説明

粘着フィルム貼付け装置

【課題】 粘着フィルムを確実に位置決めし、繰り出した粘着フィルムを安定に保つことを可能にする。
【解決手段】 粘着フィルム貼付け装置が、多数の粘着フィルム(14)を所定の間隔で着脱可能に設けた台紙テープ(16)を送り出すための送り出し部(18)と、粘着フィルム(14)を台紙テープ(16)から1枚ずつ剥がすための引き剥がし部(19)と、各粘着フィルム(14)を印刷物(P)の見開き部に貼り付けるための貼付け部(22)と、粘着フィルム(14)が剥がされた後の台紙テープ(16)を巻き取るための巻き取り部(24)を有する。引き剥がし部(20)が、ブレード(20)を備えていて、そのブレード(20)の表面にフィルム剛性増加用の曲面(20a)が設けられている。各粘着フィルム(14)をフィルム剛性増加用の曲面(20a)に沿って曲げた状態で引き剥がす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物(たとえば雑誌類)の見開き部(とくに小口)を封印するための粘着フィルム貼付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着フィルムで雑誌類の見開き部を封印する技術は、公知である。たとえば、封印した書物については、特許文献1に記載がある。シールのしかたについては、特許文献2に記載がある。包装紙貼付け装置については、特許文献3に記載がある。
【0003】
特許文献3には、雑誌等の見開き部を自動的にシールする装置及び方法が提案されている。
【特許文献1】実開平7−4053号公報
【特許文献2】特開2002−187379号公報
【特許文献3】特開2004−17969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の粘着フィルム貼付け装置は、台紙テープから粘着フィルムを剥がす際に、送られてくる雑誌類の厚みが変化すると、見開き部(小口)に対して粘着フィルムの繰り出し位置を正確かつ迅速に制御することが困難であり、雑誌類の種々の厚みに対して的確に位置決めして効率よく貼り付けることは困難であった。
【0005】
また、厚みの薄い粘着フィルムを台紙テープから繰り出した場合、粘着フィルムの形や位置が静電気や微風によって不安定になることを避けることが困難であった。特に片面全体に粘着剤が塗布されている粘着フィルムは、不安定な状態のまま貼り付けようとすると、周囲のものに付着し易く、安定した貼付けができなかった。
【0006】
本発明は、粘着フィルムを安定して効率良く貼付けることが出来る粘着フィルム貼付け装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決手段を例示すると、以下のとおりである。
【0008】
(1)多数の粘着フィルム(14)を所定の間隔で着脱可能に設けた台紙テープ(16)を送り出すための送り出し部(18)と、粘着フィルム(14)を台紙テープ(16)から1枚ずつ剥がすための引き剥がし部(19)と、各粘着フィルム(14)を印刷物(P)の見開き部に貼り付けるための貼付け部(22)と、粘着フィルム(14)が剥がされた後の台紙テープ(16)を巻き取るための巻き取り部(24)を有し、引き剥がし部(19)が、ブレード(20)を備えていて、そのブレード(20)の表面にフィルム剛性増加用の曲面(20a)が設けられていて、各粘着フィルム(14)をフィルム剛性増加用の曲面(20a)に沿って曲げた状態で引き剥がすことを特徴とする粘着フィルム貼付け装置。
【0009】
(2)多数の粘着フィルム(14)を所定の間隔で着脱可能に設けた台紙テープ(16)を送り出すための送り出し部(18)と、粘着フィルム(14)を台紙テープ(16)から1枚ずつ剥がすための引き剥がし部(19)と、各粘着フィルム(14)を印刷物(P)の見開き部に貼り付けるための貼付け部(22)と、粘着フィルム(14)が剥がされた後の台紙テープ(16)を巻き取るための巻き取り部(24)を有し、巻き取り部(24)が、台紙テープ(16)をクランク運動によって高速度で送るためのクランク送り機構(34)を備えていることを特徴とする粘着フィルム貼付け装置。
【0010】
(3)クランク送り機構(34)の1回当りの送り量が、各粘着フィルム(14)に対する台紙テープ(16)の所定の送り量と等しいか、わずかに小さいことを特徴とする前述の粘着フィルム貼付け装置。
【0011】
(4)クランク送り機構(34)がテープ・クランプ・ソレノイド(44)を有し、クランク送りの際に、このテープ・クランプ・ソレノイド(44)によって台紙テープ(16)をクランプして送ることを特徴とする前述の粘着フィルム貼付け装置。
【0012】
(5)多数の粘着フィルム(14)を所定の間隔で着脱可能に設けた台紙テープ(16)を送り出すための送り出し部(18)と、粘着フィルム(14)を台紙テープ(16)から1枚ずつ剥がすための引き剥がし部(19)と、各粘着フィルム(14)を印刷物(P)の見開き部に貼り付けるための貼付け部(22)と、粘着フィルム(14)が剥がされた後の台紙テープ(16)を巻き取るための巻き取り部(24)を有し、台紙テープ(16)に所定の間隔で位置決め用穴(16a)を設け、位置決め用穴(16a)を検出するための位置読み取りセンサー(32)を設け、位置読み取りセンサー(32)が位置決め用穴(16a)を検出して、その検出した位置を基準にして所定の移動量だけ台紙テープ(16)を送る構成の粘着フィルム貼付け装置。
【0013】
(6)貼付け部(22)が1対の貼付けローラ(53)を有し、引き剥がし部(19)によって部分的に引き剥がされた各粘着フィルム(14)の1部が、貼付けの際に、1対の貼付けローラ(53)の一方とブレード(20)の表面との間で挟まれることを特徴とする前述の粘着フィルム貼付け装置。
【0014】
(7)多数の粘着フィルム(14)を所定の間隔で着脱可能に設けた台紙テープ(16)を送り出すための送り出し部(18)と、粘着フィルム(14)を台紙テープ(16)から1枚ずつ剥がすための引き剥がし部(19)と、各粘着フィルム(14)を印刷物(P)の見開き部に貼り付けるための貼付け部(22)と、粘着フィルム(14)が剥がされた後の台紙テープ(16)を巻き取るための巻き取り部(24)を有し、引き剥がし部(19)が、ブレード(20)を備えていて、そのブレード(20)の表面にフィルム剛性増加用の曲面(20a)が設けられていて、各粘着フィルム(14)をフィルム剛性増加用の曲面(20a)に沿って曲げた状態で引き剥がす構成とし、かつ、巻き取り部(24)が、台紙テープ(16)をクランク運動によって高速度で送るためのクランク送り機構(34)を備える構成とし、さらに、台紙テープ(16)に所定の間隔で位置決め用穴(16a)を設け、位置決め用穴(16a)を検出するための位置読み取りセンサー(32)を設け、位置読み取りセンサー(32)が位置決め用穴(16a)を検出して、その検出した位置を基準にして所定の移動量だけ台紙テープ(16)を送る構成にした粘着フィルム貼付け装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、印刷物の見開き部に対する粘着フィルムの確実な位置決めと、貼付けのために繰り出した粘着フィルムの安定的な保持と、効率的で間違いのない粘着フィルム貼付けが可能となる。
【0016】
たとえば、引き剥がし部が、ブレードで構成されていて、ブレードの表面にフィルム剛性増加用の曲面が設けられている構成にすれば、部分的に剥がされた状態の貼着フィルムの剛性が増加し、貼付けのとき、粘着フィルムを簡易かつ確実に安定に保つことができる。フィルム剛性増加用の曲面は、クラウン型、アーチ型、多角型、山型その他の曲面で形成することができる。本発明の曲面は、クラウン型等の曲面の他、いろいろな湾曲した面や屈曲した面を含む。
【0017】
駆動ローラ等による台紙テープの送り出し機構に加えて、クランク送り機構を設けて、台紙テープをクランク運動によって高速度で送る構成にすると、駆動ローラのみによって台紙テープを送る場合に比較して、効率良くかつ正確な量の送りが可能となる。
【0018】
また、台紙テープに所定の間隔で位置決め用穴を設け、位置決め用穴を検出するための位置読み取りセンサーを設け、位置読み取りセンサーが位置決め用穴を検出して、検出した位置を基準にして所定の移動量だけ台紙テープを送り出す構成にすれば、粘着フィルムを確実に位置決め出来る。
【0019】
印刷物の見開き部に粘着フィルムを貼付ける際に、粘着フィルムの一部をブレードと貼付け部(とくにローラの1つ)との間に挟む構成にすれば、粘着フィルムを安定した状態で確実に貼付けることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明による粘着フィルム貼付け装置は、多数の粘着フィルムを所定の間隔で着脱可能に設けた台紙テープを送り出すための送り出し部と、粘着フィルムを台紙テープから1枚ずつ剥がすための引き剥がし部と、各粘着フィルムを印刷物の見開き部(小口)に貼り付けるための貼付け部と、粘着フィルムが剥がされた後の台紙テープを巻き取るための巻き取り部を有する。
【0021】
好ましくは、引き剥がし部は、ブレードを備えていて、そのブレードの表面にフィルム剛性増加用の曲面が設けられていて、各粘着フィルムをフィルム剛性増加用の曲面(たとえばクラウン曲面)に沿って曲げた状態で引き剥がす。
【0022】
また、巻き取り部は、台紙テープをクランク運動によって高速度で送るためのクランク送り機構を備える。
【0023】
さらに、台紙テープに所定の間隔で位置決め用穴を設け、位置決め用穴を検出するための位置読み取りセンサーを設ける。この位置読み取りセンサーが位置決め用穴を検出して、その検出した位置を基準にして所定の移動量だけ台紙テープを送る。
【0024】
駆動ローラその他による台紙テープの送り出し機構に加えて、または、単独で、クランク送り機構を設ける。そして、台紙テープをクランク運動によって高速度で送る構成にすると、駆動ローラのみによって台紙テープを送る場合に比較して、効率良くかつ正確な量の送りが可能となる。
【0025】
クランク送り機構の1回当りの送り量は、好ましくは、各粘着フィルムに対する台紙テープの所定の送り量と等しいか、わずかに小さくする。小さい場合は、その不足分を駆動ローラその他によって台紙テープを送る。
【0026】
クランク送り機構は、テープ・クランプ・ソレノイドを有し、台紙テープをクランク送りする際に、このテープ・クランプ・ソレノイドによって台紙テープをクランプして送ることが好ましい。
【0027】
好ましくは、貼付け部が非強制駆動の1対の貼付けローラを有し、引き剥がし部によって部分的に引き剥がされた各粘着フィルムの1部が、貼付けの際に、1対の貼付けローラの少なくとも一方とブレードや他の部材の表面との間で挟まれる。これにより粘着フィルムの安定性を増加させる。
【0028】
送り出し機構に設けるリールは、常に少量のフリクションを受けていて、回転停止すべき時に直ちに回転停止し、それにより、慣性によって過度に回転しないようになっている。
【0029】
送り出し機構は、送り出しモータによって回転駆動される駆動ローラと、その駆動ローラにテープを押しつける押圧ローラを有し、テープを送り出すようになっている。アームは、押圧ローラの押圧力を調整する機能を有する。この押圧力がゼロのとき、押圧ローラは「開」となる。
【0030】
引き剥がし部は、主としてブレードを有する。
【0031】
また、好ましくは、位置読み取りセンサーに送り量の調節機構を設けて、封印しようとする印刷物の厚みに応じて、各粘着フィルムの中心位置と印刷物の見開き部(たとえば小口)の中心位置が厳密に一致するように、予め位置読み取りセンサーが位置決め用穴を検出したあと、台紙テープの送りを微調整できるようにする。
【実施例】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0033】
図1は、本発明による粘着フィルム貼付け装置の一例を示す。
【0034】
テープ12は、多数の矩形の粘着フィルム14と1本の長い台紙テープ16からなる。多数の粘着フィルム14が所定の間隔で台紙テープ16に着脱可能に設けられている。
【0035】
粘着フィルム貼付け装置10は、主として、送り出し部18と、引き剥がし部19と、貼付け部22と、巻き取り部24を有する。
【0036】
送り出し部18は、1本のテープ12を送り出すためのものであり、主として、送り出しリール26と送り出し機構28を有する。送り出しリール26に巻き付けられたテープ12が、送り出し機構28により所定量だけ引き剥がし部19のブレード20に向けて送り出されるようになっている。
【0037】
送り出しリール26は、常に少量のフリクションを受けていて、回転停止すべき時に直ちに回転停止し、それ以上、慣性によって過度に回転しないようになっている。
【0038】
送り出し機構28は、送り出しモータ65によって回転駆動される駆動ローラ28aと、その駆動ローラ28aにテープ12を押しつける押圧ローラ28bを有し、それらのローラ間に挟まれたテープ12を送り出すようになっている。アーム28cとそれを作動する送り出し解放ソレノイド68は、押圧ローラ28bの押圧を調整する機能を有する。押圧ローラ28bの押圧力がゼロのとき、駆動ローラ28aと押圧ローラ28bは「開」となる。
【0039】
引き剥がし部19は、主としてブレード20を有する。
【0040】
ブレード20は、粘着フィルム14から台紙テープ16を剥がすためのものであり、装置10のフレーム30に固定されている。
【0041】
図2は、ブレード20付近の構成を概念的に示す断面図である。図3は、ブレード20付近の構成を概念的に示す斜視図である。図4はブレード20の横断面図である。
【0042】
ブレード20は、その一端(図示例では下端)が引き剥がし用のエッジ部分として構成されていて、台紙テープ16の向きを変えることによって引き剥がし作用を奏するようになっている。テープ案内用のブレード20の表面は、フィルム剛性増加用の曲面20aで構成されている。台紙テープ16がブレード20の曲面20aで案内されて送られると、台紙テープ16は曲面20aに対応した曲面(たとえばクラウン型)になる。このとき、粘着フィルム14が台紙テープ16から部分的に剥がされても、図3に示すように、粘着フィルム14は、ブレード20の曲面20aに沿って曲面となっているので、剛性が増加しており、まっすぐ所定の形を保持して繰り出され、静電気や微風によって不安定化することがない。たとえばピラピラしない。
【0043】
ブレード20の曲面20aは、図4には誇大して示してあるが、実際には、ごく少量曲がっておればよい。
【0044】
送り出し部18には、位置読み取りセンサーとしてフォト・インタラプター32を設けることが好ましい。
【0045】
図5は、フォト・インタラプター32の1例を示す概略断面図である。図6は、テープ12を示す図である。
【0046】
多数の粘着フィルム14は、所定の間隔で粘着剤14aにより台紙テープ16に貼りつけられている。
【0047】
フォト・インタラプター32は、各粘着フィルム14の位置を読み取るためのセンサーであり、制御部42(図9)に接続されている。制御部42は、フォト・インタラプター32が読み取った各粘着フィルム14の位置に基づいて送り出しモータ65(図9)を制御するようになっている。
【0048】
フォト・インタラプター32は、発光部32aと受光部32bを備えている。台紙テープ16には、各粘着フィルム14の位置に対応して所定の間隔で位置決め用穴16aが設けられている。位置読み取りセンサー32が各粘着フィルム14の位置に対応している位置決め用穴16aを検出して、検出した位置を基準にして、送り出し機構28が所定の移動量だけ台紙テープ16を送り出す。
【0049】
なお、センサー32は光センサーとし、透過型または反射型とすることができる。
【0050】
台紙テープ16の位置決め用の通し穴16aの各々を位置読み取りセンサー32が検出すると、その検出した位置を基準にして、後述するようにクランク送り機構34がクランク運動によって高速度で台紙テープ16を送り、そのあと、送りに不足があるときは、必要に応じて送り出しモータ65(図9)は不足分の繰り出し量だけ送り出し機構28の駆動ローラ28aを回転させてテープ12を送り出す。そのとき、送り出しリール26は、所定のフリクションを持ってテープ12を送り出す。
【0051】
印刷物Pの典型例である雑誌類を所定のストッパー位置(図示せず)に停止させた状態で、粘着フィルム14が、雑誌類の見開き部のセンターと、繰り出した粘着フィルム14のセンターが一致するように、セットするのが好ましい。
【0052】
位置読み取りセンサー32に送り量の調節機構(図示せず)を設けて、封印しようとする印刷物の厚みに応じて、各粘着フィルム14の中心位置と印刷物Pの見開き部(小口)の中心位置が厳密に一致するように、予め、位置読み取りセンサー32が位置決め用穴16aを検出したあと、台紙テープ16の送りを微調整できるようにする。たとえば、位置読み取りセンサー32の検出位置を台紙テープ16の送り方向に沿って移動させることによって調節する構成にして、雑誌類の厚みに応じてテープの繰り出し量(位置)を微調整するのが好ましい。
【0053】
このように、クランク送り機構34と駆動モータ28aとを組合せ、かつ、位置読み取りセンサー32の微調節機構を加えることにより、迅速かつ正確に、印刷物Pの厚みや粘着フィルム14の長さに応じて、粘着フィルム14を適切かつ正確に所定の位置に繰り出すことができる。
【0054】
巻き取り部24は、台紙テープ16を巻き取るためのものであり、主として、巻き取りリール25とクランク送り機構34を有する。粘着フィルム14が剥がされた状態の台紙テープ16が、クランク送り機構34によりクランク運動で迅速に送り出されて巻き取りリール25に巻き取られるようになっている。
【0055】
巻き取り部24のリール25と、引き剥がし部19(ブレード20)との間に、クランク送り機構34が設けられている。
【0056】
図7Aは、そのクランク送り機構34を示す側面図である。図7Bはクランク送り機構34を示す正面図である。図8はテープ・クランプ・ソレノイド44とその付近を示す正面図である。
【0057】
クランク送り機構34は、クランク装置36とクランプ装置38を有する。
【0058】
クランク装置36は、クランク軸36a、回転体36b、クランク・アーム36cを有し、クランク軸36aは、クランク・モータ40の出力軸に接続されていて、クランク動作可能である。回転体36bの円形外周面の対向部分に2つの凹所36dが形成されており、その1つと係合して回転体36bを位置決めするように、ローラ36eがアーム36fの先端に回転自在に設けられ、アームの下端は支持体36gに回転自在に支持され、途中で圧縮バネ36hにより支持されている。
【0059】
クランプ装置38のクランプ・アーム36cの下端には、テープ・クランプ・ソレノイド44が固定されていて、そのテープ・クランプ・ソレノイド44により台紙テープ16をクランプして保持可能である。
【0060】
クランク・モータ40とテープ・クランプ・ソレノイド44は、制御部42に接続されていて、制御部42により制御される。
【0061】
クランプ装置38は、クランク・アーム36cの上昇運動に連動して、台紙テープ16をクランプした状態で上方に移動可能である。
【0062】
クランプ装置38は、テープ・クランプ・ソレノイド38の移動ストロークを調節する機構を有している。
【0063】
クランク送り機構34の作用の一例を説明する。
【0064】
印刷物Pの小口への粘着フィルム14の封印が終了すると、まず送り出し部18の押圧ローラ18bの押圧を開放し、「開」の状態にし、つぎに、クランク送り機構34のクランク装置36によってテープ・クランプ・ソレノイド44が「閉」の状態になって、そのまま引き上げられる。このとき、テープ・クランプ・ソレノイド44の作用によって、台紙テープ16は、クランプ装置38の押圧プレート38aと支持プレート38bの間に挟持されて、高速で所定量引き上げられる。それに伴って、台紙テープ16は、巻き取りリール25のトルクモータ66によって巻き取られ、ゆるみ防止程度の弱いトルクをかけた適度の緊張状態に保たれる。
【0065】
送り出し部18と巻き取り部24の間には、印刷物Pを供給するためのローダー50(図1)が設けられている。
【0066】
ローダー50は、手動供給方式と自動供給方式のいずれを採用してもよい。図の簡略化のために手動供給方式のものが図示してある。
【0067】
ローダー50には傾斜面52が設けられていて、印刷物Pが傾斜面52に沿って供給されるようになっている。
【0068】
傾斜面52の下方には図示省略されたストッパーが設けられている。ストッパーにより印刷物Pが停止したときに、印刷物Pの前方に粘着フィルム14が繰り出されてセットされるようになっている。
【0069】
繰り出された粘着フィルム14の直前、すなわち印刷物Pの進行方向前方には、貼付け部22の一例として、一対の非駆動方式の貼付けローラ53が配置されている。一方を駆動ローラ、他方を非駆動ローラとしてもよい。一対の貼付けローラ53は、それらの間に供給されてきた印刷物Pの見開き部(小口)を挟持して、そこに粘着フィルム14を貼付ける。
【0070】
傾斜面52の下側には傾斜角度調節機構54が設けてある。この傾斜角度調節機構54を操作して傾斜面52の傾斜を調節する。
【0071】
雑誌等の厚みに対して、貼付けローラ53の間隔と位置を調節できる。
【0072】
ローダー50とその付近の作用を説明する。
【0073】
印刷物Pの典型例である雑誌類が、見開き部を進行方向に向けて、ローダー50に供給される。雑誌類が傾斜面52に沿って供給されると、封印部の手前のストッパーで停止する。ストッパーは、粘着フィルム14が所定位置にセットされた後、開放される。開放された雑誌類は傾斜面52に沿って供給され、その途中で貼付けローラ53によって封印される。粘着フィルム14により封印された雑誌類は、その後、下方に送り出される。
【0074】
図9は、制御部42とそれに関連する諸部材を示す。
【0075】
スタート・スイッチ(図示せず)を押して、スタート信号が出力されると、制御部42は、ストッパー(図示せず)を解放する。このあと、前述のように印刷物Pが封印され、それが終了すると、クランク・モータ40によりクランク装置36が作動される。テープ・クランプ・ソレノイド44でクランプすることにより、台紙テープ16が所定量引き上げられる。
【0076】
位置読み取りセンサー32により台紙テープ16上の各粘着フィルム14の位置が検知され、その位置信号が入力されると、送り出し機構28の送り出しモータ65により送り出し用の駆動ローラ28aが所定量回転する。その結果、送り出しリール26から粘着フィルム12が所定量送り出される。
【0077】
60〜62は、ガイド・ローラである。
【0078】
図10は、粘着フィルムが貼り付けられた印刷物の一例を示す。
【0079】
図1〜10の粘着フィルム貼付け装置の使い方の一例を説明する。
【0080】
まず、処理すべき印刷物Pの厚みを自動で(または手動で)測定して、ローダー50の傾斜角度調節機構54、位置読み取りセンサー32の厚み調節機構などを印刷物Pの厚みの測定値に合わせるように自動で(または手動で)調整する。
【0081】
また、1対の貼付けローラ53の貼付け時の距離を印刷物Pの厚みの測定値に合わせて自動で(または手動で)調整装置を操作して最適化する。
【0082】
これらの貼付けローラ53の挟持力をバネ力で調整することも可能である。その場合は、バネ力を最適値にする。
【0083】
他方、クランク装置36に設けられている、クランプ装置38の移動ストローク調節機構を自動で(または手動で)調整して、台紙テープ16を高速度で送るストローク量を最適にする。
【0084】
送り出しリール26には、所定長さの1本の台紙テープ16が多数の粘着フィルム14を設けた状態で巻かれている。そのような送り出しリール26から、台紙テープ16の先端を手で送り出して、所定の経路(たとえば、案内ローラ60、位置読み取りセンサー32、案内ローラ61、送り出し機構28の駆動ローラ28aと押圧ローラ28bの間、ブレード20、テープ・クランプ・ソレノイド44および案内ローラ62)を経由して、巻き取りリール25に導いて、そこに巻き取る。
【0085】
粘着フィルム貼付け装置の貼付け動作は、図9に例示するように、制御部42によって制御する。
【0086】
セットスイッチ(図示せず)がオンの状態になると、スタート信号が制御部42に入力される。
【0087】
クランク送り機構34のテープ・クランプ・ソレノイド44が「開」の状態(つまり押圧プレート38aがバネ力に抗して支持プレート38bから離れるように引き込んだ状態)にあり、送り出し機構28が「閉」の状態(つまり駆動ローラ28aに対して押圧ローラ28bが押圧されている状態)にある。この「閉」の状態のとき、送り出しモータ65が作動され、駆動ローラ28aが駆動されると、台紙テープ16は、送り出しリール26から送り出され、その送り出した量だけ、巻取トルクモータ66の作用によって巻き取りリール25に巻き取られる。
【0088】
位置読み取りセンサー32からの信号に基づいて、台紙テープ16上の1つの粘着フィルム14が1対の貼付けローラ53近くの所定位置に到来したことが検知されて、送り出し機構28の送り出しモータ65が停止する。
【0089】
しかるのち、1つの印刷物Pがローダー50の傾斜面52に沿って矢印(図1)の方向に供給され、剥がされて繰り出された1枚の粘着フィルム14が、印刷部Pの小口(見開き部)に1対の貼付けローラ53によって貼付けられる。その直後に、上方のローラ開放ソレノイド67が「開」の状態となり、印刷物Pは、貼付けローラ53から開放されて、図1の右下方に送り出される。その後、ローラ開放ソレノイド67は、元の「閉」の状態に戻される。
【0090】
印刷物Pへの粘着フィルム14の貼付けが終了したあと、送り出し機構28が「開」の状態になってから、クランク送り機構34のテープ・クランプ・ソレノイド44が台紙テープ16をクランプした状態で、クランク・モータ40が作動して、テープ・クランプ・ソレノイド44はクランク運動で高速度で上昇する。それに伴って、台紙テープ16は高速度で上方に送られ、その分だけ、巻き取りリール25に巻取トルクモータ66の作用で巻き取られる。
【0091】
その後、テープ・クランプ・ソレノイド44は「開」の状態となり、元の下方位置に戻り、再び「閉」の状態になって、台紙テープ16をクランプする。
【0092】
ただし、複数の粘着フィルム14の相互距離と、印刷物Pの厚みと、クランク送り機構34の移動ストロークとの相対関係から、クランク送り機構34の1回当りの送り量が各粘着フィルム14に対する台紙テープ16の所定の送り量よりも小さい場合は、その小さい分だけ(つまり不足分だけ)、送り出し機構28の駆動ローラ28aを作動させて、台紙テープ16を送り出す。そのあとで、クランク送り機構34のテープ・クランプ・ソレノイド44を「閉」として、台紙テープ16をクランプする。
【0093】
図11〜12は、本発明による粘着フィルム貼付け装置の1つの具体的な実施例を示す。
【0094】
図11〜12は、図1〜10に示した実施態様を具体化した実施例の1つであり、基本的な構成は同じであるので、詳細な説明は省略し、同一の部分や部材には同一の符号が付けてある。
【0095】
なお、本発明は図示された実施例に限定されない。ローダー50の供給面は傾斜を持つ必要はなく、水平にして送り駆動ローラ等を装備してもよい。印刷物を停止させずに連続的に貼付けを行うことも可能である。貼付けローラに替えて抑え板を使用しても良い。位置決め用穴の位置や個数も任意である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明による粘着フィルム貼付け装置の一例を示す。
【図2】ブレード付近の構成を概念的に示す断面図である。
【図3】ブレード付近の構成を概念的に示す斜視図である。
【図4】曲面の曲がり度合を誇大して示す、ブレードの横断面図である。
【図5】フォトインタラプターの構成を示す、図6のA−A線に沿った概略断面図である。
【図6】テープの一例を示す図である。
【図7A】クランク送り機構の一例を示す側面図である。
【図7B】同じクランク送り機構を示す正面図である。
【図8】テープ・クランプ・ソレノイド付近を示す正面図である。
【図9】制御部周辺のブロック図である。
【図10】粘着フィルムが貼り付けられた印刷物の一例を示す。
【図11】本発明による粘着フィルム貼付け装置の内部機構の具体例を示す写真。
【図12】図11の具体例のブレード付近の拡大写真。
【符号の説明】
【0097】
10 粘着フィルム貼付け装置
12 テープ
14 粘着フィルム
14a 粘着剤
16 台紙テープ
16a 位置決め用穴
18 送り出し部
20 ブレード
20a 曲面
22 貼付け部
24 巻き取り部
25 巻き取りリール
26 送り出しリール
28 送り出し機構
30 フレーム
32 フォト・インタラプター(位置読み取りセンサー)
32a 発光部
32b 受光部
34 クランク送り機構
36 クランク装置
36a クランク軸
36b 回転体
36c クランク・アーム
38 クランプ装置
40 クランク・モータ
42 制御部
44 テープ・クランプ・ソレノイド
50 ローダー
52 傾斜面
53 貼付けローラ
54 傾斜角度調節機構
P 印刷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の粘着フィルム(14)を所定の間隔で着脱可能に設けた台紙テープ(16)を送り出すための送り出し部(18)と、粘着フィルム(14)を台紙テープ(16)から1枚ずつ剥がすための引き剥がし部(19)と、各粘着フィルム(14)を印刷物(P)の見開き部に貼り付けるための貼付け部(22)と、粘着フィルム(14)が剥がされた後の台紙テープ(16)を巻き取るための巻き取り部(24)を有し、引き剥がし部(19)が、ブレード(20)を備えていて、そのブレード(20)の表面にフィルム剛性増加用の曲面(20a)が設けられていて、各粘着フィルム(14)をフィルム剛性増加用の曲面(20a)に沿って曲げた状態で引き剥がすことを特徴とする粘着フィルム貼付け装置。
【請求項2】
多数の粘着フィルム(14)を所定の間隔で着脱可能に設けた台紙テープ(16)を送り出すための送り出し部(18)と、粘着フィルム(14)を台紙テープ(16)から1枚ずつ剥がすための引き剥がし部(19)と、各粘着フィルム(14)を印刷物(P)の見開き部に貼り付けるための貼付け部(22)と、粘着フィルム(14)が剥がされた後の台紙テープ(16)を巻き取るための巻き取り部(24)を有し、巻き取り部(24)が、台紙テープ(16)をクランク運動によって高速度で送るためのクランク送り機構(34)を備えていることを特徴とする粘着フィルム貼付け装置。
【請求項3】
クランク送り機構(34)の1回当りの送り量が、各粘着フィルム(14)に対する台紙テープ(16)の所定の送り量と等しいか、わずかに小さいことを特徴とする請求項2に記載の粘着フィルム貼付け装置。
【請求項4】
クランク送り機構(34)がテープ・クランプ・ソレノイド(44)を有し、クランク送りの際に、このテープ・クランプ・ソレノイド(44)によって台紙テープ(16)をクランプして送ることを特徴とする請求項2または3に記載の粘着フィルム貼付け装置。
【請求項5】
多数の粘着フィルム(14)を所定の間隔で着脱可能に設けた台紙テープ(16)を送り出すための送り出し部(18)と、粘着フィルム(14)を台紙テープ(16)から1枚ずつ剥がすための引き剥がし部(19)と、各粘着フィルム(14)を印刷物(P)の見開き部に貼り付けるための貼付け部(22)と、粘着フィルム(14)が剥がされた後の台紙テープ(16)を巻き取るための巻き取り部(24)を有し、台紙テープ(16)に所定の間隔で位置決め用穴(16a)を設け、位置決め用穴(16a)を検出するための位置読み取りセンサー(32)を設け、位置読み取りセンサー(32)が位置決め用穴(16a)を検出して、その検出した位置を基準にして所定の移動量だけ台紙テープ(16)を送る構成の粘着フィルム貼付け装置。
【請求項6】
貼付け部(22)が1対の貼付けローラ(53)を有し、引き剥がし部(19)によって部分的に引き剥がされた各粘着フィルム(14)の1部が、貼付けの際に、1対の貼付けローラ(53)の一方とブレード(20)の表面との間で挟まれることを特徴とする請求項5に記載の粘着フィルム貼付け装置。
【請求項7】
多数の粘着フィルム(14)を所定の間隔で着脱可能に設けた台紙テープ(16)を送り出すための送り出し部(18)と、粘着フィルム(14)を台紙テープ(16)から1枚ずつ剥がすための引き剥がし部(19)と、各粘着フィルム(14)を印刷物(P)の見開き部に貼り付けるための貼付け部(22)と、粘着フィルム(14)が剥がされた後の台紙テープ(16)を巻き取るための巻き取り部(24)を有し、引き剥がし部(19)が、ブレード(20)を備えていて、そのブレード(20)の表面にフィルム剛性増加用の曲面(20a)が設けられていて、各粘着フィルム(14)をフィルム剛性増加用の曲面(20a)に沿って曲げた状態で引き剥がす構成とし、かつ、巻き取り部(24)が、台紙テープ(16)をクランク運動によって高速度で送るためのクランク送り機構(34)を備える構成とし、さらに、台紙テープ(16)に所定の間隔で位置決め用穴(16a)を設け、位置決め用穴(16a)を検出するための位置読み取りセンサー(32)を設け、位置読み取りセンサー(32)が位置決め用穴(16a)を検出して、その検出した位置を基準にして所定の移動量だけ台紙テープ(16)を送る構成にした粘着フィルム貼付け装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−27766(P2006−27766A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205895(P2004−205895)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】