説明

積層体、積層体の製造方法、バリア性フィルム基板、デバイスおよび光学部材

【課題】帯電量が低くてバリア性が高い積層体を提供すること。
【解決手段】有機層の上に無機層を積層した構造を含む積層体であって、前記有機層が帯電防止剤を含みかつ前記有機層の表面粗さが2nm以下であることを特徴とする積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機無機積層型の積層体に関し、詳しくは帯電量が低くてバリア性が高い積層体とその製造方法に関する。さらに本発明は、この積層体を含むバリア性フィルム基板、および、前記バリア性フィルム基板を用いたデバイスおよび光学部材にも関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示素子や有機EL素子(有機電界発光素子)等の分野においては、重くて割れやすいガラス基板に代わって、プラスチックフィルム基板が採用され始めている。例えば、プラスチックフィルム上に酸化珪素を蒸着したもの(例えば、特許文献1参照)や、プラスチックフィルム上に酸化アルミニウムを蒸着したもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。プラスチックフィルム基板はロールトゥロール(Roll to Roll)方式に適用可能であることから、コストの点でも有利である。しかし、プラスチックフィルム基板はガラス基板と比較して水蒸気バリア性に劣るという問題がある。このため、プラスチックフィルム基板を液晶表示素子に用いると、水蒸気が液晶セル内に侵入し、表示欠陥が発生しやすい。
【0003】
この問題を解決するために、プラスチックフィルム上に有機層と無機層の積層体を形成したバリア性フィルム基板が開発されている。このような有機無機積層型のバリア性フィルム基板として、水蒸気透過率が0.1g/m2/day未満を実現するもの(例えば、特許文献3および4参照)や、さらに低い水蒸気透過率を実現するもの(例えば、特許文献5参照)が提案されている。実用上利用可能なさらなるハイバリア性フィルム基板を実現するには、有機層と無機層の密着性がよく物理的な強度を有することに加え、欠陥の無い無機層を成膜することが必要とされている。ここで、無機層成膜ライン中では有機層が金属ローラと接触して静電気が発生し、ゴミが有機層上に付着してしまう。その状態で無機層が成膜されると無機層に欠陥を生じてしまうこととなる。この問題に対処するために、有機層の表面の帯電量を低下させる構成として有機層中にフッ素系界面活性剤である帯電防止剤を添加する構成が提案されているが(特許文献6参照)、有機層と無機層の密着性を向上させる点については考慮されてこなかった。
【0004】
これに対し、有機層と無機層の密着性を向上させるために有機層を平滑化させたバリア性フィルムが提案されており、その際、有機層の表面の帯電量を低下させるために発生した静電気を導電層に逃がす構成が提案されている(特許文献7参照)。しかしながら、有機層の表面を平滑化することによって無機層成膜ライン中で有機層が金属ローラと接触して発生する静電気量が大幅に増大するという新たな問題が発生している。このため、有機層の表面粗さが7nm以下と不十分であるにも関わらず、大幅に増大した静電気を十分に逃がすことはできず、大きなゴミの付着は防止できる程度であった。そのため、このバリア性フィルムの水蒸気透過率は0.02g/m2/dayより大きく、ハイバリアの実現には至っていなかった。さらに、増大した静電気を逃すためには導電性材料を多量に加える必要があり、その効果によって水蒸気透過率が悪くなるため、従来の構成では有機層の平滑化と高いバリア性は両立できなかった。
【特許文献1】特公昭53−12953号公報(第1頁〜第3頁)
【特許文献2】特開昭58−217344号公報(第1頁〜第4頁)
【特許文献3】特開2003−335880号公報
【特許文献4】特開2003−335820号公報
【特許文献5】特開2005−7741号公報
【特許文献6】特開2006−88538号公報
【特許文献7】特開2005−7741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、静電気の発生を抑えて高いバリア性を達成した積層体とバリア性フィルム基板を提供することを本発明の第一の目的として検討を進めた。また、本発明者らは、これらの積層体やバリア製フィルム基板を用いて、耐久性が高いデバイスや光学部材を提供することを第二の目的として検討を進めた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、有機層の表面粗さを0.2nm以下とし、かつ、有機層中にフッ素系界面活性剤を添加することにより従来技術の課題を解決しうることを見出した。すなわち、課題を解決する手段として、以下の本発明を提供するに至った。
[1] 有機層の上に無機層を積層した構造を含む積層体であって、前記有機層が帯電防止剤を含みかつ前記有機層の表面粗さが2nm以下であることを特徴とする積層体。
[2] 前記帯電防止剤がフッ素系界面活性剤であることを特徴とする[1]に記載の積層体。
[3] 相対湿度20%での帯電量が2nC/cm2以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載のバリア性フィルム基板。
[4] 前記無機層の厚さが5〜300nmである[1]〜[3]のいずれか一項に記載の積層体。
[5] 水蒸気透過性が0.01g/m・day以下である[1]〜[4]のいずれか一項に記載の積層体。
[6] 導電層を有することを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の積層体。
[7] 前記導電層中に、導電性物質として、イオン導電性物質、半導体微粒子および導体微粒子からなる群より選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする[6]に記載の積層体。
[8] 有機層の上に無機層を積層した構造を含む積層体の製造方法であって、帯電防止剤を含む有機層塗布液の塗布工程と、塗布された有機層を硬化させて表面粗さが2nm以下の有機層を得る硬化工程と、硬化させた有機層の上に無機層を形成する工程とを含むことを特徴とする積層体の製造方法。
[9] 前記塗布工程終了から5時間経過する前に、前記硬化工程を行うことを特徴とする[8]に記載の積層体の製造方法。
[10] 前記塗布工程の直後に、前記硬化を行うことを特徴とする[8]または[9]に記載の積層体の製造方法。
[11] 前記塗布工程と硬化工程を、クリーン度がクラス10000以下である環境下で行うことを特徴とする[8]〜[10]のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
[12] [8]〜[11]のいずれか一項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする積層体。
[13] 基材フィルム上に[1]〜[7]または[12]のいずれか一項に記載の積層体を有するバリア性フィルム基板。
[14] 基材フィルム上に一方の面に有機層の上に無機層を積層した構造を含む積層体が積層され、もう一方の面に導電層が積層されていることを特徴とする[13]に記載のバリア性フィルム基板。
[15] 基材フィルム上に有機層と無機層を順次積層した構造を含むバリア性フィルム基板の製造方法であって、基材フィルム上に[1]〜[7]または[12]のいずれか一項に記載の積層体を積層したバリア性フィルム基板の製造方法。
[16] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の積層体または[13]もしくは[14]に記載のバリア性フィルム基板を用いたデバイス。
[17] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の積層体または[13]もしくは[14]に記載のバリア性フィルム基板を封止フィルムとして用いたデバイス。
[18] 前記デバイスが有機EL素子である[16]または[17]に記載のデバイス。
[19] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の積層体または[13]もしくは[14]に記載のバリア性フィルム基板を封止フィルムとして用いた光学部材。
【発明の効果】
【0007】
本発明の積層体やバリア性フィルムは、帯電量が低くてバリア性が高いという特徴を有する。また、本発明の製造方法によれば、このような特徴を有する積層体を簡便な方法で製造することができる。さらに、本発明のデバイスや光学部材は十分な耐久性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下において、本発明の積層体、積層体の製造方法、バリア性フィルム、デバイスおよび光学部材等について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0009】
<積層体とその製造方法>
[基本構成と特徴]
本発明の積層体は、有機層の上に無機層を積層した構造を含む積層体である。本発明の積層体は有機層中に帯電防止剤を含み、かつ有機層の表面粗さが2nm以下であることを特徴とするものである。
【0010】
[有機層]
有機層は、通常、ポリマーからなる層である。具体的には、ポリエステル、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂の層である。
【0011】
本発明の有機層は、重合することによりポリマーを形成するポリマー前駆体(例えば、モノマー)を塗布することにより形成することが好ましい。本発明に用いることができる好ましいモノマーとしては、アクリレートおよびメタクリレートが挙げられる。アクリレートおよびメタクリレートの好ましい例としては、例えば、米国特許第6,083,628号明細書および米国特許第6,214,422号明細書に記載の化合物が挙げられる。
以下に本発明に好ましく用いられるアクリレート、メタクリレートの具体例を示すが、本発明で用いることができるモノマーはこれらに限定されない。
【0012】
【化1】

【0013】
【化2】

【0014】
【化3】

【0015】
【化4】

【0016】
【化5】

【0017】
有機層の形成方法としては、通常の溶液塗布法を挙げることができる。溶液塗布法としては、例えばディップコ−ト法、エアーナイフコ−ト法、カーテンコ−ト法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法、或いは、米国特許第2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法により塗布することができる。
【0018】
モノマー重合法としては特に限定は無いが、加熱重合、光(紫外線、可視光線)重合、電子ビーム重合、プラズマ重合、あるいはこれらの組み合わせが好ましく用いられる。これらのうち、光重合が特に好ましい。光重合を行う場合は、光重合開始剤を併用する。光重合開始剤の例としてはチバ・スペシャルティー・ケミカルズ社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えばイルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えばダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、サートマー(Sartomer)社から市販されているエザキュア(Esacure)シリーズ(例えばエザキュアTZM、エザキュアTZT)、同じくオリゴマー型のエザキュアKIPシリーズ等が挙げられる。
【0019】
照射する光は、通常、高圧水銀灯もしくは低圧水銀灯による紫外線である。照射エネルギーは0.5J/cm2以上が好ましく、2J/cm2以上がより好ましい。アクリレート、メタクリレートは、空気中の酸素によって重合阻害を受けるため、重合時の酸素濃度もしくは酸素分圧を低くすることが好ましい。このような方法としては不活性ガス置換法(窒素置換法、アルゴン置換法など)、減圧法が挙げられる。このうち、減圧硬化法はモノマー中の溶存酸素濃度を低下させる効果を有するため、より好ましい。
窒素置換法によって重合時の酸素濃度を低下させる場合、酸素濃度は2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。減圧法により重合時の酸素分圧を低下させる場合、全圧が1000Pa以下であることが好ましく、100Pa以下であることがより好ましい。また、100Pa以下の減圧条件下で2J/cm2以上のエネルギーを照射して紫外線重合を行うのが特に好ましい。フラッシュ蒸着法で形成したモノマー皮膜を、減圧条件下、2J/cm2以上のエネルギーを照射して紫外線重合を行うのが最も好ましい。このような方法を取ることで、重合率を高めることができ、硬度の高い有機層を得ることができる。モノマーの重合は、モノマー混合物を塗布または蒸着等により目的の場所に配置した後に行うことが好ましい。また、有機層のモノマーの重合を行う際には、有機カップリング剤に存在する重合性基(例えばエチレン性二重結合)も一緒に重合させることが好ましい。
【0020】
本発明では、有機層用塗布液の塗布終了から5時間が経過する前に硬化を行うことが好ましく、
60分以内に硬化を行うことがより好ましく、塗布した直後に硬化を行うことが好ましい。ここでいう直後とは、有機層の塗布工程に続けて直ちに重合を開始する工程を行うことを意味する。すなわち、塗布した有機層の表面に何かを接触させる操作を行うことなく、有機層を硬化することをいう。このように塗布終了からあまり時間をおかずに硬化を行うことにより、有機層の表面粗さを2nm以下にすることができる。
【0021】
モノマーの重合率は85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、92%以上であることが特に好ましい。ここでいう重合率とはモノマー混合物中の全ての重合性基(アクリロイル基およびメタクリロイル基)のうち、反応した重合性基の比率を意味する。重合率は赤外線吸収法によって定量することができる。
【0022】
有機層の膜厚については特に限定はないが、50nm〜2000nmが好ましく、200nm〜1500nmがより好ましい。50nm以上であれば欠陥数は少なくなりバリア性は向上する傾向があり好ましく、1500nm以下であれば外力によりクラックが発生せずバリア性は低下しないため好ましい。
【0023】
本発明の有機層は表面粗さが2nm以下である。表面粗さは、10μm角の平均粗さ(Ra値)である。有機層の表面粗さは1nm以下であることが好ましく、0.5nm以下であることがより好ましい。有機層の表面にはパーティクル等の異物や突起が無いことが要求される。このため、有機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。このように平滑な有機層を用いることにより、有機層と無機層の密着性がよくなり、水蒸気透過性が向上するとともに、物理的強度も向上して無機層に欠陥が生じにくくなる。
【0024】
有機層は2層以上積層してもよい。この場合、各層が同じ組成であっても異なる組成であってもよい。また、2層以上積層する場合は、各々の有機層が上記の好ましい範囲内にあるように設計することが望ましい。また、本発明の積層体には、米国公開特許2004−46497号明細書に開示されるような無機層との界面が明確で無く、組成が膜厚方向で連続的に変化する層が存在していてもよい。
【0025】
(帯電防止剤)
本発明の有機層には、帯電防止剤が含まれる。
従来は、発生した静電気を導電層により軽減させることを目的として導電層を設置していた。しかしながら、このような導電層を設置しても、表面粗さが2nm以下であるきわめて平滑な有機層を用いた際に発生する大きな静電気を抑えることはできない。本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、発生する静電気量を抑えるために有機層表面の帯電列を調整することにより、有機層表面の帯電を顕著に抑えうることが判明した。
【0026】
本発明の有機層には、公知の帯電防止剤を用いることができるが、帯電防止剤の中でも帯電列調節剤を好ましく用いることができる。
本発明においては、帯電列調整剤としてフッ素系界面活性剤が有効である。その組成は特に限定されないが、以下に記述するフッ素系界面活性剤が推奨される。なお、本発明の効果を達成する点においては関係ないが、安全性の面からパーフルオロアルキルスルフォン酸誘導体は好ましくない。
【0027】
本発明の帯電列調整剤としては、特開2002−255921号、特開2003−114504、 特開2003−140288号、特開2003−149759号、特開2003−195454号、特開2004−240187号の各公報に記載のフッ素系界面活性剤が好ましい。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性(ベタイン性)のいずれであってもよく、特に限定されない。
具体的な化合物としては、特開2002−255921号公報記載のFS−1〜FS−29のアニオン性フッ素系界面活性剤、特開2003−114504号公報に記載のFS−1〜FS−71のカチオン性および両性フッ素系界面活性剤、特開2003−140288号公報に記載のFS−1〜FS−38のアニオン性フッ素系界面活性剤、特開2003−149759号公報に記載のFS−1〜FS−39のカチオン性フッ素系界面活性剤、特開2003−195454号公報のFS−1〜FS−32のアニオン性、カチオン性およびノニオン性フッ素系界面活性剤を挙げることができる。
【0028】
[無機層]
無機層は、通常、金属化合物からなる薄膜の層である。無機層の形成方法は、目的の薄膜を形成できる方法であればいかなる方法でも用いることができる。例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD)、種々の化学的気相成長法(CVD)、めっきやゾルゲル法等の液相成長法がある。この中では、無機層形成時の基材フィルム等への熱の影響を回避することができ、生産速度が速く、均一な薄膜層を得やすい点で、物理的気相成長法(PVD)や化学的気相成長法(CVD)を用いることが好ましい。
【0029】
本発明の積層体の無機層を形成する方法において、有機層を硬化により形成させる場合には、有機層を硬化させた直後に、その硬化させた有機層の上に無機層を形成することが好ましい。ここでいう直後とは、有機層の硬化工程に続けて直ちに無機層を形成する工程を行うことを意味する。すなわち、硬化させた有機層の表面に何かを接触させる操作を行うことなく、有機層の表面に無機層を形成することが好ましい。
【0030】
無機層に含まれる成分は、上記性能を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、またはTa等から選ばれる1種以上の金属を含む酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物などを用いることができる。これらの中でも、Si、Al、In、Sn、Zn、Tiから選ばれる金属の酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物が好ましく、特にSiまたはAlの金属酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物が好ましい。これらは、副次的な成分として他の元素を含有してもよい。
【0031】
本発明により形成される無機層の平滑性は、10μm角の平均粗さ(Ra値)として2nm未満であることが好ましく、1nm以下がより好ましい。このため、無機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
【0032】
無機層の厚みに関しては特に限定されないが、1層に付き、通常、5〜300nmの範囲内である。無機層の厚みは、好ましくは20〜200nmであり、より好ましくは30〜90nmである。
本発明では、無機層の上に有機層を形成した後、さらに有機層の上に無機層を形成してもよい。また、さらに有機層と無機層の交互積層を繰り返して、複数の無機層を形成してもよい。これらの場合、各無機層は同じ組成であっても異なる組成であってもよい。また、2層以上の無機層を形成する場合は、各無機層の上に有機層を形成する際に、本発明の製造方法を適用することができる。なお、本発明の積層体には、米国公開特許2004−46497号明細書に開示されるような有機層との界面が明確で無く、組成が膜厚方向で連続的に変化する層が存在していてもよい。
【0033】
[導電層]
本発明の積層体には、導電層を設けることができる。
導電層は、帯電した樹脂フィルムから電荷を逃がす機能を付与するために効果的に用いることができる。具体的には、導電性を示す物質を含有する層を設けることによって導電性を確保することができる。
【0034】
(導電性物質)
ここで導電性物質とは、電気導電性を示す物質であり、電気を運ぶ担体であるイオンを含有するイオン導電性物質やイオン性高分子化合物などが例として挙げられる。また他の導電性物質としては、金属(導体)微粒子や半導体微粒子も挙げることができる。半導体微粒子としては金属酸化物が特に好ましい。金属酸化物は金属が単一であっても複合酸化物でもよい。
【0035】
上記の導電性物質のうち、微粒子状のイオン導電性物質が好ましい。
本発明の導電層に用いられる微粒子状のイオン導電性物質として、金属酸化物やこれらの複合酸化物からなる導電性微粒子および特開平9−203810号公報に記載されているようなアイオネン導電性ポリマー或いは分子間架橋を有する第4級アンモニウムカチオン導電性ポリマー粒子などが好ましい。
微粒子として好ましい粒子サイズはそれぞれの微粒子の種類に依存するが、例えば5nm〜10μm、すなわち5nm〜10000nmの範囲である。
以下、導電性物質として用いられるそれぞれの物質の詳細を説明する。
【0036】
(イオン性高分子化合物)
イオン性高分子化合物としては、特公昭49−23828号、特公昭49−23827号、特公昭47−28937号等の各公報に見られるようなアニオン性高分子化合物;特公昭55−734号、特開昭50−54672号、特公昭59−14735号、特公昭57−18175号、特公昭57−18176号、特公昭57−56059号等の各公報などに見られるような、主鎖中に解離基を持つアイオネン型ポリマー;特公昭53−13223号、特公昭57−15376号、特公昭53−45231号、特公昭55−145783号、特公昭55−65950号、特公昭55−67746号、特公昭57−11342号、特公昭57−19735号、特公昭58−56858号、特開昭61−27853号、特公昭62−9346号等の各公報に見られるような、側鎖中にカチオン性解離基を持つカチオン性ペンダント型ポリマー等を挙げることができる。
【0037】
本発明の導電層では、これらのイオン性高分子化合物は分散性粒子状ポリマーとして用いることが好ましい。ここで用いる分散性粒子状性ポリマーとは、視覚的観察によって透明またはわずかに濁った溶液に見えるが、電子顕微鏡の下では粒状分散物として見えるポリマーである。下層塗布組成物に上層の膜厚に相当する粒子サイズよりも大きなゴミ(異物)が実質的に含まれない塗布組成物を用いることによって、上層の異物故障を防止することができる。
【0038】
さらに前記分散性粒子状ポリマーの中でも、分散性粒子状ポリマーとした架橋型カチオン性導電性ポリマーがより好ましい。架橋型カチオン性導電性ポリマーを分散性粒子状とすることで、粒子内にカチオン成分を高濃度、高密度に持たせることができる。そのため、優れた導電性を有しているばかりでなく、低相対湿度下においても導電性の劣化は見られないという特徴を有する。その上、架橋型カチオン性導電性ポリマー粒子同士は樹脂バインダーへ分散した状態ではよく分散されているにもかかわらず、塗布後に乾燥を行う造膜過程においてポリマー粒子同士の接着性がよいため、得られる導電層の膜強度が強く、さらに、他の物質(例えば基材フィルムや他の機能層)にも優れた接着性を有し、耐薬品性に優れているという特徴を有する。
【0039】
導電層に用いられるこれら架橋型のカチオン性導電性ポリマーである分散性粒子状ポリマーは、一般に粒子サイズが約10nm〜1000nmであり、好ましくは0nm〜300nmの範囲である。
【0040】
(金属酸化物)
導電性物質として選ばれる半導体として特に好ましいものとして金属酸化物が挙げられる。例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO2、V25等、或いはこれらの複合酸化物が好ましく、特にZnO、TiO2 およびSnO2 が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、TiO2 に対してはNb、Ta等の添加、またSnO2 に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜25mol%の範囲が好ましいが、0.1〜15mol%の範囲が特に好ましい。
【0041】
これらの導電性を有する金属酸化物の粉体の体積抵抗率は107 Ωcm以下であることが好ましく、105 Ωcm以下であることがより好ましい。
また、金属酸化物は微粒子であることが好ましく、1次粒子サイズが10nm〜200nmであることがより好ましく、10nm〜100nmであることが特に好ましい。
【0042】
導電層中に、直径が約30nm〜6μmである特定の高次構造を有する金属酸化物の粉体を体積分率で0.01%〜20%含んでいることが好ましく、0.1%〜20%含んでいることがより好ましく、1%〜20%含んでいることが特に好ましい。
【0043】
(その他の導電性物質)
導電性を示すものとして上記の金属酸化物以外でも、体積抵抗率が107 Ωcm以下、更には105 Ωcm以下である半導体あるいは金属(導体)の微粒子も好ましく用いることができる。1次粒子サイズが10nm〜200nmであることがより好ましく、10nm〜100nmであることが特に好ましい。それらの溶解性や光吸収性(透明性)により用途に応じて使い分けることができる。また金属酸化物と同様、体積分率で0.01%〜20%含んでいることが好ましく、0.1%〜20%含んでいることがより好ましく、1%〜20%含んでいることが特に好ましい。
【0044】
上記導電性物質は当然のように組み合わせて用いることができる。イオン導電性物質、半導体微粒子、導体微粒子は適宜組み合わせることによって、単一物質では得られない導電性効果が得られることが期待できる。
【0045】
(バインダー樹脂)
導電層等の樹脂層に用いられる樹脂としては、重量平均分子量が40万を超え、ガラス転移点が80〜110℃である前述の熱可塑性樹脂が光学特性および塗布層の面品質の点で好ましい。
ガラス転移点はJIS K7121に記載の方法にて求めることができる。ここで使用する樹脂は必要に応じて活性線硬化性樹脂或いは熱硬化樹脂を添加することもできる。
【0046】
ここで使用されるバインダー樹脂は、例えばセルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、またはセルロースナイトレート等のセルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、またはコポリブチレン/テレ/イソフタレート等のポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、またはポリビニルベンザール等のポリビニルアルコール誘導体、ノルボルネン化合物を含有するノルボルネン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂もしくはアクリル樹脂とその他樹脂との共重合体が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。この中ではセルロース誘導体とアクリル樹脂が好ましく、さらにアクリル樹脂がより好ましい。
【0047】
さらにまた、導電性有機化合物も利用できる。例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフォスファゼンなどである。これらは、酸供与材としてポリスチレンスルホン酸、過塩素酸などとのコンプレックスで好ましく用いられる。
【0048】
イオン導電性物質がイオン性高分子化合物または金属酸化物の微粒子である場合において、該微粒子とバインダー樹脂の比率は、微粒子1質量部に対して樹脂0.5〜4質量部が好ましい。このような範囲であれば造膜後の密着性が十分に高くなる。さらに、微粒子1質量部に対して樹脂が1〜2質量部であることがより好ましい。このような範囲であれば紫外線照射により造膜した際の密着性がより高くなる。
【0049】
(溶剤)
導電層を塗設するための塗布組成物には、溶剤として、炭化水素、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類などを適宜混合して使用することができるが、溶剤は特にこれらに限定されるものではない。
これらの溶剤のうち、沸点が低い溶剤は蒸発によって空気中の水分を結露させやすく、調液工程、塗布工程にて塗布組成物中に水分を取り込みやすい。特に、降雨時には外部の湿度上昇の影響を受けやすく、相対湿度65%以上の環境ではその影響が顕著になってくる。特に調液工程で樹脂の溶解時間が長時間となったり、導電層の塗布工程で塗布組成物が空気に暴露されている時間が長くなったり、塗布組成物と空気との接触面積が広い場合はその影響は大きくなる。
【0050】
上記炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられ、アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール等が挙げられ、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられ、エステル類としては、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、乳酸エチル、乳酸メチル等が挙げられ、グリコールエーテル(C1〜C4)類としては、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、またはプロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステル類としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、その他の溶媒として、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。特にこれらに限定されるものではないが、これらを適宜混合した溶媒も好ましく用いられる。
【0051】
(導電層の製造方法)
導電層は、塗布組成物を塗布し適宜乾燥させることにより製造することができる。塗布組成物は、バインダー樹脂中にイオン導電性物質を微分散したものを溶剤に溶解することで調製できる。
【0052】
本発明の導電層用の塗布組成物を塗布する方法として、ドクターコート、エクストルージョンコート、スライドコート、ロールコート、グラビアコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、カーテンコート、押し出しコート或いは米国特許第2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート方法等が挙げられる。
【0053】
導電層の厚みに関しては特に限定されないが、乾燥膜厚として好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.1〜1μmである。
【0054】
(積層体の性能)
本発明の積層体は低湿下での帯電量が2nC/cm2以下であることが好ましく、1nC/cm2以下であることがより好ましく、0.5nC/cm2以下であることが特に好ましい。ここでいう低湿下とは、相対湿度 20 %以下であることを意味し、例えば、真空状態の場合が挙げられる。
【0055】
また、本発明の製造方法により得られる積層体は、水蒸気透過率が低いという特徴を有する。本発明の積層体の水蒸気透過率は40℃相対湿度90%の測定環境において、通常0.01g/m2・day以下であり、好ましくは0.007g/m2・day以下であり、より好ましくは0.005g/m2・day以下であり、さらに好ましくは0.001g/m2・day以下である。このような水蒸気透過率の改善効果は従来技術からはまったく予期せざるものであり、有機層の表面粗さを2nm以下とし、有機層に特定の帯電防止剤を加えたことにより有機層と無機層の密着性を向上させ、欠陥数を減少させたためであろうと推定される。
【0056】
(積層体の用途)
本発明の積層体は、バリア性積層体として有用である。本発明の積層体は、支持体の上に設けて用いるのが一般的であるが、この支持体を選択することによって、様々な用途に用いることができる。支持体としては、基材フィルムのほか、各種のデバイス、光学部材等が含まれる。具体的には、本発明の積層体はバリア性フィルム基板のバリア層として用いることができる。また、本発明の積層体およびバリア性フィルム基板は、ガスバリア性を要求するデバイスの封止に用いることができる。本発明の積層体およびバリア性フィルム基板は、光学部材にも適用することができる。以下、これらについて詳細に説明する。
【0057】
<バリア性フィルム基板>
バリア性フィルム基板は、基材フィルム上に本発明の積層体を形成することにより製造することができる。すなわち、基材フィルム上に硬化性を有する有機層を形成したうえで、本発明の製造方法にしたがって積層体を形成することにより製造することができる。本発明の積層体は、基材フィルムの片面にのみ設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。また、基材フィルムの片面に本発明の積層体が設けられており、反対面には本発明以外の有機無機積層体が設けられていてもよい。
本発明のバリア性フィルム基板は大気中の酸素、水分、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等を遮断する機能を有するバリア層を有するフィルム基板である。
バリア性フィルム基板を構成する層数に関しては特に制限はないが、典型的には2層〜30層が好ましく、3層〜20層がさらに好ましい。
【0058】
バリア性フィルム基板は、基材フィルムと有機無機積層型の積層体以外に、その他の層を有していてもよい。その他の層としては、機能層を挙げることができる。機能層については、特開2006−289627号公報の段落番号0036〜0038に詳しく記載されている。これら以外の機能層の例としては、導電層、マット剤層、保護層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層、易接着層等が挙げられる。機能層は、有機無機積層型の積層体の上、積層体と基材フィルムの間、有機無機積層型の積層体が形成されていない基材フィルムの反対面などのいずれに設置してもよい。
本発明のバリア性フィルム基板において、導電層を積層する場合には、有機無機積層体の積層してある基材フィルムの面の、反対面に設置することが好ましい。このように導電層を有機無機積層体とは反対の面に設置することで、導電層上に塗布する有機層の表面粗さが大きくなることを防いだり、有機層の面状(ハジキなど)悪化を防いだりすることができ、バリア性の低下を防ぐことができる。
【0059】
(基材フィルム)
本発明におけるバリア性フィルム基板は、通常、基材フィルムとして、プラスチックフィルムを用いる。用いられるプラスチックフィルムは、有機層、無機層等の積層体を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。前記プラスチックフィルムとしては、具体的には、金属支持体(アルミニウム、銅、ステンレス等)ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0060】
本発明のバリア性フィルム基板を後述する有機EL素子等のデバイスの基板として使用する場合は、プラスチックフィルムは耐熱性を有する素材からなることが好ましい。具体的には、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上および/または線熱膨張係数が40ppm/℃以下で耐熱性の高い透明な素材からなることが好ましい。Tgや線膨張係数は、添加剤などによって調整することができる。このような熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN:120℃)、ポリカーボネート(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン(株)製 ゼオノア1600:160℃)、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報の化合物:162℃)、ポリイミド(例えば三菱ガス化学(株)ネオプリム:260℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート(BCF−PC:特開2000−227603号公報の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート(IP−PC:特開2000−227603号公報の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報の化合物:300℃以上)が挙げられる(括弧内はTgを示す)。特に、透明性を求める場合には脂環式ポレオレフィン等を使用するのが好ましい。
【0061】
本発明のバリア性フィルム基板を偏光板と組み合わせて使用する場合、バリア性フィルム基板のバリア層面(少なくとも1層の無機層と少なくとも1層の有機層を含む積層体を形成した面)がセルの内側に向くようにし、最も内側に(素子に隣接して)配置することが好ましい。このとき偏光板よりセルの内側にバリア性フィルム基板が配置されることになるため、バリア性フィルム基板のレターデーション値が重要になる。このような態様でのバリア性フィルム基板の使用形態は、レターデーション値が10nm以下の基材フィルムを用いたバリア性フィルム基板と円偏光板(1/4波長板+(1/2波長板)+直線偏光板)を積層して使用するか、あるいは1/4波長板として使用可能な、レターデーション値が100nm〜180nmの基材フィルムを用いたバリア性フィルム基板に直線偏光板を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0062】
レターデーションが10nm以下の基材フィルムとしてはセルローストリアセテート(富士フイルム(株):富士タック)、ポリカーボネート(帝人化成(株):ピュアエース、(株)カネカ:エルメック)、シクロオレフィンポリマー(JSR(株):アートン、日本ゼオン(株):ゼオノア)、シクロオレフィンコポリマー(三井化学(株):アペル(ペレット)、ポリプラスチック(株):トパス(ペレット))ポリアリレート(ユニチカ(株):U100(ペレット))、透明ポリイミド(三菱ガス化学(株):ネオプリム)等を挙げることができる。
また1/4波長板としては、上記のフィルムを適宜延伸することで所望のレターデーション値に調整したフィルムを用いることができる。
【0063】
本発明のバリア性フィルム基板を有機EL素子等のデバイスとして利用する場合には、プラスチックフィルムは透明であることが望ましい。このような透明性が求められる用途に用いる場合は、光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。光線透過率は、JIS−K7105に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
本発明のバリア性フィルム基板をディスプレイ用途に用いる場合であっても、観察側に設置しない場合などは必ずしも透明性が要求されない。したがって、このような場合は、プラスチックフィルムとして不透明な材料を用いることもできる。不透明な材料としては、例えばポリイミド、ポリアクリロニトリル、公知の液晶ポリマーなどが挙げられる。
本発明のバリア性フィルム基板に用いられるプラスチックフィルムの厚みは、用途によって適宜選択されるので特に制限がないが、典型的には1〜800μmであり、好ましくは10〜200μmである。これらのプラスチックフィルムは、透明導電層、プライマー層等の機能層を有していても良い。機能層の詳細については、上記のとおりである。
【0064】
<デバイス>
本発明の積層体およびバリア性フィルム基板は空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく用いることができる。前記デバイスの例としては、例えば、有機EL素子、液晶表示素子、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池等)等の電子デバイスを挙げることができ有機EL素子に好ましく用いられる。
【0065】
本発明の積層体は、デバイスの膜封止にも用いることができる。すなわち、デバイス自体を支持体として、その表面に本発明の積層体を設ける方法である。積層体を設ける前にデバイスを保護層で覆ってもよい。
【0066】
本発明のバリア性フィルム基板は、デバイスの基板として用いることができるだけでなく、固体封止法による封止のためのフィルムとしても用いることができる。固体封止法とはデバイスの上に保護層を形成した後、接着剤層、バリア性フィルム基板を重ねて硬化する方法である。接着剤は特に制限はないが、熱硬化性エポキシ樹脂、光硬化性アクリレート樹脂等が例示される。
【0067】
(有機EL素子)
バリア性フィルム基板用いた有機EL素子の例は、特開2007−30387号公報に詳しく記載されている。
【0068】
(液晶表示素子)
反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる構成を有する。本発明のバリア性フィルム基板は、前記透明電極基板および上基板として使用することができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。透過型液晶表示装置は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板および偏光膜からなる構成を有する。このうち本発明の基板は、前記上透明電極および上基板として使用することができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。液晶セルの種類は特に限定されないが、より好ましくはTN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型またはHAN(Hybrid Aligned Nematic)型、VA(Vertically Alignment)型、ECB(Electrically Controlled Birefringence)型、OCB(Optically Compensated Bend)型、CPA(Continuous Pinwheel Alignment)型、IPS(In−Plane Switching)型であることが好ましい。
【0069】
(その他)
その他の適用例としては、特表平10−512104号公報に記載の薄膜トランジスタ、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のタッチパネル、特開2000−98326号公報に記載の電子ペーパー、特願平7−160334号公報に記載の太陽電池等が挙げられる。
【0070】
<光学部材>
本発明の積層体を用いる光学部材の例としては円偏光板等が挙げられる。
(円偏光板)
本発明におけるバリア性フィルム基板を基板としλ/4板と偏光板とを積層し、円偏光板を作製することができる。この場合、λ/4板の遅相軸と偏光板の吸収軸とが45°になるように積層する。このような偏光板は、長手方向(MD)に対し45°の方向に延伸されているものを用いることが好ましく、例えば、特開2002−865554号公報に記載のものを好適に用いることができる。
【実施例】
【0071】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。また、有機層、無機層の形成は特に断りがない限り、いずれもクラス1000以下のクリーンルーム内で行った。
【0072】
[実施例101] バリア性フィルム基板の作製
(基材フィルムの準備)
基材フィルム上に有機層と無機層を設けた実施例101のバリア性フィルム基板を下記の手順にしたがって作製した。バリア性フィルム基板の層構成は支持体上に有機層、無機層が順に積層した構成とした。基材フィルムには、ポリエチレンナフタレート(PEN、帝人デュポン(株)製、テオネックスQ65FA)フィルムを用いた。
【0073】
(有機層の形成)
光重合性アクリレートとして下記のブチルエチルプロパンジオールジアクリレート(BEPGA:共栄社化学製)20gと光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製、イルガキュア907)0.6gと、帯電防止剤として下記のフッ素系界面活性剤−1を0.4g入れ、メチルエチルケトン190gに溶解させて有機層用塗布液とした。この有機層用塗布液を、ワイヤーバーを用いて上記基材フィルム上に塗布し、その直後に酸素濃度0.1%以下の窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度350mW/cm2、照射量500mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させることにより有機層を形成した。有機層の膜厚は、約500nmであった。
【0074】
【化6】

【0075】
【化7】

【0076】
(無機層の成膜)
スパッタリング装置を用いて、前記有機層の上に無機層(酸化アルミニウム層)を形成した。ターゲットとしてアルミニウムを、放電ガスとしてアルゴンを、反応ガスとして酸素を用いた。製膜圧力は0.1Pa、無機層の到達膜厚は60nmであった。
【0077】
[実施例102] バリア性フィルム基板の作製
下記のフッ素系界面活性剤−2をフッ素系界面活性剤−1の代わりに用いた以外は実施例101と同様にして、実施例102のバリア性フィルム基板を作製した。
【0078】
【化8】

【0079】
[実施例103] バリア性フィルム基板の作製
下記のフッ素系界面活性剤−3をフッ素系界面活性剤−1の代わりに用いた以外は実施例101と同様にして、実施例103のバリア性フィルム基板を作製した。
【化9】

【0080】
[実施例104] バリア性フィルム基板の作製
下記のフッ素系界面活性剤−4をフッ素系界面活性剤−1の代わりに用いた以外は実施例101と同様にして、実施例104のバリア性フィルム基板を作製した。
【0081】
【化10】

【0082】
[実施例105] バリア性フィルム基板の作製
実施例101にしたがって基材フィルム上に有機層と無機層を形成した後、さらに下記の導電層を形成することにより、実施例105のバリア性フィルム基板を作製した。
(導電層の塗設)
有機層無機層形成面とは反対の面上に、平均粒子サイズ0.005μmの酸化スズ−酸化アンチモン複合物の微粒子粉末の分散物(比抵抗5Ω・cm、2次凝集粒子サイズ約0.08μm)0.2g/m2、ゼラチン0.05g/m2、(CH2=CHSO2CH2CH2NHCO)2CH20.02g/m2、ポリオキシエチレン−p−ノニルフェノール(重合度10)0.005g/m2およびレゾルシン0.22g/m2を塗布し乾燥することにより、導電層を形成した。
【0083】
[比較例101] 比較用バリア性フィルム基板の作製
フッ素系界面活性剤−4を添加せず、有機層用塗布液の塗布終了から紫外線照射までの時間を5時間以上とした以外は実施例105と同様にして、比較例101のバリア性フィルム基板を作製した。
【0084】
[比較例102] 比較用バリア性フィルム基板の作製
フッ素系界面活性剤−1を添加しない以外は実施例101と同様にして、比較例102のバリア性フィルム基板を作製した。
【0085】
[比較例103] 比較用バリア性フィルム基板の作製
フッ素系界面活性剤−1を添加せず、有機層用塗布液の塗布終了から紫外線照射までの時間を5時間以上とした以外は実施例101と同様にして、比較例103のバリア性フィルム基板を作製した。
【0086】
[比較例104] 比較用バリア性フィルム基板の作製
有機層塗布から紫外線照射までの時間を5時間以上に変更した以外は比較例1と同様にして、比較例104のバリア性フィルム基板を作製した。
【0087】
[比較例105] 比較用バリア性フィルム基板の作製
有機層塗布から紫外線照射までの時間を5時間以上に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例105のバリア性フィルム基板を作製した。
【0088】
[比較例106] 比較用バリア性フィルム基板の作製
有機層塗布から紫外線照射までの時間を5時間以上に変更した以外は実施例2と同様にして、比較例106のバリア性フィルム基板を作製した。
【0089】
[試験例] バリア性フィルム基板の物性評価
下記の方法にしたがってバリア性フィルム基板の諸物性を評価した。それぞれの結果を下記表1に示す。
【0090】
(1)膜厚
日立(株)製、走査型電子顕微鏡「S−900型」でフィルムサンプルの超薄切片を観察して測定した。
【0091】
(2)バリア性(水蒸気透過率)
MOCON社製、「PERMATRAN−W3/31」(条件:40℃・相対湿度90%)を用いて測定した。また、前記MOCON装置の測定限界である0.01g/m2/day以下の値は、G.NISATO、P.C.P.BOUTEN、P.J.SLIKKERVEERら、SID Conference Record of the International Display Research Conferenceの1435〜1438頁に記載の方法を用いて、40℃−相対湿度90%における水蒸気透過率を測定した。
【0092】
(3)表面粗さの測定
得られた有機層の表面の平滑性は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて表面粗さを測定した。このとき、平滑性は1μm角の測定範囲に対する平均粗さRa(単位nm)で表した。装置は、SPI3800N/SPA400(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)、カンチレバーはSI−DF20を使用して、測定条件は操作周波数1Hz、X,Yデータ数256ラインとした。
【0093】
(4)帯電量の測定
得られたバリア性フィルムをステンレス製ローラー間に通過させ、すぐに該バリア性フィルムをファラデーケージに入れた。ファラデーケージにエレクトロメーター(ケースレー社製)を接続して25℃・相対湿度20%にて帯電量を測定した。
【0094】
【表1】

【0095】
表1から実施例101〜105で得られたバリア性フィルム基板はいずれも有機層の表面粗さは2nm以下であり、帯電量も著しく低く5pC/cm2以下であった。
また、表1から明らかなように、本発明にしたがってフッ素系界面活性剤を添加して硬化させた樹脂を有機層として用いた場合は、水蒸気透過率が良好であった。導電層を設けた実施例105は、さらに、水蒸気透過率が改善されることが判明した。これに対して、比較例101〜106では全て水蒸気透過率が0.05g/m2・day以上であり、バリア性が悪いものであった。
【0096】
[実施例201〜205および比較例201〜206] バリア性フィルム基板の作製と評価
可撓性支持基板であるプラスチックフィルムとして、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムの代わりにポリエチレンテレフタレート(PET、厚み100μm、製造元:東レ(株)、品番:ルミラーT60)フィルムを用いたこと以外は実施例101〜205および比較例101〜106とそれぞれ同様にしてバリア性フィルム基板を作成して評価した。その結果、実施例101〜205および比較例101〜106と同じ傾向が確認された。
【0097】
[実施例301〜305および比較例301〜306] 有機EL素子の作製と評価
(有機EL素子基板の作成)
ITO膜を有する導電性のガラス基板(表面抵抗値10Ω/□)を2−プロパノールで洗浄した後、10分間UV−オゾン処理を行った。この基板(陽極)上に真空蒸着法にて以下の有機化合物層を順次蒸着した。
第1正孔輸送層
銅フタロシアニン:膜厚10nm
第2正孔輸送層
N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチルベンジジン:膜厚40nm
発光層兼電子輸送層
トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム:膜厚60nm
最後にフッ化リチウムを1nm、金属アルミニウムを100nm順次蒸着して陰極とし、その上に厚さ3μm窒化珪素膜を平行平板CVD法によって付け、有機EL素子を作成した。
【0098】
(有機EL素子上へのバリア性フィルム基板の設置)
熱硬化型の接着剤(エポテック310、ダイゾーニチモリ(株))を用いて、実施例101〜105、および比較例101〜106の各バリア性フィルム基板と有機EL素子基板を、バリア層が有機EL素子の側となるように貼り合せ、65℃で3時間加熱して接着剤を硬化させた。このようにして封止された有機EL素子を実施例301〜305および比較例301〜306の有機EL素子とし、各20素子ずつ作成した。
【0099】
(有機EL素子発光面状の評価)
作成直後の有機EL素子をソースメジャーユニット(SMU2400型、Keithley社製)を用いて7Vの電圧を印加して発光させた。顕微鏡を用いて発光面状を観察したところ、いずれの素子もダークスポットの無い均一な発光を与えることが確認された。
次に各素子を60℃・相対湿度90%の暗い室内に24時間静置した後、発光面状を観察した。直径300μmよりも大きいダークスポットが観察された素子の比率を故障率と定義し、各素子の故障率を測定した。その結果、実施例301〜305の有機EL素子は、いずれも故障の発生はなく、発光面状が良好であることが確認された。一方、本発明外の比較例301〜306は故障率50%以上であった。
【0100】
[実施例401〜405および比較例401〜406] 有機EL素子の作製と評価
封止フィルムとして実施例1で作製した各バリア性フィルム基板を用い、実施例301〜305および比較例301〜306と同様にして封止された有機EL素子を作成した。有機EL素子上へのガスバリア層の設置の際、熱硬化型の接着剤の代わりに紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて、アルゴンガスで置換したグローブボックス内で紫外線を照射して硬化させ、接着した。実施例301〜305および比較例301〜306と同様に評価した結果、実施例301〜305および比較例301〜306と同様の傾向が認められた。
【0101】
[実施例501〜505] バリア性フィルムを基板として用いた有機EL素子の作製
実施例101〜105で作成した各バリア性フィルム基板を真空チャンバー内に導入し、ITOターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、厚み0.2μmのITO薄膜からなる透明電極を形成した。ITO膜を有するバリア性フィルム基板を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この基板を用いて、実施例301〜305と同様にして有機EL素子を作成した。この素子は基板と封止フィルムの双方とも樹脂を主体としているため、フレキシブルであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機層の上に無機層を積層した構造を含む積層体であって、前記有機層が帯電防止剤を含みかつ前記有機層の表面粗さが2nm以下であることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記帯電防止剤がフッ素系界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
相対湿度20%での帯電量が2nC/cm2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のバリア性フィルム基板。
【請求項4】
前記無機層の厚さが5〜300nmである請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
水蒸気透過性が0.01g/m・day以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
導電層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
前記導電層中に、導電性物質として、イオン導電性物質、半導体微粒子および導体微粒子からなる群より選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項6に記載の積層体。
【請求項8】
有機層の上に無機層を積層した構造を含む積層体の製造方法であって、帯電防止剤を含む有機層塗布液の塗布工程と、塗布された有機層を硬化させて表面粗さが2nm以下の有機層を得る硬化工程と、硬化させた有機層の上に無機層を形成する工程とを含むことを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項9】
前記塗布工程終了から5時間経過する前に、前記硬化工程を行うことを特徴とする請求項8に記載の積層体の製造方法。
【請求項10】
前記塗布工程の直後に、前記硬化を行うことを特徴とする請求項8または9に記載の積層体の製造方法。
【請求項11】
前記塗布工程と硬化工程を、クリーン度がクラス10000以下である環境下で行うことを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする積層体。
【請求項13】
基材フィルム上に請求項1〜7または12のいずれか一項に記載の積層体を有するバリア性フィルム基板。
【請求項14】
基材フィルム上に一方の面に有機層の上に無機層を積層した構造を含む積層体が積層され、もう一方の面に導電層が積層されていることを特徴とする請求項13に記載のバリア性フィルム基板。
【請求項15】
基材フィルム上に有機層と無機層を順次積層した構造を含むバリア性フィルム基板の製造方法であって、基材フィルム上に請求項1〜7または12のいずれか一項に記載の積層体を積層したバリア性フィルム基板の製造方法。
【請求項16】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体または請求項13もしくは14に記載のバリア性フィルム基板を用いたデバイス。
【請求項17】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体または請求項13もしくは14に記載のバリア性フィルム基板を封止フィルムとして用いたデバイス。
【請求項18】
前記デバイスが有機EL素子である請求項16または17に記載のデバイス。
【請求項19】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体または請求項13もしくは14に記載のバリア性フィルム基板を封止フィルムとして用いた光学部材。

【公開番号】特開2009−220413(P2009−220413A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67541(P2008−67541)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】