説明

耐候性多層品集成材及びその製造方法

多層品集成材は、(i)1種以上の1,3−ジヒドロキシベンゼン及び1種以上の芳香族ジカルボン酸由来の構造単位を有するブロックコポリエステルカーボネートを含むコーティング層、(ii)カーボネート構造単位を有するポリマーを含む第2層、(iii)ポリウレタンを含む接着層、及び(iv)未硬化熱硬化性樹脂又は未硬化環状オリゴマーからなる基板層を含み、コーティング層が第2層と密着しており、接着層が第2層及び基板層と密着している。多層品集成材の製造方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐候性の多層樹脂物品集成材及びその製造方法に関する。本発明は特に、ブロックコポリエステルカーボネート保護皮膜、カーボネート構造単位を有するポリマーを含む第2層、未硬化の熱硬化性樹脂もしくは未硬化の環状オリゴマー基板層、及び第2層と基板との間に介在する1以上の接着層を含む多層樹脂物品集成材に関する。多層品集成材はさらに硬化することによって耐候性の多層樹脂物品に加工することができる。
【背景技術】
【0002】
種々の樹脂物品に長期色不安定という問題がある。これはポリマー樹脂の黄変の原因となり、黄変は場合によっては透明性や魅力を減じる。光沢の低下も望ましくない長期間現象の一つである。
【0003】
ポリマー黄変の原因は多くの場合、紫外線の作用で、そのため黄変はしばしば「光黄変」と呼ばれる。光黄変を抑制する種々の手段が使用され、また提案されてきた。このような手段の多くはポリマーに紫外線吸収化合物(UVA)を練り込むものである。ほとんどの場合、UVAは低分子量化合物であり、衝撃強さや(加熱変形温度に反映されるような)高温特性などのポリマーの物性の劣化を避けるために、その使用量を比較的低いレベル、代表的には1重量%以下のレベルとしなければならない。このようなレベルは十分な保護を達成するには不適当である。
【0004】
樹脂物品を光黄変や光沢の低下から保護する一つの方法では、耐候性の第2ポリマーの皮膜を適用する。ここで用いる用語「耐候性」は、このような現象に対する抵抗性を意味する。この目的に適当な耐候性ポリマーにはレゾルシノールイソフタレート/テレフタレートコポリアリーレートがある。これは、Cohen et al., J. Poly. Sci., Part A−1, 9, 3263−3299 (1971)の主題であり、又米国特許第3444129号、第3460961号、第3492261号及び第3503779号などMonsanto社の関連特許の主題である。本出願人に譲渡された出願公開国際公開第00/61664号は、1,3−ジヒドロキシベンゼンオルガノジカルボキシレート由来の構造単位を含むコーティング層を有する耐候性多層品に関する。本出願人に譲渡された米国特許第6306507号は、1以上のコーティング層からなるコーティング層を有する耐候性多層品に関し、該コーティング層が、界面法により製造された、ポリマー鎖の2以上の単量体単位を連結する無水物結合を実質的にもたないレゾルシノールアリーレートポリエステル鎖部分を含む熱安定性ポリマーを含む。
【0005】
特開平1−199841号には、90モル%以上のポリ(エチレンテレフタレート)を含む基板層と、レゾルシノール及びイソフタル酸のポリエステルであるガスバリヤーコーティング層とを備える物品が開示されている。前記ポリエステルは、所望に応じてテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸又は種々の他の特定のジカルボン酸などの別のジカルボン酸由来のコポリエステル単位を有する。開示された物品は、同時射出成形を含む一連の操作により製造され、一連の操作はすべて溶融状態でほぼ行われ、これにより上述した溶液塗工の不具合を克服している。しかし、開示された物品の種類はボトルだけで、これはパリソンを同時射出成形し、その後吹込成形することにより製造されている。屋外使用を意図した大形物品、例えば自動車ボディ外装部品は開示されておらず、その製造方法も示唆されておらず、基板層がポリ(エチレンテレフタレート)以外の材料である物品も開示されていない。
【0006】
本出願人に譲渡された米国特許出願第10371754号(2003年2月21日出願)は、一実施形態では熱硬化性基板層とポリウレタンからなる接着層とを含む耐候性多層品に関する。しかし、熱硬化性樹脂由来の基板層は、これらの多層品の組立前に硬化しなければならない。組立前に熱硬化性基板層を硬化する必要から、プロセスの複雑さと最終的な多層品のコストが増大する。
【特許文献1】米国特許第3444129号明細書
【特許文献2】米国特許第3460961号明細書
【特許文献3】米国特許第3492261号明細書
【特許文献4】米国特許第3503779号明細書
【特許文献5】国際公開第00/61664号パンフレット
【特許文献6】米国特許第6306507号明細書
【特許文献7】特開平1−199841号公報
【特許文献8】米国特許出願第10371754号(2003年2月21日出願)
【非特許文献1】S. M. Cohen et al., ”Transparent Ultraviolet−Barrier Coatings,” Jounal of Polymer Science, Part A−1, 9, 3263−3299 (1971)
【非特許文献2】Irving Skeist, ”Handbook of Adhesives,” Van Nostrand Reinhold, New York, Third Edition (1990), pp. 359−380
【非特許文献3】A. Pizzi et al., ”Handbook of Adhesive Technology,” Marcel Dekker, Inc., New York−Basel−Hong Kong, pp. 405−429 (1994)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、自動車のような屋外車両及び装置用のボディ部品として上述したような様々な目的に使用でき、種々の層間の接着が適切な、耐候性多層品を開発することが望まれている。さらに、熱硬化性樹脂基板を含む、層同士がよく接着した多層品であって、効率よく製造できる、多層品を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、下側層への風雨に対する保護をなし、種々の層間の優れた接着性を発揮するコーティング層を有する多層品を効率よく製造する方法を見出した。一実施形態では、本発明が提供する多層品集成材は、(i)1種以上の1,3−ジヒドロキシベンゼン及び1種以上の芳香族ジカルボン酸由来の構造単位を有するブロックコポリエステルカーボネートを含むコーティング層、(ii)カーボネート構造単位を有するポリマーを含む第2層、(iii)ポリウレタンを含む接着層、及び(iv)未硬化熱硬化性樹脂又は未硬化環状オリゴマーからなる基板層を含み、コーティング層が第2層と密着しており、接着層が第2層及び基板層と密着している。別の実施形態では、本発明は前記多層品集成材を製造する方法を提供する。
【0009】
本発明のその他の特徴、観点及び利点は下記の説明及び特許請求の範囲を参照することで、一層明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、多数の用語に言及するが、これらの用語は以下の意味をもつと定義される。単数表現は、文脈上明らかにそうでない場合以外は、複数も含む。「任意の」又は「所望に応じて」は、後述する事象や状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味し、関連する説明は事象が起こった場合と事象が起こらなかった場合両方を包含する。ここで用いる用語「層」は、用語「フィルム」及び「シート」と互換できるものとして使用する。また用語「接着層」と「結合層」は互換できる。
【0011】
本発明の多層品集成材におけるコポリエステルカーボネートフィルムは、交互のカーボネートブロック及びアリーレートブロックを含むブロックコポリエステルカーボネート1種以上を含む。このようなブロックコポリエステルカーボネートには、式(I)で表される、1,3−ジヒドロキシベンゼン構造単位と芳香族ジカルボン酸構造単位を含むポリマーがある。
【0012】
【化1】

式中のRは各々独立にハロゲン又はC1−12アルキルを示し、pは0〜3であり、Rは各々独立に二価有機基を示し、mは1以上、nは約4以上の数である。nは、ある実施形態では約10以上で、別の実施形態では約20以上で、さらに他の実施形態では約30〜150である。mは、ある実施形態では約3以上で、別の実施形態では約10以上で、さらに他の実施形態では約20〜200である。他の実施形態では、mは約20〜50である。本発明の文脈では、「交互のカーボネートブロック及びアリーレートブロック」は、コポリエステルカーボネートが1以上のカーボネートブロックと1以上のアリーレートブロックを含むことを意味する。特定の実施形態では、ブロックコポリエステルカーボネートが、1以上のアリーレートブロックと2以上のカーボネートブロックを含む。別の特定の実施形態では、ブロックコポリエステルカーボネートが、1以上のアリーレートブロック(B)と2以上のカーボネートブロック(A)を有するA−B−A立体構造を有する。
【0013】
アリーレートブロックは、置換されていてもいなくてもよい1,3−ジヒドロキシベンゼン部分を含む構造単位を含む。アルキル置換基は、存在する場合には、しばしば直鎖又は枝分れアルキル基であり、また、他の環位置も考えられるが、両方の酸素原子に対してオルト位に位置することが多い。適当なC1−12アルキル基としては、特に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ノニル、デシル、そしてベンジルなどのアリール置換アルキルが挙げられる。ある実施形態では、アルキル置換基がメチルである。ハロゲン置換基としては臭素、塩素及びフッ素が適当である。アルキル置換基とハロゲン置換基の混合物を含む1,3−ジヒドロキシベンゼン部分も適当である。pの値は、一実施形態では0〜3であり、別の実施形態では0〜2であり、さらに他の実施形態では0〜1である。一実施形態では、1,3−ジヒドロキシベンゼン部分は2−メチルレゾルシノールである。多くの実施形態で、1,3−ジヒドロキシベンゼン部分はpが0である非置換レゾルシノールである。異なる1,3−ジヒドロキシベンゼン部分の混合物、例えば非置換レゾルシノールと2−メチルレゾルシノールとの混合物を含むポリマーも想定されている。
【0014】
アリーレート構造単位において、前記1,3−ジヒドロキシベンゼン部分は芳香族ジカルボン酸部分に結合され、芳香族ジカルボン酸部分は、単環部分、例えばイソフタレートもしくはテレフタレートもしくはそのハロゲン置換誘導体であっても、多環部分、例えばビフェニルジカルボキシレート、ジフェニルエーテルジカルボキシレート、ジフェニルスルホンジカルボキシレート、ジフェニルケトンジカルボキシレート、ジフェニルスルフィドジカルボキシレート又はナフタレンジカルボキシレートであってもよい。ある実施形態では、多環部分はナフタレン−2,6−ジカルボキシレートを含むか、単環及び/又は多環芳香族ジカルボキシレートの混合物を含む。多くの実施形態で、芳香族ジカルボン酸部分はイソフタレート及び/又はテレフタレートである。前記部分のいずれか又は両方が存在してよい。一実施形態では、両方がイソフタレート/テレフタレートのモル比で約0.20〜5.0:1の範囲で存在し、別の実施形態では、両方がイソフタレート/テレフタレートのモル比で約0.25〜4.0:1の範囲で存在する。イソフタレート/テレフタレート比が約4.0:1より大きいと、場合によっては環状オリゴマーが許容レベルを超えて生成するおそれがある。イソフタレート/テレフタレート比が約0.25:1より小さいと、場合によっては不溶性ポリマーが許容レベルを超えて生成するおそれがある。ある実施形態では、イソフタレート/テレフタレートのモル比が約4.0〜2.5:1であり、別の実施形態では約0.67〜1.5:1である。
【0015】
種々の実施形態では、コポリエステルカーボネート中のアリーレートブロックセグメントは、ポリマー鎖の2つ以上の単量体単位を連結する無水物結合を実質的に含まない。この文脈で無水物結合を実質的に含まないとは、コポリエステルカーボネートが、これを約280〜290℃の温度に5分間加熱したときに示す分子量減少が、ある実施形態では10%未満であり、別の実施形態では5%未満であることを意味する。
【0016】
コポリエステルカーボネートのカーボネートブロックにおいて、式(I)のRは各々独立にジヒドロキシ化合物由来の有機基を示す。多くの場合、ポリマー中のR基の総数の約60%以上が芳香族有機基で、残りが脂肪族、脂環式又は芳香族基である。適当なR基としては、特に限定されないが、m−フェニレン、p−フェニレン、4,4′−ビフェニレン、4,4′−ビ(3,5−ジメチル)フェニレン、2,2−ビス(4−フェニレン)プロパン及び類似の基、例えば米国特許第4,217,438号に化合物名又は一般式もしくは特定式で開示されたジヒドロキシ置換芳香族炭化水素に対応する基が挙げられる。本発明の実施形態では、ジヒドロキシ化合物には、6−ヒドロキシ−1−(4′−ヒドロキシフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4′−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、3,5,3′,5′−テトラクロロ−4,4′−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2,4′−ジヒドロキシフェニルスルホン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキノン、レゾルシノール、C1−3アルキル置換レゾルシノールがある。特定の実施形態では、ジヒドロキシ化合物がビスフェノールAを含む。
【0017】
適当なジヒドロキシ化合物には、インダン構造単位を含む化合物、例えば式(II)で表される化合物である3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチルインダン−5−オールや、式(III)で表される化合物である1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン−5−オールもある。
【0018】
【化2】

適当なジヒドロキシ置換芳香族炭化水素の中には、式(IV)で表される2,2,2′,2′−テトラヒドロ−1,1′−スピロビ[1H−インデン]ジオール類もある。
【0019】
【化3】

式中のRは各々独立に一価炭化水素基及びハロゲン基から選択され、R、R、R及びRは各々独立にC1−6アルキルであり、R及びRは各々独立にH又はC1−6アルキルであり、nは各々独立に0〜3の値を有する正の整数から選択される。特定の実施形態では、上記2,2,2′,2′−テトラヒドロ−1,1′−スピロビ[1H−インデン]ジオールは、2,2,2′,2′−テトラヒドロ−3,3,3′,3′−テトラメチル−1,1′−スピロビ[1H−インデン]−6,6′−ジオール(SBIと略称することもある)である。
【0020】
本発明の種々の実施形態で用いる用語「アルキル」は、炭素及び水素原子を含有し、所望に応じて炭素及び水素に加えて原子、例えば周期律表の15、16及び17族から選択される原子を含む直鎖状アルキル、枝分れアルキル、アラルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、トリシクロアルキル及びポリシクロアルキル基を示す。アルキル基は飽和でも不飽和でもよく、例えばビニルやアリルを含有してもよい。用語「アルキル」はアルコキシド基のアルキル部分も包含する。種々の実施形態では、直鎖及び枝分れアルキル基は、炭素原子数1〜約32のもの、具体的な例を挙げると、限定されないが、所望に応じてC−C32アルキル、C−C15シクロアルキルもしくはアリールから選択される基1つ以上で置換されていてもよいC−C32アルキル、及び所望に応じてC−C32アルキルから選択される基1つ以上で置換されていてもよいC−C15シクロアルキルがある。具体例としては、特に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル及びドデシルがある。シクロアルキル及びビシクロアルキル基の具体例には、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロヘプチル及びアダマンチルが挙げられる。種々の実施形態では、アラルキル基は炭素原子数7〜約14のものであり、例として、特に限定されないが、ベンジル、フェニルブチル、フェニルプロピル及びフェニルエチルが挙げられる。種々の実施形態では、本発明の種々の実施形態で使用されるアリール基は、環炭素原子数6〜18の置換又は非置換アリール又はヘテロアリール基である。これらのアリール基の具体例としては、特に限定されないが、所望に応じてC−C32アルキル、C−C15シクロアルキルもしくはアリールから選択される基1つ以上で置換されていてもよいC−C15アリールが挙げられる。アリール基の特定の具体例としては、置換又は非置換フェニル、ビフェニル、トルイル及びナフチルが挙げられる。ヘテロアリール基は、約3〜約10の環炭素原子を含む基であり、具体的としては、特に限定されないが、トリアジニル、ピリミジニル、ピリジニル、フラニル、チアゾリニル及びキノリニルが挙げられる。
【0021】
ある実施形態では、各Rは芳香族有機基であり、特定の実施形態では式(V)の基である。
【0022】
【化4】

式中のA及びAは各々単環の二価アリール基であり、YはAとAとの間に1個又は2個の炭素原子が介在する橋かけ基である。式(V)中の結合手は通常Yに対してA及びAのメタ又はパラ位にある。Rが式(V)である化合物はビスフェノール化合物であり、記述を簡潔にするために、用語「ビスフェノール」はジヒドロキシ置換芳香族炭化水素を表すものとして用いることもある。しかし、このタイプの非ビスフェノール化合物を用いるのも適当である。
【0023】
式(V)において、A及びAは代表的には非置換フェニレン又はその置換誘導体を示し、具体的な置換基(1つ又は複数)にはアルキル、アルケニル及びハロゲン(特に臭素)がある。多くの実施形態で、A及びAが非置換フェニレン基を示す。A及びA両方がp−フェニレンであってもよいが、両方がo−又はm−フェニレンであるか、片方がo−又はm−フェニレンで他方がp−フェニレンでもよい。
【0024】
橋かけ基Yは1個か2個の原子がAとAとの間に介在するものである。特定の実施形態では、1個の原子がAとAとの間に介在する。この種の基の具体例には、−C=O、−O−、−S−、−SO−又は−SO−、メチレン、シクロヘキシルメチレン、2−[2.2.1]−ビシクロへプチルメチレン、エチレン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン及びアダマンチリデンがある。ある実施形態では、上記基がgem−アルキレン基である。しかし、不飽和基も含まれる。入手しやすく、本発明の目的に特に適当なことから、ビスフェノールとしては、Yがイソプロピリデンで、A及びAが各々p−フェニレンである2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールA又はBPAと言う)が好ましい。
【0025】
未反応の1,3−ジヒドロキシベンゼン部分が以下に説明する反応混合物中に存在するか否かに応じて、カーボネートブロック中のRは1,3−ジヒドロキシベンゼン部分由来の基のみからなるか、そのような基を少なくとも部分的に含有する。したがって、本発明の一実施形態では、コポリエステルカーボネートのカーボネートブロックが、ポリアリーレートブロック中の1種以上の1,3−ジヒドロキシベンゼン部分と同一のジヒドロキシ化合物由来のR基を有する。別の実施形態では、コポリエステルカーボネートのカーボネートブロックが、ポリアリーレートブロック中のいずれの1,3−ジヒドロキシベンゼン部分とも異なるジヒドロキシ化合物由来のR基を有する。さらに他の実施形態では、コポリエステルカーボネートのカーボネートブロックが、ポリアリーレートブロック中のいずれかの1,3−ジヒドロキシベンゼン部分と同一のジヒドロキシ化合物と、ポリアリーレートブロック中のいずれの1,3−ジヒドロキシベンゼン部分とも異なるジヒドロキシ化合物を少なくとも含む複数のジヒドロキシ化合物由来のR基の混合物を有する。ジヒドロキシ化合物由来のR2基の混合物が存在する場合、ポリアリーレートブロック中に存在するものと同一のジヒドロキシ化合物とポリアリーレートブロック中に存在するものとは異なるジヒドロキシ化合物のモル比は代表的には約1:999〜999:1である。特定の実施形態では、コポリエステルカーボネートのカーボネートブロックが、非置換レゾルシノール、置換レゾルシノール及びビスフェノールAのうち少なくとも2種由来のR基の混合物を含む。
【0026】
本発明には、ジブロック、トリブロック及びマルチブロック・コポリエステルカーボネートが包含される。アリーレート鎖員を含むブロックと有機カーボネート鎖員を含むブロックとの間の化学結合は、代表的には、アリーレート部分のジフェノール残基と有機カーボネート部分の−(C=O)−O−部分との間のカーボネート結合であるが、エステル及び/又は無水物のような他のタイプの結合も可能である。上記ブロック間の代表的なカーボネート結合は式(VI)で示される。
【0027】
【化5】

ここで、R及びpは前記定義の通り。
【0028】
一実施形態では、コポリエステルカーボネートは実質的に、アリーレートブロックと有機カーボネートブロックとの間にカーボネート結合を有するジブロック共重合体からなる。別の実施形態では、コポリエステルカーボネートは実質的に、アリーレートブロックと有機カーボネート末端ブロックとの間にカーボネート結合を有するトリブロックカーボネート−エステル−カーボネート共重合体からなる。アリーレートブロックと有機カーボネートブロックとの間に1以上のカーボネート結合を有するコポリエステルカーボネートは、代表的には、1以上、しばしば2つのヒドロキシ末端位置を含む1,3−ジヒドロキシベンゼンアリーレート含有オリゴマー(以下、ヒドロキシ末端ポリエステル中間体と言うこともある)から製造される。
【0029】
別の実施形態では、コポリエステルカーボネートは、式(VII)で示されるように、複数のアリーレートブロックをカーボネート結合で連結した構成である。
【0030】
【化6】

式中のR、p及びnは前記定義の通り、アリーレート構造単位は式(I)について説明した通りである。式(VII)を含むコポリエステルカーボネートは、ヒドロキシ末端ポリエステル中間体をカーボネート前駆物質と、ヒドロキシ末端ポリエステル中間体とは異なるジヒドロキシ化合物の実質的不在下で、反応することにより得られる。別の実施形態では、コポリエステルカーボネートは、例えばここに示すような、異なる構造単位及び異なる立体構造を有するコポリエステルカーボネートの混合物を含むことができる。
【0031】
本発明に用いるのに適当なコポリエステルカーボネートにおいて、ブロックの分布は、カーボネートブロックに対してアリーレートブロックを所望の重量割合で含有する共重合体を与えるような分布とすることができる。コポリエステルカーボネートは、一実施形態では約5〜約99重量%のアリーレートブロック、別の実施形態では約20〜約98重量%のアリーレートブロック、別の実施形態では約40〜約98重量%のアリーレートブロック、別の実施形態では約60〜約98重量%のアリーレートブロック、他の実施形態では約80〜約96重量%のアリーレートブロック、さらに他の実施形態では約85〜約95重量%のアリーレートブロックを含む。
【0032】
コポリエステルカーボネートフィルムは、当技術分野で周知の添加剤のような他の成分を含むことができ、このような添加剤としては、特に限定されないが、安定剤、色安定剤、熱安定剤、光安定剤、補助UV遮断剤、補助UV吸収剤、難燃剤、滴下防止剤、流動助剤、可塑剤、エステル交換防止剤、帯電防止剤、離型剤、そして着色剤、例えば金属フレーク(フレーク)、ガラスフレーク及びビーズ、セラミック粒子、他のポリマー粒子、そして有機、無機もしくは有機金属とすることのできる染料及び顔料が挙げられる。特定の実施形態では、コポリエステルカーボネート含有層は実質的に透明である。
【0033】
コーティング層の厚さは、下側層の風雨からの保護、特に紫外線の作用からの保護を達成するのに十分であればよく、それは例えば光沢などの特性の保持や着色剤含有層における色安定性により測定される。コーティング層の厚さは、一実施形態では約2〜2500μmの範囲に、別の実施形態では約10〜250μmの範囲に、また別の実施形態では約50〜175μmの範囲にある。
【0034】
所望に応じて、上塗り層をコーティング層の上に設けて、例えば耐摩耗性もしくは耐引掻き性を付与することができる。特定の実施形態では、シリコーン上塗り層をコポリエステルカーボネート含有コーティング層の上に設ける。
【0035】
本発明の多層品集成材は、カーボネート構造単位を有するポリマーを含む第2層を備える。一実施形態では、第2層のポリマーは1種以上のホモポリカーボネートを含む。フィルム又はシートに加工することができれば、どのようなポリカーボネートでも適当である。種々の実施形態では、ポリカーボネートとしては、ブロックコポリエステルカーボネートのカーボネートブロックに用いるとして説明したすべての単量体から選択される単量体由来の構造単位を有するものが適当である。特定の実施形態では、ポリカーボネートフィルムはビスフェノールAのホモポリカーボネート又はコポリカーボネートを含む。別の特定の実施形態では、ポリカーボネートフィルムはビスフェノールAのホモポリカーボネートを含む。他の実施形態では、ポリカーボネートフィルムは、1種以上の第1ポリカーボネートと1種以上の他のポリマー樹脂とのブレンドを含む。他のポリマーの例には、特に限定されないが、上記の第1ポリカーボネートとは構造単位又は分子量又はその両方が異なる第2ポリカーボネート、又はポリエステル、又は追加のポリマー、例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体もしくはアクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体が挙げられる。
【0036】
第2層は当技術分野で周知の添加剤のような他の成分を含むことができ、このような添加剤としては、特に限定されないが、安定剤、色安定剤、熱安定剤、光安定剤、UV遮断剤、UV吸収剤、難燃剤、滴下防止剤、流動助剤、可塑剤、エステル交換防止剤、帯電防止剤、離型剤、充填剤、そして着色剤、例えば金属フレーク(フレーク)、ガラスフレーク及びビーズ、セラミック粒子、他のポリマー粒子、そして有機、無機もしくは有機金属とすることのできる染料及び顔料が挙げられる。特定の実施形態では、第2層はさらに1種以上の着色剤を含む。別の特定の実施形態では、第2層は、ビスフェノールAポリカーボネートと、染料、顔料、ガラスフレーク及び金属フレークからなる群から選択される1種以上の着色剤との両方を含む。特定の実施形態では、金属フレークがアルミニウムフレークを含む。別の特定の実施形態では、金属フレークが寸法約20〜70μmのアルミニウムフレークを含む。着色剤の別の例としては、特に限定されないが、Solvent Yellow93、Sovent Yellow163、Solvent Yellow114/Disperse Yellow54、Solvent Violet36、Solvent Violet13、Solvent Red195、Solvent Red179、Solvent Red135、Solvent Orange60、Solvent Green3、Solvent Blue97、Solvent Blue104、Solvent Blue104、Solvent Blue101、Macrolex YellowE2R、Disperse Yellow201、Disperse Red60、Diaresin Red K、Colorplast Red LB、Pigment Yellow183、Pigment Yellow138、Pigment Yellow110、Pigment Violet29、Pigment Red209、Pigment Red209、Pigment Red202、Pigment Red178、Pigment Red149、Pigment Red122、Pigment Orange68、Pigment Green7、Pigment Green36、Pigment Blue60、Pigment Blue15:4、Pigment Blue15:3、Pigment Yellow53、Pigment Yellow184、Pigment Yellow119、Pigment White6、Pigment Red101、Pigment Green50、Pigment Green17、Pigment Brown24、Pigment Blue29、Pigment Blue28、Pigment Black7、Lead Molybdates、Lead Chromates、Cerium Sulfides、Cadmium Sulfoselenide及びCadmium Sulfideが挙げられる。具体的な増量及び補強充填剤としては、特に限定されないが、シリカ、ケイ酸塩、ゼオライト、二酸化チタン、石粉、ガラス繊維又は球、炭素繊維、カーボンブラック、グラファイト、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、リトポン、酸化亜鉛、ケイ酸ジルコニウム、酸化鉄、珪藻土、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、粉砕石英、カ焼クレイ、タルク、カオリン、アスベスト、セルロース、木粉、コルク、木綿及び合成繊維が挙げられる。ガラス繊維、炭素繊維及び金属繊維のような補強充填剤が好ましい。
【0037】
第2層の厚さは、一実施形態では約2〜2500μmの範囲に、別の実施形態では約10〜1000μmの範囲に、また別の実施形態では約50〜600μmの範囲にある。所望に応じて、コポリエステルカーボネート含有コーティング層とカーボネート構造単位を含む第2層との間に接着層が存在してもよい。種々の実施形態では、この任意の接着層は、カーボネート構造単位を有するポリマーからなる表面又は層に接着する、当技術分野で周知の接着剤を含む。いくつかの実施形態では、この任意の接着層は透明であり、また別の実施形態では、この任意の接着層は第2層と同じ色である。
【0038】
種々の実施形態では、本発明の多層品集成材の接着層に用いるのに適当なポリウレタンは、カーボネート構造単位を有するポリマーからなる表面又は層に接着する、当技術分野で周知のものを含む。ポリウレタン接着剤は、多数の文献、例えば”Handbook of Adhesive Technology,” edited by A. Pizzi and K.L. Mittal, Marcel Dekker, Inc., pp. 405−429 及び”Handbook of Adhesives,” edited by Irving Skeist, Van Nostrand Reinhold, Third Edition (1990), pp. 359−380に記載されている。ポリウレタン接着剤は代表的には、複数の長いポリオール鎖をジイソシアネート及び連鎖延長剤(存在する場合)により形成される短いハードセグメントで互いに連結した構成である。ポリオール鎖は、低温可撓性と室温エラストマー弾性を付与するので、代表的にはソフトセグメントと称される。一般に、ソフトセグメントの濃度が高いほど、弾性率、引張強度及び硬度が低くなり、一方伸びが増加する。ある実施形態では、ポリウレタン接着剤用のポリオールは、以下の3つのカテゴリー:即ちポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリアルキレンポリオール(ポリブタジエン系ポリオールなどを含む)の1以上からのポリオール1種以上を含む。特定の実施形態では、ポリウレタン接着剤はポリエーテルポリオールを含む。別の特定の実施形態では、ポリウレタン接着剤は1種以上のポリエーテルポリオールと1種以上のポリエステルポリオールとの混合物を含む。別の特定の実施形態では、ポリオールはポリテトラメチレンエーテルグリコール又はヘキサメチレングリコールを含む。
【0039】
特定の実施形態では、適当なポリウレタン接着剤は、1液型又は2液型接着剤組成物を含む。特定の実施形態では、ポリウレタン接着剤としては、代表的には低当量イソシアネート又はイソシアネートプレポリマーと、これを硬化する1種以上の低当量ポリオール又はポリアミンとを含む2液型接着剤が適当である。ある実施形態では、2液型接着剤は、MDI(メチレンジフェニルジイソシアネート)由来の構造単位を有する第1成分と、アミン及びヒドロキシ含有化合物の混合物を含む第2成分とを含む。他の実施形態では、適当なポリウレタン接着剤は、メチレンビシクロヘキシルジイソシアネート由来の構造単位を有する成分1種以上を含む。2液型接着剤はさらに、1種以上の充填剤、例えば結晶質シリカ、即ち石英又はカーボンブラックを含むことができる。
【0040】
他の実施形態では、ポリウレタン接着剤は、ポリウレタン構造単位を有する共重合体を含む。特定の実施形態では、ポリウレタン接着剤は、熱可塑性ポリウレタンブロックを有するブロック共重合体を含む。別の特定の実施形態では、ポリウレタン接着剤は、熱可塑性ポリウレタンブロックと、アルケニル芳香族化合物由来の構造単位を有する1以上のブロックとを含むブロック共重合体を含む。種々の実施形態では、アルケニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−t−ブチルスチレン、3−t−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、芳香環上に1〜5個のハロゲン置換基を有するスチレンなど及びこれらの組合せが適当である。特定の実施形態では、適当なアルケニル芳香族化合物はスチレンである。別の特定の実施形態では、ポリウレタン接着剤は、熱可塑性ポリウレタンブロックと、スチレンブロック共重合体(HSBC)ブロックとを含むブロック共重合体を含む。HSBCブロックは、ブタジエン、イソプレンなどの1種以上のジエン由来の構造単位を有する水素添加スチレン−ジエンブロック共重合体とすることができる。このようなブロック共重合体の具体例には、クラレ(株)から商品名TU S5865にて入手できるものがある。
【0041】
他の実施形態では、適当なポリウレタン含有接着剤がフィルムもしくはシートの形態であり、それは実施形態によっては光学的に明澄もしくは透明でもよい。特定の実施形態では、適当なポリウレタン含有接着剤フィルムは熱可塑性脂肪族ポリウレタンフィルムである。種々の実施形態では、適当なポリウレタンフィルムは軟化点が、一実施形態では約70℃〜約200℃の範囲に、別の実施形態では約80℃〜約160℃の範囲にある。
【0042】
種々の実施形態では、ポリウレタン含有接着剤層の厚さは約8μm〜約2500μmの範囲にあり、別の実施形態では約25μm〜約2000μmの範囲に、別の実施形態では約50μm〜約1500μmの範囲に、他の実施形態では約100μm〜約1300μmの範囲に、さらに他の実施形態では約500μm〜約1300μmの範囲にあればよい。さらに他の実施形態では、ポリウレタン含有接着剤層の厚さは約10μm〜約650μmの範囲にあり、別の実施形態では約25μm〜約400μmの範囲に、さらに他の実施形態では約50μm〜約260μmの範囲にあればよい。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態では、ポリウレタン含有接着剤は硬化接着剤中に遊離アミンをほとんど又は全く含有しない。本発明は特定の作用理論に依存するものではないが、アミン基がポリカーボネート分子量減成の原因となり、ポリカーボネート含有多層品のいくつかの特性の劣化につながる可能性がある。場合によっては、ポリカーボネートの分子量減成は、温度−湿度サイクル試験後のようなある条件下での接着強度の低下をもたらすおそれがある。他の実施形態では、ポリウレタン含有接着剤はさらに当技術分野で周知の添加剤、例えば接着向上剤や粘着付与剤を含む。
【0044】
周知のように、キャップ層もしくはコーティング層と下側基板との熱膨張係数(CTE)の不一致は極めて大きな熱応力を誘起し、最終多層品に層剥離をもたらすおそれがある。種々の実施形態では、ポリウレタン含有接着剤層は、異なる熱膨張係数(CTE)を有する前記第2層及び基板層を含む多層品、例えば低CTEの基板上に高CTEの第2層を含む多層品への用途に合わせて配合を建てることができる。種々の実施形態では、ポリウレタン含有接着剤層は室温での弾性率が一実施形態では約10〜約10Paの範囲に、別の実施形態では約10〜約10Paの範囲にある。
【0045】
本発明の多層品集成材における基板層は、未硬化の熱硬化性樹脂又は未硬化の環状オリゴマーを含む。本発明の文脈において、未硬化の熱硬化性樹脂又は未硬化の環状オリゴマーは、少なくとも部分的に未硬化のものを包含する。未硬化又は硬化基板を含む多層品を最終の所望形態に加工できるならば、基板層の厚さは特に限定されない。基板層はさらに当技術分野で周知の添加剤を含むことができ、このような添加剤としては、特に限定されないが、着色剤、顔料、染料、耐衝撃性改良剤、安定剤、色安定剤、熱安定剤、光安定剤、UV遮断剤、UV吸収剤、難燃剤、滴下防止剤、充填剤、流動助剤、可塑剤、エステル交換防止剤、帯電防止剤及び離型剤が挙げられる。その他に、基板層は所望に応じて、未硬化基板層の硬化を容易にする硬化パッケージを含有してもよい。適当な硬化パッケージは当技術分野でよく知られており、未硬化基板材料の種類に応じて変えることができる。硬化パッケージは通常、硬化触媒、硬化剤及び開始剤の1種以上を含む。
【0046】
適当な未硬化熱硬化性樹脂基板としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ビスマレイミド樹脂、PMR樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾシクロブタン樹脂、ヒドロキシメチルフラン樹脂、イソシアネート樹脂が挙げられる。本発明の一実施形態では、熱硬化性ポリマー基板は反応射出成形(RIM)材料を含む。本発明の一実施形態では、熱硬化性ポリマー基板はさらに、1種以上の熱可塑性ポリマー、例えば、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミド又はポリエステルを含む。
【0047】
環状オリゴマーは当技術分野でよく知られており、Cyclics社(米国ニューヨーク州スケネクタデイ)などの供給元から入手できる。これらのオリゴマーは、ポリマー構造単位を環状配列に配置してなり、代表的には約2〜約20の範囲の重合度を有する。環状オリゴマーは、硬化時には、開環重合反応して熱可塑性基板を形成する。適当な未硬化環状オリゴマーとしては、特に限定されないが、環状ポリエステルオリゴマー、環状ポリ(ブチレンテレフタレート)オリゴマー、環状ポリ(エチレンテレフタレート)オリゴマー、環状ポリカーボネートオリゴマー、環状ビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、環状ポリエーテルイミドオリゴマーなどが挙げられる。
【0048】
本発明の一実施形態では、未硬化熱硬化性樹脂又は未硬化環状オリゴマー基板層には、1種以上の充填剤及び/又は着色剤も導入される。増量及び補強充填剤及び着色剤の具体例には、シリカ、ケイ酸塩、ゼオライト、二酸化チタン、石粉、ガラス繊維もしくは球、炭素繊維、カーボンブラック、グラファイト、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、リトポン、酸化亜鉛、ケイ酸ジルコニウム、酸化鉄、珪藻土、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、粉砕石英、カ焼クレイ、タルク、カオリン、アスベスト、セルロース、木粉、コルク、木綿及び合成繊維、特に補強充填剤、例えばガラス繊維、炭素繊維及び金属繊維があり、さらに着色剤として、例えば金属フレーク、ガラスフレーク及びビーズ、セラミック粒子、他のポリマー粒子、有機、無機又は有機金属いずれでもよい染料及び顔料などがある。ここでの文脈で、基板材料に含有される粉末もしくは繊維の形態の熱可塑性樹脂は充填剤とみなすこともできる。特定の実施形態では、本発明の基板は、シートモールディングコンパウンド(SMC)、ビニルエステルSMC、バルクモールディングコンパウンド(BMC)、シックモールディングコンパウンド(TMC)、構造的反応射出成形(SRIM)コンパウンド及びポリフェニレンエーテル含有アクリル酸エステル系熱硬化性樹脂からなる群から選択される充填剤配合基板層を含む。シートモールディングコンパウンド(SMC)は、通常、液状不飽和ポリエステル樹脂、低プロファイル熱可塑性樹脂、不活性充填剤、硬化助剤、ガラス短繊維補強材料を含む成形可能な複合材料である。本発明に用いるのに適当なガラス繊維補強熱硬化性樹脂基板としては、特に限定されないが、Ashland Specialty Chemical社(米国オハイオ州ダブリン)、GenCorp社(米国インディアナ州マリオン)、Rockwell International社(米国イリノイ州セントラリア)、Budd社(米国ミシガン州マディソンハイツ)及びEagle Picher Plastics社(米国インディアナ州グラビル)からの市販品がある。ここで用いるのに適当なSRIM基板には、Bayer社(米国ペンシルバニア州ピッツバーグ)からの市販品が挙げられる。ビニルエステルSMC基板としては、Dow社(米国ミシガン州ミッドランド)製造のものが代表的である。特定の実施形態では、適当なガラス繊維補強熱硬化性樹脂基板は、長繊維射出ポリウレタン(LFI−PU)フォームである。
【0049】
別の実施形態では、本発明は、上述した構成層を含む多層品を製造する方法を提供する。ある実施形態では、ブロックコポリエステルカーボネートを含むコーティング層及びカーボネート構造単位を有するポリマーを含む第2層を、少なくとも2層からなるコポリエステルカーボネート/カーボネート含有ポリマー予備集成材に形成する。このような予備集成材は、2つの材料のフィルム又はシートの共押出など公知の方法で製造できる。他の実施形態では、このような予備集成材を積層により、又は溶剤もしくは溶融コーティングにより製造できる。特定の実施形態では、コーティング層の第2層への設層を溶融プロセスにて行う。適当な設層方法には、コーティング層の別個のシートを作製し、次いで第2層に設層する方法や、両層を同時に作製する方法がある。したがって、具体的には成形、圧縮成形、熱成形、同時射出成形、共押出、重ね成形、多数ショット射出成形、シート成形、そしてコーティング層材料のフィルムを第2層の表面上に配置した後、代表的には射出成形機で、2つの層を接着する方法(例えば金型内デコレーション)などの方法を採用できる。これらの操作は当技術分野で周知の条件下で行うことができる。
【0050】
コーティング層及び第2層からなる予備集成材はこれらの層の厚さを合わせた厚さを有する。予備集成材の厚さは、一実施形態では約10μm〜約2500μmの範囲、別の実施形態では約10μm〜約1000μmの範囲、他の実施形態では約10μm〜約500μmの範囲、さらに他の実施形態では約10μm〜約250μmの範囲にある。
【0051】
ある実施形態では、ペースト又は低粘度液体の形態のポリウレタン含有接着剤層を、ローラ、ブラシ又はスプレーなど当技術分野で周知の方法で、基板に湿潤フィルム厚さ約0.2μm〜約1200μmにて塗工することができる。次に公知の方法、例えば圧縮成形の場合のように熱と圧力を用いる積層、又は他の形成方法、例えば真空成形又は油圧成形を用いて、コポリエステルカーボネート/カーボネート含有ポリマー予備集成材を基板層上の接着剤に隣接して形成することができる。或いは、第2層とコーティング層との予備集成材の形成前又は後に、ペースト又は低粘度液体の形態のポリウレタン含有接着剤層を、当技術分野で周知の方法で、前記第2層の少なくとも片面に塗工し、次いでこれらの合わせた層を基板層に隣接して形成し、結合することができる。或いは、前記第2層をポリウレタン接着剤を含む基板層に隣接して形成し、次いでコーティング層を第2層に隣接して形成することができる。接着層と基板の粘度比が接着層を基板層に(又はその逆)均一に塗工できないような値である場合には、基板材料及び接着層のいずれかを部分硬化することによって、粘度に適当な差を付けることができる。
【0052】
ポリウレタン含有接着剤が既にフィルム形状になっている場合には、多層品集成材は、コーティング層、第2層、接着層及び基板を含む種々の層を当技術分野で周知の方法で組み合わせることにより形成することができる。一実施形態では、コポリエステルカーボネート/カーボネート含有ポリマー予備集成材と別個の接着層とを公知の方法で基板層と組み合わせて多層品集成材を形成することができる。公知の方法としては、特に限定されないが、積層や圧縮成形が挙げられる。或いは、コポリエステルカーボネート/カーボネート含有ポリマー予備集成材を作製する工程(例えば共押出)後又は工程中に、接着層をコポリエステルカーボネート/カーボネート含有ポリマー予備集成材に隣接して形成し、予備集成材の一体部分とし、これをそのまま次に熱と圧力を用いる方法などの公知の方法で、基板層に隣接して形成することができる。或いは、例えば該当層を直接一緒に共押出することにより第2層を熱可塑性ポリウレタン接着剤フィルムに隣接して形成し、その後、特に限定されないが、押出被覆、積層及び圧縮成形などの公知の方法を用いてコポリエステルカーボネートコーティング層との予備集成材を形成することができる。次に前記予備集成材をそのまま公知の方法で基板層に隣接して形成することができる。コポリエステルカーボネート/カーボネート含有ポリマー予備集成材は所望に応じて、成形前に、熱成形して適当な形状の物品とすることができる。種々の実施形態では、ある層を別の層に隣接して形成する工程は、特に限定されないが、押出被覆、積層及び圧縮成形などの公知の方法で行うことができる。
【0053】
特定の実施形態では、最初に(i)1種以上の1,3−ジヒドロキシベンゼン及び1種以上の芳香族ジカルボン酸由来の構造単位を有するブロックコポリエステルカーボネートを含むコーティング層、(ii)カーボネート構造単位を有するポリマーを含む第2層、(iii)ポリウレタンを含む接着層、及び(iv)未硬化の熱硬化性樹脂又は未硬化の環状オリゴマーを含む基板層を含み、コーティング層が第2層と密着しており、接着層が第2層及び基板層と密着している、多層品集成材を製造する方法は、コーティング層、第2層、接着層及び基板を公知の方法で組み立てて集成材を形成する工程を含む。この後、基板材料を公知の方法で硬化する際の条件下に上記集成材を置く工程を含む方法で最終物品を製造する。実施形態によっては、基板材料を硬化できる条件は、集成材を熱に露呈することを含む。本発明の実施形態では、基板材料を硬化した後、多層品が示す90度剥離強さは、結合層なしで製造した同様の多層品に見られる値より大きい。他の実施形態では、多層品が基板材料の硬化後に700ニュートン/メートル(N/m)以上の90度剥離強さを示す。さらに他の実施形態では、多層品が基板材料の硬化後に1750N/m以上の90度剥離強さを示す。
【0054】
コーティング層、第2層及びポリウレタン含有接着剤層を含む構造体を基板層に適用することも本発明の範囲に包含される。これは公知の方法で達成でき、例えば一実施形態では、射出成形金型にコーティング層、第2層及びポリウレタン含有接着剤層を含む構造体を仕込み、その後未硬化の基板又は基板前駆物質を射出し、これと同時にもしくはその後、基板含有集成材を硬化して、最終多層品を形成する。この方法で、金型内デコレーションなどが可能である。一実施形態では、基板層の両側に他の層を設けることができ、一方別の実施形態では他の層を基板層の片側だけに設ける。
【0055】
特定の実施形態では、多層品集成材を製造する方法は、(a)コーティング層と第2層との予備集成材を製造し、(b)この予備集成材を別々の接着層及び基板層と組み合わせる工程を含む方法(i);(a)コーティング層と第2層との予備集成材を製造し、(b)基板層に隣接して接着層を形成し、(c)前記予備集成材を接着層/基板層組立体と組み合わせる工程を含む方法(ii)、並びに(a)コーティング層、第2層及び接着層の予備集成材を製造し、(b)この予備集成材を基板層に隣接して形成する工程を含む方法(iii)からなる群から選択される。
【0056】
基板材料の硬化後、本発明の種々の構成層を含む多層品は、代表的には、向上した初期光沢、向上した初期色、向上した耐紫外線性、光沢の維持、向上した衝撃強度、そして最終用途で出会う有機溶剤への抵抗性などの特性により実証されるように、耐候性に加えて基板層の普通の有益な特性をもつことで特徴付けられる。コーティング層/基板の組合せなどの要因に応じて、多層品はリサイクル性をもつこともあり、この場合、本発明の物品の製造に向けて基板として粉砕再生材料を使用することが可能になる。多層品はしばしば、層間のCTE不一致により誘引される低い内部熱応力を示す。多層品は優れた環境安定性、例えば熱安定性及び加水分解安定性を有することもある。
【0057】
基板材料の硬化後、本発明の種々の構成層を含む多層品は、OVAD用途用の物品;航空機、自動車、トラック、軍用車両(自動車、航空機、水上車両を含む)、スクータ、オートバイ用の外装又は内装部品、例えばパネル、クォーターパネル、ロッカーパネル、垂直パネル、水平パネル、トリム、ピラー、センターポスト、フェンダー、ドア、デッキリッド、トランクリッド、フード、ボンネット、ルーフ、バンパー、フェーシア、グリル、ミラーハウジウング、ピラーアップリケ、クラッディング、ボディ側部モールディング、ホイールカバー、ハブキャップ、ドアハンドル、スポイラー、ウィンドウフレーム、ヘッドランプベゼル、ヘッドランプ、テールランプ、テールランプハウジング、テールランプベゼル、ナンバープレートエンクロージャ、ルーフラック、ラニングボードなど;野外車両及び装置用のエンクロージャ、ハウジング、パネル又は部品;風力タービンブレード又はハウジング;電気又は遠隔通信装置用のエンクロージャ;屋外用家具;航空機部品;ボート及び海洋装置の部品(例えばトリム、エンクロージャ又はハウジング);船外モータハウジング;測深器ハウジング、個人向け船舶;ジェットスキー;プール;スパ;浴槽;ステップ;ステップカバー;建築又は土木用途品(例えば窓ガラス、ルーフ、窓、床、装飾窓仕上げ又は処理);写真、絵画、ポスター又はディスプレー品用の処理済みガラスカバー;光学レンズ;眼科レンズ;矯正用眼科レンズ;インプラント用眼科レンズ;壁パネル又はドア;カウンタートップ;保護グラフィック;屋外又は屋内サイン;現金自動支払機(ATM)用のエンクロージャ、ハウジング、パネル又は部品;芝生又は庭トラクター、芝刈り機、その他の工具(芝生又は庭工具)用のエンクロージャ、ハウジング、パネル又は部品;窓又はドアトリム;スポーツ用具又は玩具の部品;スノーモービル用のエンクロージャ、ハウジング、パネル又は部品;レクリエーション用車両(RV)パネル又は部品;遊具の部品;プラスチックと木を組合せた物品;ゴルフコースマーカー;ユーティリティピットカバー;コンピュータハウジング;デスクトップコンピュータハウジング;携帯コンピュータハウジング;ノート型コンピュータハウジング;手持ちコンピュータハウジング;モニターハウジング;プリンターハウジング;キーボード;ファックス機ハウジング;複写機ハウジング;電話機ハウジング;電話機ベゼル;携帯電話ハウジング;無線送信機ハウジング;無線受信機ハウジング;照明器具;照明用具;反射器;ネットワークインターフェース装置ハウジング、変圧器ハウジング;冷暖房機ハウジング;公共輸送用の仕上げ材又は座席;列車、地下鉄又はバス用の仕上げ材又は座席;メーターハウジング;アンテナハウジング;衛星受信アンテナ用の仕上げ材;個人保護具の被覆したヘルメットその他の部品;被覆した合成又は天然繊維;被覆した写真フィルム又は写真プリント;被覆した塗装物品;被覆した着色物品;被覆した蛍光物品又は被覆した発泡物品として、またその他の用途に有用である。本発明はさらに、上記物品に追加の二次加工操作、例えば、特に限定されないが、金型内デコレーション、塗料オーブンでの焼成、積層及び/又は熱成形などを加えることを想定している。
【実施例】
【0058】
これ以上説明しなくても、当業者であれば、上述した説明を読めば、本発明をその最大限まで利用することが可能である。以下の実施例は、本発明を実施する上での追加の指針を当業者に与える目的で提示される。これらの実施例は本発明の教示内容につながる実験研究の代表的なものにすぎない。したがって、これらの実施例は、特許請求の範囲に記載した本発明をいかなる意味でも限定するものではない。
【0059】
以下の実施例において、コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材は、コポリエステルカーボネートフィルムの層とポリカーボネートフィルムの層とから構成した。コポリエステルカーボネートフィルムは、非置換レゾルシノール、イソフタル酸及びテレフタル酸由来のアリーレート構造単位と、ビスフェノールA由来のカーボネート構造単位を有するコポリエステルカーボネートから構成した。ポリカーボネートフィルムは、ビスフェノールAポリカーボネートから構成した。略語PUはポリウレタンを意味し、TPUは熱可塑性ポリウレタンを意味する。略語SMCはシートモールディングコンパウンドを意味する。略度UPRは不飽和ポリエステル樹脂を意味する。
【0060】
略語TSNは熱硬化性樹脂NORYL(GEプラスチックス社から得られる材料)を意味する。TSNは、主成分量のポリフェニレンエーテル及び副成分量のビニル単量体組成物を種々の量の充填剤、添加剤及び硬化剤と共に含有する。ポリフェニレンエーテルは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)(PPE)又はポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−コ−2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル)であって、ポリフェニレンエーテルヒドロキシル基の5%超、さらに好ましくは50%超、最も好ましくは90%超が封鎖されているものが好ましい。封鎖基はアクリル、メタクリル又はアリル官能価を含むことができ、好ましくはメタクリル官能価を含むことができる。ポリフェニレンエーテルは、例えば内部繰り返し単位とアルケニルハライドもしくはアルケノイルハライドもしくは不飽和カルボン酸無水物(例えばアリルブロミド、メタクリル酸ハライド又はメタクリル酸無水物)との反応により、生成する内部オレフィン基を含有してもよい。このような反応は、アミンもしくはアルキルリチウム試薬のような塩基性試薬の存在下でも不在下でも起こりうる。ビニル単量体組成物は、スチレン、アクリル及びアリル単量体からなる群から選択される1種又は複数種の単量体、好ましくはこれらの単量体2種以上のブレンド、さらに好ましくはスチレン単量体とアクリル単量体のブレンド、最も好ましくはスチレンと多官能価アクリレートのブレンドを含む。TSNは0.5〜95重量%、好ましくは5〜60重量%、最も好ましくは10〜50重量%のポリフェニレンエーテルを含むことができる。TSNは95〜0.5重量%のビニル単量体組成物も含有することができる。このような組成物はさらに、他の開始剤、着色剤、充填剤(ポリマー状、有機又は無機)、添加剤、例えば離型剤、低プロファイル添加剤などを含有してもよい。炭酸カルシウムのような無機充填剤は多くの場合、TSN組成物に基づいて0〜250重量部のレベルで含有される。熱硬化性NORYL組成物に可能な種々の組合せが米国特許出願第20020028337号に記載されている。
【0061】
サンプルを幅2.5cmのストリップに切断し、Instron試験機(モデル4505)を用いる90度剥離試験により、クロスヘッド分離速度2.5cm/minにて、ポリウレタン接着結合の剥離抵抗について試験した。この接着試験法は当業者に周知であり、米国特許第3965057等などの文献に概略が記載されている。この試験法での試験機は、一連の可動ローラもしくはサポートからなり、試験片をその全長(切れ込み無し)に沿って一定の90度の角度で剥離することができる。装置は一連の5本の1.3cmローラからなり、これらローラを2つの側部サポートと1つのベースプレートに適当な幾何形状にて固定した。2つの下側ローラは調節可能で、装置が厚さの異なる試験片に対応できるようになっている。適当な頂部クランプを使用してプラスチック層を固定した。試験片は長さ15.2cm、幅2.5cmであった。試験片の一部が非結合状態に留まるように工夫した。各接着サンプルについて3個以上の試験片を試験した。実際の試験手順では、試験中に剥がれたプラスチック層が試験片と90度の角度をなすような位置にて、把持具を試験装置の可動ヘッドに取り付けた。試験片を把持具に配置し、自由なスキンをしっかりクランプした。次にクランプを試験装置の頂部ヘッドにピン止めした。次に、試験片に荷重をかけない状態で、秤量装置をゼロにバランスした。剥離距離10cm以上について、剥離荷重対ヘッドの移動を自動記録するように工夫した。最初の2.5cmの剥離を無視し、プラスチック層を剥離するのに要した荷重を自動記録曲線から求めた。次に剥離強さPを次の通り計算した。
【0062】
P=剥離荷重(N)/試験片の幅(m)。
【0063】
実施例1
コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材をUPR SMC上にTPU結合層を介して圧縮成形することにより積層体を製造した。本例ではUPR SMC(グレードMC−001669 SLI−269、Meridian Auto Systems社(米国ミシシッピー州ディアボーン)製)を使用した。Adhesive Films社(米国ニュージャージー州パインブルック)から厚さ0.13mmのTPUフィルム(グレードUAF420)を入手した。コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材は、厚さ0.254mmの透明なコポリエステルカーボネートフィルムを厚さ0.5mmの顔料添加ポリカーボネート層と共押出することにより製造した。コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材を約600gのSMC装入材料の上に置き、結合層フィルムをSMCとコポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材のポリカーボネート側との間に配置した。集成材全体を、30.5cmx30.5cmプラック金型を設けた圧縮成形プレスに配置した。これを真空下両側から121℃に圧力13.8MPaにて8分間加熱して、SMCの完全硬化を達成した。次に成形した物品を室温まで空気冷却した。コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材のSMCへの接着は優良と認められた。90度剥離強さは4746N/mであった。破壊モードはSMC基板の凝集破壊であった。
【0064】
実施例2
コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材をUPR SMC上にTPU結合層を介して圧縮成形することにより積層体を製造した。本例ではクラスAのUPR SMC(Jet Moulding Compounds社(カナダ国オンタリオ州アジャックス)製)を使用した。実施例1と同様のコポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材を約600gのUPR SMC装入材料の上に置き、実施例1と同様の結合層フィルムをSMCとコポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材のポリカーボネート側との間に配置した。集成材全体を、直径15cmプラック金型を設けた圧縮成形プレスに配置した。これを両側から121℃に圧力8.27MPaにて8分間加熱して、SMCの完全硬化を達成した。次に最小圧力にてコールドプレスを用いて、成形した物品を室温まで冷却した。コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材のSMCへの接着は優良と認められた。90度剥離強さは5079N/mであった。破壊モードはSMC基板の凝集破壊であった。
【0065】
実施例3
接着環境安定性試験を行った。SMC多層構造体を実施例1と同様に製造し、様々な温度・湿度条件下でのフルサイクル亀裂抵抗試験を行った。1フルサイクルは、サンプルを順次84℃に24時間、38℃及び相対湿度98%に16時間、−29℃に6時間、23℃に2時間保持することからなる。各サンプルを15サイクル試験した。すべてのサンプルをフルサイクル亀裂抵抗試験後に視覚検査し、目に見える層剥離も他のフィルムに関連した破壊もないことを確かめた。処理したサンプルを次に切断して2.5cmx20cm試験片とし、クロスヘッド分離速度2.5cm/minにて90度剥離試験を行った。測定された剥離強さは4413N/mであった。破壊モードはSMC基板の凝集破壊であった。結果から、未硬化SMC上のTPU結合層によりコポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材に対してなされた、硬化後の接着は、フルサイクル亀裂試験実施後に接着強度が優良なままであるので、環境に対して安定であることが分かった。
【0066】
実施例4〜11
ポリカーボネート(PC)フィルムを長繊維射出ポリウレタン(LFI−PU)フォーム(発泡品)上に配置した多層品を製造した。TPUフィルム(グレードUAF及びTAF)はAdhesive Films社(米国ニュージャージー州パインブルック)から入手し、Bemis TPUフィルム(グレード3410)をBemis社(米国ミネソタ州ミネアポリス)から入手した。ロールラミネータを用いて、PCフィルムと接着層とを積層して予備集成材を形成した。接着フィルムとPCとの積層はニップ点で起こった。積層に必要な熱は加熱ロールから供給するか、赤外線を用いて表面を予熱することにより供給した。成形実験を行って種々の結合層の高密度(HD)及び低密度(LD)PUフォームへの接着を評価した。すべての場合に、PC−結合層予備集成材を金型キャビティに入れた。イソシアネート及びポリオールを含む液体流れを高圧にて混合ヘッドを通して計量し、金型キャビティにガラスチョップトストランドとともに供給した。PUフォーム処方はすべてチョップトガラス(平均長さ約25mm)及び内添離型剤を含有した。PUフォームは金型内で発熱反応にて硬化した。この処方に水を添加すると、二酸化炭素ガスが発生し、発泡生成物となる。表1にまとめたように、種々のTPUフィルムで、PCフィルムの硬化PUフォームへの良好な接着が達成され、90度剥離強さ値が自動車用途に必要な代表的な値を十分に上回った。ほとんどの場合に、剥離破壊モードはPUフォーム基板の凝集破壊であった。
【0067】
【表1】

実施例12〜19
接着環境安定性試験を行った。LFI−PU多層構造体を実施例4〜11と同様に製造し、実施例3に記載した通りの様々な温度・湿度条件下でのフルサイクル亀裂抵抗試験を行った。すべてのサンプルをフルサイクル亀裂抵抗試験後に視覚検査し、目に見える層剥離も他のフィルムに関連した破壊もないことを確かめた。処理したサンプルを次に切断して2.5cmx20cm試験片とし、クロスヘッド分離速度2.5cm/minにて90度剥離試験を行った。測定された剥離強さを表2に示す。結果から、TPU結合層によりLFI−PUフォーム上のPCフィルムに対してなされた接着は、フルサイクル亀裂抵抗試験実施後に接着強度が優良なままであるので、環境に対して安定であることが分かった。
【0068】
【表2】

比較例1
ポリカーボネートフィルム及びHD又はLDいずれかのLFI−PU基板を含む多層品を、結合層を用いない以外は、実施例4〜11と同様に製造した。ポリカーボネートフィルムのいずれのPUフォームへの接着も貧弱であることが認められ、また成形部品に層剥離が起こった。90度剥離試験では、ポリカーボネートフィルムのPUフォームへの接着が約350N/mしかないことが分かった。
【0069】
実施例20
コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材を環状ポリ(1,4−ブタジエンテレフタレート)上にTPU結合層を介して圧縮成形することにより積層体を製造する。Adhesive Films社(米国ニュージャージー州パインブルック)からTPUフィルム(グレードUAF420)を入手する。コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材は、厚さ0.254mmの透明なコポリエステルカーボネートフィルムを厚さ0.5mmの顔料添加ポリカーボネート層と共押出することにより製造する。コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材を環状ポリエステル及び所望に応じて硬化触媒を含む装入材料の上に置き、結合層フィルムを環状ポリエステルとコポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材のポリカーボネート側との間に配置する。集成材全体を、プラック金型を設けた圧縮成形プレスに配置する。これを加圧下、両側から適当な温度に、環状ポリエステルの完全硬化を達成するのに十分な時間加熱する。次に成形した物品を室温まで空気冷却する。コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材の硬化した環状ポリエステルへの接着は、90度剥離試験で測定して、結合層なしで作製した対応する比較物品の接着より高いことが認められる。
【0070】
実施例21
コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材を環状ビスフェノールAポリカーボネート上にTPU結合層を介して圧縮成形することにより積層体を製造する。Adhesive Films社(米国ニュージャージー州パインブルック)からTPUフィルム(グレードUAF420)を入手する。コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材は、厚さ0.254mmの透明なコポリエステルカーボネートフィルムを厚さ0.5mmの顔料添加ポリカーボネート層と共押出することにより製造する。コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材を環状ポリカーボネート及び所望に応じて硬化触媒を含む装入材料の上に置き、結合層フィルムを環状ポリカーボネート装入材料とコポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材のポリカーボネート側との間に配置する。集成材全体を、プラック金型を設けた圧縮成形プレスに配置する。これを加圧下、両側から適当な温度に、環状ポリカーボネートの完全硬化を達成するのに十分な時間加熱する。次に成形した物品を室温まで空気冷却する。コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材の硬化した環状ポリカーボネートへの接着は、90度剥離試験で測定して、結合層なしで作製した対応する比較物品の接着より高いことが認められる。
【0071】
実施例22
コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材をTSN上にTPU結合層を介して圧縮成形することにより積層体を製造する。Adhesive Films社(米国ニュージャージー州パインブルック)からTPUフィルム(グレードUAF420)を入手する。コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材は、厚さ0.254mmの透明なコポリエステルカーボネートフィルムを厚さ0.5mmの顔料添加ポリカーボネート層と共押出することにより製造する。コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材をTSN及び所望に応じて硬化触媒を含む装入材料の上に置き、結合層フィルムをTSN装入材料とコポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材のポリカーボネート側との間に配置する。集成材全体を、プラック金型を設けた圧縮成形プレスに配置する。これを加圧下、両側から適当な温度に、TSNの完全硬化を達成するのに十分な時間加熱する。次に成形した物品を室温まで空気冷却する。コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材の硬化したTSNへの接着は、90度剥離試験で測定して、結合層なしで作製した対応する比較物品の接着より高いことが認められる。
【0072】
実施例23
コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材をエポキシ樹脂上にTPU結合層を介して圧縮成形することにより積層体を製造する。Adhesive Films社(米国ニュージャージー州パインブルック)からTPUフィルム(グレードUAF420)を入手する。コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材は、厚さ0.254mmの透明なコポリエステルカーボネートフィルムを厚さ0.5mmの顔料添加ポリカーボネート層と共押出することにより製造する。コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材をビスフェノールA由来の構造単位を有するエポキシ樹脂及び所望に応じて硬化触媒を含む装入材料の上に置き、結合層フィルムをエポキシ樹脂装入材料とコポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材のポリカーボネート側との間に配置する。集成材全体を、プラック金型を設けた圧縮成形プレスに配置する。これを加圧下、両側から適当な温度に、エポキシ樹脂の完全硬化を達成するのに十分な時間加熱する。次に成形した物品を室温まで空気冷却する。コポリエステルカーボネート−ポリカーボネートフィルム予備集成材の硬化したエポキシ樹脂への接着は、90度剥離試験で測定して、結合層なしで作製した対応する比較物品の接着より高いことが認められる。
【0073】
以上、本発明を代表的な実施形態について説明したが、これらは本発明をその細部に限定するものではない。本発明の要旨から逸脱することなく、種々の変更及び置き換えが可能である。従って、ここに説明した本発明のさらなる変更や等価物が、普通の実験だけで当業者に想起できるであろう。これらの変更や等価物もすべて本発明の要旨の範囲内に入ると考えられる。ここに引用したすべての特許及び刊行物は本明細書に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層品集成材であって、(i)1種以上の1,3−ジヒドロキシベンゼン及び1種以上の芳香族ジカルボン酸由来の構造単位を有するブロックコポリエステルカーボネートを含むコーティング層、(ii)カーボネート構造単位を有するポリマーを含む第2層、(iii)ポリウレタンを含む接着層、及び(iv)未硬化の熱硬化性樹脂又は未硬化の環状オリゴマーからなる基板層を含み、コーティング層が第2層と密着しており、接着層が第2層及び基板層と密着している、集成材。
【請求項2】
前記コーティング層が、非置換レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の1,3−ジヒドロキシベンゼンを含む、請求項1記載の集成材。
【請求項3】
前記1,3−ジヒドロキシベンゼンが非置換レゾルシノールである、請求項2記載の集成材。
【請求項4】
前記芳香族ジカルボン酸が、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載の集成材。
【請求項5】
前記芳香族ジカルボン酸が、イソフタル酸とテレフタル酸の混合物である、請求項4記載の集成材。
【請求項6】
イソフタル酸由来の構造単位とテレフタル酸由来の構造単位との比が約0.25〜4.0:1である、請求項5記載の集成材。
【請求項7】
イソフタル酸由来の構造単位とテレフタル酸由来の構造単位との比が約0.40〜2.5:1である、請求項5記載の集成材。
【請求項8】
前記コポリエステルカーボネートが約10〜約99重量%のアリーレートブロックを含む、請求項1記載の集成材。
【請求項9】
前記コポリエステルカーボネートが約60〜約98重量%のアリーレートブロックを含む、請求項1記載の集成材。
【請求項10】
前記コポリエステルカーボネートのカーボネート部分がビスフェノールA由来の構造単位を含む、請求項1記載の集成材。
【請求項11】
前記第2層がビスフェノールAポリカーボネートを含む、請求項1記載の集成材。
【請求項12】
前記第2層がさらに、染料、顔料、金属フレーク及びガラスフレークからなる群から選択される1種以上の着色剤を含む、請求項1記載の集成材。
【請求項13】
前記接着層が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ヘキサメチレングリコール及びポリブタジエン系ポリオールからなる群から選択される1種以上のポリオール由来の構造単位を有する1種以上のポリウレタンを含む、請求項1記載の集成材。
【請求項14】
前記ポリウレタンがメチレンジフェニルジイソシアネート又はメチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート由来の構造単位を含む、請求項13記載の集成材。
【請求項15】
前記ポリウレタンが脂肪族ポリウレタンフィルムを含む、請求項1記載の集成材。
【請求項16】
前記接着層が、熱可塑性ポリウレタンブロックと、スチレン由来の構造単位を含む1以上のブロックとを含むブロック共重合体を含む、請求項1記載の集成材。
【請求項17】
前記スチレン由来の構造単位を含むブロックが水素添加スチレン−ジエンブロックを含む、請求項16記載の集成材。
【請求項18】
前記基板層が、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ビスマレイミド樹脂、PMR樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾシクロブタン樹脂、ヒドロキシメチルフラン樹脂、イソシアネート樹脂、環状ポリエステルオリゴマー、環状ポリ(ブチレンテレフタレート)オリゴマー、環状ポリ(エチレンテレフタレート)オリゴマー、環状ポリカーボネートオリゴマー、環状ビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー及び環状ポリエーテルイミドオリゴマーからなる群から選択される1種以上の材料を含む、請求項1記載の集成材。
【請求項19】
前記基板層がさらに、ガラス繊維、炭素繊維、1種以上の熱可塑性樹脂及びこれらの混合物からなる群から選択される充填剤を含む、請求項18記載の集成材。
【請求項20】
前記基板層が、反応射出成形(RIM)コンパウンド、長繊維射出ポリウレタン(LFI−PU)フォーム、シートモールディングコンパウンド(SMC)、バルクモールディングコンパウンド(BMC)、シックモールディングコンパウンド(TMC)、環状ポリ(ブチレンテレフタレート)オリゴマー、環状ビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー及びポリフェニレンエーテル含有アクリル酸エステル系熱硬化性樹脂からなる群から選択される充填剤配合材料を含む、請求項1記載の集成材。
【請求項21】
前記多層品が基板材料の硬化後に700N/m以上の90度剥離強さを示す、請求項1記載の集成材。
【請求項22】
前記多層品が基板材料の硬化後に1750N/m以上の90度剥離強さを示す、請求項21記載の集成材。
【請求項23】
層厚が、コーティング層約2〜2500μm、第2層約2〜2500μm、接着層約8〜2500μmである、請求項1記載の集成材。
【請求項24】
前記基板層の硬化後に、OVAD装置;航空機、自動車、トラック、軍用車両、軍用自動車、軍用航空機、軍用水上車両、スクータ、オートバイ用の、パネル、クォーターパネル、ロッカーパネル、垂直パネル、水平パネル、トリム、ピラー、センターポスト、フェンダー、ドア、デッキリッド、トランクリッド、フード、ボンネット、ルーフ、バンパー、フェーシア、グリル、ミラーハウジウング、ピラーアップリケ、クラッディング、ボディ側部モールディング、ホイールカバー、ハブキャップ、ドアハンドル、スポイラー、ウィンドウフレーム、ヘッドランプベゼル、ヘッドランプ、テールランプ、テールランプハウジング、テールランプベゼル、ナンバープレートエンクロージャ、ルーフラック、ラニングボードを始めとする外装又は内装部品;野外車両及び装置用のエンクロージャ、ハウジング、パネル又は部品;風力タービンブレード又はハウジング;電気又は遠隔通信装置用のエンクロージャ;屋外用家具;航空機部品;ボート用の外装又は内装部品又は海洋装置のトリム、エンクロージャ又はハウジングを始めとする部品;船外モータハウジング;測深器ハウジング、個人向け船舶;ジェットスキー;プール;スパ;浴槽;ステップ;ステップカバー;窓ガラス、ルーフ、窓、床、装飾窓仕上げ又は処理を始めとする建築又は土木用途品;写真、絵画、ポスター又はディスプレー品用の処理済みガラスカバー;光学レンズ;眼科レンズ;矯正用眼科レンズ;インプラント用眼科レンズ;壁パネル又はドア;カウンタートップ;保護グラフィック;屋外又は屋内サイン;現金自動支払機(ATM)用のエンクロージャ、ハウジング、パネル又は部品;芝生又は庭トラクター、芝刈り機、芝生又は庭工具用のエンクロージャ、ハウジング、パネル又は部品;窓又はドアトリム;スポーツ用具又は玩具の部品;スノーモービル用のエンクロージャ、ハウジング、パネル又は部品;レクリエーション用車両(RV)パネル又は部品;遊具の部品;プラスチックと木を組合せた物品;ゴルフコースマーカー;ユーティリティピットカバー;コンピュータハウジング;デスクトップコンピュータハウジング;携帯コンピュータハウジング;ノート型コンピュータハウジング;手持ちコンピュータハウジング;モニターハウジング;プリンターハウジング;キーボード;ファックス機ハウジング;複写機ハウジング;電話機ハウジング;電話機ベゼル;携帯電話ハウジング;無線送信機ハウジング;無線受信機ハウジング;照明器具;照明用具;反射器;ネットワークインターフェース装置ハウジング、変圧器ハウジング;冷暖房機ハウジング;公共輸送用の仕上げ材又は座席;列車、地下鉄又はバス用の仕上げ材又は座席;メーターハウジング;アンテナハウジング;衛星受信アンテナ用の仕上げ材;個人保護具の被覆したヘルメットその他の部品;被覆した合成又は天然繊維;被覆した写真フィルム又は写真プリント;被覆した塗装物品;被覆した着色物品;被覆した蛍光物品又は被覆した発泡物品である、請求項1記載の集成材。
【請求項25】
(i)非置換レゾルシノール、イソフタル酸とテレフタル酸の混合物及びビスフェノールA由来の構造単位を有するブロックコポリエステルカーボネートを含むコーティング層、(ii)所望に応じて1種以上の着色剤を含む、ビスフェノールAポリカーボネートを含む第2層、(iii)ポリウレタン、脂肪族ポリウレタンフィルム及び熱可塑性ポリウレタンブロック及びスチレン由来の構造単位を有するブロック1以上を含むブロック共重合体からなる群から選択される接着層、及び(iv)未硬化の熱硬化性樹脂及び未硬化の環状オリゴマーからなる群から選択される基板層を含み、
コーティング層が第2層と密着しており、接着層が第2層及び基板層と密着しており、
基板材料の硬化後に700N/m以上の90度剥離強さを示す、
多層品集成材。
【請求項26】
(i)1種以上の1,3−ジヒドロキシベンゼン及び1種以上の芳香族ジカルボン酸由来の構造単位を有するブロックコポリエステルカーボネートを含むコーティング層、(ii)カーボネート構造単位を有するポリマーを含む第2層、(iii)ポリウレタンを含む接着層、及び(iv)未硬化熱硬化性樹脂又は未硬化環状オリゴマーからなる基板層を含み、コーティング層が第2層と密着しており、接着層が第2層及び基板層と密着している、多層品集成材を製造する方法であって、
(a)コーティング層と第2層との予備集成材を製造し、(b)この予備集成材を別々の接着層及び基板層と組み合わせる工程を含む方法(i);(a)コーティング層と第2層との予備集成材を製造し、(b)基板層に隣接して接着層を形成し、(c)前記予備集成材を接着層/基板層組立体と組み合わせる工程を含む方法(ii)、並びに(a)コーティング層、第2層及び接着層の予備集成材を製造し、(b)この予備集成材を基板層に隣接して形成する工程を含む方法(iii)からなる群から選択される、
多層品集成材の製造方法。
【請求項27】
コーティング層と第2層との予備集成材を共押出により形成する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記予備集成材を接着層に隣接して形成する工程を、押出被覆、積層又は圧縮成形により行う、請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記コーティング層が、非置換レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の1,3−ジヒドロキシベンゼンを含む、請求項26記載の方法。
【請求項30】
前記1,3−ジヒドロキシベンゼンが非置換レゾルシノールである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記芳香族ジカルボン酸がイソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項26記載の方法。
【請求項32】
前記芳香族ジカルボン酸がイソフタル酸とテレフタル酸の混合物である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
イソフタル酸由来の構造単位とテレフタル酸由来の構造単位との比が約0.25〜4.0:1である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
イソフタル酸由来の構造単位とテレフタル酸由来の構造単位との比が約0.40〜2.5:1である、請求項32記載の方法。
【請求項35】
前記コポリエステルカーボネートが約10〜約99重量%のアリーレートブロックを含む、請求項26記載の方法。
【請求項36】
前記コポリエステルカーボネートが約60〜約98重量%のアリーレートブロックを含む、請求項26記載の方法。
【請求項37】
前記コポリエステルカーボネートのカーボネート部分がビスフェノールA由来の構造単位を含む、請求項26記載の方法。
【請求項38】
前記第2層がビスフェノールAポリカーボネートを含む、請求項26記載の方法。
【請求項39】
前記第2層がさらに、染料、顔料、金属フレーク及びガラスフレークからなる群から選択される1種以上の着色剤を含む、請求項26記載の方法。
【請求項40】
前記接着層が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ヘキサメチレングリコール及びポリブタジエン系ポリオールからなる群から選択される1種以上のポリオール由来の構造単位を有する1種以上のポリウレタンを含む、請求項26記載の方法。
【請求項41】
前記ポリウレタンがメチレンジフェニルジイソシアネート又はメチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート由来の構造単位を含む、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記ポリウレタンが脂肪族ポリウレタンフィルムを含む、請求項26記載の方法。
【請求項43】
前記接着層が、熱可塑性ポリウレタンブロックと、スチレン由来の構造単位を含む1以上のブロックとを含むブロック共重合体を含む、請求項26記載の方法。
【請求項44】
前記スチレン由来の構造単位を含むブロックが水素添加スチレン−ジエンブロックを含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記基板層が、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ビスマレイミド樹脂、PMR樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾシクロブタン樹脂、ヒドロキシメチルフラン樹脂、イソシアネート樹脂、環状ポリエステルオリゴマー、環状ポリ(ブチレンテレフタレート)オリゴマー、環状ポリ(エチレンテレフタレート)オリゴマー、環状ポリカーボネートオリゴマー、環状ビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー及び環状ポリエーテルイミドオリゴマーからなる群から選択される1種以上の材料を含む、請求項26記載の方法。
【請求項46】
前記基板層がさらに、ガラス繊維、炭素繊維、1種以上の熱可塑性樹脂及びこれらの混合物からなる群から選択される充填剤を含む、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記基板層が、シートモールディングコンパウンド(SMC)、バルクモールディングコンパウンド(BMC)、シックモールディングコンパウンド(TMC)、環状ポリ(ブチレンテレフタレート)オリゴマー、環状ビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー及びポリフェニレンエーテル含有アクリル酸エステル系熱硬化性樹脂からなる群から選択される充填剤配合材料を含む、請求項26記載の方法。
【請求項48】
前記多層品が基板材料の硬化後に700N/m以上の90度剥離強さを示す、請求項26記載の方法。
【請求項49】
前記多層品が基板材料の硬化後に1750N/m以上の90度剥離強さを示す、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記層の厚さが、コーティング層約2〜2500μm、第2層約2〜2500μm、接着層約8〜2500μmである、請求項26記載の方法。
【請求項51】
さらに、基板材料を硬化する工程を含む、請求項26記載の方法。
【請求項52】
(i)非置換レゾルシノール、イソフタル酸とテレフタル酸の混合物及びビスフェノールA由来の構造単位を有するブロックコポリエステルカーボネートを含むコーティング層、(ii)所望に応じて1種以上の着色剤を含む、ビスフェノールAポリカーボネートを含む第2層、(iii)ポリウレタン、脂肪族ポリウレタンフィルム及び熱可塑性ポリウレタンブロック及びスチレン由来の構造単位を有するブロック1以上を含むブロック共重合体からなる群から選択される接着層、及び(iv)未硬化の熱硬化性樹脂及び未硬化の環状オリゴマーからなる群から選択される基板層を含み、コーティング層が第2層と密着しており、接着層が第2層及び基板層と密着しており、基板材料の硬化後に700N/m以上の90度剥離強さを示す、多層品集成材を製造する方法であって、
(a)コーティング層と第2層との予備集成材を製造し、(b)この予備集成材を別々の接着層及び基板層と組み合わせる工程を含む方法(i);(a)コーティング層と第2層との予備集成材を製造し、(b)基板層に隣接して接着層を形成し、(c)前記予備集成材を接着層/基板層組立体と組み合わせる工程を含む方法(ii)、並びに(a)コーティング層、第2層及び接着層の予備集成材を製造し、(b)この予備集成材を基板層に隣接して形成する工程を含む方法(iii)からなる群から選択される、
多層品集成材の製造方法。
【請求項53】
さらに、基板材料を硬化する工程を含む、請求項52記載の方法。

【公表番号】特表2007−522961(P2007−522961A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551101(P2006−551101)
【出願日】平成17年1月4日(2005.1.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/000093
【国際公開番号】WO2005/072959
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】