説明

粘着テープ

【課題】被着体に対して十分な粘着力を有し、耐熱性に優れ、特に、引き剥がす際に被着体に粘着剤残りを生じることなく簡単に剥離する事が可能な、粘着テープを提供する。
【解決手段】本発明の粘着テープは、粘着剤組成物と該粘着剤組成物中に分散した親油性の層状粘土鉱物を含む粘着剤層を基材シート上に有し、該層状粘土鉱物が該基材シートに対して実質的に垂直方向に配列している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープに関する。より詳細には、本発明は、被着体に対して十分な粘着力を有し、耐熱性に優れ、特に、引き剥がす際に被着体に粘着剤残りを生じることなく簡単に剥離する事が可能な、粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、粘着テープの使用用途は多岐に渡っている。例えば、電子部品製造用、構造用、自動車用など広範囲の分野で使用されている。これらの用途の多くにおいては、粘着テープの使用時に、粘着テープに大きな応力がかかり、また、高温下で粘着テープが用いられる。このため、粘着テープに用いられる粘着剤層には、高凝集力や耐熱性が要求される。特に、電子部品、半導体デバイス、LCDやPDPなどのフラットディスプレイの製造においては、100℃以上の高温下で稼動するプロセスが多いため、高温下で十分な粘着力と凝集力を発揮し、使用後には被着体から容易に剥離除去できる粘着テープが強く求められている。
【0003】
しかしながら、これまでの粘着テープの粘着剤層においては、高温下での粘着力や凝集力に劣るという問題がある。
【0004】
そこで、粘着剤層に各種の無機充填材を配合して耐熱性を向上させる検討が行われている。例えば、無機充填材として親油性の層状粘土鉱物を用い、親油性の層状粘土鉱物を粘着剤層中に分散させた場合に、高温下での粘着力や凝集力が向上することが報告されている(特許文献1、2参照)。
【0005】
上記のように、親油性の層状粘土鉱物を粘着剤層中に分散させる手法は、高温下での粘着力や凝集力を向上させる手法としては有効である。しかしながら、リワーク時や製造プロセス終了後に粘着テープを被着体から剥離除去する場合、親油性の層状粘土鉱物を含んだ粘着剤層が凝集破壊を起こし、被着体に粘着剤残り(糊残り)を生じてしまうという問題がある。
【特許文献1】特開2005−344008号公報
【特許文献2】特開2005−154581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、被着体に対して十分な粘着力を有し、耐熱性に優れ、特に、引き剥がす際に被着体に粘着剤残りを生じることなく簡単に剥離する事が可能な、粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
粘着テープを被着体から剥離除去する場合に、親油性の層状粘土鉱物を含む粘着剤層が凝集破壊する原因について検討した。その結果、親油性の層状粘土鉱物は、粘着剤層中において基材フィルムに対して実質的に水平方向に配列して分散していることがわかった。親油性の層状粘土鉱物が基材フィルムに対して実質的に水平方向に配列して分散しているということは、水平方向の応力に対しては非常に強い強靭性を発揮する。しかしながら、このような親油性の層状粘土鉱物の配列構造は、粘着テープを被着体から剥離除去する際に発生する上向き(垂直方向)の応力に対して非常に脆い。つまり、粘着剤層中での親油性の層状粘土鉱物の配列方向が、粘着テープを被着体から剥離除去する際の凝集破壊の原因であると考えた。
【0008】
そこで、粘着剤組成物と該粘着剤組成物中に分散した親油性の層状粘土鉱物を含む粘着剤層を基材シート上に有する粘着テープにおいて、粘着剤層中の親油性の層状粘土鉱物が基材シートに対して実質的に垂直方向に配列させることを着想し、検討した結果、粘着テープを被着体から剥離除去する際に被着体に粘着剤残り(糊残り)を生じることなく簡単に剥離する事ができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の粘着テープは、粘着剤組成物と該粘着剤組成物中に分散した親油性の層状粘土鉱物を含む粘着剤層を基材シート上に有し、該層状粘土鉱物が該基材シートに対して実質的に垂直方向に配列している。
【0010】
好ましい実施形態においては、上記層状粘土鉱物が、スメクタイト系粘度鉱物および/またはマイカ系粘度鉱物である。
【0011】
好ましい実施形態においては、上記粘着剤組成物100重量部に対して、上記層状粘土鉱物が2〜20重量部含まれる。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記粘着剤組成物が、炭素数が4〜14個のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー組成物から形成されるアクリル系粘着剤組成物である。
【0013】
好ましい実施形態においては、上記粘着剤組成物が、シリコーン系粘着剤組成物である。
【0014】
好ましい実施形態においては、本発明の粘着テープは、電子部品製造に用いられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被着体に対して十分な粘着力を有し、耐熱性に優れ、特に、引き剥がす際に被着体に粘着剤残りを生じることなく簡単に剥離する事が可能な、粘着テープを提供することが可能となる。
【0016】
上記のような効果は、粘着剤組成物と該粘着剤組成物中に分散した親油性の層状粘土鉱物を含む粘着剤層を基材シート上に有する粘着テープにおいて、粘着剤層中の親油性の層状粘土鉱物が基材シートに対して実質的に垂直方向に配列させることによって、効果的に発現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の粘着テープは、粘着剤組成物と該粘着剤組成物中に分散した親油性の層状粘土鉱物を含む粘着剤層を基材シート上に有している。粘着剤層の厚みは、任意の適切な厚みを採用し得る。粘着剤層の厚みは、好ましくは2〜50μmである。本発明の粘着テープの好ましい実施形態の1つを図1に示す。図1に示すように、本発明の粘着テープ100は、基材シート10上に粘着剤層20を有し、粘着剤層20は、粘着剤組成物30と親油性の層状粘土鉱物40を含む。親油性の層状粘土鉱物40は、基材シート10に対して実質的に垂直方向に配列している。
【0018】
上記粘着剤組成物は、粘着剤層を形成し得る組成物であれば、任意の適切な組成物を採用し得る。上記粘着剤組成物としては、例えば、炭素数が4〜14個のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー組成物から形成されるアクリル系粘着剤組成物、シリコーン系粘着剤組成物が挙げられる。
【0019】
上記アクリル系粘着剤組成物の原料となるモノマー組成物中の、炭素数が4〜14個のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有割合は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%、さらに好ましくは85〜100重量%、さらに好ましくは90〜100重量%、さらに好ましくは95〜100重量%、特に好ましくは97〜100重量%、最も好ましくは100重量%である。上記含有割合が50重量%未満であると、粘着力が十分に発揮できないなどのおそれがある。
【0020】
上記炭素数が4〜14個のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、プチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基などのアルキル基を有するアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル、あるいはそのアルキル基の一部をヒドロキシル基で置換した化合物が挙げられる。
【0021】
上記アクリル系粘着剤組成物の原料となるモノマー組成物中には、上記炭素数が4〜14個のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の、任意の適切な他のモノマーを含んでいても良い。上記他のモノマーとしては、例えば、極性基含有の共重合性モノマーが挙げられる。上記極性基含有の共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸などの不飽和酸;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー;が挙げられる。
【0022】
上記アクリル系粘着剤組成物の原料となるモノマー組成物中に、上記炭素数が4〜14個のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸アルキルエステルと上記極性基含有の共重合性モノマーが含まれる場合は、それらの含有割合は、重量比で、好ましくは85〜97/15〜3、より好ましくは90〜95/10〜5である。上記範囲から外れると、破断伸びが低下するおそれや、所望の粘着性が得られないおそれがある。
【0023】
上記アクリル系粘着剤組成物には、カップリング剤が含まれていても良い。カップリング剤は極性基を有する充填材とモノマーを相互作用させるために有効である。カップリング剤は1種のみを用いても良いし2種以上を併用しても良い。カップリング剤の選択は、相溶性、増粘性、ゲル化の有無などを考慮して、適宜決定すればよい。
【0024】
上記カップリング剤としては、任意の適切なカップリング剤を採用し得る。好ましくは、分子中に2個以上の異なつた反応基を持つ有機珪素単量体が挙げられる。この有機珪素単量体において、2個の反応基の一つは無機質と化学結合する反応基であり、もう一つは有機材料と化学結合する反応基である。無機質と化学結合する反応基としては、メトキシ基、エトキシ基、シラノ―ル基などがあり、有機材料と化学結合する反応基としては、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基などがある。
【0025】
上記カップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フエニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0026】
上記カップリング剤の含有割合は、上記モノマー組成物100重量部に対し、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。0.05重量部未満ではカップリング剤としての効果が発揮されないおそれがあり、20重量部以上では粘着剤層が脆くなるおそれがある。
【0027】
上記シリコーン系粘着剤組成物としては、市販のシリコーン系粘着剤など、任意の適切な組成物を採用し得る。シリコーン系粘着剤組成物を用いる場合、耐熱性が高いことに加えて、高温下における貯蔵弾性率や粘着力が適切な値となりやすい。
【0028】
上記親油性の層状粘土鉱物は、結晶構造中に交換性陽イオンを有する層状珪酸塩鉱物を親油化処理したものをいう。
【0029】
上記層状珪酸塩鉱物としては、任意の適切な層状珪酸塩鉱物を採用し得る。上記層状珪酸塩鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト スチーブンサイトなどのスメクタイト系粘土鉱物;フッ素四ケイ素雲母などのマイカ系粘土鉱物;が挙げられる。これらは1種のみ用いても良いし2種以上を併用しても良い。好ましくは、マイカ系粘土鉱物である。良好な強靭性を得ることができるからである。
【0030】
上記親油性の層状粘土鉱物の形状は、好ましくは板状である。この場合、厚さは、好ましくは約0.1〜10nm、より好ましくは0.5〜5nmである。また、幅は、好ましくは10〜10000nm、より好ましく20〜7000nm、さらに好ましくは50〜5000nmである。ここでいう厚さや幅は、平均長のことである。この平均長は、電子顕微鏡(TEM)写真の実測によって求めることができる。上記幅が10000nmを超えると伸びが低下するおそれがあり、10nm未満では破断応力が高くなるおそれがある。
【0031】
上記親油性の層状粘土鉱物は、層間の交換性陽イオンを有機カチオンなどでイオン交換処理し、層間を親油化したものが好ましい。
【0032】
上記交換性陽イオンとは、層状珪酸塩鉱物の結晶層の表面に存在するナトリウムやカルシウムなどの金属イオンのことである。これらのイオンは親水性であるため、親油性のモノマーは層状珪酸塩鉱物の層間に侵入することができない。このため良好な分散物を得ることができない。モノマーを層間に侵入させるためには、交換性陽イオンを親油性のカチオン性界面活性剤などでイオン交換することが必要である。
【0033】
上記カチオン性界面活性剤としては、例えば、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩が挙げられる。
【0034】
上記4級アンモニウム塩としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、置換プロピレンオキサイド骨格を有するアンモニウム塩が挙げられる。これらは、1種のみ用いても良いし2種以上を併用しても良い。
【0035】
上記4級ホスホニウム塩としては、例えば、デシルトリフェニルホスホニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリルトリメチルホスホニウム塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリルジベンジルホスホニウム塩が挙げられる。これらは、1種のみ用いても良いし2種以上を併用しても良い。
【0036】
本発明の粘着テープにおいては、上記親油性の層状粘土鉱物を、該粘着テープの使用前に十分に層同士を剥離しておくことが好ましい。層同士を剥離する方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、超音波剥離、高圧せん断剥離、超高速攪拌、超臨界CO攪拌が用いられる。特に、高圧せん断剥離法が好ましい。親油性の層状粘土鉱物を破砕することなく層同士を剥離することができるからである。親油性の層状粘土鉱物の剥離状態は、層状粘土鉱物のシリケート層の平均重なりが6層以下になるまで剥離するのが好ましい。6層を超えると、層状粘土鉱物の総表面積が低下し、有機成分との相互作用が低下して粘着剤の強靭性が低下するおそれがある。平均重なりの分析は、電子顕微鏡(TEM)にて行なうことができる。
【0037】
上記親油性の層状粘土鉱物の含有割合は、上記粘着剤組成物100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部である。上記含有割合が0.5重量部未満であると、本発明の効果が十分に発揮できないおそれがある。上記含有割合が20重量部より多いと、粘着剤層の粘度が増大してしまい、塗布外観が低下するおそれがある。
【0038】
上記基材シートとしては、任意の適切な基材シートを採用し得る。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET) フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリエーテルサルフォン(PES)フィルム、ポリエーテルイミド(PEI)フィルム、ポリサルフォン(PSF)フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム、ポリアリレート(PAR)フィルム、アラミドフィルム、ポリイミドフィルム、液晶ポリマー(LCP)フィルムが挙げられる。耐熱性を考慮する場合には、ポリイミド材料からなるフィルムが好ましい。
【0039】
基材シートの厚みとしては、任意の適切な厚みを採用し得る。好ましくは、10〜250μmである。
【0040】
本発明の粘着テープにおいては、上記親油性の層状粘土鉱物が上記基材シートに対して実質的に垂直方向に配列していることが重要である。上記親油性の層状粘土鉱物が上記基材シートに対して実質的に垂直方向に配列している状態は、電子顕微鏡(SEM、TEM)にて断面観察することで確認できる。
【0041】
「基材シートに対して実質的に垂直方向に配列している」とは、基材シートの主面に対して、好ましくは60度〜120度、より好ましくは70度〜110度の角度、さらに好ましくは80度〜100度の角度で配列している。
【0042】
本発明の粘着テープにおいては、上記基材シートに対して実質的に垂直方向に配列している上記親油性の層状粘土鉱物とそれ以外の方向に配列している上記親油性の層状粘土鉱物の割合は、全体の親油性の層状粘土鉱物中、上記基材シートに対して実質的に垂直方向に配列している上記親油性の層状粘土鉱物が、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。
【0043】
本発明の粘着テープは、上記親油性の層状粘土鉱物が上記基材シートに対して実質的に垂直方向に配列していれば、その作製方法は任意の適切な方法が採用し得る。例えば、上記親油性の層状粘土鉱物を含んだ粘着剤組成物をまず任意の基板上にコーティングし乾燥させて、上記親油性の層状粘土鉱物を水平方向に配列させた粘着シートを作製する。これを数層重ね合わせて積層シート化し、90度反転させて上記親油性の層状粘土鉱物が垂直方向に配列した状態の粘着層を形成し、基材シート上に形成させる方法が用いられる。また、上記親油性の層状粘土鉱物を含んだ粘着剤組成物を全くシェアをかけずに基材シート上に形成して乾燥させることで、上記親油性の層状粘土鉱物を垂直方向に配列させることも可能である。
【0044】
本発明の粘着テープにおいては、粘着剤層を保護するために保護フィルムを用いても良い。保護フィルムとしては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、脂肪酸アミド系、シリカ系の剥離剤などで剥離処理されたポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネートなどからなるプラスチックフィルムが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂系のフィルムについては、離型処理剤を用いなくとも離型性を有するので、それ単体を保護フィルムとして使用することもできる。このような保護フィルムの厚みは、好ましくは、10〜100μm程度である。
【0045】
本発明の粘着テープは、任意の適切な用途に適用し得る。例えば、電子部品製造用、構造用、自動車用など、耐熱性や凝集力が求められる用途に好適に用いられる。特に、被着体から引き剥がす場合の粘着剤残りの問題が生じないので、電子部品、半導体デバイス、LCDやPDPなどのフラットディスプレイなどの電子部品製造用の、剥離が必要となる用途に好適に用いられる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。また、実施例における「部」は重量基準である。
【0047】
<層状粘土鉱物の配列状態観察>
粘着剤層の断面構造について、電子顕微鏡(SEM)にて観察を行い、層状粘土鉱物の粘着剤層中における配列状態を確認した。配列状態は基板シートに対する方向にて評価した。
【0048】
<粘着剤残りの評価方法>
ステンレス板に2kgのローラーを1往復させて、粘着テープを圧着し貼り合わせた。この試験片を、175℃で1時間放置した後、ステンレス板から90度の方向に粘着テープを引き剥がし、ステンレス板に粘着剤を残すことなく剥離可能かを調べた。
○:粘着剤を残すことなく良好に剥離できた。
×:粘着剤残りがあった。
【0049】
〔参考例1〕層状粘土鉱物分散液の作製
層状粘土鉱物としてコープケミカル製ソマシフMAEを用いた。また、剥離手法としては吉田機械興業製ナノマイザーIIを用いて高圧せん断により層間剥離を行い、層状粘土鉱物分散液を作製した。
【0050】
〔参考例2〕アクリル系粘着剤溶液の調製
アクリル酸ブチル100部及びアクリル酸3部からなるモノマー混合液から得たアクリルポリマー100部に対して、ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業製、商品名:コロネートL)2部、エポキシ系化合物(三菱瓦斯化学製、商品名:テトラッドC)0.6部を均一に混合して、アクリル系粘着剤溶液を調製した。
【0051】
〔実施例1〕
参考例2で調製したアクリル系粘着剤溶液のアクリルポリマー100部に対して、層状粘土鉱物が5部となるように参考例1で作製した層状粘土鉱物分散液を配合して十分に攪拌させ、粘着剤溶液(1)を作製した。
片面がシリコーン系離型剤にて処理されたポリエステルフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム製、商品名:MRF50、厚み50μm、幅250mm)のシリコーン離型処理面に、上記粘着剤溶液(1)をコーティングして乾燥させ、粘着剤シート(1)を作製した。粘着剤シート(1)を離型フィルムより剥離し重ね合わせていき、積層シート(1)を作製した。積層シート(1)を90度反転させた後の粘着剤層の厚みが10μm、幅50mm、長さ200mmとなるように積層シート(1)を切断し、25μm厚のポリイミドフィルム(東レデュポン製、商品名:カプトン100H)上にラミネートして粘着剤層を形成し、さらにMRF50を貼り合せて、粘着テープ(1)を作製した。
得られた粘着テープ(1)について、層状粘土鉱物の配列状態、粘着剤残りを評価した。結果を表1に示す。
【0052】
〔実施例2〕
層状粘土鉱物を10部配合した以外は実施例1と同様に行い、粘着テープ(2)を作製した。
得られた粘着テープ(2)について、層状粘土鉱物の配列状態、粘着剤残りを評価した。結果を表1に示す。
【0053】
〔実施例3〕
層状粘土鉱物を20部配合した以外は実施例1と同様に行い、粘着テープ(3)を作製した。
得られた粘着テープ(3)について、層状粘土鉱物の配列状態、粘着剤残りを評価した。結果を表1に示す。
【0054】
〔実施例4〕
アクリル系粘着剤溶液の代わりにシリコーン系粘着剤(東レダウコーニング製、商品名:SD−4587)を用いた以外は実施例1と同様に行い、粘着テープ(4)を作製した。
得られた粘着テープ(4)について、層状粘土鉱物の配列状態、粘着剤残りを評価した。結果を表1に示す。
【0055】
〔実施例5〕
アクリル系粘着剤溶液の代わりにシリコーン系粘着剤(東レダウコーニング製、商品名:SD−4587)を用いた以外は実施例2と同様に行い、粘着テープ(5)を作製した。
得られた粘着テープ(5)について、層状粘土鉱物の配列状態、粘着剤残りを評価した。結果を表1に示す。
【0056】
〔実施例6〕
アクリル系粘着剤溶液の代わりにシリコーン系粘着剤(東レダウコーニング製、商品名:SD−4587)を用いた以外は実施例3と同様に行い、粘着テープ(6)を作製した。
得られた粘着テープ(6)について、層状粘土鉱物の配列状態、粘着剤残りを評価した。結果を表1に示す。
【0057】
〔比較例1〕
層状粘土鉱物を配合しなかった以外は実施例1と同様に行い、粘着テープ(C1)を作製した。
得られた粘着テープ(C1)について、層状粘土鉱物の配列状態、粘着剤残りを評価した。結果を表1に示す。
【0058】
〔比較例2〕
参考例2で調製したアクリル系粘着剤溶液のアクリルポリマー100部に対して、層状粘土鉱物が5部となるように参考例1で作製した層状粘土鉱物分散液を配合して十分に攪拌させ、粘着剤溶液(1)を作製した。
上記粘着剤溶液(1)を乾燥後の厚みが10μmとなるように25μm厚のポリイミドフィルム(東レデュポン製、商品名:カプトン100H)上にコーティングして乾燥させた。さらにMRF50を貼り合せ、粘着テープ(C2)を作製した。
得られた粘着テープ(C2)について、層状粘土鉱物の配列状態、粘着剤残りを評価した。結果を表1に示す。
【0059】
〔比較例3〕
層状粘土鉱物を10部配合した以外は比較例2と同様に行い、粘着テープ(C3)を作製した。
得られた粘着テープ(C3)について、層状粘土鉱物の配列状態、粘着剤残りを評価した。結果を表1に示す。
【0060】
〔比較例4〕
層状粘土鉱物を20部配合した以外は比較例2と同様に行い、粘着テープ(C4)を作製した。
得られた粘着テープ(C4)について、層状粘土鉱物の配列状態、粘着剤残りを評価した。結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の粘着テープは、例えば、電子部品製造用、構造用、自動車用など、耐熱性や凝集力が求められる用途に好適に用いられる。特に、電子部品、半導体デバイス、LCDやPDPなどのフラットディスプレイなどの電子部品製造用に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の好ましい実施形態による粘着テープの概略断面図である。
【符号の説明】
【0064】
10 基材シート
20 粘着剤層
30 粘着剤組成物
40 親油性の層状粘土鉱物
100 粘着テープ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤組成物と該粘着剤組成物中に分散した親油性の層状粘土鉱物を含む粘着剤層を基材シート上に有し、該層状粘土鉱物が該基材シートに対して実質的に垂直方向に配列している、粘着テープ。
【請求項2】
前記層状粘土鉱物が、スメクタイト系粘度鉱物および/またはマイカ系粘度鉱物である、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記粘着剤組成物100重量部に対して、前記層状粘土鉱物が2〜20重量部含まれる、請求項1または2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記粘着剤組成物が、炭素数が4〜14個のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー組成物から形成されるアクリル系粘着剤組成物である、請求項1から3までのいずれかに記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記粘着剤組成物が、シリコーン系粘着剤組成物である、請求項1から3までのいずれかに記載の粘着テープ。
【請求項6】
電子部品製造に用いられる、請求項1から5までのいずれかに記載の粘着テープ。


【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−189857(P2008−189857A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27480(P2007−27480)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】