説明

自動分析装置

【課題】試料プローブまたは試薬プローブを高精度な位置決めが可能な自動分析装置を提供する。
【解決手段】試料容器を設置する試料供給機構と、反応容器に試料容器からの試料を分注する試料プローブ103と、試薬容器を設置する試薬供給機構と、反応容器104に試薬を分注する試薬プローブと、試薬プローブを水平方向に二次元的に移動可能とし上下方向にも移動可能とする移動手段と、試料プローブまたは試薬プローブが固体または液体に接近または接触したことを検出するための検出手段とを含み、反応容器は、反応容器の中心位置を検出可能とするための中心位置検出部を有する治具101を設置することが可能な構造を有し、試料プローブまたは試薬プローブを移動させる際に、検出手段を用いて、試薬プローブが、反応容器に設置した治具の中心位置検出部に接近または接触したか否かを検出して反応容器の中心位置決めを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動分析装置は、試料または試薬の低減により反応容器の小型化が進んでいる。これに伴って、プローブの高度な位置決め精度が要求されている。これは、プローブを反応容器の中心位置に精確に移動せずに試料または試薬を注入する場合、反応容器の内壁に試料または試薬が付着し、分析性能に悪影響を与えるおそれがあるためである。
【0003】
しかし、一般的なプローブの位置調整は、目視による方法であり、人為的なばらつきを含んでしまう。
【0004】
特許文献1には、分注プローブの停止位置を短時間で定めることができる自動分析装置およびその停止位置設定方法を提供することを目的として、プローブの位置設定手段が、治具の上方に第pおよび第(p+1)の調整位置(pは1以上の整数)を設定し、分注プローブ移動手段により分注プローブを第pおよび第(p+1)の調整位置に水平移動させた後に、検出手段により検出される治具上面の第pおよび第(p+1)の検出位置まで下移動させて、第pおよび第(p+1)の調整位置と第pおよび第(p+1)の検出位置の間の距離に対応する第pおよび第(p+1)の移動距離データを生成し、生成した第pおよび第(p+1)の移動距離データに基づいて第pおよび第(p+1)の検出位置を判断するようにした自動分析装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、ピペット針の基準位置を決定するための方法を提供することを目的として、移送装置によりもたらされるピペット針の変位の第1の変位誤差(ΔX)を測定するための第1の測定ステップと、ピペット針の初期角位置の誤差(φ)と対応する修正によりΔXを修正するための第1の修正ステップと、垂直面に対し垂直な第2の方向(Y軸)でピペット軸の変位における第2の変位誤差(ΔY)を測定するための第2の測定ステップと、円形路に沿うピペット針の角位置に対応する角度変化(α)によりΔYを修正するための第2の修正ステップと、垂直基準ラインの位置を決定するための第3の測定ステップと、前記基準ラインに沿う基準点の位置を決定するための第4の測定ステップとからなる方法が開示されている。
【0006】
特許文献1に記載の技術では、試料容器内のサンプルの液面を検出する液面検出器とを備えている。この液面検出器は、一端が導電性材料からなるサンプル分注プローブに電気的に接続されたブリッジ回路を備えている。そして、サンプル分注プローブとサンプルとの接触により、サンプルと接地電位間に生じる静電容量の変化を検出することによってサンプルの液面を検出している。そして、中心部に向かって下り勾配の傾斜面をなす上面をもつ治具によりプローブの位置決めを行っている。
【0007】
特許文献2に記載の技術では、ピペット操作の間にピペット針の液体表面との接触を感知するために主に使用される液面検出手段を用いている。
【0008】
【特許文献1】特開2007−285957号公報
【特許文献2】特開2007−86073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、試料プローブまたは試薬プローブを高精度な位置決めが可能な自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の自動分析装置は、複数の反応容器を保持する反応テーブルと、複数の試料容器を設置する試料供給機構と、前記反応容器に前記試料容器からの試料を分注する試料プローブと、複数の試薬容器を設置する試薬供給機構と、前記反応容器に前記試薬容器からの試薬を分注する試薬プローブと、前記試料プローブまたは前記試薬プローブを水平方向に二次元的に移動可能とするとともに、上下方向に移動可能とする移動手段と、前記試料プローブまたは前記試薬プローブが固体または液体に接近または接触したことを検出するための検出手段とを含み、前記反応容器は、前記反応容器の中心位置を検出可能とするための中心位置検出部を有する治具を設置することが可能な構造を有し、前記試料プローブまたは前記試薬プローブを移動させる際に、前記検出手段を用いて、前記試料プローブまたは前記試薬プローブが、前記反応容器に設置した前記治具の前記中心位置検出部に接近または接触したか否かを検出して前記反応容器の中心位置決めを行う手段を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の自動分析装置は、複数の反応容器を保持する反応テーブルと、複数の試料容器を設置する試料供給機構と、前記反応容器に前記試料容器からの試料を分注する試料プローブと、複数の試薬容器を設置する試薬供給機構と、前記反応容器に前記試薬容器からの試薬を分注する試薬プローブと、前記試料プローブまたは前記試薬プローブを水平方向に二次元的に移動可能とするとともに、上下方向に移動可能とする移動手段と、前記試料プローブまたは前記試薬プローブが固体または液体に接近または接触したことを検出するための検出手段とを含み、前記試料プローブまたは前記試薬プローブを移動させる際に、前記検出手段を用いて、前記試料プローブまたは前記試薬プローブが、前記反応容器内に分注した液体のメニスカスを複数箇所で検出して前記反応容器の中心位置決めを行う手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、試料プローブまたは試薬プローブを高精度な位置決めが可能な自動分析装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、血液・尿等の生体試料の定量・定性分析を行う自動分析装置に関し、特に、試料と試薬等を分注するためのプローブを備えた自動分析装置に関する。
【0014】
従来は、プローブ調整を目視で行っていたため、調整位置には誤差が生じ、かつ手間がかかっていた。
【0015】
本発明の自動分析装置は、穴付き金属治具を用い反応容器または試料容器などの中心を自動で認識させることによって、規定した範囲内でプローブの位置決めを行うことができ、かつ手間が省くことができる。
【0016】
本発明の自動分析装置は、複数の反応容器と、反応容器を保持した反応テーブルと、複数の試料容器と試料容器から所定量の試料を吸引して反応容器の上部開口部から試料を供給する試料プローブと、複数種類の試薬をそれぞれ専用に蓄積する複数の試薬容器と、試薬容器から所定量の試薬を吸引して反応容器の上部開口部から試薬を供給する試薬プローブと、試料プローブと試薬プローブを洗浄するためのプローブ洗浄機構と、を備えた自動分析装置において、試料プローブまたは試薬プローブの高精度な位置決めが可能であることを特徴とする。
【0017】
以下、本発明による実施例について図を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明による自動分析装置の全体を示す上面図である。筐体1上の反応テーブル2には、反応容器3が円周上に並んでいる。反応テーブル2の内側に試薬ディスク4が配置されている。試薬ディスク4には、それぞれ複数の試薬容器5が円周上に配置可能である。反応テーブル2の近くに試料容器6を載せたラック7を移動する搬送機構8が設置されている。反応容器3と搬送機構8との間には、反応テーブル2の平面上の二軸に関して駆動可能で、かつ上下動も可能な試料プローブ9および試薬プローブ10が設置されている。反応テーブル2の周囲には、攪拌装置11、光源12、検出光学装置13および容器洗浄機構14が配置されている。試料プローブ9および試薬プローブ10のそれぞれの動作範囲にプローブ洗浄機構15が設置されている。
【0019】
反応テーブル2には、試料分注位置、第1タイミング試薬分注位置、第2タイミング試薬分注位置、第3タイミング試薬分注位置、攪拌位置、測定位置および洗浄位置が設定されている。また、反応テーブル2は、定められたサイクル時間を単位として回転・停止を繰り返すようになっている。
【0020】
この自動分析装置による分析は、次の手順で行われる。
【0021】
試料容器6には、血液・尿等の検査対象の試料が入れられ、ラック7に載せられて搬送機構8によって運ばれる。まず、試料プローブ9が特定位置にある試料容器6から1番目のテストに必要な量の試料を吸引する。反応テーブル2上にある反応容器3に試料プローブ9から所定の量の試料を吐出する。
【0022】
その後、反応容器3は反応テーブル2上を進み、試薬プローブ10により所定量の第1試薬が反応容器3に吐出され、反応テーブル2上にある攪拌装置11により試料と試薬とが攪拌・混合される。その後、反応容器3が反応テーブル2上で回転する間に、光源12と検出光学装置13との間を通過し、光学的な測定が行われる。
【0023】
光学的測定を繰り返した後、容器洗浄機構14により反応容器3の液を吸引して洗浄液による洗いが行われる。
【0024】
検出光学装置13で複数回行われた光学的測定の結果はコントローラに送信され、測定項目の濃度の算出に利用される。
【0025】
このように、自動分析装置は、ある一定のサイクルで動作し続け、各機構は上記の動作をサイクル毎に行う装置である。当然、試料プローブ9または試薬プローブ10(以下、まとめてプローブ9、10と呼ぶ)も毎回分注を行うため、プローブ9、10内は試料または試薬によって徐々に劣化し、それによりデータ不良が懸念されるため、プローブ9、10は定期的に交換する必要がある。
【0026】
プローブ9、10は、製造時の寸法許容内でのばらつきや組み合わせる機構との組み合わせのばらつき等が生じるため、交換後は調整が必要になる。調整が必要となる位置は、試料を吸引する試料吸引位置、試薬を吸引する試薬吸引位置、試料または試薬を吐出する反応容器3の位置、試料プローブ9または試薬プローブ10を洗浄するプローブ洗浄機構15の位置である。中でも、反応容器3は、試料または試薬の低減により小型化の傾向にあるため、高い位置決め精度が要求される。
【0027】
図2Aは、本発明による実施例である反応容器の治具を示す上面図であり、図2Bは、反応容器、治具およびプローブを示す縦断面図である。
【0028】
これらの図において、治具101の中央には、プローブ103(試料プローブまたは試薬プローブ)の直径1.5倍の穴102が設けてある。治具101は、反応容器104の定位置に設置できるように段付き形状となっている。これにより、反応容器104の上面中心部を特定する自動調整が可能となる。
【0029】
なお、ここでは、治具101の穴102の径をプローブ103の径の1.5倍としてあるが、この穴102の径は最小移動距離等に依存するため、1.5倍に限定されるものではない。
【0030】
さらに、治具101を検出する手段は、プローブ103と治具101との間の静電容量を検出する検出手段(静電容量検出手段)、プローブ103の両脇に設けてプローブ103の変位を検出する光学的な検出手段(フォトインタラプタ)など、どのような検出手段であっても本発明が適用できる。また、治具101は、金属製でもよいし、樹脂製でもよい。静電容量検出手段は、プローブ103と反応容器104内の液体との間の静電容量も検出することができる。
【0031】
治具101または反応容器104内の液体を検出する手段は、フォトインタラプタおよび静電容量検出手段の一方を使用してもよいし、両方を使用してもよい。
【実施例2】
【0032】
つぎに、試料プローブまたは試薬プローブの中心位置決め動作について図3、図4A-1〜図4E-2を用いて説明する。
【0033】
図3は、本発明による実施例であるプローブの操作手順を模式的に示す上面図である。図4A-1〜図4E-2は、本発明による実施例である治具とプローブとの位置関係に対するプローブの状態を示す上面図および部分縦断面図である。
【0034】
試料プローブまたは試薬プローブは、パルス入力による移動が可能で、二軸により自由度の高い水平移動ができることを前提とする。
【0035】
まず、図4A-1および4A-2に示すように、対象となるプローブ103を反応容器104に設置した治具101の上部(Xmin、Rθmin)まで水平移動させる。その後、プローブ103を下降させ、検出手段(図示せず)により治具101との接触の有無を確認する。
【0036】
プローブ103が治具101に接触しなかった場合は、プローブ103が反応容器104の中心の穴102に位置していることを意味する。このとき、その位置をプローブ位置として登録する。
【0037】
逆に、プローブ103が治具101に接触した場合は、プローブ103は反応容器104の中心に位置していないことを意味する。ここでは、プローブ103は治具101に接触しているため、図4B-1および4B-2に示すように、スタート位置(Xmin、Rθmin)からRΔθ水平移動させた(Xmin、Rθmin+RΔθ)まで移動させる。その後、再びプローブ103を下降させて治具101との接触を確認する。
【0038】
以降、プローブ103を逐次、(Xmin、Rθmin+2RΔθ)、(Xmin、Rθmin+3RΔθ)と移動するたびに治具101との接触を確認する操作を繰り返し、プローブ103が治具101と接触しなくなるまでこの動作を続ける。
【0039】
図4C-1および4C-2に示すように、プローブ103を(Xmin、Rθmax)まで水平移動しても、プローブ103と治具101とが接触した場合は、図4D-1および4D-2に示すように、プローブ103をスタート位置からΔX水平移動して(Xmin+ΔX、Rθmin)における治具101の接触を確認する。以降、プローブ103を逐次、(Xmin+ΔX、Rθmin+RΔθ)、(Xmin+ΔX、Rθmin+2RΔθ)と移動するたびに治具101との接触を確認する操作を繰り返し、プローブ103が治具101と接触しなくなるまでこの動作を続ける。ここで、RθmaxまたはRθmax−Rθminは、あらかじめ設定しておくことが望ましい。
【0040】
図4E-1および4E-2に示すように、プローブ103と治具101とが接触しなくなるまで上記の動作を行うことによって、中心位置を正確に探し出すことができる。
【0041】
ここで、プローブ103を水平方向に二次元的に移動可能とするとともに、上下方向に移動可能とする手段を移動手段と呼ぶことにする。また、移動手段が、プローブ103を上昇させ、水平方向に移動させた後、プローブ103を下降させる操作を行う手段をプローブ制御手段と呼ぶことにする。
【0042】
本発明の自動分析装置は、プローブ103が固体(治具101など)または液体(反応容器104内の液体)に接近または接触したことを検出するための検出手段が、プローブ103と治具101との接近または接触を検出した場合に、移動手段により、プローブ103を上昇させ、水平方向に移動させた後、プローブ103を下降させる操作を行うプローブ制御手段を備えている。この場合の水平方向の移動距離は、上述のように差分的な微小距離であってもよいし、反応容器104の半径または直径程度の比較的大きい距離であってもよい。
【0043】
上述の実施例においては、反応容器104に設置した治具101が、中心位置検出部として穴102を有する場合を示したが、中心位置検出部は、穴102に限定されるものではない。中心位置検出部は、反応容器104の中心位置を検出するための目印となる形状であれば、くぼみ(凹部)であってもよく、突起部であってもよい。
【0044】
また、上述の実施例においては、プローブ103が治具101に接近または接触したことを検出するための検出手段が、プローブ103と治具101との接近または接触を検出した場合に、移動手段により、プローブ103を上昇させ、水平方向に移動させた後、プローブ103を下降させる操作を行うようにプローブ制御手段によって制御しているが、これに限定されるものではなく、プローブ103の上昇および下降を行わずに、プローブ103が治具101の中心位置検出部に接近または接触するまで水平方向に移動し、中心位置検出部を特定してもよい。
【実施例3】
【0045】
図5Aは、本発明による他の実施例である反応容器の治具を示す上面図であり、図5Bは、本発明による他の実施例である反応容器、治具およびプローブを示す部分縦断面図である。治具101の中央には、試料プローブ103の径に対して1.5倍の径を有する穴102が設けてあり、治具101を試料容器104の定位置に設置できるように、治具101の周縁部を段付き形状としてある。これにより、試料容器104の上面中心部を特定する自動調整が可能となる。
【0046】
動作の詳細については、実施例2と同様である。
【実施例4】
【0047】
試薬容器の位置についても、治具を試薬容器の定位置に設置できるように、治具の周縁部を段付き形状とすることによって、自動調整が可能となる。
【0048】
動作の詳細については、実施例2と同様である。
【実施例5】
【0049】
本実施例においては、プローブ洗浄機構の位置における調整は、洗浄水出口が覆われている場合と、そうでない場合とで二通りの方式を用いて上面中心部の位置決めを行う。
【0050】
洗浄水出口が覆われている場合は、風等の外乱の影響を受けにくいため、穴の開いた治具によって調整を行う。
【0051】
一方、洗浄水出口が覆われていない場合は、直接、風等の影響を受けるため、吐出している洗浄水に対して液面検知方式によって調整することが可能である。この場合、プローブ洗浄機構は、洗浄水を横切る方向に水平移動が可能であるため、洗浄水に端から端までの距離を液面検知(静電容量検出手段)により求め、液面が最も低い位置を液面の中心位置の座標と判定することによって、より洗浄高い洗浄効果を得ることが可能となる。
【実施例6】
【0052】
図6A-1〜6C-2は、本発明による他の実施例であるプローブの操作手順を示す上面図および部分縦断面図である。
【0053】
図6A-1および図6A-2は、プローブ103(試料プローブまたは試薬プローブ)により、反応容器104内に接触角の小さい、すなわちメニスカス202を生じ易い液体201(水、エタノール等)を分注し、その液面から1mm上面までプローブ103を下降させた状態である。本実施例では、反応容器104の横断面は、矩形となっている。
【0054】
次に、図6B-1および図6B-2で示す位置になるようにプローブ103を水平移動させ、メニスカス202により反応容器104の端部を検出する。次に、図6C-1および図6C-2で示す位置になるようにプローブ103を水平移動させ、同じくメニスカス202によって逆側の反応容器104の端部を検出する。これらの端部の座標の中間値をX方向の中心位置の座標と判定する。
【0055】
Y方向についても同様の動作によって中心位置の座標を算出し、これら二軸の交点を反応容器104内における液面の中心位置の座標と判定する。
【0056】
反応容器104内における液面の中心位置の座標と判定する手段は、上記の手順に限定されるものではなく、一般に、プローブ103が固体または液体に接近または接触したことを検出するための検出手段により、反応容器104内に分注した液体201のメニスカス202を複数箇所で検出し、その座標から反応容器104の中心位置の座標を算出する手段を含む。
【実施例7】
【0057】
図7は、本発明による自動分析装置の反応ディスクを示す斜視図である。また、図8は、従来の自動分析装置の反応ディスクを示す斜視図である。反応ディスクは、反応ベース304の上に反応テーブル302を設置し、反応テーブル302の上面に反応セル301を設置してある。そして、反応ベース304に設置した駆動ギヤ305および反応ギヤ303により反応テーブル302を回転させるようになっている。これらは、図7および図8において同様である。
【0058】
図7においては、反応テーブル302および反応ギヤ303が中空のリング形状となっている。
【0059】
これに対して、図8においては、反応テーブル302および反応ギヤ303が中実の円板状となっている。そして、反応テーブル302と反応ギヤ303とは、回転中心に位置する回転軸306によって接続されている。
【0060】
近年、自動分析装置の処理能力向上のため、反応ディスクの径を大きくしてきている。一方、省スペース化のため、反応ディスク(反応テーブル302および反応ギヤ303)をリング形状とし、反応ディスクの内側の空間を有効に活用する構成が採用されてきている。本実施例では、このスペースに試薬保冷庫を設置している。
【0061】
他方、反応ディスクをリング形状とした場合、若干加工が困難となり、加工精度が低下するおそれがある。これによって、反応セル301の停止位置のずれが大きくなるおそれがある。さらに、仮想中心を軸に回転することから、反応セル301の停止位置ずれはより顕著になる。したがって、リング化により、反応セル301の停止位置のずれは大きくなる傾向がある。
【0062】
図8に示す従来機種においては、一箇所の回転軸306で反応ディスクを支持しているため、反応セル301とプローブとの位置関係が、回転に伴って変化することが少ない。
【0063】
これに対して、図7に示す本発明による実施例においては、反応ディスクをリング形状とすることにより、回転中心がなくなり、プローブを操作して調整を行っている反応容器の中心位置と、その反応容器の真反対に位置する反応容器を同じ位置まで回転させて移動した時に得られる反応容器の中心位置とが大きく異なる可能性がある。すなわち、回転によって反応容器にぶれが生じる可能性がある。このため、反応容器の位置調整は一箇所で行うだけでは不十分となるおそれがある。
【0064】
そこで、反応ディスクを回転させて移動し、プローブの設置位置における複数の反応容器について中心位置を求める操作を行うことが有効である。自動分析装置のメモリ(記録媒体)に各々の反応容器の調整値を記録し、それらの平均値を真の調整値として認識させることによって、より正確な中心位置を認識することもできる。
【実施例8】
【0065】
実施例1では反応容器の自動位置調整、実施例3では、試料容器の自動位置調整、実施例4では、試薬容器の自動位置調整、実施例5では、プローブ洗浄機構の自動位置調整を説明したが、本実施例では、反応容器の中心位置のみを自動調整し、その他の調整位置は計算式にて求める方法を説明する。各々の位置での前回調整値を装置が記憶していることを前提とする。
【0066】
まず、実施例1および実施例2に基づき、交換後のプローブで自動調整を行う。その際、得られた調整値から交換前のプローブでの調整値を減算することによって補正値を算出する。その後、算出した補正値を、プローブ交換前における他の調整位置の値と組み合わせる。これにより、反応容器の位置以外の調整が不要となり、調整時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明による自動分析装置の全体を示す上面図である。
【図2A】本発明による実施例である反応容器の治具を示す上面図である。
【図2B】本発明による実施例である反応容器、治具およびプローブを示す部分縦断面図である。
【図3】本発明による実施例であるプローブの操作手順を模式的に示す上面図である。
【図4A−1】本発明による実施例であるプローブの操作手順における治具とプローブとの位置関係を示す上面図である。
【図4A−2】本発明による実施例であるプローブの操作手順における治具とプローブとの位置関係を示す部分縦断面図である。
【図4B−1】本発明による実施例であるプローブの操作手順における治具とプローブとの位置関係を示す上面図である。
【図4B−2】本発明による実施例であるプローブの操作手順における治具とプローブとの位置関係を示す部分縦断面図である。
【図4C−1】本発明による実施例であるプローブの操作手順における治具とプローブとの位置関係を示す上面図である。
【図4C−2】本発明による実施例であるプローブの操作手順における治具とプローブとの位置関係を示す部分縦断面図である。
【図4D−1】本発明による実施例であるプローブの操作手順における治具とプローブとの位置関係を示す上面図である。
【図4D−2】本発明による実施例であるプローブの操作手順における治具とプローブとの位置関係を示す部分縦断面図である。
【図4E−1】本発明による実施例であるプローブの操作手順における治具とプローブとの位置関係を示す上面図である。
【図4E−2】本発明による実施例であるプローブの操作手順における治具とプローブとの位置関係を示す部分縦断面図である。
【図5A】本発明による他の実施例である反応容器の治具を示す上面図である。
【図5B】本発明による他の実施例である反応容器、治具およびプローブを示す部分縦断面図である。
【図6A−1】本発明による他の実施例であるプローブの操作手順における反応容器とプローブとの位置関係を示す上面図である。
【図6A−2】本発明による他の実施例であるプローブの操作手順における反応容器とプローブとの位置関係を示す部分縦断面図である。
【図6B−1】本発明による他の実施例であるプローブの操作手順における反応容器とプローブとの位置関係を示す上面図である。
【図6B−2】本発明による他の実施例であるプローブの操作手順における反応容器とプローブとの位置関係を示す部分縦断面図である。
【図6C−1】本発明による他の実施例であるプローブの操作手順における反応容器とプローブとの位置関係を示す上面図である。
【図6C−2】本発明による他の実施例であるプローブの操作手順における反応容器とプローブとの位置関係を示す部分縦断面図である。
【図7】本発明による自動分析装置の反応ディスクを示す斜視図である。
【図8】従来の自動分析装置の反応ディスクを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
1:筐体、2:反応テーブル、3:反応容器、4:試薬ディスク、5:試薬容器、6:試料容器、7:ラック、8:搬送機構、9:試料プローブ、10:試薬プローブ、11:攪拌装置、12:光源、13:検出光学装置、14:容器洗浄機構、15:プローブ洗浄機構、101:治具、102:穴、103:プローブ、104:反応容器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の反応容器を保持する反応テーブルと、複数の試料容器を設置する試料供給機構と、前記反応容器に前記試料容器からの試料を分注する試料プローブと、複数の試薬容器を設置する試薬供給機構と、前記反応容器に前記試薬容器からの試薬を分注する試薬プローブと、前記試料プローブまたは前記試薬プローブを水平方向に二次元的に移動可能とするとともに、上下方向に移動可能とする移動手段と、前記試料プローブまたは前記試薬プローブが固体または液体に接近または接触したことを検出するための検出手段とを含み、前記反応容器は、前記反応容器の中心位置を検出可能とするための中心位置検出部を有する治具を設置することが可能な構造を有し、前記試料プローブまたは前記試薬プローブを移動させる際に、前記検出手段を用いて、前記試料プローブまたは前記試薬プローブが、前記反応容器に設置した前記治具の前記中心位置検出部に接近または接触したか否かを検出して前記反応容器の中心位置決めを行う手段を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
複数の反応容器を保持する反応テーブルと、複数の試料容器を設置する試料供給機構と、前記反応容器に前記試料容器からの試料を分注する試料プローブと、複数の試薬容器を設置する試薬供給機構と、前記反応容器に前記試薬容器からの試薬を分注する試薬プローブと、前記試料プローブまたは前記試薬プローブを水平方向に二次元的に移動可能とするとともに、上下方向に移動可能とする移動手段と、前記試料プローブまたは前記試薬プローブが固体または液体に接近または接触したことを検出するための検出手段とを含み、前記試料プローブまたは前記試薬プローブを移動させる際に、前記検出手段を用いて、前記試料プローブまたは前記試薬プローブが、前記反応容器内に分注した液体のメニスカスを複数箇所で検出して前記反応容器の中心位置決めを行う手段を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
前記検出手段がフォトインタラプタおよび/または静電容量検出手段であることを特徴とする請求項1または2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記検出手段が、前記試料プローブまたは前記試薬プローブと前記治具との接近または接触を検出した場合に、前記移動手段が、前記試料プローブまたは前記試薬プローブを上昇させ、水平方向に移動させた後、前記試料プローブまたは前記試薬プローブを下降させる操作を行うプローブ制御手段を有することを特徴とする請求項1または3に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記試料プローブまたは前記試薬プローブを上下方向に移動させずに水平方向に移動させ、前記検出手段により前記治具の前記中心位置検出部の位置を特定することにより前記反応容器の中心位置決めを行う手段を有することを特徴とする請求項1または3に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記反応容器に設置した前記治具の前記中心位置検出部が穴またはくぼみであることを特徴とする請求項1、3、4または5に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記反応容器に設置した前記治具の前記中心位置検出部が突起部であることを特徴とする請求項1、3、4または5に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記試料プローブまたは前記試薬プローブを上下方向に移動させずに水平方向に移動させ、前記検出手段により前記反応容器内に分注した液体のメニスカスを複数箇所で検出して前記反応容器の中心位置決めを行う手段を有することを特徴とする請求項2または3に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A−1】
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【図4A−2】
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【図4B−1】
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【図4B−2】
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【図4C−1】
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【図4C−2】
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【図4D−1】
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【図4D−2】
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【図4E−1】
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【図4E−2】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A−1】
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【図6A−2】
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【図6B−1】
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【図6B−2】
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【図6C−1】
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【図6C−2】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−300152(P2009−300152A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152740(P2008−152740)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】