絶縁ケーブル端末
【課題】気密性、水密性が高く、使用による劣化も起こさず、また、歩留まりよく製造することができる絶縁ケーブル端末を提供する。
【解決手段】絶縁ケーブル端末100は、導体121、ポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂の第1の被覆体122および熱可塑性ポリウレタン樹脂の第2の被覆体123からなる複数の絶縁線心120と、熱可塑性ポリウレタン樹脂のシース111と、導体、第1の被覆体および第2の被覆体からなり、複数の絶縁線心のいずれかに接続された少なくとも1本のリード線160と、第2の被覆体、シースおよび少なくとも1本のリード線のそれぞれと融着する熱可塑性ポリアミド樹脂からなり、これらを被覆してシールする成形体130とを有する。
【解決手段】絶縁ケーブル端末100は、導体121、ポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂の第1の被覆体122および熱可塑性ポリウレタン樹脂の第2の被覆体123からなる複数の絶縁線心120と、熱可塑性ポリウレタン樹脂のシース111と、導体、第1の被覆体および第2の被覆体からなり、複数の絶縁線心のいずれかに接続された少なくとも1本のリード線160と、第2の被覆体、シースおよび少なくとも1本のリード線のそれぞれと融着する熱可塑性ポリアミド樹脂からなり、これらを被覆してシールする成形体130とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種センサーや端子、コネクタ等に接続した際に、高い気密性能および水密性能を発揮する絶縁ケーブル端末に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、ロボット、電子機器等における各種センサー等の機器部品や電極端子、コネクタに接続される、複数の絶縁電線の外周にシースを設けてなる絶縁ケーブルは、その端末の接続部分に気密性や水密性が要求される場合がある。ケーブル内部からのガスや水分の進入により、接続された電気機器へ損傷を与えるおそれがあるためである。
【0003】
ケーブルに気密性や水密性を持たせる技術の1つとして、接続部分およびその周辺部位を樹脂成形体で被覆し、保護するというものがある(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−217361号公報
【特許文献2】特開平10−233124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術によると、成形体でケーブルシースを被覆することにより、ケーブル外部からのガスや水分の進入を防ぐことができるものの、ケーブル内部からの進入については対応できないという問題点がある。一般に、複数の絶縁線心を集合撚り合わせする場合、紙や綿糸等の介在物とともに撚り合わせるため、この介在物を通ってガスや水分が進入しやすいためである。
【0006】
また、特許文献2に記載の技術によると、成形体でケーブルシースおよび絶縁線心を被覆することによりケーブル内外からのガスや水分の進入を防ぐことができるものの、絶縁線心の被覆層を形成するポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂と、成形体を形成するポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の樹脂との接着性が悪く、ケーブル使用時の加熱、冷却の繰り返した場合には、剥離が生じてガスや水分の進入を許すという問題点がある。
【0007】
その他にも、一般に用いられている技術として、エポキシ樹脂や流動性の高い接着剤を用いてケーブルをシールするものがあるが、エポキシ樹脂や接着剤の流動性の高さから構造にばらつきが生じやすく、気密不良の発生による歩留まりの低下が生じるという問題点がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、気密性、水密性が高く、使用による劣化も起こさず、また、歩留まりよく製造することができる絶縁ケーブル端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、上記目的を達成するため、導体、前記導体の外周に設けられたポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂の第1の被覆体および前記第1の被覆体の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂の第2の被覆体からなる複数の絶縁線心と、前記複数の絶縁線心の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂のシースと、前記導体、前記第1の被覆体および前記第2の被覆体からなり、前記複数の絶縁線心のいずれかに接続された少なくとも1本のリード線と、前記複数の絶縁線心の第2の被覆体、前記シースおよび前記少なくとも1本のリード線のそれぞれと融着する熱可塑性ポリアミド樹脂からなり、前記第2の被覆体、前記シースおよび前記少なくとも1本のリード線を被覆してシールする成形体と、を有することを特徴とする絶縁ケーブル端末を提供する。
【0010】
また、本発明の他の一態様は、上記目的を達成するため、導体、前記導体の外周に設けられたポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂の第1の被覆体および前記第1の被覆体の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂の第2の被覆体からなる複数の絶縁線心と、前記複数の絶縁線心の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂のシースと、前記複数の絶縁線心と前記シースとの間に設けられたシールド導体と、前記導体、前記第1の被覆体および前記第2の被覆体からなり、前記複数の絶縁線心のいずれかに接続され、前記シールド導体に接続された少なくとも1本のリード線と、前記複数の絶縁線心の第2の被覆体、前記シースおよび前記少なくとも1本のリード線のそれぞれと融着する熱可塑性ポリアミド樹脂からなり、前記第2の被覆体、前記シース、前記シールド導体および前記少なくとも1本のリード線を被覆してシールする成形体と、を有することを特徴とする絶縁ケーブル端末を提供する。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、導体と、前記導体の外周に設けられたポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂からなる第1の被覆体と、前記第1の被覆体の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる第2の被覆体とを有する複数の絶縁線心と、前記複数の絶縁線心の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂からなるシースと、前記複数の絶縁線心の端末に接続されたコネクタと、前記複数の絶縁線心および前記シースにそれぞれ融着することにより、前記複数の絶縁線心、前記シースおよび前記コネクタを被覆してシールする熱可塑性ポリアミド樹脂からなる成形体と、を有するものであってもよい。
【0012】
前記コネクタは、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエステル樹脂からなり、前記成形体と融着しているものであってもよい。
【0013】
また、上記本発明の一態様に係る絶縁ケーブル端末は、接続機器に接続する際にネジ等の取り付け部品により固定するための取り付け固定孔を前記成形体に有するものであってもよい。
【0014】
ポリオレフィン系樹脂とは、例えば、ポリオレフィンを主成分とする混和物、高密度ポリエチレン、熱架橋難燃ポリエチレン等である。
【0015】
上記本発明の一態様によれば、前記第2の被覆体および前記シースに熱可塑性ポリウレタン樹脂を、前記成形体に熱可塑性ポリアミド樹脂を用いて、前記成形体を前記複数の絶縁線心の前記第2の被覆体および前記シースに熱融着させることにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末を作製することが可能となる。
【0016】
また、上記本発明の一態様によれば、熱可塑性ポリウレタン樹脂が、吸湿による絶縁抵抗値の変動、およびその柔軟性による加工(剥離)の困難性という欠点を有しているところ、前記絶縁線心の被覆体をポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂からなる前記第1の被覆体と熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる前記第2の被覆体の2層構造とすることにより、これらの欠点を克服することが可能となる。
【0017】
また、上記本発明の一態様によれば、前記シースを前記成形体で固定する必要のない場合であっても、前記成形体が前記複数の絶縁線心の前記第2の被覆体を被覆することにより、接続機器へのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末を作製することができる。
【0018】
また、上記本発明の一態様によれば、前記絶縁ケーブル端末が前記コネクタを有する場合であっても、前記成形体が前記シース、前記複数の絶縁線心の前記第2の被覆体、および前記コネクタを被覆することにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末を作製することができる。
【0019】
また、上記本発明の一態様によれば、前記複数の絶縁線心のいずれかに前記リード線が接続されている場合であっても、前記成形体が前記シース、前記複数の絶縁線心の前記第2の被覆体、前記リード線、前記絶縁線心と前記リード線から露出した前記導体を被覆することにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末を作製することができる。
【0020】
また、上記本発明の一態様によれば、前記ケーブルから露出した前記シールド導体に前記リード線が接続されている場合であっても、前記成形体が前記シース、前記複数の絶縁線心の前記第2の被覆体、前記リード線、前記リード線から露出した前記導体、および前記シールド導体を被覆することにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末を作製することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、気密性、水密性が高く、使用による劣化も起こさず、また、歩留まりよく製造することができる絶縁ケーブル端末を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図および断面図である。
【図1B】(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る絶縁ケーブルおよび絶縁線心の断面図である。
【図2】(a)、(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図および断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図である。
【図4】(a)、(b)は、本発明の第4の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図および断面図である。
【図5A】本発明の第5の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図である。
【図5B】本発明の第5の実施の形態に係るケーブルの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施例1に係る絶縁ケーブル端末の各部の寸法を示した側面図である。
【図7】本発明の実施例2に係る絶縁ケーブル端末の各部の寸法を示した側面図である。
【図8】本発明の実施例3に係る絶縁ケーブル端末の各部の寸法を示した側面図である。
【図9】本発明の実施例4に係る絶縁ケーブル端末の各部の寸法を示した側面図である。
【図10】絶縁ケーブル端末の融着強度試験の様子を示す概略図である。
【図11】(a)、(b)は、絶縁ケーブル端末の気密性試験の様子を示す概略図である。
【図12】絶縁ケーブル端末の屈曲試験の様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1の実施の形態]
(絶縁ケーブル端末の構成)
図1A(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図および断面図であり、図1B(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る絶縁ケーブルおよび絶縁線心の断面図である。図1A(a)、(b)においては、絶縁線心およびケーブルの構成は簡略化して示し、これらの詳細な構成は図1B(a)、(b)で示す。
【0024】
図1A(a)に示すように、この絶縁ケーブル端末100は、ケーブル110と、絶縁線心120と、熱可塑性ポリアミド樹脂からなる成形体130と、を有して概略構成されている。
【0025】
図1A(b)は、図1A(a)に示す絶縁ケーブル端末100の成形体130部分から先をケーブル110の長さ方向に半分に切断した様子を示す。成形体130はケーブル110および絶縁線心120と融着部140において融着している。なお、図1A(b)は、絶縁線心およびケーブルの構成は簡略化して示されており、実際は、成形体130はケーブル110のシース111、絶縁線心120の第2の被覆体123と融着部140において融着している。
【0026】
図1B(a)に示すように、ケーブル110は、複数の絶縁線心120と、複数の絶縁線心120の間の空隙を埋める綿糸介在115と、複数の絶縁線心を被覆する第1のテープ113と、第1のテープ113を被覆するシールド導体112と、シールド導体112を被覆する第2のテープ114と、第2のテープ114を被覆する熱可塑性ポリウレタン樹脂からなるシース111と、を有して概略構成されている。
【0027】
ここで、第1のテープ113および第2のテープ114は、例えば、絶縁性の紙からなる。
【0028】
また、シールド導体112は、例えば、導線を編組、横巻き等に構成したもの、導電性のテープを巻いたものが用いられる。なお、シールド導体112に接するように、ケーブル110内にドレインが挿入されていてもよい。
【0029】
図1B(b)に示すように、絶縁線心120は、導体121と、導体121を被覆するポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂からなる第1の被覆体122と、第1の被覆体122を被覆する熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる第2の被覆体123と、を有して概略構成されている。
【0030】
ここで、導体は、例えば軟銅線、錫めっき軟銅線を用いることができる。
【0031】
(絶縁ケーブル端末の作製)
まず、複数の絶縁線心120を用意し、これらを綿糸介在115と共に撚り合わせ、その上から第1のテープ113、シールド導体112、第2のテープ114、シース111を順番に被覆し、ケーブル110を作製する。
【0032】
なお、ケーブル110内の複数の絶縁線心120の形態は、撚り合わせでなくともよい。
【0033】
次に、ケーブル110の端末のシース111、第2のテープ114、シールド導体112、第1のテープ113、綿糸介在115を除去し、絶縁線心120を露出させる。
【0034】
次に、絶縁線心120を露出させたケーブル110の端末を所定のキャビティ形状を有する金型内に固定した後、加熱により溶かした熱可塑性ポリアミド樹脂を金型内に流入して成形体130を形成し、絶縁ケーブル端末100を作製する。
【0035】
ここで、成形体130を形成する際、成形体130は複数の絶縁線心120およびシース111にそれぞれ融着し、これらを被覆する。
【0036】
(第1の実施の形態の効果)
この第1の実施の形態によれば、第2の被覆体123およびシース111に熱可塑性ポリウレタン樹脂を、成形体130に熱可塑性ポリアミド樹脂を用いて、成形体130を第2の被覆体123およびシース111に熱融着させることにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末100を作製することができる。
【0037】
また、熱可塑性ポリウレタン樹脂が、吸湿による絶縁抵抗値の変動、およびその柔軟性による加工(剥離)の困難性という欠点を有しているところ、絶縁線心120の被覆体をポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂からなる第1の被覆体122と熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる第2の被覆体123の2層構造とすることにより、これらの欠点を克服することができる。
【0038】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末は、成形体がシースは被覆せずに、絶縁線心のみをシールしている点で第1の実施の形態と異なる。なお、その他の構成や作製方法等、第1の実施の形態と同様である点については、説明を省略する。
【0039】
(絶縁ケーブル端末の構成)
図2(a)、(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図および断面図である。図2(a)、(b)においては、図1A(a)、(b)と同様に、絶縁線心およびケーブルの構成は簡略化して示し、これらの詳細な構成は図1B(a)、(b)で示す。
【0040】
図2(a)に示すように、この絶縁ケーブル端末100は、ケーブル110と、絶縁線心120と、成形体130と、を有して概略構成されている。
【0041】
ここで、成形体130は、ケーブル110内から露出した複数の絶縁線心120を被覆してシールしている。なお、同図においては、複数の絶縁線心は並列に並んで成形体130に被覆されているが、複数の絶縁線心の配置はこれに限られない。
【0042】
図2(b)は、図2(a)に示す絶縁ケーブル端末100の成形体130部分から先をケーブル110の長さ方向に半分に切断した様子を示す。成形体130は絶縁線心120と融着部140において融着している。なお、図2(b)は、絶縁線心およびケーブルの構成は簡略化して示されており、実際は、成形体130は絶縁線心120の第2の被覆体123と融着部140において融着している。
【0043】
(第2の実施の形態の効果)
この第2の実施の形態によれば、構造上、ケーブル内部からは接続機器へガスおよび水分は流入せず、また、成形体130が複数の絶縁線心120を被覆することにより、ケーブル外部からの接続機器へのガスおよび水分の流入も防ぐことができるため、シース111を成形体130で固定する必要のない場合であっても、高い気密性および水密性を絶縁ケーブル端末100に付与することができる。
【0044】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末は、絶縁線心の端末にコネクタが接続され、成形体がケーブル、絶縁線心、およびコネクタを被覆してシールしている点で第1の実施の形態と異なる。なお、その他の構成や作製方法等、第1の実施の形態と同様である点については、説明を省略する。
【0045】
(絶縁ケーブル端末の構成)
図3は、本発明の第3の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図である。図3においては、図1A(a)、(b)と同様に、絶縁線心およびケーブルの構成は簡略化して示し、これらの詳細な構成は図1B(a)、(b)で示す。
【0046】
図3に示すように、この絶縁ケーブル端末100は、ケーブル110と、絶縁線心120と、成形体130と、コネクタ150と、を有して概略構成されている。
【0047】
ここで、成形体130は、ケーブル110、ケーブル110内から露出した複数の絶縁線心120、およびコネクタ150を被覆してシールしている。なお、同図においては、複数の絶縁線心が並列に並んで接続されるコネクタ150を用いているが、コネクタ150の形状はこれに限られない。
【0048】
また、図示しないが、成形体130は、ケーブル110のシース111、および絶縁線心120の第2の被覆体123と、それらとの接触面において融着している。
【0049】
また、コネクタ150は、ポリエステル樹脂等の、成形体130の材料であるポリアミド樹脂との熱融着性の良い材料からなることが好ましい。この場合、成形体130は、コネクタ150とも、融着し、気密性および水密性をさらに高めることができる。
【0050】
(第3の実施の形態の効果)
この第3の実施の形態によれば、絶縁ケーブル端末100がコネクタ150を有する場合であっても、成形体130がケーブル110、複数の絶縁線心120、およびコネクタ150を被覆することにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末100を作製することができる。
【0051】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末は、複数の絶縁線心のいずれかに少なくとも1本のリード線が接続され、成形体がケーブル、絶縁線心、およびリード線を被覆してシールしている点で第1の実施の形態と異なる。なお、その他の構成や作製方法等、第1の実施の形態と同様である点については、説明を省略する。
【0052】
(絶縁ケーブル端末の構成)
図4(a)、(b)は、本発明の第4の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図および断面図である。図4(a)、(b)においては、図1A(a)、(b)と同様に、絶縁線心およびケーブルの構成は簡略化して示し、これらの詳細な構成は図1B(a)、(b)で示す。
【0053】
図4(a)に示すように、この絶縁ケーブル端末100は、ケーブル110と、絶縁線心120と、成形体130と、リード線160と、を有して概略構成されている。
【0054】
ここで、リード線160は絶縁線心120と同様に、導体121と、導体121を被覆するポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂からなる第1の被覆体122と、第1の被覆体122を被覆する熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる第2の被覆体123と、を有して構成されている。
【0055】
絶縁線心120とリード線160のそれぞれの導体121は、導体接続部161において接続されている。接続の方法は、例えば、半田付けにより行われる。
【0056】
ここで、成形体130は、ケーブル110、ケーブル110内から露出した複数の絶縁線心120、リード線160、絶縁線心120とリード線160から露出した導体121、および導体接続部161を被覆してシールしている。なお、同図においては、絶縁線心120に接続されるリード線160は1本で示されているが、リード線160の数は1本に限られない。
【0057】
図4(b)は、図4(a)に示す絶縁ケーブル端末100の成形体130部分から先をケーブル110の長さ方向に半分に切断した様子を示す。成形体130はケーブル110、絶縁線心120、およびリード線160と融着部140において融着している。なお、図4(b)は、絶縁線心およびケーブルの構成は簡略化して示されており、実際は、成形体130はケーブル110のシース111、絶縁線心120およびリード線160の第2の被覆体123と融着部140において融着している。
【0058】
(第4の実施の形態の効果)
この第4の実施の形態によれば、複数の絶縁線心120のいずれかにリード線160が接続されている場合であっても、成形体130がケーブル110、複数の絶縁線心120、リード線160、絶縁線心120とリード線160から露出した導体121、および導体接続部161を被覆することにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末100を作製することができる。
【0059】
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末は、ケーブルから露出したシールド導体にリード線が接続され、成形体がケーブル、絶縁線心、およびリード線を被覆してシールしている点で第1の実施の形態と異なる。なお、その他の構成や作製方法等、第1の実施の形態と同様である点については、説明を省略する。
【0060】
(絶縁ケーブル端末の構成)
図5Aは、本発明の第5の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図である。図5Aにおいては、図1A(a)、(b)と同様に、絶縁線心およびケーブルの構成は簡略化して示し、これらの詳細な構成は図1B(a)、(b)で示す。
【0061】
図5Aに示すように、この絶縁ケーブル端末100は、ケーブル110と、絶縁線心120と、成形体130と、リード線160と、を有して概略構成されている。
【0062】
ここで、リード線160は絶縁線心120と同様に、導体121と、導体121を被覆するポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂からなる第1の被覆体122と、第1の被覆体122を被覆する熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる第2の被覆体123と、を有して構成されている。
【0063】
リード線から露出した導体121は、ケーブル110から露出したシールド導体112と導体接続部162において接続されている。シールド導体112は、ケーブル内においては複数の絶縁線心120の周囲に配置しているが、ケーブル110から露出した部分は1本に束ねられている。接続の方法は、例えば、半田付けにより行われる。
【0064】
ここで、成形体130は、ケーブル110、ケーブル110内から露出した複数の絶縁線心120、リード線160、リード線160から露出した導体121、および導体接続部162を被覆してシールしている。
【0065】
また、図示しないが、成形体130は、ケーブル110のシース111、および絶縁線心120とリード線160の第2の被覆体123と、それらとの接触面において融着している。
【0066】
なお、この第5の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末100において、複数の絶縁線心120のうち、少なくとも1本の絶縁線心120の代わりに、図5Bに示された、この第5の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末100のケーブル110と同様の構成を有するケーブル170(シールド導体112にリード線160が接続されたケーブル)が含まれていてもよい。なお、このケーブル170に含まれる絶縁線心の数は1本に限られない。
【0067】
(第5の実施の形態の効果)
この第5の実施の形態によれば、ケーブル110から露出したシールド導体112にリード線160が接続されている場合であっても、成形体130がケーブル110、複数の絶縁線心120、リード線160、リード線160から露出した導体121、および導体接続部162を被覆することにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末100を作製することができる。
【0068】
上記各実施の形態に係るケーブル端末100の成形体130は、接続機器に接続する際にネジ等により固定するための取り付け固定孔を有していてもよい。
【0069】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。例えば、ケーブル各部の材料、その他部材の有無、絶縁線心の本数、配置、撚り合わせの有無、コネクタの種類等のケーブル端末の構成は、上記各実施の形態における構成に限られるものではない。
【0070】
また、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において上記各実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【0071】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。
【実施例1】
【0072】
実施例1は、第1の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末に対応する実施例である。
【0073】
(絶縁ケーブル端末の構成)
絶縁線心120の構成は、図1B(b)に示したものと同様である。
【0074】
ここで、導体121は、直径0.08mm、40本の錫めっき軟銅線、第1の被覆体122は、被覆厚さ0.14mmのポリオレフィン系樹脂、第2の被覆体123は、被覆厚さ0.13mmの熱可塑性ポリウレタン樹脂から形成される。
【0075】
第1の被覆体122を形成するポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィンを主成分とする混合物である、リケンテクノス株式会社製の「ANA9936P」を用いた。また、第2の被覆体123を形成する熱可塑性ポリウレタン樹脂は、大日精化工業株式会社製の「レザミンP−2060EX」を用いた。
【0076】
ケーブル110の構成は、図1B(a)に示したものと同様である。
【0077】
ここで、4本の上述の絶縁線心120を綿糸介在とともに30mmピッチで撚り合わせてケーブル110の撚り合わせ線心を形成する。その撚り合わせ線心の外周に第1のテープ113、シールド導体112、第2のテープ114、シース111が順番に形成される。
【0078】
第1のテープ113は、厚さ0.05mm、幅12mmの紙テープを1/3ラップで巻回して形成され、シールド導体112は、直径0.1mmの錫メッキ軟銅線からなる編組体から形成され、第2のテープ114は厚さ0.03mm、幅12mmの紙テープをシールド導体112の外周に縦沿わせて形成され、シース111は、厚さ0.6mmの熱可塑性ポリウレタン樹脂により形成される。
【0079】
シース111を形成する熱可塑性ポリウレタン樹脂は、BASFジャパン株式会社製の「ET890A10」を用いた。
【0080】
絶縁ケーブル端末100の構成は、図1A(a)、(b)に示したものと同様である。成形体130は、熱可塑性ポリアミド樹脂により形成される。
【0081】
成形体130を形成する熱可塑性ポリアミド樹脂は、旭化成ケミカルズ株式会社製の「LEONA1300」を用いた。
【0082】
図6は、本発明の実施例1に係る絶縁ケーブル端末の各部の寸法を示した側面図である。
【0083】
(絶縁ケーブル端末の作製)
まず、上記ケーブル110を必要な長さに切断し、端末のシース111を剥離して、露出した部分の第2のテープ114、シールド導体112、第1のテープ113、綿糸介在115を除去する。
【0084】
次に、上記の4本の絶縁線心120が露出したケーブル110をキャビティ形状を有する金型内に固定する。
【0085】
次に、上記金型を締め、金型内に熱可塑性ポリアミド樹脂を設定温度270℃で射出して、成形体130を成形する。
【0086】
(実施例1の効果)
実施例1に係る絶縁ケーブル端末100は、後述する融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験、および絶縁体剥離作業性試験の全てに合格した。
【0087】
融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験に合格したのは、絶縁線心120の第2の被覆体、およびケーブル110のシース111の材料である熱可塑性ポリウレタン樹脂と、成形体の材料である熱可塑性ポリアミド樹脂の熱融着性が良好であることによると考えられる。
【0088】
一方、絶縁体剥離作業性試験が合格であったのは、絶縁線心120の加工困難な熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる第2の被覆体の内側に、ポリオレフィン系樹脂からなる第1の被覆体122を設けたことによると考えられる。
【実施例2】
【0089】
実施例2は、第2の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末に対応する実施例である。
【0090】
(絶縁ケーブル端末の構成)
絶縁線心120およびケーブル110の構成は、実施例1と同様である。
【0091】
絶縁ケーブル端末100の構成は、図2(a)、(b)に示したものと同様である。成形体130は、熱可塑性ポリアミド樹脂により形成される。
【0092】
図7は、本発明の実施例2に係る絶縁ケーブル端末の各部の寸法を示した側面図である。
【0093】
(絶縁ケーブル端末の作製)
絶縁ケーブル端末100の作製工程は実施例1と同様である。
【0094】
(実施例2の効果)
実施例2に係る絶縁ケーブル端末100は、後述する融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験、および絶縁体剥離作業性試験の全てに合格した。
【0095】
各試験に合格したのは、実施例1にかかる絶縁ケーブル端末100と同様の理由によると考えられる。
【実施例3】
【0096】
実施例3は、第4の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末に対応する実施例である。
【0097】
(絶縁ケーブル端末の構成)
絶縁線心120およびケーブル110の構成は、実施例1と同様である。
【0098】
絶縁ケーブル端末100の構成は、リード線160に接続された絶縁線心120が4本である点を除いて、図4(a)、(b)に示したものと同様である。リード線160は絶縁線心120と同様の構成を有する。また、成形体130は、熱可塑性ポリアミド樹脂により形成される。
【0099】
図8は、本発明の実施例3に係る絶縁ケーブル端末の各部の寸法を示した側面図である。
【0100】
(絶縁ケーブル端末の作製)
絶縁線心120およびリード線160の第1の被覆体122および第2の被覆体123を端末から10mm剥離し、それぞれ導体121を露出させ、互いを捩り合わせて半田付けにより接続する。なお、その他の作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0101】
(実施例3の効果)
実施例3に係る絶縁ケーブル端末100は、後述する融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験、および絶縁体剥離作業性試験の全てに合格した。
【0102】
各試験に合格したのは、実施例1にかかる絶縁ケーブル端末100と同様の理由によると考えられる。
【実施例4】
【0103】
実施例4は、第5の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末に対応する実施例である。
【0104】
(絶縁ケーブル端末の構成)
絶縁線心120およびケーブル110の構成は、実施例1と同様である。
【0105】
絶縁ケーブル端末100の構成は、図5に示したものと同様である。リード線160は絶縁線心120と同様の構成を有する。また、成形体130は、熱可塑性ポリアミド樹脂により形成される。
【0106】
図9は、本発明の実施例4に係る絶縁ケーブル端末の各部の寸法を示した側面図である。
【0107】
(絶縁ケーブル端末の作製)
ケーブル110のシース111口から露出したシールド導体112を捩って1本に束ね、シース111口から15mmの長さを残してカットする。次に、リード線160の第1の被覆体122および第2の被覆体123を端末から10mm剥離し、導体121を露出させる。次に、1本に捩った15mmのシールド導体112と、リード線160の露出した導体121とを捩り合わせて半田付けにより接続する。なお、その他の作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0108】
(実施例4の効果)
実施例4に係る絶縁ケーブル端末100は、後述する融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験、および絶縁体剥離作業性試験の全てに合格した。
【0109】
各試験に合格したのは、実施例1にかかる絶縁ケーブル端末100と同様の理由によると考えられる。
【実施例5】
【0110】
実施例5に係る絶縁ケーブル端末100は、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100において、絶縁線心120の第1の被覆体122の材料であるポリオレフィン系樹脂を、ポリオレフィンを主成分とする混合物から高密度ポリエチレン樹脂に変更したものである。その他の構成および作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0111】
高密度ポリエチレンは、三井石油化学工業株式会社製の「ハイゼックス5305E」を用いた。
【0112】
(実施例5の効果)
実施例5に係る絶縁ケーブル端末100は、後述する融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験、および絶縁体剥離作業性試験の全てに合格した。
【0113】
各試験に合格したのは、実施例1にかかる絶縁ケーブル端末100と同様の理由によると考えられる。
【0114】
一方、絶縁体剥離作業性試験が良好であったのは、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100における絶縁線心120の第1の被覆体122の材料であるポリオレフィンを主成分とする混合物と同様に、高密度ポリエチレン樹脂もまた、優れた加工性を有することによると考えられる。
【0115】
実施例5に係る絶縁ケーブル端末100に対する試験結果より、絶縁線心120の第1の被覆体122の材料を、ポリオレフィンを主成分とする混合物から高密度ポリエチレン樹脂に変更しても、実施例1と同様の効果を得られることが確認された。
【実施例6】
【0116】
実施例6に係る絶縁ケーブル端末100は、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100において、絶縁線心120の第1の被覆体122の材料であるポリオレフィン系樹脂を、ポリオレフィンを主成分とする混合物から熱架橋難燃ポリエチレン樹脂に変更したものである。その他の構成および作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0117】
熱架橋難燃ポリエチレンは、プラス・テク株式会社製の「REM6100」を用いた。
【0118】
(実施例6の効果)
実施例6に係る絶縁ケーブル端末100は、後述する融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験、および絶縁体剥離作業性試験の全てに合格した。
【0119】
融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験に合格したのは、実施例1にかかる絶縁ケーブル端末100と同様の理由によると考えられる。
【0120】
一方、絶縁体剥離作業性試験が合格であったのは、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100における絶縁線心120の第1の被覆体122の材料であるポリオレフィンを主成分とする混合物と同様に、熱架橋難燃ポリエチレン樹脂もまた、優れた加工性を有することによると考えられる。
【0121】
実施例6に係る絶縁ケーブル端末100に対する試験結果より、絶縁線心120の第1の被覆体122の材料を、ポリオレフィンを主成分とする混合物から熱架橋難燃ポリエチレン樹脂に変更しても、実施例1と同様の効果を得られることが確認された。
【実施例7】
【0122】
実施例7に係る絶縁ケーブル端末100は、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100において、絶縁線心120の第1の被覆体122の材料をポリオレフィン系樹脂からポリ塩化ビニル樹脂に変更したものである。その他の構成および作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0123】
ポリ塩化ビニルは、株式会社ワイヤーコンパウンド製の「NB3−241」を用いた。
【0124】
(実施例7の効果)
実施例7に係る絶縁ケーブル端末100は、後述する融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験、および絶縁体剥離作業性試験の全てに合格した。
【0125】
融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験に合格したのは、実施例1にかかる絶縁ケーブル端末100と同様の理由によると考えられる。
【0126】
一方、絶縁体剥離作業性試験が合格であったのは、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100における絶縁線心120の第1の被覆体122の材料であるポリオレフィン系樹脂と同様に、ポリ塩化ビニル樹脂もまた、優れた加工性を有することによると考えられる。
【0127】
実施例7に係る絶縁ケーブル端末100に対する試験結果より、絶縁線心120の第1の被覆体122の材料をポリオレフィン系樹脂からポリ塩化ビニル樹脂に変更しても、実施例1と同様の効果を得られることが確認された。
【0128】
以下に従来の技術を用いて作製した絶縁ケーブル端末100を比較例として挙げる。
【0129】
(比較例1)
比較例1に係る絶縁ケーブル端末100は、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100において、成形体130の材料を熱可塑性ポリアミド樹脂からポリブチレンテレフタレート樹脂に変更したものである。成形体130は、250℃で金型内に射出することにより作製した。その他の構成および作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0130】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、ウィンテックポリマー株式会社製の「ジュラネックス2016」を用いた。
【0131】
絶縁線心120の材料は実施例1と同様であるため、絶縁体剥離作業性試験は合格であったが、融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験には不合格であった。これは、成形体130の材料であるポリブチレンテレフタレート樹脂と、絶縁線心120の第2の被覆体、およびケーブル110のシース111の材料である熱可塑性ポリウレタン樹脂との熱融着性が悪いことによると考えられる。
【0132】
(比較例2)
比較例2に係る絶縁ケーブル端末100は、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100において、成形体130の材料を熱可塑性ポリアミド樹脂からポリアセタール樹脂に変更したものである。成形体130は、220℃で金型内に射出することにより作製した。その他の構成および作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0133】
ポリアセタール樹脂は、ポリプラスチックス株式会社製の「ジュラコンHP90X」を用いた。
【0134】
絶縁線心120の材料は実施例1と同様であるため、絶縁体剥離作業性試験は合格であったが、融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験には不合格であった。これは、成形体130の材料であるポリアセタール樹脂と、絶縁線心120の第2の被覆体、およびケーブル110のシース111の材料である熱可塑性ポリウレタン樹脂との熱融着性が悪いことによると考えられる。
【0135】
(比較例3)
比較例3に係る絶縁ケーブル端末100は、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100において、成形体130の材料を熱可塑性ポリアミド樹脂からABS(Acrylonitrile Butadiene Stylene)樹脂に変更したものである。成形体130は、200℃で金型内に射出することにより作製した。その他の構成および作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0136】
ABS樹脂は、日本エイアンドエル株式会社製の「クララスチックGA−704」を用いた。
【0137】
絶縁線心120の材料は実施例1と同様であるため、絶縁体剥離作業性試験は合格であったが、融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験には不合格であった。これは、成形体130の材料であるABS樹脂と、絶縁線心120の第2の被覆体、およびケーブル110のシース111の材料である熱可塑性ポリウレタン樹脂との熱融着性が悪いことによると考えられる。
【0138】
(比較例4)
比較例4に係る絶縁ケーブル端末100は、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100において、絶縁線心120の被覆体を第1の被覆体と第2の被覆体の2層に分けずに、熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いた1層の被覆体で構成したものである。その他の構成および作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0139】
熱可塑性ポリウレタン樹脂は、大日精化工業株式会社製の「レザミンP−2060EX」を用いた。
【0140】
絶縁線心120の最外層の材料が、実施例1と同じ熱可塑性ポリウレタン樹脂であるため、成形体130の材料であるポリアミド樹脂との熱融着性が良く、融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験には合格した。しかし、絶縁線心120の被覆体が加工性の悪い熱可塑性ポリウレタン樹脂のみで構成されているため、被覆体の精密な剥離が行えず、絶縁体剥離作業性試験は不合格であった。
【0141】
以下に、各試験および評価方法を述べる。
【0142】
(絶縁体剥離作業性試験)
室温下にて剥き出し装置(シュロニガー製 unistrip 2500)によって、絶縁線心120の端末から導体121を5.0mm剥き出して露出させる。なお、本試験は作業の均一性を図るために、作業者3人にて各5本ずつで同じ評価を行った。
【0143】
試験の結果、剥離寸法精度が5.0±1.0mm以内に収まり、かつ、引きちぎられた絶縁体のバリが1.0mm以内である場合を合格とし、15本すべてが合格であるとき判定を合格、1本でも不合格である場合は判定を不合格とする。
【0144】
(融着強度試験)
融着強度試験は、5本の絶縁ケーブル端末100に対して行った。
【0145】
まず、室温下で融着強度試験を行い、次に、高温高湿試験後に融着強度試験を、熱衝撃試験後に融着強度試験を、それぞれ行った。
【0146】
図10は、融着強度試験の様子を示す概略図である。同図に示すように、融着強度試験は、絶縁ケーブル端末100が垂直になるようにして成形体130を固定器具200により固定し(固定器具200は断面で示す)、ケーブル110をケーブル110が成形体130から抜けるまで引っ張ることにより行うものである。この際の引っ張り速度は20mm/分であり、ケーブル110が成形体130から抜けるまで引っ張り強度を上げ続ける。
【0147】
高温高湿試験は、絶縁ケーブル端末100を温度85℃、湿度85%の状況下に168時間放置した後、室温下に3時間以上放置して行うものである。
【0148】
熱衝撃試験は、絶縁ケーブル端末100を−40℃の温度下に1時間、85℃の温度下に1時間放置することを1サイクルとし、これを500サイクル繰り返した後、室温下に3時間以上放置して行うものである。
【0149】
試験の結果、5本全ての絶縁ケーブル端末100において、シース111表面に成形体130の跡が引きちぎられて残っていた場合を合格と判定し、1本でも跡を残すことなくシース111がきれいに引き抜かれているものがあった場合には不合格とした。
【0150】
なお、実施例2に係る絶縁ケーブル端末100は、絶縁線心120のみが成形体130で覆われた構造を有するため、絶縁線心120の第2の被覆体123表面に成形体130の跡が引きちぎられて残っていた場合を合格とした。
【0151】
(荷重試験後の気密性試験)
荷重試験後の気密性試験は、5本の絶縁ケーブル端末100に対して行った。
【0152】
まず、室温下で荷重試験後の気密性試験を行い、次に、高温高湿試験後に荷重試験後の気密性試験を、熱衝撃試験後に荷重試験後の気密性試験を、それぞれ行った。高温高湿試験および熱衝撃試験は、融着強度試験の際に行ったものと同様である。
【0153】
荷重試験は、図10に示すように、絶縁ケーブル端末100が垂直になるようにして成形体130を固定し、ケーブル110に78.4Nの静荷重を1分間加えて行うものである。
【0154】
なお、実施例2に係る絶縁ケーブル端末100は、絶縁線心120のみが成形体130で覆われた構造を有するため、ケーブル110の代わりに絶縁線心120に9.8Nの静荷重を1分間加えて荷重試験を行った。
【0155】
気密性試験は、図11(a)に示した方法Aと、図11(b)に示した方法Bを用いて、それぞれ室温の水中に絶縁ケーブル端末100を約1分間水没させ、その間水没した絶縁ケーブル端末100に付着している気泡を手で取り除いた後、図11(a)、(b)に示した位置から70kPaの圧力で空気を1分間加圧して行うものである。
【0156】
図11(a)に示した方法Aは、絶縁線心120の端末に封止部材201を設置して封止し、絶縁ケーブル端末100を直接室温の水中に沈めて行うものである。
【0157】
図11(b)に示した方法Bは、絶縁線心120の端末に封止部材201を設置して封止した上で、防水容器202を取り付け、成形体130の一部とケーブル110部分が室温の水に浸かる状態で行うものである。
【0158】
なお、実施例2に係る絶縁ケーブル端末100は、絶縁線心120のみが成形体130で覆われた構造を有するため、方法Bによる試験のみを行い、絶縁線心120と成形体130の融着部分を気泡観察位置とした。
【0159】
試験の結果、図11(a)、(b)に示した気泡観察位置に気泡がまったく確認されなかった場合には合格と判定し、気泡が確認された場合には不合格とした。
【0160】
(屈曲試験後の気密性試験)
屈曲試験後の気密性試験は、5本の絶縁ケーブル端末100に対して行った。なお、実施例2に係る絶縁ケーブル端末100は、絶縁線心120のみが成形体130で覆われた構造を有するため、本試験の対象から外した。
【0161】
まず、室温下で屈曲試験後の気密性試験を行い、次に、高温高湿試験後に屈曲試験後の気密性試験を、熱衝撃試験後に屈曲試験後の気密性試験を、それぞれ行った。高温高湿試験および熱衝撃試験は、融着強度試験の際に行ったものと同様である。
【0162】
図12は、屈曲試験の様子を示す概略図である。成形体130部分を固定器具200により固定し(固定器具200は断面で示す)、ケーブル110に4.9Nの静荷重を加えた上で、固定器具200を1方向に90°回転させて絶縁ケーブル端末100を屈曲させて、元に戻した後に、さらにその反対方向に90°回転させて、屈曲させる。屈曲試験は、これを1セットとして、毎分30セットで合計100セット行うものである。この際、ケーブル110の揺れを抑えるために、揺れ止め203を用いた。
【0163】
気密性試験は、荷重試験後の気密性試験の際に行ったものと同様である。
【0164】
上記各試験による評価結果のまとめを表1〜3に示す。表中の○は合格を、×は不合格を表す。
【0165】
【表1】
【0166】
【表2】
【0167】
【表3】
【符号の説明】
【0168】
100…絶縁ケーブル端末、110…ケーブル、111…シース、112…シールド導体、113…第1のテープ、114…第2のテープ、115…綿糸介在、120…絶縁線心、121…導体、122…第1の被覆体、123…第2の被覆体、130…成形体、140…融着部、150…コネクタ、160…リード線、161,162…導体接続部、170…ケーブル、200…固定器具、201…封止部材、202…防水容器、203…揺れ止め
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種センサーや端子、コネクタ等に接続した際に、高い気密性能および水密性能を発揮する絶縁ケーブル端末に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、ロボット、電子機器等における各種センサー等の機器部品や電極端子、コネクタに接続される、複数の絶縁電線の外周にシースを設けてなる絶縁ケーブルは、その端末の接続部分に気密性や水密性が要求される場合がある。ケーブル内部からのガスや水分の進入により、接続された電気機器へ損傷を与えるおそれがあるためである。
【0003】
ケーブルに気密性や水密性を持たせる技術の1つとして、接続部分およびその周辺部位を樹脂成形体で被覆し、保護するというものがある(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−217361号公報
【特許文献2】特開平10−233124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術によると、成形体でケーブルシースを被覆することにより、ケーブル外部からのガスや水分の進入を防ぐことができるものの、ケーブル内部からの進入については対応できないという問題点がある。一般に、複数の絶縁線心を集合撚り合わせする場合、紙や綿糸等の介在物とともに撚り合わせるため、この介在物を通ってガスや水分が進入しやすいためである。
【0006】
また、特許文献2に記載の技術によると、成形体でケーブルシースおよび絶縁線心を被覆することによりケーブル内外からのガスや水分の進入を防ぐことができるものの、絶縁線心の被覆層を形成するポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂と、成形体を形成するポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の樹脂との接着性が悪く、ケーブル使用時の加熱、冷却の繰り返した場合には、剥離が生じてガスや水分の進入を許すという問題点がある。
【0007】
その他にも、一般に用いられている技術として、エポキシ樹脂や流動性の高い接着剤を用いてケーブルをシールするものがあるが、エポキシ樹脂や接着剤の流動性の高さから構造にばらつきが生じやすく、気密不良の発生による歩留まりの低下が生じるという問題点がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、気密性、水密性が高く、使用による劣化も起こさず、また、歩留まりよく製造することができる絶縁ケーブル端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、上記目的を達成するため、導体、前記導体の外周に設けられたポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂の第1の被覆体および前記第1の被覆体の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂の第2の被覆体からなる複数の絶縁線心と、前記複数の絶縁線心の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂のシースと、前記導体、前記第1の被覆体および前記第2の被覆体からなり、前記複数の絶縁線心のいずれかに接続された少なくとも1本のリード線と、前記複数の絶縁線心の第2の被覆体、前記シースおよび前記少なくとも1本のリード線のそれぞれと融着する熱可塑性ポリアミド樹脂からなり、前記第2の被覆体、前記シースおよび前記少なくとも1本のリード線を被覆してシールする成形体と、を有することを特徴とする絶縁ケーブル端末を提供する。
【0010】
また、本発明の他の一態様は、上記目的を達成するため、導体、前記導体の外周に設けられたポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂の第1の被覆体および前記第1の被覆体の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂の第2の被覆体からなる複数の絶縁線心と、前記複数の絶縁線心の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂のシースと、前記複数の絶縁線心と前記シースとの間に設けられたシールド導体と、前記導体、前記第1の被覆体および前記第2の被覆体からなり、前記複数の絶縁線心のいずれかに接続され、前記シールド導体に接続された少なくとも1本のリード線と、前記複数の絶縁線心の第2の被覆体、前記シースおよび前記少なくとも1本のリード線のそれぞれと融着する熱可塑性ポリアミド樹脂からなり、前記第2の被覆体、前記シース、前記シールド導体および前記少なくとも1本のリード線を被覆してシールする成形体と、を有することを特徴とする絶縁ケーブル端末を提供する。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、導体と、前記導体の外周に設けられたポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂からなる第1の被覆体と、前記第1の被覆体の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる第2の被覆体とを有する複数の絶縁線心と、前記複数の絶縁線心の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂からなるシースと、前記複数の絶縁線心の端末に接続されたコネクタと、前記複数の絶縁線心および前記シースにそれぞれ融着することにより、前記複数の絶縁線心、前記シースおよび前記コネクタを被覆してシールする熱可塑性ポリアミド樹脂からなる成形体と、を有するものであってもよい。
【0012】
前記コネクタは、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエステル樹脂からなり、前記成形体と融着しているものであってもよい。
【0013】
また、上記本発明の一態様に係る絶縁ケーブル端末は、接続機器に接続する際にネジ等の取り付け部品により固定するための取り付け固定孔を前記成形体に有するものであってもよい。
【0014】
ポリオレフィン系樹脂とは、例えば、ポリオレフィンを主成分とする混和物、高密度ポリエチレン、熱架橋難燃ポリエチレン等である。
【0015】
上記本発明の一態様によれば、前記第2の被覆体および前記シースに熱可塑性ポリウレタン樹脂を、前記成形体に熱可塑性ポリアミド樹脂を用いて、前記成形体を前記複数の絶縁線心の前記第2の被覆体および前記シースに熱融着させることにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末を作製することが可能となる。
【0016】
また、上記本発明の一態様によれば、熱可塑性ポリウレタン樹脂が、吸湿による絶縁抵抗値の変動、およびその柔軟性による加工(剥離)の困難性という欠点を有しているところ、前記絶縁線心の被覆体をポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂からなる前記第1の被覆体と熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる前記第2の被覆体の2層構造とすることにより、これらの欠点を克服することが可能となる。
【0017】
また、上記本発明の一態様によれば、前記シースを前記成形体で固定する必要のない場合であっても、前記成形体が前記複数の絶縁線心の前記第2の被覆体を被覆することにより、接続機器へのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末を作製することができる。
【0018】
また、上記本発明の一態様によれば、前記絶縁ケーブル端末が前記コネクタを有する場合であっても、前記成形体が前記シース、前記複数の絶縁線心の前記第2の被覆体、および前記コネクタを被覆することにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末を作製することができる。
【0019】
また、上記本発明の一態様によれば、前記複数の絶縁線心のいずれかに前記リード線が接続されている場合であっても、前記成形体が前記シース、前記複数の絶縁線心の前記第2の被覆体、前記リード線、前記絶縁線心と前記リード線から露出した前記導体を被覆することにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末を作製することができる。
【0020】
また、上記本発明の一態様によれば、前記ケーブルから露出した前記シールド導体に前記リード線が接続されている場合であっても、前記成形体が前記シース、前記複数の絶縁線心の前記第2の被覆体、前記リード線、前記リード線から露出した前記導体、および前記シールド導体を被覆することにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末を作製することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、気密性、水密性が高く、使用による劣化も起こさず、また、歩留まりよく製造することができる絶縁ケーブル端末を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図および断面図である。
【図1B】(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る絶縁ケーブルおよび絶縁線心の断面図である。
【図2】(a)、(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図および断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図である。
【図4】(a)、(b)は、本発明の第4の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図および断面図である。
【図5A】本発明の第5の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図である。
【図5B】本発明の第5の実施の形態に係るケーブルの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施例1に係る絶縁ケーブル端末の各部の寸法を示した側面図である。
【図7】本発明の実施例2に係る絶縁ケーブル端末の各部の寸法を示した側面図である。
【図8】本発明の実施例3に係る絶縁ケーブル端末の各部の寸法を示した側面図である。
【図9】本発明の実施例4に係る絶縁ケーブル端末の各部の寸法を示した側面図である。
【図10】絶縁ケーブル端末の融着強度試験の様子を示す概略図である。
【図11】(a)、(b)は、絶縁ケーブル端末の気密性試験の様子を示す概略図である。
【図12】絶縁ケーブル端末の屈曲試験の様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1の実施の形態]
(絶縁ケーブル端末の構成)
図1A(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図および断面図であり、図1B(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る絶縁ケーブルおよび絶縁線心の断面図である。図1A(a)、(b)においては、絶縁線心およびケーブルの構成は簡略化して示し、これらの詳細な構成は図1B(a)、(b)で示す。
【0024】
図1A(a)に示すように、この絶縁ケーブル端末100は、ケーブル110と、絶縁線心120と、熱可塑性ポリアミド樹脂からなる成形体130と、を有して概略構成されている。
【0025】
図1A(b)は、図1A(a)に示す絶縁ケーブル端末100の成形体130部分から先をケーブル110の長さ方向に半分に切断した様子を示す。成形体130はケーブル110および絶縁線心120と融着部140において融着している。なお、図1A(b)は、絶縁線心およびケーブルの構成は簡略化して示されており、実際は、成形体130はケーブル110のシース111、絶縁線心120の第2の被覆体123と融着部140において融着している。
【0026】
図1B(a)に示すように、ケーブル110は、複数の絶縁線心120と、複数の絶縁線心120の間の空隙を埋める綿糸介在115と、複数の絶縁線心を被覆する第1のテープ113と、第1のテープ113を被覆するシールド導体112と、シールド導体112を被覆する第2のテープ114と、第2のテープ114を被覆する熱可塑性ポリウレタン樹脂からなるシース111と、を有して概略構成されている。
【0027】
ここで、第1のテープ113および第2のテープ114は、例えば、絶縁性の紙からなる。
【0028】
また、シールド導体112は、例えば、導線を編組、横巻き等に構成したもの、導電性のテープを巻いたものが用いられる。なお、シールド導体112に接するように、ケーブル110内にドレインが挿入されていてもよい。
【0029】
図1B(b)に示すように、絶縁線心120は、導体121と、導体121を被覆するポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂からなる第1の被覆体122と、第1の被覆体122を被覆する熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる第2の被覆体123と、を有して概略構成されている。
【0030】
ここで、導体は、例えば軟銅線、錫めっき軟銅線を用いることができる。
【0031】
(絶縁ケーブル端末の作製)
まず、複数の絶縁線心120を用意し、これらを綿糸介在115と共に撚り合わせ、その上から第1のテープ113、シールド導体112、第2のテープ114、シース111を順番に被覆し、ケーブル110を作製する。
【0032】
なお、ケーブル110内の複数の絶縁線心120の形態は、撚り合わせでなくともよい。
【0033】
次に、ケーブル110の端末のシース111、第2のテープ114、シールド導体112、第1のテープ113、綿糸介在115を除去し、絶縁線心120を露出させる。
【0034】
次に、絶縁線心120を露出させたケーブル110の端末を所定のキャビティ形状を有する金型内に固定した後、加熱により溶かした熱可塑性ポリアミド樹脂を金型内に流入して成形体130を形成し、絶縁ケーブル端末100を作製する。
【0035】
ここで、成形体130を形成する際、成形体130は複数の絶縁線心120およびシース111にそれぞれ融着し、これらを被覆する。
【0036】
(第1の実施の形態の効果)
この第1の実施の形態によれば、第2の被覆体123およびシース111に熱可塑性ポリウレタン樹脂を、成形体130に熱可塑性ポリアミド樹脂を用いて、成形体130を第2の被覆体123およびシース111に熱融着させることにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末100を作製することができる。
【0037】
また、熱可塑性ポリウレタン樹脂が、吸湿による絶縁抵抗値の変動、およびその柔軟性による加工(剥離)の困難性という欠点を有しているところ、絶縁線心120の被覆体をポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂からなる第1の被覆体122と熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる第2の被覆体123の2層構造とすることにより、これらの欠点を克服することができる。
【0038】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末は、成形体がシースは被覆せずに、絶縁線心のみをシールしている点で第1の実施の形態と異なる。なお、その他の構成や作製方法等、第1の実施の形態と同様である点については、説明を省略する。
【0039】
(絶縁ケーブル端末の構成)
図2(a)、(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図および断面図である。図2(a)、(b)においては、図1A(a)、(b)と同様に、絶縁線心およびケーブルの構成は簡略化して示し、これらの詳細な構成は図1B(a)、(b)で示す。
【0040】
図2(a)に示すように、この絶縁ケーブル端末100は、ケーブル110と、絶縁線心120と、成形体130と、を有して概略構成されている。
【0041】
ここで、成形体130は、ケーブル110内から露出した複数の絶縁線心120を被覆してシールしている。なお、同図においては、複数の絶縁線心は並列に並んで成形体130に被覆されているが、複数の絶縁線心の配置はこれに限られない。
【0042】
図2(b)は、図2(a)に示す絶縁ケーブル端末100の成形体130部分から先をケーブル110の長さ方向に半分に切断した様子を示す。成形体130は絶縁線心120と融着部140において融着している。なお、図2(b)は、絶縁線心およびケーブルの構成は簡略化して示されており、実際は、成形体130は絶縁線心120の第2の被覆体123と融着部140において融着している。
【0043】
(第2の実施の形態の効果)
この第2の実施の形態によれば、構造上、ケーブル内部からは接続機器へガスおよび水分は流入せず、また、成形体130が複数の絶縁線心120を被覆することにより、ケーブル外部からの接続機器へのガスおよび水分の流入も防ぐことができるため、シース111を成形体130で固定する必要のない場合であっても、高い気密性および水密性を絶縁ケーブル端末100に付与することができる。
【0044】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末は、絶縁線心の端末にコネクタが接続され、成形体がケーブル、絶縁線心、およびコネクタを被覆してシールしている点で第1の実施の形態と異なる。なお、その他の構成や作製方法等、第1の実施の形態と同様である点については、説明を省略する。
【0045】
(絶縁ケーブル端末の構成)
図3は、本発明の第3の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図である。図3においては、図1A(a)、(b)と同様に、絶縁線心およびケーブルの構成は簡略化して示し、これらの詳細な構成は図1B(a)、(b)で示す。
【0046】
図3に示すように、この絶縁ケーブル端末100は、ケーブル110と、絶縁線心120と、成形体130と、コネクタ150と、を有して概略構成されている。
【0047】
ここで、成形体130は、ケーブル110、ケーブル110内から露出した複数の絶縁線心120、およびコネクタ150を被覆してシールしている。なお、同図においては、複数の絶縁線心が並列に並んで接続されるコネクタ150を用いているが、コネクタ150の形状はこれに限られない。
【0048】
また、図示しないが、成形体130は、ケーブル110のシース111、および絶縁線心120の第2の被覆体123と、それらとの接触面において融着している。
【0049】
また、コネクタ150は、ポリエステル樹脂等の、成形体130の材料であるポリアミド樹脂との熱融着性の良い材料からなることが好ましい。この場合、成形体130は、コネクタ150とも、融着し、気密性および水密性をさらに高めることができる。
【0050】
(第3の実施の形態の効果)
この第3の実施の形態によれば、絶縁ケーブル端末100がコネクタ150を有する場合であっても、成形体130がケーブル110、複数の絶縁線心120、およびコネクタ150を被覆することにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末100を作製することができる。
【0051】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末は、複数の絶縁線心のいずれかに少なくとも1本のリード線が接続され、成形体がケーブル、絶縁線心、およびリード線を被覆してシールしている点で第1の実施の形態と異なる。なお、その他の構成や作製方法等、第1の実施の形態と同様である点については、説明を省略する。
【0052】
(絶縁ケーブル端末の構成)
図4(a)、(b)は、本発明の第4の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図および断面図である。図4(a)、(b)においては、図1A(a)、(b)と同様に、絶縁線心およびケーブルの構成は簡略化して示し、これらの詳細な構成は図1B(a)、(b)で示す。
【0053】
図4(a)に示すように、この絶縁ケーブル端末100は、ケーブル110と、絶縁線心120と、成形体130と、リード線160と、を有して概略構成されている。
【0054】
ここで、リード線160は絶縁線心120と同様に、導体121と、導体121を被覆するポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂からなる第1の被覆体122と、第1の被覆体122を被覆する熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる第2の被覆体123と、を有して構成されている。
【0055】
絶縁線心120とリード線160のそれぞれの導体121は、導体接続部161において接続されている。接続の方法は、例えば、半田付けにより行われる。
【0056】
ここで、成形体130は、ケーブル110、ケーブル110内から露出した複数の絶縁線心120、リード線160、絶縁線心120とリード線160から露出した導体121、および導体接続部161を被覆してシールしている。なお、同図においては、絶縁線心120に接続されるリード線160は1本で示されているが、リード線160の数は1本に限られない。
【0057】
図4(b)は、図4(a)に示す絶縁ケーブル端末100の成形体130部分から先をケーブル110の長さ方向に半分に切断した様子を示す。成形体130はケーブル110、絶縁線心120、およびリード線160と融着部140において融着している。なお、図4(b)は、絶縁線心およびケーブルの構成は簡略化して示されており、実際は、成形体130はケーブル110のシース111、絶縁線心120およびリード線160の第2の被覆体123と融着部140において融着している。
【0058】
(第4の実施の形態の効果)
この第4の実施の形態によれば、複数の絶縁線心120のいずれかにリード線160が接続されている場合であっても、成形体130がケーブル110、複数の絶縁線心120、リード線160、絶縁線心120とリード線160から露出した導体121、および導体接続部161を被覆することにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末100を作製することができる。
【0059】
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末は、ケーブルから露出したシールド導体にリード線が接続され、成形体がケーブル、絶縁線心、およびリード線を被覆してシールしている点で第1の実施の形態と異なる。なお、その他の構成や作製方法等、第1の実施の形態と同様である点については、説明を省略する。
【0060】
(絶縁ケーブル端末の構成)
図5Aは、本発明の第5の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末の構成を示す斜視図である。図5Aにおいては、図1A(a)、(b)と同様に、絶縁線心およびケーブルの構成は簡略化して示し、これらの詳細な構成は図1B(a)、(b)で示す。
【0061】
図5Aに示すように、この絶縁ケーブル端末100は、ケーブル110と、絶縁線心120と、成形体130と、リード線160と、を有して概略構成されている。
【0062】
ここで、リード線160は絶縁線心120と同様に、導体121と、導体121を被覆するポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂からなる第1の被覆体122と、第1の被覆体122を被覆する熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる第2の被覆体123と、を有して構成されている。
【0063】
リード線から露出した導体121は、ケーブル110から露出したシールド導体112と導体接続部162において接続されている。シールド導体112は、ケーブル内においては複数の絶縁線心120の周囲に配置しているが、ケーブル110から露出した部分は1本に束ねられている。接続の方法は、例えば、半田付けにより行われる。
【0064】
ここで、成形体130は、ケーブル110、ケーブル110内から露出した複数の絶縁線心120、リード線160、リード線160から露出した導体121、および導体接続部162を被覆してシールしている。
【0065】
また、図示しないが、成形体130は、ケーブル110のシース111、および絶縁線心120とリード線160の第2の被覆体123と、それらとの接触面において融着している。
【0066】
なお、この第5の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末100において、複数の絶縁線心120のうち、少なくとも1本の絶縁線心120の代わりに、図5Bに示された、この第5の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末100のケーブル110と同様の構成を有するケーブル170(シールド導体112にリード線160が接続されたケーブル)が含まれていてもよい。なお、このケーブル170に含まれる絶縁線心の数は1本に限られない。
【0067】
(第5の実施の形態の効果)
この第5の実施の形態によれば、ケーブル110から露出したシールド導体112にリード線160が接続されている場合であっても、成形体130がケーブル110、複数の絶縁線心120、リード線160、リード線160から露出した導体121、および導体接続部162を被覆することにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末100を作製することができる。
【0068】
上記各実施の形態に係るケーブル端末100の成形体130は、接続機器に接続する際にネジ等により固定するための取り付け固定孔を有していてもよい。
【0069】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。例えば、ケーブル各部の材料、その他部材の有無、絶縁線心の本数、配置、撚り合わせの有無、コネクタの種類等のケーブル端末の構成は、上記各実施の形態における構成に限られるものではない。
【0070】
また、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において上記各実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【0071】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。
【実施例1】
【0072】
実施例1は、第1の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末に対応する実施例である。
【0073】
(絶縁ケーブル端末の構成)
絶縁線心120の構成は、図1B(b)に示したものと同様である。
【0074】
ここで、導体121は、直径0.08mm、40本の錫めっき軟銅線、第1の被覆体122は、被覆厚さ0.14mmのポリオレフィン系樹脂、第2の被覆体123は、被覆厚さ0.13mmの熱可塑性ポリウレタン樹脂から形成される。
【0075】
第1の被覆体122を形成するポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィンを主成分とする混合物である、リケンテクノス株式会社製の「ANA9936P」を用いた。また、第2の被覆体123を形成する熱可塑性ポリウレタン樹脂は、大日精化工業株式会社製の「レザミンP−2060EX」を用いた。
【0076】
ケーブル110の構成は、図1B(a)に示したものと同様である。
【0077】
ここで、4本の上述の絶縁線心120を綿糸介在とともに30mmピッチで撚り合わせてケーブル110の撚り合わせ線心を形成する。その撚り合わせ線心の外周に第1のテープ113、シールド導体112、第2のテープ114、シース111が順番に形成される。
【0078】
第1のテープ113は、厚さ0.05mm、幅12mmの紙テープを1/3ラップで巻回して形成され、シールド導体112は、直径0.1mmの錫メッキ軟銅線からなる編組体から形成され、第2のテープ114は厚さ0.03mm、幅12mmの紙テープをシールド導体112の外周に縦沿わせて形成され、シース111は、厚さ0.6mmの熱可塑性ポリウレタン樹脂により形成される。
【0079】
シース111を形成する熱可塑性ポリウレタン樹脂は、BASFジャパン株式会社製の「ET890A10」を用いた。
【0080】
絶縁ケーブル端末100の構成は、図1A(a)、(b)に示したものと同様である。成形体130は、熱可塑性ポリアミド樹脂により形成される。
【0081】
成形体130を形成する熱可塑性ポリアミド樹脂は、旭化成ケミカルズ株式会社製の「LEONA1300」を用いた。
【0082】
図6は、本発明の実施例1に係る絶縁ケーブル端末の各部の寸法を示した側面図である。
【0083】
(絶縁ケーブル端末の作製)
まず、上記ケーブル110を必要な長さに切断し、端末のシース111を剥離して、露出した部分の第2のテープ114、シールド導体112、第1のテープ113、綿糸介在115を除去する。
【0084】
次に、上記の4本の絶縁線心120が露出したケーブル110をキャビティ形状を有する金型内に固定する。
【0085】
次に、上記金型を締め、金型内に熱可塑性ポリアミド樹脂を設定温度270℃で射出して、成形体130を成形する。
【0086】
(実施例1の効果)
実施例1に係る絶縁ケーブル端末100は、後述する融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験、および絶縁体剥離作業性試験の全てに合格した。
【0087】
融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験に合格したのは、絶縁線心120の第2の被覆体、およびケーブル110のシース111の材料である熱可塑性ポリウレタン樹脂と、成形体の材料である熱可塑性ポリアミド樹脂の熱融着性が良好であることによると考えられる。
【0088】
一方、絶縁体剥離作業性試験が合格であったのは、絶縁線心120の加工困難な熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる第2の被覆体の内側に、ポリオレフィン系樹脂からなる第1の被覆体122を設けたことによると考えられる。
【実施例2】
【0089】
実施例2は、第2の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末に対応する実施例である。
【0090】
(絶縁ケーブル端末の構成)
絶縁線心120およびケーブル110の構成は、実施例1と同様である。
【0091】
絶縁ケーブル端末100の構成は、図2(a)、(b)に示したものと同様である。成形体130は、熱可塑性ポリアミド樹脂により形成される。
【0092】
図7は、本発明の実施例2に係る絶縁ケーブル端末の各部の寸法を示した側面図である。
【0093】
(絶縁ケーブル端末の作製)
絶縁ケーブル端末100の作製工程は実施例1と同様である。
【0094】
(実施例2の効果)
実施例2に係る絶縁ケーブル端末100は、後述する融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験、および絶縁体剥離作業性試験の全てに合格した。
【0095】
各試験に合格したのは、実施例1にかかる絶縁ケーブル端末100と同様の理由によると考えられる。
【実施例3】
【0096】
実施例3は、第4の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末に対応する実施例である。
【0097】
(絶縁ケーブル端末の構成)
絶縁線心120およびケーブル110の構成は、実施例1と同様である。
【0098】
絶縁ケーブル端末100の構成は、リード線160に接続された絶縁線心120が4本である点を除いて、図4(a)、(b)に示したものと同様である。リード線160は絶縁線心120と同様の構成を有する。また、成形体130は、熱可塑性ポリアミド樹脂により形成される。
【0099】
図8は、本発明の実施例3に係る絶縁ケーブル端末の各部の寸法を示した側面図である。
【0100】
(絶縁ケーブル端末の作製)
絶縁線心120およびリード線160の第1の被覆体122および第2の被覆体123を端末から10mm剥離し、それぞれ導体121を露出させ、互いを捩り合わせて半田付けにより接続する。なお、その他の作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0101】
(実施例3の効果)
実施例3に係る絶縁ケーブル端末100は、後述する融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験、および絶縁体剥離作業性試験の全てに合格した。
【0102】
各試験に合格したのは、実施例1にかかる絶縁ケーブル端末100と同様の理由によると考えられる。
【実施例4】
【0103】
実施例4は、第5の実施の形態に係る絶縁ケーブル端末に対応する実施例である。
【0104】
(絶縁ケーブル端末の構成)
絶縁線心120およびケーブル110の構成は、実施例1と同様である。
【0105】
絶縁ケーブル端末100の構成は、図5に示したものと同様である。リード線160は絶縁線心120と同様の構成を有する。また、成形体130は、熱可塑性ポリアミド樹脂により形成される。
【0106】
図9は、本発明の実施例4に係る絶縁ケーブル端末の各部の寸法を示した側面図である。
【0107】
(絶縁ケーブル端末の作製)
ケーブル110のシース111口から露出したシールド導体112を捩って1本に束ね、シース111口から15mmの長さを残してカットする。次に、リード線160の第1の被覆体122および第2の被覆体123を端末から10mm剥離し、導体121を露出させる。次に、1本に捩った15mmのシールド導体112と、リード線160の露出した導体121とを捩り合わせて半田付けにより接続する。なお、その他の作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0108】
(実施例4の効果)
実施例4に係る絶縁ケーブル端末100は、後述する融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験、および絶縁体剥離作業性試験の全てに合格した。
【0109】
各試験に合格したのは、実施例1にかかる絶縁ケーブル端末100と同様の理由によると考えられる。
【実施例5】
【0110】
実施例5に係る絶縁ケーブル端末100は、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100において、絶縁線心120の第1の被覆体122の材料であるポリオレフィン系樹脂を、ポリオレフィンを主成分とする混合物から高密度ポリエチレン樹脂に変更したものである。その他の構成および作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0111】
高密度ポリエチレンは、三井石油化学工業株式会社製の「ハイゼックス5305E」を用いた。
【0112】
(実施例5の効果)
実施例5に係る絶縁ケーブル端末100は、後述する融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験、および絶縁体剥離作業性試験の全てに合格した。
【0113】
各試験に合格したのは、実施例1にかかる絶縁ケーブル端末100と同様の理由によると考えられる。
【0114】
一方、絶縁体剥離作業性試験が良好であったのは、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100における絶縁線心120の第1の被覆体122の材料であるポリオレフィンを主成分とする混合物と同様に、高密度ポリエチレン樹脂もまた、優れた加工性を有することによると考えられる。
【0115】
実施例5に係る絶縁ケーブル端末100に対する試験結果より、絶縁線心120の第1の被覆体122の材料を、ポリオレフィンを主成分とする混合物から高密度ポリエチレン樹脂に変更しても、実施例1と同様の効果を得られることが確認された。
【実施例6】
【0116】
実施例6に係る絶縁ケーブル端末100は、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100において、絶縁線心120の第1の被覆体122の材料であるポリオレフィン系樹脂を、ポリオレフィンを主成分とする混合物から熱架橋難燃ポリエチレン樹脂に変更したものである。その他の構成および作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0117】
熱架橋難燃ポリエチレンは、プラス・テク株式会社製の「REM6100」を用いた。
【0118】
(実施例6の効果)
実施例6に係る絶縁ケーブル端末100は、後述する融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験、および絶縁体剥離作業性試験の全てに合格した。
【0119】
融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験に合格したのは、実施例1にかかる絶縁ケーブル端末100と同様の理由によると考えられる。
【0120】
一方、絶縁体剥離作業性試験が合格であったのは、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100における絶縁線心120の第1の被覆体122の材料であるポリオレフィンを主成分とする混合物と同様に、熱架橋難燃ポリエチレン樹脂もまた、優れた加工性を有することによると考えられる。
【0121】
実施例6に係る絶縁ケーブル端末100に対する試験結果より、絶縁線心120の第1の被覆体122の材料を、ポリオレフィンを主成分とする混合物から熱架橋難燃ポリエチレン樹脂に変更しても、実施例1と同様の効果を得られることが確認された。
【実施例7】
【0122】
実施例7に係る絶縁ケーブル端末100は、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100において、絶縁線心120の第1の被覆体122の材料をポリオレフィン系樹脂からポリ塩化ビニル樹脂に変更したものである。その他の構成および作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0123】
ポリ塩化ビニルは、株式会社ワイヤーコンパウンド製の「NB3−241」を用いた。
【0124】
(実施例7の効果)
実施例7に係る絶縁ケーブル端末100は、後述する融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験、および絶縁体剥離作業性試験の全てに合格した。
【0125】
融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験に合格したのは、実施例1にかかる絶縁ケーブル端末100と同様の理由によると考えられる。
【0126】
一方、絶縁体剥離作業性試験が合格であったのは、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100における絶縁線心120の第1の被覆体122の材料であるポリオレフィン系樹脂と同様に、ポリ塩化ビニル樹脂もまた、優れた加工性を有することによると考えられる。
【0127】
実施例7に係る絶縁ケーブル端末100に対する試験結果より、絶縁線心120の第1の被覆体122の材料をポリオレフィン系樹脂からポリ塩化ビニル樹脂に変更しても、実施例1と同様の効果を得られることが確認された。
【0128】
以下に従来の技術を用いて作製した絶縁ケーブル端末100を比較例として挙げる。
【0129】
(比較例1)
比較例1に係る絶縁ケーブル端末100は、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100において、成形体130の材料を熱可塑性ポリアミド樹脂からポリブチレンテレフタレート樹脂に変更したものである。成形体130は、250℃で金型内に射出することにより作製した。その他の構成および作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0130】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、ウィンテックポリマー株式会社製の「ジュラネックス2016」を用いた。
【0131】
絶縁線心120の材料は実施例1と同様であるため、絶縁体剥離作業性試験は合格であったが、融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験には不合格であった。これは、成形体130の材料であるポリブチレンテレフタレート樹脂と、絶縁線心120の第2の被覆体、およびケーブル110のシース111の材料である熱可塑性ポリウレタン樹脂との熱融着性が悪いことによると考えられる。
【0132】
(比較例2)
比較例2に係る絶縁ケーブル端末100は、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100において、成形体130の材料を熱可塑性ポリアミド樹脂からポリアセタール樹脂に変更したものである。成形体130は、220℃で金型内に射出することにより作製した。その他の構成および作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0133】
ポリアセタール樹脂は、ポリプラスチックス株式会社製の「ジュラコンHP90X」を用いた。
【0134】
絶縁線心120の材料は実施例1と同様であるため、絶縁体剥離作業性試験は合格であったが、融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験には不合格であった。これは、成形体130の材料であるポリアセタール樹脂と、絶縁線心120の第2の被覆体、およびケーブル110のシース111の材料である熱可塑性ポリウレタン樹脂との熱融着性が悪いことによると考えられる。
【0135】
(比較例3)
比較例3に係る絶縁ケーブル端末100は、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100において、成形体130の材料を熱可塑性ポリアミド樹脂からABS(Acrylonitrile Butadiene Stylene)樹脂に変更したものである。成形体130は、200℃で金型内に射出することにより作製した。その他の構成および作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0136】
ABS樹脂は、日本エイアンドエル株式会社製の「クララスチックGA−704」を用いた。
【0137】
絶縁線心120の材料は実施例1と同様であるため、絶縁体剥離作業性試験は合格であったが、融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験には不合格であった。これは、成形体130の材料であるABS樹脂と、絶縁線心120の第2の被覆体、およびケーブル110のシース111の材料である熱可塑性ポリウレタン樹脂との熱融着性が悪いことによると考えられる。
【0138】
(比較例4)
比較例4に係る絶縁ケーブル端末100は、実施例1に係る絶縁ケーブル端末100において、絶縁線心120の被覆体を第1の被覆体と第2の被覆体の2層に分けずに、熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いた1層の被覆体で構成したものである。その他の構成および作製工程は実施例1と同様であるので省略する。
【0139】
熱可塑性ポリウレタン樹脂は、大日精化工業株式会社製の「レザミンP−2060EX」を用いた。
【0140】
絶縁線心120の最外層の材料が、実施例1と同じ熱可塑性ポリウレタン樹脂であるため、成形体130の材料であるポリアミド樹脂との熱融着性が良く、融着強度試験、荷重試験後の気密性試験、屈曲試験後の気密性試験には合格した。しかし、絶縁線心120の被覆体が加工性の悪い熱可塑性ポリウレタン樹脂のみで構成されているため、被覆体の精密な剥離が行えず、絶縁体剥離作業性試験は不合格であった。
【0141】
以下に、各試験および評価方法を述べる。
【0142】
(絶縁体剥離作業性試験)
室温下にて剥き出し装置(シュロニガー製 unistrip 2500)によって、絶縁線心120の端末から導体121を5.0mm剥き出して露出させる。なお、本試験は作業の均一性を図るために、作業者3人にて各5本ずつで同じ評価を行った。
【0143】
試験の結果、剥離寸法精度が5.0±1.0mm以内に収まり、かつ、引きちぎられた絶縁体のバリが1.0mm以内である場合を合格とし、15本すべてが合格であるとき判定を合格、1本でも不合格である場合は判定を不合格とする。
【0144】
(融着強度試験)
融着強度試験は、5本の絶縁ケーブル端末100に対して行った。
【0145】
まず、室温下で融着強度試験を行い、次に、高温高湿試験後に融着強度試験を、熱衝撃試験後に融着強度試験を、それぞれ行った。
【0146】
図10は、融着強度試験の様子を示す概略図である。同図に示すように、融着強度試験は、絶縁ケーブル端末100が垂直になるようにして成形体130を固定器具200により固定し(固定器具200は断面で示す)、ケーブル110をケーブル110が成形体130から抜けるまで引っ張ることにより行うものである。この際の引っ張り速度は20mm/分であり、ケーブル110が成形体130から抜けるまで引っ張り強度を上げ続ける。
【0147】
高温高湿試験は、絶縁ケーブル端末100を温度85℃、湿度85%の状況下に168時間放置した後、室温下に3時間以上放置して行うものである。
【0148】
熱衝撃試験は、絶縁ケーブル端末100を−40℃の温度下に1時間、85℃の温度下に1時間放置することを1サイクルとし、これを500サイクル繰り返した後、室温下に3時間以上放置して行うものである。
【0149】
試験の結果、5本全ての絶縁ケーブル端末100において、シース111表面に成形体130の跡が引きちぎられて残っていた場合を合格と判定し、1本でも跡を残すことなくシース111がきれいに引き抜かれているものがあった場合には不合格とした。
【0150】
なお、実施例2に係る絶縁ケーブル端末100は、絶縁線心120のみが成形体130で覆われた構造を有するため、絶縁線心120の第2の被覆体123表面に成形体130の跡が引きちぎられて残っていた場合を合格とした。
【0151】
(荷重試験後の気密性試験)
荷重試験後の気密性試験は、5本の絶縁ケーブル端末100に対して行った。
【0152】
まず、室温下で荷重試験後の気密性試験を行い、次に、高温高湿試験後に荷重試験後の気密性試験を、熱衝撃試験後に荷重試験後の気密性試験を、それぞれ行った。高温高湿試験および熱衝撃試験は、融着強度試験の際に行ったものと同様である。
【0153】
荷重試験は、図10に示すように、絶縁ケーブル端末100が垂直になるようにして成形体130を固定し、ケーブル110に78.4Nの静荷重を1分間加えて行うものである。
【0154】
なお、実施例2に係る絶縁ケーブル端末100は、絶縁線心120のみが成形体130で覆われた構造を有するため、ケーブル110の代わりに絶縁線心120に9.8Nの静荷重を1分間加えて荷重試験を行った。
【0155】
気密性試験は、図11(a)に示した方法Aと、図11(b)に示した方法Bを用いて、それぞれ室温の水中に絶縁ケーブル端末100を約1分間水没させ、その間水没した絶縁ケーブル端末100に付着している気泡を手で取り除いた後、図11(a)、(b)に示した位置から70kPaの圧力で空気を1分間加圧して行うものである。
【0156】
図11(a)に示した方法Aは、絶縁線心120の端末に封止部材201を設置して封止し、絶縁ケーブル端末100を直接室温の水中に沈めて行うものである。
【0157】
図11(b)に示した方法Bは、絶縁線心120の端末に封止部材201を設置して封止した上で、防水容器202を取り付け、成形体130の一部とケーブル110部分が室温の水に浸かる状態で行うものである。
【0158】
なお、実施例2に係る絶縁ケーブル端末100は、絶縁線心120のみが成形体130で覆われた構造を有するため、方法Bによる試験のみを行い、絶縁線心120と成形体130の融着部分を気泡観察位置とした。
【0159】
試験の結果、図11(a)、(b)に示した気泡観察位置に気泡がまったく確認されなかった場合には合格と判定し、気泡が確認された場合には不合格とした。
【0160】
(屈曲試験後の気密性試験)
屈曲試験後の気密性試験は、5本の絶縁ケーブル端末100に対して行った。なお、実施例2に係る絶縁ケーブル端末100は、絶縁線心120のみが成形体130で覆われた構造を有するため、本試験の対象から外した。
【0161】
まず、室温下で屈曲試験後の気密性試験を行い、次に、高温高湿試験後に屈曲試験後の気密性試験を、熱衝撃試験後に屈曲試験後の気密性試験を、それぞれ行った。高温高湿試験および熱衝撃試験は、融着強度試験の際に行ったものと同様である。
【0162】
図12は、屈曲試験の様子を示す概略図である。成形体130部分を固定器具200により固定し(固定器具200は断面で示す)、ケーブル110に4.9Nの静荷重を加えた上で、固定器具200を1方向に90°回転させて絶縁ケーブル端末100を屈曲させて、元に戻した後に、さらにその反対方向に90°回転させて、屈曲させる。屈曲試験は、これを1セットとして、毎分30セットで合計100セット行うものである。この際、ケーブル110の揺れを抑えるために、揺れ止め203を用いた。
【0163】
気密性試験は、荷重試験後の気密性試験の際に行ったものと同様である。
【0164】
上記各試験による評価結果のまとめを表1〜3に示す。表中の○は合格を、×は不合格を表す。
【0165】
【表1】
【0166】
【表2】
【0167】
【表3】
【符号の説明】
【0168】
100…絶縁ケーブル端末、110…ケーブル、111…シース、112…シールド導体、113…第1のテープ、114…第2のテープ、115…綿糸介在、120…絶縁線心、121…導体、122…第1の被覆体、123…第2の被覆体、130…成形体、140…融着部、150…コネクタ、160…リード線、161,162…導体接続部、170…ケーブル、200…固定器具、201…封止部材、202…防水容器、203…揺れ止め
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体、前記導体の外周に設けられたポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂の第1の被覆体および前記第1の被覆体の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂の第2の被覆体からなる複数の絶縁線心と、
前記複数の絶縁線心の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂のシースと、
前記導体、前記第1の被覆体および前記第2の被覆体からなり、前記複数の絶縁線心のいずれかに接続された少なくとも1本のリード線と、
前記複数の絶縁線心の第2の被覆体、前記シースおよび前記少なくとも1本のリード線のそれぞれと融着する熱可塑性ポリアミド樹脂からなり、前記第2の被覆体、前記シースおよび前記少なくとも1本のリード線を被覆してシールする成形体と、
を有することを特徴とする絶縁ケーブル端末。
【請求項2】
導体、前記導体の外周に設けられたポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂の第1の被覆体および前記第1の被覆体の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂の第2の被覆体からなる複数の絶縁線心と、
前記複数の絶縁線心の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂のシースと、
前記複数の絶縁線心と前記シースとの間に設けられたシールド導体と、
前記導体、前記第1の被覆体および前記第2の被覆体からなり、前記複数の絶縁線心のいずれかに接続され、前記シールド導体に接続された少なくとも1本のリード線と、
前記複数の絶縁線心の第2の被覆体、前記シースおよび前記少なくとも1本のリード線のそれぞれと融着する熱可塑性ポリアミド樹脂からなり、前記第2の被覆体、前記シース、前記シールド導体および前記少なくとも1本のリード線を被覆してシールする成形体と、
を有することを特徴とする絶縁ケーブル端末。
【請求項3】
前記成形体は、接続機器に接続する際にネジ等の取り付け部品により固定するための取り付け固定孔を有することを特徴とする請求項1又は2記載の絶縁ケーブル端末。
【請求項1】
導体、前記導体の外周に設けられたポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂の第1の被覆体および前記第1の被覆体の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂の第2の被覆体からなる複数の絶縁線心と、
前記複数の絶縁線心の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂のシースと、
前記導体、前記第1の被覆体および前記第2の被覆体からなり、前記複数の絶縁線心のいずれかに接続された少なくとも1本のリード線と、
前記複数の絶縁線心の第2の被覆体、前記シースおよび前記少なくとも1本のリード線のそれぞれと融着する熱可塑性ポリアミド樹脂からなり、前記第2の被覆体、前記シースおよび前記少なくとも1本のリード線を被覆してシールする成形体と、
を有することを特徴とする絶縁ケーブル端末。
【請求項2】
導体、前記導体の外周に設けられたポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂の第1の被覆体および前記第1の被覆体の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂の第2の被覆体からなる複数の絶縁線心と、
前記複数の絶縁線心の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂のシースと、
前記複数の絶縁線心と前記シースとの間に設けられたシールド導体と、
前記導体、前記第1の被覆体および前記第2の被覆体からなり、前記複数の絶縁線心のいずれかに接続され、前記シールド導体に接続された少なくとも1本のリード線と、
前記複数の絶縁線心の第2の被覆体、前記シースおよび前記少なくとも1本のリード線のそれぞれと融着する熱可塑性ポリアミド樹脂からなり、前記第2の被覆体、前記シース、前記シールド導体および前記少なくとも1本のリード線を被覆してシールする成形体と、
を有することを特徴とする絶縁ケーブル端末。
【請求項3】
前記成形体は、接続機器に接続する際にネジ等の取り付け部品により固定するための取り付け固定孔を有することを特徴とする請求項1又は2記載の絶縁ケーブル端末。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−205891(P2011−205891A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104178(P2011−104178)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【分割の表示】特願2005−325237(P2005−325237)の分割
【原出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(591004146)平河ヒューテック株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【分割の表示】特願2005−325237(P2005−325237)の分割
【原出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(591004146)平河ヒューテック株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
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