説明

端子の接合方法

【課題】はんだの広がりを回避することができる端子の接合方法を提供する。
【解決手段】ボンディングチップ51の先端56は第1および第2稜線52、54の間に規定される。第1傾斜面53は、第1稜線52から遠ざかるにつれて第1端子36から遠ざかる。第2傾斜面55は、第2稜線54から遠ざかるにつれて第1端子36から遠ざかる。第1端子36上には第1および第2輪郭線41、42で仕切られるはんだ39が配置される。第2端子38は第1および第2輪郭線41、42よりも内側に配置される。先端56が第2端子38に押し当られると、先端56から第2端子38に熱は伝達される。はんだ39は溶融する。はんだ39は第1および第2傾斜面53、55と第2端子38との間の空間に広がる。第1端子36上から外側にはんだ39の広がりは回避される。相互に隣接する第1端子36、36同士の間で短絡の発生は回避される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1端子上に配置されるはんだ上に第2端子を押し当てて端子を接合する端子の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク駆動装置(HDD)にはキャリッジが組み込まれる。キャリッジの側面には第1フレキシブルプリント基板(FPC)が固定される。キャリッジの先端には浮上ヘッドスライダが固定される。浮上ヘッドスライダおよび第1FPCは第2フレキシブルプリント基板(FPC)で接続される。第2FPCに基づき第1FPCから浮上ヘッドスライダにセンス電流や書き込み電流が供給される。
【0003】
第1FPC上には複数の第1端子が配列される。第2FPCには開口が区画される。開口内には複数の第2端子が配列される。第2端子はいわゆるフライングリードを構成する。第2端子は、はんだに基づき対応する第1端子に接合される。こうして第1および第2FPCは連結される。
【特許文献1】特開昭63−307796号公報
【特許文献2】特開平8−1323号公報
【特許文献3】特開2002−344128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1および第2端子の接合にあたってボンディングチップが用いられる。第2端子は、第1端子の表面全体に配置されるはんだ上に位置合わせされる。はんだは、少なくとも部分的に向き合う第1および第2輪郭線で仕切られる。第2端子は第1および第2輪郭線よりも内側に配置される。ボンディングチップは加熱される。ボンディングチップは先端の平坦面ではんだ上に第2端子を押し当てる。はんだは溶融する。ボンディングチップの先端は第1端子の表面全体に受け止められる。はんだは第1端子上から外側に第1FPCの表面に沿って広がる。相互に隣接する第1端子上のはんだ同士は接触してしまう。第1端子同士の間で短絡が発生してしまう。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、はんだの広がりを回避することができる端子の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1発明によれば、第1稜線から遠ざかるにつれて第1端子から遠ざかる第1傾斜面と、第1稜線に平行に延びる第2稜線から遠ざかるにつれて第1端子から遠ざかる第2傾斜面との間に先端を区画するボンディングチップの先端を用いて、第1および第2稜線に交差しつつ少なくとも部分的に相互に向き合う第1および第2輪郭線で仕切られながら第1端子上に配置されるはんだ上に、少なくとも部分的に第1および第2輪郭線から内側に配置される第2端子を押し当てる工程を備えることを特徴とする端子の接合方法が提供される。
【0007】
ボンディングチップの先端は第1および第2稜線の間に規定される。第1傾斜面は、第1稜線から遠ざかるにつれて第1端子から遠ざかる。第2傾斜面は、第2稜線から遠ざかるにつれて第1端子から遠ざかる。第1端子上には第1および第2輪郭線で仕切られるはんだが配置される。第2端子は第1および第2輪郭線よりも内側に配置される。ボンディングチップの先端が第2端子に押し当られると、先端から第2端子に熱は伝達される。はんだは溶融する。はんだは第1および第2傾斜面と第2端子との間の空間に広がる。第1端子上から外側にはんだの広がりは回避される。相互に隣接する第1端子同士の間で短絡の発生は回避される。
【0008】
ボンディングチップでは、第1傾斜面の表面を含む第1仮想平面は、第2傾斜面を含む第2仮想平面に鈍角で交差すればよい。こうしたボンディングチップによれば、第1および第2仮想平面の交差角が鋭角に設定される場合に比べて、ボンディングチップ内では先端に近接する領域で大きな体積が確保されることができる。ボンディングチップの熱は先端に効率的に伝導する。こうしてボンディングチップの先端から第2端子に熱は効率的に伝達されることができる。接合処理の作業時間は短縮されることができる。
【0009】
ボンディングチップの第1および第2稜線は複数対の第1および第2輪郭線を横切ればよい。こうしたボンディングチップによれば、複数対の第1および第2端子が同時に接合されることができる。接合処理の作業時間は短縮されることができる。
【0010】
第2発明によれば、少なくとも部分的に相互に向き合う第1および第2輪郭線で仕切られるはんだ上に、第1および第2輪郭線に交差する仮想直線上で一文字に延びる先端に向かって先細るボンディングチップの先端で、少なくとも部分的に第1および第2輪郭線から内側に配置される端子を押し当てる工程を備える端子の接合方法が提供される。
【0011】
ボンディングチップの先端は、第1および第2輪郭線に交差する仮想直線上で一文字に延びる。はんだは第1および第2輪郭線で仕切られる。第2端子は第1および第2輪郭線よりも内側に配置される。ボンディングチップの先端が第2端子に押し当られると、先端から第2端子に熱は伝達される。第2端子からはんだに熱は伝達される。はんだは溶融する。ボンディングチップの先端は先細ることから、はんだはボンディングチップおよび第2端子との間の空間に広がる。その結果、第1端子上から外側にはんだの広がりは回避される。相互に隣接する第1端子同士の間で短絡の発生は回避される。
【0012】
前述と同様に、ボンディングチップの第1および第2稜線は複数対の第1および第2輪郭線を横切ればよい。こうしたボンディングチップによれば、複数対の第1および第2端子が同時に接合されることができる。接合処理の作業時間は短縮されることができる。
【0013】
以上のような接合方法によれば、第1プリント基板に配置される第1端子と、第1端子上に配置されて、少なくとも部分的に相互に向き合う第1および第2輪郭線で仕切られるはんだと、第2プリント基板に配置されてはんだに重ね合わせられ、第1および第2輪郭線よりも内側に配置される第2端子と、第1および第2輪郭線の間ではんだに形成され、第1および第2輪郭線に交差する仮想直線に沿って延びる谷形の窪みとを備えることを特徴とする接合体が製造されることができる。
【0014】
こうした接合体では、第2端子は、仮想直線に並列に延びる谷折りの折り目に沿って第1端子に向かって折れ曲がる。接合体は、第2プリント基板に区画される開口を備えてもよい。このとき、第2端子は開口内に配置されればよい。こうして第2端子はいわゆるフライングリードを構成してもよい。
【0015】
以上のような端子の接合方法の実施にあたって、ボンディングチップは、第1稜線を含む第1仮想平面に沿って規定される第1傾斜面と、第1稜線に平行に延びる第2稜線を含む第2仮想平面に沿って規定される第2傾斜面と、第1および第2稜線の間に区画される先端とを備えればよい。このとき、第1仮想平面は第2仮想平面に鈍角で交差すればよい。
【0016】
第3発明によれば、先端でヘッドサスペンションを支持するキャリッジ上に取り付けられ、第1端子を有する第1フレキシブルプリント基板を用意する工程と、ヘッドサスペンションからキャリッジに向かって延び、第2端子を有する第2フレキシブルプリント基板を用意する工程と、第1稜線から遠ざかるにつれて第1端子から遠ざかる第1傾斜面と、第1稜線に平行に延びる第2稜線から遠ざかるにつれて第1端子から遠ざかる第2傾斜面との間に先端を区画するボンディングチップの先端を用いて、第1および第2稜線に交差しつつ少なくとも部分的に相互に向き合う第1および第2輪郭線で仕切られながら第1端子上に配置されるはんだ上に、少なくとも部分的に第1および第2輪郭線から内側に配置される第2端子を押し当てる工程とを備えることを特徴とする記憶装置の製造方法が提供される。こうした製造方法によれば、前述の端子の接合方法と同様の作用効果が実現されることができる。
【0017】
以上のような製造方法では、前述の端子の接合方法と同様に、第1傾斜面の表面を含む第1仮想平面は、第2傾斜面を含む第2仮想平面に鈍角で交差すればよい。ボンディングチップの第1および第2稜線は複数対の第1および第2輪郭線を横切ればよい。第2端子はフライングリードを構成すればよい。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、はんだの広がりを回避することができる端子の接合方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
【0020】
図1は記憶装置の一具体例すなわちハードディスク駆動装置(HDD)11の内部構造を概略的に示す。このHDD11は、例えば平たい直方体の内部空間を区画する箱形の筐体本体12を備える。筐体本体12は例えばアルミニウムといった金属材料から鋳造に基づき成形されればよい。筐体本体12には蓋体すなわちカバー(図示されず)が結合される。カバーと筐体本体12との間で収容空間は密閉される。カバーは例えばプレス加工に基づき1枚の板材から成形されればよい。
【0021】
収容空間には、記録媒体としての1枚以上の磁気ディスク13が収容される。磁気ディスク13はスピンドルモータ14の回転軸に装着される。スピンドルモータ14は例えば5400rpmや7200rpm、10000rpm、15000rpmといった高速度で磁気ディスク13を回転させることができる。
【0022】
収容空間にはヘッドアクチュエータ部材すなわちキャリッジ15がさらに収容される。キャリッジ15はキャリッジブロック16を備える。キャリッジブロック16は、垂直方向に延びる支軸17に回転自在に連結される。キャリッジブロック16には、支軸17から水平方向に延びる複数のキャリッジアーム18が区画される。キャリッジブロック16は例えば押し出し成形に基づきアルミニウムから成型されればよい。
【0023】
個々のキャリッジアーム18の先端には、キャリッジアーム18から前方に延びるヘッドサスペンションアセンブリ19が取り付けられる。ヘッドサスペンションアセンブリ19は、キャリッジアーム18の前端から前方に延びるヘッドサスペンション21を備える。ヘッドサスペンション21の前端には磁気ディスク13の表面に向かって所定の押し付け力が作用する。ヘッドサスペンション21の前端には浮上ヘッドスライダ22が固定される。
【0024】
浮上ヘッドスライダ22にはいわゆる磁気ヘッドすなわち電磁変換素子(図示されず)が搭載される。この電磁変換素子は、例えば、薄膜コイルパターンで生成される磁界を利用して磁気ディスク13に情報を書き込む薄膜磁気ヘッドといった書き込み素子と、スピンバルブ膜やトンネル接合膜の抵抗変化を利用して磁気ディスク13から情報を読み出す巨大磁気抵抗効果(GMR)素子やトンネル接合磁気抵抗効果(TMR)素子といった読み出し素子とで構成されればよい。ここでは、浮上ヘッドスライダ22には電磁変換素子に隣接してヒータ(図示されず)が組み込まれる。周知の通り、ヒータの熱に基づき浮上ヘッドスライダ22の浮上量は制御されることができる。
【0025】
磁気ディスク13の回転に基づき磁気ディスク13の表面で気流が生成されると、気流の働きで浮上ヘッドスライダ22には正圧すなわち浮力および負圧が作用する。浮力および負圧とヘッドサスペンション21の押し付け力とが釣り合うことで磁気ディスク13の回転中に比較的に高い剛性で浮上ヘッドスライダ22は浮上し続けることができる。
【0026】
キャリッジブロック16にはボイスコイルモータ(VCM)23が連結される。VCM23の働きでキャリッジブロック16は支軸17回りで回転することができる。こうしたキャリッジブロック16の回転に基づきキャリッジアーム18およびヘッドサスペンションアセンブリ19の揺動は実現される。浮上ヘッドスライダ22の浮上中に支軸17回りでキャリッジアーム18が揺動すると、浮上ヘッドスライダ22は半径方向に磁気ディスク13の表面を横切ることができる。こうした浮上ヘッドスライダ22の移動に基づき電磁変換素子は目標記録トラックに対して位置決めされることができる。
【0027】
キャリッジブロック16上にはフレキシブルプリント基板(FPC)ユニット25が配置される。FPCユニット25は第1フレキシブルプリント基板(FPC)26を備える。第1FPC26は例えば接着剤に基づき例えばアルミニウム板といった金属板27の表面に貼り付けられればよい。金属板27は例えばねじに基づきキャリッジブロック16に固定されればよい。
【0028】
第1FPC26は、アルミニウム板といった金属薄板と、金属薄板上に順番に積層される絶縁層、導電層および保護層とを備える。導電層は、第1FPC26上で延びる配線パターン(図示されず)を構成する。導電層には例えばCuといった導電材料が用いられればよい。絶縁層および保護層には例えばポリイミド樹脂といった樹脂材料が用いられればよい。
【0029】
第1FPC26にはヘッドIC(集積回路)すなわちプリアンプIC28が実装される。磁気情報の読み出し時には、このプリアンプIC28から読み出し素子に向けてセンス電流は供給される。同様に、磁気情報の書き込み時には、プリアンプIC28から書き込み素子に向けて書き込み電流は供給される。同様に、プリアンプIC28からヒータに向けてヒータ制御用の電流は供給される。プリアンプIC28には、筐体本体12の収容空間内に配置される小型の回路基板29からセンス電流や書き込み電流、ヒータ制御用の電流は供給される。
【0030】
こうしたセンス電流や書き込み電流、ヒータ制御用の電流の供給にあたって第2フレキシブルプリント基板(FPC)32が用いられる。第2FPC32は個々のヘッドサスペンションアセンブリ19ごとに配置される。第2FPC32は、ステンレス鋼板といった金属薄板と、金属薄板上に順番に積層される絶縁層、導電層および保護層とを備える。導電層は、第2FPC32上で延びる配線パターン(図示されず)を構成する。導電層には例えばCuといった導電材料が用いられればよい。絶縁層および保護層には例えばポリイミド樹脂といった樹脂材料が用いられればよい。
【0031】
図2に示されるように、第2FPC32は一端でヘッドサスペンション21に固定される。第2FPC32上の配線パターンは浮上ヘッドスライダ22に接続される。第2FPC32はヘッドサスペンション21上に例えばスポット溶接に基づき取り付けられればよい。第2FPC32はヘッドサスペンション21からキャリッジアーム18の側面に沿って後方に延びる。ヘッドサスペンションアセンブリ19はいわゆるロングテール型に構成される。キャリッジアーム18は、第2FPC32を受け入れる溝33を備える。溝33はキャリッジアーム18の側面に区画される。
【0032】
第2FPC32は他端でキャリッジブロック16上の第1FPC26に連結される。図3に示されるように、第1FPC26の保護層には開口35が区画される。開口35内には所定の間隔で例えば6つの第1端子36が配列される。ここでは、第1端子36は、筐体本体12の底面に直立する垂直方向に相互に平行に延びればよい。第1端子36にはCuといった導電材料が用いられる。第1端子36は第1FPC26上の配線パターンに接続される。
【0033】
その一方で、第2FPC32には開口37が区画される。開口37内には所定の間隔で例えば6つの第2端子38が配列される。第2端子38は、筐体本体12の底面に直立する垂直方向に相互に平行に延びればよい。第2端子38にはCuといった導電材料が用いられる。Cuの表面には例えばAuのめっき膜およびNiのめっき膜が施されればよい。第2端子38は第2FPC32上の配線パターンに接続される。こうして第2端子38はいわゆるフライングリードを構成する。
【0034】
第1端子36上には対応する第2端子38が配置される。第1および第2端子36、38ははんだ39に基づき接合される。はんだ39は第1および第2端子36、38の間や第1端子36上に配置されればよい。はんだ39に基づき第1および第2端子36、38の間で電気接続が確立される。こうして浮上ヘッドスライダ22および回路基板29の間で電気接続が確立される。なお、第1FPC26、第1端子36、第2FPC32、第2端子38およびはんだ39は本発明の接合体を構成する。
【0035】
図3から明らかなように、第1端子36の幅W1は第2端子38の幅W2よりも大きく規定される。はんだ39は、第1および第2端子36、38上で第1および第2輪郭線41、42で仕切られる。第1および第2輪郭線41、42は第1および第2端子36、38の縁に並列に延びる。第1および第2輪郭線41、42は少なくとも部分的に相互に向き合う。第1および第2輪郭線41、42の内側に第2端子38は配置される。
【0036】
図4に示されるように、はんだ39は、第1および第2輪郭線41、42に交差する仮想直線43に沿って延びる谷形の窪み44を区画する。こうした窪み44は後述のボンディングチップに基づき形成される。図5に示されるように、第2端子38は、仮想直線43に並列に延びる谷折りの折り目45に沿って第1端子36に向かって折れ曲がる。
【0037】
次に、第1および第2端子36、38の接合方法を詳述する。図6に示されるように、第1端子36上には予めはんだ39が配置される。はんだ39には例えばクリームはんだが用いられればよい。はんだ39の融点は例えば220℃〜240℃の範囲に設定される。相互に隣接する第1端子36、36同士の間ではんだ39、39同士は所定の間隔で隔てられる。
【0038】
キャリッジアーム18の先端にはヘッドサスペンションアセンブリ19が取り付けられる。第2FPC32が溝33内に受け入れられると、図7に示されるように、第2FPC32の他端は第1FPC26上に配置される。第1端子36上に配置されるはんだ39上に第2端子38が位置合わせされる。位置合わせ後、第2端子38上にはボンディングチップ51の先端が押し当てられる。
【0039】
図8に示されるように、ボンディングチップ51は、第1稜線52から遠ざかるにつれて第1端子36から遠ざかる第1傾斜面53と、第1稜線52に平行に延びる第2稜線54から遠ざかるにつれて第1端子36から遠ざかる第2傾斜面55とを規定する。第1および第2傾斜面53、55の間にはボンディングチップ51の先端が規定される。こうしてボンディングチップ51は先端に向かって先細る。この先端には押し付け面56が規定される。第1および第2傾斜面53、55や押し付け面56は平坦面で規定されればよい。
【0040】
ここで、第1傾斜面53の表面で規定される第1仮想平面P1は、第2傾斜面55の表面で規定される第2仮想平面P2に交差角αで交差する。交差角αは鈍角に設定される。開口37内に配置される第2端子38の長さL1は例えば0.6mm程度に設定される。その一方で、第2端子38の長さ方向に規定される押し付け面56の長さL2は0.1mm程度に設定される。図9に示されるように、第2端子38の幅W2は0.2mm程度に設定されればよい。相互に隣接する第2端子38、38同士の間隔は0.7mm程度に設定されればよい。
【0041】
図9から明らかなように、第1および第2稜線52、54は第1および第2輪郭線41、42に交差する。第1および第2稜線52、54は第1および第2輪郭線41、42にほぼ直交すればよい。押し付け面56は、前述の第1および第2輪郭線41、42に交差する仮想直線45上で一文字に延びる。図10に示されるように、第1端子36上には適量のはんだ39が塗布されればよい。
【0042】
ボンディングチップ51は例えば400℃程度に加熱される。ボンディングチップ51は第1端子36上のはんだ39に第2端子38を押し付ける。押し付け面56から第2端子38に熱が伝達する。第2端子38の熱に基づきはんだ39は溶融する。ボンディングチップ51の押し付けに基づき第2端子38は第1端子36に向かって折れ曲がる。
【0043】
前述されるように、第2端子38は第1および第2輪郭線41、42の内側に配置される。第1および第2傾斜面53、55は第1および第2稜線52、54から遠ざかるにつれて第1端子36から遠ざかる。その結果、図11に示されるように、はんだ39は、第1および第2傾斜面53、55と第2端子38との間に区画される空間に広がる。はんだ39は第1端子36から外側に広がることなく第2端子38上に広がる。第1および第2傾斜面53、55は第2端子38上のはんだ39に接触する。その結果、図12に示されるように、第2端子38ははんだ39に覆われる。
【0044】
その後、ボンディングチップ51の加熱は停止される。はんだ39は冷却される。はんだ39は固化する。ボンディングチップ51ははんだ39から取り外される。こうして、図13に示されるように、はんだ39は第1および第2端子36、38を接合する。はんだ39はボンディングチップ51の先端に押し付けられることから、はんだ39には前述の窪み44が形成される。同様に、第2端子38は谷折りの折り目45に沿って折れ曲がる。
【0045】
以上のような接合方法によれば、ボンディングチップ51の押し付け面56は、第1および第2輪郭線41、42に交差する第1および第2稜線52、54の間に規定される。はんだ39は溶融に基づきボンディングチップ51の第1および第2傾斜面53、55と第2端子38との間の空間に広がる。その結果、第1端子36の縁から外側にはんだ39の広がりは回避される。相互に隣接する第1端子36、36同士の間で短絡の発生は回避される。
【0046】
しかも、ボンディングチップ51の先端には第1および第2傾斜面53、55が規定される。第1および第2仮想平面P1、P2は鈍角の交差角αで交差する。その結果、交差角αが鋭角に設定される場合に比べて、ボンディングチップ51内では押し付け面56に近接する領域で大きな体積が確保されることができる。ボンディングチップ51の熱は押し付け面56に効率的に伝導する。こうして熱は押し付け面56から第2端子38に効率的に伝達されることができる。接合処理の作業時間は短縮されることができる。
【0047】
従来の第1および第2FPCはそれぞれ4つの第1および第2端子を備える。その一方で、本発明の浮上ヘッドスライダ22には新たに浮上量制御用のヒータ(図示されず)が組み込まれた。その結果、本発明の第1および第2FPC26、32にはヒータ用にそれぞれ2つの第1および第2端子36、38が加えられた。第1および第2FPC26、32のサイズは変更されないことから、第1端子36の幅W1や第2端子38の幅W2は従来の3分の2の大きさに変更された。こうして第1端子36、36同士の間隔や第2端子38、38同士の間隔は狭められる。したがって、相互に隣接する第1端子36、36同士の間で短絡の発生が特に懸念される。第1および第2端子36、38に接続される配線パターンでは個々に異なる電流量が設定されることから、短絡の発生に伴って例えば浮上ヘッドスライダ22の電磁変換素子に大きな電流が流れてしまう。電磁変換素子は破壊されてしまう。本発明の端子の接合方法は、こうしたキャリッジ15上での端子の接合に特に有用に用いられることができる。
【0048】
その他、図14に示されるように、第1および第2端子36、38の接合にあたって、前述のボンディングチップ51に代えて、ボンディングチップ51aが用いられてもよい。ボンディングチップ51aでは、第1および第2稜線52、54は複数対の第1および第2輪郭線41、42を横切ってもよい。こうしたボンディングチップ51aによれば、複数対の第1および第2端子36、38が同時に接合されることができる。接合処理の作業時間は短縮されることができる。
【0049】
その他、第1および第2稜線52、54は相互に重なってもよい。すなわち、第1および第2傾斜面53、55は直接に交差してもよい。押し付け面56の形成は省略されてもよい。
【0050】
(付記1) 第1稜線から遠ざかるにつれて第1端子から遠ざかる第1傾斜面と、第1稜線に平行に延びる第2稜線から遠ざかるにつれて第1端子から遠ざかる第2傾斜面との間に先端を区画するボンディングチップの先端を用いて、第1および第2稜線に交差しつつ少なくとも部分的に相互に向き合う第1および第2輪郭線で仕切られながら第1端子上に配置されるはんだ上に、少なくとも部分的に第1および第2輪郭線から内側に配置される第2端子を押し当てる工程を備えることを特徴とする端子の接合方法。
【0051】
(付記2) 付記1に記載の端子の接合方法において、前記第1傾斜面の表面を含む第1仮想平面は、前記第2傾斜面を含む第2仮想平面に鈍角で交差することを特徴とする端子の接合方法。
【0052】
(付記3) 付記1に記載の端子の接合方法において、前記ボンディングチップの第1および第2稜線は複数対の前記第1および第2輪郭線を横切ることを特徴とする端子の接合方法。
【0053】
(付記4) 少なくとも部分的に相互に向き合う第1および第2輪郭線で仕切られるはんだ上に、第1および第2輪郭線に交差する仮想直線上で一文字に延びる先端に向かって先細るボンディングチップの先端で、少なくとも部分的に第1および第2輪郭線から内側に配置される端子を押し当てる工程を備える端子の接合方法。
【0054】
(付記5) 付記4に記載の端子の接合方法において、前記ボンディングチップの第1および第2稜線は複数対の前記第1および第2輪郭線を横切ることを特徴とする端子の接合方法。
【0055】
(付記6) 第1プリント基板に配置される第1端子と、第1端子上に配置されて、少なくとも部分的に相互に向き合う第1および第2輪郭線で仕切られるはんだと、第2プリント基板に配置されてはんだに重ね合わせられ、第1および第2輪郭線よりも内側に配置される第2端子と、第1および第2輪郭線の間ではんだに形成され、第1および第2輪郭線に交差する仮想直線に沿って延びる谷形の窪みとを備えることを特徴とする接合体。
【0056】
(付記7) 付記6に記載の接合体において、前記第2端子は、前記仮想直線に並列に延びる谷折りの折り目に沿って前記第1端子に向かって折れ曲がることを特徴とする接合体。
【0057】
(付記8) 付記6に記載の接合体において、前記第2プリント基板に区画される開口を備え、前記第2端子は開口内に配置されることを特徴とする接合体。
【0058】
(付記9) 第1稜線を含む第1仮想平面に沿って規定される第1傾斜面と、第1稜線に平行に延びる第2稜線を含む第2仮想平面に沿って規定される第2傾斜面と、第1および第2稜線の間に区画される先端とを備え、第1仮想平面は第2仮想平面に鈍角で交差することを特徴とするボンディングチップ。
【0059】
(付記10) 先端でヘッドサスペンションを支持するキャリッジ上に取り付けられ、第1端子を有する第1フレキシブルプリント基板を用意する工程と、ヘッドサスペンションからキャリッジに向かって延び、第2端子を有する第2フレキシブルプリント基板を用意する工程と、第1稜線から遠ざかるにつれて第1端子から遠ざかる第1傾斜面と、第1稜線に平行に延びる第2稜線から遠ざかるにつれて第1端子から遠ざかる第2傾斜面との間に先端を区画するボンディングチップの先端を用いて、第1および第2稜線に交差しつつ少なくとも部分的に相互に向き合う第1および第2輪郭線で仕切られながら第1端子上に配置されるはんだ上に、少なくとも部分的に第1および第2輪郭線から内側に配置される第2端子を押し当てる工程とを備えることを特徴とする記憶装置の製造方法。
【0060】
(付記11) 付記10に記載の記憶装置の製造方法において、前記第1傾斜面の表面を含む第1仮想平面は、前記第2傾斜面を含む第2仮想平面に鈍角で交差することを特徴とする記憶装置の製造方法。
【0061】
(付記12) 付記10に記載の記憶装置の製造方法において、前記ボンディングチップの第1および第2稜線は複数対の前記第1および第2輪郭線を横切ることを特徴とする記憶装置の製造方法。
【0062】
(付記13) 付記10に記載の記憶装置の製造方法において、前記第2端子はフライングリードを構成することを特徴とする記憶装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】記録媒体駆動装置の一具体例すなわちハードディスク駆動装置の内部構造を概略的に示す平面図である。
【図2】キャリッジの構造を概略的に示す斜視図である。
【図3】第1および第2端子の構造を概略的に示す部分拡大平面図である。
【図4】はんだの形状を概略的に示す部分拡大斜視図である。
【図5】第2端子の形状を概略的に示す部分拡大斜視図である。
【図6】第1端子上にはんだが配置される様子を概略的に示す部分拡大斜視図である。
【図7】第1端子上に第2端子が位置合わせされる様子を概略的に示す部分拡大斜視図である。
【図8】図7の8−8線に沿った断面図である。
【図9】図8の9−9線に沿った断面図である。
【図10】図8の10−10線に沿った断面図である。
【図11】図8に対応し、ボンディングチップの先端が第2端子に押し当てられる様子を概略的に示す断面図である。
【図12】図10に対応し、ボンディングチップの先端が第2端子に押し当てられる様子を概略的に示す断面図である。
【図13】図8に対応し、第1および第2端子が接合される様子を概略的に示す断面図である。
【図14】他の具体例に係るボンディングチップの構造を概略的に示す部分拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
26 第1プリント基板、32 第2プリント基板、36第1端子、38 第2端子、39 はんだ、41 第1輪郭線、42 第2輪郭線、43 窪み、51 ボンディングチップ、52 第1稜線、53 第1傾斜面、54 第2稜線、55 第2傾斜面、56 先端。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1稜線から遠ざかるにつれて第1端子から遠ざかる第1傾斜面と、第1稜線に平行に延びる第2稜線から遠ざかるにつれて第1端子から遠ざかる第2傾斜面との間に先端を区画するボンディングチップの先端を用いて、第1および第2稜線に交差しつつ少なくとも部分的に相互に向き合う第1および第2輪郭線で仕切られながら第1端子上に配置されるはんだ上に、少なくとも部分的に第1および第2輪郭線から内側に配置される第2端子を押し当てる工程を備えることを特徴とする端子の接合方法。
【請求項2】
請求項1に記載の端子の接合方法において、前記第1傾斜面の表面を含む第1仮想平面は、前記第2傾斜面を含む第2仮想平面に鈍角で交差することを特徴とする端子の接合方法。
【請求項3】
少なくとも部分的に相互に向き合う第1および第2輪郭線で仕切られるはんだ上に、第1および第2輪郭線に交差する直線上で一文字に延びる先端に向かって先細るボンディングチップの先端で、少なくとも部分的に第1および第2輪郭線から内側に配置される端子を押し当てる工程を備える端子の接合方法。
【請求項4】
第1プリント基板に配置される第1端子と、第1端子上に配置されて、少なくとも部分的に相互に向き合う第1および第2輪郭線で仕切られるはんだと、第2プリント基板に配置されてはんだに重ね合わせられ、第1および第2輪郭線よりも内側に配置される第2端子と、第1および第2輪郭線の間ではんだに形成され、第1および第2輪郭線に交差する仮想直線に沿って延びる谷形の窪みとを備えることを特徴とする接合体。
【請求項5】
第1稜線を含む第1仮想平面に沿って規定される第1傾斜面と、第1稜線に平行に延びる第2稜線を含む第2仮想平面に沿って規定される第2傾斜面と、第1および第2稜線の間に区画される先端とを備え、第1仮想平面は第2仮想平面に鈍角で交差することを特徴とするボンディングチップ。
【請求項6】
先端でヘッドサスペンションを支持するキャリッジ上に取り付けられ、第1端子を有する第1フレキシブルプリント基板を用意する工程と、ヘッドサスペンションからキャリッジに向かって延び、第2端子を有する第2フレキシブルプリント基板を用意する工程と、第1稜線から遠ざかるにつれて第1端子から遠ざかる第1傾斜面と、第1稜線に平行に延びる第2稜線から遠ざかるにつれて第1端子から遠ざかる第2傾斜面との間に先端を区画するボンディングチップの先端を用いて、第1および第2稜線に交差しつつ少なくとも部分的に相互に向き合う第1および第2輪郭線で仕切られながら第1端子上に配置されるはんだ上に、少なくとも部分的に第1および第2輪郭線から内側に配置される第2端子を押し当てる工程とを備えることを特徴とする記憶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−311599(P2007−311599A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139832(P2006−139832)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】