説明

粒子分析における同時発生の検出および処理

方法およびシステムは、粒子分析器データから同時発生事象を表すデータを実質的に排除する。分析のための粒子を含有する流体サンプルが、調製される。電気的または光学的測定デバイスを使用して、信号が、感知される。各信号は、粒子分析器内の測定領域を通って流れる流体サンプルのサブサンプル内で検出される事象に対応する。事象における同時発生の存在は、ピークならびに信号の各々の第1および第2の点を測定するステップに基づいて決定される。第1および第2の点は、ピークの所定部分に対応する信号値を有する。同時発生事象および非同時発生事象に基づく結果データが生成される。次いで、結果データが分析される。種々の実施例においては、該方法は、種々の粒子の種類に適用可能であり、血液分析器およびフローサイトメータを含む、異なる種類の粒子分析器上で実装されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本発明は、粒子分析器を使用する粒子の分析に関し、より具体的には、重複する粒子が、粒子分析器によって生成されるデータ内の実質的に同一の時間において、例えば、同時発生で測定されるときの検出および処理ステップに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
粒子分析器は、サンプル内に含有される1種類以上の粒子の計数および/または分布を決定するための生物学的および工業的サンプルを分析するために使用される。医学分野においては、体液を分析または研究するために、血液分析器およびフローサイトメトリを含む、粒子分析器を使用することができる。例えば、血液分析器およびフローサイトメトリは、信号を捕捉および分析することによって、異なる種類の血液細胞を測定およびそれらを識別するために使用される。信号は、血液細胞が小さな開口部または測定領域を通って通過するときにサンプルと相互作用するプローブを使用することによって生成される。一般に、血液サンプルは、測定領域を含むフローセルを通って流れるように方向付けられる前に、液体内で希釈される。1つ以上のセンサまたは検出器は、血液細胞がプローブと相互作用するときに、測定領域を通って通過する血液細胞の種々の特性を検出するように配置される。
【0003】
測定中、希釈された血液サンプルは、実質的に一定速度でフローセル内に注入される。参照読み取りは、血液細胞がフローセルの測定領域内にないときに入手される。血液細胞が存在するときに、測定領域の物理的特性は、変化する。したがって、信号は、細胞が測定領域内にあるときに各参照信号と異なる。センサ読み取りの偏位は、血液細胞が測定領域の中間点に向かって流れると徐々に増大し、血液細胞が中間点から離れて流れると徐々に減少する。
【0004】
血液細胞、および1つ以上の測定パラメータ、例えば、コールタ原理に従う直流(DC)、無線周波数(RF)、光散乱(LS)、軸光損失(ALL)、超音波等によってもたらされる最大信号(すなわち、ピーク)を収集および分析することは、一般的な実践方法である。一般に、信号のピークは、ある種類の血液細胞と測定パラメータ、すなわちある種類の刺激とセンサとの間の相互作用の明確に定義された関数である。例えば、DC測定によってもたらされる信号のピークは、細胞の体積を示し、細胞は、体積に基づいて分類されてもよい。細胞は、計数され、細胞の種類は、1つ以上の測定パラメータに基づいて同定される。
【0005】
上記の関係に基づく適用は、1つずつ測定領域を通って通過する血液細胞に依存する。複数の血液細胞が測定領域を通って同時(すなわち、同時発生)に通過する場合は、捕捉された信号と参照信号との間の最大偏差は、ある種類の血液細胞と測定パラメータとの間の相互作用の明確に定義された関数ではなくなる。その上、重大な同時発生の存在下で、受信された信号から蓄積されたヒストグラムは、歪曲している可能性があり、分析結果が損なわれ得る。
【0006】
同時発生に対処するための従来のアプローチには、推定される同時発生誤差を補正するために、粒子データ計数およびヒストグラムへの統計的方法の適用が挙げられる。同時発生を検出するための別の方法は、粒子が測定領域を通って通過するときに生成される信号の領域およびピークに基づく。しかしながら、統計的方法は、特有の推定誤差により、正確な同時発生の排除を生じ得ない。また、粒子によって生成される信号のピーク対エリアの比率に依存する方法は、種々の寸法および形状の粒子に対して有意に正確でなくあり得る。エリア対ピークに基づく測定は、また、粒子が種々の配向の測定領域を通って通過するときに非一貫性の結果を生じ得る。
【0007】
したがって、粒子分析器データ内の同時発生を表すデータの同定および補正するための改善された方法およびシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
粒子分析器から同時発生事象を表すデータを実質的に排除するための方法およびシステムを提示する。一実施形態においては、少なくとも以下のステップを含む、粒子分析器内の粒子を分析する方法を提供する。分析のための粒子を含有する流体サンプルを調製する。電気的または光学的測定デバイスを使用して、信号が感知され、各信号は、粒子分析器内の測定領域を通って流れる流体サンプルのサブサンプル内で検出される、1つ以上の事象に対応する。同時発生事象の存在は、信号の各々のピークならびに第1および第2の点を測定するステップに基づいて決定され、第1および第2の点は、ピークの所定部分に対応する信号値を有する。同定された同時発生事象および非同時発生事象に基づく結果データが生成される。次いで、結果データが分析される。
【0009】
種々の実施例においては、方法は、多種多様な粒子の分析に適用可能である。また、種々の実施例においては、方法は、血液分析器およびフローサイトメータを含む、粒子分析器に実装することができる。
【0010】
別の実施形態は、少なくとも粒子検出器および分析器を有するシステムである。粒子検出器は、電気的または光学的デバイスを使用して信号を感知するように構成され、各信号は、粒子検出器内の測定領域を通って流れる流体サンプルのサブサンプル内で検出される事象に対応する。分析器は、信号の各々のピークならびに第1および第2の点の測定に基づいて、同時発生事象の存在を決定するように構成され、第1および第2の点は、同時発生事象および非同時発生事象に基づいて、結果データを生成するために、ピークの所定部分に対応する信号値を有する。
【0011】
本発明のさらなる特性および利点、ならびにその種々の実施形態の構造および動作を、付随の図面を参照して下記に詳細に説明する。本発明は、本明細書に説明する特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。そのような実施形態は、図示目的のみのために本明細書に提示される。さらなる実施形態は、本明細書に含まれる教示に基づいて、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明のさらなる特性および利点、ならびにその種々の実施形態の構造および動作を添付図面を参照して下記に詳細に説明する。本発明は、本明細書に説明する特定の実施形態に制限されないことに留意されたい。そのような実施形態は、図示目的のみのために本明細書に提示される。さらなる実施形態は、本明細書に含まれる教示に基づいて、当業者には明らかであろう。
【図1A】図1Aは、本発明の一実施形態に従う、システムである。
【図1B】図1Bは、本発明の一実施形態に従う、測定領域の移行中に粒子によって捕捉される信号のグラフ表示を図示する。
【図1C】図1Cは、本発明の一実施形態に従う、測定領域の移行中に1つ以上の粒子によって実質的に同時に捕捉される信号のグラフ表示を図示する。
【図2A】図2Aおよび2Bは、本発明の一実施形態に従う、同時発生の同定および処理を有さない、およびそれらを有する、散乱パターンをそれぞれ示す。
【図2B】図2Aおよび2Bは、本発明の一実施形態に従う、同時発生の同定および処理を有さない、およびそれらを有する、散乱パターンをそれぞれ示す。
【図3】図3は、本発明の一実施形態によって達成される結果の比較を表示する棒グラフを図示する。
【図4A】図4Aおよび4Bは、本発明の一実施形態に従う、適用された同時発生の同定および処理を有さない、およびそれらを有する散乱プロットをそれぞれ図示する。
【図4B】図4Aおよび4Bは、本発明の一実施形態に従う、適用された同時発生の同定および処理を有さない、およびそれらを有する散乱プロットをそれぞれ図示する。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に従う、粒子のサンプルを分析するステップを図示するフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の一実施形態において、図5の信号パラメータの決定に関与する処理を説明するフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に従う、粒子の寸法が増大する時に、非同時発生信号における1つの測定(T50)の実質的に一定の特性を図示する。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に従う、同時発生の特徴的測定を決定するステップを示すフローチャートである。
【図9】図9、10、11および12は、本発明の一実施形態に従う、粒子パラメータを図示するグラフである。
【図10】図9、10、11および12は、本発明の一実施形態に従う、粒子パラメータを図示するグラフである。
【図11】図9、10、11および12は、本発明の一実施形態に従う、粒子パラメータを図示するグラフである。
【図12】図9、10、11および12は、本発明の一実施形態に従う、粒子パラメータを図示するグラフである。
【図13】図13、14、15、16および17は、本発明の一実施形態に従う、同時発生の同定の種々の効果を図示する散乱プロットである。
【図14】図13、14、15、16および17は、本発明の一実施形態に従う、同時発生の同定の種々の効果を図示する散乱プロットである。
【図15】図13、14、15、16および17は、本発明の一実施形態に従う、同時発生の同定の種々の効果を図示する散乱プロットである。
【図16】図13、14、15、16および17は、本発明の一実施形態に従う、同時発生の同定の種々の効果を図示する散乱プロットである。
【図17】図13、14、15、16および17は、本発明の一実施形態に従う、同時発生の同定の種々の効果を図示する散乱プロットである。
【図18】図18は、本発明の一実施形態に従う、分析器モジュールおよびシステムの詳細な図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の特性および利点は、図面と併用されると下記に記載する発明を実施するための形態からより明らかになるであろう。図面において、同様の番号は、一般に、同一、機能的に同様、および/または構造的に同様の要素を示す。一般に、要素が最初に出現する図面は、対応する参照番号の最左の桁によって示される。
【0014】
本発明は、同時発生事象の検出および処理を対象とする。本仕様書は、本発明の特性を組み込む、1つ以上の実施形態を開示する。開示された実施形態は、単に本発明を例示する。本発明の範囲は、開示された実施形態に制限されない。本発明は、本明細書に添付される請求項によって定義される。
【0015】
説明する実施形態および「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施形態」等に対する仕様書における参照は、説明する実施形態が特定の特性、構造または特徴を含んでもよいが、すべての実施形態は、特定の特性、構造、または特徴を必ずしも含まなくてもよいことを示す。その上、そのような句は、同一の実施形態に必ずしも言及しない。さらに、特定の特性、構造、または特徴が実施形態に関連して説明される時に、例示的に説明されるか否かに関わらず、他の実施形態に関連してそのような特性、構造、または特徴をもたらすことは、当業者の知識範囲内であることを理解されたい。
【0016】
本発明の実施形態は、ハードウエア、ファームウエア、ソフトウエア、またはそれらの任意の組み合わせにおいて実施されてもよい。本発明の実施形態はまた、1つ以上のプロセッサによって読み込みおよび実行されてもよい、機械可読媒体上に記憶される命令として実施されてもよい。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピューティングデバイス)によって可読可能な形態の情報を記憶または伝達するための任意の機構を含んでもよい。例えば、機械可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学式記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気的、光学的、音響的または他の形態の伝播信号(例えば、運搬波、赤外線信号、デジタル信号等)、およびその他を含んでもよい。さらに、ファームウエア、ソフトウエア、ルーティン、命令は、ある動作を実施するものとして本明細書に説明されてもよい。しかしながら、そのような説明は、単に便宜上であり、そのような動作は、実際、ファームウエア、ソフトウエア、ルーティン、命令等を実行するコンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、または他のデバイスから生じることを理解されたい。
【0017】
(概要)
上述のように、同時発生が粒子分析中に生じる時に、例えば、複数の粒子が測定領域内に同時にある時に、粒子計数および粒子分布を表すデータは、歪曲されてもよい。下記に開示する実施形態に従う方法およびシステムは、同時発生事象を排除する、またはさもなければ占めることによって、より正確な粒子分析器データをもたらす。
【0018】
本発明の実施形態が実践されてもよい例示的環境には、それぞれ、Beckman CoulterのFC500TMおよびGen−STMシステム等のフローサイトメトリおよび血液分析器が挙げられる。Gen−STMシステムは、例えば、フローセル内の集中細胞を流体力学的に精査するために、Coulter専有の体積、伝導度、および散乱(VCS)および軸光損失(ALL)技術を使用する。VCSは、細胞を精査するために相互に協調して機能する、複数の単独のエネルギー源(体積を測定するための低周波数直流電源、伝導度を測定するための高周波電源、ならびに散乱および軸光損失を測定するためのレーザ光源)を使用する。
【0019】
体積測定は、全細胞が等張性希釈剤中で置換する体積を物理的に測定するために電気インピーダンスのコールタ原理を使用して実施される。この方法は、光路におけるそれらの配向に関わらず、すべての細胞種類を正確に寸法決定する。無線周波数(RF)範囲内の交流電流は、化学成分および核体積を含む、細胞の寸法および内部構造に関する情報を収集するために使用される。
【0020】
レーザおよび多角光散乱センサまたは検出器は、細胞の内部構造、粒度、および表面モルホロジに関する情報を提供する。加えて、VCS測定は、伝導度および散乱から細胞寸法に調整される、他の測定を入手するために高度に正確なDC体積測定を使用する。例えば、米国特許第5,616,501号(Rodriguezら)は、粒子分析器およびVCS技術の使用の例示的な詳細な説明を含む。しかしながら、本明細書に説明する教示は、VCS技術を使用するデバイスに制限されないことに留意されたい。例えば、本発明の実施形態はまた、MultisizerTM3 Coulter Counter(登録商標)、生体サンプルの分析に加えて多くの用途を有する粒子分析器に適用可能である。
【0021】
図1Aは、本発明の一実施形態に従う、粒子分析器100の構成要素を図示する。図1Aは、図示目的のみであり、粒子分析器は、図1Aに示すものよりも多いまたは少ないモジュール、異なるモジュール、および異なる設計を含むことができることを理解されたい。粒子分析器100は、分析器122および粒子検出器124を含む。粒子検出器124は、サンプルディスペンサ102、シース流体ディスペンサ104、チャンバ106、フローセル108、測定デバイス110、プローブジェネレータ112、センサ114、信号プロセッサ118、および測定領域120を含む。
【0022】
示す実施例においては、サンプルディスペンサ102は、所望の分析または試験の要件に従い調製される粒子サンプル103を含む。例えば、血液サンプルは、所定程度の細胞濃度まで希釈剤を用いて希釈されてもよい。希釈剤の種類および希釈の程度は、実施されている試験によって異なり、例えば、白血球細胞(WBC)分析は、サンプル内のWBCの数が赤血球(RBC)と比較して低いため、赤血球(RBC)よりも少ない希釈を必要とする。シース流体ディスペンサ104は、例えば、生理食塩水等のシース流体105を保持する。シース流体105は、希釈された粒子サンプル103をフローセル108内のシース流体内のフロー軸付近に拘束させる。粒子サンプルディスペンサ102からの希釈された粒子サンプル103およびシース流体ディスペンサ104からのシース流体105は、分析のための集中流体サンプルストリームを形成するために、チャンバ106内で交わる。サンプルおよびシース流体の組み合わされた流動率は、フローセル108内への所定の一定流動率を作成する。例えば、フローセル108は、シース流体105によって拘束される粒子107がそれを通って通過するように設計される、小径の管である可能性がある。測定領域120内の個々の粒子107の到達時間は、サンプル粒子の直径、サンプル流動率、サンプルおよびシース流体の組み合わされた流動率、ならびにサンプル内の粒子の濃度を含む、多くの要因によって影響される。
【0023】
この実施例においては、測定デバイス110は、フローセル108を通って通過する1つ以上のセンサが、粒子107を感知するために使用されてもよいように、粒子分析器100内に位置付けられる。例えば、プローブ112および1つ以上のセンサ114は、フローセル108に対して実質的に横方向に測定デバイス110内に位置付けることができる。種々の実施例においては、プローブ112およびセンサ114は、フローセル108内の粒子107、具体的には、測定領域120を通って流れる粒子を検出するために、電気的または光学的測定デバイスのうちの1つ以上を使用する。例えば、一組の対を成すプローブ112およびセンサ114は、測定領域120を通って通過する粒子107の体積を測定するために、DC測定パラメータを使用することができる。別の組の対を成すプローブ112およびセンサ114は、測定領域120を通って通過する粒子107の伝導度特徴を測定するために、RF測定パラメータを使用することができる。また、別の組のプローブ112およびセンサ114は、測定領域120を通って通過する粒子107の光散乱および光損失特徴を測定するために、光測定パラメータを使用することができる。加えて、またはあるいは、本発明の他の実施形態において、プローブ112およびセンサ114は、例えば、粒子が測定領域120を通って通過する時に、粒子107の種々の特徴を検出するために、超音波測定パラメータが使用される音響測定デバイスを含むことができる。
【0024】
さらに、示す実施例においては、センサ114は、信号プロセッサ等の処理デバイス118に結合される。センサ114は、検出された電気的または光学的測定を、信号プロセッサ118内で処理することができる、対応する電気信号パルスに変換する。例えば、測定領域120を通って通過する各粒子107では、一連の測定に対応する電気信号パルスは、例えば、信号プロセッサ118内で収集される。これらの電気信号パルスから、完全信号が産生され、それは、粒子が測定領域を通って流れている間に、1つの特定パラメータのために捕捉された測定の図示である(例えば、図1Bおよび1Cを参照)。信号の持続時間は、粒子が測定領域に進入する時から粒子が測定領域から出る時に基づく。本発明の実施形態においては、信号プロセッサ118は、検出された粒子を説明する1つ以上のパラメータを生成するために各信号のさらなる処理を実行してもよい。
【0025】
この実施例においては、測定領域120内の粒子107の検出は、事象として称される。また、事象、具体的には、同時発生事象は、1つ以上の粒子107が測定領域120内に実質的に同時にある時、すなわち、同時発生が生じる時に生成される。したがって、信号プロセッサ118は、各検出された事象に対応する生成された信号を分析する。次いで、検出された事象のために分析された信号は、分析器122に伝達される。一実施例においては、分析器122は、図18に示す実装等の粒子検出器124に結合される、コンピュータ内に配置されてもよい。分析器122は、粒子検出器124を備える粒子分析器100の一部である、または粒子分析器100から遠隔に位置付けられ、かつ、イーサネット(登録商標)またはWIFI等に制限されない、有線または無線通信媒体を介して接続することができることに留意されたい。
【0026】
一実施例においては、信号生成および事象検出は、各アクティブな電気的または光学的測定パラメータのために個別に実施される。例えば、分析器122は、アクティブである各測定パラメータに対応する事象データを受信することができる。次いで、分析器122は、1つ以上の計数、粒子亜集団、または粒子に対応する他の特徴を決定するために、受信されたデータを分析することができる。本発明の一実施形態においては、分析器122は、受信された事象の散乱プロットの表示をもたらす、または制御することができる。
【0027】
図1Bは、本発明の一実施形態に従う、粒子が測定領域の入口から出口に移動する期間中に生じる、捕捉された信号測定に対応する信号150のグラフ表示を図示する。粒子が測定領域に進入すると、粒子は、測定デバイスと最小限のみ相互作用し、低強度信号を産生する。信号の値は、徐々に増大し、粒子が測定領域の中間点を通って通過する時に、ピーク152に達する。中間点を通って通過した後に、信号の値は、粒子が測定領域から出ると、徐々に減少する。信号150の種々の部分は、粒子の特徴、例えば、第1および第2のハーフピーク点154および156、ハーフピーク線H50の中間点、ならびに他の点を決定するために使用することができる。ハーフピーク点154と156との間の時間間隔T50はまた、粒子の特徴の決定要因である。
【0028】
同時発生粒子は、すなわち、1つ以上の粒子が測定領域120内に同時に存在する時に、一般に、対応する信号の歪曲をもたらす。一部の場合において、信号の歪曲は、粒子の特徴に関する誤決定をもたらす可能性がある。同時発生の頻度は、一般に、分析されるサンプル内の粒子の濃度と共に増大する。
【0029】
理想的には、各個々の粒子107は、独立して、一定速度で物理的測定領域120の中間点を通って通過し、それによって、対称的モノモーダル信号を生成するであろう。この場合において、信号のピーク測定は、対応する測定パラメータとの粒子の最大の相互作用を表し、いくつかの対応する粒子特性に数学的に関連する。具体的には、DCピーク測定がコールタ原理に従う粒子容積に正比例する場合である。しかしながら、1つ以上の粒子107が測定領域120内に実質的に存在する、すなわち、同時発生が存在する時に、粒子特徴に対する信号ピーク測定の推定される関係は、混同される。同時発生粒子の観測された信号は、一般に、個々の粒子に対応する信号の重畳であることが理由である。
【0030】
一実施例においては、同時発生粒子が測定領域を実質的に同時に横断する場合には、個々の信号は、得られる信号がそのピークが個々のピークの合計と同等である対称的モノモーダル信号であってもよいように、重複することができる。
【0031】
別の実施例においては、2つの同時発生粒子が別々に測定領域を通って通過する場合には、一方は、他方より前に通過するが、両方は、同時に測定領域内にあり、得られる信号は、M型を有する信号を産生する、モノモーダル(分岐同時発生前)からバイモーダル(分岐同時発生後)の範囲であることができる。
【0032】
図1Cは、本発明の一実施形態に従う、1つ以上の粒子によって、実質的に同時に横断中に捕捉される信号160のグラフ表示を図示する。同時発生粒子のうちの最初が測定領域120に進入する時間168で開始し、信号160は、同時発生粒子が測定領域120の中間点に近づくと徐々に増大し、粒子が測定領域120を出る時間169まで、それらが中間点を通って通過した時に徐々に減少する。各同時発生粒子が測定領域120の中間点に近づくと、各ピーク(例えば、162Aおよび162B)は、観測することができ、信号160にM型をもたらす。粒子が完全に同時発生である(すなわち、相互に完全に重複する)場合には、次いで、得られる信号は、いずれかの粒子のみに関連するピークよりも高い値を有する、1つのピークのみを有するであろう。
【0033】
図1Cに見られるように、信号形状の歪曲は、個々の信号特徴の正確な測定を阻害してもよい、同時発生粒子間の時間間隔によって異なってもよい。一般に、同時発生が生じる時に、装置は、より少数の粒子をレジスタし、さらに重要なことには、ピーク測定は、もはや正確ではなくてもよい。その結果、同時発生粒子は、散乱プロットおよびヒストグラム、例えば、5分類の散乱プロットにおいてノイズとして出現する。したがって、粒子濃度が高く、同時発生が一般的である場合において、検出、処理、および分析されたデータに基づく散乱プロットおよびヒストグラムは、実質的に歪曲される可能性がある。歪曲は、誤ったゲート、精度、およびフラッグ結果をもたらしてもよい。
【0034】
図2Aおよび2Bは、本発明の実施形態を使用して、同時発生検出および処理を用いて、散乱プロットのデータの表示で生じることができる改善を図示する。図2Aは、同時発生の同定および処理を有さない散乱パターンである。図2Bは、同時発生の同定および処理を有する散乱パターンである。この実施例においては、散乱プロットは、99%のリンパ球を有する高濃度のWBC検体のDC対LS測定に対応する。
【0035】
上述のように、血液分析器は、血液細胞(例えば、粒子)の種類を区別するために、例えば、DC、RF、LSおよびALLに基づく位置情報を使用する。各細胞に対応する信号のピーク測定は、位置情報を回収するために使用することができる。しかしながら、同時発生は、対応する散乱プロットおよびヒストグラム上の不正確な位置にある細胞の表示をもたらすことができる、ピーク測定を歪曲させる。データパターンのこの劣化は、サンプル濃度が増大するとより一般的になる。例えば、より高い粒子濃度を有する、希釈された粒子サンプル103は、一般に、より高い比率の同時発生をもたらし、したがって、低粒子濃度を有する、希釈された粒子サンプル103よりも歪曲されたデータをもたらすであろう。
【0036】
図2Aおよび2Bにおいては、印を付けた外接矩形、矩形202および204はそれぞれ、リンパ球が存在することが予想される位置である。図2Aは、他の種類のWBCとして容易に誤って分類される可能性のある、矩形202の外に不正確に定置される、相当な数のリンパ球を示す。対照的に、図2Bにおいては、本発明の実施形態に従う、誤って定置されたリンパ球は、これらの誤って配置されたリンパ球が、実際に、同時発生の同定および処理によって排除される同時発生粒子であったため、顕著に減少される。
【0037】
図3は、本発明の実施形態によってもたらされた臨床的精度における例示的改善を示すグラフを図示する。例えば、本発明の実施形態に従う、同時発生の同定および処理を有する、および有さない参照データセットに関する手動分類結果への5分類試験の結果の比較を示す。比較は、好中球、リンパ球、単球、好酸球、および好塩基級の割合に基づいて、かつ手動分類との相関関係で量子化される。この実施例に見ることができるように、同時発生の同定および処理は、すべての5つの白血球亜集団の精度を改善させる。精度改善に加えて、同時発生の同定および処理は、戻ることを要求とする不確定としてフラッグされるサンプルの数を改善させる。例えば、同一のデータセットにおいては、フラッグされたサンプルの数は、本発明の実施形態に従う、同時発生の同定および処理を適用することにより、351から265まで24.5%減少させられる。
【0038】
図4Aおよび4Bは、本発明の実施形態が、未溶解粒子によってもたらされる同時発生の影響を減少するために使用される時に、結果をグラフ的に図示する。いくつかの血液試験は、分析前にサンプルから不要な粒子を排除するために、粒子サンプルの溶解を必要とする。例えば、5分類試験は、白血球細胞の亜型を正確に発生し、区別するために、優勢な赤血球細胞の排除を必要とする。しかしながら、いくつかの異常なサンプルは、溶解に対して耐性であり、5分類散乱プロットにおいて過剰な未溶解破片をもたらす。これらのサンプル中の赤血球細胞と白血球細胞との間の濃度の比較的大きい差異のため、未溶解破片は、しばしば、同時に測定領域を通って通過する。したがって、本発明の実施形態を使用して、実質的に排除される同時発生粒子は、未溶解破片によってもたらされる誤差を減少することができる。例えば、本発明の実施形態に従う、同時発生の同定および処理を参照データセットに適用することによって、白血球細胞に関する未溶解破片の割合の平均は、95%〜64%に減少される。
【0039】
図4Aおよび4Bにおいては、未溶解破片を有するサンプルのためのDC対LS散乱プロットを示す。適用される同時発生の同定および処理が存在しないときに、未溶解破片は、リンパ球と干渉し、リンパ球として48%の細胞の誤分類を引き起こす。例えば、図4Aにおいて、赤血球細胞およびリンパ球集団は、エリア401において明確な分離を伴わずに出現する。一方、図4Bは、リンパ球と破片との間のゲートが実質的に改善される、例えば、赤血球細胞402およびリンパ球403が明確に分離されるように、有意な量の未溶解破片を排除する、同時発生の同定および処理を使用するときの結果をグラフ的に示す。この実施例においては、同時発生の同定および処理は、9%の参照に非常に近い、7.2%のリンパ球をもたらす。
【0040】
(同時発生粒子を決定する方法)
図5は、本発明の実施形態に従う、同時発生粒子を検出し、処理するための方法500のフローチャートである。例えば、方法500は、下記の方法500の説明に参照される、図1Aのデバイスを使用して実施することができる。
【0041】
ステップ502において、サンプルは、粒子分析器内の分析のために調製される。例えば、上述のように、血液分析において、血液サンプルは、白血球細胞のための5分類試験の前に、赤血球細胞を排除するために溶解されてもよい。調製ステップはまた、フローセル、例えば、フローセル108を通るサンプルの流れを促進するために、サンプルに希釈剤を、およびシース流体の支給量を添加するステップを含んでもよい。
【0042】
ステップ503において、調製された粒子サンプルは、一定速度で、フローセル内に注入される。例えば、これは、ほぼ一定の流体速度を保証し、フローセルを介してシース流体内に拘束するために、流体力学的収束等のプロセスを使用して行うことができる。
【0043】
ステップ504において、測定領域内の粒子が、検出される。例えば、ステップ502で調製された粒子サンプルのサブサンプルは、フローセルの測定領域を通って流れ、一連の信号パルスは、測定領域、例えば、フローセル108の測定領域120内の1つ以上の粒子の感知に基づいて生成される。一実施例においては、粒子の感知は、対応するプローブおよびセンサ、例えば、プローブ112およびセンサ114を含む、1つ以上の電気的または光学的測定デバイスに基づく。例えば、電気測定デバイスを考慮すると、DC測定パラメータまたは電気抵抗測定パラメータは、粒子の体積を検出するために使用することができる、および/またはRF測定パラメータは、粒子の多くの特徴に対応してもよい。図1Aに関して説明するレーザ源および対応する検出器は、光学的測定デバイスを備えることができ、LSおよびALLを含む、測定パラメータに基づいて、粒子特徴を決定するために使用することができる。別の実施形態においては、音響測定デバイスが、使用されてもよい。例えば、超音波源および対応するセンサは、音響測定デバイスを備えてもよい。本明細書の下記の説明は、主にDC測定パラメータを使用する検出に焦点を置くが、他の測定スキームは、本発明の範囲内に含まれる。
【0044】
ステップ506において、測定領域内の粒子の存在に対応する信号は、例えば、粒子が測定領域を通って通過するときに、粒子を感知することによって生成される、一連の信号パルス測定を使用して産生される。図1Bまたは1Cに示す信号は、このステップにおいて産生される信号を表す可能性がある。
【0045】
ステップ508において、種々のパラメータが、生成された信号に基づいて決定される。例えば、図1Bに示すように、信号のピーク152が決定される。本発明の一実施形態においては、ピーク値の所定部分に対応する値を有する信号150上の第1および第2の点が決定され、第1の点は、信号150の上昇部分上にあり、第2の点は、信号150の減少部分にある。より正確には、第1の点は、ピーク値の所定部分に対応する信号150の一時的に第1に生じる上昇部分上に位置し、第2の点は、ピーク値の所定部分に対応する信号150の一時的に最後に生じる減少部分上に位置する。例えば、第1および第2の点は、信号150のハーフピーク点154および156、または信号160のハーフピーク点164および166であってもよい。第1および第2の点に基づいて、第1と第2の点との間の時間間隔(T50)の中間点(H50)における信号の値に対応する中心点が決定される。別の実施形態においては、信号のエリアが決定される。具体的には、測定領域内の粒子の全体の持続時間を示す信号によって表されるエリアが決定される。例えば、図6に示し、下記に詳細に説明する例示的ステップを言及したパラメータを決定するために説明する。フローセル内におけるその存在の持続時間における1つ以上の粒子を表す例示的信号を、図1Bおよび1Cに提供する。信号を使用して決定されるパラメータを、図1B、1C、および7に関して詳細に説明する。
【0046】
ステップ510において、サブサンプルの同時発生特徴が決定される。例えば、事象データ、すなわち、ステップ508において検出された粒子および信号に基づいて決定された、他のパラメータに対応するデータが、信号プロセッサ118から分析器122において受信される。次いで、分析器122は、受信されたデータに基づいて、サブサンプルの同時発生特徴を決定することができる。しかしながら、信号パラメータの決定および同時発生の決定は、信号プロセッサ118と分析器122との間で異なって分布される可能性があることを理解されたい。
【0047】
例えば、信号、ピーク、および信号の中心点、ならびに第1および第2の点のうちの1つまたは両方から決定されたパラメータに基づいて、サブサンプルが同時発生粒子を含むか否かが決定される。ステップ510に関与する詳細な処理ステップを図示するフローチャートを、図8に表す。サブサンプルが同時発生事象を含むか否かの決定を、図8に関して詳細に説明する。
【0048】
ステップ512において、結果データが、同時発生事象および非同時発生事象(すなわち、同時発生事象以外の事象)に基づいて生成される。一実施形態においては、同時発生事象のデータ特徴が破棄される。したがって、結果データは、同時発生として検出された任意の事象を含まないであろう。別の実施形態においては、各検出された同時発生事象では、粒子数は、同時発生を占めるために調整される。例えば、同時発生を有すると検出された各サブサンプルは、2つの粒子同時発生を有するとみなされてもよく、事象数または粒子数は、適宜に増分されてもよい。この方法で粒子数を調整するステップは、同時発生サンプルを破棄するステップと比較したときに、計数の誤差を低減することができる。
【0049】
ステップ514において、全体のサンプルが測定されているか否かが決定される。決定されていない場合には、方法500は、ステップ503に戻る。さもなければ、収集される結果データは、ステップ514において分析される。
【0050】
一実施形態においては、結果データは、ディスプレイ、例えば、結果データに対応する散乱プロットを生成するために使用されてもよい。散乱プロットは、同時発生事象が実質的に低減されるため、増加した精度および少ないノイズを有するであろう。同時発生事象が排除された例示的散乱プロットを2Bに示し、それは、同時事象が排除されていないときと比較することができ、それを図2Aに示す。
【0051】
別の実施形態においては、結果は、方法500を使用して決定された同時発生事象の計数に従い調整される事象または粒子数として報告されてもよい。
【0052】
さらに別の実施形態においては、結果データは、記憶および/またはその後の分析のために、記憶デバイスが挙げられるがそれに限定されない、別のデバイスに伝送されてもよい。
【0053】
図6は、本発明の実施形態に従う、プロセス600、例えば、ステップ508の処理に関与するサブステップを図示する。ステップ602において、信号のピーク、例えば、信号150のピーク152が検出される。上述のように、ピーク測定は、粒子特徴を表すと見なすことができる。例えば、単一の粒子がDC測定領域を通って通過する場合には、コールタ原理に従い、記録されたピークは、粒子の物理的体積に比例する。通常、ピーク値自体が粒子のある特徴を説明するために十分であるため、いくつかの血液分析器において、ピーク測定のみが捕捉される。同時発生粒子が存在しないときに、信号は、一般に単一ピークを有する。しかしながら、図1Cに関して上述のように、信号は、同時発生粒子がサブサンプルにおいて検出されるときに1つ以上のピークを有してもよい。信号160は、2つのピーク162Aおよび162Bを有し、それは、同時発生粒子が存在してもよいことを示す。ピーク162A、より具体的には、信号160の最大ピークは、信号の最大値の記録を付けることによって決定することができる。
【0054】
ステップ604において、2つの点、ピークの所定部分に対応する信号値を有する第1および第2の点が決定される。例えば、ピークの所定部分は、50%であってもよく、2つのハーフピーク点は、図1Cに関して説明するように、第1のハーフピーク点164がピーク162Aの前であり、第2のハーフピーク点166が162Aの後になるように、確認することができる。第1と第2のハーフピーク点との間の時間間隔は、T50と称される。
【0055】
ステップ606では、第1と第2の点との間の中心点167が決定される。第1および第2のハーフピーク点の中心点167における信号値は、H50と称される。図1Bに示すように、同時発生が存在しないときに、ハーフピーク点154および156の中心点は、ピーク152と重複することができることに留意されたい。
【0056】
図7は、本発明の実施形態に従う、粒子の寸法が増大するときの非同時発生信号における1つの測定(T50)の実質的に一定特性を図示する。先述のように、T50は、信号上の2つのハーフピーク点の間の時間間隔である。信号上の各点は、測定領域内の対応する位置における測定パラメータ(例えば、DC)および粒子の相互作用の強度を表す。粒子体積がDC測定領域体積と比較して小さいときに、強度は、粒子体積にほぼ比例する。より大きい粒子が測定領域を通って通過するときに、信号上の各点は、比例的に増大し、ハーフピーク点は、振幅がより小さい粒子と比較して拡大される一方、同一の時間点に留まる。言い換えると、T50は、粒子が同時発生を伴わず独立して測定領域を通って通過するかぎり、粒子寸法に関わらず、実質的に一定のままである。プロット700は、T50が、同時発生を伴わない種々の寸法の粒子では、一時的に実質的に一定のままであることを示す。種々の単一非同時発生粒子のT50の実質的に一定特性は、同時発生粒子を同定するために閾値T50値の決定を可能にする。
【0057】
H50測定は、信号形状の対称性に大きく依存する。信号が対称かつモノモーダルである場合には、そのH50は、そのピークと同等である。信号がモノモーダルであるが対称ではない場合には、そのH50は、そのピーク未満である。信号がバイモーダルである場合には、そのH50は、通常、バイモーダル信号内の中間谷領域に位置し、そのH50は、有意にピーク未満である。2つ以上の粒子が同時に測定領域を通って流れるときに起こる可能性がある、信号がマルチモーダルである場合には、状況は、より複雑かつ予測不可能である。しかしながら、この状況において、H50がピーク未満である確立が非常に高く存在する。また、2つ以上の粒子の同時発生は、粒子サンプルをフローセル内に注入するために流体力学的集束を使用することができる血液分析器およびフローサイトメータにおいて比較的低頻度であり、一般に無視することができる。
【0058】
参照の簡略化のために、用語T50は、第1および第2の点がピーク値の一部分に対応する任意の所定値を有すると選択されるときに、第1と第2の点との間の時間距離を指すために使用されることに留意されたい。同様に、用語H50は、T50領域の中間点における信号値を指すために使用される。
【0059】
ステップ608において、信号のエリアが決定される。例えば、粒子が測定領域内、具体的には、粒子が測定領域168に進入するときからそれが出るとき169までの時間間隔にある全体の持続時間に対応する信号160のエリアである。一実施例においては、エリアは、信号160の積分として決定することができる。より大きい粒子が測定領域を通って通過する場合には、信号上の各点は、比例的に増大する。1つ以上の粒子が開口部を通過する場合には、重畳信号のエリアは、すべての個々の信号のエリアの合計に等しい。しかしながら、信号エリアは、それが測定領域を通って通過するときに、粒子の形状および粒子の配向に敏感であってもよい。信号のエリアと比較して、信号のT50は、分析される粒子のさらなるロバスト表示を提供する。完全な同時発生粒子を除き、ピークは、さらなる特性を有さないことにも留意されたい。
【0060】
図8は、本発明の実施形態に従う、例えば、ステップ510において同時発生特徴を決定するためのプロセス800を示すフローチャートである。ステップ802では、T50パラメータは、所定のT50閾値と比較される。T50値が所定のT50閾値を上回る場合には、次いで、信号は、同時発生を含むとみなされる。T50閾値は、参照粒子サンプルの分析に基づいて、各粒子分析器および関連する試験条件のために事前に決定することができる。
【0061】
図9、10、11および12は、本発明の実施例に従う、粒子パラメータの特徴を図示するグラフである。例えば、線は、正規化された規模の0.2〜0.8の範囲の寸法を上回る、非同時発生粒子の信号測定を表す。丸および点線は、その分離がわずかな時間増分によって調整される、2つの0.4寸法の同時発生粒子の信号測定を表す。これらの2つの粒子が相互にごく接近して測定領域を通って通過するため、観測されたピークは、波形重畳により、必ずしも0.4ではない。丸は、2つの同等に寸法設定された、分岐前の粒子の信号測定を表す。点線は、分岐後の信号測定を表す。
【0062】
図9は、本発明の実施形態に従う、T50対ピークプロット900を示す。単一粒子信号は、寸法の違いに関わらず、単一粒子を示す水平線によって図示する、一定のT50を有する。丸で示す分岐前の同時発生パルスは、それらが依然としてユニモーダルであるにも関わらず、上昇したT50を呈する。これは、2つの個々の信号の重畳によって信号が歪曲されるためである。同時発生が分岐後になると、T50は、点線で図示するように劇的に増大する。上記の観測は、T50が、分岐前および分岐後の同時発生事象の両方を、非同時発生事象と区別することが可能であることを示す。T50閾値は、分析される粒子の寸法に基づいて、単一粒子の値(プロット900における線)を上回る、および対応する同時発生値の値(プロット900における点線または丸の下)を下回るとして決定することができる。
【0063】
ステップ804において、ピークに対するピーク点の第1および第2の部分の中心点の比率(すなわち、H50対ピーク比)が、決定または計算される。次いで、H50対ピーク比が、所定の閾値H50対ピーク比と比較される。H50対ピーク比が閾値より少ない場合には、次いで、信号が、分岐後の同時発生を示すために決定される。閾値H50対ピーク比は、参照粒子サンプルの分析に基づいて各粒子分析器および関連する試験条件のために事前に決定することができる。
【0064】
図10のH50対ピークプロット1000において、H50およびピークが単一粒子信号で同等のままであるため、斜線が存在する。丸は、2つの同等の寸法の分岐前の同時発生粒子が対称のユニモーダル信号を形成し、同一のH50およびピークを有するときはいつでも線と重複する。これは、H50が、分岐前の同時発生および非同時発生信号を区別することができないことを意味する。しかしながら、点線は、線と明確に分離され、H50が分岐後の同時発生信号を非同時発生信号と区別するために使用することができることを意味する。2つの異なる寸法の分岐前の同時発生粒子の場合では、2つの粒子の重畳は、非対称レベルを作成し、したがって、H50測定をピーク測定と異ならせる。しかしながら、この差異は、通常、有意ではない。
【0065】
ステップ806では、エリアに対するピーク点の第1および第2の点の中心点の比率(すなわち、H50対エリアの比率)が、決定または計算される。次いで、H50対エリアの比率は、所定の閾値H50対エリアの比率と比較される。H50対エリアの比率が閾値未満である場合には、次いで、信号は、分岐後の同時係数を示すために決定される。閾値H50対エリアの比率は、参照粒子サンプルの分析に基づいて、各粒子分析器および関連する試験条件のために事前に決定することができる。
【0066】
図11のH50対エリアプロット1100において、H50対エリアの比率が単一粒子信号で一定のままであるため、直線の斜線が存在する。丸および点線は、2つの粒子同時発生信号のエリアが一定のままであることを示す。これは、2つの粒子のエリアが、これらの2つの粒子が同時に測定領域を通って通過する限り、各粒子のエリアの合計と同等であるという事実によって説明することができる。したがって、すべての単一粒子は、エリア対エリアの散乱プロット上の基点を通る斜線を形成し、一定のH50対エリアの比率を有する一方、同時発生粒子は、散乱プロット上の単一粒子線の右およびその下に位置し、それらのH50対エリアの比率は、減少される。これは、H50対エリアの比率が、同時発生パルス(分岐前および分岐後タイプの両方を含む)と非同時発生パルスを区別するために使用することができることを意味することができる。
【0067】
ステップ808では、エリア対ピーク比が、決定される。エリア対ピークの比率が所定の閾値を上回るか否かに基づいて、この信号は、分岐前または分岐後同時発生信号のいずれかである。閾値エリア対ピーク比は、参照粒子サンプルの分析に基づいて、各粒子分析器および関連する試験条件のために事前に決定することができる。
【0068】
図12に示す、エリア対ピークプロット1200において、単一粒子信号のエリア(線で示す)は、ピークに対して比例的に増大する。一方、分岐前(丸で示す)または分岐後(点線で示す)に関わらず、2つの粒子同時発生信号のエリアは、一定のままであり、それは、0.4ピーク信号のエリアの2倍である。これは、2つの粒子のエリアが、これらの2つの粒子が同時に測定領域を通って通過する限り、各粒子のエリアの合計と同等であるという事実によって説明することができる。したがって、すべての単一粒子は、エリア対ピークの散乱プロット上の基点を通る斜線を形成し、一定のエリア対ピークの比率を有する一方、同時発生粒子は、散乱プロット上の単一粒子線の左およびその上に位置し、それらのエリア対ピークの比率は、上昇する。これは、エリア対ピークの比率が同時発生パルス(分岐前および分岐後タイプの両方を含む)と非同時発生パルスを区別するために使用することができることを意味することができる。
【0069】
本発明の他の実施形態は、上述の同時発生事象を決定する方法のうちの1つ以上を使用することができることに留意されたい。一般に、所定閾値とのT50の比較は、最大ロバスト結果を提供する。しかしながら、いくつかの実施形態はまた、決定の信頼性を増大させるために、H50対ピークおよび/またはエリア対ピークを介する同時発生決定を含んでもよい。
【0070】
(5分類試験への適用例)
図13、14、15、16および17は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、種々の寸法の血液細胞を含有する、血液検体上の同時発生の同定を図示する。検体は、正常な白血球細胞濃度を有し、それは、比較的低いレベルの同時発生を意味する。図13において、DCピークおよびLSピークに対応する軸を有する5分類散乱プロット1300を示す。この真の検体上の大半のT50値は、一定であり、図14において直線の水平線を形成する。残り(矩形1402内に位置する)は、分岐前または分岐後の同時発生信号として同定される信号に対応する、より大きい不規則なT50値を有する。図14は、T50対ピーク(図9)の模擬結果に対応する。
【0071】
図15は、T50で同定される同時発生信号が、DCH50対ピークの間隙に突出するときに得られる散乱プロット1500を示す。T50で同定される同時発生パルスの大半は、対応するピークと比較してより小さいH50を呈し、それは、これらが分岐後の同時発生パルスであることを示す。T50で同定される同時発生パルスのうちのいくつかは、等価のH50およびピークを有する。これらは、分岐前の同時発生パルスであり、それは、H50ではなくT50またはエリア対ピークの比率で差別することができる。
【0072】
図16に示すDCH50対DCエリアの散乱パターン1600は、基点および斜線の下の他の散乱した点を通る斜線を形成する事象から成る。前者は、非同時発生の白血球細胞を表す。後者は、より低いH50対エリアの比率で「クラウド」を形成し、かつ同時発生粒子を表してもよい(1602)。
【0073】
DCエリア対ピークの散乱パターン1700が、基点および斜線の上の散乱した点を通る斜線から成る、図17においても確認することができる。前者は、非同時発生の白血球細胞を表す。後者は、より高いエリア対ピーク比で「クラウド」を形成し、かつ同時発生粒子を表してもよい。図14の同時発生点(1402)が、図17の同時発生点(1702)と比較される場合には、T50閾値化およびエリア対ピークの比率の閾値化からの結果が相互に一致することを確認することができる。
【0074】
(他の実施形態例)
本発明の別の実施形態においては、複数の測定パラメータのそれぞれは、同時発生事象を決定するために独立して使用されてもよい。複数の測定パラメータを使用して独立して決定された同時発生を有する結果は、最終決定に到達するために相互に関連付けられてもよい。そのような方法は、種々の条件において同時発生事象を検出する上で各測定パラメータの敏感性の影響が低減される、同時発生事象のよりロバスト決定を提供してもよい。例えば、同時発生の最終決定は、測定パラメータのうちの少なくとも1つによって同時発生としてフラッグされる事象のために行われてもよい。
【0075】
図18は、本発明の別の実施形態を示す。本発明の実施形態に従うシステム1800には、分析器122に結合される粒子検出器124が挙げられる。分析器122はまた、ディスプレイ1820および記憶装置1821に結合されてもよい。粒子検出器124は、1つ以上の測定パラメータを使用して粒子事象を検出し、測定領域内のその粒子の持続時間を表す各粒子事象のための信号を構築するために、検出された測定パラメータを処理する信号プロセッサ118を含む。先述のように、信号プロセッサ118は、各信号のために、ピーク、ならびに信号エリアまたはT50およびH50パラメータのうちの1つ以上を決定する。測定領域内の粒子の持続時間に対応する信号の組立ておよびその信号に対応するパラメータの決定の命令は、ハードウエア記述言語(HDL)、アセンブリ、CおよびC++を含む、任意の好適なプログラミング言語で実施することができ、かつハードウエア、ファームウエア、またはソフトウエア構成要素のうちの1つ以上を含んでもよい。一実施形態においては、信号の組み立て、ならびにピーク、H50、T50、およびエリア等の信号パラメータの決定は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)で実施することができ、同時発生のための閾値比較は、ソフトウエアで実施することができる。
【0076】
図1に関して上述のように、分析器122は、粒子分析器100内に位置する、または通信媒体1840を介して粒子検出器124に個別に結合されて位置してもよい。分析器122は、粒子検出器124によって検出される各粒子によって生成される信号に対応する事象データを受信する。事象データは、位置データならびに対応する信号のためのピーク、信号エリア、T50およびH50測定を含む計算されたパラメータを含むことができる。
【0077】
分析器122は、プロセッサ1802、メモリデバイス1803、記憶デバイス1804、入力デバイス1805、出力デバイス1806、同時発生モジュール1807および通信デバイス1808を含む、構成要素を含む。プロセッサ1802は、任意のマイクロプロセッサまたは処理命令を実行することが可能な他のプロセッサである可能性がある。メモリデバイス1803は、ランダムアクセスメモリを含むことができる。記憶デバイス1804は、フラッシュメモリまたはハードディスク等の持続的記憶媒体を含む。プロセッサ1802は、粒子分析器から事象データを受信し、受信したデータを処理し、処理した結果データを出力するための命令を実行する。メモリデバイス1803および記憶デバイス1804は、プロセッサ1802の任意の一時的または永久的メモリおよび必要な記憶を提供する。通信デバイス1808は、分析器122の構成要素を互いに相互接続し、かつペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)バスまたは拡張業界標準アーキテクチャ(EISA)バスが挙げられるが、それらに限定されない、通信媒体を含んでもよい。入力デバイス1805は、接続デバイス1840を介する粒子分析器100への接続および粒子分析器100から事象データを含むデータを受信する能力を含むことができる。接続1840は、イーサネット(登録商標)等のネットワーク接続デバイス、またはPCIもしくはEISAバス等の内部接続デバイスである可能性がある。
【0078】
同時発生モジュール1807は、各事象における同時発生を決定するために、位置データを含む事象データ、および粒子検出器124から受信される対応する信号パラメータを処理するための機能性を含む。例えば、上述のように、ピーク、信号エリア、T50およびH50パラメータのうちの1つ以上は、粒子サンプルの対応するサブサンプル内の同時発生事象の存在を決定するために、同時発生モジュール1807によって使用することができる。いくつかの実施形態においては、同時発生モジュール1807は、複数の測定パラメータを使用して独立して決定される信号パラメータを受信し、かつ対応する事象における同時発生に関する最終決定に到達するために異なる決定を相互に関連付けることができる。
【0079】
出力モジュール1806は、適用に適切な方法で同時発生事象を処理するための機能性を含む。一実施形態においては、出力モジュールは、同時発生事象を占めることによって、1つ以上の粒子数を調整することができる。例えば、各同時発生事象は、対応する粒子数が1ではなく2ほど増分させてもよい。別の実施形態においては、出力モジュール1806は、同時発生と決定される事象を排除することができる。例えば、結果データは、同時発生として検出される事象のうちのいずれかを除き、生成することができる。入力モジュール1805、同時発生モジュール1807および出力モジュール1806の機能性を達成するための命令は、ハードウエア、ファームウエア、ソフトウエア、またはそれらの組み合わせを使用して実施することができる。
【0080】
出力モジュール1806は、通信デバイス1850を使用してディスプレイ1820および/または記憶デバイス1821に結合される。通信媒体1850は、イーサネット(登録商標)等のネットワーク接続またはPCIもしくはEISAバス等のデバイス内部接続方法を含むことができる。出力モジュール1806からの結果データは、オペレータによって表示および分析される、ディスプレイ1820に送達される。例えば、ディスプレイ1820は、散乱プロットの形態の結果データを図示してもよい(その実施例を図2Bに図示する)。別の実施形態においては、結果データは、その後の処理および分析のために、外部記憶デバイス1821内に単に記憶されてもよい。
【0081】
この開示において、事象の検出において生じる同時発生事象の同定および処理を介して、血液サンプル分析を含む、正確な粒子分析を改善することができる方法およびシステムを開示した。開示する方法およびシステムは、現在の方法およびシステムよりも実質的な改善をもたらし、粒子分析器データの分析において有意な改善につながることができる。当業者は、本明細書に開示する技術が多くの生物学的または工業的粒子に適用可能である可能性があり、かつ電気的、光学的、または音響的測定デバイスを使用して多くの検出方法にも適用可能であることを理解するであろう。
【0082】
本発明の先述の説明は、図示および説明目的で提示されている。本発明を開示する正確な形態に徹底される、または制限されることを意図せず、他の修正および変化は、上記の教示を考慮して可能であってもよい。実施形態は、本発明の目的およびその実践的適用を最もよく説明し、それによって、当業者が意図する特定の使用に適するとして、種々の実施形態および種々の修正に最もよく使用することを可能にするために本発明を選択し、説明した。付属の請求項は、先行技術によって限定される範囲を除く、本発明の他のさらなる実施形態を含むように構成されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子分析器内の粒子を分析する方法であって、
該粒子分析器内における分析のための粒子を含有する流体サンプルを調製することと、
電気的または光学的測定デバイスを使用して信号を感知することであって、該信号の各々は、該粒子分析器内の測定領域を通って流れる該流体サンプルのサブサンプル内において検出される1つ以上の事象に対応する、ことと、
少なくとも1つの該測定デバイスからの測定パラメータについて、該測定デバイスを使用して、該信号の各々のピークならびに第1および第2の点を測定することに基づいて、該1つ以上の事象内の同時発生事象の存在を決定することであって、該第1および第2の点は、該ピークの所定部分に対応する信号値を有する、ことと、
該1つ以上の事象のうちの該同時発生事象および非同時発生事象に基づいて、結果データを生成することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記結果データは、前記同時発生事象を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記結果データのプロットを表示することをさらに含み、それによって、該プロットは、同時発生事象ノイズを実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記決定することは、
前記第1と第2の点との間の間隔を測定することと、
該間隔を所定閾値と比較することと、
該間隔が該閾値を超過する場合に、前記同時発生事象の存在を決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記決定することは、
前記第1と第2の点との間の前記信号の中間点を測定することと、
前記ピークに対する該中間点を含む比率を閾値比率と比較することと、
該比率が該閾値比率未満である場合に、前記同時発生事象の存在を決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記決定することは、前記同時発生事象が分岐同時発生事象または非分岐同時発生事象を含むか否かを決定することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記決定することは、
前記第1と第2の点との間の前記信号の中間点を測定することと、
前記領域に対する中心線を含む比率を閾値比率と比較することと、
該比率が該閾値比率未満である場合に、前記同時発生事象の存在を決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記感知することは、DC測定パラメータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記感知することは、無線周波数測定パラメータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記感知することは、光散乱測定パラメータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記感知することは、軸光損失測定パラメータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記粒子は、生体細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記粒子分析器は、血液分析器またはフローサイトメータである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記結果データは、前記1つ以上の事象の修正された計数を含み、該修正された計数は、前記同時発生事象および前記非同時発生事象に基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
システムであって、
電気的または光学的測定デバイスを使用して信号を検知するように構成される粒子検出器であって、該信号の各々は、該粒子検出器内の測定領域を通って流れる流体サンプルのサブサンプル内において検出される1つ以上の事象に対応する、粒子検出器と
分析器と
を備え、該分析器は、
少なくとも1つの測定デバイスからの測定パラメータについて、該信号の各々のピークならびに第1および第2の点を測定することに基づいて、該1つ以上の事象内の同時発生事象の存在を決定することであって、該第1および第2の点は、該ピークの所定部分に対応する信号値を有する、ことと、
該1つ以上の事象のうちの該同時発生事象および非同時発生事象に基づいて、結果データを生成することと
を行うように構成される、システム。
【請求項16】
前記感知することは、DC、光散乱、軸光損失、または無線周波数のうちの1つである、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記分析器は、前記信号の第1と第2の点との間の時間間隔を所定閾値と比較することに基づいて、前記同時発生事象の存在を決定するようにさらに構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記分析器は、前記信号の第1と第2の点との間の中間点および該信号のピークを含む比率を、所定の閾値比率と比較することに基づいて、前記同時発生事象の存在を決定するようにさらに構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記分析器は、前記信号の第1と第2の点との間の中間点および該信号のエリアを含む比率を、所定の閾値比率と比較することに基づいて、前記同時発生事象の存在を決定するようにさらに構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記結果データを表示するように構成されるディスプレイをさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
コンピュータプログラムコードがその上に記録されているコンピュータ可読記憶媒体であって、該コンピュータプログラムコードは、プロセッサによって実行されると、該プロセッサに方法を実施させ、該方法は、
信号を受信することであって、各信号は、粒子分析器内の測定領域を通って流れる流体サンプルのサブサンプル内において検出される1つ以上の事象に対応する、ことと、
各信号のピークならびに第1および第2の点を測定することに基づいて、該1つ以上の事象内における同時発生事象の存在を決定することであって、該第1および第2の点は、該ピークの所定部分に対応する信号値を有する、ことと、
該1つ以上の事象のうちの該同時発生事象および非同時発生事象に基づいて、結果データを生成することと
を含む、媒体。
【請求項22】
制御論理がその中に記憶されているコンピュータ使用可能媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、該制御論理は、
信号を受信するように構成される第1のモジュールであって、各信号は、粒子分析器内の測定領域を通って流れる流体サンプルのサブサンプル内において検出される1つ以上の事象に対応する、第1のモジュールと、
各信号のピークならびに第1および第2の点を測定することに基づいて、該1つ以上の事象内における同時発生事象の存在を決定するように構成される第2のモジュールであって、該第1および第2の点は、該ピークの所定部分に対応する信号値を有する、第2のモジュールと、
該1つ以上の事象のうちの該同時発生事象および非同時発生事象に基づいて、結果データを生成するように構成される第3のモジュールと
を備える、製品。
【請求項23】
前記制御論理は、前記結果データのプロットを表示するように構成される第4のモジュールをさらに備え、それによって、該プロットは、実質的に同時発生事象ノイズを有しない、請求項22に記載のコンピュータプログラム製品。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2012−505406(P2012−505406A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531085(P2011−531085)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/059363
【国際公開番号】WO2010/042401
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(510005889)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (174)
【Fターム(参考)】