説明

蓄電装置、接続装置、蓄電システム、電子機器、電動車両および電力システム

【課題】アドレス等を設定するための電子部品に対してケースの外側からアクセスすることを可能とし、さらに、電子部品の設定時の感電のおそれを確実に防止する。
【解決手段】ケースの背面板21の窓25の内側には、コネクタ3a、3bが立設されている。バスバー11の支持板13と一体のカバー14によって、窓26が塞がれる。窓26の内側にスライドスイッチ28、ロータリースイッチ29、JTAGコネクタ30が配されている。バスバー11が窓25からケース内に挿入されると、板状突起12a、12bがコネクタ3a、3bに挿入され、バスバー11を通じてコネクタ3a、3b間が接続状態となる。つまみ15を持ってバスバー11を引き抜くと、コネクタ3a、3b間が非接続状態となる。非接続状態において、高電圧が外部に出力されず、窓26が開放され、窓26を通じて内部の電子部品に対するアクセスが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願開示は、複数の蓄電素子をケースに収納してなる蓄電装置と、蓄電装置に適用できる接続装置、並びに蓄電装置からの電力を利用する蓄電システム、電子機器、電動車両および電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、リチウムイオン電池などの二次電池の用途が太陽電池、風力発電などの新エネルギーシステムと組み合わせた電力貯蔵用蓄電装置、自動車用蓄電池等に急速に拡大している。大出力を発生するために多数の蓄電素子例えば単位電池(単電池、セルとも呼ばれる。以下の説明では、単に電池と適宜称する。)を使用する場合、複数の蓄電モジュールを直列に接続する構成が採用される。蓄電モジュールは、複数個例えば8個の電池を並列および/または直列に接続して、電池ブロックを構成する。多数の電池ブロックが外装ケースに収納されて蓄電モジュール(組電池とも呼ばれる。)が構成される。
【0003】
一例として、蓄電装置の単体の出力電圧が数十Vとされている。かかる蓄電装置を複数個直列に接続して数百Vの出力電圧を得るようになされる。特に、このように高電圧を発生している場合には、感電の防止に考慮を払うことが必要とされる。例えば下記の特許文献1には、自動車用のバッテリを交換する際に、感電を防止するために、使用済みのバッテリを交換する時に、位置決めピンが孔に嵌合すると、遮断スイッチがオフする構成が記載されている。遮断スイッチがオフすると、コネクタの接続端子への通電が遮断され、安全性が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−184622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載のものは、バッテリ交換時に昇降するアクチュエータの動きを利用するものである。しかしながら、そのような昇降機構を有しない蓄電装置に対しては適用できない問題がある。さらに、複数の蓄電装置を接続して使用する場合、複数の蓄電装置に対して共通のコントローラが設けられている。電池モニタ部と共通のコントローラとの間で通信がなされ、各蓄電装置の充電動作、放電動作等がコントローラによって制御される。
【0006】
コントローラが複数の蓄電装置からの電圧等の情報を受信し、各蓄電装置を制御する処理のために、各蓄電装置に対して識別用のアドレスが割り当てられる。蓄電装置の構成が同一とされており、各蓄電装置にユニークなアドレスがユーザによって設定される。アドレス設定用の電子部品をケース内部に設けると、電子部品の設定操作のために、ケースの蓋を開けることが必要となり、作業性が低下したり、感電のおそれがある。蓋を開けないで、ケースに設けられている開口を通じて電子部品を設定する場合も同様の問題がある。したがって、電子部品をケースの外に露出させることが作業性の点から望ましい。しかしながら、この構成でも、近傍の電圧出力端子に触れると、感電のおそれがあり、安全性の点で問題がある。
【0007】
したがって、電子部品に対してケースの外側からアクセスすることを可能とし、さらに、電子部品の設定操作時の感電のおそれを確実に防止することができる蓄電装置と、蓄電装置に適用できる接続装置、並びに蓄電装置からの電力を利用する蓄電システム、電子機器、電動車両および電力システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本願開示の蓄電装置は、電池部がケース内に収容された蓄電装置であって、
電池部の正と負の両極のそれぞれにケースの外から電気的に接続するための両極の外部端子と、
電子部品と、
を備え、
両極の外部端子の少なくとも一方側と電池部との接続が断たれる場合にのみ、電子部品がアクセス可能とされる蓄電装置である。
本願開示の蓄電装置は、電池部と電子部品とが同一のケース内に収容された蓄電装置であって、
電池部の正と負の両極のそれぞれにケースの外から電気的に接続するための両極の外部端子と、
両極の外部端子の少なくとも一方側と電池部との接続状態を切り替えるための接続部と、
を備え、
接続部により、接続状態が断状態の場合にのみ、電子部品がアクセス可能とされる蓄電装置である。
【0009】
本願開示の接続装置は、電源ライン中に挿入されている第1および第2の導電体と、
第1および第2の導電体と接触する状態と、第1および第2の導電体の少なくとも一方と離間する状態とが切り替えられる接続部と、
接続部を支持する支持部と一体に構成され、第1および第2の導電体の近傍の電子部品に対するアクセスを阻止するカバーとを有する。
【発明の効果】
【0010】
少なくとも一つの実施の形態によれば、接続部と一体のカバーが電子部品に対するアクセスを阻止するようになされる。電子部品に対してアクセスするために、カバーを取り除くように、接続部が引き抜かれる。接続部が引き抜かれると、第1および第2の導電体の接続が断たれ、外部端子に対して電圧が出力されなくなる。したがって、外部端子に接触して感電するおそれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】蓄電モジュールの概要を説明するためのブロック図である。
【図2】蓄電モジュールの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】バスバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】バスバーを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】蓄電モジュールの背面図である。
【図6】ケースの一部を切り欠いた蓄電モジュールの平面図である。
【図7】バスバーの斜視図である。
【図8】コネクタにバスバーを取り付け状態を示す斜視図である。
【図9】蓄電システムの応用例を説明するためのブロック図である。
【図10】蓄電システムの応用例を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する実施の形態は、この発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
【0013】
「蓄電モジュールの概要」
大出力を発生するために多数の蓄電素子例えば二次電池セル(以下、電池と称する)を使用する場合、複数の蓄電装置(以下、蓄電モジュールと称する)を接続し、複数の蓄電モジュールに対して共通に制御装置を設ける構成が採用される。かかる構成を電池システムと称する。蓄電モジュールは、複数の電池セルとコントローラとを組み合わせた単位である。
【0014】
図1に示すように、蓄電モジュール1には、ケース内に直列接続された電池BT1〜BTNが収納されている。電池BT1〜BTNの正極側の端子がヒューズ2を介して第1の導電体としてのコネクタ3aと接続される。コネクタ3aの近傍に他方のコネクタ3bが設けられている。コネクタ3bが正極側の外部端子4と接続されている。電池BT1〜BTNの負極側の端子が負極側の外部端子5と接続されている。ケース内において、電池間または複数の電池を含む電池ブロック間を直列接続するために、接続用の金属板例えばバスバーが使用される。バスバーは、細長い棒状の金属である。
【0015】
コネクタ3aおよび3bに対して接続部として、挿入離脱自在のバスバー11が設けられる。バスバー11は、一対の板状突起12aおよび12bを持つように導電板が折り曲げられ、導電板の基部が支持板13の一面に取り付けられた構成を有する。支持板13の一端が延長されることによってカバー14が形成される。さらに、支持板13の他面には、つまみ15が形成される。カバー14およびつまみ15を有する支持板13は、例えば合成樹脂の成形品である。
【0016】
例えばコネクタ3aおよび3bがそれぞれバネ接点板を対向させた間隙(スリット)を有し、バスバー11の板状突起12aおよび12bが各コネクタの間隙内に挿入されることによって、コネクタ3a、コネクタ3b間がバスバー11によって接続(導通)される。一方、バスバー11の板状突起12aおよび12bが各コネクタの間隙から抜き取られることによって、コネクタ3a、コネクタ3b間が切断(非導通)される。このように、バスバー11をコネクタ3aおよび3bに挿入する接続状態と、バスバー11をコネクタ3aおよび3bから抜き取った非接続状態とを切り替えることができる。
【0017】
図1では、省略されているが、コネクタ3aおよび3bの近傍に、蓄電モジュールの例えばアドレスを設定するための電子部品が配置されている。バスバー11をコネクタ3aおよび3bに挿入した接続状態では、カバー14が電子部品の操作面の前方の窓を塞ぐ。すなわち、接続状態においては、電子部品に対するアクセスが阻止される。一方、バスバー11をコネクタ3aおよび3bから抜き取ると、設定部の操作面の前方の窓が開き、窓を通じて操作面を操作して例えば蓄電モジュールのアドレスを設定することができる。
【0018】
バスバー11を取り外して操作面の前方の窓を開けた場合にのみ、操作面に対するアクセスが可能となり、電子部品の設定操作が可能となる。設定操作をケースの外側から行うことによって、ケース内部で電子部品を操作するのと比較して作業性を向上できると共に、安全性を高めることができる。特に、複数の蓄電モジュールを直列に接続した場合に、上位側の蓄電モジュールの内部回路の電位が下位側の蓄電モジュールの内部回路の電位に比して全体として高くなり、電子部品を内部に設けないことにより安全性を向上できる。さらに、外部端子4に対して高電圧が出力されないので、設定操作時に外部端子4に触れることによる感電のおそれをなくすことができる。
【0019】
「蓄電モジュールの一例」
図2は、蓄電モジュール1の電気的構成の一例を示し、図3および図4は、蓄電モジュール1の外観を示す斜視図である。蓄電モジュール1の外装ケースは、板金加工された金属製の外装下ケース22aおよび外装上ケース22bからなる。ケースの外装下ケース22aが箱状の構成を有し、その開口を覆うように、外装上ケース22bが設けられる。外装下ケース22aおよび外装上ケース22bの材料としては、高い熱伝導率および輻射率を有する材料を用いることが好ましい。優れた筐体放熱性を得ることができ、ケース内の温度上昇を抑制することができる。優れた筐体放熱性を有することで、ケースの開口部を最小限または廃止することができ、高い防塵防滴性を実現することができる。例えば、外装下ケース22aおよび外装上ケース22bの材料は、アルミニウムまたはアルミニウム合金または銅または銅合金である。
【0020】
ケース内には、図2に示すように、それぞれ8本の電池が並列に接続された電池ブロックB1〜B16が直列に接続されて収納される。一つの電池ブロックは、例えば8本の円筒状リチウムイオン2次電池を並列接続したものである。例えば16個の電池ブロックB1〜B16は、それぞれ制御ブロックに接続され、充放電が制御される。充放電は、外部正極端子4および外部負極端子5を介してなされる。一つの蓄電モジュールからは、16×Vbat の電圧が出力される。Vbatは、一つの電池ブロックの電圧である。
【0021】
ケースの背面板21には、蓄電モジュール1に対して充放電のための外部正極端子4および外部負極端子5が設けられている。外部正極端子4の両側には、端子間のショートを防止するためのショート防止壁が設けられている。外部負極端子5の両側には、端子間のショートを防止するためのショート防止壁が設けられている。
【0022】
さらに、蓄電モジュール1の背面板21に互いに近接して窓25および26が形成されている。さらに、背面板21には、コントローラとの通信のためのコネクタ27が設けられている。蓄電モジュール1内には、電池の電圧、電流、温度の監視を行う制御ブロックが設けられている。制御ブロックからの情報が外部のコントローラに対して通信により送信される。コントローラが充電管理、放電管理、劣化抑制等のための管理を行う。
【0023】
通信コネクタ27を介してなされる蓄電モジュール1の制御ブロックとコントローラとの通信としては、例えばシリアルインターフェースが使用される。シリアルインターフェースとしては、具体的にSMバス(System Management Bus)等が使用される。例えばI2
Cバスを使用することができる。I2Cバスは、SCL(シリアルクロック)と双方向のSDA(シリアル・データ)の2本の信号線で通信を行う同期式のシリアル通信である。
【0024】
背面板21に形成されている窓25の内側には、コネクタ3aおよび3bが立設されている。コネクタ3aおよび3bは、それぞれ対向配置された2枚のバネ接点板を有し、2枚のバネ接点板の対向間隙内に、窓25を通じてバスバー11の板状突起12a、12bが挿入されるようになされている。さらに、バスバー11の支持板13と一体のカバー14によって、窓26が塞がれるようになされている。板状突起12aおよび12bがコネクタ3aおよび3bの2枚のバネ接点板によりそれぞれ挟まれているので、コネクタ3aおよび3bに対してバスバー11の挿入状態を保持することができる。
【0025】
背面板21に形成されている窓26の内側には、設定または接続用の電子部品が配置されている。図5にも示されているように、電子部品は、例えばスライドスイッチ28、ロータリースイッチ29およびJTAGコネクタ30からなる。ロータリースイッチ29によって蓄電モジュール1に対するアドレスが設定される。すなわち、蓄電モジュール1を複数台接続して使用することが可能とされ、複数台接続した場合に各蓄電モジュールに対して識別用のアドレスが設定される。このアドレスに基づいて外部のコントローラが制御処理を行う。スライドスイッチ28は、ロータリースイッチ29により指定されるアドレスを増やすために使用される。
【0026】
JTAGコネクタ30は、JTAG(Joint European Test Action)によって提案された標準のコネクタである。JTAGコネクタ30を通じてケース内部の制御ブロックのMPU(MicroProcessing Unit)、IC(Integrated Circuit)等の検査のために、テストデータが入出力され、また、内部のMPUのファームウエァの書き換えがなされる。なお、電子部品としては、上述した素子以外のスイッチング部品、コネクタ等を使用しても良い。
【0027】
図6は、バスバー11の上面図と、外装上ケース22bの一部を切り抜いた上面図である。図7にも示すように、バスバー11の板状突起12aおよび12bは、周囲が箱状のバスバーカバー16で囲まれている。バスバー11の支持板13およびカバー14のそれぞれの端部にビス止めのための孔17aおよび17bが設けられている。
【0028】
外装下ケース22aに固定される基部31に対してヒューズ2が取り付けられている。ヒューズ2の両端に対してケース内部のバスバー(図示せず)が接続されている。コネクタ3aは、コネクタカバー32a内に設けられ、コネクタ3bは、コネクタカバー32b内に設けられている。
【0029】
バスバー11のバスバーカバー16が窓25からケース内に挿入されると、バスバーカバー16内にコネクタカバー32aおよび32bが挿入され、板状突起12aおよび12bがコネクタ3aおよび3bのスリット内に挿入され、バスバー11を通じてコネクタ3aおよび3b間が接続状態となる。つまみ15を持ってバスバー11を引き抜くと、コネクタ3aおよび3b間が非接続状態となる。非接続状態において、窓26が開放され、窓26を通じて内部の設定用電子部品(スライドスイッチ28、ロータリースイッチ29およびJTAGコネクタ30)に対するアクセスが可能となる。そして、アドレスの設定、内部のIC等のテスト、内部のMPUのファームウエァの書き換え等の処理がなされる。
【0030】
上述した本願開示によれば、電子部品の設定操作をケースの外側から行うことによって、ケース内部の電子部品を操作するのと比較して作業性を向上できると共に、安全性を高めることができる。特に、複数の蓄電モジュールを直列に接続した場合に、上位側の蓄電モジュールの内部回路の電位が高くなる。さらに、バスバー11を取り外して操作面の前方の窓を開けた場合にのみ、電子部品に対するアクセスが可能となる。この場合、外部端子4に対して高電圧が出力されないので、設定操作時に外部端子4に触れることによる感電のおそれをなくすことができる。
【0031】
上述した説明では、蓄電素子として、リチウムイオン二次電池を使用している。しかしながら、リチウムイオン二次電池以外の二次電池を使用しても良い。さらに、二次電池以外の蓄電素子例えば電気二重層キャパシタ (Electric Double Layer Capaciter)を使用しても良い。さらに、バスバー11のカバーによって窓を塞ぐことによって設定部に対するアクセスを阻止しているが、バスバー11が蓋開閉の可否を規定できる形状を有し、バスバー11を取り外さないと設定部を覆う蓋が開かないような構成も可能である。
【0032】
本願開示は、上述した蓄電装置が再生可能エネルギーから発電を行う発電装置によって充電される蓄電システムである。
本願開示は、上述した蓄電装置を有し、蓄電装置に接続される電子機器に電力を供給する蓄電システムである。
本願開示は、上述した蓄電装置から、電力の供給を受ける電子機器である。
これらの電子機器および電力システムは、例えば住宅の電力供給システムとして実施される。さらに、外部の電力供給網と協働して電力の効率的な供給を図るシステムとして実施される。
さらに、本願開示は、上述した蓄電装置から、電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、蓄電装置に関する情報に基いて車両制御に関する情報処理を行なう制御装置とを有する電動車両である。
本願開示は、他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部とを備え、送受信部が受信した情報に基づき、上述した蓄電装置の充放電制御を行う電力システムである。
本願開示は、上述した蓄電装置から、電力の供給を受け、または発電装置または電力網から蓄電装置に電力を供給する電力システムである。
「応用例としての住宅における蓄電システム」
本願開示を住宅用の蓄電システムに適用した例について、図9を参照して説明する。例えば住宅101用の蓄電システム100においては、火力発電102a、原子力発電102b、水力発電102c等の集中型電力系統102から電力網109、情報網112、スマートメータ107、パワーハブ108等を介し、電力が蓄電装置103に供給される。これと共に、家庭内発電装置104等の独立電源から電力が蓄電装置103に供給される。蓄電装置103に供給された電力が蓄電される。蓄電装置103を使用して、住宅101で使用する電力が給電される。住宅101に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
【0033】
住宅101には、発電装置104、電力消費装置105、蓄電装置103、各装置を制御する制御装置110、スマートメータ107、各種情報を取得するセンサー111が設けられている。各装置は、電力網109および情報網112によって接続されている。発電装置104として、太陽電池、燃料電池等が利用され、発電した電力が電力消費装置105および/または蓄電装置103に供給される。電力消費装置105は、冷蔵庫105a、空調装置105b、テレビジョン受信機105c、風呂105d等である。さらに、電力消費装置105には、電動車両106が含まれる。電動車両106は、電気自動車106a、ハイブリッドカー106b、電気バイク106cである。
【0034】
蓄電装置103に対して、上述した本願開示の蓄電装置が適用される。蓄電装置103は、二次電池又はキャパシタから構成されている。例えば、リチウムイオン電池によって構成されている。リチウムイオン電池は、定置型であっても、電動車両106で使用されるものでも良い。スマートメータ107は、商用電力の使用量を測定し、測定された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網109は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数を組み合わせても良い。
【0035】
各種のセンサー111は、例えば人感センサー、照度センサー、物体検知センサー、消費電力センサー、振動センサー、接触センサー、温度センサー、赤外線センサー等である。各種センサー111により取得された情報は、制御装置110に送信される。センサー111からの情報によって、気象の状態、人の状態等が把握されて電力消費装置105を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置110は、住宅101に関する情報をインターネットを介して外部の電力会社等に送信することができる。
【0036】
パワーハブ108によって、電力線の分岐、直流交流変換等の処理がなされる。制御装置110と接続される情報網112の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Tranceiver:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インターフェースを使う方法、Bluetooth、ZigBee、Wi−Fi等の無線通信規格によるセンサーネットワークを利用する方法がある。Bluetooth方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers) 802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network) またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
【0037】
制御装置110は、外部のサーバ113と接続されている。このサーバ113は、住宅101、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていても良い。サーバ113が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(たとえばテレビジョン受信機)から送受信しても良いが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機等)から送受信しても良い。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等に、表
示されても良い。
【0038】
各部を制御する制御装置110は、CPU(Central Processing Unit )、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成され、この例では、蓄電装置103に格納されている。制御装置110は、蓄電装置103、家庭内発電装置104、電力消費装置105、各種センサー111、サーバ113と情報網112により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能等を備えていても良い。
【0039】
以上のように、電力が火力102a、原子力102b、水力102c等の集中型電力系統102のみならず、家庭内発電装置104(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置103に蓄えることができる。したがって、家庭内発電装置104の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置103に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置103に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置103によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
【0040】
なお、この例では、制御装置110が蓄電装置103内に格納される例を説明したが、スマートメータ107内に格納されても良いし、単独で構成されていても良い。さらに、蓄電システム100は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
【0041】
「応用例としての車両における蓄電システム」
本願開示を車両用の蓄電システムに適用した例について、図10を参照して説明する。図10に、本願開示が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
【0042】
このハイブリッド車両200には、エンジン201、発電機202、電力駆動力変換装置203、駆動輪204a、駆動輪204b、車輪205a、車輪205b、バッテリー208、車両制御装置209、各種センサ210、充電口211が搭載されている。バッテリー208に対して、上述した本願開示の蓄電装置が適用される。
【0043】
ハイブリッド車両200は、電力駆動力変換装置203を動力源として走行する。電力駆動力変換装置203の一例は、モータである。バッテリー208の電力によって電力駆動力変換装置203が作動し、この電力駆動力変換装置203の回転力が駆動輪204a、204bに伝達される。なお、必要な個所に直流−交流(DC−AC)あるいは逆変換(AC−DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置203が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ210は、車両制御装置209を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ210には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサなどが含まれる。
【0044】
エンジン201の回転力は発電機202に伝えられ、その回転力によって発電機202により生成された電力をバッテリー208に蓄積することが可能である。
【0045】
図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置203に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置203により生成された回生電力がバッテリー208に蓄積される。
【0046】
バッテリー208は、ハイブリッド車両の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口211を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
【0047】
図示しないが、二次電池に関する情報に基いて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていても良い。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置などがある。
【0048】
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、或いはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モーターで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモーターの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モーターのみで走行、エンジンとモーター走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本願開示は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本願開示は有効に適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1・・・蓄電モジュール
2・・・ヒューズ
3a,3b・・・コネクタ
4・・・外部正極端子
5・・・外部負極端子
11・・・バスバー
12a,12b・・・板状突起
14・・・カバー
21・・・背面板
25,26・・・窓
28・・・スライドスイッチ
29・・・ロータリースイッチ
30・・・JTAGコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池部がケース内に収容された蓄電装置であって、
前記電池部の正と負の両極のそれぞれに前記ケースの外から電気的に接続するための両極の外部端子と、
電子部品と、
を備え、
前記両極の外部端子の少なくとも一方側と前記電池部との接続が断たれる場合にのみ、前記電子部品がアクセス可能とされる蓄電装置。
【請求項2】
電池部と電子部品とが同一のケース内に収容された蓄電装置であって、
前記電池部の正と負の両極のそれぞれに前記ケースの外から電気的に接続するための両極の外部端子と、
前記両極の外部端子の少なくとも一方側と前記電池部との接続状態を切り替えるための接続部と、
を備え、
前記接続部により、前記接続状態が断状態の場合にのみ、前記電子部品がアクセス可能とされる蓄電装置。
【請求項3】
前記両極の外部端子は前記ケースに取り付けられており、
前記両極の外部端子の少なくとも一方側に対応する前記電池部側に接続され、前記ケースに取り付けられている第1の導電体と、
前記両極の外部端子の少なくとも一方側に接続され、前記ケースに取り付けられている第2の導電体と、
前記接続部と一体に構成され、前記電子部品に対するアクセスを阻止するカバーと、
を備え、
前記接続部は、前記第1の導電体と前記第2の導電体との間の接続状態と非接続状態とを切り替えるものであり、
前記電子部品は、前記第1および第2の導電体の近傍に取り付けられ、
前記接続部により前記第1および第2の導電体を非接続状態とする場合にのみ、前記電子部品に対するアクセスが可能とされる、請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記第1の導電体と、前記接続部と、前記第2の導電体と、前記両極の外部端子の一方とで構成される経路中にヒューズが挿入される請求項3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記電子部品は、他の装置と接続される場合に、当該装置のアドレスを設定するためのスイッチ部である請求項1〜4の何れかに記載の蓄電装置。
【請求項6】
外部の制御装置との通信のための通信用端子を備える請求項1〜5の何れかに記載の蓄電装置。
【請求項7】
電源ライン中に挿入されている第1および第2の導電体と、
前記第1および第2の導電体と接触する状態と、前記第1および第2の導電体の少なくとも一方と離間する状態とが切り替えられる接続部と、
前記接続部を支持する支持部と一体に構成され、前記第1および第2の導電体の近傍の電子部品に対するアクセスを阻止するカバーと、
を有する接続装置。
【請求項8】
前記第1および第2の導電体がスリットを持つように立設されており、
前記接続部が導電板を略コ字状に折り曲げ、前記導電板の脚部が前記第1および第2の導電体のスリット内に着脱自在とされ、
前記接続部の基部が板状支持体の一面に固定され、前記板状支持体の延長部が前記カバーを構成し、
前記板状支持体の他面につまみが設けられている請求項7に記載の接続装置。
【請求項9】
請求項1〜6の何れかに記載の蓄電装置が再生可能エネルギーから発電を行う発電装置によって充電される蓄電システム。
【請求項10】
請求項1〜6の何れかに記載の蓄電装置を有し、前記蓄電装置に接続される電子機器に電力を供給する蓄電システム。
【請求項11】
請求項1〜6の何れかに記載の蓄電装置から、電力の供給を受ける電子機器。
【請求項12】
請求項1〜6の何れかに記載の蓄電装置から、電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、前記蓄電装置に関する情報に基いて車両制御に関する情報処理を行なう制御装置とを有する電動車両。
【請求項13】
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部とを備え、
前記送受信部が受信した情報に基づき、請求項1〜6の何れかに記載の蓄電装置の充放電制御を行う電力システム。
【請求項14】
請求項1〜6の何れかに記載の蓄電装置から、電力の供給を受け、または発電装置または電力網から前記蓄電装置に電力を供給する電力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−124043(P2012−124043A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274381(P2010−274381)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】