説明

純水を用いた洗浄装置、洗浄方法、洗浄処理プラント、洗浄処理方法

【課題】 超音波洗浄を用いガラスカレット等を洗浄することでガラスカレット等から水銀等を略完全に除去し、さらに洗浄水を純水のみとすることで洗浄水の処理を単純化するとともに処理中の安全性を確保するための純水を用いた洗浄装置、洗浄方法、洗浄処理プラント、洗浄処理方法を提供する。
【解決手段】 廃蛍光管のガラスカレットを洗浄する第一洗浄部100及び該第一洗浄部100の後方に配置した第二洗浄部200を備え、さらに前記ガラスカレットが第一洗浄部100から第二洗浄部200に移動可能な移動手段を備える洗浄装置であって、さらに、前記洗浄装置は前記第一洗浄部100及び前記第二洗浄部200で用いられた洗浄水を回収して濾過することにより純水及び廃液に分別し、該純水を前記第一洗浄部100及び前記第二洗浄部200に提供する濾過手段400を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃蛍光管のガラスカレット、破砕された金属または破砕されたプラスチック等を洗浄する洗浄装置、洗浄方法に関し、さらに廃蛍光管のガラスカレット、破砕された金属、該ガラスカレット等に付着した水銀等をリサイクル可能とするための洗浄処理プラント、洗浄処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃蛍光管のガラス部分を破砕して得られる廃蛍光管のガラスカレットは、人体に有害な水銀、蛍光粉等の有害物質が付着・残留しているため、該ガラスカレットをそのまま廃棄処分とすると公害等を引き起こす原因となってしまう。
【0003】
また、 廃蛍光管のガラスカレットは上質のガラスからなっており資源の有効利用のため、リサイクルして用いることが望ましいが、前記のように該ガラスカレットには人体に有害な水銀、蛍光粉等の有害物質が付着・残留しているため、該ガラスカレットをそのままリサイクルすることもできない。
【0004】
ここで、廃蛍光管のガラスカレットを廃棄処分またはリサイクルするには、該ガラスカレットに付着した水銀、蛍光粉等を除去する必要があるが、該除去する方法としては乾式法及び湿式法が知られている。なお、大気汚染防止法(廃ガスの空気中の水銀濃度が0.04ppm以下)、土壌汚染対策法(土壌中の水銀濃度が0.005mg/kg以下)、水質汚濁防止法(廃水の水中の水銀濃度が0.0005mg/kg以下)等において現在、廃棄物等に関する水銀残留濃度は厳しく制限されており、これらの法律の基準を満たす必要もある。
【0005】
また、資源の有効利用を図る見地及び人体に有害な物質を廃棄物として廃棄することにより起こる公害の防止等の見地から、廃蛍光管のガラスカレットから除去した水銀、蛍光粉等についてもリサイクルすることが望ましい。
【0006】
ここで、上記乾式法は破砕して得られる廃蛍光管のガラスカレットを加熱し、水銀等を蒸気化させ、この蒸気化させた水銀を活性炭等で吸着し、該ガラスカレットから水銀等を取り除く方法である。
【0007】
さらに、上記湿式法は破砕して得られる廃蛍光管のガラスカレットを洗浄液で洗浄し、該ガラスカレットから水銀等を取り除く方法である。
【0008】
例えば特許文献1には湿式法を用いた洗浄装置として、水平方向に回転する回転洗浄装置の一端の開口部には廃棄蛍光灯破砕片を上記装置に導くホッパーを設け、さらに装置内を移動する破砕片を水洗するため水導管及び水洗後の破砕片を洗浄しこれに付着する水銀をクロロ錯イオンとして溶出させる薬剤を導く導管を挿入し、装置の他端は洗浄後破砕片の排出口をなし、上記装置の胴体には洗浄後液を排出させる網状濾過部を設け、胴体の内面には複数個の攪拌羽根を取り付けてなる廃蛍光灯処理に使用される洗浄装置が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特公平03―5874号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記乾式法では、吸着した水銀等の取り出しが難しく、水銀等を吸着した活性炭等をセメント等で固めて処分するのが一般的になっているため、水銀をリサイクルすることが難しいという問題点や、水蒸気化した水銀が飛散してしまう恐れがあるという問題点がある。
【0011】
また、特許文献1記載の発明においては実施例にある通り、水のみを洗浄水として洗浄済み廃棄蛍光灯破砕片について溶出検査を行うと水銀濃度が高くなってしまうという不都合がある。さらに、該水銀濃度は上記法律の基準も満たさないことになる。
【0012】
さらに、特許文献1記載の発明においては実施例にある通り、薬剤溶液及び水を洗浄液として洗浄済み廃棄蛍光灯破砕片について溶出検査を行うと水銀濃度は低くなるが洗浄後の洗浄液の処理が複雑化し、さらに前記薬剤溶液のために洗浄中の安全性について問題があるという不都合がある。また、取り出した水銀及び蛍光粉についてリサイクル出来るかが不明である。
【0013】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その第一目的とするところは廃蛍光管のガラスカレットを湿式法で処理することにより乾式法の欠点を補いつつ、超音波洗浄を用い該ガラスカレットを洗浄することで該ガラスカレットから水銀等の有害物質を略完全に除去し、さらに洗浄水を純水のみとすることで洗浄水の処理を単純化するとともに処理中の安全性を確保し、さらに廃蛍光管のガラスカレット、蛍光粉、水銀等を完全にリサイクル可能とする、純水を用いた洗浄装置、洗浄方法、洗浄処理プラント、洗浄処理方法を提供することにある。また、前記ガラスカレットに限らずに同様の目的として、洗浄対象を水銀等が付着した破砕された金属とする純水を用いた洗浄装置、洗浄方法、洗浄処理プラント、洗浄処理方法を提供することにある。
【0014】
さらに、本発明の第二目的として、前記ガラスカレット等に限定せず、破砕された金属または破砕されたプラスチック等に付着した物質、例えば破砕された金属に付着した重金属等を略完全に除去し、さらに洗浄水を純水のみとすることで洗浄水の処理を単純化する洗浄装置、洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、請求項1記載の洗浄装置は、廃蛍光管のガラスカレットを洗浄する第一洗浄部及び該第一洗浄部の後方に配置した第二洗浄部を備え、さらに前記ガラスカレットが第一洗浄部から第二洗浄部に移動可能な移動手段を備える洗浄装置であって、
前記第一洗浄部は、純水を洗浄水として上記ガラスカレットを超音波洗浄して大部分の有害物質を分離除去するために、該ガラスカレットを投入する洗浄槽と、該洗浄槽に設置した超音波発振手段と、該洗浄槽に純水を供給する純水供給手段と、該ガラスカレットを攪拌する攪拌手段とのうちの少なくとも前記洗浄槽と、前記超音波発振手段と、前記純水供給手段とを備え、
前記第二洗浄部は、純水を洗浄水として前記ガラスカレットに付着する残余の有害物質を分離除去するために、該ガラスカレットを投入する回転ドラムと、該回転ドラム内に設置した純水を超音波により噴出させる又は高圧水として噴出させる噴出手段とを備え、
さらに、前記洗浄装置は前記第一洗浄部及び前記第二洗浄部で用いられた洗浄水を回収して濾過することにより純水及び廃液に分別し、該純水を前記第一洗浄部及び前記第二洗浄部に供給する濾過手段を備えることを特徴とするものである。
【0016】
上記課題を解決するため、請求項2記載の洗浄装置は、請求項1記載の純水を用いた洗浄装置であって、前記第二洗浄部は、純水を洗浄水として超音波により噴出させる又は高圧水として噴出させる噴出口を設けた導管と、該導管に設けられた超音波発振装置又は高圧ポンプと、前記噴出口を設けた導管が内部に導入されており内面にらせん状の回転スクリュー羽根を備えた網目状の回転ドラムと、該回転ドラムから洗浄水を回収可能な胴体とを備えることを特徴とするものである。
【0017】
上記課題を解決するため、請求項3記載の洗浄装置は、請求項1または2記載の純水を用いた洗浄装置であって、前記濾過手段は逆浸透膜を用いた濾過装置を備えることを特徴とするものである。
【0018】
上記課題を解決するため、請求項4記載の洗浄装置は、請求項1、2または3記載の純水を用いた洗浄装置であって、前記第一洗浄部は、第一洗浄槽と第二洗浄槽とを備え、さらに前記ガラスカレットが第一洗浄槽から第二洗浄槽に移動可能な移動手段を備え、
前記第一洗浄槽は、超音波発振装置、エア噴出口のうちの少なくとも一つと、純水を洗浄水として供給する純水供給手段とを備え、
前記第二洗浄槽は、超音波発振装置、エア噴出口のうちの少なくとも一つと、純水を洗浄水とする純水供給手段とを備え、
前記第一洗浄槽及び前記第二洗浄槽のうちの少なくとも一方に超音波発振装置とともに必要に応じて攪拌装置を備えることを特徴とするものである。
【0019】
上記課題を解決するため、請求項5記載の洗浄装置は、請求項1、2または3記載の純水を用いた洗浄装置であって、前記第一洗浄部での純水の水温は4℃から5℃であること、前記第二洗浄部での純水の水温は4℃から10℃であること、前記第一洗浄部での超音波の周波数は50kHzから300kHzの間で変化すること、前記第二洗浄部での超音波の周波数は300kHzから1000kHzの間で変化することのうちのいずれか一つを満たすことを特徴とするものである。
【0020】
上記課題を解決するため、請求項6記載の洗浄装置は、請求項4記載の純水を用いた洗浄装置であって、前記第一洗浄槽及び第二洗浄槽での純水の水温は4℃から5℃であること、前記第二洗浄部での純水の水温は4℃から10℃であること、前記第一洗浄槽での超音波の周波数は50kHzから300kHzの間で変化し、前記第二洗浄槽での超音波の周波数は50kH以下もしくは300kHz以上で変化するか50kHzから300kHzの間で変化すること、前記第二洗浄部での超音波の周波数は300kHzから1000kHzの間で変化することのうちのいずれか一つを満たすことを特徴とするものである。
【0021】
上記課題を解決するため、請求項7記載の純水を用いた洗浄処理プラントは、水銀等が付着した破砕された金属及び廃蛍光管のガラスカレットを洗浄処理するための洗浄処理プラントであって、請求項1ないし6記載の洗浄装置と、該洗浄装置により排出される廃液からリサイクル可能な水銀、蛍光粉、鉛のうち少なくとも水銀を分別回収するため、鉛除去装置及び水銀抽出装置のうち少なくとも水銀抽出装置とを備えることを特徴とするものである。
【0022】
上記課題を解決するため、請求項8記載の洗浄装置は、請求項1,2,3,4,5または6記載の純水を用いた洗浄装置であって、破砕された金属または破砕されたプラスチック等を洗浄することを特徴とするものである。
【0023】
上記課題を解決するため、請求項9記載の純水を用いた洗浄方法は、破砕された金属、破砕されたプラスチックまたは廃蛍光管のガラスカレット等の洗浄方法であって、
洗浄水を純水として前記ガラスカレット等について超音波洗浄及びバブリング洗浄のうち少なくとも超音波洗浄を行うステップと、
洗浄水を純水として前記超音波洗浄後のガラスカレット等について超音波バブル洗浄または高圧水洗浄を行うステップとを備え、さらに
前記超音波洗浄及びバブリング洗浄のうちの少なくとも超音波洗浄と、前記超音波バブル洗浄または前記高圧水洗浄とで使用された洗浄水を回収後、逆浸透膜を備えた濾過装置により濾過し、純水及び廃液に分別し、さらに該純水を、前記超音波洗浄及びバブリング洗浄のうちの少なくとも超音波洗浄と、前記超音波バブル洗浄または前記高圧水洗浄とに用いる洗浄水として供給するステップを備えることを特徴とするものである。
【0024】
上記課題を解決するため、請求項10記載の洗浄方法は、請求項9記載の純水を用いた洗浄方法であって、前記超音波洗浄及び前記バブリング洗浄での純水の水温は4℃から5℃であること、前記超音波バブル洗浄及び前記高圧水洗浄での純水の水温は4℃から10℃であること、前記超音波洗浄での超音波の周波数は50kHzから300kHzの間で変化すること、前記超音波バブル洗浄での超音波の周波数は300kHzから1000kHzの間で変化することのうちのいずれか一つを満たすことを特徴とするものである。
【0025】
上記課題を解決するため、請求項11記載の洗浄処理方法は、水銀等が付着した破砕された金属及び廃蛍光管のガラスカレットの洗浄処理方法であって、
洗浄水を純水として前記ガラスカレット等について超音波洗浄及びバブリング洗浄のうち少なくとも超音波洗浄を行うステップと、
洗浄水を純水として該超音波洗浄後のガラスカレット等について超音波バブル洗浄または高圧水洗浄を行うステップとを備え、かつ、
前記超音波洗浄及びバブリング洗浄のうちの少なくとも超音波洗浄と、前記超音波バブル洗浄または前記高圧水洗浄とで使用された洗浄水を回収後、逆浸透膜を備えた濾過装置により濾過し、純水及び廃液に分別し、さらに該純水を、前記超音波洗浄及びバブリング洗浄のうちの少なくとも超音波洗浄と、前記超音波バブル洗浄または前記高圧水洗浄とに用いる洗浄水として供給するとともに、前記廃液から、必要に応じて鉛除去装置を用いてリサイクル可能に鉛を取り出し、さらに水銀抽出装置によりリサイクル可能に水銀及び蛍光粉のうちの少なくとも水銀を取り出すステップを備えることを特徴とするものである。
【0026】
上記課題を解決するため、請求項12記載の洗浄処理方法は、請求項11記載の純水を用いた洗浄処理方法であって、前記超音波洗浄及び前記バブリング洗浄での純水の水温は4℃から5℃であること、前記超音波バブル洗浄及び前記高圧水洗浄での純水の水温は4℃から10℃であること、前記超音波洗浄での超音波の周波数は50kHzから300kHzの間で変化すること、前記超音波バブル洗浄での超音波の周波数は300kHzから1000kHzの間で変化することのうちのいずれか一つを満たすことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0027】
請求項1及び2並びに9記載の発明により、湿式法により廃蛍光管のガラスカレットを洗浄するため、水銀が飛散してしまう事がないため乾式法の欠点を補うことが可能となる。さらに、該ガラスカレットについて純水にて超音波洗浄するため、該ガラスカレットに付着した水銀、蛍光粉、鉛を略完全に除去することが出来、さらに、純水にて超音波バブル洗浄又は高圧水洗浄するため、該ガラスカレットに残留した及び再付着した水銀、蛍光粉、鉛を略完全に除去できる。このため、洗浄水として薬剤溶液を使用した場合と同様またはそれ以上の洗浄効果をあげることが可能となり、上記法律の廃棄物等として許される条件も満たすことになる。さらに、洗浄水として純水のみを用いることで、使用後の洗浄水の処理を容易化するとともに、安全安心して洗浄、処理を行うことが出来る。また、使用後の洗浄水を濾過するため、洗浄水(純水)として再度利用が出来る。
【0028】
請求項3、9及び11記載の発明により、逆浸透膜を用いるため濾過が万全となり濾過され取り出された純水を再利用でき、また純水と廃棄が完全に分別されるため廃液の処理が容易となる。
【0029】
請求項4記載の発明により、第一洗浄部を二槽に分け、またバブリング洗浄を行うため、洗浄効果をさらに高めることが可能となる。
【0030】
請求項5、6、10及び12記載の発明により、請求項5、6、10及び12記載の条件で洗浄を行うことにより、洗浄効果をさらに高めることが可能となる。
【0031】
請求項7及び11記載の発明により、ガラスカレット又は金属、水銀、蛍光粉、鉛がリサイクル可能に分別、回収されるため、廃蛍光管のガラスカレットについて完全リサイクルが可能となる。
【0032】
請求項8又は9記載の発明により、ガラスカレットだけでなく破砕されたプラスチック及び破砕された金属等にも本発明を用いることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面に基づいて本発明を実施するための最良の形態(第一の実施形態)について説明する。まず、廃蛍光管のガラスカレットであって、水銀及び蛍光粉が付着したガラスカレット(蛍光管の略95%を締める部分)と水銀、蛍光粉及び鉛が付着したガラスカレット(蛍光管の電極から略5cmの部分)のうち、水銀及び蛍光粉が付着したガラスカレットを処理する場合について説明する。
【0034】
まず図1により洗浄処理プラント1を説明する。図1は本実施形態に係る洗浄処理プラント1の一例についての概略ブロック図である。
【0035】
図1にあるように本実施形態に係る洗浄処理プラント1は洗浄装置10と水銀抽出装置20を備える。該洗浄処理プラント1により、水銀、蛍光粉及び洗浄後の廃蛍光管のガラスカレットについて完全リサイクルが可能となる。
【0036】
洗浄装置10は、第一洗浄部100と、第二洗浄部200と、廃水タンク300と、濾過装置400と、貯水タンク500とを備える(図1参照)。さらに、第一洗浄部100は第一洗浄槽101及び第二洗浄槽102を備える(図1参照)。なお、洗浄装置10、第一洗浄部100、第二洗浄部200について詳しくは後述する。また、第一洗浄部100に備えられた第一洗浄槽101等の洗浄槽の数は適宜変えられるものとするが、詳しくは第一洗浄部100の説明で述べる。
【0037】
廃蛍光管を破砕して得られるガラスカレットはまず、第一洗浄部100に投入され洗浄され、第二洗浄部200に運ばれる。具体的には該ガラスカレットは、第一洗浄槽101に投入され洗浄されて、第二洗浄槽102に運ばれ洗浄後、第二洗浄部200において洗浄される(図1参照)。
【0038】
第一洗浄部100及び第二洗浄部200で洗浄されたガラスカレットは、該ガラスカレットに付着した水銀及び蛍光粉が略完全に除去されており、洗浄済ガラスカレットとなって排出され(図1参照)、該洗浄後ガラスカレットはリサイクル可能となる。なお、該ガラスカレットは、ベルトコンベア等の適した移動手段(図示せず)により、第一洗浄槽101に投入されると、該第一洗浄槽101から第二洗浄槽102及び第二洗浄槽102から第二洗浄部200まで移動可能であり、該洗浄済ガラスカレットとして排出される。
【0039】
なお、第一洗浄部100に投入される廃蛍光管のガラスカレットは、廃蛍光管を適した手段により破砕し、ガラスカレットのみを取り出して得られた物とする。
【0040】
上記第一洗浄槽101、第二洗浄槽102及び第二洗浄部200で行う洗浄には洗浄水として純水(本発明において純水は、純水と超純水を含む)が用いられるが、該純水は、第一洗浄槽101と貯水タンク500との間、第二洗浄槽102と貯水タンク500との間、第二洗浄部200と貯水タンク500との間にそれぞれ設けられた導管を通り貯水タンク500からそれぞれ供給される(図1参照)。
【0041】
さらに第一洗浄槽101と、第二洗浄槽102と、第二洗浄部200それぞれで行われた洗浄後の洗浄水(洗浄後水)は、第一洗浄槽101と廃水タンク300との間、第二洗浄槽102と廃水タンク300との間、第二洗浄部200と廃水タンク300との間にそれぞれ設けられた導管を通り廃水タンク300に運ばれ貯蔵される(図1参照)。洗浄後水には前記ガラスカレットから除去された水銀及び蛍光粉が混入している。
【0042】
廃水タンク300に貯蔵された洗浄後水は、廃水タンク300と濾過装置400との間に設けられた導管を通り、濾過装置400に運ばれ濾過され、純水と廃液に分別される(図1参照)。純水は、濾過装置400と貯水タンク500との間に設けられた導管を通り、貯水タンク500に運ばれ貯蔵され第一洗浄槽101、第二洗浄槽102、第二洗浄部200それぞれに適宜供給され洗浄水として用いられる(図1参照)。
【0043】
一方、濾過装置400により排出される前記廃液は蛍光粉及び水銀を含むヘドロ上の液体からなり、これは、濾過装置400と水銀抽出装置20との間に設けられた導管を通り、水銀抽出装置20に運ばれ、該水銀抽出装置20により水分は蒸発し、蛍光粉及び水銀が分別、抽出され、これらはリサイクル可能な蛍光粉及び水銀として該水銀抽出装置20から排出、回収される。
【0044】
なお、上記純水、洗浄後水、廃液は導管等に適宜設置されるポンプ等(図示せず)の適した手段により運ばれるものとする。また、上記貯水タンク500から第一洗浄槽101、第二洗浄槽102、第二洗浄部200それぞれへの純水の供給は、洗浄の際にそれぞれ供給されるものとし、これら純水の供給のタイミングや純水の量等については、手動により操作するか、洗浄装置10や貯水タンク500等に設けられた制御部(図示せず)により制御される。
【0045】
さらに、廃水タンク300から濾過装置400に運ばれる洗浄後水は、洗浄後水が廃水タンク300に一定量たまったときに廃水タンク300から濾過装置400に運ばれる等、適したタイミングにより濾過装置400に運ばれる。これも手動により操作するか、廃水タンク300や濾過装置400等に設けられた制御部(図示せず)により制御される。
【0046】
濾過装置400は、廃水タンク300から供給された洗浄後水を蛍光粉及び水銀が含有する廃液と、純水とに分別することが可能な適した装置により実現されるが、例えば逆浸透膜方式(RO方式)による濾過装置により実現される。
【0047】
逆浸透膜方式による濾過装置には、例えばプレフィルタ、活性炭及び逆浸透膜を備えた濾過装置や、セディメントフィルター、カーボンフィルター、メンブレン(逆浸透膜)及びカーボンポストフィルターを備えた濾過装置等がある。
【0048】
この逆浸透膜方式による濾過装置により、廃水タンク300から供給された洗浄後水から純水と蛍光粉及び水銀が含まれるヘドロ上の廃液が得られることになる。なお、上記洗浄により除去することにより洗浄後水に含まれる水銀、蛍光粉以外の不純物(廃蛍光管に付着したほこり等)については活性炭フィルター等により取り除かれる。
【0049】
水銀抽出装置20は、例えば前記ヘドロ上の廃液からリサイクル可能な水銀及び蛍光粉に分別回収可能な適した装置により実現され、例えばMRT社製の「MRT Distiller」(MRTディスティラー)、「MRT Standard Distiller」(MRT標準型ディスティラー)により実現される。
【0050】
前記「MRT Distiller」を用いることで、前記ヘドロ上の廃液から純度の高いリサイクル可能な水銀を抽出することが出来、さらにリサイクル可能な蛍光粉についても得ることが出来る。
【0051】
以上より、水銀及び蛍光粉が付着したガラスカレットからリサイクル可能なガラスカレット、水銀、蛍光粉を得ることが可能となる。また洗浄後水について濾過装置により濾過し純水を作り再度洗浄水として前記第一洗浄槽101、第二洗浄槽102及び第二洗浄部200に供給し、さらに水銀抽出装置20により濾過装置400から排出される廃液を処理することで、水銀及び蛍光粉が外部に排出されることもなく、処理方法を湿式法としていることから処理中に水銀が飛散することもない。
【0052】
なお、貯水タンク500及び廃水タンク300は必ずしも必要でない。洗浄後水については直接濾過装置400に供給し、濾過装置400は第一洗浄槽101、第二洗浄槽102及び第二洗浄部200に直接濾過した純水を提供しても良い。
【0053】
次に図2ないし図5より洗浄装置10、第一洗浄部100、第二洗浄部200について説明する。図2は洗浄処理プラント1が備える洗浄装置10の概略図である。また、図3は洗浄装置10が備える第一洗浄部100の概略構成の一例であり、図4は洗浄装置10が備える第二洗浄部200の概略構成の一例である。さらに図5は図4でのA−A´線略断面図である。
【0054】
図2にあるように、洗浄装置10は第一洗浄部100及び第二洗浄部200を備えており、第一洗浄部100は第一洗浄槽101及び第二洗浄槽102を備える。さらに、洗浄装置10は、投入口11、接続口12、ベルトコンベア13、コンベアモータ15、操作盤16を備える。
【0055】
投入口11から投入された廃蛍光管のガラスカレットは、第一洗浄部100で洗浄される。そして、洗浄されたガラスカレットは接続口12を通り、第二洗浄部200に運ばれ、ここでさらに洗浄され、ベルトコンベア13に排出され、排出された洗浄済ガラスカレットは、ベルトコンベア13によりストレーナー17に運ばれ、ドラム缶90に回収される。
【0056】
なお、ベルトコンベア13に排水バルブ14を取り付ける(図2参照)とともに、排水バルブ14から貯水タンク500への導管を設け(図示せず)、ベルトコンベア13上の洗浄済ガラスカレットに付いた水分について回収し、前記設けた導管により貯水タンク500へ供給してもよい。
【0057】
さらに、ベルトコンベア13に該洗浄済ガラスカレットを乾燥させるための乾燥装置を取り付け(図示せず)、該洗浄済ガラスカレットを乾燥させてからドラム缶90に回収しても良い。また、操作盤16は洗浄装置10の制御を手動又は自動で行うためにある。
【0058】
なお、洗浄装置10は上述のように、廃水タンク300、濾過装置400、貯水タンク500や導管等を備えるがこれらは図2において省略する。
【0059】
図3にあるように第一洗浄部100は第一洗浄槽101及び第二洗浄槽102を備える。第一洗浄槽101及び第二洗浄槽102の形状は特に問わないが、本発明の実施に適したものとする。そして、第一洗浄槽101は、貯水タンク500から供給される純水を該第一洗浄槽101に供給するための導管50と、投入口11から投入された廃蛍光管のガラスカレットを第二洗浄槽102に運ぶためのベルトコンベア110と、超音波発振装置115と、排水バルブ55とを備える。
【0060】
超音波発振装置115は、例えば第一洗浄槽101の底面または側面に設置するが、該超音波発振装置115をどこに、いくつ設置するかは適宜選択し得る。図3においては第一洗浄槽101の側面に設置されている(図3参照)。廃蛍光管のガラスカレットに超音波洗浄を施すことにより、該ガラスカレットに付着した水銀、蛍光粉はほとんど剥離除去(分離除去)されるため、該ガラスカレットはこの第一洗浄槽101においてほとんど洗浄されたことになる。
【0061】
ベルトコンベア110は、投入口11から投入された廃蛍光管のガラスカレットを第二洗浄槽102に運ぶために設けるが、形状については問わない。図3のような形状のベルトコンベア110を設ける場合には、例えば縦方向に廃蛍光管のガラスカレットを運ぶことが可能となるようにベルト部分に図3に示すような突起物を設ける。この場合、該突起物とベルトとの鋭角部分側の間に廃蛍光管のガラスカレットが貯まり、該ガラスカレットを縦方向に運ぶことが可能となる。なお、ベルトコンベア110のベルト部分は、図3の矢印の示す方向に進む。
【0062】
また、ベルトコンベア110の幅を第一洗浄槽101の幅に合わせることにより、廃蛍光管のガラスカレットがベルトコンベア110の下に落ちることを防ぐことが望ましいが、その他の方法により(例えば、後述する第二洗浄槽102の説明を参照)、該ガラスカレットがベルトコンベア110の下に落ちることを防いでもよい(特に、後述するエア噴出口等の攪拌手段を設ける場合)。
【0063】
さらに、排水バルブ55が開くと、洗浄後水は該排水バルブ55から導管を通り、廃水タンク300に運ばれる。
【0064】
第一洗浄部101での廃蛍光管のガラスカレットについての洗浄処理は例えば、以下のように行う。
【0065】
投入口11から一定量の廃蛍光管のガラスカレット(例えば、20kg程度)が投入されると、導管50から一定量の純水が洗浄水として供給され、超音波発振装置115により超音波が一定時間(例えば、2分から5分)発振され、該ガラスカレットが超音波洗浄される。超音波洗浄後、洗浄水は洗浄後水として排水バルブ55より排出される。その後、ベルトコンベア110により第二洗浄槽102へと運ばれる。
【0066】
なお、洗浄水の純水の水温は、適宜決定し得るが、例えば4℃から5℃にすることにより洗浄効果を高めることが出来る。前記純水の水温を調節するには例えば貯水タンク500又は導管50の途中に冷却装置(図示せず)等の温度調節装置を設け水温をコントロールする。
【0067】
また、超音波洗浄に際し、超音波発振装置115が発振する超音波の周波数についても適宜決定し得るが、例えば、300kHzの周波数で洗浄する。また、例えば、前記周波数を50kHzから300kHzの間で変化させながら超音波洗浄すると洗浄効果を高める。洗浄時間についても、洗浄するガラスカレットの量により適宜決定する。
【0068】
第一洗浄槽101の底面に超音波発振装置115を設け、50kHzから300kHzの間で変化させながら廃蛍光管のガラスカレット(240g)を3分程度超音波洗浄することにより該ガラスカレットに付着した水銀、蛍光粉はほとんど剥離除去(分離除去)される。
【0069】
第二洗浄槽102は、貯水タンク500から供給される純水を該第二洗浄槽102に供給するための導管60と、第一洗浄槽から運ばれた廃蛍光管のガラスカレットを接続口12に運ぶためのベルトコンベア120と、該ガラスカレットを水中で攪拌させための攪拌手段としてエア噴出口126と、排水バルブ65とを備える。
【0070】
エア噴出口126は、例えば第二洗浄槽102の底面及び又は側面に設置するが、該エア噴出口126をどこに、いくつ設置するかは適宜選択し得る。図3においては第二洗浄槽102の底面及び側面に設置されている(図3参照)。該エア噴出口126より空気を噴出させることにより廃蛍光管のガラスカレットを洗浄水中で攪拌させ、バブリング洗浄を行う。これにより、上記第一洗浄槽101において洗浄されたガラスカレットに付着した水銀、蛍光粉をさらに除去することが可能となる。さらに、上記第一洗浄槽101において廃蛍光管のガラスカレットから剥離された水銀、蛍光粉が該ガラスカレットに再付着する場合もあり、これも除去することが可能となる。
【0071】
ベルトコンベア120は、第一洗浄槽101から運ばれた廃蛍光管のガラスカレットを接続口12に運ぶために設けるが、形状については問わない。図3のような形状のベルトコンベア120を設ける場合には、例えば縦方向に廃蛍光管のガラスカレットを運ぶことが可能となるようにベルト部分に図3に示すような突起物を設ける。この場合、該突起物とベルトとの鋭角部分側の間に廃蛍光管のガラスカレットが貯まり、該ガラスカレットを縦方向に運ぶことが可能となる。なお、ベルトコンベア120のベルト部分は、図3の矢印の示す方向に進む。さらに、ベルトコンベア120のベルトはバブリング洗浄の効果を高めるため網状にする事が望ましい。
【0072】
また、ベルトコンベア120の幅を第二洗浄槽102の幅に合わせることにより、廃蛍光管のガラスカレットがベルトコンベア120の下に落ちることを防ぐ必要がある。上記バブリング洗浄により該ガラスカレットは攪拌されるからである。また、他の方法により該ガラスカレットがベルトコンベア120の下に落ちることを防いでもよい。
【0073】
例えば図3のようにガイド127を、ベルトコンベア120に向かって、傾斜を持たせて第二洗浄槽102のベルトコンベア120のない側面3面に取り付けることにより、該ガラスカレットはガイド127の傾斜によりベルトコンベア120上に落ちることになる。
【0074】
また、例えば図3のように網状カゴ125を第一洗浄槽101から運ばれた廃蛍光管のガラスカレットが投入されるとともに、該網状カゴの底面の最下部がベルトコンベア上にあるように設けることにより、かつ、該網状カゴ125に投入された該ガラスカレットについてバブリング洗浄を行い、底面の最下部を開放することにより該ガラスカレットはベルトコンベア120上に落ちることになる。なお、ガイド127、網状カゴ125は第一洗浄槽101にも設けても良い。
【0075】
そして、排水バルブ65が開くと、洗浄後水は該排水バルブ65から導管を通り、廃水タンク300に運ばれる。
【0076】
第二洗浄槽102での廃蛍光管のガラスカレットについての洗浄処理は例えば、以下のように行う。
【0077】
第一洗浄槽101から廃蛍光管のガラスカレットが運ばれると、導管60から一定量の純水が洗浄水として供給され、さらにエア噴出口126から一定時間(例えば、2分から5分)空気が噴出され、該ガラスカレットがバブリング洗浄される。その後、洗浄水は洗浄後水として排水バルブ65より排出される。その後、ベルトコンベア120により接続口12へと運ばれる。
【0078】
なお、洗浄水の純水の水温は、適宜決定し得るが、例えば4℃から5℃にする。前記純水の水温を調節するには例えば貯水タンク500又は導管60の途中に冷却装置(図示せず)等の温度調節装置を設け水温をコントロールする。
【0079】
また、バブリング洗浄に際し、エア噴出口126から噴出する空気の量及び洗浄時間についても適宜決定し得る。
【0080】
なお、第一洗浄部100は上記のような第一洗浄槽101と第二洗浄槽102とを備える場合に限らない。
【0081】
第一洗浄槽101は、超音波発振装置、エア噴出口のうちの少なくとも一つを備え、第二洗浄槽102は、超音波発振装置、エア噴出口のうちの少なくとも一つを備え、前記第一洗浄槽101及び前記第二洗浄槽102のうちの少なくとも一方は、超音波発振装置とともに必要に応じて攪拌装置を備えていればよい。例えば、第一洗浄槽101に第二洗浄層102と同様のエア噴出口を適宜設けて、超音波洗浄と同時にバブリング洗浄を行っても良い。また、第二洗浄槽102に第一洗浄槽101と同様の超音波発振装置を適宜設けて、バブリング洗浄と同時に超音波洗浄を行っても良い。さらに、第二洗浄槽102にエア噴出口126の換わりに第一洗浄槽101と同様の超音波発振装置を適宜設けて、超音波洗浄のみを行っても良い。超音波発振装置、エア噴出口の設置箇所及び数量は適宜決定すればよい。さらに、エア噴出口126の代わりに攪拌装置等の、他の攪拌手段を第一洗浄槽101及び又は第二洗浄槽102に設け(図示せず、設置場所は適宜決定する)、前記ガラスカレットを水中で攪拌して超音波洗浄を行うことにより洗浄効果を高めることが出来る。また、第一洗浄槽101及び第二洗浄槽102のうちのいずれか一方に超音波発振装置を設けても良い。なお、攪拌装置はエア噴出口126による攪拌手段以外の攪拌手段であり、ガラスカレットを水中で攪拌させるための装置である。また、攪拌装置を設ける場合にも前記エア噴出口126と同様の網状カゴ125又はガイド127を洗浄槽に設けることが望ましい。
【0082】
第一洗浄槽101及び第二洗浄槽102両者で超音波洗浄を行う場合、例えば第一洗浄槽101で使用する超音波の周波数を50kHzから300kHzの間で変化させ、第二洗浄槽102では該周波数を50kHz以下もしくは300kHz以上の一定の周波数、または50kHz以下もしくは300kHz以上で変化する周波数とする。また、例えば第一洗浄槽101で使用する超音波の周波数を50kHz以下もしくは300kHz以上の一定の周波数、または50kHz以下もしくは300kHz以上で変化する周波数として、第二洗浄槽102では該周波数を50kHzから300kHzの間で変化させる。さらに、例えば、第一洗浄槽101及び第二洗浄槽102で使用する超音波の周波数を両者とも、50kHzから300kHzの間で変化させる。さらにまた、第二洗浄槽102でのみ超音波洗浄を行う場合、超音波の周波数を50kHzから300kHzの間で変化させることにより、さらに洗浄効果を高めることが可能となる。これらの場合に第一洗浄槽101及び又は第二洗浄槽102においてバブリング洗浄を加えることにより、さらに洗浄効果を高めることが可能となる。さらに例えば、洗浄水である純水の水温を4℃から5℃とし、洗浄時間はそれぞれ廃蛍光管のガラスカレット20kgに対して3分から5分行う。なお、上記第一洗浄槽101及び第二洗浄槽102で発振させる超音波の周波数、純水の水温、洗浄時間は前記の例に限らず、適宜決定し得る。
【0083】
また、第一洗浄部100は、上記のように二つの洗浄槽でなくとも上記第一洗浄槽101、第ニ洗浄槽102と同様の一の洗浄槽又は三以上の洗浄槽を備えていても良い。ただし、超音波洗浄を行うことが出来る洗浄槽を少なくとも一つは備えることが条件となる。
【0084】
第一洗浄部100に一の洗浄槽を設ける場合、該洗浄槽に超音波発振装置を例えば底面に設け、超音波洗浄に使用する超音波の周波数を例えば50kHzから300kHzの間で変化させることで、洗浄効果を高めることが出来る。また、洗浄水である純水の水温を例えば4℃から5℃とする。さらにエア噴出口を設け、バブリング洗浄を行うことで洗浄効果を高めることが出来る。また、エア噴出口の代わりに攪拌装置を設けてガラスカレットを水中で攪拌させて、洗浄効果を高めても良い。洗浄時間は例えば、廃蛍光管のガラスカレット20kgに対して2分から5分行う。なお、上記使用する超音波の周波数、純水の水温、洗浄時間は前記の例に限らず、適宜決定し得る。洗浄時間はガラスカレットの量によって変化する。
【0085】
第一洗浄部100に三以上の洗浄槽を設ける場合、該洗浄槽それぞれに超音波発振装置を例えば底面に設け、超音波洗浄に使用する超音波の周波数を例えば、第一の洗浄槽については3000kHzから5000kHz、第二の洗浄槽については800kHzから1000kHz、第三の洗浄槽については300kHz前後とし、洗浄水である純水の水温を例えば4℃から5℃とすることで、洗浄効果を高めることが出来る。さらに超音波の周波数を変化させる。さらにエア噴出口を設け、バブリング洗浄を行うことで洗浄効果を高めることが出来る。また、エア噴出口の代わりに攪拌装置を設けてガラスカレットを水中で攪拌させて、洗浄効果を高めても良い。洗浄時間はそれぞれ廃蛍光管のガラスカレット20kgに対して2分から5分行う。なお、上記使用する超音波の周波数、純水の水温、洗浄時間は前記の例に限らず、適宜決定し得る。洗浄時間はガラスカレットの量によって変化する。
【0086】
図4及び図5のように第二洗浄部200は、接続口12から投入された第一洗浄部100で洗浄されたガラスカレットを排出口205まで運ぶための回転スクリュー羽根114と、回転可能な回転ドラム111と、回転ドラム受軸112と、回転ドラム歯車113と、胴体150と、導管70と、排水バルブ75と、排出口205とを備える。なお、上記第一洗浄部100において廃蛍光管のガラスカレットに付着した水銀、蛍光粉は略完全に剥離・除去(分離除去)されるが、第二洗浄部200は、該ガラスカレットに残存する水銀、蛍光粉を剥離・除去(分離除去)するとともに、前記剥離された水銀、蛍光粉が該ガラスカレットに再付着する場合もありこれを除去する。すなわち第二洗浄部200によりガラスカッレットの洗浄が略完全なものとなる。
【0087】
胴体150は、第二洗浄部200の胴体を形成するもので、その形状は図4及び図5のような略円筒状に限らず、回転ドラム111を内部に収納できるような、内部が空洞となっている三角柱、四角柱等の多角柱のような形状でも良い。図4及び図5において、胴体150及び回転ドラム111は、胴体150を外筒、回転ドラム111を内筒として同軸上に設けられている。
【0088】
回転ドラム111についても、形状は胴体150同様に特に略円筒状(図4及び図5参照)に限らず、該回転ドラム111は胴体150の内部に設けられている。ここで回転ドラム111は回転ドラム受軸112及び回転ドラム歯車113を用い回転可能に胴体150の内部に設けられている。回転ドラム111の回転数は例えば一分間に3から5回転とする他、適宜設定し得る。さらに回転ドラム111が回転することにより内部のガラスカレットは天地返し(攪拌)される。
【0089】
また、回転ドラム111の内壁には、接続口12側の一端から排出口205側の多端にかけて、一又は複数のらせん状の回転スクリュー羽根114が設けられている(図4及び図5参照)。該回転スクリュー羽根114は、回転ドラム111を回転させることで投入されたガラスカレットを投入口12側から排出口205側に運ぶ事を可能とすること等を目的として設けられる。
【0090】
また、回転ドラム111は、洗浄水を該回転ドラム111の外部に出すために網目状になっており、これにより洗浄に用いられた洗浄水が回転ドラム111の下部に流れ、胴体150内部の下部に貯まる。該胴体150の内部の下部に貯まった洗浄水は随時又は一定間隔で排水バルブ75及び導管により廃水タンク300に運ばれる。
【0091】
導管70は、回転ドラム111の接続口12側の一端から該回転ドラム111の内部に導入されている(図4及び図5参照)。そして、導管70は貯水タンク500より供給される洗浄水(純水)を噴射する噴出口を備える(図4参照)。
【0092】
また、導管70の途中には超音波発生装置または高圧ポンプ等が設けられ(図示せず)、導管70の供給する洗浄水(純水)に超音波または圧力がかけられ、導管70の備える噴出口から超音波洗浄水または高圧水として噴出される。すなわち、接続口12から投入されたガラスカレットは回転ドラム111内で超音波バブル洗浄または高圧水洗浄により洗浄される。なお、超音波洗浄水の水温は、適宜決定し得るが、例えば4℃から10℃にすることで洗浄効果効果が上がる。前記純水の水温を低温とするには例えば貯水タンク500又は導管70の途中に冷却装置(図示せず)等を設け水温をコントロールする。また、前記超音波の周波数は例えば300kHzから1000kHzの間を変化させることで洗浄効果を上がるが、周波数は適宜決定し得る。
【0093】
第二洗浄部200での廃蛍光管のガラスカレットについての洗浄処理は例えば、以下のように行う。
【0094】
回転ドラム111が回転中に、接続口12からガラスカレットが該回転ドラム111に投入されると、該ガラスカレットは、回転スクリュー羽根114により接続口12側から排出口205に向かって該回転ドラム111の内部を天地返し(攪拌)されながら移動する。そして、移動中において、該ガラスカレットは導管70の備える噴出口から噴出される超音波洗浄水または高圧水により超音波バブル洗浄または高圧水洗浄される。このため、該ガラスカレットに水銀、蛍光粉が再付着するのを防ぐことが可能となる。そして、該ガラスカレットは超音波バブル洗浄または高圧水洗浄後、排出口205から排出される。また、洗浄水は胴体150の下部に貯まり排出バルブ75及びこれにつながる導管(図示せず)により廃水タンク300に運ばれる。
【0095】
次に、廃蛍光管のガラスカレットであって、水銀及び蛍光粉が付着したがガラスカレット(蛍光管の略95%を締める部分)と、水銀、蛍光粉及び鉛が付着したガラスカレット(蛍光管の電極から略5cmの部分)とのうち、水銀、蛍光粉及び鉛が付着したガラスカレットを処理する場合について説明する。
【0096】
この場合、図1において濾過装置400と水銀抽出装置20の間に鉛除去装置を設け、濾過装置400から排出される廃液から鉛を除去し、該鉛を除去した廃液を水銀抽出装置20に運ぶことが必要になる。鉛除去装置は一般的なものを使用する。その他の装置等については、上記水銀及び蛍光粉が付着したガラスカレットを処理する場合と同様なので説明を省略する。
【0097】
次に、本発明を実施するための別の形態(第二の実施形態)について説明する。この場合、洗浄の対象となるのが、破砕されたプラスチック(例えば、硬質塩化ビニル、軟質塩化ビニル、ポリエチレン、フィルム等)または破砕された金属等になり、前記プラスチックに付着した物質(例えば、埃、ごみ等)または前記金属に付着した重金属(水銀等)等を除去することが目的となる。
【0098】
洗浄装置については上記第一の実施形態と同様のもので洗浄が可能となり、上記第一の実施形態と同様の洗浄効果が得られるが、濾過装置400から排出された廃液については廃液に含まれる成分により適宜処理される。洗浄時間や純水の水温、超音波の周波数等は適宜決定し得る。水銀等が付着した金属については、上記洗浄装置、洗浄処理プラントと同様のものを使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】洗浄処理プラントの一例についての概略ブロック図である。
【図2】洗浄処理プラントが備える洗浄装置の概略図である。
【図3】洗浄装置が備える第一洗浄部の概略構成の一例である。
【図4】洗浄装置が備える第二洗浄部の概略構成の一例である。
【図5】図4でのA−A´線略断面図である。
【符号の説明】
【0100】
1 洗浄処理プラント
10 洗浄装置
11 投入口
12 接続口
13 ベルトコンベア
14 排水バルブ
15 コンベアモータ
16 操作盤
17 ストレーナー
20 水銀抽出装置
50 導管
55 排水バルブ
60 導管
65 排水バルブ
70 導管
75 排水バルブ
90 ドラム缶
100 第一洗浄部
101 第一洗浄槽
102 第二洗浄槽
110 ベルトコンベア
111 回転ドラム
112 回転ドラム受軸
113 回転ドラム歯車
114 回転スクリュー羽根
115 超音波発振装置
120 ベルトコンベア
125 網状カゴ
126 エア噴出口
127 ガイド
150 胴体
200 第二洗浄部
205 排出口
300 廃水タンク
400 濾過装置
500 貯水タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃蛍光管のガラスカレットを洗浄する第一洗浄部及び該第一洗浄部の後方に配置した第二洗浄部を備え、さらに前記ガラスカレットが第一洗浄部から第二洗浄部に移動可能な移動手段を備える洗浄装置であって、
前記第一洗浄部は、純水を洗浄水として上記ガラスカレットを超音波洗浄して大部分の有害物質を分離除去するために、該ガラスカレットを投入する洗浄槽と、該洗浄槽に設置した超音波発振手段と、該洗浄槽に純水を供給する純水供給手段と、該ガラスカレットを攪拌する攪拌手段とのうちの少なくとも前記洗浄槽と、前記超音波発振手段と、前記純水供給手段とを備え、
前記第二洗浄部は、純水を洗浄水として前記ガラスカレットに付着する残余の有害物質を分離除去するために、該ガラスカレットを投入する回転ドラムと、該回転ドラム内に設置した純水を超音波により噴出させる又は高圧水として噴出させる噴出手段とを備え、
さらに、前記洗浄装置は前記第一洗浄部及び前記第二洗浄部で用いられた洗浄水を回収して濾過することにより純水及び廃液に分別し、該純水を前記第一洗浄部及び前記第二洗浄部に供給する濾過手段を備えることを特徴とする純水を用いた洗浄装置。
【請求項2】
前記第二洗浄部は、純水を洗浄水として超音波により噴出させる又は高圧水として噴出させる噴出口を設けた導管と、該導管に設けられた超音波発振装置又は高圧ポンプと、前記噴出口を設けた導管が内部に導入されており内面にらせん状の回転スクリュー羽根を備えた網目状の回転ドラムと、該回転ドラムから洗浄水を回収可能な胴体とを備えることを特徴とする請求項1記載の純水を用いた洗浄装置。
【請求項3】
前記濾過手段は逆浸透膜を用いた濾過装置を備えることを特徴とする請求項1または2記載の純水を用いた洗浄装置。
【請求項4】
前記第一洗浄部は、第一洗浄槽と第二洗浄槽とを備え、さらに前記ガラスカレットが第一洗浄槽から第二洗浄槽に移動可能な移動手段を備え、
前記第一洗浄槽は、超音波発振装置、エア噴出口のうちの少なくとも一つと、純水を洗浄水として供給する純水供給手段とを備え、
前記第二洗浄槽は、超音波発振装置、エア噴出口のうちの少なくとも一つと、純水を洗浄水として供給する純水供給手段とを備え、
前記第一洗浄槽及び前記第二洗浄槽のうちの少なくとも一方に超音波発振装置とともに必要に応じて攪拌装置を備えることを特徴とする請求項1、2または3記載の純水を用いた洗浄装置。
【請求項5】
前記第一洗浄部での純水の水温は4℃から5℃であること、前記第二洗浄部での純水の水温は4℃から10℃であること、前記第一洗浄部での超音波の周波数は50kHzから300kHzの間で変化すること、前記第二洗浄部での超音波の周波数は300kHzから1000kHzの間で変化することのうちのいずれか一つを満たすことを特徴とする請求項1、2または3記載の純水を用いた洗浄装置。
【請求項6】
前記第一洗浄槽及び第二洗浄槽での純水の水温は4℃から5℃であること、前記第二洗浄部での純水の水温は4℃から10℃であること、前記第一洗浄槽での超音波の周波数は50kHzから300kHzの間で変化し、前記第二洗浄槽での超音波の周波数は50kH以下もしくは300kHz以上で変化するか50kHzから300kHzの間で変化すること、前記第二洗浄部での超音波の周波数は300kHzから1000kHzの間で変化することのうちのいずれか一つを満たすことを特徴とする請求項4記載の純水を用いた洗浄装置。
【請求項7】
水銀等が付着した破砕された金属及び廃蛍光管のガラスカレットを洗浄処理するための洗浄処理プラントであって、請求項1ないし6記載の洗浄装置と、該洗浄装置により排出される廃液からリサイクル可能な水銀、蛍光粉、鉛のうち少なくとも水銀を分別回収するため、鉛除去装置及び水銀抽出装置のうち少なくとも水銀抽出装置とを備えることを特徴とする純水を用いた洗浄処理プラント。
【請求項8】
破砕された金属または破砕されたプラスチック等を洗浄することを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載の純水を用いた洗浄装置。
【請求項9】
破砕された金属、破砕されたプラスチックまたは廃蛍光管のガラスカレット等の洗浄方法であって、
洗浄水を純水として前記ガラスカレット等について超音波洗浄及びバブリング洗浄のうち少なくとも超音波洗浄を行うステップと、
洗浄水を純水として前記超音波洗浄後のガラスカレット等について超音波バブル洗浄または高圧水洗浄を行うステップとを備え、さらに
前記超音波洗浄及びバブリング洗浄のうちの少なくとも超音波洗浄と、前記超音波バブル洗浄または前記高圧水洗浄とで使用された洗浄水を回収後、逆浸透膜を備えた濾過装置により濾過し、純水及び廃液に分別し、さらに該純水を、前記超音波洗浄及びバブリング洗浄のうちの少なくとも超音波洗浄と、前記超音波バブル洗浄または前記高圧水洗浄とに用いる洗浄水として供給するステップを備えることを特徴とする純水を用いた洗浄方法。
【請求項10】
前記超音波洗浄及び前記バブリング洗浄での純水の水温は4℃から5℃であること、前記超音波バブル洗浄及び前記高圧水洗浄での純水の水温は4℃から10℃であること、前記超音波洗浄での超音波の周波数は50kHzから300kHzの間で変化すること、前記超音波バブル洗浄での超音波の周波数は300kHzから1000kHzの間で変化することのうちのいずれか一つを満たすことを特徴とする請求項9記載の純水を用いた洗浄方法。
【請求項11】
水銀等が付着した破砕された金属及び廃蛍光管のガラスカレットの洗浄処理方法であって、
洗浄水を純水として前記ガラスカレット等について超音波洗浄及びバブリング洗浄のうち少なくとも超音波洗浄を行うステップと、
洗浄水を純水として該超音波洗浄後のガラスカレット等について超音波バブル洗浄または高圧水洗浄を行うステップとを備え、かつ、
前記超音波洗浄及びバブリング洗浄のうちの少なくとも超音波洗浄と、前記超音波バブル洗浄または前記高圧水洗浄とで使用された洗浄水を回収後、逆浸透膜を備えた濾過装置により濾過し、純水及び廃液に分別し、さらに該純水を、前記超音波洗浄及びバブリング洗浄のうちの少なくとも超音波洗浄と、前記超音波バブル洗浄または前記高圧水洗浄とに用いる洗浄水として供給するとともに、前記廃液から、必要に応じて鉛除去装置を用いてリサイクル可能に鉛を取り出し、さらに水銀抽出装置によりリサイクル可能に水銀及び蛍光粉のうちの少なくとも水銀を取り出すステップを備えることを特徴とする純水を用いた洗浄処理方法。
【請求項12】
前記超音波洗浄及び前記バブリング洗浄での純水の水温は4℃から5℃であること、前記超音波バブル洗浄及び前記高圧水洗浄での純水の水温は4℃から10℃であること、前記超音波洗浄での超音波の周波数は50kHzから300kHzの間で変化すること、前記超音波バブル洗浄での超音波の周波数は300kHzから1000kHzの間で変化することのうちのいずれか一つを満たすことを特徴とする請求項11記載の純水を用いた洗浄処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−205138(P2006−205138A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24603(P2005−24603)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(505039608)
【出願人】(505039044)株式会社セン総合企画 (1)
【出願人】(505039055)協同組合エコリサイクルセンター (1)
【Fターム(参考)】