説明

線状発光体

【課題】 水中や雨、或いは雪のかかる場所や爆発の虞れのある環境下でも問題なく使用でき、しかも小電力でも十分な側面発光が得られ、さらにコンパクトで設置場所に制約が少ない。
【解決手段】 透明なコア材とこのコア材よりも屈折率の小さなクラッド材とよりなる光伝送チューブ1と、光伝送チューブ1の長さ方向の少なくとも一端部に防水状態で配設させた光源2と、光源2を点灯させる点灯装置3とを有し、光源2から入射した光を光伝送チューブ1の長さ方向側面から出射させる線状発光体において、光源2に小電力駆動の発光ダイオードを使用するとともに、その光源2に防水手段21を備えた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、耐水性、耐環境性に優れ、低消費電力での駆動が可能な線状発光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、数メートル程度の長さに亘り線状の発光が得られる発光体としては、ネオン管や蛍光管等が知られている。
【0003】しかしながら、このネオン管や蛍光管は高電圧を必要とし、感電や漏電の危険性があるため、例えば水中や雨のかかる場所、或いは雪のかかる個所では使用できず、しかもガラス管で形成されているので、人や車等が物理的に衝突して破損する虞れのある場所では、使用できなかった。また、曲面状に彎曲させるような恰好で使用する場合には、その曲率に合わせたガラス細工を行う必要があるから熟練を要し、その結果コストの増大を招いていた。しかも、消費電力が1m当たり数十W程度と大きいから、長時間に亘り使用する場合には、商用電源を利用できる場所でなければ使用できなかった。
【0004】そこで、これらの問題を解決するものとして、可撓性チューブに透明コア液或いは柔軟な透明ポリマーを充填した光伝送チューブやプラスチック光ファイバーを撚り合わせたものが提案されている。即ちこれは、光源から出射される光を光伝送チューブ等に入射させ、数十mの長尺に亘りチューブ側面から光を出射させるものであり、光源と発光部とを分離できるから、水中や屋外、或いは爆発の虞れのある環境でも使用でき、しかも破損の危険性もなく、さらにガラス細工等の複雑で面倒な加工が不要であり、施工性も良好であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような光伝送チューブ等は、数十m程度の長尺に亘って発光させるとなると、側面の発光効率が低く、低消費電力駆動(小電力)の光源を使用した場合には十分な明るさが得られなかった。その結果、輝度を上げるためにはどうしても50〜250W程度の駆動電力消費量の多い光源が必要となってしまい、設置場所として商用電源の利用できるところに制限されていた。また、数メートル程度の短尺を発光させたい場合でも、ネオン管や蛍光管と同様に消費電力の多い光源が必要となっていた。
【0006】そこで、この発明は、上記した事情に鑑み、水中や雨、或いは雪のかかる場所や爆発の虞れのある環境下でも問題なく使用できるとともに、商用電源を必要としない小電力駆動でも十分な側面発光が可能となり、しかもコンパクトで設置場所に制約が少ない線状発光体を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、この請求項1に記載の発明は、透明なコア材とこのコア材よりも屈折率の小さなクラッド材とよりなる発光手段である光伝送チューブと、この光伝送チューブの長さ方向の少なくとも一端部に防水状態で配設させた光源と、この光源を点灯させる点灯装置とを有し、前記光源から入射した光を光伝送チューブの長さ方向に沿って側面から出射させる線状発光体において、前記光源に小電力駆動の発光ダイオードを使用するとともに、その光源に防水手段を備えたものである。
【0008】また、この請求項2に記載の発明は、請求項1において、光伝送チューブが、透明コア材に拡散粒子を分散させたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施例について添付図面を参照しながら説明する。図1はこの発明に係る線状発光体を示すものであり、この線状発光体は、発光手段である(光反射層を形成した)光伝送チューブ1と、光源2と、点灯装置3とを有する。
【0010】この実施例の光伝送チューブ1は、例えば図2及び3に示すように、透明の管状クラッド11とこのクラッド11より高屈折率の透明コア12とを備え、コア12には散乱性粒子13が均一に分散されて形成してあるものであり、これによってコア12を通る光Lがコア12の散乱性粒子13で散乱・反射されて光伝送チューブ外表面の全面から放出・発光するようにしたものである。この場合、図4、5のように、クラッド11の外表面の一部に反射材14を形成すると、この反射材14に覆われた部分の発光は抑えられるから特定の方向にのみ発光する指向性を有するようになる。
【0011】ここで、上記管状クラッドを形成する材料としては、プラスチックやエラストマーなどのように可撓性を有し、チューブ状に成形可能で、屈折率の低い材料を用いることが好ましい。その具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、EPDM、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、フッ素ゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。
【0012】この中でも屈折率が低いシリコーン系ポリマーやフッ素系ポリマーが特に好ましく、具体的にはポリジメチルシロキサンポリマー、ポリメチルフェニルシロキサンポリマー、フルオロシリコーンポリマー等のシリコーン系ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン(PFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド、フッ化ビニリデン−三フッ化塩化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレンー四フッ化エチレン三元共重合体、四フッ化エチレンプロピレンゴム、フッ素系熱可塑性エラスチトマーなどが挙げられ、とりわけフッ素系ポリマーが好ましい。これらの材料は単独で又は2種以上をブレンドして用いることができる。
【0013】一方、コア材としては、固体状ポリマーが好ましく、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリカーボネート、エチリデンノボルネンポリマー、SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロックポリマー)などが挙げられ、中でも(メタ)アクリル系ポリマーが好ましい。
【0014】(メタ)アクリル系ポリマーとしては、アクリル酸及びメタクリル酸並びにこれらの一価アルコールとのエステルから選ばれる1種のモノマーを重合してなるホモポリマー、或いは2種以上のモノマーを共重合してなるコポリマーが挙げられる。この場合、一価アルコールとしては、炭素数1〜22のものを挙げることができる。中でも、アクリル酸及びメタクリル酸並びにこれらと低級アルコール(炭素数1〜5、好ましくは1〜3、最も好ましくは1)とのエステルから選ばれるモノマーと、下記一般式(1)で示されるモノマーとの共重合体を用いることが、柔軟性乃至は可撓性に優れ、光透過性にも優れたものであることから好ましい。
【0015】
【化1】


【0016】この一般式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数8〜20、好ましくは10〜16、より好ましくは12〜14のアルキル基であり、これらの高級アルキル基は、単独アルキル基であっても混合アルキル基であってもよいが、最も好ましくは炭素数12と13との混合アルキル基である。この場合、炭素数12のアルキル基のものと炭素数13のアルキル基のものとの割合は、重量比として通常20:80〜80:20、特に40:60〜60:40であることが好ましい。上記アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの低級アルコールエステルから選ばれるモノマーと、上記一般式(1)のモノマーとの共重合割合は適宜選定されるが、重量比として5:95〜79:21、特に30:70〜65:35であることが好ましい。
【0017】なお、上記コアの直径は特に制限されないが、通常2〜30mm、特に4〜15mmが好ましく、長さは0.15〜5m、特に0.2〜2mが好ましい。
【0018】上記コア中に分散される散乱性粒子としては、例えばシリコーン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子等の有機ポリマー粒子、Al23、TiO2、SiO2等の金属酸化物粒子、BaSO4等の硫化塩粒子、CaCO3等の炭酸塩粒子などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上併用して使用することができる。
【0019】上記散乱性粒子の平均粒径は、0.1〜30μm、特に1〜15μmが好ましく、30μmより大きいと後述する光伝送チューブの製造法に従った場合、コア液をクラッドチューブに注入する途中で沈殿し易く、不利を伴うと共に、光の散乱特性も低下する場合がある。また、0.1μmより小さいと、光の散乱において波長依存性が著しく強くなり、短波長(青)の光はより散乱され易くなり、長波長(赤)の光は前者より散乱されにくいため、コアに白色光を通す場合にはチューブ末端付近が著しく黄変してしまい好ましくない。
【0020】上記散乱性粒子の配合割合は、コア形成法モノマーに対して0.1〜200ppm、特に5〜80ppmが好ましい。0.1ppmより少ないと、散乱される光が少なくなるため輝度が低くなり、200ppmより多いと散乱性粒子がコア形成用溶液中で沈殿し易くなり、分散不良で輝度が低下するという不利を伴う場合がある。
【0021】反射材14は、光伝送チューブの外周面の全面から発光する光の放出に指向性(方向性)を持たせるために設けられるもので、チューブ内部を通る光を外部に透過させないものであればよく、この場合、光を吸収せずに反射させる性質のものを用いれば、放射される光よりは一層輝度が増す。具体的には銀、アルミニュウム等の金属箔や金属シート、或いは光を散乱する上述のごとき散乱性粒子を分散した塗料の塗膜等を用いることができる。反射材14は、光伝送チューブの使用用途に応じて、帯状、螺旋状等の所望の形状に形成することできる。
【0022】反射材14は、クラッド11から光が漏れた場合において、この光を外部に透過させないものであればよく、またこの場合、この漏れた光を吸収せず、反射させるものが好ましく、具体的には、銀、アルミニウム等の金属箔や金属シート、反射テープ、蒸着テープ或いは光を散乱する上記したような散乱性粒子を分散した塗膜などを用いることができる。
【0023】この実施例の光伝送チューブは、コア用モノマーに上記散乱性粒子を分散させたコア形成用溶液を、クラッドチューブに注入し、両端を封止した状態でクラッドチューブを回転振動させて上記散乱性粒子がコア形成用溶液中で均一に分散した状態のまま重合、硬化することにより、コア中で散乱性粒子が均一に分散された光伝送チューブを得ることができる。
【0024】ここで、回転又は振動は、チューブの軸方向中間部を中心又は支点として回転(一方向又は正逆反転)又は振動(乃至は揺動)させてもよく、チューブの中心軸線を中心又は支点として回転(一方向又は正逆反転)又は振動(乃至は揺動)させてもよく、いずれにしても散乱性粒子を均一にコア形成用溶液中に分散させればよい。また、上記重合は、上記回転又は振動を停止して行ってもよく、回転又は振動を行いながら進めてもよい。
【0025】この場合、モノマーの重合法は特に制限されないが、一般的にはt−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、クミルパーオキシオクトエート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリルなどのアゾ化合物等の重合開始剤を添加し、50〜120°Cで1〜20時間重合させる方法を採用することができる。この際、上記クラッドチューブの一端又は両端から上記コア形成用溶液を加圧しながら重合することが、コアに気泡等を生じさせないことから推奨される。
【0026】なお、この実施例に係る光伝送チューブは、上記散乱性粒子をコア中に均一に分散させて形成していあるため、光量の最も多いコア内部を通る強い光が、散乱性粒子によって散乱(クラッドを通過する光の場合、その光量が少ないためこれを散乱する光も弱いものとなる)され、著しく輝度が高くなり非常に明るい状態になる。ここで、上記散乱性粒子をシリコーン樹脂、ポリススチレン樹脂粒子、金属酸化物粒子等にて形成することにより非常に高い発光が得られる。更に、クラッドの外表面に金属シートや散乱性粒子を分散させた反射性塗膜等からなる反射材を形成することにより、発光の指向性(方向性)を持たせることもできる。
【0027】また、この実施例の光伝送チューブの製造方法によれば、非常に簡単にかつ確実に散乱性粒子が均一に分散されているコアを形成することができ、著しく輝度が高い光伝送チューブを容易に、しかも長尺のものを製造することができるものである。なお、コアを製造する際、コア形成用ポリマーを有機溶剤に溶かした溶液中に散乱性粒子を分散させ、この分散液をFEPチューブに注入し有機溶剤を減圧下で揮発させてコアを製造するという方法も考えられるが、溶媒を揮発できる長さが限られているため、長尺のものを製造することが困難であり、製造効率も悪いので、このような方法は好ましくない。
【0028】光源2は、光伝送チューブ1の長さ方向の少なくとも一端部に配設されており(この実施例では左端部のみ)、LED(発光ダイオード)が使用されている。この発光ダイオードの発光色は、赤、青、緑、黄、橙、白等であるが、目的に応じて適宜選択使用することができる。また、このLEDの設置個数は、1個でもよいし、複数個設置して光量を増大させてもよい。この場合、一方側端部から入射させてもよいし、両端部から入射させてもよい。両端部から入射させれば、より均一に高輝度に発光させることができる。また、このLEDの発光色についても同様であり、単色でもよいし、複数色で発光させてもよい。例えば、線状発光体を踏切の停止線に設置する場合には、通常は黄色に発光させ、電車が通過する直前及び通過中には赤色に発光させて通過者に注意を喚起させるように発光色を変更可能に構成してもよい。このLEDの発光方式は常時点灯でも、点滅でもよい。
【0029】なお、構造的には、光伝送チューブ1は、一端部が適宜のジョイント部材20に接着若しくは加締めによって固定される。また、LEDを用いた光源2もジョイント部材20を介してこの光伝送チューブ1と一体に固定される。なお、光源2側と点灯装置3との間は、ゴム、ビニール、ポリエチレンなど被覆された配線コード30で配線されている。またジョイント部材20は、配線コード30と光源2との接続個所での絶縁を図るために、及び水や水蒸気、或いは可燃性ガスや液体の侵入を防ぐために、ポッテイング材21、例えばエポキシ樹脂、シリコーンゴム等の材料で充填される。なお、配線コードには、保護や防水のために、金属や樹脂製のフレキシブル管、或いはゴムやプラスチックパイプ中に通すこともできる。
【0030】また、このような光伝送チューブの構造としては、この他に例えば図6に示すように、チューブ保護の目的で、透明な樹脂パイプ10A等に挿入したり、図7に示すように、光伝送チューブの保護と線状発光体全体のシールのために、透明な熱収縮チューブ10Bを被せることも可能である。さらに、図8に示すように、光伝送チューブ1の外周面の一部に、例えばステンレスや金、銀などの金属材料を蒸着したり、スパッタリング、メッキした反射テープを取り付けたり、反射塗料を塗布したり、金属箔を設けたり、酸化チタンなどの反射粒子をコーテイングしたり、顔料を含有したビニルテープを使用して光反射層15を設けてもよい。また、図9又は図10に示すように、光伝送チューブに固定用チャンネル16又は17を取り付けるとともに、このチャンネル16又は17に反射機能(反射材として機能する)を設けてもよい。このチャンネルには、アルミニュム、ステンレス等の金属材料で形成したり、高反射性微粒子(粉体)を充填・混練したプラスチック又はエラストマーを使用してもよい。
【0031】点灯装置3は、光源への給電を行うためのものであり、バッテリ、太陽電池、DC/AC電源等の電源からLEDを点灯するための直流電源を発生する電気回路(抵抗やトランジスタ、定電流ダイオードなどからなる)を設けている。なお、この駆動装置自体に、太陽電池や2次電源(バッテリ)を埋蔵してあってもよいし、別に分けてもよい。また、この点灯装置3の配線コード30引出し部分は適宜のシール材を設けており、十分に防水性を持たせてある。
【0032】次に、この発明に係る線状発光体の幾つかの実施例(実験例1及び2)と比較例との比較実験について以下に説明する。なお、ここで、実験例1は、MMA(メタクリル酸メチル)60重量部、LMA(メタクリル酸ラウリル)40重量部、BPO(ベンゾイルパーオキサイド)0.05重量部からなるモノマー溶液(コア形成用溶液、比重0.92)に、散乱粒子として平均粒径12ミクロンで比重1.32のシリコーン樹脂粒子(東芝シリコーン製)をモノマー溶液100重量部に対し、0.01重量部分散させ、これを外径6mm、内径5mm、長さ1.5mmのFEPチューブ内に注入し、両端を封止し、65℃の温浴槽に置き、両端からそれぞれ3.5kg/cm2の圧力を加えながら3時間重合、固形化した。
【0033】ここで得られた30cm長の光伝送チューブの一方の端面には厚さ1mm、外径6mmの鏡面加工されたステンレス板を透明アクリル系接着剤により接着し、反射板を形成した。もう一方の端面には緑色のLED(日亜化学製NSPG50)をアルミ製ジョイントを用い接続固定した。LEDの端子にはリード線をハンダ付けし、その露出部はシリコーンゴム系接着剤で封止して線状発光体を得た。LEDに20mAの電流を流した時の側面輝度を表1に示す。比較例1に比べ輝度が高いことが認められる。この時の消費電力は0.06Wであった。上記で得られた線状発光体を水中に6ヶ月浸漬したが漏電などの問題はなく初期と同じ発光特性が得られた。
【0034】また、実験例2には、本願発明に係る高反射性樹脂(帝人製バンライトLD−1000R)を用い、図9又は図10に示すようなチャンネル16(又は17)を形成して実施例1の光伝送チューブ1をこのチャンネル16(又は17)に嵌め込んだ(チャンネル自体が反射性を示す)。また、比較例とは、実験例1と同様の方法で形成してあるが、散乱粒子を配合していない点で実験例1と異なる構成となっている。これらのものについて、光伝送チューブの光入射端からの特定距離離間した場所での側面輝度について測定した結果を以下の表1に示す。
【0035】
【表1】


【0036】この表1からわかるように、チャンネル16(又は17)の反射材を設けた実験例2のものが側面輝度が一番高く、次いで散乱性粒子13を分散させた実施例1が側面輝度が高く、これらを設けていない比較例が一番側面輝度が低いことがわかる。
【0037】次に、この発明に係る線状発光体の適用例について説明する。この線状発光体の光伝送チューブ1を、例えば図11に示すように、標識4の外周面を縁取るように囲設すれば、夜間等での交通安全に寄与することができる。また、図12に示すようにトンネル(この他に、例えば地下道、ビルや病院などの建造物の廊下、映画館やホール等の公共施設での非難誘導等として)の側壁5に沿って光伝送チューブ1を取り付けてもよい。この場合には、光源の駆動用として商用電源を使用してもよいが、停電時にはバッテリで駆動できるように構成してある。このバッテリを使用する場合には、白熱灯や蛍光灯では点灯時間が例えば数十分程度と短いが、光源としてLEDを用いたから、長時間の点灯が実現できる。しかも、ライン状の発光のために、誘導経路を直ちに目で直観的に確認できるから、安全でスムースな誘導動作が実現できる。
【0038】また、図13に示すように階段の各蹴上げ面6の上縁部等に設け、特に夜間等での階段の踏み外しによる落下事故を有効に防止することもできる。また、非常階段などに設置すれば、夜間などの非常時に階段を容易に確認でき、非難誘導を安全、確実に行うことができる。また、図14に示すように、看板7の縁取りとして、光伝送チューブ1を周設したり、図15に示すように、セグメント方式の表示盤4′に設ける最高速度の数字等として各桁7本の光伝送チューブ1を部分的に消灯可能に取り付ける(速度表示を可変とする)ようにしてもよい。なお、セグメントの数を増やすことによって、文字表示(さらに変更表示)も可能である。
【0039】さらに、図16に示すように、車内8Aの側面に光伝送チューブ1を設置して間接照明を行ったり、図17に示すように、ドア8Bの内壁面下部等に光伝送チューブ1を設置してフットライトとしたり、図18R>8に示すように、車体リア面8Cに設置して車幅灯としたり、図19に示すように、路上での停止を後方の走行車両に知らせる停止表示板9の三角形部分を光伝送チューブ1で構成してもよい。
【0040】さらに、この発明に係る線状発光体の適用対象としては、以下のようなものが考えられる。
(1) 光表札(2) 夜間工事の誘導棒(3) 光るステッキ(4) 光剣( スポーツ用及び玩具用)(5) テントのロープに懸架させ夜間の躓き、転倒防止。
(6) 水槽等のデイスプレイ(7) プールのコース表示や装飾(8) 海上ブイ、桟橋、堤防、マリンホースの視認性向上(9) 踏切遮断機(10)踏切スパーン線、高架、駐車場入口等の高さ制限位置をライン状に光らせた安全表示機。
【0041】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によれば、光源に発光ダイオードを使用するとともに、この光源を点灯装置から分離して屋外や水中に配置することができるようにするため、光源部分は防水手段を備え、かつ、光伝送チューブと一体化させており、水中や雨、或いは雪のかかる場所や爆発の虞れのある環境下でも安心して使用でき、安全性の点で優れている。
【0042】また、この発明によれば、光源から入射した光を光伝送チューブの長さ方向側面から出射させる線状発光体において、光源に発光ダイオードを使用しており、その光源へ低電圧電力を供給して点灯させているが、特に光伝送チューブが透明コア材に拡散粒子を分散させた構成のものである場合には、小電力でも十分に輝度の高い側面発光が実現できる。
【0043】しかもこの発明によれば、形状的に小さな発光ダイオードを光源として使用しているから、コンパクトで設置場所に制約が少なくてすみ、その分汎用性が高めるとともに、可撓性を有する光伝送チューブを使用しているから、屋外での設置した場合に、何かがぶつかって破損するといった危険性の少なく、信頼度も高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る線状発光体を示す概略構成図。
【図2】光伝送チューブを示す側断面図。
【図3】同縦断面図。
【図4】光伝送チューブの変形例を示す縦断面図。
【図5】光伝送チューブの他の変形例を示す縦断面図。
【図6】光伝送チューブの他の変形例を示す説明図。
【図7】さらに光伝送チューブの他の変形例を示す説明図。
【図8】光反射層を設けた光伝送チューブの縦断面図。
【図9】チャンネルに取り付けた光伝送チューブ縦断面図。
【図10】他のチャンネルに取り付けた光伝送チューブ縦断面図。
【図11】この発明に係る線状発光体を適用した標識を示す説明図。
【図12】誘導路に適用した状態を示す説明図。
【図13】階段に適用した状態を示す説明図。
【図14】看板に適用した状態を示す説明図。
【図15】セグメント方式の表示盤を示す説明図。
【図16】車内に取り付けた状態を示す説明図。
【図17】ドアに取り付けた状態を示す説明図。
【図18】車体側面に車幅灯として設けた状態を示す説明図。
【図19】トランクに設けた停止表示板に取り付けた状態を示す説明図。
【符号の説明】
1 光伝送チューブ
11 管状クラッド
12 透明コア
13 散乱性粒子
14 反射材
2 光源
20 ジィント部材
21 ポッテイング材
3 光源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 透明なコア材とこのコア材よりも屈折率の小さなクラッド材とよりなる発光手段である光伝送チューブと、この光伝送チューブの長さ方向の少なくとも一端部に防水状態で配設させた光源と、この光源を点灯させる点灯装置とを有し、前記光源から入射した光を光伝送チューブの長さ方向に沿って側面から出射させる線状発光体において、前記光源に小電力駆動の発光ダイオードを使用するとともに、その光源に防水手段を備えたことを特徴とする線状発光体。
【請求項2】 光伝送チューブが、透明コア材に拡散粒子を分散させたものであることを特徴とする請求項1に記載の線状発光体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図16】
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【図19】
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【公開番号】特開2000−131529(P2000−131529A)
【公開日】平成12年5月12日(2000.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−307093
【出願日】平成10年10月28日(1998.10.28)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】