説明

耐火断熱被覆材

【課題】発泡ウレタンの優れた断熱性を損なうことなく、充分な防・耐火性を持ち、天井、壁、鉄骨等構造物を火炎から長時間にわたって保護できる耐火断熱被覆材を提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも、有機イソシアネート、ポリオール、水、ウレタン化触媒、難燃剤、整泡剤および発泡剤を用いてなるポリウレタン発泡体であって、該ウレタン発泡体組成物に黒曜石粉末および膨張性黒鉛を、活性水素含有化合物に対して、重量比で40PHR以上望ましくは60PHR以上であり1500PHR以下、含有してなる耐火断熱被覆材である。かかる耐火断熱被覆材は、ポリウレタン発泡体を用いたものであるから、現場での発泡のしやすさや、優れた断熱性を有すると共に、難燃材により難燃性化したり、黒曜石粉末及び膨張性黒鉛が膨張して耐火断熱殻が形成され、充分な難燃耐火性能を発揮することとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の天井、壁、床や家具、建具、車両などの芯材として、断熱などの目的で利用されている硬質、軟質のポリウレタン発泡体からなる耐火断熱被覆材に関する。
【背景技術】
【0002】
近来の建物は建具等の性能向上により気密性が高まり、外気温との差異により生じる結露防止や省エネの観点から、様々な断熱、結露防止材が開発され利用されてきた。なかでもポリウレタン発泡体はこれらの性能が顕著であるばかりか、軽量、接着性、コストなどにも優れていたために多用されているが、一方化石系原料であることから耐火性は非常に劣り、しばしば火災による被害拡大の原因となることから、この対策が建築業界では長年の懸案となっていた。
【0003】
この問題解決のために各種の断熱建材の研究開発がなされ、ポリウレタン発泡体の代替となる材料としてはアスベスト、グラスウール、ロックウール、ケイ酸カルシウム板、岩綿吸音板あるいは耐火塗料などであるが、アスベストは強度の発がん性が知られており、施工性を含めた総合的性能はいずれもポリウレタン発泡体を凌ぐものではなく、このためポリウレタン発泡体の防・耐火性の改良のための研究開発が様々になされていた。
【0004】
この対策として過去には、ポリウレタン発泡体に難燃剤等を混合し難燃化したり、膨張性黒鉛を使用したりして、防火性を持たせる方法等が提案されている(特許文献1、特許文献2)。しかしこれらの方法は、燃焼時の形状保持性が良くないため、この欠点を改良する方法として硼酸や、燐酸アンモニウムを使用する方法が開示されている(特許文献3)。また、より高い耐火性と発煙量の少ない組成物にするには、無機系添加剤等の添加量を増やす必要がある。しかし、これらの方法では、十分な耐火性や低発煙量の組成物にすることが出来ずにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2732435号公報
【特許文献2】特開2001−348487号公報
【特許文献3】特開2002−3713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は発泡ウレタンの優れた断熱性を損なうことなく、充分な防・耐火性を持ち、天井、壁、鉄骨等構造物を火炎から長時間にわたって保護できる耐火断熱被覆材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の耐火断熱被覆材は、少なくとも有機イソシアネート、活性水素含有化合物、水、ウレタン化触媒、難燃剤及び整泡剤を用いてなるポリウレタン発泡体であって、加熱発泡させていない黒曜石粉末および膨張性黒鉛を、活性水素含有化合物に対して、重量比で40PHR以上(望ましくは60PHR以上)で、1500PHR以下、含有してなるものである。
【0008】
本発明者らは、有機イソシアネート、活性水素含有化合物、ウレタン化触媒、難燃剤、及び整泡剤を用いてなるポリウレタン発泡体にあって、黒曜石粉末および膨張性黒鉛を活性水素含有化合物に対して、重量比で40PHR以上で、1500PHR以下、配合することによって、さらに必要に応じ、硼砂、硼酸、(ポリ)燐酸アンモニウム、セピオライト、カオリン、クレー、超微粉粒子状無水シリカ、ホワイトカーボン等を加えることにより、従来のポリウレタン発泡体の持つ断熱性を保持しながら充分な防・耐火性性能を付与できる耐火断熱被覆材を提供され得ることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明においては水、ウレタン化触媒と有機イソシアネートと反応しうる活性水素含有基を2以上有する活性水素含有化合物成分(ポリオール)を含む第一液と、有機イソシアネート成分を含む第二液のポリウレタン発泡体形成組成物からなり、第一液及び/又は第二液に、加熱発泡させていない黒曜石粉末、膨張性黒鉛を一定量以上含み、難燃剤、整泡剤、発泡剤等さらに必要に応じ、硼砂、硼酸、(ポリ)燐酸アンモニウム、セピオライト、カオリン、クレー、超微粉粒子状無水シリカ、ホワイトカーボンから選ばれた1種または2種以上を配合したことを特徴とする耐火断熱被覆材(発泡性耐火化合物)を提供するものである。ここで前記無機物粉体はスプレー等によって吹き付け施工される場合、その一部または全部を吹き付け時に粉体のまま同時に吹き付け、より高濃度に配合できるようにすることが出来る。
【0010】
防・耐火性を付与する黒曜石粉末は、従来では加熱発泡体(製品名パーライト)として軽量と耐火性により建材の添加材として知られている。またポリウレタン発泡体の防・耐火性向上のために、黒曜石に熱を加えることで得られた黒曜石発泡体を利用した技術(特開平10−266504)もあるが、本発明においては、黒曜石粉末を加熱発泡させずに配合することを特徴としている。
【0011】
ここで黒曜石粉末を加熱発泡させずに利用する根拠は、容積がかさむことと施工機器から吐出する際に粒径が大きく支障をきたすこと、多量に配合することが出来なくなること、また比重が大きく異なるために不均一になる原因を避けるなどにある。
【0012】
本発明で用いる黒曜石粉末は、無機鉱物を10メッシュから150メッシュ程度に微細粉末にしたものが適当で、この程度の粒子径とすることにより、多量に配合することが可能となり、耐火性を向上させることができる。これより細かいと組成物溶液が増粘し、多量の配合が出来なくなったり、作業性が劣ってしまうし、またこれより大きいと燃焼発泡時大きく膨張しすぎて殻強度が低下し、火炎に耐えられなくなる。
【0013】
本発明で用いられる膨張性黒鉛は特に限定されない。膨張性黒鉛は天然グラファイト、熱分解グラファイト等の粉末を硫酸、硝酸等の無機酸と濃硝酸、過マンガン酸塩等の強酸化剤とで処理されたもので、グラファイト層状構造を維持した結晶化合物であり、200℃程度以上の温度に曝され熱膨張する。粉末には脱酸処理に加え、更に中和処理したタイプ他、各種品種があるがいずれも使用できる。粒度は、40〜800μm程度が好ましい。40μmより細かいと組成物溶液が増粘し、多量の配合が出来なくなったり、作業性が劣ってしまい、また燃焼発泡時に充分に発泡しなくなるからである。800μmより大きいと燃焼発泡時の発泡物が大きくなりすぎ、殻強度が低下して火炎に耐えられなくなるからである。
【0014】
黒曜石粉末及び膨張性黒鉛の含有量は、ポリウレタン樹脂の種類、所望の膨張倍率等によって適宜設定することが出来るが、通常は活性水素含有化合物100質量部に対し、重量比で40PHR以上望ましくは60PHR以上、1500PHR以下で使用する。なんとなればポリウレタン樹脂、難燃剤等が熱分解し消失しても、40PHR以上あればこれら黒曜石粉末及び膨張性黒鉛が膨張して耐火断熱燃焼殻を形成し、充分な難燃耐火性能を発揮するからであり1500PHRをこえると強度が著しく低下し、耐火断熱被覆材としての機能を果たせなくなるからである。尚、黒曜石粉末及び膨張性黒鉛の含有量が、活性水素含有化合物100質量部に対し、重量比で60PHR以上であると、充分な防・耐火性を有する燃焼殻が形成される利点がある。このため、この60PHR以上が黒曜石粉末及び膨張性黒鉛の含有量の望ましい範囲である。
【0015】
本発明においては、充分な難燃性、耐火性を実現するため、難燃剤を加えるが、この難燃剤は、燐酸化合物、ハロゲン化合物、アンチモン化合物、水酸化金属化合物、赤燐等が知られており、いずれも使用することができるが、望ましくは、液状燐酸エステル化合物、液状ハロゲン化合物等が望ましい。なんとなれば、液状品を用いることによって組成物の粘度を低く抑え、作業性を向上させることが出来、また黒曜石粉末及び膨張性黒鉛をより多量に配合することが出来るからである。液状燐酸エステル化合物、液状ハロゲン化合物等は使用する材料によっても変化するが、通常ポリオール成分に対して5PHR〜200PHR望ましくは10PHR〜150PHR程度が望ましい。5PHRより少ないと充分な難燃性を示すことが出来ず、200PHRより多いと発泡体の機械的強度が低下してしまい使用に耐えられない。
【0016】
本発明においては必要に応じ硼砂、硼酸、(ポリ)燐酸アンモニウム、セピオライト、カオリン、クレー、超微粉粒子状無水シリカ、ホワイトカーボンから選ばれた1種または2種以上を加えることが出来る。これらはポリウレタン樹脂が熱分解した後の耐火断熱燃焼殻をより安定させることが出来るからである。通常、活性水素含有化合物(ポリオール成分)に対して100PHR以下望ましくは60PHR以下程度が望ましい。60PHR以上になると溶液の粘度が上昇し、作業性を悪くする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の耐火断熱被覆材は、ポリウレタン発泡体を用いたものであるから、現場での発泡のしやすさや、優れた断熱性を有すると共に、難燃材により難燃性化したり、黒曜石粉末及び膨張性黒鉛が膨張して耐火断熱殻が形成され、充分な難燃耐火性能を発揮することになり、従来のポリウレタン発泡体の持つ断熱性を保持しながら充分な防・耐火性性能を付与でき、優れた耐火難燃材料を提供し得ることとなる。また、黒曜石粉末を加熱発泡させずに用いたものであるから、容積が嵩むことは無く、施工機器から吐出する際に粒径が小さく、多量に配合することができ、また比重が小さくて、均一となり、取り扱いが容易となる利点がある。
【0018】
この難燃剤として、液状燐酸エステル化合物、液状ハロゲン化合物を用いた場合には、液状品であるから、組成物の粘度を低く抑え、作業性を向上させることが出来、また黒曜石粉末及び膨張性黒鉛をより多量に配合することが可能となる。
【0019】
ここで硼砂、硼酸、(ポリ)燐酸アンモニウム、セピオライト、カオリン、クレー、超微粉粒子状無水シリカ、及びホワイトカーボンから選ばれた1種または2種以上を加えることにより、ポリウレタン樹脂が熱分解した後の耐火断熱殻をより安定させることができる利点がある。また、セピオライト、カオリン、クレー、超微粉粒子状無水シリカ、ホワイトカーボンは混合溶液の流動性を減らし、スプレー等を用いて組成物を壁面等に塗布したとき、垂れにくくして作業性を改善できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明の最良の形態を詳細に説明する。
本発明においてイソシアネート成分としては、公知の各種多官能性の脂肪族,脂環族及び芳香族イソシアネートを使用でき、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI),イソホロンジイソシアネート(IPDI),4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI),2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI),2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI),4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI),オルトトルイジンジイソシアネート(TODI),ナフチレンジイソシアネート(NDI),キシリレンジイソシアネート(XDI),リジンジイソシアネート(LDI)およびこれらイソシアネート類を用いたイソシアネート含有プレポリマーなどが挙げられる。ポリイソシアネートとして、NCO含有量が5から55%、好適には20から50%であって、分子ごとの平均NCO基数が2から5、好適には2から4であるポリイソシアネートを用いることが好ましい。特に好適なポリイソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネートを主成分とするもの、及び/又はその高分子同族体である。
【0021】
本発明に使用される水は、ポリイソシアネート化合物との反応により、二酸化炭素を発生し発泡剤として作用する。その水の使用量は、目的とする発泡体の密度によって決められ、活性水素含有化合物100重量部に対して1.5〜20重量部が適当である。水の使用量の割合が1.5重量部より低いと発泡体の密度が高くなりすぎ、逆に20重量部を超えると機械的強度が低下してしまい使用に耐えられない。
【0022】
活性水素含有化合物としては、水酸基やアミノ基などの活性水素含有官能基を2以上有する化合物、あるいはその化合物の2種以上の混合物がある。特に、2以上の水酸基を有する化合物やその混合物、またはそれを主成分としさらにポリアミンなどを含む混合物が好ましい。2以上の水酸基を有する化合物としてはポリオールがあり、該ポリオールとしてはポリエーテル系ポリオール,ポリエステル系ポリオール,多価アルコール,ひまし油ポリオール、ひまし油変性ポリオール、水酸基含有ジエチレン系ポリマーなどがある。
【0023】
ポリエーテル系ポリオールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等または、これらにアルキレンオキシドを1種又は2種以上付加重合した2官能性ポリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン等または、これらにアルキレンオキシドを付加重合した3官能性ポリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュガー等または、これらにアルキレンオキシドを付加重合した多官能性ポリオール、その他アルカノールアミンにアルキレンオキシドを付加重合したものなどが例示される。
【0024】
ポリエステル系ポリオールとしては多価アルコールと多塩基酸成分との縮合により得られる末端水酸基を有するポリエステルポリオールが挙げられる。多価アルコール成分としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のジオール類、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン等のトリオール類、その他ペンタエリストール、ソルビトールが挙げられ、多塩基性成分としては、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、シソフタル酸、ヘット酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸があげられる。
【0025】
ポリウレタン発泡体は前記イソシアネート化合物、該有機イソシアネートと反応しうる活性水素含有基を2以上有する活性水素含有化合物に所望の発泡密度をもつポリウレタン発泡体が生成される分量の水を添加しさらに、ウレタン化触媒、整泡剤を用い作成される。その使用量はイソシアネート基とポリオール成分混合液中の活性水素との当量比0.7〜5.0、好ましくは0.8〜3.0の範囲である。前記当量比が1.0より小さいと、未反応活性水素基が残り難燃性、耐熱性が悪くなり、5.0より大きいと発泡体の脆性が増加し、面材との接着性が悪くなる。
【0026】
本発明では水とともに発泡剤を用い、発泡させることができる。発泡剤としては、フッ素化炭化水素、メチレンクロライド、ペンタン、シクロペンタン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル等の低沸点溶剤などがあげられる。
【0027】
ウレタン化触媒としては、一般にウレタン化触媒として知られているものを使用することが出来る。例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキセン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、ビス(N,N−ジメチルアミノエチルピペラジル)エタン、N,N’,N”−トリス(ジエチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン等の第3級アミンおよび、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート等が単独で、またはそれぞれの併用で使用できる。
【0028】
整泡剤としては、たとえばポリジメチルシロキサンのオキシアルキレン共重合体、フッ素系の界面活性剤など一般的な整泡剤を必要に応じ使用できる。発泡剤としては、一般に低沸点の有機溶剤が使用されており、これらを水と併用して加えても良い。すなわちフロン系発泡剤、塩化メチレン、(シクロ)ペンタン、(シクロ)へキサン、酢酸エチル、アセトン等である。
【0029】
難燃剤として用いる液状燐酸エステル、液状ハロゲン化合物とはトリスフェニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、トリスクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、トリス(t−ブチル化フェニル)フォスフェート、トリス(i−プロピル化フェニル)フォスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、1,3−フェニレンビス(ジキシレニル)フォスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルフォスフェート)等芳香族縮合燐酸エステル類、トリス(ジクロロプロピル)フォスフェート、トリス(クロロプロピル)フォスフェート、トリス(クロロエチル)フォスフェート、2,2ビス(クロロメチル)トリメチレンビス(ビス(2−クロロエチル)フォスフェート)、ポリオキシアルキレンビスジクロロアルキルフォスフェート、等の含ハロゲン縮合燐酸エステル類、トリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリブトキシエチルフォスフェート、トリラウリルフォスフェート、とリセチルフォスフェート、トリステアリルフォスフェート、トリオレイルフォスフェート等の正燐酸エステル類、塩素化パラフィン等が例示される。
【0030】
前記難燃剤に、難燃性を補助する等のため、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA及びこれのエポキシオリゴマー及びカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAビス(ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビス(アリールエーテル)、テトラブロモビス(ペンタブロモフェニル)エタン、1,2ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート等の臭素系難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機系難燃剤等を加えることが出来る。
【0031】
本発明において、必要に応じて架橋剤、減粘剤、無機充填剤や着色剤を使用することが出来る。架橋剤として、エチレングリコール、プロピレングリコール,1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリエタノールアミン、エチレンジアミン等が単独又は併用で使用出来る。減粘剤として、含窒素系、含硫黄系、リン系、エーテル系、炭化水素系、エステル系、カーボネート系等の常温液状溶剤及び/または可塑剤等または界面活性を有する湿潤分散剤である。無機充填剤や着色剤としては、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウムタルク、珪石粉、石膏、ガラス粉、酸化チタン、カーボンブラック等である。これらの添加剤およびその他の添加剤は、ポリオール成分(B)を含有する混合物にあらかじめ混合しても良いし、反応時に添加しても良い。
【0032】
ポリウレタン樹脂の発泡方法としては、ポリウレタンの技術分野において公知の発泡方法を限定なく使用することができる。例えば、連続製造法、不連続製造法、スプレー法、注入法等が使用できる。特に、スプレー法は施工対象物に2成分の原液をスプレー装置で混合し吹き付ける方法で、対象物に到達すると発泡・硬化し、施工が容易なため、有効な方法である。また、連続製造法は連続コンベア上において、下面材上に混合原液を流し、上面材を供給して連続発泡させる方法であり、所定の長さに裁断することにより、サンドイッチパネルを製造することができる。このようにして得られた発泡性耐火化合物は、ポリウレタン発泡体塗装機により構造物の屋根、壁や間仕切りなど断熱、結露防止、防・耐火などを求められる部位に吹き付け、または空隙に注入することで、従来のポリウレタン発泡体の特性に更に防・耐火材として新たな用途に利用することが出来る。
【0033】
本発明の硬質の断熱耐火被覆材の密度は、10kg/m〜900kg/mであることが好ましく、より好ましくは20〜800kg/mである。
【実施例】
【0034】
<実施例1>
以下の、b〜lの材料及び、水、発泡剤、整泡剤を、表1に示す配合で混合した。そして、この混合組成物と、材料a(4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート)を表1の配合で混合し、混合後に直ちに200mm角の離型処理した容器に注入し、発泡させて、実施例1の耐火断熱被覆材を得た。
【0035】
a)4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート:スミジュール44V−20(住化バイエルウレタン)、NCO%=31.0%
b)トリメチロールプロパンとプロピレンオキサイドを付加重合した分子量約400の3官能ポリオール
c)グリセリンとプロピレンオキサイドを付加重合した分子量約3000の3官能ポリオール
d)アジピン酸とネオペンチルグリコールを縮重合した水酸基当量500の2官能ポリオール
e)第4級アンモニウム塩触媒(Dabco TMR)(エアプロダクツ)
f)ジブチル錫ジラウレート12%液:TN−12(堺化学)
g)トリス(クロロプロピル)フォスフェート
h)黒曜石粉末:フヨーエクス0号(芙蓉パーライト)
i)膨張性黒鉛:SYZR1002(三洋貿易)
j)燐酸アンモニウム:タイエンS(太平化学産業)
k)水酸化アルミニウム:ハイジライトH−310(昭和電工)
l)セピオライト:ミラクレーLFC−2Z(近江鉱業)
整泡剤:ポリジメチルシロキサンのオキシアルキレン共重合体(SZ−580 東レ、ダウコーニング株式会社)
発泡剤:1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)
【0036】
<実施例2〜5>
材料を表1の配合に変える他は、上記実施例1と同様にして、実施例2〜5の耐火断熱被覆材を得た。
【0037】
<比較例1,2>
材料を表1の配合に変える他は、上記実施例1と同様にして、比較例1,2の耐火断熱被覆材を得た。
【0038】
<実施例6>
材料h(黒曜石粉末)を除いた、b〜lの材料及び、水、発泡剤、整泡剤を、表1に示す配合で混合した。そして、スプレー装置(株式会社カワタ製)を用いて、混合した組成物と、材料a(4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート)を表1の配合でミキシングしながら、材料h(黒曜石粉末)を表1の配合となるように粉体のまま同時に吹き付け、硬化発泡させ耐火断熱被覆材を得た。
【0039】
【表1】

【0040】
<燃焼試験>
実施例1〜6および比較例1,2の耐火断熱被覆材を、それぞれ、50mm×200mm×200mmの板状にカットして試験片とした。各試験片の表面を1300℃のバーナーで加熱するとともに、裏面温度の経時変化を測定し、耐火性能を評価した。結果を表2に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
表2の結果に示されるように、実施例1〜6の試験片は充分な耐火性を発揮したが、比較例の試験片は、時間の経過とともに耐火性が失われていった。
【0043】
また、上記燃焼試験において、バーナーで加熱した各試験片の外殻の安定性を評価した。その結果、比較例1の試験片は加熱後の外殻が弱く、また、外殻の剥離が認められた。比較例2の試験片の外殻は強度はあったものの、体積が減容しており、また外殻が所々で剥離しており、見た目にも耐火性を失っていると認められた。これに対して、実施例1〜6の試験片は、バーナー加熱後であっても、外殻は十分な強度を有しており、また、外殻の剥離も認められず、実施例1〜6の試験片の外殻は優れた安定性を有していることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも有機イソシアネート、活性水素含有化合物、水、ウレタン化触媒、難燃剤及び整泡剤を用いてなるポリウレタン発泡体からなり、加熱発泡させていない黒曜石粉末および膨張性黒鉛を、それぞれ活性水素含有化合物に対して重量比で40PHR以上、1500PHR以下、含有してなる耐火断熱被覆材。
【請求項2】
前記難燃剤として、液状燐酸エステル類及び/又は液状ハロゲン化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の耐火断熱被覆材。
【請求項3】
硼砂、硼酸、(ポリ)燐酸アンモニウム、セピオライト、カオリン、クレー、超微粉粒子状無水シリカ、及びホワイトカーボンから選ばれた1種または2種以上を含有してなる請求項1又は請求項2記載の耐火断熱被覆材。

【公開番号】特開2010−184974(P2010−184974A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28832(P2009−28832)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(396015828)アルファ化研株式会社 (6)
【出願人】(596180478)株式会社環境クリエイト (10)
【Fターム(参考)】