説明

簡易パスワード入力システム

【課題】 携帯端末からログイン時のパスワード入力を簡易にすることを認めるシステムを提供する。
【解決手段】Webサーバと操作者サーバと携帯端末が通信で接続されたプラント管理システムにおいて、
携帯端末で操作者がWebサーバにログインする時に、操作者に登録されたIDと仮のパスワードでログインし、Webサーバは操作者サーバと連携して、予め記憶媒体にあるID対応の真パスワードを取り出して、両パスワードを所定の文字数で比較することを特徴とする簡易パスワード入力システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、サーバから送られてくる監視画面などの画面を表示する携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1にプラント管理システムの概略を示す。同図において、1はプラント内に設けられた各種の設備であり、これらの設備はコントローラ2によって制御される。コントローラ2は制御系のLAN(ローカルエリアネットワーク)3を介して計器室に設けられた中央監視装置4と接続されている。操作にかかるもろもろの情報を管理するところの操作者サーバ5があり、操作権限データベース5−1と操作履歴データベース5−2とを備え、情報系のLAN6を介して中央監視装置4に接続されている。このプラント管理システム100において、コントローラ2は、プラント内の各種管理ポイントのデータを定期的に収集し、この収集したデータを中央監視装置4へ送る。中央監視装置4は各種管理ポイントからのデータを蓄積する。また、中央監視装置4は、その監視者からの要求に応えて監視画面を作成し、ディスプレイ上に表示する。中央監視装置4において、監視者には監視権限が与えられており、ディスプレイ上に表示される監視画面からの操作や表示内容などが監視者の権限に応じて規制される。
【0003】
このようなプラント管理システム100においては、例えば現場でのコントロールバルブの開度のチェックや調整を、フィールドの操作者が計器室の監視者と連絡を取りながら行っている。操作者と監視者との間の連絡には無線ページングなどが使用される。この場合、操作者は、コントロールバルブの設定開度や調整結果などを計器室の監視者に問い合わせる。監視者は、中央監視装置4のディスプレイ上の監視画面をみながら、操作者からの問い合わせに応える。ループチェックと呼ばれる作業では、プラント内の各所のコントロールバルブの開度のチェックや調整を順番に行うので、操作者と監視者との間の遣り取りはさらに大変なものとなる。そのため、本システムでは、PHS制御装置8を新たに設け、操作者に携帯端末9を携帯させるようにしている。操作者にPDA(携帯端末:Personal
Digital Assistance )を携帯させ、このPDAのディスプレイ上に中央監視装置と同様の監視画面を表示させる。システムでは、Webサーバ7および操作者サーバ5を設け、このサーバに監視画面の作成機能や操作権限の判定機能、操作履歴の記録機能を持たせるようにし、PDAからの要求に応えてサーバ側で作成した監視画面をPDAに送るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3808794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来技術では、操作者が携帯端末からWebサーバにログインして各種監視画面を操作できるのだが、通常はパスワードの入力が求められることになる。しかし、携帯端末にはフルキーボードを備えていないものが多く、長いパスワード文字を入力することはかなりの労力を必要とする。専用ペンなどでキーボードレイアウトをタッチさせるようなことも可能であるが、やはり大変である。
【0006】
一方、携帯端末の特質として、現場で必要なときにだけ電源をONして使用する状況が多く、ログインする頻度が多い。
【0007】
また、無線通信の届かない領域に移動するケースも多く、その際には通信セッションの切断、あるいはタイムアウトによって自動にログオフされるので、やはり再ログインの必要性は高い。
【0008】
関連する技術では、ログイン画面自体にパスワードを記憶させておいて、ログインIDの投入にしたがってパスワードを****などの文字で自動的に選らばせることは可能である。
【0009】
しかし、現場作業環境は人の動きは頻繁であって、例えば携帯端末を放置した場合に、容易に他人がログインできるようでは、きわめて安全上の問題がある。
【0010】
また、パスワードを省略することは危険であり、ある程度のパスワード認証は必要である。
【0011】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、携帯端末からログイン時のパスワード入力を簡易にすることを認めるシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するために、本発明は、Webサーバと操作者サーバと携帯端末が有線又は無線通信で接続されたプラント管理システムにおいて、
携帯端末はWebクライアントブラウザであって、操作者がWebサーバにログインする時に、操作者に登録されたIDと仮のパスワードでログインする手段を備え、
Webサーバは前記IDと仮パスワードを受信したら、それらを操作者サーバへ転送し、操作者サーバからの返信を待つ通信手段を備え、
操作者サーバは前記IDと仮パスワードを受信したら、記憶媒体にあるID対応の真パスワードを取り出して、両パスワードを所定の文字数で比較する手段と、その比較結果をWebサーバに返信する通信手段を備え、
携帯端末はWebサーバから当該ログイン結果を表示することを特徴とする簡易パスワード入力システムである。
【0013】
また、本発明にかかる簡易パスワード入力システムは、前記操作者サーバにおける所定の文字数で比較する手段とは、仮パスワードの一以上の文字列が、真パスワードの文字列のうち任意の位置から始まる一以上の文字列に一致するかどうかを比較することを特徴とする簡易パスワード入力システムである。
【0014】
この際、前記携帯端末は仮のパスワードを入力するときに、端末画面上にドロップダウンメニューを表示して複数の候補文字列から選択する手段を備えるようにしてもよい。

【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ある程度のセキュリティーを有して、かつ簡易にログインできることが可能となる。特に操作者サーバ側で適宜機能を拡充する形式を取れるため、Webサーバおよび中央監視装置とは独立して本機能の装備ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る携帯端末の一実施の形態を使用したプラント管理システムの構成図である。
【図2】本発明にかかる携帯端末(PDA)のディスプレイ上に表示されるログイン画面を示す図である。
【図3】本発明にかかるフレーム送信制御処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明にかかる操作者サーバにおけるパスワードの照合処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1はこの発明に係る携帯端末の一実施の形態を使用したプラント管理システムの構成図である。
【0019】
この実施の形態では、Webサーバ7とPHS制御装置8を設け、操作者に携帯端末9を携帯させるようにしている。
【0020】
Webサーバ7は制御系のLAN3および情報系のLAN6に接続されており、PHS制御装置8は情報系のLAN6に接続されている。
【0021】
携帯端末9としては市販のPDAを使用する。すなわち、本実施の形態において、携帯端末9のメモリ容量およびCPUの処理能力は小さい。携帯端末9にはカード型PHS電話機10を装着する。
【0022】
PHS制御装置8はプラント内の各所に設けられたアンテナ11と接続されている。このPHS制御装置8とアンテナ11とによってプラント内に無線LAN(構内PHS)が構築されている。
【0023】
今、操作者がコントロールバルブの開度チェックや調整を行いたいものとする。この場合、操作者は、携帯している携帯端末9のディスプレイ9−7上にログイン画面を表示させる。図2にディスプレイ9−7上に表示されるログイン画面G1を示す。ログイン画面G1には操作者ID(ユーザID)の入力窓S1とパスワードの入力窓S2が表示される。また、OKボタンBT1とリセットボタンBT2が表示される。
【0024】
操作者は、ログイン画面G1において、自己に割り当てられている操作者ID(数値など)を入力窓S1に入力し、簡易な仮のパスワードを入力窓S2に入力し、OKボタンBT1を押す。すると、入力された操作者IDとパスワードを携帯端末のCPUがログイン情報として取り込み、このログイン情報をカード型PHS電話機へ送る。
【0025】
カード型PHS電話機10は、PHS制御装置8との間に無線回線を確立し、CPUからのログイン情報をPHS制御装置8へ送る。PHS制御装置8は携帯端末9からのログイン情報をWebサーバ7へ送る。Webサーバ7は、携帯端末9からのログイン情報を受け取り操作者サーバ5へ送り、操作者サーバ5がこのログイン情報の操作者IDとパスワードに基づき、操作権限データベース5−1内の操作権限テーブルTBを参照し、携帯端末9における操作者(フィールドマン)の操作権限を判定する。
【0026】
それでは、以下にログインの処理にかかるフロー図3を基に説明する。
【0027】
操作者は、携帯端末9でログインするために、WebサーバのURL(Unique Resouce Locator)を入力して、接続を待つ(ステップS10)。
【0028】
Webサーバ7は、新規セッションを開始する(S11)。そして、ログイン用の画面のHTMLを携帯端末9に返す(S12).
【0029】
携帯端末9はこのHTMLを受け取り、ログイン画面G1を表示する(S13)。そして操作者のIDおよび仮のパスワード入力を受け持つ(S20)。
ここで例えば、仮のパスワード入力が「az」であったと仮定して、話を進めよう。
【0030】
Webサーバ7は、このIDおよび仮のパスワードを受信したら、そのまま操作者サーバ5へそれらをメッセージに整えて転送する(S21)。
【0031】
操作者サーバ5は、このIDおよび仮のパスワードを受信したら、記憶媒体である操作権限データベース5−1に蓄積されているIDと真のパスワード(ここでは「azbil2010」であるとする)を取り出して、受信した仮パスワードの照合を行なう。そして照合の結果をWebサーバ7へ返信する(S22)。
例えば、先頭文字から1乃至2文字分一致していれば、照合がOKであるならば、本ケースではOKとなる。
<このステップS22の詳細は後述する。>
【0032】
Webサーバ7は、この照合の結果をみて、照合OKの場合は初期画面のHTMLを、
照合NGの場合は適宜エラー表示のHTMLを携帯端末9へ返信する(S23)。
【0033】
携帯端末9は受信したHTMLにより、画面を表示する(S24)。
以降、ログインが完了であった場合は、各種の画面操作(S30)を行なうことができるが、ログインが未完了であったら、再ログインのやり直しとなる(S20へ戻る)。
【0034】
携帯端末9から各種画面操作があった場合には、Webサーバ7がそれを受けつけて、操作者所望の画面HTMLを返すなどの処理が行なわれる(S31).
携帯端末9ではその画面表示がなされる(S32)。
【0035】
このように、携帯端末9とWebサーバ7は、いわゆるクライアントサーバの構成で各種画面で情報提示機能を提供するわけであるが、一定時間携帯端末から何らの操作もなかったような場合には、Webサーバ7はタイムアウト処理として、携帯端末との間のセッションを切断などする(S99)。
【0036】
次に、操作者サーバ5におけるパスワード照合ステップS22の詳細を図4で述べる。
【0037】
Webサーバ7からの通信起動でスタートする(S22_0)。あらかじめシステム仕様として定義された情報[所定の照合文字数M、および照合開始の文字N番目]を記憶媒体から取り出し照合モードに規定する(S22_1)。
上記に述べた例では、[M=2文字、およびN=1番目]であった。仕様により、適宜MとNは規定されるものである。
例えば、M=3、N=1である場合は、「azb」までの入力が必要であった。
M=4、N=6である場合は、「2010」が必要となる。
【0038】
Webサーバ7からのメッセージにあるIDと仮のパスワードを受信バッファから取り出す(S22_2)。次ぎに、ID対応の真のパスワードを記憶媒体から取り出す(S22_3)。
【0039】
ここで、仮パスワードの内容をM(2)文字分(例では「az」)と
真パスワードの内容をN(1)番目の文字からM(2)文字分取り出して(例では「azbil2010」から「az」が得られる)、比較照合する(S22_4)。
【0040】
それらが一致するかどうかみる(S22_5)。
一致(OK)か不一致(NG)かで分岐し、その旨のメッセージを設定し(S22_6)、Webサーバに向けて送信する(S22_7)。
これで一回の照合処理は終了である(S22_8)。
【0041】
[別の実施の形態]
携帯端末9で仮のパスワードの投入を待つ際に、携帯端末9のCPUが候補パスワードを、適宜過去に投入されたもの、ないしランダム文字列などをドロップダウンメニューに一覧で提示して、そこから選ばれたものをWebサーバ7に通信するようにしてもよい。
その他の設計事項的な応用、転用等は可能であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0042】
1…設備、2…コントローラ、3…制御系のLAN、4…中央監視装置、5…操作者サーバ、5−1…操作権限データベース、5−2…操作履歴データベース、6…情報系のLAN、7…Webサーバ、7−1…CPU、7−2…RAM、7−3…ROM、7−4,7−5…インターフェイス、8…PHS制御装置、9…携帯端末(PDA)、9−7…ディスプレイ、10…カード型PHS電話機、TB…操作権限テーブル、G1…ログイン画面、200…プラント管理システム。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
Webサーバと操作者サーバと携帯端末が有線又は無線通信で接続されたプラント管理システムにおいて、
携帯端末はWebクライアントブラウザであって、操作者がWebサーバにログインする時に、操作者に登録されたIDと仮のパスワードでログインする手段を備え、
Webサーバは前記IDと仮パスワードを受信したら、それらを操作者サーバへ転送し、操作者サーバからの返信を待つ通信手段を備え、
操作者サーバは前記IDと仮パスワードを受信したら、記憶媒体にあるID対応の真パスワードを取り出して、両パスワードを所定の文字数で比較する手段と、その比較結果をWebサーバに返信する通信手段を備え、
携帯端末はWebサーバから当該ログイン結果を表示することを特徴とする簡易パスワード入力システム。
【請求項2】
請求項1の簡易パスワード入力システムにおいて、
前記操作者サーバにおける所定の文字数で比較する手段とは、仮パスワードの一以上の文字列が、真パスワードの文字列のうち任意の位置から始まる一以上の文字列に一致するかどうかを比較することを特徴とする簡易パスワード入力システム。
【請求項3】
請求項1の簡易パスワード入力システムにおいて、
前記携帯端末は仮のパスワードを入力するときに、端末画面上にドロップダウンメニューを表示して複数の候補文字列から選択する手段を備える簡易パスワード入力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−180629(P2011−180629A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41333(P2010−41333)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】