説明

耐フレッチング性及び耐ウィスカー性の被覆装置及び方法

【課題】フレッチング及び熱的露出の後でも低い接触抵抗及び良好なはんだ付け性を維持することができ、一層低い摩擦係数及び減少したウィスカー成長の付加的特質の一つ又は全てと組合された被覆機構を開発することである。
【解決手段】本発明では、複数の近接して配置された構造体(feature)が存在し、錫ウィスカーが潜在的短絡回路を構成するような、特別な用途を有する被覆された電気伝導性基体が与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気伝導性基体を被覆するための機構(system)及び方法に関し、特に電気伝導性基体を被覆するための多層機構及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本特許出願中、合金を限定するための用語「基(base)」とは、その合金が、限定された元素を少なくとも50重量%含むことを意味し、例えば「銅基」とは、銅が50重量%より多いことを意味する。銅及び銅基合金(以後一般に「銅」として言及する)は、電気及び電子工業でコネクタ、電気ハーネス、プリント回路基板、ボールグリッドアレイ、リードフレーム、マルチチップモジュール等のために一般に用いられている。銅は優れた電気伝導度を与えるが、上昇させた温度、湿分、又は化学物質に曝されると容易に酸化し、錆びることが知られている。銅の酸化及び錆びは、一般に電気接触抵抗を高くする結果になり、それにより電気装置の性能が低下する。更に、銅の酸化及び錆びは、はんだの濡れ性を低下させ、一般に、はんだ付けの問題を起こす。
【0003】
銅の酸化及び錆びを減少させる一つの方法は、銅基体上に錫又は錫基合金被覆(以後一般に「錫」として言及する)を適用することである。錫被覆は、酸化を防止又は減少させる障壁として働き、それにより基体の電気性能を維持する。しかし、伝導性基体の上に被覆層として錫を用いることに伴われる多くの問題がある。錫被覆は、上昇させた温度では迅速に、室温(公称25℃)では一層緩やかに銅基体中に拡散し、銅・錫金属間化合物(IMC)を形成する。これらのIMCは、錫被覆層の厚さを減少し、接触抵抗の増大及びはんだ付け性の劣化を起こす。
【0004】
熱処理行程の例には、配線結合又は重合体によるカプセル化中の250℃での数秒間、リフロー(reflow)中の300℃での数秒間、及び摩擦を減少するために錫の厚さを調節減少するための150℃での8〜168時間が含まれる。
【0005】
IMC形成効果を減少し、低い接触抵抗を維持するために取られている一つの方法は、一層厚い錫被覆を用いることである。しかし、この方法は、部品のコストを増大させるだけではなく、或る機能的問題を引き起こす。錫被覆が電気コネクタに用いられている場合、柔らかい錫の被覆が厚いと摩擦を増大し、挿入力を増大することになり、コネクタの取り外しを物理的に困難にさせる結果になる。電子装置の場合、錫又は錫合金の被覆が厚くなることは望ましくない。なぜなら、電子装置を一層薄くし、小さくする傾向があるからである。更に、電子装置の導線に錫被覆を用いると、厚い錫被覆は、導線の平面性や微細な線の輪郭に問題を起こすことがある。
【0006】
IMC形成効果を減少するために採られている別の方法は、銅基体と錫被覆との間に移行障壁を用い、IMCの成長を阻止することである。例えば、米国特許第4,441,118号明細書は、15〜30%のニッケルを含む銅・ニッケル合金基体を用いてIMC成長速度を低くすることを報告している。
【0007】
別の例として、P.J.ケイ(Kay)及びC.A.マッケイ(Mackay)による刊行物、Transaction of the Institute of Metal Finishing, Vol. 51 (1979)の第169頁には、移行障壁層として種々の金属を使用することが論じられている。一つの例としてこの刊行物には、1μmの厚さを有する銀障壁層が記述されている。しかし、この例は望ましくないものとして示されている。なぜなら、銀移行障壁層は、銅と錫との間の拡散速度の実質的な減少をもたらさなかったからである。シャツバーグ(Schatzberg)による米国特許第4,756,467号明細書には、銅基体、薄い銀層、銀・錫合金層、及び一番外側の錫層を有するはんだ付け可能なコネクタを記載している。銀・錫合金層は、拡散アニールにより形成されている。古河電気株式会社による特許第2670348号(特開平02−301573号公報)には、ニッケル又はコバルトである障壁層で被覆し、次に銀層で被覆し、次に錫又は錫合金の溶融固化した層で被覆した銅基体が記載されている。
【0008】
米国特許出願Serial No.09/657,794の継続として2004年8月31日に出願された、同じ出願人に譲渡された米国特許出願Serial No.10/930,316には、銅基体と錫被覆層との間に配置した薄い錆び防止層が記載されている。錆び防止層として開示されている金属の中には、亜鉛、クロム、インジウム、燐、マンガン、硼素、タリウム、カルシウム、銀、金、白金、パラジウム、及びそれらの組合せ及び合金がある。
【0009】
フィスター(Fister)らによる、同じ出願人に譲渡された米国特許第5,780,172号明細書及びフィスターらによる、同じ出願人に譲渡された米国特許第5,916,695号明細書には、別の障壁層が記載されている。
【0010】
伝導性基体のための被覆層として錫を用いることに伴われる別の問題は、錫がフレッチング腐食を受け易いことである。フレッチング腐食は、合わさった二つの接触表面の間の相対的動き(フレッチング)から生ずる接触表面の酸化である。フレッチングにより起こされる酸化は、接触抵抗を許容できない程増大させる結果になることがある。銀のような或る金属は、フレッチング腐食に対する優れた抵抗性を有することが知られている。しかし、銀は、二酸化硫黄の存在により大気中で錆びる傾向があり、それは銀の表面に硫化銀を形成させる。その錆びは美的にも許容できないものであり、電気接点の機能性を劣化することがある。
【0011】
伝導性基体上に、錫被覆層のみならず、亜鉛、インジウム、アンチモン、又はカドミウムのような他の被覆層を用いることに伴われる更に別の問題は、錫がウィスカーの形成を受け易いことである。ウィスカー形成は、錫がエージングし、錫中、又は錫/IMC界面に応力が蓄積し始めると起きる。ウィスカー形成は、メッキ過程から生ずる内部応力によっても起きる。応力を緩和させるため、ウィスカーのような錫の単結晶が表面から核生成する。各ウィスカーは、内部応力が消失するまで成長し続ける。ウィスカー形成は、隣接する電気接触表面の短絡を含めた多くの困難な問題を起こすことがある。ウィスカーの成長を減少させる一般的手段は、錫被覆を少量の鉛(Pb)と合金化することである。しかし、健康及び環境上の理由から、多くの工業が鉛の使用を減少するか或いは無くすように努力している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、フレッチング及び熱的露出の後でも低い接触抵抗及び良好なはんだ付け性を維持することができ、一層低い摩擦係数及び減少したウィスカー成長の付加的特質の一つ又は全てと組合された被覆機構を開発することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第一の態様に従い、複数の近接して配置された構造体(feature)が存在し、錫ウィスカーが潜在的短絡回路を構成するような、特別な用途を有する被覆された電気伝導性基体が与えられる。そのような基体には、導線枠、端子ピン、プリント回路基板の上にあるような回路トレース(circuit trace)、及び可撓性回路(flexible circuit)が含まれ、それら構造体には導線、配線、及び回路トレースが含まれる。電気伝導性基体は、錫ウィスカーが跨がることができる距離に分離された複数の導線、それら複数の導線の少なくとも一つの少なくとも一つの表面を被覆する銀又は銀金合金層、及び前記銀層を直接被覆する微粒錫又は錫基合金層を有する。
【0014】
本発明の第二の態様に従い、コネクタ組立体の場合のように、フレッチング摩耗からの破片が酸化し、電気抵抗率を増大させるような場合に、特別な有用性を有する被覆された電気伝導性基体が与えられる。電気伝導性基体は、基体の成分が、続いて堆積された複数の層中へ拡散するのを阻止するのに有効な障壁層が基体上に堆積されている。続いて堆積される層には、前記障壁層の上に堆積された、錫と金属間化合物を形成するのに効果的な犠牲層、前記犠牲層の上に堆積された低抵抗率酸化物を形成することができる金属(「低抵抗率酸化物金属層」としてここで言及する)、及び前記低抵抗率酸化物金属層の上に直接堆積された錫又は錫基合金の一番外側の層が含まれる。
【0015】
第二の態様として、障壁層はニッケル又はニッケル基合金であるのが好ましく、低抵抗率酸化物金属層は、銀又は銀基合金であるのが好ましい。
【0016】
加熱された時、この第二の態様の被覆された基体は、銅又は銅基合金基体、銅及び錫を含めた金属又は混合物から形成された介在層、及び銅・錫金属間化合物含有相と銀に富む相との混合物である一番外側の層を有する独特の構造体を形成する。
【0017】
銀に富む相は、フレッチング摩耗破片の酸化による抵抗率の増大を最小限にするのに特に有利であると考えられる。
【0018】
本発明の一つ以上の態様についての詳細を、添付の図面及び下の説明で記述する。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、その説明及び図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0019】
本発明は、図面に関連して行う次の詳細な説明から一層完全に理解されるであろうが、図面中、同様な部材には同様な番号が付けてある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の第一の態様に従い、カプセル化及び被覆する前のリードフレームの上面図である。
【図2】図2は、本発明の第一の態様に従い、カプセル化した後であるが、被覆する前の図1のリードフレームの側面図である。
【図3】図3は、本発明の第一の態様に従い、カプセル化及び被覆した後の図1のリードフレームの断面図である。
【図4】図4は、本発明の第二の態様に従い、被覆された伝導性帯の断面図である。
【図5】図5は、コネクタ組立体へ形成した後の図4の伝導性帯の断面図である。
【図6】図6は、フレッチング破片の影響を例示する、図5のコネクタ組立体の一部分の拡大断面図である。
【図7】図7は、本発明の第一の態様のものを製造する方法を表す工程図である。
【図8】図8は、本発明の第二の態様のものを製造する方法を表す工程図である。
【図9】図9のA〜D(図9A〜9D)は、異なった層の組合せを有する被覆基体中の層間相互拡散を例示する図である。
【図10】図10は、150℃に1週間加熱した後の本発明の被覆基体の表面の顕微鏡写真である。
【図11】図11は、図10の被覆基体の断面の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
図1に関し、複数の導線10を有するリードフレームが、銅又は銅基合金のような電気伝導性金属から形成されている。複数の導線10の各々は、内部導線端部12の所で終わり、中心孔を定めており、その孔はダイパドル(die paddle)14により占められている。典型的には、内部導線端部12及びダイパドル14は、チップの取付け及び配線結合を向上させるため、銀のような貴金属の薄い層で被覆されている。銀の場合、この薄い層は、3μ〜6μの典型的な厚さを有し、電着により堆積されている。次に、一般に半導体チップと呼ばれる一つ以上の集積回路(IC)装置16を、低温金属はんだ、又は熱伝導性重合体接着剤を使用するなどして、ダイパドル14に取付ける。細い金属線18、又は伝導性箔の細い帯により、集積回路装置16の電気活性面上の回路を、内部導線端部12に電気的に相互接続する。次に、ダイパドル14、集積回路装置16、内部導線端部12、及び導線中間部分21を、破線20により指定した周囲に沿って全体的に成形樹脂によりカプセル化する。
図2は、成形樹脂22から伸びている導線10を示す組立体の側面図である。成形樹脂から伸びる導線の外側部分23は、プリント回路基板上のトレースのような外部回路にはんだ付けされるのが典型的である。電気伝導度を最大にするため、導線は銅又は銅合金から形成されるのが典型的であるが、鉄・ニッケル及び鉄・ニッケル・コバルト合金のような非銅導線も用いられる。銅及び銅合金は容易に酸化し、表面の酸化物の形成は、はんだ付けを阻害する。
【0022】
酸化物の形成を阻止するために、銅導線の上に錆びにくい層を堆積させるのが一般的である。その錆び防止層のための容易にはんだ付けすることができる一つの材料は、錫又は錫基合金である。室温以上の温度に曝した時、銅と錫との間で拡散が生ずる。層の表面上に銅・錫金属間化合物が形成されると、錆び防止特性及びはんだ付け性の両方が劣化する。拡散速度を減少し、金属間化合物の形成速度を減少させるために、錆び防止層と基体との間にニッケルのような障壁層を配置することが知られている。
【0023】
錫ウィスカー形成は、細い錫の単繊維が成長することにより内部応力が解消される錫の特性に関係している。図1に戻って、導線10は近接して配置されており、錫ウィスカーが、隣接する導線の間の間隙24に跨がることができ、短絡電気回路を生ずる。1mm以下の導線間の間隙距離は、錫ウィスカーが跨がる危険を持つのが典型的である。錫ウィスカー形成を防ぐために数多くの解決法が提案されてきているが、これらの解決法は短所を持っている。鉛のような別の金属と錫とを合金化することにより、ウィスカー形成を減少させることは知られているが、鉛は毒性を持つ。リフローとして知られている方法では、ウィスカー形成を減少させるため、錫をその溶融温度より高い温度へ加熱することが知られている。溶融錫の流動を制御することは困難であり、リフロー中に導線の間に跨がることがしばしば起きる結果になる。
【0024】
本発明の第一の態様に従い、図3に関し、基体26を銀又は銀基合金の層28で被覆し、次にその銀又は銀基合金の層に直接堆積させた微粒錫層30で被覆したものから導線10を形成することにより錫ウィスカー形成を減少させる。「直接」堆積したとは、他の材料の介在層を存在させずに、接合するように堆積させたことを意味する。基体26を、銅又は銅基合金以外の金属から形成した場合、銅の0.025〜0.51μm(1〜20マイクロインチ)の程度の薄い層を基体上に堆積し、然る後、銀層28を堆積させてもよい。銀層28は、銀基合金でもよく、錫の層は、錫基合金でもよい。
【0025】
二つの金属の間の界面は、その金属自身よりも低い強度を持つ傾向がある。従って、成形樹脂によりカプセル化した導線10の部分は、銀及び錫の層で被覆されておらず、それらの層は、成形樹脂から外に伸びる導線部分だけを被覆しているのが好ましい。銀層28は、0.025μm〜3.05μm(1マイクロインチ〜120マイクロインチ)の厚さを有する。厚さが0.025μm(1マイクロインチ)より薄いと、錫ウィスカーの形成は適切に抑制されなくなる。厚さが3.05μm(120マイクロインチ)より厚くなると、その経費のため使用できなくなる。好ましい銀の厚さは、0.05μm〜1.02μm(2マイクロインチ〜40マイクロインチ)であり、最も好ましい銀の厚さは、0.13μm〜0.51μm(5マイクロインチ〜20マイクロインチ)である。
【0026】
錫層30は0.00025μm〜10.2μm(0.01マイクロインチ〜400マイクロインチ)の厚さを有する。錫の厚さが0.00025μm(0.01マイクロインチ)より薄いと、耐錆性及びはんだ付け性が劣化する。錫の厚さが10.2μm(400マイクロインチ)を超えると、隣接する導線の間の橋絡が起き易くなる。好ましい錫の厚さは、0.51μm〜3.8μm(20マイクロインチ〜150マイクロインチ)であり、最も好ましい錫の厚さは、0.51μm〜2.03μm(20マイクロインチ〜80マイクロインチ)である。
【0027】
錫は、リフローによって達成されるような粗い粒子とは異なって、電着により達成されるような微粒子である。典型的には、平均粒径は、リフロー後に公称粒径がmmのオーダーになる場合とは異なって、0.1μm〜100μmであり、好ましくは0.5μm〜5μmである。微粒構造体は、被覆層の損傷を起こすことなく、導線を小さな半径まで曲げることを可能にする一般に大きな展性を有する。微粒錫はウィスカーを一層形成し易いと考えられているが、銀の下層により、この態様で微粒銀を使用することができる。
【0028】
近接して配置された導線を有するリードフレームを考慮してこの第一の態様を記述してきたが、端子ピン、プリント回路基板及び配線及び回路トレースのような他の近接して配置された構造体を有する可撓性回路(flex circuit)のような他の構造体も、本発明のウィスカーの無い被覆から利点が得られる。
【0029】
本発明の第二の態様は、コネクタ組立体に向けられている。リードフレームとは異なって、殆どのコネクタ組立体は錫ウィスカーによって悪影響を受けない。なぜなら、隣接するコネクタは、通常錫ウィスカーによる短絡回路が生じないように充分に遠く離して配置されているからである。また、コネクタは、リードフレームの導線のように近接した間隔にはなっていないので、錫被覆中の内部応力を減少するためにリフローを利用することができる。更に、錫と銅との間の拡散は、遊離錫の厚さを減少させ、それにより摩擦を減少させ、ソケットの中にプローブを挿入するために必要な力を減少するのでしばしば望ましい。
【0030】
コネクタ組立体は、フレッチング破片による抵抗率の増大を受ける。フレッチング摩耗は、小さな振幅の相対的振動運動を有する二つの表面の間で起きる現象である。フレッチング摩耗は、接触表面から小さな粒子の除去を起こす。これらの小さな粒子は、後で酸化し、その酸化した破片が、コネクタ組立体の界面に集積する。錫の室温抵抗率は約0.12μΩ・mであり、酸化錫の室温抵抗率は約1μΩ・mであるので、フレッチング摩耗の結果は、コネクタ組立体の電気的性質を劣化することになる。
【0031】
フレッチング摩耗は、本発明の第二の態様に従ってコネクタ組立体を形成することにより減少する。図4に関し、基体26は典型的には、銅又は銅基合金であるが、他の電気伝導性金属を用いてもよい。これらの他の電気伝導性金属の一つを用いた場合、薄い銅層を、上述したように基体上に堆積する。薄い銅層を、銅基合金基体上に堆積して、純粋な銅表面を与え、後の層の堆積及び接着を促進するようにしてもよい。
【0032】
銅又は銅基合金基体又は薄い銅層上に、障壁層32を堆積する。障壁層は、銅及び基体を構成する他の成分の拡散を阻止するどのような金属でもよく、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、クロム、モリブデン、又はそれらの合金のような遷移金属であるのが好ましい。障壁層は、0.051μm〜2.03μm(2マイクロインチ〜80マイクロインチ)の厚さを有する。もし障壁層が0.051μm(2マイクロインチ)より薄い厚さを有すると、拡散を阻止するのに有効ではなくなることがある。障壁層の厚さが2.03μm(80マイクロインチ)を超えると、コネクタ組立体の電気的及び機械的性質に悪影響を与えることがある。厚さは、0.1μm〜1.02μm(4マイクロインチ〜40マイクロインチ)であるのが好ましい。最も好ましくは、障壁層の厚さは、0.1μm〜0.51μm(4マイクロインチ〜20マイクロインチ)である。
【0033】
障壁層32の上に犠牲層34を堆積する。犠牲層34は、合金及び金属間化合物を形成するように銀及び錫の両方と一緒にした金属である。摩擦を減少させるため、一番外側の層36の遊離錫の厚さを減少する。この厚さの減少は、組立体を加熱し、犠牲層が最外層の内側部分と結合して比較的堅い金属間化合物を形成するようにすることにより達成することができる。犠牲層のために好ましい材料は、0.051μm〜1.52μm(2マイクロインチ〜60マイクロインチ)の厚さを有する銅又は銅基合金である。犠牲層の厚さは、その犠牲層が消費された時、最外層36の外側表面38の上に、好ましくは0.051μ(2マイクロインチ)の程度の、遊離錫の少なくとも一つの薄い層が残留するように選択する。最外層が最初1.02μm〜2.03μm(40マイクロインチ〜80マイクロインチ)の錫である場合、銅犠牲層は、0.13μm〜0.51μm(5〜20マイクロインチ)の最も好ましい厚さを有する。
【0034】
犠牲層34と最も外側の層36との間に、低抵抗率酸化物金属層40を配置する。この低抵抗率酸化物金属層とは、酸化錫の抵抗率より小さい抵抗率を有する酸化物を、コネクタ組立体の予想された作動温度で形成する金属である。低抵抗率酸化物金属層40のためには、銀又は銀基合金が好ましい。酸化錫は約1μΩ・mの室温抵抗率を有するが、酸化銀は、約0.14μΩ・mの室温抵抗率を有する。フレッチング破片の成分として酸化銀を含有させることにより、コネクタ組立体の抵抗率に対するフレッチング摩耗の影響は、著しく減少する。低抵抗率酸化物金属層は、0.025μm〜3.05μm(1マイクロインチ〜120マイクロインチ)の厚さを有する。もし厚さが1マイクロインチより小さくなると、存在する酸化銀はコネクタ組立体の抵抗率に影響を与えるには不充分になる。もし厚さが3.05μm(120マイクロインチ)を超えると、経費のため利用できなくなる。低抵抗酸化物金属層の厚さは0.05μm〜1.02μm(2マイクロインチ〜40マイクロインチ)であるのが好ましく、最も好ましくは0.13μm〜0.51μm(5マイクロインチ〜20マイクロインチ)である。
【0035】
図4の伝導性帯を、図5の断面図で示したようなコネクタ組立体に形成する。コネクタ組立体は、ソケット42及びプローブ44を含む。ソケットは、通常プローブと点接触させるのに有効な形に曲げられており、その形は点46で電気的接触を維持するためのポジティブフォース(positive force)を適用するのに有効な内部応力をソケットに与える。
【0036】
図6は、図5の破線円によって指定された点接触を拡大した図である。振動により点46は第一接点48と第二接点50との間で振動する。このフレッチングは金属酸化物の形のフレッチング破片52を生ずる。フレッチング破片の一部54は、振動軌跡を被覆し、点46とプローブ44との間の電流の流れに影響を与える。
【0037】
低抵抗率酸化物金属層は、酸化錫の抵抗率(1μΩ・m)より小さい抵抗率を有する酸化物を形成するどのような金属でもよく、或いは金、白金、及びパラジウムのような、酸化物を形成する傾向が低い、銀よりも貴な金属である。表1は、多くの基礎金属の酸化物を明らかにしており、低抵抗率酸化物金属層としての使用に対するそれらの適合性を報告している。表1では、「O」は適合を示し、「X」は、不適合を示している。銀に代わるものとして、インジウム、鉄、ニオブ、レニウム、ルテニウム、バナジウム、金、白金、パラジウム、及び亜鉛の外、これら4種類の金属の混合物も適している。
【0038】
【表1】

【0039】
図7は、図3に例示した被覆した基体の製造方法を表す工程図であり、錫ウィスカーの形成が問題で、錫リフローが内部応力を解放するための選択手段にはなっていない場合の用途で使用される。そのような用途には、リードフレーム、近接して配置された端子ピン(例えば、ピングリッドアレイ電子パッケージ(pin grid array electronic package)で見られるもの)、及びプリント回路基板又は可撓性回路の上の近接して配置された回路トレースが含まれる。図7に戻って、最初の三つの処理工程は、リードフレームに特有なものであり、或る態様では、端子ピンに特有なものである。残りの三つの工程は、上記製品ライン全てに共通である。
【0040】
リードフレームは、典型的には、銅又は銅基合金である基体から打ち抜かれているか又は化学的にエッチングされている。リードフレームには、中心に配置したダイパドル、及びそのダイパドルの少なくとも一つの側面、典型的には、四つの全ての側面から外側へ伸びる複数の導線を含む。次にリードフレームを市販の脱グリース剤などにより脱グリースし、ハバード・ホール(Hubbard-Hall)E−9354電気クリーナー(アメリカ合衆国コネチカット州ウォーターベリーのハバード・ホールから市販されている)のようなアルカリ性電気クリーナーなどによりクリーニングする。陽極/陰極電気クリーニングと共にアルカリ性混合物により、発生した酸素又は水素気泡で、基体に残留する殆どの不充分を除去することができる。電気クリーニングは、典型的には、約20℃〜約55℃で約1分間、約93〜465A/dm(アンペア/平方デシメートル)〔10〜50asf(アンペア/平方フィート)〕の電流密度範囲で行うのが典型的である。
【0041】
ダイパドル及び導線の内側部分を、次に銀のようなはんだ付け性及び配線結合を向上させる金属で3μm〜6μmの厚さに被覆する(56)。導線の最も内側の部分、配線結合又はテープ自動化結合(TAB)のために用いられる部分だけを銀で被覆するのが好ましい。これは、後のカプセル化工程(58)中に、成形樹脂が銅基体に直接接触し、接着不良及び湿分侵入のための唯一つの界面を与えるのが望ましいからである。銅基体と接触する銀層に成形樹脂が接触している場合の二つの界面を持つ構成の方が好ましくない。銀被覆56は、電着、無電解メッキ、浸漬被覆、化学蒸着、又はプラズマ蒸着のようなどのような適当な方法によって行なってもよい。
【0042】
次に、低温はんだ、例えば、金/錫共融物を用いたはんだ付け、又は金属充填エポキシを用いるような接着剤による接合のような慣用的ダイ取付け法によりIC装置をダイパドルに結合する(60)。配線結合は、小さな直径の電線を用いるか、又は金属箔の薄い帯を用い、IC装置を導線枠の内側導線部分に互いに電気的に結合する。ダイ取付け及び配線結合に続き、ダイパドル、IC装置、配線結合部、及び導線枠の内側導線部分を、エポキシのような熱硬化性成形樹脂でカプセル化する。次に、導線の外側部分を、プリント回路基板又は他の外部回路に結合するため、所望の形に曲げる。
【0043】
次に外側導線部分を、銀又は銀合金層で、電気メッキ、無電解メッキ、浸漬メッキ、物理的蒸着、化学蒸着、プラズマ蒸着、又は金属スプレーなどの適当な方法により銀又は銀合金層で被覆する(62)。銀を、0.025μm〜3.05μm(1マイクロインチ〜120マイクロインチ)の厚さに適用するが、0.051μm〜0.51μm(2マイクロインチ〜20マイクロインチ)の厚さが最も好ましい。
【0044】
銀の層を堆積させる方法として好ましいのは、31〜56g/lのシアン化銀、50〜78g/lのシアン化カリウム、15〜90g/lの炭酸カリウム、及び光沢剤を含む水溶液からの電気メッキによるものである。電気メッキは、20〜28℃の温度、46.5A/dm〜139A/dm〔5Asf(アンペア/平方フィート)〜15Asf〕の電流密度で行われる。別法として、銀層は、マクダーミド・スターリング(MacDermid Sterling)(商標名)銀〔アメリカ合衆国コネチカット州ウォーターベリーのマクダーミド社(MacDermid Inc.)〕のようなシアン化物を含まない浸漬メッキを用いて堆積することができる。
【0045】
次に、Ag被覆外側導線の上に錫の層を、0.00015μm〜10.2μm(0.006マイクロインチ〜400マイクロインチ)の厚さ、好ましくは0.5μm〜2.03μm(20マイクロインチ〜80マイクロインチ)の厚さに被覆する(64)。錫の層を堆積する好ましい方法は、ローム・アンド・ハース・ソルダーオン(Rohm and Haas Solderon)(商標名)ST200〔アメリカ合衆国ペンシルバニア州フィラデルフィアのローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas Co.)〕、又は艶消し錫のためにはマクダーミド・スタンテク(MacDermid StanTek)(商標名)AMATのようなメタンスルホン酸系錫メッキ溶液を含む溶液からの電気メッキによるものである。マクダーミド・スタンテク・ステライト(Stellite)は、光沢のある錫のために用いられる。上記電解質のための典型的な操作条件は、25℃〜35℃の温度、及び46.5A/dm〜465A/dm(5Asf〜50Asf)の電流密度である。
【0046】
次に錫被覆外側導線を、プリント回路基板又は他の外部回路に、錫/鉛合金はんだ又は適当な無鉛はんだを用いたはんだ付けなどにより結合する(66)。はんだ及びはんだ付け法は、錫溶融層が無くても錫の層にはんだを融着することができるように選択する。錫層の溶融は、導線間を液体のはんだが跨がるのを防ぐため、回避すべきである。
【0047】
図8は、図4に例示した被覆した基体を製造するための方法を表す工程図であり、フレッチング摩耗の酸化された破片の電気抵抗率に及ぼす影響が問題になる用途、例えば、電気コネクタ組立体で使用される。図7に戻って、基体が銅でない場合、又は基体が大きな(例えば、2重量%より多くの)合金含有量を有する銅合金である場合、後の層を堆積する前に、基体の表面上に薄い銅層を堆積するのが望ましい(68)。薄い銅層は、異なった金属の後の層の堆積に与える影響を最少にし、多くの異なった基体材料について一層統一された製品性能を与える結果になる。
【0048】
銅層は、0.13μm(5マイクロインチ)の最小の厚さを有し、0.51μm〜1.02μm(20マイクロインチ〜40マイクロインチ)の典型的な厚さを有する。銅層及び下に記載する続く層は、どのような適当な方法によって堆積してもよいが、銅層を堆積する好ましい方法(68)は、20g/l〜70g/lの銅イオン及び50g/l〜200g/lの硫酸を含む水溶液を用いた電気メッキによる方法である。操作条件は40℃〜60℃の温度、186A/dm〜929A/dm(20Asf〜100Asf)の電流密度である。
【0049】
次に障壁層を堆積する(70)。適当な障壁層には、ニッケル、コバルト、クロム、モリブデン、鉄、マンガン、及びそれらの合金又は混合物が含まれ、0.05μm〜1.02μm(2マイクロインチ〜40マイクロインチ)の厚さ、好ましくは0.1μm〜0.51μm(4マイクロインチ〜20マイクロインチ)の厚さに堆積される。ニッケル層を堆積する好ましい方法(70)は、公称、300g/lのスルファミン酸ニッケル、6g/lの塩化ニッケル、及び30g/lの硼酸を含有する水溶液を用いた電気メッキによる方法である。操作条件は、28℃〜60℃の温度、3.5〜4.2のpH、及び18.5A/dm〜279A/dm(2Asf〜30Asf)の電流密度である。
【0050】
銅のような犠牲層を、次に、表面上に本質的に純粋な錫(遊離錫としても言及されている)の層を維持しながら、CuSn、CuSn、及び(Cu合金)Snのような銅・錫金属間化合物を形成するため、制御された熱的行程中、錫の一部分と結合させるのに有効な厚さまで堆積する(72)。遊離錫の層は、はんだ付け可能な錆びにくい層を与えるためには、0.051μm〜3.05μm(2マイクロインチ〜120マイクロインチ)の程度になっているべきである。金属間化合物層は、柔らかい遊離錫の厚さを減少させることにより摩擦を減少させるのに有用である。摩擦を減少させることにより、コネクタ組立体に必要な挿入力を減少させる結果になる。
【0051】
犠牲層堆積(72)後、低抵抗率酸化物を形成する、銀のような金属を堆積する(74)、犠牲層は、0.025μm〜3.05μm(1マイクロインチ〜120マイクロインチ)の厚さ、好ましくは0.13μm〜0.51μm(5マイクロインチ〜20マイクロインチ)の厚さに堆積する。銀の犠牲層を堆積するのに好ましい方法は、シアン化銀含有水溶液による電気メッキか、又は上記したようなシアン化物を含まない溶液を用いた浸漬メッキによる方法である。上記の表1に例示したように、銀の外に、インジウム、鉄、ニオブ、レニウム、ルテニウム、バナジウム、金、白金、パラジウム、及び亜鉛のみならず、これらの金属の混合物を用いることができる。
【0052】
犠牲層の堆積(74)後、基体、障壁層、犠牲層、及び低抵抗率酸化物金属層のいずれの溶融温度よりも低い溶融温度を有する金属の最外層を堆積する(76)。最外層には、錫又は錫基合金が好ましい。殆どの用途に対し、毒性問題のため鉛は用いないようにする。しかし、或る用途に対しては鉛を含有する錫基合金が適切なこともある。最外層は、上記の方法のいずれか、又はHALT〔熱風レベル錫(hot air level tin)〕法のような特殊な錫堆積法及び機械的拭いにより堆積する(76)。最外層は、希望により光沢又はつや消しの仕上げを持つことができる。つや消し仕上げは、当分野でこの種の仕上げを調製するために知られている錫浴から錫を電気メッキすることにより生成させることができる。適当な電解質には、上に記載したようなソルダーオンST200(商標名)及びスタンテクAMAT(商標名)が含まれる。
【0053】
次に、錫をリフローするために錫の融点(232℃)より高い温度へ加熱するなどして、錫をリフローする(78)。好ましい熱的プロファイルは、空気中、又は窒素のような保護雰囲気中で300℃で数秒(1〜10秒)である。次に、溶融した錫を急冷して光沢のある外観を生じさせる。
【0054】
リフロー前又は後で、被覆基体を、コネクタ組立体の一部分のような希望の部品へ形成する(80)。被覆基体は、錫の溶融温度よりも低い温度で空気又は窒素中で加熱し、金属間化合物の量を増大し、遊離錫を希望の厚さ、典型的には0.051μm〜0.51μm(2マイクロインチ〜20マイクロインチ)の厚さまで減少させてもよい。この加熱は、150℃〜200℃の温度で、1時間〜168時間にすることができる。
【0055】
本発明の改良された被覆についての機構は、図9A〜9Dを参照することにより理解できるであろう。図9Aは、従来法で知られているような錫被覆基体26を例示している。基体26を銅の犠牲層34及び錫最外層36で被覆する。150℃のような上昇させた温度に一週間露出すると、犠牲層34と最外層36との間に相互拡散及び結合が起き、基体26に隣接してCuSn金属間化合物層82を形成し、それは最外層の表面84まで上方へ伸びている。上昇させた温度での露出後、最外層はCuSn金属間化合物及びCuSn金属間化合物の混合物86になる。これら二つの銅基金属間化合物は酸化され易く、変色及び抵抗率の増大をもたらす。
【0056】
図9Bは、本発明に従い、基体26を犠牲層34、銀層28、及び最外錫被覆層36で被覆し、次に150℃へ一週間加熱した時、基体26が、銅と錫との混合物である介在層88で被覆され、然も、その最外層が銀含有CuSn金属間化合物90と銀に富む相92との混合物になっていることを例示している。銀に富むとは、その相が50原子%を超える銀を含むことを意味する。CuSnAg金属間化合物は堅い表面を与え、挿入力を減少し、フレッチング摩耗を減少する。銀に富む相は、錆びにくさを与え、フレッチング摩耗破片腐食による抵抗率の増大を少なくする。
【0057】
図9Cは、本発明に従い、基体26を障壁層32、犠牲層34、銀層28、及び最外錫被覆層36で被覆し、次に150℃へ一週間加熱した時、次に基体26をニッケル、銅、及び錫の混合物である介在層96で被覆した場合を例示している。層96に隣接して、ニッケル、銅、銀、及び錫の混合物である第一層(98)が存在する。最外層は、CuSn金属間化合物、過剰の錫、及び微量の銀である第一成分と、銀に富む相92である第二成分との混合物である。
【0058】
図10は、150℃で一週間加熱した後の、図9Cの被覆基体の最外表面84の2000倍の倍率での顕微鏡写真である。表面は、顕微鏡写真中の黒い領域として現れている銅・銀・錫相98と、顕微鏡写真中明るい領域として現れている銀に富む相92との混合物である。図11は、図9C及び10の被覆構造体の20,000倍の倍率での顕微鏡写真である。
【0059】
図9Dは、基体26を、障壁層32、銀層28、錫の最外被覆層36で被覆し、次に150℃で一週間加熱した時、次に基体26を、ニッケル、銅、錫、及び微量の銀の混合物である第一介在層100で被覆した場合を例示している。第一介在層100を、銅、ニッケル、錫、及び銀の混合物である第二層102で被覆する。第二層102は、主に銀に富む相92である最外層の表面まで伸びている。
【0060】
本発明の被覆機構の利点は、次の実施例から明らかになるであろう。次の実施例は、本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0061】
例1−錫ウィスカー形成
51mm×12.7mm×0.25mm(2インチ×0.5インチ×0.010インチ)の大きさの試料片を、銅合金C194の帯から切り出した。銅合金C194は、重量で2.1%〜2.6%の鉄、0.05%〜0.20%の亜鉛、0.015%〜0.15%の燐、及び残余の銅の組成を有する。その試料片を市販のアルカリ性クリーナー中で50℃で、139A/dm(15Asf)のカソード電流密度を用いて1分間クリーニングした。
【0062】
表2に関し、ニッケル層を堆積する場合、その堆積は電気メッキにより行なった。Niメッキ溶液は、Niスルファミン酸塩として約60〜75g/l(1リットル当たりのg)のNi、約6〜8g/lのNiCl、及び約38〜53g/lの硼酸を含有し、約3.5〜4.2のpHを有する53℃の水溶液であった。Niメッキ条件は、279A/dm(30Asf)で約60秒であった。
【0063】
銅層を堆積する時、その堆積は、約20〜70g/lのCu、及び約50〜200g/lのHSOを含有し、約40〜60℃の水溶液により、372A/dm(40Asf)の電流密度を用いて約40秒間電気メッキすることにより行なった。
【0064】
銀層を堆積する場合、その堆積は、31〜56g/lのシアン化銀、50〜78g/lのシアン化カリウム、15〜90g/lの炭酸カリウム、及び光沢剤を含有する水溶液中で行なった。操作条件は20℃〜28℃の温度、及び46A/dm〜139A/dm(5Asf〜15Asf)の電流密度であった。
【0065】
錫は、つや消し錫堆積物の場合にはマクダーミド・スタンテクAMAT溶液により電気メッキし、光沢錫堆積物の場合にはマクダーミド・スタンテク・ステライト100溶液により電気メッキすることにより堆積した。メッキ条件は、279A/dm(30Asf)で25℃〜40℃で約50〜400秒であった。
【0066】
76mm(3″)の半径を持つ円状溝中で試料を曲げ、抑えることにより、試料に強制錫ウィスカー試験を行なった。この方法では、錫被覆に一定の曲げ応力を加え、ウィスカーの形成を誘発させた。実施例及び比較例の試料の圧縮(凹型)側を、500Xの光学顕微鏡で周期的に調べ、錫ウィスカーの形成を観察した。
【0067】
【表2】

【0068】
表2に示されているように、錫被覆層と直接接触した銀層を含有させると、つや消し錫最外被覆及び光沢錫最外被覆の両方に対して錫ウィスカーの形成を実質的に無くしている。つや消し錫の場合、試料2と試料3を比較し、試料4を試料5と比較している。比較のために、試料1は市販の厚い錫製品である。光沢錫最外被覆については、試料20を試料21と比較した。
【0069】
例2−接触抵抗に及ぼすフレッチング摩耗の影響
152mm×31.8mm×0.13mm(6インチ×1.25インチ×0.005インチ)の大きさを有する試料片を、表3に記載したように、銅合金C194及びC7025、鍛造一体的(monolithic)錫、及び鍛造一体的銀から形成した。C7025は、重量で、2.2%〜4.2%のニッケル、0.25%〜1.2%の珪素、0.05%〜0.3%のMg、及び残余の銅の組成を有する。
【0070】
銅合金試料片を、例1の場合と同様に、介在層及び艶消し錫で被覆した。但し銀層は、マクダーミド・スターリング(商標名)銀溶液を用いて浸漬法により堆積し、錫は、SnSOのような錫イオンを20g/l〜80g/l、硫酸を50g/l〜200g/l、及び有機添加剤を含有する硫酸塩溶液により堆積した。
【0071】
試験すべき接触表面を横切って20μmのサイクル長さで、20,000サイクルまで、6.4mm(1/4″)直径のバンプ(bump)を5Hzで動かすことにより、フレッチング摩耗の接触抵抗に与える影響を決定した。バンプに100gの垂直力を加え、バンプが運動している間に接触抵抗データーを収集した。報告した値は、特定の接触抵抗を達成するのに必要なサイクル数である。サイクル数が大きい程、フレッチングに対する抵抗性が良いことを示している。
【0072】
【表3】

【0073】
本発明の試料2と試料1との比較は、10mΩの接触抵抗に到達するのに必要なサイクル数が約30%増大し、10Ωの接触抵抗に到達するのに必要なサイクル数が約35%増大することにより、基体のフレッチング摩耗誘発抵抗を減少するのに、0.13μm(5マイクロインチ)の銀層の追加が有効であったことを実証している。
【0074】
本発明の試料4と試料3との比較は、10mΩの接触抵抗に到達するのに必要なサイクル数が約322%増大し、10Ωの接触抵抗に到達するのに必要なサイクル数が120%を超えて増大することにより、基体のフレッチング摩耗誘発抵抗を減少するのに、0.13μm(5マイクロインチ)の銀層の追加が有効であったことを実証している。
【0075】
一体的鍛造Ag(試料6)は、被覆した銅基体を有する何れの試料よりもよい性能を有するが、コスト及び錆びのため、電気コネクタを形成するのには実用的ではない。一体的鍛造Sn(試料5)は、恐らく多量の遊離Snにより合理的に良好なフレッチング抵抗性を有するか、又は圧延から得られる増大した硬度を有するが、強度が欠如しているためコネクタとしては実用的ではない。
【0076】
例3−摩擦係数
152mm×31.8mm×0.13mm(6インチ×1.25インチ×0.005インチ)の大きさを有する銅合金C194試料片を、前の例の場合と同様に、介在層及び艶消し錫で被覆した。試料を空気中で350℃に加熱し、水中で急冷することにより、リフローした錫表面を得た。
【0077】
錫を被覆した平らな表面を横切って10サイクルの間、6.4mm(1/4インチ)直径のバンプを3mm/秒で滑らせた時の抵抗力対垂直力(R/N)の比として摩擦係数を測定した。垂直力は、死荷重として適用し、錫被覆表面とバンプとの間に潤滑剤は適用しなかった。抵抗力は、バンプを試料の平らな表面に対して滑らせながら測定した。報告した値は、全10サイクルの平均値である。R/Nが低いほど、摩擦が小さいことを示している。結果を表4に報告する。
【0078】
【表4】

【0079】
R/Nが減少するに従って、ソケットの中へプローブを挿入するのに必要な挿入力が減少する。試料3とを試料1及び2とを比較すると、5μmの銀を付加すると、艶消し錫外側層についてR/Nに約14%の減少を与えることが分かる。試料3を試料4と比較すると、銀の厚さを増大しても認め得るほどの利点はなく、コストを増大することになることが分かる。
【0080】
試料5と6とを比較すると、外側被覆層としてリフローした錫を用いると、R/Nが約45%減少する一層顕著な利点が達成することが分かる。
【0081】
例4−層間の相互拡散
表5〜8は、図9A〜9Dに例示した構造体の測定組成が、本発明に従って被覆された基体の最外表面上に銀に富む相が形成されたことを実証していることを報告するものである。150℃に一週間加熱する前の厚さ(マイクロインチ)は、XRF(蛍光X線)により測定した。加熱後の組成及び原子%は、EDX(エネルギー分散X線)により決定した。
【0082】
【表5】

【0083】
【表6】

【0084】
【表7】

【0085】
【表8】

【0086】
EDX分析結果は、X線ビームの広がり及び浸透深さにより数%変化することがあることに注意する。しかし、比較の目的から、上記結果は、試料を区別するのに有用である。
【0087】
本発明を、その例示としての態様に関連して示し、記述してきたが、形態及びその詳細について、前記及び種々の他の変化、省略、及び追加は、特許請求の範囲に記述されている本発明の本質及び範囲から離れることなく、行うことができることは認められるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錫ウィスカーが跨がることができる距離(24)に分離された複数の構造体(10);
前記複数の構造体(10)の少なくとも一つのうちの少なくとも一つの表面を被覆する銀又は銀基合金層(28);
前記銀層(28)を直接被覆する微細粒子錫又は錫基合金層(30);
を含む電気伝導性部品。
【請求項2】
距離(24)が、1mm以下である、請求項1に記載の電気伝導性部品。
【請求項3】
銅層が、少なくとも一つの表面と、銀又は銀基合金(28)被覆との間に配置されている、請求項2に記載の電気伝導性部品。
【請求項4】
複数の構造体(10)が複数の導線を構成し、前記複数の導線の各々の一部分(23)だけが銀又は銀基合金層(28)及び微細粒子錫又は錫基合金層(30)で被覆されている、請求項2に記載の電気伝導性部品。
【請求項5】
銀又は銀基合金層(28)、0.051μm〜1.02μm(2マイクロインチ〜40マイクロインチ)の厚さを有する、請求項4に記載の電気伝導性部品。
【請求項6】
錫又は錫基合金層(30)が、0.51μm〜3.8μm(20マイクロインチ〜150マイクロインチ)の厚さを有する、請求項5に記載の電気伝導性部品。
【請求項7】
錫基合金(30)が鉛を含まない、請求項6に記載の電気伝導性部品。
【請求項8】
錫又は錫基合金(30)が、0.1μm〜100μmの平均粒径を有する、請求項6に記載の電気伝導性部品。
【請求項9】
一つ以上の集積回路装置(16)をカプセル化したパッケージにおいて、
中心に配置されたダイパドル(14)及び前記ダイパドル(14)に隣接した位置から外側へ伸びる複数の導線で、その各々が内側部分(12)、中間部分(21)、及び外側部分(23)を有する複数の導線を有する電気伝導性導線枠(10);
前記ダイパドル(14)に結合し、前記内側部分(12)に電気的に相互接続された集積回路装置(16);及び
前記ダイパドル(14)、集積回路装置(16)、前記導線の内側部分(12)及び中間部分(21)を、前記外側部分(23)が前記重合体(22)から外側へ伸びているようにしてカプセル化する成型樹脂(22);
を含み、前記外側部分(23)が、隣接する外側部分から、錫ウィスカーが跨がることができる距離(24)離れており、そして、銀又は銀基合金(28)で被覆されており、更に錫又は錫基合金層(30)で直接被覆されている、上記パッケージ。
【請求項10】
距離(24)が、1mm以下である、請求項9に記載の電気伝導性部品。
【請求項11】
銅層が、前記外側部分の表面と、前記銀又は銀基合金被覆(28)との間に配置されている、請求項10に記載の電気伝導性部品。
【請求項12】
前記銀又は銀基合金(28)が、0.051μm〜0.51μm(2マイクロインチ〜20マイクロインチ)の厚さを有する、請求項11に記載の電気伝導性部品。
【請求項13】
前記錫又は錫基合金層(30)が、0.51μm〜3.8μm(20マイクロインチ〜150マイクロインチ)の厚さを有する、請求項12に記載の電気伝導性部品。
【請求項14】
前記錫基合金(30)が鉛を含まない、請求項13に記載の電気伝導性部品。
【請求項15】
前記錫又は錫基合金(30)が、0.1μm〜100μmの平均粒径を有する、請求項13に記載の電気伝導性部品。
【請求項16】
複数の層(32、34、40、36)で被覆された電気伝導性材料において、
電気伝導性基体(26);
前記基体(26)上に堆積され、前記複数の層(32、34、40、36)へ前記基体(26)の成分が拡散するのを防ぐのに有効な障壁層(32);
前記障壁層(32)上に堆積された、錫との金属間化合物を形成するのに有効な犠牲層(34);
前記犠牲層(34)上に堆積された低抵抗率酸化物金属層(40);及び
前記低抵抗率酸化物金属層(40)上に直接堆積された錫又は錫基合金(36)の最外層;
を含む、上記電気伝導性材料。
【請求項17】
銅層が、少なくとも一つの表面と前記低抵抗率酸化物金属層(40)との間に配置されている、請求項16に記載の電気伝導性材料。
【請求項18】
前記障壁層(32)が、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、クロム、モリブデン、及びそれらの合金からなる群から選択されている、請求項16に記載の電気伝導性材料。
【請求項19】
前記障壁層(32)が、ニッケル又はニッケル基合金である、請求項18に記載の電気伝導性材料。
【請求項20】
前記ニッケル又はニッケル基合金障壁層(32)が、0.102μm〜0.51μm(4マイクロインチ〜20マイクロインチ)の厚さを有する、請求項19に記載の電気伝導性材料。
【請求項21】
前記犠牲層(34)が、銅又は銅基合金である、請求項19に記載の電気伝導性材料。
【請求項22】
前記銅又は銅基合金犠牲層(34)が、0.051μm〜1.52μm(2マイクロインチ〜60マイクロインチ)の厚さを有する、請求項21に記載の電気伝導性材料。
【請求項23】
前記低抵抗率酸化物金属層(40)が、銀、インジウム、鉄、亜鉛、ニオブ、レニウム、ルテニウム、バナジウム、金、白金、パラジウム、及びそれらの合金からなる群から選択されている、請求項22に記載の電気伝導性材料。
【請求項24】
前記低抵抗率酸化物金属層(40)が、0.13μm〜1.02μm(5マイクロインチ〜40マイクロインチ)の厚さを有する、請求項23に記載の電気伝導性材料。
【請求項25】
前記低抵抗率酸化物金属層(40)が、銀又は銀基合金である、請求項24に記載の電気伝導性材料。
【請求項26】
前記銀又は銀基合金層(40)が、0.13μm〜1.02μm(5マイクロインチ〜20マイクロインチ)の厚さを有する、請求項25に記載の電気伝導性材料。
【請求項27】
前記錫又は錫基合金層(36)の最外層が、0.5mmを超える平均粒径を有する、請求項25に記載の電気伝導性材料。
【請求項28】
ソケット(42)及びプローブ(44)を含み、前記ソケット(42)又はプローブ(44)の少なくとも一つが、
電気伝導性基体(26);
前記基体(26)上に堆積され、複数の層(32、34、40、36)へ前記基体(26)の成分が拡散するのを防ぐのに有効な障壁層(32);
前記障壁層(32)上に堆積された、錫との金属間化合物を形成するのに有効な犠牲層(34);
前記犠牲層(34)上に堆積された低抵抗率酸化物金属層(40);及び
前記低抵抗率酸化物金属層(40)上に直接堆積された錫又は錫基合金(36)の最外層;
を含む、電気コネクタ組立体。
【請求項29】
銅層が、少なくとも一つの表面と低抵抗率酸化物金属層(40)との間に配置されている、請求項28に記載の電気伝導性材料。
【請求項30】
前記障壁層(32)が、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、クロム、モリブデン、及びそれらの合金からなる群から選択されている、請求項28に記載の電気伝導性材料。
【請求項31】
前記障壁層(32)が、0.1μm〜1.02μm(4マイクロインチ〜40マイクロインチ)の厚さを有する、請求項30に記載の電気伝導性材料。
【請求項32】
前記障壁層(32)が、ニッケル又はニッケル基合金である、請求項31に記載の電気伝導性材料。
【請求項33】
前記犠牲層(34)が、銅又は銅基合金である、請求項32に記載の電気伝導性材料。
【請求項34】
前記低抵抗率酸化物金属層(40)が、銀、インジウム、鉄、亜鉛、ニオブ、レニウム、ルテニウム、バナジウム、金、白金、パラジウム、及びそれらの合金からなる群から選択されている、請求項33に記載の電気伝導性材料。
【請求項35】
前記低抵抗率酸化物金属層(40)が、銀又は銀基合金である、請求項34に記載の電気伝導性材料。
【請求項36】
前記錫又は錫基合金(36)の最外層が、0.5mmを越える平均粒径を有する、請求項35に記載の電気伝導性材料。
【請求項37】
銅又は銅基合金基体(26);
銅及び錫を含む混合物又は金属から形成された介在層(88、98、100);及び
銅・錫金属間化合物含有相(90、94、102)と銀に富む相(92)との混合物である最外層;
を含む複合構造体。
【請求項38】
前記銅・錫金属間化合物含有相(90、94、102)が、更に銀を含む、請求項37に記載の複合構造体。
【請求項39】
前記の銀に富む相(92)が、更に銅及び錫を含む、請求項38に記載の複合構造体。
【請求項40】
遊離錫又は遊離錫基合金の薄い層が、前記最外層を覆っている、請求項39に記載の複合構造体。
【請求項41】
錫ウィスカーを生じにくい被覆を製造する方法において、
(a)錫ウィスカーが跨がることが出来る距離に離れた複数の間隔をあけた電気伝導性構造体を有する基体を与える工程;
(b)前記構造体の少なくとも一部分を、銀又は銀基合金の層で被覆する工程(62);
(c)前記銀又は銀基合金層を、微粒子錫又は錫基合金の層で直接被覆する工程(64);
を含む、上記製造方法。
【請求項42】
電気伝導性構造体が、導線で、その各々が、内側部分、中間部分、及び外側部分を有する導線を構成し、少なくとも前記外側部分を、0.025μm〜3.05μm(1マイクロインチ〜120マイクロインチ)の銀又は銀基合金で、電気メッキ及び浸漬メッキからなる群から選択された方法により被覆する(62)、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記基体を、前記導線の内側部分から中心に配置されたダイパドルを有するリードフレームに形成し、前記ダイパドル及び前記内側部分を、工程(b)の前に銀又は銀基合金で被覆する(56)、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ダイパドル及び内側導線部分を、工程(b)の前に重合体樹脂でカプセル化する(58)、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記重合体樹脂でカプセル化する(58)時、前記導線の中間部分が、銀又は銀基合金被覆を実質的にもたない、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
フレッチング摩耗破片誘発抵抗率増大を起こしにくい部品を製造する方法において、
(a)電気伝導性基体を、前記部品の予想される使用温度で前記伝導性基体の成分がそれを通って拡散するのを防ぐのに有効な障壁層で被覆する工程(70);
(b)前記障壁層を、前記成分の最外被覆層と金属間化合物を形成するのに有効な犠牲層で被覆する工程(72);
(c)前記犠牲層を、低抵抗率酸化物金属又は金属合金層で被覆する工程(74);
(d)前記低抵抗率酸化物金属又は金属合金層を、前記電気伝導性基体、前記障壁層、前記犠牲層、及び前記低抵抗率酸化物金属又は金属合金層のどの一つの溶液温度よりも低い溶融温度を有する最外層で直接被覆する工程(76);及び
(e)前記被覆した電気伝導性基体を、前記最外層を溶融及びリフローするのに有効な温度へ加熱する工程(78);
を含む、上記製造方法。
【請求項47】
工程(a)の前に、前記電気伝導性基体を銅の層で被覆する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記障壁層を、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、クロム、モリブデン、及びそれらの合金及び混合物からなる群から選択する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記犠牲層を、銅又は銅基合金であるように選択する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記低抵抗率酸化物金属層を、銀、インジウム、鉄、ニオブ、レニウム、ルテニウム、バナジウム、金、白金、パラジウム、及び亜鉛からなる群から選択する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記低抵抗率酸化物金属層を、0.025μm〜3.05μm(1マイクロインチ〜120マイクロインチ)の厚さまで、電気メッキ及び浸漬メッキからなる群から選択された方法により堆積された(74)銀又は銀基合金になるように選択する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
工程(d)(76)及び(e)(78)を一緒にして、熱風レベル化錫(HALT)法のような単一の工程にする、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記最外層が、電気メッキにより堆積された(76)錫又は錫基合金である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
工程(e)の前又は後で、前記の被覆した電気伝導性基体を、錫又は錫基合金の溶融温度より低い温度へ加熱して、遊離錫の厚さを減少する、請求項56に記載の方法。
【請求項55】
前記被覆電気伝導性基体を、コネクタ組立体のソケット部品及びプローブ部品の両方に形成する(80)ことを含む、請求項52又は請求項56に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−232681(P2010−232681A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143456(P2010−143456)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【分割の表示】特願2006−535451(P2006−535451)の分割
【原出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(506071210)オリン コーポレイション (12)
【Fターム(参考)】