節度装置
【課題】節度角度の設定及び節度感の強弱などの設定が容易となり、さらに回動部材の回動速度が速くなっても適度な節度感を与えることができるようにする。
【解決手段】節度装置1は、操作ダイヤル16により回動される回動部材3に設けられた回動抵抗受部5と、抵抗付与手段7と、電磁石4とを備えている。抵抗付与手段7は、コイルばね9及び押圧部材10を有し、該コイルばね9のばね力により、前記押圧部材10を回動抵抗受部5の凹面部6に対して押圧し、電磁石4の通電時に節度を与える。さらに、電磁石4が通電された後に回動部材3の回動方向が反転されたときには、当該回動部材3と被吸着部材8との回動位置が一致したときに前記電磁石4を断電するようにした。
【解決手段】節度装置1は、操作ダイヤル16により回動される回動部材3に設けられた回動抵抗受部5と、抵抗付与手段7と、電磁石4とを備えている。抵抗付与手段7は、コイルばね9及び押圧部材10を有し、該コイルばね9のばね力により、前記押圧部材10を回動抵抗受部5の凹面部6に対して押圧し、電磁石4の通電時に節度を与える。さらに、電磁石4が通電された後に回動部材3の回動方向が反転されたときには、当該回動部材3と被吸着部材8との回動位置が一致したときに前記電磁石4を断電するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から操作される回動部材の動作に節度を与える節度装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の各種コントロールに使用されるロータリスイッチ装置は、例えば、特許文献1に開示されているスイッチ装置のように、ケース内面に形成された山部及び谷部を交互に有する節度面部と、ケース内のロータ側に設けられたコイルばね及びこのコイルばねにより節度面部に当接するように付勢されたボールとからなる節度機構を有している。
【0003】
このような構成の節度機構によれば、使用者が操作ノブを回動してスイッチ操作を行う場合、ロータの回動に伴ってボールが山部を超えて谷部に移動し、この谷部に落ち込む。すなわち、ボールが山部を超える前後において操作ノブに与えられるフィードバック力が変化する。これにより、操作ノブの回動に節度が与えられている。
【特許文献1】実開平5−94922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1のものでは、操作ノブを回動した時に節度が与えられる回動角度(以下、節度角度という)が、節度面の山部及び谷部の形成ピッチ(角度ピッチ)に制約されてしまう問題がある。この問題を解決するものとして、図13に示す構成の節度装置が考えられている。
【0005】
図13において、例えばインストルメントパネル101の裏面側の適宜部位に取り付けられた装置ベース102には、軸103が回動可能に支承されている。この軸103において前記インストルメントパネル101の表面側に突出する一端部(図では右端部)には、操作部材104が軸103と一体回動する形態に取り付けられている。さらに、この軸103の他端部には、操作部材104の回動位置を検出するためのロータリーエンコーダ105のディスク105aが軸103と一体回動する形態に取り付けられている。
【0006】
さらに、軸103の他端部側に被吸着部106が軸103と一体回動する形態に設けられており、この被吸着部材106の右面には磁性板からなる被吸着体106aが取着されている。この被吸着体106aの上方部には、電磁石107が、軸103とは無関係に回動可能に、且つ微小距離で軸方向移動可能に設けられている。この電磁石107と装置ベース102との間には、合成樹脂からなるばね板108、108が設けられており、このばね板108、108の一端は前記装置ベース102に取着され、他端は前記電磁石107に取着されている。このばね板108、108は、軸103の回動に対して抵抗を与えるものである。なお軸103には適宜の操作対象物が付設あるいは連結される。
【0007】
この図13の構成において、通常は、電磁石107が断電されており、操作部材104が使用者により回動操作されると、軸103、ディスク105a、被吸着部106が一体回動する。そして、操作部材104が所定角度回動されると、ロータリーエンコーダ105がこの所定角度を検出し、これに基づいて図示しない制御部が電磁石107に通電する。すると、電磁石107と被吸着体106aとが吸着状態となって当該電磁石107、被吸着体106a、軸103、操作部材104が一体化状態となる。従って、この状態から使用者が操作部材104をさらに回動すると、板ばね108、108の他端がその回動方向へ弾性変形することによって復元方向へばね力を発生し、使用者が回動抵抗を受け、電磁石が断電したときに回動抵抗がなくなる。回動抵抗の差により節度が与えられる。
【0008】
しかし、この構成では、合成樹脂製のばね板108、108を使用するため、ばね機能を奏するための形状の設定が難しいとともに、ばね力設定のための材料選定も難しく、総じて節度感の設定が難しいといった問題があった。また、節度感の滑らか度合いとか、急激度合いなどの微妙な設定も困難であった。また、使用者が操作部材104を一方向へ回動操作して、電磁石が所定の通電開始位置で通電された後に、該電磁石が断電される前に、使用者が操作部材104を逆回動方向へ戻す操作を行うと、再度、軸103が前記所定の通電開始位置を戻り方向に通過するが、その通電開始位置を戻り方向へ過ぎてからしか断電されないという問題があった。このため、一時的に逆方向の節度感が付与されてしまう問題があった。また、使用者が操作部材104に対する操作力を解除して操作部材104が戻って前記所定の通電開始位置で停止してしまうと、電磁石通電状態が継続されてしまう問題もある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、節度角度の設定及び節度感の強弱などの設定が容易となり、さらに、回動部材が電磁石通電状態で回動方向が反転された時に電磁石を適正に断電できる節度装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、装置本体と、この装置本体に回動操作可能に設けられ外部からの操作力により操作される回動部材と、略V形の凹面部を有する回動抵抗受部と、鋼線製コイルばね及び押圧部材を有し、該コイルばねのばね力により、前記押圧部材を回動抵抗受部の前記凹面部に対して押圧して回動抵抗を与えるための抵抗付与手段と、前記装置本体に設けられた電磁石と、前記回動部材の回動位置を検出する回動部材用回動位置検出手段と、前記回動部材の回動方向を検出する回動方向検出手段と、前記回動部材用回動位置検出手段により検出された前記回動部材の回動位置に応じて前記電磁石を通断電制御する制御手段と、前記回動部材の回動中心と同心状態で回動可能に設けられ電磁石の通電時に該電磁石に吸着されて非回動状態に固定される応動部材と、この応動部材の回動位置を検出する応動部材用回動位置検出手段と、記憶手段とを備え、前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との一方を、前記回動部材と一体回動可能に設け、他方を、前記応動部材に設ける構成とし、前記電磁石通電以後に前記回動部材用回動位置検出手段により検出した回動部材の回動位置と、前記応動部材用回動位置検出手段により検出した応動部材の回動位置とが同期するか否かを判断し、両位置がずれた時の直前の同期位置を前記記憶手段に記憶し、当該ずれた時から前記回動方向検出手段により前記回動部材が反転したか否かを監視し、該回動部材が反転したことが検出されたときには、前記回動部材用回動位置検出手段により検出した回動部材の回動位置が前記記憶した同期位置となったときに、前記電磁石を断電する反転用断電制御手段を設けたところに特徴を有する。
【0011】
この請求項1の発明においては、回動部材が回動操作されると、前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との一方が、前記回動部材と一体回動し、他方が、前記電磁石の断電時に前記回動部材と一体回動する。従って、電磁石の断電時には、回動部材の回動操作に伴って前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との両方が回動し、節度感は発生しない。そして、該他方が、回動部材が所定の回動位置に達すると、位置検出手段により当該所定の回動位置が検出され、制御手段により、電磁石が通電される。この通電により、前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段とのうちの他方が、該電磁石に吸着されて非回動状態に固定される。すると、抵抗付与手段の押圧部材がコイルばねのばね力に抗して回動抵抗受部の凹面部を絶対的にあるいは相対的に摺動するようになり、コイルばねのばね力が増加して抵抗感が強くなる。そして、回動部材が所定の回動位置に達すると、電磁石が断電され、この抵抗感がなくなる。コイルばねによる抵抗感の急変により節度感が発生する。
【0012】
この構成の場合、前記所定の回動位置の変更により、節度角度を容易に変更できる。また、略V形の凹面部を有する回動抵抗受部と、鋼線製コイルばね及び押圧部材を有し、該コイルばねのばね力により、前記押圧部材を回動抵抗受部の前記凹面部に対して押圧して回動抵抗を与えるための抵抗付与手段とで、節度を与える構成であるから、コイルばねの選定と、凹面部の傾斜角度の設定により節度感の間隔と強弱の設定が容易となる。
【0013】
さらにこの請求項1においては、反転用断電制御手段により、前記電磁石通電以後に前記回動部材用回動位置検出手段により検出した回動部材の回動位置と、前記応動部材用回動位置検出手段により検出した応動部材の回動位置とが同期するか否かを判断し、両位置がずれた時の直前の同期位置を前記記憶手段に記憶する。この判断の趣旨は次にある。すなわち、電磁石通電以後であっても、回動部材と応動部材とが同期して回動(一体回動)しているということは、押圧部材が凹面部の谷部にあり、また両部材がずれるということは、応動部材が電磁石により固定されて押圧部材が凹面部を相対的に登り始めた(回動抵抗が出始めた)ということであり、押圧部材が凹面部を登り始める直前の応動部材の回動位置及び回動部材の回動位置、つまり押圧部材が凹面部の谷中心部に位置する位置を、記憶できる。なお、電磁石の通電時点で直ちに応動部材が固定されないのは、電磁石の応答遅れなどによりタイムラグなどがあるからである。
【0014】
そして、反転用断電制御手段は、当該ずれた時から前記回動方向検出手段により前記回動部材が反転したか否かを監視し、該回動部材が反転したことが検出されたときには、前記回動部材用回動位置検出手段により検出した回動部材の回動位置が前記記憶した同期位置となったときに、前記電磁石を断電するから、押圧部材が凹面部の谷中心部に至ったときの回動位置で電磁石を断電できて、一時的に逆方向への節度が付与されることがない。また、使用者が回動部材に対する一方向への操作力を解除して回動部材が通電開始位置に戻ったとしても、この通電開始位置で電磁石が既に断電されているから、通電状態が継続されてしまうといったこともない。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、節度角度の設定及び節度感の強弱などの設定が容易となり、さらに、回動部材が電磁石通電状態で回動方向が反転された時に電磁石を適正に断電できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を例えば車両エアコンの温度設定用の節度装置に適用した第1の実施例について図1ないし図9を参照して説明する。図1には、節度装置1の縦断面して示している。この図1において、節度装置1は、例えば自動車のインストルメントパネル15裏側に取り付けられている。
【0017】
この節度装置1は、装置本体としての装置ケース2を備えている。この装置ケース2には回動部材3が回動可能に支承されている。この回動部材3の一端部の軸部3aは当該装置ケース2及び前記インストルメントパネル15から突出している。この軸部3aには、温度調節用の操作部材たる操作ダイヤル16が一体回動する形態に取り付けられている。前記インストルメントパネル15において、上記操作ダイヤル16の周囲には図3に示すように、温度表示部17が設けられている。この温度表示部17には、角度k0°から角度k29°までの角度範囲α°に対応して、温度18℃〜32℃を指標する目盛り部m1〜m15が設けられている。
【0018】
前記装置ケース2内の電磁石ホルダ2aには略円筒形の電磁石4が取着されており、この電磁石4の中空部を応動軸8aが回転可能に挿通している。
また、前記回動部材3には、円筒スリーブ状の回動抵抗受部5が該回動部材3と一体回動するように設けられており、この回動抵抗受部5の内面には、図2に示すように、略V形の凹面部6が形成されている。この凹面部6は、斜面6aと斜面6bとで略V形をなす。
【0019】
また、この回動抵抗受部5の内部における応動軸8a部分には、抵抗付与手段7が設けられている。この抵抗付与手段7は、応動部材である被吸着部材8に設けられている。この被吸着部材8は磁性材から構成されており、前記電磁石4と軸方向で対向した形態で前記回動部材3と同心状態に回動可能に設けられている。前記抵抗付与手段7は、ホルダ7aに形成したガイド筒部11内に、鋼線製コイルばね9と、押圧部材10とを収容配置して構成されている。前記コイルばね9が圧縮状態で収容配置されている。このコイルばね9のばね力により、図2に示すように、押圧部材10が前記凹面部6の谷中心部に押圧付勢されている。
【0020】
第1の位置センサ12は、回動部材3の回動位置を検出する回動部材用回動位置検出手段たるものであり、例えばロータリーエンコーダから構成されている。この第1の位置センサ12は、前記回動部材3の外周に取着されたディスク12aと、装置ケース2に取り付けられたフォトセンサ12bとから構成されている。前記ディスク12aには回動角度を検出するための多数のスリットが形成されている。この位置センサ12は回動部材3の回動位置(角度位置)を検出し、この回動位置検出信号は前記制御装置14(図4参照)に与えられる。なお、第1の位置センサ12からの回動位置検出信号は、温度設定のためにも用いられるようになっている。
【0021】
第2の位置センサ13は、応動部材である被吸着部材8の回動位置を検出する応動部材用回動位置検出手段たるものであり、例えばロータリーエンコーダから構成されている。この第2の位置センサ13は、前記被吸着部材8の外周に形成されたスリット部13bと、装置ケース2に取り付けられたフォトセンサ13bとから構成されている。この位置センサ13は被吸着部材8の回動位置(角度位置)を検出し、この回動位置検出信号s13は前記制御装置14(図4参照)に与えられる。
【0022】
前記第1の位置センサ12と第2の位置センサ13とは、同じ構成であって、角度分解能を例えば「1°」としており、1回転で360の等間隔位置(絶対位置)を検出することができる。両位置センサ12及び13は、押圧部材10が凹面部6の谷中心部に位置する状態では回動位置検出信号s12とs13とが同期して出力される関係となっている。
【0023】
図4に示す制御装置14は、制御手段、回動方向検出手段、反転用断電制御手段として機能するものであり、マイクロコンピュータを含んで構成されている。このマイクロコンピュータはCPU、ROM、RAM等を有して構成されており、RAMが記憶手段に相当図する。前記回動方向検出手段としての機能は、第1の位置センサ12による回動部材3の回動角度位置の変化により回動方向を検出するものである。
【0024】
前記制御手段としての機能は、前記第1の位置センサ12により検出された前記回動部材3の回動位置が、予め設定された通電開始位置に達した時に前記電磁石4を通電し、予め設定された通電停止位置に達したときに前記電磁石4を断電する機能である。すなわち、通電開始位置とは、制御装置14が電磁石4を通電開始する回動部材3の回動角度をいい、通電停止位置とは、制御装置14が電磁石4の通電を停止する回動部材3の回動角度をいうものであり、これら通電開始位置及び通電停止位置については後述する。
【0025】
反転用断電制御手段として機能は、前記電磁石4通電以後に前記第1の位置センサ12により検出した回動部材3の回動位置と、前記第2の位置センサ13により検出した被吸着部材8の回動位置とが同期するか否かを判断し、両位置がずれた時の直前の同期位置を前記記憶手段であるRAMに記憶し、当該ずれた時から前記回動方向検出手段により前記回動部材3が反転したか否かを監視し、該回動部材3が反転したことが検出されたときには、前記第1の位置センサ12により検出した回動部材3の回動位置が前記記憶した同期位置となったときに、前記電磁石4を断電する機能である。
【0026】
前記通電開始位置及び通電停止位置は次のように設定されている。図7には前記温度表示部17を展開して示している。この図7及び図3において、回動部材3が矢印A方向に回動されるときの通電開始位置は、回動部材3の基準点3P(操作ダイヤル16の指標15Pに対応)が、温度表示部17に対応した角度k1°(deg)、k3°、k5°、・・・k27°に至った角度位置である。また回動部材3が矢印B方向に回動されるときの通電開始位置は、回動部材3の基準点3Pが、角度k28°、k26°、k24°、・・・k2°に至った角度位置である。
【0027】
また、位置センサ12の角度検出分解能を例えば「1°」とすると、回動部材3が矢印A方向に回動されるときの通電停止位置は、回動部材3の基準点3Pが、角度「k2°+1°」、「k4°+1°」、「k6°+1°」、・・・「k28°+1°」に至った角度位置である。さらに回動部材3が矢印B方向に回動されるときの通電停止位置は、「k27°−1°」、「k25°−1°」、「k23°−1°」、・・・「k1−1°」に至った角度位置としている。なお、上記「−1°」、「+1°」は位置センサ12の角度検出分解能に応じて決めれば良く、分解能が高ければ「−0.5°」、「+0.5°」などさらに小さくすることもできる。
【0028】
上記構成の作用について説明する。今、図5に示すように、操作ダイヤル16(ひいては回動部材3)が例えば24℃表示部指示位置P1にあるとする(角度k12°〜k13°中間位置)にあるとする。この状態では、電磁石4が断電されている状態にあり、押圧部材10は、回動抵抗受部5の凹面部6の谷中心部に押圧付勢されており、前記被吸着部材8が回動部材3に対して回動可能である。この状態から、使用者が操作ダイヤル16を図2の矢印A方向へ回動操作したとすると、上述したように、押圧部材10が回動抵抗受部5の凹面部6の谷中心部に押圧付勢され、且つ被吸着部材8が回動部材3に対して回動可能であるから、押圧部材10も一体回動する(図6(a)参照)。つまり、電磁石4の断電時には、回動部材3の回動に伴って前記回動抵抗受部5と前記抵抗付与手段7との両方が回動し、節度感は発生しない(図5、図6(a)の角度範囲a1°)。この断電時には、前記回動抵抗受部5と前記抵抗付与手段7との両方が一体に回動することから、第2の位置センサ13は第1の位置センサ12に同期して位置検出信号s13を出力する。この同期する領域と非同期領域とを図7に示している。なお、非同期領域は完全な非同期両位置ということではなく、後述するが通電直後の極微小時間では電磁石4の応答遅れなどにより同期する。
【0029】
この操作ダイヤル16の回動角度が図5の角度k13°となると、電磁石4が通電されて、この通電により電磁石4が被吸着部材8を吸着固定もしくは吸引固定する。これにより押圧部材10が回動不能状態に固定され、これに対し、回動抵抗受部5は、引き続き使用者による回動操作力を受けて矢印A方向へ回動される。すると、図6(b)に示すように、該回動抵抗受部5の凹面部6の斜面6aが押圧部材10と摺接し(相対的に押圧部材10が凹面部6の斜面6aを登り始める)、押圧方向へのコイルばね9のばね力が増加し、該回動抵抗受部5が回動抵抗を使用者が強く感じるようになる。
【0030】
この結果、ユーザーに抵抗感つまり節度感が作用する(図5の角度範囲a2°)。そして、操作ダイヤル16の回動角度が通電停止位置である角度「k14°+1°」となったところで電磁石4が断電されると、吸着固定もしくは吸引固定が解除されて、前記前記節度感が解除されてクリック感が作用することとなる。この通電時には、第2の位置センサ13は、被吸着部材8の回動が停止することから、回動検出信号s13は出力せず、信号出力は非同期となる。但し、実際には、電磁石4の応答遅れなどによるタイムラグがあって、通電直後の極微小時間では同期する。
【0031】
上述の通電開始から、使用者が操作ダイヤル16を矢印方向へ操作した後、反転させた場合の制御装置14の制御について、図8及び図9を参照して説明する。図9は、図8の時間軸を拡大したものである。制御装置14は、上述の通電開始時点(角度k13°)から(前記電磁石4通電以後)前記第1の位置センサ12により検出した回動部材3の回動位置と、前記第2の位置センサ13により検出した被吸着部材8の回動位置とが同期するか否かを判断し、両位置がずれた時の直前の同期位置を前記記憶手段であるRAMに記憶する。この判断の趣旨は次にある。すなわち、電磁石4通電以後であっても、回動部材3と被吸着部材8とが同期して回動(一体回動)しているということは、押圧部材10が凹面部6の谷中心部にあり、また両部材がずれるということは、被吸着部材8が電磁石4により固定されて押圧部材10が凹面部6を相対的に登り始めた(回動抵抗が出始めた)ということである。従って、押圧部材10が凹面部6を登り始める直前の被吸着部材8の回動位置及び回動部材3の回動位置を、前記両位置がずれた時の直前の同期位置として記憶することで、押圧部材10が凹面部6の谷中心部となる回動位置を記憶できる。
【0032】
前記角度k13°までは被吸着部材8も同期して回動しており、第2の位置センサ13は第1の位置センサ12と同期して位置検出信号s13を出力している。第1の位置センサ12及び第2の位置センサ13において上記角度k13°に対応する位置検出信号をそれぞれ符号s12k13及びs13kxとしている。この場合、電磁石4の応答遅れなどのタイムラグにより角度[k13°+1°]まで同期し、次の角度[k13°+2°]で位置検出信号がずれたとする。直前の上記角度[k13°+1°]の回動位置では、押圧部材10が凹面部6の谷中心部にある位置であり、第1の位置センサ12の回動位置検出信号s12(k13+1)と第2の位置センサ13の回動位置検出信号s13(kx+1)とが同期している。この第1の位置センサ12の回動位置検出信号s12(k13+1)による回動位置と、第2の位置センサ13の回動位置検出信号s13(kx+1)による回動位置が前記RAMに記憶される。
【0033】
そして、前記ずれた時(時点tz)から前記回動部材3が反転したか否かを監視し、該回動部材3が反転したことが検出されたときには、前記第1の位置センサ12の回動位置検出信号s12と第2の位置センサ13の回動検出信号s13とが同期するか、否かを判断し、同期位置(この同期位置は、前記第1の位置センサ12の回動位置検出信号s12(k13+1)と第2の位置センサ13の回動位置検出信号s13(kx+1)とが同期する回動位置)となったときに、前記電磁石4を断電する。
【0034】
この結果、押圧部材10が凹面部6の谷中心部に至ったときの回動位置で電磁石4を断電できて、一時的に逆方向への節度が付与されることがない。また、使用者が回動部材3に対する一方向への操作力を解除して回動部材3が通電開始位置に戻ったとしても、この通電開始位置で電磁石4が既に断電されているから、通電状態が継続されてしまうといったこともない。
【0035】
なお、前記角度k13°で通電後反転されたとき、反転されない条件での前記通電停止位置である角度「k13°−1°」で電磁石4が断電されることによる不具合について参考図11及び12を参照して説明する。操作ダイヤル16が反転されて角度k13°に至ると(図12に示す位置)、この位置でも電磁石4が通電されたままであるため押圧部材10は固定されたままにある。この状態から操作ダイヤル16がそのまま反転方向(矢印B方向)へ移動すると、角度「k13°−1°」までの区間においては、節度感が与えられ、そして、角度「k13°−1°」の位置となったところで断電されるものである。従って、この参考図11及び12においては、その通電開始位置を戻り方向へ過ぎてからしか断電されないという問題があった。このため、一時的に逆方向の節度感が付与されてしまう問題があった。また、使用者が操作ダイヤル16に対する操作力を解除して操作ダイヤル16がコイルばね9のばね力で戻って前記所定の通電開始位置で停止してしまうと、電磁石4通電状態が継続されてしまう問題もある。
【0036】
しかし、本実施例では、上述したように、このような問題を解決できた。
このような本実施例によれば、回動部材たる回動部材3が回動操作されると、前記回動抵抗受部5が、前記回動部材3と一体回動し、抵抗付与手段7が、前記電磁石4の断電時に前記回動部材3と一体回動する。従って、電磁石4の断電時には、回動部材3の回動操作に伴って前記回動抵抗受部5と前記抵抗付与手段7との両方が回動し、節度感は発生しない。そして、軸が所定の回動位置に達すると、位置センサ12により所定の回動位置が検出され、制御手段たる制御装置14手段により、電磁石4が通電される。この通電により、前記抵抗付与手段7が、該電磁石4に吸着されて非回動状態に固定される。すると、抵抗付与手段7の押圧部材10がコイルばね9のばね力に抗して回動抵抗受部5の凹面部6を相対的に摺動するようになり、コイルばね9のばね力が増加して抵抗感が強くなる。そして、回動部材3が所定の回動位置に達すると、電磁石4が断電され、この抵抗感がなくなる。この結果、コイルばね9による抵抗感の急変により節度感が発生させることができる。
【0037】
また、本実施例によれば、前記通電開始位置及び通電停止位置の変更により、節度角度を容易に変更できる。また、略V形の凹面部6を有する回動抵抗受部5と、鋼線製コイルばね9及び押圧部材10を有し、該コイルばね9のばね力により、前記押圧部材10を回動抵抗受部5の前記凹面部6に対して押圧して回動抵抗を与えるための抵抗付与手段7とで、節度を与える構成であるから、コイルばね9の選定と、凹面部6の傾斜角度の設定により節度感の間隔と強弱の設定が容易となる。
【0038】
また、本実施例によれば、前記電磁石4が前記通電開始位置で通電された後に操作ダイヤル16ひいては回動部材3の回動方向が反転されたときには、前記第1の位置センサ12により検出した回動部材3の回動位置が前記記憶した同期位置となったときに、前記電磁石4を断電するから、押圧部材10が凹面部6の谷中心部に至ったときの回動位置で電磁石4を断電できて、一時的に逆方向への節度が付与されることがない。また、使用者が回動部材3に対する一方向への操作力を解除して回動部材が通電開始位置に戻ったとしても、この通電開始位置で電磁石4が既に断電されているから、通電状態が継続されてしまうといったこともない。
【0039】
図10は本発明の第2の実施例を示しており、この第2の実施例では、次の点が第1の実施例と異なる。第1の実施例では、前記回動抵抗受部5を回動部材3と一体回動可能に設け、前記抵抗付与手段7を被吸着部材8に設ける構成としたが、この第3の実施例では、抵抗付与手段7を、前記回動部材3と一体回動可能に設けると共に、前記回動抵抗受部5を、被吸着部材8に設けた受部材18に形成している。このようにしても第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0040】
本発明は上記各実施例に限定されず、次のように変更して実施しても良い。回動位置検出手段としては、ロータリーエンコーダに限られず、ポテンショメータや、複数のホールICと磁極との組み合わせ構成でも良い。また、押圧部材及び押し当て部材は球状に形成しても良いし、鋼球を用いても良い。また、本発明の節度装置は、エアコンの温度調節装置以外にもジョイスティック装置など、種々の装置に適用できるものである。また、凹面部は全体として略V形であればよく、その谷中心部の形状は図示した角部に限定されるものではなく、例えば凹面部の谷中心部は、丸みを帯びていても良いし、狭小な平坦部となっていても良い。また、記憶手段としては制御装置に外付けされる不揮発性メモリなどでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明をエアコンの温度設定用の節度装置に適用した第1の実施例を示す縦断側面図
【図2】図1のT−T線断面図
【図3】インストルメントパネルの正面図
【図4】電気的構成のブロック図
【図5】電磁石に対する通断電制御と節度感とを説明するための図
【図6】(a)、(b)は作用を説明するための図2相当図
【図7】通電領域と温度表示部と節度感との関係を示す図
【図8】回動方向が反転された場合の断電を説明するための図
【図9】図8における時間軸を拡大した図
【図10】本発明の第2の実施例を示す図2相当図
【図11】参考例を示す図8相当図
【図12】作用説明のための図2相当図
【図13】従来例を示す図1相当図
【符号の説明】
【0042】
図面中、1は節度装置、2は装置ケース(装置本体)、3は回動部材、4は電磁石、5は回動抵抗受部、6は凹面部、7は抵抗付与手段、8は被吸着部材(応動部材)、9はコイルばね、10は押圧部材、12は第1の位置センサ(回動部材用回動位置検出手段)、13は第2の位置センサ(応動部材用回動位置検出手段)、14は制御装置(制御手段、回動方向検出手段、記憶手段、反転用断電制御手段)、15はインストルメントパネル、16は操作ダイヤル、17は温度表示部を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から操作される回動部材の動作に節度を与える節度装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の各種コントロールに使用されるロータリスイッチ装置は、例えば、特許文献1に開示されているスイッチ装置のように、ケース内面に形成された山部及び谷部を交互に有する節度面部と、ケース内のロータ側に設けられたコイルばね及びこのコイルばねにより節度面部に当接するように付勢されたボールとからなる節度機構を有している。
【0003】
このような構成の節度機構によれば、使用者が操作ノブを回動してスイッチ操作を行う場合、ロータの回動に伴ってボールが山部を超えて谷部に移動し、この谷部に落ち込む。すなわち、ボールが山部を超える前後において操作ノブに与えられるフィードバック力が変化する。これにより、操作ノブの回動に節度が与えられている。
【特許文献1】実開平5−94922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1のものでは、操作ノブを回動した時に節度が与えられる回動角度(以下、節度角度という)が、節度面の山部及び谷部の形成ピッチ(角度ピッチ)に制約されてしまう問題がある。この問題を解決するものとして、図13に示す構成の節度装置が考えられている。
【0005】
図13において、例えばインストルメントパネル101の裏面側の適宜部位に取り付けられた装置ベース102には、軸103が回動可能に支承されている。この軸103において前記インストルメントパネル101の表面側に突出する一端部(図では右端部)には、操作部材104が軸103と一体回動する形態に取り付けられている。さらに、この軸103の他端部には、操作部材104の回動位置を検出するためのロータリーエンコーダ105のディスク105aが軸103と一体回動する形態に取り付けられている。
【0006】
さらに、軸103の他端部側に被吸着部106が軸103と一体回動する形態に設けられており、この被吸着部材106の右面には磁性板からなる被吸着体106aが取着されている。この被吸着体106aの上方部には、電磁石107が、軸103とは無関係に回動可能に、且つ微小距離で軸方向移動可能に設けられている。この電磁石107と装置ベース102との間には、合成樹脂からなるばね板108、108が設けられており、このばね板108、108の一端は前記装置ベース102に取着され、他端は前記電磁石107に取着されている。このばね板108、108は、軸103の回動に対して抵抗を与えるものである。なお軸103には適宜の操作対象物が付設あるいは連結される。
【0007】
この図13の構成において、通常は、電磁石107が断電されており、操作部材104が使用者により回動操作されると、軸103、ディスク105a、被吸着部106が一体回動する。そして、操作部材104が所定角度回動されると、ロータリーエンコーダ105がこの所定角度を検出し、これに基づいて図示しない制御部が電磁石107に通電する。すると、電磁石107と被吸着体106aとが吸着状態となって当該電磁石107、被吸着体106a、軸103、操作部材104が一体化状態となる。従って、この状態から使用者が操作部材104をさらに回動すると、板ばね108、108の他端がその回動方向へ弾性変形することによって復元方向へばね力を発生し、使用者が回動抵抗を受け、電磁石が断電したときに回動抵抗がなくなる。回動抵抗の差により節度が与えられる。
【0008】
しかし、この構成では、合成樹脂製のばね板108、108を使用するため、ばね機能を奏するための形状の設定が難しいとともに、ばね力設定のための材料選定も難しく、総じて節度感の設定が難しいといった問題があった。また、節度感の滑らか度合いとか、急激度合いなどの微妙な設定も困難であった。また、使用者が操作部材104を一方向へ回動操作して、電磁石が所定の通電開始位置で通電された後に、該電磁石が断電される前に、使用者が操作部材104を逆回動方向へ戻す操作を行うと、再度、軸103が前記所定の通電開始位置を戻り方向に通過するが、その通電開始位置を戻り方向へ過ぎてからしか断電されないという問題があった。このため、一時的に逆方向の節度感が付与されてしまう問題があった。また、使用者が操作部材104に対する操作力を解除して操作部材104が戻って前記所定の通電開始位置で停止してしまうと、電磁石通電状態が継続されてしまう問題もある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、節度角度の設定及び節度感の強弱などの設定が容易となり、さらに、回動部材が電磁石通電状態で回動方向が反転された時に電磁石を適正に断電できる節度装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、装置本体と、この装置本体に回動操作可能に設けられ外部からの操作力により操作される回動部材と、略V形の凹面部を有する回動抵抗受部と、鋼線製コイルばね及び押圧部材を有し、該コイルばねのばね力により、前記押圧部材を回動抵抗受部の前記凹面部に対して押圧して回動抵抗を与えるための抵抗付与手段と、前記装置本体に設けられた電磁石と、前記回動部材の回動位置を検出する回動部材用回動位置検出手段と、前記回動部材の回動方向を検出する回動方向検出手段と、前記回動部材用回動位置検出手段により検出された前記回動部材の回動位置に応じて前記電磁石を通断電制御する制御手段と、前記回動部材の回動中心と同心状態で回動可能に設けられ電磁石の通電時に該電磁石に吸着されて非回動状態に固定される応動部材と、この応動部材の回動位置を検出する応動部材用回動位置検出手段と、記憶手段とを備え、前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との一方を、前記回動部材と一体回動可能に設け、他方を、前記応動部材に設ける構成とし、前記電磁石通電以後に前記回動部材用回動位置検出手段により検出した回動部材の回動位置と、前記応動部材用回動位置検出手段により検出した応動部材の回動位置とが同期するか否かを判断し、両位置がずれた時の直前の同期位置を前記記憶手段に記憶し、当該ずれた時から前記回動方向検出手段により前記回動部材が反転したか否かを監視し、該回動部材が反転したことが検出されたときには、前記回動部材用回動位置検出手段により検出した回動部材の回動位置が前記記憶した同期位置となったときに、前記電磁石を断電する反転用断電制御手段を設けたところに特徴を有する。
【0011】
この請求項1の発明においては、回動部材が回動操作されると、前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との一方が、前記回動部材と一体回動し、他方が、前記電磁石の断電時に前記回動部材と一体回動する。従って、電磁石の断電時には、回動部材の回動操作に伴って前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との両方が回動し、節度感は発生しない。そして、該他方が、回動部材が所定の回動位置に達すると、位置検出手段により当該所定の回動位置が検出され、制御手段により、電磁石が通電される。この通電により、前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段とのうちの他方が、該電磁石に吸着されて非回動状態に固定される。すると、抵抗付与手段の押圧部材がコイルばねのばね力に抗して回動抵抗受部の凹面部を絶対的にあるいは相対的に摺動するようになり、コイルばねのばね力が増加して抵抗感が強くなる。そして、回動部材が所定の回動位置に達すると、電磁石が断電され、この抵抗感がなくなる。コイルばねによる抵抗感の急変により節度感が発生する。
【0012】
この構成の場合、前記所定の回動位置の変更により、節度角度を容易に変更できる。また、略V形の凹面部を有する回動抵抗受部と、鋼線製コイルばね及び押圧部材を有し、該コイルばねのばね力により、前記押圧部材を回動抵抗受部の前記凹面部に対して押圧して回動抵抗を与えるための抵抗付与手段とで、節度を与える構成であるから、コイルばねの選定と、凹面部の傾斜角度の設定により節度感の間隔と強弱の設定が容易となる。
【0013】
さらにこの請求項1においては、反転用断電制御手段により、前記電磁石通電以後に前記回動部材用回動位置検出手段により検出した回動部材の回動位置と、前記応動部材用回動位置検出手段により検出した応動部材の回動位置とが同期するか否かを判断し、両位置がずれた時の直前の同期位置を前記記憶手段に記憶する。この判断の趣旨は次にある。すなわち、電磁石通電以後であっても、回動部材と応動部材とが同期して回動(一体回動)しているということは、押圧部材が凹面部の谷部にあり、また両部材がずれるということは、応動部材が電磁石により固定されて押圧部材が凹面部を相対的に登り始めた(回動抵抗が出始めた)ということであり、押圧部材が凹面部を登り始める直前の応動部材の回動位置及び回動部材の回動位置、つまり押圧部材が凹面部の谷中心部に位置する位置を、記憶できる。なお、電磁石の通電時点で直ちに応動部材が固定されないのは、電磁石の応答遅れなどによりタイムラグなどがあるからである。
【0014】
そして、反転用断電制御手段は、当該ずれた時から前記回動方向検出手段により前記回動部材が反転したか否かを監視し、該回動部材が反転したことが検出されたときには、前記回動部材用回動位置検出手段により検出した回動部材の回動位置が前記記憶した同期位置となったときに、前記電磁石を断電するから、押圧部材が凹面部の谷中心部に至ったときの回動位置で電磁石を断電できて、一時的に逆方向への節度が付与されることがない。また、使用者が回動部材に対する一方向への操作力を解除して回動部材が通電開始位置に戻ったとしても、この通電開始位置で電磁石が既に断電されているから、通電状態が継続されてしまうといったこともない。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、節度角度の設定及び節度感の強弱などの設定が容易となり、さらに、回動部材が電磁石通電状態で回動方向が反転された時に電磁石を適正に断電できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を例えば車両エアコンの温度設定用の節度装置に適用した第1の実施例について図1ないし図9を参照して説明する。図1には、節度装置1の縦断面して示している。この図1において、節度装置1は、例えば自動車のインストルメントパネル15裏側に取り付けられている。
【0017】
この節度装置1は、装置本体としての装置ケース2を備えている。この装置ケース2には回動部材3が回動可能に支承されている。この回動部材3の一端部の軸部3aは当該装置ケース2及び前記インストルメントパネル15から突出している。この軸部3aには、温度調節用の操作部材たる操作ダイヤル16が一体回動する形態に取り付けられている。前記インストルメントパネル15において、上記操作ダイヤル16の周囲には図3に示すように、温度表示部17が設けられている。この温度表示部17には、角度k0°から角度k29°までの角度範囲α°に対応して、温度18℃〜32℃を指標する目盛り部m1〜m15が設けられている。
【0018】
前記装置ケース2内の電磁石ホルダ2aには略円筒形の電磁石4が取着されており、この電磁石4の中空部を応動軸8aが回転可能に挿通している。
また、前記回動部材3には、円筒スリーブ状の回動抵抗受部5が該回動部材3と一体回動するように設けられており、この回動抵抗受部5の内面には、図2に示すように、略V形の凹面部6が形成されている。この凹面部6は、斜面6aと斜面6bとで略V形をなす。
【0019】
また、この回動抵抗受部5の内部における応動軸8a部分には、抵抗付与手段7が設けられている。この抵抗付与手段7は、応動部材である被吸着部材8に設けられている。この被吸着部材8は磁性材から構成されており、前記電磁石4と軸方向で対向した形態で前記回動部材3と同心状態に回動可能に設けられている。前記抵抗付与手段7は、ホルダ7aに形成したガイド筒部11内に、鋼線製コイルばね9と、押圧部材10とを収容配置して構成されている。前記コイルばね9が圧縮状態で収容配置されている。このコイルばね9のばね力により、図2に示すように、押圧部材10が前記凹面部6の谷中心部に押圧付勢されている。
【0020】
第1の位置センサ12は、回動部材3の回動位置を検出する回動部材用回動位置検出手段たるものであり、例えばロータリーエンコーダから構成されている。この第1の位置センサ12は、前記回動部材3の外周に取着されたディスク12aと、装置ケース2に取り付けられたフォトセンサ12bとから構成されている。前記ディスク12aには回動角度を検出するための多数のスリットが形成されている。この位置センサ12は回動部材3の回動位置(角度位置)を検出し、この回動位置検出信号は前記制御装置14(図4参照)に与えられる。なお、第1の位置センサ12からの回動位置検出信号は、温度設定のためにも用いられるようになっている。
【0021】
第2の位置センサ13は、応動部材である被吸着部材8の回動位置を検出する応動部材用回動位置検出手段たるものであり、例えばロータリーエンコーダから構成されている。この第2の位置センサ13は、前記被吸着部材8の外周に形成されたスリット部13bと、装置ケース2に取り付けられたフォトセンサ13bとから構成されている。この位置センサ13は被吸着部材8の回動位置(角度位置)を検出し、この回動位置検出信号s13は前記制御装置14(図4参照)に与えられる。
【0022】
前記第1の位置センサ12と第2の位置センサ13とは、同じ構成であって、角度分解能を例えば「1°」としており、1回転で360の等間隔位置(絶対位置)を検出することができる。両位置センサ12及び13は、押圧部材10が凹面部6の谷中心部に位置する状態では回動位置検出信号s12とs13とが同期して出力される関係となっている。
【0023】
図4に示す制御装置14は、制御手段、回動方向検出手段、反転用断電制御手段として機能するものであり、マイクロコンピュータを含んで構成されている。このマイクロコンピュータはCPU、ROM、RAM等を有して構成されており、RAMが記憶手段に相当図する。前記回動方向検出手段としての機能は、第1の位置センサ12による回動部材3の回動角度位置の変化により回動方向を検出するものである。
【0024】
前記制御手段としての機能は、前記第1の位置センサ12により検出された前記回動部材3の回動位置が、予め設定された通電開始位置に達した時に前記電磁石4を通電し、予め設定された通電停止位置に達したときに前記電磁石4を断電する機能である。すなわち、通電開始位置とは、制御装置14が電磁石4を通電開始する回動部材3の回動角度をいい、通電停止位置とは、制御装置14が電磁石4の通電を停止する回動部材3の回動角度をいうものであり、これら通電開始位置及び通電停止位置については後述する。
【0025】
反転用断電制御手段として機能は、前記電磁石4通電以後に前記第1の位置センサ12により検出した回動部材3の回動位置と、前記第2の位置センサ13により検出した被吸着部材8の回動位置とが同期するか否かを判断し、両位置がずれた時の直前の同期位置を前記記憶手段であるRAMに記憶し、当該ずれた時から前記回動方向検出手段により前記回動部材3が反転したか否かを監視し、該回動部材3が反転したことが検出されたときには、前記第1の位置センサ12により検出した回動部材3の回動位置が前記記憶した同期位置となったときに、前記電磁石4を断電する機能である。
【0026】
前記通電開始位置及び通電停止位置は次のように設定されている。図7には前記温度表示部17を展開して示している。この図7及び図3において、回動部材3が矢印A方向に回動されるときの通電開始位置は、回動部材3の基準点3P(操作ダイヤル16の指標15Pに対応)が、温度表示部17に対応した角度k1°(deg)、k3°、k5°、・・・k27°に至った角度位置である。また回動部材3が矢印B方向に回動されるときの通電開始位置は、回動部材3の基準点3Pが、角度k28°、k26°、k24°、・・・k2°に至った角度位置である。
【0027】
また、位置センサ12の角度検出分解能を例えば「1°」とすると、回動部材3が矢印A方向に回動されるときの通電停止位置は、回動部材3の基準点3Pが、角度「k2°+1°」、「k4°+1°」、「k6°+1°」、・・・「k28°+1°」に至った角度位置である。さらに回動部材3が矢印B方向に回動されるときの通電停止位置は、「k27°−1°」、「k25°−1°」、「k23°−1°」、・・・「k1−1°」に至った角度位置としている。なお、上記「−1°」、「+1°」は位置センサ12の角度検出分解能に応じて決めれば良く、分解能が高ければ「−0.5°」、「+0.5°」などさらに小さくすることもできる。
【0028】
上記構成の作用について説明する。今、図5に示すように、操作ダイヤル16(ひいては回動部材3)が例えば24℃表示部指示位置P1にあるとする(角度k12°〜k13°中間位置)にあるとする。この状態では、電磁石4が断電されている状態にあり、押圧部材10は、回動抵抗受部5の凹面部6の谷中心部に押圧付勢されており、前記被吸着部材8が回動部材3に対して回動可能である。この状態から、使用者が操作ダイヤル16を図2の矢印A方向へ回動操作したとすると、上述したように、押圧部材10が回動抵抗受部5の凹面部6の谷中心部に押圧付勢され、且つ被吸着部材8が回動部材3に対して回動可能であるから、押圧部材10も一体回動する(図6(a)参照)。つまり、電磁石4の断電時には、回動部材3の回動に伴って前記回動抵抗受部5と前記抵抗付与手段7との両方が回動し、節度感は発生しない(図5、図6(a)の角度範囲a1°)。この断電時には、前記回動抵抗受部5と前記抵抗付与手段7との両方が一体に回動することから、第2の位置センサ13は第1の位置センサ12に同期して位置検出信号s13を出力する。この同期する領域と非同期領域とを図7に示している。なお、非同期領域は完全な非同期両位置ということではなく、後述するが通電直後の極微小時間では電磁石4の応答遅れなどにより同期する。
【0029】
この操作ダイヤル16の回動角度が図5の角度k13°となると、電磁石4が通電されて、この通電により電磁石4が被吸着部材8を吸着固定もしくは吸引固定する。これにより押圧部材10が回動不能状態に固定され、これに対し、回動抵抗受部5は、引き続き使用者による回動操作力を受けて矢印A方向へ回動される。すると、図6(b)に示すように、該回動抵抗受部5の凹面部6の斜面6aが押圧部材10と摺接し(相対的に押圧部材10が凹面部6の斜面6aを登り始める)、押圧方向へのコイルばね9のばね力が増加し、該回動抵抗受部5が回動抵抗を使用者が強く感じるようになる。
【0030】
この結果、ユーザーに抵抗感つまり節度感が作用する(図5の角度範囲a2°)。そして、操作ダイヤル16の回動角度が通電停止位置である角度「k14°+1°」となったところで電磁石4が断電されると、吸着固定もしくは吸引固定が解除されて、前記前記節度感が解除されてクリック感が作用することとなる。この通電時には、第2の位置センサ13は、被吸着部材8の回動が停止することから、回動検出信号s13は出力せず、信号出力は非同期となる。但し、実際には、電磁石4の応答遅れなどによるタイムラグがあって、通電直後の極微小時間では同期する。
【0031】
上述の通電開始から、使用者が操作ダイヤル16を矢印方向へ操作した後、反転させた場合の制御装置14の制御について、図8及び図9を参照して説明する。図9は、図8の時間軸を拡大したものである。制御装置14は、上述の通電開始時点(角度k13°)から(前記電磁石4通電以後)前記第1の位置センサ12により検出した回動部材3の回動位置と、前記第2の位置センサ13により検出した被吸着部材8の回動位置とが同期するか否かを判断し、両位置がずれた時の直前の同期位置を前記記憶手段であるRAMに記憶する。この判断の趣旨は次にある。すなわち、電磁石4通電以後であっても、回動部材3と被吸着部材8とが同期して回動(一体回動)しているということは、押圧部材10が凹面部6の谷中心部にあり、また両部材がずれるということは、被吸着部材8が電磁石4により固定されて押圧部材10が凹面部6を相対的に登り始めた(回動抵抗が出始めた)ということである。従って、押圧部材10が凹面部6を登り始める直前の被吸着部材8の回動位置及び回動部材3の回動位置を、前記両位置がずれた時の直前の同期位置として記憶することで、押圧部材10が凹面部6の谷中心部となる回動位置を記憶できる。
【0032】
前記角度k13°までは被吸着部材8も同期して回動しており、第2の位置センサ13は第1の位置センサ12と同期して位置検出信号s13を出力している。第1の位置センサ12及び第2の位置センサ13において上記角度k13°に対応する位置検出信号をそれぞれ符号s12k13及びs13kxとしている。この場合、電磁石4の応答遅れなどのタイムラグにより角度[k13°+1°]まで同期し、次の角度[k13°+2°]で位置検出信号がずれたとする。直前の上記角度[k13°+1°]の回動位置では、押圧部材10が凹面部6の谷中心部にある位置であり、第1の位置センサ12の回動位置検出信号s12(k13+1)と第2の位置センサ13の回動位置検出信号s13(kx+1)とが同期している。この第1の位置センサ12の回動位置検出信号s12(k13+1)による回動位置と、第2の位置センサ13の回動位置検出信号s13(kx+1)による回動位置が前記RAMに記憶される。
【0033】
そして、前記ずれた時(時点tz)から前記回動部材3が反転したか否かを監視し、該回動部材3が反転したことが検出されたときには、前記第1の位置センサ12の回動位置検出信号s12と第2の位置センサ13の回動検出信号s13とが同期するか、否かを判断し、同期位置(この同期位置は、前記第1の位置センサ12の回動位置検出信号s12(k13+1)と第2の位置センサ13の回動位置検出信号s13(kx+1)とが同期する回動位置)となったときに、前記電磁石4を断電する。
【0034】
この結果、押圧部材10が凹面部6の谷中心部に至ったときの回動位置で電磁石4を断電できて、一時的に逆方向への節度が付与されることがない。また、使用者が回動部材3に対する一方向への操作力を解除して回動部材3が通電開始位置に戻ったとしても、この通電開始位置で電磁石4が既に断電されているから、通電状態が継続されてしまうといったこともない。
【0035】
なお、前記角度k13°で通電後反転されたとき、反転されない条件での前記通電停止位置である角度「k13°−1°」で電磁石4が断電されることによる不具合について参考図11及び12を参照して説明する。操作ダイヤル16が反転されて角度k13°に至ると(図12に示す位置)、この位置でも電磁石4が通電されたままであるため押圧部材10は固定されたままにある。この状態から操作ダイヤル16がそのまま反転方向(矢印B方向)へ移動すると、角度「k13°−1°」までの区間においては、節度感が与えられ、そして、角度「k13°−1°」の位置となったところで断電されるものである。従って、この参考図11及び12においては、その通電開始位置を戻り方向へ過ぎてからしか断電されないという問題があった。このため、一時的に逆方向の節度感が付与されてしまう問題があった。また、使用者が操作ダイヤル16に対する操作力を解除して操作ダイヤル16がコイルばね9のばね力で戻って前記所定の通電開始位置で停止してしまうと、電磁石4通電状態が継続されてしまう問題もある。
【0036】
しかし、本実施例では、上述したように、このような問題を解決できた。
このような本実施例によれば、回動部材たる回動部材3が回動操作されると、前記回動抵抗受部5が、前記回動部材3と一体回動し、抵抗付与手段7が、前記電磁石4の断電時に前記回動部材3と一体回動する。従って、電磁石4の断電時には、回動部材3の回動操作に伴って前記回動抵抗受部5と前記抵抗付与手段7との両方が回動し、節度感は発生しない。そして、軸が所定の回動位置に達すると、位置センサ12により所定の回動位置が検出され、制御手段たる制御装置14手段により、電磁石4が通電される。この通電により、前記抵抗付与手段7が、該電磁石4に吸着されて非回動状態に固定される。すると、抵抗付与手段7の押圧部材10がコイルばね9のばね力に抗して回動抵抗受部5の凹面部6を相対的に摺動するようになり、コイルばね9のばね力が増加して抵抗感が強くなる。そして、回動部材3が所定の回動位置に達すると、電磁石4が断電され、この抵抗感がなくなる。この結果、コイルばね9による抵抗感の急変により節度感が発生させることができる。
【0037】
また、本実施例によれば、前記通電開始位置及び通電停止位置の変更により、節度角度を容易に変更できる。また、略V形の凹面部6を有する回動抵抗受部5と、鋼線製コイルばね9及び押圧部材10を有し、該コイルばね9のばね力により、前記押圧部材10を回動抵抗受部5の前記凹面部6に対して押圧して回動抵抗を与えるための抵抗付与手段7とで、節度を与える構成であるから、コイルばね9の選定と、凹面部6の傾斜角度の設定により節度感の間隔と強弱の設定が容易となる。
【0038】
また、本実施例によれば、前記電磁石4が前記通電開始位置で通電された後に操作ダイヤル16ひいては回動部材3の回動方向が反転されたときには、前記第1の位置センサ12により検出した回動部材3の回動位置が前記記憶した同期位置となったときに、前記電磁石4を断電するから、押圧部材10が凹面部6の谷中心部に至ったときの回動位置で電磁石4を断電できて、一時的に逆方向への節度が付与されることがない。また、使用者が回動部材3に対する一方向への操作力を解除して回動部材が通電開始位置に戻ったとしても、この通電開始位置で電磁石4が既に断電されているから、通電状態が継続されてしまうといったこともない。
【0039】
図10は本発明の第2の実施例を示しており、この第2の実施例では、次の点が第1の実施例と異なる。第1の実施例では、前記回動抵抗受部5を回動部材3と一体回動可能に設け、前記抵抗付与手段7を被吸着部材8に設ける構成としたが、この第3の実施例では、抵抗付与手段7を、前記回動部材3と一体回動可能に設けると共に、前記回動抵抗受部5を、被吸着部材8に設けた受部材18に形成している。このようにしても第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0040】
本発明は上記各実施例に限定されず、次のように変更して実施しても良い。回動位置検出手段としては、ロータリーエンコーダに限られず、ポテンショメータや、複数のホールICと磁極との組み合わせ構成でも良い。また、押圧部材及び押し当て部材は球状に形成しても良いし、鋼球を用いても良い。また、本発明の節度装置は、エアコンの温度調節装置以外にもジョイスティック装置など、種々の装置に適用できるものである。また、凹面部は全体として略V形であればよく、その谷中心部の形状は図示した角部に限定されるものではなく、例えば凹面部の谷中心部は、丸みを帯びていても良いし、狭小な平坦部となっていても良い。また、記憶手段としては制御装置に外付けされる不揮発性メモリなどでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明をエアコンの温度設定用の節度装置に適用した第1の実施例を示す縦断側面図
【図2】図1のT−T線断面図
【図3】インストルメントパネルの正面図
【図4】電気的構成のブロック図
【図5】電磁石に対する通断電制御と節度感とを説明するための図
【図6】(a)、(b)は作用を説明するための図2相当図
【図7】通電領域と温度表示部と節度感との関係を示す図
【図8】回動方向が反転された場合の断電を説明するための図
【図9】図8における時間軸を拡大した図
【図10】本発明の第2の実施例を示す図2相当図
【図11】参考例を示す図8相当図
【図12】作用説明のための図2相当図
【図13】従来例を示す図1相当図
【符号の説明】
【0042】
図面中、1は節度装置、2は装置ケース(装置本体)、3は回動部材、4は電磁石、5は回動抵抗受部、6は凹面部、7は抵抗付与手段、8は被吸着部材(応動部材)、9はコイルばね、10は押圧部材、12は第1の位置センサ(回動部材用回動位置検出手段)、13は第2の位置センサ(応動部材用回動位置検出手段)、14は制御装置(制御手段、回動方向検出手段、記憶手段、反転用断電制御手段)、15はインストルメントパネル、16は操作ダイヤル、17は温度表示部を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
この装置本体に回動操作可能に設けられ外部からの操作力により操作される回動部材と、
略V形の凹面部を有する回動抵抗受部と、
鋼線製コイルばね及び押圧部材を有し、該コイルばねのばね力により、前記押圧部材を回動抵抗受部の前記凹面部に対して押圧して回動抵抗を与えるための抵抗付与手段と、
前記装置本体に設けられた電磁石と、
前記回動部材の回動位置を検出する回動部材用回動位置検出手段と、
前記回動部材の回動方向を検出する回動方向検出手段と、
前記回動部材用回動位置検出手段により検出された前記回動部材の回動位置に応じて前記電磁石を通断電制御する制御手段と、
前記回動部材の回動中心と同心状態で回動可能に設けられ電磁石の通電時に該電磁石に吸着されて非回動状態に固定される応動部材と、
この応動部材の回動位置を検出する応動部材用回動位置検出手段と、
記憶手段と
を備え、
前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との一方を、前記回動部材と一体回動可能に設け、他方を、前記応動部材に設ける構成とし、
前記電磁石通電以後に前記回動部材用回動位置検出手段により検出した回動部材の回動位置と、前記応動部材用回動位置検出手段により検出した応動部材の回動位置とが同期するか否かを判断し、両位置がずれた時の直前の同期位置を前記記憶手段に記憶し、当該ずれた時から前記回動方向検出手段により前記回動部材が反転したか否かを監視し、該回動部材が反転したことが検出されたときには、前記回動部材用回動位置検出手段により検出した回動部材の回動位置が前記記憶した同期位置となったときに、前記電磁石を断電する反転用断電制御手段を設けたことを特徴とする節度装置。
【請求項1】
装置本体と、
この装置本体に回動操作可能に設けられ外部からの操作力により操作される回動部材と、
略V形の凹面部を有する回動抵抗受部と、
鋼線製コイルばね及び押圧部材を有し、該コイルばねのばね力により、前記押圧部材を回動抵抗受部の前記凹面部に対して押圧して回動抵抗を与えるための抵抗付与手段と、
前記装置本体に設けられた電磁石と、
前記回動部材の回動位置を検出する回動部材用回動位置検出手段と、
前記回動部材の回動方向を検出する回動方向検出手段と、
前記回動部材用回動位置検出手段により検出された前記回動部材の回動位置に応じて前記電磁石を通断電制御する制御手段と、
前記回動部材の回動中心と同心状態で回動可能に設けられ電磁石の通電時に該電磁石に吸着されて非回動状態に固定される応動部材と、
この応動部材の回動位置を検出する応動部材用回動位置検出手段と、
記憶手段と
を備え、
前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との一方を、前記回動部材と一体回動可能に設け、他方を、前記応動部材に設ける構成とし、
前記電磁石通電以後に前記回動部材用回動位置検出手段により検出した回動部材の回動位置と、前記応動部材用回動位置検出手段により検出した応動部材の回動位置とが同期するか否かを判断し、両位置がずれた時の直前の同期位置を前記記憶手段に記憶し、当該ずれた時から前記回動方向検出手段により前記回動部材が反転したか否かを監視し、該回動部材が反転したことが検出されたときには、前記回動部材用回動位置検出手段により検出した回動部材の回動位置が前記記憶した同期位置となったときに、前記電磁石を断電する反転用断電制御手段を設けたことを特徴とする節度装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−199156(P2009−199156A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37524(P2008−37524)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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