説明

自動車の前部構造

【課題】本発明は、フロントウインドウガラスの下部を支持するカウルボックスを備えた自動車の前部構造において、カウルボックスの捩れ剛性を高めるためカウルボックス上部に前後方向に延びる補強ブラケットを設けつつも、エンジンルーム内への雨水等の侵入を防止して防水性を高めることができる自動車の前部構造を提供することを目的とする。
【解決手段】樋部24は、ワイパー支持ブラケット9の上方に位置して、フロントウインドウガラス4の下端縁から流れ落ちる雨水等を受けて、その雨水をワイパー支持ブラケット9の側方に排水するように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車の前部構造に関し、特に、フロントウインドウガラスの下部を支持するカウルボックス近傍の防水性を高めた自動車の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の車体前部には、ダッシュパネルの上方でフロントウインドウガラスの下部を支持するカウルボックスを車幅方向に延びるように設置することが知られている。このカウルボックスは、空調装置等に対して外気を導入するエアボックスとしての機能やワイパー装置の収納空間として機能を有し、一般に上方を開放した、いわゆるオープンカウル構造として構成される。
【0003】
ところで、カウルボックス内に設置されるワイパー装置は、モータやリンクさらにはワイパーアームの回動軸となるワイパーピボット等を有しており、これらに対する防水性を確保することが要請される。
【0004】
そこで、下記特許文献1においては、カウルボックス内からカウルグリルを貫通して上方に突出するワイパーピボットの近傍の防水性を確保するために、ワイパーピボットホルダーに傘状に広がる防水キャップを装着する構造が開示されている。
【0005】
この特許文献1のようにワイパーピボットホルダーに防水キャップを装着することにより、カウルグリルのピボット貫通穴から侵入する雨水を、この防水キャップで受けて、ワイパーピボットや近傍のリンク等への被水を防止できる。
【特許文献1】特開2002−127874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、フロントウインドウガラスの下部を支持するカウルボックスは、車体前部の上部で車幅方向に延びて、左右の車体部材を繋ぐ車体の骨格部材としても機能している。このため、車体全体の捩れ剛性を高めるためには、カウルボックスの捩れ剛性を高めるのが有効であり、この捩れ剛性を高めるためには、カウルボックスの上部に前後方向に延びる補強ブラケットを設けて、カウルボックスを、一部、閉断面構造(いわゆるクローズドカウル構造)にすることが考えられる。
【0007】
しかし、カウルボックスの上方には、フロントウインドウガラスの下端縁が位置し、フロントウインドウガラスとカウルグリルの間の当接部がシールされていないことと相俟って、補強ブラケットには、フロントウインドウガラス表面を流れる雨水等が、フロントウインドウガラスの下端縁からそのまま流れ落ちることになる。このように、補強ブラケットに雨水等が流れ落ちると、この雨水等が補強ブラケット上面を前方に流れて、その前方に位置するエンジンルーム内に侵入するおそれが生じる。
【0008】
そこで、本発明は、フロントウインドウガラスの下部を支持するカウルボックスを備えた自動車の前部構造において、カウルボックスの捩れ剛性を高めるためカウルボックス上部に前後方向に延びる補強ブラケットを設けつつも、エンジンルーム内への雨水等の侵入を防止して防水性を高めることができる自動車の前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の自動車の前部構造は、車幅方向にわたって形成されて、下部がダッシュロアパネルに接合されて上部でフロントウインドウガラスの下部を支持するカウルパネルと、該カウルパネルの下部から車両前方側に延びる横壁部と該横壁部の前端から上方に延びる縦壁部とを備えるカウルクロスメンバと、前記フロントウインドウガラスの下部に当接する当接部から車両前方側に延びて前端を前記カウルクロスメンバに固定するカウルグリルと、該カウルグリルの下方で後端をカウルパネルに固定して前端をカウルクロスメンバに固定した前後方向に延びる補強ブラケットと、前記カウルグリルの下方で且つ補強ブラケットの上方を車幅方向に横切るように延びて上方から流れ込んできた水を補強ブラケットの側方に排水する樋部とを備えたものである。
【0010】
上記構成によれば、前後方向に延びる補強ブラケットによって、カウルパネルとカウルクロスメンバを連結するため、いわゆる、オープンカウル構造となったカウルボックスの一部を閉断面構造にすることができる。また、この補強ブラケットの上方には車幅方向に延びる樋部を配置したことで、フロントウインドウガラスから流れ落ちる水が樋部で受けられ、補強ブラケットの側方に排水されることになる。
このため、補強ブラケットによってカウルボックスの捩れ剛性を高めることができ、また、補強ブラケットを設けたとしても、樋部によってフロントウインドウガラスから流れ落ちる水を受け止めるため、補強ブラケットには流れ落ちず、エンジンルーム側への侵入を防止することができる。
【0011】
なお、前述の「補強ブラケット」は、前後方向に延びてカウルボックスの前端と後端を連結するものであれば、どのような形状のものであってもよい。また、カウルボックスに対しては、締結固定で固定されるものであっても、接合固定で固定されるものであってもよい。
さらに、前述の「樋部」は、フロントウインドウガラスの下端縁から流れ落ちる水を受けて車幅方向に案内して排水するものであれば、断面U字状、V字状、逆ハット状等、どのような断面形状のものであってもよい。
【0012】
この発明の一実施態様においては、前記補強ブラケットが、前記フロントウインドウガラスの雨水をふき取るワイパー装置を支持するワイパー支持ブラケットであるものである。
上記構成によれば、カウルボックスの捩れ剛性を高める補強ブラケットによって、ワイパー装置も支持することになる。
このため、ワイパー支持ブラケットを補強ブラケットで兼ねることができ、別途ワイパー装置のための支持ブラケットを設定する必要がなくなる。
よって、部品点数の削減が図れ、また、カウルボックス内の構造も簡略化することができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、前記樋部を、ワイパー装置のワイパーピボットを軸支するピボットホルダーで支持させたものである。
上記構成によれば、フロントウインドウガラスから流れ落ちる水を受ける樋部を、ワイパーピボットを軸支する強固なピボットホルダーに支持させることになる。
このため、別途、樋部のために取付けブラケット等を設定する必要がなく、また、予めピボットホルダーに組み付けておき、ワイパー装置とともに車両に組み付けることが可能となる。さらに、ワイパー装置のうち剛性の高いピボットホルダーで支持することになるため、樋部で大量の水を受けて樋部が撓むような場合があっても、樋部の形状が変化することなく、確実に排水性を確保することができる。
よって、部品点数の削減が図れると共に、樋部の組付け性を向上できる。さらに、大量の水を受けた際の樋部の排水性も向上できる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、前記ワイパー装置のピボットホルダーに、内周にホルダー取付け部を有して外周に水受け部を有するホルダー防水キャップを装着して、該ホルダー防水キャップに、前記樋部を一体成形したものである。
上記構成によれば、ワイパーピボット付近のリンク等の被水を防止するホルダー防水キャップに、補強ブラケットの被水を防止する樋部を一体成形したことにより、防水機能を有する部材をまとめて一部品で構成することができる。
よって、部品点数を増加することなく、補強ブラケットへの被水を防止して、エンジンルーム内への水の浸入を防ぐことができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、前記樋部を、補強ブラケットで支持したものである。
上記構成によれば、被水防止の対象である剛性の高い補強ブラケットで樋部を支持することになる。
このため、補強ブラケットの剛性を利用して、樋部の支持剛性を高めることができる。
よって、大量の水を受けた場合でも樋部が撓むおそれがなく、樋部の排水性を確実に確保できる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、前記ワイパー装置のワイパーピボットを軸支するピボットホルダーに、車幅方向に延びる延出支持部を設け、該延出支持部を、前記樋部の下方に位置するように設置して、前記ワイパー支持ブラケットに該樋部とともに共締め固定したものである。
上記構成によれば、ワイパー支持ブラケットに対して、ピボットホルダーから延びる延出支持部と樋部を共締め固定することで、剛性の高いワイパー支持ブラケットを利用して強固に樋部を固定できる。また、樋部の下方に延出支持部を設置したことから、延出支持部への被水も防止できる。
よって、樋部の支持剛性を高めることができ、大量の水を受けた際の樋部の排水性の悪化も防止できる。また、延出支持部の被水も防止できるため、延出支持部を介してピボットホルダー側に水が流れ込むおそれを防止して、ワイパー装置の防水性も向上することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、前記延出支持部と樋部を前下がりとなる傾斜角をもって形成し、該傾斜した延出支持部と樋部とで、前記ワイパー支持ブラケットに締結固定したものである。
上記構成によれば、前下がりの傾斜角をもって形成された延出支持部と樋部で、ワイパー支持ブラケットに締結固定されるため、車両前方から延出支持部と樋部を車体に組み付ける際に、作業者が斜め上方から容易に組付けを行なうことができる。また、この傾斜を利用してそのまま樋部を構成することになるため、別途、取付けのためのボス等を形成することもなく、樋部の成形を容易に行なうことができる。
よって、延出支持部と樋部の組付け作業を容易に行なうことを可能としつつも、樋部の成形性を高めることができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、前記樋部の前部壁を、前記ホルダー防水キャップの前部外周壁から連続的に形成したものである。
上記構成によれば、樋部の前部壁とホルダー防水キャップの前部外周壁を連続的に形成することにより、段形状等がなくなり、樋部とホルダー防水キャップをより一体的に形成することができる。
よって、樋部とホルダー防水キャップを一体にしたものを、樹脂等で成形する場合に容易に成形することができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、前記樋部とホルダー防水キャップを一体に形成するものであって、該樋部をホルダー防水キャップの水受け部の上方に形成して、該ホルダー防水キャップの水受け部の下部に排水口を形成したものである。
上記構成によれば、樋部とホルダー防水キャップを一体に形成するものにおいて、樋部を水受け部の上方に形成して、水受け部の下部に排水口を形成したことで、樋部で受ける水は水受け部側に流れるが、水受け部で受ける水は樋部側に流れることなく排水口に流れることになる。
このため、水受け部で受けるピボットホルダー近傍に流れ込む水が、樋部側に流れて樋部から補強ブラケットに流れ落ちるのを防止することができる。
よって、エンジンルーム側への流れ込みを防ぐという樋部の防水機能を悪化させることなく、樋部とホルダー防水キャップを一部品で形成することができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、補強ブラケットによってカウルボックスの捩れ剛性を高めることができ、また、補強ブラケットを設けたとしても、樋部によってフロントウインドウガラスから流れ落ちる水を受け止めるため、補強ブラケットには流れ落ちず、エンジンルーム側への侵入を防止することができる。
よって、フロントウインドウガラスの下部を支持するカウルボックスを備えた自動車の前部構造において、カウルボックスの捩れ剛性を高めるためカウルボックス上部に前後方向に延びる補強ブラケットを設けつつも、エンジンルーム内への雨水等の侵入を防止して防水性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
【0022】
まず、図1、図2により、本発明の実施形態の全体構造について説明する。図1は自動車の前部構造の斜視図、図2はカウルボックス部分の分解斜視図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の自動車Vの前部には、エンジンルームERの上方を覆うボンネット1と、ボンネット1前方で車幅方向に配置されるフロントバンパー2と、車体側部の外表面を構成するフロントフェンダー3と、ボンネット1後方で前傾配置されるフロントウインドウガラス4と、フロントウインドウガラス4の両側で前傾配置されるフロントピラー5とを備えている。
【0024】
このうち、ボンネット1後端の下方位置には、フロントウインドウガラス4の下部を車幅方向に延びて支持するカウルボックス6を設置している。
【0025】
このカウルボックス6は、図2に示すように、エンジンルームERの後方位置で車幅方向に延びて、上部を開放したいわゆるオープンカウル構造の略樋形状のボックス体で構成している。このカウルボックス6の後部上端において、フロントウインドウガラス4の下部4aを車幅方向にわたって支持している。
【0026】
このカウルボックス6の内部及び上方には、ワイパー装置7とカウルグリル8を装着している。
【0027】
ワイパー装置7は、ワイパーモータ71と、左右のワイパーリンク72,72と、左右のピボットアーム73,73と、左右のワイパーピボット74,74と、左右のピボットホルダー75,75と、連結フレーム76とを備えており、このうち、左右のワイパーピボット74,74の先端に防水キャップ10,20を装着し、ワイパーアーム77,77を嵌合装着することで、ワイパー装置7を構成している。
【0028】
このワイパー装置7は、カウルボックス6中央に設けたワイパー支持ブラケット9と、カウルボックス6右側に設けた右側サイドブラケット10に対して、ピボットホルダー75,75から車幅方向に延びる延出支持部75a,75aをそれぞれ締結固定して、カウルボックス6の前部内壁をなすカウルクロスレイン64(図12等参照)に、ワイパーモータ71のワイパー取付けボス部78を嵌合固定することで、カウルボックス6に三点支持で固定している。
なお、このワイパー装置7の詳細構造については、後述する。
【0029】
カウルグリル8は、カウルボックス6の上部を覆うように車幅方向に延びる合成樹脂製の硬質部材で構成している。このカウルグリル8には、カウルボックス6内へ外気を取り入れるため、車幅方向の左右両側位置にそれぞれ網状の開口部81,81を形成している。また、左右のワイパーピボット74,74の挿通のために、右側側部と中央部にそれぞれピボット開口部82,82を形成している。
【0030】
このカウルグリル8は、その前端をカウルボックス6の前端部に、図示しないクリップ部材等で係止固定され、その後端をフロントウインドウガラス4の下部4aに当接するようにして設置している。
【0031】
前述のカウルボックス6について、図3で詳細に説明する。図3はカウルボックス6の全体斜視図である。
【0032】
このカウルボックス6は、車幅方向に延びて後方側に位置する断面略J字状のダッシュアッパーパネル61と、このダッシュアッパーパネル61の前方側で車幅方向に延びる断面略逆L字状のカウルパネル62と、車幅方向に延びて前方側に位置する断面略L字状のカウルクロスメンバ63と、このカウルクロスメンバ63の後方側で車幅方向に延びる断面略クランク状のカウルクロスレイン64と、を備えており、さらに、車幅方向中央位置で前後方向に延びてカウルボックス6の前端と後端を連結するワイパー支持ブラケット9と、車幅方向両端位置で前後方向に延びて、カウルボックス6の両側端の前端と後端を連結する左右のサイドブラケット10,11と、を備えている。
【0033】
これらの部材のうち、ダッシュアッパーパネル61とカウルパネル62とを接合して、「ボックス後部6B」を構成して、カウルクロスメンバ63とカウルクロスレイン64を接合することにより、「ボックス前部6A」を構成している。
【0034】
このように構成することで、「ボックス前部6A」のみを締結ボルト13…の着脱により取り外せるようにしている。これにより、エンジンルームER内のメンテナンス作業を行いやすくしている。
【0035】
カウルボックス6の上部の車幅方向中央位置には、前述したワイパー支持ブラケット9を備えている。このワイパー支持ブラケット9は、その前端部をカウルボックス6前端のカウルクロスレイン64に、固定ボルト14によって締結固定して、後端部をカウルボックス6後端のカウルパネル62に、固定ボルト14によって締結固定している。
【0036】
このように、カウルボックス6の上部に前後方向に延びるワイパー支持ブラケット9を設けることで、オープンカウル構造のカウルボックス6の一部が閉断面構造として構成されることになるため、カウルボックス6の剛性を高めることができる。
【0037】
また、このワイパー支持ブラケット9自体も、断面略ハット形状に形成することで、剛性を高めている。
【0038】
次に、ワイパー装置7の構造について、図4でさらに詳細に説明する。図4はワイパーアーム77,77等を除いたワイパー装置7の全体正面図である。
【0039】
ワイパー装置7は、前述のように、中央に設けたワイパーモータ71と、車幅方向に延びる左右のワイパーリンク72,72と、そのワイパーリンク72,72の先端に枢支された左右のピボットアーム73,73と、そのピボットアーム73,73の先端に固設され上下方向に延びる左右のワイパーピボット74,74と、そのワイパーピボット74,74を軸支する左右のピボットホルダー75,75と、その左右のピボットホルダー75,75を車幅方向に延びて連結する連結フレーム76とを備えている。
【0040】
また、ワイパーモータ71の回転軸Mには回転リンク79が固定され、この回転リンク79を左右のワイパーリンク72,72の基端に枢支することで、ワイパーモータ71の回転運動をワイパーリンク72,72に伝達するように構成している。
【0041】
このワイパーモータ71は、図示はしないが、後方側で連結フレーム76に対してボルト固定されている。このようにして構成されるワイパー装置7は、図4に示す構成要素によって、一体的にサブ・アッセンブリー(仮組み)されている。
【0042】
このサブ・アッセンブリーされたワイパー装置7は、前述のように、ピボットホルダー75,75から外方(車幅方向外方)に延びる左右の延出支持部75a,75aと、前方に延びる硬質ラバーのワイパー取付けボス部78とによって、車体側部材に固定されることで、カウルボックス6内部に設置される。このうち、延出支持部75a,75aは、作業者が車両前部上方から組み付け易いように、前下がりの傾斜をもって形成されている。
【0043】
ワイパー装置7の作動は、図中の破線で示すように、ワイパーモータ71を回転駆動することで、回転リンク79を回転軸M周りに回転させて、その回転リンク79に連係されたワイパーリンク72,72を左右に揺動させることにより、ピボットアーム73,73を左右に揺動させる。そして、このピボットアーム73,73の左右の揺動に応じて、ワイパーピボット74,74に回転往復運動を生じさせ、図示しないワイパーアームを作動させる。
【0044】
このようにワイパー装置7を作動させることにより、ワイパーアームでフロントウインドウガラス4の雨水等をふき取るように構成している。
【0045】
ワイパー装置7の左右のピボットホルダー75,75には、図5に示すように、前述のように、それぞれ防水キャップ10,20を装着している。
【0046】
この防水キャップ10,20は、合成樹脂によって成形され、前述のカウルグリル8に設けたピボット開口部82、82から侵入する雨水等を受けて、ワイパー装置7のピボットアーム73,73等のリンク類が被水しないように設置している。
【0047】
防水キャップ10,20は、左右それぞれに、ピボットホルダー75,75に装着される中央の円筒装着部11,21と、その外周に漏斗状に広がる水受け部12,22とを備えており、特に、右側の防水キャップ10では、水受け部12の中央に水を下方に排水する排水口13を設けている。
【0048】
一方、左側の防水キャップ20では、水受け部22の外周端部(車幅方向側)に、排水口23を設けており、ワイパー装置7の内方側に水を排水している。また、この左側の防水キャップ20では、その排水口23の反対側(車幅方向外方側)に、車幅方向に延びる樋部24を形成している。
【0049】
この左側の防水キャップ20の詳細構造を、図6、図7で説明する。図6は右側上方からの斜視図、図7は前方下方からの斜視図である。
【0050】
左側の防水キャップ20は、前述のように、中央の円筒装着部21と、その外周に位置する略漏斗形状の水受け部22と、水受け部22の一部を切り欠いて形成した排水口23を備えており、さらに、排水口23の反対側に、車幅方向に延びる樋部24を備えている。
【0051】
前述の円筒装着部21は、上下方向に延びる略円筒形状で形成され、下部の径をやや大きくした末広がり形状として構成している。また、内周径は、前述のピボットホルダー75の外周径と略一致する径に設定され、ピボットホルダー75に上方から差込むことで、ピボットホルダー75と一体となるように構成して、ピボットホルダー75によって支持されるように構成している。
【0052】
前述の水受け部22は、上部が広がって下部が狭まった略漏斗形状の形態を有し、上方からの流れ落ちる水を受けて下方で集めるように構成している。この水受け部22でピボット開口部82から侵入する雨水等を受けるようにしている。
【0053】
また、この水受け部22の下面には、図7に示すように、下方に突出する二つの矩形状の係合突起25,26を形成している。この二つの係合突起25,26は、図8、図9に示すように、防水キャップ20をピボットホルダー75に装着する際に、ピボットホルダー75の下部に形成した係止凹部に爪嵌合するものである。
【0054】
図8は前側の係合突起25の係合状態を示した詳細斜視図、図9は後側の係合突起26の係合状態を示した詳細斜視図である。
【0055】
図8に示すように、前側の係合突起25は、ピボットホルダー75の前面下部に形成されている係止凹部75bに対して、上方から係合するように構成されており、ワイパーピボット軸P廻りの回転方向の動きを規制するように、係止凹部75bに係合突起25の側面が嵌り込むようにして係止されている。
【0056】
また、後側の係合突起26も、図9に示すように、ピボットホルダー75の後面下部に形成される係止凹部75cに対して、上方から係合するように構成されており、ワイパーピボット軸P廻りの回転方向の動きと下方への動きを規制するように、係止凹部75cに、係合突起26の側面と下面が嵌り込むようにして係止されている。
【0057】
このように、前後二つの係合突起25,26によって、防水キャップ20をピボットホルダー75に固定することで、防水キャップ20が装着後に向きを変えたり、ズレたりするのを防止している。
【0058】
前述の排水口23は、水受け部22の右側後方側に略V字状に開口するように形成され、その下端を水受け部22よりも下方に位置するように設定し、水受け部22の水が、確実に下方に排水できるようにしている。
【0059】
前述の樋部24は、車幅方向に延びる断面略V字状の矩形片で形成され、前方側で後下がりに傾斜する前壁部24aと後方側で前下がり傾斜する後壁部24bを備えている。また。その後壁部24bの後方にはやや下方に折れ曲がった逃げ縁部24cを形成している。
【0060】
また、樋部24の後壁部24bには、ボルトを挿通するための貫通穴24dを形成している。
【0061】
この樋部24は、前述のワイパー支持ブラケット9の上方に位置して、フロントウインドウガラス4の下端縁から流れ落ちる雨水等を受けて、その雨水をワイパー支持ブラケット9の側方に排水するように構成している。
【0062】
次に、この右側の防水キャップ20の装着状態について、図10〜図15で説明する。図10はワイパー装置7に装着した防水キャップ20を車両前方側から見た正面図、図11は図10のワイパーピボット74の軸線上で切断した横断面図、図12は図10のA−A線矢視断面図、図13は図10のB−B線矢視断面図、図14は図10のC−C線矢視断面図、図15は図10のD−D線矢視断面図である。
【0063】
本実施形態のカウルボックス6では、前述のように車幅方向中央に前後方向に延びるワイパー支持ブラケット9を設けることで、カウルボックス6の剛性を高めている。特に、図3に示すように、車幅方向両側から捩れ方向の荷重が作用した場合には、ワイパー支持ブラケット9を設けている部分でカウルボックス6が閉断面構造となるため、いわゆるオープンカウル構造であっても、捩れ剛性を高めることができ、車体の捩れ剛性も向上することができる。
【0064】
しかし、カウルボックス6の上部にワイパー支持ブラケット9を設けたことで、フロントウインドウガラス4から流れ落ちる雨水等が、そのワイパー支持ブラケット9を伝って、カウルボックス6の前方側に位置するエンジンルームER内に、侵入するおそれが生じる。
【0065】
そこで、本実施形態では、図10に示すように、フロントウインドウガラス4の下端縁の下方で、且つワイパー支持ブラケット9の上方に、防水キャップ20の樋部24を設置している。すなわち、フロントウインドウガラス4から流れ落ちる水を防水キャップ20の樋部24で受けて、その水を車幅方向に導いて、ワイパー支持ブラケット9の側方のカウルボックス6内に排水するように構成しているのである。
【0066】
具体的には、図12〜図15で示すように、防水キャップ20の樋部24は、カウルボックス6の上部で、フロントウインドウガラス4の下端縁の下方に位置するように設置されている。
【0067】
カウルボックス6は、前述した「ボックス前部6A」と「ボックス後部6B」で構成しており、「ボックス前部6A」を構成するカウルクロスメンバ63とカウルクロスレイン64は、カウルクロスメンバ63が、前端で水平方向に延びる上部面63aと、その後端から下方に延びる縦壁面63bと、その下端で後方に水平方向に延びる下部面63cとを有しており、また、カウルクロスレイン64が、前端で水平方向に延びる上端フランジ64aと、そのまま後方に水平方向に延びるブラケット支持部64cと、その後端から下方に延びる縦壁部64dと、その下端から後方に延びる下端フランジ64bとを有している。
【0068】
また、「ボックス後部6B」を構成するカウルパネル62とダッシュアッパーパネル61は、カウルパネル62が、上端でフロントウインドウガラス4を支持する支持部62cと、その後方に水平方向に延びる上端フランジ62aと、支持部62cから下方に延びる縦壁部62eと、その下端で前方に水平方向に延びる下端フランジ62bとを有しており、また、ダッシュアッパーパネル61が、水平方向に延びる上部面61aと、その前端から下方に延びる縦壁面61bと、水平方向に延びる下部面61cとを有している。
【0069】
また、このダッシュアッパーパネル61の下部面61cの下方には、上下方向に延びるダッシュロアパネル65を接合している。
【0070】
一方、カウルボックス6の上方には、前述のカウルグリル8を設置している。カウルグリル8は、前端部に車両前方且つ上方側に突出するボンネット受け部81を設けることで、カウルボックス6よりも比較的高い位置でボンネット後端1aを支持している。また、ボンネット受け部81の下方には、上下方向に延びる縦壁部82を設け、この縦壁部82の上下方向中間位置にノッチ部83を形成している。このノッチ部83を形成したことにより、ボンネット1が上方から荷重を受けた際に、合成樹脂製としたこととも相俟って、縦壁部82を折り曲がり易く構成している。
【0071】
また、このカウルグリル8には、前後方向に略水平方向に延びるカバー部84を設け、その前部に、上方に突出する隆起部85を形成している。この隆起部85は、その後方のカバー部84上面を雨水の樋として機能させるとともに、ボンネット1後方からの見栄えを向上する「目隠し」としても機能している。
【0072】
そして、このカウルグリル8は、図12に示すように、ピボット開口部82でその上方を開放しているものの、その他のカウルボックス6上方全域をカバー部84で覆っている。しかし、カバー部84後端の、フロントウインドウガラス4との当接部8aでは、単にカバー部84が当接しているに過ぎないため、この間から、フロントウインドウガラス4表面を流れる雨水等が、その下端縁から下方に流れ落ち、前述のようにワイパー支持ブラケット9に雨水等が流れ落ちるという現象が生じる。
【0073】
本実施形態の防水キャップ20の樋部24は、図12から図15に示すように、その逃げ縁部24cを、車幅方向全てにわたって、フロントウインドウガラス4を避けながら、そのフロントウインドウガラス4の下端縁の下方まで延出するように設定している。これにより、確実にフロントウインドウガラス4の下端縁から流れ落ちる雨水等を、樋部24で受けることができる。
【0074】
また、この防水キャップ20は、図11に示すように、一端(右側端)をピボットホルダー75に差込み固定して、他端(左側端)をワイパー支持ブラケット9に対して、締結ボルト27で締結固定することでワイパー装置7に二点支持で設置している。特に、ワイパー支持ブラケット9に対しては、ピボットホルダー75の延出支持部75aと共に、締結ボルト27で共締め固定している。
【0075】
このように、被水防止の対象であるワイパー支持ブラケット9も利用して、締結固定することで、防水キャップ20の取付け剛性を高めて、大量の水を受けた場合でも、樋部24の形状が撓むのを防止している。
【0076】
また、図14に示すように、このワイパー支持ブラケット9への締結部は、前述したように前下がりに傾斜した後壁部24bの面に設けた貫通穴24dであることから、作業者がワイパー装置7を車両前方上方から組み付ける際にも、容易に組み付けすることができる。また、単に後壁部24bに貫通穴24dを形成することで締結部を構成できるため、樋部24の成形性も向上できる。
【0077】
また、図11に示すように、この防水キャップ20の樋部24は、中央の締結位置近傍を最も上方位置(S1)に設定して、左端をその下方位置(S2)に位置するように設定している。これにより、樋部24で受けた雨水が車幅方向側方に導かれる。
【0078】
また、防水キャップ20の水受け部22は、その樋部24よりも下方(S3)位置にその底を設定して、さらにその下方位置(S4)に排水口23を設定している。これにより、防水キャップ20の水受け部22から樋部24側への逆流を防止でき、水受け部22で受けた水が樋部24に流れて、樋部24からワイパー支持ブラケット9に流れ落ちることを防止できる。
【0079】
さらに、図13に示すように、この樋部24は、ピボットホルダー75の延出支持部75aの上方に位置するように設定している。このため、延出支持部75aに流れ落ちる水も、樋部24によって受けとめることができ、延出支持部75aへの被水も防止できる。
【0080】
次に、本実施形態の作用効果について、詳述する。
この実施形態の自動車の前部構造は、図13に示すように、車幅方向にわたって形成されて、下部がダッシュロアパネル65に接合されて上部の支持部62cでフロントウインドウガラス4の下部4aを支持するカウルパネル62と、そのカウルパネル62の下部から車両前方側に延びる下部面63cとその下部面63cの前端から上方に延びる縦壁面63bとを備えるカウルクロスメンバ63と、フロントウインドウガラス4の下部4aに当接する当接部から車両前方側に延びて前端をカウルクロスメンバ63に固定するカウルグリル8と、そのカウルグリル8の下方で後端をカウルパネル62に固定して前端をカウルクロスメンバ63に間接的に固定した前後方向に延びるワイパー支持ブラケット9と、カウルグリル8の下方で且つワイパー支持ブラケット9の上方を車幅方向に横切るように延びて上方から流れ込んできた水をワイパー支持ブラケット9の側方に排水する樋部24とを備えている。
【0081】
これにより、前後方向に延びるワイパー支持ブラケット9によって、カウルパネル62とカウルクロスメンバ63を連結するため、いわゆるオープンカウル構造となったカウルボックス6の一部を閉断面構造にすることができる。また、このワイパー支持ブラケット9の上方には車幅方向に延びる樋部24を配置したことで、フロントウインドウガラス4から流れ落ちる水が樋部24で受けられ、ワイパー支持ブラケット9の側方に排水されることになる。
【0082】
このため、ワイパー支持ブラケット9によってカウルボックス6の捩れ剛性を高めることができ、また、ワイパー支持ブラケット9を設けたとしても、樋部24によってフロントウインドウガラス4から流れ落ちる水を受け止めるため、ワイパー支持ブラケット9には流れ落ちず、エンジンルームER側への侵入を防止することができる。
【0083】
よって、フロントウインドウガラス4の下部を支持するカウルボックス6を備えた自動車の前部構造において、カウルボックス6の捩れ剛性を高めるためカウルボックス6上部に前後方向に延びるワイパー支持ブラケット9を設けつつも、エンジンルームER内への雨水等の侵入を防止して防水性を高めることができる。
【0084】
なお、本実施形態では、ワイパー支持ブラケット9でカウルボックス6の前端と後端を連結してカウルボックス6の剛性を高めているが、その他、ワイパー支持ブラケット9ではなく、単なる前後方向に延びる連結ブラケットでカウルボックス6の上部を連結して、カウルボックス6の剛性を高めるように構成してもよい。こうした場合でも、カウルボックス6の一部に閉断面構造を構成して、カウルボックスの剛性を高めることができるからである。
【0085】
また、カウルボックス6とワイパー支持ブラケット9の固定構造に関しても、本実施形態のように締結構造に限定されるものではなく、溶接等の接合構造であってもよい。
【0086】
さらに、前述の樋部24の形状も、本実施形態のように断面V字状に限定されるものではなく、フロントウインドウガラス4の下端縁から流れ落ちる水を受けて、車幅方向に案内して排水するものであれば、例えば、断面U字状、逆ハット状等、どのような断面形状のものであってもよい。
【0087】
また、この実施形態では、カウルボックス6の補強を行うブラケットを、ワイパー装置7を支持するワイパー支持ブラケット9としている。
これにより、カウルボックス6の捩れ剛性を高めるブラケットによって、ワイパー装置7も支持することになる。
このため、ワイパー支持ブラケット9で、カウルボックスの剛性を高める機能も得ることができ、ワイパー装置7の支持部材と、補強部材とを兼ねることができ、ブラケットを複数設定する必要がなくなる。
よって、部品点数の削減が図れ、また、カウルボックス6内の構造も簡略化することができる。
【0088】
また、この実施形態では、樋部24を、ワイパー装置7のワイパーピボット74を軸支するピボットホルダー75で支持している。
これにより、樋部24をワイパーピボット74を軸支する強固なピボットホルダー75に支持させることになる。
このため、別途、樋部24のために取付けブラケット等を設定する必要がなく、また、予めピボットホルダー75に組み付けて、ワイパー装置7とともに車両に組み付けることが可能となる。さらに、ワイパー装置7のうち剛性の高いピボットホルダー75で支持するため、大量の水が樋部24に入り、樋部24が撓むような場合があっても、樋部24の形状が変化することなく、確実に排水性を確保することができる。
【0089】
よって、部品点数の削減が図れると共に、樋部24の組付け性を向上できる。さらに、大量の水を受けた際の樋部24の排水性も向上できる。
【0090】
また、この実施形態では、ワイパー装置7のピボットホルダー75に、内周に円筒装着部21を有して外周に水受け部22を有する防水キャップ20を装着して、その防水キャップ20に、樋部24を一体成形している。
【0091】
これにより、ワイパーピボット付近のリンク等の被水を防止する防水キャップ20に、ワイパー支持ブラケット9の被水を防止する樋部24を一体成形でき、防水機能を有する部材をまとめて一部品で構成することができる。
【0092】
よって、部品点数を増加することなく、ワイパー支持ブラケット9への被水を防止して、エンジンルームER内への水の浸入を防ぐことができる。
【0093】
なお、本実施形態では、防水キャップ20に一体的に樋部24を形成したが、その他の実施形態としては、樋部24のみを別部材で構成してもよい。この場合には、防水キャップで受けた水が樋部24側に流れるおそれが生じず、樋部24の機能を確実に確保することができる。
【0094】
また、この実施形態では、樋部24を、ワイパー支持ブラケット9で支持している。
このため、ワイパー支持ブラケット9の剛性を利用して、樋部24の支持剛性を高めることができる。
よって、大量の水を受けた場合でも、樋部24が撓むおそれがなく、樋部24の排水性を確実に確保できる。
【0095】
また、この実施形態では、ワイパー装置7のピボットホルダー75の延出支持部75aを、樋部24の下方に位置するように設置して、ワイパー支持ブラケット9に樋部24と共に共締め固定している。
これにより、剛性の高いワイパー支持ブラケット9を利用して強固に樋部24を固定できる。また、樋部24の下方に延出支持部75aを設置しているため、延出支持部75aへの被水も防止することができる。
よって、樋部24の支持剛性を高めることができ、大量の水を受けた際の樋部24の排水性の悪化を防止できる。また、延出支持部75aの被水も防止できるため、延出支持部75aからピボットホルダー75側に水が流れこむこともなく、ワイパー装置7の防水性も向上することができる。
【0096】
また、この実施形態では、延出支持部75aと樋部24の後壁部24bとを前下がりとなる傾斜をもって形成し、その傾斜した延出支持部75aと後壁部24bで、ワイパー支持ブラケット9に締結固定している。
これにより、前下がりの傾斜をもって形成された延出支持部75aと樋部24の後壁部24bで、ワイパー支持ブラケット9に締結固定されるため、車両前方からワイパー装置を組み付ける際に、作業者が斜め上方から、容易に組付けを行なうことができる。また、この傾斜を利用してそのまま樋部24の水受け面を構成することになるため、別途、取付けのためのボス等を形成することなく、樋部24の成形も容易に行なうことができる。
よって、延出支持部75aと樋部24の組付け作業を容易に行なうことを可能としつつも、樹脂成形する際における、樋部24の成形性を高めることができる。
【0097】
また、この実施形態では、樋部24の前壁部24aを、防水キャップ20の水受け部22の前部外周壁22aから連続的に形成している(図6参照)。
【0098】
これにより、樋部24の前部壁24aと、水受け部22の前部外周壁22aとの間で、段形状等がなくなり、樋部24と水受け部22をより一体的に形成することができる。
【0099】
よって、樋部24と防水キャップ20を一体形成するものにおいて、樹脂成形する際における成形性を、高めることができる。
【0100】
また、この実施形態では、樋部24を防水キャップ20の水受け部22の上方位置に形成して、その防水キャップ20の水受け部22の下部に排水口23を形成している。
【0101】
これにより、樋部24で受ける水は、水受け部22側に流れるが、水受け部22で受ける水は、樋部24側に流れることなく排水口23に流れることになる。
【0102】
このため、水受け部22で受けるピボットホルダー75近傍に流れ込む水が、樋部24側に流れて樋部24からワイパー支持ブラケット9に流れ落ちるのを防止することができる。
【0103】
よって、エンジンルームER側への流れ込みを防ぐという樋部24の防水機能を悪化させることなく、樋部24と防水キャップ20を一部品で形成することができる。
【0104】
なお、本実施形態では、樋部を合成樹脂で成形したが、その他、ステンレス板等の金属材料で成形してもよい。
【0105】
以上、この発明の構成と、前述の実施形態との対応において、
この発明の補強ブラケットは、ワイパー支持ブラケット9に対応し、
ホルダー防水キャップは、防水キャップ20に対応するも、
この発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、あらゆる自動車の前部構造に適用する実施形態を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】実施形態の自動車の前部構造の斜視図。
【図2】カウルボックス部分の分解斜視図。
【図3】カウルボックスの全体斜視図。
【図4】ワイパーアーム等を除いたワイパー装置の全体正面図。
【図5】ワイパー装置に防水キャップを装着した状態の斜視図。
【図6】防水キャップの右側上方からの斜視図。
【図7】防水キャップの前方下方からの斜視図。
【図8】前側の係合突起の係合状態を示した詳細斜視図。
【図9】後側の係合突起の係合状態を示した詳細斜視図。
【図10】ワイパー装置に装着した防水キャップを車両前方側から見た正面図。
【図11】図10のワイパーピボットの軸線上で切断した横断面図。
【図12】図10のA−A線矢視断面図。
【図13】図10のB−B線矢視断面図。
【図14】図10のC−C線矢視断面図。
【図15】図10のD−D線矢視断面図。
【符号の説明】
【0107】
4…フロントウインドウガラス
6…カウルボックス
7…ワイパー装置
8…カウルグリル
9…ワイパー支持ブラケット
20…防水キャップ
22…水受け部
23…排水口
24…樋部
75…ピボットホルダー
75a…延出支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の前部構造において、
車幅方向にわたって形成されて、下部がダッシュロアパネルに接合されて上部でフロントウインドウガラスの下部を支持するカウルパネルと、
該カウルパネルの下部から車両前方側に延びる横壁部と該横壁部の前端から上方に延びる縦壁部とを備えるカウルクロスメンバと、
前記フロントウインドウガラスの下部に当接する当接部から車両前方側に延びて前端を前記カウルクロスメンバに固定するカウルグリルと、
該カウルグリルの下方で後端をカウルパネルに固定して前端をカウルクロスメンバに固定した前後方向に延びる補強ブラケットと、
前記カウルグリルの下方で且つ補強ブラケットの上方を車幅方向に横切るように延びて上方から流れ込んできた水を補強ブラケットの側方に排水する樋部とを備えた
自動車の前部構造。
【請求項2】
前記補強ブラケットが、前記フロントウインドウガラスの雨水をふき取るワイパー装置を支持するワイパー支持ブラケットである
請求項1記載の自動車の前部構造。
【請求項3】
前記樋部を、ワイパー装置のワイパーピボットを軸支するピボットホルダーで支持した
請求項1又は2記載の自動車の前部構造。
【請求項4】
前記ワイパー装置のピボットホルダーに、内周にホルダー取付け部を有して外周に水受け部を有するホルダー防水キャップを装着して、
該ホルダー防水キャップに、前記樋部を一体成形した
請求項3記載の自動車の前部構造。
【請求項5】
前記樋部を、補強ブラケットで支持した
請求項1又は2記載の自動車の前部構造。
【請求項6】
前記ワイパー装置のワイパーピボットを軸支するピボットホルダーに車幅方向に延びる延出支持部を設け、
該延出支持部を、前記樋部の下方に位置するように設置して、前記ワイパー支持ブラケットに該樋部と共に共締め固定した
請求項2記載の自動車の前部構造。
【請求項7】
前記延出支持部と樋部とを前下がりとなる傾斜をもって形成し、
該傾斜した延出支持部と樋部とで、前記ワイパー支持ブラケットに締結固定した
請求項6記載の自動車の前部構造。
【請求項8】
前記樋部の前部壁を、前記ホルダー防水キャップの前部外周壁から連続的に形成した
請求項4記載の自動車の前部構造。
【請求項9】
前記樋部と前記ホルダー防水キャップを一体に形成するものであって、
該樋部をホルダー防水キャップの水受け部の上方に形成して、
該ホルダー防水キャップの水受け部の下部に排水口を形成した
請求項4又は8記載の自動車の前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−320465(P2007−320465A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154247(P2006−154247)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】