説明

緑黄色野菜及び淡色野菜を含有する組成物

本発明は、緑黄色野菜(ブロッコリー、ほうれん草、パセリ、小松菜、大根葉など)及び淡色野菜(レタス、キャベツ、セロリなど)を含有する組成物であり、(1)血中の過酸化脂質の生成を抑制する効果、(2)血中のTBARS値を低下させる又はTBARS値の上昇を抑制する効果、(3)血中のビタミンE値を増加させる効果、(4)血中の抗酸化活性を増強する効果、(5)血中のTRAP値を増強する効果、(6)血中の活性酸素を低下させる又は活性酸素の上昇を抑制する効果、(7)糖尿病合併症の予防又は治療効果などを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、緑黄色野菜及び淡色野菜を含有する食品組成物、医薬製剤、及びこれら野菜を摂取することを特徴とする各種の方法に関する。
【背景技術】
近年、体内での過酸化脂質の生成により、種々の疾患が引き起こされることが明らかにされている。このため、過酸化脂質の生成を抑制するための様々な食品や医薬が提案されている(特開2000−198740号公報)。
また、糖尿病患者では、高血糖に伴って、血中及び組織中において活性酸素障害が進行する。このような酸化ストレスによって、動脈硬化症、最小血管障害などの合併症が発症又は進展することが知られている。このため、血中及び組織中の酸化状態の改善を期待し、抗酸化物質による糖尿病合併症の予防又は治療の方法が模索されている。
【発明の開示】
本発明は、血中の過酸化脂質の生成の抑制、ビタミンE値の上昇、抗酸化活性の増強、糖尿病合併症の予防又は治療などを目的とする。
本発明者らは、緑黄色野菜及び淡色野菜を摂取することが、この目的を達成するために有効であることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の組成物及び方法を提供するものである。
1.緑黄色野菜及び淡色野菜を含有する組成物。
2.緑黄色野菜がブロッコリー、ほうれん草、パセリ、小松菜、大根葉及びニンジンからなる群から選択される少なくとも1種の野菜であり、淡色野菜がレタス、キャベツ、セロリ及びヤマノイモからなる群から選択される少なくとも1種の野菜である、項1に記載の組成物。
3.緑黄色野菜と淡色野菜の重量比が、生野菜として換算した場合に、1:1程度〜1:3程度である項1に記載の組成物。
4.さらに、ビルベリーエキス、コエンザイムQ10、アスタキサンチン、トコトリエノール、ピクノジェノール、茶ポリフェノール、ブドウ種子エキス、メチルヘスペリジン及び玄米粉からなる群から選択される少なくとも1種を含有する項1に記載の組成物。
5.食品である項1に記載の組成物。
6.血中の過酸化脂質生成抑制用食品である項1に記載の組成物。
7.血中のTBARS値低下用又はTBARS値上昇抑制用食品である項1に記載の組成物。
8.血中のビタミンE値上昇用食品である項1に記載の組成物。
9.血中の抗酸化活性増強用食品である項1に記載の組成物。
10.血中の活性酸素低下用又は活性酸素上昇抑制用食品である項1に記載の組成物。
11.糖尿病合併症の予防用又は治療用食品である項1に記載の組成物。
12.緑黄色野菜及び淡色野菜の治療量が含有され、過酸化脂質生成抑制剤である項1に記載の組成物。
13.緑黄色野菜及び淡色野菜の治療量が含有され、血中のTBARS値低下又はTBARS値上昇抑制剤である項1に記載の組成物。
14.緑黄色野菜及び淡色野菜の治療量が含有され、血中のビタミンE値上昇剤である項1に記載の組成物。
15.緑黄色野菜及び淡色野菜の治療量が含有され、血中の抗酸化活性増強剤である項1に記載の組成物。
16.緑黄色野菜及び淡色野菜の治療量が含有され、血中の活性酸素低下剤又は活性酸素上昇抑制剤である項1に記載の組成物。
17.緑黄色野菜及び淡色野菜の治療量が含有され、糖尿病合併症の予防剤又は治療剤である項1に記載の組成物。
18.緑黄色野菜及び淡色野菜の有効量を摂取する、血中の過酸化脂質の生成を抑制する方法。
19.緑黄色野菜及び淡色野菜の有効量を摂取する、血中のTBARS値を低下又はTBARS値の上昇を抑制させる方法。
20.緑黄色野菜及び淡色野菜の有効量を摂取する、血中のビタミンE値を上昇させる方法。
21.緑黄色野菜及び淡色野菜の有効量を摂取する、血中の抗酸化活性を増強させる方法。
22.緑黄色野菜及び淡色野菜の有効量を摂取する、血中の活性酸素を低下又は活性酸素の上昇を抑制させる方法。
23.緑黄色野菜及び淡色野菜の有効量を摂取する、糖尿病合併症を予防又は治療する方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物は、血液中のTBARS(Thiobarbituric Acid Reactive Substances)値の上昇を抑制、又は血液中のTBARS値を低下させることができる。TBARS値は、過酸化脂質の生成量の指標として一般的に利用されている。このため、TBARS値の上昇を抑制又はTBARS値を低下する本発明の組成物は、血液中の過酸化脂質レベルを低下又は過酸化脂質レベルの上昇を抑制することができるといえる。
また、過酸化脂質の生成は、種々の疾患、例えば、糖尿病合併症、特に糖尿病性血管合併症(例えば、網膜症、腎症、神経症、白内障、冠動脈疾患、歯周病、壊疽、胆石症、感染症)などに関与している(例えば、J.Periodont Res 1996;31:508−515,Advanced glycation endoproducts(AGEs)induce oxidant stress in the gingival:a potential mechanism underlying accelerates periodontal disease associated with diabetes)ので、本発明の組成物は、過酸化脂質の生成が関与するこれら疾患の予防又は治療効果を発揮することが期待できる。
本発明の組成物は、血中のビタミンEの量を増加させる作用がある。ビタミンEを投与することにより、糖尿病における血管合併症の発症又は進展の抑制に有用である(例えばビタミEを投与することにより、網膜血流が改善する;日医雑誌 第124巻・第11号/2000年12月1日)。このため、本発明の組成物を摂取又は投与することにより、これら糖尿病性血管合併症を予防又は治療することができると期待できる。
また、本発明の組成物は、血中の総抗酸化活性を増強する作用を有する。なお、本明細書において、増強とは、低下抑制及び上昇のいずれの意味も包含する。本発明の組成物及び医薬製剤は、血中のTRAP(Total Radical Trapping Antioxidant Activity)値を増強する作用を有することから、血中の特に総抗酸化活性を増強するものである。TRAP値が上昇すると糖尿病合併症のリスクが低下することが知られており、糖尿病合併症の予防又は治療にTRAP値の増強作用を有する物質が有用である(Fava D et al.,Diabete Med,2002 Sep,19(9),752−7;Ceriello A et al.,Eur J Invest,2001 Apr,31(4),322−8;Ceriello A et al,Metabolism,1999 Dec,48(12),1503−8)。
なお、TRAP値は、Rice−Evans Cらの方法(Rice−Evans et al,Total antioxidant Status in plasma and body fluids,Methods in Enzymology,234,279−293,1994)に従って測定することができる。
なお、総抗酸化活性は、ビタミンEによる抗酸化活性も包含している。従って、総抗酸化活性は、ビタミンE値と関連しうるものであるが、ビタミンE以外の他の抗酸化作用も反映しており、総合的な抗酸化作用を示す指標として用いられている。なお、本願発明の組成物の抗酸化活性の増強作用には、それ自身の有するビタミンE値を上昇させる作用だけでなく、他の要因による抗酸化活性も寄与していると考えられる。なぜなら、本願発明の組成物の総抗酸化活性の増強作用は、ビタミンE値を上昇させる作用による抗酸化活性より強いからである。
また、ビタミンEが活性酸素の生成を抑制することは一般に知られている。さらに、過酸化脂質の生成要因の一つとして活性酸素の存在が知られている。本発明の組成物は、ビタミンEの量を増加させる作用及びTBARS値を低下させるか又は上昇を抑制させる作用を持つため、活性酸素を低下させるか、活性酸素の上昇を抑制する作用を有するといえる。
なお、本発明の方法は、上記した本発明の組成物の作用と同様な作用に基づくものである。
従って、本発明の組成物、医薬製剤及び方法は、以下の効果を有する。
(1)血中の過酸化脂質の生成を抑制する効果
(2)血中のTBARS値を低下させる又はTBARS値の上昇を抑制する効果
(3)血中のビタミンE値を増加させる効果
(4)血中の抗酸化活性を増強する効果
(5)血中のTRAP値を増強する効果
(6)血中の活性酸素を低下させる又は活性酸素の上昇を抑制する効果
(7)糖尿病合併症の予防又は治療効果
本発明の組成物は、これらの効果を期待する人のための食品(例えば、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、病食者用食品など)又は医薬製剤として使用することができる。
また、本発明の組成物は、過酸化脂質生成抑制剤、血中のTBARS値低下剤又はTBARS値上昇剤、血中のビタミンE値上昇剤、血中の抗酸化活性増強剤、血中の活性酸素低下剤又は活性酸素上昇抑制剤、糖尿病合併症の予防剤又は治療剤などの医薬組成物として用いることができる。
本発明の組成物は、緑黄色及び淡色野菜を含むものである。緑黄色野菜とは、カロチンが生の野菜100g中に600μg以上含まれている野菜である。なお、トマトは、カロチン含有量が600μg未満であるが、一般に摂取量が多いため、緑黄色野菜に入るとされている。本発明で用いることができる緑黄色野菜としては、ブロッコリー、ケール、ほうれん草、小松菜、大根葉、パセリ、芽キャベツ、たかな、からしな、しそ、トマト、ニンジン、かぼちゃ、春菊、たいさい、ピーマンなどが挙げられる。これらの中でも、ブロッコリー、ほうれん草、小松菜、パセリ及び大根葉が好ましい。緑黄色野菜は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
淡色野菜とは、緑黄色野菜以外の野菜である。本発明で用いることができる淡色野菜としては、カリフラワー、レタス、キャベツ、セロリ、白菜、かぶ、だいこん、わさび、たまねぎ、にがうり、にんにく、ヤマノイモなどが挙げられる。これらの中でも、レタス、キャベツ及びセロリが好ましい。淡色野菜は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
緑黄色野菜と淡色野菜の組み合わせとしては、上記に例示したような緑黄色野菜と上記に例示したような淡色野菜とを組み合わせるのが好ましい。具体的な組み合わせとしては、ブロッコリー、ほうれん草、パセリ、小松菜、大根葉及びニンジンの少なくとも1種と、レタス、キャベツ、セロリ及びヤマノイモの少なくとも1種の組み合わせや、ブロッコリー、ほうれん草、パセリ、小松菜及び大根葉の少なくとも1種と、レタス、キャベツ及びセロリの少なくとも1種の組み合わせが挙げられる。より具体的には、緑黄色野菜としてブロッコリーを、淡色野菜としてキャベツを配合し、さらに、必要に応じてほうれん草、パセリ、小松菜、大根葉、レタス及びセロリの少なくとも1種を配合する。具体的には、ブロッコリー、キャベツ、セロリ、大根葉の組み合わせ、ブロッコリー、キャベツ、レタス、小松菜の組み合わせ、及びブロッコリー、キャベツ、ほうれん草、パセリの組み合わせである。
さらに、具体的な組み合わせとしては、ブロッコリー、キャベツ、ほうれん草、パセリ、小松菜、大根葉、レタス及びセロリを含有するのがより好ましい。
また、本発明の組成物において、緑黄色野菜と淡色野菜の含有量の割合(重量比)は、組成物中に含まれる緑黄色野菜と淡色野菜由来の成分を生の野菜の重量として換算した場合、緑黄色野菜:淡色野菜=1:1〜1:3程度となるような量が好ましく、1:1.5〜1:2程度となるような量がより好ましい。
ブロッコリー、キャベツ、ほうれん草、パセリ、小松菜、大根葉、レタス及びセロリを含有する場合の配合量としては、生の野菜に換算した場合に、野菜の全重量に対して、ブロッコリー5〜30重量%程度、キャベツ15〜35重量%程度、ほうれん草0.1〜20重量%程度、パセリ0.01〜10重量%程度、小松菜0.01〜10重量%程度、大根葉0.01〜10重量%程度、レタス1〜25重量%程度、セロリ1〜25重量%程度であることが好ましい。
本発明では、特に断らない限り、緑黄色野菜及び淡色野菜の通常食用として用いられている部分を使用する。
本発明では、生野菜を破砕してそのままその全体を用いてもよい。例えば、野菜のピューレを用いてもよい。又は、破砕若しくは搾汁して得られた野菜汁のみを用いてもよい。或いは、該破砕物乃至野菜汁を濾過して得られた濾液そのもの、又は、該濾液を遠心分離処理して得られる上澄み液を用いてもよい。野菜汁は、濃縮液として使用することもできる。或いは、濃縮液を乾燥させて、粉末状、顆粒状、錠剤状、カプセル等の形状に加工して使用することもできる。
従って、本発明においては、洗浄、剥皮、除芯、破砕、搾汁、濾過、分離、濃縮、加熱、冷却、乾燥等の公知の操作を適宜組み合わせて処理された緑黄色野菜又は淡色野菜を用いることができる。
本発明の組成物は、緑黄色野菜及び淡色野菜を含有していればよく、これら野菜のみを含有するもの(野菜100%)であってもよく、他の成分を含有するものであってもよい。
本発明の組成物に配合可能な、緑黄色野菜及び淡色野菜以外の任意の成分としては、本発明所期の効果を妨げない限り限定されるものではなく、組成物の形態及び用途に応じて通常配合されているような成分、例えば食品、医薬又は口腔用組成物に配合されているような成分が挙げられる。
特に、ビルベリーエキス、コエンザイムQ10、アスタキサンチン、トコトリエノール、ピクノジェノール、茶ポリフェノール、ブドウ種子エキス及びメチルヘスペリジン、メチルヘスペリジン及び玄米粉からなる群から選択される少なくとも1種を本発明の組成物に配合することは、前記の効果の向上に有利となるため、好ましい。これら任意成分の配合量は、組成物に含まれる野菜及び果実を生の野菜及び果実に換算した場合の全重量に対して、0.0002〜0.65重量%程度、好ましくは0.0004〜0.25重量%程度であるが、この範囲に限定されない。
また、玄米粉を除くこれら任意成分の成人1日当たりの摂取量は通常1〜1000mg程度、好ましくは2〜400mg程度である。玄米粉の成人1日当たりの摂取量は通常0.1〜50g程度、好ましくは1〜30g程度である。
これら任意成分の1種であるビルベリーエキスは、本発明の所期の効果を得られるものであれば、特に限定せずに使用することができる。例えば、ビルベリー(Vaccinium myrtillus)の果実を水又はアルコール、エーテル、アセトン等の親水性有機溶媒に浸漬し、抽出することによって得ることができる。
また、これら任意成分の1種であるブドウ種子エキスは、本発明の所期の効果を得られるものであれば、特に限定せずに使用することができる。例えば、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)の種子を原料とし、これまでに特公平06−31208号公報、特開昭63−162685号公報、特開平03−200781号公報、特開平02−48593号公報、特開平03−9909号公報等に記載されている何れの方法によっても得ることができるプロアントシアニジンおよびアントシアノイド類を含んだエキスである。
これら任意成分の1種であるピクノジェノールは、フランス海岸松(Pinus pinaster)樹皮抽出物であり、本発明の所期の効果を得られるものであれば、特に限定せずに使用することができる。例えば、フランス海岸松の樹皮を水又はエタノール等の有機溶媒の含水物で抽出して得られる。
これら任意成分の1種である玄米粉は、粒径が10〜200μmであることが好ましい。
本発明組成物に配合可能な、緑黄色、淡色野菜及びこれら任意成分以外の成分としては、例えば、リンゴ、レモン、みかん、グレープフルーツ、パイナップル、バナナ、ぶどう、桃、メロン、プラム、梅などの果実が挙げられる。これら果実を配合する場合には、緑黄色及び淡色野菜と同様にして処理すればよい。本発明組成物に野菜以外の成分を配合する場合の配合量は、本発明所期の効果を妨げない限り特に限定されず、組成物の用途、形態等に応じて適宜設定することができる。例えば、果実を配合する場合には、組成物に含まれる野菜及び果実を生の野菜及び果実に換算した場合の全重量に対して、生の果実に換算した重量が、80重量%以下程度となるような量が好ましく、20〜50重量%程度となるような量がより好ましい。
本発明の食品においては、本発明所期の効果を妨げない限り、通常食品に使用されるような添加剤を配合することもできる。添加剤としては、例えば、賦形剤、甘味剤、増粘剤、ビタミン類、着色剤、香料等が挙げられる。
本発明食品に野菜以外の成分を配合する場合の配合量は、本発明所期の効果を妨げない限り特に限定されず、食品の形態等に応じて適宜設定することができる。添加剤を添加する場合の配合量についても、特に限定されるものではなく、食品形態等に応じて適宜設定することができるが、例えば、食品全重量に対して50重量%以下程度まで添加することできる。或いは、組成物が液状(例えば、野菜ジュース、野菜果物混合飲料、果実・野菜ミックスジュースなどの液状飲料)の場合は、野菜以外の成分を、組成物全重量に対して20重量%程度まで配合することができ、組成物が半固形状又は固形状の場合は、他の成分を、組成物全重量に対して50重量%程度まで配合することができる。
本発明食品の形態は、特に限定されることなく、飲食物や嗜好品も含まれる。具体的には、粉末、タブレット、チュアブルタブレット、カプセル、飴、キャンディー、ゼリー、ビスケット、ケーキ、パン、麺類等の固形又は半固形食品;野菜ジュース、野菜果物混合飲料、果実・野菜ミックスジュースなどの液状飲料;たれ、ドレッシング、ソース、醤油等の調味食品等を挙げることができる。これら食品形態のなかでも、本発明食品の形態としては、液状飲料が好ましく、野菜ジュースがより好ましい。これら食品は、その形態に応じた常法に従って調製することができる。
本発明食品の摂取量は、食品の形態、摂取する人の年齢、体重、性別、摂取の目的等に応じて適宜決定でき、特に限定されるものではないが、通常、緑黄色野菜及び淡色野菜の量が、生の野菜として、1日成人1kg当たり0.5〜15g程度、好ましくは1〜10g程度、より好ましくは2〜6g程度となるような量を、1日に1回又は2〜4回に分けて摂取することができる。
本発明組成物が医薬組成物である場合にも、所期の効果を妨げない範囲で緑黄色野菜又は淡色野菜以外の成分を配合することができる。例えば、医薬製剤の調製に慣用されている賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤、潤滑剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味・矯臭剤、安定剤等の添加剤等を、配合することができる。これらの配合量は、所期の効果を妨げない限り特に限定されるものではなく、添加剤の種類、医薬組成物の剤形等に応じて適宜設定することができる。
医薬組成物が液状の場合は、野菜以外の成分を、組成物全重量に対して0.01〜20重量%程度配合することができ、組成物が固形状・半固形状の場合は、組成物全重量に対して0.01〜50重量%程度配合することができる。
医薬組成物の投与単位形態としては、各種の形態が治療目的に応じて選択できる。例えば、錠剤、丸剤、顆粒剤、カプセル剤、トローチ剤等の固形製剤;内用散剤、外用散剤、パウダー等の粉体製剤;液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、ローション剤、エアゾール剤、浸剤、煎剤等の液状製剤;軟膏剤等のクリーム状の製剤;パップ剤等が挙げられる。本発明の医薬組成物は、当該形態における常法に従って調製することができる。
医薬組成物の投与方法は特に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じて、具体的には経口投与、経皮投与等される。
医薬組成物の投与量については、その製剤の形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等により適宜選択される。投与量は、通常、野菜の量が、生の野菜として1日成人1kg当たり、0.5〜15g程度、好ましくは1〜10g程度、より好ましくは2〜6g程度となるような量とするのがよい。医薬組成物は、1日に1回又は数回に分けて投与することができる。
本発明の組成物が口腔用組成物である場合には、本発明所期の効果を妨げない限り、通常口腔用組成物に使用されるような添加剤を配合することもできる。添加剤としては、例えば、賦形剤、甘味剤、増粘剤、ビタミン類、着色剤、香料等が挙げられる。添加剤を添加する場合の配合量についても、特に限定されるものではなく、添加剤の種類、口腔用組成物の形態等に応じて適宜設定することができる。
本発明口腔用組成物の形態は、特に限定されることないが、例えば、歯磨剤、洗口剤、トローチ剤、口腔用パスタ剤等が挙げられる。これら口腔用組成物は、その形態に応じた常法に従って調製することができる。
口腔用組成物が液状の場合は、野菜以外の成分を、組成物全重量に対して0.01〜20重量%程度配合することができ、組成物が固形状・半固形状の場合は、組成物全重量に対して0.01〜50重量%程度配合することができる。
また、本発明口腔用組成物は、その形態に応じた通常の方法に従って使用することができる。
本発明口腔用組成物の使用量は、その形態、使用する人の年齢、体重、性別、使用の目的等に応じて適宜決定でき、特に限定されるものではないが、通常、緑黄色野菜及び淡色野菜の量が、生の野菜として、1日成人1kg当たり0.5〜15g程度、好ましくは1〜10g程度、より好ましくは2〜6g程度となるような量を、1日に1回又は2〜4回に分けて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、試験例1における血中のTBARS値の変化を示す図である。
図2は、試験例1における血中のビタミンE値の変化を示す図である。
図3は、試験例2における血中のTRAP値の変化を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
下記表1に示す各成分を混合して、野菜ジュース(1缶160g)を調製した。

なお、生の野菜として換算した緑黄色野菜と淡色野菜の配合量の割合は、25.5:45であった。
試験例1
2型糖尿病の成人男性14名を対象とし、実施例1で得られた野菜ジュースを毎食前に1缶(160g)ずつ(1日3缶)、2週間飲用させた。
飲用前と飲用後の血中のTBARS値及び血中のビタミンEの量を測定した。TBARS値はTBA法(Thiobarbituric Acid法、八木国夫,ビタミン49,403−405,1975)に従って測定した。ビタミンEの量は蛍光法(阿部皓一 他,栄養と食糧28,277−280,1975)に従って測定した。結果を図1及び図2に示す。
本発明の食品である野菜ジュースを飲用することにより、血中のTBARS値が低下することがわかった(有意差あり)。野菜ジュースを飲用したのは糖尿病患者であったので、本発明の野菜ジュースを飲用することにより糖尿病患者(血糖値の高い状態にある人)のTBARS値を低下させる作用が奏されることが明らかである。また、本発明の野菜ジュースを飲用することにより、血中のビタミンEの量が上昇することがわかった(有意差あり)。野菜ジュースを飲用したのは糖尿病患者であったので、本発明の野菜ジュースを飲用することにより糖尿病患者(血糖値の高い状態にある人)のビタミンEの量を上昇させる作用が奏されることが明らかである。
試験例2
試験例1の場合と同様に、2型糖尿病の成人男性14名を対象とし、実施例1で得られた野菜ジュースを毎食前に1缶(160g)ずつ(1日3缶)、2週間飲用させた。飲用前と飲用後の血中のTRAP値を測定した。TRAP値は吸光度計を用い、マニュアル法にて測定した。なお、TRAP値の測定にはRice−Evans Cらの方法を参考にした(Rice−Evans C,et al:Total antioxidant Status in plasma and body fluids.Methods in Enzymology,234,279−293,1994)
吸光光度計用の1mL容キュベットに以下の(1)〜(4)を入れて混合する。なお、Trolox(6−hydroxy−2,5,7,8−tetramethylchroman−2−carboxylic acid)は強力な抗酸化活性を有することが知られており、ポジティブコントロールとして使用される。
(1)被験者から採取した血清サンプル25μL又は400μMのTrolox(6−hydroxy−2,5,7,8−tetramethylchroman−2−carboxylic acid)25μL
(2)メトミオグロビン試液36μL
(3)500μMのABTS(2,2’−azinobis(3−ethylbenzothiazoline−6−sulfonic acid)diammonium salt)300μL
(4)0.1mMのDTPA(Dietylenetriamine pentaacetic acid)含有PBS緩衝液472μL
次に、450μMのH試液167μLを添加し、吸光度を経時的に測定した(25℃、734nm)。H試液添加時から吸光度が735nmまで上昇するのに要した時間(min)(メトミオグロビンの酸化が始まるまでの時間)を算出した。算出された時間を下記の数式に代入して血清サンプルの保持活性(TRAP)を算出した。
血清サンプルの保持活性(μM)=(400μM*サンプルの時間(min)/Troloxの時間(min))
血清サンプルの保持活性を図3に示す。図3に示されるように、野菜ジュース飲用2週間後は、TRAP値が上昇している。これは、野菜ジュースの飲用により、被験者の抗酸化活性が増強されたことを示している。なお、同一患者のビタミンE量とTRAP値の相関関係を、スピアマンの計算式より算出すると、R=0.165となり、TRAP値の上昇はビタミンE量の増加によるものだけでなく、他の要因も関与していることが示された。
食品例
下記表2及び3に示す各成分を混合して、野菜ジュース(1缶160g)を調製した。


【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑黄色野菜及び淡色野菜を含有する組成物。
【請求項2】
緑黄色野菜がブロッコリー、ほうれん草、パセリ、小松菜、大根葉及びニンジンからなる群から選択される少なくとも1種の野菜であり、淡色野菜がレタス、キャベツ、セロリ及びヤマノイモからなる群から選択される少なくとも1種の野菜である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
緑黄色野菜と淡色野菜の重量比が、生野菜として換算した場合に、1:1程度〜1:3程度である請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
さらに、ビルベリーエキス、コエンザイムQ10、アスタキサンチン、トコトリエノール、ピクノジェノール、茶ポリフェノール、ブドウ種子エキス、メチルヘスペリジン及び玄米粉からなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
食品である請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
血中の過酸化脂質生成抑制用食品である請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
血中のTBARS値低下用又はTBARS値上昇抑制用食品である請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
血中のビタミンE値上昇用食品である請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
血中の抗酸化活性増強用食品である請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
血中の活性酸素低下用又は活性酸素上昇抑制用食品である請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
糖尿病合併症の予防用又は治療用食品である請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
緑黄色野菜及び淡色野菜の治療量が含有され、過酸化脂質生成抑制剤である請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
緑黄色野菜及び淡色野菜の治療量が含有され、血中のTBARS値低下又はTBARS値上昇抑制剤である請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
緑黄色野菜及び淡色野菜の治療量が含有され、血中のビタミンE値上昇剤である請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
緑黄色野菜及び淡色野菜の治療量が含有され、血中の抗酸化活性増強剤である請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
緑黄色野菜及び淡色野菜の治療量が含有され、血中の活性酸素低下剤又は活性酸素上昇抑制剤である請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
緑黄色野菜及び淡色野菜の治療量が含有され、糖尿病合併症の予防剤又は治療剤である請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
緑黄色野菜及び淡色野菜の有効量を摂取する、血中の過酸化脂質の生成を抑制する方法。
【請求項19】
緑黄色野菜及び淡色野菜の有効量を摂取する、血中のTBARS値を低下又はTBARS値の上昇を抑制させる方法。
【請求項20】
緑黄色野菜及び淡色野菜の有効量を摂取する、血中のビタミンE値を上昇させる方法。
【請求項21】
緑黄色野菜及び淡色野菜の有効量を摂取する、血中の抗酸化活性を増強させる方法。
【請求項22】
緑黄色野菜及び淡色野菜の有効量を摂取する、血中の活性酸素を低下又は活性酸素の上昇を抑制させる方法。
【請求項23】
緑黄色野菜及び淡色野菜の有効量を摂取する、糖尿病合併症を予防又は治療する方法。

【国際公開番号】WO2004/052385
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【発行日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502355(P2005−502355)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015572
【国際出願日】平成15年12月5日(2003.12.5)
【出願人】(000106324)サンスター株式会社 (200)
【Fターム(参考)】