS42により比較する。
【0038】
この比較の結果、カウントアップ後のDRXの繰り返し受信回数COの値がDRXの数=4に達していなければ、未チェックのDRX受信期間が残っていると判断し、3番目のDRX受信期間でもMICHの受信チェックを継続するために、ステップS43により次のDRX内の受信開始タイミングまで無線ユニット10及びCDMA信号処理部6をスリープ状態に設定する。
【0039】
以後同様に、カウントアップ後のDRXの繰り返し受信回数COの値がDRXの数=4に達するまで、制御部20は3番目のDRX受信期間に対し、さらには4番目のDRX受信期間に対して、上記ステップS33〜ステップS43による制御を繰り返し実行する。したがって、Modification Periodの全期間に渡り受信品質が劣化していた場合には、図6に示すように先頭のDRXから4番目のDRXまでのすべてDRX受信期間においてそれぞれMICHの受信チェックが行われる。
【0040】
上記カウントアップ後のDRXの繰り返し受信回数COの値がDRXの数=4に達すると、制御部20は当該Modification Periodに対するMICHの受信チェックを終了する。そして、次のModification Period内における先頭のDRXの受信開始タイミングまで無線ユニット10及びCDMA信号処理部6をスリープ状態に設定し、ステップS22に戻る。
【0041】
以上述べたようにこの実施形態では、Modification Period内の4つのDRX受信期間に対し、先頭のDRX受信期間から順にMICHの受信チェックを行い、着信は検出されないものの、このときの受信品質Ec/Ioがしきい値であるSintraを超えていると判定された場合には、上記MICHの受信チェック結果は信頼性が高いと判断して、Modification Period内のそれ以降のDRX受信期間をスリープ状態に設定するようにしている。一方、受信品質Ec/IoがSintraを超えない場合には、MICHの受信チェック結果は信頼性が低いと判断し、Ec/IoがSintraを超えるまで以降のDRX受信期間においてもMICHの受信チェックを繰り返すようにしている。
【0042】
したがって、受信品質が良好な状況下においては、無線ユニット10及びCDMA信号処理部6によるMBMS待受時の消費電力を低減することができ、これによりバッテリ17の寿命を延長することができる。また、受信品質が低下した状況下においては、複数のDRX受信期間において得られるMICHの受信チェック結果の合成値をもとにMICH受信結果を判定することができるので、より信頼性の高いMICHの受信チェックを行うことが可能となる。
【0043】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態ではDRX受信期間ごとに、そのときの受信品質をもとに次のDRX受信期間においてMICHの受信チェックを行うか否かを判定するようにした。しかし、それに限らず、予め無線チャネルの受信品質を計測し、その結果に基づいて複数のDRX受信期間のうちのいくつを受信対象とするかを予め決定し、この決定された数のDRX受信期間においてMICHの受信チェックを行うようにしてもよい。
【0044】
その他、移動通信端末の種類やその構成、MBMS待受制御の手順と内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…アンテナ、2アンテナ共用器(DUP)、3…受信機(RX)、4…周波数シンセサイザ(SYN)、5…送信機(TX)、6…CDMA信号処理部、7…圧縮伸張処理部、8…PCM符号処理部、9…受話増幅器、11…スピーカ、12…マイク、13…送話増幅器、14…入力部、15…表示部、16…記憶部、17…バッテリ、18…電源回路、20…制御部、21…MBMS待受制御プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク側から移動通信端末へマルチメディア放送によって複数のサービスに係わる情報を同報配信すると共に、前記ネットワーク側が、前記複数のサービスの内容変更の有無を表す表示チャネル情報を、予め第1の周期に設定された第1の期間内に、前記第1の周期より短い第2の周期で設定される複数の第2の期間を使用して複数回繰り返し送信するシステムで使用される前記移動通信端末であって、
前記表示チャネル情報を送信する無線チャネルの受信品質を検出する手段と、
前記受信品質の検出結果に基づいて、前記第1の期間内で前記表示チャネル情報を受信すべき回数を決定する手段と、
前記表示チャネル情報を受信するために必要な回路ユニットを、前記第1の期間内に設定される複数の第2の期間のうち、前記決定された受信すべき回数に対応する数の期間のみ動作状態に設定し、その他の期間は非動作状態に設定するように制御する間欠受信制御手段と
を具備することを特徴とする移動通信端末。
【請求項2】
前記間欠受信制御手段は、前記第1の期間内に設定される複数の第2の期間に対し、先頭の期間から順に前記回路ユニットを動作状態に設定し、これらの期間のいずれかで受信品質が予め設定したしきい値を超えたことが検出されると、それ以降のすべての第2の期間では前記回路ユニットを非動作状態に設定するように制御することを特徴とする請求項1記載の移動通信端末。
【請求項3】
受信品質が予め設定したしきい値を超えない状態が前記複数の第2の期間に渡り続いた場合には、これら複数の第2の期間において受信された表示チャネル情報を合成し、この合成された表示チャネル情報に基づいて表示チャネル情報の内容を判定する手段を、さらに具備することを特徴とする請求項1又は2記載の移動通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−166230(P2010−166230A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5844(P2009−5844)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】