説明

積層体の製造方法、積層体、および電子デバイス

【課題】接着シートを介して重ねたガラスシートと樹脂シートとを、ガラスシートが割れない程度の荷重で圧着できる積層体の製造方法、積層体などを提供すること。
【解決手段】接着シート2を介して重ねたガラスシート4と樹脂シート6とを、2本のラミネートロール110の間に通すことにより圧着する圧着工程を有する積層体10の製造方法であって、接着シート2は、ポリイミドシリコーン樹脂を含み、接着シート2の弾性率が1000MPa以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体の製造方法、積層体、および電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル(LCD)やプラズマパネル(PDP)、有機ELパネル(OLED)などの表示パネル、太陽電池、薄膜2次電池などの電子デバイスは、基板と、基板上に形成される機能層(例えば、導電層など)とを有する。基板としては、耐薬品性や耐透湿性、耐熱性に優れ、線膨張係数の小さいガラス基板が用いられることが多く、耐衝撃性やフレキシブル性に優れた樹脂基板が用いられることもある。
【0003】
近年では、電子デバイス用の基板として、ガラスシート、樹脂シート、およびガラスシートと樹脂シートを接着する接着シートを有する積層体を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この積層体は、ガラスの利点と、樹脂の利点とを合わせ持つ。積層体の積層は、ラミネートロールまたはプレス機を用いて行われる。
【0004】
一方、従来から、フレキシブル配線基板として、金属シート、樹脂シート、および金属シートと樹脂シートを接着する接着シートを有する積層体が知られている(例えば、特許文献2参照)。この積層体は、接着シートを介して重ねた金属シートと樹脂シートとを、2本のラミネートロールの間に通し圧着することにより得られる。接着シートは、ポリイミドシリコーン樹脂を含んでおり、軟化温度が5〜250℃、弾性率が250kg/mm(約2550MPa)以下である。そのため、80〜200℃の温度で圧着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2011/030716号パンフレット
【特許文献2】特開平11−255900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、接着シートを介して重ねたガラスシートと樹脂シートを圧着するため、プレス機を用いる場合、ラミネートロールを用いる場合に比べて、加圧面積が大きくなる。そのため、単位面積あたりの荷重が同じ場合、総荷重が大きくなる。よって、荷重がガラスシートに不均一に加わる場合、例えば、ガラスシートと樹脂シートの間に異物が混入する場合、過大な応力が局所的に発生し、ガラスシートが割れることがあった。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の接着シートは、靱性の高い金属シート用に開発されたものであり、金属シートに比べて靱性が低く、圧着時に加えることができる荷重が小さいガラスシート用としては、接着性が不十分なため、圧着できないことがあった。さらに、一般的に金属シートは樹脂との接着力を高めるため表面粗化を行うが、ガラスシートにおいて表面粗化は著しい強度低下を招くため実施できない。そのため接着樹脂には金属シートに対するよりも高い密着性が必要となる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、接着シートを介して重ねたガラスシートと樹脂シートとを、ガラスシートが割れない程度の荷重で圧着できる積層体の製造方法、積層体などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を解決するため、本発明は、
接着シートを介して重ねたガラスシートと樹脂シートとを、2本のラミネートロールの間に通すことにより圧着する圧着工程を有する積層体の製造方法であって、
前記接着シートは、ポリイミドシリコーン樹脂を含み、
前記接着シートの弾性率が1000MPa以下である積層体の製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、
ガラスシートと、樹脂シートと、前記ガラスシートと前記樹脂シートとを接着する接着シートとを有する積層体であって、
前記接着シートは、ポリイミドシリコーン樹脂を含み、
前記接着シートの弾性率が1000MPa以下である積層体を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、接着シートを介して重ねたガラスシートと樹脂シートとを、ガラスシートが割れない程度の荷重で圧着できる積層体の製造方法、積層体などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態による積層体の製造方法を示す側面図
【図2】本発明の第2の実施形態による積層体の製造方法を示す側面図
【図3】本発明の第3の実施形態による積層体の製造方法を示す側面図
【図4】本発明の第4の実施形態による電子デバイスの側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されない。本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
【0014】
以下の各図において、同一のまたは対応する構成には同一のまたは対応する符号を付して、説明を省略する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態による積層体の製造方法を示す側面図である。図1に示すように、積層体の製造方法は、接着シート2を介して重ねたガラスシート4と樹脂シート6とを、2本のラミネートロール110の間に通すことにより圧着し、積層体10を得る圧着工程を有する。接着シート2、ガラスシート4、及び樹脂シート6は、2本のラミネートロール110の間を通ることによって合流する。
【0016】
このように、本実施形態では、ラミネートロール110を用いるので、プレス機を用いる場合に比べて、加圧面積が小さくなる。そのため、単位面積あたりの荷重が同じ場合、総荷重が小さくなる。よって、荷重がガラスシート4に不均一に加わる場合、例えば、ガラスシート4と樹脂シート6の間に異物が混入する場合、またはガラスシート4とガラスシート4側のラミネートロール110の間に異物が混入する場合、発生する応力の最大値が低減され、ガラスシート4の割れを抑制することができる。また、ラミネートロール110は、プレス機に比べて、連続生産に適している。
【0017】
(ガラスシート)
ガラスシート4は、例えば図1に示すように、ガラスシート用巻芯104に巻き取られ、ロールの形態で用意される。ガラスシート4は、テンション(張力)をかけた状態で、ロールから巻き戻された(繰り出された)後、2本のラミネートロール110の間を通過する。
【0018】
なお、ガラスシート4は、ガラスを成形する成形装置から、シートの形態のままで供給されてもよい。成形装置としては、フロート成形装置、フュージョン成形装置、リドロー成形装置などがある。フロート成形装置は、フロートバス内の溶融スズ上に連続的に供給される溶融ガラスを、溶融スズ上で流動させ、板状やシート状に成形する装置である。フュージョン成形装置は、断面略V字状の樋の内部に溶融ガラスを連続的に供給し、樋から左右両側に溢れ出た溶融ガラスを、樋の下縁で合流させて板状やシート状に成形する装置である。リドロー成形装置は、板状ガラスを加熱し、軟化させた状態で、引き延ばし、シート状に成形する装置である。
【0019】
ガラスシート4のガラスとしては、特に限定されないが、例えば、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスなどが挙げられる。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40〜90質量%のガラスが好ましい。
【0020】
ガラスシート4のガラスとしては、電子デバイスの種類やその製造工程に適したガラスが採用される。例えば、液晶パネル用のガラスシートは、アルカリ金属成分を実質的に含まないガラス(無アルカリガラス)からなる。
【0021】
ガラスシート4の25〜300℃における平均線膨張係数(以下、単に「平均線膨張係数」という)は、好ましくは0超〜200×10−7/℃であり、より好ましくは0超〜100×10−7/℃であり、さらに好ましくは0超〜50×10−7/℃である。
【0022】
ガラスシート4の厚さは、ガラスシート4をロール状に巻き取ることを目的として、200μm以下であることが好ましい。また、ガラスシート4の厚さは、ガラスシート4の製造が容易であること、ガラスシート4の取り扱いが容易であることなどの理由から、30μm以上であることが好ましい。
【0023】
(樹脂シート)
樹脂シート6は、例えば図1に示すように、樹脂シート用巻芯106に巻き取られ、ロールの形態で用意される。樹脂シート6は、テンション(張力)をかけた状態で、ロールから巻き戻された(繰り出された)後、2本のラミネートロール110の間を通過する。
【0024】
樹脂シート6の樹脂は、シート状に成型が可能であれば結晶性樹脂であっても、非結晶性樹脂であってもよく、特に限定されない。
【0025】
上記結晶性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリイミド、フッ素樹脂、液晶ポリマー、およびポリエーテルニトリルなどが挙げられる。
【0026】
上記非結晶性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、およびポリエーテルイミドが挙げられる。
【0027】
樹脂シート6の樹脂としては、耐熱性、低線膨脹性の観点からポリアミドまたはポリイミドが用いられることが好ましい。
【0028】
ポリアミドシート、ポリイミドシートとしては市販されているものを用いてもよく、例えばシート状のポリアミドまたはポリイミドとしては、三菱ガス化学社のネオプリム(登録商標)、三井化学社のネオフレックス(登録商標)、東レデュポン社のカプトンフィルム(登録商標)が挙げられる。
【0029】
樹脂シート6の樹脂の耐熱性を示すガラス転移温度は、250℃以上であることが好ましい。積層体の製造工程や電子デバイスの製造工程において、樹脂シート6(ひいては、積層体10や積層体20)の温度を250℃以上に設定することが可能となる。樹脂シート6の樹脂のガラス転移温度は、より好ましくは300℃以上である。
【0030】
樹脂シート6は、積層体の用途によっては、無色透明であることが好ましく、樹脂シート6の厚さ方向における光線透過率が80%以上であることが好ましい。
光線透過率は、JIS−K7136により測定することができる。
【0031】
このような耐熱性、低熱線膨脹性、透明性を有する樹脂としては、後述するポリアミド、またはポリイミドが用いられることが望ましい。
【0032】
ポリアミドとしては化学式(1)〜(4)で示される構造単位を含み、化学式(1)で表される構造単位のモル分率をe、化学式(2)で表される構造単位のモル分率をf、化学式(3)で表される構造単位のモル分率をg、化学式(4)で表される構造単位のモル分率をhとし、e+f=50としたとき、e、f、gおよびhが次式(i)〜(iii)を満足する構造が望ましい。
【化1】

【化2】


:SO、C(CF、またはO−Ph−SO−O
【化3】

:HまたはF
【化4】

40≦e≦45 ・・・(i)
30≦g≦50 ・・・(ii)
0.95≦(g+h)/(e+f)≦1.1 ・・・(iii)
【0033】
ポリイミドとしては以下の化学式(5)で示される構造が望ましい。
【化5】

式(5)中、Yは二価の有機基を示し、Xは四価の有機基を示す。)
【0034】
前記一般式(5)で表される構成単位のYは、
【化6】

からなる群から選択される少なくとも1種の二価の脂環族基または、
【化7】

(ここで、式中のY〜Yは、
【化8】

から選択され、Y〜Yは相互に同じでも異なっていてもよい。)からなる群から選択される少なくとも1種の2価の芳香族基である。
【0035】
前記一般式(5)で表される構成単位のXは、
【化9】

からなる群から選択される少なくとも1種の四価の芳香族基、または
【化10】

からなる群から選択される少なくとも1種の四価の脂環族基である。
【0036】
なお、これらのポリアミドおよびポリイミドは有機オニウムイオンで処理した層状珪酸塩などの無機フィラーを分散させる、またはケイ素のアルコキシドを添加してゾルーゲル反応させるなど無機材料と複合化されていてもよい。
【0037】
樹脂シート6とガラスシート4との平均線膨張係数の差は、積層体10の温度変化による反りを抑制するため、−100×10〜+100×10−7/℃であることが好ましい。
【0038】
樹脂シート6の厚さは、積層体10の用途に応じて設定される。樹脂シート6の厚さが厚くなるほど、積層体10の耐衝撃性が高くなる反面、積層体10の線膨張係数が高くなる。積層体10の線膨張係数が高過ぎると、高温の積層体10(または、後述の積層体20)上に後述の機能層32を形成した後、冷却する際に、機能層32のパターンずれなどが生じる。そこで、樹脂シート6の厚さは、例えば2〜100μmとする。
【0039】
(接着シート)
接着シート2は、例えば図1に示すように、接着シート用巻芯102に巻き取られ、ロールの形態で用意される。接着シート2は、テンション(張力)をかけた状態で、ロールから巻き戻された(繰り出された)後、2本のラミネートロール110の間を通過する。
【0040】
接着シート2は、キャリアシート8上に積層された状態で、接着シート用巻芯102に巻き取られていてもよい。キャリアシート8は、接着シート用巻芯102から、接着シート2と共に引き出されるが、2本のラミネートロール110の間を通過する前に、接着シート2から剥離され、キャリアシート用巻芯108に巻き取られる。
【0041】
本実施形態の接着シート2は、ポリイミドシリコーン樹脂を含んでいる。ポリイミドシリコーン樹脂は、ポリイミドとシリコーンオリゴマーとの共重合体であって、ポリイミドの耐熱性と、シリコーンの柔軟性とを兼ね備える化合物であり、接着性および耐熱性に優れている。
【0042】
ポリイミドシリコーン樹脂は、下記式(6)および式(7)で表される繰り返し単位を有する。また、より柔軟性を求める場合には式(7)で表わされる繰り返し単位のみ有する樹脂であっても良い。ポリイミドシリコーン樹脂中のオルガノシロキサン部分Zの割合が多くなるほど、透明性が高くなる反面、耐熱性が低くなる。ポリイミドシリコーン樹脂中のオルガノシロキサン部分Zの割合は、透明性と耐熱性を考慮して設定される。ポリイミドシリコーン中のシロキサン量はジアミン成分中のシロキサンのモル濃度と、各シロキサンオリゴマーの分子量で調整できる。そのため、ジアミン成分中のシロキサンオリゴマー数は10〜90モル%で任意に設定できる。10モル%以上であれば、耐熱性の点で好ましく、90モル%以下であれば透明性の点で好ましい。
【化11】

【化12】

式(6)、式(7)中、Xは四価の有機基、Yは二価の有機基であり、式(5)におけるXおよびYとそれぞれ同様である。Zはオルガノシロキサン構造を有する二価の有機基である。式(6)中のXと、式(7)中のXとは、同一でも異なってもよいが、同一であることが好ましい。
【0043】
Xを構成するための樹脂原料であるテトラカルボン酸無水物としては下記のいずれかの化合物であることが好ましい。
3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,3',4,4'−テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)プロパン二無水物、2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物等の少なくとも2個の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物、下記式(13)、および下記式(14)で表わされる化合物が挙げられるが、ピロメリット酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物等のテトラカルボン酸無水物も使用可能である。
【化13】

【化14】

【0044】
Yを構成するための樹脂原料であるジアミン成分は、下記のいずれかの化合物であることが好ましい。
2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられるが、少なくとも3個の芳香環を有するジアミノ化合物が用いられる。
【0045】
Zは下記式(8)〜(10)で表わされるいずれかの基であることが好ましい。
加熱工程において最も架橋反応の進行しやすい式(8)が耐熱性の観点からより好ましい。
【0046】
【化15】

式(8)において、Rは、単結合、炭素数1〜4の2価の炭化水素基またはフェニレン基であり、炭素数3〜4のアルキレン基またはフェニレン基が好ましい。Rが単結合であるとは、式(7)においてNとSiとが直接結合することをいう。本明細書中の他の化合物における単結合の意味も同様の意味である。
式(8)において、Rは、互いに独立に、炭素数1〜8の一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。Rは原料の入手の容易さの観点からメチル基、エチル基、フェニル基が好ましい。
式(8)において、Rは末端に不飽和二重結合を有するアルケニル基を示し、炭素数2〜6の該アルケニル基が好ましく、特にビニル基または末端にビニル基を有する炭素数2〜6のアルケニル基が特に好ましく、特にビニル基がとりわけ好ましい。式(8)におけるシロキサン鎖の連なり方はブロックに並んでいても、ランダムに並んでいてもよい。ランダムに並んでいる部分に、ブロックに並んでいる部分があってもよい。他の式における同様の表記においても繰り返し単位の並び方の意味は同じである。Rのポリイミドシリコーンのシロキサン鎖中の結合位置は、端部、中央部等いずれであってもよい。
式(8)において、aは、0〜100の整数、好ましくは3〜70の整数であり、bは1〜100の整数、好ましくは3〜70の整数、より好ましくは5〜50の整数である。
【0047】
【化16】

式(9)において、Rは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基、またはフェニレン基を示す。Rは炭素数3〜4のアルキレン基または、フェニレン基が好ましい。R〜R、R、およびR10は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、Rは炭素数2〜6の直鎖または分岐を有するアルキレン基であり、炭素数2である場合はエチレン基が好ましい。m、nはそれぞれ独立に1〜10の整数を示し、lは0〜2の整数を示す。R〜R、R、R10は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0048】
【化17】

式(10)において、Rは単結合、炭素数が1〜4の2価の炭化水素基またはフェニレン基である。Rは炭素数3〜4のアルキレン基または、フェニレン基が好ましい。R31は炭素数が1〜6の炭化水素基である。dは1〜200の整数、好ましくは3〜140の整数、より好ましくは5〜100の整数である。
【0049】
ポリイミドシリコーン樹脂は、前記式(6)におけるYを誘導するためのジアミン、前記式(6)及び式(7)におけるXを誘導するためのテトラカルボン酸無水物、および前記式(7)におけるZを誘導するためのジアミノポリシロキサンを反応させることにより得られる。例えば、先ず、芳香族ジアミン、芳香族テトラカルボン酸無水物、およびジアミノポリシロキサンを溶媒と混ぜ、20〜50℃程度で反応させることにより、ポリイミドシリコーン樹脂の前駆体であるポリアミック酸の溶液が得られる。ポリアミック酸の溶液を80〜200℃の温度に昇温し、ポリアミック酸を脱水縮合(イミド化)することにより、ポリイミドシリコーン樹脂の溶液が得られる。この溶液を乾燥することにより、ポリイミドシリコーン樹脂が得られる。
このようなポリイミドシリコーンとしては、例えばSMP−2006、SMP−2003PGMEA、SMP−5005PGMEA(以上信越シリコーン社製)等が挙げられる。
【0050】
接着シート2は、ポリイミドシリコーン樹脂を90質量%以上含んでいればよく、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、およびシリコーン樹脂から1つまたは複数選定される樹脂を合計で10質量%以下の範囲で含んでいてもよい。
【0051】
接着シート2は、耐熱性の観点から、ポリイミドシリコーン樹脂のみからなることが好ましい。
【0052】
接着シート2は、積層体10の用途によっては無色透明であることが好ましい。
【0053】
本実施形態の接着シート2は、1000MPa以下の弾性率を有するので、高い柔軟性を有し、ガラスシート4が割れない程度の低い荷重で、ガラスシート4と樹脂シート6とを接着シート2を介して圧着できる。接着シート2の弾性率は、好ましくは300MPa以下であり、より好ましくは100MPa以下であり、更に好ましくは70MPa以下である。300MPa以下であると、250℃未満の温度で、圧着を行うことができる。また、100MPa以下であると、150℃未満の温度で圧着することができる。更に70MPa以下であると、80℃未満で圧着することができ、耐熱性が低いラミネートロール110であっても圧着が可能である。
【0054】
接着シート2の5%重量減少温度は、250℃以上であることが好ましい。積層体の製造工程や電子デバイスの製造工程において、接着シート2(ひいては、積層体10や積層体20)の温度を250℃以上に設定することが可能となる。接着シート2の5%重量減少温度は、より好ましくは350℃以上である。
【0055】
接着シート2の厚さは、積層体10の用途に応じて設定される。接着シート2の厚さが厚くなるほど、ガラスシート4の表面や樹脂シート6の表面に形成される微細な凹凸を吸収するように接着シート2が変形しやすくなるが、積層体10の線膨張係数が高くなる。そこで、接着シート2の厚さは、例えば2〜100μmとする。
【0056】
(ラミネートロール)
2本のラミネートロール110は、接着シート2を介して重ねたガラスシート4と樹脂シート6とを圧着する。2本のラミネートロール110は、同じ外径を有しているが、異なる外径を有してもよい。
【0057】
2本のラミネートロール110は、相対的に接近、離間可能に構成されている。2本のラミネートロール110の間に形成される隙間が狭くなるほど、隙間を通る積層体10に加わる荷重が大きくなる。従って、隙間の調節によって、積層体10に加える荷重の調節が可能である。
【0058】
積層体10に加える荷重の調節は、2本のラミネートロール110の一方を他方に接近する方向に押圧する駆動源の出力制御によっても実現できる。駆動源としては、例えば、空気圧シリンダや油圧シリンダなどの液体圧シリンダが用いられる。
【0059】
2本のラミネートロール110は、それぞれ、外周面が円周面であるロール本体112を有する。ロール本体112は、金属製である。2本のロール本体112は、それぞれ、モータなどの駆動源に接続されており、ロール本体112の軸線を中心に回転駆動される。2本のロール本体112は、積層体10を所定方向に送り出すように、互いに逆方向に回転される。
【0060】
2本のラミネートロール110は、それぞれ、ロール本体112の外周面に取り付けられるゴムシート114をさらに有してよい。ゴムシート114は、積層体10に加わる圧力が一様になるように、弾性変形できる。
【0061】
ゴムシート114は、片側のラミネートロール110のみに備えられてもよく、例えば、傷が付きやすいガラスシート4に接触する側のラミネートロール110にのみ備えられてもよい。
【0062】
ゴムシート114のゴムとしては、例えばバイトン(デュポン社製)などが用いられる。
【0063】
2本のラミネートロール110の内部には、それぞれ、ヒータなどの加熱源が設置されてよい。加熱源の出力調節によって、圧着時の積層体10の温度調節が可能である。
【0064】
圧着時の積層体10の温度調節は、ラミネートロール110の手前に設置される加熱源の出力調節、即ち、ラミネートロール110を通過する前のガラスシート4などの温度調節によっても実現できる。
【0065】
圧着時の積層体10の温度が高くなるほど、ガラスシートおよび樹脂シートと、接着シートとの結合力が高くなるが、圧着後に積層体10が室温まで冷却される過程で、ガラスシートと樹脂シートとの線膨張係数の差によって生じる反りが大きくなる。結合力の向上と、反りの低減とを両立するため、圧着時の積層体10の温度は、好ましくは−20℃〜350℃、より好ましくは−20℃以上150℃未満とする。−20℃以上150℃未満とすることにより、圧着後の温度変化を十分に小さくすることができ、反りを十分に低減することができる。圧着時の積層体10の温度は、さらに好ましくは−20℃以上80℃未満である。
【0066】
(圧着工程後の積層体)
圧着工程後の積層体10は、ガラスシート14、樹脂シート16、およびガラスシート14と樹脂シート16とを接着する接着シート12とを有する。ガラスシート14、樹脂シート16、接着シート12は、隣同士で結合している以外、それぞれ、圧着前のガラスシート4、樹脂シート6、接着シート2と、略同じ寸法形状、略同じ性質(耐熱性、線膨張係数、弾性率、光線透過率など)を有する。
【0067】
積層体10は、積層体10の用途によっては、無色透明であることが好ましく、積層体10の厚さ方向における光線透過率が80%以上であることが好ましい。
【0068】
積層体10は、液晶パネル(LCD)やプラズマパネル(PDP)、有機ELパネル(OLED)などの表示パネル、太陽電池、薄膜2次電池などの電子デバイス用の基板として用いられる。積層体10は、ガラスシート14および樹脂シート16と、接着シート12との結合力を高めるため、後述の加熱工程に供された後、電子デバイス用の基板として用いられてもよい。
【0069】
(加熱工程)
積層体の製造方法は、圧着工程の後に、積層体10を200〜350℃の温度で加熱し、積層体20を得る加熱工程をさらに有してよい。200℃以上の温度での加熱によって、ガラスシート14および樹脂シート16と、接着シート12との相互作用が促進されるので、結合力が向上する。また、加熱温度を350℃以下とすることで、樹脂シート16や接着シート12の劣化を防止することができる。積層体10の200〜350℃の温度での加熱時間は、例えば30分〜24時間である。
【0070】
加熱工程において、積層体10は、2つの加熱源120の間を移動されながら、加熱処理される。なお、積層体の製造方法が、圧着工程と加熱工程の間に、積層体10を切断する切断工程を有する場合、積層体10を加熱源120に対して固定して、加熱してもよい。
【0071】
加熱源120としては、面ヒータなどが用いられる。加熱源120は、積層体10の両側に配置されてよい。
【0072】
(加熱工程後の積層体)
加熱工程後の積層体20は、ガラスシート24、樹脂シート26、およびガラスシート24と樹脂シート26とを接着する接着シート22とを有する。ガラスシート24、樹脂シート26、接着シート22は、結合力が高くなっている以外、それぞれ、加熱工程前のガラスシート14、樹脂シート16、接着シート12と、略同じ寸法形状、略同じ性質(耐熱性、線膨張係数、弾性率、光線透過率など)を有する。
【0073】
積層体20は、液晶パネル(LCD)やプラズマパネル(PDP)、有機ELパネル(OLED)などの表示パネル、太陽電池、薄膜2次電池などの電子デバイス用の基板として用いられる。
【0074】
積層体20は、積層体20の用途によっては、無色透明であることが好ましく、積層体20の厚さ方向における光線透過率が80%以上であることが好ましい。
【0075】
なお、本実施形態では、圧着工程後の積層体10、加熱工程後の積層体20は、それぞれ、ガラスシート、接着シート、および樹脂シートを1枚ずつ有するが、複数枚有してもよい。
【0076】
例えば、積層体10、20は、ガラスシート、接着シート、樹脂シート、接着シート、ガラスシートをこの順で有してもよい。積層体の表面層および裏面層の両方が、ガラスシートで構成されていると、耐薬品性や耐湿性に優れた積層体が得られる。
【0077】
また、積層体10、20は、樹脂シート、接着シート、ガラスシート、接着シート、樹脂シートをこの順で有してもよい。積層体の表面層および裏面層の両方が、樹脂シートで構成されていると、耐衝撃性やフレキシブル性に優れた積層体が得られる。
【0078】
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態による積層体の製造方法を示す側面図である。図2に示すように、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、積層体の製造方法は、圧着工程と、加熱工程とを有する。
【0079】
本実施形態では、圧着工程の前に、ガラスシート4上に液状物Lを塗布し、加熱源130によって熱処理することにより接着シート2を形成する工程をさらに有している。該工程以外の工程は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0080】
液状物Lとしては、例えば、(1)イミド化したポリイミドシリコーンを溶媒に溶解した溶液、(2)ポリイミドシリコーンの前駆体であるポリアミック酸の溶液、または、(3)芳香族ジアミン、芳香族テトラカルボン酸無水物、およびジアミノポリシロキサンを溶媒に溶解した溶液が用いられる。
【0081】
液状物Lの塗布方法は、一般的な方法であってよく、例えば、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法などがある。これらの塗布方法は、液状物Lの種類などに応じて適宜選択される。
【0082】
液状物Lの熱処理は、液状物Lの種類に応じた条件で行われ、例えば、上記(1)の場合、溶媒が乾燥する条件で行われ、また、上記(2)または(3)の場合、溶媒が乾燥した後、イミド化が可能な条件で実施される。
【0083】
本実施形態では、ガラスシート4がキャリアフィルム8の役割を果たすので、キャリアフィルム8が不要になり、キャリアフィルム8を巻き取るための巻芯が不要になる。そのため、製造コストを削減することができる。
【0084】
[第3の実施形態]
図3は、本発明の第3の実施形態による積層体の製造方法を示す側面図である。図3に示すように、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、積層体の製造方法は、圧着工程と、加熱工程とを有する。
【0085】
本実施形態では、圧着工程の前に、樹脂シート6上に液状物Lを塗布し、加熱源130によって乾燥させることにより接着シート2を形成する工程をさらに有している。本実施形態では、樹脂シート6がキャリアフィルム8の役割を果たすので、第2の実施形態と同様に、製造コストを削減することができる。
【0086】
[第4の実施形態]
図4は、本発明の第4の実施形態による電子デバイスの側面図である。図4に示すように、電子デバイス30は、積層体20と、積層体20上に形成される機能層(例えば、導電層)32とを有する。なお、電子デバイス30は、加熱工程後の積層体20の代わりに、圧着工程後の積層体10を有してもよい。
【0087】
機能層32は、電子デバイスの一部を構成するものであって、電子デバイスの種類に応じた層で構成される。機能層32は、複数の層で構成されてもよい。
【0088】
機能層32は、図4に示すように、積層体20に含まれるガラスシート24上に形成されてもよいし、樹脂シート26上に形成されてもよい。
【0089】
次に、電子デバイスの具体例について説明する。
液晶パネル(LCD)は、例えば、積層体20上にTFTなどを形成してなるTFT基板と、別の積層体20上にCFなどを形成してなるCF基板と、TFT基板とCF基板との間に封止される液晶材とを有する。なお、積層体20は、TFT基板とCF基板のいずれか一方のみに用いられてもよい。
【0090】
有機ELパネル(OLED)は、例えば、積層体20と、積層体20上に形成される有機EL素子と、有機EL素子上に貼り合わされる対向基板とを有する。有機EL素子は、例えば、透明電極層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層などからなる。
【0091】
太陽電池は、積層体20と、積層体20上に形成される太陽電池素子とを有する。太陽電池素子は、例えば、電極、p−n有機半導体層などからなる。
【実施例】
【0092】
以下に、実施例などにより本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0093】
例1〜例3では、図1に示すように接着シートを介して重ねたガラスシートと樹脂シートとを、2本のラミネートロールの間に通すことにより圧着し、積層体を作製した。
【0094】
(ガラスシート)
ガラスシートには、無アルカリガラスシート(旭硝子社製、AN100、幅300mm、厚さ100μm)を用意した。
【0095】
ガラスシートの平均線膨張係数は、ガラスシートと同組成のガラスの試験片(長さ20mm、幅2mm)を作製し、試験片の長手方向の伸縮率をTMA(MACサイエンス社製、TMA4000S)により測定して求めた。昇温開始温度は20℃、昇温終了温度は310℃、昇温速度は5℃/minとした。
【0096】
(樹脂シート)
樹脂シートには、ポリアミドシートを下記の要領で用意した。
【0097】
攪拌機を備えた200ml3つ口フラスコ中に無水臭化リチウム2.79kgを入れ、窒素気流下攪拌をしながら120℃まで加熱して乾燥する。30℃まで放冷した後に2,2'−ジトリフルオロメチル−4,4'−ジアミノビフェニル(和歌山精化株式会社製「T
FMB」)8.65kg(27mоl)、4,4'−ジアミノジフェニルスルフォン(和歌山精化株式会社製「44DDS」)0.75kg(3mоl)、N−メチル−2−ピロリドン151mlを入れ窒素雰囲気下、0℃に冷却、攪拌しながら30分かけてテレフタル酸ジクロライド(東京化成社製)5.48kg(27mоl)と4,4'−ビフェニルジカルボニルクロライド(東京化成社製)0.84kg(3mоl)の混合物を5回に分けて添加した。
【0098】
さらに1時間攪拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和してポリマー
溶液を得た。このポリアミド酸溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製、A−4100)の無滑剤面上にコンマコータを用いて塗布し、120℃にて7分間乾燥してポリアミド酸フィルムを得た。
【0099】
樹脂シートの樹脂は、上記式(1)、式(2)(R=SO)、式(3)(R=H)、式(4)の構造を有するポリアミド樹脂であった。
【0100】
樹脂シートのガラス転移温度、および平均線膨脹係数を表1に示す。
【0101】
(接着シート)
接着シート用の樹脂として、下記式(11)で表わされ、弾性率が4MPa、光線透過率が90%であるポリイミドシリコーン(PS1)、
【化18】

下記式(12)で表わされ、弾性率が70MPa、光線透過率が90%であるポリイミドシリコーン(PS2)、
【化19】

および下記式(15)で表わされ、弾性率が16MPa、光線透過率が91%であるポリイミドシリコーン(PS3)を準備した。
【化20】

ここで、弾性率はJIS−K7127、光線透過率はJIS−K7361に準拠し、厚み100μmのシートサンプルで測定した。
ポリイミドシリコーン(PS1)、(PS2)は、上記式(6)で表される繰り返し単位を0.1、上記式(7)で表される繰り返し単位を0.9の割合で有する。一方、ポリイミドシリコーン(PS3)は上記式(7)で表わされる繰り返し単位のみ有する。
ポリイミドシリコーン(PS1)、(PS2)、および(PS3)をそれぞれPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にコンマコータで塗布したのち乾燥し、厚み10μmの接着シート(S1)、(S2)、および(S3)を得た。
【0102】
(積層体の製造)
(例1)
樹脂シート、接着シート(S1)、をそれぞれポリエチレンテレフタレートから剥離しながら、ガラスシート、接着シート、樹脂シートの順となるように重ね、ラミネートロールで圧着し、4種類の積層体(P11〜P14)を得た。
【0103】
積層体P11は、ガラスシート側のラミネートロールとして、金属ロールの外周面にゴムシートを巻きつけたロールを使用し、樹脂シート側のラミネートとして、金属ロールを使用し、室温で圧着することにより作製した。
【0104】
積層体P12は、積層体P11と同様にして、室温で圧着した後、続いて、250℃でさらに加熱処理し、次いで、室温まで冷却することにより作製した。
【0105】
積層体P13は、ガラスシート側および樹脂シート側の両側のラミネートロールとして、金属ロールを使用し、250℃で圧着した後、室温まで冷却することにより作製した。
【0106】
積層体P14は、ガラスシート側および樹脂シート側の両側のラミネートロールとして、金属ロールを使用し、350℃で圧着した後、室温まで冷却することにより作製した。
【0107】
(例2)
接着シートとして(S1)のかわりに(S2)を用いた以外は、例1と同様にして、4種類の積層体(P21〜P24)を得た。
【0108】
(例3)
接着シートとして(S1)のかわりに(S3)を用いた以外は、例1と同様にして、4種類の積層体(P31〜P34)を得た。
【0109】
(積層体の評価方法)
密着性:積層体の密着性は、外観検査によって評価し、積層体中に隙間(気泡)が視認できなかったものを「○」、隙間(気泡)が視認できたものを「×」とした。
180°ピール試験:得られた積層体から、試験片(25mm×100mm)を切りだし、180°ピール試験(JIS Z0237の引き剥がし粘着力試験に準拠)によって室温で評価した。具体的には、積層体から切り出した帯状の試験片の両主面のうち、ガラスシート側の主面を平坦に固定したうえで、樹脂シート側の主面が向かい合うように、樹脂シートの端部をチャックでつかんで180°に折り返し、5mm/secの速度で引き剥がした時の粘着力(N/cm)で評価した。積層体の粘着力は、10N/cm以上のものを「◎」、10N/cm未満〜1N/cmのものを「○」、1N/cm未満のものを「△」、試験片製作時の切断によって剥離し、試験できなかったものを「×」とした。
【0110】
【表1】

弾性率が1000MPa以下の接着シートを用い、2本のラミネートロールの間を通すことにより、良好な密着性を有する積層体が得られた。
【符号の説明】
【0111】
2、12、22 接着シート
4、14、24 ガラスシート
6、16、26 樹脂シート
10、20 積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着シートを介して重ねたガラスシートと樹脂シートとを、2本のラミネートロールの間に通すことにより圧着する圧着工程を有する積層体の製造方法であって、
前記接着シートは、ポリイミドシリコーン樹脂を含み、
前記接着シートの弾性率が1000MPa以下である積層体の製造方法。
【請求項2】
前記接着シートの弾性率が400MPa未満であり、
圧着時の積層体の温度が−20℃以上150℃未満である請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
前記接着シートの5%重量減少温度が250℃以上であり、前記樹脂シートのガラス転移温度が250℃以上である、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
【請求項4】
前記圧着工程の後に、積層体を150〜350℃の温度で加熱する加熱工程をさらに有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項5】
前記ガラスシートと前記樹脂シートとの、25〜300℃における平均線膨張係数の差が−100×10〜+100×10−7/℃である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂シートは、透明なポリアミド樹脂、または透明なポリイミド樹脂で形成される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項7】
前記ガラスシートの厚さが30〜200μmであり、
前記接着シートの厚さが1〜20μmであり、
前記樹脂シートの厚さが2〜100μmである請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項8】
ガラスシートと、樹脂シートと、前記ガラスシートと前記樹脂シートとを接着する接着シートとを有する積層体であって、
前記接着シートは、ポリイミドシリコーン樹脂を含み、
前記接着シートの弾性率が1000MPa以下である積層体。
【請求項9】
前記積層体は透明性を有する、請求項8に記載の積層体。
【請求項10】
請求項8または9に記載の積層体と、該積層体の表面に形成される機能層とを有する電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−14135(P2013−14135A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130280(P2012−130280)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】