説明

縦形製袋充填機

【課題】モータを小型化して使用電力を小さくできる。
【解決手段】筒状の包材を挟んで加熱シールする一対のヒータブロックを開閉作動させる駆動源としてマスターモータM1とスレイブモータM2を設けた。マスターモータはトルク検出手段30と位置検出手段31を備え、スレイブモータM2はトルク検出手段33を備えた。マスターモータとスレイブモータの駆動を制御する制御手段32はマスターモータのトルク信号と位置信号を入力し、マスターモータに位置制御信号を出力して回転位置の制御を行う。制御手段はマスターモータのトルクの増減に応じてトルクを増減させてスレイブモータのトルクを制御する。マスターモータとスレイブモータの出力でヒータブロックを保持する第一横シーラブラケットと第二横シーラブラケット18を作動する。これによって一対のヒータブロックを開閉作動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状に成形した包材を加熱シールして袋を形成するようにした縦形製袋充填機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の縦形製袋充填機として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この縦形製袋充填機は、連続する帯状のフィルムをフィルムロールから繰り出して縦形製袋充填機のフォーマを介して製袋チューブとの間に挿入して筒状に成形する。そして、筒状とされたフィルムの縦方向両端部を合掌させて縦シーラによって加熱シールする。次いで、繰り出しベルトによって筒状のフィルムを更に下方に搬送して横シーラによって先に成形した袋の上部を加熱シールすると共に次の袋の底部を加熱シールし、カッタによってこれら上部シール部と底部シール部の間を切断する。
そして所定長さだけフィルムを搬送して、底部シール部を形成した次の袋の上部開口部には製袋チューブを通して内容物をホッパから袋内に充填する。そして再度、横シーラで加熱シールすることで上部開口部と次の袋の底部を加熱シールし、切断することになる。
【0003】
このような縦形製袋充填機においては、横シーラは一対のヒータブロックを一対のクランク機構によって開閉可能に制御することでヒータブロック間に挟まれた袋の上部開口部と底部を加熱シールする構造とされている。この場合、縦形製袋充填機は1つのモータを一対のクランク機構の間に配設しており、モータの出力軸は各ヒータブロックの進退方向に向いており、クランク機構の回転軸は各ヒータブロックの進退方向に直交する方向に配設されている。
そのため、モータの駆動力はベベルギヤやウオームギヤ等を含む減速機構を介して回転方向を略90度変えて両側のクランク機構の回転軸に伝達する構成を備えている。
【特許文献1】特開2006−182424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の縦形製袋充填機では、モータの回転力を減速機構を介して略90度変換することで効率が低下し、その分、モータ駆動に多くの電力を必要とし、モータが大型化する欠点があった。モータの回転力の方向を変換する電気的ロスをなくすためにクランク機構の回転軸に直列にモータの出力軸を連結すると、一対のクランク機構の間にモータの長さ分のスペースが必要となり、モータが突出して縦形製袋充填機が大型化する欠点が生じる。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みて、モータを小型化して使用電力を小さくできるようにした縦形製袋充填機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による縦形製袋充填機は、筒状の包材を一対のヒータブロックで挟んで加熱シールする開閉可能な横シーラを備えた縦形製袋充填機において、トルク検出手段と位置検出手段を備えていて一対のヒータブロックを開閉作動させる第一モータと、トルク検出手段を備えていて一対のヒータブロックを開閉作動させる第二モータと、第一モータ及び第二モータの駆動を制御する制御手段とを備えていて、制御手段によって第一モータの回転位置を制御すると共に第一モータのトルクの増減に応じて第二モータのトルクを増減させるよう制御することを特徴とする。
本発明において、第一モータを位置制御モータとしてその回転位置を位置検出手段によって検知して制御すると共に、この第一モータのトルクをトルク検出手段で検知してその増減に応じて制御手段によって第二モータのトルクを増減制御することで一対のヒータブロックの開閉作動を制御する。これによって一対のヒータブロックのシール圧を従来のモータより小型の2つのモータによって印加できる。
【0007】
また、一対のヒータブロックを連動させて開閉作動させる2つのクランク機構を備え、それぞれのクランク機構の回転軸は第一モータ及び第二モータにそれぞれ直列に連結されていることが好ましい。
2つのクランク機構の回転軸を第一モータ及び第二モータにそれぞれ直列に接続することで、モータ回転の方向を変えることなく回転力をクランク機構に伝達できて効率よくヒータブロックの開閉作動を行える。
【0008】
また、第一モータは一対のヒータブロックの長手方向の一端側にそれぞれ駆動力を伝達し、第二モータは一対のヒータブロックの長手方向の他端側にそれぞれ駆動力を伝達するように配設されており、第二モータにも位置検出手段が設けられていて、第一モータの位置検出手段と第二モータの位置検出手段とでそれぞれ検知された位置信号を制御手段で比較演算することで、第一モータ及び第二モータの回転位置のずれを検出するようにしてもよい。
筒状の包材を挟む各ヒータブロックを第一モータ及び第二モータの駆動力によって作動して筒状の包材のシール部に充填物等の異物が混入すると一対のヒータブロックで挟持する際に各ヒータブロックの長手方向の両端位置にずれが生じるため、これを第一モータ及び第二モータの回転位置のずれとして検知でき、噛み込みの発生を容易に検出できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明による縦形製袋充填機によれば、ヒータブロックの開閉作動に必要なモータのトルクを2つのモータで個別に与えるようにしたため、個々のモータを小型化できて各モータの配置の自由度が大きくなる。
また、本発明による縦形製袋充填機によれば、モータ回転力の方向を変換することなくモータの出力軸をヒータブロックの開閉用のクランク機構の軸に直列に連結できるために使用電力を小さくできる。
また、本発明による縦形製袋充填機によれば、第一モータと第二モータに位置検出手段を設けると共にヒータブロックの長手方向両端側に駆動力を伝達するから、筒状の包材のシール部に充填物等の異物が混入した場合に、第一モータ及び第二モータの回転位置のずれを検知できて噛み込みの発生を容易に検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態による縦形製袋充填機を図1乃至図6により説明する。図1は縦形製袋充填機の概略説明図、図2は横シール機構を示す要部平面図、図3、4、5は図2のA−A線、B−B線、C−C線断面図、図6は横シール機構のモータ駆動制御装置のブロック図である。
図1に示す縦形製袋充填機1は、製袋チューブ2が上下方向に配設されている。製袋チューブ2の上端には製袋する包装袋Fの中に充填する内容物を供給するための図示しないホッパが設けられている。ホッパの下方には製袋ガイド3が取付けられている。製袋チューブ2の外周面と製袋ガイド3の内周面との間には包材としてのフィルムfを所定形状に成形して通過させる間隙が設けられている。
製袋チューブ2の側方にシート状のフィルムfを巻回するフィルムロール4が設けられており、このフィルムロール4から繰り出された帯状のフィルムfは製袋ガイド3で折り曲げられて製袋チューブ2との間の空間を通って筒状に成形される。
【0011】
製袋チューブ2において、製袋ガイド3の下方には製袋チューブ2の外周面に沿って、筒状のフィルムfをエアで吸着して連続的に下方に繰り出し搬送するための繰り出しベルト6が一対設けられている。一対の繰り出しベルト6,6間には、筒状のフィルムfの両端部を合掌状態で挟んで縦シール部を形成すべく加熱シールするための縦シーラ7が設けられている。
更に製袋チューブ2の下側には、一の包装袋Fの上部開口部と次の包装袋Fの下部を同時に水平方向にシールする横シーラ8を含む横シール機構10が設けられている(図2参照)。横シーラ8は一の包装袋Fの上部を加熱シールするための下部横シーラ8aと次の包装袋Fの下部を加熱シールするための上部横シーラ8bとその間に位置するカッタとが備えられている(図4、図5参照)。
【0012】
次に縦形製袋充填機1の横シーラ8を含む横シール機構10について図2乃至図7により説明する。
図2において、横シール機構10は製袋チューブ2の下側で、製袋チューブ2から繰り出される筒状のフィルムfに直交する水平面内に筒状のフィルムfを挟んで両側に横シーラ8のヒータブロック11a、11bが開閉可能に配設されている。各ヒータブロック11a、11bは図1、図4、図5に示すようにカッタが進退する凹部を挟んで上部部分が下部横シーラ8a、下部部分が上部横シーラ8bを構成している。
各ヒータブロック11a、11bの両側にはこれらヒータブロック11a、11bの長手方向に略直交する方向に一対の軸部12、12がそれぞれ設けられ、それぞれ2つの軸受13、13で摺動可能に支持されている(図3参照)。各2つの軸受13、13はフレーム14に連結されて固定保持されている。
軸部12、12の両端にはそれぞれ第一横シーラブラケット16と連結ブラケット17が連結されている。そのため、軸部12,12と各ブラケット16,17は軸受13、13にガイドされて軸部12、12の長手方向に往復動可能とされている。そして、第一横シーラブラケット16には一方のヒータブロック11aが連結されている。
また、軸部12,12において各2つの軸受13、13の間には第二横シーラブラケット18が軸受19、19によって摺動可能に配設されている(図3参照)。この第二横シーラブラケット18には他方のヒータブロック11bが連結されている。一対のヒータブロック11a、11bは筒状のフィルムfを挟んで対向して開閉可能に配置されている。
【0013】
そして、図2において、第二横シーラブラケット18と連結ブラケット17との間には一対のクランク機構21、21が配設されている。第二横シーラブラケット18及び連結ブラケット17と一対のクランク機構21、21とで囲まれた領域には正逆回転可能な2つのモータM1、M2が配設されている。各モータM1,M2はその出力軸が互いに逆向き、即ち各クランク機構21、21の方向を向いて軸部12、12に直交する方向に配設されている。二つのモータM1,M2の一方は位置制御モータであるマスターモータM1、他方はスレイブモータM2とする。
マスターモータM1は出力軸がクランク機構21の回転軸である揺動軸22と減速機構25を介して直列に連結されている。図4及び図5に示すように、揺動軸22はA,B方向に正逆回転可能であり、揺動軸22にはその両側に延びる回動アーム23が固定され、回動アーム23の両端にはクランクアーム24、24を介してジョイント26a、26bが水平方向に取付けられている。回動アーム23とクランクアーム24、24とジョイント26a、26bはそれぞれ支軸27a、27bに回転可能に支持されている。
そして、一方のジョイント26aの他端は連結ブラケット17に連結され、他方のジョイント26bの他端は、ヒータブロック11bを支持する第二横シーラブラケット18に連結されている。
【0014】
そのため、モータM1の駆動によって揺動軸22を正逆回転させる際、図4でA方向に回転させると回動アーム23を介してジョイント26a、26bは相互に離間して伸張する方向に移動して、
一方のジョイント26aでは連結ブラケット17を押すことで軸部12、12を図2で右方向へ移動させるために第一横シーラブラケット16を介してヒータブロック11aを他方のヒータブロック11b方向(閉鎖方向という)へ移動させ、他方のジョイント26bではヒータブロック11bを一方のヒータブロック11a方向(閉鎖方向という)へ移動させる。これによって、ヒータブロック11a、11bは筒状のフィルムfを所定のシール圧で挟持して横シールする閉状態になる。
また、揺動軸22をB方向に回転させると、回動アーム23を介してジョイント26a、26bは相互に接近して収縮する方向に移動して、一方のジョイント26aでは連結ブラケット17を引っ張ることで軸部12、12を図2で左方向へ移動させるために第一横シーラブラケット16を介してヒータブロック11aを他方のヒータブロック11bから離間する方向(開放方向という)へ移動させ、他方のジョイント26bではヒータブロック11bを一方のヒータブロック11aから離れる方向(開放方向という)へ移動させる。これによって、ヒータブロック11a、11bは筒状のフィルムfから離間した開放状態になる。
【0015】
また、図5に示す他方のスレイブモータM2においても上述したマスターモータM1と同様の構成を以て出力軸がクランク機構21の揺動軸22と減速機構25を介して直列に連結されている。スレイブモータM2に連結されるクランク機構21の構成はマスターモータM1に連結されるクランク機構21と同様の構成であり、ジョイント26a、26bの形状で相違するが、同一符号を用いるものとする。そのため、マスターモータM1とスレイブモータM2の往復回転によって一対のクランク機構21,21のジョイント26a,26aと26b、26bとで連結ブラケット17と第二横シーラブラケット18を軸部12、12に沿って進退させることになる。
【0016】
次に図6に基づいてモータM1,M2のモータ駆動制御装置29について説明する。
マスターモータM1はトルク検出手段30とエンコーダ等の位置検出手段31とを備えており、マスターモータM1の駆動時にトルク検出手段30ではその回転トルクを検知してトルク信号として制御手段32に出力し、位置検出手段31ではその回転位置を検知して位置信号として制御手段32に出力する。スレイブモータM2はトルク検出手段33を備えており、スレイブモータM2の駆動時にトルク検出手段33ではその回転トルクを検知してトルク信号として制御手段32に出力する。
制御手段32では、縦形製袋充填機1の入力手段により位置制御信号をマスターモータM1に出力することでマスターモータM1を所定角度回転駆動させ、マスターモータM1の位置検出手段31によって回転位置を検出して制御手段32に位置信号をフィードバックするようにしている。また、制御手段32では、マスターモータM1のトルク検出手段30で検出したトルク信号に基づいてスレイブモータM2にトルク制御信号を出力してスレイブモータM2のトルクをマスターモータM1のトルク増減に応じて増減制御するようにしている。これによってトルクアシスト制御を行う。
【0017】
トルクアシスト制御において、マスターモータM1のトルクとスレイブモータM2のトルクが同一の値にならなくても、軸部12,12に沿って剛体である連結ブラケット17と第二横シーラブラケット18を押したり引いたりすることで均される。そのため、連結ブラケット17と第二横シーラブラケット18は軸部12、12に直交する角度を保持して往復動させられる。
本実施形態では、マスターモータM1のトルクとスレイブモータM2のトルクは比例制御されるが、必ずしも比例制御に限定されないし、比例定数も1に限定されない。マスターモータM1のトルクはジョイント26a、26bを介して連結ブラケット17、第二横シーラブラケット18の各長手方向の一端側に作用する。また、スレイブモータM2のトルクはジョイント26a、26bを介して連結ブラケット17、第二横シーラブラケット18の各長手方向の他端側に作用する。
【0018】
しかしながら、連結ブラケット17、第二横シーラブラケット18は2本の軸部12,12により水平方向にのみ移動可能に支持されているため、連結ブラケット17、第二横シーラブラケット18からのトルクを合計したものがヒータブロック11a、11bにそれぞれ作用する。そのため、マスターモータM1のトルクとスレイブモータM2のトルクの大きさが異なっていても合計トルクが同じ場合には、各ヒータブロック11a、11bに作用するトルクはそれぞれ等しくなる。
上述した従来技術では1つのモータで2つのクランク機構を制御するため、モータ出力を例えば1.2KW程度とすると、本実施形態では2つのモータM1、M2を用いているが個々のモータ出力は半分以下の0.4KW程度ですむため小型化と省電力化を図ることができる。
【0019】
本実施の形態による縦形製袋充填機1は上述の構成を有しており、次にその作用を説明する。
先ず、図1に示す製袋充填機1において、フィルムロール4から繰り出したフィルムfを製袋チューブ2とフォーマ3との間に挿入して筒状に成形し、縦シーラ7で合わせ目を縦シールして縦シール部を形成する。筒状となったフィルムfは繰り出しベルト6で更に製袋チューブ2上を降下する。
次に、製袋チューブ2の下側に位置する横シーラ8を閉作動させて先に搬送された包装袋Fの上部開口部を加熱シールすると共に次の筒状のフィルムfの底部を加熱シールする。
この動作について図2乃至図6に沿って説明する。図6におけるモータM1,M2の駆動制御装置29において、制御手段32からマスターモータM1へ閉作動のための位置制御信号が出力されるとマスターモータM1が例えばA方向に所定角度回転させられる(図4参照)。これと同時にマスターモータM1のトルク検出手段30と位置検出手段31によってマスターモータM1のトルクと位置検出が行われ、トルク信号と位置信号として制御手段32にフィードバックされる。
そして、制御手段32では、フィードバックされたマスターモータM1の位置信号に基づいて位置制御信号で出力した回転角度となるように位置制御信号によってマスターモータM1の回転角度を制御する。また、マスターモータM1のトルク信号に基づいてスレイブモータM2に対応するトルク信号を出力し、スレイブモータM2をA方向に回転駆動させる。
【0020】
マスターモータM1とスレイブモータM2の回転駆動によって、図4及び図5に示すように揺動軸22、22がA方向に回転すると、クランク機構21、21における回動アーム23、23もA方向に回動し、クランクアーム24、24、…を介してジョイント26a、26bが互いに離間する方向に伸張する。これによって、図2において第二横シーラブラケット18と連結ブラケット17は互いに離間する方向に軸部12、12にガイドされて移動する。
マスターモータM1とスレイブモータM2のトルクに差異があってもそれぞれのジョイント26a、26b、26a、26bで連結ブラケット17と第二横シーラブラケット18の両端部を押すことで、第二横シーラブラケット18は両端の軸受19,19が軸部12、12にガイドされて摺動し、連結ブラケット17は連結されている軸部12,12が二対の軸受13、13、…にガイドされて摺動するため、各モータM1,M2のトルクのの合計がシールブロック11a、11bに影響し、差異はあまり影響しない。。
【0021】
そして、図2において、連結ブラケット17がモータM1,M2から離れる方向(図中、右方向)へ移動して軸部12,12が二対の軸受13、13、…にガイドされて移動することで、第一横シーラブラケット16が同一方向に移動しヒータブロック11aが筒状のフィルムf方向に移動する。また、第二横シーラブラケット18がモータM1,M2から離れる方向(図中、左方向)へ移動することでヒータブロック11bが筒状のフィルムf方向に移動する。このようにして、ヒータブロック11a,11bが閉作動して筒状のフィルムfを挟持し、加熱シールする。
そして、先に搬送された包装袋Fの上部開口部が上部シール部としてシールされると共に、次の筒状のフィルムfの下部が底部シール部としてシールされ、カッタで切断される。
ついで、マスターモータM1が制御手段32からの位置制御信号によって揺動軸22をB方向に回転させると(図4,5参照)、マスターモータM1のトルク信号に基づく制御手段32からのトルク信号によってスレイブモータM2も揺動軸22をB方向に回転させる。すると、回転アーム23、23も同一方向に回転し、クランクアーム24,24、…を介してジョイント26a、26b、26a、26bは互いに接近する方向即ち収縮する方向に移動する。これによって連結ブラケット17及びヒータブロック11aと第二横シーラブラケット18及びヒータブロック11bとが筒状のフィルムfから離間する開作動する。
その後、繰り出しベルト6によって筒状のフィルムfが製袋チューブ2に沿って所定長さ繰り出され、底部シール部が形成された筒状のフィルムfの上部開口から製袋チューブ2を通して内容物が充填される。そして、横シーラ8による加熱シールが繰り返される。
このような作業を繰り返すことで、フィルムfから順次内容物を充填して封止した包装袋Fが製造される。
【0022】
上述のように本実施形態による縦形製袋充填機1によれば、従来1つのモータで供給していた横シールに必要なシール圧を2つのモータM1、M2で供給するようにしたから、各モータM1,M2を小型化でき、モータM1、M2の配置の自由度が大きくなり、モータM1,M2の駆動力の伝達方向を変えることなく直列にクランク機構21、21に連結でき、効率よくヒータブロック11a、11bを開閉作動できるので省電力化できて横シール機構10のランニングコストを低廉にできる。しかもモータM1,M2を2つのクランク機構21、21間に配置できるから、横シール機構10をコンパクト化できる。そのため、横シール機構10を上下方向に2以上多連に配列し易い。例えば、袋の開口部の閉鎖用の横シール機構10の下側にジッパシール貼着用の横シール機構を配置する場合等がある。
【0023】
なお、本発明による縦形製袋充填機は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜の変更可能である。
次に本実施形態による縦形製袋充填機1の変形例について説明する。
包装袋Fや筒状のフィルムfを横シールする際、上部シール部や底部シール部に充填物やその他の異物が噛み込まれるとシール強度が甘くなる。本変形例ではこのような場合でも容易に異物の噛み込みを検知できるようにしたものである。
本変形例においては、図6で二点鎖線に示すようにスレイブモータM2にも位置検出手段35を設けるようにした。そのため、マスターモータM1の位置検出手段31と合わせて各モータM1,M2の回転角度位置、即ち各ヒータブロック11a、11bの両端側の位置を検出できる。
図7に示す横シール位置、即ちヒータブロック11a、11bの閉位置において、包装袋Fを加熱シールする際に、包装袋Fの中心線に対していずれか片側に充填物eや他の異物等が挟まった場合に各モータM1,M2の位置検出手段31,35で検知する回転角度位置に微小な差が検出される。得られた各位置信号を制御手段32で比較演算することで充填物eの噛み込みの有無を検知できる。
包装袋Fのシール部に充填物eを噛み込んだ場合には不良品となるため、ライン上を搬送される該当する包装袋Fを排除することができる。或いは、制御手段32で不良品を検知した時点で縦形製袋充填機1を停止させて排除してもよい。このようにして包装袋Fの良品率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態による縦形製袋充填機の概略説明図である。
【図2】図1に示す縦形製袋充填機における横シーラ機構の要部平面図である。
【図3】図2の横シーラ機構における軸部と軸受を示すA−A線断面図である。
【図4】図2の横シーラ機構におけるマスターモータとクランク機構をB−B線断面で示す図である。
【図5】図2の横シーラ機構におけるスレイブモータとクランク機構をC−C線断面で示す図である。
【図6】横シール機構のモータ駆動制御装置を示すブロック図である。
【図7】実施形態の変形例による、横シーラ機構における包装袋の上部開口部に充填物が挟まった状態の図である。
【符号の説明】
【0025】
1 縦形製袋充填機
2 製袋チューブ
8 横シーラ
10 横シール機構
11a、11b ヒータブロック
16 第一横シーラブラケット
17 連結ブラケット
18 第二横シーラブラケット
21 クランク機構
22 揺動軸(回転軸)
30、33 トルク検出手段
31、35 位置検出手段
32 制御手段
M1 マスターモータ(第一モータ)
M2 スレイブモータ(第二モータ)
f フィルム(包材)
F 包装袋
e 充填物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の包材を一対のヒータブロックで挟んで加熱シールする開閉可能な横シーラを備えた縦形製袋充填機において、
トルク検出手段と位置検出手段を備えていて前記一対のヒータブロックを開閉作動させる第一モータと、
トルク検出手段を備えていて前記一対のヒータブロックを開閉作動させる第二モータと、
前記第一モータ及び第二モータの駆動を制御する制御手段とを備えていて、
前記制御手段によって第一モータの回転位置を制御すると共に第一モータのトルクの増減に応じて前記第二モータのトルクを増減させるよう制御することを特徴とする縦形製袋充填機。
【請求項2】
前記一対のヒータブロックを連動させて開閉作動させる2つのクランク機構を備え、それぞれのクランク機構の回転軸は前記第一モータ及び第二モータにそれぞれ直列に連結されている請求項1に記載の縦形製袋充填機。
【請求項3】
前記第一モータは一対のヒータブロックの長手方向の一端側にそれぞれ駆動力を伝達し、前記第二モータは一対のヒータブロックの長手方向の他端側にそれぞれ駆動力を伝達するように配設されており、
前記第二モータにも位置検出手段が設けられていて、前記第一モータの位置検出手段と第二モータの位置検出手段とでそれぞれ検知された位置信号を制御手段で比較演算することで、前記第一モータ及び第二モータの回転位置のずれを検出するようにした請求項1または2に記載の縦形製袋充填機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−230693(P2008−230693A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77274(P2007−77274)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】