説明

自動車用レーダー改良のための送信および受信位相アレイ

【課題】サイドローブクラッターおよびゴーストイメージのような誤検出を低減することが可能な、位相アレイ自動車用レーダーのための方法および装置の提供。
【解決手段】レーダーは、ステアラブル送信アンテナ10とステアラブル受信アンテナ14を含む。送信および受信ビームは、送信ビームの主ローブが受信ビームの主ローブにほぼ整列を維持し、かつ、受信ビームのサイドローブが送信ビームにおけるナルとほぼ整列するように、電子制御回路12及び16を用いて操舵される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された自動車用レーダー、特に位相アレイレーダーのための装置および方法を含む。
【背景技術】
【0002】
現在の多くの自動車用レーダーは、ターゲットの姿勢を決定するためにデジタルビーム形成(DBF)を利用している。DBFはワイドビームのアンテナを使用し、このアンテナは望ましくない信号を受信する。その影響は、全体のノイズを増加させ、誤ったターゲット検出を伴う問題を生じることである。
【0003】
従って、自動車用の応用に対して低コストの製造を可能とする一方で、誤ったターゲット検出を減少させることが可能な、改良された自動車用レーダーを開発することに非常に価値がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施例は、自動車用応用に利用される位相アレイレーダーを含む。一実施例の装置は、送信アンテナアレイ、受信アンテナアレイ、送信アンテナアレイと電子通信する送信チップ、および受信アンテナアレイと電子通信する受信チップを含む。送信および受信アンテナを分離することは、送信および受信チャンネル間のカップリングを減少させ、チップの複雑性を減少させる。送信チップは、位相アレイ検出のために、受信チップにローカル発振器信号を供給する。一実施例の装置は回路ボードを含み、該ボードは分離された送信および受信アンテナアレイを支持し、それぞれのアレイは関連するチップを有している。
【0005】
本発明の実施例では、受信アンテナエレメントは、動作波長の2分の1よりもかなり大きい間隔を有しているが、しかし、直線ボアサイトにおける格子ローブを避けるために充分に近接している。この構成は利得を増加させるが、しかし、ビームが操舵された場合、直線ボアサイトに向う角度において格子ローブを発生する。しかしながら、格子ローブの影響は、送信位相アレイを操舵して、送信アンテナパターン(送信ビーム)におけるナルを受信アンテナによって生成された格子ローブの対応する入射角にほぼ一致させることによって、最小化することができる。受信アンテナの利得を増加させることによりアンテナビームが狭くなり、信号対ノイズ比が高くなる。
【0006】
実施例のアンテナにおいて、送信アンテナアレイは、送信チップと電子通信しており、この送信チップは位相アレイ制御装置、可変利得制御装置、発振器、および位相ロックループを含んでいる。受信アンテナアレイは、受信チップと電子通信しており、受信チップは、位相アレイ制御装置、可変利得制御装置およびミキサーを含んでいる。送信および受信チップはローカル発振器フィードラインによって接続されている。実施例のアンテナは、FMCW(周波数変調連続波)動作が実施できるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】アンテナ構造の概略図。
【図2】DBRレーダーの動作を示す図(従来技術)。
【図3】受信または送信ビームステアリングレーダーの何れかによって生成されたビームを示す図。
【図4】ステアリング角度での主ローブと格子ローブを含む、受信アンテナパターンを示す図。
【図5】受信アンテナパターンにおける格子ローブに相当する角度においてナルを含む、送信アンテナパターンを示す図。
【図6】結合されたシステム感度を示す図であり、送信パターン、受信パターンおよびそれらの掛け合わせよって形成された結合信号を示す図。
【図7】受信器のみが、格子ローブに基づくゴーストターゲットを含む位相アレイを含む場合の、レーダー帰還パワー分布を示す図。
【図8】送信および受信位相アレイ操作のためのレーダーパターンを示す図であり、ゴーストターゲットが除去されてサイドローブクラッター(雑音)が大きく減少したことを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施例は、特に雑音レベルを低減しゴーストターゲットを除去することによって、自動車用レーダーの性能を向上する装置および方法を含む。実施例のレーダー装置は、レーダー構造の送信および受信部分の両者を走査する、位相アレイビームを含む。
【0009】
実施例のレーダー装置は、アンテナボードに取り付けられた2個の制御チップのみを必要とする、送信−受信位相アレイ構造を有している。この改良された構造は、ノイズレベルベル全体を低減して、ターゲット識別に大きな改善をもたらす。例えば、多重パス反射の低減によって、ゴーストターゲットの問題が低減される。さらに、レーダー製造プロセスが比較的単純で、低コストおよび低複雑度で製造することが可能である。
【0010】
一例としての位相アレイレーダー装置は、送信アンテナアレイ、受信アンテナアレイおよび、これらの送信および受信アンテナアレイと電子通信する電子制御回路を含む。送信アレイによって生成された送信ビームおよび受信アンテナ例によって受信された受信ビームは、送信ビームの主ローブが受信ビームの主ローブにほぼ整列を維持し、且つ、受信ビームの格子ローブが送信ビームのナルにほぼ整列を維持するように、電子制御回路によってそれぞれを操舵可能である。ナルは、角度応答においてノードとして言及されることもある。この方法により、誤検出信号、特に格子ローブから発生するゴーストイメージ、を顕著に低減することができる。
【0011】
電子制御回路は物理的に分離された送信および受信チップを含んでいても良く、これらはローカル発振器フィードラインによって電気的に接続されて、位相アレイ検出を行うことが可能である。本発明の実施例は、アンテナ基板への小位相シフトチップの取り付け具を含む。これによって、同一のレーダー装置内での位相アレイ送信アンテナおよび位相アレイ受信アンテナの組合せが、消費者および自動化応用に適した価格で可能となる。一例としての受信アンテナアレイは、送信アンテナアレイよりも遥かに多いチャンネル(およびアンテナエレメント)を含む。装置はハウジングを備えていても良く、このハウジングは、アンテナエレメントを有する基板、送信チップ、受信チップおよび、各チップと基板上に配置されたアンテナエレメント間の電気的相互接続体を含んでいる。基板は、平面誘電材料を含んでいても良い。
【0012】
幾つかの事例では、受信アンテナはアンテナピッチ(アンテナエレメント間隔、中心間)を有し、このアンテナピッチはアンテナ動作波長の半分より大きい。例えば、λを動作波長とすると、アンテナピッチは≦0.6λである。受信アンテナピッチを拡大するとアンテナ利得が増大し、受信ビームの主ローブが狭くなり、その結果、解像度が向上する。しかしながら、アンテナピッチが大きくなると格子ローブが発生し、この格子ローブではアンテナの感度は、ターゲット方向(受信ビームの意図された方向)から角度的にずれたサイドローブ方向に沿って増大する。格子ローブはかなりのレベルの誤信号の受信を許し、アンテナ応答を劣化させる。しかしながら、送信ビームナルを有する格子ローブの電子的に制御された角度アライメントによって、これらの誤信号を大きく低減させることができる。本発明の実施例において、利得を強化することおよび主ローブを狭めることの利点が、格子ローブ形成に関連する問題を伴うことなく獲得される。格子ローブは受信ビームから除去されないが、しかし、格子ローブ方向に沿った送信ビームパワーを大きく低減することによって、誤信号のレベルを大きく低減させる。
【0013】
幾つかの事例では、受信アンテナピッチは、受信アンテナ動作波長(λ)の0.5倍より大きく1.5倍と同じかそれより小さい。例えば、0.6λ−1.5λの範囲内、例えば、0.7λ−1.3λの範囲内である。例示範囲は包括的である。
【0014】
幾つかの事例では、受信アンテナアレイは、送信アンテナアレイよりも少なくとも4倍多くのアンテナエレメントを有していても良く、ある場合には8倍以上のエレメント(チャンネルとして言及される場合もある)数を有している。例えば、送信アンテナは4または8エレメントを有し、且つ、受信アンテナは64または128エレメントを有する場合もある。
【0015】
受信ビームのサイドローブ(ここでは格子ローブ)が送信ビームにおけるナルと10度以内、例えば5度以内、で整列するように、送信ビームおよび受信ビームを電子制御回路によって操舵してもよい。受信ビーム主ローブに沿っている場合と比べて、送信ビームが格子ローブに沿って大きく低減したパワーを有している限りにおいて、正確な整列は必ずしも必要ではない。
【0016】
送信および受信ビームの主ローブも同様に、ビームがレーダー環境を走査する間、整列したままである。幾つかの事例では、特に送信アンテナエレメントの数が比較的少ない場合、送信主ローブは広い高パワー領域を有する場合があり、送信および受信主ローブが10°以内で整列している限りにおいて、優れた性能が獲得される。
【0017】
送信ビームのパワーは、格子ローブ方向に沿った場合よりも、受信ビーム方向(受信主ローブの中心)に沿った場合の方が遥かに大きい。例えば、送信主ローブのピークパワーが0dBの場合、受信ビームに沿った正規化された送信パワーは−10dB、例えば−5dB、より大きい場合がある。格子ローブ方向に沿った正規化された送信パワーは、−30dB、例えば−40dB、さらにある場合には−50dB、より小さい場合がある。
【0018】
ある場合には、ナルは送信ビームの主ローブよりもはるかに狭い(角度幅の観点から)。その場合に、ナルが格子ローブへ近接して整列することが、比較的広い送信主ローブに受信主ローブが整列することより、重要であり得る(レーダー効率向上の観点から)。従って、ナルが格子ローブに近接して整列し(例えば5°、例えば3°以内に)、更に受信主ローブが比較的広い送信主ローブ内に位置するように、アンテナを構成しうる。
【0019】
誤検出を低減するように位相アレイ自動車用レーダーを動作させる方法は、ステアラブル送信アンテナを提供して主送信ローブと送信ナルを有する送信ビームを生成し、ステアラブル受信アンテナを提供して主受信ローブと格子ローブを有する受信ビームを受信し、さらに、電子制御回路を用いて送信ビームと受信ビームを操舵することにより、ビームが視野を横切って移動する間、受信ビームの格子ローブが送信ビームのナルにほぼ整列したままであるようにすること、を含む。実施例の装置では、視野はほぼ45°に等しいかそれよりも大きく、ある実施例では75°よりも大きい。送信ビームの主ローブはビームが操舵されている間、受信ビームの主ローブにほぼ整列したままである。
【0020】
図1は一実施例のレーダー装置の概略図であり、この装置は、送信アンテナアレイ10、送信チップ12、受信アンテナアレイ14、および受信チップ16を含む。送信アンテナ10は送信チップ12と電気的に通信し、さらに受信アンテナ14は受信チップ16と電気的に通信する。“LO信号”とラベル付けされたラインは、送信チップから受信チップへのローカル発振器フィードラインに相当する。
【0021】
アンテナエレメントの2個のセットが、同一の回路ボード上に印刷され得る。1個のアンテナは送信のためであり、他方のアンテナは受信のためである。ボード上でアンテナを分離することによって、送信から受信チャンネルへの望ましくないカップリング量が低減する。この分離は更に、チップにおける複雑性を低減する。
【0022】
本発明の実施例において、受信アンテナエレメントは、動作周波数の半分よりも大きく、例えば0.6λ以上離れており、利得を増加させるがビームが操舵された場合に格子ローブを生成する。受信アンテナエレメントは、直線ボアサイトにおける格子ローブが避けられるように、十分に近接していることが好ましい。これによって、送信ビームの特性を用いて、格子ローブのほぼ大部分を除去することができる。送信アンテナパターン(送信ビーム)におけるナルが、受信アンテナによって生成された格子ローブの入射角に一致するように、送信ビームを操舵する。その結果、送信および受信角度プロファイルの多重化に関連して、システム応答全体が格子ローブの応答を低減する。
【0023】
受信アンテナエレメントの間隔(ピッチ)を増加させることによって、受信アンテナの利得を大きくすることができ、さらに、アンテナビームを狭くすることが可能となる。これは信号ノイズ比を高くし、送信位相アレイは、受信パターンのサイドローブレベルを低下させることによって同様に貢献する。
【0024】
例えば、送信チップは、位相アレイ制御装置、可変利得制御装置、発振器および位相ロックループを含み得る。LO信号は発振器信号の一部を受信チップに伝える。同様に、受信チップは、位相アレイ制御装置、可変利得制御装置およびミキサーを含み得る。この構成によって、FMCW動作を実施することが可能となる。
【0025】
改良された構成では、送信ビームと受信ビームの両方の位相アレイ操舵が含まれる。アンテナの分離は、より簡単なチップ構成を使用することを可能とし、さらに、送信および受信チャンネル間の望ましくないカップリングを低減する。更に、送信および受信アレイ操舵は、受信アンテナの格子ローブが送信ビーム強度におけるナルに相当するように、制御することが可能である。
【0026】
図2(従来技術)は、受信ビーム操舵のみを備える、DBFレーダーのための出力パターンを示す。この図は、広角ビームである信号出力(送信ビーム)20を示しており、外来ノイズパワーを有利な角度以外に向けている。更に、広角の送信信号出力は、関係するオブジェクト24に向って送信パワーを反射しこの反射は次に受信器に再反射される、望ましくない反射器26によって、ゴーストイメージ、例えば図示の多重パス状態、を作り出すことがある。有利な角度は、点線22によって示されている。
【0027】
高分解能方位角表現を生成するために信号処理を使用することができるが、しかしノイズパワーは、広角パワー送信によって所望の信号に合成される。強力な多重パス状態が起これば、ゴーストターゲットもまた出現する。この構成においてみられるように、送信パワーは、有利な角度の外側領域に不必要に送信される。これは、ノイズおよび多重パス反射問題の両方を増加させる。
【0028】
図3は、受信または送信ビームステアラブルレーダーの何れかによって生成されたビームを示す。このビームは回転可能アンテナよりもむしろハードウエアによって生成され、そのため、物理的に少ないノイズがアンテナ開口に到達し、多重パス反射が大幅に減衰する。これは同様に、この特別な方法の低いサイドローブレベルに基づいている。ビーム操舵能力故に、視野が維持される。
【0029】
図3は、点線22によって示される有利な角度内に集中したパワーを有する、送信(または受信)ビーム30の一例を示す。有利な角度の外側領域への外部からの不必要な送信パワーが大きく低減されたことにより、ノイズはもはや所望の信号に合成されない。ある実施例では、受信ビームも類似のプロファイルを有しうる。
【0030】
有利な角度は点線22によって表示されており、これらは受信ビーム操舵によって走査され得る。有利な角度は、視野を横切る送信および受信ビームによって達成される、アンテナの視野にほぼ相当する。いくつかの実施例では、送信および/または受信ビームは、図3に示すものよりもかなり狭いことがある。
【0031】
レーダーシステムの受信信号は、送信および受信アンテナアレイによって生成されたパターンの積である。受信アレイのエレメントを、例えば、λ/2を超える間隔とすることにより(例えば、アンテナピッチ>0.6λ)、アンテナビーム効率、特に利得および角度ビーム幅、が向上する。このアプローチは、送信または受信ビームの何れかまたは両方に用いることができる。
【0032】
以下の事例において、エレメント間隔を(λ/2を超えて)増加させた受信アンテナの例を議論する。しかしながら、この間隔の増加はまた格子ローブを発生させる。デュアル位相アレイアンテナを使用して、受信アレイの望ましくないローブの影響を除去すべく、送信アレイを制御することができる。
【0033】
図4は、受信アンテナパターン40の実施例を示す。主ローブ44は、約45°の角度に向けられている。しかしながら、さらに、約−6°の角度に格子ローブ42がある。この事例において、0度が直線方向であり、さらに、正規化パワーの縦軸がデシベルで示されており、デシベルは曲線を圧縮する傾向がある。無指向性の送信アンテナのような無操舵の送信アンテナによって、格子ローブは、スプリアス反射のような種々の問題を生じる。
【0034】
図5は、‐6度で最小のパワーを有し、約40度で主ローブ52を有する、送信アンテナアレイ50の送信パターンを示す。これによって、受信アンテナアレイの格子ローブにほぼ等しい角度において、送信アンテナパターンは最小値、実質的にはナルを有する。送信ビーム主ローブは受信ビーム主ローブの約5°以内であり、且つ、送信主ローブが最大の広さを有するので、受信主ローブに沿った送信パワーは、格子ローブに沿った送信パワーよりも桁違いに大きい。パワー比(受信格子ローブに沿った送信パワー/受信主ローブに沿った送信パワー)は−30dB以下であり得る。
【0035】
図6は、受信パターン40(受信ビームの角度プロファイル)、送信パターン50および送信および受信パターンの積として形成される、合成システム応答パターン60を示す。格子ローブ40の影響は、同様の角度における送信パワー中の対応するナルによって、劇的に低減される。この方法で、アンテナの全体応答は、45度の近くでシャープなピークを有し、図4に示す受信アンテナパターンの主ローブ44に対応する。
【0036】
ビームが操舵されると、図示のプロファイルは、操舵角の軸に沿って共にシフトする。しかしながら、曲線の一般的な形状は変化せず、そして、送信ナルは格子ローブ方向にほぼ整列したままを維持する。
【0037】
送信アンテナエレメントの間隔は、主ローブと最小パワー(ナル)間で希望の角度間隔、即ち、通常、受信主ローブと格子ローブ間の角度間隔にほぼ等しい(例えば、後者の値の10°以内)角度間隔、を得るように調整が可能である。送信および受信アンテナパターンの一般的な形状は、製造デザインによって、例えば受信および送信アンテナエレメント間隔を制御することによって、決定することができる。
【0038】
図7は、受信位相アレイアンテナを有するアンテナに対するレーダー帰還パワーと、ワイドビーム送信器出力(例えば、図2に示すように)の鳥瞰図である。72で示すように、広範囲に及ぶサイドローブクラッターと、70で示すようなゴーストイメージがある。サイドローブクラッターは、受信ビーム内の種々のサイドローブ、たとえば図4に示す小さな応答ピーク、によって発生する。格子ローブによるゴーストターゲットは、レーダー出力において明らかであり、サイドローブレベルが高いことによって、シーンをさらに乱雑にする。
【0039】
図8は、4−エレメントの送信位相アレイアンテナと、図7に示すレーダーにおいて使用されている位相アレイ受信アンテナを有する、アンテナの応答を示している。送信および受信の両方に位相アレイアプローチを用いることによって、ゴーストターゲットが実質的に除去され、サイドローブクラッターが大きく低減される。
【0040】
本発明の幾つかの実施例では、格子ローブが送信ビーム内にあり、ナルが受信ビーム内にある。例えば、アンテナは、主ローブと格子ローブを有する送信ビームを生成するステアラブル送信アンテナと、受信ビームが主ローブと少なくとも1つのナルを有するステアラブル受信アンテナと、を持つことができる。ここに記載した他のものと同様に、その後、電子制御回路が、送信ビームの主ローブが受信ビームの主ローブにほぼ整列を維持し、送信ビームの格子ローブが受信ビームのナルにほぼ整列を維持するように、送信および受信ビームを操舵する。このような実施例において、送信アンテナは、受信アンテナよりも多くのエレメントを持つことができる。
【0041】
本発明は上述した例示的な実施例に限定されるものではない。記載された実施例は例示であって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。その中での変更、要素の組み合わせ、およびその他の使用方法が、当業者にとって存在し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相アレイレーダー装置において、
送信アンテナアレイと、
受信アンテナアレイと、
前記送信アンテナアレイと受信アンテナアレイに電子的に通信する電子制御回路と、を備え、
前記送信アンテナアレイは、前記電子制御回路によって操舵可能な送信ビームを生成するように動作可能であり、
前記受信アンテナアレイは、前記電子制御回路によって操舵可能な受信ビームを生成するように動作可能であり、
前記受信ビームは受信主ローブと格子ローブを有し、
前記送信ビームは送信ビームナルと送信主ローブを有し、
前記送信ビームと受信ビームは、前記送信主ローブが前記受信主ローブにほぼ整列を維持し、前記受信ビームの前記格子ローブが前記送信ビームナルとほぼ整列を維持するように、前記電子制御回路によって操舵可能である、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記電子制御回路は送信チップと受信チップを含み、
前記送信チップは前記送信ビームを操舵し、
前記受信チップは前記受信ビームを操舵し、
前記送信チップと前記受信チップは、物理的に分離されており、且つ、ローカル発振器フィードラインによって電気的に接続されている、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記位相アレイレーダーは動作波長(λ)を有し、
前記受信アンテナは、前記動作波長の2分の1より大きい受信アンテナピッチを有している、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、前記受信アンテナピッチは、0.6λと1.5λの間である、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、前記受信アンテナアレイは前記送信アンテナアレイよりも少なくとも4倍のアンテナエレメントを有する、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、前記送信ビームと受信ビームは、前記受信ビームの格子ローブが前記送信ビームのナルの5度以内に整列するように、前記電子制御回路によって操舵される、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記送信主ローブは前記受信主ローブの10度以内に整列している、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、前記送信ビームにおけるナルは、ナル角度における送信ビームの正規化パワーが−30dBよりも小さい、ナル角度にあり、
前記主ローブは、送信ビーム方向に沿って中心にあり、かつゼロdBの正規化パワーを有している、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、前記ナル角度における送信ビームの正規化パワーは−40dBより小さい、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、前記送信チップおよび受信チップはそれぞれ位相アレイ制御装置、可変利得制御装置およびミキサーを含んでいる、装置。
【請求項11】
動作波長を有する位相アレイレーダー装置において、
送信アンテナアレイと、
前記アンテナの動作波長の2分の1より大きな受信アンテナピッチを有する、受信アンテナアレイと、
前記送信アンテナアレイと受信アンテナアレイと電子的に通信し、送信チップおよび受信チップを含む、電子制御回路と、を備え、
前記送信チップと受信チップは物理的に分離されており、かつローカル発振器フィードラインを介して電気的通信し、
前記送信アンテナアレイは前記送信チップによって操舵可能な送信ビームを生成し、
前記受信アンテナアレイは前記受信チップによって操舵可能な受信ビームを受信し、
前記受信ビームは受信主ローブと格子ローブを有し、
前記送信ビームは送信ビームナルと送信主ローブを有し、
前記送信ビームと受信ビームは、前記送信主ローブが前記受信主ローブとほぼ整列を維持し、かつ、前記受信ビームの格子ビームが前記送信ビームナルにほぼ整列を維持するように、前記電子制御回路によって操舵される、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置において、前記受信アンテナピッチは前記動作波長の0.7倍と1.5倍との間である、装置。
【請求項13】
請求項11に記載の装置において、前記送信ビームと受信ビームは、前記受信ビームのサイドローブが前記送信ビーム内のナルの5度以内に整列するように、前記電子制御回路によって操舵され、
前記ナルでの前記送信ビームの正規化パワーは、0dBのピーク主ローブパワーに比べて−30dB以上小さい、装置。
【請求項14】
誤検出を低減するように位相アレイレーダーを動作させる方法において、前記レーダーは視野を有する自動車用レーダーであり、前記方法は、
送信主ローブと送信ナルを有する送信ビームを生成する、ステアラブル送信アンテナを提供し、
受信主ローブと格子ローブを有する受信ビームを受信する、ステアラブル受信アンテナを提供し、さらに、
前記送信ビームの主ローブが前記受信ビームの主ローブに整列し、かつ前記受信ビームの格子ローブが前記送信ナルに整列するように、電子制御回路を使用して、前記視野を横断するように前記送信ビームと受信ビームを操舵することを含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記送信ビームと受信ビームが前記視野を横断して操舵される間、前記格子ローブは前記送信ナルの5度以内に整列している、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−83645(P2013−83645A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−222763(P2012−222763)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【出願人】(507342261)トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド (135)
【Fターム(参考)】