説明

紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物、製造方法および積層体

【課題】 耐候性及び透明性に優れ、基材との密着性、加工性、各種の耐性に優れ、防汚、撥水等の各種の機能性を有する塗膜を短時間で形成し得る紫外線遮蔽性防汚コーティング組成物を提供する。
【解決手段】 炭素炭素不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)1〜80重量%、および炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)10〜80重量%、および(a)と(b)以外の単量体(c)0〜89重量%からなる重合体(A)と、炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)10〜100重量%、および(a)と(b)以外の単量体(c)0〜90重量%からなる重合体(B)と、分散樹脂(C)と、紫外線吸収能を有する金属酸化物(D)とを含有するる紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落書き防止性、汚れ除去性、撥インキ性などの表面特性を有し、基材への密着性に優れ、かつ可視光は透過して透明であるが、紫外線を吸収して透過させず、耐候性に優れる塗膜を、金属を含む触媒などの環境に負荷を与える物質を添加することなく、低温、短時間で形成することが可能なコーティング用樹脂組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な基材表面への、防汚、撥水、撥インキ、水の滑落、着雪防止等の各種の機能性の付与が求められており、この様な機能が、着雪防止、貼り紙防止、落書き防止、油の付着防止、水滴の付着防止、汚れ防止、防菌等の各種用途、さらには印刷版材料や、印刷版関連製品等に利用されている。これらの機能を基材表面に付与する方法として、表面に高分子フィルム等を貼り付けるという方法が、広く知られている。
しかし、この方法は、フィルム張り付けに手間がかかり、基材との密着性、加工性も不充分な場合が多く、またコスト的にも高価であった。
【0003】
その他に、コーティングによりこれらの機能を発現させるという方法が挙げられる。
その一つとして、例えば、種々の含フッ素化合物のコーティングが提案されているが、上述のような機能を十分に発現させるためには、化合物のフッ素含有量を多くしなければならず、多量のフッ素を含有させた場合、フッ素が高価であるため材料のコストが上がってしまうという欠点があった。
また、フッ素系の樹脂を用いた場合の多くは、加工性が非常に悪いという問題点があった。フッ素化合物と並んで、シリコーン系の化合物やコーティング剤も、よく知られているが、フッ素系と同様シリコーン系の材料は高価であり、また、シリコーン系樹脂自体、基材との密着性が非常に悪く、さらに他の一般的な樹脂との相溶性も悪く混合することが困難であるため、固定し難いという欠点があった。
【0004】
そこで、防汚、撥水、撥インキ、水の滑落、着雪防止等などの機能を付与する新規なコーティング用樹脂組成物が提案された(特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に開示されるコーティング用樹脂組成物から形成される塗膜は、撥水性、撥油性等に優れるものではあるが、耐候性に不安がある。
【0005】
屋外で用いられる塗膜が、紫外線への暴露によって劣化することは周知である。紫外線による劣化は250〜400nmの波長の光が原因であり、この範囲の光を防ぐ事が望まれる。包装等に用いられる材料の多くは、400nm以上の波長の可視光は透過して透明であることが必要とされている。
紫外線による塗膜劣化を防止するために、塗膜は紫外線吸収剤を含むことが一般的である。塗料に添加して紫外線を吸収する材料としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、サリチル酸フェニル等のような有機化合物が知られている。
しかし、有機紫外線吸収剤は、有機物であるために劣化が起り易く、塗膜からの溶出、分解などによって効力が経時的に低下する傾向が見られる。これらはしばしば黄変の原因となる。
【0006】
上記問題に対し、平均粒径0.1μm以下の微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウムなどは同様に紫外線を選択的に吸収する性質を有し、化学的に安定であることから有機紫外線吸収剤に代わって塗料に配合することが提案されている。
しかし、可視光の透過性に優れる塗膜を形成するためには、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等の粉末を多量には添加できないため、紫外線の吸収が完全ではない。
また、これらの材料は、屈折率が約1.9〜2.8であり、一般的な塗膜形成性材料の屈折率との乖離が大きい為、高い機能を得る為に高濃度で使用すると、塗膜にしたときの透明性が得られないといった問題がある。
【0007】
ところで、微粒子の可視光散乱強度は、その粒子と媒質が有する屈折率にも依存するが、一般的に粒径が波長の1/2付近で最大となり、それよりも粒径が小さくなるとレイリーの散乱式から示される様に、粒径の6乗に比例して散乱強度は小さくなっていく。よって可視光(波長が400〜800nm)に対しては、粒径が200〜400nmの時に散乱強度が最大、それ以下になるにつれて散乱強度が低下(透明化)していくことになる。即ち、一次粒子径の小さな粒子を高度に分散することが透明性の確保に関しては不可欠となる。
しかし、金属酸化物の様な無機粒子を溶剤やポリマー中に分散する場合、無機粒子の表面張力は媒質の表面張力に比べて大きい為、二者間の表面張力の乖離が大きくなる程、粒子と媒質との界面エネルギーも大きくなり粒子は凝集する。
また、一次粒子径の小さな無機粒子を使用するということは、同時に粒子の比表面積が増大することを意味し、結果、粒子同士の接触機会が増え、凝集傾向が強くなり、安定した分散体を得ることが更に難しくなる。
【0008】
特許文献2には、10m/g以上60m/g以下の比表面積を有する酸化亜鉛粉末を、塗料固形分中30〜80wt%含有する紫外線吸収塗料が開示されている。特許文献2には、「透明」紫外線吸収塗料と記載される。しかし、特許文献2に開示される紫外線吸収塗料から形成される塗膜は、それ自体はヘーズ値が高く、けっして透明性に優れるものではない。特許文献2は、あまり透明性に優れない塗膜の上に透明な樹脂だけの塗料をオーバーコートすることによって、透明な塗膜が得られることを開示するものである。
【0009】
特許文献3には、一次粒子径が0.1μm以下の酸化亜鉛を単分散させた透明紫外線吸収酸化亜鉛塗料材料を用いて、ヘイズ値0.5%程度のかなり透明性に優れる塗膜を形成し得る旨記載されている。
しかし、特許文献3記載の塗料は、酸化亜鉛とポリエステル樹脂とをサンドミル8時間混合後に超音波処理し、合計45時間かけて分散したものである。超音波分散機は分散する力が比較的弱いので、上記のように分散に長時間を要したものと推測される。このような長時間の分散は非効率的であり、工業的な生産には不適当である。
【特許文献1】特開平10−265737号公報
【特許文献2】特開平1−217084公報
【特許文献3】特開平2−169673公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、耐候性及び透明性に優れ、基材との密着性、加工性、各種の耐性に優れ、防汚、撥水等の各種の機能性を有する塗膜を短時間で形成し得る安価な紫外線遮蔽性防汚コーティング組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)1〜80重量%、および一分子中に炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)10〜80重量%、および(a)と(b)以外の一分子中に炭素炭素不飽和二重結合を有する単量体(c)0〜89重量%を重合してなる重合体(A)と、
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)10〜100重量%、および(a)と(b)以外の一分子中に炭素炭素不飽和二重結合を有する単量体(c)0〜90重量%とを重合してなる重合体(B)と、
分散樹脂(C)と、
紫外線吸収能を有し、且つ窒素吸着法(BET法)による比表面積が30〜160m/gである金属酸化物(D)とを、
重合体(A)+重合体(B)=100重量部に対して、金属酸化物(D)を30〜200重量部、
分散樹脂(C)+金属酸化物(D)=100重量%中に金属酸化物(D)を70〜95重量%、
の組成で含有する、膜厚2〜5μmにおいてヘイズが1%以下の乾燥膜を形成し得る紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物に関する。
【0012】
また本発明は、紫外線吸収能を有し、且つ窒素吸着法(BET法)による比表面積が30〜160m/gである金属酸化物(D)70〜95重量%と分散樹脂(C)30〜5重量%とを、有機溶剤の存在下もしくは不存在下に、2本ロールで混練してなるかもしくは乾式粉砕装置で混練してなる予備分散体と、
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)1〜80重量%、および一分子中に炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)10〜80重量%、および(a)と(b)以外の一分子中に炭素炭素不飽和二重結合を有する単量体(c)0〜89重量%を重合してなる重合体(A)と、
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)10〜100重量%、および(a)と(b)以外の一分子中に炭素炭素不飽和二重結合を有する単量体(c)0〜90重量%とを重合してなる重合体(B)を含有し、
前記重合体(A)及び(B)の合計100重量部に対して、前記金属酸化物(D)が30〜200重量部である、紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物に関する。
【0013】
また本発明は、一分子中に炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)の架橋性の官能基が、加水分解性シリル基、カルボキシル基、イソシアノ基、エポキシ基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基、またはヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種の官能基である上記発明に記載のコーティング用樹脂組成物に関する。
【0014】
また本発明は、重合体(A)と重合体(B)の合計100重量%中に、単量体(a)が0.05〜10重量%であることを特徴とする上記発明のいずれかに記載の紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物に関する。
【0015】
また本発明は、架橋剤として、重合体(A)及び重合体(B)の架橋性の官能基と反応可能な反応性官能基を有する化合物(E)を1種類以上含むことを特徴とする上記発明のいずれかに記載の紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物に関する。
【0016】
また本発明は、重合体(A)及び重合体(B)の架橋反応を促進させる架橋触媒(F)をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物に関する。
【0017】
また本発明は、紫外線吸収能を有し、且つ窒素吸着法(BET法)による比表面積が30〜160m/gである金属酸化物(D)70〜95重量%と分散樹脂(C)30〜5重量%とを、有機溶剤の存在下もしくは不存在下に、2本ロールで混練するか、もしくは乾式粉砕装置で混練して予備分散体を得、
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)1〜80重量%、および一分子中に炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)10〜80重量%、および(a)と(b)以外の一分子中に炭素炭素不飽和二重結合を有する単量体(c)0〜89重量%を重合してなる重合体(A)と、
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)10〜100重量%、および(a)と(b)以外の一分子中に炭素炭素不飽和二重結合を有する単量体(c)0〜90重量%とを重合してなる重合体(B)との合計100重量部に対して、
前記予備分散体を、前記金属酸化物(D)が30〜200重量部となるように配合することを特徴とするコーティング用樹脂組成物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって、表面エネルギーの低いケイ素原子を含む重合体が塗膜の表面に局在化する事を利用して、架橋性官能基を有する重合体と、架橋性の官能基とポリオルガノシロキサン鎖を有する共重合体との混合物を採用したことにより、ごく少量のケイ素含有量で高い撥水性、防汚性を有する。また紫外線カット能を有する金属酸化物との混合を、2本ロールもしくは乾式粉砕装置による混練処理と、湿式メディア型分散機による分散処理を併用する為、分散時間が大幅に短縮でき、塗膜にしたときの透明性に優れ、高い撥水性等の機能を阻害することなく、耐候性に優れたコーティング組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を構成する(A)成分で用いられる一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)は、一般式アで表される。
【0020】
【化1】

【0021】
R1 : CH2=CH-COO-(CH2) m - 、 CH2=C(CH3)-COO- 、(CH2)m -
CH2=CH-(CH2)m - 、 または CH2=C(CH3)-(CH2)m -
(mは0〜10の整数)
R2 :水素、メチル基、またはR1 と同じ官能基
R3 、R4 、 R5 、R6 、R7 、R8 :アルキル基、フェニル基、水酸基、カルボキシル基から選ばれる。
【0022】
具体的には、例えば東芝シリコーン(株)製のTSL9705などの片末端ビニル基含有ポリオルガノシロキサン化合物、チッソ(株)製のサイラプレーンFM−0711、FM−0721、FM−0725などの片末端(メタ)アクリロキシ基含有ポリオルガノシロキサン化合物等が挙げられる。
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)は撥水性、撥インキ性、防汚性、滑り性、着雪防止性等の表面特性を塗膜に付与する為に不可欠のものであり、要求性能に応じてこれらの内から1種類、あるいは2種類以上を混合して使用でき、1〜80重量%の共重合比率で用いられるが、十分な表面特性を得るためには5重量%以上共重合する事が望ましく、さらに基材との密着性、強靭性等の塗膜性能、ハロゲン原子を含まない溶剤への溶解性を十分得るためには60重量%以下の共重合比率にすることが望ましい。
【0023】
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)は、塗工後に架橋させて、基材と密着した硬質な塗膜を形成するために用いられる。
架橋性の官能基としては、加水分解性シリル基、カルボキシル基、イソシアノ基、エポキシ基、N−メチロール基または、N−アルコキシメチル基、ヒドロキシ基が挙げられ、特に加水分解性シリル基を有する単量体を用いた場合には、硬質な塗膜が得られる。
【0024】
加水分解性シリル基を有する単量体(b)の例としては、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどの(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシシラン、(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシアルキルシラン、トリメトキシビニルシラン、ジメトキシエチルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリエトキシアリルシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランなどが挙げられる。
【0025】
また、カルボキシル基を有する単量体(b)の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸などが挙げられる。また、イソシアノ基を有する単量体(b)の例としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネートなどの他、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ(メタ)アクリレートを、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、コロネートLなどのポリイシアネートと反応させて得られるものが挙げられる。
【0026】
また、エポキシ基を有する単量体(b)の例としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルシンナメート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルビニルエーテル、ビニルシクロヘキサンモノエポキサイド、1、3−ブタジエンモノエポキサイドなどが挙げられる。
【0027】
また、N−メチロール基またはN−アルコキシメチル基を有する単量体(b)の例としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのN−モノアルコキシメチル基を有する(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルコキシメチル基を有する(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0028】
またヒドロキシル基を有する単量体(b)の例としては、2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4ーヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
要求性能に応じてこれらの内から1種、または2種以上を混合して用いることができる。
【0029】
重合体(B)は、上記単量体(b)と必要に応じて上記単量体(a)、(b)以外の他の単量体(c)とを重合してなるものである。
上記単量体(b)は、重合体(A)中で用いるものと、重合体(B)中で用いるものとは、必ずしも、同一である必要はない。単量体(b)は、重合体(A)中では、10〜80重量%の共重合比率で用いられる。10重量%より小さい場合は、充分な硬度が得られず、80重量%より大きい場合は、塗膜の表面性能が不充分となる場合がある。また、重合体(B)中では、10〜100重量%、好ましくは20〜80%の共重合比率で用いられる。10重量%より小さい場合は、充分な硬度が得られない。
【0030】
本発明で用いられる(a)、(b)以外の一分子中に炭素炭素不飽和二重結合を有する単量体(c)は、硬度、強靭性、耐擦傷性、光沢向上等の様々な塗膜物性付与のために用いられる。この単量体として(i) (メタ)アクリル酸誘導体、(ii)芳香族ビニル単量体、(iii) オレフィン系炭化水素単量体、(iv)ビニルエステル単量体、(v) ビニルハライド単量体、(vi)ビニルエーテル単量体等があげられる。
【0031】
(i)(メタ)アクリル酸誘導体の例として、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸塩、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が上げられる。
【0032】
(ii) 芳香族ビニル単量体の例として、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン等が上げられる。
(iii) オレフィン系炭化水素単量体の例として、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、イソプレン、1、4−ペンタジエン等が上げられる。
(iv)ビニルエステル単量体の例として、酢酸ビニル等が上げられる。
(v) ビニルハライド単量体の例として、塩化ビニル、塩化ビニリデン、モノフルオロエチレン、ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン等が上げられる。
(vi)ビニルエーテル単量体の例として、ビニルメチルエーテル等が上げられる。これらは、2種以上用いても良い。
【0033】
単量体(c)は、重合体(A)中では、0〜89重量%で用いられる。また、重合体(B)中では、0〜90重量%で用いる。90重量%より大きい場合は、基材との十分な密着性が得られない。また、重合体(A)との相溶性が低下し、均一かつ良好な塗膜が得られない。
【0034】
重合体(A)および重合体(B)は、公知の方法、例えば、溶液重合で得られる。
用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテルなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの使用が可能である。溶媒は2種以上の混合物でもよい。合成時の単量体の仕込み濃度は、0〜80重量%が好ましい。
【0035】
重合開始剤としては、通常の過酸化物またはアゾ化合物、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチルバレノニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオクトエート、クメンヒドロキシペルオキシドなどが用いられ、重合温度は、50〜140℃、好ましくは70〜140℃である。得られる重合体の好ましい平均重量分子量は、重合体(A)、重合体(B)共に、2,000〜100,000である。
【0036】
本発明に用いる分散樹脂(C)としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール等を構成単位として含む重合体または共重合体。ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂および硝化綿等の繊維素系樹脂が挙げられる。
これらの分散樹脂は、−COOM、−SOM、−PO(OM) (Mは水素原子またはアルカリ金属)、−OH、−NRn (Rは炭化水素、nは2〜3の整数)、エポキシ基、スルホベタイン基等から選ばれる少なくとも一つ以上の極性基を有するものが好ましい。これら極性官能基を有することで、分散樹脂と金属酸化物粒子の相互作用が強まり、分散性が向上する。
また、最終的に透明な塗膜を得る為には、これら分散樹脂は透明であることが好ましい。また分散樹脂として市販の樹脂型分散剤を用いることもでる。
【0037】
具体的には、EFKA CHEMICALS社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)」、アビシア社製「ソルスパース20000(塩基性基を含有する高分子共重合体)、24000SC、24000GR、28000、32000、21000(酸基を有する高分子共重合物)、36000、41000」、味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB−711(塩基性基を含有する高分子共重合物)、821(塩基性基および酸性基を含有する高分子共重合体)、822、PA−411(酸性基を含有する高分子共重合体)、PN−411」、共栄社化学社製「フローレン TG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」、楠本化成社製「ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」、BYK Chemie社製「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、111、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)、180、185」、「400」、「Bykumen」(高分子量不飽和酸エステル)、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン)」等が挙げられるがこれらに限定されない。またこれらの分散樹脂は、単独で使用しても良いし、二種類以上組み合わせて使用しても良い。またこれらの分散樹脂は、固形のまま使用しても良いし、適当な溶剤に溶解したワニスとして使用しても良い。
【0038】
本発明に用いる金属酸化物(D)としては、紫外線吸収能を有する金属酸化物であれば特に制限はなく、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄等が挙げられる。金属酸化物(D)としては、窒素吸着法(BET法)により求められる比表面積が30〜160m/gの金属酸化物粉末を用いる。比表面積が30m/gを下回ると、金属酸化物粒子による光の散乱が顕著となり、透明な塗膜を得ることが難しくなる。
これら金属酸化物(D)は単独で使用しても良いし、複数を組み合わせて使用しても良いが、得られる塗膜が無色になること、および紫外線遮蔽能の高さの点から、二酸化チタンもしくは、酸化亜鉛の使用が好ましい。また、二酸化チタンや酸化亜鉛は触媒活性を示し、有機塗膜の劣化(チョーキング)の原因となる為、粒子表面をシリカ、アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物やその水和物で表面処理し、触媒活性を落としたものを使用することが好ましい。
【0039】
また本発明に用いる金属酸化物(D)は、予めカップリング剤、オルガノシリコーン、高級脂肪酸、リン酸エステルおよび高級アルコール等で疎水化処理されていても良い。
例えばカップリング剤は、シラン系、チタネート系、アルミキレート系のいずれでも良く、具体的にはメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N-アミドエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネートアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等がある。
【0040】
本発明における金属酸化物(D)の疎水化処理方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
すなわち、カップリング剤等の処理剤と金属酸化物粒子を湿式または乾式で各種混合分散機により、混合、粉砕、加熱等の処理をする。具体的には、湿式処理ではペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)等を用いることができ、また乾式処理では、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、アトライター、ニーダー、ローラーミル、石臼式ミル、ハイブリダイザー((株)奈良機械製作所)、メカノマイクロス((株)奈良機械製作所)、メカノフュージョンシステムAMS(ホソカワミクロン(株))等が使用できるがこられに限定されるものではない。
【0041】
本発明のコーテイング用樹脂組成物は、金属酸化物粉末(D)と分散樹脂(C)とを含有する予備分散体を予め得ておき、該予備分散体を重合体(A)及び(B)と混合することが好ましい。
金属酸化物粉末(D)と分散樹脂(C)とを含有する予備分散体について説明する。予備分散体は、金属酸化物粉末(D)70〜95重量%と分散樹脂(C)30〜5重量%とを、有機溶剤の存在下もしくは不存在下に、2本ロールで混練してなるかもしくは乾式粉砕装置で混練してなるものである。
2本ロールの強力な剪断作用、もしくは粉砕メディアの強力な衝撃力により、凝集している金属酸化物(D)粒子が解砕されると同時に、粒子表面への分散樹脂(C)の強固な吸着が起こる為、微細且つ分散安定性良好な分散体を得ることができる。
また、2本ロールもしくは乾式粉砕装置による混練処理と、湿式メディア型分散機による分散処理を併用することもできる。併用することによってメディア型分散機単独で長時間分散を行う場合に比して分散時間が大幅に短縮されるとともに、ベッセルやメディアの摩耗等に起因するコンタミネーションの大幅軽減が可能となる。
【0042】
まず、2本ロールによる混練処理によって予備分散体を得る方法について説明する。
本発明における2本ロールによる混練処理は、2本ロールによるせん断力を利用して金属酸化物粒子の凝集体を解砕しつつ、粒子表面に分散樹脂を吸着させるものである。
金属酸化物(D)70〜95重量%と分散樹脂(C)30〜5重量%とを常温もしくは加熱下で混合し、均質な混合物を作る。尚、このとき溶剤を加え湿潤混合物としても良い。溶剤としては、塗膜形成性材料を溶解するものであれば特に制限はなく、メチルエチルケトン等のケトン類、エチルアルコール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類、その他エーテル類、芳香族類等の有機溶剤が使用できるが特に限定されない。また特に表面が疎水化処理されていない金属酸化物を用いる場合は水を使用しても良いが、最終的な用途に合わせて溶剤を選択することが好ましい。
金属酸化物粉末と分散樹脂の重量比が上記の範囲を超えると、次の2本ロールによる混練処理工程の作業性が悪化する。また金属酸化物粉体に対して分散樹脂量が少ない場合には、塗料の分散安定化が低下する。
【0043】
こうして得られた混合物を、加熱温度40〜200℃、回転速度を10〜50rpmとした2本ロールにて複数回混練処理し、断片状もしくはシート状の混練物を得る。混練回数は、希望とする混練度に応じて任意に設定できる。得られた混練物がシート状の場合は、粉砕して粉状または断片状とした後に、次の溶解、分散工程に使用するのが好ましい。シート状の混練物を粉砕する方法としては、通常の粉砕機を用いればよく、特に限定されない。
【0044】
続いて、金属酸化物粉末(D)と分散樹脂(C)との乾式粉砕装置による混練処理について説明する。
本発明における乾式粉砕装置による混練処理は、紫外線吸収能を有し、且つ窒素吸着法(BET法)による比表面積が30〜160m/gである金属酸化物(D)70〜95重量%と分散樹脂(C)30〜5重量%とを添加し、常温もしくは加熱下で、ビーズ等の粉砕メディアを内蔵した粉砕機を使用して行われる。すなわち、粉砕メディアの衝撃力を利用して金属酸化物粒子の凝集体を粉砕しつつ、粒子表面に分散樹脂を吸着させるものである。乾式粉砕装置としては、乾式のアトライター、ボールミル、振動ミルなどの公知の方法を用いることができる。必要に応じて窒素ガスなどを流すことで、乾式粉砕処理装置内部を脱酸素雰囲気として混練処理を行っても良い。
また、固形の分散樹脂を用いる場合、粉砕処理時に溶剤を添加してもよい。溶剤の添加による樹脂の軟化および、金属酸化物粉体の樹脂に対する濡れが向上することで、粉砕促進の効果が期待される。用いる溶剤としては、塗膜形成性材料を溶解するものであれば特に制限はなく、メチルエチルケトン等のケトン類、エチルアルコール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類、その他エーテル類、芳香族類等の有機溶剤が使用できるが特に限定されない。また、混練処理時間は、用いる装置によって、また希望とする混練度に応じて任意に設定できる。これら処理を行うことにより、粉状もしくは塊状の混練物を得ることができる。
【0045】
このような予備分散体を重合体(A)及び(B)に分散することで本発明の紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物を得ることができる。本発明の紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物は、重合体(A)及び(B)を溶解する溶剤を含有することができる。
予備分散体を重合体(A)及び(B)に分散させるには、これらをディゾルバー等の高速攪拌機を用いて分散するが、その後各種分散機で更に分散処理をすることが、均一且つ微細な分散体を得るのに好ましい。
【0046】
ここで用いる分散機としては、通常顔料分散に用いる分散機が使用できる。
以下に具体例を挙げるが、それらに限定されるものではない。
例えば、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)等を用いることができる。コスト、処理能力等を考えた場合、メディア型分散機を使用するのが好ましい。また、メディアとしてはガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、ステンレスビーズ等を用いることができる。
【0047】
本発明の紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物は、コーティング膜の可視光(波長が400〜800nm)に対する透明性を考えた場合、一般にフィラーの分散粒径を波長の1/2 (200〜400nm)以下、さらに好ましくは100nm以下にすることが好ましい。即ち、一次粒径の細かいフィラーを高度に分散することが透明性の確保には好適である。
【0048】
このようにして得られる本発明の紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物は、重合体(A)+重合体(B)=100重量部(固形分換算)に対して、金属酸化物(D)を30〜200重量部含有することが重要であり、70〜170重量部であることが好ましい。重合体(A)+重合体(B)=100重量部(固形分換算)に対して、金属酸化物(D)が30重量部未満だと著しく耐候性向上が期待できず、一方、200重量部を超えるとヘイズ値が高くなり、塗膜としての透明性が劣る。
【0049】
また、本発明の紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物は、架橋剤として重合体(A)及び重合体(B)の架橋性の官能基と反応可能な反応性官能基を有する化合物(E)を必要に応じて用いることができる。以下、化合物(E)を架橋剤(E)ともいう。
代表的な架橋剤としては、ヘキサメチロール化メラミン、ヘキサメトキシメチル化メラミン、ヘキサブトキシメチル化メラミンなどのアルキロール基またはアルコキシ基を有するメラミン系化合物、シアヌール酸、アンメリド、メラミン、ベンゾグアナミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアミノピリジン、ベンゾグアナミン樹脂、メタノール変性メラミン樹脂、尿素樹脂などのアミノ樹脂、ヒドラジン、ADHなどのヒドラジン系化合物、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、ジアミノオクタン、ジアミノデカン、ジアミノドデカン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの直鎖状ジアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、m−キシレンジアミン、ポリシクロヘキシルポリアミン、ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、メチレンビス(フランメタンアミン)などの環状ジアミン1,6−ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチレントリアミンなどのポリアミン、
【0050】
トルイレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネートなどのジイソシアネート、あるいは、これらとグリコール類またはジアミン類との両末端イソシアネートアダクト体、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、コロネートLなどの多価イソシアネート、
【0051】
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ヘキサン二酸、クエン酸、マレイン酸、メチルナディク酸、ドデセニルコハク酸、セバシン酸、ピロメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸などのジカルボン酸、及びこれらの酸無水物グリオキザル、
テレフタルアルデヒドなどのジアルデヒド、グリシン、アラニンなどのアミノ酸および、そのラクタム、クエン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、6 −ヒドロキシペンタン酸などのヒドロキシカルボン酸およびそのラクトン、
【0052】
1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、などのジオール、1,1,1−トリメチロールプロパンエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール、マンニトール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、グアヤコール、ヘキシルレゾルシン、ピロガロール、トリヒドロキシベンゼン、フロログルシン、ジメチロールフェノールなどの多価アルコール、または多価フェノール系化合物、またはこれらのアルコキシ変性物、
【0053】
エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1、6ーヘキサンジオールジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステルなどのビスエポキシ化合物、油化シェルエポキシ社製、商品名エピコート801、802,807,815,827,828,834,815X,815XA1、828EL,828XA、1001、1002、1003、1055、1004、1004AF、1007、1009、1010、1003F、1004F,1005F,1100L,834X90,1001B80,1001X70,1001X75,1001T75,5045B80,5046B80,5048B70,5049B70、5050T60、5050、5051、152、154、180S65,180H65,1031S,1032H60、604、157S70などのエポキシ樹脂、
ピロりん酸、亜りん酸エチル、ビスフェノールA変性ポリりん酸、亜りん酸トリフェニルなどのりん化合物、りん酸ジクロリド化合物などが挙げられる。
【0054】
これらの架橋剤(E)の中で、カルボキシル基を有する単量体(b)を用いた場合は、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ジアミン、ポリアミン、ジイソシアネート、ビスエポキシ化合物、エポキシ樹脂などの使用が好ましい。
また、イソシアノ基を有する単量体(b)を用いた場合は、ヒドラジン系化合物、ジアミン類、ジカルボン酸およびその無水物、ジオール、多価アルコールまたは多価フェノール系化合物、ビスエポキシ化合物、エポキシ樹脂などの使用が好ましい。
また、エポキシ基を有する単量体(b)を用いた場合は、ジカルボン酸およびその無水物、多価アルコールまたは多価フェノール系化合物、またはこれらのアルコキシ変性物、アミノ樹脂、ジイソシアネート、多価イソシアネート、アミノ酸および、そのラクタム、ヒドロキシカルボン酸およびそのラクトン、ジアミン、ポリアミンなどの使用が好ましい。
【0055】
また、N−メチロール基または、N−アルコキシメチル基を有する単量体(b)を用いた場合は、ジカルボン酸、アルキロール基またはアルコキシ基を有するメラミン系化合物、アミノ樹脂系化合物などの使用が好ましい。また、ヒドロキシル基を有する単量体(b)を用いた場合は、アミノ樹脂、ジアミン、ポリアミン、ジイソシアネート、ジアルデヒド、ビスエポキシ化合物、エポキシ樹脂、りん化合物、りん酸ジクロリド化合物などの使用が好ましい。
これらの架橋剤(E)は2種類以上使用してもよく、その総使用量は重合体(A)と(B)との合計100重量部に対して1〜500重量部、好ましくは10〜200重量部の範囲である。
【0056】
また、本発明においては、重合体(A)及び重合体(B)の架橋反応を促進させる架橋触媒(F)を用いることができる。
代表的な架橋触媒としては、アルミニウムトリアセチルアセトネート、鉄トリアセチルアセトネート、マンガンテトラアセチルアセトネート、ニッケルテトラアセチルアセトネート、クロムヘキサアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、コバルトテトラアセチルアセトネートなどの金属錯化合物、アルミニウムエトキシド、アルミニウムプロポキシド、アルミニウムブトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンブトキシドなどの金属アルコキシド、
【0057】
酢酸ナトリウム、オクチル酸錫、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレートジブチル錫ジ(2−エチルヘキソエート)などの金属塩化合物、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、トリクロロ酢酸、リン酸、モノアルキルリン酸、ジアルキルリン酸、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのリン酸エステル、モノアルキル亜リン酸、ジアルキル亜リン酸などの酸性化合物、
【0058】
p−トルエンスルホン酸、無水フタル酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ギ酸、酢酸、イタコン酸、シュウ酸、マレイン酸などの酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩、水酸化ナトリウム、リチウムクロライド、ジエチル亜鉛、テトラ(n−ブトキシ)チタン、などの有機金属化合物、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルエチルアミンなどのアミン類などが挙げられる。
【0059】
これらの架橋触媒(F)の中で、加水分解性シリル基を有する単量体(b)を用いた場合は、金属錯化合物、金属アルコキシド、金属塩化合物、酸性化合物などの使用が好ましい。特に、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレートなどの錫化合物およびp−トルエンスルホン酸などの使用が好ましい。また、カルボキシル基を有する単量体(b)を用いた場合は、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩などの使用が好ましい。また、イソシアノ基を有する単量体(b)を用いた場合は、アミン類、金属塩化合物などの使用が好ましい。
【0060】
また、エポキシ基を有する単量体(b)を用いた場合は、有機金属化合物、アミン類などの使用が好ましい。また、N−メチロール基または、N−アルコキシメチル基を有する単量体(b)を用いた場合は、酸、およびそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩などの使用が好ましい。また、ヒドロキシル基を有する単量体(b)を用いた場合は、酸性化合物、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩、などの使用が好ましい。これらの架橋触媒は2種類以上使用してもよく、その総使用量は重合体(A)と(B)との合計100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。
【0061】
本発明の紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物は、重合体(A)、重合体(B)、分散樹脂(C)、金属酸化物(D)及び必要に応じて溶剤、架橋剤(E)、架橋触媒(F)、シランカップリング剤、その他添加剤等を混合溶解して得られる。
架橋剤(E)や架橋触媒(F)を用いる場合には、予備分散体を重合体(A)、(B)に分散した後に、架橋剤(E)や架橋触媒(F)を加えることが好ましい。
【0062】
溶剤は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテルなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、へプタン、オクタンなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの内から樹脂の組成に応じ適当なものを使用する。溶剤は2種以上用いてもよい。混合方法に特に限定はないが、通常は、重合時に使用した重合体溶液をそのまま混合し、攪拌羽根、振とう攪拌機、回転攪拌機などで攪拌すればよい。塗工性などの向上のために、さらに溶剤を追加したり、濃縮してもよい。
また、重合体(A)と重合体(B)の混合比率は、重合体(A)を構成する単量体(a)は、重合体(A)と重合体(B)の合計100重量%中、0.05〜10重量%となるようにすることが好ましい。0.01重量%より小さい場合は、充分な塗膜の表面特性が得られず、10重量%より大きい場合は、充分な塗膜硬度が得られず、また、コストも高くなる。
また、重合体(A)と重合体(B)と分散樹脂(C)と金属酸化物(D)と溶剤との合計100重量%中、(A)〜(D)の合計量は5〜70重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜40%である。
【0063】
本発明において必要に応じて用いることができるシランカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの4官能シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−モルホリノプロピルトリメトキシシランなどの3官能シラン、さらに上記3官能シランの一部がアルキル基、フェニル基、ビニル基などで置換された2官能シラン、例えば、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。また、これらの化合物の加水分解物、部分縮合物などを用いることができる。
シランカップリング剤は、重合体(A)と重合体(B)の合計100重量部に対して1〜40重量部、好ましくは、3〜20重量部の量で使用する。
【0064】
また、本発明においては、さらに、オルガノシリカゾルを必要に応じて用いることができる。オルガノシリカゾルとは、有機溶媒にコロイダルシリカを安定に分散させたコロイド溶液である。代表的なものとして、たとえば日産化学工業(株)社製の商品名IPA−ST、MIBK−ST、MA−ST−M,EG−ST,EG−ST−ZL,NPC−ST,DMAC−ST,DMAC−ST−ZL,XBA−ST,メタノールシリカゾル等が上げられる。オルガノシリカゾルは、重合体(A)、(B)の合計100重量部に対して10〜80重量部、好ましくは20〜60重量部の量で使用する。10重量部より小さい場合には撥水性向上の効果が小さく、80重量部より大きい場合には基材との密着性が損なわれる。
【0065】
本発明においては、さらに必要に応じ本発明による効果を妨げない範囲で、充填剤、チクソトロピー付与剤、着色顔料、体質顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤等の各種の添加剤を添加してもよい。
【0066】
こうして得られた本発明の紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物は、撥水性、撥インキ性、防汚性、水の滑落性、着雪防止性等の各種の機能が必要とされる個所に塗布され、基材との密着性、加工性、耐候性に優れ、透明性に優れる塗膜を形成することができる。塗布方法には特に限定はないが、浸漬塗装、吹き付け塗装、刷毛塗りなどで塗布ができる。塗装されたコーティングは、風乾または30〜300℃で数秒〜数週間加熱することにより、強靱な塗膜を得ることができる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の部及び%はいずれも重量に基づく値である。
また2本ロールまたは乾式粉砕装置による混練処理によって得られた混練物の不揮発分は、該混練物を140℃の熱風オーブンで1時間乾燥したときの乾燥前後の重量差から求めた。分散粒度は(平均粒径(D50),および(D99))を動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製、マイクロトラックUPA)を用いて測定した。また塗膜の透明性(ヘイズ)については、基材(100μmのPETフィルムまたは1.3mm厚のガラス板)に乾燥後の膜厚が3μmになるように塗布し、140℃にて20分乾燥後、ヘイズメーター(日本電色社製、COH−300A)で評価した。このとき、基材であるPETフィルムまたはガラス板を標準として、膜のみのヘイズを求めた。
【0068】
(実施例1)
(重合体A)
チッソ(株)製サイラプレーンFM−0711(片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物)50部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート36部、メチルメタクリレート14部、メチルエチルケトン(MEK)200部を冷却管、攪拌装置、温度計を備
えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル1.6部を加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.4部を加えて2時間重合を行い重量平均分子量約19,000の重合体(A)溶液を得た。
【0069】
(重合体B)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート36部、メチルメタクリレート50部、ブチルメタクリレート14部、メチルエチルケトン(MEK)200部を冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル1.6部を加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.4部を加えて2時間重合を行い重量平均分子量約17,000の重合体(B)溶液を得た。
【0070】
NANOFINE50A(シリカ−アルミナ処理酸化亜鉛、BET比表面積 50m/g、堺化学社製)120部とDisperbyk-180(酸価及びアミン価を有する高分子共重合体、BYK Chemie社製)20部及びおよびエタノール15部を室温下で混合し、均質な湿潤混合物を得た。この湿潤混合物を80℃に加温した2本ロールで繰り返し混練処理し、6時間後に固形の予備分散体Aを得た。予備分散体Aの不揮発分は99.0%であった。
【0071】
続いて、メチルエチルケトン360部、重合体(A)と重合体(B)それぞれの溶液を、固形分換算で(A)1部(B)99部の混合液を、上記予備分散体Aに添加し、高速ディスパーを用いて分散した後にガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーで更に2時間分散し、コーティング組成物を得た。固形分 39.4%、平均粒径D50が43nm、D99が192nm。塗膜のヘイズは、0.4であった。
【0072】
(実施例2)
実施例1では120部だったNANOFINE50Aを200部に増量した以外は実施例1と同様に行い、コーティング組成物を得た。
【0073】
(実施例3)
実施例1では120部だったNANOFINE50Aを40部に減量した以外は実施例1と同様に行い、コーティング組成物を得た。
【0074】
(実施例4)
実施例1で用いたNANOFINE50Aの代わりに、TTO−V3(酸価アルミナ水和物処理二酸化チタン、BET比表面積150m/g、石原産業社製)を用いた以外は実施例1と同様に行い、コーティング組成物を得た。
【0075】
(比較例1)
実施例1では120部だったNANOFINE50Aを400部に増量した以外は実施例1と同様に行い、コーティング組成物を得た。
【0076】
(比較例2)
実施例1では120部だったNANOFINE50Aを10部に減量した以外は実施例1と同様に行い、コーティング組成物を得た。
【0077】
(比較例3)
実施例1で用いたNANOFINE50Aの代わりに、ヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、商品名チヌビン144)3部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、商品名チヌビン1130)3部を用いた以外は実施例1と同様に行い、コーティング組成物を得た。
【0078】
(比較例4)
二本ロールではなくサンドミルでNANOFINE50Aを湿式分散処理して予備分散体A’を得、次いで実施例1と同様にして重合体(A)と重合体(B)それぞれの溶液と予備分散体A’とを高速ディスパーを用いて分散した後、ペイントシェーカーではなく超音波処理機を用いて処理した以外は、実施例1と同様に行い、コーティング組成物を得た。
【0079】
[各接着剤組成物の評価]
実施例1〜4、比較例1〜4で得られたコーティング組成物にスミジュールL−75(住友バイエルウレタン(株)社製イソシアネート系硬化剤)を重合体(A)+重合体(B)=100部に対して30部加え、さらにMEKを加えて固形分濃度10%の塗液を得た。
これらの塗液を膜厚0.5mmのアルミシートにバーコーターを用いて乾燥後の厚みが3μmになるように塗工し、250℃の電気オーブン中で30秒間加熱硬化させた。さらに50℃のオーブン中に3日間置き、エージングを行った。
【0080】
このように塗工されたアルミシートについて、各種の試験を行った。試験方法は以下の通りである。
【0081】
撥水性:接触角計で純水に対する塗膜表面の接触角を測定した。
【0082】
撥インキ性:以下の1〜3の作業を行った後、塗膜上のインキの残り具合を目視にて評価した。
1.オフセット印刷用インキをゴムローラーにて塗膜上に塗工する。2.新聞用紙をインキの上にのせ、ゴムローラーで加圧し、インキを紙に転写させる。3.上記2の作業を10回繰り返す。
【0083】
防汚性:塗膜上に油性マジックで線引きし、24時間放置した後、エタノール含浸紙ウェスにてふき取、汚れの度合いを目視にて評価した。
【0084】
ブリードアウト性:塗工シートを室温65℃、40℃、90%RHの各条件下で2ヶ月間放置させ紫外線遮断剤あるいは光安定剤がブリーズアウトしているかを観察した。
〇・・・・・ブリードアウトなし
×・・・・・ブリードアウトあり
【0085】
耐候性:キセノンウェザーメーター[アトラス社製,CI65,出力6.5kW]のブラックパネルを63℃に設定し、このブラックパネル上に試験片を置いて63℃で5000時間曝露試験を行い、暴露していない試験片(ブランク)との色差を測定した。
【0086】
結果を表1に示す。
【0087】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物は、自動車用のフロントガラス、リアガラス、ドアガラス、フェンダーミラー、ドアミラー及び鉄道、飛行機等の輸送用機器用のガラス、高層建築の窓ガラス、一般窓ガラス、酵素等保存用ガラス瓶、アンプル瓶、試薬保存瓶、その他一般に使用されるガラス瓶、鏡等のガラス製品、更に、医療関連分野、食品、工業、農業等の各種産業分野及び一般家庭において使用されるプラスチック製品、各種フィルム製品、金属製品、コンクリート、セラミック製品、布、皮革製品等で、撥水性、撥油性、防汚性、耐候性等が必要とされる各種の用途、例えば、撥水性ガラス、防曇鏡、酵素、試薬等非付着性ガラス瓶、防菌、防黴性プラスチック、インクジェットプリンターヘッド、着雪、着氷防止塗装板、厨房用防汚アルミシート、水無しオフセット版等の印刷版材料、オフセット印刷で使用する捨て版用塗料、及びその他の印刷版関連製品等に使用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)1〜80重量%、および一分子中に炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)10〜80重量%、および(a)と(b)以外の一分子中に炭素炭素不飽和二重結合を有する単量体(c)0〜89重量%を重合してなる重合体(A)と、
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)10〜100重量%、および(a)と(b)以外の一分子中に炭素炭素不飽和二重結合を有する単量体(c)0〜90重量%とを重合してなる重合体(B)と、
分散樹脂(C)と、
紫外線吸収能を有し、且つ窒素吸着法(BET法)による比表面積が30〜160m/gである金属酸化物(D)とを、
重合体(A)+重合体(B)=100重量部(固形分換算)に対して、金属酸化物(D)を30〜200重量部、
分散樹脂(C)+金属酸化物(D)=100重量%中に金属酸化物(D)を70〜95重量%、
の組成で含有する、膜厚2〜5μmにおいてヘイズが1%以下の乾燥膜を形成し得る、紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物。
【請求項2】
紫外線吸収能を有し、且つ窒素吸着法(BET法)による比表面積が30〜160m/gである金属酸化物(D)70〜95重量%と分散樹脂(C)30〜5重量%とを、有機溶剤の存在下もしくは不存在下に、2本ロールで混練してなるかもしくは乾式粉砕装置で混練してなる予備分散体と、
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)1〜80重量%、および一分子中に炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)10〜80重量%、および(a)と(b)以外の一分子中に炭素炭素不飽和二重結合を有する単量体(c)0〜89重量%を重合してなる重合体(A)と、
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)10〜100重量%、および(a)と(b)以外の一分子中に炭素炭素不飽和二重結合を有する単量体(c)0〜90重量%とを重合してなる重合体(B)とを含有し
前記重合体(A)及び(B)の合計100重量部に対して、前記金属酸化物(D)が30〜200重量部である、紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物。
【請求項3】
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)の架橋性の官能基が、加水分解性シリル基、カルボキシル基、イソシアノ基、エポキシ基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基、またはヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種の官能基である請求項1又は2記載の紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物。
【請求項4】
重合体(A)と重合体(B)の合計100重量%中に、単量体(a)が0.05〜10重量%であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物。
【請求項5】
架橋剤として、重合体(A)及び重合体(B)の架橋性の官能基と反応可能な反応性官能基を有する化合物(E)を1種類以上含むことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物。
【請求項6】
重合体(A)及び重合体(B)の架橋反応を促進させる架橋触媒(F)をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物。
【請求項7】
紫外線吸収能を有し、且つ窒素吸着法(BET法)による比表面積が30〜160m/gである金属酸化物(D)70〜95重量%と分散樹脂(C)30〜5重量%とを、有機溶剤の存在下もしくは不存在下に、2本ロールで混練するか、もしくは乾式粉砕装置で混練して予備分散体を得、
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)1〜80重量%、および一分子中に炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)10〜80重量%、および(a)と(b)以外の一分子中に炭素炭素不飽和二重結合を有する単量体(c)0〜89重量%を重合してなる重合体(A)と、
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合と架橋性の官能基を有する単量体(b)10〜100重量%、および(a)と(b)以外の一分子中に炭素炭素不飽和二重結合を有する単量体(c)0〜90重量%とを重合してなる重合体(B)との合計100重量部に対して、
前記予備分散体を、前記金属酸化物(D)が30〜200重量部となるように配合することを特徴とする紫外線遮断性防汚コーティング用樹脂組成物の製造方法。

【公開番号】特開2006−257318(P2006−257318A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78433(P2005−78433)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】