説明

薄膜トランジスタおよび半導体組成物

【課題】移動度、電流オンオフ比が高く、閾値電圧は可能な限りゼロ(0)に近い薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】S、Se、O等を含む特定の種類の有機半導体材料を含有する薄膜トランジスタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、種々の実施形態において、薄膜トランジスタ(「TFT」)等の電子デバイスにおける使用に適した組成物およびプロセスに関する。本開示はまた、そのような組成物またはプロセスを用いて作製される構成要素または層、およびそのような材料を含む電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(TFT)は、例えばセンサー、イメージスキャナ、電子表示デバイス等の現代の電子機器における基本的な構成要素である。現在主流のシリコン技術を用いたTFT回路は、一部の用途、特に、高速なスイッチングが必須とされない表示(例えばアクティブマトリックス液晶モニターまたはテレビ)用バックプレーンスイッチング回路等の大面積電子素子にはコストが高くなり過ぎることがある。シリコンベースのTFT回路のコストが高い原因は主に、大きな資本を必要とするシリコン製造工場を使用し、厳密に制御された環境下での複雑な高温・高真空のフォトリソグラフィーによる製造プロセスを用いるためである。一般的に、製造コストがはるかに低いだけでなく、物理的に小型で軽量、かつフレキシブルであるといった魅力的な機械的特性を有するTFTを製造することが望ましい。有機薄膜トランジスタ(OTFT)は、高速なスイッチングや高密度が必要でない用途に適しているだろうと考えられる。
【0003】
TFTは一般的に、支持基板と、3種類の電気伝導性電極(ゲート電極、ソース電極、およびドレイン電極)と、チャネル半導体層と、半導体層からゲート電極を分離する電気絶縁性ゲート誘電体層とからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,173,140号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0249087号公報
【特許文献3】国際出願公開公報WO2007/068618
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公知のTFTの性能改善が望まれている。性能は、少なくとも3つの特性、すなわち移動度、電流オンオフ比、および閾値電圧により測定することができる。移動度は、cm/V・secの単位で測定され、移動度がより高いことが望ましい。電流オンオフ比もより高いことが望ましい。閾値電圧は、電流を流すためにゲート電極に印加される必要があるバイアス電圧に関係する。一般的に、閾値電圧は可能な限りゼロ(0)に近いことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、種々の実施形態において、特定の種類の半導体材料を含む半導体層を含む薄膜トランジスタに関する。また、半導体組成物を開示する。
【0007】
本開示の種々の実施形態は、下記の実施形態を含む。
<1>半導体層を含む薄膜トランジスタであって、前記半導体層が、式(I)または(II)から選択される半導体材料を含有する、薄膜トランジスタ。
【化1】

(式中、
Xは、独立して、S、Se、およびOから選択され;
、R、R、R、およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、および−NOから選択され;
ArおよびAr’は、独立して、共役した2価の部分であり;
aおよびbは、0〜10の整数であり;
nは、2以上の整数である。)
【0008】
<2>式(I)または(II)で表される化合物を含有する半導体組成物。
【化2】

(式中、
Xは、独立して、S、Se、およびOから選択され;
、R、R、R、およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、および−NOから選択され;
ArおよびAr’は、独立して、共役した2価の部分であり;
aおよびbは、0〜10の整数であり;
nは、2以上の整数である。)
【0009】
<3>式(I)または式(II)で表される化合物を含有する半導体組成物。
【化3】

(式中、
Xは硫黄であり;
、R、R、R、およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、および−NOから選択され;
ArおよびAr’は、
【化4】

であり、R’は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、および−NOから選択され、
aおよびbは、それぞれ1〜5の整数であり;
nは、2以上の整数である。)
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示のTFTの第1の実施形態の例を示す図である。
【図2】本開示のTFTの第2の実施形態の例を示す図である。
【図3】本開示のTFTの第3の実施形態の例を示す図である。
【図4】本開示のTFTの第4の実施形態の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
いくつかの実施形態では、半導体層を含有する薄膜トランジスタを開示する。半導体層は、式(I)または(II)から選択される半導体材料を含有する。
【化5】

式中、Xは、独立して、S、Se、およびOから選択され;R、R、R、R、およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、および−NOから選択され;ArおよびAr’は、独立して、共役した2価の部分であり;aおよびbは、0〜約10(または0〜10)の整数であり;nは、2以上(少なくとも2)の整数である。
【0012】
いくつかの実施形態では、R、R、R、およびRは水素である。別の実施形態では、R、R、R、およびRの少なくとも1つはアルキルである。式(I)のRは、エチニルシランであってもよい。
【0013】
ArおよびAr’は、独立して、
【化6】

およびこれらの組合せ(式中、R’は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、および−NOから選択される。)から選択される部分を含んでいてもよい。
【0014】
ArおよびAr’は共に、
【化7】

であってよく、aおよびbは、例えばそれぞれ1〜約5(または1〜5)である。
【0015】
Xはそれぞれ硫黄であってよい。半導体材料の重量平均分子量は約2,000〜約200,000でもよい。
【0016】
別の実施形態では、式(I)または(II)を含む半導体組成物を開示する。
【0017】
別の特定の実施形態では、式(I)または(II)で表される化合物を含む半導体組成物を開示する。
【化8】

式中、Xは硫黄であり;
、R、R、R、およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、および−NOから選択され;
ArおよびAr’は、
【化9】

であり、
aおよびbは、それぞれ1〜約5(または1〜5)の整数であり;
nは、2以上の整数である。
【0018】
また、別の実施形態では、本プロセスによって作製された半導体層および/または薄膜トランジスタが含まれる。
【0019】
添付の図面を参照することで、本明細書に開示されている構成要素、プロセス、および装置をより完全に理解することができる。図面は、単に本発明の説明の便宜および容易化のための模式図であり、したがって、デバイスまたはデバイスの構成要素の相対的なサイズおよび寸法を示すものではなく、例示的な実施形態の範囲を定義または制限するものでもない。
【0020】
以下の記述では、わかり易いように具体的な用語を使用するが、これらの用語は図面中の図解のために選択された実施形態の特定の構造のみを指すことを意図し、本開示の範囲を定義または制限することを意図するものではない。図面および以下の記述において、同様の番号による指定は、同様の機能の構成要素を指すと理解される。
【0021】
図1は、第1のOTFTの実施形態または構成を示す図である。OTFT10は、ゲート電極30と誘電体層40とに接触している基板20を具備する。ここで、ゲート電極30は基板20内に描かれているが、このことは必須ではない。しかし、誘電体層40がソース電極50、ドレイン電極60、および半導体層70からゲート電極30を分離することは幾分重要である。ソース電極50は半導体層70に接触している。ドレイン電極60も半導体層70に接触している。半導体層70は、ソース電極50とドレイン電極60の間およびその上に設けられている。所望により設けてもよい界面層80が、誘電体層40と半導体層70の間に配置されている。
【0022】
図2は、第2のOTFTの実施形態または構成を示す図である。OTFT10は、ゲート電極30と誘電体層40とに接触している基板20を具備する。誘電体層40の上方または上に半導体層70が配置され、半導体層70は、誘電体層40をソース電極50およびドレイン電極60から分離している。所望により設けてもよい界面層80が、誘電体層40と半導体層70の間に配置されている。
【0023】
図3は、第3のOTFTの実施形態または構成を示す図である。OTFT10は、ゲート電極としても働き、誘電体層40と接触している基板20を具備する。誘電体層40の上方または上に半導体層70が配置され、半導体層70は、誘電体層40をソース電極50およびドレイン電極60から分離している。所望により設けてもよい界面層80が、誘電体層40と半導体層70の間に配置されている。
【0024】
図4は、第4のOTFTの実施形態または構成を示す図である。OTFT10は、ソース電極50とドレイン電極60と半導体層70とに接触している基板20を具備する。半導体層70は、ソース電極50およびドレイン電極60の間およびその上に設けられている。半導体層70の上に誘電体層40がある。誘電体層40の上にゲート電極30があり、ゲート電極30は半導体層70に接触していない。所望により設けてもよい界面層80が、誘電体層40と半導体層70の間に配置されている。
【0025】
本開示は、半導体層または半導体組成物を含む薄膜トランジスタに関する。半導体層または半導体組成物は、式(I)または(II)から選択される半導体材料を含有する。
【化10】

式中、Xは、独立して、S、Se、およびOから選択され;R、R、R、R、およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、および−NOから選択され;ArおよびAr’は、独立して、共役した2価の部分であり;aおよびbは、0〜約10の整数であり;nは、少なくとも2の整数である。
【0026】
ここでも、アルキル基は通常炭素数1〜約20であり、アリール基は炭素数約6〜約20である。aおよびbはそれぞれゼロであってもよいが、実施形態では一般的にaおよびbのそれぞれは少なくとも1である。いくつかの実施形態では、(a+b)>0である。いくつかの実施形態では、R、R、R、R、およびRは、独立して、水素およびC〜C20アルキルから選択される。別の実施形態では、R、R、R、およびRは水素である。別の実施形態では、R、R、R、およびRの少なくとも1つはアルキルである。
【0027】
アルキル基またはアリール基が置換されている場合、アルキル基またはアリール基はシリル、アルキル、アルコキシ、アリール、ハロゲン、もしくはヘテロアリール基、またはこれらの組合せにより置換されていてもよい。ヘテロアリール基の例としては、チエニル、フラニル、ピリジニル、オキサゾイル、ピロイル、トリアジニル、イミダゾイル、ピリミジニル、ピラジニル、オキサジアゾイル、ピラゾイル、トリアゾイル、チアゾイル、チアジアゾイル、キノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、およびカルバゾイルが含まれる。
【0028】
実施形態では、Rはエチニルシランである。エチニルシランは3つのアルキル基で置換されていてもよい。
【0029】
ArおよびAr’は、独立して、
【化11】

およびこれらの組合せ(式中、R’は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、および−NOから選択される。)から選択される部分を含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、ArおよびAr’は共に、
【化12】

であり、aおよびbはそれぞれ1〜約5(または1〜5)である。
【0031】
別の実施形態では、Xはそれぞれ硫黄である。半導体材料の重量平均分子量は、約2,000〜約200,000(または2,000〜200,000)でもよく、例えば約5,000〜約100,000(または5,000〜100,000)でもよい。
【0032】
式(I)および(II)のポリマーは、如何なる適当な方法で調製されてもよい。例えば式(I)のポリマーは、スキーム1に示されるように、ジボロン酸2を用いたジハロゲン化合物1の鈴木カップリング重合化により調製されてもよい。式(II)のポリマーの合成は、例えばN−ブロモスクシンイミド(NBS)を用いた化合物3の臭素化により容易にジブロモモノマー4を調製することができ、その後、NiCl/2,2’−ビピリジン等のニッケル系触媒の存在下で亜鉛媒介性の脱ハロゲンカップリング反応によってジブロモ化合物4を重合化してポリマー(II)にすることができる。
スキーム1.鈴木カップリング重合化による式(I)の合成例。
【化13】

スキーム2.亜鉛を用いた脱ハロゲンカップリング重合化による式(II)の合成例。
【化14】

【0033】
所望であれば、半導体層に他の有機半導体材料を更に含めてもよい。他の有機半導体材料の例としては、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、およびこれらの置換誘導体等のアセン;ペリレン、フラーレン、オリゴチオフェン;トリアリールアミンポリマー、ポリインドロカルバゾール、ポリカルバゾール、ポリアセン、ポリフルオレン、ポリチオフェン、およびこれらの置換誘導体等のその他の半導体ポリマー;銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、およびこれらの置換誘導体等のフタロシアニンが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
半導体層は厚さ約5nm〜約1000nm(または5nm〜1000nm)厚であってもよく、特には厚さ約10nm〜約100nm(または10nm〜100nm)厚であってもよい。半導体層は如何なる好適な方法で形成されてもよい。しかし一般的に半導体層は、分散液または溶液等の液状組成物から形成され、次いでトランジスタの基板上に堆積される。堆積方法の例としては、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ロッドコーティング、スクリーン印刷、スタンピング(stamping)、インクジェット印刷等の液相堆積(liquid deposition)法、およびその他当該技術分野で公知の従来のプロセスが含まれる。
【0035】
基板は、シリコン、ガラスプレート、プラスチックフィルムまたはシート等の材料からなるものでもよいが、これらに限定されるものではない。構造的に可撓性のデバイスには、例えばポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドのシート等のプラスチック基板を使用してもよい。基板の厚さは、約10マイクロメートル〜10ミリメートル(または10マイクロメートル〜10ミリメートル)を超えてもよく、例えば、特に可撓性プラスチック基板には約50マイクロメートル〜約5ミリメートル(または50マイクロメートル〜5ミリメートル)でもよく、ガラスまたはシリコン等の剛性基板には約0.5ミリメートル〜約10ミリメートル(または0.5ミリメートル〜10ミリメートル)でもよい。
【0036】
ゲート電極は電気伝導性材料からなり、金属薄膜、導電性高分子膜、導電性のインクまたはペーストから作製された導電性膜、または基板自体、例えば高濃度でドープされたシリコンであってもよい。ゲート電極材料の例としては、限定されるものではないが、アルミニウム、金、銀、クロム、酸化インジウムスズ;ポリスチレンスルホネートをドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PSS−PEDOT)等の導電性ポリマー;およびカーボンブラック/グラファイトまたは銀コロイドを含む導電性インク/ペーストが含まれる。ゲート電極は、真空蒸着(vacuum evaporation)、金属または導電性金属酸化物のスパッタリング、従来のリソグラフィーおよびエッチング、化学蒸着法(chemicalvapor deposition)、スピンコーティング、キャスティング、印刷、またはその他の堆積プロセスで形成することができる。ゲート電極の厚さは、金属膜では例えば約10ナノメートル〜約500ナノメートル(または10ナノメートル〜500ナノメートル)、導電性ポリマーでは例えば約0.5マイクロメートル〜約10マイクロメートル(または0.5マイクロメートル〜10マイクロメートル)である。
【0037】
誘電体層は一般的に、無機材料膜、有機ポリマー膜、または有機無機複合膜であり得る。誘電体層として好適な無機材料の例としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムジルコニウム等が含まれる。好適な有機ポリマーの例としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(ビニルフェノール)、ポリイミド、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、エポキシ樹脂等が含まれる。誘電体層の厚さは、使用される材料の誘電率(dielectric constant)に依存するが、例えば約10ナノメートル〜約500ナノメートル(または(10ナノメートル〜500ナノメートル)でもよい。誘電体層の導電率は、例えば約10−12シーメンス/センチメートル(S/cm)未満(または10−12シーメンス/センチメートル(S/cm)未満)でもよい。誘電体層は、例えば、ゲート電極の形成で記載したプロセスなどの、当該技術分野で公知の従来プロセスを用いて形成される。
【0038】
所望であれば、誘電体層と半導体層の間に界面層を設けてもよい。有機薄膜トランジスタ中の電荷輸送はこれら2層の界面で起こるので、界面層はTFTの特性に影響を与え得る。界面層の例としては、米国特許出願公開公報第2009/0256138(2008年4月11日に提出された米国特許出願第12/101,942号)に記載されているような、シランから形成されるものがある。
【0039】
ソース電極およびドレイン電極としての使用に適した典型的な材料としては、金、銀、ニッケル、アルミニウム、白金、導電性ポリマー、導電性インク等のゲート電極材料が含まれる。特定の実施形態では、電極材料は半導体に低接触抵抗を付与する。典型的な厚さは、例えば約40ナノメートル〜約1マイクロメートル(または40ナノメートル〜1マイクロメートル)であり、より具体的には約100ナノメートル〜約400ナノメートル(または100ナノメートル〜400ナノメートル)でもよい。本開示のOTFTデバイスは半導体チャネルを含む。半導体チャネルの幅は、例えば約5マイクロメートル〜約5ミリメートル(または5マイクロメートル〜5ミリメートル)でもよく、具体的には約100マイクロメートル〜約1ミリメートル(または100マイクロメートル〜1ミリメートル)でもよい。半導体チャネルの長さは、例えば約1マイクロメートル〜約1ミリメートル(または1マイクロメートル〜1ミリメートル)でもよく、より具体的には約5マイクロメートル〜約100マイクロメートル(または5マイクロメートル〜100マイクロメートル)でもよい。
【0040】
ソース電極を接地し、例えば約0ボルト〜約80ボルト(または0ボルト〜80ボルト)のバイアス電圧をドレイン電極に印加し、例えば約+10ボルト〜約−80ボルト(または+10ボルト〜−80ボルト)の電圧をゲート電極に印加したときに半導体チャネル中を輸送された電荷キャリアを収集する。電極は、当該技術分野で公知の従来プロセスを用いて形成または堆積されてもよい。
【0041】
所望であれば、TFTの電気的特性を劣化させることのある光、酸素、湿気等の環境条件からTFTを保護するために、TFTの上にバリア層を堆積してもよい。そのようなバリア層は当該技術分野で公知であり、単純にポリマーのみからなってもよい。
【0042】
OTFTの種々の構成要素は、図に見られるように、如何なる順序で基板上に堆積されてもよい。「基板上に」という語は、各構成要素が基板に直接接触しなければならないと解釈されるべきではない。この語は、基板に対する構成要素の相対的位置を説明していると解釈されるべきである。しかし、一般的には、ゲート電極および半導体層は共に誘電体層に接触しているべきである。また、一般的には、ソース電極およびドレイン電極は共に半導体層に接触しているべきである。本開示の方法により形成された半導体ポリマーを有機薄膜トランジスタの適当な構成要素上に堆積させて、トランジスタの半導体層を形成することができる。
【0043】
得られたトランジスタは、実施形態において、移動度が0.01cm/V・sec以上、例えば0.1cm/V・sec以上、及び/または、電流オンオフ比が10以上であり得る。
【符号の説明】
【0044】
10 有機薄膜トランジスタ(OTFT)
20 基板
30 ゲート電極
40 誘電体層
50 ソース電極
60 ドレイン電極
70 半導体層
80 界面層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層を含む薄膜トランジスタであって、前記半導体層が、式(I)または(II)から選択される半導体材料を含有する、薄膜トランジスタ。
【化1】

(式中、
Xは、独立して、S、Se、およびOから選択され;
、R、R、R、およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、および−NOから選択され;
ArおよびAr’は、独立して、共役した2価の部分であり;
aおよびbは、0〜10の整数であり;
nは、2以上の整数である。)
【請求項2】
式(I)または(II)で表される化合物を含有する半導体組成物。
【化2】

(式中、
Xは、独立して、S、Se、およびOから選択され;
、R、R、R、およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、および−NOから選択され;
ArおよびAr’は、独立して、共役した2価の部分であり;
aおよびbは、0〜10の整数であり;
nは、2以上の整数である。)
【請求項3】
式(I)または式(II)で表される化合物を含有する半導体組成物。
【化3】

(式中、
Xは硫黄であり;
、R、R、R、およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、および−NOから選択され;
ArおよびAr’は、
【化4】

であり、R’は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、および−NOから選択され、
aおよびbは、それぞれ1〜5の整数であり;
nは、2以上の整数である。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−123952(P2010−123952A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258770(P2009−258770)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】