説明

自動分析装置およびラック搬送方法

【課題】ラックバッファー部に載置される分析待ちのラックのラック情報、検体情報、分析項目等の情報に基づき、ラックの分析順を変更して分析効率を向上しうる自動分析装置を提供する。
【解決手段】自動分析装置1は、測定機構40に移送前のラック9を一時的に載置保管するラックバッファー部68を備え、ラック移送部65上に備えられる読取装置66により、ラック9と検体容器9aとに貼付された情報記憶媒体からラック情報と検体情報とを読み取り、該情報をラック情報記憶部22に位置情報と共に記憶し、該情報に基づき決定部23が分析順を決定して、移送制御部21が該分析順にラック9を検体吸引部67に移送するよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析前の複数の検体容器を搭載したラックの分析順を調整しうる自動分析装置ならびにラック搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検体と試薬とを反応させることによって検体の成分の分析を行う自動分析装置では、検体容器に収容されている検体を所定の反応容器へ分注し、その反応容器内で検査項目に応じた試薬と混合し、反応を生じさせている。このような検体の分注を迅速に行うため、自動分析装置には、複数の検体容器をまとめて搭載したラックを搬送するラック搬送機構が設けられている。
【0003】
近年、分析結果が測定可能範囲を超える等の異常値を示した場合に、同一検体について再検査を行なうために、分注が終了後分析結果の待機用のラック待機部を設けて、再検査が必要な場合に該ラック待機部からラックを分析モジュールまで搬送する自動分析装置が開示されている(例えば、特許文献1および2を参照)。同様に、ラックをセットする荷載ラック部とラックの位置決め装置とラックを搬送する搬送装置とを備え、入力データと複数の試料処理の優先順位とに基づき、搬送装置によりラックを荷載ラック部から位置決め装置に搬送し、位置決め装置が診断モジュールで試験可能なように位置決めする分析装置が開示されている(例えば、特許文献3を参照)。さらに、生化学分析部と免疫分析部の2つの分析モジュールを備え、ラックに収容される検体の分析項目に応じて免疫分析部と生化学分析部とへの搬送を振り分ける振り分け部と、ラック待機部とを備えた分析装置が開示されている(例えば、特許文献4を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平6−207943号公報
【特許文献2】特開2004−28588号公報
【特許文献3】特表2004−525376号公報
【特許文献4】特開2006−38881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1および2に開示される分析装置では、分注済みのラックについて、再検査または搬出指示が出ていないラックをラック待機部に載置することができるので、分析終了し再検査指示が出されたラックについては即時に再分析可能であるが、これから分析を行うラックの分析順序を制御することはできず、緊急検体を除いて受け入れ順に分析が行われることになる。このため、緊急検体以外で早期に分析結果を知りたい検体がある場合には対応することができない。また、生化学分析、免疫学分析等、異なる分析モジュールを備える複合機においては、受付順にサンプルラックの分析を行うことになるため、サンプルラックに収容される検体の分析項目がどちらかの分析モジュールに偏っているラックが続く場合、他方の分析モジュールは待機状態となり、装置全体の分析効率が著しく低下してしまう。
【0006】
また、特許文献3に開示される装置では、これから分注が行なわれるラックや、分注後の再検査要否未定で待機中のラックがすべて荷載ラック部に保管され、荷載ラック部に載置されるラックに対してプログラムされた優先順位に基づき分析順を決定する。したがって、複数の分析モジュールを備えた装置での稼動効率は優れるものの、ラックの搬入・搬出はすべて荷載ラック部で行なわれるため、誤ったラックの抜き取り防止のためにすべてのラックの分析が終了するまで荷載ラック部にアクセスできず、装置へのラックの搬入・搬出時は分析が中断されるという問題を有する。
【0007】
さらに、特許文献4に開示される装置では、搬送先を振り分け、搬送予定の分析モジュールにおいて分注待ちとなる場合にはラック待機部に搬送することにより搬送レーンの渋滞を回避できるものの、未分析のラックの分析項目を考慮してラックの分析順を変更することはできないため、装置全体の分析効率を向上することはできない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ラックバッファー部に載置された分析待ちのラックのラック情報、検体情報、分析項目等の情報に基づき、ラックの分析順を変更して装置全体の稼働状況を改善し、分析効率を向上する自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、検体と試薬とを反応させた反応物を含む液体検体を光学的に分析する分析モジュールを少なくとも1以上備える自動分析装置において、検体を収容する検体容器を複数保持しうるラックをセットするラックセット部と、分析が終了した検体容器を保持する前記ラックを載置するラック回収部と、分析モジュールに移送前の前記ラックを一時的に載置保管するラックバッファー部と、前記ラックセット部、前記ラック回収部、前記ラックバッファー部および検体吸引部間を移動してラックを搬送するラック移送部と、前記ラック移送部により移送される前記ラックおよび/または前記検体容器からラック情報と検体情報とを読み取る読取装置と、前記ラックバッファー部に載置されるすべてのラックのラック情報および検体情報に位置情報を付加して記憶するラック情報記憶部と、前記ラック情報記憶部に記憶されたラック情報および検体情報に基づき、前記ラックバッファー部に載置されるすべてのラックの分析順を決定する決定部と、前記ラックバッファー部に載置される前記ラックを、前記決定部が決定した分析順に前記分析モジュールの検体分注位置へ移送するよう前記ラック移送部を制御する移送制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記ラックは分析の優先順位に基づき区別され、前記読取装置は前記ラックの優先順位を判別し、前記決定部は、該判別した優先順位に基づき分析順を決定することを特徴とする。
【0011】
前記ラックの優先順位は、前記ラックの色、前記ラックに貼付された磁気情報、前記ラックの物理的形状により判別されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記決定部は、サンプル種類に基づき分析順を決定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、検体と試薬とを反応させた反応物を含む液体検体を光学的に分析するための分析モジュールを2以上備え、前記ラック移送部は複数の搬送レーンを備え、前記決定部は前記ラックの分析順および移送する前記ラックの搬送レーンを決定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、検体と試薬とを反応させた反応物を含む液体検体を光学的に分析するための異なる分析モジュールを備え、分析項目情報を抽出し、該分析項目情報に基づきラック毎に分析モジュール単位の分注時間を積算する算出部を備え、前記ラック情報記憶部は各検体の分析項目情報および前記算出部により算出された分析モジュール単位の分注時間を記憶し、前記決定部は、前記ラック情報記憶部が記憶する前記ラックの分析モジュール単位の分注時間に基づき、前記ラックの分注順を決定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記ラックバッファー部は、分注終了後の再検査要否未定で待機中のラックも載置保管し、前記決定部は、未分析の検体容器を保持する前記ラックと、再検査を要する検体容器を保持する前記ラックとを含むすべてのラックについて分析順を決定することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、分注終了後で再検査要否未定で待機中のラックを載置保管する再検ラックバッファー部を備え、前記決定部は、未分析の検体容器を保持する前記ラックと、再検査を要する検体容器を保持する前記ラックとを含むすべてのラックについて1の分析順を決定することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の自動分析装置のラック搬送方法は、検体と試薬とを反応させた反応物を含む液体検体を光学的に分析する自動分析装置におけるラック搬送方法において、ラックセット部にセットされた分析前のラックをラック移送部によりラックバッファー部に搬送する第1搬送ステップと、第1搬送ステップでの搬送時に搬送する前記ラックのラック情報と検体情報とを読み取る読み取りステップと、前記ラックバッファー部に載置されるすべてのラックのラック情報および検体情報に位置情報を付加して記憶するラック情報記憶ステップと、前記ラック情報記憶ステップで記憶されたラック情報および検体情報に基づき前記ラックバッファー部に載置されるすべてのラックの分析順を決定する決定ステップと、前記ラックバッファー部に載置される前記ラックを、ラック移送部により前記決定ステップが決定した分析順に分析モジュールの検体分注位置に搬送する第2搬送ステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の自動分析装置のラック搬送方法は、上記の発明において、前記ラックは分析の優先順位に基づき区別され、前記読み取りステップは前記ラックの優先順位を判別して、該判別した優先順位に基づき前記決定ステップで分析順を決定することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の自動分析装置のラック搬送方法は、上記の発明において、前記ラックの優先順位は、前記ラックの色、前記ラックに貼付された磁気情報、前記ラックの物理的形状により判別されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の自動分析装置のラック搬送方法は、上記の発明において、サンプル種類に基づき分析順を決定することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の自動分析装置のラック搬送方法は、上記の発明において、検体と試薬とを反応させた反応物を含む液体検体を光学的に分析するための分析モジュールを2以上備え、前記ラック移送部は複数の搬送レーンを備え、前記決定ステップは前記ラックの分析順および移送する前記ラックの搬送レーンを決定することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の自動分析装置のラック搬送方法は、上記の発明において、検体と試薬とを反応させた反応物を含む液体検体を光学的に分析するための異なる分析モジュールを2以上備え、ホストコンピューターまたは記憶部から検体の分析項目情報を抽出する抽出ステップと、前記分析項目情報に基づきラック毎に分析モジュール単位の分注時間を積算する算出ステップとを含み、前記ラック情報記憶ステップは前記分析項目情報および前記算出ステップにより算出したラック毎の分析モジュール単位の分注時間を記憶し、前記決定ステップは、前記ラック情報記憶ステップが記憶するラック毎の分析モジュール単位の分注時間に基づき、前記ラックの分析順を決定することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の自動分析装置のラック搬送方法は、上記の発明において、前記ラックバッファー部は、分注終了後の再検査要否未定で待機中のラックも載置保管し、前記決定ステップは、未分析の検体容器を保持する前記ラックと、再検査を要する検体容器を保持する前記ラックとを含むすべてのラックについて分析順を決定することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の自動分析装置のラック搬送方法は、上記の発明において、分注終了後で再検査要否未定で待機中のラックを載置保管する再検ラックバッファー部を備え、前記決定ステップは、未分析の検体容器を保持する前記ラックと、再検査を要する検体容器を保持する前記ラックとを含むすべてのラックについて1の分析順を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の自動分析装置ならびにラック搬送方法では、ラックバッファー部に載置される未分析のラックについて、ユーザーの指定する優先順位に基づき、ラック情報、検体情報、および分析項目情報を参照してラックの分析順を容易に変更でき、特に複数の分析モジュールを搭載する分析装置においては、分析効率を大幅に改善できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して、この発明の実施の形態にかかる自動分析装置について、血液などの液体検体をサンプルとして分析する自動分析装置を例に説明する。以下の説明で参照する図面は模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる自動分析装置1の構成を示す模式図である。図1に示すように、自動分析装置1は、分析対象である検体および試薬を反応容器5にそれぞれ分注し、分注した反応容器5内で生じる反応を光学的に測定する測定機構40と、検体容器9aを保持するラック9を測定機構40に搬送するラック搬送機構60と、測定機構40とラック搬送機構60とを含む自動分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構40における測定結果の分析を行う制御機構50とを備える。自動分析装置1は、これらの機構が連携することによって複数の検体の生化学的、免疫学的あるいは遺伝学的な分析を自動的に行う。
【0028】
測定機構40は、試薬庫2と、反応テーブル4と、試薬分注装置6と、測光装置11と、洗浄機構12と、攪拌装置13と、検体分注装置20とを備えている。
【0029】
試薬庫2は、図1に示すように、試薬を収容する試薬容器2aが周方向に複数配置され、駆動手段(図示せず)により回転されて試薬容器2aを周方向に搬送する。複数の試薬容器2aは、それぞれ検査項目に応じた試薬が満たされ、外面には収容した試薬の種類、ロット及び有効期限等の情報を記録した情報記録媒体(図示せず)が貼付されている。ここで、試薬庫2の外周には、試薬容器2aに貼付した情報記録媒体に記録された試薬情報を読み取り、制御部へ出力する読取装置(図示せず)が設置されている。試薬庫2の上方には、試薬の蒸発や変性を抑制するため、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられており、試薬庫2の下方には試薬冷却用の恒温槽(図示せず)が設けられている。
【0030】
試薬分注装置6は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム6aを備える。このアーム6aの先端部には、検体の吸引および吐出を行なうプローブが取り付けられている。試薬分注装置6は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。試薬分注装置6は、上述した試薬庫2上の所定位置に移送された試薬容器2aの中からプローブによって試薬を吸引し、アーム6aを図中時計回りに旋回させ、反応容器5に試薬を吐出して分注を行なう。また、プローブの回動軌跡上には、洗浄水によってプローブを洗浄する洗浄槽6cが設置される。
【0031】
反応テーブル4は、図1に示すように、複数の反応容器5が周方向に沿って配列されており、試薬庫2を駆動する駆動手段とは異なる駆動手段(図示せず)によって矢印で示す方向に回転されて反応容器5を周方向に移動させる。反応テーブル4の上方には開閉自在な蓋(図示せず)が、下方には検体と試薬の反応を促進させる温度に加温するための恒温槽(図示せず)がそれぞれ設けられている。
【0032】
反応容器5は、測光装置11から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する光学的に透明な素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス、環状オレフィンやポリスチレン等によって四角筒状に成形されたキュベットと呼ばれる容器である。
【0033】
測光装置11は、試薬と検体とが反応した反応容器5内の液体試料に分析光(340〜800nm)を透過させて分析するための光学系であり、光源、分光部及び受光部を有している。光源から出射された分析光は、反応容器5内の液体試料を透過し、分光部と対向する位置に設けた受光部によって受光される。
【0034】
洗浄装置12は、ノズルによって測光装置11による測定が終了した反応容器5内の反応液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで洗浄を行なう。この洗浄した反応容器5は再利用されるが、検査内容によっては1回の測定終了後に反応容器5を廃棄してもよい。
【0035】
攪拌装置13は、分注された検体と試薬とを攪拌棒によって攪拌し、反応を均一化させる。
【0036】
検体分注装置20は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム20aを備える。このアーム20aの先端部には、検体の吸引および吐出を行なうプローブが取り付けられている。検体分注装置20は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注装置20は、後述するラック搬送機構60により分注位置に移送された検体容器9aの中からプローブによって検体を吸引し、アーム20aを図中反時計回りに旋回させ、反応容器5に検体を吐出して分注を行なう。また、プローブの回動軌跡上には、洗浄水によってプローブを洗浄する洗浄槽20cが設置される。
【0037】
ラック搬送機構60は、緊急検体ラックセット部61と、ラックセット部62と、ラック回収部63と、ラック移送部65と、読取装置66と、検体吸引部67と、ラックバッファー部68とを備える。
【0038】
ラックセット部62には、分析を行う検体容器9aを複数保持するラック9を載置する。ユーザーは分析を行うラック9を随時ラックセット部62に載置することが可能であり、ラックセット部62は、複数のラック9を保持するラックトレイを載置するものでもよく、キャタピラ方式であってもよい。ラックトレイによってラック9を補充する場合は、ラックトレイに保持されるラック9がすべてラックバッファー部68に移送され、ラックトレイが空になった後、ラック9を収容するラックトレイと交換することによりラック9を補充する。ラックトレイを使用する場合でも、ラックバッファー部68に未分析のラック9が載置されているので、分析が中断することはない。
【0039】
ラックバッファー部68は、ラックセット部62に載置された未分析のラック9を一時的に保管する。ラックバッファー部68に載置される未分析のラック9は、ラック移送部65によりラックセット部62から移送される際、読取装置66により、ラック9に貼付されるラック情報を記録した情報記録媒体と、検体容器9aに貼付される検体情報を記録した情報記録媒体とを読み込む。情報記録媒体としては、通常バーコードが使用されるが、二次元コードやIDチップなどの使用も可能である。さらに読取装置66は、着色されたラック9の色を判別するカラーセンサを備え、ラック情報および検体情報に加え、ラック9の色も判別する。ラック9は、ラック9が保持する検体の分析結果取得の緊急度により、赤(緊急検体)、青(迅速検体)、白(通常検体)等に着色されている。緊急検体を保持するラック9は、通常緊急検体ラックセット部61にセットされ、検体吸引部67が空き次第緊急検体ラックセット部61からラック移送部65により検体吸引部67に搬送され、分析が行われる。迅速検体は、例えば、病院などにおいて、来院患者からの検体を入院患者(通常検体)と区別するためのものであり、来院患者からの検体の分析結果を迅速に入手するために、ラック9の色を変えて優先順位付けを行なうことが可能である。
【0040】
ラック回収部63は、分析が終了したラック9を保管する。検体吸引部67での検体吸引終了後のラック9は、検体分注後に分析が終了し、分析結果にエラーがない場合にのみラック移送部65によりラック回収部63に搬送される。分析結果が出ていない場合は、ラック9は、ラック回収部63でなく、ラックバッファー部68に搬送され、ラックバッファー部68で分析結果が出るまで待機する。ユーザーは、ラック回収部63に搬送されたラック9を随時搬出することができる。
【0041】
ラック移送部65は、移送するラック9をラック移送部65側へ引き込む引き込み部(図示せず)と、ラック移送部65側から移送先にラックを押し出す押し出し部(図示せず)を備え、搬送するラック9の位置まで移動後、引き込み部(図示せず)によりラック9をラック移送部65に引き込み、前記ラック移送部65に備えられる読取装置66によりラック9のラック情報と検体情報とを読み込む。読取装置66により読み込んだラック情報と検体情報は、後述するラック情報記憶部22によりラックバッファー部68上の載置位置とともに記憶される。また、ラック移送部65は、緊急検体ラックセット部61に載置される緊急検体を保持するラックの検体吸引部67への移送も行なう。
【0042】
つぎに、制御機構50について説明する。制御機構50は、制御部15と、入力部16と、出力部17と、分析部18と、記憶部19と、移送制御部21とを備える。制御部15は、測定機構40、ラック搬送機構60および制御機構50が備える各部と接続される。これら各部の作動を制御するため、制御部15には、マイクロコンピュータ等が使用される。制御部15は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。制御部15は、自動分析装置1の各部の作動を制御すると共に、情報記録媒体から読み取った情報に基づき、試薬の有効期限等が設置範囲外の場合、分析作業を停止するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警告を発する。
【0043】
入力部16は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。出力部17は、プリンタ、通信機構等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力し、ユーザーに報知する。分析部18は、測光装置11から取得した測定結果に基づいて吸光度等を演算し、検体の成分分析等を行う。記憶部19は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部19は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
【0044】
移送制御部21は、ラック移送部65によるラック9の移送を制御する。移送制御部21は、ラック移送部65を介してラックセット部62からラックバッファー部68、ラックバッファー部68から検体吸引部67、検体吸引部67からラック回収部63、検体吸引部67からラックバッファー部68へラック9を移送するよう制御する。移送制御部21は、ラック情報記憶部22と、決定部23とを備える。ラック情報記憶部22は、読取装置66により読み取られたラック情報と検体情報とを、ラック9のラックバッファー部68上の載置位置とともに記憶する。ラック情報には、ラックIDの他、ラック色、収容するサンプル種の情報が含まれる。検体情報には、検体容器情報、検体IDが含まれる。決定部23は、前記ラック情報および前記検体情報に基づき分析順を決定する。移送制御部21は、決定部23が決定した分析順に、ラックバッファー部68に載置されるラック9を検体吸引部へラック移送部65を介して移送するよう制御する。
【0045】
以上のように構成された自動分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応容器5に対して、ラック移送部65により検体吸引部67に移送されたラック9に保持される検体容器9a中の検体を検体分注装置20により分注し、試薬分注装置6が試薬容器2a中の試薬を分注して、測光装置11が検体と試薬とを反応させた状態の試料の分光強度測定を行い、この測定結果を分析部18が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行われる。また、洗浄機構12が測光装置11による測定が終了した後に反応容器5を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。
【0046】
つぎに、実施の形態1にかかる自動分析装置1のラック搬送機構60によるラック搬送について、図2〜図6を参照して詳細に説明する。図2は、ラック搬送機構60によるラック搬送のフローチャートである。図3は、実施の形態1にかかるラックバッファー部68の構成を示す模式図である。図4は、ラック情報記憶部22が記憶するラック情報と位置情報の構成例を示す図である。図5は、図3の分析順決定のフローチャートを示す図である。図6は、図4のラック情報に基づき決定された分注順を含むラック情報の構成例を示す図である。
【0047】
まず、分析を行う検体が収容された検体容器9aを保持するラック9を、ラックセット部62にセットする(ステップS101)。緊急検体を収容するラック9は、緊急検体ラックセット部61にセットする。ラック9のセット後、緊急検体ラックセット部61にラック9がセットされているか否かを判断する(ステップS102)。緊急検体ラックセット部61にラック9がセットされていない場合は(ステップS102、No)、ラックバッファー部68に載置されるラック9の数をラック情報記憶部22から抽出し、設定数以下であるか否か判断する(ステップS103)。ラックバッファー部68に載置されるラック9の数が設定数以下である場合(ステップS103、Yes)、ラックセット部62のラック9をラック移送部65に移動させる(ステップS104)。その後、読取装置66によりラック9および検体容器9aにそれぞれ貼付される情報記憶媒体からラック情報および検体情報を読み取り(ステップS105)、ラック9をラックバッファー部68に移送する(ステップS106)。なお、ラック9および検体容器9aにそれぞれ貼付される情報記憶媒体から収容するサンプル種や検体容器情報が取得できない場合は、検体の分析項目情報と共にホストコンピューターから該情報を取得すればよい。ラックバッファー部68に載置されたラック9について、ラック情報および検体情報を載置された位置情報とともにラック情報記憶部22に記憶する(ステップS107)。その後、ラックセット部62にラック9が有るか否か判断し(ステップS108)、ラックセット部62にラック9が有る場合には(ステップS108、Yes)、ステップS102以降を繰り返す。
【0048】
緊急検体ラックセット部61にラック9がセットされている場合は(ステップS102、Yes)、緊急検体を収容するラック9を検体吸引部67に移送可能か判断するために、検体吸引部67にラック9があるか否かを判断する(ステップS113)。検体吸引部67にラック9がある場合は(ステップS113、Yes)、検体吸引部が空くまで待機させ、検体吸引部67にラック9がない場合は(ステップS113、No)、緊急検体を収容するラック9をラック移送部65へ移動する(ステップS114)。ラック9移動後、緊急検体のラック情報と検体情報を読取装置66により読み取り(ステップS115)、緊急検体を収容するラック9をラック移送部65により検体吸引部67に移送し(ステップS116)、検体分注装置20により検体容器9a中の検体を分注する(ステップS117)。その後、緊急検体の分析項目について分注がすべて終了したか確認し(ステップS118)、緊急検体のすべて分析項目の分注が終了している場合には(ステップS118、Yes)、ラック9をラックバッファー部68に搬送し(ステップS119)、分析結果が出るまで待機させる。終了していない場合には(ステップS118、No)、すべての検体について分注を続行する。ラック9のラックバッファー部68への搬送後(ステップS119)、ラックバッファー部68に載置される待機中のラック9について分析が終了したか否か確認し(ステップS120)、終了している場合には(ステップS120、Yes)、再検査が必要か判断する(ステップS121)。再検査が必要な場合には(ステップS121、Yes)、ステップS110で再度分析順を決定し、ステップS111以降を繰り返す。再検査が不要な場合には(ステップS121、No)、再検査不要と判断されたラック9をラック回収部63に移動させる(ステップS122)。また、ラックバッファー部68に分析終了済みのラックがない場合には(ステップS120、No)、前回ステップS110で決めた分析順に分注を続行するために、ステップS111から繰り返す。
【0049】
一方、ステップS102〜ステップS108の繰り返しにより、ラックバッファー部68に載置されるラック9の数が設定数になった場合(ステップS103、No)、ラック情報記憶部22に記憶されるラック情報および検体情報に基づきラック9の分注順を決定する(ステップS110)。
【0050】
ラックの分析順の決定方法につき、図3〜図6を参照して説明する。図3に示すように、ラックバッファー部68は複数のラック9を載置可能であり、ラック9の載置場所を、例えばP1、P2・・・と位置づけしている。ラック9の分析順を決定するタイミングは、ラックバッファー部68に載置されるラック9の数が所定値となったときと設定する。実施の形態1では所定値を10とし、ラックバッファー部68にラック9が10台載置された後分注順を決定するものとする。図4は、ラック情報記憶部22が記憶するラック情報と位置情報の構成例を示している。ラック情報501には、現在ラックバッファー部68に載置されているラック9について、ラック受付位置、ラック番号、ラック色、サンプル種、初検(未分析)または再検査の要否等が記憶される。例えば、ラック情報501では、ラック受付位置P1には、ラック番号1001、ラック色は白、サンプル種は血液の初検(未分析)のラック9が載置されている。ラック色の白、青、赤は、通常検体(入院患者)、迅速検体(来院患者)、緊急検体を区分するためのものである。緊急検体は、通常、緊急検体ラックセット部61に載置されるが、緊急検体ラックセット部61にすでにラック9がセットされている場合などは、ラックセット部62に載置してもラックバッファー部68で分析順を決定するので、分析順を繰り上げて分析を行うことが可能となる。サンプル種は、血液、尿等が例示されるが、検体分注装置20が金属プローブ等の連続的に分注を行なうプローブを採用する場合には、キャリーオーバー防止を目的としてサンプル種が変更するたびに通常洗浄に加えて特別洗浄を行なうよう制御される。したがって、同じサンプル種を連続して分析するよう制御することで、特別洗浄回数を低減することができ、これによりトータルの分析時間を短縮し、洗浄にかかるコストも抑制することができる。再検査の空欄(−)は、未分析のラック9を示し、要は再分析が必要なラック9を、待機は分析結果待ちのラック9を示す。再検査が必要と判断されたラック9は優先的に分析を行うものとする。
【0051】
図5は、図3の分析順決定のフローチャートを示す図である。図5に示すように、決定部23は、ラック情報記憶部22に記憶されるラック情報501に基づき、まずラック色でラックを分類する(ステップS201)。ラック色は、赤→青→白の順に分析を行うものとし、各色のラックを分類する。その後、各色のラック群の中で、再検査と未分析のラックを分類し(ステップS202)、最後にサンプル種での分類を行ない(ステップS203)、決定部23が分析順を決定する(ステップS204)。図6は、図4のラック情報501に基づき決定部23により分注順が決定された場合の情報の構成例である。図6に示すように、まず、ラック受付位置P10の赤色ラック(ラック番号3001)が分析順1となり、次に青色ラック群(受付位置P6、P7、P9)の順番を決定する。受付位置P9のラック(ラック番号1017)は、再検査待機中であるので再検査の要否がわかるまで分析には組み込まれない。受付位置P6、P7の青色ラックは、サンプル種が血液の未分析ラックであり、優劣がなく、分析順は受付順(P6が2、P7が3)となる。白色ラック群(受付位置P1、P2、P3、P4、P5、P8)の順番は、再検査が必要な受付位置P5のラック(ラック番号1009)が分析順4となり、再検査待機中の受付位置P4のラック(ラック番号1007)を除いた受付位置P1、P2、P3、P8で順番を決定する。さらに、サンプル種で分析順を決定するが、直前の分析順4のサンプル種(ラック番号1009)が血液であり、特別洗浄を省略するため、血液サンプルのラックを優先して分析する。サンプル種が血液のラックは受付位置P1、P3、P8であり、受付順に分析を行い(P1が5、P3が6、P8が7)、最後にサンプル種が尿である受付位置P2のラック(ラック番号1003)の分析となる。
【0052】
図5に示す分注順決定処理はあくまで例示であり、各判断項目(ラック色、未分析か再検査、サンプル種)は変わらないものの、優先順位はユーザーの使用状況により変更しうるものである。また、ラックバッファー部68には、校正、精度管理等の標準サンプルを搭載したラック9も載置されるが、再検査待ちのラック9と同様に、ラックバッファー部68に待機させて、必要な場合に優先順位をあげて検体吸引部67に移送することが可能である。
【0053】
上記のようにして、分析順を決定した後(ステップS110)、分析順の早いものから検体吸引部67にラック9を搬送するために、検体吸引部67にラック9があるか否か確認する(ステップS111)。検体吸引部67にラック9がない場合には(ステップS111、No)、ラック情報502の分析順1のラック9が検体吸引部67に移送され(ステップS112)、検体分注装置20により検体分注が行なわれる(ステップS117)。検体吸引部67にラック9がある場合には(ステップS111、Yes)、検体吸引部67のラックが搬送されるまで待機する。
【0054】
検体分注後(ステップS117)、上述した緊急検体の場合と同様にラック9に収容されるすべての検体の分注が終了したか確認し(ステップS118)、終了している場合には(ステップS118、Yes)、ラック9をラックバッファー部68に搬送し(ステップS119)、分析結果が出るまで待機させる。終了していない場合には(ステップS118、No)、すべての検体について分注を続行する。ラック9のラックバッファー部68への搬送後(ステップS119)、ラックバッファー部68に載置される待機中のラック9について分析が終了したか否か確認し(ステップS120)、終了している場合には(ステップS120、Yes)、再検査が必要か判断する(ステップS121)。再検査が必要な場合には(ステップS121、Yes)、再度ステップS110以降を繰り返し、再検査が不要な場合には(ステップS121、No)、再検査不要と判断されたラック9をラック回収部63に移動後(ステップS122)、ステップS102以降を繰り返す。また、ラックバッファー部68に分析終了済みのラック9がない場合には(ステップS120、No)、前回ステップS110で決めた分析順に分注を続行するために、ステップS111から繰り返す。
【0055】
一方、ステップS102〜ステップS107の繰り返しによりラックセット部62にセットされたラック9がすべてラックバッファー部68へ搬送された場合は(ステップS108、No)、ラックバッファー部68にラック9があるか否か確認し(ステップS109)、ラックバッファー部68にラック9がある場合には(ステップS109、Yes)、ラックバッファー部68に載置されるラック9について、ステップS110の分析順決定処理を行い、決定した順番に分析を行う(ステップS111〜S122を繰り返す)。ラックバッファー部68にラック9がない場合には(ステップS109、No)、分析の終了となる。
【0056】
上記のフローでは、ラックバッファー部68のラック9の入れ替えのたびに分析順を決定するので、優先順位が高くないラック9はいつまでもラックバッファー部68に載置され続けるため、載置される時間の制限を定めて制限時間を超えたラック9は分析順にかかわらず、優先的に分析を行うこととしてもよい。
【0057】
さらに、実施の形態1の変形例として、ラック搬送機構60Aが再検ラックバッファー部69を備える自動分析装置1Aが例示される(図7参照)。ラック9の分析結果の待機時間が長くなる場合は、ラックバッファー部68に載置される待機中のラック9が増加してしまい、ラックバッファー部68に載置される未分析のラック9が少なくなる場合がある。かかる場合には、分析順変更による分析効率向上効果が低下してしまうため、図7に示す自動分析装置1Aのように再検ラックバッファー部69を設置することにより、分析結果の待機時間が長くなる場合でも、ラックバッファー部68に載置される未分析ラック9の数を一定以上にできるため、分析順変更による分析効率向上の効果を維持することが可能になる。
【0058】
また、実施の形態1は、ラック9の分析の優先順位に基づく区分付けを、ラック9の色で行なっているが、ラック9の底面に貼付されたマグネットの配置箇所により磁気的に優先順位を判別したり、ラック9に穴を開けて、当該穴の位置(物理的形状)で区分付けをして光学的に優先順位を判別してもよい。
【0059】
(実施の形態2)
実施の形態2は異なる分析モジュールが接続された複合機におけるラック搬送方法にかかるものである。異なる分析モジュールを備える自動分析装置では、ラック9に収容される検体の分析項目がいずれかの分析モジュールに偏りがある場合(例えば、一方の分析モジュールのみでの分析を行うラックが続き、その後他方の分析モジュールのみで分析を行うラックが続くような場合)には、各分析モジュールで分析が滞り分析効率が低下してしまうおそれがある。実施の形態2にかかる自動分析装置1Bは、各ラック9の分析項目情報から各分析モジュールの稼働状況を同程度とするように分析順を決定することができるので、各分析モジュールの稼働状況を調整して処理時間を短縮することができる。
【0060】
図8は、本発明の実施の形態2に係る自動分析装置1Bの構成を模式的に示す図である。自動分析装置1Bは、生化学分析モジュール41と免疫学分析モジュール42が接続された複合機であるが、これはあくまで例示である。生化学分析モジュール41は、試薬庫2、3、試薬分注装置6、7、および洗浄槽6c、7cを各2有する以外は、実施の形態1にかかる自動分析装置の測定機構40とほぼ同様の構成を備える。
【0061】
免疫学分析モジュール42は、免疫反応テーブル31と、BFテーブル32と、試薬テーブル33および34と、試薬分注装置35および36と、酵素反応テーブル37と、測光装置38と、検体分注装置39と、反応容器移送部55および56と、洗浄槽35cおよび36cと、チップ装填ユニット57とを備えている。
【0062】
免疫学分析モジュールの各構成要素は、生化学分析モジュールと共通するものが多いので、以下、免疫学分析モジュールに特徴的な構成について説明する。
【0063】
試薬テーブル33および34は、試薬容器を複数収納し、各試薬容器には、免疫学的分析項目の分析に使用される試薬であって、分析対象である検体内の抗原または抗体と特異的に結合する反応物質を固相した磁性粒子を含む試薬や、磁性粒子と結合した抗原または抗体と特異的に結合する標識物質(たとえば酵素)、標識物質との酵素反応によって発光する基質を含む基質液が収容されている。
【0064】
免疫反応テーブル31は、反応容器5a内で検体と所定の試薬とを反応させるための反応ラインを有し、検体と磁性粒子試薬との第一反応用の外周ラインと、検体と標識試薬との第二反応用の内周ラインの2つの反応ラインを有する。各反応ラインには、反応容器5aを収容する反応容器収容部が複数形成される。免疫反応テーブル31は、免疫反応テーブル31の中心を通る鉛直線を回転軸として図8の矢印の方向に回動自在であり、免疫反応テーブル31の図示しない反応容器収容部に収容された反応容器5aを所定タイミングで検体吐出位置C等に移送する。
【0065】
BFテーブル32は、所定の洗浄液を吸引吐出して検体または試薬における未反応物質を分離するBF(bound−free)分離を実施するBF洗浄処理を行なう。BFテーブル32は、BFテーブル32の中心を通る鉛直線を回転軸として図8の矢印の方向に回動自在であり、BFテーブル32に配置された反応容器5aを所定タイミングで所定位置に移送する。BFテーブル32は、BF分離に必要な磁性粒子を集磁する集磁機構と、BF液を反応容器内に吐出・吸引してBF分離を実施するBF洗浄プローブを有するBF洗浄部と、集磁された磁性粒子を分散させる攪拌機構とを有する。
【0066】
酵素反応テーブル37は、反応容器5a内に注入された基質液内の基質が発光可能となる酵素反応処理を行なうための反応ラインである。酵素反応テーブル37には、周方向に反応容器5aを収容する反応容器収容部が形成される。酵素反応テーブル37は、酵素反応テーブル37の中心を通る鉛直線を回転軸として図8の矢印の方向に回動自在であり、酵素反応テーブル37に配置された反応容器5aを所定タイミングで所定位置に移送する。
【0067】
反応容器移送部55および56は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行ない、検体および所定の試薬を収容した反応容器5aを所定タイミングで、免疫反応テーブル31、BFテーブル32、酵素反応テーブル37、測光装置38、図示しない反応容器供給部および反応容器廃棄部の所定位置に移送するアームを備える。
【0068】
検体分注装置39は、ラック搬送機構60Bにより検体吸引位置AまたはBに搬送された検体容器9a内の検体を、免疫反応テーブル31上の検体吐出位置Cに搬送された反応容器5aに分注する。検体分注装置39は、検体の吸引および吐出を行なうディスポーザブルチップがプローブ先端部に取り付けられ、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なう。検体分注装置39は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。チップ装填ユニット57は、複数のチップを整列したチップケースを設置しており、このケースからディスポーザブルチップが供給される。このディスポーザブルチップは、免疫学分析項目測定時のキャリーオーバー防止のため、検体分注装置39のプローブ先端部に装着され、検体分注ごとに交換される使い捨てのサンプルチップである。また、チップ装填ユニット57のチップ装着位置Gにおいて、ディスポーザブルチップの装着のほか、ディスポーザブルチップの脱着を行い、使用済みのディスポーザブルチップの廃棄ボックスを有している。
【0069】
ラック搬送機構60Bは、搬送レーン69a、69b、69cを備える点を除き、実施の形態1のラック搬送機構60と同様の構成を有する。ラック移送部65は、決定部23Bの決定した分注順に、ラック9を搬送レーン69aまたは69bに移送する。ラック9は、図示しない搬送機構によって搬送レーン69a上を搬送され、検体吸引位置Eで生化学分析モジュール41の検体分注装置20により検体が吸引され、反応テーブル4上の反応容器5に吐出される。さらに図示しない搬送機構によって搬送レーン69a上を搬送され、検体吸引位置Bで免疫学分析モジュール42の検体分注装置39により検体が吸引され、免疫反応テーブル31上の反応容器5aに吐出される。ラック9に収容されるすべての検体分注が終了した後、図示しない押し出し機構によりラック9は搬送レーン69cに押し出され、図示しない搬送機構によって搬送レーン69c上を搬送され、ラック移送部65によりラックバッファー部68に移送される。ラック9は、各分析モジュールの稼働状況に応じて、検体吸引位置Bに先に搬送されてもよい。また、ラック9によってはいずれか一方の分析モジュールのみでしか分析を行わないものもあるため、かかる場合にはいずれか一方の検体吸引位置に搬送し、分注終了後、図示しない押し出し機構によりラック9は搬送レーン69cに押し出され、図示しない搬送機構によって搬送レーン69c上を搬送され、ラック9はラック移送部65によりラックバッファー部68に移送されることになる。
【0070】
また、上記したラック9とは別のラック9は、図示しない搬送機構によって搬送レーン69b上を搬送され、検体吸引位置Dで生化学分析モジュール41の検体分注装置20により検体が吸引され、反応テーブル4上の反応容器5に吐出される。さらに図示しない搬送機構によって搬送レーン69b上を搬送され、検体吸引位置Aで免疫学分析モジュール42の検体分注装置39により検体が吸引され、免疫反応テーブル31上の反応容器5aに吐出される。ラック9に収容されるすべての検体分注が終了した後、図示しない押し出し機構によりラック9は搬送レーン69cに押し出され、図示しない搬送機構によって搬送レーン69c上を搬送され、ラック移送部65によりラックバッファー部68に移送される。ラック9は、各分析モジュールの稼働状況に応じて、検体吸引位置Aに先に搬送されてもよい。また、ラック9によってはいずれか一方の分析モジュールのみでしか分析を行わないものもあるため、かかる場合にはいずれか一方の検体吸引位置に搬送し、分注終了後、図示しない押し出し機構によりラック9は搬送レーン69cに押し出され、図示しない搬送機構によって搬送レーン69c上を搬送され、ラック9はラック移送部65によりラックバッファー部68に移送されることになる。
【0071】
制御機構50Bは、移送制御部21Bが算出部24を備える点で実施の形態1の制御機構50と異なる。算出部24は、ホスト等から抽出した分析項目情報に基づき、ラック9毎に分析モジュール単位の分注時間を積算する。ラック情報記憶部22Bは、ラック情報、検体情報およびラックの位置情報に加え、分析項目情報および算出部24が算出した分析モジュール単位の分注時間を記憶する。決定部23Bは、ラック色およびラック情報記憶部22Bが記憶する各ラック9の分析モジュール単位の分注時間に基づきラックの分注順を決定する。
【0072】
つぎに、実施の形態2にかかる自動分析装置1Bのラック搬送機構60Bによるラック搬送について、図9〜図15を参照して詳細に説明する。図9は、ラック搬送機構60Bによるラック搬送のフローチャートである。図10は、実施の形態2にかかるラックバッファー部68の構成を示す模式図である。図11は、ラック情報と位置情報の構成例を示す図である。図12は、検体情報の構成例を示す図である。図13は、図9の分析順決定のフローチャートを示す図である。図14は、検体情報(各モジュールでの分注時間)に基づき決定された青色ラック群についての分注順の構成例を示す図である。図15は、検体情報(各モジュールでの分注時間)に基づき決定された白色ラック群についての分注順の構成例を示す図である。図16は、検体情報(各モジュールでの分注時間)に基づき決定されたラックの分注順を含むラック情報の構成例を示す図である。
【0073】
実施の形態2にかかるラック搬送機構60Bによるラック搬送は、ラックセット部65からラック移送部65によりラックバッファー部68に搬送する際、読取装置66でラック情報および検体情報を読み取るまでは(図9参照、ステップS305)、実施の形態1のラック搬送と同様であり、その後、読み取った検体情報に基づき、分析項目情報を自動分析装置1Bの記憶部19または自動分析装置1Bと接続されるホストコンピューター(図示せず)から抽出する(ステップS306)。算出部24は、抽出した分析項目情報に基づきラック9毎に分析モジュール単位の分注時間を積算する(ステップS307)。その後、ラック移送部65によりラックバッファー部68に移送され(ステップS308)、ラック情報記憶部22Bは、ラック情報、検体情報、分析項目情報および位置情報と共に、算出部24が算出したラック9毎に分析モジュール単位の分注時間を記憶する(ステップS309)。たとえば、ラックバッファー部68に図10に示すようにラック9が載置されている場合、読取装置66で読み取られたラック情報は、図11に示すようなラック情報テーブル503としてラック情報記憶部22Bに記憶される。さらに読取装置66は、ラック9に収容される検体容器9aの検体情報も読取り、該検体情報は抽出した分析項目情報とともに、図12に示すような検体情報テーブル504としてラック情報記憶部22Bに記憶される。検体情報テーブル504はラック毎に構成され、たとえば、ラック番号、検体容器位置、検体番号、分析項目が記憶される。また、検体情報テーブル504には、算出部24が算出した生化学分注時間および免疫分注時間も記憶される。生化学分注時間と免疫分注時間は、前記分析項目に基づき生化学項目数と免疫項目数を算出し、各分析モジュールで1回の分注に要する分注時間を積算することにより算出される。さらに、検体情報テーブル504には、ラック(ラック番号1101)に収容される検体の生化学分注時間および免疫分注時間の合計時間も記憶される。
【0074】
その後、ラックバッファー部68のラック数が設定数になるまで(ステップS303、Yes)、ステップS302〜ステップS310が繰り返される。ラックバッファー部68のラック数が設定数となった後(ステップS303、No)、ラックバッファー部68に載置されるラック9の分析順が決定部23Bにより決定される(ステップS312)。図13に示すように、決定部23Bによるラック9の分析順決定は、ラック情報記憶部22Bに記憶されるラック情報に基づき、まずラック色でラックを分類する(ステップS401)。ラック色は、赤→青→白の順に分析を行うものとし、各色のラックを分類する。その後、各ラック9の分析モジュール単位の分注時間に基づきラック9を順位付けし(ステップS402)、分析順を決定する(ステップS403)。分析順の決定は、上記以外に、実施の形態1のように再検査ラックか未分析ラックかにより優先順位をつけたり、サンプル種類で分析順を入れ替えてもよい。
【0075】
図14および15は、図12に示す検体情報テーブル504等に基づき各ラック群について決定部23Bが決定したラックの分注順の構成例を示す図である。算出部24が算出した各ラック9に収容される検体の生化学分注時間および免疫分注時間の合計時間に基づき分析順を決定部23Bが決定するために、ラック情報記憶部22Bは、ラック情報に生化学分注時間および免疫分注時間(合計)を付加したラック情報テーブル505、506として記憶する。青色ラック群のラック情報テーブル505は、再検査待機中のラック番号1117を除き3ラック分であり、生化学分注時間および免疫分注時間の長さに応じて順位付けがされる。各分析モジュールでの分注時間が同程度のものを同時に分注することにより、各分析モジュールの稼働時間を同程度にすることができるので、各分析モジュールでの分注時間が長いもの、あるいは短いものから交互に分注するように分析順を変更する。生化学分注時間の長さでは、ラック番号1111(500秒)、1113(400秒)、1119(100秒)という順番となり、免疫分注時間の長さでは、ラック番号1119(400秒)、1113(40秒)、1111(0秒)となるから、各モジュールの分注長さ順位1のものから交互に分析する。分析順はラック番号1111、1119、1113の順となる。ラック番号1111を分析順1として生化学分析モジュールに搬送し分注する時間は500秒であり、分注順2のラック番号1119を免疫分析モジュールに搬送し分注する時間である400秒とほぼ同じ時間となり、各分析モジュールは同程度の稼動状況となる。
【0076】
白色ラック群のラック情報テーブル506は、再検査待機中のラック番号1109を除き5ラック分であり、青色ラック群と同様に、生化学分注時間および免疫分注時間の長さに応じて順位付けがされる。生化学分注時間の長いものから順位付けすると、ラック番号1101(400秒)、1103(350秒)、1107(200秒)、1105(150秒)、1115(80秒)という順番となり、免疫分注時間の長いものからでは、ラック番号1115(400秒)、1105(360秒)、1107(300秒)、1103(200秒)、1101(180秒)となる。白色ラック群の分析順は、各分析モジュールの稼動状況が同程度となるように、生化学分注時間の長さ順位1のものから、免疫分注時間の長さ順位1、生化学順位2、免疫順位2・・・と交互に分析を行うようにし、分析順はラック番号1101(分析順1)、1115(分析順2)、1103(分析順3)、1105(分析順4)、1107(分析順5)となる。
【0077】
図16に、決定部23Bが決定したすべてのラック9の分注順と搬送レーンを付加したラック情報テーブル507を示す。分析順は、青色ラック群が優先されその後白色ラック群が分析されるため、ラック番号1111(分析順1)、1119(分析順2)、1113(分析順3)、1101(分析順4)、1115(分析順5)、1103(分析順6)、1105(分析順7)、1107(分析順8)となる。搬送レーンは、分注順の奇数が69a、偶数が69b(逆でもよい)となる。分析順が定められたラック9はすべて未分析のラック9であり、各分析モジュールでの分注時間も比較的長いものであるため、各ラック9を交互に搬送レーン69a、69bで搬送しているが、再検査ラックなどでは短時間で分注が終わる場合がある。かかる場合は、決定部23Bは各分析モジュールの稼動状況が同程度となるよう搬送レーンも選択して分析順を決定する。なお、ラック情報テーブル507に示した分析順は、青色ラック群の分析順と白色ラック群の分析順をそのまま連続した分注順としているが、各ラック群の分析切り替えの状況を考慮して分析順を決定してもよい。
【0078】
決定部23Bによる分析順の決定後(ステップS312)、決定した分析順に分注を行うために、ステップS313以降が行なわれる。ステップS313以降は、ステップ番号は異なるが、実施の形態1の図2に示すフローチャートのステップS111以降と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】ラック搬送機構によるラック搬送のフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1にかかるラックバッファー部の構成を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかるラック情報記憶部が記憶するラック情報と位置情報の構成例を示す図である。
【図5】図3の分析順決定のフローチャートを示す図である。
【図6】図4のラック情報に基づき決定部により分注順が決定された場合の情報の構成例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1の変形例1に係る自動分析装置の構成を模式的に示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る自動分析装置の構成を模式的に示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係るラック搬送機構によるラック搬送のフローチャートである。
【図10】実施の形態2にかかるラックバッファー部の構成を示す模式図である。
【図11】実施の形態2にかかるラック情報と位置情報の構成例を示す図である。
【図12】実施の形態2にかかる検体情報の構成例を示す図である。
【図13】図9の分析順決定のフローチャートを示す図である。
【図14】検体情報(各モジュールでの分注時間)に基づき決定された青色ラック群の分注順の構成例を示す図である。
【図15】検体情報(各モジュールでの分注時間)に基づき決定された白色ラック群の分注順の構成例を示す図である。
【図16】検体情報(各モジュールでの分注時間)に基づき決定されたラックの分注順を含むラック情報の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1、1A、1B 自動分析装置
2、3 試薬庫
2a、3a 試薬容器
4 反応テーブル
5 反応容器
6、7 試薬分注装置
6a、7a、20a アーム
6c、7c、20c 洗浄槽
9 ラック
9a 検体容器
11 測光装置
12 洗浄機構
13 攪拌装置
15 制御部
16 入力部
17 出力部
18 分析部
19 記憶部
20 検体分注装置
21、21B 移送制御部
22、22B ラック情報記憶部
23、23B 決定部
24 算出部
31 免疫反応テーブル
32 BFテーブル
33、34 試薬テーブル
35、46 試薬分注装置
35c、36c 洗浄槽
37 酵素反応テーブル
38 測光装置
39 検体分注装置
40 測定機構
41 生化学分析モジュール
42 免疫学分析モジュール
50、50B 制御機構
55、56 反応容器移送部
57 チップ装填ユニット
60、60A、60B ラック搬送機構
61 緊急検体ラックセット部
62 ラックセット部
63 ラック回収部
65 ラック移送部
66 読取装置
67 検体吸引部
68 ラックバッファー部
69 再検ラックバッファー部
501、502、503、505、506、507 ラック情報テーブル
504 検体情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と試薬とを反応させた反応物を含む液体検体を光学的に分析する分析モジュールを少なくとも1以上備える自動分析装置において、
検体を収容する検体容器を複数保持しうるラックをセットするラックセット部と、
分析が終了した検体容器を保持する前記ラックを載置するラック回収部と、
分析モジュールに移送前の前記ラックを一時的に載置保管するラックバッファー部と、
前記ラックセット部、前記ラック回収部、前記ラックバッファー部および検体吸引部間を移動してラックを搬送するラック移送部と、
前記ラック移送部により移送される前記ラックおよび/または前記検体容器からラック情報と検体情報とを読み取る読取装置と、
前記ラックバッファー部に載置されるすべてのラックのラック情報および検体情報に位置情報を付加して記憶するラック情報記憶部と、
前記ラック情報記憶部に記憶されたラック情報および検体情報に基づき前記ラックバッファー部に載置されるすべてのラックの分析順を決定する決定部と、
前記ラックバッファー部に載置される前記ラックを、前記決定部が決定した分析順に前記検体吸引部に移送するよう前記ラック移送部を制御する移送制御部と、
を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記ラックは分析の優先順位に基づき区別され、
前記読取装置は前記ラックの優先順位を判別し、
前記決定部は、該判別した優先順位に基づき分析順を決定することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記ラックの優先順位は、前記ラックの色、前記ラックに貼付された磁気情報、前記ラックの物理的形状により判別されることを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記決定部は、サンプル種類に基づき分析順を決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項5】
検体と試薬とを反応させた反応物を含む液体検体を光学的に分析するための分析モジュールを2以上備え、
前記ラック移送部は複数の搬送レーンを備え、
前記決定部は前記ラックの分析順および移送する前記ラックの搬送レーンを決定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項6】
検体と試薬とを反応させた反応物を含む液体検体を光学的に分析するための異なる分析モジュールを備え、
分析項目情報を抽出し、該分析項目情報に基づきラック毎に分析モジュール単位の分注時間を積算する算出部を備え、
前記ラック情報記憶部は各検体の分析項目情報および前記算出部により算出された分析モジュール単位の分注時間を記憶し、
前記決定部は、前記ラック情報記憶部が記憶する各ラックの分析モジュール単位の分注時間に基づき、前記ラックの分析順を決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記ラックバッファー部は、分注終了後の再検査要否未定で待機中のラックも載置保管し、
前記決定部は、未分析の検体容器を保持する前記ラックと、再検査を要する検体容器を保持する前記ラックとを含むすべての前記ラックについて分析順を決定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項8】
分注終了後で再検査要否未定で待機中のラックを載置保管する再検ラックバッファー部を備え、
前記決定部は、未分析の検体容器を保持する前記ラックと、再検査を要する検体容器を保持する前記ラックとを含むすべての前記ラックについて1の分析順を決定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項9】
検体と試薬とを反応させた反応物を含む液体検体を光学的に分析する自動分析装置におけるラック搬送方法において、
ラックセット部にセットされた分析前のラックをラック移送部によりラックバッファー部に搬送する第1搬送ステップと、
第1搬送ステップでの搬送時に搬送する前記ラックのラック情報および検体情報を読み取る読み取りステップと、
前記ラックバッファー部に載置されるすべてのラックのラック情報および検体情報に位置情報を付加して記憶するラック情報記憶ステップと、
前記ラック情報記憶ステップで記憶されたラック情報および検体情報に基づき前記ラックバッファー部に載置されるすべてのラックの分析順を決定する決定ステップと、
前記ラックバッファー部に載置される前記ラックを、前記ラック移送部により前記決定ステップが決定した分析順に検体吸引部に搬送する第2搬送ステップと、
を含むことを特徴とする自動分析装置のラック搬送方法。
【請求項10】
前記ラックは分析の優先順位に基づき区別され、
前記読み取りステップは前記ラックの優先順位を判別し、
前記決定ステップは、該判別した優先順位に基づき分析順を決定することを特徴とする請求項9に記載の自動分析装置のラック搬送方法。
【請求項11】
前記ラックの優先順位は、前記ラックの色、前記ラックに貼付された磁気情報、前記ラックの物理的形状により判別されることを特徴とする請求項10に記載の自動分析装置のラック搬送方法。
【請求項12】
前記決定ステップは、サンプル種類に基づき分析順を決定することを特徴とする請求項9〜11のいずれか一つに記載の自動分析装置のラック搬送方法。
【請求項13】
検体と試薬とを反応させた反応物を含む液体検体を光学的に分析するための分析モジュールを2以上備え、
前記ラック移送部は複数の搬送レーンを備え、
前記決定ステップは前記ラックの分析順および移送する前記ラックの搬送レーンを決定することを特徴とする請求項9〜12のいずれか一つに記載の自動分析装置のラック搬送方法。
【請求項14】
検体と試薬とを反応させた反応物を含む液体検体を光学的に分析するための異なる分析モジュールを2以上備え、
ホストコンピューターまたは記憶部から検体の分析項目情報を抽出する抽出ステップと、
前記分析項目情報に基づきラック毎に分析モジュール単位の分注時間を積算する算出ステップと、
を含み、
前記ラック情報記憶ステップは前記分析項目情報および前記算出部により算出された分析モジュール単位の分注時間を記憶し、
前記決定ステップは、前記ラック情報記憶ステップで記憶されたラック毎の分析モジュール単位の分注時間に基づき、前記ラックの分析順を決定することを特徴とする請求項10〜13のいずれか一つに記載の自動分析装置のラック搬送方法。
【請求項15】
前記ラックバッファー部は、分注終了後の再検査要否未定で待機中のラックも載置保管し、
前記決定ステップは、未分析の検体容器を保持する前記ラックと、再検査を要する検体容器を保持する前記ラックとを含むすべてのラックについて分析順を決定することを特徴とする請求項10〜14のいずれか一つに記載の自動分析装置のラック搬送方法。
【請求項16】
分注終了後の再検査要否未定で待機中のラックを載置保管する再検ラックバッファー部を備え、
前記決定ステップは、未分析の検体容器を保持する前記ラックと、再検査を要する検体容器を保持する前記ラックとを含むすべてのラックについて1の分析順を決定することを特徴とする請求項10〜14のいずれか一つに記載の自動分析装置のラック搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−181197(P2010−181197A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22974(P2009−22974)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(510005889)ベックマン・コールター・インコーポレーテッド (174)
【Fターム(参考)】