説明

粉塵分離処理装置

【課題】簡単な構造で、粉塵処理の効率を向上させ、かつ粉塵の廃棄処理が容易となる粉塵分離処理装置を提供する。
【解決手段】吸入空気から粉塵を分離して除去した後にサイクロンホッパー2を上方に移動させるだけで回収容器3から離脱でき、かつ回収容器3の方に設けられた蓋体52にサイクロンホッパー2の下端部が挿入・離脱可能に連結されているので、サイクロンホッパー2を用いることによって粉塵処理の効率を向上させるとともに、サイクロンホッパー2に対する回収容器3の着脱が容易となり、回収容器3内の粉塵の廃棄作業が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として比較的小さなワークの研磨作業や切削作業を行う際に発生する研磨粉や切削屑などの粉塵を分離して、密度の大きいものを除去する粉塵分離処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、歯科技工士は、義歯などのワークをエアーグラインダ(ハンドピース)などの工具で研磨や切削を行うが、この作業時に研磨粉や切削屑など(以下、粉塵と称する)が発生する。このような粉塵を処理する装置として、本件出願人は、作業により発生する粉塵を吸引するとともに、吸引された粉塵を袋状のフィルター・ユニット内部に効果的に捕捉することのできる集塵機を先に提案している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−40939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、処理対象が石膏などを含む微細な粉塵であり、上記集塵機における処理量が多大になると、集塵機内のフィルターに目詰まりを除くために、フィルターを定期的に清掃・交換する必要性が生じるので、粉塵処理の効率が低下する場合があった。
【0005】
その一方、従来から、サイクロンを用いて粉塵を分離する分離装置が知られているが、従来のサイクロン分離装置では、ホッパーと粉塵の回収容器の蓋とが複数のねじ、フックハンガーなどの連結部材で連結されていて、回収容器内の粉塵を廃棄するとき、この連結部材を取り外して、ホッパーから蓋の付いた回収容器を離脱させた後に、その容器から粉塵を廃棄するようにしていた。その後、回収容器を戻して、その蓋を連結部材でホッパーに取り付けて再セットする必要があり、その廃棄処理が面倒であった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題に鑑みてなされたもので、簡単な構造で、粉塵処理の効率を向上させ、かつ粉塵の廃棄処理が容易となる粉塵分離処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る粉塵分離処理装置は、吸引機に接続されて、吸入空気から粉塵を分離して除去するサイクロン式の粉塵分離処理装置であって、前記吸入空気の吸入口と、粉塵が除去された空気の排気口と、除去された粉塵の排出口とを有し、前記吸入口から流入した空気を旋回させて、粉塵を分離・除去し上部の前記排気口から空気を排出し、下端部の前記排出口から粉塵を排出するサイクロンホッパーと、前記サイクロンホッパーの排出口に接続されて、除去された粉塵を回収する回収容器と、前記サイクロンホッパーを上下動自在に支持し、上方に移動したときに前記回収容器から離脱させるスタンドとを備え、前記回収容器は、前記粉塵を収容する容器本体と、この容器本体の上部開口を開閉自在に閉塞する蓋体とを有し、前記蓋体に前記サイクロンホッパーの下端部が挿入・離脱可能に連結されている。
【0008】
この構成によれば、吸入空気から粉塵を分離して除去した後にサイクロンホッパーを上方に移動させるだけで回収容器から離脱でき、かつ回収容器の方に設けられた蓋体にサイクロンホッパーの下端部が挿入・離脱可能に連結されているので、サイクロンホッパーを用いることによって下流の集塵機の負担を軽減して粉塵処理の効率を向上させるとともに、サイクロンホッパーに対する回収容器の取り付けおよび取り外しが容易となり、回収容器内の粉塵の廃棄作業が容易になる。
【0009】
好ましくは、前記スタンドは、上下方向に延びた柱状のスタンド本体と、前記スタンド本体に上下方向にスライド可能に連結されたスライダと、前記スライダに取り付けられて前記サイクロンホッパーを支持する支持プレートとを有する。したがって、スライダによりサイクロンホッパーの上下方向の移動が容易となるので、サイクロンホッパーからの回収容器の着脱がより容易となる。
【0010】
好ましくは、前記サイクロンホッパーは、前記支持プレートにより前記スタンド本体の前側に支持されており、前記スタンド本体とスライダの一方に係合体が設けられ、他方に前記係合体を案内して前記スライダを上下方向に移動させ、かつ上限位置に移動したスライダを、スライダの下部が上部よりも前方に進出するように傾動させる案内溝手段が設けられている。したがって、スライダが上限位置に移動したとき、スライダの下部が上部よりも前方に進出するように傾動させるので、サイクロンホッパーを上方に移動させるだけでサイクロンホッパーが、その上部が後方に倒れるように後方へ傾斜するから、回収容器の取り付けおよび取り外しの際にサイクロンホッパーが邪魔にならず、より回収容器の着脱作業が容易となる。
【0011】
好ましくは、前記係合体は、上下に離間して位置する第1係合子と第2係合子からなり、前記案内溝手段は、上下に離間して位置し、第1係合子と第2係合子をそれぞれ案内する第1案内溝および第2案内溝からなり、第1案内溝は上下方向に延びる直線形状であり、第2案内溝は上下方向に延びる縦溝と縦溝の下端から後方に延びる前後溝とを有するL字形状である。したがって、サイクロンホッパーを上方に移動させるだけのワンタッチ操作によって、両係合子が両案内溝により案内されて、サイクロンホッパーが自動的に後方へ傾動するから、より回収容器の着脱が容易となる。
【0012】
好ましくは、前記第2案内溝の前後溝に、第2係合子に係合してスライダの休止位置を決める中間停止部が形成されている。したがって、サイクロンホッパーをセット位置に戻す復帰操作中に、第2係合子が第2案内溝の前後溝が縦溝に連続動作で移動することを中間停止部で阻止するので、スライダおよびサイクロンホッパーの急激な下動を抑止することができる。
【0013】
好ましくは、前記サイクロンホッパーの下端部に蓋体の挿入孔に挿入される均一外径のストレート部が形成されている。したがって、回収容器に対するサイクロンホッパーの傾きを防止できる。
【0014】
好ましくは、前記サイクロンホッパーの下部に、サイクロンホッパーが下方に移動した状態で蓋体の上面に接触して、サイクロンホッパーと蓋体との間をシールするシール部材が装着されている。したがって、サイクロンホッパーから回収容器へ回収される粉塵が外部へ飛散するのを阻止することができる。
【0015】
好ましくは、前記スタンドは、スタンド本体を支持し、かつ回収容器が載置されるスタンドベースを有する。したがって、スタンドベースによって回収容器を安定して支持できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、吸引機の吸引力を利用したサイクロンホッパーを用いて、簡単な構造で、研磨粉や切削屑などのような粉塵の分離・除去および粉塵の廃棄処理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の粉塵分離処理装置1が使用される粉塵処理システムの1例を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る粉塵分離処理装置を示す斜視図である。
【図3】同粉塵分離処理装置を示す斜視図である。
【図4】(A)は粉塵処理セット時の状態、(B)はサイクロンホッパーを持ち上げた状態、(C)は持ち上げられたサイクロンホッパーの休止状態を、それぞれ示す要部の斜視図である。
【図5】サイクロンホッパーと回収容器の離脱状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明の粉塵分離処理装置1が使用される粉塵処理システムの1例を示すもので、粉塵分離処理装置1は、例えば義歯などのワークの研磨や切削が行われて粉塵を排出する作業ボックス6と、フィルター・ユニットFUおよび吸引ポンプPなどを有する集塵機7の間に配置されており、作業ボックス6から排出された粉塵は、粉塵分離処理装置1を介して集塵機7で集塵される。つまり、このシステムでは、粉塵分離処理装置1は集塵機7に対するプレフィルタの役割を担っている。
【0020】
図2は本発明の一実施形態に係る粉塵分離処理装置1を示す斜視図である。この粉塵分離処理装置1は、集塵機7内の吸引ポンプPのような吸引機に接続されて、吸入空気から粉塵を分離して除去するサイクロン式のもので、サイクロンホッパー2、回収容器3およびスタンド5を備えている。図2の粉塵分離処理装置1は粉塵処理セット時の状態を示す。
【0021】
図2の粉塵分離処理装置1のスタンド5は、上下方向に延びた柱状のスタンド本体20と、前記スタンド本体20に上下方向にスライド可能に連結されたスライダ21と、前記スライダ21の下部に固定されて前記サイクロンホッパー2を支持する略環状の支持プレート22とを備えている。スライダ21の上面は接合された蓋210で覆われている。また、スタンド5は、床またはテーブルのような設置台上に載置されてスタンド本体20を支持する扁平な板状のスタンドベース23を有する。このスタンドベース23の上面に回収容器3が載置される。回収容器3は、有底円筒形であり、その外周面がスタンド本体20における下部の前面に当たって位置決めすることができる。それに代えて、この実施形態では、スタンドベース23上に植設された複数の位置決めポスト24で位置決めされている。
【0022】
サイクロンホッパー2は、上部16が円筒形で下部17が下方に向かって先細りの円錐形であり、上部16はホッパー蓋18で覆われており、上部16の側壁に、水平向きで、かつサイクロンホッパー2の中心線から偏心した位置に、吸入空気の吸入口10が設けられている。ホッパー蓋18の中央部に貫通した状態で接着されたパイプにより、サイクロンによって粉塵が分離・除去された空気を排出する排気口11が形成され、下部17の下端部には、前記除去された粉塵の排出口12が開口している。サイクロンホッパー2は、前記吸入口10から流入した空気を旋回させて、粉塵を分離して除去し上部16の前記排気口11から空気を、下端部の前記排出口12から粉塵を落下させて排出する。吸入口10と図1の作業ボックス6のボックス排出口61とが吸塵パイプ60で接続され、排気口11と集塵機7の集塵吸入部71とが集塵パイプ70で接続されている。
【0023】
図2に示すサイクロンホッパー2は、前記支持プレート22およびスライダ21により前記スタンド本体20の前側に支持されており、前記スタンド本体20とスライダ21の一方に係合体30が設けられ、他方に前記係合体30を案内して前記スライダ21を上下方向に移動させ、かつ上限位置に移動したスライダ21を、スライダ21の下部が上部よりも前方に進出するように傾動させる案内溝手段33が設けられている。ここで、サイクロンホッパー2と柱状のスタンド本体20とが並ぶ方向を前後方向とする。
【0024】
図3は、粉塵分離処理装置1が回収容器3から離脱した状態を示す斜視図である。回収容器3をスタンド5に対して着脱するために、サイクロンホッパー2が斜め上方に持ち上げられている。
【0025】
図4(A)に示すように、スタンド本体20およびスライダ21は前方に開口した横断面コ字形であり、スライダ21の上端には前記蓋210が設けられている。前記係合体30は、上下に離間して位置する第1係合子31と第2係合子32からなる。この例では、各係合子31、32は円柱ピンからなり、それぞれ左右一対、例えばスタンド本体20の側壁20aに設けられて、スタンド本体20の内方に向け突出している。前記案内溝手段33は、上下に離間して位置する第1案内溝34と第2案内溝35からなり、上方の第1案内溝34は上下方向に延びる直線形状であり、下方の第2案内溝35は上下方向に延びる直線形状の縦溝36と縦溝36の下端から後方に延びる直線形状の前後溝37とを有するL字形状である。各案内溝34、35は、スライダ21の側壁21a、21aにそれぞれ左右一対設けられている。前記第2案内溝35の前後溝37における前部の上縁に、上方へ凹入した溝38が形成されており、この凹入溝38が、第2係合子32に係合してスライダ21の中途の休止位置を決める中間停止部38を形成している。この第2案内溝35の前後溝37における後端の上縁には、上方へ凹入した溝からなり、第2係合子32に係合してスライダ21の傾斜停止位置を決める傾斜停止部39が形成されている。
【0026】
前記各係合子31、32は、例えばスタンド本体20の側壁20aにねじ込まれたねじ体と、その突出部分を覆うポリウレタンのようなプラスチックチューブとで構成されており、特にプラスチックチューブにより、各係合子31、32が各案内溝34、35の端部に当たったときの衝撃を緩和することができ、また衝撃音も低減される。なお、第1係合子31および第2係合子32をスライダ21に、第1案内溝34および第2案内溝35をスタンド本体20に設けるようにしてもよい。
【0027】
図2のように、サイクロンホッパー2は、左右の半体を接合させて形成されており、上下に延びる両半体の合わせ部分は、外方に突出する突出部15を形成しており、この突出部15が略環状の形状を有する支持プレート22の内周縁に設けられた貫通孔29に嵌合して、サイクロンホッパー2は、この支持プレート22の貫通孔29により上方への離脱が可能で軸心回りに回転不能に支持される。
【0028】
回収容器3は、サイクロンホッパー2の排出口12に接続されて、除去された粉塵を回収する。スタンド5は、スライダ21を介してサイクロンホッパー2を上下動自在に支持し、上方に移動したときに前記回収容器3から離脱させる。そして、前記回収容器3は、前記粉塵を収容する容器本体51と、この容器本体51の上部開口を開閉自在に閉塞する蓋体52とを有し、前記蓋体52に前記サイクロンホッパー2の下端部が挿入・離脱可能に連結されている。
【0029】
図5に示すように、前記サイクロンホッパー2の下部17の下端部に、蓋体52の挿入孔53に挿入される均一外径のストレート部27が形成されている。蓋体52の貫通した挿入孔53もこれに対応してストレート孔部53bが形成されている。このストレート部27により、回収容器3に対するサイクロンホッパーの傾きを防止できる。
【0030】
また、サイクロンホッパー2の下部17に、サイクロンホッパー2が下方に移動した状態で蓋体52の上面54に接触して、サイクロンホッパー2と蓋体52との間をシールするシール部材25が設けられている。シール部材25は、環状の本体25aの下面25aにゴム製のOリングまたは環状の緩衝用パッキンなどからなるシール材25bが装着されている。これにより、サイクロンホッパー2の下部17の下端部を蓋体52の挿入孔53に挿入した際に、シール部材25が蓋体52における挿入孔53の周縁部上面54に接触して、シール部材25で蓋体52の挿入孔53を隙間無くシールするので、サイクロンホッパー2から回収容器3へ回収される粉塵が外部へ飛散するのを阻止することができる。また、サイクロンホッパー2が回収容器3の蓋体52に接触する時の衝撃を緩和することができ、また衝撃音も低減される。
【0031】
つぎに、前記粉塵分離処理装置1の取扱いおよび作用について説明する。
図1の集塵機7に内蔵された吸引ポンプPの吸引力がサイクロンホッパー2に作用し、図2のサイクロンホッパー2の上部16の吸入口10から、粉塵を含む吸入空気がサイクロンホッパー2内に吸入される。吸入空気は、サイクロンホッパー2内で渦流となり、密度の高い重い粒子は遠心力によって旋回しながら円錐状の下部17の内面に沿って下方に移動し、排出口12から下方の回収容器3へ落下する。密度の小さい粉塵のような細かい粒子は、サイクロンホッパー2の中央に形成された上昇旋回渦流に乗って上昇し、円筒部の上端の排気口11から外部へ排出される。こうして、重い粒子が分離・除去された空気が図1の集塵機7に導入されるので、集塵機7のフィルタリングの負担が軽減されるから、集塵機7のフィルター・ユニットFUの目詰まりの発生が遅くなる分だけ、粉塵処理の効率が向上する。
【0032】
粉塵分離処理装置1による粉塵処理後には、つぎの操作によって回収容器3を粉塵分離処理装置1から取り外して、回収容器3内の粉塵を投棄する。
【0033】
図4(A)は図2と同じ粉塵処理セット時の状態を示しており、サイクロンホッパー2は垂直姿勢にあり、スタンド本体20の各係合子31、32は、スライダ21の各案内溝34、35の上端に係合している。
【0034】
図4(B)は、サイクロンホッパー2を回収容器3から離脱させるためにサイクロンホッパー2を持ち上げた状態を示す。支持プレート22の前部22aを指FでR1方向に持ち上げると、スライダ21が上昇し、その第1係合子31、第2係合子32が第1案内溝34と第2案内溝35の縦溝36とで案内されながら第1案内溝34、第2案内溝35の下端部へ移動して、図5に示すように、上方に離脱する。さらに、第1係合子31に対して指Fの操作力が作用する前記前部22aが前方へずれているから、支持プレート22の前部22aに作用する持ち上げ力がスライダ21に第1係合子31回りの傾動モーメント、すなわち、スライダ21の下部が上部よりも前方に進出しようとするモーメントを与えるので、第2係合子32は、第2案内溝35の縦溝36の下端に達すると自然に前後溝37内へ進出し、前後溝37の後端の傾斜停止部39に嵌り込んで停止し、図3の姿勢となる。ここで、サイクロンホッパー2の上昇ストローク、つまり第1案内溝34と縦溝36の上下方向長さは、サイクロンホッパー2の下端のストレート部27が回収容器3の蓋体52から上方へ抜け出るのに十分な長さに設定されている。
【0035】
こうして、サイクロンホッパー2がスムーズに後方へ傾斜した状態で第2案内溝35の前後溝37の傾斜停止部39に嵌り込んで止まるため、サイクロンホッパー2の上限位置がわかるとともに、図3のサイクロンホッパー2の下部17の下端部と回収容器3とが前記傾斜によってより離間して、回収容器3の取り出しの際にサイクロンホッパー2が邪魔にならず、回収容器3の取り出しが容易となる。このようにして、サイクロンホッパー2を簡単なワンタッチ操作で離脱位置にすることができる。なお、傾斜停止部39は省略してもよく、その場合でも、図4(B)のように、第2案内溝35の前後溝37の上縁がサイクロンホッパー2の重量によって第2係合子32上に圧接されて、サイクロンホッパー2の後傾姿勢が維持される。
【0036】
サイクロンホッパー2が後傾した図3の姿勢で、外部からの衝撃力を受けてサイクロンホッパー2が元の垂直姿勢に戻ろうとする場合がある。その場合、図4(C)に示すように、スライダ21が第1係合子31を中心に回動して、第2案内溝35の前後溝37における中間停止部38に嵌り込んで、後傾姿勢よりも若干垂直姿勢に近い姿勢となって休止する。これにより、第2係合子32がはずみで急激に縦溝36に入り込んでスライダ21とともにサイクロンホッパー2が降下するのを防止する。
【0037】
上述した粉塵処理後と異なり、粉塵を廃棄したのちに回収容器3をスタンドベース23上に戻し、サイクロンホッパー2をセットして粉塵処理を開始する場合には、前記したのとは逆に、図4(B)、(C)、(A)の手順で操作がなされる。図4(B)では、サイクロンホッパー2は後方へ傾斜しているので、回収容器3をスタンドベース23上に容易に載置できる。つぎに、軽い指Fの力で支持プレート22を後方R2に押し込むと、第2係合子32が傾斜停止部39から離脱し、第2係合子32に対して第2案内溝35の前後溝37が後方に移動して、第2係合子32が前後溝37の中間停止部38に嵌まり込んで休止する。これにより、小さな押し込み力で第2係合子32が第2案内溝35の縦溝36に一気に進入してサイクロンホッパー2が急激に落下するのを防止できる。この休止状態から支持プレート22をさらにR2方向へ押し込むと、第2係合子32が中間停止部38から離脱して、自然に前後溝37から縦溝36に進入し、縦溝36の上端に達して自動的に係止する。これにより、サイクロンホッパー2は垂直姿勢にセットされるとともに、その下端部が回収容器3内に挿入される。
【0038】
前記蓋体52の挿入孔53は、上部に上方へ末広がりとなった案内面53aが形成されており、これによって、サイクロンホッパー2の下端部のストレート部27が挿入孔53に挿入されるときに、回収容器3がサイクロンホッパー2と同心位置にない場合でも、ストレート部27が案内面53aに案内されながら挿入孔53の下部のストレート孔部53bに進入することにより、スタンドベース23上で回収容器3が動いて、回収容器3の位置決めがなされる。
【0039】
このように、吸入空気から粉塵を分離して除去した後にサイクロンホッパー2を上方に移動させるだけで回収容器3から離脱でき、かつ回収容器3の方に設けられた蓋体52にサイクロンホッパー2の下端部が挿入・離脱可能に連結されているので、従来のように、サイクロンホッパーと回収容器の着脱に際して連結部材の取り付け、取り外しが不要となるから、サイクロンホッパー2からの回収容器3の着脱が容易となり、回収容器3内の粉塵を廃棄する作業が容易となる。
【0040】
なお、前記実施形態では、作業ボックス6と集塵機7を設置して作業を行う場合を例示して説明したが、何らこれに限定されるものではなく、本発明の粉塵分離処理装置1は、外部の吸引機に接続されて、吸入空気から粉塵を分離して除去する、どのようなシステムにも適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 粉塵分離処理装置
2 サイクロンホッパー
3 回収容器
5 スタンド
10 吸入口
11 排気口
12 排出口
20 スタンド本体
21 スライダ
22 支持プレート
23 スタンドベース
25 シール部材
30 係合体
31 第1係合子
32 第2係合子
33 案内溝手段
34 第1案内溝
35 第2案内溝
36 縦溝
37 前後溝
38 中間停止部
39 傾斜停止部
51 容器本体
52 蓋体





【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引機に接続されて、吸入空気から粉塵を分離して除去するサイクロン式の粉塵分離処理装置であって、
前記吸入空気の吸入口と、粉塵が除去された空気の排気口と、除去された粉塵の排出口とを有し、前記吸入口から流入した空気を旋回させて、粉塵を分離・除去し上部の前記排気口から空気を排出し、下端部の前記排出口から粉塵を排出するサイクロンホッパーと、
前記サイクロンホッパーの排出口に接続されて、除去された粉塵を回収する回収容器と、
前記サイクロンホッパーを上下動自在に支持し、上方に移動したときに前記回収容器から離脱させるスタンドとを備え、
前記回収容器は、前記粉塵を収容する容器本体と、この容器本体の上部開口を開閉自在に閉塞する蓋体とを有し、前記蓋体に前記サイクロンホッパーの下端部が挿入・離脱可能に連結されている粉塵分離処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記スタンドは、上下方向に延びた柱状のスタンド本体と、前記スタンド本体に上下方向にスライド可能に連結されたスライダと、前記スライダに取り付けられて前記サイクロンホッパーを支持する支持プレートとを有する粉塵分離処理装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記サイクロンホッパーは、前記支持プレートにより前記スタンド本体の前側に支持されており、
前記スタンド本体とスライダの一方に係合体が設けられ、他方に前記係合体を案内して前記スライダを上下方向に移動させ、かつ上限位置に移動したスライダを、スライダの下部が上部よりも前方に進出するように傾動させる案内溝手段が設けられている粉塵分離処理装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記係合体は、上下に離間して位置する第1係合子と第2係合子からなり、前記案内溝手段は、上下に離間して位置し、第1係合子と第2係合子をそれぞれ案内する第1案内溝および第2案内溝からなり、
第1案内溝は上下方向に延びる直線形状であり、第2案内溝は上下方向に延びる縦溝と縦溝の下端から後方に延びる前後溝とを有するL字形状である、粉塵分離処理装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第2案内溝の前後溝に、第2係合子に係合してスライダの休止位置を決める中間停止部が形成されている粉塵分離処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項において、
前記サイクロンホッパーの下端部に蓋体の挿入孔に挿入される均一外径のストレート部が形成されている粉塵分離処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項において、
前記サイクロンホッパーの下部に、サイクロンホッパーが下方に移動した状態で蓋体の上面に接触して、サイクロンホッパーと蓋体との間をシールするシール部材が装着されている粉塵分離処理装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項において、
前記スタンドは、スタンド本体を支持し、かつ回収容器が載置されるスタンドベースを有する粉塵分離処理装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−104570(P2011−104570A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265537(P2009−265537)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(592084956)株式会社センジヨー (5)
【Fターム(参考)】