説明

緊急通報機能を有する電話装置

【課題】 ハンドセット通話ができない状況においても、通報先に対して、緊急事態である旨とハンドセット通話に依存しないで緊急事態の内容または状況を伝達できる電話装置を提供する。
【解決手段】 通報先と通話状態になった際、通報メッセージ記憶部7にある固定メッセージを通報先に送出し、その後自動でハンズフリー通話モードに切り替わる。ハンズフリー通話モードに切り替わったら、MIC・SPボリューム自動調節部14にてマイクとスピーカのボリュームを調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急時に自動で通報することのできる電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
緊急通報機能を有する電話装置において、電話機のハンドセットが一定時間以上はずれたままの場合に、予め定められた通報先を自動的に呼出す技術がある(例えば、特許文献1)。
しかしながら、特許文献1で開示されている技術では、通報先は何らかの異常状態であることは認識できるが、通話しないと異常の内容が分からない。そのため、ハンドセットをはずしたまま通報者が倒れてハンドセット通話できない状態では、その状況が伝わらないという欠点があった。
【0003】
【特許文献1】特開昭61−111050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術の欠点を解決するために、ハンドセット通話ができない状況においても、通報先に対して、緊急事態である旨とハンドセット通話に依存しないで緊急事態の内容または状況を伝達できる電話装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電話装置は、緊急時に自動的に通報先へ発信する電話装置であり、自電話装置のオンフックまたはオフフックを検出するフック検出手段と、通報先の電話番号を登録する通報先電話番号登録手段と、前記通報先電話番号登録手段に登録された通報先に自動的に発信する自動発信手段と、前記フック検出手段がオフフックを検出してからの経過時間を計測するオフフック経過時間計測手段を有し、前記フック検出手段が本装置のオフフックを検出した後、予め定められた時間が経過しても、本装置からのダイヤル信号またはオンフックのいずれかをも検出しなかった場合に、前記自動発信手段は前記通報先電話番号登録手段に登録された通報先に自動的に発信し、通報先が応答したならば緊急事態である旨のメッセージを自動的に送信した後、自己のもつハンズフリー通話モードを自動的に起動し、前記メッセージを送信した後も、前記ハンズフリー通話モードを継続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、蹴飛ばす等ハンドセットをはずしたままとするだけで、通報先に緊急事態である旨を通報できると共に、自身が身体異常または強盗にあっている等のハンドセットを持つことができない状況でも、ハンズフリー通話モードにより会話またはモニタ音声を通報先に送話できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は本発明の電話装置を含む機能ブロック図である。図1において、1は電話回線、2はDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)送出部、3は通報メッセージ送出部、4はハンズフリー通話部、5はDTMF信号生成部、6は通報先電話番号登録部、7は通報メッセージ記憶部、8はスケジュール登録部、9は制御部、10はオフフック経過時間計測部、11はフック検出部、12はキー操作検出部、13は通報機能(有効/無効)切替部、14はマイク(MIC)とスピーカ(SP)のボリューム自動調節部、15はハンドセットを示す。
【0009】
DTMF信号送出部2は、自電話装置からのDTMF信号または通報先電話番号登録部にあるDTMF信号を送出する。通報メッセージ送出部3は、通報先と繋がった場合に、通報メッセージ記憶部7にある通報メッセージを送出する。DTMF信号生成部5は電話番号をDTMF信号に変換して電話回線1に送出する。
【0010】
通報先電話番号登録部6は、緊急通報先の電話番号を記憶する。通報メッセージ記憶部7は、通報先に送出するメッセージを予め記憶する。スケジュール登録部8は、曜日、時間帯別の通報先を登録する。
【0011】
オフフック経過時間計測部10は、フック検出部11より自電話装置のオフフックを検出すると、タイマをスタートさせ、オフフック経過時間を計測する。フック検出部11は、自電話装置のオンフック、オフフックを検出する。
【0012】
MIC・SPボリューム自動調節部14は、通報先とハンズフリーでの通話状態になったときマイクの入力感度とスピーカの再生音量ボリュームを自動的に通常より増大させる。通報機能(有効/無効)切替部13は、自電話装置の緊急通報機能を有効もしくは無効にする。
【0013】
キー操作検出部12は、自電話装置のキー操作を検出する。制御部9は、本装置の制御を行う。
【0014】
図2は、本発明の電話装置の動作のフローチャートである。図2において、電源が投入されることで本機能の動作を開始する(S301)。通報機能(有効/無効)切替部13にて通報機能が無効となっている場合は、通常の電話装置として動作し、有効となっている場合は、フック検出部11でオフフック操作されるのを待つ(S302、S303)。
フック検出部11によりオフフック操作が検出されると、オフフック経過時間計測部10にてオフフックされてからの時間を計測する(S304)。オフフック操作されてから、一定時間内に自電話装置からのキー操作を検出した場合(S305,YES)、通常のオフフック操作と判断して当該キー操作に応じた通常動作に移行して、本フローは終了する。
【0015】
また、オフフックされてから、一定時間内にフック検出部11にてオンフックを検出した場合(S306,YES)、通常の発信中断等と判断して、本フローは終了となる。
【0016】
オフフックされてから、一定時間内に自電話装置よりキー操作、オンフック操作がない場合、タイムアウトとなり(S307,YES)、ステップ308、ステップ309に移行し、自動的に通報機能が起動する。これにより、自電話装置のボタン操作ができない場合であってもオフフック操作のみで緊急通報することができる。
【0017】
ステップ308、ステップ309において、スケジュール登録部8には、曜日、時間に応じた通報先が予め登録されており、制御部9は、通報時の曜日、時間に応じた通報先の電話番号をスケジュール登録部8から検索し、曜日および時間に応じた通報先1〜3のいずれかに自動発信(通報)する(S310、S313、S316)。
【0018】
自動通報の発信をした後、通報先からの応答がない場合は(S311、S314、S317の各NO)、例えば3回までリトライする(S312、S315、S318)。それでも応答が無い場合は、例えば、所定の時間が経過してから再度通報のリトライを繰り返す。
【0019】
通報先からの応答があり、通報先との通話が開始されると(S311、S314、S317)、まず通報メッセージ記憶部7に記憶されている予め登録されたメッセージを通報先に送出する(S319)。
【0020】
次に、自電話装置をハンズフリー通話モードに切り替える(S320)。さらにハンズフリー通話モードになったあとMIC・SPボリューム自動調節部14によりマイクの入力感度とスピーカの再生ボリュームを自動的に調節して(S321)、通常時よりもマイク感度とスピーカの再生ボリュームを増大する。これにより、自身が身体異常である、または強盗にあっている等のハンドセットを持つことのできない状況での緊急通報あっても会話またはモニタ音声を通報先に送話できる。ハンズフリー通話モードとなった後、通報先からの呼切断を検出するか、駆けつけた人などが自電話装置のハンドセットをフックオンした場合に本フローは終了となる(S322)。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の電話装置を含む機能ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の電話装置の動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0022】
1 電話回線
2 DTMF送出部
3 通報メッセージ送出部
4 ハンズフリー通話部
5 DTMF信号生成部
6 通報先電話番号登録部
7 通報メッセージ記憶部
8 スケジュール登録部
9 制御部
10 オフフック経過時間計測部
11 フック検出部
12 キー操作検出部
13 通報機能(有効/無効)切替部
14 MIC・SPボリューム自動調節部
15 ハンドセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急時に自動的に通報先へ発信する電話装置であって、
自電話装置のオンフックまたはオフフックを検出するフック検出手段と、通報先の電話番号を登録する通報先電話番号登録手段と、前記通報先電話番号登録手段に登録された通報先に自動的に発信する自動発信手段と、前記フック検出手段がオフフックを検出してからの経過時間を計測するオフフック経過時間計測手段を有し、
前記フック検出手段が本装置のオフフックを検出した後、予め定められた時間が経過しても、本装置からのダイヤル信号またはオンフックのいずれかをも検出しなかった場合に、前記自動発信手段は前記通報先電話番号登録手段に登録された通報先に自動的に発信し、通報先が応答したならば緊急事態である旨のメッセージを自動的に送信することを特徴とする緊急通報機能を有する電話装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話装置であって、
前記通報先電話番号登録手段は、日時または曜日によって異なる通報先の電話番号を登録する手段をさらに有することを特徴とする緊急通報機能を有する電話装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電話装置であって、
自電話装置はハンズフリー通話モードを有し、前記緊急事態である旨のメッセージを自動的に送信する際、または送信した後、前記ハンズフリー通話モードを自動的に起動し、前記メッセージを送信した後も、前記ハンズフリー通話モードを継続することを特徴とする緊急通報機能を有する電話装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電話装置であって、
自電話装置は音量自動調節手段をさらに有し、前記ハンズフリー通話モードを自動的に起動した場合に、前記ハンズフリー通話モード用のマイク感度およびまたはスピーカ音量を通常の音量よりも自動的に増大することを特徴とする緊急通報機能を有する電話装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−218864(P2009−218864A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60540(P2008−60540)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】