説明

自動二輪車用ブレーキ装置

【課題】液圧発生手段および車輪ブレーキ間に介設される調圧ユニットの作動を、ブレーキ操作子の操作量を検出する操作量検出手段の検出値に基づいて制御ユニットで制御するようにした自動二輪車用ブレーキ装置において、調圧ユニットにエンジンからの振動による影響が及ばないようにする。
【解決手段】エンジン本体51の左右両側に配置される一対のフレーム部材47と、それらのフレーム部材47とともに車体フレームFの一部を構成するようにしてエンジン本体の後方で両フレーム部材47間を連結するクロスメンバ131とに、調圧ユニット18Rを支持する支持部材130が、弾性部材(132,133,134)を介して浮動支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ操作子の操作量を検出する操作量検出手段と、前記ブレーキ操作子の操作とは無関係に液圧を発生し得る液圧発生手段と、該液圧発生手段の出力液圧を調圧して車輪ブレーキに作用せしめるべく前記液圧発生手段および車輪ブレーキ間に介設される調圧ユニットと、前記操作量検出手段の検出値に基づいて前記調圧ユニットの作動を制御する制御ユニットとを備え、前記調圧ユニットが車体フレームに搭載されるエンジン本体の後方に配置される自動二輪車用ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
調圧ユニットが、自動二輪車に搭載されたエンジンの後方で車体フレームに取付けられるようにしたものが、特許文献1および特許文献2で知られている。
【特許文献1】特公昭63−17662号公報
【特許文献2】特公平7−88158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1,2で開示されたものでは、車体フレームに搭載されるエンジンからの振動による影響が調圧ユニットに及ぶことが避けられず、車輪ブレーキの液圧をより高精度に制御するためには調圧ユニットへのエンジンからの振動による影響を確実に排除する必要がある。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、調圧ユニットにエンジンからの振動による影響が及ばないようにした自動二輪車用ブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ブレーキ操作子の操作量を検出する操作量検出手段と、前記ブレーキ操作子の操作とは無関係に液圧を発生し得る液圧発生手段と、該液圧発生手段の出力液圧を調圧して車輪ブレーキに作用せしめるべく前記液圧発生手段および車輪ブレーキ間に介設される調圧ユニットと、前記操作量検出手段の検出値に基づいて前記調圧ユニットの作動を制御する制御ユニットとを備え、前記調圧ユニットが車体フレームに搭載されるエンジン本体の後方に配置される自動二輪車用ブレーキ装置において、車体フレームに搭載されるエンジン本体の左右両側に配置される一対のフレーム部材と、それらのフレーム部材とともに前記車体フレームの一部を構成するようにして前記エンジン本体の後方で前記両フレーム部材間を連結するクロスメンバとに、前記調圧ユニットを支持する支持部材が、弾性部材を介して浮動支持されることを特徴とする。
【0006】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記支持部材に、該支持部材から吊り下げ支持されるようにして前記調圧ユニットの上部が取付けられることを特徴とする。
【0007】
さらに請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成に加えて、後輪を軸支して前記車体フレームに揺動可能に支承されるスイングアームと、該スイングアームおよび車体フレーム間に設けられるリンク機構の一部を構成するリンク部材との間に設けられるクッションユニットの上端部および前記エンジン本体間に、前記調圧ユニットが配置されることを特徴とする。
【0008】
なお実施例のブレーキペダル16が本発明のブレーキ操作子に対応し、実施例の後輪用液圧発生手段17Rが本発明の液圧発生手段に対応し、実施例の後輪用調圧ユニット18Rが本発明の調圧ユニットに対応し、実施例の第1圧力センサ34が本発明の操作量検出手段に対応し、実施例のセンターフレーム47が本発明のフレーム部材に対応し、実施例のマウントゴム132,133,134が本発明の弾性部材に対応し、実施例の後輪用車輪ブレーキBRが本発明の車輪ブレーキに対応する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、調圧ユニットが、エンジン本体の左右両側に配置される一対のフレーム部材と、それらのフレーム部材とともに前記車体フレームの一部を構成するようにしてエンジン本体の後方で両フレーム部材間を連結するクロスメンバとに、浮動支持されるので、エンジンからの振動が調圧ユニットに及ぶことを抑止することができ、しかも車体フレーム側の剛性の影響を受けずに支持部材の剛性を調圧ユニットを保持するに充分な程度に設定することができ、支持部材の強度を必要以上に高めることを不要として重量およびコスト低減を図ることができる。
【0010】
また請求項2記載の発明によれば、調圧ユニットが支持部材から吊り下げ支持されるいので、車体フレームの幅方向での調圧ユニットの位置を他の部品と干渉しないように調整することが容易となる。
【0011】
さらに請求項3記載の発明によれば、クッションユニットの上端部およびエンジン本体間のスペースに調圧ユニットを有効に配置することができ、しかも調圧ユニットの左右、前後を車体フレーム、エンジン本体およびクッションユニットで囲むようにして調圧ユニットを保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図25は本発明の一実施例を示すものであり、図1は自動二輪車用ブレーキ装置の構成を示す図、図2は自動二輪車の左側面図、図3は前輪用調圧ユニットの支持構造を分解して示す斜視図、図4は前輪用調圧ユニットが支持手段で支持された状態を示す斜視図、図5は前輪用調圧ユニットの車体フレームへの支持状態を示す側面図、図6は図5の6矢視平面図、図7は図6の7−7線断面図、図8は車体フレーム、エンジン本体および前輪用液圧発生手段を図2の8−8線に沿う方向から見た一部切欠き正面図、図9は図8の9−9線断面図、図10は図8の10−10線断面図、図11は図9の11−11線拡大断面図、図12は図9の12−12線拡大断面図、図13は図9の13−13線拡大断面図、図14は後輪用調圧ユニットおよび車体フレームを後方から見た図、図15は図14の15−15線断面図、図16は図14の16−16線断面図、図17は図2のうち後輪用液圧発生手段付近の拡大図、図18は図17の18矢視図、図19は図17の19矢視方向から見た斜視図、図20は図17の20矢視方向から見た斜視図、図21は図18の21−21線断面図、図22は図2のうち制御ユニット付近の拡大図、図23はフロントカウルを外した状態での図22に対応した図、図24は図23から制御ユニットを外した状態を示す図、図25は図22の25−25線断面図である。
【0014】
先ず図1において、自動二輪車が備える前輪用車輪ブレーキBFには、ブレーキ操作子であるブレーキレバー15の操作に応じて前輪用マスタシリンダMFから出力される液圧を作用せしめることが可能であるとともに、前輪用液圧発生手段17Fから出力される液圧を作用せしめることも可能であり、前輪用マスタシリンダMFおよび前輪用液圧発生手段17Fと、前輪用車輪ブレーキBFとの間に前輪用調圧ユニット18Fが介設される。また後輪用車輪ブレーキBRには、ブレーキ操作子であるブレーキペダル16の操作に応じて後輪用マスタシリンダMRから出力される液圧を作用せしめることが可能であるとともに、後輪用液圧発生手段17Rから出力される液圧を作用せしめることも可能であり、後輪用マスタシリンダMRおよび後輪用液圧発生手段17Rと、後輪用車輪ブレーキBRとの間に後輪用調圧ユニット18Rが介設される。
【0015】
前輪用液圧発生手段17Fは、電動モータ19の作動によって液圧を発生するものであり、電動モータ19と、シリンダ体20との間に液圧室21を形成して該シリンダ体20に摺動可能に嵌合されるピストン22と、前記液圧室21の容積を増大する側にピストン22を付勢するようにしてシリンダ体20およびピストン22間に縮設される戻しばね23と、前記ピストン22に前記液圧室21とは反対側から同軸に連接される押圧軸24と、前記押圧軸24にボールねじ(図示せす)を介して同軸に螺合されるギヤ25を有して前記電動モータ19の出力軸に連結されるギヤ機構26とを備えており、電動モータ19の作動に応じて変化する液圧を液圧室21から出力することができる。
【0016】
後輪用液圧発生手段17Rは、上記前輪用液圧発生手段17Fと同様に構成されており、前輪用液圧発生手段17Fに対応する部分に同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0017】
前輪用調圧ユニット18Fは、前輪用マスタシリンダMFおよび前輪用車輪ブレーキBF間の連通・遮断を切換える第1電磁開閉弁28と、前輪用液圧発生手段17Fおよび前輪用車輪ブレーキBF間の連通・遮断を切換える第2電磁開閉弁29と、第1電磁開閉弁28の閉弁時にブレーキレバー15の操作量に応じた擬似的な反力を前輪用マスタシリンダMFに作用せしめるストロークシミュレータ30と、該ストロークシミュレータ30および前輪用マスタシリンダMF間の連通・遮断を切換える第3電磁開閉弁31と、前輪用液圧発生手段17Fから前輪用車輪ブレーキBF側へのブレーキ液の流通を許容するようにして第2電磁開閉弁29に並列に接続される第1一方向弁32と、前記ストロークシミュレータ30から前輪用車輪ブレーキBF側へのブレーキ液の流通を許容するようにして第3電磁開閉弁31に並列に接続される第2一方向弁33とで構成されるものであり、前記ストロークシミュレータ30の圧力は操作量検出手段としての第1圧力センサ34で検出され、前輪用マスタシリンダMFの出力液圧は第2圧力センサ35で検出され、前輪用液圧発生手段17Fの出力液圧は第3圧力センサ36で検出される。
【0018】
第1圧力センサ34は、第1電磁開閉弁28の閉弁時に前輪用マスタシリンダMFの出力液圧を検出することでブレーキレバー15の操作量を得るものである。第2圧力センサ35は、フェールセーフ診断用のものであり、第2圧力センサ35の検出圧と、第1圧力センサ34の検出値との間に所定値以上の差が生じたときに異常が生じていると判断することができる。また第3圧力センサ36の検出値は、第1圧力センサ34の検出値に基づいて前輪用液圧発生手段17Fの出力液圧を制御するときの液圧フィードバック制御の際に用いられる。
【0019】
第1電磁開閉弁28は常開型の電磁弁であり、第2および第3電磁開閉弁29,31は常閉型の電磁開閉弁である。第1〜第3電磁開閉弁28,29,31の開閉作動ならびに前輪用液圧発生手段17Fにおける電動モータ19の作動は、バッテリ38が接続された制御ユニット39によって制御される。而して前記制御ユニット39には、前輪速度センサ40Fの検出値ならびに第1〜第3圧力センサ34,35,36の検出値が入力されており、前輪速度センサ40Fの検出値ならびに第1〜第3圧力センサ34〜36の検出値に基づいて制御ユニット39は、第1〜第3電磁開閉弁28,29,31の開閉作動および前記電動モータ19の作動を制御する。また制御ユニット39には警告灯41が接続される。
【0020】
而して自動二輪車のイグニッションON時には、第1電磁開閉弁28は開弁状態にあり、第2および第3電磁開閉弁29,31は閉弁状態にあり、電動モータ19は非作動状態にあり、警告灯41は点灯状態にある。この状態でブレーキレバー15を操作して前輪用マスタシリンダMFから液圧が出力されると、その液圧は第1電磁開閉弁28を経て前輪用車輪ブレーキBFに作用することになる。
【0021】
自動二輪車の走行が開始されると、制御ユニット39は、初期診断を行い、システムが正常であると判断されたときに警告灯41は消灯する。而して自動二輪車の走行開始後にはシステムはスタンバイ状態となり、第3電磁開閉弁31が開弁し、前輪用マスタシリンダMFがストロークシミュレータ30に連通した状態となる。
【0022】
上記スタンバイ中にブレーキレバー15が操作され、所定値以上の液圧を第1圧力センサ34が検出するのに応じて、制御ユニット39は、第1電磁開閉弁28を閉弁するとともに第2電磁開閉弁29を開弁し、さらに前輪用液圧発生手段17Fの電動モータ19を作動せしめ、第3圧力センサ36で検出する前輪用液圧発生手段17Fの出力液圧が第1圧力センサ34の検出値に応じた圧力となるように前輪用液圧発生手段17Fの出力液圧を制御する。これにより前輪用車輪ブレーキBFに、ブレーキレバー15の操作荷重に応じて前輪用液圧発生手段17Fから出力される液圧が作用することになる。
【0023】
後輪用調圧ユニット18Rは、上記前輪用調圧ユニット18Fと同様に構成されており、前輪用調圧ユニット18Fに対応する部分に同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。なお後輪用調圧ユニット18Rによる液圧制御にあたって、前記制御ユニット39は、前輪用調圧ユニット18Fの液圧制御に用いた前輪速度センサ40Fの検出値に代えて後輪速度センサ40Rの検出値を用いる。
【0024】
また制御ユニット39は、ブレーキレバー15の操作に応じた前輪用調圧ユニット18Fによる液圧制御とともに後輪用調圧ユニット18Rによる液圧制御を行うようにして、前輪および後輪に配分された制動力を付与するように前輪用および後輪用車輪ブレーキBF,BRをブレーキ作動せしめる前、後輪制動力配分制御を行うことができ、またそれとは逆に、ブレーキペダル16の操作に応じた後輪用調圧ユニット18Rによる液圧制御とともに前輪用調圧ユニット18Fによる液圧制御を行うようにして、前輪および後輪に配分された制動力を付与するように前輪用および後輪用車輪ブレーキBF,BRをブレーキ作動せしめる前、後輪制動力配分制御を行うこともできる。
【0025】
図2において、自動二輪車の車体フレームFは、前輪用車輪ブレーキBFが装着された前輪WFを軸支したフロントフォーク43ならびに該フロントフォーク43に連なる操向ハンドル44を操向可能に支承するヘッドパイプ45と、該ヘッドパイプ45から後下がりに延びる左右一対のメインフレーム46…と、両メインフレーム46…の後部にそれぞれ連設されるセンターフレーム47…と、センターフレーム47…に一体に連なって下方に延びるピボットプレート48…と、前記センターフレーム47…の後部に連設されて後上がりに延びる左右一対のシートレール49…とを備える。
【0026】
前記メインフレーム46…には、下方に延びるエンジンハンガ50…が一体に設けられており、たとえば直列4気筒であるエンジンEのエンジン本体51は、シリンダ軸線を前上がりに傾斜させた姿勢で、前記エンジンハンガ50…の下部、前記センターフレーム47…および前記ピボットプレート48…に支持される。
【0027】
前記エンジン本体51は、クランクケース53と、該クランクケース53から前上がりに傾斜して立ち上がるシリンダブロック54と、そのシリンダブロック54の上部に結合される前記シリンダヘッド52とを備えるものである。
【0028】
前記エンジン本体51の上方で前記両メインフレーム46…上には燃料タンク55が搭載される。また前記エンジン本体51におけるシリンダヘッド52の後面には、上方に延びる吸気装置57が接続されており、この吸気装置57がその上流端に備えるエアクリーナ56は前記燃料タンク55で覆われるように配置される。一方、前記シリンダヘッド52の前面に接続される排気装置58は、各気筒に個別に対応してシリンダヘッド52の前面に接続されてシリンダヘッド52から下方に延びる複数の排気管59…と、それらの排気管59…に連なるようにして前記両シートレール49…の後部間に配置される排気マフラー60とを備える。しかも前記排気管59…は、前記シリンダヘッド52の前面から前下がりに延びる傾斜部59a…と、該傾斜部59a…の下部からエンジン本体51の下方側に彎曲した彎曲部59b…とを有しており、排気管59とエンジン本体51の前面との間には、側面視三角形状の空間が形成される。さらに前記エンジン本体51の前方には、前記排気管59…の斜め上方に位置するようにしてラジエータ61が固定配置される。
【0029】
前記車体フレームFのピボットプレート48…には、後輪用車輪ブレーキBRが装着された後輪WRを後端部で軸支するスイングアーム62の前端部が上下揺動可能に支承されており、このスイングアーム62の前端側下部および前記ピボットプレート48の下部間にはリンク機構63が設けられ、上端部が前記スイングアーム62に連結されて上下に延びるクッションユニット65の下端部が、前記リンク機構63の一部を構成するリンク部材64に連結される。
【0030】
また前記エンジン本体51が備えるクランクケース53に内蔵された変速機(図示せず)の出力は、無端状のチェーン66を有するチェーン式伝動手段67を介して前記後輪WRに伝達される。
【0031】
前記シートレール49…には、前記燃料タンク55の後方に配置されるようにして乗車用シート68が設けられる。而した該乗車用シート68は、乗員を乗せるための前部シート69と、同乗者を乗せるための前部シート69から後方に離れて配置される後部シート70とから成り、前記シートレール49…の中間部外側面には、前記後部シート70に乗った同乗者が足を載せるためのピリオンステップ71が締結される。
【0032】
前記車体フレームFの一部および前記エンジンEは、合成樹脂から成るフロントカウル72で覆われており、このフロントカウル72は、前記ヘッドパイプ45を前方から覆うフロントカバー部73と、該フロントカバー部73に連なって前記エンジン本体51、前記排気装置58の排気管59…およびラジエータ61を両側から覆うサイドカバー部74…とを有する。
【0033】
このような自動二輪車において、前輪用液圧発生手段17F、前輪用調圧ユニット18F、後輪用液圧発生手段17R、後輪用調圧ユニット18Rおよび制御ユニット39は、前記エンジンEの近傍すなわち車体中心近傍に配置される。
【0034】
次に前記前輪用液圧発生手段17F、前輪用調圧ユニット18F、後輪用液圧発生手段17R、後輪用調圧ユニット18Rおよび制御ユニット39の前記自動二輪車への配設構造、ならびにその構造による作用、効果について順次説明する。
【0035】
[前輪用調圧ユニット18F];前輪用調圧ユニット18Fの配設構造について図3〜図7を参照しながら説明すると、先ず図3において、前輪用調圧ユニット18Fを構成する第1電磁開閉弁28、第2電磁開閉弁29、ストロークシミュレータ30、第3電磁開閉弁31、第1一方向弁32および第2一方向弁33が、アルミニウム合金等の軽金属の鋳造成形によって直方体状に形成される基体77に配設されるとともに、基体77からの第1電磁開閉弁28、第2電磁開閉弁29、第3電磁開閉弁31、第1一方向弁32および第2一方向弁33からの突出部が、カプラ部78aを一体に有する合成樹脂製のカバー78で覆われて成るものであり、第1〜第3圧力センサ34〜36も前記基体77に配設され、基体77からの第1〜第3圧力センサ34〜36の突出部も前記カバー78で覆われる。
【0036】
図4〜図7を併せて参照して、前輪用調圧ユニット18Fは、車体フレームFに搭載されるエンジン本体51のシリンダヘッド52に接続されて該シリンダヘッド52から上方に延出される吸気装置57の後方、かつエンジン本体51の上方に配置される燃料タンク55およびンジン本体51間に配置されるものであり、車体フレームFに支持された支持手段83に、調圧ユニット18Fを覆う弾性ケース79を介して浮動支持される。
【0037】
前記弾性ケース79は、基体77を上方に配置した姿勢の前輪用調圧ユニット18Fを上下から挟むようにして上下に二分割された下および上ケース部材80,81から成るものであり、両ケース部材80,81は弾性材料たとえばゴムによって形成される。
【0038】
下ケース部材80は前輪用調圧ユニット18Fの前記カバー78を嵌合せしめるようにして上方に開放した函状に形成され、上ケース部材81は、前輪用調圧ユニット18Fの前記基体77を嵌合せしめるようにして下方に開放した函状に形成される。しかも上ケース部材81には、前記カバー78のカプラ部78aを突出せしめるようにした切欠き部82が設けられる。また両ケース部材80,81のうち少なくとも下ケース部材80の内面、この実施例では両ケース部材80,81の内面に調圧ユニット18Fに当接する複数の突部80a…,81a…が一体に突設される。
【0039】
前記支持手段83は、前輪用調圧ユニット18Fの下部の略全周を覆うとともに前輪用調圧ユニット18Fを下方から支持するようにして車体フレームFに取付けられる下部枠体84と、該下部枠体84に締結される上部枠体85とで枠状に構成される。
【0040】
下部枠体84は、複数の屈曲加工された細幅の金属製板材が相互に結合されて成るものであり、前輪用調圧ユニット18Fの下部のほぼ全周を囲む枠部84aと、前輪用調圧ユニット18Fを下方から支持するようにして枠部84aに連なる2つの支持板部84b,84cと、前記枠部84aから外側方に延びる3つの支持腕部84d,84e,84fと、前記上部枠体85を締結するようにして前記枠部84aから突出される2つの取付け突部84g,84hとを有する。
【0041】
而して前輪用調圧ユニット18Fは、その下部に嵌合される前記下ケース部材80とともに下部枠体84の前記枠部84aおよび両支持板部84b,84cに嵌合、支持されることになる。
【0042】
前記支持腕部84d,84e,84fは、前記車体フレームFにおける両メインフレーム46…および両センターフレーム47…のうち左側のメインフレーム46およびセンターフレーム47側に延出されており、支持腕部84dがボルト86でメインフレーム46と一体のエンジンハンガ50に締結され、支持腕部84eがエンジンハンガ50よりも後方でメインフレーム46にボルト87で締結され、支持腕部84fがセンターフレーム47にボルト88で締結される。
【0043】
前記上部枠体85は、前輪用調圧ユニット18Fの上部すなわち基体77に上方から嵌合した上ケース部材81に上方から当接して下部枠体84の前記両取付け突部84g,84hに締結されるものであり、上ケース部材81に上方から当接する押さえ部85aと、該押さえ部85aから前記両取付け突部84g,84h側に延びる一対の取付け脚部85b,85cとを一体に有する。
【0044】
一方、前記下部枠体84における両取付け突部84g,84hの下面にはウエルドナット89…が固着されており、前記両取付け脚部85b,85cの先端部および前記両取付け突部84g,84hに挿通されるボルト90,90を前記ウエルドナット89…に螺合して締め付けることにより、上部枠体85が下部枠体84に締結される。すなわち支持手段83が、前輪用調圧ユニット18Fの下部の略全周を覆うとともに該前輪用調圧ユニット18を下方から支持するようにして車体フレームFに取付けられる下部枠体84と、該下部枠体84に締結される上部枠体85とで枠状に構成され、前輪用調圧ユニット18Fが、下部枠体84および上部枠体85との間に弾性材料から成る下ケース部材80および上ケース部材81を介在させて挟持されることになる。
【0045】
しかも前輪用調圧ユニット18Fは、エンジンEの設けられた冷却水循環経路の一部を構成する冷却水パイプ(図示せず)に近接した上方に配置されるものであり、前記下ケース部材80の下面には、前記冷却水パイプとの干渉を回避するために上方に膨らんだ凹部80bが設けられており、冷却水パイプに近接して配置されることによる前輪用調圧ユニット18Fの冷却効果を得ることができる。
【0046】
このような前輪用調圧ユニット18Fの配設構造によれば、前輪用調圧ユニット18Fが弾性ケース79で覆われるので、エンジンEからの熱の影響が前輪用液圧生業ユニット18に及ぶことを防止することができ、また車体フレームFに支持された支持手段83に前輪用調圧ユニット18Fが弾性ケース79を介して浮動支持されるので、エンジンEから前輪用調圧ユニット18Fへの振動の伝達を抑えることができる。
【0047】
しかも前輪用調圧ユニット18Fが、車体フレームFに搭載されるエンジン本体51のシリンダヘッド52に接続されて該シリンダヘッド52から上方に延出される吸気装置57の後方、かつエンジン本体51の上方に配置される燃料タンク55および前記エンジン本体51間に配置されるので、エンジンEの排気装置58からの放熱を受け難い位置に前輪用調圧ユニット18Fを配置して、エンジンEからの熱が前輪用調圧ユニット18Fに及ぶことをより効果的に抑止することができ、しかも吸気装置57の後方の比較的大きな空きスペースに前輪用調圧ユニット18Fを配置することで前輪用調圧ユニット18Fが他の部品の配置に影響を及ぼすことを極力回避することが可能となる。
【0048】
また弾性ケース79が、前輪用調圧ユニット18を上下から挟むようにして上下に二分割された弾性材料製の下および上ケース部材80,81から成り、両ケース部材80,81のうち少なくとも下ケース部材80、この実施例では両ケース部材80,81の内面に前輪用調圧ユニット18Fに当接する複数の突部80a…,81a…が一体に突設されるので、弾性ケース79内への前輪用調圧ユニット18Fの収納作業を容易としつつ前輪用調圧ユニット18Fを確実に浮動支持することができる。
【0049】
さらに前輪用調圧ユニット18Fは、車体フレームFに取付けられる支持手段83に前記弾性ケース79の下およぶ上ケース部材80,81を介して浮動支持されるものであり、前記支持手段83が、前輪用調圧ユニット18Fの下部の略全周を覆うとともに前輪用調圧ユニット18Fを下方から支持するようにして車体フレームFに取付けられる下部枠体84と、該下部枠体84に締結される上部枠体85とで枠状に構成されるものであり、前輪用調圧ユニット18Fは、下部枠体84および上部枠体85間に前記下および上ケース部材80,81を介して挟持されるので、車体フレームFに取付けられた下部枠体84に下ケース部材80を介して前輪用調圧ユニット18Fを載せ、さらに前輪用調圧ユニット18Fとの間に上ケース部材81を介在させた上部枠体85を下部枠体84に取付けるだけで、前輪用調圧ユニット18Fを、車体フレームFに取付けられた支持手段83に浮動支持することができ、組付け作業が容易となる。
【0050】
[前輪用液圧発生手段17F];前輪用液圧発生手段17Fの配設構造について、図2、図8〜図13を参照しながら説明すると、先ず図2で示すように、前輪用液圧発生手段17Fは、エンジン本体51におけるシリンダヘッド52の前面から下方に延出される排気管59…と、前記エンジン本体51との間に配置されるものである。しかも前記排気管59…は、シリンダヘッド52の前面から前下がりに延びる傾斜部59a…と、該傾斜部59a…の下部からエンジン本体51の下方側に彎曲した彎曲部59b…とを有してエンジン本体51の前面との間に側面視三角形状の空間を形成するものであり、その空間に前輪用液圧発生手段17Fが配置される。さらにエンジン本体51の前方で前記車体フレームFに支持されるラジエータ61の後方斜め下に前輪用液圧発生手段17Fが配置される。
【0051】
図8において、前輪用液圧発生手段17Fは、ヘッドパイプ45から後下がりに延びて車体フレームFの一部を構成する左右一対のメインフレーム46…に一体に設けられたエンジンハンガ50…に、支持手段93を介して支持されるものであり、その支持手段93は、前記エンジンハンガ50…に取付けられて前輪用液圧発生手段17Fの後方を左右方向に延びる第1支持枠94と、前輪用液圧発生手段17Fを前方から囲むようにして第1支持枠94に取付けられる第2支持枠95とを有して枠状に構成される。
【0052】
図9を併せて参照して、第1支持枠94の幅方向中間部後面にはウエルドナット96が固着され、自動二輪車の進行方向で第1支持枠94の左側端部(図8では右側端部)から斜め下方に分岐した支持腕部94aの先端部後面にはウエルドナット97が固着されており、第2支持枠95の一端部は前記ウエルドナット96に螺合するボルト98で第1支持枠94の幅方向中間部に締結され、第2支持枠95の他端部は前記ウエルドナット97にい螺合するボルト99で第1支持枠94における前記支持腕部94aの先端部に固着される。
【0053】
図10を併せて参照して、両メインフレーム46…に一体に設けられたエンジンハンガ50…には、エンジン本体51のクランクケース53に設けられたブラケット53a…がボルト105を介して締結されるのであるが、前記ブラケット53a…および前記エンジンハンガ50…間に挟まれる取付け部材102…が、前記ブラケット53a…とともに前記ボルト105…によって前記エンジンハンガ50…に共締めされる。
【0054】
一方、第1支持枠94の両端部にはマウントゴム100,100が装着されており、それらのマウントゴム100…には、外側方に張り出す鍔部101a…を一端に有するカラー101…が挿通され、前記鍔部101a…が前記取付け部材102…に当接される。また前記カラー101…を取付け部材102…との間に挟むようにして該カラー101…の他端にワッシャ103…が当接され、ワッシャ103…およびカラー102…に挿通されるボルト104…が前記取付け部材102…に螺合される。すなわち支持手段93における第1支持枠94の左右両端部は、エンジン本体51におけるクランクケース53のブラケット53a…との共締めによって左右一対のメインフレーム46…のエンジンハンガ50…に締結される。
【0055】
図11を併せて参照して、第1支持枠94の左右方向中間部には、上方に延びる取付け腕106が固着されており、この取付け腕106の上端部にはマウントゴム107が装着され、該マウントゴム107には、外側方に張り出す鍔部108aを一端に有するカラー108が挿通される。一方、エンジン本体51におけるシリンダブロック54には、前記鍔部108aを当接させる支持ボス部54aが設けられており、カラー108を支持ボス部54aとの間に挟むようにして該カラー108の他端にワッシャ109が当接され、ワッシャ109およびカラー108に挿通されるボルト110が前記支持ボス部54aに螺合される。
【0056】
図12を併せて参照して、第1支持枠94の左右方向中間部には、下方に延びる支持棒111が固着されており、この支持棒111は、前記エンジン本体51におけるクランクケース53に装着されたマウントゴム112に嵌合される。
【0057】
すなわち支持手段93における第1支持枠94の左右両端部は左右一対の前記メインフレーム46…のエンジンハンガ50…にマウントゴム100…を介して支持されることになり、第1支持枠94の左右方向中間部はエンジン本体51にマウントゴム107,112を介して支持されることになる。
【0058】
前輪用液圧発生手段17Fは前記支持手段93に弾性支持されるものであり、支持手段93の第1支持枠94には、前輪用液圧発生手段17Fの左側部に設けられたブラケット115に前方から対向する支持板116が固着される。
【0059】
図13において、前記支持板116にはマウントゴム117が装着されており、このマウントゴム117には、外側方に張り出す鍔部118aを一端に有するカラー118が前記鍔部118aを前記ブラケット115に当接させるようにして挿通される。また前記カラー118を前記ブラケット115との間に挟むようにして該カラー118の他端にワッシャ119が当接され、ワッシャ119およびカラー118に挿通されるボルト120が前記ブラケット115に螺合される。
【0060】
また第2支持枠95には、前輪用液圧発生手段17Fに下方から対向する支持板部121と、前輪用液圧発生手段17Fに左側方から対向する支持板部122とが設けられており、それらの支持板部121,122に装着されたマウントゴム123,124が、図13で示した構造と同様の構造で、ボルト125,126によって前輪用液圧発生手段17Fに取付けられる。
【0061】
すなわち前輪用液圧発生手段17Fは、マウントゴム117,123,124を介して支持手段93に支持されることになる。
【0062】
このような前輪用液圧発生手段17Fの配設構造によれば、シリンダヘッド52から下方に延出される排気管59…と、エンジン本体51との間に、前輪用液圧発生手段17Fが配置されるので、エンジン本体51の前方かつ排気管59…よりも下方の空きスペースを有効に利用して前輪用液圧発生手段17Fを配置して、マスの集中化を図ることができる。しかも排気管59…からの熱が前輪用液圧発生手段17Fに及ぶものの、自動二輪車の走行による走行風が前輪用液圧発生手段17Fに当たることによって前輪用液圧発生手段17Fの温度が過度に上昇することを防止することができ、車体フレームFの一部を構成するメインフレーム46…のエンジンハンガ50…およびエンジン本体51に、前輪用液圧発生手段17Fを支持する支持手段93がマウントゴム100…,107,112を介して支持されるので、エンジンEからの振動が前輪用液圧発生手段17Fに及ぶことも抑止することができる。
【0063】
またシリンダヘッド52は、クランクケース53から前上がりに傾斜して立ち上がるシリンダブロック54の上部に結合されるものであり、そのシリンダヘッド52の前面に接続される排気管59…は、シリンダヘッド52の前面から前下がりに延びる傾斜部59a…と、該傾斜部59a…の下部からエンジン本体51の下方側に彎曲した彎曲部59b…とを有してエンジン本体51の前面との間に側面視三角形状の空間を形成するものであり、その空間に前輪用液圧発生手段17Fが配置されるので、排気管59…およびエンジン本体51の前面間に比較的広い空間を確保することができ、その空間に配置される前輪用液圧発生手段17Fの周囲に走行風が流れ易くして、前輪用液圧発生手段17Fの温度が過度に上昇することをより効果的に防止することができる。
【0064】
また支持手段93における第1支持枠94の左右両端部が左右一対の前記メインフレーム46…のエンジンハンガ50…にマウントゴム100…を介して支持され、第1支持枠94の左右方向中間部がエンジン本体51にマウントゴム107,112を介して支持されるので、支持手段93の剛性を高めつつ前輪用液圧発生手段17Fを浮動支持することができる。
【0065】
また支持手段93の左右両端部がエンジン本体51におけるクランクケース53のブラケット53a…との共締めでメインフレーム46…のエンジンハンガ50…に締結されるので、部品点数の低減および加工工数の低減を図ることができる。
【0066】
また支持手段93が、メインフレーム46…のエンジンハンガ50…に取付けられて前輪用液圧発生手段17Fの後方を左右方向に延びる第1支持枠94と、前輪用液圧発生手段17Fを前方から囲むようにして第1支持枠94に取付けられる第2支持枠95とを有して枠状に構成されるものであるので、前輪用液圧発生手段17Fが走行風を受け易くして前輪用液圧発生手段17Fを支持することができる。
【0067】
さらにエンジン本体51の前方で車体フレームFに支持されるラジエータ61の後方斜め下に前輪用液圧発生手段17Fが配置されるので、前方からの飛び石等の異物に対して、前輪用液圧発生手段17Fをラジエータ61および排気管59…で保護することができる。
【0068】
[後輪用調圧ユニット18R];後輪用調圧ユニット18Rの配設構造について、図2、図14〜図16を参照しながら説明すると、先ず図2で示すように、後輪用調圧ユニット18Rは、エンジン本体51の後方、かつクッションユニット65の上端部およびエンジン本体51間に配置されるものであり、この後輪用調圧ユニット18Rは、図14および図15で示すように支持部材130で支持される。
【0069】
前記支持部材130は、基体77を後方側、カバー78を前方側に配置して前記クロスメンバ131の下方に配置される後輪用調圧ユニット18Rに一部を上方から対向させて両センターフレーム47,47間に配置される支持部材主部130aと、両センターフレーム47,47およびクロスメンバ131の背面に対向するようにして前記支持部材主部130aから延出される取付け腕部130b,130c,130dと、前記後輪用調圧ユニット18Rの左右両側に配置されるようにして前記支持部材主部130aから垂下される一対の支持腕部130e,130fとを一体に有する。
【0070】
前記取付け腕部130b,130c,130dの先端部には、マウントゴム132,133,134が装着されており、各マウントゴム132〜134には、外側方に張り出す鍔部135a,136a,137aを一端に有するカラー135,136,137が前記鍔部135a〜137aをセンターフレーム47,47およびクロスメンバ131の背面に当接させるようにして挿通される。また前記カラー135〜137をセンターフレーム47,47およびクロスメンバ131との間に挟むようにして該カラー135〜137の他端にワッシャ138,139,140が当接され、ワッシャ138〜140およびカラー135〜137に挿通されるボルト141,142,143がセンターフレーム47,47およびクロスメンバ131に螺合される。
【0071】
後輪用調圧ユニット18Rにおける基体77の上部には、たとえば3つのボルト146,146,146によって枠部材147が取付けられており、この枠部材147は、前記支持部材130における支持部材主部130aおよび両支持腕部130e,130fと、後輪用調圧ユニット18Rとの間に配置されており、枠部材147の3個所が、前記支持部材主部130aおよび両支持腕部130e,130fにマウントゴム147…を介して支持される。すなわち後輪用調圧ユニット18Rの上部は、前記支持部材130から吊り下げ支持されるようにして前記支持部材130にマウントゴム147…を介して取付けられる。
【0072】
図16において、支持部材130における支持部材主部130aおよび両支持腕部130e,130fにはマウントゴム147…がそれぞれ装着されており、前記枠部材147には、それらのマウントゴム147…に対応してウエルドナット148…が固着される。而して各マウントゴム147…には、外側方に張り出す鍔部149a…を一端に有するカラー149…が前記鍔部149a…を支持部材主部130aおよび両支持腕部130e,130fに当接させるようにして挿通される。また前記カラー149…を支持部材主部130aおよび両支持腕部130e,130fとの間に挟むようにして該カラー149…の他端にワッシャ150…が当接され、ワッシャ150…およびカラー149…に挿通されるボルト151…が各ウエルドナット148…に螺合される。
【0073】
このような後輪用調圧ユニット18Rの配設構造によれば、後輪用調圧ユニット18Rを支持する支持部材130が、エンジン本体51の左右両側に配置される一対のセンターフレーム47…と、それらのセンターフレーム47…とともに車体フレームFの一部を構成するようにしてエンジン本体51の後方で前記センターフレーム47…間を連結するクロスメンバ131とに、マウントゴム132,133,134を介して浮動支持されるので、エンジンEからの振動が後輪用調圧ユニット18Rに及ぶことを抑止することができ、しかも車体フレームF側の剛性の影響を受けずに支持部材130の剛性を後輪用調圧ユニット18Rを保持するに充分な程度に設定することができ、支持部材130の強度を必要以上に高めることを不要として重量およびコスト低減を図ることができる。
【0074】
また支持部材130に、支持部材130から吊り下げ支持されるようにして後輪用調圧ユニット18Rの上部が取付けられるので、車体フレームFの幅方向での後輪用調圧ユニット18Rの位置を他の部品と干渉しないように調整することが容易となる。
【0075】
さらに後輪用調圧ユニット18Rは、スイングアーム62と、該スイングアーム62および車体フレームF間に設けられるリンク機構63の一部を構成するリンク部材64との間に設けられるクッションユニット95の上端部およびエンジン本体51間に配置されるので、クッションユニット65の上端部およびエンジン本体51間のスペースに後輪用調圧ユニット18Rを有効に配置することができ、しかも後輪用調圧ユニット18Rの左右、前後を車体フレームF、エンジン本体51およびクッションユニット65で囲むようにして後輪用調圧ユニット18Rを保護することができる。
【0076】
[後輪用液圧発生手段17R];後輪用液圧発生手段17Rの配設構造について図17〜図21を参照しながら説明すると、先ず図17および図18で示すように、後輪用液圧発生手段17Rは、車体フレームFの一部を構成する左右一対のシートレール49…に支持されるものであり、平面視では、両シートレール49…のうち左側のシートレール49側に寄った位置で両シートレール49,49間に配置される。
【0077】
図19および図20を併せて参照して、前記両シートレール49…のうち左側のシートレール49には第1支持部材154が取付けられ、両シートレール49…間を結ぶクロスメンバ155および第1支持部材154に、後輪用液圧発生手段17Rがマウントゴム156…を介して浮動支持される。
【0078】
前記クロスメンバ155の両端部は一対ずつのボルト157,157…によってシートレール49…に結合される。また第1支持部材154は一対のボルト158,158によって左側のシートレール49に締結される。
【0079】
前記クロスメンバー155には第2支持部材159が固着されており、後輪用液圧発生手段17Rに固定される取付け部材160が第2支持部材159にマウントゴム156を介して支持される
図21を併せて参照して、後輪用液圧発生手段17Rのシリンダ体20には一対のねじ部材161,161で前記取付け部材160が固着されており、該取付け部材160に前記マウントゴム156が装着される。またマウントゴム156に対応した位置で第2支持部材159にはウエルドナット162が固着される。而してマウントゴム156には、外側方に張り出す鍔部163aを一端に有するカラー163が前記鍔部163aを第2支持部材159に当接させるようにして挿通される。また前記カラー163を第2支持部材159との間に挟むようにして該カラー163の他端にワッシャ164が当接され、ワッシャ164およびカラー163に挿通されるボルト165が前記ウエルドナット162に螺合される。
【0080】
また第1支持部材154の前部には、後輪用液圧発生手段17Rに外側方から対向する支持板部154aが設けられ、第1支持部材154の後部には、後輪用液圧発生手段17Rに後方から対向する支持板部154bが設けられており、それらの支持板部154a,154bにそれぞれ装着されたマウントゴム156,156が、図21を参照して説明した取付け構造と同様の取付け構造で、ボルト166,167によって後輪用液圧発生手段17Rに取付けられる。
【0081】
ところで、スイングアーム62と、リンク機構63のリンク部材64との間に設けられるクッションユニット65の減衰力を調整するサブタンク168が、後輪用液圧発生手段17Rの候補に配置されており、このサブタンク168は、両シートレール49…のうち左側のシートレール49に支持される。
【0082】
すなわわちサブタンク168を支持するサブタンク支持部材169が左側のシートレール49に固定されるのであるが、このサブタンク支持部材169は、ピリオンステップ71との共締めで左側の前記シートレール49に一対のボルト170,170によて固定される。
【0083】
このような後輪用液圧発生手段17Rの配設構造によれば、左右一対のシートレール49,49に、平面視では両シートレール49…間に配置されるようにして後輪用液圧発生手段17Rが支持されるので、エンジン本体51の後方に配置される後輪用調圧ユニット18Rに近く、しかも後輪用液圧発生手段17Rを設置するのに必要なスペースを確保し易い場所に、後輪用液圧発生手段17Rを配置することができる。
【0084】
また両シートレール49…の一方である左側のシートレール49に取付けられる第1支持部材154と、両シートレール490…間を結ぶクロスメンバ155とに、後輪用液圧発生手段17Rがマウントゴム156…を介して浮動支持されるので、車体フレームF側の振動が後輪用液圧発生手段17Rに及ぶことを抑止することができる。
【0085】
またクッションユニット65の減衰力を調整するサブタンク168が後輪用液圧発生手段17Rの後方に配置され,左側のシートレール49に支持されるので、サブタンク168およびエンジン本体51間に後輪用液圧発生手段17Rを配置するようにして後輪用液圧発生手段17Rを外力から保護することができる。
【0086】
さらにサブタンク168を支持するサブタンク支持部材169が、ピリオンステップ71との共締めで左側のシートレール49に固定されるので、部品点数を低減することができる。
【0087】
[制御ユニット39];制御ユニット39の配設構造について図22〜図25を参照しながら説明すると、制御ユニット39は、車体フレームFに搭載されるエンジン本体51の左側方に配置される。しかも制御ユニット39は、乗員によるニーグリップ性を高めるために、製自動二輪車において車幅が最も大きな部分の車体側端よりも内側に配置されており、制御ユニット39およびエンジン本体51間に介在される合成樹脂製の制御ユニット支持ケース171に収容、支持され、フロントカウル72の一部を構成するサイドカバー部74で覆われる。
【0088】
制御ユニット支持ケース171は、制御ユニット39をエンジン本体51とは反対側から収容するようにしてエンジン本体51とは反対側を開放した函状に形成される。ところで制御ユニット支持ケース171よりも内方側には、車体フレームFに支持手段83を介して支持される前輪用調圧ユニット18Fが配置されており、制御ユニット支持ケース171の上部は、前記支持手段83の一部を構成する下部枠体84が備える支持腕部84e,84fに、ボルト172,173で取付けられる。すなわち図25で明示するように、支持腕部84e,84fにはウエルドナット178…が固着されており、制御ユニット支持ケース171および前記支持腕部84e,84fに挿通されるボルト172,173が前記ウエルドナット178…に螺合される。
【0089】
ところでエンジン本体51の一部を構成するクランクケース53の左側面には、発電機カバー等のクランクケースカバー174が複数のボルト175,175…によって締結されるのであるが、それらのボルト175,175…の1つを用いて前記クランクケースカバー174とともにクランクケース53に共締めされる下部支持部材176に、前記制御ユニット支持ケース171の下部が一対のボルト177,177で取付けられる。すなわち図25で明示するように、下部支持部材176には、一対のウエルドナット179…が固着されており、制御ユニット支持ケース171および前記下部支持部材176に挿通されるボルト177…が前記ウエルドナット179…に螺合される。
【0090】
制御ユニット39は、制御ユニット支持ケース171との間に複数たとえば3つの弾性部材181…を介在せしめて制御ユニット支持ケース171に収容されるものであり、車体フレームFの前後方向に沿って前記制御ユニット39の外側面に弾発的に当接して前記制御ユニット支持ケース171に着脱可能に取付けられる固定部材182で前記制御ユニット支持ケース171に支持される。前記固定部材182は、たとえば無端状に連なるゴム紐であり、制御ユニット39の前後位置で制御ユニット支持ケース171に設けられた係止部182,182に係脱可能に係合される。
【0091】
前記制御ユニット支持ケース171には、走行風を前記制御ユニット39側に流通せしめる走行風導入部184が制御ユニット39の斜め下前方に位置するようにして形成され、制御ユニット39の側方を通過した前記走行風を導出するための走行風導出部85が、制御ユニット39の斜め上後方に位置するようにして形成される。
【0092】
フロントカウル72のサイドカバー部74は、前記制御ユニット支持ケース171の下部との間にクッション部材186を介在させて制御ユニット39を覆うものであり、このサイドカバー部74の前記走行風導入部184に対応する部分には走行風導入口187が設けられ、前記走行風導出部185に対応する部分には走行風排出口188,189,190が設けられる。
【0093】
このような制御ユニット39の配設構造によれば、エンジン本体51の側方に配置される制御ウォーム39が、該制御ユニット39およびエンジン本体51間に介在される制御ユニット支持ケース171に収容、支持されるので、制御ユニット39をエンジン本体51の近傍に配置されることを可能としつつ、制御ユニット39およびエンジン本体51間に介在される制御ユニット支持ケース171によってエンジン本体51からの熱が制御ユニット39に直接及ぶことを回避することができる。
【0094】
しかも走行風を制御ユニット39側に流通せしめる走行風導入部184が制御ユニット支持ケース171の前部に形成され、制御ユニット39の側方を通過した前記走行風を導出するための走行風導出部185が制御ユニット支持ケース171の後部に形成されるので、自動二輪車の走行時に走行風が制御ユニット39の側方を通過するようにして制御ユニット39を冷却することができる。
【0095】
また前輪用調圧ユニット18Fを車体フレームFに支持する支持手段39が備える支持腕部84e,84fに制御ユニット支持ケース171の上部が取付けられるので、前輪用調圧ユニット18Fおよび制御ユニット支持ケース171を車体フレームFに支持するための部材を共用化して部品点数の低減に寄与することができる。
【0096】
またクランクケース53の一側に締結されるクランクケースカバー174とともにクランクケース53に共締めされる下部支持部材176に、制御ユニット支持ケース171の下部が取付けられるので、下部支持部材176をクランクケース53側に締結するためのボルト175をクランクケースカバー174と共用化して部品点数の低減に寄与することができる。
【0097】
また制御ユニット支持ケース171との間に複数の弾性部材181…が介装される制御ユニット39が、車体フレームFの前後方向に沿って制御ユニット39の外側面に弾発的に当接して制御ユニット支持ケース171に着脱可能に取付けられる固定部材182で制御ユニット支持ケース171に支持されるので、固定部材182の着脱操作を容易として、制御ユニット39のメンテナンス性を高めることができる。
【0098】
さらにフロントカウル72の一部を構成するサイドカバー部74で制御ユニット39が覆われ、サイドカバー部74の走行風導入部184および走行風導出部185に対応する部分に、走行風導入口187および走行風排出口188,189,190が設けられるので、外部からの走行風の走行風導入部184への導入および走行風導出部185からの排出を可能として制御ユニット39の冷却性を維持しつつ、制御ユニット39をサイドカバー部74で覆って外部の異物や雨水等から保護することが可能となる。
【0099】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】自動二輪車用ブレーキ装置の構成を示す図である。
【図2】自動二輪車の左側面図である。
【図3】前輪用調圧ユニットの支持構造を分解して示す斜視図である。
【図4】前輪用調圧ユニットが支持手段で支持された状態を示す斜視図である。
【図5】前輪用調圧ユニットの車体フレームへの支持状態を示す側面図である。
【図6】図5の6矢視平面図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】車体フレーム、エンジン本体および前輪用液圧発生手段を図2の8−8線に沿う方向から見た一部切欠き正面図である。
【図9】図8の9−9線断面図である。
【図10】図8の10−10線断面図である。
【図11】図9の11−11線拡大断面図である。
【図12】図9の12−12線拡大断面図である。
【図13】図9の13−13線拡大断面図である。
【図14】後輪用調圧ユニットおよび車体フレームを後方から見た図である。
【図15】図14の15−15線断面図である。
【図16】図14の16−16線断面図である。
【図17】図2のうち後輪用液圧発生手段付近の拡大図である。
【図18】図17の18矢視図である。
【図19】図17の19矢視方向から見た斜視図である。
【図20】図17の20矢視方向から見た斜視図である。
【図21】図18の21−21線断面図である。
【図22】図2のうち制御ユニット付近の拡大図である。
【図23】フロントカウルを外した状態での図22に対応した図である。
【図24】図23から制御ユニットを外した状態を示す図である。
【図25】図22の25−25線断面図である。
【符号の説明】
【0101】
16・・・ブレーキ操作子であるブレーキペダル
17R・・・後輪用液圧発生手段
18R・・・後輪用調圧ユニット
34・・・操作量検出手段である第1圧力センサ
39・・・制御ユニット
47・・・フレーム部材であるセンターフレーム
51・・・エンジン本体
62・・・スイングアーム
63・・・リンク機構
64・・・リンク部材
65・・・クッションユニット
130・・・支持部材
131・・・クロスメンバ
132,133,134・・・弾性部材であるマウントゴム
BR・・・後輪用車輪ブレーキ
F・・・車体フレーム
WR・・・後輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ操作子(16)の操作量を検出する操作量検出手段(34)と、前記ブレーキ操作子(16)の操作とは無関係に液圧を発生し得る液圧発生手段(17R)と、該液圧発生手段(17R)の出力液圧を調圧して車輪ブレーキ(BR)に作用せしめるべく前記液圧発生手段(17R)および車輪ブレーキ(BR)間に介設される調圧ユニット(18R)と、前記操作量検出手段(34)の検出値に基づいて前記調圧ユニット(18R)の作動を制御する制御ユニット(39)とを備え、前記調圧ユニット(18R)が車体フレーム(F)に搭載されるエンジン本体(51)の後方に配置される自動二輪車用ブレーキ装置において、車体フレーム(F)に搭載されるエンジン本体(51)の左右両側に配置される一対のフレーム部材(47)と、それらのフレーム部材(47)とともに前記車体フレーム(F)の一部を構成するようにして前記エンジン本体(51)の後方で前記両フレーム部材(47)間を連結するクロスメンバ(131)とに、前記調圧ユニット(18R)を支持する支持部材(130)が、弾性部材(132,133,134)を介して浮動支持されることを特徴とする自動二輪車用ブレーキ装置。
【請求項2】
前記支持部材(130)に、該支持部材(130)から吊り下げ支持されるようにして前記調圧ユニット(18R)の上部が取付けられることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車用ブレーキ装置。
【請求項3】
後輪(WR)を軸支して前記車体フレーム(F)に揺動可能に支承されるスイングアーム(62)と、該スイングアーム(62)および車体フレーム(F)間に設けられるリンク機構(63)の一部を構成するリンク部材(64)との間に設けられるクッションユニット(95)の上端部および前記エンジン本体(51)間に、前記調圧ユニット(18R)が配置されることを特徴とする請求項1または2記載の自動二輪車用ブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−241799(P2009−241799A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91947(P2008−91947)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】