説明

給紙制御装置及び画像形成装置

【課題】ジャム等の処理を完了した後の待ち時間の発生を抑制する。
【解決手段】給紙装置のCPU211は、機能的に、給紙装置から本体装置への記録紙の供給位置において、記録紙の搬送異常が発生しているか否かを検出する異常検出部211aと、カバーが閉状態であるか否かを検出する開閉検出部211bと、カバーが閉状態から開状態に変化した場合に、異常検出部211aの検出結果に基づいて電動トレイの下降位置を設定する昇降位置設定部211cと、カバーが閉状態から開状態に変化したと検出された場合に、昇降位置設定部211cにより設定された下降位置に電動トレイを下降させるべく昇降モータ222を制御する昇降制御部211eとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の記録紙が積層されて載置されると共に、記録紙を本体装置へ供給する際に所定の給紙位置に位置制御される電動トレイと、開閉自在に構成され、前記電動トレイ上へ記録紙を補給する際及び前記本体装置への供給位置で発生した記録紙の搬送異常を処理する際に開状態とされるカバーとを備えた給紙装置において、前記電動トレイの昇降を制御する給紙制御装置及び画像形成装置に関するものである。特に、複写機、プリンタ、ファクシミリ、インターネットファクシミリ、及び、これらの機能の内のいずれかの機能を有する複合機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、プリンタ等の画像形成装置における印刷速度の向上に伴って、単位期間(例えば、1ヶ月間)に消費される記録紙の枚数が増加し、画像形成装置へユーザが記録紙を補給する頻度が増えることによって、ユーザの手間が増加している。そこで、記録紙を補給する頻度を低減するために、大容量(例えば、容量が1000枚)の給紙装置が開示され実用化されている。
【0003】
大容量の給紙装置は、多数枚の記録紙が載置されて昇降する電動トレイと、記録紙を補給する場合に開状態とされるカバーとを備え、記録紙を補給する場合には、カバーが開状態とされることに応じて電動トレイが下降限の位置まで下降し、カバーが閉状態とされることに応じて電動トレイが給紙位置まで上昇するべく構成されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−159069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、電動トレイは、多数枚の(例えば、1000枚の)記録紙が載置されて昇降するため、電源容量を抑制するべく低速で上昇するように構成されている。一方、給紙装置にジャム等の給紙異常が発生した際に、カバーを開状態とした場合にも、上述のように、電動トレイが下降限の位置まで下降する。従って、ユーザは、ジャム等の処理を完了した後に、電動トレイが下降限の位置から給紙位置まで上昇するまでの間、画像形成装置を使用することができず、待ち時間が発生していた。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、ジャム等の処理を完了した後の待ち時間の発生を抑制することが可能な給紙制御装置及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1に記載の給紙制御装置は、シート状の記録紙が積層されて載置されると共に、記録紙を本体装置へ供給する際に所定の給紙位置に位置制御される電動トレイと、開閉自在に構成され、前記電動トレイ上へ記録紙を補給する際及び前記本体装置への供給位置で発生した記録紙の搬送異常を処理する際に開状態とされるカバーとを備えた給紙装置において、前記電動トレイの昇降を制御する給紙制御装置であって、前記給紙装置から前記本体装置への記録紙の供給位置において、記録紙の搬送異常が発生しているか否かを検出する異常検出手段と、前記カバーが閉状態であるか否かを検出する開閉検出手段と、前記カバーが閉状態から開状態に変化した場合に、前記異常検出手段の検出結果に基づいて前記電動トレイの下降位置を設定する下降位置設定手段と、前記カバーが閉状態から開状態に変化した場合に、前記下降位置設定手段により設定された下降位置に前記電動トレイを下降させる昇降制御手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の給紙制御装置は、請求項1に記載の給紙制御装置であって、前記下降位置設定手段が、前記異常検出手段により前記搬送異常が検出された場合に、前記電動トレイの下降位置を、前記給紙位置の近傍に設定することを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の給紙制御装置は、請求項1又は請求項2に記載の給紙制御装置であって、外部からの下降位置に関する操作入力を受け付ける受付手段を備え、前記下降位置設定手段が、前記異常検出手段により前記搬送異常が検出された場合の前記電動トレイの下降位置を、前記受付手段により受け付けられた操作入力に基づいて設定することを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の給紙制御装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の給紙制御装置であって、前記下降位置設定手段が、前記異常検出手段により前記搬送異常が検出されていない場合に、前記電動トレイの下降位置を、下降限の位置に設定することを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載の給紙制御装置は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の給紙制御装置であって、前記昇降制御手段が、前記カバーが開状態から閉状態に変化した場合に、前記給紙位置まで前記電動トレイを上昇させることを特徴としている。
【0011】
請求項6に記載の給紙制御装置は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の給紙制御装置であって、前記異常検出手段が、前記搬送異常としてジャムを検出することを特徴としている。
【0012】
請求項7に記載の画像形成装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の給紙制御装置を有する給紙装置と、前記給紙装置から供給された記録紙上に画像情報に対応する画像を形成する印刷手段とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の給紙制御装置によれば、カバーが閉状態から開状態に変化した場合に、記録紙の搬送異常が発生しているか否かの検出結果に基づいて、電動トレイの下降位置が設定されて、設定された下降位置に電動トレイが下降されるため、記録紙の搬送異常が発生している場合に、記録紙を補給する際の電動トレイの位置である下降限の位置よりも高い位置に下降位置を設定することが可能となる。従って、ジャム等の搬送異常の処理を完了した後に、給紙位置まで電動トレイが上昇するのに要する時間が削減されるので、ユーザの待ち時間の発生を抑制することできる。
【0014】
請求項2に記載の給紙制御装置によれば、搬送異常が検出された場合に、電動トレイの下降位置が給紙位置の近傍に設定されるため、ジャム等の搬送異常の処理を完了した後に、給紙位置まで電動トレイが上昇するのに要する時間が更に削減されるので、ユーザの待ち時間の発生を更に抑制することできる。
【0015】
請求項3に記載の給紙制御装置によれば、搬送異常が検出された場合の電動トレイの下降位置が、操作入力に基づいて設定されるため、ユーザが所望する下降位置が設定可能となり、利便性を向上することができる。
【0016】
請求項4に記載の給紙制御装置によれば、搬送異常が検出されていない場合に、電動トレイの下降位置が、下降限の位置に設定されるため、記録紙の補給作業が容易となる。
【0017】
請求項5に記載の給紙制御装置によれば、搬送異常が検出されている場合であっても、カバーが開状態から閉状態に変化した場合には、給紙位置まで電動トレイが上昇されるため、利便性を向上することができる。
【0018】
請求項6に記載の給紙制御装置によれば、搬送異常として発生頻度の高いジャムが検出されるため、更に利便性を向上することができる。
【0019】
請求項7に記載の画像形成装置によれば、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の給紙制御装置を有する給紙装置を備えるため、ジャム等の搬送異常を処理した後のユーザの待ち時間の発生を抑制することできる画像形成装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る画像形成装置の一例について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の概略構成の一例を示すブロック図である。なお、ここでは、画像形成装置が、プリンタである場合について説明するが、記録紙上に画像を形成する他の画像形成装置(例えば、複写機、ファクシミリ、インターネットファクシミリ、複合機等)である形態でもよい。図1に示すように、プリンタ10は、本体装置1と、給紙装置2とから構成されている。そして、本体装置1は、本体制御部11、印刷処理部12、及び、操作部13を備え、給紙装置2は、給紙制御部21及び給紙処理部22を備えている。なお、プリンタ10は、図略のパーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)と通信可能に接続されており、パーソナルコンピュータからの印刷指示に従って、記録紙上に画像を形成するものである。
【0021】
本体制御部11は、プリンタ10全体の動作を制御するものであって、CPU(Central Processing Unit)111と、RAM(Random Access Memory)112と、図略のROM(Read Only Memory)とを備えている。また、本体制御部11は、給紙制御部21に対して給紙装置2の制御に関する指示情報を出力し、給紙制御部21は、本体制御部11からの指示情報に基づいて給紙装置2の動作を制御するものである。
【0022】
印刷処理部12(印刷手段に相当する)は、記録紙上に電子写真方式で画像(ここでは、PCから送信された画像情報に対応する画像)を形成するものであって、現像ユニット121、感光ユニット122、及び、定着ユニット123を備えている。現像ユニット121は、PCから送信された画像情報に対応する静電潜像を、レーザビーム等によって感光ドラムの表面に形成すると共に、形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成するものである。感光ユニット122は、感光ドラムを備え、まず、感光ドラムの表面が帯電ローラによって略均一に帯電され、次に、現像ユニット121によって、PCから送信された画像情報に対応する静電潜像にトナーが付着されてトナー像が形成され、更に、そのトナー像が転写ローラによって記録紙上に転写されるものである。定着ユニット123は、定着ローラを備え、感光ドラムに形成されたトナー像を記録紙上に定着させるものである。
【0023】
操作部13(受付手段の一部)は、ユーザからの操作入力を受け付けるものであって、例えば、複数の操作ボタンを備え、ボタンが押下されたことを受け付けて、対応する操作入力情報をCPU111に送信するものである。ここでは、操作部13は、後述する電動トレイの下降位置を受け付けるものである。
【0024】
給紙制御部21(給紙制御装置の一部に相当する)は、給紙装置2の動作を制御するものであって、CPU211と、RAM212と、図略のROMとを備えている。また、給紙制御部21は、本体制御部11からの指示情報に基づいて給紙装置2の動作を制御するものである。
【0025】
給紙処理部22は、本体装置1にシート状の記録紙を供給するものであって、開閉センサ221及び昇降モータ222を備えている。開閉センサ221(給紙制御装置の一部に相当する)は、後述するカバー224(図2参照)の開閉を検出して、検出結果を給紙制御部21に出力するものである。また、昇降モータ222(給紙制御装置の一部に相当する)は、給紙制御部21からの指示情報に基づいて後述する電動トレイ223を昇降するものである。
【0026】
図2は、給紙装置2の一例を示す斜視図であり、図3は、給紙装置2における給紙位置の制御方法等の一例を説明するための構成図である。図2に示すように、給紙装置2(給紙処理部22)は、開閉センサ221、昇降モータ222、電動トレイ223、カバー224、スリット225、及び、摺動部材226を備えている。カバー224は、その左立直縁部224aに、開閉センサ221を押圧するセンサ押圧片224bが突設して構成されている。
【0027】
開閉センサ221(開閉検出手段の一部)は、例えば、プッシュスイッチ等からなり、ユーザによりカバー224が閉状態とされた場合に、カバー224に形成されたセンサ押圧片224bによって押圧されることにより、カバー224が閉状態であることを検出するものである。
【0028】
昇降モータ222は、給紙制御部21からの指示情報に基づいて動作するものであって、種々のギア、ベルト、及び摺動部材226等を介して摺動部材226に中央部が固定された電動トレイ223を図3の矢印Bに示す方向(上下方向)に動作させる(昇降させる)ものである。
【0029】
電動トレイ223は、シート状の記録紙が積層されて載置されると共に、記録紙を本体装置1へ供給する際に、給紙制御部21からの指示情報に基づいて、所定の給紙位置(電動トレイ223に載置された記録紙の上端が、図3の矢印Aに示す位置となる電動トレイ223の位置)に位置制御されるものである。
【0030】
カバー224は、開閉自在に構成され、記録紙を電動トレイ223上へ補給する際及び本体装置1への供給位置(図3の矢印Aに示す位置)で発生した記録紙の搬送異常(ここでは、ジャム)を処理する際に、ユーザによって開状態とされるものである。
【0031】
スリット225は、給紙装置2の両側板部に、それぞれ、上下方向へ延びるガイド溝として形成されたものであって、このスリット225に、それぞれ、摺動部材226がガイドされて昇降し、両摺動部材226に電動トレイ223の中央部が固定されているものである。すなわち、昇降モータ222からの駆動力が、摺動部材226に伝達され、摺動部材226がスリット225にガイドされて上下方向に摺動することにより、摺動部材226に固定された電動トレイ223が昇降されるものである。
【0032】
また、図3に示すように、給紙装置2(給紙処理部22)は、搬送異常検出センサ227、可動レバー228及び給紙位置検出センサ229を備えている。搬送異常検出センサ227(異常検出手段の一部に相当する)は、透過型(又は反射型)のフォトセンサ等からなり、所定の搬送路に記録紙があるか否かを検出するものである。また、図4を用いて後述するように、搬送異常検出センサ227は、所定の搬送路内のジャムの発生を検出するものである。
【0033】
可動レバー228及び透過型のフォトセンサ等からなる給紙位置検出センサ229(昇降制御手段の一部)は、電動トレイ223に載置された記録紙が給紙位置にあるか否かを検出するものである。具体的には、可動レバー228は、電動トレイ223に載置された記録紙(又は電動トレイ223)の上端部と当接することにより所定の位置を支点として回転する棒状のレバーであり、記録紙が給紙位置にない場合に、可動レバー228は給紙位置検出センサ229の光路を遮断しており、給紙位置にある場合に、給紙位置検出センサ229の光路が透過するべく構成されている。
【0034】
図4は、本体制御部11及び給紙制御部21の機能構成の一例を示す機能構成図である。CPU111は、機能的に、操作受付部111aを備え、CPU211は、機能的に、異常検出部211a、開閉検出部211b、昇降位置設定部211c、受付部211d、及び、昇降制御部211eを備えている。
【0035】
ここでは、CPU111、CPU211が、ROM等に予め格納されたプログラムを読み出して実行することにより、それぞれ、操作受付部111a、及び、異常検出部211a、開閉検出部211b、昇降位置設定部211c、受付部211d、昇降制御部211e等の機能部として機能するものである。
【0036】
また、RAM112、RAM212、ROMに格納された各種データのうち装着脱可能な記録媒体に格納され得るデータは、例えばハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、シリコンディスクドライブ、カセット媒体読み取り機等のドライバで読み取り可能にしてもよく、この場合、記録媒体は、例えばハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、CD、DVD、半導体メモリ等である。
【0037】
操作受付部111a(受付手段の一部)は、操作部13を介してユーザからの操作入力(具体的には、後述する電動トレイ223の下降位置に関する操作入力)を受け付けると共に、受け付けた操作入力情報を給紙制御部21の昇降位置設定部211cへ出力するものである。具体的には、例えば、操作部13にテンキー、LCD(Liquid Crystal Display)及び設定ボタンが配設されており、操作受付部111aは、テンキーを介して入力された数字をLCDに表示させ、設定ボタンの押下が受け付けられると、テンキーを介して入力された数字に対応する下降位置(例えば、入力された数字分(mm)だけ給紙位置から下側の位置)が受け付ける。
【0038】
異常検出部211a(異常検出手段の一部に相当する)は、搬送異常検出センサ227からの検出結果に基づいて、給紙装置2から本体装置1への記録紙の供給位置において、記録紙の搬送異常が発生しているか否かを検出するものである。具体的には、異常検出部211aは、給紙開始から所定時間(例えば、5秒)経過後に、搬送異常検出センサ227によって所定の搬送路に記録紙があると検出された場合に、搬送異常の一つの形態であるジャムが発生していると検出するものである。
【0039】
開閉検出部211bは、開閉センサ221からの検出結果に基づいて、カバー224が閉状態であるか否かを検出するものである。また、開閉検出部211bは、開閉センサ221からの検出結果に基づいて、カバー224が閉状態から開状態に変化したこと、及び、カバー224が開状態から閉状態に変化したことを検出するものである。
【0040】
昇降位置設定部211cは、開閉検出部211bによってカバー224が閉状態から開状態に変化したと検出された場合に、異常検出部211aの検出結果に基づいて電動トレイ223の下降位置(=カバー224が閉状態から開状態に変化した場合に、電動トレイ223を下降させる位置)を設定するものである。具体的には、昇降位置設定部211cは、異常検出部211aによって搬送異常が検出された場合には、下降位置を給紙位置の近傍(以下の説明において、第1下降位置という)に設定し、異常検出部211aによって搬送異常が検出されていない場合には、電動トレイ223の下降限の位置(以下の説明において、第2下降位置という)に設定するものである。また、昇降位置設定部211cは、第1下降位置を受付部211dにより受け付けられた操作入力情報に基づいて設定するものである。第1下降位置は、例えば、給紙位置から10mm下方の位置である。
【0041】
受付部211dは、操作部13及び操作受付部111aを介してユーザからの操作入力情報(具体的には、後述する電動トレイ223の下降位置に関する操作入力情報)を受け付けると共に、受け付けた操作入力情報を昇降位置設定部211cへ出力するものである。
【0042】
昇降制御部211eは、開閉検出部211bによってカバーが閉状態から開状態に変化したと検出された場合に、昇降位置設定部211cにより設定された下降位置(=第1下降位置又は第2下降位置)に電動トレイ223を下降させ、開閉検出部211bによってカバー224が開状態から閉状態に変化したと検出された場合に、給紙位置まで電動トレイ223を上昇させるべく昇降モータ222を制御するものである。
【0043】
図5は、給紙制御部21の動作の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、便宜上、受付部211dによって、予め、第1下降位置が受け付けられており、所定の記憶部(例えば、RAM212)に格納されているものとする。まず、開閉検出部211bによって、カバー224が閉状態から開状態に変化したか否かが判定される(S101)。カバー224が閉状態から開状態に変化していないと判定された場合(S101でNO)には、処理が待機状態とされる。カバー224が閉状態から開状態に変化したと判定された場合(S101でYES)には、異常検出部211aによって、搬送異常が検出されているか否かが判定される(S103)。搬送異常が検出されていると判定された場合(S103でYES)には、昇降位置設定部211cによって第1下降位置情報が所定の記憶部から取得されて(S105)下降位置として設定され、昇降制御部211eによって、ステップS105において取得された第1下降位置情報に対応する位置(下降位置)まで電動トレイ223を下降するべく昇降モータ222が制御される(S107)。
【0044】
搬送異常が検出されていないと判定された場合(S103でNO)には、昇降制御部211eによって、下降位置として第2下降位置が設定され、第2下降位置まで電動トレイ223を下降するべく昇降モータ222が制御される(S109)。ステップS107又はステップS109の処理が終了した場合には、開閉検出部211bによって、カバー224が開状態から閉状態に変化したか否かが判定される(S111)。開状態から閉状態に変化していないと判定された場合(S111でNO)には、処理が待機状態とされる。開状態から閉状態に変化したと判定された場合(S111でYES)には、昇降制御部211eによって、給紙位置まで電動トレイ223を上昇させるべく昇降モータ222が制御され(S113)、給紙位置まで電動トレイ223が上昇される(ステップS113の処理が完了する)と、処理が終了される。
【0045】
このようにして、カバー224が閉状態から開状態に変化した場合に、記録紙の搬送異常が発生しているか否かの検出結果に基づいて、電動トレイ223の下降位置が設定されて、設定された下降位置に電動トレイ223が下降されるため、記録紙の搬送異常が発生している場合に、記録紙を補給する際の電動トレイ223の位置である下降限の位置よりも高い位置に下降位置を設定することが可能となる。従って、ジャム等の搬送異常の処理を完了した後に、給紙位置まで電動トレイ223が上昇するのに要する時間が削減されるので、ユーザの待ち時間の発生を抑制することできる。
【0046】
また、搬送異常が検出された場合に、電動トレイ223の下降位置が給紙位置の近傍に設定されるため、ジャム等の搬送異常の処理を完了した後に、給紙位置まで電動トレイ223が上昇するのに要する時間が更に削減されるので、ユーザの待ち時間の発生を更に抑制することできる。更に、搬送異常が検出された場合の電動トレイ223の下降位置が、操作入力に基づいて設定されるため、ユーザが所望する下降位置が設定可能となり、利便性を向上することができる。
【0047】
加えて、搬送異常が検出されていない場合に、電動トレイ223の下降位置が、電動トレイ223の下降限の位置に設定されるため、記録紙の補給作業が容易となる。また、搬送異常が検出されている場合であっても、カバー224が開状態から閉状態に変化した場合には、給紙位置まで電動トレイ223が上昇されるため、利便性を向上することができる。更に、搬送異常として発生頻度の高いジャムが検出されるため、更に利便性を向上することができる。
【0048】
なお、本発明は、以下の形態にも適用可能である。
(A)本実施形態では、給紙装置2がCPU211を備えている場合について説明したが、給紙装置2がCPU211を備えず、本体装置1(本体制御部11)のCPU111が、異常検出部211a、開閉検出部211b、昇降位置設定部211c、受付部211d、及び、昇降制御部211eを備える形態でもよい。この場合には、全ての制御がCPU111で集中して行われるため、処理が簡略化される。
【0049】
(B)本実施形態では、給紙装置2(給紙制御部21)のCPU211が異常検出部211aを備えている場合について説明したが、本体装置1(本体制御部11)のCPU111が異常検出部211aを備えている形態でもよい。この場合には、プリンタ10全体における記録紙の搬送異常を一元的にCPU111で管理することができる。ただし、この場合には、CPU111での搬送異常の検出結果をCPU211(昇降位置設定部211c)へ出力する必要がある。
【0050】
(C)本実施形態では、第1下降位置が受付部211dによって受け付けられる場合について説明したが、第1下降位置が予め設定されている形態でもよい。この場合には、処理が簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】は、本発明に係る画像形成装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】は、給紙装置の一例を示す斜視図である。
【図3】は、給紙装置における給紙位置の制御方法等の一例を説明するための構成図である。
【図4】は、本体制御部及び給紙制御部の機能構成の一例を示す機能構成図である。
【図5】は、給紙制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
10 プリンタ
1 本体装置
11 本体制御部
111 CPU
111a 操作受付部(受付手段の一部)
12 印刷処理部(印刷手段)
13 操作部(受付手段の一部)
2 給紙装置
21 給紙制御部
211 CPU
211a 異常検出部(異常検出手段の一部)
211b 開閉検出部(開閉検出手段の一部)
211c 昇降位置設定部(昇降位置設定手段)
211d 受付部(受付手段の一部)
211e 昇降制御部(昇降制御手段の一部)
22 給紙処理部
221 開閉センサ(開閉検出手段の一部)
222 昇降モータ
227 搬送異常検出センサ(異常検出手段の一部)
229 給紙位置検出センサ(昇降制御手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の記録紙が積層されて載置されると共に、記録紙を本体装置へ供給する際に所定の給紙位置に位置制御される電動トレイと、開閉自在に構成され、前記電動トレイ上へ記録紙を補給する際及び前記本体装置への供給位置で発生した記録紙の搬送異常を処理する際に開状態とされるカバーとを備えた給紙装置において、前記電動トレイの昇降を制御する給紙制御装置であって、
前記給紙装置から前記本体装置への記録紙の供給位置において、記録紙の搬送異常が発生しているか否かを検出する異常検出手段と、
前記カバーが閉状態であるか否かを検出する開閉検出手段と、
前記カバーが閉状態から開状態に変化した場合に、前記異常検出手段の検出結果に基づいて前記電動トレイの下降位置を設定する下降位置設定手段と、
前記カバーが閉状態から開状態に変化した場合に、前記下降位置設定手段により設定された下降位置に前記電動トレイを下降させる昇降制御手段と
を備えることを特徴とする給紙制御装置。
【請求項2】
前記下降位置設定手段は、前記異常検出手段により前記搬送異常が検出された場合に、前記電動トレイの下降位置を、前記給紙位置の近傍に設定することを特徴とする請求項1に記載の給紙制御装置。
【請求項3】
外部からの下降位置に関する操作入力を受け付ける受付手段を備え、
前記下降位置設定手段は、前記異常検出手段により前記搬送異常が検出された場合の前記電動トレイの下降位置を、前記受付手段により受け付けられた操作入力に基づいて設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の給紙制御装置。
【請求項4】
前記下降位置設定手段は、前記異常検出手段により前記搬送異常が検出されていない場合に、前記電動トレイの下降位置を、下降限の位置に設定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の給紙制御装置。
【請求項5】
前記昇降制御手段は、前記カバーが開状態から閉状態に変化した場合に、前記給紙位置まで前記電動トレイを上昇させることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の給紙制御装置。
【請求項6】
前記異常検出手段は、前記搬送異常としてジャムを検出することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の給紙制御装置。
【請求項7】
前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の給紙制御装置を有する給紙装置と、
前記給紙装置から供給された記録紙上に画像情報に対応する画像を形成する印刷手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−223743(P2007−223743A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47698(P2006−47698)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】