説明

経路探索装置、経路探索方法及びコンピュータプログラム

【課題】センタとの間の通信処理、通信時間及び通信費用等を減少させることを可能とした経路探索装置、経路探索方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】VICSセンタ5から基本渋滞情報を取得し(S2)、取得した基本渋滞情報に基づいて目的地までの経路を探索する第1経路探索処理を行い(S3)、第1経路探索処理によって特定された第1走行経路に基づいてプローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要がるか否かを判定し(S4〜S6)、必要が無いと判定された場合には第1走行経路を案内経路とし(S9)、一方、必要があると判定された場合にプローブセンタ4からセンタ交通情報として追加渋滞情報を取得し(S7)、取得した追加渋滞情報に基づいて再び経路を探索する第2経路探索処理を行い(S8)、第2経路探索処理によって特定された第2走行経路を案内経路とする(S9)ように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地から設定された目的地までの経路を探索する経路探索装置、経路探索方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置には、所望する目的地を設定すると、出発地(例えば自車の現在位置)から設定された目的地までの最適経路を探索する経路探索機能を備えており、ディスプレイ画面に案内経路を表示するとともに、交差点に接近した場合等には音声による案内をすることによって、運転者を所望の目的地まで確実に案内するようになっている。また、近年は携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。
【0003】
そして、上記ナビゲーション装置等において、出発地から設定された目的地までの最適経路を探索する際には、道路の渋滞について考慮することが行われている。具体的には、渋滞している道路を避け、空いている道路を優先的に走行させる為に、例えば、渋滞している道路については探索コストを上げ、空いている道路については探索コストを下げて経路探索することが行われている。
【0004】
ここで、道路の渋滞に関する渋滞情報をナビゲーション装置等が取得する手段としては、道路交通情報通信システム(VICS:登録商標)から供給される渋滞情報を取得する手段や、センタ交通情報を配信するセンタ(例えばプローブセンタ)からセンタ交通情報として渋滞情報を取得する手段がある。
【0005】
尚、VICSは、道路上に設置している感知器より路上を走行する車両を検出し、その検出結果を情報収集センタ(以下、VICSセンタという)が収集して交通情報(以下、VICS情報という)を作成し、カーナビゲーション装置等の端末へ提供するシステムである。しかし、上記VICSでは感知器が設置された主要な道路のみのVICS情報しか作成することができず、情報提供される対象道路の範囲が狭いという課題がある。
【0006】
一方で、センタ交通情報を配信するプローブセンタ等は、上記VICSのように情報収集範囲が限定されず、極めて広い範囲からリアルタイムでデータを集めることができるという利点がある。
【0007】
そこで、従来ではVICSから供給される渋滞情報と、プローブセンタ等から取得する渋滞情報とを併用して用いることが提案されている。例えば特開2003−149556号公報では、先ず、VICSから供給された渋滞情報に基づいて案内経路上に渋滞区間があるか否か判定し、案内経路上に渋滞区間があると判定された場合にプローブセンタからより詳細な交通情報を取得することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−149556号公報(第3頁、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、センタ交通情報を配信するプローブセンタ等からセンタ交通情報を取得する処理は、センタと車両との間で送受信される通信データ量が多いことから、通信処理の処理負担増、通信時間や通信費用の増大が問題となっていた。また、プローブセンタ等からセンタ交通情報として渋滞情報を取得し、経路の探索を行った場合であっても、VICSから取得した渋滞情報のみに基づいて経路の探索を行った場合と結果的に同一の経路が探索される場合がある。そのような場合においても、上記特許文献1のようにプローブセンタ等からセンタ交通情報を取得する構成とすると、通信処理、通信時間及び通信費用等が結果的に無駄なものとなる虞がある。
【0010】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、センタからセンタ交通情報を取得する必要があると判定された場合に、センタからセンタ交通情報を取得し、取得したセンタ交通情報を用いて経路の探索を行うので、結果的に不要となるセンタとの通信を予め削減することが可能となり、センタとの間の通信処理、通信時間及び通信費用等を減少させることを可能とした経路探索装置、経路探索方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る経路探索装置(1)は、センタ交通情報を配信するセンタ(4)を介することなく特定リンクの渋滞情報である基本渋滞情報を取得する基本渋滞情報取得手段(41)と、目的地を設定する目的地設定手段(42)と、前記基本渋滞情報取得手段により取得した前記基本渋滞情報を用いて、出発地から前記目的地設定手段により設定された目的地までの経路を探索し、探索結果に基づいて第1走行経路を特定する第1経路探索手段(43)と、前記第1経路探索手段により特定された前記第1走行経路に基づいて、前記センタから前記センタ交通情報を取得する必要があるか否か判定する情報判定手段(44)と、前記情報判定手段によって前記センタから前記センタ交通情報を取得する必要があると判定された場合に、前記センタから前記センタ交通情報として前記特定リンク以外のリンクを含むリンクの渋滞情報である追加渋滞情報を取得する追加渋滞情報取得手段(45)と、前記追加渋滞情報取得手段により取得した前記追加渋滞情報を用いて、出発地から前記目的地設定手段により設定された目的地までの経路を探索する第2経路探索手段(46)と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に係る経路探索装置(1)は、請求項1に記載の経路探索装置であって、前記第1走行経路に前記特定リンク以外のリンクが含まれているか否かを判定するリンク判定手段(47)を有し、前記情報判定手段(44)は、前記リンク判定手段によって前記第1走行経路に前記特定リンク以外のリンクが含まれていないと判定された場合に、前記センタ(4)から前記センタ交通情報を取得する必要がないと判定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に係る経路探索装置(1)は、請求項2に記載の経路探索装置であって、前記リンク判定手段(47)によって前記第1走行経路に前記特定リンク以外のリンクが含まれていると判定された場合に、該特定リンク以外のリンクについては渋滞しているリンクと仮定して出発地から前記目的地設定手段(42)により設定された目的地までの経路を探索し、探索結果に基づいて第3走行経路を特定する第3経路探索手段(48)と、前記第1走行経路と前記第3走行経路とが一致したか否かを判定する経路一致判定手段(49)と、を有し、前記情報判定手段は、前記第1走行経路と前記第3走行経路とが一致しないと判定された場合に、前記センタ(4)から前記センタ交通情報を取得する必要があると判定することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に係る経路探索装置(1)は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の経路探索装置であって、前記基本渋滞情報取得手段(41)は、道路交通情報通信システムから供給される渋滞情報を前記基本渋滞情報として取得し、前記追加渋滞情報取得手段(45)は、プローブ情報として収集して統計された渋滞情報を前記追加渋滞情報として取得することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に係る経路探索装置(1)は、外部から特定リンクの渋滞情報である基本渋滞情報を取得する基本渋滞情報取得手段と、前記特定リンク以外のリンクを含むリンクの渋滞情報である追加渋滞情報を格納する記憶手段(41)と、目的地を設定する目的地設定手段(43)と、前記基本渋滞情報取得手段により取得した前記基本渋滞情報を用いて、出発地から前記目的地設定手段により設定された目的地までの経路を探索し、探索結果に基づいて第1走行経路を特定する第1経路探索手段(43)と、前記第1経路探索手段により特定された前記第1走行経路に基づいて、前記記憶手段に格納されている追加渋滞情報を取得する必要があるか否か判定する情報判定手段(44)と、前記情報判定手段によって前記記憶手段に格納されている追加渋滞情報を取得する必要があると判定された場合に、前記記憶手段から前記追加渋滞情報を取得する追加渋滞情報取得手段(45)と、前記追加渋滞情報取得手段により取得した前記追加渋滞情報を用いて、出発地から前記目的地設定手段により設定された目的地までの経路を探索する第2経路探索手段(46)と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に係る経路探索装置(1)は、請求項5に記載の経路探索装置であって、前記第1走行経路に前記特定リンク以外のリンクが含まれているか否かを判定するリンク判定手段(47)を有し、前記情報判定手段(44)は、前記リンク判定手段によって前記第1走行経路に前記特定リンク以外のリンクが含まれていないと判定された場合に、前記記憶手段から前記追加渋滞情報を取得する必要がないと判定することを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に係る経路探索装置(1)は、請求項6に記載の経路探索装置であって、前記リンク判定手段(47)によって前記第1走行経路に前記特定リンク以外のリンクが含まれていると判定された場合に、該特定リンク以外のリンクについては渋滞しているリンクと仮定して出発地から前記目的地設定手段(42)により設定された目的地までの経路を探索し、探索結果に基づいて第3走行経路を特定する第3経路探索手段(48)と、前記第1走行経路と前記第3走行経路とが一致したか否かを判定する経路一致判定手段(49)と、を有し、前記情報判定手段は、前記第1走行経路と前記第3走行経路とが一致しないと判定された場合に、前記記憶手段から前記追加渋滞情報を取得する必要があると判定することを特徴とする。
【0018】
また、請求項8に係る経路探索装置(1)は、請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の経路探索装置であって、前記基本渋滞情報取得手段(41)は、道路交通情報通信システム(VICS:登録商標)から供給される渋滞情報を前記基本渋滞情報として取得し、前記追加渋滞情報取得手段(45)は、前記記憶手段に格納されている渋滞情報を前記追加渋滞情報として取得することを特徴とする。
【0019】
また、請求項9に係る経路探索方法は、センタ交通情報を配信するセンタ(4)を介することなく特定リンクの渋滞情報である基本渋滞情報を取得する基本渋滞情報取得ステップと、目的地を設定する目的地設定ステップと、前記基本渋滞情報取得ステップにより取得した前記基本渋滞情報を用いて、出発地から前記目的地設定ステップにより設定された目的地までの経路を探索し、探索結果に基づいて第1走行経路を特定する第1経路探索ステップと、前記第1経路探索ステップにより特定された前記第1走行経路に基づいて、前記センタから前記センタ交通情報を取得する必要があるか否か判定する情報判定ステップと、前記情報判定ステップによって前記センタから前記センタ交通情報を取得する必要があると判定された場合に、前記センタから前記センタ交通情報として前記特定リンク以外のリンクを含むリンクの渋滞情報である追加渋滞情報を取得する追加渋滞情報取得ステップと、前記追加渋滞情報取得ステップにより取得した前記追加渋滞情報を用いて、出発地から前記目的地設定ステップにより設定された目的地までの経路を探索する第2経路探索ステップと、を有することを特徴とする。
【0020】
更に、請求項10に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、センタ交通情報を配信するセンタ(4)を介することなく特定リンクの渋滞情報である基本渋滞情報を取得する基本渋滞情報取得機能と、目的地を設定する目的地設定機能と、前記基本渋滞情報取得機能により取得した前記基本渋滞情報を用いて、出発地から前記目的地設定機能により設定された目的地までの経路を探索し、探索結果に基づいて第1走行経路を特定する第1経路探索機能と、前記第1経路探索機能により特定された前記第1走行経路に基づいて、前記センタから前記センタ交通情報を取得する必要があるか否か判定する情報判定機能と、前記情報判定機能によって前記センタから前記センタ交通情報を取得する必要があると判定された場合に、前記センタから前記センタ交通情報として前記特定リンク以外のリンクを含むリンクの渋滞情報である追加渋滞情報を取得する追加渋滞情報取得機能と、前記追加渋滞情報取得機能により取得した前記追加渋滞情報を用いて、出発地から前記目的地設定機能により設定された目的地までの経路を探索する第2経路探索機能と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
前記構成を有する請求項1に記載の経路探索装置によれば、センタからセンタ交通情報を取得する必要があると判定された場合に、センタからセンタ交通情報を取得し、取得したセンタ交通情報を用いて経路の探索を行うので、結果的に不要となるセンタとの通信を予め削減することが可能となる。従って、センタとの間の通信処理、通信時間及び通信費用等を減少させることが可能となる。
【0022】
また、請求項2に記載の経路探索装置によれば、センタからセンタ交通情報を取得する必要がない場合について適切に判定することが可能となる。即ち、センタ交通情報として取得する渋滞情報が経路探索時のリンクコストを下降させる情報ではないので、第1走行経路に特定リンク以外のリンクが含まれていない場合には、センタ交通情報を取得したとしても結果的に同一の経路が目的地までの推奨経路となる(即ち、第1走行経路と第2走行経路は同一となる)と推定でき、センタからセンタ交通情報を取得する必要がないと適切に判定することができる。従って、結果的に不要となるセンタとの通信を予め削減することが可能となる。
【0023】
また、請求項3に記載の経路探索装置によれば、センタからセンタ交通情報を取得する必要がある場合について適切に判定することが可能となる。即ち、第1走行経路を最も避けるべき渋滞状況であると仮定して検索された第3走行経路が第1走行経路と一致しない場合には、センタ交通情報を取得した結果、異なる経路が目的地までの推奨経路となる(即ち、第1走行経路と第2走行経路が異なる)可能性があると推定でき、センタからセンタ交通情報を取得する必要があると適切に判定することができる。従って、結果的に不要となるセンタとの通信を予め削減することが可能となる。
【0024】
また、請求項4に記載の経路探索装置によれば、道路交通情報通信システムから供給される渋滞情報と、センタにおいてプローブ情報として収集して統計された渋滞情報とをそれぞれ用いて適切な経路探索処理を実行することを可能にしつつも、センタとの間の通信処理、通信時間及び通信費用等を減少させることが可能となる。
【0025】
また、請求項5に記載の経路探索装置によれば、経路探索装置が単独で経路探索する場合に、記憶手段に記憶された渋滞情報を取得する必要があると判定された場合に、記憶手段から渋滞情報を取得し、取得した渋滞情報を用いて経路の探索を行うので、記憶手段に記憶された渋滞情報の読み込みに係るCPUの処理負荷の低減や探索時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0026】
また、請求項6に記載の経路探索装置によれば、記憶手段に記憶された渋滞情報を取得する必要がない場合について適切に判定することが可能となる。即ち、記憶手段に記憶された渋滞情報が経路探索時のリンクコストを下降させる情報ではないので、第1走行経路に特定リンク以外のリンクが含まれていない場合には、記憶手段から渋滞情報を取得したとしても結果的に同一の経路が目的地までの推奨経路となる(即ち、第1走行経路と第2走行経路は同一となる)と推定でき、記憶手段から渋滞情報を取得する必要がないと適切に判定することができる。従って、結果的に不要となる記憶手段に記憶された渋滞情報の読み込みを予め削減することが可能となる。
【0027】
また、請求項7に記載の経路探索装置によれば、記憶手段に記憶された渋滞情報を取得する必要がある場合について適切に判定することが可能となる。即ち、第1走行経路を最も避けるべき渋滞状況であると仮定して検索された第3走行経路が第1走行経路と一致しない場合には、センタ交通情報を取得した結果、異なる経路が目的地までの推奨経路となる(即ち、第1走行経路と第2走行経路が異なる)可能性があると推定でき、記憶手段から渋滞情報を取得する必要があると適切に判定することができる。従って、結果的に不要となる記憶手段に記憶された渋滞情報の読み込みを予め削減することが可能となる。
【0028】
また、請求項8に記載の経路探索装置によれば、道路交通情報通信システムから供給される渋滞情報と、記憶手段に記憶された渋滞情報とをそれぞれ用いて適切な経路探索処理を実行することを可能にしつつも、記憶手段に記憶された渋滞情報の読み込みに係るCPUの処理負荷の低減や探索時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0029】
また、請求項9に記載の経路探索方法によれば、センタからセンタ交通情報を取得する必要があると判定された場合に、センタからセンタ交通情報を取得し、取得したセンタ交通情報を用いて経路の探索を行うので、結果的に不要となるセンタとの通信を予め削減することが可能となる。従って、センタとの間の通信処理、通信時間及び通信費用等を減少させることが可能となる。
【0030】
更に、請求項10に記載のコンピュータプログラムによれば、センタからセンタ交通情報を取得する必要があると判定された場合に、センタからセンタ交通情報を取得させ、取得したセンタ交通情報を用いて経路の探索を行わせるので、結果的に不要となるセンタとの通信を予め削減することが可能となる。従って、センタとの間の通信処理、通信時間及び通信費用等を減少させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態に係る経路探索システムを示した概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る経路探索システムの構成を示したブロック図である。
【図3】渋滞度の判定基準の一例を示した図である。
【図4】センタ交通情報の一例を示した図である。
【図5】VICS情報の一例を示した図である。
【図6】本実施形態に係るナビゲーション装置の制御系を模式的に示すブロック図である。
【図7】ナビゲーションECUの構成を示した図である。
【図8】本実施形態に係る経路探索処理プログラムのフローチャートである。
【図9】プローブセンタからセンタ交通情報を取得する必要があると判定される例を示した図である。
【図10】プローブセンタからセンタ交通情報を取得する必要がないと判定される例を示した図である。
【図11】プローブセンタからセンタ交通情報を取得する必要があると判定される例を示した図である。
【図12】プローブセンタからセンタ交通情報を取得する必要がないと判定される例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る経路探索装置についてナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1を含む経路探索システム2の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施形態に係る経路探索システム2を示した概略構成図である。図2は本実施形態に係る経路探索システム2の構成を示したブロック図である。
【0033】
図1に示すように、本実施形態に係る経路探索システム2は、ナビゲーション装置1を搭載した各車両3と、各車両3からプローブ情報を収集し、収集したプローブ情報に基づく交通情報の作成・配信を行うプローブセンタ4と、道路交通情報通信システム(VICS:登録商標)情報の作成・配信を行うVICSセンタ5とから基本的に構成されている。
【0034】
車両3は全国の各道路を走行する車両であり、プローブカーとして後述のプローブセンタ4とともにプローブカーシステムを構成する。ここで、プローブカーシステムとは、車両をセンサとして情報を収集するシステムである。具体的には、車両が現在時刻とともに、現在位置、車速、ステアリング操作やシフト位置等の各システムの作動状況等を予め車両に搭載された携帯電話機等の車両用の通信モジュール6を介してプローブセンタ4に送信し、センタ側でその収集データを様々な情報として再利用するシステムをいう。
【0035】
また、プローブセンタ4は、全国各地を走行する各車両3から送信された現在時刻や走行情報等を含むプローブ情報を収集して蓄積するとともに、蓄積されたプローブ情報から渋滞情報等の交通情報を生成し、生成された交通情報をセンタ交通情報として車両3に対して配信する交通情報配信センタである。また、プローブセンタ4は、VICSセンタ5からVICS情報についても専用回線を介して取得し、必要に応じてプローブ情報に基づいて生成された交通情報とともにセンタ交通情報として車両3に配信する。
【0036】
ここで、本実施形態に係る経路探索システム2おいて車両3が取得し、プローブセンタ4に対して送信するプローブ情報としては、特に、車両3が走行するリンクのリンク番号とそのリンクを走行する車両の車速に関する情報が含まれる。そして、プローブセンタ4は車両3から送信されたリンク番号及び車速に基づいて、リンク毎の車両の平均車速を算出し、後述のように閾値(例えば、一般道路であれば10km、20km)に基づいて各リンクの渋滞度を検出する。そして、検出した各リンクの渋滞度をセンタ交通情報として車両3に対して配信する。
【0037】
一方、VICSセンタ5は、路上に設置された感知器を用いて、路上を走行する車両3を検出した検出結果や特定の機関(例えば警察庁)等から提供された情報を収集するとともに、その検出結果や提供情報に基づいて交通情報であるVICS情報を生成し、生成したVICS情報をFM多重放送、光ビーコン、電波ビーコン等により車両3提供する情報提供センタである。また、VICS情報は専用回線を介してプローブセンタ4にも提供される。尚、提供されるVICS情報としては、渋滞情報(渋滞度及び渋滞長)の他に、規制情報、駐車場情報、サービスエリア情報、パーキングエリア情報等がある。尚、渋滞度を生成する際には、プローブセンタ4と同様にリンク毎の車両の平均車速を算出し、閾値に基づいて各リンクの渋滞度を検出する。尚、VICSセンタ5による渋滞度の検出方法としては他の方法を用いても良い。例えば、道路を走行する車両の台数や密度等を用いて検出しても良い。
【0038】
また、車両3にはナビゲーション装置1が設置されている。ナビゲーション装置1は格納する地図データに基づいて自車位置周辺の地図を表示したり、設定された目的地までの経路の探索及び案内を行う車載機である。また、ナビゲーション装置1はプローブセンタ4から受信したセンタ交通情報やVICSセンタ5から受信したVICS情報を利用者に対して案内することも行う。更に、経路の探索を行う際には、プローブセンタ4から受信したセンタ交通情報やVICSセンタ5から受信したVICS情報に含まれる渋滞情報を用いて経路の探索を行う。尚、ナビゲーション装置1の詳細については後述する。
【0039】
次に、図2を用いてプローブセンタ4についてより詳細に説明する。プローブセンタ4は、図2に示すようにサーバ11と、サーバ11に接続された情報記録手段としてのプローブ情報DB12と、交通情報DB13と、センタ通信装置14とから基本的に構成されている。
【0040】
サーバ11は、プローブセンタ4の全体の制御を行う制御装置であり、CPU、RAM、ROM等から構成される。そして、車両3から収集したプローブ情報を統計処理することによって各リンクに対する渋滞度を検出する渋滞度演算処理、リンクの渋滞度を含む各種交通情報を作成し、車両3に対して配信する交通情報配信処理等を実行する。
【0041】
また、プローブ情報DB12は、全国を走行する各車両3から収集したプローブ情報を累積的に記憶する記憶手段である。尚、本実施形態においては、車両3から収集されるプローブ情報として、特に車両3が走行したリンクを特定するリンク番号とそのリンクを走行する車両3の車速に関する情報が含まれる。
【0042】
また、交通情報DB13は、プローブ情報DB12に記憶されたプローブ情報に対する統計処理に基づいてサーバ11により生成される交通情報やVICSセンタ5から送信されたVICS情報等のセンタ交通情報を記憶する記憶手段である。ここで、交通情報DB13に記憶されるセンタ交通情報としては、リンクの渋滞度、リンク旅行時間、平均車速等がある。尚、渋滞度とは、渋滞の程度を示した渋滞情報の一種であり、この渋滞度には、渋滞の度合いの高い方から、『渋滞』、『混雑』、『空き』のデータと『不明』の4段階のデータがある。そして、この渋滞度はリンクの平均車速と、閾値とに基づいて決定される。ここで、図3は渋滞度の判定基準の一例を示した図である。
【0043】
図3に示すように、渋滞度判定の閾値は道路属性(「都市間高速道路」、「都市高速道路」、「一般道路」の3種類)によって異なる値が設定されている。具体的に、「都市間高速道路」では『渋滞』と『混雑』との閾値が40km/hであり、『混雑』と『空き』との閾値が60km/hである。また、「都市高速道路」では『渋滞』と『混雑』との閾値が20km/hであり、『混雑』と『空き』との閾値が40km/hである。更に、「一般道路」では『渋滞』と『混雑』との閾値が10km/hであり、『混雑』と『空き』との閾値が20km/hである。尚、渋滞度を判定する為のプローブデータが不足している場合には、『不明』と判定される。
従って、例えばサーバ11は、車両が一般道路を平均速度15km/hで走行していることが検出されたリンクに対しては渋滞度を「混雑」と判定する。尚、図3に示す閾値は、エリア(二次メッシュ単位又は都道府県単位)毎に異なる値を設定しても良い。
【0044】
次に、図4を用いて交通情報DB13に記憶されるセンタ交通情報についてより詳細に説明する。図4は交通情報DB13に記憶されるセンタ交通情報の一例を示した図である。
図4に示すようにセンタ交通情報は、リンクを識別するリンク番号と、渋滞度と、そのリンクを走行する車両の平均所要時間を示すリンク旅行時間と、リンクを走行する車両の平均車速とから構成される。例えば、図4に示すセンタ交通情報は、リンク番号『1000』のリンクについて、渋滞度が『混雑』で、リンク旅行時間が28secで、平均車速が17km/hであることを示している。そして、交通情報DB13には上記のセンタ交通情報が、ナビゲーション装置1が有する地図データを構成するリンク数分記憶されている。また、センタ交通情報としては、VICSセンタ5から取得したVICS情報についても含まれる。例えば、渋滞度を判定する為のプローブデータが不足しているリンクについては、VICS情報に基づく渋滞度を適用してセンタ交通情報を作成しても良い。また、渋滞度を判定する為のプローブデータが充足しているリンクについても、VICS情報に基づく渋滞度を優先して適用してセンタ交通情報を作成しても良い。
【0045】
そして、プローブセンタ4は車両3から配信の要求があった場合に、交通情報DB13に記憶されるセンタ交通情報を要求のあった車両3に対して配信する。尚、配信対象となるセンタ交通情報は、配信対象となる車両3に現在設定されている出発地(又は自宅)、目的地及び案内経路の周辺に関する情報である。但し、本実施形態では、特にセンタ交通情報として渋滞情報を配信する場合には、『空き』と『不明』に特定されているリンクに関する渋滞情報は送信せずに、『渋滞』と『混雑』に特定されているリンクに関する渋滞情報のみを送信する。
尚、渋滞度が『渋滞』と『混雑』に特定されているリンクに関する渋滞情報のみを送信する理由としては、車両3とプローブセンタ4との間の通信データ量(即ち、通信費や通信時間)を低減させる目的がある。また、ナビゲーション装置1では、少なくとも渋滞している道路や混雑している道路を回避した経路を案内するという目的があり、渋滞度が『渋滞』と『混雑』に特定されているリンクに関する渋滞情報を送信すれば、その目的について達成することが可能となる為である。
【0046】
尚、プローブデータ及びセンタ交通情報で用いられるリンク番号は、プローブセンタ4及び車両3のナビゲーション装置1との間でのみ用いられる識別番号であり、VICSセンタ5やVICS情報で用いられるリンク番号(VICSリンク番号)とは異なる。また、リンクの区分もプローブデータ及びセンタ交通情報とVICSセンタ5及びVICS情報とでは異なっている。
【0047】
また、センタ通信装置14は、車両3やVICSセンタ5とネットワーク15を介して通信を行う為の通信装置である。
【0048】
次に、VICSセンタ5について図2を用いて説明する。VICSセンタ5は、図2に示すようにVICS情報を記憶するVICS情報DB16と、VICS通信装置17とを備える。
【0049】
VICS情報DB16は、路面上に設置された感知器による車両の検出結果や特定の機関(例えば警察庁)等から提供された情報に基づいて生成された交通情報であるVICS情報が記憶される記憶手段である。そして、VICSセンタ5は所定時間毎(例えば5分毎)にVICS情報DB16に格納されたVICS情報から必要な情報を抽出し、VICS通信装置17を介してナビゲーション装置1に対して配信する。
【0050】
ここで、VICSセンタ5においてVICS情報として渋滞情報を作成する場合には、感知器による車両の検出結果に基づいて車両の平均車速を算出し、プローブセンタ4と同様に平均車速と閾値を用いて判定する(図3参照)。但し、VICSセンタ5においては渋滞度を『不明』と判定することはない。また、リンク毎ではなく道路の区間毎に渋滞度を判定することが可能である。また、プローブセンタ4と異なる閾値を設定して渋滞度を判定しても良い。
【0051】
また、VICS通信装置17は、FM多重放送、光ビーコン、電波ビーコン等によりナビゲーション装置1に対してVICS情報の配信を行う通信装置である。そして、ナビゲーション装置1は、FM多重放送を介して車両の位置する県や近隣県に関するVICS情報を受信する。また、電波ビーコンの設置された高速道路の走行中には、電波ビーコンを介して車両の現在位置周辺(例えば200km以内)の該高速道路に関するVICS情報を更に受信する。また、光ビーコンの設置された主要一般道路の走行中には、光ビーコンを介して車両の現在位置周辺(例えば30km以内)の該主要一般道路に関するVICS情報を更に受信する。また、VICS情報はプローブセンタ4に対しても専用の通信回線を介して配信される。尚、プローブセンタ4へは全エリアについてのVICS情報が配信される。また、ナビゲーション装置1やプローブセンタ4に配信されるVICS情報としては、渋滞情報の他に、規制情報、駐車場情報、サービスエリア情報、パーキングエリア情報等がある。また、渋滞情報は、感知器が設置された主要な道路のみについて作成される。
【0052】
以下に、図5を用いてVICS情報DB16に記憶されるVICS情報についてより詳細に説明する。図5はVICS情報DB16に記憶されるVICS情報の一例を示した図である。
図5に示すようにVICS情報は、リンクを識別するVICSリンク番号と、そのリンクについての渋滞度、渋滞の区間を示す渋滞長、事故情報、工事情報等を示した詳細情報とから構成される。例えば、図5に示すVICS情報は、2010年8月6日の13時56分から14時1分までの5分間に生成され14時1分に配信される情報であり、VICSリンク番号『533945−4−4』のリンクについて、全区間において渋滞度が『渋滞』であることを示している。また、VICSリンク番号『533946−10−2』のリンクについて、13:00〜18:00の間、工事により車両規制が行われることを示している。更に、VICSリンク番号『533947−6−1』のリンクについて、全区間において渋滞度が『混雑』であることを示している。尚、リンクの一部のみが渋滞である場合には、渋滞の開始点の座標に関する情報と開始点からの渋滞区間の距離に関する情報についてもVICS情報に含まれる。
【0053】
次に、車両3に搭載されたナビゲーション装置1の概略構成について図6を用いて説明する。図6は本実施形態に係るナビゲーション装置1の制御系を模式的に示すブロック図である。
【0054】
図6に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部21と、各種のデータが記録されたデータ記録部22と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU23と、ユーザからの操作を受け付ける操作部24と、ユーザに対して地図や目的地までの案内経路を表示する液晶ディスプレイ25と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ26と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ27と、プローブセンタ4やVICSセンタ5等との間で通信を行う通信モジュール6と、から構成されている。
【0055】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部21は、GPS31、車速センサ32、ステアリングセンサ33、ジャイロセンサ34等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ32は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU23に出力する。そして、ナビゲーションECU23は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0056】
また、データ記録部22は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB35、配信情報DB36及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部22をハードディスクの代わりにメモリーカードにより構成しても良い。
【0057】
ここで、地図情報DB35は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、施設に関する施設データ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0058】
また、探索データは、設定された目的地までの経路を探索及び表示する際に使用されるデータであり、ノードを通過する際のコスト(以下、ノードコストという)や道路を構成するリンクのコスト(以下、リンクコストという)からなる探索コストを算出する為に使用するコストデータ、経路探索により選択された経路を液晶ディスプレイ25の地図上に表示するための経路表示データ等から構成されている。
ここで、ノードコストは交差点に対応するノードに対して基本的に設定されており、例えば、信号機の有無や交差点を通過する際の車両の走行経路(即ち直進、右折及び左折の種類)によってその値が決定される。
また、リンクコストはリンク長さに基づいてその値が決定される。また、道路種別、道路幅、車線数、渋滞度によってリンクコストは増減される。
【0059】
また、配信情報DB36は、プローブセンタ4から配信されたセンタ交通情報(図4)やVICSセンタ5から配信されたVICS情報(図5)を記憶する記憶手段である。そして、ナビゲーションECU23は、配信情報DB36に記憶されたセンタ交通情報やVICS情報を用いて経路探索処理を行う。
【0060】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)23は、図7に示すようにプローブセンタ4を介することなくVICSセンタ5から特定リンクの渋滞情報である基本渋滞情報を取得する基本渋滞情報取得手段41、目的地を設定する目的地設定手段42、基本渋滞情報を用いて出発地から目的地までの経路を探索し、探索結果に基づいて第1走行経路を特定する第1経路探索手段43、第1走行経路に基づいてプローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要があるか否か判定する情報判定手段44、プローブセンタ4から前記センタ交通情報を取得する必要があると判定された場合に、プローブセンタ4からセンタ交通情報として特定リンク以外のリンクを含むリンクの渋滞情報である追加渋滞情報を取得する追加渋滞情報取得手段45、取得した追加渋滞情報を用いて出発地から目的地までの経路を探索する第2経路探索手段46、第1走行経路に特定リンク以外のリンクが含まれているか否かを判定するリンク判定手段47、リンク判定手段によって第1走行経路に特定リンク以外のリンクが含まれていると判定された場合に、該特定リンク以外のリンクについては渋滞しているリンクと仮定して出発地から目的地までの経路を探索し、探索結果に基づいて第3走行経路を特定する第3経路探索手段48、第1走行経路と第3走行経路とが一致したか否かを判定する経路一致判定手段49等を構成し、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラムのほか、後述の経路探索処理プログラム(図8参照)等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。
【0061】
操作部24は、走行開始地点としての出発地や走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU23は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部24は液晶ディスプレイ25の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0062】
また、液晶ディスプレイ25には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの走行予定経路、走行予定経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。また、施設検索を行った場合に検索された施設に関する情報を表示する際にも用いられる。また、配信されたVICS情報やセンタ交通情報に基づいて、道路の渋滞区間や規制区間を示す案内も行う。例えば、道路の渋滞区間を案内する際には、液晶ディスプレイ25に表示された地図画像中の道路に沿って、渋滞度に応じた色(例えば、渋滞は赤、混雑は橙、空きは青)の矢印を表示する。
【0063】
また、スピーカ26は、ナビゲーションECU23からの指示に基づいて走行予定経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。また、施設検索を行った場合に検索された施設に関する情報を出力する際にも用いられる。
【0064】
また、DVDドライブ27は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて地図情報DB35の更新等が行われる。
【0065】
また、通信モジュール6は、プローブセンタ4やVICSセンタ5等から送信されたセンタ交通情報やVICS情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0066】
続いて、前記構成を有する経路探索システム2を構成するナビゲーション装置1において実行する経路探索処理プログラムについて図8に基づき説明する。図8は本実施形態に係る経路探索処理プログラムのフローチャートである。ここで、経路探索処理プログラムは、ナビゲーション装置1において操作部24によって目的地の設定操作を受け付けた後に実行され、プローブセンタ4やVICSセンタ5から配信された渋滞情報を用いて目的地までの経路探索処理を行うプログラムである。尚、以下の図8にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーションECU23が備えているRAM52、ROM53等に記憶されており、CPU51により実行される。
【0067】
先ず、経路探索処理プログラムでは、ステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU51は、操作部24において受け付けた操作に基づいて、目的地を設定する。
【0068】
次に、S2においてCPU51は、VICSセンタ5からVICS情報を取得する。尚、前記S2では、FM多重放送を介して車両の位置する県や近隣県等の特定のエリア内のみに関するVICS情報を受信する。また、電波ビーコンの設置された高速道路の走行中には、電波ビーコンを介して車両の現在位置周辺(例えば200km以内)の高速道路に関するVICS情報を更に受信する。また、光ビーコンの設置された主要一般道路の走行中には、光ビーコンを介して車両の現在位置周辺(例えば30km以内)の主要一般道路に関するVICS情報を更に受信する。尚、前記S2で取得するVICS情報には、感知器が設置された主要な道路についての渋滞度合いを特定する渋滞情報(基本渋滞情報)が含まれる。具体的には、該主要な道路を、渋滞度合いの高い順に『渋滞』、『混雑』、『空き』のいずれかに特定する情報である。従って、前記S2においてCPU51が取得できる渋滞情報は、特定リンク(即ち、車両の位置する県や近隣県等の特定エリア内であって、且つ感知機の設置されたリンク)のみに関する渋滞情報となる。
【0069】
続いて、S3においてCPU51は、前記S2で取得したVICS情報(基本渋滞情報含む)を用いて、出発地から前記S1で設定された目的地までの経路を探索する第1経路探索処理を実行する。尚、出発地は車両の現在位置でも良いし、指定された地点(例えば、自宅等)でも良い。また、前記S3の第1経路探索処理では、公知のダイクストラ法を用いる。具体的には、出発地側及び目的地側から経路の探索が行われ、出発地側からの探索と目的地側からの探索との重なり部分において、出発地側から累積された探索コスト(ノードコスト及びリンクコスト)と目的地側から累積された探索コストとを加算した値、即ち、コスト加算値が算出されるようになっている。そして、コスト加算値が最小になる経路が推奨経路である第1走行経路として特定される。また、リンクコストについては、基本渋滞情報に基づいて『渋滞』と判定されているリンクでは1.5倍とし、『混雑』と判定されているリンクでは1.2倍とし、『空き』と判定されているリンクでは0.8倍とする。それによって、渋滞している道路を避け、空いている道路を優先的に走行させる経路を探索することが可能となる。
【0070】
その後、S4においてCPU51は、プローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要があるか否か判定する。具体的には、前記S3で特定された第1走行経路に前記S2で基本渋滞情報が取得されたリンク(特定リンク)以外のリンクが含まれているか否か、即ち、渋滞度が基本渋滞情報からでは判定できないリンクが含まれているか否かを判定する。
【0071】
ここで、前記S3で特定された第1走行経路に前記S2で基本渋滞情報が取得されたリンク(特定リンク)以外のリンクが含まれている場合には、渋滞度が基本渋滞情報からでは判定できないリンクが含まれていることとなり、第1走行経路が実際に推奨される経路であるか否かを判定できない。例えば、図9に示すように出発地61から目的地62までの第1走行経路63として“A→D→I→L”の経路が特定された場合において、リンクIとリンクLについて基本渋滞情報からは渋滞度が判定できない場合に、リンクIとリンクLが実際には渋滞しており、リンクHとリンクKが空いている場合について説明する。その場合に、プローブセンタ4から基本渋滞情報では渋滞度が判定できなかったリンクHとリンクKの渋滞度を新たに取得して経路探索した結果、プローブセンタ4からはリンクIとリンクLの渋滞度が“混雑”である情報が新たに送信されるので、その後に経路探索処理を行った場合に、第1経路探索処理と比べてリンクIとリンクKのリンクコストが上昇する。その結果、“A→D→I→L”の経路ではなく“A→D→H→K”の経路の方が推奨される経路となる可能性がある。従って、プローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要があると判定する。
【0072】
それに対して、前記S3で特定された第1走行経路に前記S2で基本渋滞情報が取得されたリンク(特定リンク)以外のリンクが含まれていない場合には、仮に第1走行経路以外のリンクであって、基本渋滞情報から渋滞度が判定できないリンクが空いていたとしても、第1走行経路以外の経路が推奨される経路となる可能性は無い。その理由としては、上述したようにプローブセンタ4は車両3から配信される渋滞情報は『渋滞』と『混雑』に特定されているリンクに関する渋滞情報のみであり、且つ『渋滞』と『混雑』に特定されているリンクは共に経路探索時にリンクコストを上昇させる対象となるリンクだからである。即ち、プローブセンタ4から配信される渋滞情報は、第1走行経路以外のリンクのリンクコストを上昇させる為の情報であり、第1走行経路のリンクのリンクコストを上昇させたり、第1走行経路以外のリンクのリンクコストを下降させる為の情報でない。従って、仮にプローブセンタ4から基本渋滞情報では渋滞度が判定できなかったリンク(特定リンク以外のリンク)の渋滞度を取得しても、他の経路が推奨される経路として特定されることは無い。例えば、図10に示すように出発地61から目的地62までの第1走行経路64として“A→D→I→L”の経路が特定された場合において、リンクHとリンクKについて基本渋滞情報からは渋滞度が判定できない場合に、リンクHは実際に空いており、リンクKは実際には混雑している場合について説明する。その場合に、プローブセンタ4から基本渋滞情報では渋滞度が判定できなかったリンクHとリンクKの渋滞度を新たに取得しても、プローブセンタ4からはリンクKの渋滞度が“混雑”である情報のみが新たに送信されるので、その後に経路探索処理を行っても、第1経路探索処理と比べてリンクKのリンクコストが上昇するのみであってリンクHのリンクコストは変更されない。その結果、“A→D→I→L”の経路が再び推奨される経路となる。従って、プローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要は無いと判定する。
【0073】
そして、前記S4の判定処理において、プローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要があると判定された場合、即ち、前記S3で特定された第1走行経路に前記S2で基本渋滞情報が取得された特定リンク以外のリンクが含まれていると判定された場合(S4:YES)には、S5へと移行する。
【0074】
一方、プローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要がないと判定された場合、即ち、前記S3で特定された第1走行経路に前記S2で基本渋滞情報が取得された特定リンク以外のリンクが含まれていないと判定された場合(S4:NO)には、前記S3で特定された第1走行経路を案内経路として特定し(S9)、特定された案内経路に基づいて走行の案内が行われる(S10)。
【0075】
また、S5においてCPU51は、前記S2で取得したVICS情報(基本渋滞情報含む)を用い、更に、第1走行経路の内、前記S2で基本渋滞情報が取得された特定リンク以外のリンクを渋滞していると仮定して、出発地から前記S1で設定された目的地までの経路を探索する第3経路探索処理を実行する。具体的には、第1走行経路の内、特定リンク以外のリンクの渋滞度を“渋滞”とし、リンクコストを1.5倍とする。他は、上述した第1経路探索処理(S3)と同様である。そして、コスト加算値が最小になる経路が推奨経路である第3走行経路として特定される。
【0076】
その後、S6においてCPU51は、プローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要があるか否かを改めて判定する。具体的には、前記S3で特定された第1走行経路と前記S5で特定された第3走行経路とが一致しているか否かを判定する。
【0077】
ここで、第1走行経路と第3走行経路が一致しない場合とは、第1走行経路の内、基本渋滞情報により渋滞度の判定できなかったリンクの渋滞度が仮に“渋滞”であった場合(即ち、第1走行経路を最も避けるべき渋滞状況であると仮定した場合)には、第1走行経路以外の経路が推奨経路となる可能性を示すものである。例えば、図11に示すように、リンクHとリンクIとリンクKとリンクLが基本渋滞情報により渋滞度の判定できなかったリンクである場合に、出発地61から目的地62までの第1走行経路65として“A→D→I→L”の経路が特定され、第3走行経路66として“A→D→H→K”の経路が特定された場合について説明する。その場合には、プローブセンタ4から基本渋滞情報では渋滞度が判定できなかったリンクHとリンクIとリンクKとリンクLの渋滞度を新たに取得した結果、第1走行経路65である“A→D→I→L”の経路ではなく、第3走行経路66である“A→D→H→K”の経路、或いはそれ以外の経路が推奨される経路となる可能性がある。従って、プローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要があると判定する。
【0078】
一方、第1走行経路と第3走行経路が一致する場合とは、第1走行経路の内、基本渋滞情報により渋滞度の判定できなかったリンクの渋滞度が仮に“渋滞”であった場合(即ち、第1走行経路を最も避けるべき渋滞状況であると仮定した場合)であっても、第1走行経路が推奨経路となることを示すものである。上述したようにプローブセンタ4から配信される渋滞情報に基づいてリンクコストを調整する場合には、渋滞度が“渋滞”であるリンクを最も上昇させる。そして、リンクコストを下降させることはない。従って、第1走行経路の内、基本渋滞情報により渋滞度の判定できなかったリンクの渋滞度を最もリンクコストを上昇させる“渋滞”と仮定しても同じ経路が推奨経路となるのであれば、プローブセンタ4からセンタ個交通情報を受信しても第1走行経路が推奨経路となる。例えば、図12に示すように、リンクHとリンクIとリンクKとリンクLが基本渋滞情報により渋滞度の判定できなかったリンクである場合に、出発地61から目的地62までの第1走行経路67及び第3走行経路68として“A→D→I→L”の同一経路が特定された場合について説明する。その場合には、プローブセンタ4から基本渋滞情報では渋滞度が判定できなかったリンクHとリンクIとリンクKとリンクLの渋滞度を新たに取得して探索処理を行った場合に、第3経路探索処理と比べてリンクIやリンクLのリンクコストが下降することはあっても上昇することはない。また、第3経路探索処理と比べてリンクHやリンクKのリンクコストが上昇することはあっても下降することはない。その結果、第1走行経路67である“A→D→I→L”の経路が再び推奨される経路となる。従って、プローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要は無いと判定する。
【0079】
そして、前記S6の判定処理において、プローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要があると判定された場合、即ち、第1走行経路と第3走行経路が一致しないと判定された場合(S6:YES)には、S7へと移行する。
【0080】
一方、プローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要がないと判定された場合、即ち、第1走行経路と第3走行経路が一致すると判定された場合(S6:NO)には、前記S3で特定された第1走行経路を案内経路として特定し(S9)、特定された案内経路に基づいて走行の案内が行われる(S10)。
【0081】
また、S7においてCPU51は、プローブセンタ4に対してセンタ交通情報を要求し、要求に応じて配信されたセンタ交通情報を取得する。尚、配信対象となるセンタ交通情報は、配信対象となる車両に現在設定されている出発地、目的地及び案内経路の周辺に関する情報である。また、前記S7で取得するセンタ交通情報には、渋滞情報(追加渋滞情報)が含まれる。但し、本実施形態では、渋滞度が『渋滞』と『混雑』に特定されているリンクに関する渋滞情報のみが含まれる。また、既に前記S2で取得した基本渋滞情報により渋滞度が判定されているリンクについても、新たに追加渋滞情報を取得することとなる。その場合には、情報を上書き(追加渋滞情報を優先)しても良いし、情報を上書きしない(基本渋滞情報を優先)しても良い。尚、前記S2で取得した基本渋滞情報により渋滞度が判定されているリンクについては、追加渋滞情報を受信しない(又はプローブセンタ4から配信しない)構成としても良い。
【0082】
次に、S8においてCPU51は、前記S2で取得したVICS情報(基本渋滞情報含む)と前記S7で取得したセンタ交通情報(追加渋滞情報含む)とを用い、出発地から前記S1で設定された目的地までの経路を探索する第2経路探索処理を実行する。新たに追加渋滞情報によって渋滞度が『渋滞』と特定されたリンクではリンクコストを1.5倍とし、『混雑』と特定されたリンクではリンクコストを1.2倍とする。他は、上述した第1経路探索処理(S3)と同様である。そして、コスト加算値が最小になる経路が推奨経路である第2走行経路として特定される。
【0083】
続いて、S9においてCPU51は、前記S8で特定された第2走行経路を案内経路として特定する。
【0084】
その後、S10においてCPU51は、前記S9で特定された案内経路に基づいて走行の案内を行う。
【0085】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による経路探索方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、VICSセンタ5から基本渋滞情報を取得し(S2)、取得した基本渋滞情報に基づいて目的地までの経路を探索する第1経路探索処理を行い(S3)、第1経路探索処理によって特定された第1走行経路に基づいてプローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要がるか否かを判定し(S4〜S6)、必要が無いと判定された場合には第1走行経路を案内経路とし(S9)、一方、必要があると判定された場合にプローブセンタ4からセンタ交通情報として追加渋滞情報を取得し(S7)、取得した追加渋滞情報に基づいて再び経路を探索する第2経路探索処理を行い(S8)、第2経路探索処理によって特定された第2走行経路を案内経路とする(S9)ので、結果的に不要となるプローブセンタ4との通信を予め削減することが可能となる。従って、プローブセンタ4との間の通信処理、通信時間及び通信費用等を減少させることが可能となる。
また、第1走行経路に基本渋滞情報により渋滞度が判定できないリンク(特定リンク以外のリンク)が含まれているか否かを判定し(S4)、基本渋滞情報により特定リンク以外のリンクが含まれていないと判定された場合に、プローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要がないと判定するので、プローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要がない場合について適切に判定することが可能となる。即ち、センタ交通情報として取得する渋滞情報が経路探索時のリンクコストを下降させる情報ではないので、第1走行経路に特定リンク以外のリンクが含まれていない場合には、センタ交通情報を取得したとしても結果的に同一の経路が目的地までの推奨経路となる(即ち、第1走行経路と第2走行経路は同一となる)と推定でき、プローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要がないと適切に判定することができる。従って、結果的に不要となるプローブセンタ4との通信を予め削減することが可能となる。
また、第1走行経路に特定リンク以外のリンクが含まれていると判定された場合には、該特定リンク以外のリンクについては渋滞しているリンクと仮定して出発地から目的地までの経路を探索する第3経路探索手段を行い(S5)、第1走行経路と第3走行経路とが一致しないと判定された場合に、プローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要があると判定するので、プローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要がある場合について適切に判定することが可能となる。即ち、第1走行経路を最も避けるべき渋滞状況であると仮定して検索された第3走行経路が第1走行経路と一致しない場合には、センタ交通情報を取得した結果、異なる経路が目的地までの推奨経路となる(即ち、第1走行経路と第2走行経路が異なる)可能性があると推定でき、プローブセンタ4からセンタ交通情報を取得する必要があると適切に判定することができる。従って、結果的に不要となるセンタとの通信を予め削減することが可能となる。
また、基本渋滞情報としてはVICSセンタ5からVICS情報を取得し、追加渋滞情報としてはプローブセンタ4からプローブ情報として収集して統計されたセンタ交通情報を取得するので、VICSから供給される渋滞情報と、プローブ情報として収集して統計された渋滞情報とをそれぞれ用いて適切な経路探索処理を実行することを可能にしつつも、プローブセンタ4との間の通信処理、通信時間及び通信費用等を減少させることが可能となる。
【0086】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態ではセンタ交通情報を取得するセンタとして、プローブ情報に基づく交通情報の提供を行うプローブセンタを例に挙げて説明したが、プローブセンタ以外のセンタから取得する構成としても良い。
【0087】
また、本実施形態では追加渋滞情報として取得する渋滞情報は、プローブセンタから取得する渋滞情報としているが、ナビゲーション装置1のDBに格納されている統計交通情報(過去に収集されたプローブ交通情報やVICS情報などを統計処理した交通情報)から取得する渋滞情報としても良い。そして、追加渋滞情報として、ナビゲーション装置1のDBに格納されている統計交通情報を取得する構成とした場合であっても、図8に示す経路探索処理プログラムを適用することが可能である。但し、S7ではプローブセンタ4からではなく、ナビゲーション装置1のDBから統計交通情報を取得する(読み出す)構成とする。
その結果、ナビゲーション装置1がプローブセンタ4と通信することなく単独で経路探索する場合において、DBに記憶された渋滞情報を取得する必要があると判定された場合に、DBから統計交通情報に含まれる渋滞情報を取得し、取得した渋滞情報を用いて経路の探索を行うので、DBに記憶された渋滞情報の読み込みに係るCPUの処理負荷の低減や探索時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0088】
また、本実施形態では、ナビゲーション装置1において経路探索を行う場合に、渋滞度が『渋滞』のリンクはリンクコストを1.5倍とし、渋滞度が『混雑』のリンクはリンクコストを1.2倍とし、渋滞度が『空き』のリンクはリンクコストを0.8倍として探索コストを算出しているが、渋滞度に基づくリンクコストの上昇割合及び下降割合は他の割合に変更しても良い。また、『混雑』のリンクについてはリンクコストを変更しないように構成しても良い。
【0089】
また、本実施形態では、渋滞度の区分としては『渋滞』、『混雑』、『空き』の3段階で区分しているが、2段階や4段階以上としても良い。
【0090】
また、本実施形態では、プローブセンタ4から取得する追加渋滞情報は、渋滞度が『渋滞』と『混雑』のリンクのみを特定する情報としているが、渋滞度が『渋滞』のリンクのみを特定する情報としても良い。
【0091】
また、本実施形態では、プローブセンタ4から配信される追加渋滞情報には、プローブ情報として収集して統計された渋滞情報と、VICSセンタ5からプローブセンタ4へと送信されたVICS情報に基づく渋滞情報とが含まれているが、追加渋滞情報はプローブ情報として収集して統計された渋滞情報のみに基づく情報としても良い。
【符号の説明】
【0092】
1 ナビゲーション装置
2 経路探索システム
3 車両
4 プローブセンタ
5 VICSセンタ
51 CPU
52 RAM
53 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタ交通情報を配信するセンタを介することなく特定リンクの渋滞情報である基本渋滞情報を取得する基本渋滞情報取得手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記基本渋滞情報取得手段により取得した前記基本渋滞情報を用いて、出発地から前記目的地設定手段により設定された目的地までの経路を探索し、探索結果に基づいて第1走行経路を特定する第1経路探索手段と、
前記第1経路探索手段により特定された前記第1走行経路に基づいて、前記センタから前記センタ交通情報を取得する必要があるか否か判定する情報判定手段と、
前記情報判定手段によって前記センタから前記センタ交通情報を取得する必要があると判定された場合に、前記センタから前記センタ交通情報として前記特定リンク以外のリンクを含むリンクの渋滞情報である追加渋滞情報を取得する追加渋滞情報取得手段と、
前記追加渋滞情報取得手段により取得した前記追加渋滞情報を用いて、出発地から前記目的地設定手段により設定された目的地までの経路を探索する第2経路探索手段と、を有することを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
前記第1走行経路に前記特定リンク以外のリンクが含まれているか否かを判定するリンク判定手段を有し、
前記情報判定手段は、前記リンク判定手段によって前記第1走行経路に前記特定リンク以外のリンクが含まれていないと判定された場合に、前記センタから前記センタ交通情報を取得する必要がないと判定することを特徴とする請求項1に記載の経路探索装置。
【請求項3】
前記リンク判定手段によって前記第1走行経路に前記特定リンク以外のリンクが含まれていると判定された場合に、該特定リンク以外のリンクについては渋滞しているリンクと仮定して出発地から前記目的地設定手段により設定された目的地までの経路を探索し、探索結果に基づいて第3走行経路を特定する第3経路探索手段と、
前記第1走行経路と前記第3走行経路とが一致したか否かを判定する経路一致判定手段と、を有し、
前記情報判定手段は、前記第1走行経路と前記第3走行経路とが一致しないと判定された場合に、前記センタから前記センタ交通情報を取得する必要があると判定することを特徴とする請求項2に記載の経路探索装置。
【請求項4】
前記基本渋滞情報取得手段は、道路交通情報通信システム(VICS:登録商標)から供給される渋滞情報を前記基本渋滞情報として取得し、
前記追加渋滞情報取得手段は、プローブ情報として収集して統計された渋滞情報を前記追加渋滞情報として取得することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の経路探索装置。
【請求項5】
外部から特定リンクの渋滞情報である基本渋滞情報を取得する基本渋滞情報取得手段と、
前記特定リンク以外のリンクを含むリンクの渋滞情報である追加渋滞情報を格納する記憶手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記基本渋滞情報取得手段により取得した前記基本渋滞情報を用いて、出発地から前記目的地設定手段により設定された目的地までの経路を探索し、探索結果に基づいて第1走行経路を特定する第1経路探索手段と、
前記第1経路探索手段により特定された前記第1走行経路に基づいて、前記記憶手段に格納されている追加渋滞情報を取得する必要があるか否か判定する情報判定手段と、
前記情報判定手段によって前記記憶手段に格納されている追加渋滞情報を取得する必要があると判定された場合に、前記記憶手段から前記追加渋滞情報を取得する追加渋滞情報取得手段と、
前記追加渋滞情報取得手段により取得した前記追加渋滞情報を用いて、出発地から前記目的地設定手段により設定された目的地までの経路を探索する第2経路探索手段と、を有することを特徴とする経路探索装置。
【請求項6】
前記第1走行経路に前記特定リンク以外のリンクが含まれているか否かを判定するリンク判定手段を有し、
前記情報判定手段は、前記リンク判定手段によって前記第1走行経路に前記特定リンク以外のリンクが含まれていないと判定された場合に、前記記憶手段から前記追加渋滞情報を取得する必要がないと判定することを特徴とする請求項5に記載の経路探索装置。
【請求項7】
前記リンク判定手段によって前記第1走行経路に前記特定リンク以外のリンクが含まれていると判定された場合に、該特定リンク以外のリンクについては渋滞しているリンクと仮定して出発地から前記目的地設定手段により設定された目的地までの経路を探索し、探索結果に基づいて第3走行経路を特定する第3経路探索手段と、
前記第1走行経路と前記第3走行経路とが一致したか否かを判定する経路一致判定手段と、を有し、
前記情報判定手段は、前記第1走行経路と前記第3走行経路とが一致しないと判定された場合に、前記記憶手段から前記追加渋滞情報を取得する必要があると判定することを特徴とする請求項6に記載の経路探索装置。
【請求項8】
前記基本渋滞情報取得手段は、道路交通情報通信システム(VICS:登録商標)から供給される渋滞情報を前記基本渋滞情報として取得し、
前記追加渋滞情報取得手段は、前記記憶手段に格納されている渋滞情報を前記追加渋滞情報として取得することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の経路探索装置。
【請求項9】
センタ交通情報を配信するセンタを介することなく特定リンクの渋滞情報である基本渋滞情報を取得する基本渋滞情報取得ステップと、
目的地を設定する目的地設定ステップと、
前記基本渋滞情報取得ステップにより取得した前記基本渋滞情報を用いて、出発地から前記目的地設定ステップにより設定された目的地までの経路を探索し、探索結果に基づいて第1走行経路を特定する第1経路探索ステップと、
前記第1経路探索ステップにより特定された前記第1走行経路に基づいて、前記センタから前記センタ交通情報を取得する必要があるか否か判定する情報判定ステップと、
前記情報判定ステップによって前記センタから前記センタ交通情報を取得する必要があると判定された場合に、前記センタから前記センタ交通情報として前記特定リンク以外のリンクを含むリンクの渋滞情報である追加渋滞情報を取得する追加渋滞情報取得ステップと、
前記追加渋滞情報取得ステップにより取得した前記追加渋滞情報を用いて、出発地から前記目的地設定ステップにより設定された目的地までの経路を探索する第2経路探索ステップと、を有することを特徴とする経路探索方法。
【請求項10】
コンピュータに搭載され、
センタ交通情報を配信するセンタを介することなく特定リンクの渋滞情報である基本渋滞情報を取得する基本渋滞情報取得機能と、
目的地を設定する目的地設定機能と、
前記基本渋滞情報取得機能により取得した前記基本渋滞情報を用いて、出発地から前記目的地設定機能により設定された目的地までの経路を探索し、探索結果に基づいて第1走行経路を特定する第1経路探索機能と、
前記第1経路探索機能により特定された前記第1走行経路に基づいて、前記センタから前記センタ交通情報を取得する必要があるか否か判定する情報判定機能と、
前記情報判定機能によって前記センタから前記センタ交通情報を取得する必要があると判定された場合に、前記センタから前記センタ交通情報として前記特定リンク以外のリンクを含むリンクの渋滞情報である追加渋滞情報を取得する追加渋滞情報取得機能と、
前記追加渋滞情報取得機能により取得した前記追加渋滞情報を用いて、出発地から前記目的地設定機能により設定された目的地までの経路を探索する第2経路探索機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−37381(P2012−37381A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177761(P2010−177761)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】