薄板収納容器
【課題】極薄ウエハを破損せずに出し入れすると同時に、搬送、処理することが可能な薄板保持容器を提供する。
【解決手段】薄板収納容器21の上側面の第1載置部23Aが薄板収納容器21の周縁部25Aに対して凹状になり、薄板収納容器21の下側面の第2載置部23Bが薄板収納容器21の周縁部25Bに対して凸状になっている。薄板収納容器21を重ねた時に、下の薄板収納容器21における上側面の周縁部25Aが上の薄板収納容器21における下側面の周縁部25Bと重なり、上の薄板収納容器21の第2載置部23Bは下の薄板収納容器21の凹部に入り込む構造になっている。載置部23は柔軟性材料や弾性材料で形成される。ウエハは上下の載置部23に挟持されて固定する。この結果、ウエハを搭載した薄板収納容器21の搬送やプロセスも自動化が可能となる。
【解決手段】薄板収納容器21の上側面の第1載置部23Aが薄板収納容器21の周縁部25Aに対して凹状になり、薄板収納容器21の下側面の第2載置部23Bが薄板収納容器21の周縁部25Bに対して凸状になっている。薄板収納容器21を重ねた時に、下の薄板収納容器21における上側面の周縁部25Aが上の薄板収納容器21における下側面の周縁部25Bと重なり、上の薄板収納容器21の第2載置部23Bは下の薄板収納容器21の凹部に入り込む構造になっている。載置部23は柔軟性材料や弾性材料で形成される。ウエハは上下の載置部23に挟持されて固定する。この結果、ウエハを搭載した薄板収納容器21の搬送やプロセスも自動化が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体用ウエハを搭載する薄板収納容器に関する。特に極薄化したウエハを安全に確実に搭載する薄板収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体用ウエハの一方の面(以下、表面)に、トランジスタ、不純物拡散層および導電体層等の素子を形成した後で、ウエハの裏面を研削しウエハ厚みを所望の厚みに加工することが一般に行われている。この加工の後で、所望の形状(大きさ)にダイシングされ、半導体チップ加工される。このチップが半導体パッケージや、回路基板等に搭載される。この半導体パッケージや回路基板等に、極めて薄いものが要求されてきていて、その場合には最終のウエハ厚みを極薄化する必要がある。半導体素子形成時における初期のウエハの厚みは、300〜1000μmであるが、最終のウエハ厚み(チップ厚み)は10〜200μmになる場合もある。またウエハの強度が小さくなり、ウエハに傷や欠陥を誘発する可能性が高くなる。あるいは、最終のウエハ厚みが上記ほど薄くない場合であっても(たとえば、ウエハ厚み200〜400μm)、ウエハが大口径化した場合(たとえば、200mm以上)にも、ウエハに傷や欠陥を誘発する可能性が高くなる。この結果、ウエハが極薄化した後は、ウエハの搬送やプロセスが非常に困難である。
【0003】
上記の問題に対して、平板上より極薄ウエハの直径より僅かに大きい直径の半円弧状ガイドを起立させた収納棚の複数を、支柱を介して等間隔で上下に平行に並べた多段式収納カセットが提案されている(たとえば、特開2004-273867)。また、互いに嵌合して積層可能な薄板収納容器の間に極薄ウエハをスペーサーシートで挟持して収納するものも提案されている(たとえば、特開2005-191419)。さらには、ウエハ裏面研削工程で用いたウエハ表面保護フィルムを付着させた状態で、ウエハ裏面研削工程の後に、ウエハ裏面にダイシングテープを貼合し、その後で前記ウエハ表面保護フィルムを剥離し、ダイシングすることが提案されている(たとえば、特開2002-246345号公報、特開2004-186296号公報)。
【0004】
また、ウエハ裏面研削後のウエハは、たとえウエハ表面保護フィルムやダイシングテープが付着しウエハを支持していても、そのままでは平坦な状態を維持できないため、工程間搬送や工程内搬送を自動で行うことができず、大半はマニュアルで行っている。たとえば、ウエハ切断前後の外観検査も一枚一枚手動で搬送している。
【0005】
【特許文献1】特開2004-273867
【特許文献2】特開2005-191419
【特許文献3】特開2002-246345号公報
【特許文献4】特開2004-186296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、提案された収納カセットにおいては、開閉機構が大掛かりになる上に、常にウエハを平坦な状態で取り扱うことが困難である。この結果、容器の高価格化を招くと同時に、ウエハの変形によるマイクロクラックの発生や作業性の困難さなどが原因となるウエハの損傷が発生するという課題を有している。さらに、従来の多段式収納カセットでは、極薄ウエハの周縁部をその下側から支持するだけで、特に極薄ウエハを確実に固定する手段は設けられていない。このため多段式収納カセットを傾けると、極薄ウエハが容易にずれて破損する恐れがあり、慎重な搬送をする必要がある。この結果、搬送時の作業性が悪いという問題もある。
【0007】
また、スペーサーシートを有する容器においては、消耗品であるスペーサーが必要となるために、ランニングコストが高くなり、地球に優しい構造となっていない。さらに、搬送時にウエハが動きやすい構造になっているために、搬送時にウエハを損傷し易いという問題もある。
【0008】
さらに、ウエハ裏面研削後にウエハ厚みが極薄になったウエハにおいては、極薄ウエハの表面だけでなく、ウエハ裏面に対しての加工(たとえば、ウエハ裏面加工歪除去)や検査を行うことがある。この場合ウエハを1枚ずつ取り出した後で、ウエハの上下を逆にする工程を設ける必要があり、作業性も悪く、ウエハも破損しやすくなるという問題もある。
【0009】
また、ウエハ裏面研削後にウエハ厚みが極薄になった場合、または/及びウエハが大口径の場合には、たとえウエハ表面保護フィルムが付着していても、またダイシングテープが付着していても、ウエハはフレキシビリティ(柔軟性)があり、ウエハ単独で平坦な状態を維持することは困難である。このため、ウエハ裏面研削後の工程を自動で搬送または処理することができず、人手が介在したり、ウエハに損傷を与える危険性が高いという問題がある。このため極めて高価なプロセスとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、微小な外力によって破損しやすい極薄ウエハを破損せずに出し入れすると同時に、搬送・処理することが可能な薄板保持(収納)容器を提供することである。また、大口径ウエハでも安全かつ確実に搬送、保管、処理等を行うことができるようにしたものである。
【0011】
薄板収納容器は、その両面にウエハを載置する載置面を有している。薄板収納容器の一方の面(上側面)におけるウエハ載置部が周縁部に対して凹状になっていて、薄板収納容器における他方の面(下側面)のウエハ載置部が周縁部に対して凸状になっている。ウエハ載置部は、柔軟材料(柔軟性材料)あるいは弾性高分子材料で形成されている。また、凹状になっているウエハ載置部と周縁部との側段部は、テーパー状になっている。
【0012】
各薄板収納容器には薄板収納容器同士を積層するために用いる、結合部(結合解除手段を含む)が搭載される。複数の薄板収納容器は、薄板収納容器上側面の周縁部と別の薄板収納容器下側面の周縁部とを重ねて積層することができる。薄板収納容器上側面の載置部の上に存在する凹部に、別の薄板収納容器下側面が凸状である載置部が入り込むようになっている。ウエハはこれら載置部の間に挟持して配置される。
【発明の効果】
【0013】
複数の薄板収納容器を積層した時に、上下の載置部の間にできる隙間、ウエハの厚み、及び載置部の材料の柔軟度または弾性度を最適化することにより、ウエハに損傷を与えずに上下の載置部の間にウエハを挟持し固定することができる。柔軟性の大きい材料の場合(柔軟性の大きい材料とは、弾性材料であって、弾性係数が小さい材料を言う。本出願については、以下、「柔軟性材料」と述べる。)薄板収納容器の上下における載置部の間にできる隙間がない状態でも、ウエハが載置部の柔軟性材料または/および弾性材料の間に埋め込まれた状態になりウエハが固定される。ウエハ厚みに対して、隙間がわずかに小さい場合でも、シールと載置部を構成する材料が有する弾性、またはシールを用いない場合は載置部を構成する材料のみが有する弾性により密着してウエハが挟持され固定される。
【0014】
薄板収納容器の凹部になっている側の周縁部側段部は上に開いた傾斜面、いわゆるテーパー状の傾斜面であるから、ウエハを載置部に載せる時に、ウエハ端部が傾斜面に当たっても、ウエハ端部に与える衝撃を最小にした状態でウエハを滑らせて、ウエハ全体を載置部に収納することが可能となる。
【0015】
複数の薄板収納容器は結合部で固定され、多段に薄板収納容器を積層できる。多段に積層した薄板収納容器は、一体で運搬や処理装置への搭載が可能である。情報処理手段等を取り付けることにより、薄板収納容器1枚の管理が可能であり、ウエハの枚葉管理もできる。また、薄板収納容器に付設された結合解除手段を用いて、多段に積層した薄板収納容器を任意の位置で分離することも可能である。ウエハを挟持し固定した薄板収納容器は上下逆にすることもできるので、ウエハの表面を処理した後で、ウエハの裏面処理も容易に行うことができる。ウエハ載置部の周囲にシール部(シール材およびシール受け溝)を設けることにより、薄板収納容器を積層した時に(上下の薄板収納容器を結合部で結合した時に)ウエハの収納部は気密が保持され、外部環境から保護される。従って、クリーン度の異なる場所にも自由に移動できる。スペーサー等のような消耗品はなく、薄板収納容器は繰返し使用可能であり、地球環境に優しく、ランニングコストが低いという利点もある。
【0016】
極薄のウエハでも薄板収納容器に確実に保持固定されていて、薄板収納容器に保護されているので、ウエハを損傷することなく収納して搬送・保管が可能となり、半導体製品の歩留まりを向上させることができる。
【0017】
ウエハ載置部に柔軟性高分子材料や弾性高分子材料を用いることにより、ウエハを載置するときの衝撃を軽減し、また結合時に固定厚みを充分確保して、ウエハを損傷せずに挟持することが可能となる。
【0018】
ウエハ載置部の弾性高分子材料に熱可塑性エラストマーを用いることによって、表面が微細凹凸構造の成形となるようにすることが容易となる。この結果、ウエハ載置部において、ウエハはウエハ載置部の材料と最小面積で接しかつ均等な力で押さえられるため、ウエハの損傷をなくすことができる。また、ウエハ載置部は、洗浄し易い構造とすることができ、クリーンな環境を維持できる。
【0019】
ウエハ載置部における弾性高分子材料に発泡高分子を用いることにより、より軽量化をはかることもできる。
【0020】
以上から、本発明の薄板収納容器を用いることにより、歩留まりの高いプロセスを構築できる。
【0021】
以上の他にも、本発明は以下のような効果もある。
【0022】
ウエハを挟持した薄板収納容器が工程中で滞留しても、工程間で清浄かつ安全にストックできるために、加工効率を向上させることができ、工程設計が容易になる。このことにより、工程間にウエハ(収納容器)やウエハ(収納容器)ケースをストックできるため、装置効率や処理効率を高めることができ、フレキシブル(柔軟)に工程設計が可能となる。
【0023】
薄板収納容器等に、バーコードや、RFタグ(Radio Frequency Tag)のような無線タグなどの情報表示手段を取り付けることが容易となり、ウエハの枚葉管理ができ、的確かつ正確な処理をウエハに施すことができる。また、ウエハのトレーサビリティを向上させることが可能となる。
【0024】
また、繰り返しになるが、工程間および工程内搬送や処理が自動化できるため、ウエハ(収納容器)検査や処理において、ウエハを破損することなく安全に行うことができ、加工歩留まりを向上させることができる。
【0025】
薄板収納容器は洗浄することで繰り返し使用することが可能であり、消耗品を極力少なくし、環境にやさしく、安価な製造が可能となるという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明において、ウエハとは主には半導体ウエハを指す。たとえば、半導体ウエハの材料は、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)などの単元素半導体材料や、シリコンゲルマニム(SiGe)や砒化ガリウム(GaAs)やインジウムリン(InP)等の化合物半導体材料や、GaAlAs等の3元系以上の半導体材料である。しかし、これらにかかわらず、絶縁物の上に半導体デバイスを形成したものも含まれる。たとえば、ガラスや石英やプラスチックなどの上に薄膜デバイスを作成したもの、ガラスや石英やプラスチックなどの上に半導体材料を貼りあわせたものである。あるいは、金属の上に絶縁物・半導体材料を貼りあわせたものも含まれる。さらには、プラスチック等の高分子材料も含まれる。
【0027】
半導体プロセスにおいて、ウエハの表面にトランジスタ等の能動素子、抵抗・コンデンサ・インダクタンス等の受動素子や配線・絶縁層等を形成し、半導体デバイスが作製される。本発明に適用される半導体デバイスとして、メモリ、CPU、システムIC、アナログIC、デジタルICなどがあるが、広義には単体の能動素子や受動素子も含まれる。すなわち、能動素子や受動素子を少なくとも1個以上含むものを表す。一般に半導体ウエハ上には、これらの半導体デバイスが多数形成され、個片(いわゆる、チップ)に切断された後に、用途に応じて種々の製品に搭載される。たとえば、半導体パッケージの場合には、リードフレームに搭載される。また回路基板に搭載され、携帯電話やICカードやPCなど種々の機器に用いられる場合もある。さらに、液晶や有機EL(エレクトロルミネッセンス)等の表示素子も含まれる。
【0028】
近年の最終製品は超小型化を要求されるものが多く、その傾向は今後も益々進化していくと予想できる。従って、それらの最終製品に搭載されるチップは非常に薄い厚みのものであることを要求される。チップの厚みを薄くするには、その前段階であるウエハを薄くする必要がある。ウエハを薄くするには、ウエハ上にデバイスが形成された後に、ウエハ裏面加工研削を行う。
【0029】
本発明は、ウエハ裏面研削等により、薄くなったウエハを搭載できる薄板収納容器に関する。しかし、これらの薄いウエハに限らず、通常の厚みのウエハにも適用できる。本発明の説明においては、主に「薄板収納容器」を用いているが、同様の意味として、「ウエハトレイ」「ウエハ支持トレイ」、「ウエハ保持トレイ」などの用語が一般に用いられている。また、「ウエハ」のかわりに、「薄板」や「(ウエハまたは薄板)基板」なども使用される。さらに「収納容器」のかわりに、「キャリヤ」、「運搬具」、「容器」や「トレイ」なども使われている。
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態を示す薄板収納容器の模式図である。図1(a)は正面図、図1(b)は上側平面図、図1(c)は下側平面図、図1(d)は薄板収納容器にウエハを搭載し薄板収納容器を2枚重ねた場合の正面図である。
【0031】
第1の実施形態における薄板収納容器1の形状は平板状である。すなわち、ウエハを載置する場所(以下、ウエハ載置部)3を含む表および裏の表面形状は平面状となっている。第1の実施形態の特徴は、この平板状の上側面及び下側面におけるウエハ載置部3の全面が柔軟性材料または/および弾性材料で形成されていることである。すなわち、図1(a)に示すように、薄板収納容器1は、薄板収納容器本体2およびウエハ載置部3からなる。薄板収納容器1の一方の面(上側面)のウエハ載置部3を第1載置部3A、薄板収納容器1の他の面(下側面)の薄板収納容器場所3を第2載置部3Bとする。ウエハ載置部3は柔軟性材料または/および弾性材料で形成されている。薄板収納容器本体2は、薄板収納容器1を変形させない程度の強度が必要である。
【0032】
ウエハ載置部3には、常にウエハを載置できる状態にあることが必要であるから、ウエハ載置部3の大きさは実際のウエハの形状よりも大きい。すなわち、ウエハサイズもある程度ばらつく(300mmサイズのウエハであれば、5mm程度は変動する)し、ウエハを載置する時の余裕度もある程度見込む必要がある。図1(b)および図1(c)に、ウエハをウエハ載置部3に載置する時の実際のウエハ位置を点線で記載している。第1の実施形態では、ウエハ形状は円弧状である。また、それに合わせてウエハ載置部3は円形状になっている。しかし、ウエハ位置が含まれるのであれば、ウエハ載置部の形状はウエハ形状より大きい(すなわち、ウエハ形状を含む)四角形状やその他の形状でも良い。あるいは、ウエハ形状が四角形状やその他の形状でも本発明を適用できる。たとえば、表示デバイスを形成するウエハ(この場合は、基板と呼ぶ方が適当である)では、一般には四角形状である。このようなウエハ形状の場合には、ウエハ載置部の形状は、そのウエハ形状を含む形状、たとえば、四角形状や円形状、でも良い。
【0033】
図1(c)は、薄板収納容器1の下側平面図である。薄板収納容器を重ねた時に適合するように、第2載置部3B、フック挿入溝6、シール受け溝8などが配置される。
【0034】
図1(d)は、実際にウエハ4を薄板収納容器(上の薄板収納容器を10、下の薄板収納容器を1とする)に搭載し2枚重ねた時の模式図である。ウエハ4は薄板収納容器1の第1載置部3Aの上に載置され、薄板収納容器10を薄板収納容器1に重ねた時には、ウエハ上面は薄板収納容器10の第2載置部3Bにも配置される。すなわち、第1載置部3Aと第2載置部3Bとは、薄板収納容器を重ねた時に、相対するような位置関係にある。
【0035】
薄板収納容器1には図1(a)および(b)に示すような、上側面1Aの第1載置部の外側部分にフック5(図1(b)に示すように、薄板収納容器1の4箇所に配置されている)がついている。また、下側面1Bの第2載置部3Bの外側には、フック挿入溝6(図1(c)に示すように、薄板収納容器の4箇所に配置されていて、薄板収納容器を重ねた時に、上側面1Aのフックと同じ位置に配置されている)がついている。薄板収納容器10と薄板収納容器1とを重ねた時に、薄板収納容器1の上側面のフック5が薄板収納容器10の下側面のフック挿入溝6に入り込み、薄板収納容器2枚が一体になり固定される。
【0036】
従って、薄板収納容器10と薄板収納容器1とを重ねた時には、ウエハ4は薄板収納容器1の第1載置部3Aと薄板収納容器10の第2載置部3Bとに挟まれて固定される。ウエハ載置部3は、ウエハ材料に比較し、柔軟性材料または弾性材料なので、ウエハ4はウエハ載置部に埋め込まれるような状態あるいは沈みこむような状態あるいは載置部がへこむような状態となり固定される。すなわち、ウエハは第1載置部と第2載置部とに挟持される。ウエハはある程度の厚みがある(極薄ウエハの場合は、10μm〜200μm、通常ウエハの場合は、200μm以上)が、ウエハ厚みに応じて、載置部への埋め込みが充分になるように、載置部の材料を選択すればよい。ここで述べる充分な埋め込みとは、必ずしもウエハ4がウエハ載置部に完全に取り囲まれ固定されるということだけではなく、ウエハの1部分だけがウエハ載置部に入り込み固定されるということや載置部が少しへこむということも含む。あるいは、ウエハが固定されるのであれば、ウエハが全くウエハ載置部に入り込む必要もない。ウエハの1部または全部がウエハ載置部に入り込まない場合には、2枚の薄板収納容器には少し隙間が存在する。このような場合の薄板収納容器の積層においてもウエハを損傷させずにウエハを確実に固定するには、フック5の大きさや高さを調整することにより達成できる。極薄ウエハは、ウエハの反りが発生している場合もあるが、その反りをある程度または完全に矯正しながら載置部において挟み込むことも可能である。以上のように、ウエハの厚みやウエハの反りの程度に応じて、載置部の材料やフックの大きさを選定すればよい。
【0037】
第1の実施形態においては、載置部3を囲むように、シール材7とシール受け溝8が配置されている。すなわち、薄板収納容器1の上側面1Aにおける第1載置部3Aの周囲にはシール材7があり、薄板収納容器1の下側面1Bにおける第2載置部3Bの周囲にはシール受け溝8がある。薄板収納容器を重ねた時に、シール材7はシール受け溝8に嵌合するようになっていて、シール材に囲まれた載置部が密閉される。従って、ウエハは外部から隔離された状態となり、外部環境から保護される。たとえば、クリーン度の良好な環境でウエハを挟持した場合には、クリーン度の劣悪な環境へ運搬されても、ウエハはもとのクリーンな状況を保持することができる。逆に言えば、常に同一の環境に置かれるのであれば必ずしも、シール部は必要がない。あるいは、シール材だけで目的とする、ある程度の気密さを保持できる場合は、シール受け溝は必要がない。
【0038】
第1の実施例においては、図1(b)および(c)に示すように、シール部(シール材およびシール受け溝)は円形状にウエハ載置部を取り囲んでいるが、ウエハ載置部を取り囲むのであれば、必ずしも円形である必要はなく、四角形状や他の形状でも良い。
【0039】
フックおよびフック挿入溝は、第1の実施形態の場合と互いに逆の面に設置されていても良い。シール材およびシール受け溝についても、第1の実施形態の場合と互いに逆の面に設置されていても良い。
【0040】
また、薄板収納容器を単に積み重ねておくだけならば、薄板収納容器の結合部分であるフック部分(フックおよびフック挿入溝)も必要がない。薄板収納容器を重ねて固定する方法として、フック部分を用いる方法以外に、薄板収納容器を外側から挟む(いわゆる、クランプする)方法もある。
【0041】
以上の本発明の薄板収納容器を用いれば、多数枚の薄板収納容器を連結することが可能となる。また、ウエハを挟持し固定した薄板収納容器は、ウエハを保護しているので、運搬時やハンドリング時において、ウエハを損傷することがない。
【0042】
第1の実施例においては、図1(b)および(c)に示すように、薄板収納容器の平面形状は円形状であるが、必ずしも円形状である必要はなく、四角形状やその他の形状でも良い。薄板収納容器の形状は、運搬方法や、装置にセットする方法などによって、最適に設計することができる。
【0043】
図2は、本発明の第2の実施形態における模式図を示す。第2の実施形態の特徴は、ウエハ載置部とその周辺(周縁)部との高さが異なっていて、薄板収納容器の形状が平板状でないことである。図2に示すように、第2の実施形態の薄板収納容器21は、ウエハを保持するための載置部、載置部を取り囲んで構成される周縁部、および載置部と周縁部との間の傾斜面から構成されている。図2(a)に示すように、薄板収納容器の一方の面(上側面)における第1載置部23Aは周縁部25Aに対して凹状になっている。すなわち、第1載置部23Aは周縁部25Aに対して低くなっている。周縁部25Aと第1載置部23Aとの間の周縁部側段部は、外側(あるいは、上側)に開いた傾斜面26Aとなっている。このような傾斜面とすることによって、第1載置部23Aにウエハを載せる時に、ウエハ端部が傾斜面26Aに当たっても、ウエハ端部に与える影響(衝撃)を少なくした状態で、ウエハを滑らせて、ウエハ全体を第1載置部23Aに収納することが可能となる。傾斜面26Aの角度は、好適にはその衝撃を最小にし、かつウエハがうまく滑ってウエハ全体を第1載置部23Aに収納されるように、選択される。傾斜面の材料も、衝撃を少なくし、かつウエハの滑りやすいものが望ましい。
【0044】
薄板収納容器21の下側の面に関しては、第2載置部23Bは周縁部25Bに対して、凸状になっている。第2載置部23Bも柔軟性材料または/および弾性材料で形成されている。
【0045】
図2(b)は、第2の実施形態における上側面の平面図である。
【0046】
図2(c)は、ウエハが載置されていない状態で、薄板収納容器を2枚重ねて固定した場合を示す図である。薄板収納容器21の周縁部25Aと薄板収納容器30の周縁部25Bとは適合し重なるようになっている。また、薄板収納容器30の下側面の凸部は、薄板収納容器21の凹部に入り込むようになっている。その際に、薄板収納容器30の傾斜面26Bは薄板収納容器21の傾斜面26Aと接することが望ましいが、図2(c)に示すような少しの隙間があっても良い。また、ウエハが載置されていない状態では、薄板収納容器21における第1載置部23Aと薄板収納容器30における第2載置部23Bとの間には、所定の隙間29が形成される。この隙間29はウエハが載置部に載置された時に、ウエハが損傷を受けずに、しかも上下の載置部にしっかりと挟持される程度のものに設計される。載置部における材料の柔軟性の程度によっては、隙間29がなくても良い場合がある。
【0047】
図2(d)は、ウエハ24が2枚の薄板収納容器(21、30)に挟持された状態を示す図である。第1載置部23A上に載置されたウエハ24の上にもう1枚の薄板収納容器30における第2載置部23Bが接触(載置)し、ウエハ24は薄板収納容器21における第1載置部23Aと薄板収納容器30における第2載置部23Bとに挟持されている。載置部の材料は柔軟性材料、または/および弾性材料で形成されているので、ウエハ24に損傷を与えずに挟持できる。ウエハ24に損傷を与えないような材料を載置部に使用して、ウエハ24が載置部に埋め込まれるように挟持することもできる。この場合は、隙間29を殆どなくすか、全くなくすこともできる。たとえば、スポンジ状の高分子材料を載置部に用いる場合には、ウエハがスポンジ状の材料の中に入り込むような状態あるいは埋め込まれたような状態にすることができるので、隙間29がなくてもウエハを全く損傷せずに、ウエハを固定できる。この場合には、ウエハに反りが発生していたとしても反りの入った状態でウエハを固定することが可能である。ウエハを埋め込んだ状態にするには、載置部の厚みは、ウエハ厚みやウエハの反り量よりも大きいことが必要である。
【0048】
あるいは、載置部の適度な弾性を有する材料を載置部に使用して、ウエハ24が固定し動かない程度に軽く押さえつけることも可能である。この場合は、隙間29をウエハ厚みより少し小さめに設計できる。
【0049】
隙間29は、周縁部25Aと第1載置部との高さ方向の距離や周縁部25Bと第2載置部との高さ方向の距離などによって決まる。この隙間、ウエハの厚み、材料の特性、およびウエハの特性などを総合的に検討して最適化する必要がある。ウエハに反りがある場合には、ウエハの反り量も関係する。ウエハの厚みの変動や反り量の変化に対応できるものとしては、ウエハをある程度または全部埋め込みできるような柔軟性材料が望ましい。このような材料の場合には、隙間29をなくしても(理論上は隙間がマイナス方向になる場合も含める)、薄板収納容器を重ねることも可能であるし、ウエハを載置した薄板収納容器についても確実に重ねて固定し、しかもウエハも損傷させずに固定できる。
【0050】
図2においては、フック部等の薄板収納容器を結合する部分を示していないが、図1に示す場合と同様に結合部を設けることもできる。但し、図1における平板状の薄板収納容器に比較して、第2の実施形態の薄板収納容器は積み重ねただけで軽く固定できるので、薄板収納容器の使用方法や運搬方法によっては、固定する部分を設置しなくても良い場合がある。さらに、図2における第2の実施形態においては、シール部も示されていないが、第1の実施形態と同様にシール部を設けることが可能であるし、薄板収納容器の使用環境によってはシール部を設けなくても良い。
【0051】
図3は、第3の実施形態を示す模式図である。第3の実施形態は、図2に示した実施形態と類似するが、薄板収納容器31の凹部に段差がありその段差部分(載置台と言っても良い)38が第1載置部となっている。このような構造にすると、凹部に第1載置部33Aを形成することが容易である。すなわち、薄板収納容器の凹部を形成した後に、段差部分38Aおよび第1載置部33Aを付着して作ることもでき、極めて簡単に第1載置部33Aを形成することが可能となる。第2載置部33Bは、第1載置部33Aに合わせて段差部分38Bを有して凸状に形成されている。この段差部分38Bおよび第2載置部33Bの形成も上記と同様に容易である。厚みの異なる載置部を容易に作製できるので、ウエハ厚みが異なった場合やウエハに反りが発生している場合でも対応が容易である。図3(b)に2枚の薄板収納容器(31、40)を重ねた時の状態を示す。ウエハの厚み、ウエハの反りなどの状態あるいは載置部の材料などを考慮して、段差部分や載置部の厚みを決定する必要がある。薄板収納容器の積み重ねやウエハの固定方法は、第2の実施形態と同様である。尚、段差部分38Aおよび38Bは第1載置部33Aおよび第2載置部33Bと兼用して形成できることは言うまでもない。
【0052】
図4は、第4の実施形態を示す模式図である。第4の実施形態も、図2に示した実施形態と類似するが、第1載置部における柔軟性材料または/および弾性材料が部分的に凸状に存在することが特徴である。図4(a)に示すように、薄板収納容器41の上側面の凹状部分に第1載置部43Aが部分的に凸状に多数存在する。第1載置部43Aは柔軟性材料または/および弾性材料からなる。この柔軟性材料または/および弾性材料は、ウエハが均等に押圧されるように、多数個が均等に配置される。図2の実施形態における第1載置部が部分的に存在しない場合と考えることもできる。柔軟性材料または/および弾性材料の高さはそろっていて、ウエハが多数の柔軟性材料または/および弾性材料に均等にあたるようになっている。薄板収納容器の下側面が凸状部分となっている第2載置部43Bにも部分的に凸状に柔軟性材料または/および弾性材料が存在する。この柔軟性材料または/および弾性材料は、ウエハが均等に押圧されるように、多数配置される。図2の実施形態における第2載置部が部分的に存在しない場合と考えることもできる。
【0053】
図4(b)は、薄板収納容器41の上側面の平面図である。ウエハ載置部に多数の柔軟性材料または/および弾性材料が存在する。この上にウエハが載置されるが、柔軟性材料または/および弾性材料がウエハに均等にあたるようになっている。
【0054】
図4(c)は、2枚の薄板収納容器(41、50)を積み重ねた状態を示した図である。ウエハ44が薄板収納容器41における第1載置部43Aの柔軟性材料または/および弾性材料と薄板収納容器50における第2載置部43Bの柔軟性材料または/および弾性材料とに挟持され固定される。図2や図3において、載置部の柔軟性材料または/および弾性材料が部分的にない場合と考えることができる。柔軟性材料または/および弾性材料によって、ウエハは上下から均等に挟持されるので、ウエハが損傷することなく確実に固定できる。図4に示す実施形態では、載置部の形状を円柱状にしているが、このような部分的な載置部の形状は、これに限られない。たとえば、四角柱形状や三角柱形状でも良い。あるいは、網目状の載置部でも良い。ウエハが均等に押圧され、損傷せずにウエハを固定できれば良い。尚、フック部やシール部やその他の内容については、第1〜第3の実施形態の説明と同様である。
【0055】
これまでに示した実施形態については、それぞれ矛盾しない内容については組合せが可能であることは言うまでもない。図5にその組合せの1例を示す。図5における実施形態では、薄板収納容器51における第1載置部53Aは、上側面の凹状部分に存在する。また、第2載置部53Bが存在する下側面は、平坦状になっている。この第5の実施形態は、第1の実施形態の薄板収納容器における下側面と第2の実施形態の薄板収納容器における上側面とを組合せたものと考えることができる。図5(b)は、本実施形態の薄板収納容器を2枚重ねて固定した場合の状態を示す図である。第5の実施形態では、ウエハを薄板収納容器51における第1載置部に搭載した場合に、薄板収納容器51における上側面の周縁部55Aに対して、ウエハの上面はある程度上に出ている必要がある。そうでないと薄板収納容器を重ねた時にウエハを固定できないからである。そのように設計することにより、ウエハ54は、薄板収納容器51の載置部53Aと薄板収納容器60の第2載置部53Bとに挟持され固定される。その他の内容については、第1〜第4の実施形態と同様である。
【0056】
薄板収納容器の載置部に用いられる材料として以下の材料が挙げられる。
【0057】
柔軟性材料としては、たとえば、弾性材料の中でも、弾性係数の小さなスポンジ状の柔らかい材料で、ウエハを押圧してもウエハに損傷を与えない材料である。このような材料は、ウエハのまわりを包み込み、ウエハを最小面積で接触し保持し固定できる。具体的には、PU(ポリウレタン)やPE(ポリエチレン)やPET(ポリエチレンテレフタレート)やPS(ポリスチレン)などの発泡高分子材料等が挙げられる。
【0058】
弾性材料としては、弾性高分子材料等が挙げられる。弾性高分子材料としては、熱可塑性エラストマーや発泡高分子材料やフッ素樹脂や潤滑性高分子などがある。熱可塑性エラストマーの例としては、PEE(ポリエステルエラストマー)、PUE(ポリウレタンエラストマー)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PSE(ポリスチレンエラストマー)、PBTE(ポリブチレンテレフタレートエラストマー)やPBNE(ポリブチレンナフタレートエラストマー)等が挙げられる。フッ素樹脂の例として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)等が挙げられる。これらの材料は表面が微細な凹凸で形成されていて、ウエハとの接触面積も小さく、ウエハと接触してもゆるやかに反発する。また、ウエハに対して均等に接触し、ウエハに対して均一に押圧するので、ウエハに及ぼす損傷は非常に小さい。発泡高分子材料は、柔軟性材料の所で述べたものと同様である。また、発泡高分子材料を使用した場合には、密度が小さく軽量化をはかることもできる。潤滑性高分子の例として、PBT(ポリブチレンテレフタレート)やPBN(ポリブチレンナフタレート)等がある。これらの潤滑性高分子は、滑りやすいという特性を持つので、ウエハの端部が傾斜面などにおかれた時に滑って、目標のウエハ載置部にうまくウエハを載置できるという利点もある。
【0059】
また、薄板収納容器に用いられる材料として、PC(ポリカーボネート)系樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)系樹脂、PP(ポリプロピレン)系樹脂などの熱可塑性高分子材料やフッ素系樹脂などがある。
【0060】
薄板収納容器は一般にはある程度の強度が必要なので、薄板収納容器のウエハ載置部とその他の薄板収納容器本体とは異なる性質を有する材料を用いることが望ましい。載置部に用いられる高分子材料を薄板収納容器本体の高分子材料に取り付ける方法として、熱融着や表面シボ加工などがある。尚、本実施例では「シート」と記載しているが、載置台の上に、柔軟性材料または/および弾性材料の薄膜を積層したものでも良いし、載置台の材料を柔軟性材料または/および弾性材料に改質したものなども含まれる。
【0061】
ウエハ上に素子等が形成されている場合には、静電気対策や帯電防止が必要となる場合がある。上述の高分子にカーボンファイバーや金属パウダーなどの導電材料を混合したり、界面活性剤を混合したりすることによって、静電気対策や帯電防止を実現できる。
【0062】
尚、上述した各実施形態において説明した内容の中で記載しなかった点に関して、各々の実施形態同士が矛盾しない範囲内で、各実施形態に適用できる。
【実施例】
【0063】
図6は、本発明の実施例を示す図である。図6(a)は、本発明の薄板収納容器の横方向(正面)断面図である。図6(b)は、本発明の薄板収納容器における上側面の平面図である。図6(c)は、2枚の薄板収納容器にウエハを載置する様子を示す図である。
【0064】
図6(a)の薄板収納容器の横方向断面図の形状は、第3の実施形態に類似している。図6に示す薄板収納容器61は、両面にウエハを保持するための載置部と載置部を取り囲んで構成される周縁部とから構成されている。周縁部と載置部とは段部で区別されている。薄板収納容器61の上側面における載置部の一方の表面(第1載置部)63Aは薄板収納容器61における上側面の周縁部65Aに対して凹状になっていて、ウエハ載置面は平坦である。薄板収納容器61における下側面の載置部(第2載置部)63Bは薄板収納容器61における下側面の周縁部65Bに対して凸状になっていて、ウエハ載置面はやはり平坦である。第1載置部63Aと第1周縁部65Aとの間の側段部は外側に開いた傾斜面66Aになっていて、いわゆるテーパー状になっている。第1載置部63Aは傾斜面66Aのテーパ状が切れた所の近傍で段部76があり、いわゆる載置台77となっている。載置台には柔軟性材料または/および弾性材料で形成された板状のシートが付いている。ウエハが第1の載置部に配置される時に、少しずれてウエハ端部がテーパー部にかかったとしても、ウエハ端部がテーパー部から滑って載置台上の柔軟性材料または/および弾性材料の上に載るようになっている。
【0065】
図6(c)に示すように、ウエハ64は2枚の薄板収納容器(61および70)に挟持されて固定される。すなわち、ウエハ64は、下の薄板収納容器61の第1載置部63Aにおける載置台上の柔軟性材料または/および弾性材料で作成されたシートと上の薄板収納容器70の第2載置部63Bの載置台上の柔軟性材料または/および弾性材料で作成されたシートとに挟持される。上下の薄板収納容器を固定するには、図6(b)に示すように下の薄板収納容器61に取り付けられているフック69を上の薄板収納容器70の下側面に取り付けられている対のフック挿入溝74と嵌合させることにより、行う。フック部分(薄板収納容器結合部分)は、フック69とフック挿入溝74以外に脱着操作孔75も付いていて、薄板収納容器を結合したり、結合を解除したりできるようになっている。
【0066】
これまでの実施形態では、ウエハを1枚載置する場合を主に説明してきたが、ウエハを複数枚重ねる場合やウエハを複数枚平面的に並べて配置する場合にも本発明の薄板収納容器を適用できることは言うまでもない。
【0067】
図6に示す実施例では、ウエハ載置部はウエハ形状に合わせた円形状をしているが、薄板収納容器61の平面形状は四角形状で、4隅の角部は円弧状になっている。しかし、この形状に限らず、薄板収納容器の形状は、運搬や作業に適する形状とすることが可能である。第1載置部63Aの周囲はシール材67が囲んでいる。薄板収納容器61の下側には、このシール材67を保持するための溝であるシール受け溝68が存在する。2枚の薄板収納容器を重ねた時に、シール材67はシール受け溝68に嵌合され、薄板収納容器61の第1載置部63Aと薄板収納容器70の第2載置部63Bとシール部(シール材67とシール受け溝68とで構成される)とで収納空間が構成される。この収納空間は、外部環境から隔離して気密が保持される。ウエハ64はこの収納空間に挟持され固定される。尚、収納空間には、少なくとも1枚のウエハを収納可能な大きさ(厚み)に設定できる。収納空間は、用途に応じて、2枚以上のウエハを同時に収納する場合もある。この場合、収納空間は、2枚重ね又はそれ以上重ねたウエハの厚さに応じた寸法に設定される。具体的には、シール材67の厚み及び結合・解除手段(フック部)のフック69の長さを調整して、収納空間の高さをウエハの合計の厚さに合わせて設定する。但し、載置部の材料の柔軟性が大きければ、ウエハはその材料に沈みこむので、その分を考慮して、調整する。また、薄板収納容器61の第1載置部63Aおよび薄板収納容器70の第2載置部63Bがウエハ64を押圧する押圧力は、フック69の長さを微調整することにより調整することができる。
【0068】
図6に示す実施例には、以上の他に装置位置決め溝71、薄板収納容器位置決めピン72、薄板収納容器位置決め孔、及び把持部73が付いている。装置位置決め溝71は、把持部73の中央部付近に設けられていて、薄板収納容器61の左右方向の位置決めをするためのV字型溝である。この装置位置決め溝71は、たとえば、互いに傾斜した2つの傾斜面を備えて構成されている。装置位置決め溝71は、搬送装置や機械装置側の位置決め機構(たとえば、V字型)に嵌合して、薄板収納容器61の左右方向の位置決めを行えるようになっている。把持部73は薄板収納容器を上下に持ち上げたりする時に使用でき、これにより薄板収納容器の上下方向を位置決めできる。このように、装置位置決め溝71と把持部73とによって、薄板収納容器を3次元空間の特定位置に正確に位置決めすることが可能となる。具体的には、装置位置決め溝71は、薄板収納容器を搬送したり、機械装置にセットしてプロセスを行ったりする時に、搬送装置側や機械装置側の装置位置決めピンなどと適合し、薄板収納容器位置を定めるために使用される。把持部も薄板収納容器を搬送したり、機械装置にセットしてプロセスを行ったりする時に、搬送装置側や機械装置側の受け渡しのために使用される。
【0069】
薄板収納容器位置決めピン72は、薄板収納容器を積層したときに、積層された各々の薄板収納容器間における位置ずれを防止するためのピンである。図6に示す実施例においては、薄板収納容器位置決めピン72は、薄板収納容器61の上側面に、四角形状の薄板収納容器における4つの辺の中央位置に4箇所設けられている。図6においては示されていないが、薄板収納容器位置決め溝が薄板収納容器の下側面に、薄板収納容器位置決めピンに対応するために、やはり四角形状の薄板収納容器における4辺の中央位置に3箇所設けられている。薄板収納容器が積層するときに、積層された各薄板収納容器の結合時に、上下の薄板収納容器61の薄板収納容器位置決めピンと薄板収納容器位置決め孔とが互いに嵌合して、各薄板収納容器61の間の位置ずれを防止する。これにより、薄板収納容器61を積層する際に、各薄板収納容器を正確に位置決めしながら積層することができる。また、位置決めピン72を非対称な3箇所に設けることによって、薄板収納容器の結合の向きを一意に決めることが可能となる。
【0070】
図7は、本発明の別の実施例を示す図である。図7には、薄板収納容器81の一方の面における載置部の表面形状のみを示す。本実施例は、第1および第4の実施形態を組み合わせた実施例である。すなわち、載置部は、多数の載置凸部82となっている。この載置凸部82は、薄板収納容器81の一方の面における載置部(第1載置部)または薄板収納容器81の他方の面における載置部(第2載置部)またはその双方に設けられている。載置凸部は凸状の材料で形成される。また、載置凸部82は、同心円状に網目状に形成されている。ウエハが薄板収納容器に挟持される時には、ウエハは、載置凸部によって、部分的に押さえられて固定される。網目状に載置凸部を設けることにより、ウエハはより少ない面積で押さえられ固定されるので、局部的に力がかからず均等に押圧される。また、載置凸部のウエハへの接触面積を小さくできるので、微小傷対策やパーティクル・ゴミ等の付着を最小化することが可能である。尚、この網目状をより細かくすることにより、一箇所にかかる力を少なくし、より均等にウエハを押圧することも可能となる。その結果、ウエハへの損傷を殆ど発生させないようにすることが可能となる。
【0071】
各薄板収納容器に、情報表示手段を取り付けてウエハ毎の管理やプロセス管理が可能である。情報表示手段としては、1次元または2次元バーコードや無線タグ(RF(Radio Frequency)タグ)などが挙げられる。最近の情報表示手段は、非常に小さくなっているので少しのスペースがあれば取付けが可能で、薄板収納容器のあいている場所のどこにでも搭載可能である。これらの表示手段を取り付けることにより、種々のプロセス情報を書き込んだり、読み込んだりできる。その情報に従って、プロセスの条件を変更することも可能となる。薄板収納容器毎に情報表示手段を取り付けることができるので、ウエハの枚葉管理もできる。従って、種々のデバイスを混在して流動を可能とできるなど、自由度の高い製造ラインを作ることが可能となる。たとえば、本発明の薄板収納容器を用いると、ダイシング工程においても、ウエハ1枚ごとに、ダイシングの条件を変更可能である。また、電気特性検査においても、1枚ごとに異なったデバイスの検査が可能となる。さらに、1枚のウエハ内のチップ毎に検査条件の変更も可能である。加工処理能力の異なる場合などによりウエハが工程間で滞留しても、1枚ごとに誤りなく情報を把握できる。また、情報を保管することも容易となるので、薄板収納容器を使用してプロセスを行ったウエハについては、トレーサビリティも高くなり、信頼性の高い製品を作製できる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、半導体プロセス等におけるウエハプロセスにおいて、利用することができる。特に、極薄ウエハや大口径ウエハを用いる半導体産業において、利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1(a)】図1(a)は、本発明の薄板収納容器に係る第1の実施形態を示す図である。
【図1(b)】図1(b)は、本発明の薄板収納容器に係る第1の実施形態を示す図である。
【図1(c)】図1(c)は、本発明の薄板収納容器に係る第1の実施形態を示す図である。
【図1(d)】図1(d)は、本発明の薄板収納容器に係る第1の実施形態を示す図である。
【図2(a)】図2(a)は、本発明の薄板収納容器に係る第2の実施形態を示す図である。
【図2(b)】図2(b)は、本発明の薄板収納容器に係る第2の実施形態を示す図である。
【図2(c)】図2(c)は、本発明の薄板収納容器に係る第2の実施形態を示す図である。
【図2(d)】図2(d)は、本発明の薄板収納容器に係る第2の実施形態を示す図である。
【図3(a)】図3(a)は、本発明の薄板収納容器に係る第3の実施形態を示す図である。
【図3(b)】図3(b)は、本発明の薄板収納容器に係る第3の実施形態を示す図である。
【図4(a)】図4(a)は、本発明の薄板収納容器に係る第4の実施形態を示す図である。
【図4(b)】図4(b)は、本発明の薄板収納容器に係る第4の実施形態を示す図である。
【図4(c)】図4(c)は、本発明の薄板収納容器に係る第4の実施形態を示す図である。
【図5(a)】図5(a)は、本発明の薄板収納容器に係る第5の実施形態を示す図である。
【図5(b)】図5(b)は、本発明の薄板収納容器に係る第5の実施形態を示す図である。
【図6(a)】図6(a)は、本発明の薄板収納容器に係る実施例を示す図である。
【図6(b)】図6(b)は、本発明の薄板収納容器に係る実施例を示す図である。
【図6(c)】図6(c)は、本発明の薄板収納容器に係る実施例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の薄板収納容器に係る別の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1・・・薄板収納容器、2・・・薄板収納容器本体、3・・・ウエハ載置部、
3A・・・第1(ウエハ)載置部、3B・・・第2(ウエハ)載置部、4・・・ウエハ、
5・・・フック、6・・・フック挿入溝、7・・シール材、8・・シール受け溝、
10・・薄板収納容器、
21・・・薄板収納容器、22・・・薄板収納容器本体、23・・・ウエハ載置部、
23A・・・第1載置部、23B・・・第2載置部、24・・・ウエハ、
25A・・(薄板収納容器上側面の)周縁部、25B・・(薄板収納容器下側面の)周縁部、
26A・・(薄板収納容器上側面の)傾斜面、26B・・(薄板収納容器下側面の)傾斜面、
29・・・隙間、30・・・薄板収納容器、
31・・・薄板収納容器、32・・・薄板収納容器本体、33A・・・第1載置部、
33B・・・第2載置部、35A・・・(薄板収納容器上側面の)周縁部、
35B・・(薄板収納容器下側面の)周縁部、36A・・(薄板収納容器上側面の)傾斜面、
38A・(薄板収納容器上側面の)段差部分、38B・(薄板収納容器下側面の)段差部分
41・・薄板収納容器、43A・・第1載置部、43B・・第2載置部、44・・ウエハ、
50・・・薄板収納容器、51・・・薄板収納容器、53A・・・第1載置部、
53B・・・第2載置部、54・・・ウエハ、55A・・(薄板収納容器上側面の)周縁部、
60・・・薄板収納容器、61・・・薄板収納容器、63A・・・第1載置部、
63B・・・第2載置部、64・・・ウエハ、65A・・(薄板収納容器上側面の)周縁部、
65B・・・(薄板収納容器下側面の)周縁部、66A・・・傾斜面、67・・・シール材、
68・・・シール受け溝、69・・・フック、70・・薄板収納容器、
71・・装置位置決め溝、72・・・装置位置決めピン、73・・・把持部、
74・・・フック挿入溝、75・・・脱着操作孔、76・・・段部、77・・・載置台
81・・・薄板収納容器、82・・・載置凸部
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体用ウエハを搭載する薄板収納容器に関する。特に極薄化したウエハを安全に確実に搭載する薄板収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体用ウエハの一方の面(以下、表面)に、トランジスタ、不純物拡散層および導電体層等の素子を形成した後で、ウエハの裏面を研削しウエハ厚みを所望の厚みに加工することが一般に行われている。この加工の後で、所望の形状(大きさ)にダイシングされ、半導体チップ加工される。このチップが半導体パッケージや、回路基板等に搭載される。この半導体パッケージや回路基板等に、極めて薄いものが要求されてきていて、その場合には最終のウエハ厚みを極薄化する必要がある。半導体素子形成時における初期のウエハの厚みは、300〜1000μmであるが、最終のウエハ厚み(チップ厚み)は10〜200μmになる場合もある。またウエハの強度が小さくなり、ウエハに傷や欠陥を誘発する可能性が高くなる。あるいは、最終のウエハ厚みが上記ほど薄くない場合であっても(たとえば、ウエハ厚み200〜400μm)、ウエハが大口径化した場合(たとえば、200mm以上)にも、ウエハに傷や欠陥を誘発する可能性が高くなる。この結果、ウエハが極薄化した後は、ウエハの搬送やプロセスが非常に困難である。
【0003】
上記の問題に対して、平板上より極薄ウエハの直径より僅かに大きい直径の半円弧状ガイドを起立させた収納棚の複数を、支柱を介して等間隔で上下に平行に並べた多段式収納カセットが提案されている(たとえば、特開2004-273867)。また、互いに嵌合して積層可能な薄板収納容器の間に極薄ウエハをスペーサーシートで挟持して収納するものも提案されている(たとえば、特開2005-191419)。さらには、ウエハ裏面研削工程で用いたウエハ表面保護フィルムを付着させた状態で、ウエハ裏面研削工程の後に、ウエハ裏面にダイシングテープを貼合し、その後で前記ウエハ表面保護フィルムを剥離し、ダイシングすることが提案されている(たとえば、特開2002-246345号公報、特開2004-186296号公報)。
【0004】
また、ウエハ裏面研削後のウエハは、たとえウエハ表面保護フィルムやダイシングテープが付着しウエハを支持していても、そのままでは平坦な状態を維持できないため、工程間搬送や工程内搬送を自動で行うことができず、大半はマニュアルで行っている。たとえば、ウエハ切断前後の外観検査も一枚一枚手動で搬送している。
【0005】
【特許文献1】特開2004-273867
【特許文献2】特開2005-191419
【特許文献3】特開2002-246345号公報
【特許文献4】特開2004-186296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、提案された収納カセットにおいては、開閉機構が大掛かりになる上に、常にウエハを平坦な状態で取り扱うことが困難である。この結果、容器の高価格化を招くと同時に、ウエハの変形によるマイクロクラックの発生や作業性の困難さなどが原因となるウエハの損傷が発生するという課題を有している。さらに、従来の多段式収納カセットでは、極薄ウエハの周縁部をその下側から支持するだけで、特に極薄ウエハを確実に固定する手段は設けられていない。このため多段式収納カセットを傾けると、極薄ウエハが容易にずれて破損する恐れがあり、慎重な搬送をする必要がある。この結果、搬送時の作業性が悪いという問題もある。
【0007】
また、スペーサーシートを有する容器においては、消耗品であるスペーサーが必要となるために、ランニングコストが高くなり、地球に優しい構造となっていない。さらに、搬送時にウエハが動きやすい構造になっているために、搬送時にウエハを損傷し易いという問題もある。
【0008】
さらに、ウエハ裏面研削後にウエハ厚みが極薄になったウエハにおいては、極薄ウエハの表面だけでなく、ウエハ裏面に対しての加工(たとえば、ウエハ裏面加工歪除去)や検査を行うことがある。この場合ウエハを1枚ずつ取り出した後で、ウエハの上下を逆にする工程を設ける必要があり、作業性も悪く、ウエハも破損しやすくなるという問題もある。
【0009】
また、ウエハ裏面研削後にウエハ厚みが極薄になった場合、または/及びウエハが大口径の場合には、たとえウエハ表面保護フィルムが付着していても、またダイシングテープが付着していても、ウエハはフレキシビリティ(柔軟性)があり、ウエハ単独で平坦な状態を維持することは困難である。このため、ウエハ裏面研削後の工程を自動で搬送または処理することができず、人手が介在したり、ウエハに損傷を与える危険性が高いという問題がある。このため極めて高価なプロセスとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、微小な外力によって破損しやすい極薄ウエハを破損せずに出し入れすると同時に、搬送・処理することが可能な薄板保持(収納)容器を提供することである。また、大口径ウエハでも安全かつ確実に搬送、保管、処理等を行うことができるようにしたものである。
【0011】
薄板収納容器は、その両面にウエハを載置する載置面を有している。薄板収納容器の一方の面(上側面)におけるウエハ載置部が周縁部に対して凹状になっていて、薄板収納容器における他方の面(下側面)のウエハ載置部が周縁部に対して凸状になっている。ウエハ載置部は、柔軟材料(柔軟性材料)あるいは弾性高分子材料で形成されている。また、凹状になっているウエハ載置部と周縁部との側段部は、テーパー状になっている。
【0012】
各薄板収納容器には薄板収納容器同士を積層するために用いる、結合部(結合解除手段を含む)が搭載される。複数の薄板収納容器は、薄板収納容器上側面の周縁部と別の薄板収納容器下側面の周縁部とを重ねて積層することができる。薄板収納容器上側面の載置部の上に存在する凹部に、別の薄板収納容器下側面が凸状である載置部が入り込むようになっている。ウエハはこれら載置部の間に挟持して配置される。
【発明の効果】
【0013】
複数の薄板収納容器を積層した時に、上下の載置部の間にできる隙間、ウエハの厚み、及び載置部の材料の柔軟度または弾性度を最適化することにより、ウエハに損傷を与えずに上下の載置部の間にウエハを挟持し固定することができる。柔軟性の大きい材料の場合(柔軟性の大きい材料とは、弾性材料であって、弾性係数が小さい材料を言う。本出願については、以下、「柔軟性材料」と述べる。)薄板収納容器の上下における載置部の間にできる隙間がない状態でも、ウエハが載置部の柔軟性材料または/および弾性材料の間に埋め込まれた状態になりウエハが固定される。ウエハ厚みに対して、隙間がわずかに小さい場合でも、シールと載置部を構成する材料が有する弾性、またはシールを用いない場合は載置部を構成する材料のみが有する弾性により密着してウエハが挟持され固定される。
【0014】
薄板収納容器の凹部になっている側の周縁部側段部は上に開いた傾斜面、いわゆるテーパー状の傾斜面であるから、ウエハを載置部に載せる時に、ウエハ端部が傾斜面に当たっても、ウエハ端部に与える衝撃を最小にした状態でウエハを滑らせて、ウエハ全体を載置部に収納することが可能となる。
【0015】
複数の薄板収納容器は結合部で固定され、多段に薄板収納容器を積層できる。多段に積層した薄板収納容器は、一体で運搬や処理装置への搭載が可能である。情報処理手段等を取り付けることにより、薄板収納容器1枚の管理が可能であり、ウエハの枚葉管理もできる。また、薄板収納容器に付設された結合解除手段を用いて、多段に積層した薄板収納容器を任意の位置で分離することも可能である。ウエハを挟持し固定した薄板収納容器は上下逆にすることもできるので、ウエハの表面を処理した後で、ウエハの裏面処理も容易に行うことができる。ウエハ載置部の周囲にシール部(シール材およびシール受け溝)を設けることにより、薄板収納容器を積層した時に(上下の薄板収納容器を結合部で結合した時に)ウエハの収納部は気密が保持され、外部環境から保護される。従って、クリーン度の異なる場所にも自由に移動できる。スペーサー等のような消耗品はなく、薄板収納容器は繰返し使用可能であり、地球環境に優しく、ランニングコストが低いという利点もある。
【0016】
極薄のウエハでも薄板収納容器に確実に保持固定されていて、薄板収納容器に保護されているので、ウエハを損傷することなく収納して搬送・保管が可能となり、半導体製品の歩留まりを向上させることができる。
【0017】
ウエハ載置部に柔軟性高分子材料や弾性高分子材料を用いることにより、ウエハを載置するときの衝撃を軽減し、また結合時に固定厚みを充分確保して、ウエハを損傷せずに挟持することが可能となる。
【0018】
ウエハ載置部の弾性高分子材料に熱可塑性エラストマーを用いることによって、表面が微細凹凸構造の成形となるようにすることが容易となる。この結果、ウエハ載置部において、ウエハはウエハ載置部の材料と最小面積で接しかつ均等な力で押さえられるため、ウエハの損傷をなくすことができる。また、ウエハ載置部は、洗浄し易い構造とすることができ、クリーンな環境を維持できる。
【0019】
ウエハ載置部における弾性高分子材料に発泡高分子を用いることにより、より軽量化をはかることもできる。
【0020】
以上から、本発明の薄板収納容器を用いることにより、歩留まりの高いプロセスを構築できる。
【0021】
以上の他にも、本発明は以下のような効果もある。
【0022】
ウエハを挟持した薄板収納容器が工程中で滞留しても、工程間で清浄かつ安全にストックできるために、加工効率を向上させることができ、工程設計が容易になる。このことにより、工程間にウエハ(収納容器)やウエハ(収納容器)ケースをストックできるため、装置効率や処理効率を高めることができ、フレキシブル(柔軟)に工程設計が可能となる。
【0023】
薄板収納容器等に、バーコードや、RFタグ(Radio Frequency Tag)のような無線タグなどの情報表示手段を取り付けることが容易となり、ウエハの枚葉管理ができ、的確かつ正確な処理をウエハに施すことができる。また、ウエハのトレーサビリティを向上させることが可能となる。
【0024】
また、繰り返しになるが、工程間および工程内搬送や処理が自動化できるため、ウエハ(収納容器)検査や処理において、ウエハを破損することなく安全に行うことができ、加工歩留まりを向上させることができる。
【0025】
薄板収納容器は洗浄することで繰り返し使用することが可能であり、消耗品を極力少なくし、環境にやさしく、安価な製造が可能となるという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明において、ウエハとは主には半導体ウエハを指す。たとえば、半導体ウエハの材料は、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)などの単元素半導体材料や、シリコンゲルマニム(SiGe)や砒化ガリウム(GaAs)やインジウムリン(InP)等の化合物半導体材料や、GaAlAs等の3元系以上の半導体材料である。しかし、これらにかかわらず、絶縁物の上に半導体デバイスを形成したものも含まれる。たとえば、ガラスや石英やプラスチックなどの上に薄膜デバイスを作成したもの、ガラスや石英やプラスチックなどの上に半導体材料を貼りあわせたものである。あるいは、金属の上に絶縁物・半導体材料を貼りあわせたものも含まれる。さらには、プラスチック等の高分子材料も含まれる。
【0027】
半導体プロセスにおいて、ウエハの表面にトランジスタ等の能動素子、抵抗・コンデンサ・インダクタンス等の受動素子や配線・絶縁層等を形成し、半導体デバイスが作製される。本発明に適用される半導体デバイスとして、メモリ、CPU、システムIC、アナログIC、デジタルICなどがあるが、広義には単体の能動素子や受動素子も含まれる。すなわち、能動素子や受動素子を少なくとも1個以上含むものを表す。一般に半導体ウエハ上には、これらの半導体デバイスが多数形成され、個片(いわゆる、チップ)に切断された後に、用途に応じて種々の製品に搭載される。たとえば、半導体パッケージの場合には、リードフレームに搭載される。また回路基板に搭載され、携帯電話やICカードやPCなど種々の機器に用いられる場合もある。さらに、液晶や有機EL(エレクトロルミネッセンス)等の表示素子も含まれる。
【0028】
近年の最終製品は超小型化を要求されるものが多く、その傾向は今後も益々進化していくと予想できる。従って、それらの最終製品に搭載されるチップは非常に薄い厚みのものであることを要求される。チップの厚みを薄くするには、その前段階であるウエハを薄くする必要がある。ウエハを薄くするには、ウエハ上にデバイスが形成された後に、ウエハ裏面加工研削を行う。
【0029】
本発明は、ウエハ裏面研削等により、薄くなったウエハを搭載できる薄板収納容器に関する。しかし、これらの薄いウエハに限らず、通常の厚みのウエハにも適用できる。本発明の説明においては、主に「薄板収納容器」を用いているが、同様の意味として、「ウエハトレイ」「ウエハ支持トレイ」、「ウエハ保持トレイ」などの用語が一般に用いられている。また、「ウエハ」のかわりに、「薄板」や「(ウエハまたは薄板)基板」なども使用される。さらに「収納容器」のかわりに、「キャリヤ」、「運搬具」、「容器」や「トレイ」なども使われている。
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態を示す薄板収納容器の模式図である。図1(a)は正面図、図1(b)は上側平面図、図1(c)は下側平面図、図1(d)は薄板収納容器にウエハを搭載し薄板収納容器を2枚重ねた場合の正面図である。
【0031】
第1の実施形態における薄板収納容器1の形状は平板状である。すなわち、ウエハを載置する場所(以下、ウエハ載置部)3を含む表および裏の表面形状は平面状となっている。第1の実施形態の特徴は、この平板状の上側面及び下側面におけるウエハ載置部3の全面が柔軟性材料または/および弾性材料で形成されていることである。すなわち、図1(a)に示すように、薄板収納容器1は、薄板収納容器本体2およびウエハ載置部3からなる。薄板収納容器1の一方の面(上側面)のウエハ載置部3を第1載置部3A、薄板収納容器1の他の面(下側面)の薄板収納容器場所3を第2載置部3Bとする。ウエハ載置部3は柔軟性材料または/および弾性材料で形成されている。薄板収納容器本体2は、薄板収納容器1を変形させない程度の強度が必要である。
【0032】
ウエハ載置部3には、常にウエハを載置できる状態にあることが必要であるから、ウエハ載置部3の大きさは実際のウエハの形状よりも大きい。すなわち、ウエハサイズもある程度ばらつく(300mmサイズのウエハであれば、5mm程度は変動する)し、ウエハを載置する時の余裕度もある程度見込む必要がある。図1(b)および図1(c)に、ウエハをウエハ載置部3に載置する時の実際のウエハ位置を点線で記載している。第1の実施形態では、ウエハ形状は円弧状である。また、それに合わせてウエハ載置部3は円形状になっている。しかし、ウエハ位置が含まれるのであれば、ウエハ載置部の形状はウエハ形状より大きい(すなわち、ウエハ形状を含む)四角形状やその他の形状でも良い。あるいは、ウエハ形状が四角形状やその他の形状でも本発明を適用できる。たとえば、表示デバイスを形成するウエハ(この場合は、基板と呼ぶ方が適当である)では、一般には四角形状である。このようなウエハ形状の場合には、ウエハ載置部の形状は、そのウエハ形状を含む形状、たとえば、四角形状や円形状、でも良い。
【0033】
図1(c)は、薄板収納容器1の下側平面図である。薄板収納容器を重ねた時に適合するように、第2載置部3B、フック挿入溝6、シール受け溝8などが配置される。
【0034】
図1(d)は、実際にウエハ4を薄板収納容器(上の薄板収納容器を10、下の薄板収納容器を1とする)に搭載し2枚重ねた時の模式図である。ウエハ4は薄板収納容器1の第1載置部3Aの上に載置され、薄板収納容器10を薄板収納容器1に重ねた時には、ウエハ上面は薄板収納容器10の第2載置部3Bにも配置される。すなわち、第1載置部3Aと第2載置部3Bとは、薄板収納容器を重ねた時に、相対するような位置関係にある。
【0035】
薄板収納容器1には図1(a)および(b)に示すような、上側面1Aの第1載置部の外側部分にフック5(図1(b)に示すように、薄板収納容器1の4箇所に配置されている)がついている。また、下側面1Bの第2載置部3Bの外側には、フック挿入溝6(図1(c)に示すように、薄板収納容器の4箇所に配置されていて、薄板収納容器を重ねた時に、上側面1Aのフックと同じ位置に配置されている)がついている。薄板収納容器10と薄板収納容器1とを重ねた時に、薄板収納容器1の上側面のフック5が薄板収納容器10の下側面のフック挿入溝6に入り込み、薄板収納容器2枚が一体になり固定される。
【0036】
従って、薄板収納容器10と薄板収納容器1とを重ねた時には、ウエハ4は薄板収納容器1の第1載置部3Aと薄板収納容器10の第2載置部3Bとに挟まれて固定される。ウエハ載置部3は、ウエハ材料に比較し、柔軟性材料または弾性材料なので、ウエハ4はウエハ載置部に埋め込まれるような状態あるいは沈みこむような状態あるいは載置部がへこむような状態となり固定される。すなわち、ウエハは第1載置部と第2載置部とに挟持される。ウエハはある程度の厚みがある(極薄ウエハの場合は、10μm〜200μm、通常ウエハの場合は、200μm以上)が、ウエハ厚みに応じて、載置部への埋め込みが充分になるように、載置部の材料を選択すればよい。ここで述べる充分な埋め込みとは、必ずしもウエハ4がウエハ載置部に完全に取り囲まれ固定されるということだけではなく、ウエハの1部分だけがウエハ載置部に入り込み固定されるということや載置部が少しへこむということも含む。あるいは、ウエハが固定されるのであれば、ウエハが全くウエハ載置部に入り込む必要もない。ウエハの1部または全部がウエハ載置部に入り込まない場合には、2枚の薄板収納容器には少し隙間が存在する。このような場合の薄板収納容器の積層においてもウエハを損傷させずにウエハを確実に固定するには、フック5の大きさや高さを調整することにより達成できる。極薄ウエハは、ウエハの反りが発生している場合もあるが、その反りをある程度または完全に矯正しながら載置部において挟み込むことも可能である。以上のように、ウエハの厚みやウエハの反りの程度に応じて、載置部の材料やフックの大きさを選定すればよい。
【0037】
第1の実施形態においては、載置部3を囲むように、シール材7とシール受け溝8が配置されている。すなわち、薄板収納容器1の上側面1Aにおける第1載置部3Aの周囲にはシール材7があり、薄板収納容器1の下側面1Bにおける第2載置部3Bの周囲にはシール受け溝8がある。薄板収納容器を重ねた時に、シール材7はシール受け溝8に嵌合するようになっていて、シール材に囲まれた載置部が密閉される。従って、ウエハは外部から隔離された状態となり、外部環境から保護される。たとえば、クリーン度の良好な環境でウエハを挟持した場合には、クリーン度の劣悪な環境へ運搬されても、ウエハはもとのクリーンな状況を保持することができる。逆に言えば、常に同一の環境に置かれるのであれば必ずしも、シール部は必要がない。あるいは、シール材だけで目的とする、ある程度の気密さを保持できる場合は、シール受け溝は必要がない。
【0038】
第1の実施例においては、図1(b)および(c)に示すように、シール部(シール材およびシール受け溝)は円形状にウエハ載置部を取り囲んでいるが、ウエハ載置部を取り囲むのであれば、必ずしも円形である必要はなく、四角形状や他の形状でも良い。
【0039】
フックおよびフック挿入溝は、第1の実施形態の場合と互いに逆の面に設置されていても良い。シール材およびシール受け溝についても、第1の実施形態の場合と互いに逆の面に設置されていても良い。
【0040】
また、薄板収納容器を単に積み重ねておくだけならば、薄板収納容器の結合部分であるフック部分(フックおよびフック挿入溝)も必要がない。薄板収納容器を重ねて固定する方法として、フック部分を用いる方法以外に、薄板収納容器を外側から挟む(いわゆる、クランプする)方法もある。
【0041】
以上の本発明の薄板収納容器を用いれば、多数枚の薄板収納容器を連結することが可能となる。また、ウエハを挟持し固定した薄板収納容器は、ウエハを保護しているので、運搬時やハンドリング時において、ウエハを損傷することがない。
【0042】
第1の実施例においては、図1(b)および(c)に示すように、薄板収納容器の平面形状は円形状であるが、必ずしも円形状である必要はなく、四角形状やその他の形状でも良い。薄板収納容器の形状は、運搬方法や、装置にセットする方法などによって、最適に設計することができる。
【0043】
図2は、本発明の第2の実施形態における模式図を示す。第2の実施形態の特徴は、ウエハ載置部とその周辺(周縁)部との高さが異なっていて、薄板収納容器の形状が平板状でないことである。図2に示すように、第2の実施形態の薄板収納容器21は、ウエハを保持するための載置部、載置部を取り囲んで構成される周縁部、および載置部と周縁部との間の傾斜面から構成されている。図2(a)に示すように、薄板収納容器の一方の面(上側面)における第1載置部23Aは周縁部25Aに対して凹状になっている。すなわち、第1載置部23Aは周縁部25Aに対して低くなっている。周縁部25Aと第1載置部23Aとの間の周縁部側段部は、外側(あるいは、上側)に開いた傾斜面26Aとなっている。このような傾斜面とすることによって、第1載置部23Aにウエハを載せる時に、ウエハ端部が傾斜面26Aに当たっても、ウエハ端部に与える影響(衝撃)を少なくした状態で、ウエハを滑らせて、ウエハ全体を第1載置部23Aに収納することが可能となる。傾斜面26Aの角度は、好適にはその衝撃を最小にし、かつウエハがうまく滑ってウエハ全体を第1載置部23Aに収納されるように、選択される。傾斜面の材料も、衝撃を少なくし、かつウエハの滑りやすいものが望ましい。
【0044】
薄板収納容器21の下側の面に関しては、第2載置部23Bは周縁部25Bに対して、凸状になっている。第2載置部23Bも柔軟性材料または/および弾性材料で形成されている。
【0045】
図2(b)は、第2の実施形態における上側面の平面図である。
【0046】
図2(c)は、ウエハが載置されていない状態で、薄板収納容器を2枚重ねて固定した場合を示す図である。薄板収納容器21の周縁部25Aと薄板収納容器30の周縁部25Bとは適合し重なるようになっている。また、薄板収納容器30の下側面の凸部は、薄板収納容器21の凹部に入り込むようになっている。その際に、薄板収納容器30の傾斜面26Bは薄板収納容器21の傾斜面26Aと接することが望ましいが、図2(c)に示すような少しの隙間があっても良い。また、ウエハが載置されていない状態では、薄板収納容器21における第1載置部23Aと薄板収納容器30における第2載置部23Bとの間には、所定の隙間29が形成される。この隙間29はウエハが載置部に載置された時に、ウエハが損傷を受けずに、しかも上下の載置部にしっかりと挟持される程度のものに設計される。載置部における材料の柔軟性の程度によっては、隙間29がなくても良い場合がある。
【0047】
図2(d)は、ウエハ24が2枚の薄板収納容器(21、30)に挟持された状態を示す図である。第1載置部23A上に載置されたウエハ24の上にもう1枚の薄板収納容器30における第2載置部23Bが接触(載置)し、ウエハ24は薄板収納容器21における第1載置部23Aと薄板収納容器30における第2載置部23Bとに挟持されている。載置部の材料は柔軟性材料、または/および弾性材料で形成されているので、ウエハ24に損傷を与えずに挟持できる。ウエハ24に損傷を与えないような材料を載置部に使用して、ウエハ24が載置部に埋め込まれるように挟持することもできる。この場合は、隙間29を殆どなくすか、全くなくすこともできる。たとえば、スポンジ状の高分子材料を載置部に用いる場合には、ウエハがスポンジ状の材料の中に入り込むような状態あるいは埋め込まれたような状態にすることができるので、隙間29がなくてもウエハを全く損傷せずに、ウエハを固定できる。この場合には、ウエハに反りが発生していたとしても反りの入った状態でウエハを固定することが可能である。ウエハを埋め込んだ状態にするには、載置部の厚みは、ウエハ厚みやウエハの反り量よりも大きいことが必要である。
【0048】
あるいは、載置部の適度な弾性を有する材料を載置部に使用して、ウエハ24が固定し動かない程度に軽く押さえつけることも可能である。この場合は、隙間29をウエハ厚みより少し小さめに設計できる。
【0049】
隙間29は、周縁部25Aと第1載置部との高さ方向の距離や周縁部25Bと第2載置部との高さ方向の距離などによって決まる。この隙間、ウエハの厚み、材料の特性、およびウエハの特性などを総合的に検討して最適化する必要がある。ウエハに反りがある場合には、ウエハの反り量も関係する。ウエハの厚みの変動や反り量の変化に対応できるものとしては、ウエハをある程度または全部埋め込みできるような柔軟性材料が望ましい。このような材料の場合には、隙間29をなくしても(理論上は隙間がマイナス方向になる場合も含める)、薄板収納容器を重ねることも可能であるし、ウエハを載置した薄板収納容器についても確実に重ねて固定し、しかもウエハも損傷させずに固定できる。
【0050】
図2においては、フック部等の薄板収納容器を結合する部分を示していないが、図1に示す場合と同様に結合部を設けることもできる。但し、図1における平板状の薄板収納容器に比較して、第2の実施形態の薄板収納容器は積み重ねただけで軽く固定できるので、薄板収納容器の使用方法や運搬方法によっては、固定する部分を設置しなくても良い場合がある。さらに、図2における第2の実施形態においては、シール部も示されていないが、第1の実施形態と同様にシール部を設けることが可能であるし、薄板収納容器の使用環境によってはシール部を設けなくても良い。
【0051】
図3は、第3の実施形態を示す模式図である。第3の実施形態は、図2に示した実施形態と類似するが、薄板収納容器31の凹部に段差がありその段差部分(載置台と言っても良い)38が第1載置部となっている。このような構造にすると、凹部に第1載置部33Aを形成することが容易である。すなわち、薄板収納容器の凹部を形成した後に、段差部分38Aおよび第1載置部33Aを付着して作ることもでき、極めて簡単に第1載置部33Aを形成することが可能となる。第2載置部33Bは、第1載置部33Aに合わせて段差部分38Bを有して凸状に形成されている。この段差部分38Bおよび第2載置部33Bの形成も上記と同様に容易である。厚みの異なる載置部を容易に作製できるので、ウエハ厚みが異なった場合やウエハに反りが発生している場合でも対応が容易である。図3(b)に2枚の薄板収納容器(31、40)を重ねた時の状態を示す。ウエハの厚み、ウエハの反りなどの状態あるいは載置部の材料などを考慮して、段差部分や載置部の厚みを決定する必要がある。薄板収納容器の積み重ねやウエハの固定方法は、第2の実施形態と同様である。尚、段差部分38Aおよび38Bは第1載置部33Aおよび第2載置部33Bと兼用して形成できることは言うまでもない。
【0052】
図4は、第4の実施形態を示す模式図である。第4の実施形態も、図2に示した実施形態と類似するが、第1載置部における柔軟性材料または/および弾性材料が部分的に凸状に存在することが特徴である。図4(a)に示すように、薄板収納容器41の上側面の凹状部分に第1載置部43Aが部分的に凸状に多数存在する。第1載置部43Aは柔軟性材料または/および弾性材料からなる。この柔軟性材料または/および弾性材料は、ウエハが均等に押圧されるように、多数個が均等に配置される。図2の実施形態における第1載置部が部分的に存在しない場合と考えることもできる。柔軟性材料または/および弾性材料の高さはそろっていて、ウエハが多数の柔軟性材料または/および弾性材料に均等にあたるようになっている。薄板収納容器の下側面が凸状部分となっている第2載置部43Bにも部分的に凸状に柔軟性材料または/および弾性材料が存在する。この柔軟性材料または/および弾性材料は、ウエハが均等に押圧されるように、多数配置される。図2の実施形態における第2載置部が部分的に存在しない場合と考えることもできる。
【0053】
図4(b)は、薄板収納容器41の上側面の平面図である。ウエハ載置部に多数の柔軟性材料または/および弾性材料が存在する。この上にウエハが載置されるが、柔軟性材料または/および弾性材料がウエハに均等にあたるようになっている。
【0054】
図4(c)は、2枚の薄板収納容器(41、50)を積み重ねた状態を示した図である。ウエハ44が薄板収納容器41における第1載置部43Aの柔軟性材料または/および弾性材料と薄板収納容器50における第2載置部43Bの柔軟性材料または/および弾性材料とに挟持され固定される。図2や図3において、載置部の柔軟性材料または/および弾性材料が部分的にない場合と考えることができる。柔軟性材料または/および弾性材料によって、ウエハは上下から均等に挟持されるので、ウエハが損傷することなく確実に固定できる。図4に示す実施形態では、載置部の形状を円柱状にしているが、このような部分的な載置部の形状は、これに限られない。たとえば、四角柱形状や三角柱形状でも良い。あるいは、網目状の載置部でも良い。ウエハが均等に押圧され、損傷せずにウエハを固定できれば良い。尚、フック部やシール部やその他の内容については、第1〜第3の実施形態の説明と同様である。
【0055】
これまでに示した実施形態については、それぞれ矛盾しない内容については組合せが可能であることは言うまでもない。図5にその組合せの1例を示す。図5における実施形態では、薄板収納容器51における第1載置部53Aは、上側面の凹状部分に存在する。また、第2載置部53Bが存在する下側面は、平坦状になっている。この第5の実施形態は、第1の実施形態の薄板収納容器における下側面と第2の実施形態の薄板収納容器における上側面とを組合せたものと考えることができる。図5(b)は、本実施形態の薄板収納容器を2枚重ねて固定した場合の状態を示す図である。第5の実施形態では、ウエハを薄板収納容器51における第1載置部に搭載した場合に、薄板収納容器51における上側面の周縁部55Aに対して、ウエハの上面はある程度上に出ている必要がある。そうでないと薄板収納容器を重ねた時にウエハを固定できないからである。そのように設計することにより、ウエハ54は、薄板収納容器51の載置部53Aと薄板収納容器60の第2載置部53Bとに挟持され固定される。その他の内容については、第1〜第4の実施形態と同様である。
【0056】
薄板収納容器の載置部に用いられる材料として以下の材料が挙げられる。
【0057】
柔軟性材料としては、たとえば、弾性材料の中でも、弾性係数の小さなスポンジ状の柔らかい材料で、ウエハを押圧してもウエハに損傷を与えない材料である。このような材料は、ウエハのまわりを包み込み、ウエハを最小面積で接触し保持し固定できる。具体的には、PU(ポリウレタン)やPE(ポリエチレン)やPET(ポリエチレンテレフタレート)やPS(ポリスチレン)などの発泡高分子材料等が挙げられる。
【0058】
弾性材料としては、弾性高分子材料等が挙げられる。弾性高分子材料としては、熱可塑性エラストマーや発泡高分子材料やフッ素樹脂や潤滑性高分子などがある。熱可塑性エラストマーの例としては、PEE(ポリエステルエラストマー)、PUE(ポリウレタンエラストマー)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PSE(ポリスチレンエラストマー)、PBTE(ポリブチレンテレフタレートエラストマー)やPBNE(ポリブチレンナフタレートエラストマー)等が挙げられる。フッ素樹脂の例として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)等が挙げられる。これらの材料は表面が微細な凹凸で形成されていて、ウエハとの接触面積も小さく、ウエハと接触してもゆるやかに反発する。また、ウエハに対して均等に接触し、ウエハに対して均一に押圧するので、ウエハに及ぼす損傷は非常に小さい。発泡高分子材料は、柔軟性材料の所で述べたものと同様である。また、発泡高分子材料を使用した場合には、密度が小さく軽量化をはかることもできる。潤滑性高分子の例として、PBT(ポリブチレンテレフタレート)やPBN(ポリブチレンナフタレート)等がある。これらの潤滑性高分子は、滑りやすいという特性を持つので、ウエハの端部が傾斜面などにおかれた時に滑って、目標のウエハ載置部にうまくウエハを載置できるという利点もある。
【0059】
また、薄板収納容器に用いられる材料として、PC(ポリカーボネート)系樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)系樹脂、PP(ポリプロピレン)系樹脂などの熱可塑性高分子材料やフッ素系樹脂などがある。
【0060】
薄板収納容器は一般にはある程度の強度が必要なので、薄板収納容器のウエハ載置部とその他の薄板収納容器本体とは異なる性質を有する材料を用いることが望ましい。載置部に用いられる高分子材料を薄板収納容器本体の高分子材料に取り付ける方法として、熱融着や表面シボ加工などがある。尚、本実施例では「シート」と記載しているが、載置台の上に、柔軟性材料または/および弾性材料の薄膜を積層したものでも良いし、載置台の材料を柔軟性材料または/および弾性材料に改質したものなども含まれる。
【0061】
ウエハ上に素子等が形成されている場合には、静電気対策や帯電防止が必要となる場合がある。上述の高分子にカーボンファイバーや金属パウダーなどの導電材料を混合したり、界面活性剤を混合したりすることによって、静電気対策や帯電防止を実現できる。
【0062】
尚、上述した各実施形態において説明した内容の中で記載しなかった点に関して、各々の実施形態同士が矛盾しない範囲内で、各実施形態に適用できる。
【実施例】
【0063】
図6は、本発明の実施例を示す図である。図6(a)は、本発明の薄板収納容器の横方向(正面)断面図である。図6(b)は、本発明の薄板収納容器における上側面の平面図である。図6(c)は、2枚の薄板収納容器にウエハを載置する様子を示す図である。
【0064】
図6(a)の薄板収納容器の横方向断面図の形状は、第3の実施形態に類似している。図6に示す薄板収納容器61は、両面にウエハを保持するための載置部と載置部を取り囲んで構成される周縁部とから構成されている。周縁部と載置部とは段部で区別されている。薄板収納容器61の上側面における載置部の一方の表面(第1載置部)63Aは薄板収納容器61における上側面の周縁部65Aに対して凹状になっていて、ウエハ載置面は平坦である。薄板収納容器61における下側面の載置部(第2載置部)63Bは薄板収納容器61における下側面の周縁部65Bに対して凸状になっていて、ウエハ載置面はやはり平坦である。第1載置部63Aと第1周縁部65Aとの間の側段部は外側に開いた傾斜面66Aになっていて、いわゆるテーパー状になっている。第1載置部63Aは傾斜面66Aのテーパ状が切れた所の近傍で段部76があり、いわゆる載置台77となっている。載置台には柔軟性材料または/および弾性材料で形成された板状のシートが付いている。ウエハが第1の載置部に配置される時に、少しずれてウエハ端部がテーパー部にかかったとしても、ウエハ端部がテーパー部から滑って載置台上の柔軟性材料または/および弾性材料の上に載るようになっている。
【0065】
図6(c)に示すように、ウエハ64は2枚の薄板収納容器(61および70)に挟持されて固定される。すなわち、ウエハ64は、下の薄板収納容器61の第1載置部63Aにおける載置台上の柔軟性材料または/および弾性材料で作成されたシートと上の薄板収納容器70の第2載置部63Bの載置台上の柔軟性材料または/および弾性材料で作成されたシートとに挟持される。上下の薄板収納容器を固定するには、図6(b)に示すように下の薄板収納容器61に取り付けられているフック69を上の薄板収納容器70の下側面に取り付けられている対のフック挿入溝74と嵌合させることにより、行う。フック部分(薄板収納容器結合部分)は、フック69とフック挿入溝74以外に脱着操作孔75も付いていて、薄板収納容器を結合したり、結合を解除したりできるようになっている。
【0066】
これまでの実施形態では、ウエハを1枚載置する場合を主に説明してきたが、ウエハを複数枚重ねる場合やウエハを複数枚平面的に並べて配置する場合にも本発明の薄板収納容器を適用できることは言うまでもない。
【0067】
図6に示す実施例では、ウエハ載置部はウエハ形状に合わせた円形状をしているが、薄板収納容器61の平面形状は四角形状で、4隅の角部は円弧状になっている。しかし、この形状に限らず、薄板収納容器の形状は、運搬や作業に適する形状とすることが可能である。第1載置部63Aの周囲はシール材67が囲んでいる。薄板収納容器61の下側には、このシール材67を保持するための溝であるシール受け溝68が存在する。2枚の薄板収納容器を重ねた時に、シール材67はシール受け溝68に嵌合され、薄板収納容器61の第1載置部63Aと薄板収納容器70の第2載置部63Bとシール部(シール材67とシール受け溝68とで構成される)とで収納空間が構成される。この収納空間は、外部環境から隔離して気密が保持される。ウエハ64はこの収納空間に挟持され固定される。尚、収納空間には、少なくとも1枚のウエハを収納可能な大きさ(厚み)に設定できる。収納空間は、用途に応じて、2枚以上のウエハを同時に収納する場合もある。この場合、収納空間は、2枚重ね又はそれ以上重ねたウエハの厚さに応じた寸法に設定される。具体的には、シール材67の厚み及び結合・解除手段(フック部)のフック69の長さを調整して、収納空間の高さをウエハの合計の厚さに合わせて設定する。但し、載置部の材料の柔軟性が大きければ、ウエハはその材料に沈みこむので、その分を考慮して、調整する。また、薄板収納容器61の第1載置部63Aおよび薄板収納容器70の第2載置部63Bがウエハ64を押圧する押圧力は、フック69の長さを微調整することにより調整することができる。
【0068】
図6に示す実施例には、以上の他に装置位置決め溝71、薄板収納容器位置決めピン72、薄板収納容器位置決め孔、及び把持部73が付いている。装置位置決め溝71は、把持部73の中央部付近に設けられていて、薄板収納容器61の左右方向の位置決めをするためのV字型溝である。この装置位置決め溝71は、たとえば、互いに傾斜した2つの傾斜面を備えて構成されている。装置位置決め溝71は、搬送装置や機械装置側の位置決め機構(たとえば、V字型)に嵌合して、薄板収納容器61の左右方向の位置決めを行えるようになっている。把持部73は薄板収納容器を上下に持ち上げたりする時に使用でき、これにより薄板収納容器の上下方向を位置決めできる。このように、装置位置決め溝71と把持部73とによって、薄板収納容器を3次元空間の特定位置に正確に位置決めすることが可能となる。具体的には、装置位置決め溝71は、薄板収納容器を搬送したり、機械装置にセットしてプロセスを行ったりする時に、搬送装置側や機械装置側の装置位置決めピンなどと適合し、薄板収納容器位置を定めるために使用される。把持部も薄板収納容器を搬送したり、機械装置にセットしてプロセスを行ったりする時に、搬送装置側や機械装置側の受け渡しのために使用される。
【0069】
薄板収納容器位置決めピン72は、薄板収納容器を積層したときに、積層された各々の薄板収納容器間における位置ずれを防止するためのピンである。図6に示す実施例においては、薄板収納容器位置決めピン72は、薄板収納容器61の上側面に、四角形状の薄板収納容器における4つの辺の中央位置に4箇所設けられている。図6においては示されていないが、薄板収納容器位置決め溝が薄板収納容器の下側面に、薄板収納容器位置決めピンに対応するために、やはり四角形状の薄板収納容器における4辺の中央位置に3箇所設けられている。薄板収納容器が積層するときに、積層された各薄板収納容器の結合時に、上下の薄板収納容器61の薄板収納容器位置決めピンと薄板収納容器位置決め孔とが互いに嵌合して、各薄板収納容器61の間の位置ずれを防止する。これにより、薄板収納容器61を積層する際に、各薄板収納容器を正確に位置決めしながら積層することができる。また、位置決めピン72を非対称な3箇所に設けることによって、薄板収納容器の結合の向きを一意に決めることが可能となる。
【0070】
図7は、本発明の別の実施例を示す図である。図7には、薄板収納容器81の一方の面における載置部の表面形状のみを示す。本実施例は、第1および第4の実施形態を組み合わせた実施例である。すなわち、載置部は、多数の載置凸部82となっている。この載置凸部82は、薄板収納容器81の一方の面における載置部(第1載置部)または薄板収納容器81の他方の面における載置部(第2載置部)またはその双方に設けられている。載置凸部は凸状の材料で形成される。また、載置凸部82は、同心円状に網目状に形成されている。ウエハが薄板収納容器に挟持される時には、ウエハは、載置凸部によって、部分的に押さえられて固定される。網目状に載置凸部を設けることにより、ウエハはより少ない面積で押さえられ固定されるので、局部的に力がかからず均等に押圧される。また、載置凸部のウエハへの接触面積を小さくできるので、微小傷対策やパーティクル・ゴミ等の付着を最小化することが可能である。尚、この網目状をより細かくすることにより、一箇所にかかる力を少なくし、より均等にウエハを押圧することも可能となる。その結果、ウエハへの損傷を殆ど発生させないようにすることが可能となる。
【0071】
各薄板収納容器に、情報表示手段を取り付けてウエハ毎の管理やプロセス管理が可能である。情報表示手段としては、1次元または2次元バーコードや無線タグ(RF(Radio Frequency)タグ)などが挙げられる。最近の情報表示手段は、非常に小さくなっているので少しのスペースがあれば取付けが可能で、薄板収納容器のあいている場所のどこにでも搭載可能である。これらの表示手段を取り付けることにより、種々のプロセス情報を書き込んだり、読み込んだりできる。その情報に従って、プロセスの条件を変更することも可能となる。薄板収納容器毎に情報表示手段を取り付けることができるので、ウエハの枚葉管理もできる。従って、種々のデバイスを混在して流動を可能とできるなど、自由度の高い製造ラインを作ることが可能となる。たとえば、本発明の薄板収納容器を用いると、ダイシング工程においても、ウエハ1枚ごとに、ダイシングの条件を変更可能である。また、電気特性検査においても、1枚ごとに異なったデバイスの検査が可能となる。さらに、1枚のウエハ内のチップ毎に検査条件の変更も可能である。加工処理能力の異なる場合などによりウエハが工程間で滞留しても、1枚ごとに誤りなく情報を把握できる。また、情報を保管することも容易となるので、薄板収納容器を使用してプロセスを行ったウエハについては、トレーサビリティも高くなり、信頼性の高い製品を作製できる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、半導体プロセス等におけるウエハプロセスにおいて、利用することができる。特に、極薄ウエハや大口径ウエハを用いる半導体産業において、利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1(a)】図1(a)は、本発明の薄板収納容器に係る第1の実施形態を示す図である。
【図1(b)】図1(b)は、本発明の薄板収納容器に係る第1の実施形態を示す図である。
【図1(c)】図1(c)は、本発明の薄板収納容器に係る第1の実施形態を示す図である。
【図1(d)】図1(d)は、本発明の薄板収納容器に係る第1の実施形態を示す図である。
【図2(a)】図2(a)は、本発明の薄板収納容器に係る第2の実施形態を示す図である。
【図2(b)】図2(b)は、本発明の薄板収納容器に係る第2の実施形態を示す図である。
【図2(c)】図2(c)は、本発明の薄板収納容器に係る第2の実施形態を示す図である。
【図2(d)】図2(d)は、本発明の薄板収納容器に係る第2の実施形態を示す図である。
【図3(a)】図3(a)は、本発明の薄板収納容器に係る第3の実施形態を示す図である。
【図3(b)】図3(b)は、本発明の薄板収納容器に係る第3の実施形態を示す図である。
【図4(a)】図4(a)は、本発明の薄板収納容器に係る第4の実施形態を示す図である。
【図4(b)】図4(b)は、本発明の薄板収納容器に係る第4の実施形態を示す図である。
【図4(c)】図4(c)は、本発明の薄板収納容器に係る第4の実施形態を示す図である。
【図5(a)】図5(a)は、本発明の薄板収納容器に係る第5の実施形態を示す図である。
【図5(b)】図5(b)は、本発明の薄板収納容器に係る第5の実施形態を示す図である。
【図6(a)】図6(a)は、本発明の薄板収納容器に係る実施例を示す図である。
【図6(b)】図6(b)は、本発明の薄板収納容器に係る実施例を示す図である。
【図6(c)】図6(c)は、本発明の薄板収納容器に係る実施例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の薄板収納容器に係る別の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1・・・薄板収納容器、2・・・薄板収納容器本体、3・・・ウエハ載置部、
3A・・・第1(ウエハ)載置部、3B・・・第2(ウエハ)載置部、4・・・ウエハ、
5・・・フック、6・・・フック挿入溝、7・・シール材、8・・シール受け溝、
10・・薄板収納容器、
21・・・薄板収納容器、22・・・薄板収納容器本体、23・・・ウエハ載置部、
23A・・・第1載置部、23B・・・第2載置部、24・・・ウエハ、
25A・・(薄板収納容器上側面の)周縁部、25B・・(薄板収納容器下側面の)周縁部、
26A・・(薄板収納容器上側面の)傾斜面、26B・・(薄板収納容器下側面の)傾斜面、
29・・・隙間、30・・・薄板収納容器、
31・・・薄板収納容器、32・・・薄板収納容器本体、33A・・・第1載置部、
33B・・・第2載置部、35A・・・(薄板収納容器上側面の)周縁部、
35B・・(薄板収納容器下側面の)周縁部、36A・・(薄板収納容器上側面の)傾斜面、
38A・(薄板収納容器上側面の)段差部分、38B・(薄板収納容器下側面の)段差部分
41・・薄板収納容器、43A・・第1載置部、43B・・第2載置部、44・・ウエハ、
50・・・薄板収納容器、51・・・薄板収納容器、53A・・・第1載置部、
53B・・・第2載置部、54・・・ウエハ、55A・・(薄板収納容器上側面の)周縁部、
60・・・薄板収納容器、61・・・薄板収納容器、63A・・・第1載置部、
63B・・・第2載置部、64・・・ウエハ、65A・・(薄板収納容器上側面の)周縁部、
65B・・・(薄板収納容器下側面の)周縁部、66A・・・傾斜面、67・・・シール材、
68・・・シール受け溝、69・・・フック、70・・薄板収納容器、
71・・装置位置決め溝、72・・・装置位置決めピン、73・・・把持部、
74・・・フック挿入溝、75・・・脱着操作孔、76・・・段部、77・・・載置台
81・・・薄板収納容器、82・・・載置凸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを載置するウエハ載置部を上側面と下側面とに各々少なくとも一つ以上有する薄板収納容器であって、上側面のウエハ載置部は、上側面の周縁部に対して凹状に形成されていて、前記ウエハ載置部と周縁部との間にある側段部は外側に開いた傾斜面であることを特徴とする薄板収納容器。
【請求項2】
下側面のウエハ載置部は、下側面の周縁部に対して凸状に形成されていることを特徴とする、請求項1記載の薄板収納容器。
【請求項3】
薄板収納容器の上側面の周縁部に対して、薄板収納容器の下側面の周縁部が重なり、下側面の凸状部分は上側面の凹状部分に入り込む形状となっていることを特徴とする、請求項1および2記載の薄板収納容器。
【請求項4】
ウエハを載置するウエハ載置部が、ウエハ載置位置に対して一部または全面に存在することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項5】
ウエハを載置するウエハ載置部が、ウエハ載置位置に対して一部に凸状に存在することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項6】
ウエハをウエハ載置部に載置して、薄板収納容器を複数枚重ねて結合した場合において、ウエハは、ウエハの上面および下面に接触する、2つの上下に重なる薄板収納容器におけるウエハ載置部によって挟持され固定されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項7】
ウエハをウエハ載置部に載置して、薄板収納容器を複数枚重ねて結合した場合において、ウエハは、ウエハの上面および下面に接触する、2つの上下に重なる薄板収納容器におけるウエハ載置部の中に埋め込まれた状態で固定されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項8】
複数の薄板収納容器を重ねた場合において、一つの薄板収納容器における上側面のウエハ載置部と他方の薄板収納容器における下側面のウエハ載置部との間の隙間がウエハ厚みより小さいことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項9】
複数の薄板収納容器を重ねた場合において、一つの薄板収納容器における上側面のウエハ載置部と他方の薄板収納容器における下側面のウエハ載置部との間に隙間がないことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項10】
ウエハ載置部は、弾性高分子材料を含む材料で形成されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項11】
弾性高分子材料は、熱可塑性エラストマーまたは発泡高分子材料を含む材料であることを特徴とする、請求項10記載の薄板収納容器。
【請求項12】
ウエハ載置部は、潤滑性高分子材料を含む材料で形成されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項13】
ウエハを載置するウエハ載置部を上側面と下側面とに各々少なくとも一つ以上有する薄板収納容器であって、ウエハ載置部は柔軟性材料で形成されていることを特徴とする薄板収納容器。
【請求項14】
ウエハをウエハ載置部に載置して、薄板収納容器を複数枚重ねて結合した場合において、ウエハは、ウエハの上面および下面に接触する2つの上下に重なる薄板収納容器のウエハ載置部によって挟持され固定されることを特徴とする、請求項13記載の薄板収納容器。
【請求項15】
ウエハをウエハ載置部に載置して、薄板収納容器を複数枚重ねて結合した場合において、ウエハは、ウエハの上面および下面に接触する2つの上下に重なる薄板収納容器のウエハ載置部の中に埋め込まれた状態で固定されることを特徴とする、請求項13記載の薄板収納容器。
【請求項16】
柔軟性材料は発泡高分子材料を含む材料であることを特徴とする、請求項13〜15のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項1】
ウエハを載置するウエハ載置部を上側面と下側面とに各々少なくとも一つ以上有する薄板収納容器であって、上側面のウエハ載置部は、上側面の周縁部に対して凹状に形成されていて、前記ウエハ載置部と周縁部との間にある側段部は外側に開いた傾斜面であることを特徴とする薄板収納容器。
【請求項2】
下側面のウエハ載置部は、下側面の周縁部に対して凸状に形成されていることを特徴とする、請求項1記載の薄板収納容器。
【請求項3】
薄板収納容器の上側面の周縁部に対して、薄板収納容器の下側面の周縁部が重なり、下側面の凸状部分は上側面の凹状部分に入り込む形状となっていることを特徴とする、請求項1および2記載の薄板収納容器。
【請求項4】
ウエハを載置するウエハ載置部が、ウエハ載置位置に対して一部または全面に存在することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項5】
ウエハを載置するウエハ載置部が、ウエハ載置位置に対して一部に凸状に存在することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項6】
ウエハをウエハ載置部に載置して、薄板収納容器を複数枚重ねて結合した場合において、ウエハは、ウエハの上面および下面に接触する、2つの上下に重なる薄板収納容器におけるウエハ載置部によって挟持され固定されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項7】
ウエハをウエハ載置部に載置して、薄板収納容器を複数枚重ねて結合した場合において、ウエハは、ウエハの上面および下面に接触する、2つの上下に重なる薄板収納容器におけるウエハ載置部の中に埋め込まれた状態で固定されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項8】
複数の薄板収納容器を重ねた場合において、一つの薄板収納容器における上側面のウエハ載置部と他方の薄板収納容器における下側面のウエハ載置部との間の隙間がウエハ厚みより小さいことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項9】
複数の薄板収納容器を重ねた場合において、一つの薄板収納容器における上側面のウエハ載置部と他方の薄板収納容器における下側面のウエハ載置部との間に隙間がないことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項10】
ウエハ載置部は、弾性高分子材料を含む材料で形成されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項11】
弾性高分子材料は、熱可塑性エラストマーまたは発泡高分子材料を含む材料であることを特徴とする、請求項10記載の薄板収納容器。
【請求項12】
ウエハ載置部は、潤滑性高分子材料を含む材料で形成されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項13】
ウエハを載置するウエハ載置部を上側面と下側面とに各々少なくとも一つ以上有する薄板収納容器であって、ウエハ載置部は柔軟性材料で形成されていることを特徴とする薄板収納容器。
【請求項14】
ウエハをウエハ載置部に載置して、薄板収納容器を複数枚重ねて結合した場合において、ウエハは、ウエハの上面および下面に接触する2つの上下に重なる薄板収納容器のウエハ載置部によって挟持され固定されることを特徴とする、請求項13記載の薄板収納容器。
【請求項15】
ウエハをウエハ載置部に載置して、薄板収納容器を複数枚重ねて結合した場合において、ウエハは、ウエハの上面および下面に接触する2つの上下に重なる薄板収納容器のウエハ載置部の中に埋め込まれた状態で固定されることを特徴とする、請求項13記載の薄板収納容器。
【請求項16】
柔軟性材料は発泡高分子材料を含む材料であることを特徴とする、請求項13〜15のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【図1(a)】
【図1(b)】
【図1(c)】
【図1(d)】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図2(d)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図6(c)】
【図7】
【図1(b)】
【図1(c)】
【図1(d)】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図2(d)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図6(c)】
【図7】
【公開番号】特開2007−281052(P2007−281052A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102758(P2006−102758)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【Fターム(参考)】
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