説明

組電池

【課題】接続作業が容易で、かつ、隣り合った単電池の電極端子同士の距離が変化に対応可能な組電池を提供する。
【解決手段】本発明の組電池10は、各々が正負一対の電極端子20A,20Bを有する複数個の単電池11が、電極端子20A,20Bの極性を交互に逆にした状態で電極端子20A,20B同士が隣り合うように並べられ、かつ隣り合った単電池11の逆極性の電極端子20A,20B同士が電気的に接続されて単電池11の直列回路を構成してなる組電池10であって、各電極端子20A,20Bは共に単電池11の本体部12から突出して単電池11の並び方向に撓み変形可能な金属板材料から形成され、負極側の電極端子20Bの先端部には、隣り合う単電池11の正極側の電極端子20Aに重なって接触可能な平坦面部22Bが延設され、正極側の電極端子20Aには、平坦面部22Bを受け入れて挟み付けるバネ部材30が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、ハイブリッド車等には、動力用の電池モジュールが搭載されている。この種の電池モジュールは、主として、複数個の単電池が直列接続されてなる組電池を備える。
【0003】
前記単電池における正負一対の各電極端子は、特許文献1等に示されるように、共に雄ねじが切られた軸状(所謂、ボルト状)の金属部材からなる。これらは、単電池の本体部から突出するように設けられている。なお前記電極端子の根元には、雄ねじ部よりも太い円柱状の基台部が設けられている。
【0004】
隣り合う単電池同士の電気的な接続は、前記電極端子間に、細長い板状の金属部材からなるバスバーを介在させることによって行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このバスバーには、2つの孔が設けられており、隣り合う単電池の前記電極端子がこれらの孔にそれぞれ差し込まれ、かつバスバーが前記電極端子の基台部上に載せられる。バスバーに差し込まれた各電極端子の先端には、ナットをそれぞれ固く締付ける(ナット締めする)ことによって、基台部とバスバーとの接触圧力が確保され、そしてこれらの間の接触抵抗が低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3707595号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようにバスバーを利用して各単電池の電極端子同士を電気的に接続する場合、バスバーの孔に電極端子を差し込む作業、及びその後に接触圧力を確保するために前記電極端子をナット締めする作業は非常に煩わしく、問題となっている。また、このような作業は、自動化し難いことも問題となっている。
【0008】
また、電池モジュールの作動時には充放電に応じて単電池が膨らんで隣り合った単電池の電極端子同士の距離が長くなることがある。ところが、バスバーは板面方向では剛性が極めて高いから容易には延びず、結局、電極端子にこれを倒そうとする方向に働く大きな応力が作用してしまうという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、単電池相互の接続作業が容易で、かつ、隣り合った単電池の電極端子同士の距離が変化する場合でも対応可能な組電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の組電池は、各々が正負一対の電極端子を有する複数個の単電池が、前記電極端子の極性を交互に逆にした状態で前記電極端子同士が隣り合うように並べられ、かつ隣り合った前記単電池の逆極性の前記電極端子同士が電気的に接続されて前記単電池の直列回路を構成してなる組電池であって、前記各電極端子は共に前記単電池の電池本体から突出して前記単電池の並び方向に撓み変形可能な金属板材料から形成され、一方の極性の前記電極端子の先端部には、隣り合う単電池の他方の極性の前記電極端子に重なって接触可能な接続片部が延設され、前記他方の極性の前記電極端子には、前記接続片部を受け入れて挟み付ける挟持バネ部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
上記の組電池では、一方の極性の電極端子の先端部には接続片部が延設され、他方の極性の電極端子には挟持バネ部が設けられているから、挟持バネ部で接続片部を挟み付けるだけで当該電極端子同士を十分な接触圧力を確保しつつ電気的に接続することができる。
【0012】
また、各電極端子が共に単電池の並び方向に撓み変形可能な金属板材料から形成されていることにより、隣り合った単電池の電極端子同士の距離が変動する場合には、各電極端子が共に撓み変形し、電極端子同士の電気的な接続を安定的に維持することができる。
【0013】
前記挟持バネ部は、前記他方の極性の前記電極端子とは別体に形成されるバネ部材が当該電極端子に取り付けられて構成されていることが好ましい。このような構成によれば、電極端子を構成する金属材料とは別に、接続片部を挟み付けるに適切なばね性を有する金属材料をバネ部材に使用することができる。
【0014】
前記挟持バネ部は、一端部に板幅方向に延びるスリットを形成したバネ板材を回曲させてその他端部を前記他方の極性の前記電極端子に固定するとともに、前記他方の極性の前記電極端子の先端側を前記スリットに挿通させてなることが好ましい。このような構成によれば、バネ板材が弾性復帰しようとする弾発力により他方の極性の電極端子の先端側とスリットの内周縁とで一方の極性の電極端子を挟み付けることができる。このため、例えば、他方の極性の電極端子の先端側とスリットの内周縁との間に接続片部を挿入するというワンアクションで電極端子の挟み付けを実現することができ、組電池の組み付け作業の作業性に優れる。
【0015】
前記接続片部は前記単電池の並び方向に沿って延び、前記挟持バネ部には前記並び方向に沿って挿入される前記接続片部を受け入れる挿入口が形成されていることが好ましい。このような構成によれば、単電池を単電池の並び方向に沿って動かすことにより、接続片部を挿入口に挿入することができ、より一層組電池の組み付け作業の作業性に優れる。
【0016】
前記挟持バネ部には、前記電極端子に接続される電圧検知線の先端部を挟持するための補助バネ部が一体に設けられていることが好ましい。このような構成によれば、電圧検知線を接続するための補助バネを挟持バネ部と別に用意する必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0017】
前記電池本体には、前記電極端子の隣り合う単電池との接続側とは反対側に位置して、前記電極端子に沿う絶縁隔壁が突設されていることが好ましい。このような構成によれば、互いに接続されない隣り合う電極端子の間の絶縁を確保することができる。
【0018】
前記絶縁隔壁には、前記単電池の逆極性の前記電極端子間に位置する補助隔壁が一体に設けられていることが好ましい。このような構成によれば、単電池の逆極性の電極端子間の絶縁を確保することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、単電池相互の接続作業が容易で、かつ、隣り合った単電池の電極端子同士の距離が変化する場合でも対応可能な組電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る電池モジュールの斜視図
【図2】一方の単電池の斜視図
【図3】他方の単電池の斜視図
【図4】正極側の電極端子の正面図
【図5】互いに向かい合わせた正極側の電極端子及び負極側の電極端子の側断面図
【図6】正極側の電極端子及び負極側の電極端子の接続状態を示す側断面図
【図7】組電池の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態>
本発明の一実施形態を、図1ないし図7を参照しつつ説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電池モジュールMの斜視図である。本実施形態の電池モジュールMは、電気自動車又はハイブリッド自動車等に搭載され、駆動用の電源として使用される。図1に示されるように、電池モジュールMは、組電池10と、電圧検知ハーネス50とを備える。以下では、単電池11の並び方向を前後方向(手前側を前方とし、奥側を後方とする)とし、図6の上方を上方、下方を下方として説明する。
【0022】
組電池10は、複数個の単電池11が一列に並べられたものからなり、各単電池11が互いに直列接続されている。本実施形態の組電池10には、合計24個の単電池11が利用されている。単電池11としては、後述するように電極端子20の延出方向が互いに異なっている2種類の単電池11A,11Bがある。
【0023】
図2は、一方の単電池11Aの斜視図である。図2に示されるように、単電池11Aは、扁平な直方体状の本体部12(特許請求の範囲に記載の電池本体に相当)と、この本体部12の上端面から上方に向けて突出した正負一対の電極端子20(20A,20B)とを備える。なお、図2に示される単電池11Aの場合、一対の電極端子20のうち、手前側にある一方の電極端子20Aが正極であり、奥側にある他方の電極端子20Bが負極である。
【0024】
本体部12は、その内部に例えば周知のリチウムイオン電池を構成する電池要素(不図示)を含んでおり、その電池要素の正極側が前記電極端子20A,負極側が前記電極端子20Bに連なっている。
【0025】
正極側の電極端子20Aと、負極側の電極端子20Bとは、共に単電池11の並び方向に撓み変形可能な薄板状の金属板材料から形成されている。図2に示されるように、正極側の電極端子20Aは、その本体部12の上端面から立ち上がり部21Aが上方に向かって突出し、上部でL字型に折れ曲がって手前側(前側)に向かう平坦面部22Aが形成され、さらにその先端に先上がりに傾斜する操作部23が形成されている。これに対して、負極側の電極端子20Bは、単電池11の本体部12の上端面から立ち上がり部21Bが、正極側の電極端子20Aと同様、上方に向かって突出し、それよりも先側の部分は、正極側の電極端子20Aとは逆に奥側(後側)に向かってL型に折れ曲がって平坦面部(特許請求の範囲に記載の接続片部に相当)22Bが形成されている。この負極側の電極端子20Bの平坦面部22Bは、隣り合う単電池11の正極側の電極端子20Aと接続するための接続片部として機能する。この負極側の電極端子20Bの平坦面部22Bは、図5に示すように、正極側の電極端子20Aと上下に重ならせるために、電極端子20Aの平坦面部22Aよりも下に位置するようにL型の曲げ位置が設定されている。
【0026】
なお、図2に示すように、単電池11の本体部12の上面には絶縁隔壁15が立設されている。この絶縁隔壁15は、電極端子20Bの手前側(前側)に位置して、電極端子20Bの横幅よりも広く設定され、隣り合う単電池11の異極性の電極端子20Aとの間に導電部材が落ち込んで短絡が発生することを防止している。また、絶縁隔壁15には、同じ単電池11の他方の電極端子20Bとの間に位置して補助隔壁16が一体に設けられており、絶縁隔壁15からL字型に連なって電極端子20Bとの間を絶縁できるようにしている。
【0027】
さて、正極側の電極端子20Aにおける平坦面部22Aには、負極側の電極端子20Bの平坦面部22Bを受け入れて挟み付ける挟持バネ部として機能するバネ部材30が取り付けられている。
【0028】
バネ部材(特許請求の範囲に記載の挟持バネ部に相当)30は、正極側の電極端子20Aとは別体の例えばステンレス鋼等のばね性に優れた金属板材をプレス加工して形成されている。これは、図4に示すように、金属板材の一端部に板幅方向に延びるスリット31を形成し、当該金属板材の他端部がスリット31側に向かうように回曲させて形成したものである。バネ部材30のスリット31には、正極側の電極端子20Aの操作部23が貫通されており、正極側の電極端子20Aの平坦面部22Aとバネ部材30のスリット31の下側の内周縁との間に、単電池11の並び方向(前後方向)に沿って負極側の電極端子20Bの平坦面部22Bを受け入れる挿入口32が形成されている。挿入口32に負極側の電極端子20Bの平坦面部22Bが挿入されると、バネ部材30の弾発力により、正極側の電極端子20Aの平坦面部22Aが本体部12側(下側)に押さえつけられ、負極側の電極端子20Bの平坦面部22Bの上面に圧接される。なお、バネ部材30には、正極側の電極端子20Aに接続される電圧検知線51の先端部を挟持するための補助バネ部40が一体に設けられている。
【0029】
補助バネ部40は、図4に示すように、挟持バネ部の構成を幅方向に小さくしたような構成をなし、具体的には、正極側の電極端子20Aの操作部23と並んで設けられた補助操作部41を、バネ部材30に設けられた補助スリット42に貫通させてなる。補助バネ部40には、正極側の電極端子20Aの補助操作部41とバネ部材30の補助スリット42の下側の内周縁との間に、電圧検知線51の先端部を受け入れる補助挿入口43が形成されている。なお、補助挿入口43が開くのに連動して挿入口32が開くことがないよう、また、逆に挿入口32が開くのに連動して補助挿入口43が開くことがないよう、スリット31と補助スリット42の間を切り欠いて、挟持バネ部と補助バネ部40とが隔てられている。
【0030】
図3は、他方の単電池11(11B)の斜視図である。この単電池11Bの基本的な構成は、上述した単電池11Aと同様である。つまり、単電池11Bは、本体部12と、正負一対の電極端子20(20A,20B)とを備える。ただし、この単電池11Bと、上述した単電池11Aとでは、各電極端子20A、20Bの平坦面部22A,22BがL型に折れ曲がる向きが、逆になっている。
【0031】
組電池10のうち最も手前側にある単電池11Bの電極端子20Aには、図7に示されるように、一方の電力用バスバー13A(13)が接続される。また、組電池10のうち最も奥側にある単電池11Aの電極端子20Bには、図7に示されるように、他方の電力用バスバー13B(13)が接続される。組電池10は、これらの電力用バスバー13(13A,13B)又は電線を利用して、外部の負荷(不図示)と接続している。
【0032】
電圧検知ハーネス50は、図1に示されるように、複数の電圧検知線51をケース52に配線してなる。
電圧検知線51は、補助バネ部40に挟み付けられる金属板片からなる先端部と、先端部に連なる芯線(導体)が絶縁層で覆われた電線とで構成されている。電圧検知線51は、先端部と正極側の電極端子20Aが電気的に接続されるとともに、電線がケース52に配線されて、図示しない電池ECUに接続される。この電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、単電池11の電圧・電流・温度等の検知、各単電池11の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0033】
ケース52は、合成樹脂製の複数(本実施形態では12個)のケースユニットを単電池11の並び方向に接続してなり、絶縁隔壁15に係止されている。各ケースユニットには、前端に係止片を受け入れる受け部が設けられるとともに後端に当該受け部に係止される係止片が設けられており、横並びに配列されたケースユニットの受け部と係止片とを次々に連結することでケース52が形成されている。
【0034】
次に、電池モジュールMの組み付け方法について説明する。本実施形態では、図1に示すように、24個の単電池11を直列接続する場合について説明する。
まず、2種類の単電池11(11A,11B)を、電極端子20A,20Bの極性を交互に逆にした状態で同一平面上に横並びにする。このとき、図5に示すように、単電池11Aの電極端子20Aと単電池11Bの電極端子20Bとが対向する状態となる。
【0035】
次に、単電池11Aと単電池11Bとを単電池11の並び方向(前後方向)に近づける。この時、負極側の電極端子20Bの平坦面部22Bと正極側の電極端子20Aの挿入口32とは位置がほぼ整合しており、平坦面部22Bは電極端子20Aの操作部23にガイドされて挿入口32に誘い込まれる。挿入口32は、バネ部材30に外力がかからない状態では、バネ部材30の弾発力により閉じた状態とされているが、負極側の電極端子20Bが正極側の電極端子20Aに及ぼす応力により、バネ部材30が弾性変形するとともに挿入口32が開き、平坦面部22Bを収容可能となる。
【0036】
さらに、単電池11Aの本体部12と単電池11Bの本体部12とが互いに接する位置まで、平坦面部22Bを挿入口32に挿入する。すると、バネ部材30が弾性復帰し、負極側の電極端子20Bの平坦面部22Bと正極側の電極端子20Aの平坦面部22Aとがバネ部材30の弾発力により圧接される。これにより、正極側の電極端子20Aに設けられた挟持バネ部に負極側の電極端子20Bの平坦面部22Bが挟み付けられた状態となり、一対の単電池11A,11Bの組み付けが完了する。
【0037】
このような作業を繰り返し、24個の単電池11(11A,11B)を次々と組み付け、組電池10の組み付けが完了する。
【0038】
次に、ケース52に配線された、電圧検知線51の先端部を補助バネ部40に挟持させることにより、電池モジュールMの組み付けが完了する。
【0039】
上記実施形態の構成によれば、以下の効果を奏する。
(1)負極側の電極端子20Bの先端には平坦面部22Bが延設され、正極側の電極端子20Aにはバネ部材30が設けられているから、バネ部材30で平坦面部22Bを挟み付けるだけで電極端子20A,20B同士を十分な接触圧力を確保しつつ電気的に接続することができる。具体的には、電極端子をバスバー等にナット締めする等の作業しなくても、バネ部材30の弾発力により電極端子20A,20Bを圧接することができる。
【0040】
(2)また、各電極端子20A,20Bが共に単電池11の並び方向に撓み変形可能な金属板材料から形成されていることにより、隣り合った単電池11の電極端子20A,20B同士の距離が変動する場合には、各電極端子20A,20Bが共に撓み変形し、電極端子20A,20B同士の電気的な接続を安定的に維持することができる。具体的には、仮に、電極端子20A,20Bが撓み変形しない場合には、単電池11の膨張等により隣り合った単電池11の電極端子20A,20Bの距離が大きくなるときには、負極側の電極端子20Bの平坦面部22Bの挿入口32への挿入深さが浅くなったり、さらには平坦面部22Bが挿入口32から外れたりする虞がある。一方、本実施形態では、そのような虞がなく、隣り合った単電池11の電極端子20A,20B同士の距離の変動を、電極端子20A,20Bの撓み変形により吸収することができる。
さらに、組み付け時には、平坦面部22Bの挿入口32への挿入深さを調整することで、単電池11の寸法公差や、組み付け公差を吸収することができる。
【0041】
(3)バネ部材30は、正極側の電極端子20Aとは別体に形成されるから、電極端子20Aを構成する金属材料とは別に、負極側の電極端子20Bを挟み付けるに適切なばね性を有する金属材料をバネ部材30に使用することができる。
【0042】
(4)正極側の電極端子20Aの平坦面部22Aは、バネ部材30の弾発力によりスリット31の内周縁との間に負極側の電極端子20Aの平坦面部22Bを挟み付けることができる。このため、挿入口32に平坦面部22Aを挿入するというワンアクションで平坦面部22Aの挟み付けを実現することができ、組電池10の組み付け作業の作業性に優れる。さらには、組付け作業の自動化が容易である。
【0043】
(5)負極側の電極端子20Bの平坦面部22Bは、単電池11の並び方向(前後方向)に沿って延び、挿入口32は、前記並び方向(前後方向)に沿って挿入される平坦面部22Bを受け入れる構成とされている。このため、例えば、単電池11を水平方向に沿って移動することにより、平坦面部22Bを挿入口32に挿入することができ、より一層組電池10の組み付け作業の作業性に優れる。具体的には、水平面を有する作業台等に各単電池11を載置した状態で、組電池10の組み付け作業を行うことが可能となる。さらには、組付け作業の自動化が容易である。
【0044】
(6)バネ部材30には、電圧検知線51の先端部を挟持するための補助バネ部40が一体に設けられているから、補助バネ部40を挟持バネ部と別に用意する必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0045】
(7)本体部12には、負極側の電極端子20Bに沿う絶縁隔壁15が突設されているから、互いに接続されない隣り合う電極端子20A,20Bの間の絶縁を確保することができる。
【0046】
(8)絶縁隔壁15には、単電池11の逆極性の電極端子20A,20B間に位置する補助隔壁16が一体に設けられているから、単電池11の逆極性の電極端子20A,20B間の絶縁を確保することができる。
【0047】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0048】
(1)上記実施形態では、1個の単電池における正極側の電極端子と、負極側の電極端子とが、互いに異なる構造(形状)を有していたが、他の実施形態においては、例えば、1個の単電池における正極側の電極端子と、負極側の電極端子とが、共に同じ構造(形状)であってもよい。したがって、一方の形状を有する両電極端子(例えば、電極端子20Aのような形状)を備えた単電池と、相手側となる他方の形状を有する両電極端子(例えば、電極端子20Bのような形状)を備えた単電池とを、交互に並べて隣接する単電池間の正負一対の電極端子同士を繋いだものを組電池としてもよい。
【0049】
(2)上記実施形態では、単電池の電極端子は、立ち上がり部と平坦面部(接続片部)との間で折れ曲がった形状であったが、他の実施形態においては、隣接する単電池における相手側の電極端子と接続可能であれば、例えば、接続片部が単電池の並び方向と直交する方向(上方)に延設されていてもよい。
【0050】
(3)上記実施形態では、組電池の組み付け方法は、単に単電池同士を近づける方向に移動するものとしたが、例えば、組付治具をもちいて挿入口32を開くとともに、負極側の電極端子20Bの平坦面部22Bを挿入口32に挿入させるものとしてもよい。この場合には、弾発力の高いバネ部材を用いた場合であっても、容易に組付け作業を行うことができる。
【0051】
(4)上記実施形態では、電圧検知線51と補助バネ部40を接続する構成としたが、他の実施形態においては、例えば、線状の導体(導線)を絶縁層で被覆した所謂、被覆電線等からなる電圧検知線51を公知の手段により電極端子に接続してもよい。
【符号の説明】
【0052】
M…電池モジュール
10…組電池
11…単電池
12…本体部(電池本体)
15…絶縁隔壁
16…補助隔壁
20…電極端子
20A…正極側の電極端子
20B…負極側の電極端子
21A…正極側の立ち上がり部
21B…負極側の立ち上がり部
22A…正極側の平坦面部
22B…負極側の平坦面部(接続片部)
23…操作部
30…バネ部材(挟持バネ部)
31…スリット
32…挿入口
40…補助バネ部
51…電圧検知線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が正負一対の電極端子を有する複数個の単電池が、前記電極端子の極性を交互に逆にした状態で前記電極端子同士が隣り合うように並べられ、かつ隣り合った前記単電池の逆極性の前記電極端子同士が電気的に接続されて前記単電池の直列回路を構成してなる組電池であって、
前記各電極端子は共に前記単電池の電池本体から突出して前記単電池の並び方向に撓み変形可能な金属板材料から形成され、一方の極性の前記電極端子の先端部には、隣り合う単電池の他方の極性の前記電極端子に重なって接触可能な接続片部が延設され、前記他方の極性の前記電極端子には、前記接続片部を受け入れて挟み付ける挟持バネ部が設けられていることを特徴とする組電池。
【請求項2】
前記挟持バネ部は、前記他方の極性の前記電極端子とは別体に形成されるバネ部材が当該電極端子に取り付けられて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記挟持バネ部は、一端部に板幅方向に延びるスリットを形成したバネ板材を回曲させてその他端部を前記他方の極性の前記電極端子に固定するとともに、前記他方の極性の前記電極端子の先端側を前記スリットに挿通させてなる構成である請求項2記載の組電池。
【請求項4】
前記接続片部は前記単電池の並び方向に沿って延び、前記挟持バネ部には前記並び方向に沿って挿入される前記接続片部を受け入れる挿入口が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の組電池。
【請求項5】
前記挟持バネ部には、前記電極端子に接続される電圧検知線の先端部を挟持するための補助バネ部が一体に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の組電池。
【請求項6】
前記電池本体には、前記電極端子の隣り合う単電池との接続側とは反対側に位置して、前記電極端子に沿う絶縁隔壁が突設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の組電池。
【請求項7】
前記絶縁隔壁には、前記単電池の逆極性の前記電極端子間に位置する補助隔壁が一体に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−186059(P2012−186059A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48999(P2011−48999)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】