紫外線遮断誘電体層を含むカソード組立体
UV遮蔽絶縁誘電体層を有する電界放出カソード組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)による優先権を主張し、あらゆる目的について本明細書の一部としてその全内容が参考文献として援用される2007年11月26日出願の米国仮特許出願第60/990,056号明細書の利益を主張する。
【0002】
本発明は、トップ・ゲート設計を有する電界放出トライオードデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
電界放出トライオードデバイスは、カソード組立体において、ゲート電極が、電子電界エミッタ上、カソード電極自体とアノード電極表面間に位置する「トップ・ゲート」または「ノーマル・ゲート」設計として呼ばれることの多いものを従来から用いている。カソード組立体内で、ゲートおよびカソード電極は、誘電体絶縁体層と電気的に分離されている。カーボンナノチューブ(CNT)のような低閾値の電子放出材料が広く利用されるにつれて、トライオードデバイスにおけるかかるトップ・ゲート設計は、カラーディスプレイおよびバックライトユニット用途にますます魅力的なものとなってきている。魅力的な電界放出性能を備えたデバイスは、比較的安価な厚膜プロセス技術および厚膜誘電体およびエミッタ材料を用いて製造されている。
【0004】
特許文献1および2には、トップ・ゲート電界放出トライオードデバイスおよび光画像形成可能な放出材料および金属かアモルファスシリコンのいずれかからなる内側薄膜UVマスクを用いた製造方法が記載されているが、高価なリソグラフィー工程によりパターニングしなければならない。Leeは、かかるトップ・ゲートトライオードデバイス用のカソード組立体の製造時には、高温焼成と後のリソグラフィーパターニング工程間での基板の熱収縮のために、整合誤差を排除する難しさについて幅広く議論している。また、薄膜シリコンマスク層の不適切なUV遮蔽特性により生じるゲート電極端部の放出材料の残渣を排除するために、犠牲層を用いることも記載している。この犠牲層のパターニングには、追加のリソグラフィーパターニング工程が必要であり、同様の整合誤差および高コストとなる。
【0005】
Leeはまた、誘電体層中にエッチングされたビアの中心に対して、ゲートとエミッタフィーチャーの正確な整合を達成するために、高精細リソグラフィー技術を用いた、かかるトップ・ゲートトライオードデバイス用のカソード組立体の製造方法も開示している。
【0006】
デバイスの実証された初期の成功にも係らず、かかるデバイス用のカソード組立体の低コスト、高収率および大規模製造には、大きな課題が残っている。様々な技術上の難しさの中でも、ゲートおよびカソード電極間の電気的短絡を排除しながら、電子放出材料を誘電体ビアへ正確かつクリーンに堆積することは、特に難しいことが分かっており、非常に大きな基板を用いるときは特に問題となる。Leeは、内側マスク、ゲートホール、誘電体ビアおよび犠牲層をパターニングするリソグラフィー工程間に行わなければならない焼成工程中の基板収縮により生じる整合誤差のために、内側薄膜フォトマスクを用いる難しさを強調している。また、ゲート電極の端部で生じるエミッタ残渣によるゲートおよびカソード短絡の問題も開示している。
【0007】
Leeはまた、内側マスク層および誘電体ビアをパターニングする順番を変えることにより、整合誤差および残渣の問題の解決策も開示している。内側マスク層を、誘電体層の印刷、焼成およびエッチングの前に堆積し、パターニングする従来の方法とは異なり、Leeは、誘電体ビアの製造後に、内側マスク層を堆積およびパターニングすることを教示している。PECVD成長アモルファスシリコン等のUV吸収および電気抵抗性薄膜層を、マスク層として堆積し、パターニングする。その結果、ビアとマスク層のリソグラフィーパターニング間に焼成工程が必要ないため、カソード組立体における基板収縮は生じない。また、マスク層をゲート電極の上部に堆積し、側壁およびビア下部の一部をカバーして、ゲートおよびカソード電極の両方に接触するエミッタ残渣により電気的短絡が形成されるのを防ぐ。電気的分離をさらに確実にするためには、ポジ型作用フォトレジストまたはネガ型作用乾燥フィルムフォトレジストを、ゲート電極表面の犠牲層として用いる。この犠牲層の除去中、ビアの外側に堆積した放出材料の残渣がある場合には、これもリフトオフされる。
【0008】
Leeの方法を実施するには、いくつかのフォトリソグラフィー工程を正確に整合しなければならない。薄膜マスク層のパターニングは、基板上のビアパターンと完璧にレジストレーションされなければならない。犠牲層のパターニングも、パターニングされたビアおよびマスク層と完璧にレジストレーションされなければならない。これらのリソグラフィー工程間に焼成がないため、原理上は、完璧なレジストレーションが達成される。しかしながら、より高い解像度および電界放出性能を達成するためにビアサイズが小さくなるにつれ、そして、大型ディスプレイまたはバックライトユニットを製造し、かつ、コストを下げるべく単一の大基板に多数のパネルを作製するために基板サイズが大きくなるにつれ、これらのリソグラフィー工程の完璧な整合は、大きな設備および処理コストでしか達成できない。基板またはフォトマスク表面の温度変動があると、許容できない整合誤差となり得、パネル性能および製造収率が低下する。大規模整合設備の高い投資コストは、LCDディスプレイ用バックライトユニット等の低コストデバイスにとって投資負担が重いことを意味している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願第03/141,495号明細書(Lee)
【特許文献2】米国特許出願第05/258,739号明細書(Park)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、製造し易く、最終デバイスコストを下げる、トップ・ゲートトライオード電界放出デバイスのカソード組立体を製造するための代替となる方法が、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態において、本発明は、UV遮蔽絶縁誘電体層を有するカソード組立体を提供する。他の実施形態において、本発明は、かかるカソード組立体を含む電界放出トライオードを提供する。
【0012】
他の実施形態において、本発明は、カソード組立体の基材の裏側を通して、UV遮蔽絶縁誘電体層に形成されたビアを通して堆積しておいた電子放出材料を照射することにより、カソード組立体を製造する方法を提供する。
【0013】
さらなる実施形態において、本発明は、
a)基板に配置されたカソード電極と、
b)カソード電極に配置されたUV遮蔽絶縁誘電体と、
c)誘電体に配置されたゲート電極と、
d)カソード電極を露出するゲート電極および誘電体を通る複数のビアと、
e)ビアに位置する電子電界エミッタと
を含むカソード組立体装置を提供する。
【0014】
さらに他の実施形態において、本発明は、
a)基板を導電性材料の第1の層でコートする工程と、
b)導電性材料の第1の層に、UV遮蔽絶縁誘電体を堆積する工程と、
c)誘電体に、導電性材料の第2の層を堆積する工程と、
d)導電性材料の第2の層および誘電体を通して1つ以上のビアを形成して、導電性材料の第1の層を露出する工程と、
e)ビアに、電子放出材料を堆積する工程と
を含む、カソード組立体を製造する方法を提供する。
【0015】
さらに他の実施形態において、本発明は、
a)UV透過性基板の第1の側を、UV透過性導電性材料の層でコートし、
b)導電性層に、UV遮蔽絶縁誘電体を堆積する工程と、
c)誘電体に、導電性材料の上部層を堆積する工程と、
d)導電性材料の上部層および誘電体を通して1つ以上のビアを形成して、UV透過性導電性材料の層を露出する工程と、
e)導電性材料の上部層およびビアに、フォトレジスト材料を堆積する工程と、
f)フォトレジスト材料に、基板を通して照射する工程と、
g)フォトレジスト材料を現像して、各ビアにチャネルを形成し、UV透過性導電性材料の層を再露出する工程と、
h)フォトレジスト材料およびビアのチャネルに、光画像形成可能な電子放出材料を堆積する工程と、
i)放出材料に、基材を通して、照射する工程と、
j)フォトレジスト材料および未硬化の放出材料を除去する工程と
を含む、カソード組立体を製造する方法を提供する。
【0016】
本方法および装置は、UV遮蔽材料を、誘電体層に、または誘電体層として組み込むことにより、トップ・ゲートトライオードにおいてカソードおよびゲート電極を電気的に分離する誘電体層のビアに電界放出材料を正確に堆積することの難しさに取り組むものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】内側薄膜フォトマスクを備えた従来のトップ・ゲート電界放出デバイスの形状を示す。
【図2】UV遮蔽誘電体層を備えたトップ・ゲート電界放出デバイスの形状を示す。
【図3−1】実施例1およびビアエッチングまでの処理シーケンスで用いたトップ・ゲートカソード組立体(電子電界エミッタなし)のレイアウトの平面図を示す。
【図3−2】図3−1の続きである。
【図4】異なる製造段階でのゲート誘電体ビアの一連の光学顕微鏡写真を示す。
【図5】一層のUV遮蔽誘電体層を用いた、電子放出材料の自己整合直接堆積の処理シーケンスを示す。
【図6】二層のUV遮蔽誘電体層を用いた、放出材料の自己整合リフトオフ堆積の処理シーケンスを示す。
【図7】犠牲レジスト層を用いた、堆積した放出材料の自己整合リフトオフの異なる段階によるゲート誘電体の一連の光学顕微鏡写真を示す。
【図8】二層のUV遮蔽誘電体層を有し、リフトオフ法により製造されたトップ・ゲート電界放出デバイスから得られたアノード電流とゲート電圧値のプロットを示す。
【図9】二層のUV遮蔽誘電体層を有するデバイスにより放出された電子による蛍光体照明の画像を示す。
【図10】実施例2で用いた、UV遮蔽誘電体層を有していないトップ・ゲートカソード組立体(電子電界エミッタなし)のレイアウトの平面図を示す。
【図11】UV遮蔽誘電体層を用いない、電子放出材料の直接堆積の処理シーケンスおよび結果を示す。
【図12】誘電体層がUV遮蔽でないときのゲート線間のギャップの実施例2で得られた放出材料堆積の結果を示す光学顕微鏡写真である。
【図13】犠牲レジスト層は用いるが、UV遮蔽誘電体層を用いない、リフトオフ堆積放出材料の処理シーケンスおよび結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、トップ・ゲート電界放出トライオードデバイスにおいて、UV遮蔽絶縁体層を有するカソード組立体および連続的なリソグラフィー工程の整合を必要としないその製造方法を提供する。UV遮蔽誘電体層は、ゲートおよびカソード電極間の電気的に絶縁された誘電体と、光画像形成可能な電子放出材料の光堆積用の自己整合内側フォトマスクの両方として機能する。また、フォトレジストベースの犠牲層の光パターニング用自己整合内側フォトマスクとしても機能する。犠牲層をパターニングし、放出材料を堆積するのにこれらの自己整合工程を活用することにより、トップ・ゲートトライオードデバイスを、高価なマスク整合設備を用いることなく、高収率で、安価に製造することができる。自己整合方針はまた、焼成起因の基板の収縮による整合誤差がある場合には、これも排除し、トップ・ゲートトライオードデバイスを、非常に大きな基板サイズまで拡大することができる。
【0019】
本明細書には、トップ・ゲートトライオード電界放出デバイス用カソード組立体、および多数のリソグラフィー工程を含む完璧なレジストレーションを達成するための高コストを排除するその製造方法が開示されている。本発明のカソード組立体は、典型的に、順不同で、基板、カソード電極、ゲート電極、電子放出エミッタ、絶縁誘電体を含む。本明細書において開示および使用されるアノード組立体は、典型的に、基板、アノード電極および蛍光体を含む。
【0020】
図1に、内側薄膜マスク層を備えたトップ・ゲート電界放出トライオードデバイス用の従来のカソード組立体の形状を示す。デバイスは、基板材料1.2に1つ以上のカソード電極1.1を含む。基板とカソード電極は両方共、典型的に、UV放射線を透過し、基板を通した、光画像形成可能な放出材料のUV露光を可能とする。このタイプの「裏側」画像形成は、電子放出材料の堆積に有用である。内側マスク層1.10を用いて、放出材料のパターンを画定できるからである。光硬化は、カソードと電子電界放出の界面で開始され、放出材料の大部分へと徐々に進むため、放出材料の光硬化の深さは、UV線量により制御することができる。電子電界エミッタの厚さの制御に加えて、界面のUV線量は、エミッタフィルムの光学密度により減少しないため、裏側画像形成はまた、放出材料をカソード電極と良好に硬化接着もさせる。
【0021】
カソード電極および内側マスク層は、1つ以上の絶縁誘電体層1.3によりカバーされる。費用効率の高い製造については、これらの誘電体層は、典型的に、厚膜誘電体ペーストの連続スクリーン印刷、乾燥および焼成により堆積する。誘電体層は、典型的に、誘電体粒子の焼結または溶融を促進するが、基板の軟化点より低く保持される温度まで焼成される。ガラス基板を用いるときの誘電体焼成温度は、典型的に、約500℃〜約600℃である。
【0022】
誘電体層の上部に、金属またはその他のタイプの薄膜導体から作製された1つ以上のゲート電極1.4がある。ビア(ホールまたはトレンチ等)は、典型的に、ゲート電極および誘電体層を通して、ウェットまたはドライエッチングされて、各ビアの下部でカソード
電極を露出する。例えば、カーボンナノチューブ等の針状材料である、またはそれを含む電子放出材料1.5は、各ビアの下部に堆積されて、電子放出エミッタを形成し、カソード電極と電気的に接触する。
【0023】
カソード組立体の反対に位置し、絶縁スペーサ1.6に支持されているのは、1つ以上のアノード電極1.8を含むアノード基板1.7を含むアノード組立体である。このアノード基板は、光の放出のために、蛍光体コーティング1.9を含んでいてもよく、スペーサを用いることにより一定距離に維持することができる。電子電界エミッタからの電界放出は、正の電位を、ゲート電極に、カソードに対して加えることによりなされる。アノードに加わった別個の正の電位が、放出された電子をアノードに引き付ける。蛍光体コーティングがアノードにある場合には、電子衝撃により、可視光放出が形成される。
【0024】
本カソード組立体において、従来のカソード組立体、内側マスク層1.10および絶縁誘電体層1.3の構成要素の2つの機能を、UV遮蔽誘電体層である単一の構成要素へ結合する。特定のデバイスにおいては、絶縁誘電体の2つ以上の層を、かかる構成要素に用いて、電気的分離を確実にし、ゲートおよびカソード電極間の絶縁破壊電圧を最大にしてもよく、かかるデバイスにおいては、全ての誘電体層がUV遮蔽特性を有していなくてもよい。かかる多層誘電体を用いる場合には、IおよびG線のUV波長範囲で、これらの層の光学密度を約0.5以上となるように組み合わせて、UV放射線をマスクおよび吸収してもよい。UV遮蔽誘電体層の厚さは、単層または多層の誘電体を用いるかどうかに応じて、多層誘電体を用いる場合には、UV遮蔽層に用いる誘電体材料のUV吸収係数に応じて、1〜数十ミクロンまで変えてよい。1kV/mmを超える破壊強度を有する単層または多層誘電体は、カソード電極をゲート電極から電気的に分離するのに好適な強度を有している。
【0025】
カソード組立体内で、UV遮蔽誘電体層の位置は、カソードスタックの上部(ゲート電極層に直接隣接)から、カソードスタックの下部(カソード電極層に直接隣接)まで変えてよい。多層誘電体内で、UV遮蔽層は、誘電体において他の層に対して、任意の位置(上部、下部または中間等)が仮定される。特定のカソード組立体内で、誘電体層について異なる位置にすると、電極分離、絶縁破壊電圧、ビアエッチングおよび残渣のない、または実質的にない、すなわち、電気的短絡のない、または実質的にないエミッタ堆積のうちの1つ以上の目的を最適化する機会を増やすことができる。
【0026】
図2に、トップ・ゲート電界放出トライオードデバイス用のカソード組立体の側面図を示す。カソード組立体は、基板材料2.2にカソード電極層2.1を含む。基板とカソード電極層は両方共、典型的に、UV放射線を透過し、光画像形成可能なエミッタおよびレジスト材料の裏側UV露光が可能となる。カソード電極層に配置されているのは、単層または多層UV遮蔽絶縁誘電体である。図2に、層2.3およびUV遮蔽層である層2.10を有する多層誘電体を示す。
【0027】
図2において、誘電体のUV遮蔽層2.10は、誘電体スタックの上部に位置し、ゲート電極層に直接隣接している。誘電体層2.10に配置されているのは、金属またはその他のタイプの薄膜導体から作製された1つ以上のゲート電極2.4である。ビアは、典型的に、ゲート電極および誘電体層を通してウェットまたはドライエッチングされて、ビアの下部でカソード電極2.1を露出する。可能な場合、エッチングレートの最大適合性を有するスタック材料に様々な層を選択するのが有利である。
【0028】
カーボンナノチューブである、またはこれを含む針状材料等の電子放出材料2.5を、ビアの下部に堆積して、電子電界エミッタを形成し、カソード電極と電気的に接触する。放出材料の堆積は、本明細書に記載したペースト堆積またはその他の印刷方法により実施され、カソード層と絶縁誘電体層との間にマスク層なしで実施され、マスク層はデバイスにない。カソード組立体の反対に位置し、絶縁スペーサ2.6に支持されているのは、1つ以上のアノード電極2.8を含むアノード電極2.7を含むアノード組立体である。このアノード基板は、光を放出するための蛍光体コーティング2.9を含んでいてよく、スペーサを用いることにより、一定の距離に維持してよい。
【0029】
UV遮蔽誘電体層の作製に用いるのに好適な材料としては、限定されるものではないが、ストロンチウム、鉄、マンガン、バナジウム、クロム、コバルト、ニッケルおよび/または銅の1つ以上の酸化物または混合酸化物が挙げられる。
【0030】
電子電界エミッタを形成するために電子放出材料として本発明で用いるのに好適な材料としては、カーボン、ダイヤモンドライクカーボン、半導体、金属またはその混合物等の針状材料が挙げられる。本明細書で用いる「針状」とは、アスペクト比が10以上の粒子を意味する。針状カーボンには様々な種類がある。カーボンナノチューブが好ましい針状カーボンであり、単層カーボンナノチューブが特に好ましい。個々の単層カーボンナノチューブは、極めて小さく、典型的に、直径は約1.5nmである。カーボンナノチューブは、恐らくは、sp2混成炭素のため、グラファイト状と記載されることがある。カーボンナノチューブの壁は、グラフェンシートを巻き上げることにより形成されたシリンダーと想定することができる。小金属粒子を覆う炭素含有ガスの触媒分解から成長したカーボンファイバーも針状カーボンとして有用であり、そのそれぞれが、ファイバー軸に対して角度をなして配置されたグラフェン板を有しており、カーボンファイバーの周囲は、グラフェン板の端部から実質的になる。角度は、鋭角または90°であってよい。針状カーボンの他の例は、ポリアクリロニトリル系(PAN系)カーボンファイバーおよびピッチベースのカーボンファイバーである。
【0031】
カソード組立体またはアノード組立体の基板は、他の層が接着する任意の材料とすることができる。シリコン、ガラス、金属またはアルミナ等の耐火材料が、基板として機能し得る。ディスプレイ用途に好ましい基板はガラスであり、ソーダ石灰ガラスが特に好ましい。アンダー・ゲート電極、カソード電極および/またはアノード電極の製造に本発明において用いるのに好適な材料としては、限定されるものではないが、銀、金、モリブデン、アルミニウム、ニッケルの酸化物、白金、錫およびタングステンが挙げられる。
【0032】
本カソード組立体、そして最終的に本電界放出トライオード装置に用いる電子放出エミッタは、放出材料を所望の表面に付着させるのに必要に応じて、電子放出材料を、かかるガラスフリット、金属粉末または金属塗料(またはその混合物)と混合することにより作製してよい。電子放出材料を付着させる手段は、カソード組立体を製造する条件下、およびそのカソード組立体を含む電界放出装置が操作される条件下に耐え、その完全性を維持するものでなければならない。これらの条件には、真空条件および約450℃までの温度が典型的に含まれる。その結果、粒子を表面に付着させるのに、有機材料は通常適用できず、多くの無機材料はカーボンに対する接着力が低いため、用いることのできる材料の選択はさらに限定される。このように、好ましい方法は、電子放出材料およびガラスフリット(例えば、鉛またはビスマスガラスフリット)を含む厚膜ペースト、金属粉末または金属塗料(またはその混合物)を、表面に、所望のパターンでスクリーン印刷してから、乾燥したパターニングペーストを焼成することである。様々な用途、例えば、より精細な解像度を必要とするものについては、好ましいプロセスには、光開始剤および光硬化可能なモノマーを含むペーストをスクリーン印刷し、乾燥したペーストをフォトパターニングし、パターニングペーストを焼成することが含まれる。
【0033】
ペースト混合物は、周知のスクリーン印刷技術を用いて、例えば、165−400−メッシュのステンレス鋼スクリーンを用いることによりスクリーン印刷することができる。厚膜ペーストを、連続フィルムとして、または所望のパターンの形態で堆積することができる。表面がガラスのときは、ペーストを、約350℃〜約550℃、好ましくは約450℃〜約525℃の温度で、約10分間、窒素中で焼成する。雰囲気が酸素を含まないという条件で、それに耐えられる表面に高めの焼成温度を用いることできる。しかしながら、ペースト中の有機成分は、350〜450℃で効率的に揮発して、電子放出材料およびガラスおよび/または金属導体で構成された複合体の層を残す。スクリーン印刷ペーストをフォトパターニングすべき場合には、ペーストは、光開始剤と、現像可能なバインダーと、例えば、少なくとも1つの重合可能なエチレン基を有する少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性不飽和化合物を含む光硬化可能なモノマーとを含有していてもよい。
【0034】
電子電界エミッタの形成以外に、カソード組立体の他の層または構成要素の形成あるいはアノード組立体の層または構成要素の形成は、上記したような厚膜印刷方法により、または、必要であれば、マスクおよび光画像形成可能な材料を用いることを含むスパッタリングや化学蒸着等、当該技術分野において公知の他の方法により行ってよい。
【0035】
カソード組立体の様々な構成部品の堆積は、本明細書の様々なところに、層を形成するための厚膜または薄膜の堆積として記載されていて、側面図で示されるとき、カソード組立体の様々な構成部品は層と見てとれるが、本明細書で用いる「層」という用語は、カソード組立体または電界放出装置の構成部品は、完全に平坦または完全に連続であることを必ずしも必要としない。形状およびレイアウトの点で、層と称す、または層と見なされる構成部分は、様々な実施形態において、ストリップ、ライン、グリッド、または不連続だが電気的に接続されたパッド、ペグまたはポストの配列であるか、またはそれらに似たものであってよい。このように、カソード電極、ゲート電極、電荷散逸層、絶縁層および/または電子電界エミッタの要素を配置するのに、単層で、複数の位置を与えることができ、その装置は、これらの各種の構成部品を複数含むことができ、個別にアドレス可能な画素の配列を与えることができる。例えば、カソード電極および電子電界エミッタは、交差線としてパターニングしてもよい。
【0036】
本電界放出トライオード装置の操作には、装置外部の接地電圧源(図示せず)を介して、以下の実施例で用いる電圧を含む範囲内の適切な電位を、ゲート電極およびアノード電極に印加して、電界放出電流の製造のために、電子電界エミッタに電圧印加することが含まれる。
【0037】
本電界放出トライオード装置は、フラットパネルコンピュータディスプレイ、テレビジョン、LCDおよびその他の種類のディスプレイ、真空電子装置、放出ゲート増幅器、クライストロンおよび照明装置に用いてよい。大面積フラットパネルディスプレイ、すなわち、30インチ(76cm)を超えるサイズのディスプレイに特に有用である。フラットパネルディスプレイは平坦なものでも湾曲したものでもよい。これらの装置は、あらゆる目的について本明細書の一部としてその全内容が参考文献として援用される米国特許出願公開第2002/0074932号明細書により詳細に記載されている。
【実施例】
【0038】
本方法および装置の有利な属性および効果を、後述する一連の実施例(実施例1および2)で示す。これらの実施例がベースとする方法および装置の実施形態は例示に過ぎず、本発明を例示するためのこれらの実施形態の選択は、これらの実施例に記載された以外の材料、条件、成分、構成、工程、技術または手順が、これらの方法および装置を実施するのに好適でない、あるいは、これらの実施例に記載された以外の主題が、添付の請求項およびその等価物の範囲から排除されることを意味するものではない。実施例の重要性は、それから得られた結果を、対照実験として作用するよう設計された試行(対照例AおよびB)から得られた結果と比べることにより、より良く理解され、これは、カソード組立体の製造に欠けるもの、そして、デバイスからUV遮蔽誘電絶縁体の欠けるものに関するかかる比較の基礎を与えることによる。
【0039】
実施例1および2に、本発明のデバイスを製造するための、放出材料の直接およびリフトオフの2つの堆積方法を記載する。図3Aに、これらの実施例の方法で用いるトップ・ゲートカソード組立体(電子電界エミッタのない)のレイアウトの平面図を示す。ビアエッチングは、両方の方法において同じ手順で行われる。図3B〜3Jに、ビアエッチングの処理シーケンスを示す。図4A〜4Dに、製造の異なる段階でのゲート誘電体ビアの光学顕微鏡写真を示す。
【0040】
図5A〜5Dに、放出材料を基板に直接堆積する実施例1の方法の処理シーケンスを示す。図6A〜6Gに、放出材料を、犠牲レジスト層を含むリフトオフ技術により堆積する実施例2の方法の処理シーケンスを示す。実施例1で作製したカソード組立体は、1つのUV遮蔽層を有する絶縁誘電体を含み、実施例2で作製したカソード組立体は、2つのUV遮蔽層を有する絶縁誘電体を含む。
【0041】
各実施例において、図3Bに示すとおり、2インチ×2インチのガラス基板3.1を提供し、ITOコーティング3.2を基板に堆積し、コーティングをエッチングして、カソード電極を形成した。誘電体スタックの構築のために、UV透過性誘電体ベース材料のペーストをまず作製した。典型的に、厚膜ペーストとして適用される誘電体ペーストは、典型的に、溶剤、有機および無機成分を含有する。溶剤は、ブチルカルビトール、酢酸ブチルカルビトール、ジブチルカルビトール、ジブチルフタレート、テキサノールおよびテルピネオール等の高沸点液体であってよい。有機成分としては、バインダーポリマー、分散剤および/またはその他のレオロジー改質剤が挙げられる。無機成分としては、低融点ガラスフリットおよびその他の無機粉末が挙げられる。UV遮蔽誘電体ペーストを作製するために、追加のUV吸収顔料を、ベース誘電体ペーストに添加する。高温安定およびガラス耐化学性顔料、例えば、酸化コバルト顔料を、3重量%および5重量%充填で用いて、これらの実施例において、2つのUV遮蔽誘電体ペーストを作製した。
【0042】
実施例1において、1つのUV遮蔽層を有する絶縁誘電体を作製するために、ベース誘電体ペーストを、まず、ITOカソードの上部にスクリーン印刷し、125℃で5分間乾燥し、空気中で、550℃のピーク温度まで、20分間焼成したところ、3Cに示すような、厚さ約6μmのUV透過性フィルム3.3が得られた。5重量%の顔料含有誘電体ペーストを、同じ手順を用いて、ベース誘電体層の上部にスクリーン印刷および焼成したところ、図3Dに示すような、UV遮蔽および電気的に絶縁された誘電体材料3.4の厚さ7μmのフィルムが得られた。合計焼成厚さ13μmが測定された。絶縁誘電体のUV光学密度を、水銀ランプとエネルギーメーター間に誘電体スタックを配置することにより測定したところ、2を超える値が得られた。
【0043】
実施例2において、2つのUV遮蔽層を有する絶縁誘電体を作製するために、3重量%の顔料含有誘電体ペーストを、上述したように、印刷、乾燥および焼成し、図6に示すような、ITOカソードの上部にUV遮蔽誘電体6.3の第1の層を形成した。第2の3重量%の顔料含有UV遮蔽誘電体層6.4を、図6Aに示すように、第1の層の上部に同様にして作製した。合計焼成厚さ13μm、2を超える光学密度が二重層については測定された。
【0044】
厚さ150nmクロム(Cr)のゲート電極3.5および6.5を、上述した一層および二層構成要素の誘電体表面に、e−ビーム蒸発器を用いて、堆積した。500Vを超える直流電圧破壊値が、厚さ13μmの誘電体スタックについて測定された。
【0045】
従来のリソグラフィー技術を用いて、図3に示すように、カソードアセンブリにビア構造を作製した。ノボラックタイプのフォトレジスト3.6(Clariant Corporation,Sulzbach am Taunus,Germanyより入手したAZ4330)を、図3Fに示すとおり、Cr層3.5の表面にスピンコートした。1500rpmのスピニング速度および45秒のスピニング時間を用いた。ノボラックポリマーフィルムを、90℃のホットプレートで、2分間乾燥した。乾燥後、厚さ4μmのノボラックポリマーフィルムが得られた。フォトレジストを、UV(350〜450nm)放射線3.7に、20μmの開いた円の配列でパターニングされた外側フォトマスク3.8を通して露光した。300mJ/cm2のUV線量を用いた。フォトレジストを、2%のテトラメチル水酸化アンモニウム(同じくClariantより入手)を含有するAZ300MIF現像液で、240秒間現像して、図3Gに示すように、20μmの円3.9の配列として、Cr層3.5を露出した。後露光で、デバイスを120℃のホットプレートで3分間ベークした。Crおよび誘電体スタック層を、湿式エッチャントでエッチングしてから、脱イオン水中で濯いだ。40〜60μmのリム径を有するビア3.10が、図3Hに示すとおり、エッチング条件に応じて、Crおよび誘電体スタック層に得られた。フォトレジスト層を、60℃、PRS2000レジスト剥離装置(Transene Company,Danvers,Massachusetts,USAより入手)により除去した。図4Aおよび図4Bに、Crゲート電極4.1、ビア開口部4.2およびビアの下部4.3をそれぞれ示す。
【0046】
表面を、フォトレジスト3.11で、再びコートし、異なる外側マスク3.13を用いて、第2のUV光パターニング工程3.12を行って、図3Iに示すとおり、電気的に分離されたゲート線を画定するために、Cr層3.5に破断部をエッチングした。この第2のリソグラフィー工程で作製されたゲート線3.14間の破断部の寸法は、非常に大きい(図3においては縮尺は合っていない)ため、この工程は、整合誤差に極めて強かった。フォトレジストのPRS2000レジスト剥離装置による除去により、図3Jに示すとおり、カソード組立体のビアの形成方法の実施が完了し、表面は、電子放出材料の堆積を行う準備が整った。
【0047】
上述したとおり、異なる方法を2つの実施例において用いて、電子放出材料のペーストを、カソード組立体のビアに堆積した。実施例1において、この方法には、基板のCr表面でのペーストの直接適用が含まれ、実施例2において、この方法には、Cr表面を、犠牲層として機能するポジ型作用フォトレジストによりまずコーティングして、放出材料を含むペースト残渣のリフトオフを補助することが含まれていた。
【0048】
両方の方法において、厚膜堆積用電子放出材料のネガ型作用光画像形成可能なペーストを用いた。光画像形成可能な厚膜ペーストは、典型的に、溶剤、有機および無機成分、電子放出材料を含有している。溶剤は、ブチルカルビトール、酢酸ブチルカルビトール、ジブチルカルビトール、ジブチルフタレート、テキサノールまたはテルピネオール等の高沸点液体または混合物であってよい。有機成分としては、バインダーポリマー、光活性モノマー、開始剤、分散剤および/またはその他のレオロジー改質剤または混合物が挙げられる。無機成分としては、ガラスフリット、無機粉末および/または金属粉末が挙げられる。ペーストに用いる電子放出材料としては、カーボンナノチューブ等の針状材料が挙げられる。ペーストを基板に適用するには、従来のスクリーン印刷を通常用いる。光画像形成可能なペーストについては、ペーストのパターニングしていないフロッドプリントを、典型的に用いて、デバイスのほぼ全上面をカバーする。
【0049】
図5A〜5Dに、実施例1で用いた直接ペースト堆積方法の処理シーケンスを示す。図5Aに、ガラス基板5.1、ITOカソード電極5.2、ベース誘電体層5.3、UV遮蔽誘電体材料層5.4、Crゲート電極5.5およびビア開口部5.6からなる放出材料の堆積直前のトップ・ゲート基板組立体を示す。従来のスクリーン印刷プロセスを用いて、光画像形成可能なCNTペーストのブランケット層を基板に印刷し、Cr表面をオーバーコートし、誘電体ビア5Bを充填した。CNTペーストフィルムのフィルムを強制空気対流オーブン中で、60℃で30分間乾燥した。乾燥したCNTペースト5.7のフィルムは、Cr表面から測定したところ、厚さ約8μmであることが分かった。
【0050】
乾燥したCNTペーストのフィルムを、UV放射線5.8に、基板の裏側を通して、約100mJ/cm2の露光線量で露光した。CNTペーストの光硬化は、UV遮蔽誘電体材料層5.4により、誘電体ビアの下部のみに限定した。UV線量が、図5Cに示すとおり、約4μmでCNTペースト5.9の光硬化層の厚さを決めた。露光したCNTペーストのフィルムを、0.5%のNaCO3水溶液を1分間スプレーすることにより現像し、その間に、フィルム中の未硬化CNTペーストを洗い流したところ、図4Cおよび5Dに示すとおり、ビアの下部に、CNTペーストの4列のドットの4.4が残った。当該の領域は、ゲート線間のCr表面の破断部4.5および5.10であった。この領域には、ゲート線間に電気的短絡を生じさせるCNTペースト残渣が全くないと判断された。
【0051】
実施例2において、電子放出材料を、犠牲層を含むより複雑なリフトオフ法を用いて堆積した。この方法には、残渣のないペースト堆積を確実にするという利点がある。図6A〜6Gに、実施例2のリフトオフ法の処理シーケンスを示す。図7A〜7Cに、この製造方法の異なる段階でのゲート誘電体ビアの光学顕微鏡写真を示す。
【0052】
放出材料のペースト堆積の直前の、実施例2で用いるトップ・ゲートカソード組立体を図6Aに示す。ガラス基板6.1、ITOカソード電極6.2、第1のUV遮蔽誘電体層6.3、第2のUV遮蔽誘電体層6.4、Crゲート電極層6.5およびビア6.6を含んでいた。スピンコーティング技術を用いて、ポジ型作用フォトレジスト6.7をCr層の表面にコートし、全ビア6Bを充填した。大きな基板については、フォトレジストのスロットダイコーティングが適している。
【0053】
フォトレジストフィルムを、Cr表面から測定したときに約3μmの厚さまで、ホットプレート上で乾燥した。基板を、UV放射線6.8に、裏側からフロッド露光した。図6Cの6.9に示すとおり、ビアの下部に直接位置するフォトレジスト材料が、その全厚に完全に露光されるようなUV線量を用いた。しかしながら、他の全ての領域において、UV遮蔽誘電体層の存在のために、フォトレジストはUV放射線に露光されなかった。この自己整合露光は、高コストの整合設備を用いることなく実施できた。フォトレジストのタイプによっては、後露光ベーク工程が望ましい。露光フォトレジストを、現像液で除去し、図6Dに示すとおり、レジスト層6.10の各ホールの下部でカソード表面を露出した。この時点での後現像ベーク工程も望ましい。図7Aおよび図7Bに、Crゲート電極でカバーされたフォトレジスト7.1、レジストホール上部開口部7.2およびITOカソードを露出しているその下部7.3をそれぞれ示す。
【0054】
従来のスクリーン印刷プロセスを用いて、光画像形成可能なCNTペーストのブランケット層を、カソード組立体の上部に印刷して、表面をオーバーコートし、図6Eに示すとおり、レジスト層の全てのホールを充填した。選択したフォトレジストおよび放出材料ペーストは、望ましくない相互作用を起こしてはならない。CNTペーストは、レジスト表面から測定したとき、厚さ8μmのフィルム6.11となるまで、上述したのと同様のやり方で乾燥した。CNTペーストフィルムを、約100mJ/cm2の露光線量で、基板の裏側からUV放射線6.12に露光した。再び、CNTペーストの光硬化は、UV遮蔽誘電体層により、レジストホールの下部のみに限定した。UV線量が、図6Fに示すとおり、CNTペースト6.13の光硬化層の厚さは約4μmと判断された。
【0055】
露光したCNTペーストのフィルムを、溶剤を1分間スプレーすることにより現像し、その間に、CNTペーストおよびフォトレジスト層の未硬化フィルムを洗い流したところ、図6Gの6.14および図7Cの7.4に示すとおり、ビアの下部に、CNTペーストの4列のドットの4.4が残った。前述したように、ゲート線間のCr表面の破断部6.15には、CNTペースト残渣が全くないと判断された。UV遮蔽誘電体層および犠牲レジストを用いると、高コストの整合設備を用いずに、CNTペーストの残渣のない堆積が確実になされた。
【0056】
放出材料のペーストの処方に応じて、電子電界放出ドットの過剰な有機材料を排除するために、カソード組立体は焼成工程を必要とする。その場合、焼成は、空気中、または不活性雰囲気下で、ドットへの損傷を最少にする温度および時間で、実施してよい。実施例1および2においては、焼成は、真空チャンバにおける後の放出試験に必要なかったため、試料は焼成しなかった。しかしながら、放出性能を改善するために、活性化工程は行った。接着テープ片を、接着剤をビアに押し付け、電子電界エミッタドットを接触させるよう圧力を加えて、試料の上部にラミネートした。接着テープを後に剥がすと、エミッタドットが破砕されて、電子電界エミッタの「活性化」表面が露出した。
【0057】
活性化カソード組立体試料の反対に、蛍光体コーティングを備えた、ITOコートされた2インチ×2インチのガラス基板からなるアノード板を装着した。厚さ3mmのスペーサを用いて、カソードおよびアノード基板間の距離を維持した。電気的接触を、ITOカソード電極、Crゲート電極およびITOアノード電極に、銀塗料および銅テープを用いて、形成し、トップ・ゲートトライオードデバイスを完成した。デバイスを、<1×10−5トルの圧力まで排気した真空チャンバに装着した。1.5kVの直流電圧をアノード電極に加えた。120Hzの繰り返し率および30μsのパルス幅のパルス方形波を、ゲート電圧に加えた。カソード電極は、接地電位に維持した。
【0058】
パルスゲート電圧が30Vに達したとき、0.6μAの平均アノード電流が測定された。パルスゲート電圧の増大と共に増大するアノード電流が測定された。60Vのゲート電圧で、22.6μAのアノード電流が得られた。図8に、実施例2で作製したトップ・ゲート電界放出トライオードデバイスから記録されたアノード電流およびゲート電圧値のプロットを示す。1.5kVのアノード電圧、60Vのゲート電圧および22μAのアノード電流で操作される、この装置により放出された電子による蛍光体照明の画像を図9に示す。実施例1で作製したトップ・ゲート電界放出トライオードデバイスについて、同様の放出結果が得られた。
【0059】
対照例AおよびB
カソード組立体の他の2つの試料を、実施例1および2で用いた試料とほとんど同一のレイアウトで作製した。図10に、図3Aと同様に、基板10.1、ITOカソード電極10.2、第1の誘電体層10.3、第2の誘電体層10.4、Crゲート電極10.5、ビア10.6および2つのゲート線間のギャップ10.7を示す。誘電体ビアを製造する処理シーケンスも、図3B〜3Jに示した実施例1および2で用いたのと同様であった。対照例AおよびBと実施例1および2の違いは、対照例AおよびBで用いた誘電体層のいずれもUV遮蔽特性を有していないことであった。
【0060】
対照例Aにおいて、犠牲レジスト層を用いずに、電子放出材料のペーストの直接堆積をした。図11A〜11Dに、対照例Aで用いた処理シーケンスを示す。図11Aに、基板11.1、ITOカソード電極11.2、第1の誘電体層11.3、第2の誘電体層11.4、Crゲート電極11.5、ビア11.6および2つのゲート線間のギャップ11.7を示す。Cr表面の放出材料11.8の光画像形成可能なペーストの印刷および乾燥、ならびに全ビアの充填後、試料を100mJのUV放射線11.9に、基板の裏側を通して露光した。UV放射線は、両方のUV透過性誘電体層を透過したため、ペーストは、下部11.10ばかりでなく、誘電体ビアの側壁11.11、ゲート線間のギャップ11.12でカソード組立体表面でも光硬化した。
【0061】
放出材料ペーストは高導電性であったため、ビア開口部11.13およびゲート線間のギャップ11.14で、Crゲート電極への近接により、カソードとアノード間、ゲート線間で電気的短絡となった。図12に、ゲート線12.2間のギャップでの電子放出材料12.1の光硬化を示す(ペーストは、デバイスの上部の全ての部分にわたって印刷されなかった)。ゲートとカソード間およびゲート線間で、数百オームの電気抵抗値が測定された。かかる短絡によって、トライオードデバイスは使用不可なものとなった。
【0062】
対照例Bにおいて、電子放出材料のペーストの堆積を、犠牲レジスト層を用いて行った。図13A〜13Gに、処理シーケンスを示す。前述したように、図13Aに、ガラス基板13.1、ITOカソード電極13.2、第1の誘電体層13.3、第2の誘電体層13.4、Crゲート電極層13.5、ビア13.6および2つのゲート線間のギャップ1.37を示す。ポジ型作用フォトレジスト13.8を、カソード組立体の表面でスピンコートし、乾燥して、Cr表面をコートし、全誘電体ビアを充填した。基板を、UV放射線13.9に、裏側からフロッド露光した。両誘電体層共UV放射線を透過したため、Crゲート層の上部に直接位置するフォトレジストのみが、UV露光からシールドされた。ビア13.10内のこれらをはじめとするフォトレジストの他の全ての領域がUV放射線に露光された。レジスト現像によって、図13Dに13.11で示されるCr層の直接上の領域以外は、全てのレジストが除去された。印刷および乾燥後、電子放出材料13.12の光画像形成可能なペーストを、レジスト表面に堆積し、全てのビアを充填した。試料を、基板の裏側を通して、100mJのUV放射線13.13に露光した。
【0063】
対照例Aに見られるとおり、UV放射線は、両誘電体層を透過し、放出材料ペースト13.14が光硬化した。放出材料ペーストの後の現像およびレジストの除去によって、図13Gに示すとおり、ゲート線間のギャップ13.15、下部13.16および誘電体ビアの側壁13.17のフィルムが得られた。放出材料フィルムが、ゲート層に近接し、その電気伝導性によって、カソードとアノード間およびゲート線間の短絡となった。かかる短絡によってまた、デバイスは使用不可なものとなった。
【0064】
対照例AおよびBでは高コストな整合設備は用いなかったため、放出材料の短絡のない堆積は、UV遮蔽誘電体層を用いないと達成できなかった。
【0065】
本発明の方法および装置の特定の特徴を、かかる様々な特徴と組み合わせて、1つ以上の具体的な実施形態で本明細書に記載した。しかしながら、本発明の範囲は、特定の実施形態の特定の特徴のみの記載に限定されず、本発明にはまた、(1)記載した実施形態の全ての特徴よりも少ないサブコンビネーションであって、サブコンビネーションを形成するのに省かれた特徴がないことを特徴とするサブコンビネーション、(2)記載した実施形態のコンビネーションに別個に含まれる各特徴、および(3)任意で、本明細書に開示された他の特徴と併せて、2つ以上の記載された実施形態から採った選択した特徴のみをグループ化することにより形成された特徴の他のコンビネーションも含まれる。
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)による優先権を主張し、あらゆる目的について本明細書の一部としてその全内容が参考文献として援用される2007年11月26日出願の米国仮特許出願第60/990,056号明細書の利益を主張する。
【0002】
本発明は、トップ・ゲート設計を有する電界放出トライオードデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
電界放出トライオードデバイスは、カソード組立体において、ゲート電極が、電子電界エミッタ上、カソード電極自体とアノード電極表面間に位置する「トップ・ゲート」または「ノーマル・ゲート」設計として呼ばれることの多いものを従来から用いている。カソード組立体内で、ゲートおよびカソード電極は、誘電体絶縁体層と電気的に分離されている。カーボンナノチューブ(CNT)のような低閾値の電子放出材料が広く利用されるにつれて、トライオードデバイスにおけるかかるトップ・ゲート設計は、カラーディスプレイおよびバックライトユニット用途にますます魅力的なものとなってきている。魅力的な電界放出性能を備えたデバイスは、比較的安価な厚膜プロセス技術および厚膜誘電体およびエミッタ材料を用いて製造されている。
【0004】
特許文献1および2には、トップ・ゲート電界放出トライオードデバイスおよび光画像形成可能な放出材料および金属かアモルファスシリコンのいずれかからなる内側薄膜UVマスクを用いた製造方法が記載されているが、高価なリソグラフィー工程によりパターニングしなければならない。Leeは、かかるトップ・ゲートトライオードデバイス用のカソード組立体の製造時には、高温焼成と後のリソグラフィーパターニング工程間での基板の熱収縮のために、整合誤差を排除する難しさについて幅広く議論している。また、薄膜シリコンマスク層の不適切なUV遮蔽特性により生じるゲート電極端部の放出材料の残渣を排除するために、犠牲層を用いることも記載している。この犠牲層のパターニングには、追加のリソグラフィーパターニング工程が必要であり、同様の整合誤差および高コストとなる。
【0005】
Leeはまた、誘電体層中にエッチングされたビアの中心に対して、ゲートとエミッタフィーチャーの正確な整合を達成するために、高精細リソグラフィー技術を用いた、かかるトップ・ゲートトライオードデバイス用のカソード組立体の製造方法も開示している。
【0006】
デバイスの実証された初期の成功にも係らず、かかるデバイス用のカソード組立体の低コスト、高収率および大規模製造には、大きな課題が残っている。様々な技術上の難しさの中でも、ゲートおよびカソード電極間の電気的短絡を排除しながら、電子放出材料を誘電体ビアへ正確かつクリーンに堆積することは、特に難しいことが分かっており、非常に大きな基板を用いるときは特に問題となる。Leeは、内側マスク、ゲートホール、誘電体ビアおよび犠牲層をパターニングするリソグラフィー工程間に行わなければならない焼成工程中の基板収縮により生じる整合誤差のために、内側薄膜フォトマスクを用いる難しさを強調している。また、ゲート電極の端部で生じるエミッタ残渣によるゲートおよびカソード短絡の問題も開示している。
【0007】
Leeはまた、内側マスク層および誘電体ビアをパターニングする順番を変えることにより、整合誤差および残渣の問題の解決策も開示している。内側マスク層を、誘電体層の印刷、焼成およびエッチングの前に堆積し、パターニングする従来の方法とは異なり、Leeは、誘電体ビアの製造後に、内側マスク層を堆積およびパターニングすることを教示している。PECVD成長アモルファスシリコン等のUV吸収および電気抵抗性薄膜層を、マスク層として堆積し、パターニングする。その結果、ビアとマスク層のリソグラフィーパターニング間に焼成工程が必要ないため、カソード組立体における基板収縮は生じない。また、マスク層をゲート電極の上部に堆積し、側壁およびビア下部の一部をカバーして、ゲートおよびカソード電極の両方に接触するエミッタ残渣により電気的短絡が形成されるのを防ぐ。電気的分離をさらに確実にするためには、ポジ型作用フォトレジストまたはネガ型作用乾燥フィルムフォトレジストを、ゲート電極表面の犠牲層として用いる。この犠牲層の除去中、ビアの外側に堆積した放出材料の残渣がある場合には、これもリフトオフされる。
【0008】
Leeの方法を実施するには、いくつかのフォトリソグラフィー工程を正確に整合しなければならない。薄膜マスク層のパターニングは、基板上のビアパターンと完璧にレジストレーションされなければならない。犠牲層のパターニングも、パターニングされたビアおよびマスク層と完璧にレジストレーションされなければならない。これらのリソグラフィー工程間に焼成がないため、原理上は、完璧なレジストレーションが達成される。しかしながら、より高い解像度および電界放出性能を達成するためにビアサイズが小さくなるにつれ、そして、大型ディスプレイまたはバックライトユニットを製造し、かつ、コストを下げるべく単一の大基板に多数のパネルを作製するために基板サイズが大きくなるにつれ、これらのリソグラフィー工程の完璧な整合は、大きな設備および処理コストでしか達成できない。基板またはフォトマスク表面の温度変動があると、許容できない整合誤差となり得、パネル性能および製造収率が低下する。大規模整合設備の高い投資コストは、LCDディスプレイ用バックライトユニット等の低コストデバイスにとって投資負担が重いことを意味している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願第03/141,495号明細書(Lee)
【特許文献2】米国特許出願第05/258,739号明細書(Park)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、製造し易く、最終デバイスコストを下げる、トップ・ゲートトライオード電界放出デバイスのカソード組立体を製造するための代替となる方法が、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態において、本発明は、UV遮蔽絶縁誘電体層を有するカソード組立体を提供する。他の実施形態において、本発明は、かかるカソード組立体を含む電界放出トライオードを提供する。
【0012】
他の実施形態において、本発明は、カソード組立体の基材の裏側を通して、UV遮蔽絶縁誘電体層に形成されたビアを通して堆積しておいた電子放出材料を照射することにより、カソード組立体を製造する方法を提供する。
【0013】
さらなる実施形態において、本発明は、
a)基板に配置されたカソード電極と、
b)カソード電極に配置されたUV遮蔽絶縁誘電体と、
c)誘電体に配置されたゲート電極と、
d)カソード電極を露出するゲート電極および誘電体を通る複数のビアと、
e)ビアに位置する電子電界エミッタと
を含むカソード組立体装置を提供する。
【0014】
さらに他の実施形態において、本発明は、
a)基板を導電性材料の第1の層でコートする工程と、
b)導電性材料の第1の層に、UV遮蔽絶縁誘電体を堆積する工程と、
c)誘電体に、導電性材料の第2の層を堆積する工程と、
d)導電性材料の第2の層および誘電体を通して1つ以上のビアを形成して、導電性材料の第1の層を露出する工程と、
e)ビアに、電子放出材料を堆積する工程と
を含む、カソード組立体を製造する方法を提供する。
【0015】
さらに他の実施形態において、本発明は、
a)UV透過性基板の第1の側を、UV透過性導電性材料の層でコートし、
b)導電性層に、UV遮蔽絶縁誘電体を堆積する工程と、
c)誘電体に、導電性材料の上部層を堆積する工程と、
d)導電性材料の上部層および誘電体を通して1つ以上のビアを形成して、UV透過性導電性材料の層を露出する工程と、
e)導電性材料の上部層およびビアに、フォトレジスト材料を堆積する工程と、
f)フォトレジスト材料に、基板を通して照射する工程と、
g)フォトレジスト材料を現像して、各ビアにチャネルを形成し、UV透過性導電性材料の層を再露出する工程と、
h)フォトレジスト材料およびビアのチャネルに、光画像形成可能な電子放出材料を堆積する工程と、
i)放出材料に、基材を通して、照射する工程と、
j)フォトレジスト材料および未硬化の放出材料を除去する工程と
を含む、カソード組立体を製造する方法を提供する。
【0016】
本方法および装置は、UV遮蔽材料を、誘電体層に、または誘電体層として組み込むことにより、トップ・ゲートトライオードにおいてカソードおよびゲート電極を電気的に分離する誘電体層のビアに電界放出材料を正確に堆積することの難しさに取り組むものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】内側薄膜フォトマスクを備えた従来のトップ・ゲート電界放出デバイスの形状を示す。
【図2】UV遮蔽誘電体層を備えたトップ・ゲート電界放出デバイスの形状を示す。
【図3−1】実施例1およびビアエッチングまでの処理シーケンスで用いたトップ・ゲートカソード組立体(電子電界エミッタなし)のレイアウトの平面図を示す。
【図3−2】図3−1の続きである。
【図4】異なる製造段階でのゲート誘電体ビアの一連の光学顕微鏡写真を示す。
【図5】一層のUV遮蔽誘電体層を用いた、電子放出材料の自己整合直接堆積の処理シーケンスを示す。
【図6】二層のUV遮蔽誘電体層を用いた、放出材料の自己整合リフトオフ堆積の処理シーケンスを示す。
【図7】犠牲レジスト層を用いた、堆積した放出材料の自己整合リフトオフの異なる段階によるゲート誘電体の一連の光学顕微鏡写真を示す。
【図8】二層のUV遮蔽誘電体層を有し、リフトオフ法により製造されたトップ・ゲート電界放出デバイスから得られたアノード電流とゲート電圧値のプロットを示す。
【図9】二層のUV遮蔽誘電体層を有するデバイスにより放出された電子による蛍光体照明の画像を示す。
【図10】実施例2で用いた、UV遮蔽誘電体層を有していないトップ・ゲートカソード組立体(電子電界エミッタなし)のレイアウトの平面図を示す。
【図11】UV遮蔽誘電体層を用いない、電子放出材料の直接堆積の処理シーケンスおよび結果を示す。
【図12】誘電体層がUV遮蔽でないときのゲート線間のギャップの実施例2で得られた放出材料堆積の結果を示す光学顕微鏡写真である。
【図13】犠牲レジスト層は用いるが、UV遮蔽誘電体層を用いない、リフトオフ堆積放出材料の処理シーケンスおよび結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、トップ・ゲート電界放出トライオードデバイスにおいて、UV遮蔽絶縁体層を有するカソード組立体および連続的なリソグラフィー工程の整合を必要としないその製造方法を提供する。UV遮蔽誘電体層は、ゲートおよびカソード電極間の電気的に絶縁された誘電体と、光画像形成可能な電子放出材料の光堆積用の自己整合内側フォトマスクの両方として機能する。また、フォトレジストベースの犠牲層の光パターニング用自己整合内側フォトマスクとしても機能する。犠牲層をパターニングし、放出材料を堆積するのにこれらの自己整合工程を活用することにより、トップ・ゲートトライオードデバイスを、高価なマスク整合設備を用いることなく、高収率で、安価に製造することができる。自己整合方針はまた、焼成起因の基板の収縮による整合誤差がある場合には、これも排除し、トップ・ゲートトライオードデバイスを、非常に大きな基板サイズまで拡大することができる。
【0019】
本明細書には、トップ・ゲートトライオード電界放出デバイス用カソード組立体、および多数のリソグラフィー工程を含む完璧なレジストレーションを達成するための高コストを排除するその製造方法が開示されている。本発明のカソード組立体は、典型的に、順不同で、基板、カソード電極、ゲート電極、電子放出エミッタ、絶縁誘電体を含む。本明細書において開示および使用されるアノード組立体は、典型的に、基板、アノード電極および蛍光体を含む。
【0020】
図1に、内側薄膜マスク層を備えたトップ・ゲート電界放出トライオードデバイス用の従来のカソード組立体の形状を示す。デバイスは、基板材料1.2に1つ以上のカソード電極1.1を含む。基板とカソード電極は両方共、典型的に、UV放射線を透過し、基板を通した、光画像形成可能な放出材料のUV露光を可能とする。このタイプの「裏側」画像形成は、電子放出材料の堆積に有用である。内側マスク層1.10を用いて、放出材料のパターンを画定できるからである。光硬化は、カソードと電子電界放出の界面で開始され、放出材料の大部分へと徐々に進むため、放出材料の光硬化の深さは、UV線量により制御することができる。電子電界エミッタの厚さの制御に加えて、界面のUV線量は、エミッタフィルムの光学密度により減少しないため、裏側画像形成はまた、放出材料をカソード電極と良好に硬化接着もさせる。
【0021】
カソード電極および内側マスク層は、1つ以上の絶縁誘電体層1.3によりカバーされる。費用効率の高い製造については、これらの誘電体層は、典型的に、厚膜誘電体ペーストの連続スクリーン印刷、乾燥および焼成により堆積する。誘電体層は、典型的に、誘電体粒子の焼結または溶融を促進するが、基板の軟化点より低く保持される温度まで焼成される。ガラス基板を用いるときの誘電体焼成温度は、典型的に、約500℃〜約600℃である。
【0022】
誘電体層の上部に、金属またはその他のタイプの薄膜導体から作製された1つ以上のゲート電極1.4がある。ビア(ホールまたはトレンチ等)は、典型的に、ゲート電極および誘電体層を通して、ウェットまたはドライエッチングされて、各ビアの下部でカソード
電極を露出する。例えば、カーボンナノチューブ等の針状材料である、またはそれを含む電子放出材料1.5は、各ビアの下部に堆積されて、電子放出エミッタを形成し、カソード電極と電気的に接触する。
【0023】
カソード組立体の反対に位置し、絶縁スペーサ1.6に支持されているのは、1つ以上のアノード電極1.8を含むアノード基板1.7を含むアノード組立体である。このアノード基板は、光の放出のために、蛍光体コーティング1.9を含んでいてもよく、スペーサを用いることにより一定距離に維持することができる。電子電界エミッタからの電界放出は、正の電位を、ゲート電極に、カソードに対して加えることによりなされる。アノードに加わった別個の正の電位が、放出された電子をアノードに引き付ける。蛍光体コーティングがアノードにある場合には、電子衝撃により、可視光放出が形成される。
【0024】
本カソード組立体において、従来のカソード組立体、内側マスク層1.10および絶縁誘電体層1.3の構成要素の2つの機能を、UV遮蔽誘電体層である単一の構成要素へ結合する。特定のデバイスにおいては、絶縁誘電体の2つ以上の層を、かかる構成要素に用いて、電気的分離を確実にし、ゲートおよびカソード電極間の絶縁破壊電圧を最大にしてもよく、かかるデバイスにおいては、全ての誘電体層がUV遮蔽特性を有していなくてもよい。かかる多層誘電体を用いる場合には、IおよびG線のUV波長範囲で、これらの層の光学密度を約0.5以上となるように組み合わせて、UV放射線をマスクおよび吸収してもよい。UV遮蔽誘電体層の厚さは、単層または多層の誘電体を用いるかどうかに応じて、多層誘電体を用いる場合には、UV遮蔽層に用いる誘電体材料のUV吸収係数に応じて、1〜数十ミクロンまで変えてよい。1kV/mmを超える破壊強度を有する単層または多層誘電体は、カソード電極をゲート電極から電気的に分離するのに好適な強度を有している。
【0025】
カソード組立体内で、UV遮蔽誘電体層の位置は、カソードスタックの上部(ゲート電極層に直接隣接)から、カソードスタックの下部(カソード電極層に直接隣接)まで変えてよい。多層誘電体内で、UV遮蔽層は、誘電体において他の層に対して、任意の位置(上部、下部または中間等)が仮定される。特定のカソード組立体内で、誘電体層について異なる位置にすると、電極分離、絶縁破壊電圧、ビアエッチングおよび残渣のない、または実質的にない、すなわち、電気的短絡のない、または実質的にないエミッタ堆積のうちの1つ以上の目的を最適化する機会を増やすことができる。
【0026】
図2に、トップ・ゲート電界放出トライオードデバイス用のカソード組立体の側面図を示す。カソード組立体は、基板材料2.2にカソード電極層2.1を含む。基板とカソード電極層は両方共、典型的に、UV放射線を透過し、光画像形成可能なエミッタおよびレジスト材料の裏側UV露光が可能となる。カソード電極層に配置されているのは、単層または多層UV遮蔽絶縁誘電体である。図2に、層2.3およびUV遮蔽層である層2.10を有する多層誘電体を示す。
【0027】
図2において、誘電体のUV遮蔽層2.10は、誘電体スタックの上部に位置し、ゲート電極層に直接隣接している。誘電体層2.10に配置されているのは、金属またはその他のタイプの薄膜導体から作製された1つ以上のゲート電極2.4である。ビアは、典型的に、ゲート電極および誘電体層を通してウェットまたはドライエッチングされて、ビアの下部でカソード電極2.1を露出する。可能な場合、エッチングレートの最大適合性を有するスタック材料に様々な層を選択するのが有利である。
【0028】
カーボンナノチューブである、またはこれを含む針状材料等の電子放出材料2.5を、ビアの下部に堆積して、電子電界エミッタを形成し、カソード電極と電気的に接触する。放出材料の堆積は、本明細書に記載したペースト堆積またはその他の印刷方法により実施され、カソード層と絶縁誘電体層との間にマスク層なしで実施され、マスク層はデバイスにない。カソード組立体の反対に位置し、絶縁スペーサ2.6に支持されているのは、1つ以上のアノード電極2.8を含むアノード電極2.7を含むアノード組立体である。このアノード基板は、光を放出するための蛍光体コーティング2.9を含んでいてよく、スペーサを用いることにより、一定の距離に維持してよい。
【0029】
UV遮蔽誘電体層の作製に用いるのに好適な材料としては、限定されるものではないが、ストロンチウム、鉄、マンガン、バナジウム、クロム、コバルト、ニッケルおよび/または銅の1つ以上の酸化物または混合酸化物が挙げられる。
【0030】
電子電界エミッタを形成するために電子放出材料として本発明で用いるのに好適な材料としては、カーボン、ダイヤモンドライクカーボン、半導体、金属またはその混合物等の針状材料が挙げられる。本明細書で用いる「針状」とは、アスペクト比が10以上の粒子を意味する。針状カーボンには様々な種類がある。カーボンナノチューブが好ましい針状カーボンであり、単層カーボンナノチューブが特に好ましい。個々の単層カーボンナノチューブは、極めて小さく、典型的に、直径は約1.5nmである。カーボンナノチューブは、恐らくは、sp2混成炭素のため、グラファイト状と記載されることがある。カーボンナノチューブの壁は、グラフェンシートを巻き上げることにより形成されたシリンダーと想定することができる。小金属粒子を覆う炭素含有ガスの触媒分解から成長したカーボンファイバーも針状カーボンとして有用であり、そのそれぞれが、ファイバー軸に対して角度をなして配置されたグラフェン板を有しており、カーボンファイバーの周囲は、グラフェン板の端部から実質的になる。角度は、鋭角または90°であってよい。針状カーボンの他の例は、ポリアクリロニトリル系(PAN系)カーボンファイバーおよびピッチベースのカーボンファイバーである。
【0031】
カソード組立体またはアノード組立体の基板は、他の層が接着する任意の材料とすることができる。シリコン、ガラス、金属またはアルミナ等の耐火材料が、基板として機能し得る。ディスプレイ用途に好ましい基板はガラスであり、ソーダ石灰ガラスが特に好ましい。アンダー・ゲート電極、カソード電極および/またはアノード電極の製造に本発明において用いるのに好適な材料としては、限定されるものではないが、銀、金、モリブデン、アルミニウム、ニッケルの酸化物、白金、錫およびタングステンが挙げられる。
【0032】
本カソード組立体、そして最終的に本電界放出トライオード装置に用いる電子放出エミッタは、放出材料を所望の表面に付着させるのに必要に応じて、電子放出材料を、かかるガラスフリット、金属粉末または金属塗料(またはその混合物)と混合することにより作製してよい。電子放出材料を付着させる手段は、カソード組立体を製造する条件下、およびそのカソード組立体を含む電界放出装置が操作される条件下に耐え、その完全性を維持するものでなければならない。これらの条件には、真空条件および約450℃までの温度が典型的に含まれる。その結果、粒子を表面に付着させるのに、有機材料は通常適用できず、多くの無機材料はカーボンに対する接着力が低いため、用いることのできる材料の選択はさらに限定される。このように、好ましい方法は、電子放出材料およびガラスフリット(例えば、鉛またはビスマスガラスフリット)を含む厚膜ペースト、金属粉末または金属塗料(またはその混合物)を、表面に、所望のパターンでスクリーン印刷してから、乾燥したパターニングペーストを焼成することである。様々な用途、例えば、より精細な解像度を必要とするものについては、好ましいプロセスには、光開始剤および光硬化可能なモノマーを含むペーストをスクリーン印刷し、乾燥したペーストをフォトパターニングし、パターニングペーストを焼成することが含まれる。
【0033】
ペースト混合物は、周知のスクリーン印刷技術を用いて、例えば、165−400−メッシュのステンレス鋼スクリーンを用いることによりスクリーン印刷することができる。厚膜ペーストを、連続フィルムとして、または所望のパターンの形態で堆積することができる。表面がガラスのときは、ペーストを、約350℃〜約550℃、好ましくは約450℃〜約525℃の温度で、約10分間、窒素中で焼成する。雰囲気が酸素を含まないという条件で、それに耐えられる表面に高めの焼成温度を用いることできる。しかしながら、ペースト中の有機成分は、350〜450℃で効率的に揮発して、電子放出材料およびガラスおよび/または金属導体で構成された複合体の層を残す。スクリーン印刷ペーストをフォトパターニングすべき場合には、ペーストは、光開始剤と、現像可能なバインダーと、例えば、少なくとも1つの重合可能なエチレン基を有する少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性不飽和化合物を含む光硬化可能なモノマーとを含有していてもよい。
【0034】
電子電界エミッタの形成以外に、カソード組立体の他の層または構成要素の形成あるいはアノード組立体の層または構成要素の形成は、上記したような厚膜印刷方法により、または、必要であれば、マスクおよび光画像形成可能な材料を用いることを含むスパッタリングや化学蒸着等、当該技術分野において公知の他の方法により行ってよい。
【0035】
カソード組立体の様々な構成部品の堆積は、本明細書の様々なところに、層を形成するための厚膜または薄膜の堆積として記載されていて、側面図で示されるとき、カソード組立体の様々な構成部品は層と見てとれるが、本明細書で用いる「層」という用語は、カソード組立体または電界放出装置の構成部品は、完全に平坦または完全に連続であることを必ずしも必要としない。形状およびレイアウトの点で、層と称す、または層と見なされる構成部分は、様々な実施形態において、ストリップ、ライン、グリッド、または不連続だが電気的に接続されたパッド、ペグまたはポストの配列であるか、またはそれらに似たものであってよい。このように、カソード電極、ゲート電極、電荷散逸層、絶縁層および/または電子電界エミッタの要素を配置するのに、単層で、複数の位置を与えることができ、その装置は、これらの各種の構成部品を複数含むことができ、個別にアドレス可能な画素の配列を与えることができる。例えば、カソード電極および電子電界エミッタは、交差線としてパターニングしてもよい。
【0036】
本電界放出トライオード装置の操作には、装置外部の接地電圧源(図示せず)を介して、以下の実施例で用いる電圧を含む範囲内の適切な電位を、ゲート電極およびアノード電極に印加して、電界放出電流の製造のために、電子電界エミッタに電圧印加することが含まれる。
【0037】
本電界放出トライオード装置は、フラットパネルコンピュータディスプレイ、テレビジョン、LCDおよびその他の種類のディスプレイ、真空電子装置、放出ゲート増幅器、クライストロンおよび照明装置に用いてよい。大面積フラットパネルディスプレイ、すなわち、30インチ(76cm)を超えるサイズのディスプレイに特に有用である。フラットパネルディスプレイは平坦なものでも湾曲したものでもよい。これらの装置は、あらゆる目的について本明細書の一部としてその全内容が参考文献として援用される米国特許出願公開第2002/0074932号明細書により詳細に記載されている。
【実施例】
【0038】
本方法および装置の有利な属性および効果を、後述する一連の実施例(実施例1および2)で示す。これらの実施例がベースとする方法および装置の実施形態は例示に過ぎず、本発明を例示するためのこれらの実施形態の選択は、これらの実施例に記載された以外の材料、条件、成分、構成、工程、技術または手順が、これらの方法および装置を実施するのに好適でない、あるいは、これらの実施例に記載された以外の主題が、添付の請求項およびその等価物の範囲から排除されることを意味するものではない。実施例の重要性は、それから得られた結果を、対照実験として作用するよう設計された試行(対照例AおよびB)から得られた結果と比べることにより、より良く理解され、これは、カソード組立体の製造に欠けるもの、そして、デバイスからUV遮蔽誘電絶縁体の欠けるものに関するかかる比較の基礎を与えることによる。
【0039】
実施例1および2に、本発明のデバイスを製造するための、放出材料の直接およびリフトオフの2つの堆積方法を記載する。図3Aに、これらの実施例の方法で用いるトップ・ゲートカソード組立体(電子電界エミッタのない)のレイアウトの平面図を示す。ビアエッチングは、両方の方法において同じ手順で行われる。図3B〜3Jに、ビアエッチングの処理シーケンスを示す。図4A〜4Dに、製造の異なる段階でのゲート誘電体ビアの光学顕微鏡写真を示す。
【0040】
図5A〜5Dに、放出材料を基板に直接堆積する実施例1の方法の処理シーケンスを示す。図6A〜6Gに、放出材料を、犠牲レジスト層を含むリフトオフ技術により堆積する実施例2の方法の処理シーケンスを示す。実施例1で作製したカソード組立体は、1つのUV遮蔽層を有する絶縁誘電体を含み、実施例2で作製したカソード組立体は、2つのUV遮蔽層を有する絶縁誘電体を含む。
【0041】
各実施例において、図3Bに示すとおり、2インチ×2インチのガラス基板3.1を提供し、ITOコーティング3.2を基板に堆積し、コーティングをエッチングして、カソード電極を形成した。誘電体スタックの構築のために、UV透過性誘電体ベース材料のペーストをまず作製した。典型的に、厚膜ペーストとして適用される誘電体ペーストは、典型的に、溶剤、有機および無機成分を含有する。溶剤は、ブチルカルビトール、酢酸ブチルカルビトール、ジブチルカルビトール、ジブチルフタレート、テキサノールおよびテルピネオール等の高沸点液体であってよい。有機成分としては、バインダーポリマー、分散剤および/またはその他のレオロジー改質剤が挙げられる。無機成分としては、低融点ガラスフリットおよびその他の無機粉末が挙げられる。UV遮蔽誘電体ペーストを作製するために、追加のUV吸収顔料を、ベース誘電体ペーストに添加する。高温安定およびガラス耐化学性顔料、例えば、酸化コバルト顔料を、3重量%および5重量%充填で用いて、これらの実施例において、2つのUV遮蔽誘電体ペーストを作製した。
【0042】
実施例1において、1つのUV遮蔽層を有する絶縁誘電体を作製するために、ベース誘電体ペーストを、まず、ITOカソードの上部にスクリーン印刷し、125℃で5分間乾燥し、空気中で、550℃のピーク温度まで、20分間焼成したところ、3Cに示すような、厚さ約6μmのUV透過性フィルム3.3が得られた。5重量%の顔料含有誘電体ペーストを、同じ手順を用いて、ベース誘電体層の上部にスクリーン印刷および焼成したところ、図3Dに示すような、UV遮蔽および電気的に絶縁された誘電体材料3.4の厚さ7μmのフィルムが得られた。合計焼成厚さ13μmが測定された。絶縁誘電体のUV光学密度を、水銀ランプとエネルギーメーター間に誘電体スタックを配置することにより測定したところ、2を超える値が得られた。
【0043】
実施例2において、2つのUV遮蔽層を有する絶縁誘電体を作製するために、3重量%の顔料含有誘電体ペーストを、上述したように、印刷、乾燥および焼成し、図6に示すような、ITOカソードの上部にUV遮蔽誘電体6.3の第1の層を形成した。第2の3重量%の顔料含有UV遮蔽誘電体層6.4を、図6Aに示すように、第1の層の上部に同様にして作製した。合計焼成厚さ13μm、2を超える光学密度が二重層については測定された。
【0044】
厚さ150nmクロム(Cr)のゲート電極3.5および6.5を、上述した一層および二層構成要素の誘電体表面に、e−ビーム蒸発器を用いて、堆積した。500Vを超える直流電圧破壊値が、厚さ13μmの誘電体スタックについて測定された。
【0045】
従来のリソグラフィー技術を用いて、図3に示すように、カソードアセンブリにビア構造を作製した。ノボラックタイプのフォトレジスト3.6(Clariant Corporation,Sulzbach am Taunus,Germanyより入手したAZ4330)を、図3Fに示すとおり、Cr層3.5の表面にスピンコートした。1500rpmのスピニング速度および45秒のスピニング時間を用いた。ノボラックポリマーフィルムを、90℃のホットプレートで、2分間乾燥した。乾燥後、厚さ4μmのノボラックポリマーフィルムが得られた。フォトレジストを、UV(350〜450nm)放射線3.7に、20μmの開いた円の配列でパターニングされた外側フォトマスク3.8を通して露光した。300mJ/cm2のUV線量を用いた。フォトレジストを、2%のテトラメチル水酸化アンモニウム(同じくClariantより入手)を含有するAZ300MIF現像液で、240秒間現像して、図3Gに示すように、20μmの円3.9の配列として、Cr層3.5を露出した。後露光で、デバイスを120℃のホットプレートで3分間ベークした。Crおよび誘電体スタック層を、湿式エッチャントでエッチングしてから、脱イオン水中で濯いだ。40〜60μmのリム径を有するビア3.10が、図3Hに示すとおり、エッチング条件に応じて、Crおよび誘電体スタック層に得られた。フォトレジスト層を、60℃、PRS2000レジスト剥離装置(Transene Company,Danvers,Massachusetts,USAより入手)により除去した。図4Aおよび図4Bに、Crゲート電極4.1、ビア開口部4.2およびビアの下部4.3をそれぞれ示す。
【0046】
表面を、フォトレジスト3.11で、再びコートし、異なる外側マスク3.13を用いて、第2のUV光パターニング工程3.12を行って、図3Iに示すとおり、電気的に分離されたゲート線を画定するために、Cr層3.5に破断部をエッチングした。この第2のリソグラフィー工程で作製されたゲート線3.14間の破断部の寸法は、非常に大きい(図3においては縮尺は合っていない)ため、この工程は、整合誤差に極めて強かった。フォトレジストのPRS2000レジスト剥離装置による除去により、図3Jに示すとおり、カソード組立体のビアの形成方法の実施が完了し、表面は、電子放出材料の堆積を行う準備が整った。
【0047】
上述したとおり、異なる方法を2つの実施例において用いて、電子放出材料のペーストを、カソード組立体のビアに堆積した。実施例1において、この方法には、基板のCr表面でのペーストの直接適用が含まれ、実施例2において、この方法には、Cr表面を、犠牲層として機能するポジ型作用フォトレジストによりまずコーティングして、放出材料を含むペースト残渣のリフトオフを補助することが含まれていた。
【0048】
両方の方法において、厚膜堆積用電子放出材料のネガ型作用光画像形成可能なペーストを用いた。光画像形成可能な厚膜ペーストは、典型的に、溶剤、有機および無機成分、電子放出材料を含有している。溶剤は、ブチルカルビトール、酢酸ブチルカルビトール、ジブチルカルビトール、ジブチルフタレート、テキサノールまたはテルピネオール等の高沸点液体または混合物であってよい。有機成分としては、バインダーポリマー、光活性モノマー、開始剤、分散剤および/またはその他のレオロジー改質剤または混合物が挙げられる。無機成分としては、ガラスフリット、無機粉末および/または金属粉末が挙げられる。ペーストに用いる電子放出材料としては、カーボンナノチューブ等の針状材料が挙げられる。ペーストを基板に適用するには、従来のスクリーン印刷を通常用いる。光画像形成可能なペーストについては、ペーストのパターニングしていないフロッドプリントを、典型的に用いて、デバイスのほぼ全上面をカバーする。
【0049】
図5A〜5Dに、実施例1で用いた直接ペースト堆積方法の処理シーケンスを示す。図5Aに、ガラス基板5.1、ITOカソード電極5.2、ベース誘電体層5.3、UV遮蔽誘電体材料層5.4、Crゲート電極5.5およびビア開口部5.6からなる放出材料の堆積直前のトップ・ゲート基板組立体を示す。従来のスクリーン印刷プロセスを用いて、光画像形成可能なCNTペーストのブランケット層を基板に印刷し、Cr表面をオーバーコートし、誘電体ビア5Bを充填した。CNTペーストフィルムのフィルムを強制空気対流オーブン中で、60℃で30分間乾燥した。乾燥したCNTペースト5.7のフィルムは、Cr表面から測定したところ、厚さ約8μmであることが分かった。
【0050】
乾燥したCNTペーストのフィルムを、UV放射線5.8に、基板の裏側を通して、約100mJ/cm2の露光線量で露光した。CNTペーストの光硬化は、UV遮蔽誘電体材料層5.4により、誘電体ビアの下部のみに限定した。UV線量が、図5Cに示すとおり、約4μmでCNTペースト5.9の光硬化層の厚さを決めた。露光したCNTペーストのフィルムを、0.5%のNaCO3水溶液を1分間スプレーすることにより現像し、その間に、フィルム中の未硬化CNTペーストを洗い流したところ、図4Cおよび5Dに示すとおり、ビアの下部に、CNTペーストの4列のドットの4.4が残った。当該の領域は、ゲート線間のCr表面の破断部4.5および5.10であった。この領域には、ゲート線間に電気的短絡を生じさせるCNTペースト残渣が全くないと判断された。
【0051】
実施例2において、電子放出材料を、犠牲層を含むより複雑なリフトオフ法を用いて堆積した。この方法には、残渣のないペースト堆積を確実にするという利点がある。図6A〜6Gに、実施例2のリフトオフ法の処理シーケンスを示す。図7A〜7Cに、この製造方法の異なる段階でのゲート誘電体ビアの光学顕微鏡写真を示す。
【0052】
放出材料のペースト堆積の直前の、実施例2で用いるトップ・ゲートカソード組立体を図6Aに示す。ガラス基板6.1、ITOカソード電極6.2、第1のUV遮蔽誘電体層6.3、第2のUV遮蔽誘電体層6.4、Crゲート電極層6.5およびビア6.6を含んでいた。スピンコーティング技術を用いて、ポジ型作用フォトレジスト6.7をCr層の表面にコートし、全ビア6Bを充填した。大きな基板については、フォトレジストのスロットダイコーティングが適している。
【0053】
フォトレジストフィルムを、Cr表面から測定したときに約3μmの厚さまで、ホットプレート上で乾燥した。基板を、UV放射線6.8に、裏側からフロッド露光した。図6Cの6.9に示すとおり、ビアの下部に直接位置するフォトレジスト材料が、その全厚に完全に露光されるようなUV線量を用いた。しかしながら、他の全ての領域において、UV遮蔽誘電体層の存在のために、フォトレジストはUV放射線に露光されなかった。この自己整合露光は、高コストの整合設備を用いることなく実施できた。フォトレジストのタイプによっては、後露光ベーク工程が望ましい。露光フォトレジストを、現像液で除去し、図6Dに示すとおり、レジスト層6.10の各ホールの下部でカソード表面を露出した。この時点での後現像ベーク工程も望ましい。図7Aおよび図7Bに、Crゲート電極でカバーされたフォトレジスト7.1、レジストホール上部開口部7.2およびITOカソードを露出しているその下部7.3をそれぞれ示す。
【0054】
従来のスクリーン印刷プロセスを用いて、光画像形成可能なCNTペーストのブランケット層を、カソード組立体の上部に印刷して、表面をオーバーコートし、図6Eに示すとおり、レジスト層の全てのホールを充填した。選択したフォトレジストおよび放出材料ペーストは、望ましくない相互作用を起こしてはならない。CNTペーストは、レジスト表面から測定したとき、厚さ8μmのフィルム6.11となるまで、上述したのと同様のやり方で乾燥した。CNTペーストフィルムを、約100mJ/cm2の露光線量で、基板の裏側からUV放射線6.12に露光した。再び、CNTペーストの光硬化は、UV遮蔽誘電体層により、レジストホールの下部のみに限定した。UV線量が、図6Fに示すとおり、CNTペースト6.13の光硬化層の厚さは約4μmと判断された。
【0055】
露光したCNTペーストのフィルムを、溶剤を1分間スプレーすることにより現像し、その間に、CNTペーストおよびフォトレジスト層の未硬化フィルムを洗い流したところ、図6Gの6.14および図7Cの7.4に示すとおり、ビアの下部に、CNTペーストの4列のドットの4.4が残った。前述したように、ゲート線間のCr表面の破断部6.15には、CNTペースト残渣が全くないと判断された。UV遮蔽誘電体層および犠牲レジストを用いると、高コストの整合設備を用いずに、CNTペーストの残渣のない堆積が確実になされた。
【0056】
放出材料のペーストの処方に応じて、電子電界放出ドットの過剰な有機材料を排除するために、カソード組立体は焼成工程を必要とする。その場合、焼成は、空気中、または不活性雰囲気下で、ドットへの損傷を最少にする温度および時間で、実施してよい。実施例1および2においては、焼成は、真空チャンバにおける後の放出試験に必要なかったため、試料は焼成しなかった。しかしながら、放出性能を改善するために、活性化工程は行った。接着テープ片を、接着剤をビアに押し付け、電子電界エミッタドットを接触させるよう圧力を加えて、試料の上部にラミネートした。接着テープを後に剥がすと、エミッタドットが破砕されて、電子電界エミッタの「活性化」表面が露出した。
【0057】
活性化カソード組立体試料の反対に、蛍光体コーティングを備えた、ITOコートされた2インチ×2インチのガラス基板からなるアノード板を装着した。厚さ3mmのスペーサを用いて、カソードおよびアノード基板間の距離を維持した。電気的接触を、ITOカソード電極、Crゲート電極およびITOアノード電極に、銀塗料および銅テープを用いて、形成し、トップ・ゲートトライオードデバイスを完成した。デバイスを、<1×10−5トルの圧力まで排気した真空チャンバに装着した。1.5kVの直流電圧をアノード電極に加えた。120Hzの繰り返し率および30μsのパルス幅のパルス方形波を、ゲート電圧に加えた。カソード電極は、接地電位に維持した。
【0058】
パルスゲート電圧が30Vに達したとき、0.6μAの平均アノード電流が測定された。パルスゲート電圧の増大と共に増大するアノード電流が測定された。60Vのゲート電圧で、22.6μAのアノード電流が得られた。図8に、実施例2で作製したトップ・ゲート電界放出トライオードデバイスから記録されたアノード電流およびゲート電圧値のプロットを示す。1.5kVのアノード電圧、60Vのゲート電圧および22μAのアノード電流で操作される、この装置により放出された電子による蛍光体照明の画像を図9に示す。実施例1で作製したトップ・ゲート電界放出トライオードデバイスについて、同様の放出結果が得られた。
【0059】
対照例AおよびB
カソード組立体の他の2つの試料を、実施例1および2で用いた試料とほとんど同一のレイアウトで作製した。図10に、図3Aと同様に、基板10.1、ITOカソード電極10.2、第1の誘電体層10.3、第2の誘電体層10.4、Crゲート電極10.5、ビア10.6および2つのゲート線間のギャップ10.7を示す。誘電体ビアを製造する処理シーケンスも、図3B〜3Jに示した実施例1および2で用いたのと同様であった。対照例AおよびBと実施例1および2の違いは、対照例AおよびBで用いた誘電体層のいずれもUV遮蔽特性を有していないことであった。
【0060】
対照例Aにおいて、犠牲レジスト層を用いずに、電子放出材料のペーストの直接堆積をした。図11A〜11Dに、対照例Aで用いた処理シーケンスを示す。図11Aに、基板11.1、ITOカソード電極11.2、第1の誘電体層11.3、第2の誘電体層11.4、Crゲート電極11.5、ビア11.6および2つのゲート線間のギャップ11.7を示す。Cr表面の放出材料11.8の光画像形成可能なペーストの印刷および乾燥、ならびに全ビアの充填後、試料を100mJのUV放射線11.9に、基板の裏側を通して露光した。UV放射線は、両方のUV透過性誘電体層を透過したため、ペーストは、下部11.10ばかりでなく、誘電体ビアの側壁11.11、ゲート線間のギャップ11.12でカソード組立体表面でも光硬化した。
【0061】
放出材料ペーストは高導電性であったため、ビア開口部11.13およびゲート線間のギャップ11.14で、Crゲート電極への近接により、カソードとアノード間、ゲート線間で電気的短絡となった。図12に、ゲート線12.2間のギャップでの電子放出材料12.1の光硬化を示す(ペーストは、デバイスの上部の全ての部分にわたって印刷されなかった)。ゲートとカソード間およびゲート線間で、数百オームの電気抵抗値が測定された。かかる短絡によって、トライオードデバイスは使用不可なものとなった。
【0062】
対照例Bにおいて、電子放出材料のペーストの堆積を、犠牲レジスト層を用いて行った。図13A〜13Gに、処理シーケンスを示す。前述したように、図13Aに、ガラス基板13.1、ITOカソード電極13.2、第1の誘電体層13.3、第2の誘電体層13.4、Crゲート電極層13.5、ビア13.6および2つのゲート線間のギャップ1.37を示す。ポジ型作用フォトレジスト13.8を、カソード組立体の表面でスピンコートし、乾燥して、Cr表面をコートし、全誘電体ビアを充填した。基板を、UV放射線13.9に、裏側からフロッド露光した。両誘電体層共UV放射線を透過したため、Crゲート層の上部に直接位置するフォトレジストのみが、UV露光からシールドされた。ビア13.10内のこれらをはじめとするフォトレジストの他の全ての領域がUV放射線に露光された。レジスト現像によって、図13Dに13.11で示されるCr層の直接上の領域以外は、全てのレジストが除去された。印刷および乾燥後、電子放出材料13.12の光画像形成可能なペーストを、レジスト表面に堆積し、全てのビアを充填した。試料を、基板の裏側を通して、100mJのUV放射線13.13に露光した。
【0063】
対照例Aに見られるとおり、UV放射線は、両誘電体層を透過し、放出材料ペースト13.14が光硬化した。放出材料ペーストの後の現像およびレジストの除去によって、図13Gに示すとおり、ゲート線間のギャップ13.15、下部13.16および誘電体ビアの側壁13.17のフィルムが得られた。放出材料フィルムが、ゲート層に近接し、その電気伝導性によって、カソードとアノード間およびゲート線間の短絡となった。かかる短絡によってまた、デバイスは使用不可なものとなった。
【0064】
対照例AおよびBでは高コストな整合設備は用いなかったため、放出材料の短絡のない堆積は、UV遮蔽誘電体層を用いないと達成できなかった。
【0065】
本発明の方法および装置の特定の特徴を、かかる様々な特徴と組み合わせて、1つ以上の具体的な実施形態で本明細書に記載した。しかしながら、本発明の範囲は、特定の実施形態の特定の特徴のみの記載に限定されず、本発明にはまた、(1)記載した実施形態の全ての特徴よりも少ないサブコンビネーションであって、サブコンビネーションを形成するのに省かれた特徴がないことを特徴とするサブコンビネーション、(2)記載した実施形態のコンビネーションに別個に含まれる各特徴、および(3)任意で、本明細書に開示された他の特徴と併せて、2つ以上の記載された実施形態から採った選択した特徴のみをグループ化することにより形成された特徴の他のコンビネーションも含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード組立体装置であって、
a)基板に配置されたカソード電極と、
b)カソード電極に配置されたUV遮蔽絶縁誘電体と、
c)誘電体に配置されたゲート電極と、
d)カソード電極を露出するゲート電極および誘電体を通る複数のビアと、
e)ビアに位置する電子電界エミッタと
を含む、上記装置。
【請求項2】
基板が、UV放射に対して透明である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
カソード電極が、UV放射に対して透明である請求項1に記載の装置。
【請求項4】
誘電体が、コバルトを含む請求項1に記載の装置。
【請求項5】
IおよびG線を組み合わせた範囲のUV波長での誘電体の光学密度が、約0.5以上である請求項1に記載の装置。
【請求項6】
カソード電極および電子電界エミッタが、交線としてパターニングされている請求項1に記載の装置。
【請求項7】
電子電界エミッタが、カーボンナノチューブを含む請求項1に記載の装置。
【請求項8】
請求項1に記載のカソード組立体を含む電界放出トライオードデバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のトライオードデバイスを含むフラットパネルディスプレイ、真空電子デバイス、放出ゲート増幅器、クライストロンまたは照明デバイス。
【請求項10】
カソード組立体を組み立てる方法であって、
a)基板を導電性材料の第1の層でコートする工程と、
b)導電性材料の第1の層に、UV遮蔽絶縁誘電体を堆積する工程と、
c)誘電体に、導電性材料の第2の層を堆積する工程と、
d)導電性材料の第2の層および誘電体を通して1つまたはそれ以上のビアを形成して、導電性材料の第1の層を露出する工程と、
e)ビアに、電子放出材料を堆積する工程と
を含む方法。
【請求項11】
誘電体が、コバルトを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
IおよびG線を組み合わせた範囲のUV波長での誘電体の光学密度が、約0.5以上である請求項10に記載の方法。
【請求項13】
カソード組立体を組み立てる方法であって、
a)UV透明基板の第1の側を、UV透明導電性材料の層でコートする工程と、
b)導電性層上に、UV遮蔽絶縁誘電体を堆積する工程と、
c)誘電体上に、導電性材料の最上層を堆積する工程と、
d)UV透明導電性材料の層を露出するために、導電性材料の最上層および誘電体を通して1つ以上のビアを形成する、工程と、
e)導電性材料の最上層およびビア中に、フォトレジスト材料を堆積する工程、
f)フォトレジスト材料に、基板を通して照射する工程と、
g)各ビアにチャネルを形成し、UV透明導電性材料の層を再露出するためにフォトレジスト材料を現像する工程と、
h)フォトレジスト材料上およびビアのチャネル中に、光画像形成可能な電子放出材料を堆積する工程と、
i)放出材料に、基板を通して、照射する工程と、
j)フォトレジスト材料および未硬化の放出材料を除去する工程と
を含む方法。
【請求項14】
誘電体が、コバルトを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
IおよびG線を組み合わせた範囲のUV波長での誘電体の光学密度が、約0.5以上である請求項13に記載の方法。
【請求項1】
カソード組立体装置であって、
a)基板に配置されたカソード電極と、
b)カソード電極に配置されたUV遮蔽絶縁誘電体と、
c)誘電体に配置されたゲート電極と、
d)カソード電極を露出するゲート電極および誘電体を通る複数のビアと、
e)ビアに位置する電子電界エミッタと
を含む、上記装置。
【請求項2】
基板が、UV放射に対して透明である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
カソード電極が、UV放射に対して透明である請求項1に記載の装置。
【請求項4】
誘電体が、コバルトを含む請求項1に記載の装置。
【請求項5】
IおよびG線を組み合わせた範囲のUV波長での誘電体の光学密度が、約0.5以上である請求項1に記載の装置。
【請求項6】
カソード電極および電子電界エミッタが、交線としてパターニングされている請求項1に記載の装置。
【請求項7】
電子電界エミッタが、カーボンナノチューブを含む請求項1に記載の装置。
【請求項8】
請求項1に記載のカソード組立体を含む電界放出トライオードデバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のトライオードデバイスを含むフラットパネルディスプレイ、真空電子デバイス、放出ゲート増幅器、クライストロンまたは照明デバイス。
【請求項10】
カソード組立体を組み立てる方法であって、
a)基板を導電性材料の第1の層でコートする工程と、
b)導電性材料の第1の層に、UV遮蔽絶縁誘電体を堆積する工程と、
c)誘電体に、導電性材料の第2の層を堆積する工程と、
d)導電性材料の第2の層および誘電体を通して1つまたはそれ以上のビアを形成して、導電性材料の第1の層を露出する工程と、
e)ビアに、電子放出材料を堆積する工程と
を含む方法。
【請求項11】
誘電体が、コバルトを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
IおよびG線を組み合わせた範囲のUV波長での誘電体の光学密度が、約0.5以上である請求項10に記載の方法。
【請求項13】
カソード組立体を組み立てる方法であって、
a)UV透明基板の第1の側を、UV透明導電性材料の層でコートする工程と、
b)導電性層上に、UV遮蔽絶縁誘電体を堆積する工程と、
c)誘電体上に、導電性材料の最上層を堆積する工程と、
d)UV透明導電性材料の層を露出するために、導電性材料の最上層および誘電体を通して1つ以上のビアを形成する、工程と、
e)導電性材料の最上層およびビア中に、フォトレジスト材料を堆積する工程、
f)フォトレジスト材料に、基板を通して照射する工程と、
g)各ビアにチャネルを形成し、UV透明導電性材料の層を再露出するためにフォトレジスト材料を現像する工程と、
h)フォトレジスト材料上およびビアのチャネル中に、光画像形成可能な電子放出材料を堆積する工程と、
i)放出材料に、基板を通して、照射する工程と、
j)フォトレジスト材料および未硬化の放出材料を除去する工程と
を含む方法。
【請求項14】
誘電体が、コバルトを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
IおよびG線を組み合わせた範囲のUV波長での誘電体の光学密度が、約0.5以上である請求項13に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3−1】
【図3−2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3−1】
【図3−2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2011−505055(P2011−505055A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535121(P2010−535121)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/084778
【国際公開番号】WO2009/070632
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/084778
【国際公開番号】WO2009/070632
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]