自動ドア用電源装置、自動ドア開閉制御方法及び自動ドア構造
【課題】省エネルギーを実現する自動ドア用電源装置、自動ドア開閉制御装置及び自動ドア構造を提供する。
【解決手段】太陽電池ユニット(1)と、その発電電力により充電される二次電池(4)と、余剰電力を蓄積する電気二重層キャパシタ(5)とを備えた自動ドア用電源装置において、待機時に、発電電力により二次電池を充電可能である場合は二次電池を充電するとともに、さらに余剰電力がある場合はその余剰電力により電気二重層キャパシタを充電するべく制御する第1の制御手段と、開閉時に、太陽電池ユニットから得られる入力電力又は二次電池の放電電力のうち少なくとも一方を、自動ドアを開閉するモータ(95)の駆動電力として供給するとともに、電気二重層キャパシタの放電電力を前記モータの突入電力として供給するべく制御する第2の制御手段と、を備える。
【解決手段】太陽電池ユニット(1)と、その発電電力により充電される二次電池(4)と、余剰電力を蓄積する電気二重層キャパシタ(5)とを備えた自動ドア用電源装置において、待機時に、発電電力により二次電池を充電可能である場合は二次電池を充電するとともに、さらに余剰電力がある場合はその余剰電力により電気二重層キャパシタを充電するべく制御する第1の制御手段と、開閉時に、太陽電池ユニットから得られる入力電力又は二次電池の放電電力のうち少なくとも一方を、自動ドアを開閉するモータ(95)の駆動電力として供給するとともに、電気二重層キャパシタの放電電力を前記モータの突入電力として供給するべく制御する第2の制御手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池ユニットを備えた自動ドア用電源装置、自動ドア開閉制御方法及び自動ドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、AC100Vの商用電源とバッテリーを組み合わせた自動ドア用電源装置が知られている(特許文献1等)。その場合、バッテリーは商用電源が停電した場合の非常用電源装置であり、AC電源により充電される。
【0003】
特許文献2には、太陽電池と蓄電池と電気二重層キャパシタとを組み合わせた独立型電源が開示されている。太陽電池の発電電力により負荷に電力を供給するとともに蓄電池を充電し、さらに余剰電力がある場合は電気二重層キャパシタを充電する。そして、太陽電池の発電電力が蓄電池の充電に不十分な場合は、電気二重層キャパシタからの放電により蓄電池を充電する。太陽電池の発電電力に対しては、最大電力点追従制御(MPPT)が実行される。
【0004】
最近では、受光面ガラスと裏面ガラスとの間に複数の太陽電池セル及び透光性中間膜層を介在してなる採光型合わせガラス構造太陽電池モジュールが提示されており、窓やドアのガラス部材として用いられている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−19342号公報
【特許文献2】特許第4578498号公報
【特許文献3】特開2002−319694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
省エネルギーのために、商用電源を用いることなく独立型電源のみにより自動ドアを稼働できることが好ましい。太陽電池による発電電力を、鉛蓄電池のような二次電池に蓄電することが望ましいが、二次電池のみでは多様な日照条件及び夜間における安定した稼働を保証できない。従って、特許文献2のように蓄電要素として、二次電池に加えて電気二重層キャパシタを利用することが好ましい。また、稼働される自動ドアが軽量であれば、より省エネルギーに寄与できる。
【0007】
以上の点に鑑み、本発明は、省エネルギーを実現する自動ドア用電源装置、自動ドア開閉制御方法及び自動ドア構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するべく、本発明は、以下の各構成を提供する。なお、括弧内の数字は、後述する図面中の符号であり、参考のために付する。
本発明による自動ドア用電源装置は、少なくとも1つの太陽電池ユニット(1)と、太陽電池ユニット(1)の発電電力により充電される二次電池(4)と、発電電力の余剰電力を蓄積する電気二重層キャパシタ(5)とを備えた自動ドア用電源装置において、自動ドア(9A)の待機時に、太陽電池ユニット(1)から得られる発電電力により二次電池(4)を充電可能である場合は前記二次電池(4)を充電するとともに、前記二次電池(4)を充電する発電電力に余剰電力がある場合はその余剰電力により電気二重層キャパシタ(5)を充電するべく制御する第1の制御手段と、自動ドア(9A)の開閉時に、前記太陽電池ユニット(1)から得られる発電電力又は前記二次電池(4)の放電電力のうち少なくとも一方を、自動ドアを開閉するモータ(95)の駆動電力として供給するとともに、前記電気二重層キャパシタ(5)の放電電力を前記モータ(95)の突入電力として供給するべく制御する第2の制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記の自動ドア用電源装置において、複数の前記太陽電池ユニット(1)を備えており、各太陽電池ユニット(1)は、並列接続された複数の太陽電池セル(11)と、前記複数の太陽電池セル(11)の発電電力から最大電力を取り出す最大電力点追従制御回路(132)と、前記最大電力点追従制御回路(132)から取り出された最大電力の電圧を所定の規定電圧に昇圧する規定電圧昇圧回路(133)とを具備し、
前記規定電圧昇圧回路(133)にて昇圧された後の各太陽電池ユニット(1)の電力を統合する電力入力アレイ部(2)をさらに備えたことが、好適である。
【0010】
本発明による自動ドア開閉制御方法は、上記の自動ドア用電源装置を備えた自動ドアの開閉制御方法であって、自動ドアに近づく人又は物体のサイズ及び移動方向を検知するステップと、検知された前記サイズ及び移動方向に基づいて自動ドアの開閉量を演算するステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
上記の自動ドア開閉制御装置において、演算された前記自動ドアの開閉量に基づいて自動ドアの開閉速度を演算するステップを有することが、好適である。
【0012】
本発明による自動ドア構造は、上記の自動ドア用電源装置を備えた自動ドア(9A)であって、所定の間隔を空けて配置された2枚の透明板(91、91)と、前記2枚の透明板(91、91)の間に介在する中間樹脂層(96)と、これらの外周に取り付けられた枠(92)を備え、前記枠(92)は炭素繊維強化プラスチック複合材であり、かつ、前記中間樹脂層(96)内に前記複数の太陽電池セル(11)が互いに所定の間隔を空けて配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明による自動ドア用電源装置は、複数の太陽電池ユニットと、二次電池と、電気二重層キャパシタとを備えており、太陽電池ユニットによる発電電力のみにより自動ドアを稼働することができる。よって、商用電源は不要である。自動ドア用電源装置の制御手段は、自動ドアが静止している待機モードと、自動ドアが開閉動作を行う開閉モードの2つのモードを備えている。待機モードでは、発電電力により二次電池を充電するとともに、余剰電力がある場合は電気二重層キャパシタも充電する。開閉モードでは、発電電力又は二次電池の放電電力のいずれか又は双方をモータの駆動電力として供給するとともに、電気二重層キャパシタの放電電力をモータの突入電流のための電力として供給する。
【0014】
これにより、モータ始動時に突入電流が十分に供給されるため、自動ドアの開閉開始時のモータ駆動電力の低下を回避でき、開閉を速やかに開始できる。太陽電池ユニット及び二次電池の容量については、駆動電力を考慮すれば十分であり、突入電力の確保まで考慮する必要がない。よって、これらの装置を小型とすることができ設置スペースを小さくできる。
【0015】
本発明による自動ドア用電源装置は、各太陽電池ユニットが、複数の並列接続された太陽電池セルと、最大電力点追従制御回路と、取り出された最大電力の電圧を所定の規定電圧まで昇圧する規定電圧昇圧回路とを具備する。従って、各太陽電池ユニットにおいて取り出された最大電力の電圧にバラツキがあっても規定電圧昇圧回路により、一定の電圧とすることができ、安定した電力供給が可能となる。
【0016】
本発明による自動ドア開閉制御方法では、自動ドアに近づく人又は物体のサイズ及び移動方向を検知し、検知されたサイズ及び移動方向に基づいて自動ドアの開閉量を演算し、さらに開閉速度を演算する。これにより、必要以上の自動ドアの開閉駆動による電力消費を回避できるので、消費電力を節減できる。
【0017】
本発明による自動ドア構造は、透明板の枠が炭素繊維強化プラスチック複合材であるので、強度がある上に軽量である。軽量であることにより消費電力を節減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による自動ドア用電源装置を備えた自動ドアシステムの全体を模式的に示した機能構成図である。
【図2】図1に示した複数の太陽電池ユニット1と、電力入力アレイ部2をさらに詳細に示した機能構成図である。
【図3】図1に示した充放電ドア開閉制御部3をさらに詳細に示した機能構成図である。
【図4】自動ドアの待機モードにおける図3の機能構成を示した図である。
【図5】待機モードにおける制御フローの一実施例の概略を示した流れ図である。
【図6】待機モードにおける制御フローの一実施例の概略を示した流れ図である。
【図7】自動ドアの開閉モードにおける図3の機能構成を示した図である。
【図8】開閉モードにおける制御フローの第1実施例の概略を示した流れ図である。
【図9】開閉モードにおける制御フローの第2実施例の概略を示した流れ図である。
【図10】モーションセンサによる移動方向の検知を説明するために、両開きの2枚の自動ドア及びその周囲を示した平面図である。
【図11】自動ドアの構造の一実施例を示した(a)正面図及び(b)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施例を示した図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(1)自動ドアシステムの全体構成
図1は、本発明による自動ドア用電源装置を備えた自動ドアシステムを概略的かつ模式的に示した機能構成図である。図1中、太線は電力の主要な流れを示し、細線はセンサ信号又は制御信号の主要な流れを示す。図1を参照してシステム構成の概略を説明する。
【0020】
図1では、一例として、1枚の自動ドア9Aと1枚の戸袋9Bを備えた片開きの自動ドアが示されている。自動ドア9A及び戸袋9Bは、いずれも2枚合わせの強化ガラスから構成され、2枚の強化ガラスの間に太陽電池ユニット1が配設されている。
【0021】
図示の例では、1つの太陽電池ユニット1が自動ドア9Aに内蔵されており、別の太陽電池ユニット1が戸袋9Bに内蔵されている。各太陽電池ユニット1は、並列接続された複数の太陽電池セル11と、PV接点ブレーカ12と、最大電力点追従制御部(以下「MPPT部」と称する)13とをそれぞれ具備する。PV接点ブレーカ12は、太陽電池セル11からの発電電力の入力させる場合はオン(接続)とされ、入力させない場合はオフ(遮断)とされる。
【0022】
自動ドア9Aの外周に取り付けられた枠92、周囲の壁又は天井等の内部に、自動ドア9Aを開閉するためのモータ95を含む駆動機構が設置されている。人感センサ93は、例えば赤外線センサ等であり、自動ドア9Aの周囲の所定範囲内への人や物体の進入及び退出を検知するために適宜の箇所に設置される。太陽電池ユニット1用の温度計94も適宜の箇所に設置される。
【0023】
各太陽電池ユニット1から得られる発電電力は、電力入力アレイ部2において統合され、充放電ドア開閉制御部3へ送られる。充放電ドア開閉制御部3は、二次電池4及び電気二重層キャパシタ(以下「EDLC」と称する)5の充放電制御と自動ドア9Aの開閉制御を行う。二次電池4は、コンパクトな設計が可能なリチウムイオン電池が好適である。しかしながら、他の公知の二次電池でもよい。
【0024】
モータ駆動回路7は、モータ95を駆動するための、パルス幅変調(PMW)やパルス周波数変調(PFM)を行うチョッパ回路あるいはDC−AC変換を行うインバータ回路等である。
【0025】
主接点ブレーカ81は、電力入力アレイ部2から充放電ドア開閉制御部3へ送られた入力電力を直接、モータ駆動回路7に供給する場合にオンとされ、供給しない場合はオフとされる。
【0026】
二次電池接点ブレーカ41は、二次電池4に蓄電された電力を放電してモータ駆動回路7に供給する場合にオンとされ、供給しない場合はオフとされる。
【0027】
EDLC接点ブレーカ51は、EDLC5に蓄電された電力を放電して突入電力供給部6に供給する場合にオンとされ、供給しない場合はオフとされる。
【0028】
図2及び図3を参照して、自動ドアシステムの構成をさらに詳細に説明する。
図2は、図1に示した複数の太陽電池ユニット1と、電力入力アレイ部2をさらに詳細に示した機能構成図である。なお、図1では太陽電池ユニット1は2つであったが、一般的には、複数設けることができる。例えば、両開きの2枚の自動ドアとこれらの両側の2枚の戸袋がある場合、4つの太陽電池ユニット1を設置できる。
【0029】
太陽電池ユニット1のPV接点ブレーカ12は、太陽電池セル11の通常の発電時にはオンとされ、充放電ドア開閉制御部3への入力電力が過剰となった場合は遮断される。MPPT部13は、CPU131により制御されるMPPT回路132と、規定電圧昇圧回路133とを有する。
【0030】
MPPT回路132は、最大電力点追従制御を行う回路である。最大電力点追従制御は、公知の幾つかの方法が知られており、いずれの方法でもよい。MPPT回路132は、常に電流と電圧が変動する複数の太陽電池セル11の出力から最大電力を得られる電圧と電流を決定し、最大電力にて出力する。
【0031】
なお、自動ドア毎及び戸袋毎に設置されている各太陽電池ユニット1は、それぞれ発電量にばらつきがある。これは、日照条件が異なることにもよるが、各太陽電池ユニット1を構成する太陽電池セル11の数が、必ずしも同数とは限らないためでもある。例えば、戸袋は、ドア部分に比べて透過性を確保する必要がないため、多くの太陽電池セル11を配設する一方、自動ドアは安全上ある程度の透過性が必要であるため、太陽電池セル11の数を少なくしたりする。この結果、各太陽電池ユニット1のMPPT回路132により取り出された最大電力の電圧は、各太陽電池ユニット毎に異なってくる。
【0032】
規定電圧昇圧回路133は、MPPT回路132の後段に設けられ、MPPT回路132の出力電圧を所定の規定電圧に昇圧する。これにより、複数の太陽電池ユニット1の各々から得られる最大電力の電圧が一定となる。このようにして、各太陽電池ユニット1から得られた電力は、同じ電圧に昇圧されて電力入力アレイ部2に送られる。
【0033】
なお、複数の太陽電池セル11からMPPT回路132を通して取り出される最大電力における電圧が20V〜30V程度の低電圧となることが、発電効率の観点から望ましい。この電圧を規定電圧昇圧回路133により昇圧し、高電圧にて後段の電力入力アレイ部2へ送ることが、好適である。高電圧化することにより極く細い電力線でも電力損失を抑制して送電できる。
【0034】
電力入力アレイ部2は、CPU21と、アレイ回路22と、PV入力電流電圧計測部23と、分岐回路24と、昇圧回路25とを有する。アレイ回路22は、複数の太陽電池ユニット1からの電力を統合する。PV入力電流電圧計測部23は、統合されたPV入力電力における電流と電圧を計測し、計測データ信号を充放電ドア開閉制御部3へ送る。計測結果に基づいて充放電ドア開閉制御部3は、CPU21に制御信号を送る。CPU21は、充放電ドア開閉制御部3からの制御信号に基づいて分岐回路24及び昇圧回路25を制御する。統合された電力をそのまま出力する場合は、分岐回路24からそのまま出力される。統合された電力の電圧を昇圧して出力する場合は、分岐回路24から昇圧回路25に送り、昇圧回路25にて所定の電圧に昇圧してから出力する。電力入力アレイ部2から出力された電力は、充放電ドア開閉制御部3へ送られる。
【0035】
図3は、図1に示した充放電ドア開閉制御部3をさらに詳細に示した機能構成図である。図3では、充放電ドア開閉制御部3の後段に配置される各構成要素との関係もさらに詳細に示した。
【0036】
充放電ドア開閉制御部3は、CPU31と、入力電流電圧計測部32と、出力電流制御回路33と、出力電流電圧計測部34と、EDLC制御回路35と、EDLC電流電圧計測部36と、ドア開閉制御回路37とを有する。
【0037】
入力電流電圧計測部32は、電力入力アレイ部2からラインL1を通して送られた入力電力における電流及び電圧(以下それぞれ「入力電流」及び「入力電圧」と称する)を計測し、計測データ信号をCPU31へ送る。また、入力電力をラインL2及び/又はL5に出力する。ラインL2は入力電力の全部又は一部を出力電流制御回路33へ送る。また、EDLC5の放電電力がラインL8、L9及びL10を通して入力された場合も、ラインL2を通して出力電流制御回路33へ送る。
【0038】
出力電流電圧制御回路33へ送られた電力は、主接点ブレーカ81がオンのときはラインL3及びL11を通してモータ駆動回路7へ駆動電力として供給される。一方、主接点ブレーカ81がオフのときはラインL3及びL4を通して二次電池4の充電電力として供給。
【0039】
出力電流電圧制御回路33は、DC−DCコンバータにより構成され、CPU31から送られるPWM信号により制御される。出力電流電圧制御回路33は、モータ駆動回路7に対し駆動電力を送る場合、及び、二次電池4に対し充電電力を送る場合のそれぞれにおいて、その開始及び停止並びにその電流及び電圧を設定する。
【0040】
出力電流電圧計測部34は、出力電流電圧制御回路33から送られる電力における電流及び電圧を計測し、計測データ信号をCPU31へ送る。また、出力電流電圧計測部34は、出力電流電圧制御回路33から送られる電力を遮断することにより、二次電池4の出力電流及び出力電圧を計測でき、その計測データ信号もCPU31へ送る。
【0041】
EDLC制御回路35は、DC−DCコンバータにより構成され、CPU31から送られるPWM信号により制御される。このDC−DCコンバータは、ラインL6及びL7で示されるEDLC5の充電、並びに、ラインL8及びL9で示されるEDLC5の放電の双方向に働くことができる。CPU31からの制御によりEDLC5の充放電の開始及び停止並びにその電流及び電圧を設定する。ラインL8及びL9によるEDLC5の放電電力は、ラインL10により入力電流電圧計測部32へ送られ、二次電池4の充電電力として用いられる。
【0042】
EDLC電流電圧計測部36は、EDLC制御回路35からの充電電力及びEDLC5からの放電電力における電流及び電圧を計測し、計測データ信号をCPU31へ送る。また、EDLC電流電圧計測部36は、EDLC制御回路35との接続を遮断することにより、EDLC5を充放電ドア開閉制御部3から切り離すことができる。
【0043】
EDLC5は、充放電ドア開閉制御部3から切り離されかつEDLC接点ブレーカ51がオンのとき、ラインL13を通して突入電力供給部6に対して放電電力を出力する。EDLC接点ブレーカ51は、CPU31により制御される。
【0044】
突入電力供給部6は、DC−DCコンバータより構成され、その出力電流及び出力電圧は、CPU31から送られる制御信号により制御される。突入電力供給部6は、モータ駆動回路7に対して、モータ始動時の突入電流に対応可能な電力を供給する。これにより、太陽電池ユニットの発電電力又は二次電池4の放電電力のいずれでモータ95を駆動する場合であっても、突入電流に起因して駆動電力(駆動電圧)が規定値より低下することを回避できる。この結果、モータ95を速やかに始動することができる。
【0045】
ドア開閉制御回路37は、自動ドアの開閉動作を行うとき、モータ駆動回路7に対して制御信号を送る。モータ95に対する主な制御は、正回転又は逆回転の回転方向の制御と、回転速度の制御がある。
【0046】
以上に述べた自動ドアシステムにおける自動ドア用電源装置の制御は、主として充放電ドア開閉制御部3(具体的にはCPU31)により実行される。制御モードとして、自動ドアが静止しているときの待機モードと、自動ドアが開閉動作を行うときの開閉モードの2つのモードを備えている。待機モードでは、発電電力により二次電池を充電するとともに、さらに余剰電力がある場合は電気二重層キャパシタも充電する。開閉モードでは、発電電力又は二次電池の放電電力のいずれか又は双方をモータの駆動電力として供給するとともに、電気二重層キャパシタの放電電力を突入電流用の電力として供給する。
以下、各モードにおける制御処理について説明する。
【0047】
(2)自動ドアの待機モードにおける制御
図4は、自動ドアの待機モードにおける図3の機能構成を示した図である。電力又は信号の流れを示す各ラインについて、電力若しくは信号が送られるライン及びオン状態のラインは実線で示し、それ以外のラインは点線で示している。
【0048】
図5及び図6は、待機モードにおける制御フローの一実施例の概略を示した流れ図である。図5及び図6の制御フローは、自動ドアが静止しているとき、すなわち人や物体の進入又は退出を検知しない期間に繰り返し実行される。自動ドアの静止状態は、閉じた状態の他に、開いた状態で静止している場合も含む。
【0049】
なお、前提として、図5及び図6の制御フローは、所定の値以上の発電電力が得られている場合の制御フローである。夜間及び日照条件の悪い昼間など、発電電力が所定の値未満の場合には、自動ドアが静止状態であってもこの制御フローは停止される。
【0050】
以下では、図1〜図3に示した符号を参照して図5及び図6の制御フローを説明する。
・ステップ101:二次電池4の現時点の電圧(出力電流電圧計測部34にて計測)が、二次電池4の満充電電圧より大きいか否かを判断する。ここで、「二次電池4の満充電電圧」とは、二次電池4を満充電したときの電圧であり、それ以上の充電はできない上限電圧である。二次電池4の電圧が満充電電圧より大きい場合は、二次電池4は充電不要であり、図6の制御フローへ進む。二次電池4の電圧が満充電電圧以下の場合は、二次電池4の充電が必要であり、ステップ102へ進む。
【0051】
・ステップ102:各PV接点ブレーカ12をオンとして発電電力を入力可能とする。
・ステップ103:各MPPT部13のMPPT回路132にてMPPT処理を行う。
・ステップ104:各MPPT部13の規定電圧昇圧回路133にて規定電圧への昇圧処理を行う。
・ステップ105:電力入力アレイ部2にて発電電力を統合する。統合された発電電力は、充放電ドア開閉制御部3への入力電力となる。
【0052】
・ステップ106:充放電ドア開閉制御部3への入力電力の入力電圧(入力電流電圧計測部32にて計測)が、二次電池4の充電設定電圧以上であるか否かを判断する。ここで「二次電池4の充電設定電圧」とは、二次電池4を充電可能な最低電圧より大きい所定の設定された電圧である。入力電圧が二次電池4の充電設定電圧以上である場合は、二次電池4を充電することが決定され、ステップ107へ進む。入力電圧が二次電池4の充電設定電圧未満である場合は、ステップ111へ進む。
【0053】
・ステップ107:ここで、二次電池4と同時にEDLC5も充電する余剰電力があるか否かを算出する。算出式は以下の通りである。
(式1)EDLCへの余剰電流=(入力電力−二次電池充電電力)/入力電圧
上式において、入力電圧は入力電流電圧計測部32にて計測され、入力電力は、入力電流と入力電圧の積として算出される。二次電池充電電力は、二次電池の充電のために設定する電流と電圧の積として算出される。
【0054】
・ステップ108:ステップ107で算出されたEDLC5への余剰電流が正か否かを判断する。正である場合は、その余剰電流によりEDLC5を充電するべくステップ109へ進む。正でない場合は余剰電力が無いのでEDLC5の充電は行わず、ステップ110へ進み、入力電力による二次電池4の充電処理を行う。
【0055】
・ステップ109:EDLC5を充電するべくEDLC制御回路35が充電のための電流及び電圧を設定し、入力電力によるEDLC5の充電を実行する。その後、ステップ110へ進み、入力電力による二次電池4の充電処理を行う。
【0056】
・ステップ110:出力電流電圧制御回路33が設定した電流及び電圧にて二次電池4の充電を実行する。
【0057】
・ステップ111:上記ステップ106において入力電圧が二次電池4の充電に不十分である場合、入力電圧の昇圧が可能か否かを判断する。現時点の入力電圧がそれ以上昇圧できない場合は、ステップ113へ進む。現時点の入力電圧がさらに昇圧できる場合は、ステップ112へ進む。
【0058】
・ステップ112:電力入力アレイ部2のCPU21に制御信号を送り、昇圧回路25を通して二次電池4の充電設定電圧となるように昇圧を行わせる。これにより、入力電圧は、二次電池4の充電設定電圧となるので、その後、ステップ110へ進み、入力電力による二次電池4の充電処理を行う。
【0059】
・ステップ113:上記ステップ111において現時点の入力電圧がそれ以上昇圧できず入力電力による二次電池4の充電ができない場合、EDLC5からの放電電圧(EDLC電流電圧計測部36により計測)が、二次電池4の充電設定電圧以上であるか否かを判断する。EDLC5の放電電圧が二次電池4の充電設定電圧以上である場合は、EDLC5の放電が決定され、ステップ114へ進む。EDLC5の放電電圧が二次電池4の充電設定電圧未満である場合は、ステップ110へ進み、入力電力をそのまま用いて二次電池4の充電を行う。
【0060】
・ステップ114:EDLC5を放電させ、その放電電力を出力電流電圧制御回路33に供給する。その後、ステップ110に進み、EDLC5の放電電力による二次電池4の充電を行う。
【0061】
次に、図6の制御フローを説明する。図6の制御フローは、二次電池4が満充電されており充電不要の場合である。
・ステップ120:PV入力電圧(PV入力電流電圧計測部23により計測)がPV接点ブレーカ12の遮断電圧未満であるか否かを判断する。遮断電圧未満である場合は、ステップ121へ進み、遮断電圧以上である場合は発電過剰であるのでシステムを保護するためにPV接点ブレーカ12をオフとし、処理を終了する。
【0062】
・ステップ121:PV接点ブレーカ12をオンし、発電電力を入力可能とする。
【0063】
・ステップ122:入力電力によるEDLC5の充電処理を行う。この場合、二次電池4を充電する必要はないので、入力電力の全てをEDLC5への余剰電力として利用できる。EDLC5への余剰電流は、以下の式の通りとなる。
(式2)EDLCへの余剰電流=入力電力/入力電圧
入力電力によるEDLC5の充電を実行した後、処理を終了する。
【0064】
図5及び図6の制御フローをまとめると、二次電池4の充電及びEDLC5の充放電は以下の6つのパターンで行われる。
(i)入力電力(二次電池充電設定電圧以上により二次電池4及びEDLC5を充電する(ステップ109)。
(ii)入力電力(二次電池充電設定電圧以上)により二次電池4のみを充電する(ステップ108でNo)。
(iii)入力電力(二次電池充電設定電圧未満)の入力電圧を昇圧して二次電池4のみを充電する(ステップ112)。
(iv)EDLC5の放電電力により二次電池4を充電する(ステップ114)。
(v)入力電力(二次電池充電設定電圧未満)により二次電池4のみを充電する(ステップ113でNo)。
(vi)入力電力によりEDLC5のみを充電する(ステップ122)。
【0065】
自動ドア待機モードでは、太陽電池ユニット1の発電電力を可能な限り利用して二次電池4及びEDLC5を充電する。発電電力が不十分の場合は、EDLC5の放電電力を利用して二次電池4を充電する。
【0066】
(3)自動ドアの開閉モードにおける制御
図7は、自動ドアの開閉ードにおける図3の機能構成を示した図である。電力又は信号の流れを示す各ラインについて、電力若しくは信号が送られるライン及びオン状態のラインは実線で示し、それ以外のラインは点線で示している。
【0067】
開閉モードの制御フローは、自動ドアが開閉を行うとき、すなわち人や物体の進入又は退出を検知してから自動ドアの開閉動作が完了するまでの期間に実行される。従って、通常は、上述の待機モードの制御フローが繰り返し実行されており、開閉モードは、待機モードに対する割り込み処理として実行され、実行後は待機モードに復帰する。
【0068】
さらに、夜間及び日照条件の悪い昼間など、上述の図5及び図6の待機モードの制御フローが停止している場合であっても、開閉モードは実行される。
【0069】
図8は、開閉モードにおける制御フローの第1実施例の概略を示した流れ図である。以下では、図1〜図3に示した符号を参照して説明する。
【0070】
・ステップ201:人感センサ93が所定範囲内への人又は物体の進入、又は、所定範囲内からの退出を検知する。これにより、待機モードであった場合は、待機モードを中断して開閉モードとなる(あるいは、待機モードが停止中であった場合も、開閉モードとなる)。
【0071】
・ステップ202:EDLC5の充電側を遮断し、EDLC5と充放電ドア開閉制御部3を切り離す。さらに、EDLC接点ブレーカ51をオンとする。すなわちEDLC5と突入電力供給部6を接続する。
【0072】
・ステップ203:入力電圧(入力電流電圧計測部32により計測)及び入力電力(入力電流と入力電圧の積)が、モータ駆動回路7及びモータ95の駆動電圧及び駆動電力以上であるか否かを判断する。これは、入力電力(発電電力)により直接モータ95を駆動可能か否かを判断するためである。例えば、日照条件の良い昼間であれば発電電力により直接駆動可能であり、夜間や日照条件の悪い昼間は駆動不可となる。駆動可能である場合は、ステップ204に進み、駆動不可の場合は、二次電池4の放電電力によりモータ95を駆動することとし、ステップ205に進む。
【0073】
・ステップ204:入力電力により直接モータ95を駆動する場合、二次電池4の充電側すなわち充放電ドア開閉制御部3との接続を遮断し、充電できない状態とする。さらに、主接点ブレーカ81をオンとする。
【0074】
・ステップ205:二次電池4の放電電力によりモータ95を駆動する場合も、二次電池4の充電側すなわち充放電ドア開閉制御部3との接続を遮断し、充電できない状態とする。さらに、二次電池接点ブレーカ41をオンとする。
【0075】
・ステップ206:入力電力(二次電池4を利用する場合はその放電電力)をモータ駆動回路7に供給すると同時に、EDLC5の放電電力を突入電力供給部6を通してモータ駆動回路7に供給する。開動作又は閉動作の選択、開閉量及び開閉速度に関する制御信号は、ドア開閉制御回路37からモータ駆動回路7へ送られる。この実施例では、自動ドアの開閉量及び開閉速度は、予め所定の値に設定されているものとする。このようにして、モータ95に十分な突入電流及び駆動電流が供給され、モータ95は自動ドアの開動作又は開動作を行う。
【0076】
・ステップ207:開動作又は閉動作の完了後、主接点ブレーカ81(二次電池4を利用した場合は二次電池接点ブレーカ51)をオフとする。同時に、二次電池4の充電側を再び接続し、充電可能状態とする。
【0077】
・ステップ208:EDLC接点ブレーカ51をオフとし、さらに、EDLC5の充電側を、充放電ドア開閉制御部3と再び接続する。これにより自動ドアの開閉モードは終了する。その後、自動ドアの待機モードに復帰する(あるいは、待機モードの停止状態に戻る)。
【0078】
なお、上述した第1実施例では、ステップ203、204、205において、発電電力又は二次電池4の放電電力のいずれかを駆動電力として選択したが、変形実施例として、双方の電力を同時に駆動電力として利用してもよい。いずれの電力を優先的に利用するか、また利用する電力をどのように配分するかについては、多様な設定が可能である。
【0079】
図9は、開閉モードにおける制御フローの第2実施例の概略を示した流れ図である。
この第2実施例では、図8に示した第1実施例で用いる人感センサに替えてモーションセンサを用いる。モーションセンサは、形状認識センサとも称され、人又は物体のサイズを検知できる。この場合に重要なサイズは、自動ドアを通過する際の幅である。さらに、第2実施例では、モーションセンサを利用して人又は物体の移動方向を検知する。
【0080】
図10は、両開きの2枚の自動ドア9A、9A及びその周囲を示した平面図である。モーションセンサ93’は、所定の箇所に設けられている。自動ドアに隣接する半円領域を36°の角度毎に5つの扇形の区画A、B、C、D、Eに分ける。モーションセンサ93’は、人又は物体がどの区画に存在するかを時系列的に検知する。これにより、移動方向、移動速度、人又は物体の数等を認識できる。例えば、区画B、C、Dから進入した場合は、正面方向からの進入と判断され、区画A,Eから進入した場合は、横方向からの進入と判断される。
【0081】
以下、図9の開閉モードにおける制御フローを説明する。以下の説明では、図1〜図3に示した符号を参照する場合がある。
・ステップ301:モーションセンサが区画A、B、C、D、Eのいずれかに人又は物体が進入したことを検知する。これにより、待機モードであった場合は、待機モードを中断して開閉モードとなる(あるいは、待機モードが停止中であった場合も、開閉モードとなる)。
【0082】
・ステップ302:モーションセンサは進入した人又は物体の形状及び位置を一定時間毎に検知し、充放電ドア開閉制御部3のCPU31に時系列的な計測データ信号を送る。
【0083】
・ステップ303:CPU31は、計測データ信号に基づいて人又は物体のサイズ、移動方向及び移動速度を決定する。一例として、次のような処理を行う(なお、この例では、最大開閉量を2200cmとする)。
・ステップ3031:区画Cからの進入の場合、サイズが90cm以上か否かを判断する。90cm未満の場合はステップ3032へ進み、90cm以上の場合はステップ3033へ進む。
・ステップ3032:開閉量を90cmとする。
・ステップ3033:区画B、Dからの進入の場合、又は、区画Cからの進入でサイズ90cm以上の場合は、サイズが1080cm以上か否かを判断する。1080cm未満の場合はステップ3034に進み、1080cm以上の場合はステップ3035へ進む。
・ステップ3034:開閉量を1080cmとする。
・ステップ3035:区画A、Eからの進入の場合、又は、区画C、B、Dからの進入でサイズ1080cm以上の場合は、開閉量を2200cmとする。
【0084】
・ステップ304:ステップ303で決定された開閉量に基づいて、自動ドアの実際の開閉量及び開閉速度を演算し、設定する。
【0085】
・ステップ305:その後は、図8のステップ202〜208と同様の処理を行い、自動ドアの開動作又は閉動作を完了し、開閉モードを終了する。その後、自動ドアの待機モードに復帰する(あるいは、待機モードの停止状態に戻る)。
【0086】
第2実施例の制御フローを用いた場合、自動ドアを常に最大開閉量で開閉する替わりに、通過に必要な幅だけ開閉するので消費電力を節減することができる。例えば、開閉量を最大開閉量の40%、50%とした場合のエネルギー削減率はそれぞれ60%、50%である。
【0087】
さらに別の実施例として、自動ドアが開いている途中又は開いた後に、次の別の進入者を検知した場合、その進入者の移動方向及びサイズのデータを取得し、開閉量を増す必要があるか否かを判断し、開閉量を変更してもよい。開閉モードにおける制御フローは、上述した実施例に限定されるものではなく、多様に考えられる。
【0088】
(4)自動ドアの構造
図11は、本発明の自動ドア用電源装置により駆動される自動ドアの構造の一実施例を概略的に示す図であり、(a)は正面図(背景の木も表現)、(b)は(a)のA−A断面図である。
【0089】
自動ドア9Aは、正面側と背面側に面した2枚の透明板91、91と、これらの透明板91、91の間に介在し双方の透明板と固着した中間樹脂層96とを備えた積層構造を有している。透明板91は、通常、強化ガラスである。好適例では、この積層構造の外周に取り付けられた枠92が、炭素繊維と熱硬化性樹脂等のプラスチックから作製された炭素繊維強化プラスチック複合材(CFRP)である。枠92は、例えば、外周のうち上縁と下縁を包囲するように取り付けられる。CFRPは、自動ドアの枠としての強度を備える上、従来のステンレス材に比べて軽量であるので消費電力の節減に効果的である。また、自動ドアが軽量化されると、駆動機構に加えて発電装置及び制御装置の全てを自動ドアに内蔵させることも可能となる。
【0090】
太陽電池ユニットを構成する複数の太陽電池セル11は、中間樹脂層96内に互いに所定の間隔を空けて配設されている。図11(a)に示すように、太陽電池セル11の無い部分は透明であるので、背景を透視できる。さらに、太陽電池セル11として、透過率を調整可能な採光型太陽電池(特許文献3)を用いることが、好適である。複数の太陽電池セル11は配線(図示せず)により互いに並列接続されている。
【0091】
自動ドアでは、安全性の観点から、目の高さ約1.5m前後により多くの透過部分を設けることが望ましい。一方、戸袋ではこのような配慮は不要であるので、透過部分が少なくてもよい。よって、自動ドアと戸袋では設置する太陽電池セルの数が異なる場合がある。この結果、日照条件が同じであっても、自動ドアに設けた太陽電池ユニットと、戸袋に設けた太陽電池ユニットでは、発電電力に差が生じる。このような発電電力の差は、上述した各太陽電池ユニットにおけるMPPT部の規定電圧昇圧回路(図2の符号133)により、入力電力を統合する前に解消できる。
【符号の説明】
【0092】
1:太陽電池ユニット、11:太陽電池セル(PV)、12:PV接点ブレーカ、13:MPPT部、131:CPU、132:MPPT回路、133:規定電圧昇圧回路
2:電力入力アレイ部、21:CPU、22:アレイ回路、23:PV入力電流/電圧計測部、24:分岐回路、25:昇圧回路
3:充放電ドア開閉制御部、31:CPU、32:入力電流電圧計測部、33:電流制御回路、34:出力電流電圧計測部、35:EDLC制御回路、36:EDLC電流電圧計測部、37:ドア開閉制御回路
4:二次電池、41:二次電池接点ブレーカ
5:電気二重層キャパシタ(EDLC)、51:EDLC接点ブレーカ
6:突入電力供給部
7:モータ駆動回路
81:主接点ブレーカ
9A:自動ドア、9B:戸袋、91:透明板、92:枠、93:人感センサ、93’:モーションセンサ、94:温度計、95:モータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池ユニットを備えた自動ドア用電源装置、自動ドア開閉制御方法及び自動ドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、AC100Vの商用電源とバッテリーを組み合わせた自動ドア用電源装置が知られている(特許文献1等)。その場合、バッテリーは商用電源が停電した場合の非常用電源装置であり、AC電源により充電される。
【0003】
特許文献2には、太陽電池と蓄電池と電気二重層キャパシタとを組み合わせた独立型電源が開示されている。太陽電池の発電電力により負荷に電力を供給するとともに蓄電池を充電し、さらに余剰電力がある場合は電気二重層キャパシタを充電する。そして、太陽電池の発電電力が蓄電池の充電に不十分な場合は、電気二重層キャパシタからの放電により蓄電池を充電する。太陽電池の発電電力に対しては、最大電力点追従制御(MPPT)が実行される。
【0004】
最近では、受光面ガラスと裏面ガラスとの間に複数の太陽電池セル及び透光性中間膜層を介在してなる採光型合わせガラス構造太陽電池モジュールが提示されており、窓やドアのガラス部材として用いられている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−19342号公報
【特許文献2】特許第4578498号公報
【特許文献3】特開2002−319694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
省エネルギーのために、商用電源を用いることなく独立型電源のみにより自動ドアを稼働できることが好ましい。太陽電池による発電電力を、鉛蓄電池のような二次電池に蓄電することが望ましいが、二次電池のみでは多様な日照条件及び夜間における安定した稼働を保証できない。従って、特許文献2のように蓄電要素として、二次電池に加えて電気二重層キャパシタを利用することが好ましい。また、稼働される自動ドアが軽量であれば、より省エネルギーに寄与できる。
【0007】
以上の点に鑑み、本発明は、省エネルギーを実現する自動ドア用電源装置、自動ドア開閉制御方法及び自動ドア構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するべく、本発明は、以下の各構成を提供する。なお、括弧内の数字は、後述する図面中の符号であり、参考のために付する。
本発明による自動ドア用電源装置は、少なくとも1つの太陽電池ユニット(1)と、太陽電池ユニット(1)の発電電力により充電される二次電池(4)と、発電電力の余剰電力を蓄積する電気二重層キャパシタ(5)とを備えた自動ドア用電源装置において、自動ドア(9A)の待機時に、太陽電池ユニット(1)から得られる発電電力により二次電池(4)を充電可能である場合は前記二次電池(4)を充電するとともに、前記二次電池(4)を充電する発電電力に余剰電力がある場合はその余剰電力により電気二重層キャパシタ(5)を充電するべく制御する第1の制御手段と、自動ドア(9A)の開閉時に、前記太陽電池ユニット(1)から得られる発電電力又は前記二次電池(4)の放電電力のうち少なくとも一方を、自動ドアを開閉するモータ(95)の駆動電力として供給するとともに、前記電気二重層キャパシタ(5)の放電電力を前記モータ(95)の突入電力として供給するべく制御する第2の制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記の自動ドア用電源装置において、複数の前記太陽電池ユニット(1)を備えており、各太陽電池ユニット(1)は、並列接続された複数の太陽電池セル(11)と、前記複数の太陽電池セル(11)の発電電力から最大電力を取り出す最大電力点追従制御回路(132)と、前記最大電力点追従制御回路(132)から取り出された最大電力の電圧を所定の規定電圧に昇圧する規定電圧昇圧回路(133)とを具備し、
前記規定電圧昇圧回路(133)にて昇圧された後の各太陽電池ユニット(1)の電力を統合する電力入力アレイ部(2)をさらに備えたことが、好適である。
【0010】
本発明による自動ドア開閉制御方法は、上記の自動ドア用電源装置を備えた自動ドアの開閉制御方法であって、自動ドアに近づく人又は物体のサイズ及び移動方向を検知するステップと、検知された前記サイズ及び移動方向に基づいて自動ドアの開閉量を演算するステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
上記の自動ドア開閉制御装置において、演算された前記自動ドアの開閉量に基づいて自動ドアの開閉速度を演算するステップを有することが、好適である。
【0012】
本発明による自動ドア構造は、上記の自動ドア用電源装置を備えた自動ドア(9A)であって、所定の間隔を空けて配置された2枚の透明板(91、91)と、前記2枚の透明板(91、91)の間に介在する中間樹脂層(96)と、これらの外周に取り付けられた枠(92)を備え、前記枠(92)は炭素繊維強化プラスチック複合材であり、かつ、前記中間樹脂層(96)内に前記複数の太陽電池セル(11)が互いに所定の間隔を空けて配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明による自動ドア用電源装置は、複数の太陽電池ユニットと、二次電池と、電気二重層キャパシタとを備えており、太陽電池ユニットによる発電電力のみにより自動ドアを稼働することができる。よって、商用電源は不要である。自動ドア用電源装置の制御手段は、自動ドアが静止している待機モードと、自動ドアが開閉動作を行う開閉モードの2つのモードを備えている。待機モードでは、発電電力により二次電池を充電するとともに、余剰電力がある場合は電気二重層キャパシタも充電する。開閉モードでは、発電電力又は二次電池の放電電力のいずれか又は双方をモータの駆動電力として供給するとともに、電気二重層キャパシタの放電電力をモータの突入電流のための電力として供給する。
【0014】
これにより、モータ始動時に突入電流が十分に供給されるため、自動ドアの開閉開始時のモータ駆動電力の低下を回避でき、開閉を速やかに開始できる。太陽電池ユニット及び二次電池の容量については、駆動電力を考慮すれば十分であり、突入電力の確保まで考慮する必要がない。よって、これらの装置を小型とすることができ設置スペースを小さくできる。
【0015】
本発明による自動ドア用電源装置は、各太陽電池ユニットが、複数の並列接続された太陽電池セルと、最大電力点追従制御回路と、取り出された最大電力の電圧を所定の規定電圧まで昇圧する規定電圧昇圧回路とを具備する。従って、各太陽電池ユニットにおいて取り出された最大電力の電圧にバラツキがあっても規定電圧昇圧回路により、一定の電圧とすることができ、安定した電力供給が可能となる。
【0016】
本発明による自動ドア開閉制御方法では、自動ドアに近づく人又は物体のサイズ及び移動方向を検知し、検知されたサイズ及び移動方向に基づいて自動ドアの開閉量を演算し、さらに開閉速度を演算する。これにより、必要以上の自動ドアの開閉駆動による電力消費を回避できるので、消費電力を節減できる。
【0017】
本発明による自動ドア構造は、透明板の枠が炭素繊維強化プラスチック複合材であるので、強度がある上に軽量である。軽量であることにより消費電力を節減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による自動ドア用電源装置を備えた自動ドアシステムの全体を模式的に示した機能構成図である。
【図2】図1に示した複数の太陽電池ユニット1と、電力入力アレイ部2をさらに詳細に示した機能構成図である。
【図3】図1に示した充放電ドア開閉制御部3をさらに詳細に示した機能構成図である。
【図4】自動ドアの待機モードにおける図3の機能構成を示した図である。
【図5】待機モードにおける制御フローの一実施例の概略を示した流れ図である。
【図6】待機モードにおける制御フローの一実施例の概略を示した流れ図である。
【図7】自動ドアの開閉モードにおける図3の機能構成を示した図である。
【図8】開閉モードにおける制御フローの第1実施例の概略を示した流れ図である。
【図9】開閉モードにおける制御フローの第2実施例の概略を示した流れ図である。
【図10】モーションセンサによる移動方向の検知を説明するために、両開きの2枚の自動ドア及びその周囲を示した平面図である。
【図11】自動ドアの構造の一実施例を示した(a)正面図及び(b)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施例を示した図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(1)自動ドアシステムの全体構成
図1は、本発明による自動ドア用電源装置を備えた自動ドアシステムを概略的かつ模式的に示した機能構成図である。図1中、太線は電力の主要な流れを示し、細線はセンサ信号又は制御信号の主要な流れを示す。図1を参照してシステム構成の概略を説明する。
【0020】
図1では、一例として、1枚の自動ドア9Aと1枚の戸袋9Bを備えた片開きの自動ドアが示されている。自動ドア9A及び戸袋9Bは、いずれも2枚合わせの強化ガラスから構成され、2枚の強化ガラスの間に太陽電池ユニット1が配設されている。
【0021】
図示の例では、1つの太陽電池ユニット1が自動ドア9Aに内蔵されており、別の太陽電池ユニット1が戸袋9Bに内蔵されている。各太陽電池ユニット1は、並列接続された複数の太陽電池セル11と、PV接点ブレーカ12と、最大電力点追従制御部(以下「MPPT部」と称する)13とをそれぞれ具備する。PV接点ブレーカ12は、太陽電池セル11からの発電電力の入力させる場合はオン(接続)とされ、入力させない場合はオフ(遮断)とされる。
【0022】
自動ドア9Aの外周に取り付けられた枠92、周囲の壁又は天井等の内部に、自動ドア9Aを開閉するためのモータ95を含む駆動機構が設置されている。人感センサ93は、例えば赤外線センサ等であり、自動ドア9Aの周囲の所定範囲内への人や物体の進入及び退出を検知するために適宜の箇所に設置される。太陽電池ユニット1用の温度計94も適宜の箇所に設置される。
【0023】
各太陽電池ユニット1から得られる発電電力は、電力入力アレイ部2において統合され、充放電ドア開閉制御部3へ送られる。充放電ドア開閉制御部3は、二次電池4及び電気二重層キャパシタ(以下「EDLC」と称する)5の充放電制御と自動ドア9Aの開閉制御を行う。二次電池4は、コンパクトな設計が可能なリチウムイオン電池が好適である。しかしながら、他の公知の二次電池でもよい。
【0024】
モータ駆動回路7は、モータ95を駆動するための、パルス幅変調(PMW)やパルス周波数変調(PFM)を行うチョッパ回路あるいはDC−AC変換を行うインバータ回路等である。
【0025】
主接点ブレーカ81は、電力入力アレイ部2から充放電ドア開閉制御部3へ送られた入力電力を直接、モータ駆動回路7に供給する場合にオンとされ、供給しない場合はオフとされる。
【0026】
二次電池接点ブレーカ41は、二次電池4に蓄電された電力を放電してモータ駆動回路7に供給する場合にオンとされ、供給しない場合はオフとされる。
【0027】
EDLC接点ブレーカ51は、EDLC5に蓄電された電力を放電して突入電力供給部6に供給する場合にオンとされ、供給しない場合はオフとされる。
【0028】
図2及び図3を参照して、自動ドアシステムの構成をさらに詳細に説明する。
図2は、図1に示した複数の太陽電池ユニット1と、電力入力アレイ部2をさらに詳細に示した機能構成図である。なお、図1では太陽電池ユニット1は2つであったが、一般的には、複数設けることができる。例えば、両開きの2枚の自動ドアとこれらの両側の2枚の戸袋がある場合、4つの太陽電池ユニット1を設置できる。
【0029】
太陽電池ユニット1のPV接点ブレーカ12は、太陽電池セル11の通常の発電時にはオンとされ、充放電ドア開閉制御部3への入力電力が過剰となった場合は遮断される。MPPT部13は、CPU131により制御されるMPPT回路132と、規定電圧昇圧回路133とを有する。
【0030】
MPPT回路132は、最大電力点追従制御を行う回路である。最大電力点追従制御は、公知の幾つかの方法が知られており、いずれの方法でもよい。MPPT回路132は、常に電流と電圧が変動する複数の太陽電池セル11の出力から最大電力を得られる電圧と電流を決定し、最大電力にて出力する。
【0031】
なお、自動ドア毎及び戸袋毎に設置されている各太陽電池ユニット1は、それぞれ発電量にばらつきがある。これは、日照条件が異なることにもよるが、各太陽電池ユニット1を構成する太陽電池セル11の数が、必ずしも同数とは限らないためでもある。例えば、戸袋は、ドア部分に比べて透過性を確保する必要がないため、多くの太陽電池セル11を配設する一方、自動ドアは安全上ある程度の透過性が必要であるため、太陽電池セル11の数を少なくしたりする。この結果、各太陽電池ユニット1のMPPT回路132により取り出された最大電力の電圧は、各太陽電池ユニット毎に異なってくる。
【0032】
規定電圧昇圧回路133は、MPPT回路132の後段に設けられ、MPPT回路132の出力電圧を所定の規定電圧に昇圧する。これにより、複数の太陽電池ユニット1の各々から得られる最大電力の電圧が一定となる。このようにして、各太陽電池ユニット1から得られた電力は、同じ電圧に昇圧されて電力入力アレイ部2に送られる。
【0033】
なお、複数の太陽電池セル11からMPPT回路132を通して取り出される最大電力における電圧が20V〜30V程度の低電圧となることが、発電効率の観点から望ましい。この電圧を規定電圧昇圧回路133により昇圧し、高電圧にて後段の電力入力アレイ部2へ送ることが、好適である。高電圧化することにより極く細い電力線でも電力損失を抑制して送電できる。
【0034】
電力入力アレイ部2は、CPU21と、アレイ回路22と、PV入力電流電圧計測部23と、分岐回路24と、昇圧回路25とを有する。アレイ回路22は、複数の太陽電池ユニット1からの電力を統合する。PV入力電流電圧計測部23は、統合されたPV入力電力における電流と電圧を計測し、計測データ信号を充放電ドア開閉制御部3へ送る。計測結果に基づいて充放電ドア開閉制御部3は、CPU21に制御信号を送る。CPU21は、充放電ドア開閉制御部3からの制御信号に基づいて分岐回路24及び昇圧回路25を制御する。統合された電力をそのまま出力する場合は、分岐回路24からそのまま出力される。統合された電力の電圧を昇圧して出力する場合は、分岐回路24から昇圧回路25に送り、昇圧回路25にて所定の電圧に昇圧してから出力する。電力入力アレイ部2から出力された電力は、充放電ドア開閉制御部3へ送られる。
【0035】
図3は、図1に示した充放電ドア開閉制御部3をさらに詳細に示した機能構成図である。図3では、充放電ドア開閉制御部3の後段に配置される各構成要素との関係もさらに詳細に示した。
【0036】
充放電ドア開閉制御部3は、CPU31と、入力電流電圧計測部32と、出力電流制御回路33と、出力電流電圧計測部34と、EDLC制御回路35と、EDLC電流電圧計測部36と、ドア開閉制御回路37とを有する。
【0037】
入力電流電圧計測部32は、電力入力アレイ部2からラインL1を通して送られた入力電力における電流及び電圧(以下それぞれ「入力電流」及び「入力電圧」と称する)を計測し、計測データ信号をCPU31へ送る。また、入力電力をラインL2及び/又はL5に出力する。ラインL2は入力電力の全部又は一部を出力電流制御回路33へ送る。また、EDLC5の放電電力がラインL8、L9及びL10を通して入力された場合も、ラインL2を通して出力電流制御回路33へ送る。
【0038】
出力電流電圧制御回路33へ送られた電力は、主接点ブレーカ81がオンのときはラインL3及びL11を通してモータ駆動回路7へ駆動電力として供給される。一方、主接点ブレーカ81がオフのときはラインL3及びL4を通して二次電池4の充電電力として供給。
【0039】
出力電流電圧制御回路33は、DC−DCコンバータにより構成され、CPU31から送られるPWM信号により制御される。出力電流電圧制御回路33は、モータ駆動回路7に対し駆動電力を送る場合、及び、二次電池4に対し充電電力を送る場合のそれぞれにおいて、その開始及び停止並びにその電流及び電圧を設定する。
【0040】
出力電流電圧計測部34は、出力電流電圧制御回路33から送られる電力における電流及び電圧を計測し、計測データ信号をCPU31へ送る。また、出力電流電圧計測部34は、出力電流電圧制御回路33から送られる電力を遮断することにより、二次電池4の出力電流及び出力電圧を計測でき、その計測データ信号もCPU31へ送る。
【0041】
EDLC制御回路35は、DC−DCコンバータにより構成され、CPU31から送られるPWM信号により制御される。このDC−DCコンバータは、ラインL6及びL7で示されるEDLC5の充電、並びに、ラインL8及びL9で示されるEDLC5の放電の双方向に働くことができる。CPU31からの制御によりEDLC5の充放電の開始及び停止並びにその電流及び電圧を設定する。ラインL8及びL9によるEDLC5の放電電力は、ラインL10により入力電流電圧計測部32へ送られ、二次電池4の充電電力として用いられる。
【0042】
EDLC電流電圧計測部36は、EDLC制御回路35からの充電電力及びEDLC5からの放電電力における電流及び電圧を計測し、計測データ信号をCPU31へ送る。また、EDLC電流電圧計測部36は、EDLC制御回路35との接続を遮断することにより、EDLC5を充放電ドア開閉制御部3から切り離すことができる。
【0043】
EDLC5は、充放電ドア開閉制御部3から切り離されかつEDLC接点ブレーカ51がオンのとき、ラインL13を通して突入電力供給部6に対して放電電力を出力する。EDLC接点ブレーカ51は、CPU31により制御される。
【0044】
突入電力供給部6は、DC−DCコンバータより構成され、その出力電流及び出力電圧は、CPU31から送られる制御信号により制御される。突入電力供給部6は、モータ駆動回路7に対して、モータ始動時の突入電流に対応可能な電力を供給する。これにより、太陽電池ユニットの発電電力又は二次電池4の放電電力のいずれでモータ95を駆動する場合であっても、突入電流に起因して駆動電力(駆動電圧)が規定値より低下することを回避できる。この結果、モータ95を速やかに始動することができる。
【0045】
ドア開閉制御回路37は、自動ドアの開閉動作を行うとき、モータ駆動回路7に対して制御信号を送る。モータ95に対する主な制御は、正回転又は逆回転の回転方向の制御と、回転速度の制御がある。
【0046】
以上に述べた自動ドアシステムにおける自動ドア用電源装置の制御は、主として充放電ドア開閉制御部3(具体的にはCPU31)により実行される。制御モードとして、自動ドアが静止しているときの待機モードと、自動ドアが開閉動作を行うときの開閉モードの2つのモードを備えている。待機モードでは、発電電力により二次電池を充電するとともに、さらに余剰電力がある場合は電気二重層キャパシタも充電する。開閉モードでは、発電電力又は二次電池の放電電力のいずれか又は双方をモータの駆動電力として供給するとともに、電気二重層キャパシタの放電電力を突入電流用の電力として供給する。
以下、各モードにおける制御処理について説明する。
【0047】
(2)自動ドアの待機モードにおける制御
図4は、自動ドアの待機モードにおける図3の機能構成を示した図である。電力又は信号の流れを示す各ラインについて、電力若しくは信号が送られるライン及びオン状態のラインは実線で示し、それ以外のラインは点線で示している。
【0048】
図5及び図6は、待機モードにおける制御フローの一実施例の概略を示した流れ図である。図5及び図6の制御フローは、自動ドアが静止しているとき、すなわち人や物体の進入又は退出を検知しない期間に繰り返し実行される。自動ドアの静止状態は、閉じた状態の他に、開いた状態で静止している場合も含む。
【0049】
なお、前提として、図5及び図6の制御フローは、所定の値以上の発電電力が得られている場合の制御フローである。夜間及び日照条件の悪い昼間など、発電電力が所定の値未満の場合には、自動ドアが静止状態であってもこの制御フローは停止される。
【0050】
以下では、図1〜図3に示した符号を参照して図5及び図6の制御フローを説明する。
・ステップ101:二次電池4の現時点の電圧(出力電流電圧計測部34にて計測)が、二次電池4の満充電電圧より大きいか否かを判断する。ここで、「二次電池4の満充電電圧」とは、二次電池4を満充電したときの電圧であり、それ以上の充電はできない上限電圧である。二次電池4の電圧が満充電電圧より大きい場合は、二次電池4は充電不要であり、図6の制御フローへ進む。二次電池4の電圧が満充電電圧以下の場合は、二次電池4の充電が必要であり、ステップ102へ進む。
【0051】
・ステップ102:各PV接点ブレーカ12をオンとして発電電力を入力可能とする。
・ステップ103:各MPPT部13のMPPT回路132にてMPPT処理を行う。
・ステップ104:各MPPT部13の規定電圧昇圧回路133にて規定電圧への昇圧処理を行う。
・ステップ105:電力入力アレイ部2にて発電電力を統合する。統合された発電電力は、充放電ドア開閉制御部3への入力電力となる。
【0052】
・ステップ106:充放電ドア開閉制御部3への入力電力の入力電圧(入力電流電圧計測部32にて計測)が、二次電池4の充電設定電圧以上であるか否かを判断する。ここで「二次電池4の充電設定電圧」とは、二次電池4を充電可能な最低電圧より大きい所定の設定された電圧である。入力電圧が二次電池4の充電設定電圧以上である場合は、二次電池4を充電することが決定され、ステップ107へ進む。入力電圧が二次電池4の充電設定電圧未満である場合は、ステップ111へ進む。
【0053】
・ステップ107:ここで、二次電池4と同時にEDLC5も充電する余剰電力があるか否かを算出する。算出式は以下の通りである。
(式1)EDLCへの余剰電流=(入力電力−二次電池充電電力)/入力電圧
上式において、入力電圧は入力電流電圧計測部32にて計測され、入力電力は、入力電流と入力電圧の積として算出される。二次電池充電電力は、二次電池の充電のために設定する電流と電圧の積として算出される。
【0054】
・ステップ108:ステップ107で算出されたEDLC5への余剰電流が正か否かを判断する。正である場合は、その余剰電流によりEDLC5を充電するべくステップ109へ進む。正でない場合は余剰電力が無いのでEDLC5の充電は行わず、ステップ110へ進み、入力電力による二次電池4の充電処理を行う。
【0055】
・ステップ109:EDLC5を充電するべくEDLC制御回路35が充電のための電流及び電圧を設定し、入力電力によるEDLC5の充電を実行する。その後、ステップ110へ進み、入力電力による二次電池4の充電処理を行う。
【0056】
・ステップ110:出力電流電圧制御回路33が設定した電流及び電圧にて二次電池4の充電を実行する。
【0057】
・ステップ111:上記ステップ106において入力電圧が二次電池4の充電に不十分である場合、入力電圧の昇圧が可能か否かを判断する。現時点の入力電圧がそれ以上昇圧できない場合は、ステップ113へ進む。現時点の入力電圧がさらに昇圧できる場合は、ステップ112へ進む。
【0058】
・ステップ112:電力入力アレイ部2のCPU21に制御信号を送り、昇圧回路25を通して二次電池4の充電設定電圧となるように昇圧を行わせる。これにより、入力電圧は、二次電池4の充電設定電圧となるので、その後、ステップ110へ進み、入力電力による二次電池4の充電処理を行う。
【0059】
・ステップ113:上記ステップ111において現時点の入力電圧がそれ以上昇圧できず入力電力による二次電池4の充電ができない場合、EDLC5からの放電電圧(EDLC電流電圧計測部36により計測)が、二次電池4の充電設定電圧以上であるか否かを判断する。EDLC5の放電電圧が二次電池4の充電設定電圧以上である場合は、EDLC5の放電が決定され、ステップ114へ進む。EDLC5の放電電圧が二次電池4の充電設定電圧未満である場合は、ステップ110へ進み、入力電力をそのまま用いて二次電池4の充電を行う。
【0060】
・ステップ114:EDLC5を放電させ、その放電電力を出力電流電圧制御回路33に供給する。その後、ステップ110に進み、EDLC5の放電電力による二次電池4の充電を行う。
【0061】
次に、図6の制御フローを説明する。図6の制御フローは、二次電池4が満充電されており充電不要の場合である。
・ステップ120:PV入力電圧(PV入力電流電圧計測部23により計測)がPV接点ブレーカ12の遮断電圧未満であるか否かを判断する。遮断電圧未満である場合は、ステップ121へ進み、遮断電圧以上である場合は発電過剰であるのでシステムを保護するためにPV接点ブレーカ12をオフとし、処理を終了する。
【0062】
・ステップ121:PV接点ブレーカ12をオンし、発電電力を入力可能とする。
【0063】
・ステップ122:入力電力によるEDLC5の充電処理を行う。この場合、二次電池4を充電する必要はないので、入力電力の全てをEDLC5への余剰電力として利用できる。EDLC5への余剰電流は、以下の式の通りとなる。
(式2)EDLCへの余剰電流=入力電力/入力電圧
入力電力によるEDLC5の充電を実行した後、処理を終了する。
【0064】
図5及び図6の制御フローをまとめると、二次電池4の充電及びEDLC5の充放電は以下の6つのパターンで行われる。
(i)入力電力(二次電池充電設定電圧以上により二次電池4及びEDLC5を充電する(ステップ109)。
(ii)入力電力(二次電池充電設定電圧以上)により二次電池4のみを充電する(ステップ108でNo)。
(iii)入力電力(二次電池充電設定電圧未満)の入力電圧を昇圧して二次電池4のみを充電する(ステップ112)。
(iv)EDLC5の放電電力により二次電池4を充電する(ステップ114)。
(v)入力電力(二次電池充電設定電圧未満)により二次電池4のみを充電する(ステップ113でNo)。
(vi)入力電力によりEDLC5のみを充電する(ステップ122)。
【0065】
自動ドア待機モードでは、太陽電池ユニット1の発電電力を可能な限り利用して二次電池4及びEDLC5を充電する。発電電力が不十分の場合は、EDLC5の放電電力を利用して二次電池4を充電する。
【0066】
(3)自動ドアの開閉モードにおける制御
図7は、自動ドアの開閉ードにおける図3の機能構成を示した図である。電力又は信号の流れを示す各ラインについて、電力若しくは信号が送られるライン及びオン状態のラインは実線で示し、それ以外のラインは点線で示している。
【0067】
開閉モードの制御フローは、自動ドアが開閉を行うとき、すなわち人や物体の進入又は退出を検知してから自動ドアの開閉動作が完了するまでの期間に実行される。従って、通常は、上述の待機モードの制御フローが繰り返し実行されており、開閉モードは、待機モードに対する割り込み処理として実行され、実行後は待機モードに復帰する。
【0068】
さらに、夜間及び日照条件の悪い昼間など、上述の図5及び図6の待機モードの制御フローが停止している場合であっても、開閉モードは実行される。
【0069】
図8は、開閉モードにおける制御フローの第1実施例の概略を示した流れ図である。以下では、図1〜図3に示した符号を参照して説明する。
【0070】
・ステップ201:人感センサ93が所定範囲内への人又は物体の進入、又は、所定範囲内からの退出を検知する。これにより、待機モードであった場合は、待機モードを中断して開閉モードとなる(あるいは、待機モードが停止中であった場合も、開閉モードとなる)。
【0071】
・ステップ202:EDLC5の充電側を遮断し、EDLC5と充放電ドア開閉制御部3を切り離す。さらに、EDLC接点ブレーカ51をオンとする。すなわちEDLC5と突入電力供給部6を接続する。
【0072】
・ステップ203:入力電圧(入力電流電圧計測部32により計測)及び入力電力(入力電流と入力電圧の積)が、モータ駆動回路7及びモータ95の駆動電圧及び駆動電力以上であるか否かを判断する。これは、入力電力(発電電力)により直接モータ95を駆動可能か否かを判断するためである。例えば、日照条件の良い昼間であれば発電電力により直接駆動可能であり、夜間や日照条件の悪い昼間は駆動不可となる。駆動可能である場合は、ステップ204に進み、駆動不可の場合は、二次電池4の放電電力によりモータ95を駆動することとし、ステップ205に進む。
【0073】
・ステップ204:入力電力により直接モータ95を駆動する場合、二次電池4の充電側すなわち充放電ドア開閉制御部3との接続を遮断し、充電できない状態とする。さらに、主接点ブレーカ81をオンとする。
【0074】
・ステップ205:二次電池4の放電電力によりモータ95を駆動する場合も、二次電池4の充電側すなわち充放電ドア開閉制御部3との接続を遮断し、充電できない状態とする。さらに、二次電池接点ブレーカ41をオンとする。
【0075】
・ステップ206:入力電力(二次電池4を利用する場合はその放電電力)をモータ駆動回路7に供給すると同時に、EDLC5の放電電力を突入電力供給部6を通してモータ駆動回路7に供給する。開動作又は閉動作の選択、開閉量及び開閉速度に関する制御信号は、ドア開閉制御回路37からモータ駆動回路7へ送られる。この実施例では、自動ドアの開閉量及び開閉速度は、予め所定の値に設定されているものとする。このようにして、モータ95に十分な突入電流及び駆動電流が供給され、モータ95は自動ドアの開動作又は開動作を行う。
【0076】
・ステップ207:開動作又は閉動作の完了後、主接点ブレーカ81(二次電池4を利用した場合は二次電池接点ブレーカ51)をオフとする。同時に、二次電池4の充電側を再び接続し、充電可能状態とする。
【0077】
・ステップ208:EDLC接点ブレーカ51をオフとし、さらに、EDLC5の充電側を、充放電ドア開閉制御部3と再び接続する。これにより自動ドアの開閉モードは終了する。その後、自動ドアの待機モードに復帰する(あるいは、待機モードの停止状態に戻る)。
【0078】
なお、上述した第1実施例では、ステップ203、204、205において、発電電力又は二次電池4の放電電力のいずれかを駆動電力として選択したが、変形実施例として、双方の電力を同時に駆動電力として利用してもよい。いずれの電力を優先的に利用するか、また利用する電力をどのように配分するかについては、多様な設定が可能である。
【0079】
図9は、開閉モードにおける制御フローの第2実施例の概略を示した流れ図である。
この第2実施例では、図8に示した第1実施例で用いる人感センサに替えてモーションセンサを用いる。モーションセンサは、形状認識センサとも称され、人又は物体のサイズを検知できる。この場合に重要なサイズは、自動ドアを通過する際の幅である。さらに、第2実施例では、モーションセンサを利用して人又は物体の移動方向を検知する。
【0080】
図10は、両開きの2枚の自動ドア9A、9A及びその周囲を示した平面図である。モーションセンサ93’は、所定の箇所に設けられている。自動ドアに隣接する半円領域を36°の角度毎に5つの扇形の区画A、B、C、D、Eに分ける。モーションセンサ93’は、人又は物体がどの区画に存在するかを時系列的に検知する。これにより、移動方向、移動速度、人又は物体の数等を認識できる。例えば、区画B、C、Dから進入した場合は、正面方向からの進入と判断され、区画A,Eから進入した場合は、横方向からの進入と判断される。
【0081】
以下、図9の開閉モードにおける制御フローを説明する。以下の説明では、図1〜図3に示した符号を参照する場合がある。
・ステップ301:モーションセンサが区画A、B、C、D、Eのいずれかに人又は物体が進入したことを検知する。これにより、待機モードであった場合は、待機モードを中断して開閉モードとなる(あるいは、待機モードが停止中であった場合も、開閉モードとなる)。
【0082】
・ステップ302:モーションセンサは進入した人又は物体の形状及び位置を一定時間毎に検知し、充放電ドア開閉制御部3のCPU31に時系列的な計測データ信号を送る。
【0083】
・ステップ303:CPU31は、計測データ信号に基づいて人又は物体のサイズ、移動方向及び移動速度を決定する。一例として、次のような処理を行う(なお、この例では、最大開閉量を2200cmとする)。
・ステップ3031:区画Cからの進入の場合、サイズが90cm以上か否かを判断する。90cm未満の場合はステップ3032へ進み、90cm以上の場合はステップ3033へ進む。
・ステップ3032:開閉量を90cmとする。
・ステップ3033:区画B、Dからの進入の場合、又は、区画Cからの進入でサイズ90cm以上の場合は、サイズが1080cm以上か否かを判断する。1080cm未満の場合はステップ3034に進み、1080cm以上の場合はステップ3035へ進む。
・ステップ3034:開閉量を1080cmとする。
・ステップ3035:区画A、Eからの進入の場合、又は、区画C、B、Dからの進入でサイズ1080cm以上の場合は、開閉量を2200cmとする。
【0084】
・ステップ304:ステップ303で決定された開閉量に基づいて、自動ドアの実際の開閉量及び開閉速度を演算し、設定する。
【0085】
・ステップ305:その後は、図8のステップ202〜208と同様の処理を行い、自動ドアの開動作又は閉動作を完了し、開閉モードを終了する。その後、自動ドアの待機モードに復帰する(あるいは、待機モードの停止状態に戻る)。
【0086】
第2実施例の制御フローを用いた場合、自動ドアを常に最大開閉量で開閉する替わりに、通過に必要な幅だけ開閉するので消費電力を節減することができる。例えば、開閉量を最大開閉量の40%、50%とした場合のエネルギー削減率はそれぞれ60%、50%である。
【0087】
さらに別の実施例として、自動ドアが開いている途中又は開いた後に、次の別の進入者を検知した場合、その進入者の移動方向及びサイズのデータを取得し、開閉量を増す必要があるか否かを判断し、開閉量を変更してもよい。開閉モードにおける制御フローは、上述した実施例に限定されるものではなく、多様に考えられる。
【0088】
(4)自動ドアの構造
図11は、本発明の自動ドア用電源装置により駆動される自動ドアの構造の一実施例を概略的に示す図であり、(a)は正面図(背景の木も表現)、(b)は(a)のA−A断面図である。
【0089】
自動ドア9Aは、正面側と背面側に面した2枚の透明板91、91と、これらの透明板91、91の間に介在し双方の透明板と固着した中間樹脂層96とを備えた積層構造を有している。透明板91は、通常、強化ガラスである。好適例では、この積層構造の外周に取り付けられた枠92が、炭素繊維と熱硬化性樹脂等のプラスチックから作製された炭素繊維強化プラスチック複合材(CFRP)である。枠92は、例えば、外周のうち上縁と下縁を包囲するように取り付けられる。CFRPは、自動ドアの枠としての強度を備える上、従来のステンレス材に比べて軽量であるので消費電力の節減に効果的である。また、自動ドアが軽量化されると、駆動機構に加えて発電装置及び制御装置の全てを自動ドアに内蔵させることも可能となる。
【0090】
太陽電池ユニットを構成する複数の太陽電池セル11は、中間樹脂層96内に互いに所定の間隔を空けて配設されている。図11(a)に示すように、太陽電池セル11の無い部分は透明であるので、背景を透視できる。さらに、太陽電池セル11として、透過率を調整可能な採光型太陽電池(特許文献3)を用いることが、好適である。複数の太陽電池セル11は配線(図示せず)により互いに並列接続されている。
【0091】
自動ドアでは、安全性の観点から、目の高さ約1.5m前後により多くの透過部分を設けることが望ましい。一方、戸袋ではこのような配慮は不要であるので、透過部分が少なくてもよい。よって、自動ドアと戸袋では設置する太陽電池セルの数が異なる場合がある。この結果、日照条件が同じであっても、自動ドアに設けた太陽電池ユニットと、戸袋に設けた太陽電池ユニットでは、発電電力に差が生じる。このような発電電力の差は、上述した各太陽電池ユニットにおけるMPPT部の規定電圧昇圧回路(図2の符号133)により、入力電力を統合する前に解消できる。
【符号の説明】
【0092】
1:太陽電池ユニット、11:太陽電池セル(PV)、12:PV接点ブレーカ、13:MPPT部、131:CPU、132:MPPT回路、133:規定電圧昇圧回路
2:電力入力アレイ部、21:CPU、22:アレイ回路、23:PV入力電流/電圧計測部、24:分岐回路、25:昇圧回路
3:充放電ドア開閉制御部、31:CPU、32:入力電流電圧計測部、33:電流制御回路、34:出力電流電圧計測部、35:EDLC制御回路、36:EDLC電流電圧計測部、37:ドア開閉制御回路
4:二次電池、41:二次電池接点ブレーカ
5:電気二重層キャパシタ(EDLC)、51:EDLC接点ブレーカ
6:突入電力供給部
7:モータ駆動回路
81:主接点ブレーカ
9A:自動ドア、9B:戸袋、91:透明板、92:枠、93:人感センサ、93’:モーションセンサ、94:温度計、95:モータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの太陽電池ユニット(1)と、太陽電池ユニット(1)の発電電力により充電される二次電池(4)と、発電電力の余剰電力を蓄積する電気二重層キャパシタ(5)とを備えた自動ドア用電源装置において、
自動ドア(9A)の待機時に、太陽電池ユニット(1)から得られる発電電力により二次電池(4)を充電可能である場合は前記二次電池(4)を充電するとともに、前記二次電池(4)を充電する発電電力に余剰電力がある場合はその余剰電力により電気二重層キャパシタ(5)を充電するべく制御する第1の制御手段と、
自動ドア(9A)の開閉時に、前記太陽電池ユニット(1)から得られる発電電力又は前記二次電池(4)の放電電力のうち少なくとも一方を、自動ドアを開閉するモータ(95)の駆動電力として供給するとともに、前記電気二重層キャパシタ(5)の放電電力を前記モータ(95)の突入電力として供給するべく制御する第2の制御手段と、を備えたことを特徴とする自動ドア用電源装置。
【請求項2】
複数の前記太陽電池ユニット(1)を備えており、各太陽電池ユニット(1)は、並列接続された複数の太陽電池セル(11)と、前記複数の太陽電池セル(11)の発電電力から最大電力を取り出す最大電力点追従制御回路(132)と、前記最大電力点追従制御回路(132)から取り出された最大電力の電圧を所定の規定電圧に昇圧する規定電圧昇圧回路(133)とを具備し、
前記規定電圧昇圧回路(133)にて昇圧された後の各太陽電池ユニット(1)の電力を統合する電力入力アレイ部(2)をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動ドア用電源装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自動ドア用電源装置を備えた自動ドアの開閉制御方法であって、
自動ドアに近づく人又は物体のサイズ及び移動方向を検知するステップと、
検知された前記サイズ及び移動方向に基づいて自動ドアの開閉量を演算するステップと、を有することを特徴とする自動ドア開閉制御方法。
【請求項4】
演算された前記自動ドアの開閉量に基づいて自動ドアの開閉速度を演算するステップを有することを特徴とする請求項3に記載の自動ドア開閉制御方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の自動ドア用電源装置を備えた自動ドア(9A)の構造であって、
所定の間隔を空けて配置された2枚の透明板(91、91)と、前記2枚の透明板(91、91)の間に介在する中間樹脂層(96)と、これらの外周に取り付けられた枠(92)を備え、
前記枠(92)は炭素繊維強化プラスチック複合材であり、かつ、前記中間樹脂層(96)内に前記複数の太陽電池セル(11)が互いに所定の間隔を空けて配設されていることを特徴とする自動ドア構造。
【請求項1】
少なくとも1つの太陽電池ユニット(1)と、太陽電池ユニット(1)の発電電力により充電される二次電池(4)と、発電電力の余剰電力を蓄積する電気二重層キャパシタ(5)とを備えた自動ドア用電源装置において、
自動ドア(9A)の待機時に、太陽電池ユニット(1)から得られる発電電力により二次電池(4)を充電可能である場合は前記二次電池(4)を充電するとともに、前記二次電池(4)を充電する発電電力に余剰電力がある場合はその余剰電力により電気二重層キャパシタ(5)を充電するべく制御する第1の制御手段と、
自動ドア(9A)の開閉時に、前記太陽電池ユニット(1)から得られる発電電力又は前記二次電池(4)の放電電力のうち少なくとも一方を、自動ドアを開閉するモータ(95)の駆動電力として供給するとともに、前記電気二重層キャパシタ(5)の放電電力を前記モータ(95)の突入電力として供給するべく制御する第2の制御手段と、を備えたことを特徴とする自動ドア用電源装置。
【請求項2】
複数の前記太陽電池ユニット(1)を備えており、各太陽電池ユニット(1)は、並列接続された複数の太陽電池セル(11)と、前記複数の太陽電池セル(11)の発電電力から最大電力を取り出す最大電力点追従制御回路(132)と、前記最大電力点追従制御回路(132)から取り出された最大電力の電圧を所定の規定電圧に昇圧する規定電圧昇圧回路(133)とを具備し、
前記規定電圧昇圧回路(133)にて昇圧された後の各太陽電池ユニット(1)の電力を統合する電力入力アレイ部(2)をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動ドア用電源装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自動ドア用電源装置を備えた自動ドアの開閉制御方法であって、
自動ドアに近づく人又は物体のサイズ及び移動方向を検知するステップと、
検知された前記サイズ及び移動方向に基づいて自動ドアの開閉量を演算するステップと、を有することを特徴とする自動ドア開閉制御方法。
【請求項4】
演算された前記自動ドアの開閉量に基づいて自動ドアの開閉速度を演算するステップを有することを特徴とする請求項3に記載の自動ドア開閉制御方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の自動ドア用電源装置を備えた自動ドア(9A)の構造であって、
所定の間隔を空けて配置された2枚の透明板(91、91)と、前記2枚の透明板(91、91)の間に介在する中間樹脂層(96)と、これらの外周に取り付けられた枠(92)を備え、
前記枠(92)は炭素繊維強化プラスチック複合材であり、かつ、前記中間樹脂層(96)内に前記複数の太陽電池セル(11)が互いに所定の間隔を空けて配設されていることを特徴とする自動ドア構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−246674(P2012−246674A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119099(P2011−119099)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(501013156)寺岡ファシリティーズ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(501013156)寺岡ファシリティーズ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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