説明

窓板の装着方法と該方法に用いるガラスランチャンネル

【課題】車外側側壁部の巻き込みの発生を防止して効率よく窓板を窓枠に取り付けられたガラスランチャンネルの溝内に装着する方法を提供し、該方法に使用されるガラスランチャンネルを提供すること。
【解決手段】本発明により提供される窓板装着方法では、窓開口部をなす窓枠3の車外側部分5aの内向き部分の一部に欠如部100が形成され、ガラスランチャンネル30の車外側側壁部32の前記欠如部対応部分を外向きに移動させて該欠如部対応部分に拡大開口部110を形成する。そして拡大開口部110を維持しつつガラスランチャンネル30の溝40内に窓板7を挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアパネルに装備される窓板の装着方法、該窓板の装着方法を行う際に用いられるガラスランチャンネルに関する。
【背景技術】
【0002】
車体におけるスライドドア、フロントドア、リアドア等のドアパネル本体の上側に設けられる窓枠には、ガラスランチャンネル(ガラスラン、ランチャンネル、ランチャン、案内部材等とも呼称される。)が装備される。
ガラスランチャンネルは、ゴムや熱可塑性エラストマー等の弾性ポリマー材料を長尺に成形した横断面形状が略U字形の溝構成部材(長尺材)であり、窓枠の内部のガラスランチャンネル装着溝に装着され、窓板の昇降を案内する。窓板は、ドアパネル本体の上縁と窓枠とで包囲される窓開口部から窓枠に取り付けられたガラスランチャンネルの溝内に装着される。
【0003】
従来、窓枠が略四角形の枠形状(即ち、窓枠内の窓開口部に配置される窓板形状もまた略四角形状)である場合には、窓枠に装着されたガラスランチャンネルに窓板(窓ガラス)を装着する際のドアパネル(窓枠)に窓板を取り付ける作業を容易にすべく、ガラスランチャンネルの一部(特許文献1)或いは窓枠の一部(特許文献2)に切り欠きを形成したものが知られている。切り欠き部が窓枠における一方の側縁部の端部、例えば車体の左側面に配置される左リアドアパネルの窓枠の車外側からみて右下部に形成されている場合、窓板を後傾させてドアパネル本体の車外側から窓板を窓開口部に挿入し、当該窓板を反時計方向に回転させつつガラスランチャンネルの溝内に挿入していく。
【0004】
【特許文献1】特開2003−48431号公報
【特許文献2】特開平6−286465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の窓板挿入作業(ここでは上記と同様に左リアドアパネルの窓枠の車外側から見て右下部に切欠きが設けられている場合で説明する。)において、窓板をガラスランチャンネルの溝内に挿入しようとするときに、先ず窓板の左側縁の左下方の側縁を前側のガラスランチャンネルの溝内に挿入し、次いで右下方の側縁部をガラスランチャンネルに挿入する。このとき、窓板の右下方の側縁部がガラスランチャンネルに引っかかり、横断面形状が略U字形であるガラスランチャンネルの当該U字状の一辺を構成する車外側側壁部を車内側に巻き込む(本来、窓板の外側に位置すべき車外側側壁部が、窓板の装着作業の際に窓板に押されて変形し、窓板の内側に位置してしまう現象)虞があった。このような巻き込みが発生すると、巻き込まれた車外側側壁部を車外側の所定の位置(即ち対向する車内側側壁とともに窓板を車外側から挟持する位置)まで引き出す作業が必要になる。かかる巻き込み部分の引き出し作業は手間がかかるとともに窓板のドアパネル(詳しくはガラスランチャンネル)への装着作業の効率を低下させる要因となるため好ましくない。
【0006】
そこで本発明は、かかる窓板装着作業における従来の問題点を解決すべく創出されたものであり、上記巻き込みの発生を防止して効率よく窓板を窓枠に取り付けられたガラスランチャンネルの溝内に装着する方法を提供することを目的とする。また、該方法に使用されるガラスランチャンネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するべく本発明によって窓板を窓枠のガラスランチャンネルに装着する方法が提供される。
即ち、請求項1の発明は、車体のドアパネル本体と、該ドアパネル本体の上側に略門形をなして一体化されている窓枠とを備え、前記ドアパネル本体の上縁と前記窓枠とで略四角形の窓開口部が形成された車両ドアであって、前記窓枠の内部に、長手方向に沿って弾性ポリマー材料から成る基底部と、該基底部の幅方向両側から起立する車内側側壁部及び車外側側壁部とを有する横断面形状が略U字形をなす溝形状の長尺材に成形されたガラスランチャンネルが取り付けられた車両ドアにおいて、前記窓開口部から略四角形の窓板を前記ガラスランチャンネルの前記溝内に装着する方法である。
本方法において前記窓開口部をなす窓枠の車外側部分の内向き部分の一部には、窓開口を外向きに広げる欠如部が窓枠の長手方向に所定の長さだけ形成されている。
そして、本方法は、前記窓板を装着する前に、前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部を外向きに移動させて該車外側側壁部の先端を元の位置を越えて回転状に外向きに変位させ、この変位に伴ってガラスランチャンネルの前記欠如部対応部分に、通常時における前記溝形状よりも開口が拡大した拡大開口部を形成する工程と、前記変位させた状態で前記車外側側壁部の先端側を前記欠如部の縁を構成する窓枠部分及び/又は窓枠構成部材に着脱可能に係止させることによって前記ガラスランチャンネルの前記対応部分に形成した拡大開口部を維持する工程と、前記窓枠における前記欠如部が形成されている側の縁と前記窓開口部を介して対向する側の縁部に位置するガラスランチャンネルの溝内に、前記窓板の一方の縁を挿入すると共に、該窓板の他方の縁の角部を前記拡大開口部を通してガラスランチャンネルの溝内に挿入する工程と、前記窓板挿入工程の後に、前記外向きに変位させておいたガラスランチャンネルの前記係止を解除して前記車外側側壁部を元の位置に復帰させる工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
かかる構成の請求項1に記載の窓板装着方法では、前記窓枠の所定位置に形成されている前記欠如部において、ガラスランチャンネルの車外側側壁部における前記欠如部対応部分に前記拡大開口部を形成するとともに、当該車外側側壁部の先端側を前記欠如部の縁を構成する窓枠部分及び/又は窓枠構成部材(例えば窓枠の強度を補強するために窓枠に固着されている補強部材、即ちリンフォースメント)に着脱可能に係止させる。これにより、上述のように窓枠が略四角形の枠形状であっても、当該拡大開口部を介して容易に窓板をガラスランチャンネルの溝内に挿入することができる。
即ち、請求項1の窓板装着方法によると、ガラスランチャンネルの車外側側壁部の一部を変位させて拡大開口部を形成し、その拡大された開口状態を維持することによって、窓板装着作業中に当該窓板がガラスランチャンネルの車外側側壁部を車内側に巻き込むことを防止することができる。そして、ガラスランチャンネルの車外側側壁部に邪魔されることなく窓板装着作業を効率よく行うことができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の窓板装着方法において、前記ガラスランチャンネルには、前記車内側側壁部の更に車内側において長手方向に沿って該車内側側壁部から折り返し状に保持リップが形成されており、前記車内側側壁部と前記保持リップとの間に前記窓枠の車内側の一部を挟んで支持することを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項2の窓板装着方法では、ガラスランチャンネルの前記欠如部対応部分の車外側側壁部を変位させる際、ガラスランチャンネル全体が変位するのを防止することができる。
このため、請求項2の窓板装着方法によると、請求項1の窓板装着方法の奏する効果に加えて、窓板装着作業をより安定して行えるという効果が得られる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の窓板装着方法において、前記拡大開口部形成工程において、前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部の少なくとも先端が基底部を越える位置まで、回転状に外向きに該車外側側壁部の先端を変位させることを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項3の窓板装着方法では、ガラスランチャンネルの前記欠如部対応部分の車外側側壁部を比較的大きく変位させるため、窓板装着作業中に窓板とガラスランチャンネルの車外側側壁部との干渉を防止することができる。
このため、請求項3の窓板装着方法によると、請求項1又は2の窓板装着方法の奏する効果に加えて、窓板装着作業を更に容易に行えるという効果が得られる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの窓板装着方法において、前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部の表面に、粘着剤付きの剥離可能な保護フィルムを予め貼着しておき、前記車外側側壁部の先端側の前記係止は該フィルムを介して行われ、前記窓板を挿入した後に該フィルムを剥離することを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項4の窓板装着方法では、前記車外側側壁部の先端側を欠如部の縁を構成する窓枠部分及び/又は窓枠構成部材に着脱可能に係止する際、前記保護フィルムの介在によって当該係止に係るガラスランチャンネルの車外側側壁部の表面の傷付きを防止することができる。従って、請求項4の窓板装着方法によると、請求項1〜3のいずれかの窓板装着方法の奏する効果に加えて、車外側側壁部に傷や物理的な欠損を与えることなく、車外側側壁部の変位作業を行えるという効果が得られる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4の窓板装着方法において、前記フィルムの一部に前記車外側側壁部の表面から突出する突出部を形成しておき、前記フィルムを剥離する際は前記突出部を把持して該フィルムを剥離することを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項5の窓板装着方法では、前記フィルムの突出部を持って容易に当該フィルムを剥離することができる。従って、請求項5の窓板装着方法によると、請求項4の窓板装着方法の奏する効果に加えて、窓板挿入後に容易に前記保護フィルムを剥離できるため、より効率よく窓板装着作業が行えるという効果が得られる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4又は5の窓板装着方法において、前記保護フィルムとして、前記車外側側壁部への粘着力よりもフィルム基材への粘着力が大きい粘着剤付き保護フィルムを貼着することを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項6の窓板装着方法では、保護フィルムを車外側側壁部から剥がす際に車外側側壁部への粘着剤の付着残りが発生することを防止する。従って、請求項6の窓板装着方法によると、請求項4又は5の窓板装着方法の奏する効果に加えて、保護フィルムが剥がされたガラスランチャンネルの外観を損ねることなく窓板装着作業が行えるという効果が得られる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかの窓板装着方法において、前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部における前記欠如部に配置される部分を車外側から支持して該部分の車外側への変位を防止する支持部材を、該欠如部の車外側に取り付ける工程を更に含むことを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項7の窓板装着方法では、支持部材の取り付けによってガラスランチャンネルの車外側側壁部が車外側に変位するのを防止する。従って、請求項7の窓板装着方法によると、請求項1〜6のいずれかの窓板装着方法の奏する効果に加えて、ガラスランチャンネル本来の良好なシール性および良好な窓板ガイド性を保つことができるという効果が得られる。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかの窓板装着方法において、前記欠如部を車外側から覆う遮蔽部材を窓枠に取り付ける工程を更に含むことを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項8の窓板装着方法では、遮蔽部材(前記支持部材と同一部材であり得る。)の取り付けによって欠如部が遮蔽され、外部から欠如部が目視されない。従って、請求項8の窓板装着方法によると、請求項1〜7のいずれかの窓板装着方法の奏する効果に加えて、欠如部の露出によって美観が損なわれることを防止するという効果が得られる。
【0016】
また、本発明によって上述の窓板装着方法に好適に用いられるガラスランチャンネルが提供される。
即ち、請求項9の発明は、車体のドアパネル本体と、該ドアパネル本体の上側に略門形をなして一体化されている窓枠とを備え、前記ドアパネル本体の上縁と前記窓枠とで略四角形の窓開口部が形成された車両ドアであって、前記窓開口部をなす窓枠の車外側部分の内向き部分の一部に窓開口を外向きに広げる欠如部が窓枠の長手方向に所定の長さだけ形成されている車両ドアの該窓枠の内部に装着されるガラスランチャンネルである。
本ガラスランチャンネルは、前記窓枠の内部に長手方向に沿って取り付けられる弾性ポリマー材料から成る基底部と、該基底部の幅方向両側から起立する車内側側壁部及び車外側側壁部とを有する横断面形状が略U字形をなす溝形状の長尺材に成形されている。
そして本ガラスランチャンネルは、前記欠如部に対応する部分における前記車外側側壁部の表面には、粘着剤付きの剥離可能な保護フィルムが貼着されており、ガラスランチャンネルが前記窓枠内部に装着された際、前記欠如部に対応する部分の車外側側壁部が外向きに移動して該車外側側壁部の先端が元の位置を越えて回転状に外向きに変位したときに、前記フィルムが貼着された部分の該車外側側壁部の先端側が前記欠如部の縁を構成する窓枠部分及び/又は窓枠構成部材に着脱可能に係止させ得るように構成されていることを特徴とする。
【0017】
かかる構成の請求項9に記載のガラスランチャンネルでは、前記窓枠の所定位置に形成されている前記欠如部に対応する部位における前記車外側側壁部の表面に粘着剤付きの剥離可能な保護フィルムが貼着されている。このため、前記変位(即ち拡大開口部を形成するための変位操作)により車外側側壁部の先端側を欠如部の縁を構成する窓枠部分及び/又は窓枠構成部材に着脱可能に係止する際、前記保護フィルムの介在によって当該係止に係る車外側側壁部の表面の傷付きを防止することができる。従って、請求項9のガラスランチャンネルによると、車外側側壁部に傷や物理的な欠損が発生するのを防止しつつ窓板装着作業を効率よく行うことができる。
【0018】
請求項10の発明は、請求項9のガラスランチャンネルにおいて、前記保護フィルムの一部に前記車外側側壁部の表面から突出する突出部が形成されていることを特徴とするガラスランチャンネルである。
かかる構成の請求項10のガラスランチャンネルでは、前記フィルムの突出部を持って容易に当該フィルムを剥離することができる。従って、請求項10のガラスランチャンネルによると、請求項9のガラスランチャンネルの奏する効果に加えて、窓板挿入後に容易に前記保護フィルムを剥離できるため、より効率よく窓板装着作業が行えるという効果が得られる。
【0019】
請求項11の発明は、請求項9又は10のガラスランチャンネルにおいて、前記保護フィルムとして、前記車外側側壁部への粘着力よりもフィルム基材への粘着力が大きい粘着剤付き保護フィルムが貼着されていることを特徴とするガラスランチャンネルである。
かかる構成の請求項11のガラスランチャンネルでは、保護フィルムを車外側側壁部から剥がす際に車外側側壁部への粘着剤の付着残りが発生することを防止する。従って、請求項11のガラスランチャンネルによると、請求項9又は10のガラスランチャンネルの奏する効果に加えて、上記変位を伴う窓板装着作業後(保護フィルム剥離後)、粘着剤の付着残りによって外観を損ねることがないという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば押出成形等によるガラスランチャンネルの製造に関する一般的な事項)は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0021】
車体に取り付けられるドアパネルの一例として、いわゆるミニバンタイプの車両のリアドアとして取り付けられる左側面スライドドアを構成するドアパネル1を図1に示す。このスライドドア用ドアパネル1は、ドアの下部を構成する矩形状の金属製パネル本体2と、パネル本体2の上側において略門形状を構成する金属製の窓枠3とから構成されている。窓枠3は車体に装着された状態で前方垂直部分となる前枠部4と、後方垂直部分となる後枠部5と、それらの間で略水平に延びる天井水平部分となる上枠部6の3辺から構成される。そして、図示されるように、窓枠3(前枠部4、後枠部5、上枠部6)とパネル本体2の上縁部2aに囲まれて、略四角形の窓開口部8が形成されている。
【0022】
この窓枠3の内部には、3つの長尺状ガラスランチャンネル22,26,30と2つのコーナージョイント部材24,28(射出成形品)とを備える。
すなわち、窓枠3の前枠部4に配置される前方ガラスランチャンネル22と、上枠部6に配置される上側ガラスランチャンネル26と、後枠部5に配置される後方ガラスランチャンネル30とを有する。各ガラスランチャンネル22,26,30は、窓枠3の前後2箇所のコーナー部分に装着されるコーナージョイント部材24,28によって連結され、これらが一体となったガラスランチャンネル組立体を構成している。かかるガラスランチャンネル組立体は、押出成形した各ガラスランチャンネル22,26,30の端部に所定のコーナージョイント部材24,28を連結することによって構築することができる。窓板(窓ガラス)7は、窓開口部8から窓枠3の内部に取り付けられたガラスランチャンネル組立体のガイド溝40に装着される。このことは後述する。
【0023】
次に、本実施形態に係るガラスランチャンネル22,26,30自体の構造(横断面形状)とガラスランチャンネルが装着されるドアパネル側の構造について説明する。
図2は図1におけるII−II線断面図であり、後枠部5に配置される後方ガラスランチャンネル30の横断面図である。なお、以下は後方ガラスランチャンネル30についての説明であるが、後述する保護フィルム70の貼着を除いて前枠部4及び上枠部6に配置される各ガラスランチャンネル22,26も同じ横断面形状を有しており、重複した記載は省略する。
【0024】
図2に示すように、窓枠3(後窓枠5)は、車外側に配置されるアウターパネル5aと、車内側に配置されるインナーパネル5bと、それらの隙間に配置され、スポット溶接等の手段によって両パネル5a,5bに固定されているサッシュ部材10とから構成されている。サッシュ部材10は底壁部11と該底壁部11の両端から立ち上がる車外側フランジ12及び車内側フランジ18とからなる横断面U字状に成形された部材であり、ガラスランチャンネル30を挿入・装着する溝9(以下「ガラスラン装着溝9」という。)を構成する。なお、サッシュ部材10の両フランジ12,18の内面側には長手方向に凸条12a,18aが形成されている。
【0025】
図2に示すように、ガラスランチャンネル30は、長手方向に沿って弾性ポリマー材料から成る基底部31と、該基底部31の幅方向両側から起立する車外側側壁部32及び車内側側壁部38とを有する横断面形状が略U字形をなす溝形状に成形された長尺材である。両側壁部32,38に挟まれた凹みが窓板7の端部が挿入される溝40を構成する。
車外側側壁部32及び車内側側壁部38の先端部(自由末端部)には、それぞれ、窓板7の端部が溝40に挿入された際に当該窓板7に密接して車内への水の浸入を防止するための車外側シールリップ34及び車内側シールリップ35が車外側側壁部32及び車内側側壁部38の突出方向と交差する方向(ここではリップ先端が溝40内を向く方向)に形成されている。
また、車外側側壁部32の先端には、該車外側側壁部の突出方向と交差する方向(ここでは車外方向)に突出する突出リップ33が一体に形成されている。
また、車内側側壁部38の更に車内側において長手方向に沿って車内側側壁部38の先端から折り返し状に保持リップ36が形成されている。
【0026】
図示されるように、上記構成(横断面形状)のガラスランチャンネル30をサッシュ部材10の凹み、即ちガラスラン装着溝9に取り付ける。具体的には、基底部31がサッシュ部材10の底壁部11に当接するようにガラスランチャンネル30をガラスラン装着溝9内に押し込むようにして挿入する。
このとき、車外側側壁部32及び車内側側壁部38の外面に形成された係合用リップ(抜け止めリップ)32a,38aが凸条12a,18aをのり越えて挿入され、係合用リップ32a,38aが凸条12a,18aに係合する。これにより、ガラスラン装着溝9(サッシュ部材10)からのガラスランチャンネル30の脱落(抜け)や溝9内におけるガラスランチャンネル30の装着ずれの発生を防止することができる。
【0027】
また、本ガラスランチャンネル30は、ガラスラン装着溝9に取り付けられた際、図示されるように保持リップ36と車内側側壁部38とによって窓枠3の車内側の一部、即ちインナーパネル5bの端部及びサッシュ部材の車内側フランジ18を挟んで支持することができる。これにより、より強固にガラスランチャンネル30を所定位置に保持することができる。また、図示されるように、突出リップ33によってアウターパネル5aの内周側の先端を遮蔽することができるため、アウターパネル5aの内周側の先端の露出によって窓枠3とその周囲の美観が損なわれることを防止することができる。
【0028】
かかるガラスランチャンネル30の基底部31は、弾性ポリマー材料(EPDM等のゴム、熱可塑性エラストマー、合成樹脂材料等)から構成されている。好ましい弾性ポリマー材料としては、例えば、EPDMを主体とする加硫済みの非発泡の軟質ゴム(ソリッドゴム)又は非発泡の熱可塑性エラストマー(例えばオレフィン系、スチレン系、ビニル系)が挙げられる。前記ソリッドゴムは特に好ましく用いられる。
また、車内側側壁部38及び車外側側壁部32は、良好に変位し、また良好に元の形状に復帰する弾性ポリマー材料から形成されることが好ましい。例えば、前記基底部31と同一のEPDMを主体とする加硫済みゴムやオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の熱可塑性エラストマーにより形成されていることが特に好ましい。EPDM加硫済みゴムは、耐久性や耐候性に優れるため特に好ましい弾性ポリマー材料である。本実施形態はEPDM加硫済みゴムによって成形されている。
なお、ガラスランチャンネル30は、全体を同一の成形材料(弾性ポリマー材料)から形成してもよいし、部位毎に異なるポリマー材料を用いてもよい。2種以上の成形材料を用いる場合は、いわゆる共押出成形法によって所望のガラスランチャンネルを形成することができる。なお、押出成形法(共押出成形法)自体は本発明を特徴付けるものではないので、詳細な説明は省略する。
【0029】
次に本発明を特徴付ける欠如部100について説明する。図1及び図3に示すように、窓枠3(後枠部5)の下部(即ちパネル本体上縁部2aに隣接する部分)において、車外側部分の内向き部分の一部に窓開口部8を外向き(ここではリアスライドドア1の後ろ方向)に広げる欠如部100が窓枠3の長手方向に所定の長さ(この実施形態では後枠部5の鉛直方向の約3分の1の長さ)だけ形成されている。
具体的には、図3に示すように、欠如部100においてアウターパネル5aは、当該部位においてサッシュ部材10の底壁部11が露出するように底壁部11よりも後方まで外向きに切り欠かれている。具体的には、ドアパネル本体2の上縁部2aに沿って水平に切り欠かれた下側切欠き縁114と、該下側切欠き縁114から上方に向けて直線状に切り欠かれた後側切欠き縁115と、該後側切欠き縁115の上端から斜めに切り欠かれた上側切欠き縁112とが形成されており、図示されるようにこれら切欠き縁112,114,115とサッシュ部材10の底壁部11との間に切欠き内部空間117が生じるように欠如部100が構成されている。
また、図3に示すように、かかる欠如部100に対応するサッシュ部材10の車外側フランジ12も、同様に外向きに切り欠かれている。具体的には、車外側フランジ12の欠如部100における切欠き領域は、図示されるように、パネル本体2の上縁部2aに沿ってアウターパネル5aの下側切欠き縁114と一致する水平に切り欠かれた下端切欠き縁104と、該下端切欠き縁104から上方に向けて車外側フランジ12のほぼ全体を除去するように底壁部11の車外側の端に沿って鉛直方向に直線状に切り欠かれた直線状切欠き縁103と、該直線状切欠き縁103の上方端から徐々に車外側フランジ12の底壁部11から高さ方向の残存部分が漸増するように斜めに切り欠かれ且つアウターパネル5aの上側切欠き縁112と一致する上端切欠き縁102とによって画定される。
【0030】
上述の通り、欠如部100において、窓枠3(後枠部5)のアウターパネル5aとサッシュ部材10の車外側フランジ12とがともに切り欠かれている結果、当該欠如部100においてガラスラン装着溝9に装着された状態でのガラスランチャンネル30(特に車外側側壁部32)を露出させることができる。また、欠如部100における窓枠(車体)内外方向の開口幅(即ちサッシュ部材の底壁部11と後側切欠き縁115との間の距離)を適切に調整することによって、後述するように車外側側壁部32の先端を元の位置(図4において二点鎖線で示す位置)を越えて回転状に外向きに変位させ、この変位に伴ってガラスランチャンネル30の欠如部対応部分(即ち露出部分)において通常時のU字形状を保持した状態の溝40形状よりも開口が拡大した拡大開口部110を形成することができる。
【0031】
また、図3に示すように、本実施形態に係る欠如部100の外周縁(切欠き縁)は鋭い突起状の角部(典型的には鋭角となる角部)が生じないように形成されている。特に欠如部100の上端である上端切欠き縁102と車外側フランジ12の上縁との境界が曲面となるように形成されており、同様に上側切欠き縁112と後側切欠き縁115との境界も曲面となるように形成されている。鋭角部分が存在しないことにより、後述のようにして車外側側壁部32の先端を元の位置を越えて回転状に外向きに変位させた際に鋭い角部が当たって当該車外側壁部32が破損する(例えば穴があく)ことを未然に防止することができる。
【0032】
本実施形態に係るガラスランチャンネル30は、車外側側壁部32における欠如部対応部分(即ち露出している部分)に保護フィルム70を備える。具体的には、図4の断面図に示すように、ガラスランチャンネル30の車外側側壁部32の先端側、本実施形態では突出リップ33及び車外側シールリップ34を含む先端部分の表面に保護フィルム(粘着シート)70が貼着されている。
なお、保護フィルム70としては、ガラスランチャンネル30の車外側側壁部32を構成する材料に接着し得る種々の粘着剤とフィルム基材とから構成される片面粘着タイプの粘着シートを用いることが好ましい。車外側側壁部32への粘着力よりもフィルム基材への粘着力が大きい粘着剤付き保護フィルムが特に好ましい。例えば、車外側側壁部32がTPO等の熱可塑性エラストマーから構成されている場合、ポリエステル等の比較的硬質な樹脂成形フィルム基材の片面にアクリル系粘着剤からなる粘着層(特に発泡体層が好ましい)が形成された粘着シート(例えば住友スリーエム社製品:商品名ベータテープ♯5076)を好適に使用することができる。
なお、かかる保護フィルム(粘着シート)の製造方法自体は本発明を特徴付けるものではないので、詳細な説明は省略する。
【0033】
また、図4に示すように、この保護フィルム70には、車外側側壁部32の先端部分33,34の表面に貼着されている貼着本体部74から外方に突出する突出部(把持部)72が形成されている。この突出部72は作業者が手で掴んで操作する部分である。かかる突出部72が設けられていることにより、窓板装着作業終了後に、速やかに且つ容易に保護フィルムを剥離することができる。突出部72は、例えば図示されるように、貼着本体部74の粘着面同士を貼り合わせることによって容易に形成することができる。
【0034】
次に、上記保護フィルム付きガラスランチャンネル30を含むガラスランチャンネル組立体に窓板を装着する方法について詳細に説明する。
窓板7を窓枠3へ挿入する前に、欠如部100において露出するガラスランチャンネル30の車外側側壁部32を変位させて拡大開口部110を形成する。具体的には、作業者は、欠如部100に対応するガラスランチャンネル30の車外側側壁部32をアウターパネル5a側に捲るように開いていく。具体的には、図4に示すように、サッシュ部材に装着された状態の車外側側壁部32の先端を元の位置を越えて回転状に外向き(図4の矢印のOP方向)に変位させる。
【0035】
図示されるように、この変位に伴ってガラスランチャンネル30の欠如部対応部分に、通常時におけるU字状の溝形状よりも開口が拡大した拡大開口部110が形成される。本実施形態では、車外側側壁部32の少なくとも先端が基底部31を越える位置(図4の二点鎖線で示す位置)まで、回転状に外向きに車外側側壁部32を変位させている。
【0036】
ここで本実施形態では、図4に示すように、車外側側壁部32の根元部分であって上記回転変位時の回転中心Rから車外側側壁部先端までの距離:D1よりも、該回転中心Rからアウターパネル5aの後側切欠き縁115までの距離:D2が若干小さくなる(D1>D2)ように欠如部100を形成している。
このため、図4に示すように、外向き(図4の矢印のOP方向)に回転変位させた車外側側壁部32の先端部分をアウターパネル5aの欠如部100の後側切欠き縁115に圧接させて係合させることができる。具体的には、車外側側壁部32の先端部分がアウターパネル5aの後側切欠き縁115に当たってもなお回転変位を続ける(即ち作業者からの応力が加えられ続ける)ことにより、車外側側壁部32が撓み、その弾性力によって切欠き縁115に圧接される。
これにより、作業者が何も力を加えない状態(典型的には車外側側壁部32から手を離した状態)としても、図4に示す拡大開口部110の形成状態を維持することができる。
このとき、保護フィルム70が車外側側壁部32の表面に貼着されているため、かかる保護フィルム70がバリアとなって車外側側壁部32に傷が付くことを防止する。
なお、かかる拡大開口部110が形成・維持された状態であっても、図示されるようにインナーパネル5b及びサッシュ部材10の車内側フランジ18を車内側側壁部38と保持リップ36との間に挟んで支持しているため、ガラスランチャンネル30全体が変位するのを防止でき、ガラスランチャンネル30の装着状態には影響を与えない。
【0037】
そうして拡大開口部110を維持した状態としておき、窓板7(ここではほぼ四角形状の窓枠に対応する四角形状の窓ガラス)を窓開口部8を通して窓枠3に装着されたガラスランチャンネル(ガラスランチャンネル組立体)の溝内に装着する。詳述すれば以下の通りである。
図1に示すように、窓枠に装着したガラスランチャンネル30が上記拡開されずに通常の状態(フリー状態)であるとき、図1に示す前方ガラスランチャンネル22の基底部(図示せず)と後方ガラスランチャンネル30の基底部31との間の長さ:LCと、窓板7の横幅の長さ:LWと、前方ガラスランチャンネル22の車外側側壁部(図示せず)の先端部(自由末端部)と後方ガラスランチャンネル30の車外側側壁部32の先端部(自由末端部)との間の長さ:LSとは、「LS<LW≒LC」の関係にある。さらに図4に示すように、LCは、LC=LS+2×H(ここでHは基底部から車外側シールリップまでの長さ)の関係にある。従って、拡大開口部110を設けない場合には、LS<LWの関係によって、窓板7をガラスランチャンネルの溝40内に挿入(装着)することはできない。
【0038】
しかし、一方の窓枠側面(ここでは後枠部5)において拡大開口部110が形成されることにより、上記長さの関係に縛られずに窓板7を車外側から拡大開口部110を利用して所望する方向に傾けながら窓開口部8に導入し、窓枠3に取り付けられているガラスランチャンネル22,30の溝40に装着することができる。具体的には、欠如部100が形成されている後枠部5の縁と窓開口部8を介して対向する前枠部4の縁に位置する前方ガラスランチャンネル22の溝内に窓板7の一方の縁を挿入すると共に、窓板7の他方の縁の角部を拡大開口部110を通して後方ガラスランチャンネル30の溝40内に挿入する。このとき、拡大開口部110が形成されている結果、窓板7装着時に欠如部100における車外側側壁部32の車内側への巻き込みを防止し、効率よく容易に窓板を挿入することができる。次いで、窓板7をガラスランチャンネル22,30の溝40内に沿わせて徐々に下方に移動させ、ドアパネル1内に備えられている図示しないウインドウレギュレーターの窓板保持部に係合させて固着する。以上で窓板の装着が完了する。
【0039】
窓板7の装着が完了した後、作業者は上記係止状態の車外側側壁部32を握って当該係止を解除する。即ち、作業者は、図4の矢印のCL方向に車外側側壁部32を内向きに移動させることによって車外側側壁部32とアウターパネル5aの後側切欠き縁115との係止を解除することができる。これにより、車外側側壁部32は元の形状(図4に実線で示す位置)に復帰することができる。
【0040】
そして、突出部72を持って保護フィルムを容易に且つ迅速に引き剥がす。このとき、保護フィルムの粘着剤が車外側側壁部32への粘着力よりもフィルム基材への粘着力が大きいため車外側側壁部32への粘着剤の付着残りが発生せず、完全に保護フィルム70を剥離することができる。
【0041】
以上、本実施形態に係る窓板装着方法について詳細に説明したが、この形態に限られない。
例えば、窓板装着の後工程として、ガラスランチャンネル30の車外側側壁部32における欠如部100に配置される部分(即ち露出部分)を車外側から支持して該部分の車外側への変位を防止する支持部材を欠如部100の車外側に取り付けてもよい。
或いは、窓板装着の後工程として、欠如部100を車外側から覆う遮蔽部材を窓枠3に取り付けてもよい。
例えば、図1に示す別体のカバー部材120を後枠部5のアウターパネル5aの表面に取り付けてもよい。具体的には、欠如部100におけるアウターパネル5aの切欠き縁115にカバー部材120の係止片124を係止させると共に、後枠部5のアウターパネル5a表面に設けられた取付孔116にカバー部材120の裏面から突出する位置決めボス兼止め具122を挿入して固定することにより、カバー部材120をアウターパネル5a表面に取り付ける。カバー部材120は、後枠部5と同じ材質から成形されており、後枠部5と同じかそれよりも小さい幅の平板部材であり、少なくとも欠如部100におけるパネル切欠き部分を全て被覆し得るサイズに成形されている。従って、このようなカバー部材120は上記遮蔽部材として好適である。また、カバー部材120の装着によって車外側側壁部32の車外側への変位が防止されるため、かかる構造のカバー部材120は上記支持部材としても好適である。
【0042】
以上、本発明の具体例を図面を参照しつつ詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上述の実施形態では、リアドアとして取り付けられる左側面スライドドア用パネルの後枠部に欠如部を設けた例で説明したが、車体の他の部分に取り付けられるドアパネル(フロントドアや右側面のリアドア)に適用可能なことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係るガラスラン製品が取り付けられた状態の車体ドアパネルと窓枠を示す車外側側面図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】欠如部におけるサッシュ部材の状態を示す斜視図である。
【図4】図1中のIV−IV線断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 ドアパネル
2 パネル本体
2a 上縁部
3 窓枠
4 前枠部
5 後枠部
5a アウターパネル
5b インナーパネル
7 窓板
8 窓開口部
9 ガラスラン装着溝
10 サッシュ部材
11 底壁部
12 車外側フランジ
18 車内側フランジ
22 前方ガラスランチャンネル
26 上側ガラスランチャンネル
30 後方ガラスランチャンネル
31 基底部
32 車外側側壁部
38 車内側側壁部
40 溝
70 保護フィルム
72 突出部(把持部)
74 貼着本体部
100 欠如部
110 拡大開口部
112 上側切欠き縁
114 下側切欠き縁
115 後側切欠き縁
120 カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のドアパネル本体と、該ドアパネル本体の上側に略門形をなして一体化されている窓枠とを備え、前記ドアパネル本体の上縁と前記窓枠とで略四角形の窓開口部が形成された車両ドアであって、前記窓枠の内部に、長手方向に沿って弾性ポリマー材料から成る基底部と、該基底部の幅方向両側から起立する車内側側壁部及び車外側側壁部とを有する横断面形状が略U字形をなす溝形状の長尺材に成形されたガラスランチャンネルが取り付けられた車両ドアにおいて、前記窓開口部から略四角形の窓板を前記ガラスランチャンネルの前記溝内に装着する方法であって、
前記窓開口部をなす窓枠の車外側部分の内向き部分の一部には、窓開口を外向きに広げる欠如部が窓枠の長手方向に所定の長さだけ形成されており、
前記窓板を装着する前に、前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部を外向きに移動させて該車外側側壁部の先端を元の位置を越えて回転状に外向きに変位させ、この変位に伴ってガラスランチャンネルの前記欠如部対応部分に、通常時における前記溝形状よりも開口が拡大した拡大開口部を形成する工程と、
前記変位させた状態で前記車外側側壁部の先端側を前記欠如部の縁を構成する窓枠部分及び/又は窓枠構成部材に着脱可能に係止させることによって前記ガラスランチャンネルの前記対応部分に形成した拡大開口部を維持する工程と、
前記窓枠における前記欠如部が形成されている側の縁と前記窓開口部を介して対向する側の縁部に位置するガラスランチャンネルの溝内に、前記窓板の一方の縁を挿入すると共に、該窓板の他方の縁の角部を前記拡大開口部を通してガラスランチャンネルの溝内に挿入する工程と、
前記窓板挿入工程の後に、前記外向きに変位させておいたガラスランチャンネルの前記係止を解除して前記車外側側壁部を元の位置に復帰させる工程と、
を含むことを特徴とする、窓板装着方法。
【請求項2】
前記ガラスランチャンネルには、前記車内側側壁部の更に車内側において長手方向に沿って該車内側側壁部から折り返し状に保持リップが形成されており、
前記車内側側壁部と前記保持リップとの間に前記窓枠の車内側の一部を挟んで支持することを特徴とする、請求項1に記載の窓板装着方法。
【請求項3】
前記拡大開口部形成工程において、前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部の少なくとも先端が基底部を越える位置まで、回転状に外向きに該車外側側壁部の先端を変位させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の窓板装着方法。
【請求項4】
前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部の表面に、粘着剤付きの剥離可能な保護フィルムを予め貼着しておき、前記車外側側壁部の先端側の前記係止は該フィルムを介して行われ、前記窓板を挿入した後に該フィルムを剥離することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の窓板装着方法。
【請求項5】
前記フィルムの一部に前記車外側側壁部の表面から突出する突出部を形成しておき、前記フィルムを剥離する際は前記突出部を把持して該フィルムを剥離することを特徴とする、請求項4に記載の窓板装着方法。
【請求項6】
前記保護フィルムとして、前記車外側側壁部への粘着力よりもフィルム基材への粘着力が大きい粘着剤付き保護フィルムを貼着することを特徴とする、請求項4または5に記載の窓板装着方法。
【請求項7】
前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部における前記欠如部に配置される部分を車外側から支持して該部分の車外側への変位を防止する支持部材を、該欠如部の車外側に取り付ける工程を更に含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の窓板装着方法。
【請求項8】
前記欠如部を車外側から覆う遮蔽部材を窓枠に取り付ける工程を更に含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の窓板装着方法。
【請求項9】
車体のドアパネル本体と、該ドアパネル本体の上側に略門形をなして一体化されている窓枠とを備え、前記ドアパネル本体の上縁と前記窓枠とで略四角形の窓開口部が形成された車両ドアであって、前記窓開口部をなす窓枠の車外側部分の内向き部分の一部に窓開口を外向きに広げる欠如部が窓枠の長手方向に所定の長さだけ形成されている車両ドアの該窓枠の内部に装着されるガラスランチャンネルであって、
前記窓枠の内部に長手方向に沿って取り付けられる弾性ポリマー材料から成る基底部と、該基底部の幅方向両側から起立する車内側側壁部及び車外側側壁部とを有する横断面形状が略U字形をなす溝形状の長尺材に成形されており、
前記欠如部に対応する部分における前記車外側側壁部の表面には、粘着剤付きの剥離可能な保護フィルムが貼着されており、
ガラスランチャンネルが前記窓枠内部に装着された際、前記欠如部に対応する部分の車外側側壁部が外向きに移動して該車外側側壁部の先端が元の位置を越えて回転状に外向きに変位したときに、前記フィルムが貼着された部分の該車外側側壁部の先端側が前記欠如部の縁を構成する窓枠部分及び/又は窓枠構成部材に着脱可能に係止させ得るように構成されていることを特徴とする、ガラスランチャンネル。
【請求項10】
前記保護フィルムの一部に前記車外側側壁部の表面から突出する突出部が形成されていることを特徴とする、請求項9に記載のガラスランチャンネル。
【請求項11】
前記保護フィルムとして、前記車外側側壁部への粘着力よりもフィルム基材への粘着力が大きい粘着剤付き保護フィルムが貼着されていることを特徴とする、請求項9または10に記載のガラスランチャンネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−6788(P2009−6788A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168753(P2007−168753)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】