脆性破壊を防止するための無電解NiXPで表面処理された電子部品の接合方法
【課題】無電解Niメッキで表面処理された電子部品をはんだを利用し、接合させる際にはんだ接合部で発生する脆性破壊を防止する方法を提供する。
【解決手段】電子部品に無電解NiXP(X=W、Mo、Co、Ti、Zr、Zn、V、Cr、Fe、Nb、Re、Mn、Tl、Cuから選ばれる少なくとも1種)メッキを施して金属層を形成する段階と、該無電解NiXP層上にはんだをリフローし接合する段階とから構成し、はんだ接合部で発生する脆性破壊を防止する方法を達成する。
【解決手段】電子部品に無電解NiXP(X=W、Mo、Co、Ti、Zr、Zn、V、Cr、Fe、Nb、Re、Mn、Tl、Cuから選ばれる少なくとも1種)メッキを施して金属層を形成する段階と、該無電解NiXP層上にはんだをリフローし接合する段階とから構成し、はんだ接合部で発生する脆性破壊を防止する方法を達成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解NiXP(X=W、Mo、Co、Ti、Zr、Zn、V、Cr、Fe、Nb、Re、Mn、Tl、Cu)で表面処理された電子部品をはんだ(solder)と接合させた後、はんだ接合部で発生する脆性破壊を防止する方法であって、無電解ニッケルメッキ浴に前記の金属を包含する塩を添加して無電解ニッケルと前記金属を同時に蒸着してはんだと接合させる時、生成される金属間化合物のスポーリング(spalling)とNi3P、NiSnP層の形成を抑制してソルダ・ジョイントで発生する脆性破壊を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、はんだを利用する接合において、Pb−Sn合金が代表的なはんだ材料として使用されてきたが、最近、鉛の有害性によって電子部品における鉛の使用が規制または禁止されている。したがって、鉛を含有しない無鉛はんだ(エコソルダー)の開発が持続的に進んでおり、現在Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cu、Sn−Zn、Sn−Zn−Bi系の無鉛はんだがPb−Snはんだを代替している。
【0003】
一方、無鉛はんだ用UBM(アンダーバンブ・メタル)に対する開発も同時に進行されているが、チップ部分ではCr/Cr−Cu/Cu、Ti−W/Cu/電解Cu、Al/Ni−V/Cuなどが代表的に使用され、BGA(ボール・グリッド・アレイ)パッケージと印刷回路基板には、電解ニッケル、無電解ニッケル、OSP(Organic solderability preservative)処理された電解Cuなどが使用されている。前記の無鉛はんだとUBM間の界面反応及び信頼性の評価は、多くの研究者により行われており、Cuを基盤とするUBMは、スズを大量に含有している無鉛はんだと反応するとき、界面において厚い金属間化合物を形成するため、ニッケルを基盤とするUBMが無鉛はんだにおいてより適合することが知られている。しかし、現在、コストの側面から電解ニッケルよりは無電解ニッケルがUBMとして多く使用されているが、無電解ニッケルとはんだとが反応するとき、はんだ接合部の脆性破壊が深刻な問題になっている。これは、非特許文献1など多くの研究者によって研究されているが、無電解ニッケル金属層をSn−3.5Agと反応させると、Ni3Sn4金属間化合物、Ni3SnP、Ni3P相が発生し、さらにNi3Sn4が界面から分離される現象に起因して脆性破壊が発生することが報告されている。現在のところ、無鉛はんだとUBMの最適の組合せを決定するために、持続的な研究開発が進んでおり、殊に、高性能、多機能化、超小型化される携帯用電子機器などにはんだによる接続技術が普遍化されながら機械的衝撃に強いソルダ・ジョイントに対する要求が増大している。
【0004】
本発明と関連する従来技術の中、米国の特許文献1では、無電解ニッケルとはんだ接合部の脆性破壊を防ぐために、無電解ニッケルUBM上に電解/無電解Cu膜をさらに蒸着してはんだと接合するとき、金属間化合物のスポーリングを防止することにより信頼性を向上させる方法を提案している。しかし、この方法は追加的に金属層を蒸着しなければならない煩雑を伴う問題がある。一方、本発明は無電解ニッケル溶液に蒸着しようとする金属塩を添加して同時に蒸着するので、本発明とは技術的構成が相異する。
【0005】
【非特許文献1】Y. S. Shon, et al., “Correlation between chemical reaction and brittle fracture found in electroless Ni(P)/immersion gold-solder interconnection” J. Mater. Res. 20, 8, 1931, 2005
【特許文献1】米国公開特許US2006/0024943 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
Sn−basedはんだの場合、無電解Ni(P)金属層と接合するとき、生成されるNi3PとNiSnP層によって接合部において脆性破壊が起こる原因となっている。したがって、本発明の課題は、無電解Ni(P)金属層にPと反応してNi3PとNiSnP層が形成される現象を抑制する元素を添加して接合部の脆性破壊を防止することにより機械的信頼性を向上させる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、[1]はんだを利用して電子部品を接合するときの脆性破壊を防止する接合方法において、電子部品の金属配線に無電解NiXP金属層を形成する段階と、無鉛はんだを無電解NiXP層上にリフローして接合する段階を包含してなるはんだ接合部の脆性破壊を防止する、無電解NiXPで表面処理された電子部品の接合方法や、[2]電子部品の接合が、半導体チップとパッケージ部品、パッケージ部品と印刷回路基板、または半導体チップと印刷回路基板との接合であることを特徴とする上記[1]に記載の無電解NiXPで表面処理された電子部品の接合方法や、[3]無鉛はんだが、SnAg、SnAgCu、SnAgZn、SnAgAl、SnAgBe、SnAgSi、SnAgGe、SnAgMg、SnCu、SnBi、SnZnまたはSnZnBi系のはんだであり、Ag 0〜10wt%、Zn 1〜7wt%、Al 1〜5wt%、Be 1〜5wt%、Si 8〜15wt%、Ge 8〜15wt%、Mg 1〜7wt%、Cu 0〜2wt%、Bi 0〜58wt%及びZn 0〜10wt%であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の無電解NiXPで表面処理された電子部品の接合方法に関する。
【0008】
また本発明は、[4]無電解ニッケルメッキ浴に、W、Mo、Co、Ti、Zr、Zn、V、Cr、Fe、Nb、Re、Mn、TlまたはCuを包含する金属塩を添加して無電解NiXPでメッキすることを特徴とする電子部品の接合方法や、[5]無電解NiXP薄膜における元素の組成範囲が、W 1〜20wt%、Mo 1〜30wt%、Co 1〜50wt%、Zn 1〜10wt%、Fe 1〜40wt%、Re 1〜50wt%、Mn 0.5〜5wt%、Cr 0.5〜10wt%、Tl 1〜20wt%、Cu 1〜20wt%、Ti 1〜20wt%、Zr 1〜20wt%、V 1〜20wt%、及びNb 1〜20wt%であることを特徴とする上記[4]に記載の電子部品の接合方法に関する。
【0009】
さらに本発明は、[6]無電解NiXP UBM上に、はんだとの湿潤性を向上させるとともに、NiXPの酸化を防止するために、厚さ1μm以下のAu、Ag、またはPdを蒸着することを特徴とする電子部品の接合方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、電子パッケージの無電解Ni(P)/はんだ接合部から頻繁に発生する脆性破壊の問題を解決して電子機器の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の内容をより詳細に説明する。
先ず、本発明は、無電解ニッケルにより表面処理された電子部品を接合する場合に生じる、脆性破壊を防止することができる方法であって、無電解ニッケルメッキ浴に、Ni3PとNiSnP層の形成を抑制する元素の塩を添加してNiXP(Xは、W、Mo、Co、Ti、Zr、Zn、V、Cr、Fe、Nb、Re、Mn、Tl及びCuから選ばれる少なくとも1種の金属原子) UBMを形成し、無鉛はんだをNiXP UBMにリフローして両側の印刷回路基板を相互接合させることを特徴として構成される。
【0012】
本発明の理解のために、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、図面は、本発明に対する理解のためであって、これによって本発明が限定されるものではない。
【0013】
また、表1は、NiWP、NiMoP、NiMnP、NiFeP、NiReP、NiReWP無電解メッキに供する溶液組成とメッキの条件を示している。
【0014】
表1.NiXP層を形成する溶液
【表1】
【0015】
図1は、本発明による無電解NiXPで表面処理された印刷回路基板の接続過程を示した概略模式図であって、先ずBGAパッケージ10の金属配線12上に無電解NiXP層14を形成させる(図1)。形成された無電解NiXP層上にSn3.5Ag無鉛はんだ20をリフローする(図2)。下部に使用される印刷回路基板も同様にしてNiXP層14を蒸着させ、上部パッケージ部品のはんだと整列させた後、リフローして接合する(図3)。
【0016】
前記図1〜図3の図面符号において、10はBGAパッケージ、12は金属配線、14は無電解Ni−W−P、16ははんだマスク、18はNi3Sn4金属間化合物、20はSn3.5Agはんだ、22は印刷回路基板を示す。
【0017】
従来使用された無電解ニッケルと、SnAgまたはPbSn系のはんだとが接合するとき、はんだ接合部には、Ni3Sn4金属間化合物が生成されることによって、無電解ニッケル層にはNi3P層と、その上にNiSnP層とが形成されるとともに、反応が進行されるに従ってNiSnP層が厚くなり、金属間化合物のスポーリングが発生することになる。図4は無電解ニッケルとSn3.5Agはんだペーストを260℃で5分間リフローしたときの、断面写真であるが、Ni3Sn4金属間化合物がすべてスポーリングされている。このような現象は、はんだ接合部の脆性破壊と密接に関連している。これを抑制するために、無電解NiXP層を蒸着した後、260℃で1分または5分間リフローさせた場合、図5〜図10のように、金属間化合物は全くスポーリングされておらず、NiSnP層も大部分観察されなかった。前記の元素らが選択される理由は、はんだと接合されるとき、Pと反応して金属間化合物を生成させるので、接合部の脆性破壊と密接に関連するNi3P、NiSnP層の形成を抑制することができるためである。このように無電解ニッケル層に他の金属を添加して金属間化合物のスポーリングを抑制することにより、NiSnP層が形成されないことは、既に報告されているはんだ接続部の脆性破壊を抑制することのできる1つの方法として提示することができる。
【0018】
はんだ接続部における脆性破壊を防止することができるかを確認するために、衝撃試験を実施した。先ず、上・下印刷回路基板の無電解ニッケル層に、タングステンを加えてUBMを形成し、Sn3.5Agはんだボールを使用、260℃で300秒間接合させた。比較の結果を得るために、従来使用されている無電解ニッケル層をUBMとして前記と同様にして試片を作製した。これに対する衝撃試験の結果、無電解ニッケル層をUBMに使用した試片の場合、衝撃回数が39回目のとき脆性破壊が発生したことを確認することができた。
図11は、脆性破壊が発生した比較試片の断面写真であって、従来報告された内容と同様に金属間化合物がスポーリングされ、NiSnP層において脆性破壊が発生したことを示している。一方、無電解ニッケル層にタングステンを添加してUBMを形成した場合は、400回以上のドロップにおいても脆性破壊が発生していないことを確認することができた。
【0019】
図12は、その断面写真であって、金属間化合物がスポーリングされなく、無電解NiWP層と良好に結合されていることを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による無電解NiXPで表面処理されたパッケージ部品がはんだと接続する過程を示した概略図であって、BGAパッケージ10の金属配線12上に無電解NiXP14を形成する段階を示す模式図である。
【図2】本発明による無電解NiXPで表面処理されたパッケージ部品がはんだと接続する過程を示した概略図であって、図1上のはんだ20を形成する段階を示す模式図である。
【図3】本発明による無電解NiXPで表面処理されたパッケージ部品がはんだと接続する過程を示した概略図であって、図2上に形成されたBGAパッケージ10と図1上に形成された無電解NiXPで表面処理された印刷回路基板をリフロー工程によって接続させる段階を示す模式図である。
【図4】UBMとはんだとが反応したときの断面写真であって、無電解ニッケルとSn3.5Agはんだを260℃で5分間リフローした写真図である。
【図5】本発明によるUBMとはんだとが反応したときの断面写真であって、無電解NiWPとSn3.5Agはんだを260℃で1分または5分間リフローした写真図である。
【図6】本発明によるUBMとはんだとが反応したときの断面写真であって、無電解NiMoPとSn3.5Agはんだを260℃で1分または5分間リフローした写真図である。
【図7】本発明によるUBMとはんだとが反応したときの断面写真であって、無電解NiMnPとSn3.5Agはんだを260℃で1分または5分間リフローした写真図である。
【図8】本発明によるUBMとはんだとが反応したときの断面写真であって、無電解NiRePとSn3.5Agはんだを260℃で1分または5分間リフローした写真図である。
【図9】本発明によるUBMとはんだとが反応したときの断面写真であって、無電解NiReWPとSn3.5Agはんだを260℃で1分または5分間リフローした写真図である。
【図10】本発明によるUBMとはんだとが反応したときの断面写真であって、無電解NiFePとSn3.5Agはんだを260℃で1分または5分間リフローした写真図である。
【図11】衝撃試験を実施した写真であって、無電解ニッケルとSn3.5Agはんだを260℃で300秒間リフローした後、衝撃試験を実施した試片の断面写真図である。
【図12】衝撃試験を実施した写真であって、無電解NiWPとSn3.5Agはんだを同一条件下でリフローして衝撃試験を実施した試片の断面写真図である。
【符号の説明】
【0021】
10:BGAパッケージ
12:金属配線
14:無電解Ni−W−P
16:はんだマスク
18:Ni3Sn4金属間化合物
20:Sn3.5Agはんだ
22:印刷回路基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解NiXP(X=W、Mo、Co、Ti、Zr、Zn、V、Cr、Fe、Nb、Re、Mn、Tl、Cu)で表面処理された電子部品をはんだ(solder)と接合させた後、はんだ接合部で発生する脆性破壊を防止する方法であって、無電解ニッケルメッキ浴に前記の金属を包含する塩を添加して無電解ニッケルと前記金属を同時に蒸着してはんだと接合させる時、生成される金属間化合物のスポーリング(spalling)とNi3P、NiSnP層の形成を抑制してソルダ・ジョイントで発生する脆性破壊を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、はんだを利用する接合において、Pb−Sn合金が代表的なはんだ材料として使用されてきたが、最近、鉛の有害性によって電子部品における鉛の使用が規制または禁止されている。したがって、鉛を含有しない無鉛はんだ(エコソルダー)の開発が持続的に進んでおり、現在Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cu、Sn−Zn、Sn−Zn−Bi系の無鉛はんだがPb−Snはんだを代替している。
【0003】
一方、無鉛はんだ用UBM(アンダーバンブ・メタル)に対する開発も同時に進行されているが、チップ部分ではCr/Cr−Cu/Cu、Ti−W/Cu/電解Cu、Al/Ni−V/Cuなどが代表的に使用され、BGA(ボール・グリッド・アレイ)パッケージと印刷回路基板には、電解ニッケル、無電解ニッケル、OSP(Organic solderability preservative)処理された電解Cuなどが使用されている。前記の無鉛はんだとUBM間の界面反応及び信頼性の評価は、多くの研究者により行われており、Cuを基盤とするUBMは、スズを大量に含有している無鉛はんだと反応するとき、界面において厚い金属間化合物を形成するため、ニッケルを基盤とするUBMが無鉛はんだにおいてより適合することが知られている。しかし、現在、コストの側面から電解ニッケルよりは無電解ニッケルがUBMとして多く使用されているが、無電解ニッケルとはんだとが反応するとき、はんだ接合部の脆性破壊が深刻な問題になっている。これは、非特許文献1など多くの研究者によって研究されているが、無電解ニッケル金属層をSn−3.5Agと反応させると、Ni3Sn4金属間化合物、Ni3SnP、Ni3P相が発生し、さらにNi3Sn4が界面から分離される現象に起因して脆性破壊が発生することが報告されている。現在のところ、無鉛はんだとUBMの最適の組合せを決定するために、持続的な研究開発が進んでおり、殊に、高性能、多機能化、超小型化される携帯用電子機器などにはんだによる接続技術が普遍化されながら機械的衝撃に強いソルダ・ジョイントに対する要求が増大している。
【0004】
本発明と関連する従来技術の中、米国の特許文献1では、無電解ニッケルとはんだ接合部の脆性破壊を防ぐために、無電解ニッケルUBM上に電解/無電解Cu膜をさらに蒸着してはんだと接合するとき、金属間化合物のスポーリングを防止することにより信頼性を向上させる方法を提案している。しかし、この方法は追加的に金属層を蒸着しなければならない煩雑を伴う問題がある。一方、本発明は無電解ニッケル溶液に蒸着しようとする金属塩を添加して同時に蒸着するので、本発明とは技術的構成が相異する。
【0005】
【非特許文献1】Y. S. Shon, et al., “Correlation between chemical reaction and brittle fracture found in electroless Ni(P)/immersion gold-solder interconnection” J. Mater. Res. 20, 8, 1931, 2005
【特許文献1】米国公開特許US2006/0024943 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
Sn−basedはんだの場合、無電解Ni(P)金属層と接合するとき、生成されるNi3PとNiSnP層によって接合部において脆性破壊が起こる原因となっている。したがって、本発明の課題は、無電解Ni(P)金属層にPと反応してNi3PとNiSnP層が形成される現象を抑制する元素を添加して接合部の脆性破壊を防止することにより機械的信頼性を向上させる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、[1]はんだを利用して電子部品を接合するときの脆性破壊を防止する接合方法において、電子部品の金属配線に無電解NiXP金属層を形成する段階と、無鉛はんだを無電解NiXP層上にリフローして接合する段階を包含してなるはんだ接合部の脆性破壊を防止する、無電解NiXPで表面処理された電子部品の接合方法や、[2]電子部品の接合が、半導体チップとパッケージ部品、パッケージ部品と印刷回路基板、または半導体チップと印刷回路基板との接合であることを特徴とする上記[1]に記載の無電解NiXPで表面処理された電子部品の接合方法や、[3]無鉛はんだが、SnAg、SnAgCu、SnAgZn、SnAgAl、SnAgBe、SnAgSi、SnAgGe、SnAgMg、SnCu、SnBi、SnZnまたはSnZnBi系のはんだであり、Ag 0〜10wt%、Zn 1〜7wt%、Al 1〜5wt%、Be 1〜5wt%、Si 8〜15wt%、Ge 8〜15wt%、Mg 1〜7wt%、Cu 0〜2wt%、Bi 0〜58wt%及びZn 0〜10wt%であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の無電解NiXPで表面処理された電子部品の接合方法に関する。
【0008】
また本発明は、[4]無電解ニッケルメッキ浴に、W、Mo、Co、Ti、Zr、Zn、V、Cr、Fe、Nb、Re、Mn、TlまたはCuを包含する金属塩を添加して無電解NiXPでメッキすることを特徴とする電子部品の接合方法や、[5]無電解NiXP薄膜における元素の組成範囲が、W 1〜20wt%、Mo 1〜30wt%、Co 1〜50wt%、Zn 1〜10wt%、Fe 1〜40wt%、Re 1〜50wt%、Mn 0.5〜5wt%、Cr 0.5〜10wt%、Tl 1〜20wt%、Cu 1〜20wt%、Ti 1〜20wt%、Zr 1〜20wt%、V 1〜20wt%、及びNb 1〜20wt%であることを特徴とする上記[4]に記載の電子部品の接合方法に関する。
【0009】
さらに本発明は、[6]無電解NiXP UBM上に、はんだとの湿潤性を向上させるとともに、NiXPの酸化を防止するために、厚さ1μm以下のAu、Ag、またはPdを蒸着することを特徴とする電子部品の接合方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、電子パッケージの無電解Ni(P)/はんだ接合部から頻繁に発生する脆性破壊の問題を解決して電子機器の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の内容をより詳細に説明する。
先ず、本発明は、無電解ニッケルにより表面処理された電子部品を接合する場合に生じる、脆性破壊を防止することができる方法であって、無電解ニッケルメッキ浴に、Ni3PとNiSnP層の形成を抑制する元素の塩を添加してNiXP(Xは、W、Mo、Co、Ti、Zr、Zn、V、Cr、Fe、Nb、Re、Mn、Tl及びCuから選ばれる少なくとも1種の金属原子) UBMを形成し、無鉛はんだをNiXP UBMにリフローして両側の印刷回路基板を相互接合させることを特徴として構成される。
【0012】
本発明の理解のために、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、図面は、本発明に対する理解のためであって、これによって本発明が限定されるものではない。
【0013】
また、表1は、NiWP、NiMoP、NiMnP、NiFeP、NiReP、NiReWP無電解メッキに供する溶液組成とメッキの条件を示している。
【0014】
表1.NiXP層を形成する溶液
【表1】
【0015】
図1は、本発明による無電解NiXPで表面処理された印刷回路基板の接続過程を示した概略模式図であって、先ずBGAパッケージ10の金属配線12上に無電解NiXP層14を形成させる(図1)。形成された無電解NiXP層上にSn3.5Ag無鉛はんだ20をリフローする(図2)。下部に使用される印刷回路基板も同様にしてNiXP層14を蒸着させ、上部パッケージ部品のはんだと整列させた後、リフローして接合する(図3)。
【0016】
前記図1〜図3の図面符号において、10はBGAパッケージ、12は金属配線、14は無電解Ni−W−P、16ははんだマスク、18はNi3Sn4金属間化合物、20はSn3.5Agはんだ、22は印刷回路基板を示す。
【0017】
従来使用された無電解ニッケルと、SnAgまたはPbSn系のはんだとが接合するとき、はんだ接合部には、Ni3Sn4金属間化合物が生成されることによって、無電解ニッケル層にはNi3P層と、その上にNiSnP層とが形成されるとともに、反応が進行されるに従ってNiSnP層が厚くなり、金属間化合物のスポーリングが発生することになる。図4は無電解ニッケルとSn3.5Agはんだペーストを260℃で5分間リフローしたときの、断面写真であるが、Ni3Sn4金属間化合物がすべてスポーリングされている。このような現象は、はんだ接合部の脆性破壊と密接に関連している。これを抑制するために、無電解NiXP層を蒸着した後、260℃で1分または5分間リフローさせた場合、図5〜図10のように、金属間化合物は全くスポーリングされておらず、NiSnP層も大部分観察されなかった。前記の元素らが選択される理由は、はんだと接合されるとき、Pと反応して金属間化合物を生成させるので、接合部の脆性破壊と密接に関連するNi3P、NiSnP層の形成を抑制することができるためである。このように無電解ニッケル層に他の金属を添加して金属間化合物のスポーリングを抑制することにより、NiSnP層が形成されないことは、既に報告されているはんだ接続部の脆性破壊を抑制することのできる1つの方法として提示することができる。
【0018】
はんだ接続部における脆性破壊を防止することができるかを確認するために、衝撃試験を実施した。先ず、上・下印刷回路基板の無電解ニッケル層に、タングステンを加えてUBMを形成し、Sn3.5Agはんだボールを使用、260℃で300秒間接合させた。比較の結果を得るために、従来使用されている無電解ニッケル層をUBMとして前記と同様にして試片を作製した。これに対する衝撃試験の結果、無電解ニッケル層をUBMに使用した試片の場合、衝撃回数が39回目のとき脆性破壊が発生したことを確認することができた。
図11は、脆性破壊が発生した比較試片の断面写真であって、従来報告された内容と同様に金属間化合物がスポーリングされ、NiSnP層において脆性破壊が発生したことを示している。一方、無電解ニッケル層にタングステンを添加してUBMを形成した場合は、400回以上のドロップにおいても脆性破壊が発生していないことを確認することができた。
【0019】
図12は、その断面写真であって、金属間化合物がスポーリングされなく、無電解NiWP層と良好に結合されていることを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による無電解NiXPで表面処理されたパッケージ部品がはんだと接続する過程を示した概略図であって、BGAパッケージ10の金属配線12上に無電解NiXP14を形成する段階を示す模式図である。
【図2】本発明による無電解NiXPで表面処理されたパッケージ部品がはんだと接続する過程を示した概略図であって、図1上のはんだ20を形成する段階を示す模式図である。
【図3】本発明による無電解NiXPで表面処理されたパッケージ部品がはんだと接続する過程を示した概略図であって、図2上に形成されたBGAパッケージ10と図1上に形成された無電解NiXPで表面処理された印刷回路基板をリフロー工程によって接続させる段階を示す模式図である。
【図4】UBMとはんだとが反応したときの断面写真であって、無電解ニッケルとSn3.5Agはんだを260℃で5分間リフローした写真図である。
【図5】本発明によるUBMとはんだとが反応したときの断面写真であって、無電解NiWPとSn3.5Agはんだを260℃で1分または5分間リフローした写真図である。
【図6】本発明によるUBMとはんだとが反応したときの断面写真であって、無電解NiMoPとSn3.5Agはんだを260℃で1分または5分間リフローした写真図である。
【図7】本発明によるUBMとはんだとが反応したときの断面写真であって、無電解NiMnPとSn3.5Agはんだを260℃で1分または5分間リフローした写真図である。
【図8】本発明によるUBMとはんだとが反応したときの断面写真であって、無電解NiRePとSn3.5Agはんだを260℃で1分または5分間リフローした写真図である。
【図9】本発明によるUBMとはんだとが反応したときの断面写真であって、無電解NiReWPとSn3.5Agはんだを260℃で1分または5分間リフローした写真図である。
【図10】本発明によるUBMとはんだとが反応したときの断面写真であって、無電解NiFePとSn3.5Agはんだを260℃で1分または5分間リフローした写真図である。
【図11】衝撃試験を実施した写真であって、無電解ニッケルとSn3.5Agはんだを260℃で300秒間リフローした後、衝撃試験を実施した試片の断面写真図である。
【図12】衝撃試験を実施した写真であって、無電解NiWPとSn3.5Agはんだを同一条件下でリフローして衝撃試験を実施した試片の断面写真図である。
【符号の説明】
【0021】
10:BGAパッケージ
12:金属配線
14:無電解Ni−W−P
16:はんだマスク
18:Ni3Sn4金属間化合物
20:Sn3.5Agはんだ
22:印刷回路基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだを利用して電子部品を接合するときの脆性破壊を防止する接合方法において、
電子部品の金属配線に無電解NiXP(Xは、W、Mo、Co、Ti、Zr、Zn、V、Cr、Fe、Nb、Re、Mn、Tl及びCuから選ばれる少なくとも1種の金属原子)金属層を形成する段階と、無鉛はんだを無電解NiXP層上にリフローして接合する段階を包含してなるはんだ接合部の脆性破壊を防止する無電解NiXPで表面処理された電子部品の接合方法。
【請求項2】
電子部品の接合が、半導体チップとパッケージ部品、パッケージ部品と印刷回路基板、または半導体チップと印刷回路基板との接合であることを特徴とする請求項1に記載の無電解NiXPで表面処理された電子部品の接合方法。
【請求項3】
無鉛はんだが、SnAg、SnAgCu、SnAgZn、SnAgAl、SnAgBe、SnAgSi、SnAgGe、SnAgMg、SnCu、SnBi、SnZnまたはSnZnBi系のはんだであり、Ag 0〜10wt%、Zn 1〜7wt%、Al 1〜5wt%、Be 1〜5wt%、Si 8〜15wt%、Ge 8〜15wt%、Mg 1〜7wt%、Cu 0〜2wt%、Bi 0〜58wt%及びZn 0〜10wt%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無電解NiXPで表面処理された電子部品の接合方法。
【請求項4】
無電解ニッケルメッキ浴にW、Mo、Co、Ti、Zr、Zn、V、Cr、Fe、Nb、Re、Mn、TlまたはCuを包含する金属塩を添加して無電解NiXP(Xは、W、Mo、Co、Ti、Zr、Zn、V、Cr、Fe、Nb、Re、Mn、Tl及びCuから選ばれる少なくとも1種の金属原子)金属層でメッキすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品の接合方法。
【請求項5】
無電解NiXP薄膜における元素の組成範囲が、W 1〜20wt%、Mo 1〜30wt%、Co 1〜50wt%、Zn 1〜10wt%、Fe 1〜40wt%、Re 1〜50wt%、Mn 0.5〜5wt%、Cr 0.5〜10wt%、Tl 1〜20wt%、Cu 1〜20wt%、Ti 1〜20wt%、Zr 1〜20wt%、V 1〜20wt%、及びNb 1〜20wt%であることを特徴とする請求項4に記載の電子部品の接合方法。
【請求項6】
無電解NiXP(Xは、W、Mo、Co、Ti、Zr、Zn、V、Cr、Fe、Nb、Re、Mn、Tl及びCuから選ばれる少なくとも1種の金属原子)下部金属層(UBM)上に、はんだとの湿潤性を向上させるとともに、NiXPの酸化を防止するために、厚さ1μm以下のAu、Ag、またはPdをさらに蒸着することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子部品の接合方法。
【請求項1】
はんだを利用して電子部品を接合するときの脆性破壊を防止する接合方法において、
電子部品の金属配線に無電解NiXP(Xは、W、Mo、Co、Ti、Zr、Zn、V、Cr、Fe、Nb、Re、Mn、Tl及びCuから選ばれる少なくとも1種の金属原子)金属層を形成する段階と、無鉛はんだを無電解NiXP層上にリフローして接合する段階を包含してなるはんだ接合部の脆性破壊を防止する無電解NiXPで表面処理された電子部品の接合方法。
【請求項2】
電子部品の接合が、半導体チップとパッケージ部品、パッケージ部品と印刷回路基板、または半導体チップと印刷回路基板との接合であることを特徴とする請求項1に記載の無電解NiXPで表面処理された電子部品の接合方法。
【請求項3】
無鉛はんだが、SnAg、SnAgCu、SnAgZn、SnAgAl、SnAgBe、SnAgSi、SnAgGe、SnAgMg、SnCu、SnBi、SnZnまたはSnZnBi系のはんだであり、Ag 0〜10wt%、Zn 1〜7wt%、Al 1〜5wt%、Be 1〜5wt%、Si 8〜15wt%、Ge 8〜15wt%、Mg 1〜7wt%、Cu 0〜2wt%、Bi 0〜58wt%及びZn 0〜10wt%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無電解NiXPで表面処理された電子部品の接合方法。
【請求項4】
無電解ニッケルメッキ浴にW、Mo、Co、Ti、Zr、Zn、V、Cr、Fe、Nb、Re、Mn、TlまたはCuを包含する金属塩を添加して無電解NiXP(Xは、W、Mo、Co、Ti、Zr、Zn、V、Cr、Fe、Nb、Re、Mn、Tl及びCuから選ばれる少なくとも1種の金属原子)金属層でメッキすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品の接合方法。
【請求項5】
無電解NiXP薄膜における元素の組成範囲が、W 1〜20wt%、Mo 1〜30wt%、Co 1〜50wt%、Zn 1〜10wt%、Fe 1〜40wt%、Re 1〜50wt%、Mn 0.5〜5wt%、Cr 0.5〜10wt%、Tl 1〜20wt%、Cu 1〜20wt%、Ti 1〜20wt%、Zr 1〜20wt%、V 1〜20wt%、及びNb 1〜20wt%であることを特徴とする請求項4に記載の電子部品の接合方法。
【請求項6】
無電解NiXP(Xは、W、Mo、Co、Ti、Zr、Zn、V、Cr、Fe、Nb、Re、Mn、Tl及びCuから選ばれる少なくとも1種の金属原子)下部金属層(UBM)上に、はんだとの湿潤性を向上させるとともに、NiXPの酸化を防止するために、厚さ1μm以下のAu、Ag、またはPdをさらに蒸着することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子部品の接合方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−285752(P2008−285752A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111954(P2008−111954)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】373−1,Gusung−dong,Yuseong−ku,Daejeon 305−701 KR
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】373−1,Gusung−dong,Yuseong−ku,Daejeon 305−701 KR
【Fターム(参考)】
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