説明

端壁モジュール

【課題】一方で軽量で、且つ他方で非常に良好な遮音性を有すると共に特に衝突の場合に安全性を高められる複数の自動車用の1つの端壁モジュールを提供すること。
【解決手段】1つの全体の端壁モジュールが、第一壁上に第一リブ構造を有するとともに第二壁上に第二リブ構造を有していて、端壁のまだ変形していない搭載状態で第一及び第二のリブ構造が互いに距離をおいており(即ち、直接係合しておらず)、また端壁モジュールの少なくとも一つの変形した状態で(例えば、端壁モジュールの曲げを伴う正面衝突の場合)第一及び第二のリブ構造が互いに確実に噛み合って係合されるようにリブ構造が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提命題部に係る1台の自動車用の1つの端壁モジュール(『前方壁モジュール』又は『隔壁モジュール』としても知られている)に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の自動車用の複数の端壁は、原則的に公知である。そのような端壁の主な働きは、複数の自動車に係る車両内部に対してモータ空間を分離することである。この端壁モジュールは、特に最近の高品質な複数の自動車に関する特別な要求に合致しなければならない。これらの要求は、一方でモータ空間から自動車内部にかけての良好な遮音性能と、更に車両の長手軸線周りの捩り振動を低減するできるだけ優れた[車]体剛性とを含んでいる。これらの要求にも拘らず、端壁モジュールは、ただただ軽量であるべきである。
【0003】
少なくとも複数の領域において、1つのサンドイッチ構造を有した複数の端壁モジュールや複数の端壁を設けることは知られている。即ち、1つの第一壁が設けられると共に、これに対して距離をおいた1つの第二壁が設けられている。これらの壁は、1つの比較的『硬い』発泡層を介して結合されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この設計は、完成した設計について比較的高い剛性を確保しているが、しかし音響伝達に関する特性は不十分である。その比較的『硬い』発泡体は、モータ空間から車両内部にかけて振動の直接的な構造起因の音響伝達を行う。1つの比較的『柔らかい』発泡体を設けると、特に衝突の場合に、車両の搭乗者の保護が不十分になる程度まで設計の安定性が低減されることになる。
【0005】
従って、本発明の目的は、一方で軽量で、且つ他方で非常に良好な遮音性を有すると共に特に衝突の場合に安全性を高められる複数の自動車用の1つの端壁モジュールを提供するものである。
【0006】
独立請求項に係る1つの端壁モジュールが、この目的を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、1つの全体の端壁モジュールが、第一壁上に第一リブ構造を有するとともに第二壁上に第二リブ構造を有していて、端壁のまだ変形していない搭載状態で第一及び第二のリブ構造が互いに距離をおいており(即ち、直接係合しておらず)、また端壁モジュールの少なくとも一つの変形した状態で(例えば、端壁モジュールの曲げを伴う正面衝突の場合)第一及び第二のリブ構造が互いに確実に噛み合って係合されるようにリブ構造が形成されていると言う事実によって達成される。
【0008】
複数のリブ構造を介した構造起因の音響伝達は、かくして、それらの距離を隔てたことによって防止される。空気中の音響伝達は、二つの壁の間に存在する腔所によって遮断される。従って、確実に二重壁によって、一方で良好な音響減衰と遮音とが(適切な捩れ強度と共に)行われ、更に衝突の場合に、リブ構造の係合によって幾何学的慣性モーメントが特に曲げの際に大幅に増大することになり、その結果モータ空間から車両内部への複数の構成部品の侵入が防止される。
【0009】
力が伝達(導入)された場合、かくして力に最も近いカバー層の曲げが、両カバー層(壁)のリブが互いに接触するまで生じる。同時に、複数のリブ構造は、それらが互いに通り過ぎて摺動することのないように適切な輪郭形成によって案内される。両方のカバー層の複数のリブが『ブロック』を構成してしまった後は、両方のカバー層は、スタイナー要素によって著しくより高い曲げ剛性を持った一構成要素として見做されることになる。正規の適用の場合、両方のカバー層は、互いの間で構造起因の音響の伝達が起きないように接触していない。このように、音響特性の改善、素材の節約の可能性、遮音効果とサンドイッチシステム効果との組合せ、及び中間空間に存在させることができる発泡体と内部に在る複数のリブとの間における付加的なエネルギー吸収などが本発明の効果として掲げられる。
【0010】
更に、本発明の設計が従属請求項に説明されている。
【0011】
端壁の一つの更に別の設計は、各他方の壁に対して遠い側で第一及び/又は第二の壁に配列されている空調構成要素などの構成要素を想定している。これによって、壁がこれらの構成要素と共にいわば『スプリング−質量システム』として作用するように質量体が該壁に結合されている。対応した壁の曲げ剛性も高める複数のリブ構造によって、曲げ振動が壁自身の内部で起きないように壁が強化される。従って、複数のリブ構造によって確実に、全体の壁(又は所望の部分)が『ユニット』として振動し、またこれによって、結合された複数の構成要素の質量が、いわば『音響的に効果がある』ようにしている。同時に、もし複数の付属構成要素の重量が2Kg/mの面重量よりも重ければ特に有利である。特に、重量結合と組み合わさった強度の強化によって、全端壁は、スプリング−質量システムとし見られ、従ってモータ空間から生じる振動を受けることがより少ない。このような対策は、特に旧式の1つの所謂『重いマット』(3.5から6Kg/mを有する)を用いることができ、その唯一の役割は、音響的に有効な質量を増やすことであるが、しかし、それは他方でそうでもなければ不必要なバラストのために自動車の燃料消費値を増やすことになる。
【0012】
更に別の有利な構成は、第一壁と第二壁の間の中間空間に配置された発泡体(ポリウレタン発泡体など)や腔所を想定している。例えば、ほぼ気密な状態で限られることになる腔所の場合、空気中の音響伝達は最少に低減される。更に、構造起因の音響伝達は、互いに複数のリブ構造が結合していないために低減されている。発泡体は、更に全中間空間を満たすこともできる(この場合、比較的『柔軟な発泡体』が、構造起因の音響の伝達を低く保つために選択されるべきである)。
【0013】
更に別の有利な構成は、複数のウェブを有した第一及び/又は第二のリブ構造を想定している。これらの複数のウェブは、『棒状』にされたり、真っ直な状態で各他方の壁に向けられて整列されたり、そのいずれかにされる。しかし、もしこれら複数のウェブが(例えば、一定の横断面を有していて)より長い長さに渡って直交した状態で突出して第一又は第二の壁上に起立していればより良い。これによって確実に、このリブ構造が、複数の壁の剛性を高めるようにされている。同時に、更に複数のウェブも、何ら付加的な音響源を生じさせないように壁に対して振動しない。
【0014】
同時に、例えば第一リブ構造は、常に同じ長さの(即ち、第二壁に向かった空間方向において)複数のウェブを有することが可能である。この場合、複数のウェブは、いわば『中央線まで』通っている。これによって、両方の壁の剛性は相対的に等しい高さに設計されている。
【0015】
しかし、各場合の第一リブ構造は、第二壁に向かった方向に異なった長さを有することもできる。これによって、例えば端壁モジュールを製造する際に、1つの『発泡体の湾曲部』の挿入を簡略にするのに成功した。
【0016】
更に、例えば対向壁上に補完方式で与えられるこのような『歯合』によって、更により高い安定性が、端壁モジュールの剪断応力に関して確保される。
【0017】
一つの特に有利な設計は、1つのリブ構造の複数のウェブ間の距離が2mmから200mmの間、好ましくは4mmから25mmの間と想定している。
【0018】
一つの更に別の特に有利な設計は、各対向壁を向いた面の上の(かくして、それらの端面上の)複数のウェブがそれらの通っている方向に複数の曲率及び/又は複数の鋭い湾曲を有するものと想定している。これによって、いわば『多次元』設計が達成される。一方で、複数の鋭い湾曲や複数の曲率は、壁面の平面に平行な一空間方向に(例えば、ジグザグなコースで)配列される。他方で、1つの鋭い湾曲や曲率が、壁面の平面に直交して存在できる(これは、実際には、ウェブが配列されている壁に対してそのコースに渡って異なった複数の高さを有すると言う効果を持つ)。複数の曲率や鋭い湾曲に関して、向かい合った複数のリブ構造のイベントでより優れた『イターロック』を達成するのに成功している。同時に、対向した複数のリブ構造の確実な嵌合と対応した変形とが与えられるように、複数の鋭い湾曲や曲率が補完的になっていることは明らかである。
【0019】
第一リブ構造の複数のウェブが、第二の複数のリブの構造に指向したそれらの端部に凹形状や凸形状を有するのが有利である。このために補完的になっている複数のウェブは、適切な補完構造を有している。横断面における複数のウェブの複数の端部は、一点に指向して(例えば、1つの三角形の横断面で)収斂したり、又は1つの球状横断面を有するように成形される。
【0020】
別の一つの可能性は、複数のウェブを有した第一リブ構造と、これらのウェブを収容するための第二の複数のリブ構造腔所とを想定している。複数のリブ構造は、ここではいわば『複数のトリガー』として設計されている。1つの第一リブ構造は、例えば中央に各壁まで1つの腔所を有している対向したリブ構造内に圧入する。衝突で、複数のウェブを備えた1つのリブ構造は、対向したリブ構造の腔所内に突入し、同時にエネルギーを吸収する。摩擦作業が複数の腔所内への突入時に達成されて、それが衝突エネルギーを消費するように、もし複数のウェブが、対応した複数の腔所に対して若干横に大きな寸法を有すれば特に有利である。これに関して、複数の腔所の複数の内側又は複数のウェブの複数の外側にも、1つの粗面(微細ロック)又は対応した大きなロックエレメントが設けられる。これによって、複数の腔所内に複数のウェブが完全に入り込んだ後に両壁を特に堅固に結合させることに成功しているが、その結合は分離不能であり、その幾何学的慣性モーメントは複数の壁同士が変位できないことで特に高くなっている。
【0021】
一つの更に別の有利な設計は、第一と第二のリブ構造の間に最小のギャップ幅を0.5mmと5mmの間、好ましくは1mmから2mmと想定している。これによって、確実に構造起因の音響が、第一壁又は第二壁の僅かな振動によっても第一と第二の壁の間で伝達されないようにしている。
【0022】
更に別の有利な設計は、第一壁に対して遠い側における第二壁の面積が、第二壁に対して遠い第一壁の側における第一壁よりも10%、好ましくは20%、特に好ましくは30%だけより大きな表面(面積)を有しているものと想定している。これは、自動車の[車]体に設けられた端壁モジュールを境界するための1つの搭載部内に端壁モジュールが導入される場合に特に重要である。この場合、端壁モジュールは、少なくとも一方向から(例えば、車両内部から)単に端壁搭載部内に挿入されるだけである。同時に第二壁の寸法を面積に対して大きくすることで、端壁搭載部との接触面によって特に良好な強度を確保している(これは、端壁搭載部が端壁モジュールに接着されると共に更にネジ止めされることで特に高められる)。ここでは、局部的に突出した表面シエア(部分)の領域に強度を高める(補強する)複数のリブを更に設けることは、例えば第一壁に対して遠い第二壁の側で特に有利である。これによって、第二壁の非常に音響的に効果のある質量が第二壁の縁領域まで有効であることに成功している。
【0023】
一つの特に有利な設計は、第一及び/又は第二の壁、及び/又は複数のリブ構造がプラスチック又は金属からできているものと想定している(ここでは、恒久的に140℃よりも高い温度で温度安定性を有した複数の材料を用意するべきである)。壁と複数のリブ構造とは一体と成っていることが有利である。これで、例えば射出成形方法による製造が行われるとより有利な位置が与えられる。勿論、二部品式の設計も可能である。複数の金属や、特に複数のプラスチックが材料として考慮されている。ポリプロピレン、ポリエステル(例えば、PETやPBTなどの)、ポリアミド、又はポリエチレンがプラスチックとして考えられており、全てがグラスファイバーのシエア(構成成分)の重量比で30から50%となっている。複数のカーボンファイバーや複数のアラミドファイバーが、しかるべく付加される。プラスチックによる第一又は第二の壁の壁厚は、好ましくは1から6mmであり、3mmが特に好ましい。弾性率は8000から12000メガパスカルとなっている。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、付加的に取付られたハニカム構造に対しては異なった方式で、複数の高い剪断力が端壁の外側で吸収され得るものであり、従って全体として何らそれ程高いトータルの幾何学的慣性モーメントが結果的に生じることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の更に有利な複数の構成は、残りの複数の従属請求項で扱われている。
【0026】
図1aは1台の自動車用の1つの端壁モジュール1を通った横断面の1つの破断片を示している。その端壁モジュールは、1つの第一壁3aとこれと隔たった1つの第二壁3bとを有している。第一壁3aは、1つのリブ構造4aを有している。第二壁3bは、1つの第二リブ構造4bを有している。
【0027】
第一リブ構造4aは、図の平面に直交した方向に長さが延びた複数のウェブ8aを有している。第一リブ構造は、更に、これに対して交差している複数の強化ウェブ7を第一壁3a上に有している。複数のウェブ8aは、第二壁3bに指向しているそれらの端に三角形の先端を有している。第二壁3bも同様に第二リブ構造4bに属した複数のウェブ8bと、これに対して交差する複数の同様な強化ウェブ8bとを有している。これらのウェブ8bは、第一壁3aに指向している端に、複数のウェブ8aの先端に対して補完的で横断面が同じ三角形の形状を有していて、特に窪んだ(凹み)形状となっている。ウェブ8の先端とウェブ8bの受け部との間にギャプが存在しており、少なくとも0.5と5mmの間の大きさと成っている。
【0028】
図1aにおける端壁モジュールは、更に発泡体領域6を示している。ここでは、ポリウレタン発泡体の場合となっている。更により優れた遮音のために、第一と第二の壁の間の領域は、更に、複数の領域で脱気されている。
【0029】
かくして、図1aに係る端壁モジュールに関して、それは第一と第二の壁と各複数のリブ構造とを備えた1つの端壁モジュールの場合であって、そこでは複数のリブ構造は、図1aに示された搭載状態の端壁モジュールの変形されていない状態において、第一と第二のリブ構造が互いに距離を取るように形成されている。端壁モジュールの曲げ負荷が与えられた場合に、複数のリブ構造の向かい合って存在しているウェブ8aと8bがどのように互いに係合するようになるかが後で説明される(図2を参照)。
【0030】
図1aにxで示されているように個々のウェブ8aの間の距離は、3と6mmの間となっている。選択されるウェブ幅tは、ウェブ先端の距離xと角度αとに左右される。α=90°でx=1mmの場合、最小ウェブ幅tは、好ましくは3mmよりも大きい(図1aに示されている全てのウェブ対は、同じ寸法を有している)。
【0031】
図1bは、1つの端壁モジュール1’の1つの代替実施例の形を示している。ここで、1つの第一壁3a’と1つの第二壁3b’とは、同様に示されている。図1aに係る端壁モジュールとは反対に、第一リブ構造4a’の複数のウェブ8a’は、第一壁3a’の表面の平面に直交した方向において同じ長さを有していないが、しかしそれらウェブは、ここでは交互に変わるように、異なった複数のウェブ長さを有している。同じことが、第二壁4b’の複数のウェブ8b’の長さに当てはまる。このことは、ほぼ同じギャップ幅が各々のウェブ先端間に存在するために必要である。かくして、図1aにおいて、各場合における第一と第二のリブ構造は、各他方の壁の方向において等しい長さを有した複数のウェブを有している。図1bにおいて、各場合における第一と第二のリブ構造は、各他方の壁の方向において異なった長さを有した複数のウェブを有している。
【0032】
第一壁3a’と第二壁3b’の間の中間空間に多分存在している発泡体は、図1bには示されていない。
【0033】
図1cは、本発明に係る1つの端壁モジュールの更に別の実施例を示している。これは、また1つの第一壁3a”と1つの第二壁3b”とを有している。第一壁3a”は、複数のウェブ8a”を備えた1つの第一リブ構造4a”を有している。第二壁3b”は、1つのリブ構造4b”を有している。第二リブ構造4b”は、それら複数のウェブ8a”を収容するための腔所8b”を有している。複数のウェブ8a”又は複数のウェブを向いた腔所8b”の複数の縁端は、導入用面取りを有している。ウェブ8a”が腔所8b”内に入り込む場合に、大きな寸法のために衝突エネルギーを吸収する変形仕事がまっとうされるように、複数の腔所8b”は、ウェブ8a”の幅よりも互いに対してより小さな間隔を有している。同時に、各場合における対応した複数の表面には、微細なロックを確実に行うための粗面が設けられたり、又は更に第一壁3a”と3b”の分離を防ぐ対応した複数のロック突起が設けられる。
【0034】
図2は、変形された状態の図1aに係る端壁モジュールを示している。曲げ力Fを加えることで、自動車の正面衝突による場合のように、端壁モジュール1の曲げが起きる。これによって、複数のリブ構造4a及び4bは、それらのウェブ8a及び8bによって各々互いに係合(噛合)する。このような係合によって、端壁モジュールの曲げ強さは強烈に高められ、それによって車両内部へのモータ空間の構成部品が入り込むのが防止される。
【0035】
図に示された端壁モジュールの全ては、プラスチック製の第一又は第二の壁を有している。各場合における壁とリブの構造は、ハッチング部から明らかのように単一部品を形成している。
【0036】
図3aは、一台の自動車2の一部分、具体的には内部からの自動車2の未仕上げ[車]体を示している。ここでは、端壁モジュール1が組み込まれている端壁開口を内側に有した端壁搭載部が認められる。
【0037】
断面A−Aは、図3bに示されている。これには、端壁モジュールが、その1つの第一壁2a及びその1つの第二壁3bと共に見受けられる。複数のリブ構造4a、4b及びサンドイッチ構造の他の構成部品は、反復を避けるためにこれが参照されるように既に上で説明されている。端壁モジュールは、複数のネジ接続14を介して搭載部10の1つの金属板構造部13に接続される。これらのネジ接続とは別に、端壁モジュール1は、更に別に、示されて来なかった接着層を介して大きな面で金属板構造13に接続される。第二壁3bは、複数の横の外縁が第一壁3aを越えて突出している。図3a及び3bから、第一壁の外縁が15で示されていて(図3aにおける連続線)、第二壁の外縁が12で示されていること(図3aにおけるハッチング線)は明らかである。第二壁は、第一壁を越えて合計して10%だけ表面に対して突出している。
【0038】
第二壁は、その第一壁3aに対して遠い側に、連続し且つ壁3a、3bの共通した重なった領域から(即ち、図3aにおける領域12内において)壁3bの突出領域の縁領域内まで(かくして図3aにおけるハッチング線15内に)到達する1つの外部リブ構造9を有している。これによって、第二壁の強度向上が、特にこの突出領域において達成され、それによって、例えば全体として(かくして、その全表面上において)1つの統一した振動システムとして第二壁を形作るのに成功している。例えば、1つの空調設備の部品などの更に別の複数の構成部品5が、壁3aに対して遠い第二壁3bの外側に配置されている。これによって、いかなる場合でも車両に収容される必要があるこれら空調設備部品の質量が、更に、第二壁3bをより重くさせると言う追加課題も満たすことが達成される(同じことが、更に付加的に第一壁3aに対しても可能である)。従って、それら複数のリブ構造4b又は9によって、全体の第二壁をいわば『単一質量体加振器』とさせることに成功している。かくして、ダッシュから成る線12内に配置された全領域に、例えば重いマットを備え付け、これによって不必要なバラストを作り出すことは、当業界の現状に係る自動車に関する場合のように、最早必要が無い。
【0039】
本発明に係る端壁モジュールの更に別の実施例は、図4aから4cに示されている。ここで、複数のウェブ4a”’を有した1つの第一リブ構造8a”’を備えた1つの第一壁3a”’が図示されている。第二壁3b”’は、だが対向した強度を高める複数のウェブ7に決して接触しない強度を高める複数のウェブ7が直角状態で間に配置されている複数のウェブ8b”’を備えた複数のリブ構造4b”’を有している。複数のウェブ4b”’は、それらの通っている方向18に鋭い湾曲部を有している。このことは、複数のウェブが通っている方向において端3b”’の壁面の平面に対して異なった複数の高さを有していると言う事実によって生じる。このような高さの推移は、更により良い噛み合いが衝突の場合に行われる(また第一と第二の壁の間の摺動を更により良く防ぐ)と言う事実をもたらす。更に、複数の低いウェブ高さによって、発泡開始材が強度を高める複数のウェブ7と複数のウェブ4b”’とによって限定された複数のチャンバーを介してチャンバーからチャンバーへより容易に移動できるので、そのような形状は発泡時に有利である。
【0040】
図4bは、第一壁3b”’の平面図を示しており、また図4cは、第一壁3b”の横側面を示している。
【0041】
図5は、壁3b””の平面図を示している。ここで、複数のリブ構造が互いに支持し合った複数のハニカム16として形成されている。それらハニカムは、更に、図5における一様な配列によって音響上の問題が或る状況下で生じるので『無秩序な』配列を有する事が出来る。
【0042】
図6は、1つのハニカム16を切った断面を示している。ここで、発泡の際にハニカムからハニカムへの分配を改善する複数の凹み17が、ハニカムの上側に示されている。その様に上側に取り付けたことは、製造技術上の理由でとりわけ有利である。しかし、原則的には適当な凹みを複数のハニカムのウェブの下側に設けることも可能である。
【0043】
最後に、図7は1つの第二壁3b””のさらに別な1つの実施例を示している。これは、互いに平行になっている1つのリブ構造8b””の複数のウェブ4b””を有している。これらのウェブは、方向18において、かくしてそれらの通っている方向においてジグザグ構造を有している。壁面の平面の方向に通るように、この様にジグザグ状に推移させることで、同様に確実に、改善された『押し噛み合わせ』が与えられるようにしている。壁3b””の表面に関係した複数のウェブの有効長さがより長くなっていて、それによって正面衝突の場合に特に曲げに対して重要な幾何学的慣性モーメントの改善が達成されるので曲げに対する複数の効果が達成される。
【0044】
最後に、図4aから4cと図7とに示されている特に鋭い曲げと曲率の形状も全ての他の実施例に、特に図1aから1cの実施例にも適用され得る事を強調したい。
【0045】
ここに示されている端壁モジュールが、一つの統合された非常に優れた遮音性を与えてくれる点が重要である。しかし、ここでは付加的に遮音性を設けた端壁を構成する場合には当らない。ここでは、遮音性が既に統合されている点が特に重要である。これによって、付加的に取付られたハニカム構造に対しては異なった方式で、複数の高い剪断力が端壁の外側で吸収され得るものであり、従って全体として何らそれ程高いトータルの幾何学的慣性モーメントが結果的に生じることがない。本発明によれば、負荷が掛かったり衝突の場合には、二つの層が(即ち、第一壁と第二壁が)共に衝き合う事になる。両壁は、この場合、個別の層の間に存在している1つの共通した力の中立軸線を有していて、そこで高い幾何学的慣性モーメントが、その力の中立軸線に対して個々の壁の距離を大きくした事によって引き起こされる(スタイナー要素)。この変形例の有利な点は、端壁の寸法をできるだけ小さくできる点にあり、その場合、そのシステムのトータルの質量が更に低減され得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
さて、本発明を幾つかの図によって詳細に説明する。
【図1a】横断面において、また変形されていない状態で、本発明に係る1つの端壁モジュールの色々な複数の実施例を示す。
【図1b】横断面において、また変形されていない状態で、本発明に係る1つの端壁モジュールの色々な複数の実施例を示す。
【図1c】横断面において、また変形されていない状態で、本発明に係る1つの端壁モジュールの色々な複数の実施例を示す。
【図2】変形された状態で、図1aに係る1つの端壁モジュールを示す。
【図3a】自動車の内部から見た1つの端壁搭載部を備えた自動車の[車]体の図。
【図3b】図3aのA−Aに係る断面図。
【図4a】本発明に係る1つの端壁モジュールの更に別の1つの実施例の形を示す。
【図4b】本発明に係る1つの端壁モジュールの更に別の1つの実施例の形を示す。
【図4c】本発明に係る1つの端壁モジュールの更に別の1つの実施例の形を示す。
【図5】1つのリブ状のハニカム構造の平面図。
【図6】図5に係る1つのハニカムを切った断面図。
【図7】端壁モジュールの1つの第二壁の更に別の実施例を示す。
【符号の説明】
【0047】
1 端壁モジュール
3a 第一壁
3b 第二壁
3a 第一壁
4a リブ構造
4b 第二リブ構造
8a ウェブ
7 強化ウェブ
8b ウェブ
8b 強化ウェブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの自動車(2)用の1つの端壁モジュール(1)であって、前記端壁モジュールが、1つの第一壁(3a)とこれに対して距離を取った1つの第二壁(3b)とを有しており、
前記第一壁は、1つの第一リブ構造(4a)を有すると共に、前記第二壁は、1つの第二リブ構造(4b)を有しており、そこで、前記複数のリブ構造は、前記端壁モジュールの搭載部が変形されていない状態で(図1a)、前記第一リブ構造と前記第二リブ構造とが互いに対して距離が取られており、また少なくとも一つの変形された状態で(図2)、第一リブ構造と第二リブ構造とが互いに1つの確実な嵌合によって係合されることを特徴とする自動車用端壁モジュール。
【請求項2】
空調設備の複数の構成部品(5)などの複数の構成部品は、各々の他方壁に対して遠い側において前記第一壁(3a)及び/又は前記第二壁(3b)に配置されていることを特徴とする請求項1記載の1つの端壁モジュール。
【請求項3】
発泡体(7)が配置され、及び/又は1つの腔所が前記第一壁(3a)と前記第二壁(3b)との間に存在していることを特徴とする前記請求項の一つに記載の1つの端壁モジュール。
【請求項4】
前記第一リブ構造(4a)及び/又は前記第二リブ構造(4b)が、複数のウェブ(8a、8b)を有していることを特徴とする前記請求項の一つに記載の端壁モジュール。
【請求項5】
前記第一リブ構造(4a)及び/又は前記第二リブ構造(4b)が、各々の他方壁の方向に等しい長さを有した複数のウェブ(8a、8b)を有していることを特徴とする請求項4記載の1つの端壁モジュール。
【請求項6】
前記第一リブ構造(4a’)及び/又は前記第二リブ構造(4b’)が、各々の他方壁の方向に1つの異なった長さを有した複数のウェブ(8a’、8b’)を有していることを特徴とする請求項4記載の1つの端壁モジュール。
【請求項7】
1つのリブ構造(4a、4b)の前記複数のウェブ(8a、8b)の間において、前記距離が2mmと200mmの間、好ましくは4mmと25mmの間となっていることを特徴とする請求項4から6の内の一つに記載の1つの端壁モジュール。
【請求項8】
前記第一リブ構造(4a)の前記複数のウェブ(8a、8b)は、前記第二リブ構造(4b)に指向しているそれらの端に1つの凸状又は1つの凹状の形状を有していることを特徴とする請求項4から7の内の一つに記載の1つの端壁モジュール。
【請求項9】
前記第一リブ構造(4a”)は、複数のウェブを有すると共に、前記第二リブ構造(4b”)は、これらのウェブを受け入れる複数の腔所(8b”)を有していることを特徴とする請求項4記載の1つの端壁モジュール。
【請求項10】
前記第一リブ構造(4a)と前記第二リブ構造(4b)との間の最小のギャップ幅は、0.5mmと5.0mmの間、好ましくは1mmと2mmの間となっていることを特徴とする前記請求項の一つに記載の1つの端壁モジュール。
【請求項11】
前記端壁モジュール(1)の前記第二壁(3b)は、少なくとも複数の領域において前記第一壁(3a)を越えて横に突出していることを特徴とする前記請求項の一つに記載の1つの端壁モジュール。
【請求項12】
前記第一壁に対して遠い側における前記第二壁(3b)の表面(面積)は、前記第二壁に対して遠い第一壁の側において該第一壁よりも少なくとも10%、好ましくは20%、特に好ましくは30%だけより大きな表面(面積)を有していることを特徴とする請求項11記載の1つの端壁モジュール。
【請求項13】
前記第二壁(3b)は、前記第一壁に対してその遠い側において横に突出している複数の領域に1つの外部リブ構造を有していることを特徴とする請求項11又は12の内の一つに記載の1つの端壁モジュール。
【請求項14】
前記第一壁(3a)及び/又は前記第二壁(3b)と前記複数のリブ構造(4a、4b)は、プラスチック製又は金属製となっていることを特徴とする前記請求項の一つに記載の1つの端壁モジュール。
【請求項15】
前記複数のウェブ(4a”’、4b”’)は、前記各々の他方壁に指向したそれらの端面にそれらの通っている方向において複数の曲率及び/又は複数の鋭い湾曲を有していることを特徴とする請求項4から14の内の一つに記載の1つの端壁モジュール。
【請求項16】
前記請求項の一つに記載の端壁モジュール(1)を収容していることを特徴とする1つの自動車。
【請求項17】
これが、1つの端壁モジュール(1)を境界するための搭載部(10)を含んでいることを特徴とする請求項16記載の1つの自動車。
【請求項18】
前記端壁モジュールは、境界するための前記搭載部(10)にネジ止めされ、及び/又は接着されることを特徴とする請求項17記載の1つの自動車。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−502047(P2006−502047A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561135(P2004−561135)
【出願日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010957
【国際公開番号】WO2004/056639
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(504328912)フォールシア インネンラオム システム ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】