説明

空調システム

【課題】燃料電池における電力の発生に伴って生じる水分を自己循環させながらも、燃料電池の排熱を利用してデシカント装置を適切に再生して、適切に空調された空調用空気を空調対象空間へ供給可能な空調システムを提供する。
【解決手段】燃料電池装置200による発電に伴って発生する排ガスEと外部から取り込んだ処理空気PAとを熱交換させる空調用排熱回収熱交換器28を備え、空調用排熱回収熱交換器28にて燃料電池装置200の排ガスEが保有する排熱を回収した処理空気PAをデシカントロータ13の再生部13bに直接通流させる形態で、デシカントロータ13の通気性吸湿体13cを再生するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原燃料を改質して水素を主成分とするガスを生成し、当該水素を主成分とするガスを用いて発電を行うとともに、発電に伴って発生する排熱を利用可能な燃料電池装置を備えるとともに、気体を回転駆動する通気性吸湿体からなるデシカントロータの吸湿部又は再生部を通流させ降温又は昇温させて空調用空気として空調対象空間へ供給するデシカント装置を備え、前記燃料電池装置の発電に伴って発生する排熱を前記デシカントロータの再生に用いる空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原燃料を改質して水素を主成分とするガスを生成し、当該水素を主成分とするガスを用いて発電を行うとともに、発電にて発生する排熱を利用可能な固体酸化物形燃料電池(以下、SOFCと略称)を備えるととともに、当該SOFCの排熱をデシカントロータが設けられたデシカント装置の熱源として用いる空調システムが知られている(特許文献1を参照)。
当該特許文献1に記載の空調システムは、SOFCの排ガスと排熱回収媒体とを熱交換する排熱回収熱交換器と、デシカントロータの再生部に通流する再生用空気と排熱回収媒体とを熱交換する再生用熱交換器と、排熱回収熱交換器と再生用熱交換器とに排熱回収媒体を循環する循環回路とを備えており、当該循環回路に排熱回収媒体を循環させて、排熱回収熱交換器にてSOFCの排ガスが保有する排熱を回収するとともに、再生用熱交換器においてSOFCの排ガスが保有する排熱によりデシカントロータの再生部を再生する再生用空気を加熱するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−302661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、SOFCは、原燃料を水蒸気改質する際に水を必要とし、当該水は、SOFCの排ガスを露点(40℃程度)以下にすることで、排ガスに含まれる水分を回収し、再び水蒸気改質に用いられるように構成されている。これにより、SOFCでは、水蒸気改質に用いる水を自己循環により賄うことができ、外部からの水の供給を不要とする自立運転が可能となる。
この観点において、上記特許文献1に記載の空調システムは、SOFCの排ガスを通流する排ガス路には、上述した排熱回収熱交換器のみが設けられており、且つ、当該排熱回収熱交換器と再生用熱交換器との間にて循環回路を循環する排熱回収媒体が通流するように構成されている。このような構成においては、排熱回収熱交換器にて回収する熱量が、再生用熱交換器にて放出する熱量よりも多くなると、循環回路を循環する排熱回収媒体の温度が高くなり、結果として、排熱回収媒体の温度が高くなると、排熱回収熱交換にて当該排熱回収媒体と熱交換する排ガスの温度を露点以下にすることができず、SOFCの水蒸気改質に用いる水を自己循環により賄うことができなくなる虞があった。
また、当該特許文献1に記載の空調システムでは、再生用空気が再生用熱交換器にて排熱回収媒体と熱交換する形態で加熱されるため、再生用熱交換器の伝熱効率によっては、再生用空気を十分に加熱することができず、デシカントロータを十分に活用することができない虞があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料電池における電力の発生に伴って生じる水分を自己循環させながらも、燃料電池の排熱を利用してデシカント装置のデシカントロータを適切に再生して、適切に空調された空調用空気を空調対象空間へ供給可能な空調システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の空調システムは、
原燃料を改質して水素を主成分とするガスを生成し、当該水素を主成分とするガスを用いて発電を行うとともに、発電に伴って発生する排熱を利用可能な燃料電池装置を備えるとともに、気体を回転駆動する通気性吸湿体からなるデシカントロータの吸湿部又は再生部を通流させ降温又は昇温させて空調用空気として空調対象空間へ供給するデシカント装置を備え、前記燃料電池装置の発電に伴って発生する排熱を前記デシカントロータの再生に用いる空調システムであって、その特徴構成は、
前記燃料電池装置による発電に伴って発生する排ガスと外部から取り込んだ第1処理空気とを熱交換させる空調用排熱回収熱交換器を備え、
前記空調用排熱回収熱交換器にて前記燃料電池装置の排ガスが保有する排熱を回収した第1処理空気を前記デシカントロータの再生部に直接通流させる形態で、前記デシカントロータの前記通気性吸湿体を再生するように構成されている点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、燃料電池装置の発電に伴って発生する排ガスは、空調用排熱回収熱交換器にて、外部から導かれる比較的低温の第1処理空気と熱交換することができる。これにより、燃料電池(例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC))の高温排熱を高い温度レベルで利用が可能となり、例えば、空調用排熱回収熱交換器よりも後流に設けた給水加熱熱交換器により、排ガスの温度を露点以下にすることができる。結果、排ガスに水蒸気として含まれる水を適切に凝縮させて回収することができる。そして、このように回収した水を水蒸気改質用の水として再利用することで、水蒸気改質に必要な水を自己循環にて賄うことができ、自立運転を可能とできる。
さらに、空調用排熱回収熱交換器にて排ガスと第1処理空気とを熱交換させ、排ガスの排熱にて第1処理空気を昇温させることができる。当該昇温された第1処理空気は、デシカントロータの再生部を直接通流することで、その再生部にて通気性吸湿体を十分再生させるので、効率的なデシカントロータの運転を確保できる。これにより、デシカント装置にて気体を適切に昇温又は降温させて空調用空気として空調対象空間へ供給することができる。
以上より、燃料電池における電力の発生に伴って生じる水分を自己循環させながらも、燃料電池の排熱を利用してデシカント装置のデシカントロータを適切に再生して、適切に空調された空調用空気を空調対象空間へ供給可能な空調システムを実現できる。
【0008】
本発明の空調システムの更なる特徴構成は、
前記空調用排熱回収熱交換器は、前記第1処理空気として、前記燃料電池装置に供給する空気を前記燃料電池装置による発電に伴って発生する排ガスにて加熱するように構成され、
前記空調用排熱回収熱交換器を通流した空気の一部を前記燃料電池装置に供給するとともに、残りの一部の空気を前記デシカントロータの前記再生部に供給する分配手段を備えている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、燃料電池装置としては、燃料電池装置に供給する空気を排ガスにて加熱する熱交換器を備えているので、その熱交換器を空調用排熱回収熱交換器として利用することができ、構成の簡素化を図ることができる。そして、燃料電池装置に供給する空気の一部を用いて、通気性吸湿体の再生を行うことができるので、燃料電池装置への空気の供給を適切に行うことができながら、通気性吸湿体の再生を行って、デシカントロータでの吸湿を適切に行うことができる。
【0010】
本発明の空調システムの更なる特徴構成は、
前記デシカント装置は、前記デシカントロータの前記再生部を通流して前記通気性吸湿体を再生する気体と、前記空調用排熱回収熱交換器にて前記燃料電池装置の排ガスが保有する排熱を回収した前記第1処理空気とを混合可能な第1混合手段を備えている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、第1混合手段は、デシカントロータの再生部を通流する気体に、空調用排熱回収熱交換器にて燃料電池装置の排ガスが保有する排熱を回収した第1処理空気を混合するので、再生部を通流する気体を適切に昇温させ、昇温した気体にて再生部における通気性吸湿体を適切に再生できる。
【0012】
本発明の空調システムの更なる特徴構成は、
前記燃料電池装置による発電に伴って発生する排ガスが保有する排熱を回収した湯水を貯湯可能な貯湯槽と、前記貯湯槽から熱負荷に供給する湯水を加熱する補助加熱装置と、前記補助加熱装置の排ガスと第2処理空気とを熱交換させる補助排熱回収熱交換器とを備え、
前記補助排熱回収熱交換器にて前記補助加熱装置の排ガスが保有する排熱を回収した前記第2処理空気を前記デシカントロータの前記再生部に直接通流させる形態で、前記通気性吸湿体を再生するように構成されている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、例えば、熱負荷として給湯熱需要や暖房熱需要がある場合あるいはそれらの需要が見込まれる場合に、貯湯槽に貯湯された湯水を補助加熱装置で加熱して熱負荷にて供給したり、蓄熱しながら、補助排熱回収熱交換器にて補助加熱装置の排ガスと第2処理空気とを熱交換して、排ガスが保有する排熱を第2処理空気にて回収し、当該第2処理空気にてデシカントロータを再生することで、補助加熱装置の排熱をデシカント装置の空調の熱源として適切に利用できる。これによりデシカントロータの再生能力を増すことができる。
【0014】
本発明の空調システムの更なる特徴構成は、
前記デシカント装置は、前記デシカントロータの前記再生部を通流する気体と、前記補助排熱回収熱交換器にて前記補助加熱装置の排ガスが保有する排熱を回収した前記第2処理空気とを混合可能な第2混合手段を備えている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、第2混合手段は、デシカントロータの再生部を通流する気体に、補助排熱回収熱交換器にて補助加熱装置の排ガスが保有する排熱を回収した第1処理空気を混合するので、再生部を通流する気体を適切に昇温させ、昇温した気体にて再生部における通気性吸湿体を適切に再生できる。
【0016】
本発明の空調システムの更なる特徴構成は、
前記デシカント装置は、前記デシカントロータに加えて、前記デシカントロータの前記吸湿部を通流した気体を冷却用媒体との熱交換により冷却する冷却器と、気体を加湿可能な加湿機とを備え、
気体を前記デシカントロータの前記吸湿部及び前記冷却器を記載順に通流させて空調する第1空調流路と、気体を前記冷却用媒体として前記冷却器に導いた後に前記デシカントロータの前記再生部を通流させる第2空調流路とを形成可能に構成され、
第1気体を前記第1空調流路にて空調した後に前記加湿機にて加湿して空調用空気として空調対象空間へ導くとともに再生用空気を前記第2空調流路に通流させる第1運転状態と、第2気体を前記第2空調流路にて空調した後に前記加湿機にて加湿して空調用空気として前記空調対象空間へ導くとともに吸湿用空気を前記第1空調流路に通流させる第2運転状態とを、択一的に切り替える切替手段が設けられている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、デシカント装置による空調を、除湿冷房運転と、加湿暖房運転との間で切り替えことができ、外気の状況において適切な空調を実現できる。
上記特徴構成によれば、例えば、室外空気の温度が高い夏場等にあっては、切替手段にて第1運転状態に切り替えることで、第1気体が、デシカントロータの吸湿部にて除湿され、冷却器にて冷却され、加湿機にて加湿され加湿による水分の蒸発潜熱が奪われる形態で冷却されて、適切に除湿冷却された状態で空調用空気として空調対象空間に導かれる。これにより、空調対象空間を適切に除湿冷房できる。
このとき、再生用空気は、冷却用媒体として冷却器を通流して加熱され、デシカントロータの再生部を通流することで、再生部における通気性吸湿体を適切に再生している。これにより、デシカントロータの吸湿部での吸湿能力を向上させ、デシカント装置の空調能力を向上させている。
一方、室外空気の温度が低い冬場等にあっては、切替手段にて第2運転状態に切り替えることで、第2気体が、冷却用媒体として冷却器にて加熱され、デシカントロータの再生部にて加湿され、加湿機にて加湿されて、適切に加湿加熱された状態で空調用空気として空調対象空間に導かれる。これにより、空調対象空間を適切に加湿暖房できる。
このとき、吸湿用空気は、デシカントロータの吸湿部に湿分を供給し、加熱用媒体として冷却器を通流して、冷却用媒体として冷却器を通流する第2気体を加熱している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1運転(除湿冷房運転)状態時の回路を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1運転(除湿冷房運転)状態時の回路を通流する気体の状態を示す空気線図である。
【図3】本発明の第1運転(除湿冷房運転)状態時の回路を通流する気体の状態値を示す表である。
【図4】本発明の第1運転(除湿冷房運転)状態時において、補助バーナの排熱をデシカント装置へ導いているときの気体の状態を示す空気線図である。
【図5】本発明の第1運転(除湿冷房運転)状態時において、補助バーナの排熱をデシカント装置へ導いているときの気体の状態値を示す表である。
【図6】本発明の第2運転(加湿暖房運転)状態時の回路を示す概略構成図である。
【図7】本発明の第2運転(加湿暖房運転)状態時の回路を通流する気体の状態を示す空気線図である。
【図8】本発明の第2運転(加湿暖房運転)状態時の回路を通流する気体の状態値を示す表である。
【図9】本発明の第2運転(加湿暖房運転)状態時において、補助バーナの排熱をデシカント装置へ導いているときの気体の状態を示す空気線図である。
【図10】本発明の第2運転(加湿暖房運転)状態時において、補助バーナの排熱をデシカント装置へ導いているときの気体の状態値を示す表である。
【図11】本発明の別実施形態の回路を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の空調システムは、燃料電池装置200の改質に必要な水分を自己循環にて賄いながらも、燃料電池装置200の排熱を回収した第1処理空気PA1をデシカント装置100のデシカントロータ13の再生部13bに直接通流させることで、デシカントロータ13を適切に再生させる形態で、空調性能を向上させるように構成されている点を特徴とする。
そこで、以下では、まず、図1に基づいて、燃料電池装置200の基本構成、デシカント装置100の基本構成について説明した後、本発明の特徴構成を説明する。
【0020】
〔燃料電池装置〕
燃料電池装置200は、都市ガス等の燃料Fを改質して水素を主成分とするガスを生成する改質器21と、当該水素を主成分とするガスを用いて発電を行う固体酸化物形燃料電池20(以下、「SOFC」と呼ぶ。)とから構成され、当該燃料電池装置200は、固体酸化物形SOFC20による発電に伴って発生する排熱を利用可能に構成されている。
【0021】
改質器21は、公知のものと同様の構成のものが利用できるため詳細な説明及び図示は省略するが、水蒸気とともに供給される燃料Fを改質して水素を主成分とするガスを生成し、SOFC20に供給するように構成されている。
【0022】
SOFC20についても、公知のものと同様の構成のものが利用できるため詳細な図示は省略するが、イオン導電性を有するイットリア安定化ジルコニア、スカンジア安定化ジルコニア、セリア系酸化物等の固体酸化物を電解質として用いた燃料電池であり、その電解質の両側には、多孔質の空気極(図示せず)と燃料極(図示せず)とが設けられている。
【0023】
そして、このようなSOFC20では、下記の[化学式]に示すように、空気極(図示せず)において供給された酸素が電子と反応して酸素イオンになり、その酸素イオンが電解質を通じて燃料極(図示せず)に運ばれ、燃料極において供給された水素が電解質を通じて運ばれた酸素イオンと反応して水蒸気と電子とを生成することにより、空気極と燃料極との間に起電力を発生させて発電を行うように構成されている。尚、このSOFC20で発電された直流電力は、例えば、DC/ADコンバータ22により交流電力に変換された後に、電気機器等の電力負荷(図示せず)に供給され消費される。
【0024】
[化学式1]
(空気極)O2+4e-→2O2-
(燃料極)2H2+4O2-→2H2O+4e-
【0025】
SOFC20にて発電が行われると、燃料極からは高温の水蒸気が排出されるとともに、高温の排ガスEが排出される。そして、当該高温の水蒸気及び高温の排気Eが、排ガスEとして、外部へ排出されることとなる。
排ガスEは、外部へ排出される前に、改質器21、第1排熱回収熱交換器23、第2排熱回収熱交換器24、第3排熱回収熱交換器25、第4排熱回収熱交換器26(空調用排熱回収熱交換器の一例)、及び第5排熱回収熱交換器28を記載順に通流し、排熱を回収されて露点以下となった後、気水分離器29にて水が回収されて、外部へ排出されるようになっている。
気水分離器29にて回収された水は、第1循環ポンプ30にて、第3排熱回収熱交換器25にて排ガスEの排熱を回収して気化した水蒸気となり、燃料Fと混合される。燃料Fと水蒸気との混合ガスは、第1排熱回収熱交換器23にて排ガスEが保有する排熱を回収した後、改質器21に供給される。
第4排熱回収熱交換器26は、室外空気OAを第1処理空気PA1として、排ガスEと熱交換させ、排ガスEと熱交換した後の第1処理空気PA1の一部を、デシカント装置100の側へ導いて、第1処理空気PA1にて回収した排ガスEが保有する排熱をデシカント装置100の再生に利用可能に構成されているとともに、残部をSOFC20の空気極に供給可能に構成されている。
具体的には、第1処理空気PA1を圧送する第1ファン27と、当該第1ファン27にて圧送された第1処理空気PA1を通流する第1処理空気通流路L1が設けられている。
当該第1処理空気通流路L1には、第1処理空気PA1を排ガスEと熱交換する第2排熱回収熱交換器24と、第2排熱回収熱交換器24を通流した後の第1処理空気PA1の一部をデシカント装置100の側へ導くとともに残部をSOFC20の側へ導く三方弁50(分配手段の一例)とを上流側から順に設けられている。
これにより、燃料電池装置200においては、SOFC20に適切に加熱された第1処理空気PA1を従来通り利用することで、適切に発電を行うことができながらも、デシカント装置100においては、第1処理空気PA1をその再生に利用することができる。
【0026】
SOFC20の排熱は、貯湯槽31に湯水Wとして貯留され、当該貯湯された湯水Wは、熱負荷等へ供給可能に構成されている。具体的には、第2循環ポンプ34にて圧送される湯水Wを循環可能な湯水循環回路L3が、貯湯槽31と第5排熱回収熱交換器28との間で湯水Wを循環可能に配設されている。湯水Wは、第5排熱回収熱交換器28にて排ガスEが保有する排熱を回収して、貯湯槽31に貯湯される。
さらに、貯湯槽31から熱負荷に供給される湯水Wは、熱負荷にて高温の熱需要があるときで貯湯槽31に貯湯された湯水Wの温度が低い場合に、補助バーナ33(補助加熱装置の一例)にて加熱可能に構成されている。具体的には、燃料Fと燃焼用空気との混合気を燃焼可能な補助バーナ33と、当該補助バーナ33の排ガスが保有する排熱を回収可能な補助排熱回収熱交換器33aが設けられ、貯湯槽31から熱負荷に導かれる湯水Wを、上記補助排熱回収熱交換器33aを通流させた後、補助バーナ33を通流させるように構成されている。
さらに、補助排熱回収熱交換器33aには、室外空気OAとしての第2処理空気PA2にて補助バーナ33の排ガスが保有する排熱を回収してデシカント装置100へ供給するべく、第2処理空気PA2を圧送する第2ファン35と、圧送された第2処理空気PA2を補助排熱回収熱交換器33aへ導いた後にデシカント装置100へ接続される第2処理空気通流路L2が設けられている。
【0027】
〔デシカント装置〕
本発明のデシカント装置100は、空気をデシカントロータ13に通流して昇温又は降温させて空調用空気SAとして空調対象空間Sへ供給するものであり、その第1の特徴は、当該デシカントロータ13の再生部13bを、SOFC20の排ガスが保有する排熱を回収した第1処理空気PA1を直接通流させて、デシカントロータ13を再生するように構成されている点にある。
さらに、第2の特徴として、切替手段として第1四方弁11及び第2四方弁16を備えるとともに、空調対象空間Sに供給される直前の空調用空気SAを加湿可能な加湿機17を備えることで、除湿冷房運転と加湿暖房運転とを切替可能に構成されている点にある。
以下に、これらの特徴を有するデシカント装置100を図面に基づいて説明する。
【0028】
デシカント装置100は、除湿冷房運転においては、図1の流路構成において、室外空気OA(第1気体)を、第1空調流路R1(図1、6で二点鎖線で示す流路)に導いて空調した後、加湿機17にて加湿して空調用空気SAとし、当該空調用空気SAを空調対象空間Sへ導いている。加湿暖房運転においては、図6の流路構成において、室外空気OA(第2気体)を、第2空調流路R2(図1、6で一点鎖線で示す流路)に導いて空調した後、加湿機17にて加湿して空調用空気SAとし、当該空調用空気SAを空調対象空間Sに導くように構成されている。
【0029】
デシカント装置100の基本構成は、空気に直接水を噴霧して加湿可能な加湿機17、デシカントロータ13、冷却器14、複数の気体を混合する混合器15(第1混合手段、第2混合手段の一例)を備えたものである。具体的には、デシカント装置100は、回転駆動する通気性吸湿体13cからなり吸湿部13aに通流させる気体の水分を吸着するとともに吸着した水分を再生部13bに通流させる気体に放出するデシカントロータ13と、デシカントロータ13の吸湿部13aを通流した気体を冷却用媒体との熱交換により冷却させる冷却器14と、デシカントロータ13の再生部13bに導かれる気体とSOFC20の排ガスが保有する排熱を回収した第1処理空気PA1とを混合して昇温させる混合器15とを備えている。
【0030】
混合器15について説明を加えると、混合器15には、上述したSOFC20の排ガスが保有する排熱を回収した第1処理空気PA1を通流する第1処理空気通流路L1が接続されている。これにより、混合器15は、冷却用媒体として冷却器14を通流した気体と第1処理空気PA1とを混合して昇温させた後に、下流側のデシカントロータ13の再生部13bの側へ送り出す。
また、混合器15には、上記第1処理空気通流路L1に加えて、補助排熱回収熱交換器33aの排ガスが保有する排熱を回収した第2処理空気PA2を通流する第2処理空気通流路L2が接続されている。これにより、混合器15は、補助バーナ33が作動している場合にあっては、冷却用媒体として冷却器14を通流した気体と、SOFC20の排ガスが保有する排熱を回収した第1処理空気PA1と、補助バーナ33の排ガスが保有する排熱を回収した第2処理空気PA2とを混合して昇温させた後に、下流側のデシカントロータ13の再生部13bの側へ送り出す。
尚、以下では、説明の都合上、補助バーナ33は作動させているものとして、デシカント空調装置の各構成について説明する。
【0031】
デシカントロータ13は、デシカントロータ13の通気性吸湿体13cは、図示しない駆動用モータにより回転駆動するように構成されている。図1、6では、上方側(図1、6で矢印Zの先端側)に位置するデシカントロータ13の一部を吸湿部13aとし、下方側(図1、6で矢印Zの基端側)に位置するデシカントロータ13の一部を再生部13bとして示している。デシカントロータ13の通気性吸湿体13cが、駆動用モータ(図示せず)により回転駆動されると、吸湿部13aに相当する部位及び再生部13bに相当する部位が回転方向に連続的に変化するように構成されている。そして、デシカントロータ13は、例えば、1時間に数10回転の一定速度で回転駆動される。前記デシカントロータ13における通気性吸湿体13cは、吸湿性高分子を主成分として構成されている。そして、吸湿性高分子として、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムを用いる。デシカントロータ13は、直径200mmのハニカム状の基材にポリアクリル酸ナトリウム粉末を保持して構成されている。ここで、デシカントロータ13の厚みは、30〜60mm程度のものを好適に用いることができる。
【0032】
第1空調流路R1(図1、図6で二点鎖線で示される流路)は、デシカントロータ13の吸湿部13a、冷却器14の順に接続され、夫々に順に気体を通流させている。さらに、第1空調流路R1には、気体を第1空調流路R1に上述の如く通流させるべく、後述する第1四方弁11の下流側でデシカントロータ13の吸湿部13aの上流側に、気体をデシカントロータ13の吸湿部13aの側へ送り出す第3ファン12が設けられている。
【0033】
これにより、第1空調流路R1を通流する気体は、デシカントロータ13の吸湿部13aにて除湿され、冷却器14にて冷却用媒体と熱交換する形態で冷却される。
詳細は後述するが、図1に示す第1運転状態にあっては、気体として室外空気OA(第1気体)を、第1空調流路R1にて空調した後、加湿機17に導いて、加湿機17の加湿に伴って加えられた湿分の蒸発に伴う蒸発潜熱が奪われる形態で冷却して、適切に除湿冷却された空調用空気SAとして空調対象空間Sへ供給して、除湿冷房運転が実現する。
【0034】
一方、第2空調流路R2(図1、図6において一点鎖線で表される流路)は、冷却器14、混合器15、デシカントロータ13の再生部13bに順に接続され、夫々に順に気体を通流させている。さらに、第2空調流路R2には、気体を第2空調流路R2へ上述の如く通流させるべく、デシカントロータ13の再生部13bの下流側で後述する第2四方弁16の上流側に、気体を上流側から吸引して下流側へ圧送する第4ファン18が設けられている。
これにより、第2空調流路R2を通流する気体は、冷却器14に冷却用冷媒として導かれ、当該冷却器14にて高温の気体と熱交換する形態で昇温し、混合器15にてSOFC20の排ガスが保有する排熱を回収した第1処理空気PA1と混合する形態で昇温し、デシカントロータ13の再生部13bにて加湿されて、加湿加熱された状態となる。
詳細は後述するが、図6に示す第2運転状態にあっては、気体としての室外空気OA(第2気体)を、第2空調流路R2にて空調した後、加湿機17へ導いて十分に加湿し、適切に加湿加熱された空調用空気SAとして空調対象空間Sへ供給して、加湿暖房運転が実現する。
【0035】
〔除湿冷房運転〕
除湿冷房運転を実行するには、まず、図示しない制御装置による制御により、第1四方弁11と第2四方弁16とを、図1に示す第1運転状態へと切り替え制御する。具体的には、制御装置は、第1四方弁11を、室外空気OA(第1気体)を第1空調流路R1へ導くと共に室内空気RA(再生用空気)を第2空調流路R2へ導く状態へ切り替え制御し、第2四方弁16を、第1空調流路R1にて空調された室外空気OA(第1気体)を加湿機17へ導いた後に空調用空気SAとして空調対象空間Sへ導き、室内空気RA(再生用空気)を排気VAとして空調対象空間Sの外部へ導く状態に、切り替え制御する。
このとき、特に、室外空気OA(第1気体)が空調用空気SAへと空調される過程について説明すると、第1四方弁11及び第2四方弁16が第1運転状態(図1に示す状態)へ切り替えられている状態で、第3ファン12を働かせることにより、室外空気OA(第1気体)が、第1四方弁11を介して第1空調流路R1に導かれ、デシカントロータ13の吸湿部13aにて除湿され、冷却器14にて冷却され、第2四方弁16にて加湿機17へ導かれ、当該加湿機17にて加湿されて、加湿に伴って加えられた湿分の蒸発に伴う蒸発潜熱を奪われる形態で冷却して、適切に除湿冷却された状態で空調用空気SAとして空調対象空間Sへ導かれる。
【0036】
尚、当該除湿冷房運転では、室内空気RA(再生用空気)が、冷却用媒体として冷却器14を通流して昇温した後、混合器15を通流して第1処理空気PA1と混合して昇温し、デシカントロータ13の再生部13bを通流して、第4ファン18にて第2四方弁16へ向けて圧送され、第2四方弁16を介して排気VAとして外部へ圧送される。
【0037】
〔除湿冷房運転における空調性能〕
これまで説明してきたように、本発明の空調システムでは、第1四方弁11及び第2四方弁16が図1の状態に切り替えられている状態で、SOFC20の排ガスの排熱を回収した第1処理空気PA1の一部を、SOFC20に導いてSOFC20を適切に働かせながらも、残部を混合器15に導いて、室内空気RA(再生用空気)と混合して昇温させることで、デシカントロータ13の再生部13bにおいて通気性吸湿体13cを再生するようになっている。
運転条件としては、SOFC20は、発電電力を700Wに設定された状態で働かせる。SOFC20からデシカントロータ13の再生部13bへ供給される第1処理空気PA1(264℃、7m3/h)の熱量は、300Wとする。当該第1処理空気PAと混合器15にて混合される室外空気OA(第1気体)は、混合後に、デシカントロータ13の通気性吸湿体13cを適切に再生すべく、所望の温度(例えば、60℃程度)まで昇温してく必要がある。このため、その流量は、本例においては、60m3/hに設定している。室内空気RA(再生用空気)の流量も、室外空気OA(第1気体)の流量に合わせて、60m3/hに設定している。
また、加湿機17にて噴霧する水量は、280g/hである。
【0038】
以下では、図1、2、3に基づいて、本発明の除湿冷房運転における除湿冷房性能を評価する。図2の空気線図、及び図3の表は、図1における測定点P1〜P8での室外空気OA(第1気体)・室内空気RA(再生用空気)の状態(温度、絶対湿度、相対湿度)の変化を示すものである。
【0039】
まず、室内空気RA(再生用空気)の状態変化について説明する。
P5―P7間において、室内空気RA(再生用空気)は、冷却用媒体として冷却器14に導かれ室外空気OA(第1気体)と熱交換する形態で、27℃から19.6℃だけ昇温して46.6℃となり、混合器15にて、SOFC20の排熱を回収し264℃まで昇温した第1処理空気PA1と混合して、46.6℃から14.2℃だけ昇温して60.4℃の高温となる。
P7−P8間において、室内空気RA(再生用空気)は、デシカントロータ13の再生部13bにて通気性吸湿体13cを通過することで、その絶対湿度が14g/kg乾燥空気から5.6g/kg乾燥空気だけ増加して19.6g/kg乾燥空気となる。結果的に、通気性吸湿体13cは、5.6g/kg乾燥空気だけ吸湿され、適切に再生される。
【0040】
次に、室外空気OA(第1気体)の状態変化について説明する。
P1−P2間において、室外空気OA(第1気体)は、デシカントロータ13の吸湿部13aにおいて、十分に再生された通気性吸湿体13cを通過することで、15.7g/kg乾燥空気から6g/kg乾燥空気だけ吸湿されて9.7g/kg乾燥空気となる。
P2−P3間において、室外空気OA(第1気体)は、冷却器14にて、室内空気RA(再生用空気)と熱交換する形態で、49.7℃から19.7℃だけ冷却されて30℃となる。
P3−P4間において、室外空気OA(第1気体)は、加湿機17にて、水が噴霧されて加湿され、加湿による水分の蒸発潜熱が奪われる形態で、30℃から9.7℃だけ降温して20.3℃となる。室外空気OA(第1気体)は、最終的に、温度が20.3℃、絶対湿度が13.8kg/乾燥空気となった状態で、空調対象空間Sへ導かれることとなる。
結果、本発明の空調システムでは、室外空気OA(第1気体)・室内空気RA(再生用空気)の流量を60m3/hに設定している状態で、空調対象空気Sから27℃(P5の計測点の温度)の室内空気RA(再生用空気)を取り出し、20.3℃の室外空気OA(第1気体)として空調対象空間Sへ導くことができ、130Wの冷房能力を発揮できる。このとき、実質除湿量は、120g/hとなる。
【0041】
さらに、本発明の空調システムにあっては、SOFC20の排熱のみを回収した第1処理空気PA1に加えて、補助バーナ33の排熱を回収した第2処理空気PA2(224℃、10.5m3/h)をも、混合器15へ導き、室内空気RA(再生用空気)と混合する。これにより、混合器15にて、室内空気RA(再生用空気)を加熱する空気は、第1処理空気PA1と第2処理空気PA2とを合わせたものとなり、室内空気RA(再生用空気)に供給される熱量が増加される。結果、室内空気RA(再生用空気)の流量を増加させることができる。この例では、室内空気RA(再生用空気)を100m3/hに設定している。室外空気OA(第1気体)の流量も、室内空気RA(再生用空気)の流量に合わせるべく、100m3/hに設定している。
また、加湿機17にて噴霧する水量は、500g/hに設定している。
【0042】
この構成における、室外空気OA(第1気体)・室内空気RA(再生用空気)の状態変化を、図4の空気線図、図5の表に示す。
第2処理空気PA2の供給による特徴的な状態変化につき説明すると、当該状態変化においては、特に、P6−P7の間において、100m3/hの大流量の室内空気RA(再生用空気)が、混合器15にて第1処理空気PA1と第2処理空気PA2の双方と混合されることにより、48.8℃から18.4℃も昇温させ67.2℃にできている。
結果、室外空気OA(第1気体)・室内空気RA(再生用空気)の流量を100m3/hに設定している状態で、空調対象空気Sから27℃(P5の計測点の温度)の室内空気RA(再生用空気)を取り出し、19.5℃の室外空気OA(第1気体)として空調対象空間Sへ導くことができ、240Wの冷房能力を発揮できている。このとき、実質除湿量は、280g/hとなる。
【0043】
〔加湿暖房運転〕
加湿暖房運転を実行するには、除湿冷房運転を実行した場合と同様に、図示しない制御装置により、第1四方弁11及び第2四方弁16を図6に示す第2運転状態へと切り替え制御する。
具体的には、制御装置は、第1四方弁11を、室外空気OA(第2気体)を第2空調流路R2へ導くと共に室内空気RA(吸湿用空気)を第1空調流路R1へ導く状態に切り替え制御し、第2四方弁16を第2空調流路R2にて空調された室外空気OA(第2気体)を加湿機17へ導いた後に空調用空気SAとして空調対象空間Sへ導き、室内空気RA(吸湿用空気)を排気VAとして空調対象空間Sの外部へ導く状態へ、切替制御する。
このとき、特に、室外空気OA(第2気体)が空調用空気SAへと空調される過程について説明すると、第1四方弁11及び第2四方弁16が第2運転状態(図6に示す状態)に切り替えられている状態で、第4ファン18を働かせることにより、室外空気OA(第2気体)が、第1四方弁11を介して第2空調流路R2に導かれ、冷却器14に冷却用媒体として導かれて昇温し、混合器15にてSOFC20から排ガスが保有する排熱を回収した第1処理空気PA1、及び補助排熱回収熱交換器33aの排ガスが保有する排熱を回収した第2処理空気PA2と混合して昇温し、第2四方弁16を介して加湿機17へ導かれ、当該加湿機17にて加湿された後に空調用空気SAとして空調対象空間Sへ導かれる。
【0044】
尚、加湿暖房運転において、室内空気RA(吸湿用空気)は、第1四方弁11を介して第3ファン12に導かれ、第3ファン12にて下流側へ圧送され、デシカントロータ13の吸湿部13aを通流し、被冷却用媒体として冷却器14を通流して降温し、第2四方弁16を介して、排気VAとして空調対象空間Sの外部へ導かれる。
【0045】
〔加湿暖房運転における空調性能〕
加湿暖房運転にあっては、第1四方弁11及び第2四方弁16が図6の状態に切り替えられている状態で、SOFC20の排ガスの排熱を回収した第1処理空気PA1の一部を、SOFC20に導いてSOFC20を適切に働かせながらも、残部を混合器15に導いて、室外空気OA(吸湿用空気)と混合して、室外空気RA(吸湿用空気)を昇温させている。
運転条件としては、SOFC20は、発電電力を700Wに設定された状態で働かせる。SOFC20からデシカントロータ13の再生部13bへ供給される第1処理空気PA1の熱量は、300Wとする。当該熱量にて暖房運転を適切に実現させるべく、混合器15にて第1処理空気PAと混合される室外空気OA(第2気体)の流量は、本例においては、60m3/hに設定している。室内空気RA(吸湿用空気)の流量も、室外空気OA(第2気体)の流量に合わせる状態で、60m3/hに設定している。
また、加湿機17にて噴霧する水量は、100g/hである。
【0046】
以下では、図6、7、8に基づいて、本発明の加湿暖房運転における加湿暖房性能を評価する。図7の空気線図、及び図8の表は、図6における測定点P1〜P8での室内空気OA(吸湿用空気)・室外空気RA(第2気体)の状態(温度、絶対湿度、相対湿度)の変化を示すものである。
【0047】
まず、室内空気RA(吸湿用空気)の状態変化について説明する。
P6−P7間において、室内空気RA(吸湿用空気)は、デシカントロータ13の吸湿部13aにて通気性吸湿体13cを通過して、8.54g/kg乾燥空気から5.4g/kg乾燥空気だけ湿分を供給し3.14g/kg乾燥空気となる。このとき、通気性吸湿体13cは、5.4g/kg乾燥空気だけ湿分を供給される。
P7−P8間において、室内空気RA(吸湿用空気)は、熱源として冷却器14に導かれ室外空気OA(第2気体)と熱交換する形態で、33.7℃から23.7℃分だけ降温して10℃となった後、空調対象空間Sの外部へ導かれる。
【0048】
次に、室外空気OA(第2気体)の状態変化について説明する。
P1−P3間において、室外空気OA(第2気体)は、冷媒として冷却器14に導かれ室内空気RA(再生用空気)と熱交換する形態で、7℃から23.6℃だけ昇温して30.6℃となった後、混合器15にて、SOFC20の排熱を回収して264℃まで昇温した第1処理空気PA1と混合し、30.6℃から12.4℃だけ昇温して、43℃の高温となる。
P3−P4間において、室外空気OA(第2気体)は、デシカントロータ13の再生部13bにて、通気性吸湿体13cを通過することで、その絶対湿度が3.91g/kg乾燥空気から5.04g/kg乾燥空気分だけ増加し8.95g/kg乾燥空気となる。
P4−P5間において、室外空気OA(第2気体)は、加湿機17にて、水が噴霧され加湿され、その絶対湿度は、8.95g/kg乾燥空気から1.8g/kg乾燥空気だけ増加し、10.3g/kg乾燥空気となる。室外空気OA(第2気体)は、最終的に、温度が28.2℃、絶対湿度が10.3g/kg乾燥空気となって状態で、空調対象空間Sへ導かれることとなる。
結果、本発明の空調システムでは、室外空気OA(第2気体)・室内空気RA(吸湿用空気)の流量を60m3/hに設定している状態で、空調対象空間Sから20℃(P6の観測点における温度)の室内空気RA(吸湿用空気)を取り出し、28.2℃の室外空気OA(第2気体)として空調対象空間Sへ導くことができ、180Wの暖房能力を発揮できている。このとき、実質加湿量は、480g/hとなる。
【0049】
さらに、本発明の空調システムにあっては、SOFC20の排熱を回収した第1処理空気PA1に加えて、補助バーナ33の排熱を回収した第2処理空気PA2(224℃、10.5m3/h)をも、混合器15へ導き、室外空気OA(第2気体)と混合することで、処理能力を向上させている。これにより、混合器15にて、室外空気OA(第2気体)を加熱する空気は、第1処理空気PA1と第2処理空気PA2とを合わせたものとなり、室外空気OA(第2気体)に供給される熱量が増加させる。結果、室外空気OA(第2気体)の流量を増加させることができる。この例では、室外空気OA(第2気体)の流量を100m3/hに設定している。室内空気RA(吸湿用空気)の流量に合わせるべく、100m3/hに設定している。
また、加湿機17にて噴霧する水量を、100g/hから220g/hへ増加する。
【0050】
この構成における、室外空気OA(第2気体)・室内空気RA(吸湿用空気)の状態変化は、図9の空気線図、図10の表に示す。
第2処理空気PA2の供給による特徴的な状態変化について説明すると、当該状態変化においては、特に、P2−P3の間において、100m3/hの大流量の室外空気OA(第2気体)が、混合器15にて第1処理空気PA1及び第2処理空気PA2と混合されることにより、室外空気OA(第2気体)は、32℃から23.6℃も昇温させることができ、55.6℃とんしている。
結果的に、室外空気OA(第2気体)・室内空気RA(吸湿用空気)の流量を100m3/hに設定している状態で、空調対象空気Sから20℃(P6の観測点における温度)の室外空気OA(吸湿用空気)を取り出し、39.2℃室外空気OA(第2気体)として空調対象空間Sへ導くことができ、740Wの暖房能力を発揮できている。このとき、実質加湿量は、930g/hである。
【0051】
〔別実施形態〕
上記実施形態では、補助バーナ33の排ガスEが保有する排熱は、排ガスEと第2処理空気PA2とを熱交換させる形態で、第2処理空気PA2にて回収し、当該第2処理空気PA2をデシカントロータ13の再生部13bの通気性吸湿体13cを通流させる形態で、デシカントロータ13を再生させた。
しかしながら、例えば、図11に示すように、補助バーナ33の排ガスEが保有する排熱は排ガスEを、デシカントロータ13の再生部13bの通気性吸湿体13cに直接通流させる形態で、デシカントロータ13を再生するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の空調システムは、燃料電池における電力の発生に伴って生じる水分を自己循環させながらも、燃料電池の排熱を利用してデシカント装置のデシカンロータを適切に再生して、適切に空調された空調用空気を空調対象空間へ供給可能な空調システムとして、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
〔符号表〕
RA :再生用空気
SA :空調用空気
PA1 :第1処理空気
PA2 :第2処理空気
R1 :第1空調流路
R2 :第2空調流路
R3 :第3空調流路
R4 :第4空調流路
S :空調対象空間
11 :第1四方弁
13 :デシカントロータ
13a :吸湿部
13b :再生部
13c :通気性吸湿体
14 :冷却器
15 :混合器
16 :第2四方弁
17 :加湿機
20 :SOFC
26 :第4排熱回収熱交換器
31 :貯湯槽
33 :補助バーナ
33a :補助排熱回収熱交換器
40 :第2デシカントロータ
40a :第2吸湿部
40b :第2再生部
40c :第2通気性吸湿体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原燃料を改質して水素を主成分とするガスを生成し、当該水素を主成分とするガスを用いて発電を行うとともに、発電に伴って発生する排熱を利用可能な燃料電池装置を備えるとともに、気体を回転駆動する通気性吸湿体からなるデシカントロータの吸湿部又は再生部を通流させ降温又は昇温させて空調用空気として空調対象空間へ供給するデシカント装置を備え、前記燃料電池装置の発電に伴って発生する排熱を前記デシカントロータの再生に用いる空調システムであって、
前記燃料電池装置による発電に伴って発生する排ガスと外部から取り込んだ第1処理空気とを熱交換させる空調用排熱回収熱交換器を備え、
前記空調用排熱回収熱交換器にて前記燃料電池装置の排ガスが保有する排熱を回収した第1処理空気を前記デシカントロータの前記再生部に直接通流させる形態で、前記デシカントロータの前記通気性吸湿体を再生するように構成されている空調システム。
【請求項2】
前記空調用排熱回収熱交換器は、前記第1処理空気として、前記燃料電池装置に供給する空気を前記燃料電池装置による発電に伴って発生する排ガスにて加熱するように構成され、
前記空調用排熱回収熱交換器を通流した空気の一部を前記燃料電池装置に供給するとともに、残りの一部の空気を前記デシカントロータの前記再生部に供給する分配手段を備えている請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記デシカント装置は、前記デシカントロータの前記再生部を通流して前記通気性吸湿体を再生する気体と、前記空調用排熱回収熱交換器にて前記燃料電池装置の排ガスが保有する排熱を回収した前記第1処理空気とを混合可能な第1混合手段を備えている請求項1又は2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記燃料電池装置による発電に伴って発生する排ガスが保有する排熱を回収した湯水を貯湯可能な貯湯槽と、前記貯湯槽から熱負荷に供給する湯水を加熱する補助加熱装置と、前記補助加熱装置の排ガスと第2処理空気とを熱交換させる補助排熱回収熱交換器とを備え、
前記補助排熱回収熱交換器にて前記補助加熱装置の排ガスが保有する排熱を回収した前記第2処理空気を前記デシカントロータの前記再生部に直接通流させる形態で、前記通気性吸湿体を再生するように構成されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の空調システム。
【請求項5】
前記デシカント装置は、前記デシカントロータの前記再生部を通流する気体と、前記補助排熱回収熱交換器にて前記補助加熱装置の排ガスが保有する排熱を回収した前記第2処理空気とを混合可能な第2混合手段を備えている請求項4に記載の空調システム。
【請求項6】
前記デシカント装置は、前記デシカントロータに加えて、前記デシカントロータの前記吸湿部を通流した気体を冷却用媒体との熱交換により冷却する冷却器と、気体を加湿可能な加湿機とを備え、
気体を前記デシカントロータの前記吸湿部及び前記冷却器を記載順に通流させて空調する第1空調流路と、気体を前記冷却用媒体として前記冷却器に導いた後に前記デシカントロータの前記再生部を通流させる第2空調流路とを形成可能に構成され、
第1気体を前記第1空調流路にて空調した後に前記加湿機にて加湿して空調用空気として前記空調対象空間へ導くとともに再生用空気を前記第2空調流路に通流させる第1運転状態と、第2気体を前記第2空調流路にて空調した後に前記加湿機にて加湿して空調用空気として前記空調対象空間へ導くとともに吸湿用空気を前記第1空調流路に通流させる第2運転状態とを、択一的に切り替える切替手段が設けられている請求項1乃至5の何れか一項に記載の空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−215334(P2012−215334A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80264(P2011−80264)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】