説明

粉体樹脂組成物、それを用いたポリマーアロイ、およびこれらの製造方法

【解決手段】本発明の粉体樹脂(A)は、熱可塑性樹脂(a−1)と、オレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)からなり、さらにアニオン型および/またはノニオン型界面活性剤(a−4)を含んでも良い平均の一次粒子径が50nm〜50μmである粉体樹脂組成物である。また、粉体樹脂(A)と樹脂(B)を含むポリマーアロイである。
【効果】本発明の粉体樹脂組成物は、ポリマーアロイを製造する際の分散相として用いることができ、溶融混練時に樹脂材料中へ容易かつ均一に分散でき、分散径も小さく維持でき、各種樹脂材料の力学物性の向上、同一物性発現のための添加量の削減が可能になるという、従来に比べて高い作用効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂と、カルボン酸含有オレフィン系樹脂および/または脂肪酸からなる粉体樹脂組成物およびその製造方法に関する。更に、この粉体樹脂組成物を用いたポリマーアロイおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種製品の軽量化などで金属の代替として樹脂材料が使用されるようになってきている。このため、樹脂材料に要求される性能は高くなってきており、1種の樹脂材料でこれらの性能を満足させることは困難となってきた。そこで、異なる性質を有する樹脂を用いたポリマーアロイの開発(非特許文献1)が種々行われている。
なかでも、2種以上の樹脂を溶融、混合して、ポリマーアロイの成型物を製造する方法は周知技術であり、工業的に実施されている。これらの方法は、比較的容易に実施でき、かつ連続生産ができ、低コストという工業的に大きなメリットがある。しかしながら、樹脂の溶融温度、溶融粘度によっては、均一に相溶、分散させることが困難である。
これらの問題を解決するため相溶化剤を添加する(特許文献1)、超臨界流体溶媒を用いる(特許文献2)ことで、分散樹脂を微細分散し、各種力学物性の向上や、単独のポリマーでは得られない性質を発現させているが、相溶化剤を用いる方法は樹脂の設計および選択は難しく、また、超臨界流体溶媒を用いる方法は工業化に多大な費用がかかる等の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−72814号公報
【特許文献2】特開平10−330493号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】小高忠男ら著,「ポリマーアロイ基礎と応用」, 株式会社東京化学同人,1981年4月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上記問題点を改良したもので、本発明の粉体樹脂を用いることで、溶融混練時に樹脂材料中へ容易かつ均一に分散でき、分散径も小さく維持でき、各種樹脂材料の力学物性の向上、同一物性発現のための添加量の削減が可能な材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究および検討を重ねてきた結果、熱可塑性樹脂と、カルボン酸含有オレフィン系樹脂および/または脂肪酸からなる粉体樹脂組成物を分散相に用いることで、上記目標達成のために極めて有効である事を見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、[1]〜[9]である。
[1] 粉体樹脂(A)が、熱可塑性樹脂(a−1)と、
重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩の基を樹脂1グラム当り
式(1) −C−O−
‖ ・・・(1)

で表される基換算で0.05〜5ミリモル当量の濃度で含むオレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)を含み、平均の一次粒子径が50nm〜50μmである粉体樹脂組成物。
[2] 前記粉体樹脂(A)が、更にアニオン型および/またはノニオン型界面活性剤(a−4)を含む[1]に記載の粉体樹脂組成物。
[3] 前記粉体樹脂(A)が、熱可塑性樹脂(a−1)100重量部に対し、オレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)が0.5〜60重量部、界面活性剤(a−4)が0〜40重量部含有する[2]に記載の粉体樹脂組成物。
[4] 前記熱可塑性樹脂(a−1)の重量平均分子量が50,000以上1,000,000以下で、前記オレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)の重量平均分子量が220以上50,000未満である[1]に記載の粉体樹脂組成物。
[5] 前記熱可塑性樹脂(a−1)が、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、エンジニアリングプラスチック、これらの官能基含有樹脂から選ばれる少なくとも1種類からなる[1]に記載の粉体樹脂組成物。
[6] 粉体樹脂(A)が、熱可塑性樹脂(a−1)と、重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩の基を樹脂1グラム当り
式(1) −C−O−
‖ ・・・(1)

で表される基換算で0.05〜5ミリモル当量の濃度で含むオレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)と、アニオン型および/またはノニオン型界面活性剤(a−4)を押出機で溶融混練し、その後に塩基と水を添加することで水に分散させ、これを乾燥させる[2]に記載の粉体樹脂組成物の製造方法。
[7] 樹脂(B)と[1]に記載の粉体樹脂(A)を含むポリマーアロイ。
[8] 前記樹脂(B)が、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、エンジニアリングプラスチック、これらの官能基含有樹脂から選ばれる少なくとも1種類からなる[7]に記載のポリマーアロイ。
[9] 二種類以上のポリマーを溶融混練し、連続相と分散相を形成するポリマーアロイにおいて、前記(B)が連続相、前記(A)が分散相となる[8]に記載のポリマーアロイの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粉体樹脂組成物は、ポリマーアロイを製造する際の分散相として用いることができ、溶融混練時に樹脂材料中へ容易かつ均一に分散でき、分散径も小さく維持でき、各種樹脂材料の力学物性の向上、同一物性発現のための添加量の削減が可能になるという、従来に比べて高い作用効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の粉体樹脂(A)は、熱可塑性樹脂(a−1)と、オレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)からなり、さらにアニオン型および/またはノニオン型界面活性剤(a−4)を含んでも良い平均の一次粒子径が50nm〜50μmである粉体樹脂組成物である。また、粉体樹脂(A)と樹脂(B)を含むポリマーアロイである。
以下、詳細に述べる。
【0009】
[粉体樹脂(A)]
熱可塑性樹脂(a−1)
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(a−1)は、オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンの単独重合体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ターポリマー、環状ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル、エチレン・不飽和カルボン酸の共重合体、エチレン・ビニルアルコール、アイオノマー樹脂等が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン樹脂、α−メチルスチレン・スチレン樹脂、スチレン・共役ジエンブロック樹脂(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエンブロック樹脂の水素添加物(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエン・スチレンのトリブロック樹脂(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエン・スチレンのトリブロック樹脂の水素添加物(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)等が挙げられる。
【0010】
エンジニアリングプラスチックとしては、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ナイロン等のポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、結晶性ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミノビスマレイミド、セルロースアセテート等が挙げられる。
【0011】
その他ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリエステル、ウレタン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリ乳酸等の生分解性樹脂等も使用できる。上記樹脂は、1価および/または多価不飽和カルボン酸および/またはその無水物、水酸基で変性されたものであってもよく、これら単独または2種類以上を混合して用いてもよい。
これ等の中で、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、エンジニアリングプラスチックが好ましい。
【0012】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(a−1)の重量平均分子量(以下、Mwと略記する。重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として測定可能である。)は通常、50,000以上1,000,000以下の範囲、好ましくは50,000以上800,000以下である。
【0013】
オレフィン系樹脂(a−2)
本発明に用いられるオレフィン系樹脂(a−2)は、重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩の基を樹脂1グラム当り
式(1) −C−O−
‖ ・・・(1)

で表される基換算で0.05〜5ミリモル当量の濃度で含むオレフィン系樹脂であり、ポリオレフィンの重合体鎖に結合したカルボン酸の塩の基(部分中和物ないし部分ケン化物の時はカルボン酸基を含む)を、樹脂1グラム当たり、−COO−基として0.05〜5ミリモル、好ましくは0.1〜4ミリモルの濃度で含むオレフィン系樹脂である。
上記オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンの単独重合体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ターポリマー、環状ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル、エチレン・ビニルアルコール等のポリオレフィンの変性物が挙げられ、また、エチレン・不飽和カルボン酸の共重合体、アイオノマー樹脂等も挙げられ、これら単独または2種類以上を混合して用いてもよい。
【0014】
また、重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩を含むオレフィン系樹脂は、たとえばα−オレフィンなどからなるポリオレフィンに、中和されているか中和されていないカルボン酸基を有する単量体、および/又はケン化されているかケン化されていないカルボン酸エステルを有する単量体を、グラフト共重合することにより得ることができる。
カルボキシル基を有する単量体としては、カルボキシル基含有ビニル類、無水カルボン酸類等が挙げられ、具体的には、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、これらは単独でも、2種以上でも使用できる。
【0015】
本発明に用いられるカルボン酸含有オレフィン系樹脂は、種々の方法で得ることできるが、例えば、有機溶剤中で未変性オレフィン系樹脂と前記単量体を重合開始剤の存在下反応する方法や、オレフィン系樹脂を加熱溶融し得られた溶融物に前記単量体を重合開始剤を攪拌下で反応させる方法や、オレフィン系樹脂と前記単量体と重合開始剤を混合したものを押出機に供給して加熱混練しながら反応させる方法等挙げることができる。
ここで使用できる有機溶剤としては、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、イソオクタン、イソデカン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、酢酸エチル、n−酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3メトキシブチルアセテート等のエステル系、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、セロソルブ(エチルセロソルブ)、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のエーテル系等の有機溶剤を用いることができ、またこれらの2種以上からなる混合物であっても構わない。これらの中でも、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及び脂環式炭化水素が好ましく、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素がより好適に用いられる。
【0016】
本発明に用いる重合開始剤としては、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエイト、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシド)ヘキサン、tert−ブチルベンゾエート、tert−ブチルペルフェニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピベレート、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタ酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオアミド)等のアゾ化合物が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0017】
脂肪酸(a−3)
本発明に用いる脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の飽和脂肪酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ネルボン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられ、これらは単独でも、2種以上でも使用できる。また、これらはオレフィン系樹脂(a−2)と併用することもできる。
(a−2)、(a−3)の重量平均分子量(以下、Mwと略記する。重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として測定可能である。)は、220以上50,000未満の範囲、好ましくは220以上45,000未満、さらに好ましくは220〜40,000が好ましい。
【0018】
アニオン型および/またはノニオン型界面活性剤(a−4)
本発明に用いられる、アニオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤は、限定なく公知のものが用いられる。
アニオン型界面活性剤としては、公知のものを用いることができるが、例えば、第一級高級脂肪酸塩、第二級高級脂肪酸塩、第一級高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、第一級高級アルキルスルホン酸塩、第二級高級アルキルスルホン酸塩、高級アルキルジスルホン酸塩、スルホン化高級脂肪酸塩、高級脂肪酸硫酸エステル塩、高級脂肪酸硫酸エステルスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸スルホン酸塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩等が挙げられる。
【0019】
これらのアニオン型界面活性剤の中で特に好適なものとしては、高級脂肪酸塩、特に炭素原子数が10〜20の飽和または不飽和の高級脂肪酸のアルカリ金属、アミン塩を挙げることができ、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、リンデン酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸、或いはこれらの混合物のアルカリ金属、アミン塩を挙げることができる。
【0020】
ノニオン型界面活性剤としては、公知のものを用いることができるが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドエーテル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸ショ糖エステル、アルキロールアミド、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー等を挙げることができる。
界面活性剤としては、アニオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤をそれぞれ単独で使用することができるし、複数を併用することもできる。
【0021】
[粉体樹脂(A)の製造方法]
本発明の粉体樹脂(A)の製造方法としては、例えば、熱可塑性樹脂(a−1)と、重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩の基を樹脂1グラム当り
式(1) −C−O−
‖ ・・・(1)

で表される基換算で0.05〜5ミリモル当量の濃度で含むオレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)を溶融混練して混合した後に、塩基性物質と水を添加した後、さらに溶融混練して中和及び/又はケン化(転相)を行い、これを冷却、乾燥して粉砕する方法や、熱可塑性樹脂(a−1)と、オレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)、アニオン型および/またはノニオン型界面活性剤(a−4)を溶融混練して混合した後に、塩基性物質と水を添加した後、さらに溶融混練して中和及び/又はケン化(転相)を行い、これを冷却、乾燥して粉砕する方法等が挙げられる。
ここで粉体樹脂組成物は水を15%以下で含有しても良く、好ましくは10%以下、さらには5%以下が好ましい。
【0022】
本発明に使用される塩基性物質としては、特に制限されるものではないが、例えば、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、マグネシウム、リチウム等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、ヒドロキシルアミン、水酸化アンモニウム等の無機アミン、メチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、アンモニア、ピリジン、N−メチルイミダゾール等の有機アミン等を挙げられ、これらの化合物は1種、または2種以上の混合物として使用することができる。
【0023】
熱可塑性樹脂(a−1)と、オレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)、アニオン型および/またはノニオン型界面活性剤(a−4)の含有量は、前記(a−1)100重量部に対し、粒子を形成する点で、(a−2)および/又は(a−3)が0.5〜60重量部、(a−4)が0〜40重量部である。
【0024】
樹脂(A)のTEM観察による平均の一次粒子径は、成形材に均一に、小さく分散させる点で、50nm〜50μm、好ましくは、50nm〜20μm、より好ましくは50nm〜5μm、更に好ましくは50nm〜1μm、特に好ましくは50nm〜600nmである。
【0025】
[樹脂(B)]
本発明に用いられる樹脂(B)として、以下が挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンの単独重合体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ターポリマー、環状ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル、エチレン・不飽和カルボン酸の共重合体、エチレン・ビニルアルコール、アイオノマー樹脂等が挙げられる。
【0026】
スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン樹脂、α−メチルスチレン・スチレン樹脂、スチレン・共役ジエンブロック樹脂(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエンブロック樹脂の水素添加物(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエン・スチレンのトリブロック樹脂(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエン・スチレンのトリブロック樹脂の水素添加物(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)等が挙げられる。
【0027】
エンジニアリングプラスチックとしては、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ナイロン等のポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、結晶性ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミノビスマレイミド、セルロースアセテート等が挙げられる。
【0028】
その他ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリエステル、ウレタン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリ乳酸等の生分解性樹脂等も使用できる。
上記樹脂は、1価および/または多価不飽和カルボン酸および/またはその無水物、水酸基で変性されたものであってもよく、これら単独または2種類以上を混合して用いてもよい。これ等の中で、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、エンジニアリングプラスチックが好ましい。
【0029】
[粉体樹脂(A)と樹脂(B)を含むポリマーアロイおよびその製造方法]
本発明における粉体樹脂(A)と樹脂(B)を含むポリマーアロイは、連続相と分散相を形成するポリマーアロイであり、海島構造を有し、(B)が連続相、(A)が島部分(分散相)となる。
【0030】
本発明における粉体樹脂(A)と樹脂(B)を含むポリマーアロイの製造方法としては、特に限定するものではないが、粉体樹脂(A)と樹脂(B)を溶融混合し、冷却後にペレタイズしたものを用いて、成形機にて成形品とする。
前記の溶融混合の方法は特に制限はなく、1軸の押出機、2軸の押出機、多軸押出機、押出機が1台のシングル押出機、押出機が2台繋がったタンデム押出機、押出機が複数台繋がった多段押出機などがある。また成形機も特に制限はなく、押出成形、射出成形、カレンダー成形、圧縮成形等、公知の成形法を採用することができる。
【0031】
樹脂(B)と粉体樹脂(A)の混合比としては、各種材料の力学物性を向上させる点で、通常(B)/(A)=95/5〜70/30、好ましくは(B)/(A)=95/5〜75/25、さらに好ましくは(B)/(A)=93/7〜80/20の範囲である。
【0032】
本製造方法で得られたポリマーアロイの成形品は、海島構造を有し、島部分(分散樹脂)の粒子径が50μm以下となることが好ましい。この分散径は各種材料樹脂の物性を向上させるだけでなく、分散樹脂の添加量を下げる点で、より小さく分散させることが好ましく、20μm以下、更に好ましくは10μm以下、特に好ましくは1μm以下である。
【0033】
[添加剤]
本発明の樹脂(B)と粉体樹脂(A)からなるポリマーアロイにおいて、石油系炭化水素樹脂(C)及び/またはロジン系樹脂(D)及び/またはテルペン系樹脂(E)を混合することができる。添加量としては、樹脂(B)と粉体樹脂(A)の合計100重量に対して、石油系炭化水素樹脂(C)及び/またはロジン系樹脂(D)及び/またはテルペン系樹脂(E)が0〜10重量部が好ましい。
【0034】
石油系炭化水素樹脂(C)
本発明で用いられる石油系炭化水素樹脂(C)としては、例えば、タールナフサのC5留分を主原料とする脂肪族系石油樹脂、C9留分を主原料とする芳香族系石油樹脂およびそれらの共重合系脂環族である。C5系石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分を重合した樹脂)、C9系石油樹脂(ナフサ分解油のC9留分を重合した樹脂)、C5C9共重合石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分とC9留分を共重合した樹脂)が挙げられ、タールナフサ留分のスチレン類、インデン類、クマロン、その他ジシクロペンタジエン等を含有しているクマロンインデン系樹脂、ρ−ターシャリブチルフェノールとアセチレンの縮合物に代表されるアルキルフェノール類樹脂、ο−キシレン、ρ−キシレン、m−キシレンをホルマリンと反応させたキシレン系樹脂等も挙げられる。これらは単独または2種類以上で組み合わせて使用することができる。これらの中でも、GPCによる測定で重量平均分子量が1,000〜50,000の石油系炭化水素樹脂が好ましく、なかでも1,500〜30,000が好ましい。また、これらの樹脂に極性基を有するものはさらに好ましい。
【0035】
ロジン系樹脂(D)
本発明で用いられるロジン系樹脂(D)としては、天然ロジン、重合ロジン、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸等で変性した変性ロジンが挙げられる。また、ロジン誘導体としては、前記のロジン類のエステル化物、フェノール変性物およびそのエステル化物等が挙げられ、これらの水素添加物も挙げることができる。
【0036】
テルペン系樹脂(E)
本発明で用いられるテルペン系樹脂(E)としては、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテン、テルペンフェノール、テルペンアルコール、テルペンアルデヒド等からなる樹脂が挙げられ、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテン等にスチレン等の芳香族モノマーを重合させた芳香族変性のテルペン系樹脂等が挙げられ、これらの水素添加物も挙げることができる。中でもテルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、およびこれらの水素添加物が好ましい。
さらに、本発明における樹脂(B)と粉体樹脂(A)を含むポリマーアロイに必要に応じて、滑性付与剤(例えば、合成ワックス、天然ワックス等)、架橋剤、成膜助剤、レベリング剤、粘弾性調整剤、濡れ剤、難燃剤(例えば、ポリリン酸アンモニウム等のリン含有樹脂、リン酸エステル、メラミン、ホウ酸亜鉛、水酸化マグネシウム等)、安定化剤、防錆剤、防かび剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、起泡剤、消泡剤、湿潤剤、凝固剤、ゲル化剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤、沈降防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、導電性付与剤(例えば、カーボンブラック、フェライト)、染料、顔料、充填剤、有機溶剤、油(例えば、鉱物系潤滑油、鉱物油、合成油、植物油等)などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。これらの添加剤は単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記の充填剤としては、例えばタルク、炭酸カルシウム、マイカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、カーボンブラック等の粉体、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、セラミック繊維、ボロン繊維、ABS繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等の繊維が挙げられる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の水分散体の製法および各種試験例を挙げ、更に説明する。以下において、部および%は特記していない限り重量基準である。
<製造例1>
充分に窒素置換した2リットルのオートクレーブに、ヘキサンを900cm3、1−ブテンを60g仕込み、トリイソブチルアルミニウムを1ミリモル加え、70℃に昇温した後、プロピレンで0.7MPaに加圧した。次いで、ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリド0.002mmolとアルミニウム換算で0.6mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)を接触させたトルエン溶液を重合器内に添加し、内温70℃、系内圧力を0.7MPaにプロピレンで保ちながら30分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、大量のメタノール中でポリマーを回収し、130℃で12時間減圧乾燥し、プロピレン系樹脂を9.2g得た。
尚、得られた樹脂は、ブテン含量は19モル%からなるPBRであり、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。また、DSC測定によるポリマーの融点は80℃であった。
【0039】
[実施例1](a−1)として製造例1で得られたプロピレン系樹脂100重量部、(a−2)として酸変性ポリプロピレンワックス(三井化学株式会社製、ハイワックスNP0555A)10重量部および(a−4)として高級脂肪酸であるオレイン酸カリウム3重量部とを混合したものを、2軸スクリュー押出機(池貝鉄工株式会社製、PCM−30,L/D=40)のホッパーより3000g/時間の速度で供給し、同押出機のベント部に設けた供給口より、アンモニアの7%水溶液を120g/時間の割合で連続的に供給し、加熱温度230℃で連続的に押出した。押出された樹脂混合物は、同押出機口に設置した40mmΦ1軸押出機(L/D=27)で冷却されて押出された固形物を、さらに室温まで冷却した。得られた固形物を冷凍粉砕し、乾燥を行い、平均粒径:0.3μm(TEM観察)の粉体樹脂組成物を得た。
【0040】
[実施例2](a−1)をプロピレン系樹脂(酸変性ポリプロピレン、酸価:1、Mw:7万)100重量部、(a−2)を酸変性ポリプロピレンワックス(三井化学株式会社製、ハイワックスNP0555A)30重量部、(a−4)を高級脂肪酸であるオレイン酸カリウム10重量部に、アンモニアの7%水溶液の供給量を550g/時間に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、平均粒径:0.1μm(TEM観察)の粉体樹脂組成物を得た。
【0041】
[実施例3](a−1)をプロピレン系樹脂(エボニックデグサ社製、ベストプラスト792)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、平均粒径:0.3μm(TEM観察)の粉体樹脂組成物を得た。
【0042】
[実施例4]
(a−1)をスチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ株式会社製、タフテックH1062)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、平均粒径:0.3μm(TEM観察)の粉体樹脂組成物を得た。
【0043】
[実施例5](a−1)をエチレン系樹脂(三井・デュポン・ポリケミカル株式会社、エバフレックス420)に、(a−2)を酸変性エチレンワックス(三井化学株式会社製、ハイワックスHW2203A)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、平均粒径:0.2μm(TEM観察)の粉体樹脂組成物を得た。
【0044】
[実施例6]
(a−1)をナイロン6(東レ株式会社、アミランCM1007)に、2軸押出機の加熱温度を260℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、平均粒径:0.4μm(TEM観察)の粉体樹脂組成物を得た。
【0045】
[実施例7]
(B)としてポリプロピレン(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ700)90重量部と、(A)として実施例1で得られた粉体樹脂組成物10重量部と、酸化防止剤としてIrganox 1010(チバガイギー社製)0.1重量部と、Irgafos 168(チバガイギー社製)0.1重量部と、光安定剤としてアデカスタブ LA−52(旭電化社製)0.1重量部をタンブラー型混合機にて混合した後、二軸押出機で溶融混練してペレット化した。得られたペレットを樹脂流動長測定用金型(厚さ1mm、幅10mm)を用いて、表1の成形条件で、射出成形機((株)東芝機械製、55ton射出成形機(IS55EPNi1.5B))により射出成形し、物性を測定した。
【0046】
[実施例8]
(A)の粉体樹脂組成物を実施例2に記載のものに変更した以外は、実施例7と同様の方法で成形物を得た。
【0047】
[実施例9]
(A)の粉体樹脂組成物を実施例2に記載のものに、(B)の含有量を80重量部、(A)の含有量を20重量部に変更した以外は、実施例7と同様の方法で成形物を得た。
【0048】
[実施例10]
(A)の粉体樹脂組成物を実施例3に記載のものに変更した以外は、実施例7と同様の方法で成形物を得た。
【0049】
[実施例11]
(A)の粉体樹脂組成物を実施例4に記載のものに変更した以外は、実施例7と同様の方法で成形物を得た。
【0050】
[実施例12]
(A)の粉体樹脂組成物を実施例5に記載のものに変更した以外は、実施例7と同様の方法で成形物を得た。
【0051】
[実施例13]
(A)の粉体樹脂組成物を実施例6に記載のものに変更した以外は、実施例7と同様の方法で成形物を得た。
【0052】
[実施例14]
(B)をポリフェニレンサルファイド(東レ株式会社製、トレリナA900)に変更した以外は、実施例8と同様の方法で成形物を得た。
【0053】
[実施例15]
(B)をナイロン66(東レ株式会社製、アミランCM3007)に変更した以外は、実施例8と同様の方法で成形物を得た。
【0054】
[実施例16]
(B)をポリカーボネート(出光興産株式会社製、タフロンA2200)に変更した以外は、実施例8と同様の方法で成形物を得た。
【0055】
[比較例1]
ポリプロピレン(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ700)と、酸化防止剤としてIrganox 1010(チバガイギー社製)0.1重量部と、Irgafos 168(チバガイギー社製)0.1重量部と、光安定剤としてアデカスタブ LA−52(旭電化社製)0.1重量部をタンブラー型混合機にて混合した後、二軸押出機で溶融混練してペレット化した。得られたペレットを樹脂流動長測定用金型(厚さ1mm、幅10mm)を用いて、表1の成形条件で、射出成形機((株)東芝機械製、55ton射出成形機(IS55EPNi1.5B))により射出成形し、物性を測定した。
【0056】
[比較例2]
ポリプロピレン(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ700)を、ポリフェニレンサルファイド(東レ株式会社製、トレリナA900)に変更した以外は比較例1と同様の方法で成形物を得た。
【0057】
[比較例3]
ポリプロピレン(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ700)を、ナイロン66(東レ株式会社製、アミランCM3007)に変更した以外は比較例1と同様の方法で成形物を得た。
【0058】
[比較例4]
ポリプロピレン(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ700)を、ポリカーボネート(出光興産株式会社製、タフロンA2200)に変更した以外は比較例1と同様の方法で成形物を得た。
【0059】
[評価と結果]
(曲げ強度)
上記射出成形機を用いて上記条件で試験片を作成し、JIS K7171に準拠して、曲げ強度を測定した。
(耐衝撃性)
上記射出成形機を用いて上記条件で試験片を作成し、JIS K7111に準拠して、シャルピーアイゾット衝撃値を測定した。
【0060】
実施例7〜16の評価結果は、(B)がポリプロピレン(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ700)のものは比較例1に対して、(B)がポリフェニレンサルファイド(東レ株式会社製、トレリナA900)のものは比較例2に対して、(B)がナイロン66(東レ株式会社製、アミランCM3007)のものは比較例3に対して、(B)がポリカーボネート(出光興産株式会社製、タフロンA2200)のものは比較例4に対して、それぞれ50%以上向上したものを◎、30%以上向上したものを○、10%以上向上したものを△、10%未満しか向上しなかったものを×、として結果を表1に示した。
【0061】
【表1】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体樹脂(A)が、熱可塑性樹脂(a−1)と、
重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩の基を樹脂1グラム当り
式(1) −C−O−
‖ ・・・(1)

で表される基換算で0.05〜5ミリモル当量の濃度で含むオレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)を含み、平均の一次粒子径が50nm〜50μmである粉体樹脂組成物。
【請求項2】
前記粉体樹脂(A)が、更にアニオン型および/またはノニオン型界面活性剤(a−4)を含む請求項1に記載の粉体樹脂組成物。
【請求項3】
前記粉体樹脂(A)が、熱可塑性樹脂(a−1)100重量部に対し、オレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)が0.5〜60重量部、界面活性剤(a−4)が0〜40重量部含有する請求項2に記載の粉体樹脂組成物。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂(a−1)の重量平均分子量が50,000以上1,000,000以下で、前記オレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)の重量平均分子量が220以上50,000未満である請求項1に記載の粉体樹脂組成物。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂(a−1)が、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、エンジニアリングプラスチック、これらの官能基含有樹脂から選ばれる少なくとも1種類からなる請求項1に記載の粉体樹脂組成物。
【請求項6】
粉体樹脂(A)が、熱可塑性樹脂(a−1)と、重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩の基を樹脂1グラム当り
式(1) −C−O−
‖ ・・・(1)

で表される基換算で0.05〜5ミリモル当量の濃度で含むオレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)と、アニオン型および/またはノニオン型界面活性剤(a−4)を押出機で溶融混練し、その後に塩基と水を添加することで水に分散させ、これを乾燥させる請求項2に記載の粉体樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
樹脂(B)と請求項1に記載の粉体樹脂(A)を含むポリマーアロイ。
【請求項8】
前記樹脂(B)が、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、エンジニアリングプラスチック、これらの官能基含有樹脂から選ばれる少なくとも1種類からなる請求項7に記載のポリマーアロイ。
【請求項9】
二種類以上のポリマーを溶融混練し、連続相と分散相を形成するポリマーアロイにおいて、前記(B)が連続相、前記(A)が分散相となる請求項7に記載のポリマーアロイの製造方法。


【公開番号】特開2011−219657(P2011−219657A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91557(P2010−91557)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】