紙葉類処理装置
【課題】識別対象物を正確に読取ることが可能な紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】紙幣処理装置1は、識別対象物に対して光を照射する第1発光部8aと、第1発光部8aからの光を受光する第1受光部8bと、を有する第1センサ8と、第1発光部8aとは異なる照射方向で光を照射する第2発光部88aと、第2発光部88aからの光を受光する第2受光部88bと、を有する第2センサ88とを備えている。
【解決手段】紙幣処理装置1は、識別対象物に対して光を照射する第1発光部8aと、第1発光部8aからの光を受光する第1受光部8bと、を有する第1センサ8と、第1発光部8aとは異なる照射方向で光を照射する第2発光部88aと、第2発光部88aからの光を受光する第2受光部88bと、を有する第2センサ88とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣、カード、クーポン券等(以下、これらを紙葉類と総称する)の真贋判定が行える紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、紙葉類処理装置の一態様である紙幣処理装置は、利用者によって紙幣挿入口から挿入された紙幣の有効性を識別し、有効と識別された紙幣価値に応じて、各種の商品やサービスを提供するサービス機器、例えば遊技場に設置されている遊技媒体貸出機、或いは、公共の場に設置されている自動販売機や券売機等に組み込まれている。
【0003】
また、最近では、例えば、遊技場等において、紙幣と同様な経済的価値を有するクーポン券等を発行し、これを、紙幣を取扱う紙幣処理装置で処理させることが行われている。このようなクーポン券として、特定の紙幣(一般的に米ドル札)と同じ大きさに形成された紙葉(感熱紙)に対して、サーマルプリンタなどで、バーコードを印刷したもの(バーコード付きクーポン券)が知られており、利用者は、紙幣を処理する紙幣処理装置に対して、紙幣と同様、発行されたバーコード付きクーポン券を紙幣挿入口に挿入することで、紙幣と同様なサービスを受けることが可能となっている。
【0004】
ところで、このような利用態様では、上記した紙幣処理装置は、紙幣の真贋を判定でき、かつ、そのようなバーコード付き紙葉の真贋を判定できる構成でなければならない。このような紙幣処理装置として、例えば、特許文献1には、紙幣挿入口に挿入された紙幣、或いはバーコード付き紙葉を読取るセンサ装置を紙幣搬送経路に設置した構成が開示されている。
【0005】
このセンサ装置は、搬送路に沿って併設された光学センサを備えており、各光学センサは、発光ダイオードと受光トランジスタがケース内で並行に設置された構造で、それぞれ紙幣の裏面及び表面で反射した光を受光するよう構成されている。
【特許文献1】特許第3320806号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した紙幣処理装置では、並設されている光学センサの各発光ダイオードを同時に発光すると、受光トランジスタで受光する際に、互いの光の影響を受けてしまい、紙葉を正確に読取ることができない可能性がある。
【0007】
本発明は、上記した事情に着目してなされたものであり、識別対象物を正確に読取ることが可能な紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載された紙葉類処理装置は、識別対象物に対して光を照射する第1発光部と、前記第1発光部からの光を受光する第1受光部と、を有する第1センサと、前記第1発光部とは異なる照射方向で光を照射する第2発光部と、前記第2発光部からの光を受光する第2受光部と、を有する第2センサと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記した構成の紙葉類処理装置によれば、第1センサ及び第2センサによる検出結果に基づいて搬送路に搬送される識別対象物の真贋を判定することが可能となる。この場合、第1センサの第1発光部と、第2センサの発光部は、その照射方向が異なっているため、第1受光部及び第2受光部で光を受光する際、光の干渉が抑制され、識別対象物を正確に読取ることが可能となる。
【0010】
また、請求項2に係る発明においては、前記識別対象物が搬送される搬送路を備え、前記搬送路は、第1搬送路と、前記第1搬送路に対して所定角度傾斜する第2搬送路とを有し、前記第1搬送路に第1センサを、前記第2搬送路に第2センサを設置したことを特徴とする。
【0011】
この様な構成によれば、第2搬送路は、第1搬送路に対して屈曲しているため、第2搬送路に第2センサを設置することで、容易に第1センサの第1発光部と、第2センサの第2発光部の照射方向を変えることが可能となる。
【0012】
また、請求項3に係る発明においては、前記識別対象物を搬送移動する搬送機構と、前記搬送機構を制御する制御手段と、を備えており、前記第2センサは、前記搬送路において、識別対象物の存在を検知する機能を備え、前記制御手段は、前記第2センサの検知結果と、前記搬送機構により識別対象物が移動され、第2センサを通過する時間とに基づいて、前記搬送機構の動作を無効にすることを特徴とする。
【0013】
このような構成においては、第2センサによって、識別対象物が移動した際、その部分の通過時間を特定することが可能である。この第2センサは識別対象物の存在を検知しており、第2センサにおいて、特定されている通過時間が経過しても識別対象物の存在が検知されれば、搬送機構の動作が無効化される。このため、識別対象物の詰まりを検出したり、識別対象物の引き抜き行為等の不正行為を効果的に防止することができる。
【0014】
また、請求項4に係る発明においては、前記識別対象物を搬送移動する搬送機構と、前記搬送機構を制御する制御手段と、を備えており、前記制御手段は、前記第2センサによって、前記第1センサで読取った識別対象物を一旦停止させるエスクロ位置に停止した識別対象物の移動が検知された場合、前記搬送機構の動作を無効にすることを特徴とする。
【0015】
このような構成では、第1センサで識別対象物の読取りが終了した後、識別対象物は下流側に搬送され、エスクロ位置で所定の処理が成されるまで停止される。この状態で、第2センサが識別対象物の移動を検知すると、引き抜き行為などの不正な処理が実行されたものとして、搬送機構の動作の無効処理を実行する。すなわち、識別対象物がエスクロ位置に停止している状態では、不正行為が行われ易いが、このエスクロ位置において、第2センサによって識別対象物の移動を検知したときに搬送機構の動作を無効にすることで、不正行為を確実に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、識別対象物を正確に読取ることが可能な紙葉類処理装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0018】
図1から図5は、本発明に係る紙葉類処理装置を適用した紙幣処理装置の構成を示す図であり、図1は、全体構成を示す斜視図、図2は、開閉部材を装置本体の本体フレームに対して開いた状態を示す斜視図、図3は、挿入口から挿入される紙幣の搬送経路を概略的に示した右側面図、図4は、紙幣収容部に配設される押圧板を駆動するための動力伝達機構の概略構成を示す右側面図、そして、図5は、紙幣搬送機構を駆動するための駆動源及び駆動力伝達機構の概略構成を示す左側面図である。
【0019】
本実施形態の紙幣処理装置1は、例えば、スロットマシン等の各種の遊技機に組み込み可能に構成されており、装置本体2と、この装置本体2に設けられ、多数の紙幣などを積層、収容することが可能な収容部(収容スタッカ;金庫)100とを備えている。この収容部100は、装置本体2に対して着脱可能であっても良く、例えば、図示されていないロック機構が解除された状態で、前面に設けられた取っ手101を引くことで、装置本体2から取り外すことが可能となっている。
【0020】
上記した紙幣処理装置1は、紙幣の他に、紙幣と等価値を有するバーコードを印刷した紙葉を処理する構成となっている。このようなバーコードを印刷した紙葉は、専用のプリンタによって、紙幣と同サイズの紙に、価値情報(紙幣の金額に相当する情報)や発効日情報、発行場所情報等の各種情報を含んだバーコードを印刷することで作成され、紙幣処理装置1は、後述する紙幣読取手段によって、紙幣の真贋を識別すると共に、そのようなバーコードが印刷された紙葉の真贋を識別するようになっている。すなわち、紙幣処理装置1は、専用のバーコードが印刷された紙葉についても、紙幣と同様に取り扱い処理できるように構成されている。
【0021】
前記装置本体2は、図2に示すように、本体フレーム2Aと、本体フレーム2Aに対して一端部を回動中心として開閉されるように構成された開閉部材2Bとを有している。そして、これら本体フレーム2A及び開閉部材2Bは、図3に示すように、開閉部材2Bを本体フレーム2Aに対して閉じた際、両者の対向部分に紙幣が搬送される隙間(紙幣搬送路3)が形成されると共に、両者の前面露出側に、前記紙幣搬送路3に一致するようにして、紙幣挿入口5が形成されるよう構成されている。なお、前記紙幣挿入口5は、紙幣の短い辺側から装置本体2の内部に挿入できるようにスリット状の開口となっている。
【0022】
また、前記装置本体2内には、前記紙幣搬送路3に沿って、紙幣を搬送する紙幣搬送機構6と、紙幣挿入口5に挿入された紙幣を検知する挿入検知センサ7と、挿入検知センサ7の下流側に設置され、搬送状態にある紙幣やバーコードが印刷された紙葉の情報を読取る紙幣読取手段(第1センサ)8と、この紙幣読取手段8に対して、紙幣を正確に位置決めして搬送するスキュー補正機構10と、紙幣がスキュー補正機構を構成する一対の可動片を通過したことを検知する可動片通過検知センサ12と、搬送される紙葉のバーコードが前記紙幣読取手段8で読めなかったとき、すなわち印刷面が上面側となるように挿入された紙葉のバーコードの読取りを可能にするバーコードセンサ(第2センサ)88と、紙幣が紙幣収容部100に排出されたことを検知する排出検知センサ18とが設けられている。
【0023】
以下、上記した各構成部材について、詳細に説明する。
前記紙幣搬送路3は、紙幣挿入口5から奥側に向けて延出しており、第1搬送路3Aと、前記第1搬送路3Aから下流側に向けて延出し、第1搬送路3Aに対して所定角度、下方側に向けて傾斜した第2搬送路3Bとを備えている。この第2搬送路3Bの下流側は、鉛直方向に向けて屈曲しており、その下流側端部には、紙幣収容部100に紙幣を排出する排出口3aが形成されて、ここから排出される紙幣は、鉛直方向に向けて、紙幣収容部100の導入口(受入口)103に送り込まれる。
【0024】
前記紙幣搬送機構6は、紙幣挿入口5から挿入された紙幣を挿入方向に沿って搬送可能にすると共に、挿入状態にある紙幣を紙幣挿入口5に向けて差し戻し搬送可能とする機構である。この紙幣搬送機構6は、装置本体2内に設置された駆動源であるモータ13(図5参照)と、このモータ13によって回転駆動され、紙幣搬送路3に紙幣搬送方向に沿って所定間隔おいて配設される搬送ローラ対(14A,14B)、(15A,15B)、(16A,16B)、及び(17A,17B)を備えている。
【0025】
前記搬送ローラ対は、紙幣搬送路3に一部が露出するように設置されて、いずれも紙幣搬送路3の下側に設置される搬送ローラ14B,15B,16B及び17Bがモータ13によって駆動されるローラとなっており、上側に設置される搬送ローラ14A,15A,16A及び17Aが、これらのローラに対して従動するピンチローラとなっている。なお、紙幣挿入口5から挿入された紙幣を最初に挟持して奥側に搬送する搬送ローラ対(14A,14B)は、図2に示すように、紙幣搬送路3の中心位置に1箇所設置されており、その下流側に順次配置される搬送ローラ対(15A,15B)、(16A,16B)、及び(17A,17B)については、紙幣搬送路3の幅方向に沿って、所定間隔をおいて2箇所設置されている。
【0026】
また、上記した紙幣挿入口5の近傍に配置される搬送ローラ対(14A,14B)については、通常は、上側の搬送ローラ14Aが下側の搬送ローラ14Bから離間した状態となっており、紙幣の挿入が挿入検知センサ7によって検知されると、上側の搬送ローラ14Aが下側の搬送ローラ14Bに向けて駆動され、挿入された紙幣を挟持するようになっている。
【0027】
すなわち、上側の搬送ローラ14Aについては、駆動源であるローラ昇降用モータ70(図6参照)によって、下側の搬送ローラ14Bに対して、当接/離間するように駆動制御される。この場合、スキュー補正機構10によって、挿入された紙幣の傾きを無くし紙幣読取手段8に対して位置合わせする処理(スキュー補正処理)が行われる際には、上側の搬送ローラ14Aは、下側の搬送ローラ14Bから離間して紙幣に対する負荷を解除し、スキュー補正処理が終了すると、再び、上側の搬送ローラ14Aが下側の搬送ローラ14Bに向けて駆動され、紙幣を挟持する。なお、駆動源については、モータ以外にもソレノイド等によって構成されていても良い。
【0028】
また、前記スキュー補正機構10は、スキューの補正を果たす左右一対の可動片10A(片側のみ図示)を備えており、スキュー補正機構用のモータ40を駆動することで、左右一対の可動片10Aを接近するように移動させ、これにより、紙幣に対するスキューの補正処理が成される。
【0029】
上記した紙幣搬送路3の下側に設置される搬送ローラ14B,15B,16B及び17Bは、図5に示すように、モータ13、及び各搬送ローラの駆動軸の端部に設置されるプーリ14C,15C,16C及び17Cを介して回転駆動される。すなわち、モータ13の出力軸には、駆動プーリ13Aが設置されており、上記した各搬送ローラの駆動軸の端部に設置されるプーリ14C,15C,16C及び17Cには、駆動プーリ13Aとの間で駆動ベルト13Bが巻回されている。なお、駆動ベルト13Bには、適所にテンションプーリが係合しており、弛みを防止している。
【0030】
上記した構成により、モータ13が正転駆動されると、前記搬送ローラ14B,15B,16B及び17Bは同期して正転駆動され、紙幣を挿入方向に向けて搬送し、モータ13が逆転駆動されると、前記搬送ローラ14B,15B,16B及び17Bは同期して逆転駆動され、紙幣を紙幣挿入口5側に向けて搬送する。
【0031】
前記挿入検知センサ7は、紙幣挿入口5に挿入された紙幣を検知した際に検知信号を発生するものであり、この検知信号が発せられると、モータ13が正転駆動され、紙幣を挿入方向に向けて搬送する。本実施形態の挿入検知センサ7は、搬送ローラ対(14A,14B)と、スキュー補正機構10との間に設置されており、光学式のセンサ、例えば、回帰反射型フォトセンサによって構成されているが、それ以外にも、機械式のセンサによって構成されていても良い。
【0032】
また、前記可動片通過検知センサ12は、紙幣の先端が、スキュー補正機構10を構成する左右一対の可動片10Aを通過したことを検知した際に検知信号を発生するものであり、この検知信号が発せられると、モータ13の駆動が停止され、スキュー補正処理が成される。本実施形態の可動片通過検知センサ12は、前記紙幣読取手段8の上流側に設置されており、前記挿入検知センサと同様、光学式のセンサや機械式のセンサによって構成される。
【0033】
また、前記排出検知センサ18は、通過する紙幣の後端を検知して、紙幣が紙幣収容部100に排出されたことを検知するものであり、第2搬送路3Bの下流側において、紙幣収容部100の受入口103の直前に配設されている。排出検知センサ18から検知信号が発せられると、モータ13の駆動が停止され、紙幣の搬送処理が終了する。この排出検知センサ18についても、前記挿入検知センサと同様、光学式のセンサや機械式のセンサによって構成される。
【0034】
前記紙幣読取手段(第1センサ)8は、スキュー補正機構10によってスキューが補正された状態で搬送される紙幣(バーコードが印刷された紙葉)について、その紙幣情報(バーコード情報)を読取り、その有効性(真贋)を識別する。本実施形態では、紙幣読取手段8は、搬送される紙幣(バーコードが印刷された紙葉)の両面側から光を照射し、その透過光と反射光を受光素子で検知することで読取を行うラインセンサを備えた構成になっており、上記した第1搬送路3Aに設置されている。
【0035】
本実施形態に係る紙幣の真贋識別処理は、その識別精度を高めるように、搬送される紙幣の表面の印刷領域に、発光手段から所定波長の光を照射し、当該紙幣を透過した光の透過光データ、並びに反射した光の反射光データを取得し、これを予め記憶されている真正紙幣の基準データと比較することで成される。
【0036】
なお、具体的な紙幣の真贋識別方法については、紙幣に照射する光の波長や照射領域により、様々な受光データ(透過光データ、反射光データ)を取得できるため、詳細に説明しないが、例えば、紙幣の透かし領域では、異なる波長の光でその領域の画像を見た場合、画像が大きく異なって見えることから、この部分を特定領域とし、当該特定領域における透過光データや反射光データを取得して、予め記憶手段(ROM)に記憶してある真券の同じ特定領域における正規データと比較して、識別対象となる紙幣が真券であるか偽札であるかを判定することが考えられる。このとき、金種に応じて特定領域を定めておき、この特定領域における透過光データや反射光データに所定の重み付けを設定して、真贋識別精度のさらなる向上を図ることも可能である。
【0037】
具体的に、前記紙幣読取手段8は、開閉部材2B側に配設され、搬送される紙幣の上側から光を照射可能とした透過発光部(第1発光部)8aを具備した発光ユニット8Aと、本体フレーム2A側に配設された受発光ユニット8Bとを有している。
【0038】
この受発光ユニット8Bは、紙幣を挟むようにして第1発光部8aと対向する受光センサ(本実施形態では、ラインセンサとして構成される)を具備した受光部(第1受光部)8bと、受光部8bの紙幣搬送方向両側に隣接して配設される反射発光部8cとを有している。
【0039】
前記受光部8bと対向配置された透過発光部(第1発光部)8aは、搬送される紙幣に対して透過用の光源として機能し、図3に示すように、搬送される紙幣に対して略直交となるような照射方向D1に光を照射する(照射方向D1)。この透過発光部8aは、例えば、一端に取り付けたLED素子からの光を、導光体を通して発光する合成樹脂製の矩形棒状体によって構成することが可能である。このような構成の透過発光部8aは、受光部8b(第1受光部;ラインセンサ)と平行にライン状に配設されており、簡単な構成で、搬送される紙幣の搬送路幅方向全体の範囲に対して全体的に均一に照射することが可能となる。
【0040】
前記受発光ユニット8Bの受光部8bは、紙幣搬送路3に対して交差方向に伸延し、かつ受光部8aに設けた図示しない受光センサの感度に影響を与えない程度の幅を有する帯状に形成された薄肉の板状に形成されている。なお、前記受光センサは、受光部8bの厚み方向の中央に、複数のCCD(Charge Coupled Device)をライン状に設けるとともに、このCCDの上方位置に、透過光及び反射光を集光させるように、ライン状にグリンレンズアレイを配置した所謂ラインセンサとして構成されている。このため、真贋判定対象となる紙幣に向けて照射された透過発光部8aや反射発光部8cからの透過光あるいは反射光を受光し、受光データとして、その輝度に応じた濃淡データ(明るさの情報を含んだ画素データ)や、この濃淡データから二次元画像を生成することが可能となっている。
【0041】
また、受発光ユニット8Bの反射発光部8cは、透過発光部8aと同様、一端に取り付けたLED素子からの光を、導光体を通して全体的に均一に照射可能とした合成樹脂製の矩形棒状体によって構成することが可能である。この反射発光部8cについても、受光部8b(ラインセンサ)と平行にライン状に配設して構成されている。
【0042】
前記反射発光部8cは、所定の仰角で光を紙幣に向けて照射可能としており、最終的に紙幣からの反射光を、受光部8bによって、図3のD1方向(前記第1発光部8aの照射方向D1と同方向)で受光するように配設されている。この場合、反射発光部8cからの照射方向については、紙幣の表面に対して濃淡なく均一に光が照射できれば種々変形することが可能であり、反射発光部8c、及び受光部8bの配置については、紙幣処理装置の構造に応じて、適宜設計変更が可能である。また、前記反射発光部8cについては、受光部8bを挟んで両サイドに設置して、両側からそれぞれ同じ入射角度で光を照射するようにしても良い。これは、紙幣表面に傷や折皺などがある場合、これら傷や折皺部分に生じた凹凸に光が片側からのみ照射された場合、どうしても凹凸の部分においては光が遮られて陰になってしまう箇所が生じることがある。このため、両側から光を照射することにより、凹凸の部分において陰ができることを防止して、片側からの照射よりも精度の高い画像データを得ることを可能としている。
【0043】
なお、上記した発光ユニット8A、受発光ユニット8Bの構成や配置などは、本実施形態に限定されるものではなく、適宜変形することが可能である。
【0044】
また、前記バーコードセンサ(第2センサ)88は、第1搬送路3Aに対して屈曲形成されたる第2搬送路3B、詳細には、搬送ローラ対(16A,16B)と搬送ローラ対(17A,17B)との間に設置されており、光学式の反射型フォトセンサによって構成されている。このバーコードセンサ88は、図2及び図3に示すように、第2搬送路3Bの上方側に設置されており、その発光部(第2発光部)88aは、前記第1発光部8aの照射方向D1とは異なるD2方向に光を照射するように構成されている。そして、第2発光部88aによって照射された光は、紙葉類の表面で反射され、発光部と隣接して配設された受光部(第2受光部)88bによって受光される。この場合、前記発光部(第2発光部)88aは、その光の照射方向D2が、前記第1センサ8の第1発光部8aの光の照射方向D1と異なる方向に光を照射する配置態様となっていれば良く、紙幣処理装置の構造に応じて、適宜設計変更が可能である。
【0045】
また、前記バーコードセンサ(第2センサ)88は、上述したように、搬送される紙葉のバーコードが紙幣読取手段(第1センサ)8で読めなかったとき(印刷面が上面側となるように挿入された紙葉)、そのバーコードの読取りを行う機能を有する。また、このバーコードセンサ88は、バーコードの読取り以外の機能を備えていても良い。例えば、後述するように、エスクロ位置に待機している紙幣や、バーコードが印刷された紙葉の移動を監視するような機能を持たせても良い。
【0046】
上記した紙幣などを収容する紙幣収容部100は、上記した紙幣読取手段8で真性と識別された紙幣(バーコードが印刷された紙葉を含む)を順次、積層、収容する。
【0047】
図3から図5に示すように、紙幣収容部100を構成する本体フレーム100Aは、略直方体形状に構成されており、その前壁102aの内側には、付勢手段(付勢バネ)106の一端が取り付けられ、その他端には、上記した受入口103を介して送り込まれる紙幣を順次、積層する載置プレート105が設けられている。このため、載置プレート105は、前記付勢手段106を介して、後述する押圧板115側に向けて付勢された状態になっている。
【0048】
本体フレーム100A内には、受入口103に連続するように、落下する紙幣をそのまま待機、保持させる押圧待機部108が設けられている。押圧待機部108の載置プレート側の両サイドには、鉛直方向に延出して一対の規制部材110が配置されている。この一対の規制部材110の間には、載置プレート105上に紙幣が順次、積層されるに際して、押圧板115が通過するように、開口部が形成されている。
【0049】
また、本体フレーム100A内の両サイド壁には、載置プレート105が付勢手段106によって押圧された際、載置プレートが当て付くように、突出壁が形成されている。この突出壁は、載置プレート105上に紙幣が順次、積層されて、前記付勢手段106によって載置プレートが付勢された際、最上の紙幣の両サイドを当て付け、積層される紙幣を安定して保持する役目を果たす。
【0050】
さらに、本体フレーム100A内には、受入口103から押圧待機部108に落下した紙幣を載置プレート105に向けて押圧する押圧板115が配設されている。この押圧板115は、前記一対の規制部材110の間に形成された開口部を往復移動できる程度の大きさに構成されており、この開口部内に入り込んで、紙幣を載置プレート105に押し付ける位置(押圧位置)と、前記押圧待機部108を開放する位置(初期位置)との間で往復駆動される。この場合、押圧板115の押し込み動作によって、紙幣は撓みながら開口部を通過して、載置プレート105上に載置される。
【0051】
前記押圧板115は、本体フレーム100A内に配設される押圧板駆動機構120を介して、上記したように往復駆動される。押圧板駆動機構120は、押圧板115を図3及び図4の矢印A方向に往復移動可能となるように、両端が押圧板115に軸支された一対のリンク部材115a,115bを備えており、これらのリンク部材115a,115bはX字状に連結され、それぞれの反対側の端部は、垂直方向(矢印B方向)に移動可能に設置された可動部材122に軸支されている。この可動部材122には、ラックが形成されており、このラックには、押圧板駆動機構120を構成するピニオンが噛合している。
【0052】
このピニオンには、図4に示すように、押圧板駆動機構120を構成する収容部側ギヤトレイン124が連結されている。この場合、本実施形態においては、図45に示すように、上述した装置本体2内に、駆動源(モータ20)と、このモータ20に順次噛合する本体側ギヤトレイン21が配設されており、紙幣収容部100を装置本体2に装着すると、本体側ギヤトレイン21が収容部側ギヤトレイン124に連結するようになっている。すなわち、収容部側ギヤトレイン124は、ピニオンと同軸上に配設されるギヤ124B、及びこれに順次噛合するギヤ124C,124Dを備えており、紙幣収容部100を装置本体2のフレーム2Aに対して着脱する際、ギヤ124Dが、本体側ギヤトレイン21の最終ギヤ21Aと噛合、離間するよう構成されている。
【0053】
この結果、上記した押圧板115は、装置本体2に設けられたモータ20が回転駆動されることで、本体側ギヤトレイン21、及び押圧板駆動機構120(収容部側ギヤトレイン124、可動部材122に形成されるラック、及びリンク部材115a,115b等)を介して、矢印A方向に往復駆動される。
【0054】
また、本体フレーム100Aには、前記受入口103から搬入される紙幣に対して接触可能な搬送部材150が設置されている。この搬送部材150は、搬入される紙幣に接触して、安定して紙幣を押圧待機部108の適正位置(押圧板115で紙幣を押圧した際、紙幣が左右に片寄ることなく、安定して押圧できる位置)に案内する役目を果たす。本実施形態では、この搬送部材は、押圧待機部108に臨むように設置されたベルト状の部材(以下、ベルト150とする)によって構成されている。
【0055】
この場合、ベルト150は、紙幣に対して搬入方向に沿って延在するように設置されており、搬入方向の両端部に回転可能に支持された一対のプーリ150A,150Bに巻回されている。また、ベルト150は、受入口103の領域に回転可能に支持された軸方向に延出する搬送ローラ150Cと当接しており、受入口103に搬入された紙幣を挟持して、紙幣をそのまま押圧待機部108に案内するようにしている。さらに、本実施形態では、前記ベルト150は、紙幣の両サイドの表面に接触可能となるように、上記した押圧板115を挟むようにして左右一対設けられている。なお、ベルト150は、両端におけるプーリ150A,150Bの巻回以外に、中間位置でテンションプーリを当て付け、弛みを防止するようにしても良い。
【0056】
前記一対のベルト150は、装置本体2内に設置される上述した複数の搬送ローラを駆動するモータ13によって駆動されるようになっている。具体的には、図5に示すように、モータ13によって駆動される上述した駆動ベルト13Bは、駆動力伝達用のプーリ13Dに巻回されており、このプーリ13Dに順次設置される動力伝達用のギヤトレイン13Eには、受入口103側に回転可能に支持されているプーリ150Aの支軸の端部に設置されたギヤトレイン153が噛合するようになっている。すなわち、紙幣収容部100が装置本体2に装着された際、ギヤトレイン13Eの最終ギヤには、ギヤトレイン153の入力ギヤが噛合するようになっており、一対のベルト150は、モータ13の回転駆動により、上述した紙幣搬送用の搬送ローラ14B,15B,16B,17Bと一体的に回転駆動されるようになっている。
【0057】
上述したように、紙幣が紙幣挿入口5を介して内部に挿入されると、紙幣は、上記した紙幣搬送機構6によって、紙幣搬送路3内で移動して行く。紙幣搬送路3は、図3に示すように、紙幣挿入口5から奥側に向けて延出した第1搬送路3Aと、前記第1搬送路3Aから下流側に向けて延出し、第1搬送路3Aに対して所定角度傾斜した第2搬送路3Bとを備えており、この第2搬送路3Bには、不正行為等により、紙幣挿入口5側に向けて紙幣の搬送を阻止するシャッタ部材170が設置されている。
【0058】
次に、上述した紙幣搬送機構6、紙幣読取手段(第1センサ)8、バーコードセンサ(第2センサ)88等の駆動部材の駆動を制御する制御手段200について、図6のブロック図を参照して説明する。
【0059】
図6のブロック図に示す制御手段200は、上記した各駆動装置の動作を制御する制御基板200Aを備えており、この制御基板200A上には、各駆動装置の駆動を制御すると共に、紙幣識別手段を構成するCPU(Central Processing Unit)210と、ROM(Read Only Memory)212と、RAM(Random
Access Memory)214と、基準データ記憶部216とが実装されている。
【0060】
前記ROM212には、紙幣搬送機構用のモータ13、押圧板駆動用のモータ20、スキュー補正機構用のモータ40、ローラ昇降用のモータ71等、各種駆動装置の作動プログラムや、真贋判定部216における真贋判定プログラム等の各種プログラム等、恒久的なデータが記憶されている。
【0061】
前記CPU210は、ROM212に記憶されている前記プログラムに従って作動して、I/Oポート220を介して上述した各種駆動装置との信号の入出力を行い、紙幣処理装置の全体的な動作制御を行う。すなわち、CPU210には、I/Oポート220を介して、紙幣搬送機構用のモータ13、押圧板駆動用のモータ20、スキュー補正機構用のモータ40、ローラ昇降用のモータ70、及び上述した紙幣読取手段8における透過発光部8aと反射発光部8cが接続されている。これらの駆動装置は、ROM212に格納された作動プログラムに従って、CPU210からの制御信号により動作が制御される。
【0062】
また、CPU210には、I/Oポート220を介して、挿入検知センサ7や可動片通過検知センサ12、排出検知センサ18、及びバーコードセンサ(第2センサ)88からの検知信号が入力されるようになっており、これら検知信号に基づいて、上記した各種駆動装置の駆動制御が行われる。
【0063】
さらに、CPU210には、I/Oポート220を介して、上述した紙幣読取手段(第1センサ)8における第1受光部8bから紙幣やバーコードが印刷された紙幣(識別対象物)に照射された光の透過光や反射光に基づく検知信号が入力されるようになっており、基準データ記憶部216に記憶されている基準データとの間で比較され、紙幣、バーコードを印刷した紙葉の真贋判定処理が実行される。なお、CPU210には、I/Oポート220を介して、バーコードセンサ(第2センサ)88の第2受光部88bからも、バーコードが上向きになって搬送された紙葉のバーコードに関する検知信号が入力されるようになっており、基準データ記憶部216に記憶されている基準データとの間で比較され、バーコードを印刷した紙葉の真贋判定処理が実行される。
【0064】
前記RAM214には、CPU210が作動する際に用いるデータやプログラムが記憶されており、基準データ記憶部216には、紙幣やバーコードを印刷した紙葉の真贋判定を行うときに用いられる基準データが記憶されている。なお、基準データについては、専用の基準データ記憶部216に記憶させているが、これをROM212に記憶させておいても良い。
【0065】
次に、上述した制御手段200によって実行される紙幣処理装置1における紙幣の処理動作について、図7〜図13のフローチャートに従って説明する。
【0066】
操作者が紙幣、或いはバーコードを印刷した紙葉(以下、これらを紙葉類と称する)を紙幣挿入口5に挿入する際、紙幣挿入口の近傍に設置される搬送ローラ対(14A,14B)は、初期状態において離間した状態にある(後述するST17,ST56参照)。また、押圧板115は、押圧板115を駆動する一対のリンク部材115a,115bが押圧待機部108に位置しており、紙葉類が一対のリンク部材115a,115bによって受入口103から押圧待機部108に搬入できない待機位置に設定されている。すなわち、この状態では、一対の規制部材110の間に形成された開口部に押圧板115が入り込んでいるため、開口部を介して紙幣収容部内に収容されている紙葉類を抜き取ることができない状態となっている。
【0067】
さらに、搬送ローラ対(14A,14B)の下流側に位置するスキュー補正機構10を構成する一対の可動片10Aは、初期状態において、あらゆる紙葉類の引き抜きができないように最小幅(例えば一対の可動片10Aの間隔が52mm;後述するST16,ST57参照)に移動した状態にある。
【0068】
上記した搬送ローラ対(14A,14B)の初期状態では、皺のある紙葉類であっても、操作者は容易に挿入することができる。そして、挿入検知センサ7によって紙葉類の挿入が検知されると(ST01)、上述した押圧板115の駆動用のモータ20を所定量逆転駆動し(ST02)、押圧板115を初期位置に移動させる。すなわち、挿入検知センサ7によって紙葉類の挿入が検知されるまでは、前記押圧板115は、一対の規制部材110の間に形成された開口部に移動された状態となっており、開口部を介して紙葉類が通過できないように設定されている。
【0069】
押圧板115が待機位置から初期位置に移動されると、押圧待機部108は開放状態となり(図4参照)、紙葉類は、紙幣収容部100内に搬入可能な状態となる。すなわち、モータ20を所定量逆転駆動することで、押圧板115は、本体側ギヤトレイン21、及び押圧板駆動機構120(収容部側ギヤトレイン124、可動部材122に形成されるラック、及びリンク部材115a,115b)を介して、前記待機位置から初期位置に移動される。
【0070】
また、上述したローラ昇降用モータ70を駆動し、上側の搬送ローラ14Aを下側の搬送ローラ14Bに当接するように移動させる。これにより、挿入された紙葉類は搬送ローラ対(14A,14B)によって挟持される(ST03)。
【0071】
次いで、紙幣搬送路の開放処理が成される(ST04)。この開放処理は、図10に示すフローチャートに示すように、述したスキュー補正機構用のモータ40を逆転駆動することで、一対の可動片10Aを互いに離間する方向に駆動することで成される(ST100)。このとき、一対の可動片10Aの位置を検知する可動片検知センサによって、一対の可動片10Aが所定位置(最大幅位置)に移動したことが検知されると(ST101)、モータ40の逆転駆動が停止される(ST102)。この搬送路開放処理により、一対の可動片10A内に紙葉類が進入できる状態になっている。なお、このST04の前段階では、紙幣搬送路3は、後述する搬送路閉鎖処理(ST16,ST57)によって閉鎖された状態にあるが、このように、紙葉類挿入前に紙幣搬送路3を閉じておくことで、例えば、不正目的などで紙幣挿入口から板状の部材を挿入して、ラインセンサなどの素子を破損させることを防止することができる。
【0072】
次いで、紙幣搬送用のモータ13が正転駆動される(ST05)。紙葉類は、搬送ローラ対(14A,14B)によって装置内部に搬送され、スキュー補正機構10よりも下流側に配設されている可動片通過検知センサ12が紙葉類の先端を検知すると、紙幣搬送用のモータ13は停止される(ST06,ST07)。このとき、紙葉類は、スキュー補正機構10を構成する一対の可動片10A間に位置している。
【0073】
引き続き、上述したローラ昇降用モータ70を駆動し、紙葉類を挟持した状態となっている搬送ローラ対(14A,14B)を離間させる(ST08)。このとき、紙葉類には、何等、負荷が作用していない状態となる。
【0074】
そして、この状態でスキュー補正作動処理を行う(ST09)。このスキュー補正作動処理は、上述したスキュー補正機構用のモータ40を正転駆動することで、一対の可動片10Aを互いに接近する方向に駆動することで成される。すなわち、このスキュー補正作動処理は、図11のフローチャートに示すように、上述したモータ40を正転駆動することで、一対の可動片10Aを、互いに接近する方向に移動する(ST110)。この可動片の移動は、制御手段における基準データ記憶部に登録されている紙幣の最小幅(例;幅62mm)となるまで実行され、これにより、紙幣は、両側に当て付く可動片10Aによって、スキューが補正され、正確な中心位置となるように位置決めされる。
【0075】
上述したようなスキュー補正作動処理が終了すると、引き続き、搬送路開放処理が実行される(ST10)。これは、上述したスキュー補正機構用のモータ40を逆転駆動することで、一対の可動片10Aを離間する方向に移動することで成される(図10のST100〜ST102参照)。
【0076】
続いて、上述したローラ昇降用モータ70を駆動し、上側の搬送ローラ14Aを下側の搬送ローラ14Bに当接するように移動させ、紙葉類を搬送ローラ対(14A,14B)に挟持させる(ST11)。その後、紙幣搬送用のモータ13を正転駆動して紙葉類を装置内部に向けて搬送し、紙葉類が紙幣読取手段8を通過する際に、紙葉類の読取処理を開始する(ST12,ST13)。また、これに伴ってバーコードセンサ88が紙葉類の読取りを開始する(ST14)。
【0077】
そして、搬送される紙葉類が紙幣読取手段8を通過して、紙葉類の後端が、可動片通過検知センサ12によって検知されると(ST15)、紙幣搬送路3の閉鎖処理が実行される(ST17)。この処理においては、まず、図12のフローチャートに示すように、紙葉類の後端が、可動片通過検知センサ12によって検知された後、上述したモータ40を正転駆動することで、一対の可動片10Aを、互いに接近する方向に移動する(ST130)。次に、可動片検知センサによって、可動片10Aが所定位置(最小幅位置、例えば52mm)に移動したことが検知されると(ST131)、モータ40の正転駆動が停止される(ST132)。
【0078】
この搬送路閉鎖処理により、一対の可動片10Aは、挿入可能なあらゆる紙葉類の幅よりも狭い最小幅位置(幅52mm)に移動されており、これにより、紙葉類の引き抜きを効果的に防止するようにしている。すなわち、このような紙幣搬送路の閉鎖処理を実行することで、挿入された紙葉類の幅よりも、可動片10A間の距離が狭くなり、操作者が不正目的で紙葉類を挿入口方向に向けて引き抜く等の行為を効果的に防止することが可能となる。
【0079】
なお、この状態で、上述した可動片検知センサが、可動片10Aの移動を検知した際、操作者が何らかの不正行為を行っているとみなし、所定の処理を実行するようにしても良い。例えば、紙幣処理装置の動作を管理する上位装置に対して不正操作信号(異常検知信号)を送信したり、紙幣処理装置に報知ランプを設けておき、これを点滅させたり、その後に操作者によって入力される入力受付(ST23)の処理を有効化することなく、強制的に排出動作を行う等の処理を実行しても良い。或いは、紙幣処理装置の動作を無効(例えば、処理の停止処理、紙幣の排出処理など)にする等、適正な処理を行うようにしても良い。
【0080】
また、上記した搬送路閉鎖処理(ST16)に引き続いて、上述したローラ昇降用モータ70を駆動し、紙葉類を挟持可能な状態となっている搬送ローラ対(14A,14B)を離間させる搬送ローラ対離間処理が行われる(ST17)。この搬送ローラ対離間処理を行うことで、操作者が誤って紙葉類を追加投入(二重投入)しても、紙葉類は、搬送ローラ対(14A,14B)による送り動作を受けることはなく、また、ST16において接近した状態にある一対の可動片10Aの前端に突き当たることから、紙葉類の二重投入動作を確実に防止することができる。
【0081】
上記した紙幣搬送路の閉鎖処理と共に、紙幣読取手段8が紙葉類の後端までデータを読取ると、紙幣搬送用のモータ13を予め特定された所定量だけ駆動し、紙葉類を所定位置(エスクロ位置;紙幣読取手段8の中心位置から13mm紙葉類が下流側に搬送された位置とされる)で停止させ、このときに、上述した制御手段200において、基準データ記憶部216に記憶されている正規のデータを参照し、紙葉類の真贋判定処理を実行する(ST18〜ST21)。
【0082】
なお、このエスクロ位置は、バーコードセンサ88が、バーコードが上向きになって挿入された紙葉のバーコードの読取りが終了し、かつその紙葉を検知できる位置とされている。
【0083】
そして、記したST21の真贋判定処理において、紙葉類が真券であると判定されると(ST22;Yes)、操作者の入力を受付ける(ST23)。これは、操作者が、サービスの提供(例えば、ゲーム装置であればゲーム開始に伴う受付処理)を受入れるべく、受入ボタンを押下する受入操作、及び、挿入した紙葉類の返却処理を行うべく、返却ボタンを押下する処理が該当する。
【0084】
また、このST22、ST23の処理が実行される間、図13に示すような割り込み処理が実行される。この割り込み処理は、バーコードセンサ88が識別対象物の移動を検知すると(ST150;Yes)、それは、本来、エスクロ位置に停止しているはずの紙葉類が移動したということであり、引き抜き行為など、何らかの不正な行為が成されているとみなし、装置の動作を無効化する処理(例えば、搬送機構の停止、紙葉類の排出、上位装置との取引処理の停止等)を実行する(ST151)。
【0085】
上記のように、紙葉類がエスクロ位置に停止している状態では、不正行為が行われ易いが、このエスクロ位置において、バーコードセンサ88によって紙葉類の移動を検知したときに、搬送機構6の動作を無効にすることにより、不正行為を確実に防止することが可能となる。
【0086】
そして、各種サービスの提供を受入れる操作が入力されると(ST24;Yes)、引き続き、この状態で紙幣搬送用のモータ13を正転駆動し、紙葉類を、紙幣収容部100に向けて搬送する(ST25)。
【0087】
このST25の処理に際しては、バーコードセンサ88が識別対象物の存在を検知しており(ST26)、紙葉類の搬送処理の段階(紙葉類が移動する時間内)において、紙葉類の存在が確認されなければ、それは紙葉類の引き抜き等が行われたと判断し、装置の動作の無効化処理(ST26;No、ST40)を実行する。この無効化処理は、例えば、搬送機構6の動作を停止して紙葉類の搬送ができない状態にしたり、紙葉類の排出動作や、上位装置との取引処理の停止などが該当する。また、ST25の処理に際しては、バーコードセンサ88から紙葉類の移動する時間が特定されているため、その時間を検知しており(ST27)、その時間が経過した段階で(ST27;Yes)、バーコードセンサ88が識別対象物の存在を検知すれば、それは紙葉類が詰まったものと判断し、上記したような装置の動作の無効化処理を実行する(ST28;Yes、ST40)。
【0088】
このように、本実施形態では、バーコードセンサ88が、紙葉類の存在を検知する機能を備えており、上記した制御手段200によって、バーコードセンサ88の検知結果と、搬送機構6により紙葉類が移動してバーコードセンサ88を通過する時間とに基づいて、搬送機構6の動作を無効にするよう構成されている。
【0089】
すなわち、バーコードセンサ88によって、紙葉類が移動した際、その部分の通過時間を特定することができることに着目し、このバーコードセンサ88において、特定されている通過時間が経過しても紙葉類の存在が検知されていたり、その通過時間内において紙葉類が検知できなければ、搬送機構6の動作が無効化される。従って、紙葉類の詰まりを検出したり、紙葉類の引き抜き行為等の不正行為を効果的に防止することができる。
【0090】
そして、上記のST25の処理における紙葉類の搬送に際しては、紙葉類の後端が排出検知センサ18によって検知されるまでは紙幣搬送用のモータ13は正転駆動され(ST29)、紙葉類の後端が排出検知センサ18によって検知されてから、紙幣搬送用のモータ13は所定量だけ正転駆動される(ST30,ST31)。
【0091】
このST30、及びST31における紙幣搬送用のモータ13の正転駆動処理は、紙葉類が、装置本体2の紙幣搬送路3の下流側にある排出口3aから紙幣収容部100の受入口103に搬入され、前記一対のベルト150が、搬入される紙幣の両側表面に接触し、安定して押圧待機部108に案内される駆動量に対応している。すなわち、紙葉類の後端が排出検知センサ18によって検知された後、更に、所定量、紙幣搬送用のモータ13を正転駆動することで、前記一対のベルト150は、搬入される紙葉類に接触しつつ送り方向に駆動され、紙葉類を安定した状態で押圧待機部108に案内する。
【0092】
そして、上記した紙幣搬送用のモータ13が停止した後、紙葉類を載置プレート105上に載置すべく押圧板115の駆動処理を実行し(ST32)、押圧処理が終了すると、押圧板115は再び待機位置に移動され、その位置で停止される。
【0093】
また、上述した処理手順のST22の真贋判定処理において、挿入された紙葉類が真券でないと識別された場合、或いは、操作者によって返却ボタンが押下された場合(ST24;No)、搬送路開放処理を実行し(ST51、図10のST100〜ST102参照)、その後、紙幣搬送用のモータ13を逆転駆動し、搬送ローラ対(14A,14B)の挟持処理を実行した後、エスクロ位置に待機している紙葉類を、紙幣挿入口5に向けて搬送する(ST52,53)。そして、挿入検知センサ7が、紙幣挿入口5に向けて差し戻される紙葉類の後端を検知した際に、紙幣搬送用のモータ13の逆転駆動を停止すると共に、上述したローラ昇降用モータ70を駆動し、紙葉類を挟持した状態となっている搬送ローラ対(14A,14B)を離間させる(ST54〜ST56)。その後、搬送路閉鎖処理を実施(ST57,図12のST130〜ST132参照)すると共に、押圧板115の駆動用のモータ20を所定量正転駆動することで(ST58)、初期位置にある押圧板115を待機位置に駆動し、一連の処理が終了する。
【0094】
上記した構成の紙幣処理装置1によれば、第1センサ8及び第2センサ88による検出結果に基づいて搬送路に搬送される識別対象物の真贋を判定することが可能となる。この場合、第1センサ8の発光部(第1発光部8a)と、第2センサ88の発光部(第2発光部88a)は、図3の矢印D1、D2に示すように、照射方向が異なっているため、各センサ8,88における受光部8b、88bで光を受光する際、相互に光の干渉が抑制され、識別対象物を正確に読取ることが可能となる。
【0095】
特に、本実施形態では、第1センサ8を第1搬送路3Aに、第2センサ88を第1搬送路3Aに対して所定角度傾斜する第2搬送路3Bに設置したため、容易に第1センサの第1発光部8aと、第2センサ88の第2発光部88aの照射方向を変えることが可能となる。また、屈曲部分によって一方のセンサの発光部による光が、他方のセンサの受光部に届き難くなることから、光の干渉をより効果的に抑制することができ、識別対象物を正確に読取ることが可能となる。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することが可能である。本発明は、第1センサ8における発光部の照射方向D1と、第2センサにおける発光部の照射方向D2が異なるような配置態様になっていれば良く、具体的な真贋の識別方法や、用いられる光源の種類、設置状態については適宜変形することが可能である。また、紙幣処理装置内に設置される各種の駆動部材を駆動する駆動源、或いは、その駆動源からの動力伝達機構については、適宜変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、例えば、紙幣が挿入されたことで、商品やサービスを提供する各種の装置に組み込むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】紙幣処理装置の構成を示す図であり、全体構成を示す斜視図。
【図2】開閉部材を装置本体の本体フレームに対して開いた状態を示す斜視図。
【図3】挿入口から挿入される紙幣の搬送経路を概略的に示した右側面図。
【図4】紙幣収容部に配設される押圧板を駆動するための動力伝達機構の概略構成を示す右側面図。
【図5】紙幣搬送機構を駆動するための駆動源及び駆動力伝達機構の概略構成を示す左側面図。
【図6】紙幣搬送機構、紙幣読取手段等の駆動部材の駆動を制御する制御手段の構成を示すブロック図。
【図7】本実施形態の紙幣処理装置における紙幣の処理動作を説明するフローチャート(その1)。
【図8】本実施形態の紙幣処理装置における紙幣の処理動作を説明するフローチャート(その2)。
【図9】本実施形態の紙幣処理装置における紙幣の処理動作を説明するフローチャート(その3)。
【図10】搬送路開放処理手順を説明するフローチャート。
【図11】スキュー補正作動処理手順を説明するフローチャート。
【図12】搬送路閉鎖処理手順を示すフローチャート。
【図13】バーコードセンサの検知信号に基づく割り込み処理を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0099】
1 紙幣処理装置
2 装置本体
3 紙幣搬送路
3A 第1搬送路
3B 第2搬送路
5 紙幣挿入口
6 紙幣搬送機構
8 紙幣読取手段(第1センサ)
8a 第1発光部
8b 第1受光部
88 バーコードセンサ(第2センサ)
88a 第2発光部
88b 第2受光部
10 スキュー補正機構
100 紙幣収容部
200 制御手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣、カード、クーポン券等(以下、これらを紙葉類と総称する)の真贋判定が行える紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、紙葉類処理装置の一態様である紙幣処理装置は、利用者によって紙幣挿入口から挿入された紙幣の有効性を識別し、有効と識別された紙幣価値に応じて、各種の商品やサービスを提供するサービス機器、例えば遊技場に設置されている遊技媒体貸出機、或いは、公共の場に設置されている自動販売機や券売機等に組み込まれている。
【0003】
また、最近では、例えば、遊技場等において、紙幣と同様な経済的価値を有するクーポン券等を発行し、これを、紙幣を取扱う紙幣処理装置で処理させることが行われている。このようなクーポン券として、特定の紙幣(一般的に米ドル札)と同じ大きさに形成された紙葉(感熱紙)に対して、サーマルプリンタなどで、バーコードを印刷したもの(バーコード付きクーポン券)が知られており、利用者は、紙幣を処理する紙幣処理装置に対して、紙幣と同様、発行されたバーコード付きクーポン券を紙幣挿入口に挿入することで、紙幣と同様なサービスを受けることが可能となっている。
【0004】
ところで、このような利用態様では、上記した紙幣処理装置は、紙幣の真贋を判定でき、かつ、そのようなバーコード付き紙葉の真贋を判定できる構成でなければならない。このような紙幣処理装置として、例えば、特許文献1には、紙幣挿入口に挿入された紙幣、或いはバーコード付き紙葉を読取るセンサ装置を紙幣搬送経路に設置した構成が開示されている。
【0005】
このセンサ装置は、搬送路に沿って併設された光学センサを備えており、各光学センサは、発光ダイオードと受光トランジスタがケース内で並行に設置された構造で、それぞれ紙幣の裏面及び表面で反射した光を受光するよう構成されている。
【特許文献1】特許第3320806号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した紙幣処理装置では、並設されている光学センサの各発光ダイオードを同時に発光すると、受光トランジスタで受光する際に、互いの光の影響を受けてしまい、紙葉を正確に読取ることができない可能性がある。
【0007】
本発明は、上記した事情に着目してなされたものであり、識別対象物を正確に読取ることが可能な紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載された紙葉類処理装置は、識別対象物に対して光を照射する第1発光部と、前記第1発光部からの光を受光する第1受光部と、を有する第1センサと、前記第1発光部とは異なる照射方向で光を照射する第2発光部と、前記第2発光部からの光を受光する第2受光部と、を有する第2センサと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記した構成の紙葉類処理装置によれば、第1センサ及び第2センサによる検出結果に基づいて搬送路に搬送される識別対象物の真贋を判定することが可能となる。この場合、第1センサの第1発光部と、第2センサの発光部は、その照射方向が異なっているため、第1受光部及び第2受光部で光を受光する際、光の干渉が抑制され、識別対象物を正確に読取ることが可能となる。
【0010】
また、請求項2に係る発明においては、前記識別対象物が搬送される搬送路を備え、前記搬送路は、第1搬送路と、前記第1搬送路に対して所定角度傾斜する第2搬送路とを有し、前記第1搬送路に第1センサを、前記第2搬送路に第2センサを設置したことを特徴とする。
【0011】
この様な構成によれば、第2搬送路は、第1搬送路に対して屈曲しているため、第2搬送路に第2センサを設置することで、容易に第1センサの第1発光部と、第2センサの第2発光部の照射方向を変えることが可能となる。
【0012】
また、請求項3に係る発明においては、前記識別対象物を搬送移動する搬送機構と、前記搬送機構を制御する制御手段と、を備えており、前記第2センサは、前記搬送路において、識別対象物の存在を検知する機能を備え、前記制御手段は、前記第2センサの検知結果と、前記搬送機構により識別対象物が移動され、第2センサを通過する時間とに基づいて、前記搬送機構の動作を無効にすることを特徴とする。
【0013】
このような構成においては、第2センサによって、識別対象物が移動した際、その部分の通過時間を特定することが可能である。この第2センサは識別対象物の存在を検知しており、第2センサにおいて、特定されている通過時間が経過しても識別対象物の存在が検知されれば、搬送機構の動作が無効化される。このため、識別対象物の詰まりを検出したり、識別対象物の引き抜き行為等の不正行為を効果的に防止することができる。
【0014】
また、請求項4に係る発明においては、前記識別対象物を搬送移動する搬送機構と、前記搬送機構を制御する制御手段と、を備えており、前記制御手段は、前記第2センサによって、前記第1センサで読取った識別対象物を一旦停止させるエスクロ位置に停止した識別対象物の移動が検知された場合、前記搬送機構の動作を無効にすることを特徴とする。
【0015】
このような構成では、第1センサで識別対象物の読取りが終了した後、識別対象物は下流側に搬送され、エスクロ位置で所定の処理が成されるまで停止される。この状態で、第2センサが識別対象物の移動を検知すると、引き抜き行為などの不正な処理が実行されたものとして、搬送機構の動作の無効処理を実行する。すなわち、識別対象物がエスクロ位置に停止している状態では、不正行為が行われ易いが、このエスクロ位置において、第2センサによって識別対象物の移動を検知したときに搬送機構の動作を無効にすることで、不正行為を確実に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、識別対象物を正確に読取ることが可能な紙葉類処理装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0018】
図1から図5は、本発明に係る紙葉類処理装置を適用した紙幣処理装置の構成を示す図であり、図1は、全体構成を示す斜視図、図2は、開閉部材を装置本体の本体フレームに対して開いた状態を示す斜視図、図3は、挿入口から挿入される紙幣の搬送経路を概略的に示した右側面図、図4は、紙幣収容部に配設される押圧板を駆動するための動力伝達機構の概略構成を示す右側面図、そして、図5は、紙幣搬送機構を駆動するための駆動源及び駆動力伝達機構の概略構成を示す左側面図である。
【0019】
本実施形態の紙幣処理装置1は、例えば、スロットマシン等の各種の遊技機に組み込み可能に構成されており、装置本体2と、この装置本体2に設けられ、多数の紙幣などを積層、収容することが可能な収容部(収容スタッカ;金庫)100とを備えている。この収容部100は、装置本体2に対して着脱可能であっても良く、例えば、図示されていないロック機構が解除された状態で、前面に設けられた取っ手101を引くことで、装置本体2から取り外すことが可能となっている。
【0020】
上記した紙幣処理装置1は、紙幣の他に、紙幣と等価値を有するバーコードを印刷した紙葉を処理する構成となっている。このようなバーコードを印刷した紙葉は、専用のプリンタによって、紙幣と同サイズの紙に、価値情報(紙幣の金額に相当する情報)や発効日情報、発行場所情報等の各種情報を含んだバーコードを印刷することで作成され、紙幣処理装置1は、後述する紙幣読取手段によって、紙幣の真贋を識別すると共に、そのようなバーコードが印刷された紙葉の真贋を識別するようになっている。すなわち、紙幣処理装置1は、専用のバーコードが印刷された紙葉についても、紙幣と同様に取り扱い処理できるように構成されている。
【0021】
前記装置本体2は、図2に示すように、本体フレーム2Aと、本体フレーム2Aに対して一端部を回動中心として開閉されるように構成された開閉部材2Bとを有している。そして、これら本体フレーム2A及び開閉部材2Bは、図3に示すように、開閉部材2Bを本体フレーム2Aに対して閉じた際、両者の対向部分に紙幣が搬送される隙間(紙幣搬送路3)が形成されると共に、両者の前面露出側に、前記紙幣搬送路3に一致するようにして、紙幣挿入口5が形成されるよう構成されている。なお、前記紙幣挿入口5は、紙幣の短い辺側から装置本体2の内部に挿入できるようにスリット状の開口となっている。
【0022】
また、前記装置本体2内には、前記紙幣搬送路3に沿って、紙幣を搬送する紙幣搬送機構6と、紙幣挿入口5に挿入された紙幣を検知する挿入検知センサ7と、挿入検知センサ7の下流側に設置され、搬送状態にある紙幣やバーコードが印刷された紙葉の情報を読取る紙幣読取手段(第1センサ)8と、この紙幣読取手段8に対して、紙幣を正確に位置決めして搬送するスキュー補正機構10と、紙幣がスキュー補正機構を構成する一対の可動片を通過したことを検知する可動片通過検知センサ12と、搬送される紙葉のバーコードが前記紙幣読取手段8で読めなかったとき、すなわち印刷面が上面側となるように挿入された紙葉のバーコードの読取りを可能にするバーコードセンサ(第2センサ)88と、紙幣が紙幣収容部100に排出されたことを検知する排出検知センサ18とが設けられている。
【0023】
以下、上記した各構成部材について、詳細に説明する。
前記紙幣搬送路3は、紙幣挿入口5から奥側に向けて延出しており、第1搬送路3Aと、前記第1搬送路3Aから下流側に向けて延出し、第1搬送路3Aに対して所定角度、下方側に向けて傾斜した第2搬送路3Bとを備えている。この第2搬送路3Bの下流側は、鉛直方向に向けて屈曲しており、その下流側端部には、紙幣収容部100に紙幣を排出する排出口3aが形成されて、ここから排出される紙幣は、鉛直方向に向けて、紙幣収容部100の導入口(受入口)103に送り込まれる。
【0024】
前記紙幣搬送機構6は、紙幣挿入口5から挿入された紙幣を挿入方向に沿って搬送可能にすると共に、挿入状態にある紙幣を紙幣挿入口5に向けて差し戻し搬送可能とする機構である。この紙幣搬送機構6は、装置本体2内に設置された駆動源であるモータ13(図5参照)と、このモータ13によって回転駆動され、紙幣搬送路3に紙幣搬送方向に沿って所定間隔おいて配設される搬送ローラ対(14A,14B)、(15A,15B)、(16A,16B)、及び(17A,17B)を備えている。
【0025】
前記搬送ローラ対は、紙幣搬送路3に一部が露出するように設置されて、いずれも紙幣搬送路3の下側に設置される搬送ローラ14B,15B,16B及び17Bがモータ13によって駆動されるローラとなっており、上側に設置される搬送ローラ14A,15A,16A及び17Aが、これらのローラに対して従動するピンチローラとなっている。なお、紙幣挿入口5から挿入された紙幣を最初に挟持して奥側に搬送する搬送ローラ対(14A,14B)は、図2に示すように、紙幣搬送路3の中心位置に1箇所設置されており、その下流側に順次配置される搬送ローラ対(15A,15B)、(16A,16B)、及び(17A,17B)については、紙幣搬送路3の幅方向に沿って、所定間隔をおいて2箇所設置されている。
【0026】
また、上記した紙幣挿入口5の近傍に配置される搬送ローラ対(14A,14B)については、通常は、上側の搬送ローラ14Aが下側の搬送ローラ14Bから離間した状態となっており、紙幣の挿入が挿入検知センサ7によって検知されると、上側の搬送ローラ14Aが下側の搬送ローラ14Bに向けて駆動され、挿入された紙幣を挟持するようになっている。
【0027】
すなわち、上側の搬送ローラ14Aについては、駆動源であるローラ昇降用モータ70(図6参照)によって、下側の搬送ローラ14Bに対して、当接/離間するように駆動制御される。この場合、スキュー補正機構10によって、挿入された紙幣の傾きを無くし紙幣読取手段8に対して位置合わせする処理(スキュー補正処理)が行われる際には、上側の搬送ローラ14Aは、下側の搬送ローラ14Bから離間して紙幣に対する負荷を解除し、スキュー補正処理が終了すると、再び、上側の搬送ローラ14Aが下側の搬送ローラ14Bに向けて駆動され、紙幣を挟持する。なお、駆動源については、モータ以外にもソレノイド等によって構成されていても良い。
【0028】
また、前記スキュー補正機構10は、スキューの補正を果たす左右一対の可動片10A(片側のみ図示)を備えており、スキュー補正機構用のモータ40を駆動することで、左右一対の可動片10Aを接近するように移動させ、これにより、紙幣に対するスキューの補正処理が成される。
【0029】
上記した紙幣搬送路3の下側に設置される搬送ローラ14B,15B,16B及び17Bは、図5に示すように、モータ13、及び各搬送ローラの駆動軸の端部に設置されるプーリ14C,15C,16C及び17Cを介して回転駆動される。すなわち、モータ13の出力軸には、駆動プーリ13Aが設置されており、上記した各搬送ローラの駆動軸の端部に設置されるプーリ14C,15C,16C及び17Cには、駆動プーリ13Aとの間で駆動ベルト13Bが巻回されている。なお、駆動ベルト13Bには、適所にテンションプーリが係合しており、弛みを防止している。
【0030】
上記した構成により、モータ13が正転駆動されると、前記搬送ローラ14B,15B,16B及び17Bは同期して正転駆動され、紙幣を挿入方向に向けて搬送し、モータ13が逆転駆動されると、前記搬送ローラ14B,15B,16B及び17Bは同期して逆転駆動され、紙幣を紙幣挿入口5側に向けて搬送する。
【0031】
前記挿入検知センサ7は、紙幣挿入口5に挿入された紙幣を検知した際に検知信号を発生するものであり、この検知信号が発せられると、モータ13が正転駆動され、紙幣を挿入方向に向けて搬送する。本実施形態の挿入検知センサ7は、搬送ローラ対(14A,14B)と、スキュー補正機構10との間に設置されており、光学式のセンサ、例えば、回帰反射型フォトセンサによって構成されているが、それ以外にも、機械式のセンサによって構成されていても良い。
【0032】
また、前記可動片通過検知センサ12は、紙幣の先端が、スキュー補正機構10を構成する左右一対の可動片10Aを通過したことを検知した際に検知信号を発生するものであり、この検知信号が発せられると、モータ13の駆動が停止され、スキュー補正処理が成される。本実施形態の可動片通過検知センサ12は、前記紙幣読取手段8の上流側に設置されており、前記挿入検知センサと同様、光学式のセンサや機械式のセンサによって構成される。
【0033】
また、前記排出検知センサ18は、通過する紙幣の後端を検知して、紙幣が紙幣収容部100に排出されたことを検知するものであり、第2搬送路3Bの下流側において、紙幣収容部100の受入口103の直前に配設されている。排出検知センサ18から検知信号が発せられると、モータ13の駆動が停止され、紙幣の搬送処理が終了する。この排出検知センサ18についても、前記挿入検知センサと同様、光学式のセンサや機械式のセンサによって構成される。
【0034】
前記紙幣読取手段(第1センサ)8は、スキュー補正機構10によってスキューが補正された状態で搬送される紙幣(バーコードが印刷された紙葉)について、その紙幣情報(バーコード情報)を読取り、その有効性(真贋)を識別する。本実施形態では、紙幣読取手段8は、搬送される紙幣(バーコードが印刷された紙葉)の両面側から光を照射し、その透過光と反射光を受光素子で検知することで読取を行うラインセンサを備えた構成になっており、上記した第1搬送路3Aに設置されている。
【0035】
本実施形態に係る紙幣の真贋識別処理は、その識別精度を高めるように、搬送される紙幣の表面の印刷領域に、発光手段から所定波長の光を照射し、当該紙幣を透過した光の透過光データ、並びに反射した光の反射光データを取得し、これを予め記憶されている真正紙幣の基準データと比較することで成される。
【0036】
なお、具体的な紙幣の真贋識別方法については、紙幣に照射する光の波長や照射領域により、様々な受光データ(透過光データ、反射光データ)を取得できるため、詳細に説明しないが、例えば、紙幣の透かし領域では、異なる波長の光でその領域の画像を見た場合、画像が大きく異なって見えることから、この部分を特定領域とし、当該特定領域における透過光データや反射光データを取得して、予め記憶手段(ROM)に記憶してある真券の同じ特定領域における正規データと比較して、識別対象となる紙幣が真券であるか偽札であるかを判定することが考えられる。このとき、金種に応じて特定領域を定めておき、この特定領域における透過光データや反射光データに所定の重み付けを設定して、真贋識別精度のさらなる向上を図ることも可能である。
【0037】
具体的に、前記紙幣読取手段8は、開閉部材2B側に配設され、搬送される紙幣の上側から光を照射可能とした透過発光部(第1発光部)8aを具備した発光ユニット8Aと、本体フレーム2A側に配設された受発光ユニット8Bとを有している。
【0038】
この受発光ユニット8Bは、紙幣を挟むようにして第1発光部8aと対向する受光センサ(本実施形態では、ラインセンサとして構成される)を具備した受光部(第1受光部)8bと、受光部8bの紙幣搬送方向両側に隣接して配設される反射発光部8cとを有している。
【0039】
前記受光部8bと対向配置された透過発光部(第1発光部)8aは、搬送される紙幣に対して透過用の光源として機能し、図3に示すように、搬送される紙幣に対して略直交となるような照射方向D1に光を照射する(照射方向D1)。この透過発光部8aは、例えば、一端に取り付けたLED素子からの光を、導光体を通して発光する合成樹脂製の矩形棒状体によって構成することが可能である。このような構成の透過発光部8aは、受光部8b(第1受光部;ラインセンサ)と平行にライン状に配設されており、簡単な構成で、搬送される紙幣の搬送路幅方向全体の範囲に対して全体的に均一に照射することが可能となる。
【0040】
前記受発光ユニット8Bの受光部8bは、紙幣搬送路3に対して交差方向に伸延し、かつ受光部8aに設けた図示しない受光センサの感度に影響を与えない程度の幅を有する帯状に形成された薄肉の板状に形成されている。なお、前記受光センサは、受光部8bの厚み方向の中央に、複数のCCD(Charge Coupled Device)をライン状に設けるとともに、このCCDの上方位置に、透過光及び反射光を集光させるように、ライン状にグリンレンズアレイを配置した所謂ラインセンサとして構成されている。このため、真贋判定対象となる紙幣に向けて照射された透過発光部8aや反射発光部8cからの透過光あるいは反射光を受光し、受光データとして、その輝度に応じた濃淡データ(明るさの情報を含んだ画素データ)や、この濃淡データから二次元画像を生成することが可能となっている。
【0041】
また、受発光ユニット8Bの反射発光部8cは、透過発光部8aと同様、一端に取り付けたLED素子からの光を、導光体を通して全体的に均一に照射可能とした合成樹脂製の矩形棒状体によって構成することが可能である。この反射発光部8cについても、受光部8b(ラインセンサ)と平行にライン状に配設して構成されている。
【0042】
前記反射発光部8cは、所定の仰角で光を紙幣に向けて照射可能としており、最終的に紙幣からの反射光を、受光部8bによって、図3のD1方向(前記第1発光部8aの照射方向D1と同方向)で受光するように配設されている。この場合、反射発光部8cからの照射方向については、紙幣の表面に対して濃淡なく均一に光が照射できれば種々変形することが可能であり、反射発光部8c、及び受光部8bの配置については、紙幣処理装置の構造に応じて、適宜設計変更が可能である。また、前記反射発光部8cについては、受光部8bを挟んで両サイドに設置して、両側からそれぞれ同じ入射角度で光を照射するようにしても良い。これは、紙幣表面に傷や折皺などがある場合、これら傷や折皺部分に生じた凹凸に光が片側からのみ照射された場合、どうしても凹凸の部分においては光が遮られて陰になってしまう箇所が生じることがある。このため、両側から光を照射することにより、凹凸の部分において陰ができることを防止して、片側からの照射よりも精度の高い画像データを得ることを可能としている。
【0043】
なお、上記した発光ユニット8A、受発光ユニット8Bの構成や配置などは、本実施形態に限定されるものではなく、適宜変形することが可能である。
【0044】
また、前記バーコードセンサ(第2センサ)88は、第1搬送路3Aに対して屈曲形成されたる第2搬送路3B、詳細には、搬送ローラ対(16A,16B)と搬送ローラ対(17A,17B)との間に設置されており、光学式の反射型フォトセンサによって構成されている。このバーコードセンサ88は、図2及び図3に示すように、第2搬送路3Bの上方側に設置されており、その発光部(第2発光部)88aは、前記第1発光部8aの照射方向D1とは異なるD2方向に光を照射するように構成されている。そして、第2発光部88aによって照射された光は、紙葉類の表面で反射され、発光部と隣接して配設された受光部(第2受光部)88bによって受光される。この場合、前記発光部(第2発光部)88aは、その光の照射方向D2が、前記第1センサ8の第1発光部8aの光の照射方向D1と異なる方向に光を照射する配置態様となっていれば良く、紙幣処理装置の構造に応じて、適宜設計変更が可能である。
【0045】
また、前記バーコードセンサ(第2センサ)88は、上述したように、搬送される紙葉のバーコードが紙幣読取手段(第1センサ)8で読めなかったとき(印刷面が上面側となるように挿入された紙葉)、そのバーコードの読取りを行う機能を有する。また、このバーコードセンサ88は、バーコードの読取り以外の機能を備えていても良い。例えば、後述するように、エスクロ位置に待機している紙幣や、バーコードが印刷された紙葉の移動を監視するような機能を持たせても良い。
【0046】
上記した紙幣などを収容する紙幣収容部100は、上記した紙幣読取手段8で真性と識別された紙幣(バーコードが印刷された紙葉を含む)を順次、積層、収容する。
【0047】
図3から図5に示すように、紙幣収容部100を構成する本体フレーム100Aは、略直方体形状に構成されており、その前壁102aの内側には、付勢手段(付勢バネ)106の一端が取り付けられ、その他端には、上記した受入口103を介して送り込まれる紙幣を順次、積層する載置プレート105が設けられている。このため、載置プレート105は、前記付勢手段106を介して、後述する押圧板115側に向けて付勢された状態になっている。
【0048】
本体フレーム100A内には、受入口103に連続するように、落下する紙幣をそのまま待機、保持させる押圧待機部108が設けられている。押圧待機部108の載置プレート側の両サイドには、鉛直方向に延出して一対の規制部材110が配置されている。この一対の規制部材110の間には、載置プレート105上に紙幣が順次、積層されるに際して、押圧板115が通過するように、開口部が形成されている。
【0049】
また、本体フレーム100A内の両サイド壁には、載置プレート105が付勢手段106によって押圧された際、載置プレートが当て付くように、突出壁が形成されている。この突出壁は、載置プレート105上に紙幣が順次、積層されて、前記付勢手段106によって載置プレートが付勢された際、最上の紙幣の両サイドを当て付け、積層される紙幣を安定して保持する役目を果たす。
【0050】
さらに、本体フレーム100A内には、受入口103から押圧待機部108に落下した紙幣を載置プレート105に向けて押圧する押圧板115が配設されている。この押圧板115は、前記一対の規制部材110の間に形成された開口部を往復移動できる程度の大きさに構成されており、この開口部内に入り込んで、紙幣を載置プレート105に押し付ける位置(押圧位置)と、前記押圧待機部108を開放する位置(初期位置)との間で往復駆動される。この場合、押圧板115の押し込み動作によって、紙幣は撓みながら開口部を通過して、載置プレート105上に載置される。
【0051】
前記押圧板115は、本体フレーム100A内に配設される押圧板駆動機構120を介して、上記したように往復駆動される。押圧板駆動機構120は、押圧板115を図3及び図4の矢印A方向に往復移動可能となるように、両端が押圧板115に軸支された一対のリンク部材115a,115bを備えており、これらのリンク部材115a,115bはX字状に連結され、それぞれの反対側の端部は、垂直方向(矢印B方向)に移動可能に設置された可動部材122に軸支されている。この可動部材122には、ラックが形成されており、このラックには、押圧板駆動機構120を構成するピニオンが噛合している。
【0052】
このピニオンには、図4に示すように、押圧板駆動機構120を構成する収容部側ギヤトレイン124が連結されている。この場合、本実施形態においては、図45に示すように、上述した装置本体2内に、駆動源(モータ20)と、このモータ20に順次噛合する本体側ギヤトレイン21が配設されており、紙幣収容部100を装置本体2に装着すると、本体側ギヤトレイン21が収容部側ギヤトレイン124に連結するようになっている。すなわち、収容部側ギヤトレイン124は、ピニオンと同軸上に配設されるギヤ124B、及びこれに順次噛合するギヤ124C,124Dを備えており、紙幣収容部100を装置本体2のフレーム2Aに対して着脱する際、ギヤ124Dが、本体側ギヤトレイン21の最終ギヤ21Aと噛合、離間するよう構成されている。
【0053】
この結果、上記した押圧板115は、装置本体2に設けられたモータ20が回転駆動されることで、本体側ギヤトレイン21、及び押圧板駆動機構120(収容部側ギヤトレイン124、可動部材122に形成されるラック、及びリンク部材115a,115b等)を介して、矢印A方向に往復駆動される。
【0054】
また、本体フレーム100Aには、前記受入口103から搬入される紙幣に対して接触可能な搬送部材150が設置されている。この搬送部材150は、搬入される紙幣に接触して、安定して紙幣を押圧待機部108の適正位置(押圧板115で紙幣を押圧した際、紙幣が左右に片寄ることなく、安定して押圧できる位置)に案内する役目を果たす。本実施形態では、この搬送部材は、押圧待機部108に臨むように設置されたベルト状の部材(以下、ベルト150とする)によって構成されている。
【0055】
この場合、ベルト150は、紙幣に対して搬入方向に沿って延在するように設置されており、搬入方向の両端部に回転可能に支持された一対のプーリ150A,150Bに巻回されている。また、ベルト150は、受入口103の領域に回転可能に支持された軸方向に延出する搬送ローラ150Cと当接しており、受入口103に搬入された紙幣を挟持して、紙幣をそのまま押圧待機部108に案内するようにしている。さらに、本実施形態では、前記ベルト150は、紙幣の両サイドの表面に接触可能となるように、上記した押圧板115を挟むようにして左右一対設けられている。なお、ベルト150は、両端におけるプーリ150A,150Bの巻回以外に、中間位置でテンションプーリを当て付け、弛みを防止するようにしても良い。
【0056】
前記一対のベルト150は、装置本体2内に設置される上述した複数の搬送ローラを駆動するモータ13によって駆動されるようになっている。具体的には、図5に示すように、モータ13によって駆動される上述した駆動ベルト13Bは、駆動力伝達用のプーリ13Dに巻回されており、このプーリ13Dに順次設置される動力伝達用のギヤトレイン13Eには、受入口103側に回転可能に支持されているプーリ150Aの支軸の端部に設置されたギヤトレイン153が噛合するようになっている。すなわち、紙幣収容部100が装置本体2に装着された際、ギヤトレイン13Eの最終ギヤには、ギヤトレイン153の入力ギヤが噛合するようになっており、一対のベルト150は、モータ13の回転駆動により、上述した紙幣搬送用の搬送ローラ14B,15B,16B,17Bと一体的に回転駆動されるようになっている。
【0057】
上述したように、紙幣が紙幣挿入口5を介して内部に挿入されると、紙幣は、上記した紙幣搬送機構6によって、紙幣搬送路3内で移動して行く。紙幣搬送路3は、図3に示すように、紙幣挿入口5から奥側に向けて延出した第1搬送路3Aと、前記第1搬送路3Aから下流側に向けて延出し、第1搬送路3Aに対して所定角度傾斜した第2搬送路3Bとを備えており、この第2搬送路3Bには、不正行為等により、紙幣挿入口5側に向けて紙幣の搬送を阻止するシャッタ部材170が設置されている。
【0058】
次に、上述した紙幣搬送機構6、紙幣読取手段(第1センサ)8、バーコードセンサ(第2センサ)88等の駆動部材の駆動を制御する制御手段200について、図6のブロック図を参照して説明する。
【0059】
図6のブロック図に示す制御手段200は、上記した各駆動装置の動作を制御する制御基板200Aを備えており、この制御基板200A上には、各駆動装置の駆動を制御すると共に、紙幣識別手段を構成するCPU(Central Processing Unit)210と、ROM(Read Only Memory)212と、RAM(Random
Access Memory)214と、基準データ記憶部216とが実装されている。
【0060】
前記ROM212には、紙幣搬送機構用のモータ13、押圧板駆動用のモータ20、スキュー補正機構用のモータ40、ローラ昇降用のモータ71等、各種駆動装置の作動プログラムや、真贋判定部216における真贋判定プログラム等の各種プログラム等、恒久的なデータが記憶されている。
【0061】
前記CPU210は、ROM212に記憶されている前記プログラムに従って作動して、I/Oポート220を介して上述した各種駆動装置との信号の入出力を行い、紙幣処理装置の全体的な動作制御を行う。すなわち、CPU210には、I/Oポート220を介して、紙幣搬送機構用のモータ13、押圧板駆動用のモータ20、スキュー補正機構用のモータ40、ローラ昇降用のモータ70、及び上述した紙幣読取手段8における透過発光部8aと反射発光部8cが接続されている。これらの駆動装置は、ROM212に格納された作動プログラムに従って、CPU210からの制御信号により動作が制御される。
【0062】
また、CPU210には、I/Oポート220を介して、挿入検知センサ7や可動片通過検知センサ12、排出検知センサ18、及びバーコードセンサ(第2センサ)88からの検知信号が入力されるようになっており、これら検知信号に基づいて、上記した各種駆動装置の駆動制御が行われる。
【0063】
さらに、CPU210には、I/Oポート220を介して、上述した紙幣読取手段(第1センサ)8における第1受光部8bから紙幣やバーコードが印刷された紙幣(識別対象物)に照射された光の透過光や反射光に基づく検知信号が入力されるようになっており、基準データ記憶部216に記憶されている基準データとの間で比較され、紙幣、バーコードを印刷した紙葉の真贋判定処理が実行される。なお、CPU210には、I/Oポート220を介して、バーコードセンサ(第2センサ)88の第2受光部88bからも、バーコードが上向きになって搬送された紙葉のバーコードに関する検知信号が入力されるようになっており、基準データ記憶部216に記憶されている基準データとの間で比較され、バーコードを印刷した紙葉の真贋判定処理が実行される。
【0064】
前記RAM214には、CPU210が作動する際に用いるデータやプログラムが記憶されており、基準データ記憶部216には、紙幣やバーコードを印刷した紙葉の真贋判定を行うときに用いられる基準データが記憶されている。なお、基準データについては、専用の基準データ記憶部216に記憶させているが、これをROM212に記憶させておいても良い。
【0065】
次に、上述した制御手段200によって実行される紙幣処理装置1における紙幣の処理動作について、図7〜図13のフローチャートに従って説明する。
【0066】
操作者が紙幣、或いはバーコードを印刷した紙葉(以下、これらを紙葉類と称する)を紙幣挿入口5に挿入する際、紙幣挿入口の近傍に設置される搬送ローラ対(14A,14B)は、初期状態において離間した状態にある(後述するST17,ST56参照)。また、押圧板115は、押圧板115を駆動する一対のリンク部材115a,115bが押圧待機部108に位置しており、紙葉類が一対のリンク部材115a,115bによって受入口103から押圧待機部108に搬入できない待機位置に設定されている。すなわち、この状態では、一対の規制部材110の間に形成された開口部に押圧板115が入り込んでいるため、開口部を介して紙幣収容部内に収容されている紙葉類を抜き取ることができない状態となっている。
【0067】
さらに、搬送ローラ対(14A,14B)の下流側に位置するスキュー補正機構10を構成する一対の可動片10Aは、初期状態において、あらゆる紙葉類の引き抜きができないように最小幅(例えば一対の可動片10Aの間隔が52mm;後述するST16,ST57参照)に移動した状態にある。
【0068】
上記した搬送ローラ対(14A,14B)の初期状態では、皺のある紙葉類であっても、操作者は容易に挿入することができる。そして、挿入検知センサ7によって紙葉類の挿入が検知されると(ST01)、上述した押圧板115の駆動用のモータ20を所定量逆転駆動し(ST02)、押圧板115を初期位置に移動させる。すなわち、挿入検知センサ7によって紙葉類の挿入が検知されるまでは、前記押圧板115は、一対の規制部材110の間に形成された開口部に移動された状態となっており、開口部を介して紙葉類が通過できないように設定されている。
【0069】
押圧板115が待機位置から初期位置に移動されると、押圧待機部108は開放状態となり(図4参照)、紙葉類は、紙幣収容部100内に搬入可能な状態となる。すなわち、モータ20を所定量逆転駆動することで、押圧板115は、本体側ギヤトレイン21、及び押圧板駆動機構120(収容部側ギヤトレイン124、可動部材122に形成されるラック、及びリンク部材115a,115b)を介して、前記待機位置から初期位置に移動される。
【0070】
また、上述したローラ昇降用モータ70を駆動し、上側の搬送ローラ14Aを下側の搬送ローラ14Bに当接するように移動させる。これにより、挿入された紙葉類は搬送ローラ対(14A,14B)によって挟持される(ST03)。
【0071】
次いで、紙幣搬送路の開放処理が成される(ST04)。この開放処理は、図10に示すフローチャートに示すように、述したスキュー補正機構用のモータ40を逆転駆動することで、一対の可動片10Aを互いに離間する方向に駆動することで成される(ST100)。このとき、一対の可動片10Aの位置を検知する可動片検知センサによって、一対の可動片10Aが所定位置(最大幅位置)に移動したことが検知されると(ST101)、モータ40の逆転駆動が停止される(ST102)。この搬送路開放処理により、一対の可動片10A内に紙葉類が進入できる状態になっている。なお、このST04の前段階では、紙幣搬送路3は、後述する搬送路閉鎖処理(ST16,ST57)によって閉鎖された状態にあるが、このように、紙葉類挿入前に紙幣搬送路3を閉じておくことで、例えば、不正目的などで紙幣挿入口から板状の部材を挿入して、ラインセンサなどの素子を破損させることを防止することができる。
【0072】
次いで、紙幣搬送用のモータ13が正転駆動される(ST05)。紙葉類は、搬送ローラ対(14A,14B)によって装置内部に搬送され、スキュー補正機構10よりも下流側に配設されている可動片通過検知センサ12が紙葉類の先端を検知すると、紙幣搬送用のモータ13は停止される(ST06,ST07)。このとき、紙葉類は、スキュー補正機構10を構成する一対の可動片10A間に位置している。
【0073】
引き続き、上述したローラ昇降用モータ70を駆動し、紙葉類を挟持した状態となっている搬送ローラ対(14A,14B)を離間させる(ST08)。このとき、紙葉類には、何等、負荷が作用していない状態となる。
【0074】
そして、この状態でスキュー補正作動処理を行う(ST09)。このスキュー補正作動処理は、上述したスキュー補正機構用のモータ40を正転駆動することで、一対の可動片10Aを互いに接近する方向に駆動することで成される。すなわち、このスキュー補正作動処理は、図11のフローチャートに示すように、上述したモータ40を正転駆動することで、一対の可動片10Aを、互いに接近する方向に移動する(ST110)。この可動片の移動は、制御手段における基準データ記憶部に登録されている紙幣の最小幅(例;幅62mm)となるまで実行され、これにより、紙幣は、両側に当て付く可動片10Aによって、スキューが補正され、正確な中心位置となるように位置決めされる。
【0075】
上述したようなスキュー補正作動処理が終了すると、引き続き、搬送路開放処理が実行される(ST10)。これは、上述したスキュー補正機構用のモータ40を逆転駆動することで、一対の可動片10Aを離間する方向に移動することで成される(図10のST100〜ST102参照)。
【0076】
続いて、上述したローラ昇降用モータ70を駆動し、上側の搬送ローラ14Aを下側の搬送ローラ14Bに当接するように移動させ、紙葉類を搬送ローラ対(14A,14B)に挟持させる(ST11)。その後、紙幣搬送用のモータ13を正転駆動して紙葉類を装置内部に向けて搬送し、紙葉類が紙幣読取手段8を通過する際に、紙葉類の読取処理を開始する(ST12,ST13)。また、これに伴ってバーコードセンサ88が紙葉類の読取りを開始する(ST14)。
【0077】
そして、搬送される紙葉類が紙幣読取手段8を通過して、紙葉類の後端が、可動片通過検知センサ12によって検知されると(ST15)、紙幣搬送路3の閉鎖処理が実行される(ST17)。この処理においては、まず、図12のフローチャートに示すように、紙葉類の後端が、可動片通過検知センサ12によって検知された後、上述したモータ40を正転駆動することで、一対の可動片10Aを、互いに接近する方向に移動する(ST130)。次に、可動片検知センサによって、可動片10Aが所定位置(最小幅位置、例えば52mm)に移動したことが検知されると(ST131)、モータ40の正転駆動が停止される(ST132)。
【0078】
この搬送路閉鎖処理により、一対の可動片10Aは、挿入可能なあらゆる紙葉類の幅よりも狭い最小幅位置(幅52mm)に移動されており、これにより、紙葉類の引き抜きを効果的に防止するようにしている。すなわち、このような紙幣搬送路の閉鎖処理を実行することで、挿入された紙葉類の幅よりも、可動片10A間の距離が狭くなり、操作者が不正目的で紙葉類を挿入口方向に向けて引き抜く等の行為を効果的に防止することが可能となる。
【0079】
なお、この状態で、上述した可動片検知センサが、可動片10Aの移動を検知した際、操作者が何らかの不正行為を行っているとみなし、所定の処理を実行するようにしても良い。例えば、紙幣処理装置の動作を管理する上位装置に対して不正操作信号(異常検知信号)を送信したり、紙幣処理装置に報知ランプを設けておき、これを点滅させたり、その後に操作者によって入力される入力受付(ST23)の処理を有効化することなく、強制的に排出動作を行う等の処理を実行しても良い。或いは、紙幣処理装置の動作を無効(例えば、処理の停止処理、紙幣の排出処理など)にする等、適正な処理を行うようにしても良い。
【0080】
また、上記した搬送路閉鎖処理(ST16)に引き続いて、上述したローラ昇降用モータ70を駆動し、紙葉類を挟持可能な状態となっている搬送ローラ対(14A,14B)を離間させる搬送ローラ対離間処理が行われる(ST17)。この搬送ローラ対離間処理を行うことで、操作者が誤って紙葉類を追加投入(二重投入)しても、紙葉類は、搬送ローラ対(14A,14B)による送り動作を受けることはなく、また、ST16において接近した状態にある一対の可動片10Aの前端に突き当たることから、紙葉類の二重投入動作を確実に防止することができる。
【0081】
上記した紙幣搬送路の閉鎖処理と共に、紙幣読取手段8が紙葉類の後端までデータを読取ると、紙幣搬送用のモータ13を予め特定された所定量だけ駆動し、紙葉類を所定位置(エスクロ位置;紙幣読取手段8の中心位置から13mm紙葉類が下流側に搬送された位置とされる)で停止させ、このときに、上述した制御手段200において、基準データ記憶部216に記憶されている正規のデータを参照し、紙葉類の真贋判定処理を実行する(ST18〜ST21)。
【0082】
なお、このエスクロ位置は、バーコードセンサ88が、バーコードが上向きになって挿入された紙葉のバーコードの読取りが終了し、かつその紙葉を検知できる位置とされている。
【0083】
そして、記したST21の真贋判定処理において、紙葉類が真券であると判定されると(ST22;Yes)、操作者の入力を受付ける(ST23)。これは、操作者が、サービスの提供(例えば、ゲーム装置であればゲーム開始に伴う受付処理)を受入れるべく、受入ボタンを押下する受入操作、及び、挿入した紙葉類の返却処理を行うべく、返却ボタンを押下する処理が該当する。
【0084】
また、このST22、ST23の処理が実行される間、図13に示すような割り込み処理が実行される。この割り込み処理は、バーコードセンサ88が識別対象物の移動を検知すると(ST150;Yes)、それは、本来、エスクロ位置に停止しているはずの紙葉類が移動したということであり、引き抜き行為など、何らかの不正な行為が成されているとみなし、装置の動作を無効化する処理(例えば、搬送機構の停止、紙葉類の排出、上位装置との取引処理の停止等)を実行する(ST151)。
【0085】
上記のように、紙葉類がエスクロ位置に停止している状態では、不正行為が行われ易いが、このエスクロ位置において、バーコードセンサ88によって紙葉類の移動を検知したときに、搬送機構6の動作を無効にすることにより、不正行為を確実に防止することが可能となる。
【0086】
そして、各種サービスの提供を受入れる操作が入力されると(ST24;Yes)、引き続き、この状態で紙幣搬送用のモータ13を正転駆動し、紙葉類を、紙幣収容部100に向けて搬送する(ST25)。
【0087】
このST25の処理に際しては、バーコードセンサ88が識別対象物の存在を検知しており(ST26)、紙葉類の搬送処理の段階(紙葉類が移動する時間内)において、紙葉類の存在が確認されなければ、それは紙葉類の引き抜き等が行われたと判断し、装置の動作の無効化処理(ST26;No、ST40)を実行する。この無効化処理は、例えば、搬送機構6の動作を停止して紙葉類の搬送ができない状態にしたり、紙葉類の排出動作や、上位装置との取引処理の停止などが該当する。また、ST25の処理に際しては、バーコードセンサ88から紙葉類の移動する時間が特定されているため、その時間を検知しており(ST27)、その時間が経過した段階で(ST27;Yes)、バーコードセンサ88が識別対象物の存在を検知すれば、それは紙葉類が詰まったものと判断し、上記したような装置の動作の無効化処理を実行する(ST28;Yes、ST40)。
【0088】
このように、本実施形態では、バーコードセンサ88が、紙葉類の存在を検知する機能を備えており、上記した制御手段200によって、バーコードセンサ88の検知結果と、搬送機構6により紙葉類が移動してバーコードセンサ88を通過する時間とに基づいて、搬送機構6の動作を無効にするよう構成されている。
【0089】
すなわち、バーコードセンサ88によって、紙葉類が移動した際、その部分の通過時間を特定することができることに着目し、このバーコードセンサ88において、特定されている通過時間が経過しても紙葉類の存在が検知されていたり、その通過時間内において紙葉類が検知できなければ、搬送機構6の動作が無効化される。従って、紙葉類の詰まりを検出したり、紙葉類の引き抜き行為等の不正行為を効果的に防止することができる。
【0090】
そして、上記のST25の処理における紙葉類の搬送に際しては、紙葉類の後端が排出検知センサ18によって検知されるまでは紙幣搬送用のモータ13は正転駆動され(ST29)、紙葉類の後端が排出検知センサ18によって検知されてから、紙幣搬送用のモータ13は所定量だけ正転駆動される(ST30,ST31)。
【0091】
このST30、及びST31における紙幣搬送用のモータ13の正転駆動処理は、紙葉類が、装置本体2の紙幣搬送路3の下流側にある排出口3aから紙幣収容部100の受入口103に搬入され、前記一対のベルト150が、搬入される紙幣の両側表面に接触し、安定して押圧待機部108に案内される駆動量に対応している。すなわち、紙葉類の後端が排出検知センサ18によって検知された後、更に、所定量、紙幣搬送用のモータ13を正転駆動することで、前記一対のベルト150は、搬入される紙葉類に接触しつつ送り方向に駆動され、紙葉類を安定した状態で押圧待機部108に案内する。
【0092】
そして、上記した紙幣搬送用のモータ13が停止した後、紙葉類を載置プレート105上に載置すべく押圧板115の駆動処理を実行し(ST32)、押圧処理が終了すると、押圧板115は再び待機位置に移動され、その位置で停止される。
【0093】
また、上述した処理手順のST22の真贋判定処理において、挿入された紙葉類が真券でないと識別された場合、或いは、操作者によって返却ボタンが押下された場合(ST24;No)、搬送路開放処理を実行し(ST51、図10のST100〜ST102参照)、その後、紙幣搬送用のモータ13を逆転駆動し、搬送ローラ対(14A,14B)の挟持処理を実行した後、エスクロ位置に待機している紙葉類を、紙幣挿入口5に向けて搬送する(ST52,53)。そして、挿入検知センサ7が、紙幣挿入口5に向けて差し戻される紙葉類の後端を検知した際に、紙幣搬送用のモータ13の逆転駆動を停止すると共に、上述したローラ昇降用モータ70を駆動し、紙葉類を挟持した状態となっている搬送ローラ対(14A,14B)を離間させる(ST54〜ST56)。その後、搬送路閉鎖処理を実施(ST57,図12のST130〜ST132参照)すると共に、押圧板115の駆動用のモータ20を所定量正転駆動することで(ST58)、初期位置にある押圧板115を待機位置に駆動し、一連の処理が終了する。
【0094】
上記した構成の紙幣処理装置1によれば、第1センサ8及び第2センサ88による検出結果に基づいて搬送路に搬送される識別対象物の真贋を判定することが可能となる。この場合、第1センサ8の発光部(第1発光部8a)と、第2センサ88の発光部(第2発光部88a)は、図3の矢印D1、D2に示すように、照射方向が異なっているため、各センサ8,88における受光部8b、88bで光を受光する際、相互に光の干渉が抑制され、識別対象物を正確に読取ることが可能となる。
【0095】
特に、本実施形態では、第1センサ8を第1搬送路3Aに、第2センサ88を第1搬送路3Aに対して所定角度傾斜する第2搬送路3Bに設置したため、容易に第1センサの第1発光部8aと、第2センサ88の第2発光部88aの照射方向を変えることが可能となる。また、屈曲部分によって一方のセンサの発光部による光が、他方のセンサの受光部に届き難くなることから、光の干渉をより効果的に抑制することができ、識別対象物を正確に読取ることが可能となる。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することが可能である。本発明は、第1センサ8における発光部の照射方向D1と、第2センサにおける発光部の照射方向D2が異なるような配置態様になっていれば良く、具体的な真贋の識別方法や、用いられる光源の種類、設置状態については適宜変形することが可能である。また、紙幣処理装置内に設置される各種の駆動部材を駆動する駆動源、或いは、その駆動源からの動力伝達機構については、適宜変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、例えば、紙幣が挿入されたことで、商品やサービスを提供する各種の装置に組み込むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】紙幣処理装置の構成を示す図であり、全体構成を示す斜視図。
【図2】開閉部材を装置本体の本体フレームに対して開いた状態を示す斜視図。
【図3】挿入口から挿入される紙幣の搬送経路を概略的に示した右側面図。
【図4】紙幣収容部に配設される押圧板を駆動するための動力伝達機構の概略構成を示す右側面図。
【図5】紙幣搬送機構を駆動するための駆動源及び駆動力伝達機構の概略構成を示す左側面図。
【図6】紙幣搬送機構、紙幣読取手段等の駆動部材の駆動を制御する制御手段の構成を示すブロック図。
【図7】本実施形態の紙幣処理装置における紙幣の処理動作を説明するフローチャート(その1)。
【図8】本実施形態の紙幣処理装置における紙幣の処理動作を説明するフローチャート(その2)。
【図9】本実施形態の紙幣処理装置における紙幣の処理動作を説明するフローチャート(その3)。
【図10】搬送路開放処理手順を説明するフローチャート。
【図11】スキュー補正作動処理手順を説明するフローチャート。
【図12】搬送路閉鎖処理手順を示すフローチャート。
【図13】バーコードセンサの検知信号に基づく割り込み処理を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0099】
1 紙幣処理装置
2 装置本体
3 紙幣搬送路
3A 第1搬送路
3B 第2搬送路
5 紙幣挿入口
6 紙幣搬送機構
8 紙幣読取手段(第1センサ)
8a 第1発光部
8b 第1受光部
88 バーコードセンサ(第2センサ)
88a 第2発光部
88b 第2受光部
10 スキュー補正機構
100 紙幣収容部
200 制御手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別対象物に対して光を照射する第1発光部と、前記第1発光部からの光を受光する第1受光部と、を有する第1センサと、
前記第1発光部とは異なる照射方向で光を照射する第2発光部と、前記第2発光部からの光を受光する第2受光部と、を有する第2センサと、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記識別対象物が搬送される搬送路を備え、
前記搬送路は、第1搬送路と、前記第1搬送路に対して所定角度傾斜する第2搬送路とを有し、前記第1搬送路に第1センサを、前記第2搬送路に第2センサを設置したことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記識別対象物を搬送移動する搬送機構と、
前記搬送機構を制御する制御手段と、を備えており、
前記第2センサは、前記搬送路において、識別対象物の存在を検知する機能を備え、
前記制御手段は、前記第2センサの検知結果と、前記搬送機構により識別対象物が移動され、第2センサを通過する時間とに基づいて、前記搬送機構の動作を無効にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記識別対象物を搬送移動する搬送機構と、
前記搬送機構を制御する制御手段と、を備えており、
前記制御手段は、前記第2センサによって、前記第1センサで読取った識別対象物を一旦停止させるエスクロ位置に停止した識別対象物の移動が検知された場合、前記搬送機構の動作を無効にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項1】
識別対象物に対して光を照射する第1発光部と、前記第1発光部からの光を受光する第1受光部と、を有する第1センサと、
前記第1発光部とは異なる照射方向で光を照射する第2発光部と、前記第2発光部からの光を受光する第2受光部と、を有する第2センサと、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記識別対象物が搬送される搬送路を備え、
前記搬送路は、第1搬送路と、前記第1搬送路に対して所定角度傾斜する第2搬送路とを有し、前記第1搬送路に第1センサを、前記第2搬送路に第2センサを設置したことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記識別対象物を搬送移動する搬送機構と、
前記搬送機構を制御する制御手段と、を備えており、
前記第2センサは、前記搬送路において、識別対象物の存在を検知する機能を備え、
前記制御手段は、前記第2センサの検知結果と、前記搬送機構により識別対象物が移動され、第2センサを通過する時間とに基づいて、前記搬送機構の動作を無効にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記識別対象物を搬送移動する搬送機構と、
前記搬送機構を制御する制御手段と、を備えており、
前記制御手段は、前記第2センサによって、前記第1センサで読取った識別対象物を一旦停止させるエスクロ位置に停止した識別対象物の移動が検知された場合、前記搬送機構の動作を無効にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の紙葉類処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−176142(P2009−176142A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15304(P2008−15304)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】
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