繊維複合材料構造要素および繊維複合材料構造要素を製造する方法
少なくとも互いに隣接しておりかつそれぞれ繊維構造(3、4)を備える第1および第2の部分要素(1、2)、および繊維構造(3、4)を埋設し、液体状態から異なる様態で固化する異なるマトリックスシステムを備える繊維複合材料構造要素が開示されている。2つの部分要素(1、2)の間の接続の安定性を増大させるために、第1の部分要素(1)のマトリックスシステムは、まず液化され、隣接する第2の部分要素(2)の領域に不規則に浸透し、他方第2の部分要素(2)のマトリックスシステムは、液化され、両マトリックスシステムが固化される。該不規則な境界面を埋設することは、増大した剪断強さを有する境界面(5)が生成するように互いに噛み合いまたは嵌め合いしたマトリックスシステムをもたらす。あるいは、第1の部分要素は、マトリックスシステム(103)によって塗らされていない繊維構造体(102a)で固結され、第2の部分要素(105)に接続される遷移領域(104)を残し、そして第2の部分要素(105)は、第2の部分要素(105)のマトリックスシステム(106)が第1の部分要素(101)の遷移領域に浸透してから、固結される。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの互いに隣接しておりかつそれぞれ繊維構造体を有する第1および第2の部分要素と、それぞれの繊維構造体を埋設しかつ液体状態から異なって硬化する異なるマトリックスシステムとを具備する繊維複合材料構造要素を製造する方法に関する。
【0002】
本発明は、更に、少なくとも互いに隣接しておりかつそれぞれ繊維構造体を有する第1および第2の部分要素と、それぞれの繊維構造体を埋設しかつ異なって硬化するマトリックスシステムとを具備する繊維複合材料構造要素に関する。
【0003】
異なる部分要素から繊維複合材料構造要素を構成することは知られている。これらの部分要素は、異なる繊維構造体、特に、異なるマトリックスシステムを有する。その目的は、これらの部分要素への種々の要求に応じるためである。従来の技術では、部分要素は互いに別個に製造され、貼着結合手段またはねじ結合手段によって接合されて、構造要素が形成される。部分要素の接合は、万が一必要な高い剪断強さを有する結合のためには、繊維複合材料構造要素の重量を著しく増大させる大きなコストを費やすしかない、という欠点をもたらす。
【0004】
DE19915083C1およびEP1400341A1によって、種々のプリフォーム、すなわち、互いに向けて設けられ、共に、結合剤(マトリックスシステム)で含浸され、場合によっては真空下で硬化された繊維構造部分要素が公知である。しかしながら、ここでは、これら部分要素のために、同じマトリックスシステムが用いられることが見て取れる。
【0005】
US5,667,881は、熱可塑性合成樹脂と熱硬化性合成樹脂の間の結合を開示する。この結合は、2つの合成樹脂の間の境界面で、これらの合成樹脂が、液状のまたは可塑化された状態で幾らか混ざり合うことができ、かくて、互いに、一種の分散を形成することによって形成される。このような方法は、互いに混合可能な合成樹脂の使用に限定されており、従って、限定された適用範囲のみを有する。
【0006】
部分要素の結合の高い安定性を有し、安価に製造可能であり、合成樹脂の所定の組合せに限定されない、本明細書の最初の部分に記載されたタイプの繊維複合材料構造要素の製造を可能するという課題が、本発明の基礎になっている。
【0007】
上記課題は、不規則な境界面を有する、第1の部分要素のマトリックスシステムが、第2の部分要素の領域へ延びており、第2の部分要素のマトリックスシステムが、相補的な境界面を有する第2の部分要素の内部で、第1の部分要素のマトリックスシステムに接続していることを特徴とする、明細書の最初の部分に記載されたタイプの繊維複合材料構造要素によって、解決される。
【0008】
代替の態様では、明細書の最初の部分に記載のタイプの、本発明に係わる繊維複合材料構造要素は、不規則な境界面を有する、第1の部分要素のマトリックスシステムが、第2の部分要素の領域へ延びており、そこで、不規則な境界面を有する混合領域を形成し、第2の部分要素のマトリックスシステムが、相補的な境界面を有する第2の部分要素の内部で、混合領域に接続していることを特徴とする。
【0009】
上記課題は、更に、明細書の最初の部分に記載のタイプの方法による第1の態様では、まず、第1の部分要素のマトリックスシステムが液化され、隣接する第2の部分要素の領域に不規則に浸透すること、続いて、第2の部分要素のマトリックスシステムが液化されること、およびこれらマトリックスシステムが硬化されることによって解決される。
【0010】
従って、本発明に係わる方法は、第1の部分要素のマトリックスシステムが、まず液化され、他方、第2の部分要素の繊維構造体がまだ乾いており、すなわち、第2の部分要素の、万が一既にあるマトリックスシステムがまだ液化されておらず、あるいは、第2の部分要素の繊維構造体がまだマトリックスシステムを有しないことを提案する。このことによって、第1の部分要素のマトリックスシステムは、液状の形態で、第2の部分要素の領域に不規則に浸透することが可能である。それ故に、(加熱による、または液状の結合剤の注入による)第2の部分要素のマトリックスの続いての液化の際に、マトリックスシステム同士の間に不規則な境界面が形成される。この境界面によって、硬化されたマトリックスシステムが互いに「噛み合い」または「嵌め合い」されている。かくして、両部分要素の間の結合が可能である。このような結合は、これらのマトリックスシステムの「噛み合い」または「嵌め合い」に基づいて、著しく高められた剪断強さを有する。本発明に係わる方法の特徴は、両マトリックスシステムの噛み合いまたは嵌め合いが、両部分要素の一方の部分要素の領域にのみ生じ、他方の部分要素への「還流」は無視可能であり、噛み合いまたは嵌め合いを部分要素に引き起こす容量の2%より少なく、好ましくは1%よりも少ないことである。
【0011】
本発明の態様では、部分要素は、熱硬化性樹脂からなるマトリックスシステムと、熱可塑性樹脂からなるマトリックスシステムとを有する。この場合、熱可塑性樹脂が、第1の部分要素の繊維構造体にあってもよいことは好ましい。この第1の部分要素は、従って、熱可塑性プリプレグとして形成されているか、第1の部分要素の繊維構造体は熱可塑性樹脂繊維を含むことができる。加熱によって、熱可塑性樹脂が液化されることができ、かくて、第2の部分要素の領域に、好ましくは第2の部分要素の繊維構造体に浸透することができる。次に、熱硬化性の結合剤を、例えば、第2の部分要素の繊維構造体に注入することが可能である。この場合、不規則な境界面が、2つの液状な結合剤の間に形成される。それ故に、後で硬化されかつ不規則的な境界面を有するマトリックス構造体は、互いに接触しており、部分的に、互いに入り込んでいる。
【0012】
硬化が適切な温度制御によってなされることは、好ましい。例えば、熱硬化性の結合剤は、温度の上昇によっておよび場合によっては過剰圧力によって硬化される。他方、熱可塑性の結合剤は、続いて、冷却の際に硬化する。
【0013】
本発明の他の態様では、例えばプリプレグには、熱硬化性樹脂があってもよい。この熱硬化性樹脂は、比較的低い温度(例えば80℃)で液化し、中間空間を有する隣接の熱可塑性樹脂−プリプレグの、または熱可塑性樹脂−コミングリングハイブリッドの領域へ延びている。更なる温度上昇の際に熱可塑性樹脂が液化する。それ故に、熱可塑性樹脂の部分領域に、混合領域が形成される。この混合領域には、コミングリングハイブリッドの熱可塑性樹脂繊維またはプリプレグの熱可塑性樹脂成分が、浸透した熱硬化性樹脂内で液化され、かくて、熱硬化性樹脂の硬化の際に、熱可塑性の包含物を形成する。しかしながら、この場合、結合力の増大にとって非常に重要なのは、当該マトリックスと、第2の部分領域に不規則に浸透した熱硬化性材料との空間的な噛み合いである。混合領域は、アセンブリの第2の部分領域にのみある。「のみ」という語は、ここでも、いずれにせよ、熱可塑性材料の、熱硬化性樹脂の第1の部分領域への僅かな逆流が生じ、この逆流は体積で2%よりも少なく、好ましくは1%よりも少ないことを意味する。
【0014】
一度閉じられた型の中でマトリックスシステムを硬化するまでの繊維複合材料構造要素を製造するための工程を実行することは好ましい。このことから、製造法のかなりの合理化が生じる。
【0015】
他の態様では、明細書の最初の部分に記載されたタイプの方法は、第1の部分要素が、マトリックスシステムによって濡らされていない繊維構造体を有しかつ第2の部分要素への結合のために設けられた遷移領域(Uebergangsbereich)をそのままにして、固結される(konsolidiert)こと、および、続いて、第2の部分要素が、第2の部分要素のマトリックスシステムの、第1の部分要素の遷移領域への浸透後に、固結されることを特徴とする。
【0016】
従って、アセンブリの第1の部分要素すなわち構成要素が、別個に固結される。その結果、乾いた繊維領域は、後のアセンブリすなわち第2の部分要素への遷移領域に、マトリックス材料を有しない。例えば、マトリックスの液化またはマトリックスの注入および硬化による、固結は、第2の部分要素との組み立て前にもなされることができる。このことによって、第1の部分要素の一方のマトリックスシステムから第2の部分要素の他方のマトリックスシステムへの後の遷移領域が、第1の部分要素内に定められる。
【0017】
従って、第1の部分要素のマトリックスが液化される場合でも、第2の構成要素が熱的な負荷を受けない。何故ならば、第1および第2の部分要素を組み立ててアセンブリを形成する前に既に、遷移領域が第1の部分要素に作られるからである。
【0018】
第1のおよび/または第2の部分要素の固結は、例えば、各々のマトリックスシステムの液化および続いての硬化によってなされることができる。
【0019】
しかし、第1のおよび/または第2の部分要素の固結が、マトリックス材料の注入および各々のマトリックスシステムの続いての硬化によって、なされることも考えられる。
【0020】
遷移領域が、この遷移領域の表面に亘って不規則な厚さの分布をなしてデザインされていることは、特に好都合である。このことが達成されるのは、遷移領域の繊維層の表面が、乾いた繊維領域のみならず、第1の部分要素のマトリックス材料によって貫かれる領域も有するからである。このことに従って不均等に遷移領域の繊維層を通って形成される不規則な境界面は、2つの部分要素の改善された嵌め合いおよび噛み合いが、遷移領域に形成されるという利点を有する。繊維による2つのマトリックス領域の素材結合(Stoffschluessige Verbindung)が形成される。
【0021】
好都合な態様では、第1の部分要素は、少なくとも2つの層から構成される。これらの層は、例えば縫い合わせによって、互いに結合される。この場合、第1の部分要素の第1の層はマトリックスシステムを有する繊維構造体であり、第2の層は、第1の層と結合されており、マトリックスシステムを有さずかつ遷移領域を形成する繊維構造体である。例えば熱可塑性材料の液化による、マトリックスシステムの固結の際に、マトリックス材料は、部分的に、第1の部分要素の第2の層に流れ込む。それ故に、マトリックス材料の硬化の際には、境界面が第2の層に形成される。
【0022】
2層構成のこの第1の部分要素の第1の層として、例えば、熱可塑性樹脂−コミングリングハイブリッドまたは熱可塑性樹脂−プリプレグを用いることができる。
【0023】
第1の部分要素の他の好都合な態様では、互いに縫い合わされた繊維層から、1つの繊維織物から、または1つのプリフォーム繊維層から形成されている第2の層を、第1の層に形成して、第1の部分要素を製造する。続いて、第1の部分要素のマトリックスシステムを遷移領域をそのままにして固結するのは、例えば第1の層の熱可塑性樹脂が液化され、その結果、この熱可塑性樹脂が第2の層に流れ込むことによってである。次に、熱可塑性樹脂の硬化の際に、境界面が、第1の部分要素の第2の層に形成される。
【0024】
第1の部分要素の他の好都合な態様は、第1の部分要素のマトリックスシステムの固結前に、熱可塑性樹脂フィルムを、第1の部分要素の第1の層と第2の層との間に挿入することによって、および熱の供給によりマトリックスシステムを硬化することによって形成される。熱の供給の際に、熱可塑性樹脂フィルムが溶けて、部分的に第2の層に浸透して、不均等な遷移領域を形成する。
【0025】
熱可塑性樹脂フィルムは例えば穿孔されていることが可能である。
【0026】
熱可塑性樹脂フィルムの穿孔は、第2の層において最も著しく保たれており、孔を有する境界層が形成される。このことによって、第2の部分要素のマトリックスシステムは、これらの孔に流れ込み、マトリックスシステムの硬化の際に、第1の部分要素のマトリックスシステムと追加的に噛み合う。従って、2つのマトリックスシステムは、不規則な境界面を形成する。
【0027】
前記方法で製造された繊維複合材料構造要素は、例えば、航空機用の、ストリンガーで強化された胴体外皮または翼外皮のために、用いることができる。この場合、エポキシ系炭素繊維プリプレグからなる外皮要素が積層される。他方、炭素繊維材料からなるストリンガーは、熱可塑性マトリックスと共に、上記の方法で製造される。これらのストリンガーは、次に、プリプレグ外皮を形成すべく、ストリンガー足部の接触領域を除いて完全に固結されていて、熱変形によって、外皮の、例えば球面状の輪郭に正確に適合されることができる。封止された外皮構成要素をストリンガー共に加熱する際に、ストリンガー足部のまだ乾いている領域が、プリプレグの過剰樹脂で含浸され、かくて、ストリンガーと外皮との耐荷重性結合を形成する。
【0028】
繊維複合材料構造要素を製造するための方法を、他の適用分野のために適切に用いることができることは、明らかである。
【0029】
以下、図面に示された態様に基づいて、本発明を詳述する。
【0030】
図1は、製造される繊維複合材料構造要素の第1の部分要素1および第2の部分要素2を図示する。第1の部分要素1は繊維構造体3を、第2の部分要素は繊維構造体4を有する。これらの繊維構造体は、積み重ねられた繊維層の形態で図示されている。2つの部分要素は、互いに重なり合って設けられているので、共通の境界面5を形成する。
【0031】
図示した態様では、第1の部分要素1の繊維構造体3は、熱可塑性樹脂繊維(コミングリングハイブリッド(Commingling-Hybrid))を含む。
【0032】
図2が、アセンブリ(Anordnung)を取り囲む囲い6によって図示するのは、図1に示したアセンブリが、型に挿入されて、外に対し隔離されており、それ故に、高温および変更された圧力(高圧または陰圧)が、型6内のアセンブリに加えられることができることである。
【0033】
高温によって、熱可塑性繊維を、第1の部分要素1の、他の場合には炭素繊維によって形成される繊維構造体3に溶かし入れることができる。その結果、熱可塑性の液状の結合剤が生じる。第2の部分要素2の繊維構造体4が、乾燥した炭素繊維半製品として形成されているので、結合剤は、図3に明示するように、型6内の毛管作用によっておよび場合によっては過圧の作用によって第2の部分要素2の領域へ、好ましくは第2の部分要素2の繊維構造体4へ不規則に浸透する。
【0034】
第1の部分要素1の既に固化した結合剤では、図4に示すように、今や、熱硬化性の結合剤(例えばエポキシ樹脂)が、矢印に明確に図示されているように、第2の部分要素2の繊維構造体4へ圧入される。従って、2つの結合剤は、互いの不規則な境界線7を形成する。この境界線は、第2の部分要素2の繊維構造体4に浸透した結合剤故に、第2の部分の要素2の領域でのみ延びている。
【0035】
図5に示すアセンブリにおける更なる温度上昇によって、注入された熱硬化性結合剤が硬化される。好ましくは型6内での、アセンブリの続いての冷却によって、第1の部分要素1の熱可塑性の結合剤も硬化される。それ故に、型6からの取り外し後に、図4に示した繊維複合材料構造要素が生じる。この繊維複合材料構造要素は、その境界面5で、2つの部分要素1、2の、互いに噛み合わされたマトリックスシステムを有し、従って、図6で矢印によって図示された剪断荷重に対する高い耐性を有する。
【0036】
図7ないし9に示した態様では、第1の部分要素1は繊維構造体3を有する。この繊維構造体は、プリプレグの形態で、過剰な熱硬化性樹脂で積層されている。その結果、型またはオートクレーブ6における温度の上昇の際に、熱硬化性材料が、第2の部分要素2の領域に不規則に浸透して、不規則な境界線7を形成する。第2の部分要素の繊維構造体4は、例えば、コミングリングハイブリッドとして熱可塑性樹脂繊維と混合されていてもよい。温度の上昇の際に、熱硬化性材料が硬化し始め、他方、熱可塑性繊維は溶け始める。このことによって、熱可塑性複合材料が、第2の部分要素に形成される。構造要素の冷却および硬化の後に、第2の部分要素2の領域で、不規則な混合領域8が形成される。この混合領域は、硬化された熱硬化性材料および同様に硬化された熱可塑性の包含物からなる。同様に、部分要素1と2の間の境界層5の安定性の改善が、第2の部分要素2における混合領域8の、機械的に不規則に形成された境界線7によって引き起こされる。
【0037】
図示した態様が保護を限定しないことが意図されることは、明らかである。本発明の枠内で、隣接する部分要素1、2に、種々の結合剤を用いることができる。これらの部分要素双方が熱硬化性または双方が熱可塑性を有する。更に、コミングリングハイブリッドを用いることは不要である。何故ならば、同様な方法で、プリプレグまたは乾燥した繊維構造体が使用可能だからである。これらのプリプレグまたは繊維構造体へは、対応のマトリックス材料が注入される。
【0038】
更に、第1の部分要素1の結合剤を液化後に既に硬化させてから、第2の部分要素2の結合剤を液化または注入によって作用させることが可能である。いずれにせよ、2つの部分要素1、2のマトリックスシステムの、本発明に係わる、所望の、機械的な噛み合いを、第2の部分要素2に実現することができる。
【0039】
図10a)ないしf)は、2つの隣り合う部分要素からなる繊維複合材料構造要素を製造するための種々の工程を示す。
【0040】
図10a)は、繊維構造体102と、この繊維構造体102に埋設されたマトリックスシステム103とからなる第1の部分要素101の横断面図を示す。
【0041】
図10b)に示されるように、第1の部分要素101のマトリックスシステム103を、温度および圧力によって液化する。その目的は、続けて、第1の部分要素101を、マトリックス材料103の硬化によって固結するためである。繊維構造体102が、第1の部分要素101の遷移領域104で、マトリックスシステム103によって濡らされていないことによって、マトリックスシステム103が、固結の際に、不完全にしか、遷移領域104へ、すなわちマトリックスのない遷移領域104へ浸透しない。硬化後に、そこには、図10c)に示されるように、遷移領域104の面に亘る不規則な厚みの分布を有する遷移領域104が生じる。
【0042】
図10d)に略示されている次の工程では、別に固結された第1の部分要素101を、第2の部分要素105の上に平らに載せる。続いて、マトリックスシステム(注入用樹脂)106を、第2の部分要素105へ注入し、温度および圧力によって獲得する。その結果、第2の部分要素105のマトリックスシステム106が、第2の部分要素を通って、第1の部分要素の遷移領域104へ流れ込む。そこで、マトリックスシステム106は、遷移領域と嵌め合いまたは噛み合って、硬化される(図10e)およびf))。
【0043】
従って、第1の部分要素101のマトリックスシステム103が液化され、その高い粘性の故に、第1の部分要素101の遷移領域104を完全に貫通せず、それ故に、マトリックスシステム103の硬化の際に、不規則な境界層が形成されることが企図されている。第2の部分要素105のマトリックスシステム106は、第1の部分要素101の硬化の際に、まだ存在せず、あるいは、第1の部分要素101のマトリックスシステム103は、第2の部分要素105の存在なしに、液化および硬化される。続いて、マトリックスシステム106は第2の部分要素105に注入され、あるいは、既に第2の部分要素105に含まれるマトリックスシステム106が加熱される。このことによって、第2の部分要素105のマトリックスシステム106が、第1の部分要素101の遷移領域104に浸透する。この遷移領域は、マトリックスシステム106によってまだ濡らされていない。従って、第2の部分要素105のマトリックスシステム106は、第1のマトリックスシステム103の境界層に流れ寄って、このマトリックスシステムと嵌め合いまたは噛み合って、硬化される。
【0044】
図11は、2つの層107a、107bから構成されている第1の部分要素101の、その第2の態様を示す。第1の層107aは、第2の層107bに結合されている熱可塑性樹脂−コミングリングハイブリッドからなる。第2の層107bは、1つまたは乾いたまたはマトリックスシステムを有しない繊維層からなってもよい。第1のおよび第2の層107a、107b同士の結合は、例えば縫い合わせによってなされることもできる。第1の層107aに含まれる熱可塑性樹脂の液化の際に、この熱可塑性樹脂が第2の層107bへ流れ込む。その結果、マトリックスシステムとしての熱可塑性樹脂の硬化の際に、境界層が、遷移領域104として、第2の層107bに形成される。
【0045】
この目的のために、図12a)に示されるように、2つの層107a、107bから形成される第1の部分要素101が、温度および圧力によって固結される。図12b)は、遷移領域104を有する完全に固結した第1の部分要素101を示す。
【0046】
第1の部分要素101の、図13に略示された第3の態様は、同様に、2つの層108a、108bから構成されている。同様に、第1の層108aは、熱可塑性樹脂−コミングリングハイブリッドからまたは熱可塑性樹脂プリプレグからなる。第2の層108bは、互いに縫い合わされた繊維層から、1つの繊維織物(Fasergelege)から、または1つのプリフォーム繊維層からなる。
【0047】
第1の層108aにおいて熱可塑性樹脂が溶ける前に、第2の層108bを、第1の層108aと接触させる。続いて、図14a)に略示されているように、第1の層108aの熱可塑性樹脂は、温度および圧力によって液化され、第2の層108bへ流れ込み始める。このことによって、熱可塑性樹脂の硬化の際に、境界層が第2の層108bに形成される。この第2の層は、同様に、不規則な厚さの分布を有する遷移領域104を形成する。
【0048】
図15は、第1の部分要素101の第4の態様を示す。この態様では、第1の層109aに含まれる、マトリックスシステムとしての熱可塑性樹脂の固結の前に、第1の層109aと第2の層109bとの間に、穿孔された熱可塑性樹脂フィルム110が挿入される。
【0049】
温度および圧力による、第1の部分要素101の、図16a)に略示された固結の際に、熱可塑性樹脂フィルム110が溶け始め、部分的に、第2の層109bに流れ込む。従って、第1の部分要素101の硬化の際に、2つの層109a、109bが互いに結合される。更に、熱可塑性樹脂フィルム110の穿孔は、第2の層109bにおいて最も著しく保たれており、孔を有する境界層が形成される。このことは、図107b)に略示されている。そこでは、これらの孔を有する遷移領域104が認められる。次に、第2の部分要素105のマトリックスシステムは、遷移領域104のこれらの孔に流れ込み、硬化の際に、第1の部分要素101のマトリックスシステムと追加的に噛み合い、あるいは、著しく不規則な境界面を形成することが可能である。
【0050】
図17a)ないしc)は、航空機用の、ストリンガーで強化された胴体外皮または翼外皮を製造するための上記方法の使用を示す。第1の部分要素101は、例えば、炭素繊維材料および熱可塑性マトリックスから製造されたストリンガーである。このストリンガーは、ストリンガー足部の遷移領域104を除いて、第2の部分要素105としての外皮要素を形成すべく、完全に固結されている。ストリンガーを、熱変形によって、外皮の、すなわち第2の部分要素105の、例えば球面状の輪郭に正確に適合させることができる。
【0051】
例えば、エポキシ系炭素繊維プリプレグからなる、外皮要素、すなわち第2の部分要素105が積層されている。ストリンガーすなわち第1の部分要素101と共に、封止された外皮構成要素すなわち第2の部分要素105を加熱する際に、ストリンガー足部のまだ乾いている領域が、プリプレグの過剰樹脂で含浸され、かくて、ストリンガーと外皮との負荷可能な結合を形成する。このことは、図108b)およびc)に略示されている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】繊維複合材料構造要素の2つの隣接した部分要素の繊維構造体の隣接したアセンブリを示す。
【図2】第1の部分要素の繊維構造体において熱可塑性樹脂成分を溶かすための、図1に図示したアセンブリへの温度および圧力の作用を図示する。
【図3】第1の部分要素の熱可塑性材料の、第2の部分要素への浸透を図示する。
【図4】熱硬化性樹脂の続いての注入を図示する。
【図5】注入された熱硬化性樹脂の硬化を示す。
【図6】図1ないし5の方法で製造された、硬化された構成要素を示す。
【図7】混合領域を形成しつつ本発明の他の態様に記載の構成要素を製造するための工程を示す。
【図8】硬化された構成要素を示す。
【図9】図8に示した構成要素のはっきり図示された描写を示す。
【図10】繊維複合材料構造要素を形成する第1のおよび第2の部分要素の横断面図を有する繊維複合材料構造要素を製造するための方法の略図を示す。
【図11】第1の部分要素の第1の態様の横断面略図を示す。
【図12】第1の部分要素のマトリックスシステムの、図2に示した固結の、その略図を示す。
【図13】第1の部分要素の第2の他の態様の横断面略図を示す。
【図14】第1の部分要素のマトリックスシステムの、図4に示した固結の、その略図を示す。
【図15】第1の部分要素の第3の態様の横断面略図を示す。
【図16】図6に図示した第1の部分要素のマトリックスシステムを固結するための方法の略図を示す。
【図17】ストリンガーで強化された胴体外皮または翼外皮の製造の略図を示す。
【発明の開示】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの互いに隣接しておりかつそれぞれ繊維構造体を有する第1および第2の部分要素と、それぞれの繊維構造体を埋設しかつ液体状態から異なって硬化する異なるマトリックスシステムとを具備する繊維複合材料構造要素を製造する方法に関する。
【0002】
本発明は、更に、少なくとも互いに隣接しておりかつそれぞれ繊維構造体を有する第1および第2の部分要素と、それぞれの繊維構造体を埋設しかつ異なって硬化するマトリックスシステムとを具備する繊維複合材料構造要素に関する。
【0003】
異なる部分要素から繊維複合材料構造要素を構成することは知られている。これらの部分要素は、異なる繊維構造体、特に、異なるマトリックスシステムを有する。その目的は、これらの部分要素への種々の要求に応じるためである。従来の技術では、部分要素は互いに別個に製造され、貼着結合手段またはねじ結合手段によって接合されて、構造要素が形成される。部分要素の接合は、万が一必要な高い剪断強さを有する結合のためには、繊維複合材料構造要素の重量を著しく増大させる大きなコストを費やすしかない、という欠点をもたらす。
【0004】
DE19915083C1およびEP1400341A1によって、種々のプリフォーム、すなわち、互いに向けて設けられ、共に、結合剤(マトリックスシステム)で含浸され、場合によっては真空下で硬化された繊維構造部分要素が公知である。しかしながら、ここでは、これら部分要素のために、同じマトリックスシステムが用いられることが見て取れる。
【0005】
US5,667,881は、熱可塑性合成樹脂と熱硬化性合成樹脂の間の結合を開示する。この結合は、2つの合成樹脂の間の境界面で、これらの合成樹脂が、液状のまたは可塑化された状態で幾らか混ざり合うことができ、かくて、互いに、一種の分散を形成することによって形成される。このような方法は、互いに混合可能な合成樹脂の使用に限定されており、従って、限定された適用範囲のみを有する。
【0006】
部分要素の結合の高い安定性を有し、安価に製造可能であり、合成樹脂の所定の組合せに限定されない、本明細書の最初の部分に記載されたタイプの繊維複合材料構造要素の製造を可能するという課題が、本発明の基礎になっている。
【0007】
上記課題は、不規則な境界面を有する、第1の部分要素のマトリックスシステムが、第2の部分要素の領域へ延びており、第2の部分要素のマトリックスシステムが、相補的な境界面を有する第2の部分要素の内部で、第1の部分要素のマトリックスシステムに接続していることを特徴とする、明細書の最初の部分に記載されたタイプの繊維複合材料構造要素によって、解決される。
【0008】
代替の態様では、明細書の最初の部分に記載のタイプの、本発明に係わる繊維複合材料構造要素は、不規則な境界面を有する、第1の部分要素のマトリックスシステムが、第2の部分要素の領域へ延びており、そこで、不規則な境界面を有する混合領域を形成し、第2の部分要素のマトリックスシステムが、相補的な境界面を有する第2の部分要素の内部で、混合領域に接続していることを特徴とする。
【0009】
上記課題は、更に、明細書の最初の部分に記載のタイプの方法による第1の態様では、まず、第1の部分要素のマトリックスシステムが液化され、隣接する第2の部分要素の領域に不規則に浸透すること、続いて、第2の部分要素のマトリックスシステムが液化されること、およびこれらマトリックスシステムが硬化されることによって解決される。
【0010】
従って、本発明に係わる方法は、第1の部分要素のマトリックスシステムが、まず液化され、他方、第2の部分要素の繊維構造体がまだ乾いており、すなわち、第2の部分要素の、万が一既にあるマトリックスシステムがまだ液化されておらず、あるいは、第2の部分要素の繊維構造体がまだマトリックスシステムを有しないことを提案する。このことによって、第1の部分要素のマトリックスシステムは、液状の形態で、第2の部分要素の領域に不規則に浸透することが可能である。それ故に、(加熱による、または液状の結合剤の注入による)第2の部分要素のマトリックスの続いての液化の際に、マトリックスシステム同士の間に不規則な境界面が形成される。この境界面によって、硬化されたマトリックスシステムが互いに「噛み合い」または「嵌め合い」されている。かくして、両部分要素の間の結合が可能である。このような結合は、これらのマトリックスシステムの「噛み合い」または「嵌め合い」に基づいて、著しく高められた剪断強さを有する。本発明に係わる方法の特徴は、両マトリックスシステムの噛み合いまたは嵌め合いが、両部分要素の一方の部分要素の領域にのみ生じ、他方の部分要素への「還流」は無視可能であり、噛み合いまたは嵌め合いを部分要素に引き起こす容量の2%より少なく、好ましくは1%よりも少ないことである。
【0011】
本発明の態様では、部分要素は、熱硬化性樹脂からなるマトリックスシステムと、熱可塑性樹脂からなるマトリックスシステムとを有する。この場合、熱可塑性樹脂が、第1の部分要素の繊維構造体にあってもよいことは好ましい。この第1の部分要素は、従って、熱可塑性プリプレグとして形成されているか、第1の部分要素の繊維構造体は熱可塑性樹脂繊維を含むことができる。加熱によって、熱可塑性樹脂が液化されることができ、かくて、第2の部分要素の領域に、好ましくは第2の部分要素の繊維構造体に浸透することができる。次に、熱硬化性の結合剤を、例えば、第2の部分要素の繊維構造体に注入することが可能である。この場合、不規則な境界面が、2つの液状な結合剤の間に形成される。それ故に、後で硬化されかつ不規則的な境界面を有するマトリックス構造体は、互いに接触しており、部分的に、互いに入り込んでいる。
【0012】
硬化が適切な温度制御によってなされることは、好ましい。例えば、熱硬化性の結合剤は、温度の上昇によっておよび場合によっては過剰圧力によって硬化される。他方、熱可塑性の結合剤は、続いて、冷却の際に硬化する。
【0013】
本発明の他の態様では、例えばプリプレグには、熱硬化性樹脂があってもよい。この熱硬化性樹脂は、比較的低い温度(例えば80℃)で液化し、中間空間を有する隣接の熱可塑性樹脂−プリプレグの、または熱可塑性樹脂−コミングリングハイブリッドの領域へ延びている。更なる温度上昇の際に熱可塑性樹脂が液化する。それ故に、熱可塑性樹脂の部分領域に、混合領域が形成される。この混合領域には、コミングリングハイブリッドの熱可塑性樹脂繊維またはプリプレグの熱可塑性樹脂成分が、浸透した熱硬化性樹脂内で液化され、かくて、熱硬化性樹脂の硬化の際に、熱可塑性の包含物を形成する。しかしながら、この場合、結合力の増大にとって非常に重要なのは、当該マトリックスと、第2の部分領域に不規則に浸透した熱硬化性材料との空間的な噛み合いである。混合領域は、アセンブリの第2の部分領域にのみある。「のみ」という語は、ここでも、いずれにせよ、熱可塑性材料の、熱硬化性樹脂の第1の部分領域への僅かな逆流が生じ、この逆流は体積で2%よりも少なく、好ましくは1%よりも少ないことを意味する。
【0014】
一度閉じられた型の中でマトリックスシステムを硬化するまでの繊維複合材料構造要素を製造するための工程を実行することは好ましい。このことから、製造法のかなりの合理化が生じる。
【0015】
他の態様では、明細書の最初の部分に記載されたタイプの方法は、第1の部分要素が、マトリックスシステムによって濡らされていない繊維構造体を有しかつ第2の部分要素への結合のために設けられた遷移領域(Uebergangsbereich)をそのままにして、固結される(konsolidiert)こと、および、続いて、第2の部分要素が、第2の部分要素のマトリックスシステムの、第1の部分要素の遷移領域への浸透後に、固結されることを特徴とする。
【0016】
従って、アセンブリの第1の部分要素すなわち構成要素が、別個に固結される。その結果、乾いた繊維領域は、後のアセンブリすなわち第2の部分要素への遷移領域に、マトリックス材料を有しない。例えば、マトリックスの液化またはマトリックスの注入および硬化による、固結は、第2の部分要素との組み立て前にもなされることができる。このことによって、第1の部分要素の一方のマトリックスシステムから第2の部分要素の他方のマトリックスシステムへの後の遷移領域が、第1の部分要素内に定められる。
【0017】
従って、第1の部分要素のマトリックスが液化される場合でも、第2の構成要素が熱的な負荷を受けない。何故ならば、第1および第2の部分要素を組み立ててアセンブリを形成する前に既に、遷移領域が第1の部分要素に作られるからである。
【0018】
第1のおよび/または第2の部分要素の固結は、例えば、各々のマトリックスシステムの液化および続いての硬化によってなされることができる。
【0019】
しかし、第1のおよび/または第2の部分要素の固結が、マトリックス材料の注入および各々のマトリックスシステムの続いての硬化によって、なされることも考えられる。
【0020】
遷移領域が、この遷移領域の表面に亘って不規則な厚さの分布をなしてデザインされていることは、特に好都合である。このことが達成されるのは、遷移領域の繊維層の表面が、乾いた繊維領域のみならず、第1の部分要素のマトリックス材料によって貫かれる領域も有するからである。このことに従って不均等に遷移領域の繊維層を通って形成される不規則な境界面は、2つの部分要素の改善された嵌め合いおよび噛み合いが、遷移領域に形成されるという利点を有する。繊維による2つのマトリックス領域の素材結合(Stoffschluessige Verbindung)が形成される。
【0021】
好都合な態様では、第1の部分要素は、少なくとも2つの層から構成される。これらの層は、例えば縫い合わせによって、互いに結合される。この場合、第1の部分要素の第1の層はマトリックスシステムを有する繊維構造体であり、第2の層は、第1の層と結合されており、マトリックスシステムを有さずかつ遷移領域を形成する繊維構造体である。例えば熱可塑性材料の液化による、マトリックスシステムの固結の際に、マトリックス材料は、部分的に、第1の部分要素の第2の層に流れ込む。それ故に、マトリックス材料の硬化の際には、境界面が第2の層に形成される。
【0022】
2層構成のこの第1の部分要素の第1の層として、例えば、熱可塑性樹脂−コミングリングハイブリッドまたは熱可塑性樹脂−プリプレグを用いることができる。
【0023】
第1の部分要素の他の好都合な態様では、互いに縫い合わされた繊維層から、1つの繊維織物から、または1つのプリフォーム繊維層から形成されている第2の層を、第1の層に形成して、第1の部分要素を製造する。続いて、第1の部分要素のマトリックスシステムを遷移領域をそのままにして固結するのは、例えば第1の層の熱可塑性樹脂が液化され、その結果、この熱可塑性樹脂が第2の層に流れ込むことによってである。次に、熱可塑性樹脂の硬化の際に、境界面が、第1の部分要素の第2の層に形成される。
【0024】
第1の部分要素の他の好都合な態様は、第1の部分要素のマトリックスシステムの固結前に、熱可塑性樹脂フィルムを、第1の部分要素の第1の層と第2の層との間に挿入することによって、および熱の供給によりマトリックスシステムを硬化することによって形成される。熱の供給の際に、熱可塑性樹脂フィルムが溶けて、部分的に第2の層に浸透して、不均等な遷移領域を形成する。
【0025】
熱可塑性樹脂フィルムは例えば穿孔されていることが可能である。
【0026】
熱可塑性樹脂フィルムの穿孔は、第2の層において最も著しく保たれており、孔を有する境界層が形成される。このことによって、第2の部分要素のマトリックスシステムは、これらの孔に流れ込み、マトリックスシステムの硬化の際に、第1の部分要素のマトリックスシステムと追加的に噛み合う。従って、2つのマトリックスシステムは、不規則な境界面を形成する。
【0027】
前記方法で製造された繊維複合材料構造要素は、例えば、航空機用の、ストリンガーで強化された胴体外皮または翼外皮のために、用いることができる。この場合、エポキシ系炭素繊維プリプレグからなる外皮要素が積層される。他方、炭素繊維材料からなるストリンガーは、熱可塑性マトリックスと共に、上記の方法で製造される。これらのストリンガーは、次に、プリプレグ外皮を形成すべく、ストリンガー足部の接触領域を除いて完全に固結されていて、熱変形によって、外皮の、例えば球面状の輪郭に正確に適合されることができる。封止された外皮構成要素をストリンガー共に加熱する際に、ストリンガー足部のまだ乾いている領域が、プリプレグの過剰樹脂で含浸され、かくて、ストリンガーと外皮との耐荷重性結合を形成する。
【0028】
繊維複合材料構造要素を製造するための方法を、他の適用分野のために適切に用いることができることは、明らかである。
【0029】
以下、図面に示された態様に基づいて、本発明を詳述する。
【0030】
図1は、製造される繊維複合材料構造要素の第1の部分要素1および第2の部分要素2を図示する。第1の部分要素1は繊維構造体3を、第2の部分要素は繊維構造体4を有する。これらの繊維構造体は、積み重ねられた繊維層の形態で図示されている。2つの部分要素は、互いに重なり合って設けられているので、共通の境界面5を形成する。
【0031】
図示した態様では、第1の部分要素1の繊維構造体3は、熱可塑性樹脂繊維(コミングリングハイブリッド(Commingling-Hybrid))を含む。
【0032】
図2が、アセンブリ(Anordnung)を取り囲む囲い6によって図示するのは、図1に示したアセンブリが、型に挿入されて、外に対し隔離されており、それ故に、高温および変更された圧力(高圧または陰圧)が、型6内のアセンブリに加えられることができることである。
【0033】
高温によって、熱可塑性繊維を、第1の部分要素1の、他の場合には炭素繊維によって形成される繊維構造体3に溶かし入れることができる。その結果、熱可塑性の液状の結合剤が生じる。第2の部分要素2の繊維構造体4が、乾燥した炭素繊維半製品として形成されているので、結合剤は、図3に明示するように、型6内の毛管作用によっておよび場合によっては過圧の作用によって第2の部分要素2の領域へ、好ましくは第2の部分要素2の繊維構造体4へ不規則に浸透する。
【0034】
第1の部分要素1の既に固化した結合剤では、図4に示すように、今や、熱硬化性の結合剤(例えばエポキシ樹脂)が、矢印に明確に図示されているように、第2の部分要素2の繊維構造体4へ圧入される。従って、2つの結合剤は、互いの不規則な境界線7を形成する。この境界線は、第2の部分要素2の繊維構造体4に浸透した結合剤故に、第2の部分の要素2の領域でのみ延びている。
【0035】
図5に示すアセンブリにおける更なる温度上昇によって、注入された熱硬化性結合剤が硬化される。好ましくは型6内での、アセンブリの続いての冷却によって、第1の部分要素1の熱可塑性の結合剤も硬化される。それ故に、型6からの取り外し後に、図4に示した繊維複合材料構造要素が生じる。この繊維複合材料構造要素は、その境界面5で、2つの部分要素1、2の、互いに噛み合わされたマトリックスシステムを有し、従って、図6で矢印によって図示された剪断荷重に対する高い耐性を有する。
【0036】
図7ないし9に示した態様では、第1の部分要素1は繊維構造体3を有する。この繊維構造体は、プリプレグの形態で、過剰な熱硬化性樹脂で積層されている。その結果、型またはオートクレーブ6における温度の上昇の際に、熱硬化性材料が、第2の部分要素2の領域に不規則に浸透して、不規則な境界線7を形成する。第2の部分要素の繊維構造体4は、例えば、コミングリングハイブリッドとして熱可塑性樹脂繊維と混合されていてもよい。温度の上昇の際に、熱硬化性材料が硬化し始め、他方、熱可塑性繊維は溶け始める。このことによって、熱可塑性複合材料が、第2の部分要素に形成される。構造要素の冷却および硬化の後に、第2の部分要素2の領域で、不規則な混合領域8が形成される。この混合領域は、硬化された熱硬化性材料および同様に硬化された熱可塑性の包含物からなる。同様に、部分要素1と2の間の境界層5の安定性の改善が、第2の部分要素2における混合領域8の、機械的に不規則に形成された境界線7によって引き起こされる。
【0037】
図示した態様が保護を限定しないことが意図されることは、明らかである。本発明の枠内で、隣接する部分要素1、2に、種々の結合剤を用いることができる。これらの部分要素双方が熱硬化性または双方が熱可塑性を有する。更に、コミングリングハイブリッドを用いることは不要である。何故ならば、同様な方法で、プリプレグまたは乾燥した繊維構造体が使用可能だからである。これらのプリプレグまたは繊維構造体へは、対応のマトリックス材料が注入される。
【0038】
更に、第1の部分要素1の結合剤を液化後に既に硬化させてから、第2の部分要素2の結合剤を液化または注入によって作用させることが可能である。いずれにせよ、2つの部分要素1、2のマトリックスシステムの、本発明に係わる、所望の、機械的な噛み合いを、第2の部分要素2に実現することができる。
【0039】
図10a)ないしf)は、2つの隣り合う部分要素からなる繊維複合材料構造要素を製造するための種々の工程を示す。
【0040】
図10a)は、繊維構造体102と、この繊維構造体102に埋設されたマトリックスシステム103とからなる第1の部分要素101の横断面図を示す。
【0041】
図10b)に示されるように、第1の部分要素101のマトリックスシステム103を、温度および圧力によって液化する。その目的は、続けて、第1の部分要素101を、マトリックス材料103の硬化によって固結するためである。繊維構造体102が、第1の部分要素101の遷移領域104で、マトリックスシステム103によって濡らされていないことによって、マトリックスシステム103が、固結の際に、不完全にしか、遷移領域104へ、すなわちマトリックスのない遷移領域104へ浸透しない。硬化後に、そこには、図10c)に示されるように、遷移領域104の面に亘る不規則な厚みの分布を有する遷移領域104が生じる。
【0042】
図10d)に略示されている次の工程では、別に固結された第1の部分要素101を、第2の部分要素105の上に平らに載せる。続いて、マトリックスシステム(注入用樹脂)106を、第2の部分要素105へ注入し、温度および圧力によって獲得する。その結果、第2の部分要素105のマトリックスシステム106が、第2の部分要素を通って、第1の部分要素の遷移領域104へ流れ込む。そこで、マトリックスシステム106は、遷移領域と嵌め合いまたは噛み合って、硬化される(図10e)およびf))。
【0043】
従って、第1の部分要素101のマトリックスシステム103が液化され、その高い粘性の故に、第1の部分要素101の遷移領域104を完全に貫通せず、それ故に、マトリックスシステム103の硬化の際に、不規則な境界層が形成されることが企図されている。第2の部分要素105のマトリックスシステム106は、第1の部分要素101の硬化の際に、まだ存在せず、あるいは、第1の部分要素101のマトリックスシステム103は、第2の部分要素105の存在なしに、液化および硬化される。続いて、マトリックスシステム106は第2の部分要素105に注入され、あるいは、既に第2の部分要素105に含まれるマトリックスシステム106が加熱される。このことによって、第2の部分要素105のマトリックスシステム106が、第1の部分要素101の遷移領域104に浸透する。この遷移領域は、マトリックスシステム106によってまだ濡らされていない。従って、第2の部分要素105のマトリックスシステム106は、第1のマトリックスシステム103の境界層に流れ寄って、このマトリックスシステムと嵌め合いまたは噛み合って、硬化される。
【0044】
図11は、2つの層107a、107bから構成されている第1の部分要素101の、その第2の態様を示す。第1の層107aは、第2の層107bに結合されている熱可塑性樹脂−コミングリングハイブリッドからなる。第2の層107bは、1つまたは乾いたまたはマトリックスシステムを有しない繊維層からなってもよい。第1のおよび第2の層107a、107b同士の結合は、例えば縫い合わせによってなされることもできる。第1の層107aに含まれる熱可塑性樹脂の液化の際に、この熱可塑性樹脂が第2の層107bへ流れ込む。その結果、マトリックスシステムとしての熱可塑性樹脂の硬化の際に、境界層が、遷移領域104として、第2の層107bに形成される。
【0045】
この目的のために、図12a)に示されるように、2つの層107a、107bから形成される第1の部分要素101が、温度および圧力によって固結される。図12b)は、遷移領域104を有する完全に固結した第1の部分要素101を示す。
【0046】
第1の部分要素101の、図13に略示された第3の態様は、同様に、2つの層108a、108bから構成されている。同様に、第1の層108aは、熱可塑性樹脂−コミングリングハイブリッドからまたは熱可塑性樹脂プリプレグからなる。第2の層108bは、互いに縫い合わされた繊維層から、1つの繊維織物(Fasergelege)から、または1つのプリフォーム繊維層からなる。
【0047】
第1の層108aにおいて熱可塑性樹脂が溶ける前に、第2の層108bを、第1の層108aと接触させる。続いて、図14a)に略示されているように、第1の層108aの熱可塑性樹脂は、温度および圧力によって液化され、第2の層108bへ流れ込み始める。このことによって、熱可塑性樹脂の硬化の際に、境界層が第2の層108bに形成される。この第2の層は、同様に、不規則な厚さの分布を有する遷移領域104を形成する。
【0048】
図15は、第1の部分要素101の第4の態様を示す。この態様では、第1の層109aに含まれる、マトリックスシステムとしての熱可塑性樹脂の固結の前に、第1の層109aと第2の層109bとの間に、穿孔された熱可塑性樹脂フィルム110が挿入される。
【0049】
温度および圧力による、第1の部分要素101の、図16a)に略示された固結の際に、熱可塑性樹脂フィルム110が溶け始め、部分的に、第2の層109bに流れ込む。従って、第1の部分要素101の硬化の際に、2つの層109a、109bが互いに結合される。更に、熱可塑性樹脂フィルム110の穿孔は、第2の層109bにおいて最も著しく保たれており、孔を有する境界層が形成される。このことは、図107b)に略示されている。そこでは、これらの孔を有する遷移領域104が認められる。次に、第2の部分要素105のマトリックスシステムは、遷移領域104のこれらの孔に流れ込み、硬化の際に、第1の部分要素101のマトリックスシステムと追加的に噛み合い、あるいは、著しく不規則な境界面を形成することが可能である。
【0050】
図17a)ないしc)は、航空機用の、ストリンガーで強化された胴体外皮または翼外皮を製造するための上記方法の使用を示す。第1の部分要素101は、例えば、炭素繊維材料および熱可塑性マトリックスから製造されたストリンガーである。このストリンガーは、ストリンガー足部の遷移領域104を除いて、第2の部分要素105としての外皮要素を形成すべく、完全に固結されている。ストリンガーを、熱変形によって、外皮の、すなわち第2の部分要素105の、例えば球面状の輪郭に正確に適合させることができる。
【0051】
例えば、エポキシ系炭素繊維プリプレグからなる、外皮要素、すなわち第2の部分要素105が積層されている。ストリンガーすなわち第1の部分要素101と共に、封止された外皮構成要素すなわち第2の部分要素105を加熱する際に、ストリンガー足部のまだ乾いている領域が、プリプレグの過剰樹脂で含浸され、かくて、ストリンガーと外皮との負荷可能な結合を形成する。このことは、図108b)およびc)に略示されている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】繊維複合材料構造要素の2つの隣接した部分要素の繊維構造体の隣接したアセンブリを示す。
【図2】第1の部分要素の繊維構造体において熱可塑性樹脂成分を溶かすための、図1に図示したアセンブリへの温度および圧力の作用を図示する。
【図3】第1の部分要素の熱可塑性材料の、第2の部分要素への浸透を図示する。
【図4】熱硬化性樹脂の続いての注入を図示する。
【図5】注入された熱硬化性樹脂の硬化を示す。
【図6】図1ないし5の方法で製造された、硬化された構成要素を示す。
【図7】混合領域を形成しつつ本発明の他の態様に記載の構成要素を製造するための工程を示す。
【図8】硬化された構成要素を示す。
【図9】図8に示した構成要素のはっきり図示された描写を示す。
【図10】繊維複合材料構造要素を形成する第1のおよび第2の部分要素の横断面図を有する繊維複合材料構造要素を製造するための方法の略図を示す。
【図11】第1の部分要素の第1の態様の横断面略図を示す。
【図12】第1の部分要素のマトリックスシステムの、図2に示した固結の、その略図を示す。
【図13】第1の部分要素の第2の他の態様の横断面略図を示す。
【図14】第1の部分要素のマトリックスシステムの、図4に示した固結の、その略図を示す。
【図15】第1の部分要素の第3の態様の横断面略図を示す。
【図16】図6に図示した第1の部分要素のマトリックスシステムを固結するための方法の略図を示す。
【図17】ストリンガーで強化された胴体外皮または翼外皮の製造の略図を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも互いに隣接しておりかつそれぞれ繊維構造体(3、4)を有する第1および第2の部分要素(1、2)と、前記それぞれの繊維構造体(3、4)を埋設しかつ異なって硬化するマトリックスシステムとを具備し、不規則な境界面を有する、前記第1の部分要素(1)のマトリックスシステムは、前記第2の部分要素(2)の領域へ延びており、前記第2の部分要素(2)のマトリックスシステムは、相補的な境界面を有する前記第2の部分要素(2)の内部で、前記第1の部分要素(1)の前記マトリックスシステムに接続していることを特徴とする繊維複合材料構造要素。
【請求項2】
少なくとも互いに隣接しておりかつそれぞれ繊維構造体(3、4)を有する第1および第2の部分要素(1、2)と、前記それぞれの繊維構造体(3、4)を埋設しかつ異なって硬化するマトリックスシステムとを具備し、不規則な境界面を有する、前記第1の部分要素(1)のマトリックスシステムは、前記第2の部分要素(2)の領域へ延びており、そこで、前記不規則な境界面を有する混合領域(8)を形成し、前記第2の部分要素(2)のマトリックスシステムは、相補的な境界面を有する前記第2の部分要素(2)の内部で、前記混合領域(8)に接続していることを特徴とする繊維複合材料構造要素。
【請求項3】
前記部分要素(1、2)の前記マトリックスシステムは、熱可塑性樹脂によっておよび熱硬化性樹脂によって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維複合材料構造要素。
【請求項4】
少なくとも互いに隣接しておりかつそれぞれ繊維構造体(3、4)を有する第1および第2の部分要素(1、2)と、前記それぞれの繊維構造体(3、4)を埋設しかつ液体状態から異なって硬化するマトリックスシステムとを具備する繊維複合材料構造要素を製造する方法であって、まず、前記第1の部分要素(1)のマトリックスシステムが液化され、前記隣接する第2の部分要素(2)の領域に不規則に浸透すること、続いて、前記第2の部分要素(2)の前記マトリックスシステムが液化されること、および前記マトリックスシステムが硬化されることを特徴とする方法。
【請求項5】
前記部分要素(1、2)のマトリックス構造として、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を用いることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の部分要素(2)のマトリックス構造(4)は、前記熱可塑性樹脂が加熱によって液化されるとき、マトリックスシステムなしに、前記第1の部分要素(1)に接触していること、および、続いて、前記熱硬化性樹脂が、液状の形態で、前記第2の部分要素(2)へ注入されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記熱硬化性樹脂は、前記部分要素(1)の前記繊維構造体(3)に含まれていることを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記部分要素(1、2)の前記繊維構造体(3、4)を型(6)に挿入すること、および一度閉じた前記型(6)で前記マトリックスシステムを硬化するまでのすべての工程を実行することを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1に記載の方法。
【請求項9】
前記部分要素の熱硬化性材料が、最初の温度で、液状の形態で用いられ、前記他方の部分要素(1)に浸透し、この部分要素では、熱可塑性樹脂が、前記最初の温度よりも高い温度で液化されることを特徴とする請求項4、5、7および8のいずれか1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも2つの互いに隣接しておりかつそれぞれ繊維構造体(2a、2b)を有する第1のおよび第2の部分要素(1、5)と、前記それぞれの繊維構造体(2a、2b)を埋設するマトリックスシステム(3)とを具備する繊維複合材料構造要素を製造する方法であって、前記第1の部分要素(1)は、前記マトリックスシステム(3)によって濡らされていない繊維構造体(2a)を有しかつ前記第2の部分要素(5)への結合のために設けられた遷移領域(4)をそのままにして、固結されること、および、続いて、前記第2の部分要素(5)は、前記第2の部分要素(5)の前記マトリックスシステム(6)の、前記第1の部分要素(1)の前記遷移領域(4)への浸透後に、固結されることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記第1のおよび/または第2の部分要素(1、5)の固結は、前記各々のマトリックスシステム(3、6)の液化および続いての硬化によってなされることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のおよび/または第2の部分要素(1、5)の固結は、前記各々のマトリックスシステム(3、6)の注入および続いての硬化によってなされることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記遷移領域(4)は、この遷移領域(4)の表面に亘って不規則な厚さの分布をなしてデザインされることを特徴とする請求項10ないし12のいずれか1に記載の方法。
【請求項14】
互いに結合される少なくとも2つの層(7a、7bまたは8a、8bまたは9a、9b)から前記第1の部分要素(1)を構成すること、詳しくは、第1の層(7a、8a、9a)は、マトリックスシステム(3)を有する繊維構造体(2)であり、第2の層(7b、8b、9b)は、前記第1の層(7a、8a、9a)に結合されており、マトリックスシステムを有さずかつ前記遷移領域(4)を形成する繊維構造体(2)であることを特徴とする請求項10ないし13のいずれか1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の層(7a、8a、9a)として、熱可塑性樹脂−コミングリングハイブリッドまたは熱可塑性樹脂−プリプレグが用いられることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも2つの層(7a、7b;8a、8b;9a、9b)の繊維構造体(2)を互いに縫い合わせることを特徴とする請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
互いに縫い合わされた繊維層(2)から、1つの繊維織物から、または1つのプリフォーム繊維層から形成されている前記第2の層(7b、8b、9b)を前記第1の層(7a、8a、9a)に形成すること、および、前記遷移領域(4)をそのままにして、前記第1の部分要素(1)の前記マトリックスシステム(3)を固結させることを特徴とする請求項14ないし16のいずれか1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の層(7a、8a、9a)の熱可塑性のマトリックス材料(3)を液化すること、および、液化の際に部分的に前記第2の層(7b、8b、9b)に浸透した前記マトリックス材料(3)を硬化することを特徴とする請求項14ないし17のいずれか1に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の部分要素(1)の前記マトリックスシステム(3)の固結前に、少なくとも1つの熱可塑性樹脂フィルム(10)を、前記第1の部分要素(1)の前記第1の層(9a)と前記第2の層(9b)との間に挿入すること、および、前記熱可塑性樹脂フィルム(10)が溶けて、部分的に前記第2の層(9b)に浸透して、不均等な遷移領域(4)を形成するように、熱の供給によって前記マトリックスシステム(3)を硬化することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記熱可塑性樹脂フィルム(10)は穿孔されていることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項1】
少なくとも互いに隣接しておりかつそれぞれ繊維構造体(3、4)を有する第1および第2の部分要素(1、2)と、前記それぞれの繊維構造体(3、4)を埋設しかつ異なって硬化するマトリックスシステムとを具備し、不規則な境界面を有する、前記第1の部分要素(1)のマトリックスシステムは、前記第2の部分要素(2)の領域へ延びており、前記第2の部分要素(2)のマトリックスシステムは、相補的な境界面を有する前記第2の部分要素(2)の内部で、前記第1の部分要素(1)の前記マトリックスシステムに接続していることを特徴とする繊維複合材料構造要素。
【請求項2】
少なくとも互いに隣接しておりかつそれぞれ繊維構造体(3、4)を有する第1および第2の部分要素(1、2)と、前記それぞれの繊維構造体(3、4)を埋設しかつ異なって硬化するマトリックスシステムとを具備し、不規則な境界面を有する、前記第1の部分要素(1)のマトリックスシステムは、前記第2の部分要素(2)の領域へ延びており、そこで、前記不規則な境界面を有する混合領域(8)を形成し、前記第2の部分要素(2)のマトリックスシステムは、相補的な境界面を有する前記第2の部分要素(2)の内部で、前記混合領域(8)に接続していることを特徴とする繊維複合材料構造要素。
【請求項3】
前記部分要素(1、2)の前記マトリックスシステムは、熱可塑性樹脂によっておよび熱硬化性樹脂によって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維複合材料構造要素。
【請求項4】
少なくとも互いに隣接しておりかつそれぞれ繊維構造体(3、4)を有する第1および第2の部分要素(1、2)と、前記それぞれの繊維構造体(3、4)を埋設しかつ液体状態から異なって硬化するマトリックスシステムとを具備する繊維複合材料構造要素を製造する方法であって、まず、前記第1の部分要素(1)のマトリックスシステムが液化され、前記隣接する第2の部分要素(2)の領域に不規則に浸透すること、続いて、前記第2の部分要素(2)の前記マトリックスシステムが液化されること、および前記マトリックスシステムが硬化されることを特徴とする方法。
【請求項5】
前記部分要素(1、2)のマトリックス構造として、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を用いることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の部分要素(2)のマトリックス構造(4)は、前記熱可塑性樹脂が加熱によって液化されるとき、マトリックスシステムなしに、前記第1の部分要素(1)に接触していること、および、続いて、前記熱硬化性樹脂が、液状の形態で、前記第2の部分要素(2)へ注入されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記熱硬化性樹脂は、前記部分要素(1)の前記繊維構造体(3)に含まれていることを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記部分要素(1、2)の前記繊維構造体(3、4)を型(6)に挿入すること、および一度閉じた前記型(6)で前記マトリックスシステムを硬化するまでのすべての工程を実行することを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1に記載の方法。
【請求項9】
前記部分要素の熱硬化性材料が、最初の温度で、液状の形態で用いられ、前記他方の部分要素(1)に浸透し、この部分要素では、熱可塑性樹脂が、前記最初の温度よりも高い温度で液化されることを特徴とする請求項4、5、7および8のいずれか1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも2つの互いに隣接しておりかつそれぞれ繊維構造体(2a、2b)を有する第1のおよび第2の部分要素(1、5)と、前記それぞれの繊維構造体(2a、2b)を埋設するマトリックスシステム(3)とを具備する繊維複合材料構造要素を製造する方法であって、前記第1の部分要素(1)は、前記マトリックスシステム(3)によって濡らされていない繊維構造体(2a)を有しかつ前記第2の部分要素(5)への結合のために設けられた遷移領域(4)をそのままにして、固結されること、および、続いて、前記第2の部分要素(5)は、前記第2の部分要素(5)の前記マトリックスシステム(6)の、前記第1の部分要素(1)の前記遷移領域(4)への浸透後に、固結されることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記第1のおよび/または第2の部分要素(1、5)の固結は、前記各々のマトリックスシステム(3、6)の液化および続いての硬化によってなされることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のおよび/または第2の部分要素(1、5)の固結は、前記各々のマトリックスシステム(3、6)の注入および続いての硬化によってなされることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記遷移領域(4)は、この遷移領域(4)の表面に亘って不規則な厚さの分布をなしてデザインされることを特徴とする請求項10ないし12のいずれか1に記載の方法。
【請求項14】
互いに結合される少なくとも2つの層(7a、7bまたは8a、8bまたは9a、9b)から前記第1の部分要素(1)を構成すること、詳しくは、第1の層(7a、8a、9a)は、マトリックスシステム(3)を有する繊維構造体(2)であり、第2の層(7b、8b、9b)は、前記第1の層(7a、8a、9a)に結合されており、マトリックスシステムを有さずかつ前記遷移領域(4)を形成する繊維構造体(2)であることを特徴とする請求項10ないし13のいずれか1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の層(7a、8a、9a)として、熱可塑性樹脂−コミングリングハイブリッドまたは熱可塑性樹脂−プリプレグが用いられることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも2つの層(7a、7b;8a、8b;9a、9b)の繊維構造体(2)を互いに縫い合わせることを特徴とする請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
互いに縫い合わされた繊維層(2)から、1つの繊維織物から、または1つのプリフォーム繊維層から形成されている前記第2の層(7b、8b、9b)を前記第1の層(7a、8a、9a)に形成すること、および、前記遷移領域(4)をそのままにして、前記第1の部分要素(1)の前記マトリックスシステム(3)を固結させることを特徴とする請求項14ないし16のいずれか1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の層(7a、8a、9a)の熱可塑性のマトリックス材料(3)を液化すること、および、液化の際に部分的に前記第2の層(7b、8b、9b)に浸透した前記マトリックス材料(3)を硬化することを特徴とする請求項14ないし17のいずれか1に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の部分要素(1)の前記マトリックスシステム(3)の固結前に、少なくとも1つの熱可塑性樹脂フィルム(10)を、前記第1の部分要素(1)の前記第1の層(9a)と前記第2の層(9b)との間に挿入すること、および、前記熱可塑性樹脂フィルム(10)が溶けて、部分的に前記第2の層(9b)に浸透して、不均等な遷移領域(4)を形成するように、熱の供給によって前記マトリックスシステム(3)を硬化することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記熱可塑性樹脂フィルム(10)は穿孔されていることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2008−529849(P2008−529849A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555452(P2007−555452)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【国際出願番号】PCT/DE2006/000337
【国際公開番号】WO2006/089534
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(504467484)エアバス・ドイチュラント・ゲーエムベーハー (268)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【国際出願番号】PCT/DE2006/000337
【国際公開番号】WO2006/089534
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(504467484)エアバス・ドイチュラント・ゲーエムベーハー (268)
【Fターム(参考)】
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