説明

舗装路の処理方法

【課題】 地方、特に山間部では、道路に電灯がほとんどなく、夜間自動車で走行するとヘッドライトが当たる部分しか見えない。ヘッドライトが当たっている部分にしても、遠くになると全体として少し明るい程度で道路の方向がはっきりと識別できるまではなかなかいかない。
また、舗装路自体摩滅してくると摩擦係数が小さくなり、滑りやすくなる。これは自動車だけでなく自転車や人においても事故の大きな原因となる。
そこで、夜間での視認性がよくなり、且つ滑り止めになるような舗装路の処理方法を提供する。
【解決手段】舗装路の凹部に、ガラスビーズと硬化後透水性を有する樹脂モルタルを充填する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装路の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
都会の道路等では、道路の幅や方向が夜見えにくい等ということは考えにくいが、地方、特に山間部では、道路に電灯がほとんどなく、夜間自動車で走行するとヘッドライトが当たる部分しか見えない。
ヘッドライトが当たっている部分にしても、遠くになると全体として少し明るい程度で道路の方向がはっきりと識別できるまではなかなかいかない。
【0003】
このようなことを防止するため、舗装材に蓄光顔料やガラス片を混合する方法も考えられる。
しかし、蓄光顔料は非常に高価であるため使用は難しい。また、ガラス片を混合する方式では、アスファルト表面のガラス片は通常その硬度が低いため磨耗しやすく効果が失われやすい。
【0004】
また、舗装路自体摩滅してくると摩擦係数が小さくなり、滑りやすくなる。これは自動車だけでなく自転車や人においても事故の大きな原因となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、夜間での視認性がよくなり、且つ滑り止めになるような舗装路の処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような現状に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果本発明処理方法を完成したものであり、その特徴とするところは、舗装路の凹部に、ガラスビーズと硬化後透水性を有する樹脂モルタルを充填する点にある。
【0007】
ここでいう舗装路とは、アスファルト路だけに限らずコンクリートやその他の一般的に舗装路と呼ばれているものを含む。勿論、道路だけでなく、広場のような地域も含む。
【0008】
舗装路の凹部とは、舗装路の表面レベルより凹んだ部分をいい、舗装時に形成されたものでも、舗装後に研削によって形成したものでもよい。舗装時に形成される凹部とは、例えば、排水性アスファルト舗装の骨材間隙等である。
【0009】
また、舗装後に研削によって形成するとは、いわゆる道路カッターで削る方法、サンドブラストやショットブラストで削る方法等である。このように研削して形成する凹部の形状は、円形、矩形、長い溝状等自由である。
【0010】
この研削によって形成する凹部の深さは限定はしないが、1〜30mm程度がよく、特に5〜10mmが好適である。また、視認性については凹部の形状は種々考えられ、連続的(長いもの)でも、散在的でもよい。溝も幅は10〜50mm程度が好適である。
【0011】
しかし、後述する透水をも考慮するならば、溝状にして道路の側溝につながるようにするか、道路の長手方向に沿って溝を長く設けるようにしてもよい。これは道路の表面水をできるだけ少なくして自動車のスリップ事故を防止するためである。
【0012】
ガラスビーズとは、ガラスを球形、楕円形など(おおよそでよい)にしたものをいう。サイズは0.1〜5mm程度である。これは市販しているものでよく特別なものである必要はない。
このガラスビーズの周囲の一部又は全部に蓄光顔料を固着したものでもよい。視認性がより向上する。
ガラスビーズは、光学的には透明性が良く、屈折率の高いものが好ましく、物理的には耐磨耗性に優れ、圧縮強度の高いものが望ましい。
【0013】
ここでいう樹脂モルタルとは、樹脂と骨材を混合したものであり、この骨材の全部又は一部として本発明ではガラスビーズを用いている。
樹脂はアクリル系、エポキシ系、ウレタン系等自由である。
【0014】
前記したガラスビーズは、この樹脂モルタルに混合してもよいが、混合せず樹脂モルタルを充填後、表面に散布し押圧して表面に一部又は全部埋め込んでもよい。更に、その上からトップコート(樹脂散布)してもよい。
樹脂モルタルに混合して充填する方法は、散布、押圧等の工程が不要であり工事が簡単である。また、表面に散布する方法では、高価なガラスビーズが少量で済むため経済的である。
【0015】
樹脂には、ガラスビーズを混合する場合でも、しない場合でも、骨材として通常のものを混合してもよい。例えば、石、セラミック、ガラス(ビーズ以外の)、プラスチック、蓄光顔料等である。
これらの骨材のサイズも通常の樹脂モルタル程度でよく、0.1〜5mm程度が好適である。
【0016】
また、これらの骨材の全部又は1部を破砕形状にしてもよい。破砕形状とは、砕いたままの形状であり、球形や正多角形とは異なる。これは、それ自身の飛散(脱離)を防止するためと、道路表面の滑り止めである。
骨材のサイズは、0.1〜5.0mmが好適である。あまり細かいものが多いと後述する空隙率が小さくなる。
【0017】
本発明で使用する樹脂モルタルは、硬化後透水性を有するものである。硬化後透水性を有するかどうかは、樹脂と骨材の比率、及び骨材の大きさ、粒度分布で決まるものである。よって、これらを限定することは難しいが、連続空隙を有し透水性を有するものであることは間違いない。
空隙率としては、10〜40%程度が好適である。
【0018】
本発明樹脂モルタルの混合例(ガラスビーズも混合する例)としては、
1 樹脂が3〜30重量%、
2 セラミック骨材が0〜80重量%、
3 ガラスビーズが10〜97重量%である。
また、これ以外にも建築、土木に使用する樹脂モルタルに混合するようなものを入れてもよい。
【0019】
次に凹部への樹脂モルタルの充填方法は、凹部の舗装路の表面レベルから出ないように充填するのが好ましい。他の面との凹凸をなくすためである。しかし、少々突出していても問題はない。
充填の方法は、スプレー、コテで充填、トロウェルなどの機械施工、その他どのような方法でもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明舗装路の処理方法には、次のような大きな利点がある。
(1) ガラスビーズが混合されているため、夜間自動車のヘッドライトや街灯の光を反射してきらきら光り非常に見えやすくなる。よって、山間部であっても先の道路の様子がよくわかる。
(2) 凹部に充填しているため、自動車のタイヤその他による摩滅が、凸部の場合に比べ大幅に減少する。
(3) 溝を構成しその中に樹脂モルタルを充填した場合、樹脂モルタルが透水性を有するため、水を溝内で導き路面上の水のあふれを防止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下好適な実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1(a)は、アスファルト舗装路1に道路カッター(図示せず)によって幅10cmで深さ2cmの溝を研削し、その中に樹脂モルタル2を溝(凹部)から突出しないように充填している。この時のアスファルト舗装は透水性であっても透水性がなくてもよい。
この樹脂モルタル2は、ウレタン系であり、珪砂の骨材(S)とガラスビーズ(G)を混合したものである。混合割合は次の通りである。
ウレタン系:15重量%
珪砂(サイズ、0.1〜1mm):50重量%
ガラスビーズ(サイズ、0.5〜2mm):35重量%
この例では溝にして、この中を水が通過するようにしたものである。
【0023】
図1(b)は、透水性アスファルト3の骨材4の間隙に樹脂モルタル2を充填したところである。これは透水性舗装のほぼ全面に塗布したもので、全体として視認性が向上し、且つ滑り止め効果も大きい。
【0024】
図2は、道路の平面図であり、凹部5を点々と設けたものである。凹部5は5cmの直径で深さは2cmである。これは舗装時、硬化する前に円形のものを押し付けて凹部を形成したものである。ローラー等で可能である。
この円形の凹部5に樹脂モルタルを充填する。これも図1(b)とほぼ同様の効果がある。
【0025】
図3は、図2と同様の図であるが、凹部5が道路を横断する方向に多数設けられている。溝の幅は5cmで深さは3cmである。このような状態に溝を設け、樹脂モルタルを充填すると、水は道路の両側に迅速に排水され、自動車としては大きな滑り止めとなる。よって、傾斜した道路にも好適である。
【0026】
図4は、図3とは逆に道路の長手方向に平行に溝5を設けて、その中に樹脂モルタルを充填したものである。溝の幅は5cmで深さは3cmである。
このようにすると、道路に沿って水が流れやすくなっているため、通常の舗装では洪水のような非常時にも排水がスムースになる。勿論、滑り止め効果も十分である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明方法の1例を実施したところの断面図である。
【図2】本発明方法の1例を実施したところの平面図である。
【図3】本発明方法の他の例を実施したところの平面図である。
【図4】本発明方法の他の例を実施したところの平面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 アスファルト舗装路
2 樹脂モルタル
3 透水性アスファルト
4 骨材
5 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装路の凹部に、ガラスビーズと硬化後透水性を有する樹脂モルタルを充填することを特徴とする舗装路の処理方法。
【請求項2】
該ガラスビーズは、樹脂モルタルに混合されているものである請求項1記載の舗装路の処理方法。
【請求項3】
該ガラスビーズは、樹脂モルタル充填後上部から散布、押圧して充填されるものである請求項1記載の舗装路の処理方法。
【請求項4】
該凹部は舗装路完成後研削によって設けた溝である請求項1〜3記載の舗装路の処理方法。
【請求項5】
該ガラスビーズのサイズは、0.1〜5.0mmである請求項1〜4記載の舗装路の処理方法。
【請求項6】
該樹脂モルタルは、ガラスビーズ以外に骨材として破砕形状の無機物質を含有するものである請求項1〜5記載の舗装路の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−196269(P2008−196269A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34977(P2007−34977)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(592189376)オサダ技研株式会社 (23)
【出願人】(000214629)
【Fターム(参考)】