給電プラグロック装置
【課題】アンロック動作をユーザの意志に沿う適切なタイミングで実施することができる給電プラグロック装置を提供する。
【解決手段】ドアロックポジションスイッチ62は、第1スイッチング素子64を介してAND回路67の一方の入力端子に接続される。アンロックスイッチ59は、分圧抵抗68を介してAND回路67の他方の入力端子に接続される。AND回路67の出力端子は、第2スイッチング素子70を介して給電プラグロックモータ56に接続される。車両ドアがアンロックとなってドアロックポジションスイッチ62がオン状態にあるとき、アンロックスイッチ59がオンしてAND回路67のAND条件が揃うと、第2スイッチング素子70がオンして給電プラグロックモータ56に電流Iが流れる。これにより、給電プラグロック装置33がロックからアンロックに切り換わる。
【解決手段】ドアロックポジションスイッチ62は、第1スイッチング素子64を介してAND回路67の一方の入力端子に接続される。アンロックスイッチ59は、分圧抵抗68を介してAND回路67の他方の入力端子に接続される。AND回路67の出力端子は、第2スイッチング素子70を介して給電プラグロックモータ56に接続される。車両ドアがアンロックとなってドアロックポジションスイッチ62がオン状態にあるとき、アンロックスイッチ59がオンしてAND回路67のAND条件が揃うと、第2スイッチング素子70がオンして給電プラグロックモータ56に電流Iが流れる。これにより、給電プラグロック装置33がロックからアンロックに切り換わる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識の高まりから、二酸化炭素の排出量の少ない車両として、例えばハイブリッド車や電気自動車等の普及が進んでいる。これら車両は、バッテリの電力でモータを回転させ、モータの駆動力により走行するものである。よって、長距離走行してバッテリの残量が減ると、その度にバッテリを充電しなくてはならない(特許文献1等参照)。
【0003】
ところで、バッテリ充電は、バッテリの構成要素である電池セルで化合物やイオンの電解反応を伴うため、充電時間が相対的に長くかかる現状がある。よって、バッテリ充電中、仮に車両から立ち去ってしまうと、その隙に第三者によって給電プラグを付け替えられるなどして、電力を盗電される可能性も否めない。よって、バッテリ充電可能な車両では、給電プラグを車両に挿し込んだ際、給電プラグが不正に車両から引き抜かれないようにロック装置を搭載することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【特許文献2】特開2009−08917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の給電プラグロック装置では、ロックからアンロックへの切り換えを、車両ドアのアンロックとの連動によって行うことが検討されている(例えば特許文献2等参照)。こうすれば、車両ドアをアンロックすれば、必然的に給電プラグロック装置もアンロックとなるので、ユーザに特別なアンロック操作を課すことなく、給電プラグロック装置をロックからアンロックに切り換えることが可能となる。
【0006】
しかし、このシステムでは、ドアアンロック状態において給電プラグロック装置をロック状態に切り換えた場合、ドアロックを一旦ロックしてアンロックに切り換える操作を行わないと、給電プラグロック装置をアンロックに戻すことができない面倒さが発生する。また、給電プラグロック装置がロック状態において車両ドアをアンロックした場合、給電プラグロック装置をアンロックしたくなくても、ドアアンロックに連動して給電プラグロック装置がアンロックしてしまう問題もあった。
【0007】
本発明の目的は、アンロック動作をユーザの意志に沿う適切なタイミングで実施することができる給電プラグロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明では、車両に設けたインレットに給電プラグが接続された際、前記インレット側のロック部材が給電プラグに係止すると、当該給電プラグが前記インレットにロックされる給電プラグロック装置において、アンロック切り換え時に手動操作するアンロック操作手段と、アンロック動作時の駆動源となる駆動手段と、前記アンロック操作手段が操作されたことと、車両ドアがアンロックであることとを条件に、前記駆動手段を駆動して前記ロック部材をアンロック方向に動作させることにより、動作状態をアンロックに切り換える解除実行手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
本発明の構成によれば、給電プラグロック装置にアンロック操作手段を設け、給電プラグロック装置がロックの際、車両ドアがアンロック下でアンロック操作手段が操作されると、駆動手段が駆動して、給電プラグロック装置がロックからアンロックに切り換わる。このため、本構成の場合、給電プラグロック装置のアンロック動作を、単に車両ドアのアンロックに連動させるのではなく、車両ドアのアンロックとアンロック操作手段の操作との両方の成立を条件とした。このため、アンロック動作をユーザの意志に沿う適切なタイミングで実施することが可能となる。
【0010】
本発明では、ロック切り換え時に手動操作するロック操作手段を備え、当該ロック操作手段が操作されると、その手動操作に伴って前記ロック部材が機械的にロック方向に動作することにより、ロックに切り換わることを要旨とする。この構成によれば、給電プラグロック装置のロックへの切り換えを、ロック操作手段を用いた手動操作としたので、ロック動作もユーザの意志に沿う適切なタイミングで実施することが可能となる。
【0011】
本発明では、前記解除実行手段は、前記アンロック操作手段から出力されるH/L信号と、車両ドアのドアロック状態を検出する車両ドアロック状態検出手段から出力されるH/L信号とを入力とするAND回路を有し、当該AND回路のAND条件が揃うと、前記AND回路から信号を出力して前記駆動手段を駆動することを要旨とする。この構成によれば、解除実行手段はAND回路等の部品を組んだ構成で済むので、解除実行手段の構成の簡素化に寄与する。
【0012】
本発明では、前記ロック部材と、当該ロック部材と連れ回りするピース部材と、前記ロック部材をロック位置で保持可能なリンク部材と、当該リンク部材をロック方向に付勢する付勢部材とを備え、前記ロック部材がアンロック位置に位置する際、前記リンク部材の前記付勢部材によるロック方向への動きを前記ピース部材によって規制することにより、アンロック状態を維持し、前記ロック部材及び前記ピース部材が手動操作によってロック方向に動くと、前記規制が解消されることにより、前記リンク部材が前記付勢部材の付勢力によってロック方向に動き、当該リンク部材が前記ピース部材をロックで支持する状態をとって、ロック状態をとることを要旨とする。この構成によれば、ロック部材がロック方向に動いて、ピース部材がリンク部材を支える状態が解除されると、リンク部材が付勢部材の付勢力によって機械的にロック方向に動いて、給電プラグロック装置がロック状態に切り換わる。このため、給電プラグロック装置のロックを機械的な動作とすることが可能となるので、ロック切り換えの確実性を確保することが可能となる。
【0013】
本発明では、前記アンロック操作手段及び前記ロック操作手段は、同一の操作部が共用されていることを要旨とする。この構成によれば、部品点数が削減されるので、給電プラグロック装置の装置体格の小型化や部品コスト削減等に効果が高くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アンロック動作をユーザの意志に沿う適切なタイミングで実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態の車両の構成図。
【図2】給電プラグ及びインレットの外観を示す斜視図。
【図3】給電プラグの構造及び取り付け態様を示す一部破断側面図。
【図4】給電プラグロック装置の分解斜視図。
【図5】給電プラグロック装置の内部構成を示す平面図。
【図6】アンロック状態の給電プラグロック装置の側面図。
【図7】アンロック状態のロック機構を示し、(a)が側面図、(b)が正面図。
【図8】ロック状態の給電プラグロック装置の側面図。
【図9】ロック状態のロック機構を示し、(a)が側面図、(b)が正面図。
【図10】(a)はロックが維持された状態を示す斜視図、(b)はアンロックに切り換わるときの動きを示す斜視図。
【図11】(a)〜(c)は第2実施形態のスイッチ構造を示す説明図。
【図12】(a),(b)は他のスイッチ構造を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した給電プラグロック装置の第1実施形態を図1〜図10に従って説明する。
【0017】
図1に示すように、ハイブリッド車(以下、単に車両1と記す)には、車輪を回す動力をエンジン2又はモータ3にて発生させるハイブリッドシステム4が設けられている。ハイブリッドシステム4には、モータ3の電源としてバッテリ5が設けられている。車両1は、エンジン2の動力で発電してモータ3により走行するモード、エンジン2及びモータ3の両方を動力として走行するモード、モータ3のみで走行するモードなど、各種モードにて走行する。
【0018】
車両1には、ワイヤレスキー6からの通信を契機にID照合を行って車両ドアの施解錠させるワイヤレスキーシステム7が搭載されている。この場合、車両1には、ワイヤレスキー6の正当性を認証する照合ECU(Electronic Control Unit)8と、車両1の各種電装品の電源を管理するボディECU9とが設けられ、これらとハイブリッドシステム4とが車内のバス10によって接続されている。照合ECU8には、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を受信可能な車両受信機11が接続されている。ボディECU9には、ドア施解錠の駆動源となるドアロックモータ12が接続されている。
【0019】
ワイヤレスキー6のワイヤレスボタン13が操作されると、ワイヤレスキー6は、操作されたワイヤレスボタン13に応じたワイヤレス信号SwlをUHF電波により送信する。ワイヤレス信号Swlには、ワイヤレスキー6のIDコードと、操作されたワイヤレスボタン13に応じた機能コードとが含まれている。照合ECU8は、車両受信機11でワイヤレス信号Swlを受信すると、ワイヤレス信号Swl内のIDコードにてID照合(ワイヤレス照合)を実行し、この照合が成立することを確認すると、ボディECU9にドアロックの施解錠動作を実行させる。
【0020】
車両1には、外部電源にてバッテリ5を充電する充電システム14が設けられている。充電システム14は、例えば街の一角に設置された充電スタンドや住宅の商用電源などを充電設備15として、充電設備15の充電ケーブル16の先端に設けられた給電プラグ17を車両1に接続してバッテリ5を充電する。
【0021】
図2に示すように、車体18の側壁には、車体18の給電口19を開閉するリッド20が横開き可能に取り付けられている。給電口19には、給電口19周辺の各種部品やリッド20を取り付けるための収納ボックス21が設けられている。
【0022】
収納ボックス21の略中央位置には、給電プラグ17の嵌め込み先となるインレット22が、例えば複数の締結部材(図示略)によって取り付け固定されている。車体18側の受電コネクタ23は、複数の電気接続端子(パワー端子、制御端子等)が形成されるとともに、インレット22の中央に貫設された通し孔24から外部に引き出されている。インレット22には、受電コネクタ23に給電プラグ17が完挿されたことを検出する図1に示すプラグ接続検出センサ25が設けられている。
【0023】
図3に示すように、給電プラグ17は、充電システム14の電源側であって、受電コネクタ23と同様の電気接続端子を有する。給電プラグ17のプラグ本体26には、接続時の抜け止めとしてロックアーム27が回動操作可能に取り付けられている。ロックアーム27は、先端の爪部28と根元のアーム操作部29とがプラグ本体26の外部に露出されている。ロックアーム27には、アーム操作部29寄りの位置に、ロックアーム27を閉じ側に常時付勢する付勢部材30が設けられている。
【0024】
給電プラグ17を受電コネクタ23に接続する際には、給電プラグ17を受電コネクタ23に向けて真っ直ぐ挿し込む。このとき、爪部28がインレット22の上部の係止突31に当接すると、ロックアーム27はその斜面32に案内されて係止突31を上る。そして、給電プラグ17がインレット22に完挿されると、付勢部材30の付勢力によってロックアーム27が閉じ側に回動する。このため、爪部28が係止突31に引っ掛かり、給電プラグ17がインレット22に抜け止めされる。
【0025】
ハイブリッドシステム4は、プラグ接続検出センサ25にて給電プラグ17の接続を確認すると、給電プラグ17(充電設備15)にバッテリ5の充電を開始させる。ハイブリッドシステム4は、バッテリ5が満充電になったことを確認すると、給電プラグ17に充電を終了させる。充電終了後、給電プラグ17を受電コネクタ23から取り外す際には、アーム操作部29を押してロックアーム27を開き側に回動操作し、係止突31から離間する。そして、この状態で給電プラグ17を受電コネクタ23から真っ直ぐ引き抜くことで、車両1から取り外す。
【0026】
図4及び図5に示すように、給電口19内の収納ボックス21には、受電コネクタ23に接続された給電プラグ17の不正取り外しを防止する給電プラグロック装置33が取り付けられている。本例の給電プラグロック装置33は、ロックへの切り換えがロック手動操作を条件として動作し、アンロックへの切り換えが車両ドアのアンロック及びアンロック手動操作を条件として動作する。
【0027】
給電プラグロック装置33には、平たい箱形状を呈するケース34が設けられている。ケース34は、給電プラグロック装置33の給電プラグロック装置33の部品群を収納する有底箱状のロックボディ35と、ロックボディ35の開口を閉じる略板状の蓋部36とからなる。ロックボディ35及び蓋部36は、複数の締結部材37によって固定されている。給電プラグロック装置33は、ロックボディ35が収納ボックス21に取り付け固定される。ロックボディ35の正面には、給電プラグ17をインレット22に接続/取り外す際にロックアーム27が通る凹部38が形成されている。
【0028】
ロックボディ35と蓋部36との間には、ケース34内の気密性を確保する環状のシール部材39が設けられている。シール部材39は、例えばOリングが使用されている。
ロックボディ35の正面には、ロック切り換え時に操作する略円柱状のロックボタン40が、装置奥行き方向(図4のY軸方向)に直線移動可能に取り付けられている。ロックボタン40は、ロックボディ35に形成されたボタン収納部41に摺動可能に挿し込まれるとともに、手前側の一部分がロックボディ35の外部に露出されている。ロックボタン40の先端とロックボディ35の内壁との間には、ロックボタン40を手前側に常時付勢する付勢部材42が介装されている。付勢部材42は、例えばコイルばねが使用されている。なお、ロックボタン40がロック操作手段及び操作部を構成する。
【0029】
ロックボタン40には、ロックアーム27の開き操作を規制する略円柱状のロックバー43が、装置幅方向(図4のX軸方向)に沿う線を軸Laとして、軸La回りに回動可能に連結されている。ロックバー43は、ロックボディ35に形成されたロックバー収納部44に横向きに配置されるとともに、周方向に回動可能に収納されている。ロックバー43は、端部において突設された掛止突部45が、ロックボタン40に設けられた長孔46に係止されている。このため、ロックボタン40の装置奥行き方向の直線運動が、ロックバー43の軸La回りの回転運動に変換される。なお、ロックバー43がロック部材に相当する。
【0030】
ロックバー43の外周面には、断面三角形状を呈する肉取り部47が形成されている。このため、図6及び図7に示すように、ロックバー43は、肉取り部47がロックアーム27の上にくる回転位置をとると、ロックアーム27の開き操作を許容するアンロック状態をとる。一方、図8及び図9に示すように、ロックバー43は、肉有り部48がロックアーム27の上にくる回転位置をとると、ロックアーム27をインレット22に固定するロック状態をとる。
【0031】
図4に示すように、ロックバー43とロックバー収納部44との間には、ケース34内の気密性を確保する環状のシール部材49が介装されている。シール部材49は、例えばリップシールが使用されている。
【0032】
ロックバー43の端部には、略扇状を呈するロックピース50が、ロックバー43と一体回動可能に取り付け固定されている。ロックピース50は、ロックバー43の軸Laに対して交差する方向に立設されている。ロックピース50は、自身に形成された英大文字D状の取付溝51に、ロックバー43の端面の係止突43aを係止することにより、ロックバー43と一体化されている。ロックボタン40が押し操作されると、ロックピース50はロックバー43とともにロック方向(図4の矢印K1方向)に回転し、ロックボタン40が手間側に移動する動きをとると、ロックピース50はロックバー43とともにアンロック方向(図4の矢印S1方向)に回転する。なお、ロックピース50がピース部材に相当する。
【0033】
ケース34の内部には、ロックピース50と協同してロックバー43をロック位置に保持するロックリンク52が、装置奥行き方向(図4のY軸方向)に沿う線を軸Lbとして、軸Lb回りに回動可能に取り付けられている。ロックリンク52は、軸Lb方向に延びるリンクピン52aに軸支されている。ロックピース50の回動方向に対し、交差する方向に回動する。ロックリンク52には、ロックリンク52をロック方向に常時付勢する付勢部材53が取り付けられている。付勢部材53は、例えばトーションばねが使用されている。ロックリンク52は、付勢部材53の付勢力によってロック方向(図4の矢印K2方向)に回動し、付勢部材53の付勢力に抗してアンロック方向(図4の矢印S2方向)に回動する。なお、ロックリンク52がリンク部材に相当する。
【0034】
ロックリンク52の側部には、ロックピース50の付勢部材42によるアンロック方向の回動を規制する規制部54が突設されている。図9(a),(b)に示すように、ロックボタン40の押し操作に伴いロックピース50がロック方向に回動したとき、ロックピース50による支えが外れてロックリンク52が付勢部材53の付勢力によってロック方向に回転すると、規制部54がケース34及びロックピース50の間に入り込んで、ロックバー43のロック状態を維持する。ロックリンク52において規制部54の反対側の側部には、ロックリンク52の回転方向に沿って複数の歯が並ぶギヤ部55が形成されている。
【0035】
図4〜図9に示すように、ギヤ部55には、ロック状態のロックバー43をアンロック状態に戻す際の駆動源として給電プラグロックモータ56が連結されている。給電プラグロックモータ56は、モータ軸が装置奥行き方向に沿う向きに配置されるとともに、モータ軸の先端に取り付けられたギヤ部57がロックリンク52のギヤ部55に噛合されている。給電プラグロックモータ56は、例えばDCモータが使用され、ハーネス58を介して車両1の電源+Bに接続されている。給電プラグロックモータ56が回転したとき、ロックリンク52は給電プラグロックモータ56と逆方向に回転する。なお、給電プラグロックモータ56が駆動手段に相当する。
【0036】
図1、図2、図4及び図5に示すように、ロックボディ35の前面には、給電プラグロック装置33のアンロック切り換え時に動作するアンロックスイッチ59が設けられている。アンロックスイッチ59には、外部に露出するノブ部60と、ケース34内に収納されたスイッチ接点部61とが設けられている。本例の場合、車両ドアがアンロック状態のときに、アンロックスイッチ59が押し操作されると、給電プラグロック装置33がロック状態からアンロック状態に切り換わる。なお、アンロックスイッチ59がアンロック操作手段に相当する。
【0037】
図1に示すように、車体18には、車両ドアのロック/アンロックを検出するドアロックポジションスイッチ62が設けられている。ドアロックポジションスイッチ62は、車両ドアをワイヤレスキー6によって遠隔操作でアンロックに切り換えたときのみならず、メカニカルキーによる機械的操作でアンロックに切り換えたときも、ドアアンロックに伴いオンするスイッチである。なお、ドアロックポジションスイッチ62が車両ドアロック状態検出手段に相当する。
【0038】
給電プラグロック装置33には、車両ドアのアンロックとアンロックスイッチ59の操作とを条件として給電プラグロック装置33をアンロック動作させる通電回路63が設けられている。この通電回路63には、例えばFET(Field Effect Transistor)からなる第1スイッチング素子64が設けられている。第1スイッチング素子64は、ソース端子が電源+Bに接続され、ドレイン端子が抵抗65を介してグランドに接続され、ゲート端子が分圧抵抗66を介してドアロックポジションスイッチ62に接続されている。なお、通電回路63が解除実行手段に相当する。
【0039】
通電回路63には、2入力1出力のAND回路67が設けられている。AND回路67は、一方の入力端子が第1スイッチング素子64を介してドアロックポジションスイッチ62に接続され、他方の入力端子が分圧抵抗68を介してアンロックスイッチ59に接続されている。詳しくは、AND回路67の一方の端子がドレイン端子及び抵抗65の中点P1に接続され、他方の入力端子が分圧抵抗68の中点P2に接続されている。
【0040】
AND回路67の出力端子には、分圧抵抗69を介して第2スイッチング素子70が接続されている。第2スイッチング素子70は、ドレイン端子が給電プラグロックモータ56に接続され、ソース端子がグランドに接続され、ゲート端子が分圧抵抗69の中点P3に接続されている。
【0041】
アンロックスイッチ59には、アンロックスイッチ59のオン時間を設定するタイマ回路71が設けられている。タイマ回路71は、仮にノブ部60が押されたままの状態となってしまっても、スイッチオン状態を一定時間で停止させるものである。タイマ回路71は、給電プラグロック装置33のアンロック動作が完了するのに充分な時間、スイッチ接点部61をオンする。
【0042】
次に、本例の給電プラグロック装置33の動作を、図6〜図10を用いて説明する。
まず、図6及び図7に、アンロック状態の給電プラグロック装置33を示す。このとき、ロックボタン40は、付勢部材42の付勢力によってケース34から大きく飛び出した初期位置にある。また、ロックバー43は、肉取り部47が係止突31に向く回転位置(アンロック位置)をとり、肉取り部47が有効となっている。つまり、給電プラグロック装置33がアンロック状態をとる。よって、ロックアーム27が揺動操作可能であり、給電プラグ17をインレット22に自由に接続/取り外し可能である。
【0043】
また、図7(a),(b)に示すように、ロックバー43がアンロック位置をとるとき、ロックピース50は、ケース34の内壁面34aに当接したアンロック位置をとっている。このとき、ロックリンク52の規制部54がロックピース50の壁面50aにて支持されて、ロック方向に回転することが規制されている。これにより、給電プラグロック装置33のアンロック状態が保持されている。
【0044】
給電プラグ17をインレット22に接続した後、アンロック状態の給電プラグロック装置33をロック状態にするには、初期位置にあるロックボタン40を押し操作する。このとき、ロックボタン40は、付勢部材42の付勢力に抗して押し操作される。ロックボタン40の押し操作時、ロックバー43及びロックピース50は、ロックボタン40の押し操作とともに、ロック方向(図7(a)の矢印K1方向)に一体回動する。
【0045】
図9に示すように、ロックピース50がケース34の内壁面34bに当接するまでロックボタン40を押し込むと、ロックバー43は略60度回転した状態となる。このとき、ロックバー43は、肉有り部48が有効となる。よって、係止突31に係止したロックアーム27は、ロックバー43によって上が位置規制された状態となり、開き動作が不可となる。つまり、給電プラグロック装置33は、給電プラグ17をインレット22に固定したロック状態となる。
【0046】
また、ロックピース50がロック位置まで目一杯回転すると、ロックリンク52は、ロックピース50の壁面50aに支えられた状態から開放される。このため、ロックリンク52は、付勢部材53の付勢力により、ロック方向(図7(b)の矢印K2方向)に回転する。
【0047】
そして、図9(b)に示すように、ロックリンク52が約45度回転して、規制部54がケース34の内壁面34cに当接すると、ロックリンク52がケース34とロックピース50との間に入り込んだ状態となる。これにより、ロックピース50の回転が不可となるため、給電プラグロック装置33のロック状態が維持される。
【0048】
続いて、バッテリ5の充電が完了するなどして、ロック状態の給電プラグロック装置33をアンロック状態に切り換えたいときには、例えばワイヤレスキー6による遠隔操作や、メカニカルキー(図示略)を使用した機械的操作によって、車両ドアをアンロック状態としておく。車両ドアがアンロック状態に切り換わると、ドアロックポジションスイッチ62がオン状態をとる。よって、第1スイッチング素子64がオンすることになり、AND回路67の一方の入力端子がHレベルに切り換わる。
【0049】
また、車両ドアをアンロック状態に切り換えた後、今度はアンロックスイッチ59を押し操作する。このとき、AND回路67の他方の入力端子もHレベルに切り換わる。よって、AND回路67の両方の入力端子がHレベルをとるので、AND回路67の出力端子がHレベルになる。このため、第2スイッチング素子70がオンし、給電プラグロックモータ56に電流Iが流れ、給電プラグロックモータ56が回転する。
【0050】
図10(a),(b)に示すように、給電プラグロックモータ56が回転すると、モータ回転力がギヤ部55,57によりロックリンク52に伝達されて、ロックリンク52が付勢部材53の付勢力に抗して、アンロック方向(図10(a)の矢印S2方向)に回転をし始める。このとき、ロックリンク52は、ケース34の内壁面34dに当接するまで回転する。
【0051】
そして、図10(b)に示すように、ロックリンク52がアンロック方向に目一杯回転すると、ロックピース50はロックリンク52にて位置規制された状態から開放される。このため、ロックピース50は、付勢部材42の付勢力によってロックバー43とともにアンロック方向(図10(b)の矢印S1方向)に回転をし始め、ケース34の内壁面34dに当接するまで回転する。そして、ロックピース50のアンロック方向への回転に伴って、ロックバー43がアンロック位置に回転するとともに、ロックボタン40が初期位置に復帰する。これにより、給電プラグロック装置33がアンロック状態に復帰する。
【0052】
以上により、本例においては、給電プラグロック装置33のアンロックへの切り換えを、車両ドアがアンロックであることと、アンロックスイッチ59が押し操作されたこととを条件とした。即ち、給電プラグロック装置33のアンロックを単なる車両ドアのアンロック連動とするのではなく、給電プラグロック装置33をアンロックに切り換えるには、車両ドアをアンロックにした状況下で、アンロックスイッチ59が押し操作されることにより実行されることとした。
【0053】
このため、車両ドアがアンロック状況下で給電プラグロック装置33をロックに切り換えた場合、ドアロックをわざわざロックして再度アンロックする操作を実施しなくとも、単にアンロックスイッチ59を押し操作するのみで、給電プラグロック装置33をアンロックに切り換えることが可能となる。また、給電プラグロック装置33がロック状況下で車両ドアをアンロックしても、給電プラグロック装置33はアンロック動作しないので、ユーザの意図に沿わず給電プラグロック装置33がアンロックに切り換わってしまうこともない。
【0054】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)給電プラグロック装置33のアンロック切り換えの条件を、車両ドアがアンロックであることと、アンロックスイッチ59が押し操作されたこととの2条件とした。このため、アンロック動作をユーザの意志に沿う適切なタイミングで実施することができる。
【0055】
(2)給電プラグロック装置33のロックへの切り換えを、ロックボタン40を使用した手動操作としたので、ロック動作もユーザの意志に沿う適切なタイミングで実施することができる。
【0056】
(3)ドアロックポジションスイッチ62及びアンロックスイッチ59の各スイッチ信号を基に給電プラグロックモータ56を駆動させる通電回路63を、AND回路67やスイッチング素子64,70組んだハード回路により構成した。このため、通電回路63の構成が簡素で済み、ひいては給電プラグロック装置33の構成簡素化にも寄与する。
【0057】
(4)ロックボタン40の押し操作によりロックバー43がロック方向に回転して、ロックピース50がロックリンク52を横支えする状態が解除されると、ロックリンク52が付勢部材53の付勢力によってロック方向に動いてケース34とロックピース50との間に入り込み、給電プラグロック装置33がロック状態に切り換わる。このため、給電プラグロック装置33のロックを機械的な動作とすることが可能となるので、ロック切り換えの確実性を確保することができる。
【0058】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図11及び図12に従って説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態において1つのロックボタン40をロック/アンロックで共用した実施例であって、他の基本的な構成は同じである。よって、本例は、第1実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0059】
図11に示すように、ケース34の内部においてロックボタン40の押込み先には、アンロック操作を検出するアンロックスイッチ59(スイッチ接点部61のみでもよい)が配置されている。また、ロックボタン40の共用構造が機械式の場合、ロックボタン40には、ロックボタン40をロック位置/オーバーストローク位置の2位置に配置可能な保持機構81が設けられている。保持機構81は、初期位置から押し操作されたロックボタン40をロック位置にて一旦保持し、この状態からロックボタン40が押し操作された際、奥への更なるストロークを許容する。
【0060】
さて、給電プラグロック装置33をロック状態に切り換えるときには、図11(a)に示すように、初期位置にあるロックボタン40を押し操作する。このとき、ロックボタン40の押し操作に伴いロックピース50及びロックリンク52が可動し、給電プラグロック装置33がロック状態に切り換わる。また、図11(b)に示すように、ロックボタン40は、給電プラグロック装置33がロック状態に切り換わったタイミング、つまりロック位置にて保持機構81により保持される。
【0061】
続いて、ロック状態の給電プラグロック装置33をアンロックに切り換えるときには、図11(b)に示すように、ロック位置にあるロックボタン40を更に奥に押し操作する。このとき、ロックボタン40がオーバーストローク位置まで到達すると、ロックボタン40によってアンロックスイッチ59(スイッチ接点部61)がオンされる。よって、このとき車両ドアがアンロック状態であれば、給電プラグロック装置33がアンロック状態に切り換わる。また、ロックボタン40がオーバーストローク位置に到達すると、保持機構81が解除され、ロックボタン40が元の初期位置に戻る。
【0062】
また、ロックボタン40の共用構造は、図12に示すような電気式としてもよい。この場合、ロックボタン40のストローク経路上には、ロックボタン40がロック位置にあることを検出する押し操作検出スイッチ82が設けられている。押し操作検出スイッチ82は、換言するならば、給電プラグロック装置33がロック状態にあることを検出するスイッチでもある。
【0063】
給電プラグロック装置33には、アンロック動作を制御するアンロック動作制御部83が設けられている。アンロック動作制御部83は、ドアロックポジションスイッチ62、アンロックスイッチ59及び押し操作検出スイッチ82の各スイッチ信号を基に、給電プラグロック装置33のアンロック動作を制御する。本例のアンロック動作制御部83は、押し操作検出スイッチ82がオンした後にアンロックスイッチ59がオンするまでの経過時間を監視して、アンロック動作を制御する。
【0064】
ここで、給電プラグロック装置33をロック状態に切り換えるとき、図12(a)に示す状態からロックボタン40が押し操作されると、押し操作検出スイッチ82がオンした後、直ぐにアンロックスイッチ59がオンになる。このため、アンロック動作制御部83は、押し操作検出スイッチ82からオン信号を入力してから所定時間内に、アンロックスイッチ59からもオン信号を入力するので、このときの操作をロック操作と判断する。よって、給電プラグロックモータ56に通電を許可せず、ロック状態への切り換えを許容する。
【0065】
一方、給電プラグロック装置33をアンロック状態に切り換えるとき、図12(b)に示す状態からロックボタン40が奥に押し操作されると、アンロックスイッチ59がオンされる。このとき、アンロック動作制御部83は、押し操作検出スイッチ82からオン信号を入力してから、所定時間経過後にアンロックスイッチ59からオン信号を入力するので、このときの操作をアンロック操作と判断する。よって、給電プラグロックモータ56への通電を許可し、アンロック状態への切り換えを許容する。
【0066】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(4)に加え、以下の効果を得ることができる。
(5)1つのロックボタン40がロック操作/アンロック操作で共用される。このため、部品点数が削減されるので、給電プラグロック装置33の装置体格の小型化や部品コスト削減に効果が高くなる。
【0067】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・各実施形態において、バッテリ5の充電開始条件は、適宜変更可能である。例えば、プラグ接続検出センサ25がインレット22への給電プラグ17の挿し込みを検出し、かつワイヤレスキー6とID照合が成立することを充電開始条件としてもよい。
【0068】
・各実施形態において、バッテリ5の充電停止は、車両内のスイッチを切ることで行ってもよい。
・各実施形態において、電子キーシステムは、ワイヤレスキーシステム7に限定されない。例えば、車両1からの通信を契機に狭域無線通信(通信距離:数m)にてID照合を行うキー操作フリーシステムや、通信にNFC(Near Field Communication)等の近距離通信を用いる近距離無線認証システムとしてもよい。
【0069】
・各実施形態において、ワイヤレスキーシステム7は、パワースライドドア開閉システムでもよい。
・各実施形態において、アンロック操作手段は、押し操作式に限定されず、例えばノブを平面方向にスライド移動させるスライド式や、ノブを回し操作する回動式でもよい。
【0070】
・各実施形態において、ロック部材は、1つの部品からなるロックバー43に限定されず、例えば複数部品から構成されていてもよい。
・各実施形態において、駆動手段は、モータに限定されず、例えばソレノイドを使用してもよい。
【0071】
・各実施形態において、アンロックスイッチ59(スイッチ接点部61)やドアロックポジションスイッチ62は、有接点式に限定されず、無接点式(磁気センサ、光学センサ等)としてもよい。
【0072】
・各実施形態において、給電プラグロック装置33は、ロック切り換えが手動であることに限定されない。例えば、給電プラグロック装置33のロックを車両ドアのロック連動とするなど、他の方式に変更してもよい。
【0073】
・各実施形態において、ロック部材は、略円柱状の部材が自位置で回転動作するロックバー43に限定されない。例えば、ロック部材は、扇型形状を呈し、根元を支点に回動する部材でもよい。また、ロック部材は、直線方向にスライド移動して、ロック/アンロック位置が切り換わる部材でもよい。
【0074】
・各実施形態において、給電プラグロック装置33の構造は、実施形態に述べた例に限定されず、アンロックをドアアンロック及びスイッチ手動操作を条件とするものであれば、どのような構造を採用してもよい。
【0075】
・各実施形態において、車両1は、ハイブリッド車に限定されず、例えばモータのみで走行する電気自動車でもよい。
・各実施形態において、解除実行手段は、電気素子(AND回路、抵抗、スイッチング素子等)のみを組み合わせた通電回路63に限定されない。例えば、CPU等を有する制御回路(IC:Integrated Circuit)を設け、この制御回路にて給電プラグロックモータ56を駆動制御してもよい。
【0076】
・各実施形態において、AND回路67において車両ドアのポジション検出側から入力する信号は、ドアロックポジションスイッチ62から出力される検出信号に限定されない。要は、車両ドアのロック/アンロックが分かる信号であれば、他の信号を使用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…車両、17…給電プラグ、22…インレット、33…給電プラグロック装置、40…ロック操作手段及び操作部を構成するロックボタン、43…ロック部材としてのロックバー、50…ピース部材としてのロックピース、52…リンク部材としてのロックリンク、53…付勢部材、56…駆動手段としての給電プラグロックモータ、59…アンロック操作手段としてのアンロックスイッチ、62…車両ドアロック状態検出手段としてのドアロックポジションスイッチ、63…解除実行手段としての通電回路、67…AND回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識の高まりから、二酸化炭素の排出量の少ない車両として、例えばハイブリッド車や電気自動車等の普及が進んでいる。これら車両は、バッテリの電力でモータを回転させ、モータの駆動力により走行するものである。よって、長距離走行してバッテリの残量が減ると、その度にバッテリを充電しなくてはならない(特許文献1等参照)。
【0003】
ところで、バッテリ充電は、バッテリの構成要素である電池セルで化合物やイオンの電解反応を伴うため、充電時間が相対的に長くかかる現状がある。よって、バッテリ充電中、仮に車両から立ち去ってしまうと、その隙に第三者によって給電プラグを付け替えられるなどして、電力を盗電される可能性も否めない。よって、バッテリ充電可能な車両では、給電プラグを車両に挿し込んだ際、給電プラグが不正に車両から引き抜かれないようにロック装置を搭載することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【特許文献2】特開2009−08917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の給電プラグロック装置では、ロックからアンロックへの切り換えを、車両ドアのアンロックとの連動によって行うことが検討されている(例えば特許文献2等参照)。こうすれば、車両ドアをアンロックすれば、必然的に給電プラグロック装置もアンロックとなるので、ユーザに特別なアンロック操作を課すことなく、給電プラグロック装置をロックからアンロックに切り換えることが可能となる。
【0006】
しかし、このシステムでは、ドアアンロック状態において給電プラグロック装置をロック状態に切り換えた場合、ドアロックを一旦ロックしてアンロックに切り換える操作を行わないと、給電プラグロック装置をアンロックに戻すことができない面倒さが発生する。また、給電プラグロック装置がロック状態において車両ドアをアンロックした場合、給電プラグロック装置をアンロックしたくなくても、ドアアンロックに連動して給電プラグロック装置がアンロックしてしまう問題もあった。
【0007】
本発明の目的は、アンロック動作をユーザの意志に沿う適切なタイミングで実施することができる給電プラグロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明では、車両に設けたインレットに給電プラグが接続された際、前記インレット側のロック部材が給電プラグに係止すると、当該給電プラグが前記インレットにロックされる給電プラグロック装置において、アンロック切り換え時に手動操作するアンロック操作手段と、アンロック動作時の駆動源となる駆動手段と、前記アンロック操作手段が操作されたことと、車両ドアがアンロックであることとを条件に、前記駆動手段を駆動して前記ロック部材をアンロック方向に動作させることにより、動作状態をアンロックに切り換える解除実行手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
本発明の構成によれば、給電プラグロック装置にアンロック操作手段を設け、給電プラグロック装置がロックの際、車両ドアがアンロック下でアンロック操作手段が操作されると、駆動手段が駆動して、給電プラグロック装置がロックからアンロックに切り換わる。このため、本構成の場合、給電プラグロック装置のアンロック動作を、単に車両ドアのアンロックに連動させるのではなく、車両ドアのアンロックとアンロック操作手段の操作との両方の成立を条件とした。このため、アンロック動作をユーザの意志に沿う適切なタイミングで実施することが可能となる。
【0010】
本発明では、ロック切り換え時に手動操作するロック操作手段を備え、当該ロック操作手段が操作されると、その手動操作に伴って前記ロック部材が機械的にロック方向に動作することにより、ロックに切り換わることを要旨とする。この構成によれば、給電プラグロック装置のロックへの切り換えを、ロック操作手段を用いた手動操作としたので、ロック動作もユーザの意志に沿う適切なタイミングで実施することが可能となる。
【0011】
本発明では、前記解除実行手段は、前記アンロック操作手段から出力されるH/L信号と、車両ドアのドアロック状態を検出する車両ドアロック状態検出手段から出力されるH/L信号とを入力とするAND回路を有し、当該AND回路のAND条件が揃うと、前記AND回路から信号を出力して前記駆動手段を駆動することを要旨とする。この構成によれば、解除実行手段はAND回路等の部品を組んだ構成で済むので、解除実行手段の構成の簡素化に寄与する。
【0012】
本発明では、前記ロック部材と、当該ロック部材と連れ回りするピース部材と、前記ロック部材をロック位置で保持可能なリンク部材と、当該リンク部材をロック方向に付勢する付勢部材とを備え、前記ロック部材がアンロック位置に位置する際、前記リンク部材の前記付勢部材によるロック方向への動きを前記ピース部材によって規制することにより、アンロック状態を維持し、前記ロック部材及び前記ピース部材が手動操作によってロック方向に動くと、前記規制が解消されることにより、前記リンク部材が前記付勢部材の付勢力によってロック方向に動き、当該リンク部材が前記ピース部材をロックで支持する状態をとって、ロック状態をとることを要旨とする。この構成によれば、ロック部材がロック方向に動いて、ピース部材がリンク部材を支える状態が解除されると、リンク部材が付勢部材の付勢力によって機械的にロック方向に動いて、給電プラグロック装置がロック状態に切り換わる。このため、給電プラグロック装置のロックを機械的な動作とすることが可能となるので、ロック切り換えの確実性を確保することが可能となる。
【0013】
本発明では、前記アンロック操作手段及び前記ロック操作手段は、同一の操作部が共用されていることを要旨とする。この構成によれば、部品点数が削減されるので、給電プラグロック装置の装置体格の小型化や部品コスト削減等に効果が高くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アンロック動作をユーザの意志に沿う適切なタイミングで実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態の車両の構成図。
【図2】給電プラグ及びインレットの外観を示す斜視図。
【図3】給電プラグの構造及び取り付け態様を示す一部破断側面図。
【図4】給電プラグロック装置の分解斜視図。
【図5】給電プラグロック装置の内部構成を示す平面図。
【図6】アンロック状態の給電プラグロック装置の側面図。
【図7】アンロック状態のロック機構を示し、(a)が側面図、(b)が正面図。
【図8】ロック状態の給電プラグロック装置の側面図。
【図9】ロック状態のロック機構を示し、(a)が側面図、(b)が正面図。
【図10】(a)はロックが維持された状態を示す斜視図、(b)はアンロックに切り換わるときの動きを示す斜視図。
【図11】(a)〜(c)は第2実施形態のスイッチ構造を示す説明図。
【図12】(a),(b)は他のスイッチ構造を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した給電プラグロック装置の第1実施形態を図1〜図10に従って説明する。
【0017】
図1に示すように、ハイブリッド車(以下、単に車両1と記す)には、車輪を回す動力をエンジン2又はモータ3にて発生させるハイブリッドシステム4が設けられている。ハイブリッドシステム4には、モータ3の電源としてバッテリ5が設けられている。車両1は、エンジン2の動力で発電してモータ3により走行するモード、エンジン2及びモータ3の両方を動力として走行するモード、モータ3のみで走行するモードなど、各種モードにて走行する。
【0018】
車両1には、ワイヤレスキー6からの通信を契機にID照合を行って車両ドアの施解錠させるワイヤレスキーシステム7が搭載されている。この場合、車両1には、ワイヤレスキー6の正当性を認証する照合ECU(Electronic Control Unit)8と、車両1の各種電装品の電源を管理するボディECU9とが設けられ、これらとハイブリッドシステム4とが車内のバス10によって接続されている。照合ECU8には、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を受信可能な車両受信機11が接続されている。ボディECU9には、ドア施解錠の駆動源となるドアロックモータ12が接続されている。
【0019】
ワイヤレスキー6のワイヤレスボタン13が操作されると、ワイヤレスキー6は、操作されたワイヤレスボタン13に応じたワイヤレス信号SwlをUHF電波により送信する。ワイヤレス信号Swlには、ワイヤレスキー6のIDコードと、操作されたワイヤレスボタン13に応じた機能コードとが含まれている。照合ECU8は、車両受信機11でワイヤレス信号Swlを受信すると、ワイヤレス信号Swl内のIDコードにてID照合(ワイヤレス照合)を実行し、この照合が成立することを確認すると、ボディECU9にドアロックの施解錠動作を実行させる。
【0020】
車両1には、外部電源にてバッテリ5を充電する充電システム14が設けられている。充電システム14は、例えば街の一角に設置された充電スタンドや住宅の商用電源などを充電設備15として、充電設備15の充電ケーブル16の先端に設けられた給電プラグ17を車両1に接続してバッテリ5を充電する。
【0021】
図2に示すように、車体18の側壁には、車体18の給電口19を開閉するリッド20が横開き可能に取り付けられている。給電口19には、給電口19周辺の各種部品やリッド20を取り付けるための収納ボックス21が設けられている。
【0022】
収納ボックス21の略中央位置には、給電プラグ17の嵌め込み先となるインレット22が、例えば複数の締結部材(図示略)によって取り付け固定されている。車体18側の受電コネクタ23は、複数の電気接続端子(パワー端子、制御端子等)が形成されるとともに、インレット22の中央に貫設された通し孔24から外部に引き出されている。インレット22には、受電コネクタ23に給電プラグ17が完挿されたことを検出する図1に示すプラグ接続検出センサ25が設けられている。
【0023】
図3に示すように、給電プラグ17は、充電システム14の電源側であって、受電コネクタ23と同様の電気接続端子を有する。給電プラグ17のプラグ本体26には、接続時の抜け止めとしてロックアーム27が回動操作可能に取り付けられている。ロックアーム27は、先端の爪部28と根元のアーム操作部29とがプラグ本体26の外部に露出されている。ロックアーム27には、アーム操作部29寄りの位置に、ロックアーム27を閉じ側に常時付勢する付勢部材30が設けられている。
【0024】
給電プラグ17を受電コネクタ23に接続する際には、給電プラグ17を受電コネクタ23に向けて真っ直ぐ挿し込む。このとき、爪部28がインレット22の上部の係止突31に当接すると、ロックアーム27はその斜面32に案内されて係止突31を上る。そして、給電プラグ17がインレット22に完挿されると、付勢部材30の付勢力によってロックアーム27が閉じ側に回動する。このため、爪部28が係止突31に引っ掛かり、給電プラグ17がインレット22に抜け止めされる。
【0025】
ハイブリッドシステム4は、プラグ接続検出センサ25にて給電プラグ17の接続を確認すると、給電プラグ17(充電設備15)にバッテリ5の充電を開始させる。ハイブリッドシステム4は、バッテリ5が満充電になったことを確認すると、給電プラグ17に充電を終了させる。充電終了後、給電プラグ17を受電コネクタ23から取り外す際には、アーム操作部29を押してロックアーム27を開き側に回動操作し、係止突31から離間する。そして、この状態で給電プラグ17を受電コネクタ23から真っ直ぐ引き抜くことで、車両1から取り外す。
【0026】
図4及び図5に示すように、給電口19内の収納ボックス21には、受電コネクタ23に接続された給電プラグ17の不正取り外しを防止する給電プラグロック装置33が取り付けられている。本例の給電プラグロック装置33は、ロックへの切り換えがロック手動操作を条件として動作し、アンロックへの切り換えが車両ドアのアンロック及びアンロック手動操作を条件として動作する。
【0027】
給電プラグロック装置33には、平たい箱形状を呈するケース34が設けられている。ケース34は、給電プラグロック装置33の給電プラグロック装置33の部品群を収納する有底箱状のロックボディ35と、ロックボディ35の開口を閉じる略板状の蓋部36とからなる。ロックボディ35及び蓋部36は、複数の締結部材37によって固定されている。給電プラグロック装置33は、ロックボディ35が収納ボックス21に取り付け固定される。ロックボディ35の正面には、給電プラグ17をインレット22に接続/取り外す際にロックアーム27が通る凹部38が形成されている。
【0028】
ロックボディ35と蓋部36との間には、ケース34内の気密性を確保する環状のシール部材39が設けられている。シール部材39は、例えばOリングが使用されている。
ロックボディ35の正面には、ロック切り換え時に操作する略円柱状のロックボタン40が、装置奥行き方向(図4のY軸方向)に直線移動可能に取り付けられている。ロックボタン40は、ロックボディ35に形成されたボタン収納部41に摺動可能に挿し込まれるとともに、手前側の一部分がロックボディ35の外部に露出されている。ロックボタン40の先端とロックボディ35の内壁との間には、ロックボタン40を手前側に常時付勢する付勢部材42が介装されている。付勢部材42は、例えばコイルばねが使用されている。なお、ロックボタン40がロック操作手段及び操作部を構成する。
【0029】
ロックボタン40には、ロックアーム27の開き操作を規制する略円柱状のロックバー43が、装置幅方向(図4のX軸方向)に沿う線を軸Laとして、軸La回りに回動可能に連結されている。ロックバー43は、ロックボディ35に形成されたロックバー収納部44に横向きに配置されるとともに、周方向に回動可能に収納されている。ロックバー43は、端部において突設された掛止突部45が、ロックボタン40に設けられた長孔46に係止されている。このため、ロックボタン40の装置奥行き方向の直線運動が、ロックバー43の軸La回りの回転運動に変換される。なお、ロックバー43がロック部材に相当する。
【0030】
ロックバー43の外周面には、断面三角形状を呈する肉取り部47が形成されている。このため、図6及び図7に示すように、ロックバー43は、肉取り部47がロックアーム27の上にくる回転位置をとると、ロックアーム27の開き操作を許容するアンロック状態をとる。一方、図8及び図9に示すように、ロックバー43は、肉有り部48がロックアーム27の上にくる回転位置をとると、ロックアーム27をインレット22に固定するロック状態をとる。
【0031】
図4に示すように、ロックバー43とロックバー収納部44との間には、ケース34内の気密性を確保する環状のシール部材49が介装されている。シール部材49は、例えばリップシールが使用されている。
【0032】
ロックバー43の端部には、略扇状を呈するロックピース50が、ロックバー43と一体回動可能に取り付け固定されている。ロックピース50は、ロックバー43の軸Laに対して交差する方向に立設されている。ロックピース50は、自身に形成された英大文字D状の取付溝51に、ロックバー43の端面の係止突43aを係止することにより、ロックバー43と一体化されている。ロックボタン40が押し操作されると、ロックピース50はロックバー43とともにロック方向(図4の矢印K1方向)に回転し、ロックボタン40が手間側に移動する動きをとると、ロックピース50はロックバー43とともにアンロック方向(図4の矢印S1方向)に回転する。なお、ロックピース50がピース部材に相当する。
【0033】
ケース34の内部には、ロックピース50と協同してロックバー43をロック位置に保持するロックリンク52が、装置奥行き方向(図4のY軸方向)に沿う線を軸Lbとして、軸Lb回りに回動可能に取り付けられている。ロックリンク52は、軸Lb方向に延びるリンクピン52aに軸支されている。ロックピース50の回動方向に対し、交差する方向に回動する。ロックリンク52には、ロックリンク52をロック方向に常時付勢する付勢部材53が取り付けられている。付勢部材53は、例えばトーションばねが使用されている。ロックリンク52は、付勢部材53の付勢力によってロック方向(図4の矢印K2方向)に回動し、付勢部材53の付勢力に抗してアンロック方向(図4の矢印S2方向)に回動する。なお、ロックリンク52がリンク部材に相当する。
【0034】
ロックリンク52の側部には、ロックピース50の付勢部材42によるアンロック方向の回動を規制する規制部54が突設されている。図9(a),(b)に示すように、ロックボタン40の押し操作に伴いロックピース50がロック方向に回動したとき、ロックピース50による支えが外れてロックリンク52が付勢部材53の付勢力によってロック方向に回転すると、規制部54がケース34及びロックピース50の間に入り込んで、ロックバー43のロック状態を維持する。ロックリンク52において規制部54の反対側の側部には、ロックリンク52の回転方向に沿って複数の歯が並ぶギヤ部55が形成されている。
【0035】
図4〜図9に示すように、ギヤ部55には、ロック状態のロックバー43をアンロック状態に戻す際の駆動源として給電プラグロックモータ56が連結されている。給電プラグロックモータ56は、モータ軸が装置奥行き方向に沿う向きに配置されるとともに、モータ軸の先端に取り付けられたギヤ部57がロックリンク52のギヤ部55に噛合されている。給電プラグロックモータ56は、例えばDCモータが使用され、ハーネス58を介して車両1の電源+Bに接続されている。給電プラグロックモータ56が回転したとき、ロックリンク52は給電プラグロックモータ56と逆方向に回転する。なお、給電プラグロックモータ56が駆動手段に相当する。
【0036】
図1、図2、図4及び図5に示すように、ロックボディ35の前面には、給電プラグロック装置33のアンロック切り換え時に動作するアンロックスイッチ59が設けられている。アンロックスイッチ59には、外部に露出するノブ部60と、ケース34内に収納されたスイッチ接点部61とが設けられている。本例の場合、車両ドアがアンロック状態のときに、アンロックスイッチ59が押し操作されると、給電プラグロック装置33がロック状態からアンロック状態に切り換わる。なお、アンロックスイッチ59がアンロック操作手段に相当する。
【0037】
図1に示すように、車体18には、車両ドアのロック/アンロックを検出するドアロックポジションスイッチ62が設けられている。ドアロックポジションスイッチ62は、車両ドアをワイヤレスキー6によって遠隔操作でアンロックに切り換えたときのみならず、メカニカルキーによる機械的操作でアンロックに切り換えたときも、ドアアンロックに伴いオンするスイッチである。なお、ドアロックポジションスイッチ62が車両ドアロック状態検出手段に相当する。
【0038】
給電プラグロック装置33には、車両ドアのアンロックとアンロックスイッチ59の操作とを条件として給電プラグロック装置33をアンロック動作させる通電回路63が設けられている。この通電回路63には、例えばFET(Field Effect Transistor)からなる第1スイッチング素子64が設けられている。第1スイッチング素子64は、ソース端子が電源+Bに接続され、ドレイン端子が抵抗65を介してグランドに接続され、ゲート端子が分圧抵抗66を介してドアロックポジションスイッチ62に接続されている。なお、通電回路63が解除実行手段に相当する。
【0039】
通電回路63には、2入力1出力のAND回路67が設けられている。AND回路67は、一方の入力端子が第1スイッチング素子64を介してドアロックポジションスイッチ62に接続され、他方の入力端子が分圧抵抗68を介してアンロックスイッチ59に接続されている。詳しくは、AND回路67の一方の端子がドレイン端子及び抵抗65の中点P1に接続され、他方の入力端子が分圧抵抗68の中点P2に接続されている。
【0040】
AND回路67の出力端子には、分圧抵抗69を介して第2スイッチング素子70が接続されている。第2スイッチング素子70は、ドレイン端子が給電プラグロックモータ56に接続され、ソース端子がグランドに接続され、ゲート端子が分圧抵抗69の中点P3に接続されている。
【0041】
アンロックスイッチ59には、アンロックスイッチ59のオン時間を設定するタイマ回路71が設けられている。タイマ回路71は、仮にノブ部60が押されたままの状態となってしまっても、スイッチオン状態を一定時間で停止させるものである。タイマ回路71は、給電プラグロック装置33のアンロック動作が完了するのに充分な時間、スイッチ接点部61をオンする。
【0042】
次に、本例の給電プラグロック装置33の動作を、図6〜図10を用いて説明する。
まず、図6及び図7に、アンロック状態の給電プラグロック装置33を示す。このとき、ロックボタン40は、付勢部材42の付勢力によってケース34から大きく飛び出した初期位置にある。また、ロックバー43は、肉取り部47が係止突31に向く回転位置(アンロック位置)をとり、肉取り部47が有効となっている。つまり、給電プラグロック装置33がアンロック状態をとる。よって、ロックアーム27が揺動操作可能であり、給電プラグ17をインレット22に自由に接続/取り外し可能である。
【0043】
また、図7(a),(b)に示すように、ロックバー43がアンロック位置をとるとき、ロックピース50は、ケース34の内壁面34aに当接したアンロック位置をとっている。このとき、ロックリンク52の規制部54がロックピース50の壁面50aにて支持されて、ロック方向に回転することが規制されている。これにより、給電プラグロック装置33のアンロック状態が保持されている。
【0044】
給電プラグ17をインレット22に接続した後、アンロック状態の給電プラグロック装置33をロック状態にするには、初期位置にあるロックボタン40を押し操作する。このとき、ロックボタン40は、付勢部材42の付勢力に抗して押し操作される。ロックボタン40の押し操作時、ロックバー43及びロックピース50は、ロックボタン40の押し操作とともに、ロック方向(図7(a)の矢印K1方向)に一体回動する。
【0045】
図9に示すように、ロックピース50がケース34の内壁面34bに当接するまでロックボタン40を押し込むと、ロックバー43は略60度回転した状態となる。このとき、ロックバー43は、肉有り部48が有効となる。よって、係止突31に係止したロックアーム27は、ロックバー43によって上が位置規制された状態となり、開き動作が不可となる。つまり、給電プラグロック装置33は、給電プラグ17をインレット22に固定したロック状態となる。
【0046】
また、ロックピース50がロック位置まで目一杯回転すると、ロックリンク52は、ロックピース50の壁面50aに支えられた状態から開放される。このため、ロックリンク52は、付勢部材53の付勢力により、ロック方向(図7(b)の矢印K2方向)に回転する。
【0047】
そして、図9(b)に示すように、ロックリンク52が約45度回転して、規制部54がケース34の内壁面34cに当接すると、ロックリンク52がケース34とロックピース50との間に入り込んだ状態となる。これにより、ロックピース50の回転が不可となるため、給電プラグロック装置33のロック状態が維持される。
【0048】
続いて、バッテリ5の充電が完了するなどして、ロック状態の給電プラグロック装置33をアンロック状態に切り換えたいときには、例えばワイヤレスキー6による遠隔操作や、メカニカルキー(図示略)を使用した機械的操作によって、車両ドアをアンロック状態としておく。車両ドアがアンロック状態に切り換わると、ドアロックポジションスイッチ62がオン状態をとる。よって、第1スイッチング素子64がオンすることになり、AND回路67の一方の入力端子がHレベルに切り換わる。
【0049】
また、車両ドアをアンロック状態に切り換えた後、今度はアンロックスイッチ59を押し操作する。このとき、AND回路67の他方の入力端子もHレベルに切り換わる。よって、AND回路67の両方の入力端子がHレベルをとるので、AND回路67の出力端子がHレベルになる。このため、第2スイッチング素子70がオンし、給電プラグロックモータ56に電流Iが流れ、給電プラグロックモータ56が回転する。
【0050】
図10(a),(b)に示すように、給電プラグロックモータ56が回転すると、モータ回転力がギヤ部55,57によりロックリンク52に伝達されて、ロックリンク52が付勢部材53の付勢力に抗して、アンロック方向(図10(a)の矢印S2方向)に回転をし始める。このとき、ロックリンク52は、ケース34の内壁面34dに当接するまで回転する。
【0051】
そして、図10(b)に示すように、ロックリンク52がアンロック方向に目一杯回転すると、ロックピース50はロックリンク52にて位置規制された状態から開放される。このため、ロックピース50は、付勢部材42の付勢力によってロックバー43とともにアンロック方向(図10(b)の矢印S1方向)に回転をし始め、ケース34の内壁面34dに当接するまで回転する。そして、ロックピース50のアンロック方向への回転に伴って、ロックバー43がアンロック位置に回転するとともに、ロックボタン40が初期位置に復帰する。これにより、給電プラグロック装置33がアンロック状態に復帰する。
【0052】
以上により、本例においては、給電プラグロック装置33のアンロックへの切り換えを、車両ドアがアンロックであることと、アンロックスイッチ59が押し操作されたこととを条件とした。即ち、給電プラグロック装置33のアンロックを単なる車両ドアのアンロック連動とするのではなく、給電プラグロック装置33をアンロックに切り換えるには、車両ドアをアンロックにした状況下で、アンロックスイッチ59が押し操作されることにより実行されることとした。
【0053】
このため、車両ドアがアンロック状況下で給電プラグロック装置33をロックに切り換えた場合、ドアロックをわざわざロックして再度アンロックする操作を実施しなくとも、単にアンロックスイッチ59を押し操作するのみで、給電プラグロック装置33をアンロックに切り換えることが可能となる。また、給電プラグロック装置33がロック状況下で車両ドアをアンロックしても、給電プラグロック装置33はアンロック動作しないので、ユーザの意図に沿わず給電プラグロック装置33がアンロックに切り換わってしまうこともない。
【0054】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)給電プラグロック装置33のアンロック切り換えの条件を、車両ドアがアンロックであることと、アンロックスイッチ59が押し操作されたこととの2条件とした。このため、アンロック動作をユーザの意志に沿う適切なタイミングで実施することができる。
【0055】
(2)給電プラグロック装置33のロックへの切り換えを、ロックボタン40を使用した手動操作としたので、ロック動作もユーザの意志に沿う適切なタイミングで実施することができる。
【0056】
(3)ドアロックポジションスイッチ62及びアンロックスイッチ59の各スイッチ信号を基に給電プラグロックモータ56を駆動させる通電回路63を、AND回路67やスイッチング素子64,70組んだハード回路により構成した。このため、通電回路63の構成が簡素で済み、ひいては給電プラグロック装置33の構成簡素化にも寄与する。
【0057】
(4)ロックボタン40の押し操作によりロックバー43がロック方向に回転して、ロックピース50がロックリンク52を横支えする状態が解除されると、ロックリンク52が付勢部材53の付勢力によってロック方向に動いてケース34とロックピース50との間に入り込み、給電プラグロック装置33がロック状態に切り換わる。このため、給電プラグロック装置33のロックを機械的な動作とすることが可能となるので、ロック切り換えの確実性を確保することができる。
【0058】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図11及び図12に従って説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態において1つのロックボタン40をロック/アンロックで共用した実施例であって、他の基本的な構成は同じである。よって、本例は、第1実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0059】
図11に示すように、ケース34の内部においてロックボタン40の押込み先には、アンロック操作を検出するアンロックスイッチ59(スイッチ接点部61のみでもよい)が配置されている。また、ロックボタン40の共用構造が機械式の場合、ロックボタン40には、ロックボタン40をロック位置/オーバーストローク位置の2位置に配置可能な保持機構81が設けられている。保持機構81は、初期位置から押し操作されたロックボタン40をロック位置にて一旦保持し、この状態からロックボタン40が押し操作された際、奥への更なるストロークを許容する。
【0060】
さて、給電プラグロック装置33をロック状態に切り換えるときには、図11(a)に示すように、初期位置にあるロックボタン40を押し操作する。このとき、ロックボタン40の押し操作に伴いロックピース50及びロックリンク52が可動し、給電プラグロック装置33がロック状態に切り換わる。また、図11(b)に示すように、ロックボタン40は、給電プラグロック装置33がロック状態に切り換わったタイミング、つまりロック位置にて保持機構81により保持される。
【0061】
続いて、ロック状態の給電プラグロック装置33をアンロックに切り換えるときには、図11(b)に示すように、ロック位置にあるロックボタン40を更に奥に押し操作する。このとき、ロックボタン40がオーバーストローク位置まで到達すると、ロックボタン40によってアンロックスイッチ59(スイッチ接点部61)がオンされる。よって、このとき車両ドアがアンロック状態であれば、給電プラグロック装置33がアンロック状態に切り換わる。また、ロックボタン40がオーバーストローク位置に到達すると、保持機構81が解除され、ロックボタン40が元の初期位置に戻る。
【0062】
また、ロックボタン40の共用構造は、図12に示すような電気式としてもよい。この場合、ロックボタン40のストローク経路上には、ロックボタン40がロック位置にあることを検出する押し操作検出スイッチ82が設けられている。押し操作検出スイッチ82は、換言するならば、給電プラグロック装置33がロック状態にあることを検出するスイッチでもある。
【0063】
給電プラグロック装置33には、アンロック動作を制御するアンロック動作制御部83が設けられている。アンロック動作制御部83は、ドアロックポジションスイッチ62、アンロックスイッチ59及び押し操作検出スイッチ82の各スイッチ信号を基に、給電プラグロック装置33のアンロック動作を制御する。本例のアンロック動作制御部83は、押し操作検出スイッチ82がオンした後にアンロックスイッチ59がオンするまでの経過時間を監視して、アンロック動作を制御する。
【0064】
ここで、給電プラグロック装置33をロック状態に切り換えるとき、図12(a)に示す状態からロックボタン40が押し操作されると、押し操作検出スイッチ82がオンした後、直ぐにアンロックスイッチ59がオンになる。このため、アンロック動作制御部83は、押し操作検出スイッチ82からオン信号を入力してから所定時間内に、アンロックスイッチ59からもオン信号を入力するので、このときの操作をロック操作と判断する。よって、給電プラグロックモータ56に通電を許可せず、ロック状態への切り換えを許容する。
【0065】
一方、給電プラグロック装置33をアンロック状態に切り換えるとき、図12(b)に示す状態からロックボタン40が奥に押し操作されると、アンロックスイッチ59がオンされる。このとき、アンロック動作制御部83は、押し操作検出スイッチ82からオン信号を入力してから、所定時間経過後にアンロックスイッチ59からオン信号を入力するので、このときの操作をアンロック操作と判断する。よって、給電プラグロックモータ56への通電を許可し、アンロック状態への切り換えを許容する。
【0066】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(4)に加え、以下の効果を得ることができる。
(5)1つのロックボタン40がロック操作/アンロック操作で共用される。このため、部品点数が削減されるので、給電プラグロック装置33の装置体格の小型化や部品コスト削減に効果が高くなる。
【0067】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・各実施形態において、バッテリ5の充電開始条件は、適宜変更可能である。例えば、プラグ接続検出センサ25がインレット22への給電プラグ17の挿し込みを検出し、かつワイヤレスキー6とID照合が成立することを充電開始条件としてもよい。
【0068】
・各実施形態において、バッテリ5の充電停止は、車両内のスイッチを切ることで行ってもよい。
・各実施形態において、電子キーシステムは、ワイヤレスキーシステム7に限定されない。例えば、車両1からの通信を契機に狭域無線通信(通信距離:数m)にてID照合を行うキー操作フリーシステムや、通信にNFC(Near Field Communication)等の近距離通信を用いる近距離無線認証システムとしてもよい。
【0069】
・各実施形態において、ワイヤレスキーシステム7は、パワースライドドア開閉システムでもよい。
・各実施形態において、アンロック操作手段は、押し操作式に限定されず、例えばノブを平面方向にスライド移動させるスライド式や、ノブを回し操作する回動式でもよい。
【0070】
・各実施形態において、ロック部材は、1つの部品からなるロックバー43に限定されず、例えば複数部品から構成されていてもよい。
・各実施形態において、駆動手段は、モータに限定されず、例えばソレノイドを使用してもよい。
【0071】
・各実施形態において、アンロックスイッチ59(スイッチ接点部61)やドアロックポジションスイッチ62は、有接点式に限定されず、無接点式(磁気センサ、光学センサ等)としてもよい。
【0072】
・各実施形態において、給電プラグロック装置33は、ロック切り換えが手動であることに限定されない。例えば、給電プラグロック装置33のロックを車両ドアのロック連動とするなど、他の方式に変更してもよい。
【0073】
・各実施形態において、ロック部材は、略円柱状の部材が自位置で回転動作するロックバー43に限定されない。例えば、ロック部材は、扇型形状を呈し、根元を支点に回動する部材でもよい。また、ロック部材は、直線方向にスライド移動して、ロック/アンロック位置が切り換わる部材でもよい。
【0074】
・各実施形態において、給電プラグロック装置33の構造は、実施形態に述べた例に限定されず、アンロックをドアアンロック及びスイッチ手動操作を条件とするものであれば、どのような構造を採用してもよい。
【0075】
・各実施形態において、車両1は、ハイブリッド車に限定されず、例えばモータのみで走行する電気自動車でもよい。
・各実施形態において、解除実行手段は、電気素子(AND回路、抵抗、スイッチング素子等)のみを組み合わせた通電回路63に限定されない。例えば、CPU等を有する制御回路(IC:Integrated Circuit)を設け、この制御回路にて給電プラグロックモータ56を駆動制御してもよい。
【0076】
・各実施形態において、AND回路67において車両ドアのポジション検出側から入力する信号は、ドアロックポジションスイッチ62から出力される検出信号に限定されない。要は、車両ドアのロック/アンロックが分かる信号であれば、他の信号を使用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…車両、17…給電プラグ、22…インレット、33…給電プラグロック装置、40…ロック操作手段及び操作部を構成するロックボタン、43…ロック部材としてのロックバー、50…ピース部材としてのロックピース、52…リンク部材としてのロックリンク、53…付勢部材、56…駆動手段としての給電プラグロックモータ、59…アンロック操作手段としてのアンロックスイッチ、62…車両ドアロック状態検出手段としてのドアロックポジションスイッチ、63…解除実行手段としての通電回路、67…AND回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けたインレットに給電プラグが接続された際、前記インレット側のロック部材が給電プラグに係止すると、当該給電プラグが前記インレットにロックされる給電プラグロック装置において、
アンロック切り換え時に手動操作するアンロック操作手段と、
アンロック動作時の駆動源となる駆動手段と、
前記アンロック操作手段が操作されたことと、車両ドアがアンロックであることとを条件に、前記駆動手段を駆動して前記ロック部材をアンロック方向に動作させることにより、動作状態をアンロックに切り換える解除実行手段と
を備えたことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項2】
ロック切り換え時に手動操作するロック操作手段を備え、当該ロック操作手段が操作されると、その手動操作に伴って前記ロック部材が機械的にロック方向に動作することにより、ロックに切り換わる
ことを特徴とする請求項1に記載の給電プラグロック装置。
【請求項3】
前記解除実行手段は、前記アンロック操作手段から出力されるH/L信号と、車両ドアのドアロック状態を検出する車両ドアロック状態検出手段から出力されるH/L信号とを入力とするAND回路を有し、当該AND回路のAND条件が揃うと、前記AND回路から信号を出力して前記駆動手段を駆動する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の給電プラグロック装置。
【請求項4】
前記ロック部材と、当該ロック部材と連れ回りするピース部材と、前記ロック部材をロック位置で保持可能なリンク部材と、当該リンク部材をロック方向に付勢する付勢部材とを備え、
前記ロック部材がアンロック位置に位置する際、前記リンク部材の前記付勢部材によるロック方向への動きを前記ピース部材によって規制することにより、アンロック状態を維持し、前記ロック部材及び前記ピース部材が手動操作によってロック方向に動くと、前記規制が解消されることにより、前記リンク部材が前記付勢部材の付勢力によってロック方向に動き、当該リンク部材が前記ピース部材をロックで支持する状態をとって、ロック状態をとる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の給電プラグロック装置。
【請求項5】
前記アンロック操作手段及び前記ロック操作手段は、同一の操作部が共用されている
ことを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。
【請求項1】
車両に設けたインレットに給電プラグが接続された際、前記インレット側のロック部材が給電プラグに係止すると、当該給電プラグが前記インレットにロックされる給電プラグロック装置において、
アンロック切り換え時に手動操作するアンロック操作手段と、
アンロック動作時の駆動源となる駆動手段と、
前記アンロック操作手段が操作されたことと、車両ドアがアンロックであることとを条件に、前記駆動手段を駆動して前記ロック部材をアンロック方向に動作させることにより、動作状態をアンロックに切り換える解除実行手段と
を備えたことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項2】
ロック切り換え時に手動操作するロック操作手段を備え、当該ロック操作手段が操作されると、その手動操作に伴って前記ロック部材が機械的にロック方向に動作することにより、ロックに切り換わる
ことを特徴とする請求項1に記載の給電プラグロック装置。
【請求項3】
前記解除実行手段は、前記アンロック操作手段から出力されるH/L信号と、車両ドアのドアロック状態を検出する車両ドアロック状態検出手段から出力されるH/L信号とを入力とするAND回路を有し、当該AND回路のAND条件が揃うと、前記AND回路から信号を出力して前記駆動手段を駆動する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の給電プラグロック装置。
【請求項4】
前記ロック部材と、当該ロック部材と連れ回りするピース部材と、前記ロック部材をロック位置で保持可能なリンク部材と、当該リンク部材をロック方向に付勢する付勢部材とを備え、
前記ロック部材がアンロック位置に位置する際、前記リンク部材の前記付勢部材によるロック方向への動きを前記ピース部材によって規制することにより、アンロック状態を維持し、前記ロック部材及び前記ピース部材が手動操作によってロック方向に動くと、前記規制が解消されることにより、前記リンク部材が前記付勢部材の付勢力によってロック方向に動き、当該リンク部材が前記ピース部材をロックで支持する状態をとって、ロック状態をとる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の給電プラグロック装置。
【請求項5】
前記アンロック操作手段及び前記ロック操作手段は、同一の操作部が共用されている
ことを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−72231(P2013−72231A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212661(P2011−212661)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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