説明

薄膜集積回路の作製方法及びICラベルの作製方法

【課題】シリコンウェハからなるICチップは厚いため商品容器自体に搭載する場合、表
面に凹凸が生じ、デザイン性が低下してしまった。そこで非常に膜厚の薄い薄膜集積回路
、及び薄膜集積回路を有するICチップ等を提供する。
【解決手段】薄膜集積回路を有するICチップは、従来のシリコンウェハにより形成され
る集積回路と異なり、半導体膜を能動領域(例えば薄膜トランジスタであればチャネル形
成領域)として備えることを特徴とする。このようなICチップは非常に薄いため、カー
ドや容器等の商品へ搭載してもデザイン性を損ねることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリやマイクロプロセッサ(中央演算部、CPU)などを有し、紙のよう
に薄くフレキシブルな薄膜集積回路を搭載した薄膜集積回路装置、薄膜集積回路装置をラ
ベルに利用したICラベル、当該薄膜集積回路を搭載した商品容器、及びそれらの作製方
法に関する。さらに本発明は上記のような商品の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一人当たりが携帯するカード数が増加してきている。カードにはあらゆる情報が
記録され、必要に応じて書き換えられ、記録される情報量は増加の一途をたどっている。
【0003】
このような情報量の増加は、多岐の分野にわたって必要不可欠なこととなっている。例
えば食品業界や製造業界に対して、商品の安全性や管理体制の強化を求める声が高まって
おり、それに伴い商品に関する情報量は増加してしまう。しかし現状の商品情報は、主に
バーコードの十数桁の数字により提供される製造国、メーカー、商品番号等の情報程度で
あり、情報量が非常に少なかった。またバーコードを利用した場合、一つ一つを手作業で
行うため読み取りに時間を要してしまった。
【0004】
そこでネットワークを利用した商品管理方法であって、ネットワークに接続された各販
売店の端末から、返却された商品の識別子が入力され、サーバを経由して、商品に関する
情報を販売店に通知する方法がある。商品の識別子は2次元バーコードや文字列などから
なり、販売店の端末への入力を介してサーバに送られる。また商品は、商品に関連するプ
ログラムやデータ、あるいは個人情報を格納する着脱可能な記憶媒体を有し、該記憶媒体
はICカード、スマートカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード等のカードな
どを含んでいることが記載されている(特許文献1参照)。
【0005】
別な方法として、小売店に並んでいる食品の一つひとつに固有のID番号を割り振り、
消費者はインターネットにアクセスして食品の原材料や生産者、流通経路などを閲覧でき
ることや、無線タグ関連のシステムに汎用性を持たせた例としてリーダ/ライタが読み取
った情報を処理するソフトウエア、サーバ等を利用し、問い合わせに応じて必要な製品情
報を提供し、生産や物流の効率化を図ることが行われている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-230141公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】日経エレクトロニクス 日経BP社 2002.11.18発行 p.67−76
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような情報量の増加に伴い、バーコードにより情報管理を行う場合、提供可能な情
報量に限界が生じていた。また提供される情報が少ない上、手作業での読み取り時間を費
やすため、効率が悪かった。更にバーコードの読み取り作業は人手を介するため、読み取
りミスなどを避けることはできなかった。
【0009】
また特に上記文献に関してみると、消費者がインターネットにアクセスするには手間が
かかり、パーソナルコンピュータ等を所有する必要があった。更に無線タグに使用される
シリコンウェハからなる集積回路は厚いため商品容器自体に搭載する場合、表面に凹凸が
生じ、デザイン性が低下してしまった。
【0010】
そこで本発明は、記録される情報量が多い集積回路(IC)であって、従来のシリコンウ
ェハと異なり非常に薄いIC(薄膜集積回路)、及び薄膜集積回路を有する薄膜集積回路
装置を提供することを課題とする。特に店頭の商品に薄膜集積回路を利用したラベル(I
Cラベル)を搭載し、デザイン性を損ねない商品の容器、及びそれらの作製方法を提供す
ることを課題とする。更に本発明は、ICラベルが搭載された商品の管理方法を提供する
ことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を鑑み、本発明は紙のように薄い集積回路(薄膜集積回路)を搭載する薄膜集
積回路装置を特徴とする。本発明の薄膜集積回路は、従来のシリコンウェハにより形成さ
れる集積回路と異なり、半導体膜を能動領域(例えば薄膜トランジスタであればチャネル
形成領域)として有することを特徴とする。
【0012】
このような集積回路は、磁気で記録するタイプでは記録できるデータがわずか数十バイ
ト程度であるのに対し、記録できるデータが5KB程度、又はそれ以上が一般的であり、
格段に大きい容量を確保することが知られている。そのためバーコードに比べて多量な情
報を、あらゆる分野において提供することができる。例えば薄膜集積回路を個人が所有す
るカードに搭載した薄膜集積回路装置の場合、大量の情報を記録でき情報管理の効率化に
つながる。また薄膜集積回路を用いることにより、複数のカードを携帯する必要がなくな
り、一枚のカードですむ。また、薄膜集積回路に書き換え可能なメモリを搭載することに
より、必要に応じて情報を書き換える薄膜集積回路装置を提供することができる。
【0013】
その上、薄膜集積回路は、磁気のようにデータが読み取られる恐れがなく、また記憶さ
れているデータが改ざんされにくいというメリットがある。つまり記録される情報のセキ
ュリティを確保することができる。特に、個人が携帯するカードでは、セキュリティの確
保や高い信頼性が必要となる。またさらに薄膜集積回路を搭載することにより警報を発す
るようにでき、万引き、盗難防止効果を得ることができる。
【0014】
また本発明は商品のデザイン性を損ねない非常に薄い薄膜集積回路を利用したラベル(
ICラベル)、及びICラベルを搭載する商品容器を提供することを特徴とする。
【0015】
具体的なICラベルとしては図6(A)に示すように、瓶やカード等を代表とする商品
18に接着されるラベル205下(裏)に薄膜集積回路72を接着(付着)し固定してI
Cラベル204を形成する。本発明の薄膜集積回路は、500nm程度の半導体膜により
形成されるため、シリコンウェハで形成されるICと比べて、非常に薄いことを特徴とす
る。その結果、本発明の半導体膜により構成される薄膜集積回路をラベルとして商品に搭
載させてもデザイン性を損ねることはない。
【0016】
図6(B)は、(A)におけるa−a’の断面図であって、ラベル下に本発明の薄膜集
積回路を配置し、接着剤41により商品に接着し固定する薄膜集積回路装置、具体的には
ICラベルを示す。なおラベル205が接着性を有する場合、接着剤41は不要である。
また図6(C)は、(A)におけるa−a’の断面図であって、ラベル間に本発明の薄膜
集積回路を挟んだ(狭持した)状態で商品に接着し固定する薄膜集積回路装置、具体例と
してICラベルを示す。このときラベル205は、薄膜集積回路と接する面に接着性を有
し、更に商品と接する面にも接着剤を有する。なお、ラベルが接着性を有しない場合は、
接着剤を使用すればよい。また商品に薄膜集積回路を直接転写し、その上からラベルを貼
ってICラベルを完成させてもよい。
【0017】
すなわち本発明は、非常に薄い薄膜集積回路を有する薄膜集積回路装置(具体的にはI
Cラベル)、及びそれらを搭載した商品を提供するものであり、薄膜集積回路の固定の仕
方にはあらゆる方法が考えられる。
【0018】
このようなICラベルにより、入荷管理、在庫管理、作業工程の把握や納品日程の把握
といった商品管理又は販売ルート等の物流管理の効率化を図ることができる。更に商品の
原材料や原産地、生産(製造)工程ごとの検査結果や流通過程の履歴等の多量な情報を管
理し、消費者へ提供することができる。
【0019】
以上のような本発明の薄膜集積回路は非常に薄いため、カードや容器等の商品へ搭載し
てもデザイン性を損ねることがなく、バーコードや磁気と比べて格段に多量の情報を記録
することができる。また本発明の薄膜集積回路は適宜、接触型ICや非接触型ICとして
使用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の膜厚が非常に薄い薄膜集積回路により、情報取引又は情報管理を簡便、短時間
に行うことができる。そして多種多様な情報を必要とする者に提供することができる。ま
た更に商品容器にICラベルを搭載する場合であっても、非常に薄いためデザイン性を損
ねることがない。
【0021】
また本発明の薄膜集積回路は、無線タグに搭載されるシリコンウェハで作製されたIC
のように、クラックや研磨痕の原因となるバックグラインド処理を行う必要がない。また
、薄膜の厚さのバラツキも、集積回路を構成する各膜の成膜時におけるばらつきに依存す
ることになるので、大きくても数百nm程度であり、バックグラインド処理による数〜数
十μmのばらつきと比べて飛躍的に小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の薄膜集積回路の作製方法を示す図。
【図2】本発明の薄膜集積回路の作製方法を示す図。
【図3】本発明の薄膜集積回路の詳細を示す図。
【図4】本発明の薄膜集積回路の詳細を示す図。
【図5】本発明の非接触型薄膜集積回路の原理を示す図。
【図6】本発明の薄膜集積回路が搭載された商品を示す図。
【図7】本発明の非接触型薄膜集積回路のリーダ/ライタを示す図。
【図8】本発明のICラベル搭載の商品をリーディングする図。
【図9】生産(製造)者、販売者、消費者との関係を示す図。
【図10】本発明の薄膜集積回路の作製方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
但し、本発 明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその
範囲から 逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば
容易に 理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではな
い。
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分
には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の薄膜集積回路の作製方法であって、剥離及び転写を用いて
作製する場合について説明する。
【0025】
まず図1(A)に示すように第1の基板10上に、金属膜11を形成する。なお、第1
の基板は後の剥離工程に耐えうる剛性を有していればよく、例えばガラス基板、石英基板
、セラミック基板、シリコン基板、金属基板またはステンレス基板を用いることができる
。金属膜としては、W、Ti、Ta、Mo、Nd、Ni、Co、Zr、Zn、Ru、Rh
、Pd、Os、Irから選ばれた元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化
合物材料からなる単層、或いはこれらの積層を用いることができる。金属膜の作製方法と
して例えば、金属のターゲットを用いるスパッタリング法により形成すればよい。なお金
属膜の膜厚は、10nm〜200nm、好ましくは50nm〜75nmとなるように形成
すればよい。
【0026】
金属膜の代わりに、上記金属が窒化された膜(例えば、窒化タングステンや窒化モリブ
デン)を用いても構わない。また金属膜の代わりに上記金属の合金膜(例えば、WとMo
との合金:WxMo1-X)を用いてもよい。この場合、成膜室内に第1の金属(W)及び第
2の金属(Mo)といった複数のターゲットを用いたり、第1の金属(W)と第2の金属
(Mo)との合金のターゲットを用いたスパッタリング法により形成すればよい。また更
に、金属膜に窒素や酸素を添加してもよい。添加する方法として例えば、金属膜に窒素や
酸素をイオン注入したり、成膜室を窒素や酸素雰囲気としてスパッタリング法により形成
したりすればよく、このときターゲットとして窒化金属を用いてもよい。
【0027】
スパッタリング法を用いて金属膜を形成する場合、基板の周縁部の膜厚が不均一になる
ときがある。そのため、ドライエッチングによって周縁部の膜を除去することが好ましい
が、その際、第1の基板がエッチングされないために、第1の基板10と金属膜11との
間に窒化酸化珪素(SiONやSiNO)膜等の窒素を有する絶縁膜を100nm程度形
成するとよい。
【0028】
このように金属膜の形成方法を設定することにより、剥離工程を制御することができ、
プロセスマージンが広がる。すなわち、例えば、金属の合金を用いた場合、合金の各金属
の組成比を制御することにより、剥離工程を制御することができる。具体的には、剥離す
るための加熱温度の制御や、加熱処理の要否までも制御することができる。
【0029】
その後、金属膜11上に被剥離層12を形成する。この被剥離層は珪素を有する酸化膜
と半導体膜を有し、非接触型ICの場合にはアンテナを有してもよい。金属膜や基板から
の不純物やゴミの侵入を防ぐため、被剥離層12、特に半導体膜より下面に窒化珪素(S
iN)膜、窒化酸化珪素(SiONやSiNO)膜等の窒素を有する絶縁膜を下地膜とし
て設けると好ましい。
【0030】
珪素を有する酸化膜は、スパッタリング法やCVD法により酸化シリコン、酸化窒化シ
リコン等を形成すればよい。なお珪素を有する酸化膜の膜厚は、金属膜の約2倍以上であ
ることが望ましい。本実施の形態では、シリコンターゲットを用いたスパッタリング法に
より、酸化シリコン膜を150nm〜200nmの膜厚として形成する。
【0031】
この珪素を有する酸化膜を形成するときに、金属膜上に当該金属を有する酸化物(金属
酸化物)13が形成される。また金属酸化物は、硫酸、塩酸或いは硝酸を有する水溶液、
硫酸、塩酸或いは硝酸と過酸化水素水とを混同させた水溶液又はオゾン水で処理すること
により金属膜表面に形成される薄い金属酸化物を用いることもできる。更にその他の方法
としては、酸素雰囲気中でのプラズマ処理や、酸素含有雰囲気中で紫外線照射することに
よりオゾンを発生させて酸化処理を行ってもよく、クリーンオーブンを用い200〜35
0℃程度に加熱して形成してもよい。
【0032】
金属酸化物の膜厚は、0.1nm〜1μm、好ましくは0.1nm〜100nm、更に
好ましくは0.1nm〜5nmとなるように形成すればよい。
【0033】
なお半導体膜と金属膜との間に設けられた珪素を有する酸化膜や下地膜等を合わせて絶
縁膜と表記する。すなわち、金属膜と、金属酸化物と、絶縁膜と、半導体膜とが積層され
た状態、つまり絶縁膜の一方の面に半導体膜が設けられ、他方の面に金属酸化物及び金属
膜が設けられる構造となっていればよい。
【0034】
また半導体膜に所定の作製工程を施し、半導体素子、例えば薄膜トランジスタ(TFT
)、有機TFT、薄膜ダイオード等を形成する。これらの半導体素子が薄膜集積回路のC
PUやメモリ等を構成する。そして半導体素子を保護するために、半導体素子上にDLC
或いは窒化炭素(CN)等の炭素を有する保護膜、又は窒化珪素(SiN)或いは窒化酸
化珪素(SiNOやSiON)等の窒素を有する保護膜を設けると好ましい。炭素を有す
る保護膜と、窒素を有する保護膜を積層してもよい。
【0035】
以上のような被剥離層12を形成後、具体的には金属酸化物形成後、金属酸化物を結晶
化させうるように加熱処理を行う。例えば、金属膜にW(タングステン)を用いる場合、
400℃以上で加熱処理を行うと、WO2又はWO3の金属酸化物が結晶状態となる。また
被剥離層12が有する半導体膜を形成後に加熱を行うと、半導体膜の水素を拡散させるこ
とができる。この水素により金属酸化物の価数に変化が起こる場合が考えられる。このよ
うな加熱処理は、選択される金属膜により温度や要否を決定すればよい。すなわち剥離を
容易に行うために、必要に応じて金属酸化物を結晶化しておけばよい。
【0036】
更に加熱処理は、半導体素子の作製工程と兼用させて工程数を低減させることができる
。例えば、結晶性半導体膜を形成する場合の加熱炉やレーザ照射を用いて加熱処理を行う
ことができる。
【0037】
次いで、図1(B)に示すように被剥離層12を第2の基板14を第1の接着剤15で
貼り付ける。なお、第2の基板14は第1の基板10よりも剛性の高い基板を用いること
が好ましい。第1の接着剤15としては剥離可能な接着剤、例えば紫外線により剥離する
紫外線剥離型、熱による剥離する熱剥離型或いは水により剥離する水溶性の接着剤、又は
両面テープ等を使用するとよい。
【0038】
そして、金属膜11が設けられている第1の基板10を、物理的手段を用いて剥離する
(図1(C))。図面は模式図であるため記載していないが、結晶化された金属酸化物の
層内、又は金属酸化物の両面の境界(界面)、すなわち金属酸化物と金属膜との界面或い
は金属酸化物と被剥離層との界面で剥がれる。こうして、被剥離層12を第1の基板10
から剥離することができる。
【0039】
このとき剥離を容易に行うため、基板の一部を切断し、切断面における剥離界面、すな
わち金属膜と金属酸化物との界面付近にカッター等で傷を付けるとよい。
【0040】
次いで図1(D)に示すように、剥離した被剥離層12を、第2の接着剤16により転
写体(移し替える先)となる第3の基板(例えばラベル)17に貼り付ける。第2の接着
剤16としては紫外線硬化樹脂、具体的にはエポキシ樹脂系接着剤或いは樹脂添加剤等の
接着剤又は両面テープ等を用いればよい。また第3の基板が接着性を有する場合は、第2
の接着剤は要しない。
【0041】
第3の基板の材料としては、紙又はポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、
ポリアリレート或いはポリエーテルスルフォン等のプラスチック材料などのフレキシブル
(可撓)性を有する基板(フィルム基板と表記する)用いることができる。またコーティ
ング等により、フィルム基板表面の凹凸を低減させたり、硬性、耐性や安定性を高めてお
いてもよい。
【0042】
次いで、第1の接着剤15を除去し、第2の基板14を剥がす(図1(E))。具体的
には、第1の接着剤を剥がすために紫外線照射を照射したり、加熱したり、水洗したりす
ればよい。
【0043】
なお第1の接着剤の除去と、第2の接着剤の硬化は一工程で行ってもよい。例えば、第
1の接着剤と第2の接着剤とを、それぞれ熱剥離型樹脂と熱硬化型樹脂、又は紫外線剥離
型樹脂と紫外線硬化型樹脂とを用いる場合、一度の加熱や紫外線照射により除去と硬化と
を行うことができる。なお実施者が、第3の基板の透光性等を考慮して接着剤を選択すれ
ばよい。
【0044】
以上のようにして本発明の薄膜集積回路が完成する。その後、薄膜集積回路をカード、
容器やラベル等の商品に貼り付け薄膜集積回路装置、つまり薄膜集積回路が搭載された商
品が完成する。もちろん、薄膜集積回路がラベル間に狭持されるようなICラベルを形成
して、商品に搭載(接着、付着)してもよい。なお、商品の表面は瓶の側面のように曲面
であってもよい。
【0045】
なお金属酸化物13は、薄膜集積回路において全て除去されている場合、又は一部或い
は大部分が被剥離層下面に点在(残留)している場合がある。なお金属酸化物が残留して
いる場合は、エッチング等により除去してもよい。更にこのとき、珪素を有する酸化膜を
除去しても構わない。
【0046】
次に、図1とは異なる薄膜集積回路装置の作製方法であって、被剥離層を商品の表面に
転写しICラベルを形成する例を、図2を用いて説明する。
【0047】
図2(A)には、第1の基板を剥離し、第2の接着剤16を介してカードや容器等の商
品18の表面に被剥離層12を転写する。
【0048】
次いで図2(B)に示すように、第2の基板14を剥離する。剥離の方法は図1を参照
すればよい。
【0049】
そして図2(C)に示すように、被剥離層を覆ってラベル17を接着してICラベル搭
載の商品が完成する。ラベルは接着面を有しており、薄膜集積回路を覆って固定する。こ
のとき、ICとラベルとの間に窒化酸化珪素(SiNOやSiON等)の窒素を有する絶
縁膜、又はDLC(ダイヤモンドライクカーボン)やCN(窒化炭素)膜等の炭素を有す
る絶縁膜を設けるとよい。また窒素を有する絶縁膜と、炭素を有する絶縁膜とを積層して
もよい。更に保護膜は商品全体を覆って設けると好ましい。
【0050】
また以上のような方法を用いて、大型基板に複数の薄膜集積回路を多面取りすることに
よって、大量生産することができ、薄膜集積回路、つまり薄膜集積回路装置の低コスト化
を図ることができる。
【0051】
なお本発明の薄膜集積回路は上述した転写や剥離によって作製する方法以外にも、ウェ
ットエッチング、ドライエッチング、又はレーザ照射により第1の基板から被剥離層を剥
離したり、第1の基板をエッチング除去した後、第3の基板へ転写してもよい。
【0052】
以上のような本発明の薄膜集積回路は、無線タグに使用されるシリコンウェハで作製さ
れたICの膜厚が50μm程度であるのに対し、膜厚が250〜750nm、好ましくは
500nm以下の薄膜の半導体膜を用いて形成するため非常に薄くなる。例えば、能動素
子となる半導体膜と、ゲート絶縁膜と、ゲート電極と、層間絶縁膜と、一層の配線と、保
護膜とからなる場合、1500〜3000nmといった飛躍的に薄い薄膜集積回路を形成
することができる。その結果、本発明の薄膜集積回路はカードや容器等の商品へ貼り付け
てもデザイン性を損ねることはない。
【0053】
また本発明の薄膜集積回路は、シリコンウェハで作製されたICのように、クラックや
研磨痕の原因となるバックグラインド処理を行う必要がない。また、薄膜の厚さのバラツ
キも、半導体膜等の成膜時におけるばらつきに依存することになるので、大きくても数百
nm程度であり、バックグラインド処理による数〜数十μmのばらつきと比べて格段に小
さく抑えることができる。
【0054】
(実施の形態2)
本実施の形態では、薄膜集積回路の構成及び非接触型ICの原理について説明する。な
お非接触型の薄膜集積回路は、例えば容器の形状が曲面等を有するため、非接触で読み取
ることができるICラベルとして採用される。
【0055】
まず、図5に非接触型の薄膜集積回路の原理をブロック図で示す。非接触型の集積回路
部50は、CPU51と、メモリ52と、I/Oポート53と、コプロセッサ54を有し
、パス55を介してデータ交換を行っている。更にICはRF(無線)インタフェース5
6と、非接触インタフェース57とを有している。そして、読み取り手段であるリーダ/
ライタ60は、非接触インタフェース61と、インタフェース回路62とを有し、ICを
リーダ/ライタへかざし、各非接触インタフェース間で電波等により情報伝達・交換が行
われる。そしてリーダ/ライタの、インタフェース回路によりホストコンピュータと情報
伝達・交換をしている。もちろんホストコンピュータがリーダ/ライタ手段を有していて
も構わない。
【0056】
メモリにはPROM、EPROM 又はEEPROMが利用される。PROMやEPROMの場合はカードを発行
する時以外は書込みができないが、EEPROMは書き換えが可能である。これらメモリは、用
途に応じて選択すればよい。
【0057】
非接触型のICの特徴は、コイル状に巻かれたアンテナの電磁誘導作用(電磁誘導方式
)、相互誘導作用(電磁結合方式)又は静電気による誘導作用(静電結合方式)により電
力が供給される点である。また、このアンテナの巻き数を制御することにより、受信する
周波数の高さを選ぶことができる。
【0058】
そして図3には、非接触型の薄膜集積回路の具体的な構成の上面図を示す。アンテナ3
1と、電流回路32と、上述したCPU33やメモリ34等を含む集積回路部35を有し
、アンテナは電流回路を介してICに接続されている。電流回路32は、例えばダイオー
ドと、容量とを有する構成であればよく、アンテナが受信する交流周波を直流に変換する
機能を有する。
【0059】
次いで図3のa−a’における断面図である図4を参照しながら、ICラベルの具体的
な作製方法について説明する。なお図4では、図6(C)のようにラベル間に薄膜集積回
路を狭持する場合で説明する。
【0060】
図4(A)は、第1のラベル40上に接着剤41を介して、金属酸化物42、珪素を有
する酸化膜43、窒素を有する絶縁膜を含む下地膜44、不純物領域を有する半導体膜、
ゲート絶縁膜を介してゲート電極、ゲート電極を覆って第1の層間絶縁膜46、第2の層
間絶縁膜47、不純物領域に接続された配線、配線と同一層(同一レイヤ)にアンテナ4
9、配線及びアンテナを覆って保護膜49、保護膜を介して第2のラベル50が設けられ
る構成を示す。なお接触型薄膜集積回路の場合は、アンテナを設けない構成とすればよい

【0061】
半導体膜、不純物領域、ゲート電極等は公知の方法で作製すればよく、例えば下地膜は
SiNOとSiONとの積層構造、配線はアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリ
ブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはシリコン(Si)から選ばれる金属膜の単
層又は積層構造(例えば、Ti/Al−Si/Ti)、ゲート電極はタンタル(Ta)、タ
ングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(
Cu)から選ばれた元素の単層又は積層(例えば、W/TaN)構造を有し、半導体膜は
シリコン、又はシリコンゲルマを有する材料、第1の層間絶縁膜は窒素を有する絶縁膜(
パッシベーション膜)、第2の層間絶縁膜は無機材料又は有機材料、から形成すればよい

【0062】
保護膜は、接着性を高めるために、平坦性を有する有機樹脂膜を用いるとよい。更に半
導体膜への不純物を防止するために窒化珪素(SiN)膜或いは窒化酸化珪素(SiNO
やSiON)膜等の窒素を有する絶縁膜、又はDLCやCN等の炭素を有する絶縁膜、そ
れらが積層された絶縁膜を形成するとよい。
【0063】
つまり図4(A)に示す構成の特徴は、アンテナが配線と同一のレイヤで形成すること
である。アンテナの作製条件は適宜設定すればよく、例えば、配線材料を用いて配線と同
時に所定形状にエッチングしたり、インクジェット法や印刷法により導電ペースト(具体
的には銀ペースト)を用いて形成したり、第2の層間絶縁膜に凹部を形成しアンテナ材料
を流し込み、エッチバックによりパターニングして形成すればよい。
【0064】
図4(B)は(A)と異なり、アンテナ48をゲート電極と同一のレイヤに形成する例
を示す。すなわち、ゲート材料を用いてゲート電極と同時に所定な形状にエッチングした
り、インクジェット法や印刷法により導電ペースト(具体的には銀ペースト)を用いて形
成したり、第1の層間絶縁膜やゲート絶縁膜に凹部を形成しアンテナ材料を流し込んで形
成する。なお接触型ICの場合はアンテナを設けない構成とすればよい。
【0065】
図4(C)は、(A)及び(B)と異なり、アンテナとIC部分とを別に形成する例を
示す。CPUやメモリを有するICを所定の位置に転写し、アンテナ48をインクジェット
法や印刷法により導電ペースト(具体的には銀ペースト)を用いて形成する。そして導電
ペースト上を保護膜49で覆う。もちろん保護膜49とは異なる保護膜を用いても構わな
い。このとき、アンテナと集積回路部との配置は適宜設定すればよい。なお接触型ICの
場合はアンテナを設けない構成とすればよい。
【0066】
なお図4において、ラベルに薄膜集積回路を転写したのち接着剤でカードや容器等の商
品に固定する場合はラベル50が商品となり、薄膜集積回路を商品へ直接的に転写する場
合はラベル40が商品となる。
【0067】
更に図10には、薄膜集積回路を曲面に搭載する場合、つまり薄膜集積回路に応力を加
えて変形させるときにおける、薄膜トランジスタ等の半導体素子への応力破壊を防止する
構成例を示す。なお、図10は容器やカード等の商品100に搭載される薄膜集積回路で
あって、CPU33とメモリ34周辺を示す。また図4(A)〜(C)に記載のいずれか
に記載の構成を有する非接触型及び接触型のいずれの薄膜集積回路にも適応できる。
【0068】
まず図10(A)に示すように、薄膜トランジスタの第1の層間絶縁膜まで形成する。
その後、半導体膜上にマスクを配置し、半導体膜が設けられていない領域において、第1
の層間絶縁膜、ゲート絶縁膜及び下地膜をエッチング除去し、開口部を形成する。エッチ
ングは所定の選択比が取れる方法を用いればよく、例えばドライエッチングを用いればよ
い。
【0069】
次いで開口部を覆うように、無機材料と比較して弾性の高いポリイミド等の有機材料を
有する第2の層間絶縁膜47を形成する。すると、半導体膜の周囲(縁、エッジ)までが
、第2の層間絶縁膜で囲まれる状態となる。その結果、変形時の応力は、有機材料を有す
る第2の層間絶縁膜に集中し、主に第2の層間絶縁膜が変形するので、薄膜トランジスタ
へかかる応力が低減される。また変形が生じる場合に、最も応力が負荷される箇所(エッ
ジ、角)が、半導体膜のエッジではなく下地膜のエッジとなるため、半導体膜のエッジや
界面で生じる応力集中を抑えることができる。
【0070】
すなわち本構成は、半導体膜のエッジ以外を、最も応力が負荷される箇所となるように
開口部を形成すればよく、下地膜のエッジへ応力集中を付加させる構成に限定されるもの
ではない。例えば、積層される第1及び第2の下地膜を設ける場合、第1の下地膜までに
開口部を形成することにより、半導体膜への応力緩和を施してもよい。
【0071】
このように薄膜トランジスタごとに開口部を形成し分離すると、応力を分散する箇所が
多数設けられるため、曲面のカーブが急な場合、つまり曲率半径の小さい場合であっても
半導体素子を破壊することなく、薄膜集積回路を搭載することができる。
【0072】
また配線は、展性、延性に富む金属材料を有するように形成し、更に好ましくは膜厚を
厚くして変形による応力に耐えるようにするとよい。
【0073】
なお図10(A)では、薄膜トランジスタごとに開口部を形成する例を説明したが、回
路ブロックごと、つまりCPUやメモリごとに開口部を形成し分離してもよい。回路ブロ
ックごとに分離する場合、薄膜トランジスタごとに分離する場合と比較して開口部の作製
工程が容易であり、薄膜トランジスタ間に開口部を設けないため、隣り合う薄膜トランジ
スタ間の距離が小さくなり集積度が向上する。
【0074】
次に、回路ブロックごとに分離し、複数の層間絶縁膜を積層しながら配線を設ける例を
示す。例えば図10(B)に示すように、複数の第2の層間絶縁膜47(a)と47(b
)と、ソース・ドレイン電極とソース線やドレイン線とを接続する配線とを積層して設け
る。この場合、第2の層間絶縁膜47(a)及び47(b)に有機材料を用いるとよく、
少なくとも最上の第2の層間絶縁膜47(b)に有機材料を用い、開口部に有機材料が充
填されていればよい。最上の第2の層間絶縁膜のみに有機材料を使用すると、薄膜トラン
ジスタへの加熱処理が終了してから形成することができるため、耐熱性の低めのアクリル
等を採用でき、有機材料の選択肢が広がる。
【0075】
次いで回路ブロックごとに分離し、薄膜トランジスタを積層した構造を有する薄膜集積
回路を示す。積層構造は、図1又は図2に示す方法により薄膜トランジスタが形成された
状態で剥離及び転写を行って作製すればよい。本発明の薄膜集積回路は非常に膜厚が薄い
ため、積層しても構わない。
【0076】
例えば図10(C)に示すような積層構造の薄膜集積回路の場合、各薄膜トランジスタ
における第2の層間絶縁膜47は、すべて弾性の高い有機材料を有するように形成する。
例えば、図10(B)に示す構成において、各薄膜トランジスタにおける第2の層間絶縁
膜に有機材料を使用し、薄膜トランジスタ間を接続する配線層の層間絶縁膜にも有機材料
を使用するとよい。
【0077】
図10に示すように開口部を形成し、開口部に応力を緩和する弾性の高い有機材料を有
する第2の層間絶縁間を設けるとよい。
【0078】
以上のような本発明の非接触型の薄膜集積回路はカードリーダ/ライタとの距離が〜2
mmである遠隔型、〜70cmである近傍型、〜10cmである近接型、数cmである密
着型とすることができる。また生産、製造現場での作業を考えると近傍型から密着型が好
ましい。
【0079】
周波数は、遠隔型ではマイクロ波、近傍型及び近接型では13.56MHz、密着型で
は4.91MHzが一般的に使用されているが、周波数を高め波長を短くすることにより
アンテナの巻き数を小さくできる。
【0080】
また非接触型薄膜集積回路は接触型薄膜集積回路と比較すると、リーダ/ライタに接触
せず、非接触で電源供給及び情報通信を行うため、破損せず、高い耐久性を有し、静電気
等によるエラーの心配がない。更にはリーダ/ライタ自体の構成は複雑にならならず、薄
膜集積回路をリーダ/ライタにかざせばよいので、取り扱いが容易である。
【0081】
以上のように形成される非接触型又は接触型の薄膜集積回路は非常に薄いため、カード
や容器等の商品に薄膜集積回路を搭載してもデザイン性を損ねることがない。更に非接触
型薄膜集積回路の場合、アンテナをICとを一体形成でき、曲面を有する商品に直接転写
することが容易になる。
【0082】
(実施の形態3)
本実施の形態では、ICラベル搭載の商品において、情報を読み取る方法について説明
する。なお本実施の形態では、ICラベルは非接触型である場合で説明する。
【0083】
図7(A)に示すようなリーダ/ライタ本体70のセンサー部71に、薄膜集積回路7
2が搭載された商品をかざす。そして表示部73には、商品の原材料や原産地、生産(製
造)工程ごとの検査結果や流通過程の履歴等が表示され、更に商品の説明等の商品に関す
る情報を表示させる。もちろんリーダ/ライタに表示部を必ず設ける必要はなく、別に設
けられてもよい。このようなリーダ/ライタは商品が陳列されている棚に設置しておけば
よい。
【0084】
また図7(B)に示すように、個人が所有する携帯情報端末、例えば携帯電話機本体8
0に、リーダ機能を搭載させ、本体の一部に設けられたセンサー部81に薄膜集積回路8
2が搭載された商品をかざし、表示部83に情報を表示させる。すると同様に、商品に関
する情報が表示される。もちろんリーダ/ライタとなる携帯情報端末に表示部を必ず設け
る必要はなく、別に設けられてもよい。
【0085】
また図7(C)に示すように、個人が所有する携帯可能なリーダ本体90のセンサー部
91を薄膜集積回路92が搭載された商品にかざし、表示部93に情報を掲載させる。す
ると同様に、商品に関する情報が表示される。もちろんリーダ/ライタに表示部を必ず設
ける必要はなく、別に設けられてもよい。
【0086】
本実施の形態では非接触型のリーダ/ライタについて説明したが、接触型であっても表
示部に情報を表示させればよい。また非接触型又は接触型の薄膜集積回路が搭載される商
品自体に表示部を設け、情報を表示させても構わない。
【0087】
このように、無線タグ等により提供される情報と比べて、消費者は商品に関する豊富な
情報を自由に入手することができる。もちろん、薄膜集積回路により商品管理を素早く正
確に行うことができる。
【0088】
(実施の形態4)
本実施の形態では、ICラベルを搭載した商品の管理方法及び情報や商品の流れについ
て説明する。なお本実施の形態では、ICラベルは非接触型である場合で説明する。
【0089】
図8に示すように、製造者からの商品出荷前又は販売者による商品陳列前に商品管理に
必要な情報をホストコンピュータに入力する。例えば、ICラベル204が搭載された複
数の商品200が梱包された段ボールを、ベルトコンベアのような搬送手段201を用い
てリーダ/ライタ203にくぐらせ、コンピュータへ商品に関する情報を入力させる。こ
のとき、コンピュータに直接リーダ/ライタを接続しておくこともできる。もちろんリー
ダ/ライタによる情報の入力は、段ボールごとでなく、一つ一つの商品に対して行っても
よい。
【0090】
薄膜集積回路に記録される多量の商品に関する情報は即座にコンピュータ202へ入力
することができる。そしてコンピュータは、商品に関する情報を処理する機能を有するソ
フトを備えている。もちろんハードで情報処理を行ってもよい。その結果、従来のように
バーコードを一つずつ読み取る作業と比較して、情報処理に費やす時間、労力やミスが低
減され、商品管理への負担が軽減される。
【0091】
また、生産(製造)者、販売者、及び消費者間の情報や商品の流れを図9に示す。生産
(製造)者は販売者又は消費者に薄膜集積回路搭載の商品を提供する。そして販売者は、
例えば消費者の精算時に料金情報、商品の売れ個数や購入時間等の販売情報を生産(製造
)者に提供することができる。一方消費者は、個人情報等の購入情報を提供することがで
きる。例えば薄膜集積回路搭載のクレジットカート、又は個人のリーダ等により購入情報
を販売者や生産(製造)者へネットを介して提供できる。
【0092】
また販売者は薄膜集積回路により、消費者に商品情報の提供し、販売者は消費者から購
入情報を得ることができる。このような販売情報や購入情報等は、貴重な情報であり、今
後の販売戦略に役立つ。
【0093】
各種情報を提供する手段としては、薄膜集積回路から販売者や消費者の有するリーダが
読み取った情報をコンピュータやネットワークを介して、その情報を生産(製造)者、販
売者又は消費者に開示する方法がある。
【0094】
以上のような、多種多様な情報が薄膜集積回路を介して必要な者へ提供することができ
、本発明の薄膜集積回路は商品取引又は商品管理上でも有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板上に金属膜を形成し、
前記金属膜上に珪素を有する酸化膜と窒素を有する絶縁膜とが積層された絶縁膜を形成し、
前記絶縁膜上に半導体膜を形成し、
前記半導体膜上であって、同一層にゲート電極及びアンテナを形成して薄膜集積回路を形成し、
前記ゲート電極及び前記アンテナ上に第1の接着剤を介して第2の基板を接着し、前記第1の基板を分離し、
前記金属膜と第3の基板とを第2の接着剤を介して接着し、前記第1の接着剤を除去し、
前記第2の基板を分離する薄膜集積回路装置の作製方法であって、
前記金属膜上に金属酸化物が形成され、前記金属酸化物の層内、又は前記金属膜或いは前記金属酸化物の境界で分離することを特徴とする薄膜集積回路装置の作製方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記金属酸化物は加熱により結晶化することを特徴とする薄膜集積回路装置の作製方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記金属膜はW、Ti、Ta、Mo、Nd、Ni、Co、Zr、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、Irから選ばれた元素、前記金属を主成分とする合金、又は前記金属の化合物を有することを特徴とする薄膜集積回路装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−109132(P2011−109132A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23530(P2011−23530)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【分割の表示】特願2006−25256(P2006−25256)の分割
【原出願日】平成16年2月24日(2004.2.24)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】