説明

空港設備遠隔監視制御システム

【課題】監視センタから複数の空港の監視対象設備を遠隔で監視制御可能とし、通信負荷および運用コストの低減化を図ることにある。
【解決手段】空港ごとに設置され、空港の監視対象設備51,…,5,…,5の動作状態を監視制御する複数の被監視制御装置1,…と、各被監視制御装置1,…に通信回線2を介して接続され、各被監視制御装置1,…から送られてくる情報を受け取って表示し監視する監視センタ内の遠隔監視制御装置3とで構成され、前記各被監視制御装置1,…は、監視対象設備51,…,5,…,5で状態変化が発生したとき、当該状態変化が所定の信号種別に属する場合にリンクデータ付き集約情報を遠隔監視制御装置に送信し、前記遠隔監視制御装置3は、各被監視制御装置1,…からのリンクデータ付き集約情報を受信して監視表示部37に表示する空港設備遠隔監視制御システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視センタから複数の空港の灯火・電力設備を遠隔で監視制御する空港設備遠隔監視制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空港設備監視制御システムは、操作入力装置から入力される操作指令を受けて空港の監視対象設備の監視制御を行うコントローラと各監視対象設備の動作状態を表示する工業用パソコンなどの情報表示装置とを有する監視制御系と、この監視制御系との間で監視制御に関する信号の受け渡しを行う伝送親局と、商用交流電源から所定の定電流電源を生成し出力する定電流電源装置(CCR)と、この定電流電源装置から導出される電力線に前記伝送親局及び信号中継器を介して直列接続される多数の子局とで構成されている。
【0003】
ここで、監視対象設備の監視制御とは、灯火の点灯・消灯制御、灯火の断芯検出、各種検出センサ(航空機検出センサ等)の動作状態、電力設備(受変電設備等)の動作状態、CCRの出力電流異常その他各種の監視対象設備等の動作状態を監視制御することを意味する。
【0004】
前記伝送親局は、シリアルインタフェースとモデムと信号入出力部とを有し、監視制御系とは制御LANを介してシリアル伝送により監視制御信号を授受する。また、伝送親局はゴムトランスを介して電力線と接続されている。
【0005】
前記各子局には、灯火や検出センサが個別に接続され、監視制御系から伝送親局を通して伝送されてくる監視・制御信号に基づいて灯火の点灯・消灯制御及び断芯を検出し、また検出センサの動作状態信号を検出し、これらの監視結果を伝送親局を通して監視制御系に伝送する。各子局は伝送親局と同様にゴムトランスを介して電力線に接続されている。
【0006】
信号中継器は、伝送親局と子局の間の電力線に介挿され、監視制御信号を増幅し中継する機能の他、当該信号中継器の入出力端で異なる周波数の信号に変換し伝送する機能を有している(特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−264298号公報(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、以上のような監視対象設備の監視制御を含む空港の運用形態は、空港ごとに航空行政を司る公的機関の担当者とその運用補佐を司る民間作業員とが配備され、公的機関の担当者と民間作業員の両者が空港設備監視制御システムを用いて監視制御を行っているのが一般的である。
【0008】
近年、以上のような空港設備の運用形態に関し、時代的な背景から運用コストの削減化が叫ばれており、公的機関の担当者を減らし、今までと同等のサービスを維持させたいといったニーズがある。
【0009】
しかし、現状においては、広域にわたる旅客利用状況、産業立地状況及び航空行政の観点から全国に適正な状態で空港が配置されている。その結果、各空港は、空港規模や監視対象設備の設置状態に応じた運用形態を採用し、監視対象設備の監視制御を行っている。よって、運用コストの削減化がなかなか難しい状況にある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、監視センタから複数の空港の監視対象設備を遠隔で監視制御可能とし、通信負荷および運用コストの低減化を図る空港設備遠隔監視制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、空港ごとに設置され、空港の監視対象設備の動作状態を監視制御する複数の被監視制御装置と、これら被監視制御装置に通信回線を介して接続され、当該各被監視制御装置から送られてくる情報を受け取って表示し監視する監視センタ内の遠隔監視制御装置とで構成され、前記被監視制御装置は、前記監視対象設備で状態変化が発生したとき、当該状態変化が所定の信号種別である場合にリンクデータ付き集約情報を前記遠隔監視制御装置に送信し、前記遠隔監視制御装置は、前記被監視制御装置からのリンクデータ付き集約情報を受信して表示する空港設備遠隔監視制御システムである。
【0012】
これにより、監視対象設備から発生される状態変化のうち、当該状態変化が所定の信号種別に属する重要な状態変化に関する情報だけ、故障状態を表すデータサイズの小さい集約情報及びリンクデータの形式で遠隔監視制御装置に送信するので、効率的に通信回線を利用でき、通信負荷および通信費用を大幅に削減化することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、監視センタから複数の空港の監視対象設備を遠隔で監視制御することができ、通信負荷および運用コストを大幅に低減化できる空港設備遠隔監視制御システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本発明に係る空港設備遠隔監視制御システムは、1つの監視センタの遠隔監視制御装置に各空港の被監視制御装置を接続し、監視センタにより監視対象設備に関する重要な情報を一元的に監視し、各空港に配備される民間作業員が当該監視センタからの指令に従って所定の監視制御を行う運用形態を採用すれば、前述したニーズを満足させることが考えられる。その際、監視センタ側では、各空港の設備のうち特に重要な設備故障(例えば受変電盤のブレーカトリップやCCR出力電流異常等)をリアルタイムに把握する必要があるが、それ以外の設備の動作状況等については、必要に応じて監視したい時に監視対象設備の最新の動作状態(ブレーカの入り切り、灯火の状態)を収集可能となっていれば、通信負荷および通信費用を削減しつつ一元的な監視制御を行うことが可能となる。従って、本発明に係るシステムは、以上のような考えのもとに実現したものであり、以下、その実施の形態について説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は本発明に係る空港設備遠隔監視制御システムの一実施の形態を示す構成図である。
この空港設備遠隔監視制御システムは、それぞれ空港に設置され、空港の監視対象設備の監視制御を行う複数の被監視制御装置1,…と、これら被監視制御装置1,…に通信回線2を介して接続され、各被監視制御装置1,…を通して各空港の監視対象設備の動作状態を一元的に監視し制御する遠隔監視制御装置3とによって構成されている。
【0016】
各被監視制御装置1は、操作指令その他監視制御に必要な信号を入力する操作入力部11と、プログラムデータを記憶するプログラムメモリ12と、データベースとしての役割を有する記憶装置13と、監視制御の過程で予め定める重要な情報を自動的に判定して遠隔監視制御装置3に伝送するCPUで構成される監視制御処理部14と、遠隔監視制御装置3との間で監視制御に関する情報を授受し合う通信部15と、表示部16とが設けられている。
【0017】
また、各被監視制御装置1には従来の子局に相当する各端末機4,…,4,…,4が接続されている。各端末機4,…,4,…,4には個別に空港内の監視対象設備(例えば灯火,電力設備,センサ等)5,…,5,…,5が接続されている。
【0018】
前記記憶装置13には、遠隔監視制御装置3から伝送されてくる制御指令、各監視対象設備5,…,5,…,5の状態変化を含む動作状態情報を格納する他、遠隔監視制御装置3に伝送するための重要な情報を判定するための判定参照テーブルおよび詳細情報生成データ(例えばシンボルマーク等)が格納されている。
【0019】
ここで、判定参照テーブルとは、図2に示すように、監視対象設備、信号種別(重故障,中故障等)、状態(事故発生)、集約情報(故障内容)、詳細情報URL(リンクデータ:詳細情報宛先アドレス)が記憶されている。なお、判定参照テーブルの一連の情報は、あくまでも一例として掲げた情報であって、ユーザの要望によって適宜追加変更等が可能である。
【0020】
監視制御処理部14は、遠隔監視制御装置3から伝送されてくる制御指令及び操作入力部11から操作入力される制御指示に基づいて、各端末機4,…,4,…,4を制御するとともに、次のような機能的な構成を備えている。
【0021】
図3は監視制御処理部14の内部構成の一例を示す機能ブロック図である。監視制御処理部14は、信号種別判定手段141、回線接続処理手段142、集約情報送信手段143が設けられている。
【0022】
信号種別判定手段141は、各端末機4,…,4,…,4から送られてくる各監視対象設備5,…,5,…,5の状態変化に伴う重故障等の信号種別及び状態変化を含む動作状態情報等に基づき、遠隔監視制御装置3に伝送するための重要な情報であるかを判定する機能を有する。回線接続処理手段142は、遠隔監視制御装置3に伝送すべき重要な情報と判定したとき、通信部15に対して遠隔監視制御装置3との回線接続を指示するとともに、回線確立したかを判断する機能を有する。集約情報送信手段143は、通信回線2の通信ラインが確立した後、設備識別データ、集約情報及び詳細情報URLデータ等を遠隔監視制御装置3に送信する機能を有する。
【0023】
各端末機4,…,4,…,4は対応する被監視制御装置1からの制御指示に従って該当する各監視対象設備5,…,5,…,5を制御するとともに、各監視対象設備5,…,5,…,5を常時監視し、その監視結果の情報(重故障等の信号種別及び状態変化を含む動作状態情報等を被監視制御装置1に送信する。なお、各端末機4,…,4,…,4については、詳細を省略するが、従来と同様に例えば定電流電源装置(CCR)から導出される電力線にそれぞれゴムトランスを介して直列に接続され構成であってもよく、或いは各監視対象設備5,…,5,…,5が電力線から直接所要の電力を受ける構成の場合には、当該電力線とは無関係に各監視対象設備5,…,5,…,5の動作状態情報を監視する構成であってもよい。
【0024】
次に、遠隔監視制御装置3は、制御指令、監視表示指示その他必要な各種の指示を入力する操作入力部31と、プログラムデータを格納するプログラムメモリ32と、各監視対象設備5,…,5,…,5ごと、或いは関連性のある複数の監視対象設備を含んで、図4に示すように例えば空港灯火の配列を示す系統モデル図(同図(a)参照)、受変電設備の系統モデル図(同図(b)参照)等を格納するフレームメモリ33a,…,33nと、空港毎に当該各空港の監視対象設備を含む全体システムの構成情報等を格納する領域や各被監視制御装置1,…から伝送されてくる情報を格納するエリアが設けられているデータベース34と、監視制御処理部35と、通信部36と、監視結果を表示する監視表示部37とが設けられている。
【0025】
この監視制御処理部35は、各被監視制御装置1,…から伝送されてくる集約情報及び詳細情報URLデータを受信する集約情報受信手段351と、監視情報表示手段352とで構成される。監視情報表示手段352は、集約情報受信手段351で受信した集約情報及び詳細情報URLデータを監視表示部37に表示し、監視員が詳細情報URLデータをクリックしたときに該当する被監視制御装置1から所要の詳細情報に容易に取得可能な構成となっている。
【0026】
次に、以上のように構成されたシステムの動作について図6および図7を参照して説明する。
先ず、各被監視制御装置1は、遠隔監視制御装置3からの制御指令の他、運用規則等に従って操作入力部11から入力される監視員の制御指示に基づき、各端末機4,…,4,…,4に接続される監視対象設備5,…,5,…,5を制御する。また、各被監視制御装置1は、例えば定期的または必要に応じて各端末機4,…,4,…,4で収集した監視対象設備5,…,5,…,5の動作状態情報を取り込み、各監視対象設備5,…,5,…,5ごとに記憶装置13に記憶する。
【0027】
ところで、各端末機4,…,4,…,4は、対応する監視対象設備5,…,5,…,5から何らかの状態変化を検出すると、当該状態変化をもつ動作状態情報及び監視対象設備例えば5の故障レベルを表す重故障等の信号種別を対応する被監視制御装置1に送信する。
【0028】
ここで、被監視制御装置1の監視制御処理部14は図6に示すような一連の制御処理を実行する。すなわち、監視制御処理部14は、常時は状態変化有りか否かを判断しており(S1)、例えば端末機4の動作状態情報に状態変化有りと判断したとき、該当端末機4から送られてくる重故障等の信号種別及び動作状態情報等を取り込み、記憶装置13の監視対象設備5対応の格納領域に記憶する(S2)。
【0029】
しかる後、端末機4から送られてくる信号種別に基づき、図2に示す判定参照テーブルを参照し、端末機4から送られてくる信号種別データが該当監視対象設備の設備識別データ(例えば電力設備(i))に対応する信号種別に合致するか否か、つまり遠隔監視制御装置3に伝送すべき重要な情報であるか否かを判断する(S3)。端末機4からの信号種別データとテーブルの信号種別とが合致したとき、重要な情報(一般的には設備重故障、小・中故障であっても重大事故を招く設備故障、状態変化等)であると判定すると共に、判定対象テーブルの集約情報から例えばMCCBトリップか、過電流発生か、地絡電流発生の何れに該当するかを判断する。これらステップS1〜S3は図3に示す信号種別判定手段141に相当する。
【0030】
被監視制御装置1の監視制御処理部14は、ステップS3において遠隔監視制御装置3に伝送する必要がある重要な情報であると判定したとき、通信部15に対して通信回線2の接続を指示する(S4)。ここで、通信部15は、通信回線2に応じた通信プロトコルに従って遠隔監視制御装置3に対して例えばダイアルアップ接続を実施し、通信回線2の確立処理を実施する。監視制御処理部14は、回線接続指示を出した後、通信回線2の通信路が確立したか否かを判断する(S5)。未だ、通信ラインが確立していない場合にはステップS4に戻り、通信回線2の確立処理を繰り返す。これらステップS4,S5は図3に示す回線接続処理手段142に相当する。
【0031】
被監視制御装置1の監視制御処理部14は、ステップS5において通信回線2の通信路が確立したと判断したとき、故障状態にある監視対象設備識別データに判定参照テーブルの集約情報および詳細情報URLデータを付加し、遠隔監視制御装置3に送信する(S6)。このステップS6は図3に示す集約情報送信手段143に相当する。そして、集約情報等を送信した後、通信回線2の通信路を切断し(S7)、引き続き、監視を継続する場合には(S8)、ステップS1に戻り、一連の処理を繰り返し実行する。
【0032】
従って、各被監視制御装置1は、端末機例えば4から信号種別及び状態変化の動作状態情報を受け、その信号種別から遠隔監視制御装置3に送信すべき重要な情報であると判定したときだけ、通信回線2を利用して遠隔監視制御装置3に状態変化に関する集約情報等を送信するので、通信回線2の通信負荷および通信費用を大幅に低減できる。つまり、遠隔監視制御装置3が遠隔地の各空港に設置した各被監視制御装置1を一元的に監視する場合、本来,通信回線2の通信負荷および通信費用が膨大となるが、本発明システムでは、各被監視制御装置1からはタグ付き言語(XML言語)の集約情報および詳細情報URL(リンクデータ)よりなる小さなサイズのデータを送信するので、僅かな通信量となり、通信回線2を効率的に使用することが可能となり、ひいては通信負荷および通信費用を大幅に削減化できる。
【0033】
一方、遠隔監視制御装置3の監視制御処理部35は、図7に示す一連の処理を実行する。すなわち、監視制御処理部35は、各被監視制御装置1から集約情報等を受信したか否かを判断しており(S11)、集約情報等を受信したと判断すると、端末機識別データを含む集約情報等(監視対象設備識別データ、集約情報、詳細情報URL等)をデータベース34に記憶する(S12)。これらステップS11,S12は図5に示す集約情報受信手段351に相当する。
【0034】
監視制御処理部35は、集約情報及び詳細情報URLデータを受け取ると、集約情報だけでなく、詳細情報URLデータも監視表示部37に表示する(S13)。つまり、監視員が監視表示部37の表示内容を確認し、該当する監視対象設備の詳細を監視する必要があると判断したとき、即座に詳細情報URLをクリックすることが可能である。このステップS13は監視情報表示手段352に相当する。
【0035】
しかる後、継続表示か否かを判断し(S14)、継続表示の場合にはステップS1に戻り、同様の処理を繰り返し実行する。
【0036】
よって、遠隔監視制御装置3は、各被監視制御装置1から送信されてくる設備故障等の重要情報をメッセージ出力するので、設備故障をリアルタイムに把握することができ、迅速に必要に制御指令を送信元被監視制御装置1に伝送することが可能となる。また、集約情報には、詳細情報URLが埋め込まれていることから、必要に応じて当該詳細情報URLに基づき、該当する被監視制御装置1から設備故障に関する詳細情報を取得することが可能となる。
【0037】
(第2の実施の形態)
この実施の形態におけるシステムの全体構成は、図1と同様であるので、重複部分については図1の説明に譲り、特に異なる部分について説明する。ここで、特に異なる部分は、各監視制御被装置1の監視制御処理部14および遠隔監視制御装置3の監視制御処理部35の機能構成が異なる。
図8は各監視制御被装置1における監視制御処理部14の内部構成の一例を示す機能ブロック図である。監視制御処理部14は、詳細情報生成手段144および詳細情報提供手段145が設けられている。詳細情報生成手段144は、図6に示す回線切断および監視継続完了後(S7,S8)、つまり被監視制御装置1から集約情報等を送信した後、詳細情報を生成する。詳細情報とは、健全情報を除いた必要最小限の情報(可変情報:例えば状態変化情報を端的に表すシンボルマーク等)を意味する。詳細情報提供手段145は、遠隔監視制御装置3から集約情報等に含まれる詳細情報URLのもとに詳細情報の要求を受けたとき、生成された詳細情報を要求元となる遠隔監視制御装置3に提供する機能を持っている。
【0038】
図9は遠隔監視制御装置3における監視制御処理部35の内部構成の一例を示す機能ブロック図である。監視制御処理部35は、図5に示す監視情報表示手段352による集約情報及び詳細情報URLの表示後、詳細情報URLをクリックし詳細情報要求信号を出力する詳細情報要求手段354と、回線接続処理手段355と、詳細情報編集表示手段356とが設けられている。
【0039】
回線接続処理手段355は、詳細情報要求信号を受けて該当する端末機識別データのもとに、通信部36に対して通信回線2の接続指示を出すとともに、通信回線2の確立後に詳細情報URLのもとに詳細情報のアクセスを行う。詳細情報編集表示手段356は、該当する被監視制御装置1から詳細情報(必要最小限の可変情報)を受信すると、該当フレームメモリ例えば33iから図4(b)に示す電力設備モデル図を読出し、当該電力設備モデル図の該当故障個所に必要最小限の可変情報である詳細情報(シンボルマーク)を書き込み、監視表示部37に表示する機能を有する。
【0040】
次に、以上のようなシステムの動作について図10を参照して説明する
被監視制御装置1の監視制御処理部14は、集約情報等を送信した後、詳細情報を生成する(S21)。監視制御処理部14は、遠隔監視制御装置3に送信するに際し、設備故障を最小限の情報で表した詳細情報を送信するために、監視対象設備の故障を最適な状態で表すシンボルマーク等の可変情報を生成する。例えば灯火に相当するシンボルマーク内に例えば断芯を表すマークを入れ込むとか、電力設備で有れば、例えばブレーカのシンボルマークに前記判定参照テーブルの集約情報の内容を端的に表すマークを入れ込んだシンボルマークを生成する。このステップS21は図8に示す詳細情報生成手段144に相当する。
【0041】
被監視制御装置1の監視制御処理部14は、詳細情報を生成した後、遠隔監視制御装置3からの詳細情報要求待ちとなる(S22)。すなわち、詳細情報の要求有りかを判断し、所定時間経過しても詳細情報の要求が無ければ(S23)、終了する。所定時間以内に詳細情報の要求が有れば、詳細情報URLのもとにステップS21により生成した詳細情報を遠隔監視制御装置3に送信する(S24)。これらステッブS22〜S24は図8に示す詳細情報提供手段145に相当する。
【0042】
一方、遠隔監視制御装置3の監視制御処理部35は、監視情報表示手段352により監視表示部37に集約情報及び詳細情報URLを表示した後、当該詳細情報URLをクリックしたか否か,つまり詳細情報が要求されたか否かを判断する(S31)。クリックされた場合には詳細情報要求有りと判断する。このステップS31は図9に示す詳細情報要求手段354に相当する。
【0043】
監視制御処理部35は、端末機識別データのもとに、通信部36に対して通信回線2の接続指示を出した後(S32)、通信回線2の通信ラインが確立されたか否かを判断し(S33)、通信回線2が確立されたと判断されたとき、詳細情報URLのもとに詳細情報のアクセスを行う(S34)。これらステップS32〜S34は図9に示す回線接続処理手段355に相当する。
【0044】
そして、監視制御処理部35は、詳細情報を受信したか否かを判断し(S35)、受信したと判断したときには故障設備(例えば電力設備)に対応するフレームメモリ例えば33iから故障設備に関係する電力設備の系統モデル図を取り出し(S36)、このモデル図の該当個所に詳細情報を書き込み(S37)、監視表示部37に表示する(S38)。図4は、監視対象設備の故障時に○または□のシンボルマーク内に×マークを書き込んだ系統モデル図の表示例を示している。これらステップS35〜S38は図9に示す詳細情報編集表示手段356に相当する。
【0045】
そして、詳細情報を表示した後、通信回線2を切断し終了する(S39)。監視センタの監視員は、監視表示部37に表示される詳細情報から何れの系統、何れの故障設備か、さらに当該設備の故障内容を容易に認識でき、これにより被監視制御装置1に対して最適な制御指令を送信することができる。さらに、監視表示部37には系統モデル図を表示するので、故障設備の状態確認時間を短縮することができる。
【0046】
さらに、被監視制御装置1では、設備故障を最小限の情報で表した詳細情報を送信し、一方、遠隔監視制御装置3では、詳細情報を受信し、監視表示部37に表示した後、回線切断を実行するので、回線接続時間を低減でき、よって通信負荷及び通信費用を大幅に低減化できる。
【0047】
(その他の実施の形態)
上記実施の形態では、各被監視制御装置1,…と遠隔監視制御装置3が公衆回線網やISDN(Integrated Services Digital Network)等の通信回線2で接続し、回線利用時にダイヤルアップ接続する構成としたが、例えばLAN,WAN等の専用ラインを接続し、常時回線接続状態とした構成であってもよい。
【0048】
このようなシステム構成の場合、各被監視制御装置1,…の監視制御処理部14は、端末機41,…,4,…,4から監視対象設備51,…,5,…,5の状態変化を検出したとき、図3に示す信号種別判定手段141が遠隔監視制御装置3に伝送すべき重要な信号種別に関する情報であるか否かを判定する。そして、重要な信号種別に関する情報であるとき、回線接続指示を出すことなく、集約情報送信手段143が直ちに遠隔監視制御装置3に集約情報等を送信する。
【0049】
従って、この実施の形態においては、回線接続処理手段142を除けば、第1の実施の形態と全く同様の構成であり、第1の実施の形態で得られた効果をそのまま奏するものである。
【0050】
また、遠隔監視制御装置3の監視制御処理部35においても、図9に示す回線接続指示手段355を実行することなく、詳細情報要求手段354にて詳細情報を被監視制御装置1に要求した後、当該被監視制御装置1から詳細情報を受信したとき、詳細情報編集表示手段356を実行することになる。
【0051】
その結果、この実施の形態においても、監視制御処理部14から設備故障を最小限の情報で表した詳細情報として送信するので、第2の実施の形態と同様に、通信負荷及び通信費用を大幅に低減化できる。
【0052】
さらに、図4に示す系統モデル図は、それぞれフレームメモリ331,…,33に格納したが、他の記憶媒体例えばデータベース34に格納しても構わない。
【0053】
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0054】
また、各実施の形態は可能な限り組み合わせて実施することが可能であり、その場合には組み合わせによる効果が得られる。さらに、上記各実施の形態には種々の上位,下位段階の発明が含まれており、開示された複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得るものである。例えば問題点を解決するための手段に記載される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されうることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る空港設備遠隔監視制御システムの第1の実施の形態を示す全体構成図。
【図2】図1に示す被監視制御装置の記憶装置に格納される判定参照テーブルの一例としてのデータ配列例図。
【図3】図1に示す被監視制御装置の監視制御処理部の内部構成を説明する機能ブロック図。
【図4】図1に示す遠隔監視制御装置のフレームメモリに格納される系統モデル図。
【図5】図1に示す遠隔監視制御装置の監視制御処理部の内部構成を説明する機能ブロック図。
【図6】監視対象設備の故障発生等に対する被監視制御装置の動作を説明するフローチャート。
【図7】監視対象設備の故障発生等に対する遠隔監視制御装置の動作を説明するフローチャート。
【図8】本発明に係る空港設備遠隔監視制御システムの第2の実施の形態を説明する図であって、具体的には、被監視制御装置の監視制御処理部の内部構成を説明する機能ブロック図。
【図9】本発明に係る空港設備遠隔監視制御システムの第2の実施の形態を説明する図であって、具体的には、遠隔監視制御装置の監視制御処理部の内部構成を説明する機能ブロック図。
【図10】監視対象設備の故障発生等に対する被監視制御装置と遠隔監視制御装置との動作を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0056】
1…被監視制御装置、2…通信回線、3…遠隔監視制御装置、14,35…監視制御処理部、15,36…通信部、37…監視表示部、141…信号種別判定手段、142…回線接続処理手段、143…集約情報送信手段、144…詳細情報生成手段、145…詳細情報提供手段、351…集約情報受信手段、352…監視情報表示手段、354…詳細情報要求手段、355…回線接続処理手段、356…詳細情報編集表示手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空港ごとに設置され、空港の監視対象設備の動作状態を監視制御する複数の被監視制御装置と、これら被監視制御装置に通信回線を介して接続され、当該各被監視制御装置から送られてくる情報を受け取って表示し監視する監視センタ内の遠隔監視制御装置とで構成され、
前記各被監視制御装置は、前記監視対象設備で状態変化が発生したとき、当該状態変化が所定の信号種別である場合にリンクデータ付き集約情報を前記遠隔監視制御装置に送信し、
前記遠隔監視制御装置は、前記各被監視制御装置から送られてくるリンクデータ付き集約情報を受信し表示する
ことを特徴とする空港設備遠隔監視制御システム。
【請求項2】
前記被監視制御装置は、前記各監視対象設備の少なくとも信号種別、故障状態を表す集約情報を記憶する記憶手段と、前記監視対象設備から状態変化を受けたとき、当該状態変化が前記記憶手段に記憶される信号種別に合致する重要な情報であるか否かを判定する信号種別判定手段と、この信号種別判定手段で重要な情報であると判定したとき、前記遠隔監視制御装置に対する通信回線への接続指示を出し、回線接続処理を行う回線接続処理手段と、この回線接続処理手段による前記遠隔監視制御装置との回線接続後、前記信号種別に対応するデータサイズの小さい前記集約情報及び詳細情報を取得するためのリンクデータを付加し前記遠隔監視制御装置に送信する集約情報送信手段とを設けたことを特徴とする請求項1に記載の空港設備遠隔監視制御システム。
【請求項3】
前記遠隔監視制御装置は、各被監視制御装置から送られてくる集約情報及びリンクデータを受信する集約情報受信手段と、この集約情報受信手段で受信された集約情報及びリンクデータを同時に表示し、リンクデータの選択による前記詳細情報の要求を促す監視情報表示手段とを設けたことを特徴とする請求項1に記載の空港設備遠隔監視制御システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の空港設備遠隔監視制御システムにおいて、
前記被監視制御装置は、リンクデータ付き集約情報を送信した後、必要最小限の詳細情報を生成する詳細情報生成手段と、前記遠隔監視制御装置からリンクデータの選択に基づいて前記詳細情報の要求を受けると、前記詳細情報生成手段で生成された詳細情報を当該遠隔監視制御装置に提供する詳細情報提供手段とをさらに付加したことを特徴とする空港設備遠隔監視制御システム。
【請求項5】
前記詳細情報は、前記監視対象設備の集約情報を端的に表すシンボルマークデータであることを特徴とする請求項4に記載の空港設備遠隔監視制御システム。
【請求項6】
請求項1または請求項3に記載の空港設備遠隔監視制御システムにおいて、
前記遠隔監視制御装置は、予め各空港に設置される監視対象設備の系統モデル図を記憶する記憶手段と、前記リンクデーの選択に基づいて前記詳細情報の要求を行う詳細情報要求手段と、この詳細情報の要求を受けると、該当する被監視制御装置に対する通信回線の接続指示を出し、回線接続処理を行う回線接続処理手段と、この回線接続処理手段による前記被監視制御装置との回線接続後、前記詳細情報の要求信号を送信し、該当する被監視制御装置から提供される詳細情報を、前記該当する監視対象設備の系統モデル図に嵌め込んで表示する詳細情報編集表示手段とをさらに付加したことを特徴とする空港設備遠隔監視制御システム。
【請求項7】
前記各被監視制御装置と前記遠隔監視制御装置とが常時接続状態にある前記通信回線で接続されている場合、
前記被監視制御装置は、前記監視対象設備の少なくとも信号種別、故障状態を表す集約情報を記憶する記憶手段と、前記監視対象設備から状態変化を受けたとき、当該状態変化が前記記憶手段に記憶される信号種別に合致する重要な情報であるか否かを判定する信号種別判定手段と、この信号種別判定手段で重要な情報であると判定したとき、前記信号種別に対応するデータサイズの小さい前記集約情報及び詳細情報を取得するためのリンクデータを付加し前記遠隔監視制御装置に送信する集約情報送信手段とを設けたことを特徴とする請求項1に記載の空港設備遠隔監視制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−60808(P2008−60808A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233955(P2006−233955)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】