説明

粘着シート,粘着シートを用いた光学部材,有機発光素子および照明装置並びにそれらの製造方法

【課題】高屈折率かつ粘着性の高い粘着シート,粘着シートを用いた光学部材,有機発光素子および照明装置並びにそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】バインダ(3)と、前記バインダに混入された粘着粒子(2)と、を有する粘着シート(1)であって、前記粘着粒子は無機粒子(21)および高分子(22)を有し、前記無機粒子の屈折率は前記バインダの屈折率より高く、前記無機粒子は前記高分子と化学結合しており、前記粘着シートの表面に前記粘着粒子が露出しており、前記粘着粒子の粘着性は前記無機粒子の粘着性より大きい粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シート,粘着シートを用いた光学部材,有機発光素子および照明装置並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1には次のような技術が開示されている。屈折率の調整が容易であり、光学用の透明基材との界面の光の全反射やハレーションも少なく、粘着特性(接着力,保持力等)及び耐熱性,耐光性,耐熱湿性等の耐久性を満足することができ、しかも光透過性に悪影響を及ぼす虞のない屈折率調整光学部材用透明粘着剤と光学用透明粘着層及び屈折率調整光学部材用透明粘着剤の製造方法並びに光学用透明粘着層の製造方法を提供する。本発明の屈折率調整光学部材用透明粘着剤は、屈折率が2.0以上であり、分散平均粒子径が1nm以上かつ20nm以下の金属酸化物粒子が、光学部材用透明粘着剤中に分散されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−120726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、粘着層の表面に金属酸化物の粒子が露出するため、粘着層の粘着性が低下するという問題があった。本発明の目的は、高屈折かつ粘着性の高い粘着シート,粘着シートを用いた光学部材,有機発光素子および照明装置並びにそれらの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)バインダと、バインダに混入された粘着粒子と、を有する粘着シートであって、粘着粒子は無機粒子および高分子を有し、無機粒子の屈折率はバインダの屈折率より高く、無機粒子は高分子と化学結合しており、粘着シートの表面に粘着粒子が露出しており、粘着粒子の粘着性は無機粒子の粘着性より大きい粘着シート。
(2)上記(1)において、高分子は置換基Yを有し、無機粒子および高分子は結合部位Xで化学結合しており、結合部位Xがアミド結合,エステル結合,エーテル結合またはウレタン結合の1種または2種以上であり、置換基Yがアミノ基,スルホ基,カルボキシル基またはヒドロキシル基の1種または2種以上である粘着シート。
(3)上記(1)において、高分子の数平均分子量が200以上50000以下である粘着シート。
(4)上記(1)において、無機粒子が酸化チタン,酸化ジリコニウム,チタン酸バリウムまたは酸化スズの1種または2種以上である粘着シート。
(5)上記(1)において、無機粒子の平均粒子径が5nm以上100nm以下である粘着シート。
(6)上記(1)において、粘着粒子の体積率は5vol%以上50vol%以下である粘着シート。
(7)上記(1)において、バインダはアクリル系またはシリコーン系の樹脂である粘着シート。
(8)上記(1)において、粘着シートには分散溶媒が含まれ、分散溶媒は無機粒子を分散させる粘着シート。
(9)上記(1)において、高分子はフェノール樹脂またはポリアミック酸である粘着シート。
(10)上記(1)において、高分子はポリアクリル酸,ポリビニルアルコール,ポリアスパラギン酸,ポリグルタミン酸,アルギン酸,ポリビニルスルホン酸,ポリスチレンスルホン酸またはアミロースの1種または2種以上である粘着シート。
(11)基体と、基材の上に貼り付けられた上記(1)の粘着シートと、有する光学部材であって、基体は樹脂,ガラス,セラミック,金属の1種または2種以上で構成される光学部材。
(12)下基板及び上基板と、下基板および上基板の間に配置された下電極および上電極と、下電極および上電極の間に配置された有機層と、上基板および上電極の間に配置された上記(1)の粘着シートと、を有し、粘着シートで上基板および上電極を貼り合わせ、上電極および下電極の間に電圧が印加されることで有機層が発光し、有機層で発生した光は上基板が存在する側へ取り出される有機発光素子。
(13)下基板及び上基板と、下基板および上基板の間に配置された下電極および上電極と、下電極および上電極の間に配置された有機層と、上基板に対して、有機層が存在する側とは反対側に配置された光散乱層と、上基板および上電極の間に配置された透明樹脂層と、透明樹脂層および上電極の間に配置された上記(1)の粘着シートと、を有し、透明樹脂層の有機層が存在する側の表面には凹凸が存在し、粘着シートで透明樹脂層および上電極を貼り合わせ、粘着シートの屈折率が透明樹脂層の屈折率よりも高い有機発光素子。
(14)下基板及び上基板と、下基板および上基板の間に配置された下電極および上電極と、下電極および上電極の間に配置された有機層と、上基板に対して、有機層が存在する側とは反対側に配置された光散乱層と、光散乱層および上基板の間に配置された透明樹脂層と、上基板および透明樹脂層の間に配置された上記(1)の粘着シートと、を有し、下基板および下電極の間に空隙が存在し、上電極および下電極の間に電圧が印加されることで有機層が発光し、有機層で発生した光は上基板が存在する側へ取り出され、透明樹脂層の上基板が存在する側の表面には凹凸が存在し、粘着シートで透明樹脂層および上基板を貼り合わせ、粘着シートの屈折率が透明樹脂層の屈折率よりも高い有機発光素子。
(15)以下(1)乃至(4)の工程を含む粘着シートの製造方法であって、(1)分散溶媒に無機粒子を加える工程、(2)(1)で得られた溶液にシランカップリング剤を加えシランカップリング剤および無機粒子を結合させる工程、(3)(2)で得られた溶液に高分子を加え、無機粒子および高分子を含む粘着粒子を作製する工程、(4)粘着粒子をバインダと混ぜ合わせる工程、無機粒子の屈折率はバインダの屈折率より高く、無機粒子は高分子と化学結合しており、粘着粒子の粘着性は無機粒子の粘着性より大きい粘着シートの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、高屈折率かつ粘着性の高い粘着シート,粘着シートを用いた光学部材,有機発光素子および照明装置並びにそれらの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施例の粘着シートの構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例の粘着性粒子の構成を示す断面図である。
【図3】従来の粘着シートの構成を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例の光学部材の構成を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施例の光学部材の実施例を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施例の光学部材の実施例を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施例の光学部材の実施例を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施例の光学部材の実施例を示す断面図である。
【図9】本発明の一実施例の有機発光素子の構成を示す断面図である。
【図10】本発明の一実施例の有機発光素子の構成を示す断面図である。
【図11】本発明の一実施例の有機発光素子の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は本願発明の内容の具体例を示すものであり、本願発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。実施例を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0009】
[粘着シート]
図1は、本発明の一実施例の粘着シートの構成を示す断面図である。図1に示すように、本発明の粘着シート1は粘着粒子2がバインダ3に混入されたものであり、薄いシート状になっている。粘着粒子2は無機粒子21と高分子22とから構成される。粘着粒子2として無機粒子21および高分子22のみから構成されていてもよく、粘着粒子2に無機粒子21および高分子22以外の材料が含まれていても良い。
【0010】
図2は、本発明の一実施例の粘着性粒子の構成を示す断面図である。図2に示すように、高分子22は結合部位Xと置換基Yとを持ち、無機粒子21は複数の高分子22と高分子22の側鎖にある結合部位Xを介して化学結合している。
【0011】
本発明の一実施形態では、屈折率の高い無機粒子21が粘着粒子2としてバインダ3中に分散されるため、粘着シート全体を均一媒体と見なしたときの屈折率は、バインダ単体の場合よりも高められる。つまり、粘着シート1の屈折率はバインダ3の屈折率より高くなる。
【0012】
粘着シート1全体の屈折率を上げるという点では、図3に示した無機粒子21をバインダ中に混入するという従来の粘着シート構成でも達成可能である。しかしながら、無機粒子21が粘着シート1(バインダ3)の表面へ露出するため、表面へ露出した無機粒子21が粘着性を妨げる。特に、高い屈折率を得るために無機粒子21の混入量を増やすと、粘着性の低下が顕著に現れる。
【0013】
これに対して本発明の一実施形態では、無機粒子21が高分子22に結合部位Xを持つ側鎖を介して覆われている。高分子22が無機粒子21の全体を覆っていても、無機粒子21の一部を覆っていてもよい。そのため、粘着シート1の表面に粘着粒子2が露出しても、露出部も粘着に寄与するため、従来と同等量の無機粒子をバインダに混入して比較すると、本発明の一実施例の粘着シートの粘着力は従来よりも向上できる。粘着粒子2の粘着性または粘着粒子2に含まれる高分子の粘着性は無機粒子21の粘着性より大きいからである。また、粘着性の低下が従来例に比べて少ないため、粘着粒子2のバインダ3に対する割合(濃度)を上げて、より高屈折率の粘着シート1を構成できる。
【0014】
粘着シート1およびバインダ3の屈折率はプリズムカプラ法によって計測される。屈折率の計測には波長651nmの光源を用いる。「粘着性」は、2枚のガラス基板を、粘着性を計測する対象物を介して張り合わせ、ガラス基板を接着面に対して垂直に引っ張り、ガラスが離れた際の力の単位面積当たりの力によって求められる。
【0015】
粘着シート1の屈折率は、混入する無機粒子21の屈折率,添加量,バインダ3の屈折率などにより1.6以上2.0以下に調整できる。また、粘着シート1は高い透明性を有する。粘着シート1の膜厚は10μm以上200μm以下が望ましい。粘着シート1の膜厚が10μmより小さいと膜厚の公差が管理しにくく、粘着シート1の膜厚が200μmより大きいと粘着シート1を引っ張ったときに粘着シート1自体が破断しやすい。
【0016】
[バインダ]
本発明の一実施例のバインダ3には、アクリル系,シリコーン系などの粘着性,タックを有する樹脂が利用できる。具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート,ブチルアクリレート,2−メトキシエチルアクリレート,酢酸ビニル,アクリロニトリル,スチレン,メチルメタクリレート,エチルアクリレート,メチルアクリレート等のモノマーを単独で重合あるいは数種を共重合させた樹脂、付加反応型シリコーン,過酸化物シリコーンやエポキシ等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合あるいは共重合して用いてもよい。粘着粒子2のバインダ3中への含有量が少ない場合、バインダ3の粘着力が粘着シート1の粘着力に寄与する割合が高い。この場合、バインダ3に粘着性がある方が望ましい。
【0017】
また、粘着粒子2のバインダ3中への含有量が多い場合、すなわち、粘着粒子2の体積率が30vol%以上である場合、表面に露出した粘着粒子が粘着シート1の粘着力に寄与する割合が高い。そのため、粘着粒子2の体積含有率が高い場合には、バインダ3に非粘着性のゴム系や炭化水素系,シリコーン系などの各種樹脂を利用することもできる。具体的には、イソプレン,スチレンブタジエン,ポリイソブチレン,スチレンブタジエンスチレン,スチレンイソプレンスチレン,スチレンエチレンブチレンスチレン,スチレンエチレンプロピレンスチレン,ポリブタジエンや付加反応型シリコーン,過酸化物シリコーン,ポリプロピレン,ポリエチレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合あるいは共重合して用いてもよい。粘着粒子2の体積率は5vol%以上50vol%以下が望ましい。粘着粒子2の体積率とは、粘着粒子2およびバインダ3の合計量に対する粘着粒子2の体積率を言う。
【0018】
[無機粒子]
本発明の一実施形態における無機粒子21は使用する光の波長に対して吸収が少なく、バインダ3よりも屈折率が高いものであればよい。特に、使用する光の波長が可視光(380nm以上780nm以下)の場合、無機粒子21として酸化チタン,酸化ジリコニウム,酸化スズ,チタン酸バリウムなどの高屈折率(屈折率1.6以上2.6以下)で、可視光域で透明性の高い金属酸化物が好ましい。また、無機粒子21のサイズを光の波長よりも小さくすることで粘着シート1中の散乱を抑えられる。可視光の利用を想定した場合、500nm以下、より好ましくは100nm以下の平均粒子径を有する無機粒子21を利用することで、無機粒子21とバインダ3との屈折率差による散乱を低減できる。一方、粒径が微細になりすぎると、金属酸化物の結晶構造が非晶質になるため、金属酸化物の屈折率がバルクの屈折率よりも低くなり、屈折率上昇の効果が落ちる。そのため、無機粒子21の平均粒子径は5nm以上であることが好ましい。ここでいう平均粒子径とは、動的散乱法により求められたものである。
【0019】
[高分子]
本発明の一実施形態における高分子22は結合部位Xと置換基Yとを持ち、高分子22の側鎖である結合部位Xを介して無機粒子21と化学結合している。本発明の一実施例における粘着粒子2は、例えば、次のようにして作製する。まず、結合部位Xの一部である置換基X′を持つシランカップリング剤と無機粒子21とを結合させ、無機粒子表面にシランカップリング剤を付着させる。このとき、置換基X′が無機粒子21とは直接反応せず、無機粒子21を覆ったシランカップリング剤の最表面側(無機粒子21と接しない側)に来るようにシランカップリング剤を無機粒子21の表面に付着させる。次に、置換基Yを持つ高分子22と置換基X′が化学結合し、結合部位Xを構成する。ここで、置換基Yの数が置換基X′の数より多い場合、結合部位Xを形成後も置換基Yが残る。無機粒子21をエチレングリコールなどの分散溶媒に分散させて、シランカップリング剤と無機粒子21とを結合させてもよい。分散溶媒として、グリセリンや水などが挙げられる。分散溶媒がシランカップリング剤を溶解し、無機粒子21の表面にシランカップリング剤がなじみやすくなる。無機粒子21をエチレングリコールなどの分散溶媒に分散させた場合、粘着シート1に微小量の分散溶媒が残る場合がある。
【0020】
シランカップリング剤としてはN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン,N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン,3−アミノプロピルトリメトキシシラン,3−アミノプロピルトリエトキシシラン,3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが考えられる。
【0021】
例えば、置換基X′がアミノ基,イソシアネート基,ヒドロキシル基,カルボキシル基のいずれかであり、置換基Yがヒドロキシル基、またはカルボキシル基であった場合、結合部位Xはアミド結合(NHCO),エステル結合(OCO),エーテル結合(O),ウレタン結合(NHCOO)のいずれかとなる。なお、上記の結合部位Xを1種または2種以上を高分子22に用いてもよい。
【0022】
置換基Yは置換基X′と結合して結合部位Xを形成でき、かつ粘着性を発現するものが好ましく、親水性のヒドロキシル基やカルボキシル基,アミノ基,スルホ基が好適である。ここでいう「粘着性を発現する」とは、2枚のガラス基板を、高分子22を介して張り合わせ、ガラス基板を接着面に対して垂直に引っ張り、ガラスが離れた際の力の単位面積当たりの力が0.005g重N/mm2以上の物をいう。なお、上記の置換基Yを1種または2種以上を高分子22に用いてもよい。
【0023】
高分子22の数平均分子量は200以上50000以下が好ましく、2000以上30000以下にすることが好ましい。高分子22の数平均分子量が小さすぎると、無機粒子21の表面を高分子22で十分に被覆できないため、バインダ3中への分散性が低下する。一方、高分子22の数平均分子量が大きすぎると、無機粒子21に比べて高分子22の体積が増大するため、無機粒子21および高分子22の結合物(粘着粒子)としての屈折率が低下する。数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフにより測定する。高分子としては、ポリアクリル酸,ポリビニルアルコール,ポリアスパラギン酸,ポリグルタミン酸,アルギン酸,ポリビニルスルホン酸,ポリスチレンスルホン酸,アミロースなどが挙げられる。上記の高分子22を1種または2種以上を高分子22に用いてもよい。
【0024】
さらに、前述したように、高分子22を無機粒子21と結合させることから、重合反応によりモノマーをポリマーに変えるプロセスと比較して、決まった分子量の高分子を無機粒子21につけることができ、作製プロセスが安定する。
【0025】
以下に具体的な実施例を示して、本願発明の内容をさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
平均粒子径が20nmのチタン酸バリウムをエチレングリコール中に分散させた。次に、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランを加え、60℃に保持しながら撹拌し、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランをチタン酸バリウムと結合させた。次に、数平均分子量5000のポリアクリル酸を溶解させたエチレングリコールを加え、60℃に保持しながらエチレングリコール中に分散させた粘着粒子を得た。この粘着粒子は、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランのアミノ基とポリアクリル酸のカルボキシル基とが反応したアミド結合を持つ。また、チタン酸バリウムの表面に粘着性のポリアクリル酸が覆われている。その後、遠心分離により溶剤をエチレングリコールからN−メチル−2−ピロリドンに置換した。また、粘着粒子を粘着性、タックのあるアクリル系樹脂(ポリアクリル酸2エチルヘキシル)と混ぜ合わせた。これをガラス基板上にバーコーターで塗工し、ガラス基板上に厚さ2μmの粘着シートを形成した。
【0027】
得られた粘着シートの屈折率は1.68であり元のアクリル系樹脂の屈折率1.48から0.2ほど向上した。粘着粒子2の体積率は45vol%であった。粘着シートの見た目は透明であり、粘着性はアクリル変性体のみで形成した粘着シートと比較して同等の粘着性を有していた。
【実施例2】
【0028】
平均粒子径が20nmのチタン酸バリウムをN−メチル−2−ピロリドン中に分散させた。次に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加え、60℃に保持しながら撹拌し、チタン酸バリウムと結合させた。次に、数平均分子量5000のポリビニルアルコールを溶解させたN−メチル−2−ピロリドンを加え、N−メチル−2−ピロリドン中に分散させた粘着粒子を得た。この粘着粒子は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのグリシジル基とポリビニルアルコールのヒドロキシル基とが反応したエーテル結合を持つ。また、チタン酸バリウムの表面は粘着性のポリビニルアルコールで覆われている。その後、遠心分離により溶剤をN−メチル−2−ピロリドンに置換した。また、粘着粒子を粘着性,タックのあるアクリル系樹脂と混ぜ合わせた。これをガラス基板上にバーコーターで塗工し、ガラス基板上に厚さ2μmの粘着シートを形成した。
【0029】
得られた粘着シートの屈折率は1.68であり元のアクリル系樹脂の屈折率1.48から0.2ほど向上した。粘着粒子2の体積率は45vol%であった。粘着シートの見た目は透明であり、粘着シートの粘着性はアクリル変性体のみで形成した粘着シートと比較して低下したが、まだ十分な粘着性を保っていた。
【実施例3】
【0030】
平均粒子径が20nmの酸化ジリコニウムをエチレングリコール中に分散させた。次に、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランを加え、60℃に保持しながら撹拌し、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランを酸化ジリコニウムと結合させた。次に、数平均分子量5000のポリアクリル酸を溶解させたエチレングリコールを加え、60℃に保持しながらエチレングリコール中に分散させた粘着粒子を得た。この粘着粒子は、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランのアミノ基とポリアクリル酸のカルボキシル基とが反応したアミド結合を持つ。また、チタン酸バリウムの表面が粘着性のポリアクリル酸で覆われている。その後、遠心分離により溶剤をN−メチル−2−ピロリドンに置換した。また、粘着粒子を粘着性,タックのあるアクリル系樹脂と混ぜ合わせた。これをガラス基板上にバーコーターで塗工し、ガラス基板上に厚さ2μmの粘着シートを形成した。
【0031】
得られた粘着シートの屈折率は1.63であり元のアクリル系樹脂の屈折率1.48から0.15ほど向上した。粘着粒子2の体積率は45vol%であった。粘着シートの見た目は透明であり、粘着シートの粘着性はアクリル変性体のみで形成した粘着シートと比較して同等の粘着性を有していた。
【実施例4】
【0032】
平均粒子径が20nmのチタン酸バリウムをエチレングリコール中に分散させた。次に、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランを加え、60℃に保持しながら撹拌し、チタン酸バリウムと結合させた。次に、数平均分子量5000のポリビニルアルコールを溶解させたエチレングリコールを加え、60℃に保持しながらエチレングリコール中に分散させた粘着粒子を得た。この粘着粒子は、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランのイソシアネート基とポリビニルアルコールのヒドロキシル基とが反応したウレタン結合を持つ。また、チタン酸バリウムの表面は粘着性のポリビニルアルコールで覆われている。その後、遠心分離により溶剤をN−メチル−2−ピロリドンに置換した。また、粘着粒子を粘着性,タックのあるアクリル系樹脂と混ぜ合わせた。これをガラス基板上にバーコーターで塗工し、ガラス基板上に厚さ2μmの粘着シートを形成した。
【0033】
得られた粘着シートの屈折率は1.68であり元のアクリル系樹脂の屈折率1.48から0.2ほど向上した。粘着粒子2の体積率は45vol%であった。粘着シートの見た目は透明であり、粘着シートの粘着性はアクリル変性体のみで形成した粘着シートと比較して低下したが、まだ十分な粘着性を保っていた。
【0034】
〔比較例1〕
平均粒子径が20nmのチタン酸バリウムをエタノール中に分散させた。次に、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランを加え、60℃に保持しながら撹拌し、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランをチタン酸バリウムと結合させた。
【0035】
その後、遠心分離により溶剤をN−メチル−2−ピロリドンに置換した。また、粘着粒子を粘着性,タックのあるアクリル変性体と混ぜ合わせた。これをガラス基板上にバーコーターで塗工し、ガラス基板上に粘着層を形成した。得られた粘着シートの屈折率は1.65であり、透明であった。粘着性はアクリル変性体のみで形成した粘着シートと比較、著しく劣った。
【実施例5】
【0036】
高分子としてフェノール樹脂,ポリアミック酸などを用いた粘着シートを有機発光素子に適用した。この場合、粘着シートにおける水分の含有量が極めて少ないので、有機発光素子の劣化を抑制できる。
【実施例6】
【0037】
図4は、本発明の一実施例の光学部材100を示す図である。光学部材100は基体4および粘着シート1で構成される。基体4上に本発明の一実施例の粘着シート1が積層されている。基体4として樹脂やガラス,セラミック,金属やこれらを積層したもの(1種または2種以上で構成したもの)などが挙げられる。
【0038】
図5は、本発明の一実施例の光学部材100をガラス基板等に用いた図である。図5に示すように、ガラス製の基板110の表面に粘着シート1が貼り付けられる。粘着シート1の基板110が貼り付けられていない面には基体4が貼り付けられる。基板110の屈折率は1.5である。粘着シート1と基体4との界面および粘着シート1と基板110との界面において、界面反射が起きる。そのため、基体4が透明なフィルムの場合、本発明の一実施例の光学部材100を窓ガラスに貼り付けると、外光を通常のガラスより多く反射でき、日差しが室内に入りにくくなる。なお、基板110のかわりに他の透明な材質からなる部材を利用してもよい。透明なフィルムとして、透明性,耐候性,ガスバリア性,耐薬品性,耐衝撃性,低コストなど目的に応じていずれかの特性に優れたものが望ましい。具体的には、PE(ポリエチレン),PET(ポリエチレンテレフタレート),PVC(ポリ塩化ビニル),PVDC(塩化ビニリデン),PLA(ポリ乳酸),PP(ポリプロピレン),PA(プリアミド),PC(ポリカーボネート),PTFE(4フッ化エチレン),PU(ポリウレタン),PS(ポリスチレン),ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合),PMMA(ポリメチルメタアクリレート),POM(ポリアセタール),ポリエステル,プリジメチルシロキサン(PDMS),ポリエーテルスルホン,COP(シクロオレフィン)等やガラスが挙げられる。
【実施例7】
【0039】
図6は、本発明の一実施例の光学部材100を金属基板等に用いた断面図である。図6に示すように、実施例6の基板110を金属製に置き換えている。この場合、基板110の表面反射が増し、反射率の高いミラーとなる。
【0040】
図7は、本発明の一実施例の光学部材100を金属基板等に用いた断面図である。図7に示したように、光学部材100の基体4を金属とし、これをガラスなどの透明な基板110に貼り付けている。この場合も基体4の表面反射が増し、反射率の高いミラーとなる。
【実施例8】
【0041】
図8は、本発明の一実施例の光学部材100をコンデンサ等に用いた断面図である。基体4の表面を電極41で覆い、これを別に用意した電極111付きの基板110と粘着シート1を介して張り合わせる。これは、粘着シート1に屈折率向上のために加えているチタン酸バリウムなどの金属酸化物が高誘電率材料であるためである。特に、基体4および基板110がガラスのような透明材料であり、それぞれの表面を覆う電極41および電極111がITOのような透明電極である場合、光を透過する透明コンデンサを形成できる。同様に、電極や基板,基体のいずれかを金属とすることでミラー機能を有するコンデンサを形成できる。本発明の一実施例の光学部材100を用いて透明コンデンサを形成する際、従来技術よりも高密度に微粒子を分散させられるため、より静電容量の大きいコンデンサを実現できる。
【実施例9】
【0042】
図9は、本発明の一実施例の粘着シートを有機発光素子に用いた断面図である。図9は、いわゆるトップエミッション型の有機発光素子である。図9に示すように、本発明の一実施例の有機発光素子は、下基板5,下電極6,有機層7,上電極8,粘着シート1および上基板9で構成される。有機発光素子に有機発光素子を駆動する駆動装置等が備えられることで照明装置となる。
【0043】
下電極6および上電極8は下基板5および上基板9の間に配置される。光が取り出される方向に向かって、下基板5,下電極6,上電極8および上基板9が配置されている。有機層7は下電極6および上電極8の間に配置される。上基板9および上電極8の間に粘着シート1が配置される。上電極8および下電極6の間に電圧が印加され電流を流すことで、有機層7が発光する。有機層7で発生した光は上電極8,粘着シート1,上基板9を通して外部に射出される。つまり、有機層7で発生した光は、有機層7に対して上基板9が存在する側へ取り出される。下電極6が透明な場合は下基板5側からも外部に射出される。下基板5および下電極6,下電極6および有機層7,有機層7および上電極8は接していてもよく、各層の間に別の層を介しても良い。
【0044】
下基板5および上基板9として、ガラス基板、SiO2,SiNx,Al23等の無機材料を形成したプラスチック基板等が挙げられる。プラスチック基板材料としては、ポリクロロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリオキシメチレン,ポリビニルクロライド,ポリフッ化ビニデン,シアノエチルプルラン,ポリメチルメタクリレート,ポリサルフォン,ポリカーボネート,ポリイミド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。下基板5および上基板9の屈折率は1.5程度であり、具体的には1.50以上1.56以下である。
【0045】
下電極6および上電極8について、反射電極として用いる場合と透明電極として用いる場合とがある。反射電極としては、インジウム,モリブデン,ニッケル等の金属、これらの合金、ポリシリコン,アモルファスシリコンの無機材料が挙げられる。また、上記の金属または合金の上に、錫酸化物,酸化インジウム,インジウム・錫酸化物(ITO),インジウム・亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電膜を形成した積層膜が挙げられるが、これらに限定されるものではない。透明電極としてはIZO,ITOが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
下基板5の上に、下電極6,有機層7および上電極8を蒸着や印刷などで形成する。一方、上基板9の下面に粘着シート1を形成した光学部材100を形成する。粘着シート1で上電極8および上基板9を貼り合わせる。このように、光学部材100を上電極8に貼り合わせることで簡易に有機発光素子を作製できる。
【0047】
下電極6,有機層7および上電極8の屈折率は1.8以上2.2以下と高く、粘着シート1の屈折率が低いと、下電極6および有機層7の界面や有機層7および上電極8の界面で全反射を起こし、上基板9へ取り出せる光の割合が減少する。しかし、本発明の一実施例の粘着シート1は屈折率が高いことから、上記で挙げた界面で発生する全反射を低減でき、光取り出し効率が高まる。
【実施例10】
【0048】
図10は、本発明の一実施例の有機発光素子の構成を示す断面図である。図10は、いわゆるトップエミッション型の有機発光素子である。上基板9に対して、有機層7が存在する側とは反対側に光散乱層92が配置されている。上基板9および上電極8の間に透明樹脂層91が設けられている。透明樹脂層91および上電極8の間に粘着シート1が設けられている。粘着シート1で透明樹脂層91および上電極8を貼り合わせる。
【0049】
図10に示すように上基板9の下面に透明樹脂層91を設け、上基板9の上面に光散乱層92を設けることで、粘着シート1および上基板9の界面や上基板9および空気(外部)の界面による全反射の効果を低減でき、より効果的に有機層7で発光した光を外部へ取り出すことができる。
【0050】
粘着シート1の屈折率を透明樹脂層91の屈折率よりも高くする。これにより、有機層で発光した光を、より多く上基板9が存在する側へ取り出すことができる。
【0051】
透明樹脂層91の有機層7が存在する側の表面には凹凸が存在する。透明樹脂層91の凹凸形状として、例えば錘状が挙げられる。具体的には、円錐状,四角錐状,六角錐状などが考えられる。透明樹脂層91は、基材および微粒子を含む。アクリル樹脂を基材として酸化チタンの微粒子を分散させることにより、透明樹脂層91の屈折率を制御できる。透明樹脂層91の屈折率は1.5から2.2まで任意に設定できる。透明樹脂層91の基材として、PET(ポリエチレンテレフタラート),シリコーン系,アクリル系,ポリイミド,エポキシ等が挙げられる。透明樹脂層91が錘状の場合、錘状となる部分の頂角は70度以上85度以下となることが望ましい。透明樹脂層91の屈折率は1.5以上1.6以下であることが望ましい。
【0052】
光散乱層92は、アクリル樹脂を基材として、酸化ジルコンの微粒子が分散されている。光散乱層92の基材は、透明であり、接着性を有していることが望ましい。また、光散乱層92の基材の屈折率はガラスの屈折率と近い方が望ましく、同じであることがさらに望ましい。「屈折率が同じ」とは本実施例の効果を達成できる程度の同じを意味しており、厳密な一致を要求するものではない。具体的には、両者の屈折率差が0.1以内であればよく、0.05以内であれば望ましい。光散乱層92の基材として、アクリル樹脂の他にエポキシ樹脂,PETなどを用いることができる。光散乱層92に分散されている微粒子の材料には酸化ジルコンの他チタン酸バリウムや酸化アルミニウムなどを用いることができる。微粒子として上記の材料を一種類含めてもよく、二種類以上含めてもよい。
【0053】
透明樹脂層91の上電極8が存在する側の表面を凹凸とすることで、凹凸がない平坦な場合には粘着シート1と上基板9との界面でその屈折率差のため全反射していた光の一部の全反射条件が崩れ、上基板9へ光を取り出せるようになる。透明樹脂層91の表面に凹凸がある場合、粘着シートの屈折率は1.7以上1.9以下であることが望ましい。
【0054】
また、さらに上基板9の上面に光散乱層92を設けることで、上基板9の上面に光散乱層がない場合、上基板9と空気の界面で全反射していた光の一部の全反射条件が散乱により崩れ、空気中に光を取り出せるようになる。
【実施例11】
【0055】
図11は、本発明の一実施例の有機発光素子の構成を示す断面図である。図11は、いわゆるボトムエミッション型の有機発光素子である。図11に示すように、本発明の一実施例の有機発光素子は、下基板5,下電極6,有機層7,上電極8,上基板9,粘着シート1,透明樹脂層91および光散乱層92で構成される。有機発光素子に有機発光素子を駆動する駆動装置等が備えられることで照明装置となる。
【0056】
下基板5および下電極6の間に空隙112が存在する。下基板5がくぼみのあるガラス等で作製された封止缶となる場合、下基板5のくぼみに吸湿剤等をつけてもよい。下基板5および上基板9の間に配置された下電極6および上電極8が配置されている。光が取り出される方向に向かって、下基板5,下電極6,上電極8および上基板9が配置されている。下電極6および上電極8の間に有機層7が配置されている。上基板9に対して、有機層7が存在する側とは反対側に光散乱層92が配置されている。光散乱層92および上基板9の間に透明樹脂層91が配置されている。上基板9および透明樹脂層91の間に粘着シート1が配置されている。上電極8および下電極6の間に電圧が印加され電流を流すことで、有機層7が発光する。有機層7で発生した光は上電極8,上基板9,粘着シート1を通して外部に射出される。つまり、有機層7で発生した光は、有機層7に対して上基板9が存在する側へ取り出される。ボトムエミッション型では、粘着シート1が有機発光素子に直接触れないため、粘着シート1を形成する上での低酸素,低水分などの制約が少なく、溶剤などの選択肢も広がる。下電極6および有機層7、有機層7および上電極8、上電極8および上基板9は接していてもよく、各層の間に別の層を介しても良い。
【0057】
透明樹脂層91の上基板9が存在する側の表面には凹凸が存在している。粘着シート1で透明樹脂層91および上基板9を貼り合わせている。粘着シート1の屈折率は透明樹脂層91の屈折率よりも高い。粘着シート1の屈折率は上基板9の屈折率と同じが望ましい。「屈折率が同じ」とは本実施例の効果を達成できる程度の同じを意味しており、厳密な一致を要求するものではない。具体的には、両者の屈折率差が0.1以内であればよく、0.05以内であれば望ましい。
【0058】
上電極8および下電極6の間に電圧をかけ電流を流すことで、有機層7が発光する。有機層7で発生した光は上電極8,上基板9,粘着シート1を通して外部に射出される。つまり、有機層7で発生した光は、有機層7に対して上基板9が存在する側へ取り出される。下電極6が透明な場合は下基板5側からも外部に射出される。
【0059】
透明樹脂層91および光散乱層92の間に粘着シート1が形成されている。粘着シート1で透明樹脂層91および光散乱層92を貼り合わせる。透明樹脂層91が形成されていない場合、粘着シート1は上基板9および光散乱層92を貼り合わせる。
【0060】
上電極8から上基板9への光取り出し効率を考慮して、上基板9の屈折率は1.6以上2.2以下が望ましい。
【符号の説明】
【0061】
1 粘着シート
2 粘着粒子
3 バインダ
4 基体
5 下基板
6 下電極
7 有機層
8 上電極
9 上基板
21 無機粒子
22 高分子
41 電極
91 透明樹脂層
92 光散乱層
100 光学部材
110 基板
111 電極
112 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダと、
前記バインダに混入された粘着粒子と、を有する粘着シートであって、
前記粘着粒子は無機粒子および高分子を有し、
前記無機粒子の屈折率は前記バインダの屈折率より高く、
前記無機粒子は前記高分子と化学結合しており、
前記粘着シートの表面に前記粘着粒子が露出しており、
前記粘着粒子の粘着性は前記無機粒子の粘着性より大きい粘着シート。
【請求項2】
請求項1において、
前記高分子は置換基Yを有し、
前記無機粒子および前記高分子は結合部位Xで化学結合しており、
前記結合部位Xがアミド結合,エステル結合,エーテル結合またはウレタン結合の1種または2種以上であり、
前記置換基Yがアミノ基,スルホ基,カルボキシル基またはヒドロキシル基の1種または2種以上である粘着シート。
【請求項3】
請求項1において、
前記高分子の数平均分子量が200以上50000以下である粘着シート。
【請求項4】
請求項1において、
前記無機粒子が酸化チタン,酸化ジリコニウム,チタン酸バリウムまたは酸化スズの1種または2種以上である粘着シート。
【請求項5】
請求項1において、
前記無機粒子の平均粒子径が5nm以上100nm以下である粘着シート。
【請求項6】
請求項1において、
前記粘着粒子の体積率は5vol%以上50vol%以下である粘着シート。
【請求項7】
請求項1において、
前記バインダはアクリル系またはシリコーン系の樹脂である粘着シート。
【請求項8】
請求項1において、
前記粘着シートには分散溶媒が含まれ、
前記分散溶媒は前記無機粒子を分散させる粘着シート。
【請求項9】
請求項1において、
前記高分子はフェノール樹脂またはポリアミック酸である粘着シート。
【請求項10】
請求項1において、
前記高分子はポリアクリル酸,ポリビニルアルコール,ポリアスパラギン酸,ポリグルタミン酸,アルギン酸,ポリビニルスルホン酸,ポリスチレンスルホン酸またはアミロースの1種または2種以上である粘着シート。
【請求項11】
基体と、
前記基材の上に貼り付けられた請求項1の粘着シートと、有する光学部材であって、
前記基体は樹脂,ガラス,セラミック,金属の1種または2種以上で構成される光学部材。
【請求項12】
下基板及び上基板と、
前記下基板および前記上基板の間に配置された下電極および上電極と、
前記下電極および前記上電極の間に配置された有機層と、
前記上基板および前記上電極の間に配置された請求項1の粘着シートと、を有し、
前記粘着シートで前記上基板および前記上電極を貼り合わせ、
前記上電極および前記下電極の間に電圧が印加されることで前記有機層が発光し、
前記有機層で発生した光は前記上基板が存在する側へ取り出される有機発光素子。
【請求項13】
下基板及び上基板と、
前記下基板および前記上基板の間に配置された下電極および上電極と、
前記下電極および前記上電極の間に配置された有機層と、
前記上基板に対して、前記有機層が存在する側とは反対側に配置された光散乱層と、
前記上基板および前記上電極の間に配置された透明樹脂層と、
前記透明樹脂層および前記上電極の間に配置された請求項1に記載の粘着シートと、を有し、
前記透明樹脂層の前記有機層が存在する側の表面には凹凸が存在し、
前記粘着シートで前記透明樹脂層および前記上電極を貼り合わせ、
前記粘着シートの屈折率が前記透明樹脂層の屈折率よりも高い有機発光素子。
【請求項14】
下基板及び上基板と、
前記下基板および前記上基板の間に配置された下電極および上電極と、
前記下電極および前記上電極の間に配置された有機層と、
前記上基板に対して、前記有機層が存在する側とは反対側に配置された光散乱層と、
前記光散乱層および前記上基板の間に配置された透明樹脂層と、
前記上基板および前記透明樹脂層の間に配置された請求項1の粘着シートと、を有し、
前記下基板および前記下電極の間に空隙が存在し、
前記上電極および前記下電極の間に電圧が印加されることで前記有機層が発光し、
前記有機層で発生した光は前記上基板が存在する側へ取り出され、
前記透明樹脂層の前記上基板が存在する側の表面には凹凸が存在し、
前記粘着シートで前記透明樹脂層および前記上基板を貼り合わせ、
前記粘着シートの屈折率が前記透明樹脂層の屈折率よりも高い有機発光素子。
【請求項15】
以下(1)乃至(4)の工程を含む粘着シートの製造方法であって、
(1)分散溶媒に無機粒子を加える工程、
(2)(1)で得られた溶液にシランカップリング剤を加え、前記シランカップリング剤および前記無機粒子を結合させる工程、
(3)(2)で得られた溶液に高分子を加え、前記無機粒子および前記高分子を含む粘着粒子を作製する工程、
(4)前記粘着粒子をバインダと混ぜ合わせる工程、
前記無機粒子の屈折率は前記バインダの屈折率より高く、
前記無機粒子は前記高分子と化学結合しており、
前記粘着粒子の粘着性は前記無機粒子の粘着性より大きい粘着シートの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−52010(P2012−52010A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195265(P2010−195265)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】