説明

自発光視線誘導標

【課題】発光体の表示面を円形状としても、悪天候時の視認性を良好として、使用できる自発光視線誘導標を提供すること。
【解決手段】自発光視線誘導標1は、複数の発光体(LED)31が、それぞれ、交互に点滅させる赤色系LED32と青色系LED33とから構成される。一つの赤色系LED32が、表示面10aの中心に配置される中央LED32cとする。そして、自発光視線誘導標1は、中央LED32c以外の赤色系LED32と青色系LED33とが、それぞれ、3個以上使用されるとともに、中央LED32cを中心として、周方向に沿って、均等で、かつ、交互に、配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路際や中央分離帯等に設置されて、赤色系LEDと青色系LEDとから構成される複数の発光体を、夜間に点滅させるように点灯させて、運転者の視線を誘導する自発光視線誘導標に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の視線誘導装置としては、複数の発光体を、交互に点滅させる赤色系LEDと青色系LEDとから構成するものが知られていた(例えば、特許文献1)。この自発光視線誘導標は、視線誘導標の形を認知し易い、すなわち、形状認知に優れた赤色系LEDと、視線誘導標の存在を認知し易い、すなわち、存在認知に優れた青色系LEDと、を複数並設させており、夜間や濃霧の中であっても、運転者が、容易に視認することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−201618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の自発光視線誘導標では、LEDを設けた表示面が、長方形板状として、多数のLEDを配設させており、LEDの表示面を円形状としたり、あるいは、LEDの使用量を少なくした場合、視認性よく、好適に、使用する点に、課題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、発光体(LED)の表示面を円形状としても、悪天候時の視認性を良好として、使用できる自発光視線誘導標を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る自発光視線誘導標は、複数の発光体が、それぞれ、交互に点滅させる赤色系LEDと青色系LEDとから構成される自発光視線誘導標であって、
一つの赤色系LEDが、発光体の表示面における中心に配置される中央LEDとし、
中央LED以外の赤色系LEDと青色系LEDとが、それぞれ、3個以上使用されるとともに、中央LEDを中心として、周方向に沿って、均等で、かつ、交互に、配設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る自発光視線誘導標は、発光体の表示面の中央に、赤色系LEDが配置されて、かつ、その周囲に、赤色系LEDと青色系LEDとが、周方向に沿って交互に配置されており、青色系LEDが、表示面の中央に配置されていないものの、中央LEDの周囲で、3個以上、放射状に配置されるため、濃霧の悪天候時でも、視線誘導標の存在認知を確保できる。そして逆に、目立ち易い赤色系LEDを、表示面の中央に配置させて、その周囲に、3個以上の赤色系LEDを配置させているため、目立ち易い赤色系LEDが多くなって、全体のLED数が少なくとも、通常時ばかりでなく、濃霧等の悪天候時にも、良好な視認性を確保可能となる。さらに、本発明に係る自発光視線誘導標は、表示面の中央に配置させた中央LEDを中心に、3個以上ずつの赤色系LEDと青色系LEDとが、周方向に沿って、均等で、かつ、交互に、配設される構成であって、表示面を円形としている場合に、無駄な表示エリアを無くして、表示面と相似形となるように、好適に、中央LEDの周囲に、赤色系LEDと青色系LEDとを配設させることができる。
【0008】
したがって、本発明に係る自発光視線誘導標は、表示面を円形状としても、悪天候時の視認性を良好として、使用することができる。
【0009】
なお、中央LEDの周囲に、1個ずつ、若しくは、2個ずつの赤色系LEDと青色系LEDと配設する場合には、各色のLEDが一文字状に配置された状態で発光する状態となり、円形のイメージを惹起させ難いことから、表示面を円形とする場合、好ましくない。
【0010】
そして、本発明に係る自発光視線誘導標において、中央LEDを中心として周方向に配置される赤色系LEDと青色系LEDとを、一重の円環状に、配設する構成とすれば、使用する赤色系LEDと青色系LEDとの数を、中央LEDを除いて3個ずつ若しくは4個ずつ等と少なくして、道路際等に設置される自発光でない反射板タイプの70〜100φとした視線誘導標の代替品として、好適に使用することができる。ちなみに、反射タイプの視線誘導標は、社団法人日本道路協会の設置基準において、「大きさを直径70〜100mmとして」、原則として、「左側路側に設置する」ことが規定されている。
【0011】
また、中央LEDを中心として、その周囲に、均等でかつ交互に、赤色系LEDと青色系LEDとを配置させる場合、点灯時に円環状のイメージを惹起できれば、必ずしも、1個ずつの赤色系LEDと青色系LEDとを交互に配置させなくともよく、例えば、どちらかの一方を、2個等の複数として、均等に、周方向に沿って繰り返して配置させるように、交互に赤色系LEDと青色系LEDとを配置させたり、あるいは、共に、同数の複数個ずつ、若しくは、異なった数の複数個ずつ、を繰り返して均等に循環させるように、中央LEDの周囲で、周方向に沿って交互に所定個数ずつの赤色系LEDと青色系LEDとを配置させてもよい。
【0012】
さらに、本発明に係る自発光視線誘導標では、赤色系LEDと青色系LEDとを、それぞれ、透明な光源カバー部により覆い、
光源カバー部を、発光時の光を拡散可能に、それぞれ、
赤色系LEDと青色系LEDとの各々の前方側で、外側面と内側面とをともに前方側へ突出させた凸メニスカスレンズ形状のレンズ部と、
赤色系LEDと青色系LEDとの各々の周囲を囲んで、レンズ部の外周縁から後方へ延びる円筒状のリブと、
を設けて構成することが望ましい。
【0013】
このような構成では、レンズ部が、拡散し難いLEDの光を、レンズ部の全域から発光させるように、拡散させる凸レンズから構成され、さらに、メニスカスレンズとして、レンズ部の外周縁付近でも、輝度の低下を抑えて、光を発散させることができて、表示面の正面からだけでなく、表示面に対して斜め方向からでも、LEDの光が視認し易くなる。すなわち、このような構成では、極力、赤色系LEDや青色系LEDの発光時における明るい輝度と広い視野範囲とを、確保できる。さらに、レンズ部の外周縁には、LEDを包むように、透明な円筒状のリブが、突設されて、LEDの周囲に発散する光も、リブの内・外周面で反射させて、レンズ部側から放射できることとなって、一層、LEDをレンズ部全体から光らせるような態様、とすることができる。
【0014】
さらにこの場合、視線誘導標の表示面を、光源カバー部を配設させた透明な前面カバー部を設けて構成し、前面カバー部の後方には、赤色系LEDと青色系LEDとを前方に突出させ、かつ、リブの後端面に前面を当接させて、前方からの光を反射可能な反射シートを、配設することが望ましい。
【0015】
このような構成では、LEDが発光していない薄暮や昼間(あるいは蓄電体の残量が零の場合)等においても、表示面で受光した光を反射させることができて、視線誘導標を運転者に視認させることができる。さらに、LEDの発光時には、反射シートを経て反射する光も、光源カバー部のリブを利用して、レンズ部側から放射できるため、一層、LEDをレンズ部全体から光らせるような態様、とすることができる。
【0016】
さらに、本発明に係る自発光視線誘導標では、前面側に発光体を設けて、後面側に発光体の電源となる蓄電体を設け、かつ、発光体を夜間に点滅させるように制御する制御基盤と、
太陽光により起電されて蓄電体に充電させる太陽電池と、
制御基盤と太陽電池とを収納するケースと、
を設けて構成するとともに、
ケースを、前面カバー部を設けて、発光体、反射シート、及び、太陽電池を覆う前側ケース部と、後面側の後側ケース部と、の二つから構成し、
前側ケース部と後側ケース部とを、パッキンを介在させて、ケース内を水密状態として、結合させるとともに、ケース内に、乾燥剤を配設させて、結合することが望ましい。
【0017】
このような構成では、パッキンを利用して、ケース内が水密状態とされて、さらに、ケース内に乾燥剤が配設されている。そのため、製造当初のケースを閉める際に、水蒸気がケース内に入っていても、ケース内の水蒸気が、乾燥剤により、吸湿されて、夜間時の温度低下時、結露するための水蒸気が極力無くなって、発光体(LED)を覆った前面カバー部の後面側(裏面側)の結露や曇りを抑制できて、発光体の発光時の視認性を阻害しない。ちなみに、光源カバー部の後面側に結露や曇りが生じていれば、青色系LEDの光は、赤色系LEDの光に比べて、視認性を低下させ易いことから、このような乾燥剤によるケース内の除湿は、青色系LEDを設けた自発光視線誘導標に、好適となる。勿論、この場合、ケースがパッキンを利用して水密状態を維持するため、雨水がケース内に浸入することは無く、安定して、発光体を覆った前面カバー部の後面側の結露や曇りを防止できる。
【0018】
さらにこの場合、パッキンには、前側ケース部と後側ケース部との外周縁からケースの内側に延びる延設部を設け、
乾燥剤を、シート状に配置するとともに、延設部に位置規制させて、制御基盤の後面側に、配置するとともに、
パッキンと乾燥剤との少なくとも一方が、前側ケース部と後側ケース部との相互の結合時、反射シートを介在させて、蓄電体ごと制御基盤を、前側ケース部のリブの後端面側に押圧し、前側ケース部のリブと協働して、挟持して保持する構成とし、
蓄電体を、前側ケース部と後側ケース部との相互の結合時に、制御基盤を各リブに対して前後に傾斜させずに前側ケース部側に押圧可能に、制御基盤の後面側に、分散させて配設することが望ましい。
【0019】
このような構成では、シート状の乾燥剤が、制御基盤の後面側で、発光体を覆った前面カバー部と平行な面状に配設されることとなって、ケース内の水分を的確に吸湿することができる。また、このような構成では、発光体や蓄電体を設けた制御基盤を、別途、ねじ等を利用して、ケースの前側ケース部や後側ケース部に取り付けなくともよく、制御基盤をケースに取り付ける部品点数・工数・コストを低減することができる。さらに、複数の蓄電体が、制御基盤を、各リブに対して前後に傾斜させずに、前側ケース部側に押圧できるため、各発光体(LED)の光を、安定して、光源カバー部を経て、前方に放射させることができる。
【0020】
また、本発明に係る自発光視線誘導標では、ケースにおける太陽電池を収納する太陽電池収納部を、
前面カバー部の上方で、前方に突出するように、庇状に形成し、かつ、
太陽電池を略水平方向に沿って配設させるとともに、太陽電池を覆う透明な上面カバー部を、太陽電池の上方で、雨水を流下可能に、前下がりに傾斜させるようにして、
構成することが望ましい。
【0021】
このような構成では、発光体の前面側の上方が、庇状の太陽電池収納部に覆われることから、発光体を覆う前面カバー部が、雨水で汚れることを防止でき、かつ、薄暮でも、発光体の光を鮮明にすることができる。また、太陽電池収納部の上面カバー部が、前下がりに傾斜しており、雨水を貯め難いことから、雨上がりの晴天時において、太陽電池が直ちに太陽光を受光することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明に係る自発光視線誘導標は、発光体の表示面を円形状としても、悪天候時の視認性を良好として、使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る一実施形態の自発光視線誘導標の正面図である。
【図2】実施形態の自発光視線誘導標の背面図である。
【図3】実施形態の自発光視線誘導標の平面図である。
【図4】実施形態の自発光視線誘導標の右側面図である。
【図5】実施形態の自発光視線誘導標の断面図であり、図1のV−V部位に対応する。
【図6】実施形態の自発光視線誘導標における後側ケース部を外した状態を示す背面図である。
【図7】実施形態の後側ケース部、パッキン、及び、シート状乾燥剤を示す斜視図である。
【図8】実施形態の自発光視線誘導標の回路図である。
【図9】実施形態の自発光視線誘導標のケースの結合時の状態を説明する図である。
【図10】赤色系LEDと青色系LEDとの配置と数を変更した自発光視線誘導標を示す概略正面図である。
【図11】さらに赤色系LEDと青色系LEDとの配置と数を変更した自発光視線誘導標の表示面を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の自発光視線誘導標1は、図1〜5に示すように、複数の発光体31、蓄電体35、太陽電池37、制御基盤39、反射シート44、パッキン25、乾燥剤27、ねじ29、及び、周囲を囲うケース3、を備えて構成されている。制御基盤39は、発光体31と蓄電体35とを保持するように、発光体31と蓄電体35とに連結され、また、定電圧充電回路40、昼夜判別回路41、及び、点滅制御回路42を配設させている(図8参照)。
【0025】
さらに、制御基盤39は、図1,5に示すように、視線誘導標1における発光体(LED)31の円形の表示面(前面)10aに対応した円盤状として、各発光体31を前方に突出させるように、各発光体31を前面39a側で保持して、各蓄電体35を後方に突出させるように、各蓄電体35を後面39b側で保持している。各蓄電体35は、略円柱状として、6個使用されて、制御基盤39の後面39b側で、上下左右に均等に配置されるように、点対称的に、分散されて配設されている(図6参照)。実施形態の場合、蓄電体35は、軸方向を上下方向に沿わせて、左右方向に沿って4個が並設され、それらの上下に、1個ずつの蓄電体35が、軸方向を左右方向に沿わせて、配設されている。また、制御基盤39には、後述する取付ボス20を挿通させる挿通孔39cが配設されている。
【0026】
なお、定電圧充電回路40は、太陽電池37により発生した起電力を各蓄電体(実施形態では電気二重層コンデンサー)35に所定電圧で充電させるように作動され、昼夜判別回路41は、太陽電池37の起電力を検出するセンサやフォトトランジスタ等の図示しない昼夜判別センサからの信号により、夜であれば、その信号を点滅制御回路42に出力する。そして、点滅制御回路42は、発光体31を所定間隔て点滅させることとなる。実施形態の場合、点滅制御回路42は、発光体31の後述する赤色系LED32と青色系LED33とを交互(360回/分)に点滅させる。換言すれば、赤色系LED32と青色系LED33とが、それぞれ、180回/分として、交互に点滅する。
【0027】
発光体31は、実施形態の場合、5個の赤色系LED32と4個の青色系LED33とから構成されている。赤色系LED32は、円板状の制御基盤39の中央に1個配置されるとともに、その中央LED32cを中心として、上下左右の配置位置から、45°ずらした放射状の位置に配置され、青色系LED33は、中央LED32cを中心とした上下左右の放射状に4個配置されている。すなわち、中央LED32cを除いた4個の赤色系LED32と4個の青色系LED33とは、中央LED32cを中心として、周方向に沿って、交互に均等にされて(中央LED32cを中心として45°ずつずれた放射状に配置されて)、一条の円環状に、配置されている。なお、円板状の反射シート44やその前面側の前面カバー部11は、その直径寸法D0(図1参照)を、約100φとしている。
【0028】
また、赤色系LED32は、ピーク波長を623nmとする赤色LED、ピーク波長を590nmとする黄色LED、あるいは、その間の波長の赤色系光を放射するものが使用可能である。青色系LED33は、ピーク波長を470nmとする青色系LED、ピーク波長を490nmとする青緑色LED、あるいは、その間の波長の青色系光を放射するものが使用可能である。
【0029】
ケース3は、太陽電池37を収納した上部収納部(太陽電池収納部)4と、下部側の下部収納部8と、を備えて構成されている。下部収納部8は、制御基盤39を覆う円板状の本体部10と、本体部10と上部収納部4とを連結する台形板状の連結部9と、を備えて構成されている。
【0030】
本体部10は、その前面10aを発光体31の表示面とする円板状に形成されている。そして、本体部10内には、発光体31と蓄電体35とを保持した制御基盤39が、前面39aを、鉛直方向に沿わせて、各発光体31を前面10a側に正対させるように、配設させている。本体部10の制御基盤39を覆う前面10aには、発光体31を覆う透明な前面カバー部11が配設されている。
【0031】
前面カバー部11には、図1,5に示すように、各発光体31の赤色系LED32と青色系LED33との各々に対応して、発光する光を拡散させる光源カバー部12が形成されている。各光源カバー部12は、それぞれ、レンズ部13とリブ14とを備えて構成されている。レンズ部13は、各発光体31(赤色系LED32と青色系LED33との各々)の前方側で、外側面13aと内側面13bとをともに前方側へ突出させた凸メニスカスレンズ形状に形成されている(図5参照)。ちなみに、実施形態の場合、レンズ部13の外側面13aと内側面13bとは、ともに、半径Rを8.1mmの弧面としている。リブ14は、各発光体31の周囲を囲んで、赤色系LED32と青色系LED33との各々の周囲を囲んで、レンズ部13の外周縁13cから後方へ延びる円筒状としている。各リブ14の後端面14aは、制御基盤39の前面39aに対し、反射シート44を介在させて、当接されている。なお、リブ14は、外側面13aの外縁13aa(外周縁13c)を囲うように、外縁13aaの外周側に配置されて、後方に延び、厚さ寸法tを1.5mm、長さ寸法Lを10mmとしている。外縁13aaの直径寸法D1(図1参照)は、15φとしている。
【0032】
反射シート44は、車両のヘッドライト等の光を受けた際に、その受光した光を反射するものであり、実施形態の場合、プリズム溝を設けたプリズム型の黄色の高輝度反射シートからなり、各発光体31を突出させる貫通孔44bを備えて構成され、各貫通孔44bから発光体31を突出させて、制御基盤39の前面39a側の全域に配設されている。また、反射シート44には、後述する取付ボス20を挿通させる挿通孔44cも、形成されている。
【0033】
なお、前面カバー部11は、光源カバー部12の周囲に、平面状の平滑部16を配設させている。
【0034】
上部収納部(太陽電池収納部)4は、略水平方向に沿った長方形板状として、上面4a側を前端4b側にかけて前下がりに傾斜させて、構成されている。そして、上部収納部4は、下部収納部8における発光体31を覆う前面カバー部11の上方から前方を覆うように、連結部9の上方から前方に突出する庇状に、形成されている。また、上部収納部4は、太陽電池37を水平方向に沿って配設させるとともに、太陽電池37を覆う透明な上面カバー部5を、太陽電池37の上方で、雨水を流下可能に、前下がりに傾斜させている。
【0035】
そして、ケース3は、前面側の前側ケース部18と、後面側の後側ケース部22と、から構成されている。後側ケース部22は、実施形態の場合、アルミニウム等の平板状の金属板から構成されて、後面には、自発光視線誘導標1を所定の道路際等に設置させるための取付具24が、形成されている。また、後側ケース部22には、前側ケース部18と結合させるための取付孔23が、形成されている。
【0036】
前側ケース部18は、既述の上部収納部4や下部収納部8の後面側を除いた全域を形成するものであり、実施形態の場合、透明なポリカーボネイト等の合成樹脂から形成されている。また、前側ケース部18には、後側ケース部22と結合させるための複数の取付ボス20が配設されるとともに、外周縁に、後側ケース部22の外周縁22aを嵌合させるために、段差を設けて凹むような周縁組付座19が、形成されている。取付ボス20は、外周縁側の赤色系LED32の近傍の本体部10の周縁の4箇所と、上部収納部4の左右両端付近の2箇所と、の計6箇所に形成されて、それぞれ、周縁組付座19の内側に配設されている。そして、各取付ボス20には、後側ケース部22を前側ケース部18に結合させる際、後側ケース部22の各取付孔23を経て、ねじ29が螺着されることとなる。その螺着時、後側ケース部22の外周縁22aは、パッキン25の外周縁25aを介在させて、前側ケース部18の周縁組付座19に嵌合することとなって、ケース3内が水密状態を確保されることとなる。なお、本体部10の4個の取付ボス20は、制御基盤39の挿通孔39cに挿通されて、制御基盤39の上下左右のずれ移動を規制して、制御基盤39を、精度よく位置決めする役目も果たしている。
【0037】
なお、制御基盤39は、これらの取付ボス20の上下左右の位置決めと、反射シート44を介在させたリブ14の後端面14aとの当接による前後方向の位置決めとにより、前面39aから突出させた各発光体(LED)31の発光部位31aを、レンズ部13の焦点位置に、精度よく、配置させることができることとなる。
【0038】
また、前側ケース部18では、透明な上面カバー部5や前面カバー部11以外の部位を、内部を見えないように、シボを設けた不透明部21として、外部から、ケース3内の制御基盤39等が見えないように、構成されている。
【0039】
パッキン25は、シール性を確保可能なゴムや合成樹脂から構成されている。実施形態の場合、パッキン25は、外周縁25aを、後側ケース部22の外周縁22aと同形状とした板状とするとともに、外周縁25aからケース3の内側に延びる延設部25cを備えて、構成されている。パッキン25には、後側ケース部22と同様に、ねじ29を貫通させる取付孔25bが形成されている。ちなみに、パッキン25は、前側ケース部18と後側ケース部22との結合時、外周縁25aを周縁組付座19と後側ケース部22の外周縁22aとに圧接させるとともに、ねじ29の周囲も、取付孔25bの周縁を取付ボス20と後側ケース部22とに圧接させることから、ケース3内を、安定して、水密状態にすることができる。
【0040】
パッキン25の延設部25cは、蓄電体35付近まで延びて、縦横の棒状、すなわち、十字状の収納孔部25dを設けている。
【0041】
乾燥剤27は、上下左右の位置ずれを防止されて、収納孔部25dに位置規制されて収納されるように、十字状としたシート状に形成されている。このシート状乾燥剤27は、樹脂シートや不織布に、シリカゲルや塩化カルシウム等を含有させて、シート状に形成され、若干の弾性を有している。そして、このシート状乾燥剤27は、パッキン25の収納孔部25dに収納された状態で、前側ケース部18と後側ケース部22とを結合させる際、パッキン25の延設部25cに位置規制されて、制御基盤39の後面39b側に、配置されることとなる。さらに、実施形態では、この時、シート状乾燥剤27が、反射シート44を介在させて、蓄電体35ごと制御基盤39を、前側ケース部18のリブ14の後端面14a側に押圧して、前側ケース部18と協働して、挟持して保持する構成としている。そして、この時、制御基盤39の後面39b側で上下左右に均等に分散されて配置された各蓄電体35が、各リブ14に対し、前後に傾斜させずに、制御基盤39を前側ケース部18のリブ14側に押圧させることとなる。
【0042】
そして、図9のA〜Cに示すように、前側ケース部18における上部収納部4や下部収納部8の部位に、所定の図示しないリード線で部品相互を結線させつつ、太陽電池37、反射シート44、発光体31と蓄電体35とを組み付けた制御基盤39を配置させて、さらに、それらに、シート状乾燥剤27を収納させたパッキン25を載せ、さらに、後側ケース部22を載せ、取付孔23,25bを経て、各取付ボス20にねじ29を螺着させれば、前側ケース部18と後側ケース部22とを結合させて、水密性を確保してケース3を形成でき、ケース3を形成すれば、実施形態の自発光視線誘導標1を製造することができ、その後、所定の道路際等に配置させればよい。
【0043】
この実施形態の自発光視線誘導標1では、夜間時、昼夜判別回路41により、蓄電体35を電源として、赤色系LED32と青色系LED33とが交互に点滅することとなる。そして、この自発光視線誘導標1では、一つの赤色系LED32が、発光体(LED)31の円形の表示面となる本体部10の前面10aの中心に配置される中央LED32cとし、4個ずつの赤色系LED32と青色系LED33とが、中央LED32cを中心として、周方向に沿って、均等で、かつ、交互に、配設されている。そのため、実施形態の自発光視線誘導標1では、形状認知に優れた赤色系LED32の点灯と、存在認知に優れた青色系LED33の点灯と、によって、霧や降雨時の悪天候時に、道路を走行する運転者に、良好に視認させることができる。
【0044】
ちなみに、一対比較法により、実施形態の視線誘導標1と、赤色系LED32と青色系LED33との配置や数を変えた比較例と、を比較した結果を表1に示す。
【0045】
【表1】


なお、表1や図10に示すように、A(視線誘導標A)は、中央に赤色系LED32を設けて、その周囲に5個の青色系LED33を設けて、交互に、点滅させたものである。B(視線誘導標B)では、視線誘導標Aと逆の構成であって、中央に青色系LED33を設けて、その周囲に5個の赤色系LED32を設けて、交互に、点滅させたものである。
【0046】
C(視線誘導標C)は、中央に赤色系LED32を設けて、その周囲に3個ずつの赤色系LED32と青色系LED33とを均等に交互に配設させて、赤色系LED32と青色系LED33とを交互に点滅させたものである。D(視線誘導標D)は、視線誘導標Cと逆の構成であって、中央に青色系LED33を設けて、その周囲に3個ずつの赤色系LED32と青色系LED33とを均等に交互に配設させて、赤色系LED32と青色系LED33とを交互に点滅させたものである。
【0047】
E(視線誘導標E)は、実施形態の視線誘導標1と同じものであり、中央に赤色系LED32を設けて、その周囲に4個ずつの赤色系LED32と青色系LED33とを均等に交互に配設させて、赤色系LED32と青色系LED33とを交互に点滅させたものである。F(視線誘導標F)は、視線誘導標Eと逆の構成であって、中央に青色系LED33を設けて、その周囲に4個ずつの赤色系LED32と青色系LED33とを均等に交互に配設させて、赤色系LED32と青色系LED33とを交互に点滅させたものである。
【0048】
また、各視線誘導標A〜Fは、100φタイプとして、被験者から40m離し、かつ、高さ90cmの位置に設置し、夜間と同様な状態にできる屋内試験場において試験を行った。赤色系LED32と青色系LED33との点滅は、実施形態と同様に、360回/分としている。
【0049】
さらに、通常時と濃霧時とにおいて、試験を行い、その際の評価の1〜9の数値は、つぎのような基準に基づく。
【0050】
1:両方同じくらい目立つ
3:前の方が後の方より若干目立つ
5:前の方が後の方より目立つ
7:前の方が後の方よりかなり目立つ
9:前の方が後の方より絶対的に目立つ
そして、表1では、この評価に基づいて、一対比較法の所定の算出式により、重みを算出して記載している。
【0051】
この表1から解るように、見易さの比較となる重みに着目すると、使用する発光体(LED)が少なく、かつ、中央に赤色系LED32を配置させていない視線誘導標A,B,Dは、重みがおかれていない。一方、LEDを9個使用している視線誘導標E,Fには、重みが集中しており、視線誘導標E,Fは目立つと思われる。LEDの使用量では、視線誘導標A〜Dに関し、6個と7個では、中央に赤色系LED32が配置されていなければ、差はない。また、LEDの使用量では、視線誘導標C〜Fに関し、7個と9個とでは、大きく差がついている。さらに、色の配置では、中央に赤色系LED32が配置されて、全体として、青色系LED33より赤色系LED32が多くなれば、目立つと思われ、特に、視線誘導標C,Eでは、霧となる悪天候時においても、有効であると思われる。
【0052】
すなわち、発光体(LED)31の表示面10aの中央に、赤色系LED32cが配置されて、かつ、その周囲に、3個以上の赤色系LED32と青色系LED33とが、周方向に沿って交互に配置されていれば、青色系LED33が、表示面10aの中央に配置されていないものの、中央LED32cの周囲で、3個以上、放射状に配置されるため、濃霧の悪天候時でも、視線誘導標1の存在認知を確保でき、そして逆に、目立ち易い赤色系LED32を、表示面10aの中央に配置させて、その周囲に、3個以上の赤色系LED32を配置させていれば、目立ち易い赤色系LED32が多くなって、全体のLED数が少なくとも、通常時ばかりでなく、濃霧等の悪天候時にも、良好な視認性を確保できることが解る。
【0053】
そのため、実施形態の自発光視線誘導標1では、霧や降雨時の悪天候時に、道路を走行する運転者に、良好に視認させることができることとなる。
【0054】
さらに、実施形態の自発光視線誘導標1では、表示面10aの中央に配置させた中央LED32cを中心に、4個ずつの赤色系LED32と青色系LED33とが、周方向に沿って、均等で、かつ、交互に、配設される構成であって、表示面10aを円形としている場合に、無駄な表示エリアを無くして、表示面10aと相似形となるように、好適に、中央LED32cの周囲に、赤色系LED32と青色系LED33とを配設させることができる。
【0055】
したがって、実施形態の自発光視線誘導標1は、表示面10aを円形状としても、悪天候時の視認性を良好として、使用することができる。
【0056】
なお、実施形態では、中央に赤色系LED32を設けて、その周囲に4個ずつの赤色系LED32と青色系LED33とを均等に交互に配設させたものを示したが、視線誘導標Cのように、中央に赤色系LED32を設けて、その周囲に3個ずつの赤色系LED32と青色系LED33とを均等に交互に配設させたり、あるいは、中央に赤色系LED32を設けて、その周囲に5個以上ずつの赤色系LED32と青色系LED33とを均等に交互に配設させてもよい。
【0057】
さらに、実施形態では、中央LED32cの周囲に、周方向に沿って一重の円環状に、赤色系LED32と青色系LED33とを均等に交互に配設させたが、中央LED32cの周囲に、周方向に沿って、二重、あるいは、三重以上に、赤色系LED32と青色系LED33とを均等に交互に配設させてもよい。例えば、図11に示す視線誘導標G、Hのように、中央LED32cを中心として、二重の円環状として、中央LED32cに近い第1円環部C1に、3個ずつの赤色系LED32と青色系LED33とを均等に交互に配設させ、その周囲の第2円環部C2に、6個ずつの赤色系LED32と青色系LED33とを均等に交互に配設させてもよい。なお、視線誘導標G、Hの相違は、第1円環部C1が、30°の角度分ずれて配置されている点である。
【0058】
但し、実施形態のように、一重としておけば、使用する赤色系LED32と青色系LED33との数を、中央LED32cを除いて3個ずつ若しくは4個ずつ等とした9個以下と少なくできて、かつ、道路際等に設置される自発光でない反射板タイプの70〜100φとした視線誘導標の代替品として、好適に使用することができる。
【0059】
なお、中央LED32cを中心として、その周囲に、均等でかつ交互に、赤色系LED32と青色系LED33とを配置させる場合、点灯時に円環状のイメージを惹起できれば、必ずしも、実施形態のように、1個ずつの赤色系LED32と青色系LED33とを交互に配置させなくともよく、例えば、どちらかの一方を、2個等の複数として、均等に、周方向に沿って繰り返して配置させるように、交互に赤色系LED32と青色系LED33とを配置させたり、あるいは、共に、同数の複数個ずつ、若しくは、異なった数の複数個ずつ、を繰り返して均等に循環させるように、中央LED32cの周囲で、周方向に沿って交互に所定個数ずつの赤色系LED32と青色系LED33とを配置させてもよい。
【0060】
また、実施形態の自発光視線誘導標1では、赤色系LED32と青色系LEDとが、それぞれ、透明な光源カバー部12により覆われ、光源カバー部12が、発光時の光を拡散可能に、それぞれ、所定のレンズ部13と円筒状のリブ14とを備えて構成されている。レンズ部13は、赤色系LED32と青色系LED33との各々の前方側で、外側面13aと内側面13bとをともに前方側へ突出させた凸メニスカスレンズ形状とし、リブ14は、赤色系LED32と青色系LED33との各々の周囲を囲んで、レンズ部13の外周縁から内側に延びる円筒状としている。
【0061】
そのため、レンズ部13が、拡散し難いLED32,33の光を、レンズ部13の全域から発光させるように、拡散させる凸レンズから構成され、さらに、メニスカスレンズとして、レンズ部13の外周縁13c付近でも、輝度の低下を抑えて、光を発散させることができて、表示面10aの正面からだけでなく、表示面10aに対して斜め方向からでも、LED32,33の光が視認し易くなる。すなわち、このような構成では、極力、赤色系LED32や青色系LED33の明るい輝度と広い視野範囲とを、確保できる。さらに、レンズ部13の外周縁13cには、LED32,33を包むように、透明な円筒状のリブ14が、突設されて、LED32,33の周囲に発散する光も、リブ14の内周面14bや外周面14cで反射させて(図5参照)、レンズ部13側から放射できることとなって、一層、LED32,33をレンズ部13全体から光らせるような態様、とすることができる。なお、実施形態の場合、リブ14の前後方向の後半分程度の外周面14cには、LED32,33の光を乱反射させるようなシボが形成されており、一層、シボの乱反射を利用して、レンズ部13から放射するLED32,33の輝度を増加させることが可能となる。
【0062】
なお、実施形態では、レンズ部13の外周縁13c(外縁13aa)までの直径寸法D1を15φ程度とした場合を示したが、凸メニスカスレンズ形状のレンズ部13の全域を光らせることができれば、レンズ部13の直径寸法D1は、10〜20φの範囲内で、適宜、設定してもよい。勿論、それらの構成の視線誘導標では、70〜100φ程度とした表示面10aにおいて、中央LED32cの周囲に、円環状に6個や8個のLED32,33を交互に少なく配置させても、好適に、運転者からの視認性を確保できることとなる。ちなみに、レンズ部13の直径寸法D1が、10φ未満と小さければ、LED31の光を拡散させ難く、逆に、レンズ部13の直径寸法D1が、20φを超える場合には、LED31の輝度の低下を招いて、好ましくなく、レンズ部13の直径寸法D1は、10〜20φの範囲内が望ましい。
【0063】
さらに、実施形態では、視線誘導標1の表示面10aが、光源カバー部12を配設させた透明な前面カバー部11を設けて構成され、前面カバー部11の後方には、赤色系LED32と青色系LED33とを前方に突出させ、かつ、リブ14の後端面14aに前面44aを当接させて、前方からの光を反射可能な反射シート44が、配設されている。そのため、実施形態の視線誘導標1では、LED32,33が発光していない昼間等においても、表示面10aで受光した光を反射させることができて、視線誘導標1を運転者に視認させることができる。さらに、LED32,33の発光時には、反射シート44を経て反射する光も、光源カバー部12のリブ14の内周面14bや外周面14cを利用して、レンズ部13側から放射できるため、一層、LED32,33をレンズ部13全体から光らせるような態様、とすることができる。
【0064】
なお、実施形態の反射シート44では、黄色のものを例示したが、他に、白色や橙色、さらに、適宜、赤色、青色、緑色等の種々の色に彩色されているものが使用できる。
【0065】
さらに、実施形態の自発光視線誘導標1では、前面39a側に発光体31を設けて、後面39b側に発光体31の電源となる蓄電体35を設け、かつ、発光体31を夜間に点滅させるように制御する制御基盤39と、太陽光により起電されて蓄電体35に充電させる太陽電池37と、制御基盤39と太陽電池37とを収納するケース3と、を備えて構成されている。そして、ケース3が、前面カバー部11を設けて、発光体31、反射シート44、及び、太陽電池37を覆う前側ケース部18と、後面側の後側ケース部22と、の二つから構成され、前側ケース部18と後側ケース部22とが、パッキン25を介在させて、ケース3内を水密状態として、結合させるとともに、ケース3内に、乾燥剤27を配設させて、結合されている。
【0066】
すなわち、実施形態の自発光視線誘導標1では、パッキン25を利用して、ケース3内が水密状態とされて、さらに、ケース3内に乾燥剤27が配設されている。そのため、製造当初のケース3を閉める際に、水蒸気がケース3内に入っていても、ケース3内の水蒸気が、乾燥剤27により、吸湿されて、夜間時の温度低下時、結露するための水蒸気が極力無くなって、発光体(LED)31を覆った前面カバー部11の後面11a側(裏面側)の結露や曇りを抑制できて、発光体31の発光時の視認性を阻害しない。ちなみに、光源カバー部12の後面(内側面)13b側に結露や曇りが生じていれば、青色系LED33の光は、赤色系LED32の光に比べて、視認性を低下させ易いことから、このような乾燥剤27によるケース3内の除湿は、青色系LED33を設けた自発光視線誘導標1に、好適となる。勿論、この場合、ケース3がパッキン25を利用して水密状態を維持するため、雨水がケース3内に浸入することは無く、安定して、発光体31を覆った前面カバー部11の後面11a側の結露を防止できる。
【0067】
さらに、実施形態では、パッキン25には、前側ケース部18と後側ケース部22との外周縁22aからケース3の内側に延びる延設部25cが設けられ、乾燥剤27が、シート状に配置されるとともに、延設部25cに位置規制されて、制御基盤39の後面39b側に、配置されている。そして、パッキン25と乾燥剤27との少なくとも一方(実施形態の場合、乾燥剤27)が、前側ケース部18と後側ケース部22との相互の結合時、反射シート44を介在させて、蓄電体35ごと制御基盤39を、前側ケース部18のリブ14の後端面14a側に押圧し、前側ケース部18のリブ14と協働して、挟持して保持する構成としている。さらに、各蓄電体35が、前側ケース部18と後側ケース部22との相互の結合時に、制御基盤39を各リブ14に対して前後に傾斜させずに前側ケース部18側に押圧可能に、制御基盤39の後面39b側に、均等に、配設されている。
【0068】
そのため、実施形態では、シート状の乾燥剤27が、制御基盤39の後面39b側で、発光体31を覆った前面カバー部11と平行な面状に配設されることとなって、ケース3内の水分を的確に吸湿することができる。また、このような構成では、発光体31や蓄電体35を設けた制御基盤39を、別途、ねじ等を利用して、ケース3の前側ケース部18や後側ケース部22に取り付けなくともよく、制御基盤39をケース3に取り付ける部品点数・工数・コストを低減することができる。さらに、複数の蓄電体35が、制御基盤39を、各リブ14に対して前後に傾斜させずに、前側ケース部18側に押圧できるため、各発光体(LED)31の光を、安定して、光源カバー部12を経て、前方に放射させることができる。
【0069】
なお、実施形態の場合、制御基盤39の前面39aや反射シート44の前面44aには、細かい凹凸があることから、リブ14の内周側のレンズ部13と反射シート44との間のエリアは、密封状態とはならず、そのエリアに湿気があれば、乾燥剤27に吸湿されることとなる。
【0070】
また、実施形態では、分散された計9個のリブ14が、反射シート44を介在させて、制御基盤39を当接支持する構造となって、円筒状のリブ14の剛性により、本体部10の剛性が高くなって、視線誘導標1の強度を高めることができる。、
さらに、実施形態では、蓄電体35を乾燥剤27により押圧した場合を示したが、ケース3の結合時、パッキン25によって、蓄電体35を押圧したり、乾燥剤27とパッキン25とを併用して、蓄電体35を押圧してもよい。
【0071】
さらにまた、実施形態では、ケース3における太陽電池37を収納する太陽電池収納部(上部収納部)4が、前面カバー部11の上方で、前方に突出するように、庇状に形成されて、太陽電池37を略水平方向に沿って配設させるとともに、太陽電池37を覆う透明な上面カバー部5を、太陽電池37の上方で、雨水を流下可能に、前下がりに傾斜させるようにして、構成している。そのため、実施形態では、発光体31の前面側の上方が、庇状の上部収納部4に覆われることから、発光体31を覆う前面カバー部11が、雨水で汚れることを防止でき、かつ、薄暮でも、発光体31の光を鮮明にすることができる。また、上部収納部4の上面カバー部5が、前下がりに傾斜しており、雨水を貯め難いことから、雨上がりの晴天時において、太陽電池37が直ちに太陽光を受光して、蓄電体35に充電することができる。
【0072】
なお、実施形態では、発光体(LED)31を発光させる電源を、太陽電池37の起電力を利用した場合を示したが、商用電源、あるいは、風力発電の電源を利用して、発光体31を発光させてもよい。
【0073】
また、実施形態では、発光体(LED)31の表示面10aを円形とした場合を示したが、設置させる場所に応じて、表示面10aの外形形状は、楕円形状や三角形状、あるいは、四角等の多角形状に変更してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…自発光視線誘導標、
3…ケース、
4…(太陽電池収納部)上部収納部、
5…上面カバー部、
10a…(表示面)前面、
11…前面カバー部、
12…光源カバー部、
13…レンズ部、
13a…外側面、
13b…内側面、
14…リブ、
14a…後端面、
18…前側ケース部、
22…後側ケース部、
25…パッキン、
25c…延設部、
27…(シート状)乾燥剤、
31…発光体、
32…赤色系LED、
32c…中央LED、
33…青色系LED、
35…蓄電体、
37…太陽電池、
39…制御基盤、
44…反射シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光体が、それぞれ、交互に点滅される赤色系LEDと青色系LEDとから構成される自発光視線誘導標であって、
一つの赤色系LEDが、発光体の表示面における中心に配置される中央LEDとし、
該中央LED以外の前記赤色系LEDと前記青色系LEDとが、それぞれ、3個以上使用されるとともに、前記中央LEDを中心として、周方向に沿って、均等で、かつ、交互に、配設されていることを特徴とする自発光視線誘導標。
【請求項2】
前記中央LEDを中心として周方向に配置される前記赤色系LEDと前記青色系LEDとが、一重の円環状に、配設されていることを特徴とする請求項1に記載の自発光視線誘導標。
【請求項3】
前記赤色系LEDと前記青色系LEDとが、それぞれ、透明な光源カバー部に覆われ、
該光源カバー部が、発光時の光を拡散可能に、それぞれ、
前記赤色系LEDと前記青色系LEDとの各々の前方側で、外側面と内側面とをともに前方側へ突出させた凸メニスカスレンズ形状のレンズ部と、
前記赤色系LEDと前記青色系LEDとの各々の周囲を囲んで、前記レンズ部の外周縁から後方へ延びる円筒状のリブと、
を配設させて構成されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の自発光視線誘導標。
【請求項4】
前記視線誘導標の前記表示面が、前記光源カバー部を配設させた透明な前面カバー部を設けて構成され、
前記前面カバー部の後方に、前記赤色系LEDと前記青色系LEDとを前方に突出させ、かつ、前記リブの後端面に前面を当接させて、前方からの光を反射可能な反射シートが、配設されていることを特徴とする請求項3に記載の自発光視線誘導標。
【請求項5】
前面側に前記発光体を設けて、後面側に前記発光体の電源となる蓄電体を設け、かつ、前記発光体を夜間に点滅させるように制御する制御基盤と、
太陽光により起電されて前記蓄電体に充電させる太陽電池と、
前記制御基盤と前記太陽電池とを収納するケースと、
を備えて構成されるとともに、
前記ケースが、前記前面カバー部を有して、前記発光体、前記反射シート、及び、前記太陽電池を覆う前側ケース部と、後面側の後側ケース部と、の二つから構成され、
前記前側ケース部と前記後側ケース部とが、パッキンを介在させて、前記ケース内を水密状態として、結合されるとともに、前記ケース内に、乾燥剤を配設させて、結合されていることを特徴とする請求項4に記載の自発光視線誘導標。
【請求項6】
前記パッキンが、前記前側ケース部と前記後側ケース部との外周縁から前記ケースの内側に延びる延設部を備え、
前記乾燥剤が、シート状に配置されるとともに、前記延設部に位置規制されて、前記制御基盤の後面側に、配置されるとともに、
前記パッキンと前記乾燥剤との少なくとも一方が、前記前側ケース部と前記後側ケース部との相互の結合時、前記反射シートを介在させて、前記蓄電体ごと前記制御基盤を、前記前側ケース部の前記リブの後端面側に押圧し、前記前側ケース部の前記リブと協働して、挟持して保持する構成とし、
前記蓄電体が、前記前側ケース部と前記後側ケース部との相互の結合時に、前記制御基盤を前記各リブに対して前後に傾斜させずに前記前側ケース部側に押圧可能に、前記制御基盤の後面側に、分散されて配設されていることを特徴とする請求項5に記載の自発光視線誘導標。
【請求項7】
前記ケースにおける前記太陽電池を収納する太陽電池収納部が、
前記前面カバー部の上方で、前方に突出するように、庇状に形成され、かつ、
前記太陽電池を略水平方向に沿って配設させるとともに、該太陽電池を覆う透明な上面カバー部を、前記太陽電池の上方で、雨水を流下可能に、前下がりに傾斜させて、
構成されていることを特徴とする請求項5若しくは請求項6に記載の自発光視線誘導標。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−208472(P2011−208472A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79238(P2010−79238)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000159021)株式会社キクテック (42)
【Fターム(参考)】