説明

薬剤として用いるための置換ピラジノン誘導体

本発明は、選択的2C−アドレナリン受容体拮抗作用を有する一般式(I)
【化1】


[式中の変項を請求項1で定義する]
に従う置換ピラジノン誘導体、これらの製薬学的に許容される酸もしくは塩基付加塩、立体化学異性体形態物、N−オキサイド形態物または第四級アンモニウム塩に関する。本発明は、更に、それらの製造、それらを含有して成る組成物およびそれらを薬剤として用いることにも関する。本発明に従う化合物は、中枢神経系の疾患、気分障害、不安障害、鬱および/または不安に関連したストレス関連障害、認知障害、人格障害、統合失調性感情障害、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症、慢性痛状態、神経変性病、中毒性障害、気分障害および性機能障害の予防および/または治療で用いるに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的α2Cアドレナリン受容体拮抗作用を有する置換ピラジノン誘導体に関する。数種の化合物はまた適度な5−HTT活性も示す。本発明は、更に、それらの製造、それらを含有して成る製薬学的組成物、そしてそれらを薬剤、特に中枢神経系障害治療用薬剤として用いることにも関する。
【背景技術】
【0002】
アドレナリン受容体は、内因性カテコールアミンであるエピネフリンおよびノルエピネフリンと体内の多様な標的細胞の間の相互作用を形成して、交感神経系が示す生物学的効果を媒介するものである。それらは下記の3種類の主サブカテゴリーに分類分けされる:α、αおよびβ。今日までに下記の異なる9種類のアドレナリン受容体サブタイプがいくつかの種からクローン化された:α1A、α1B、α1D、α2A、α2B、α2C、β、βおよびβ(非特許文献1)。入手可能なαリガンドが示すサブタイプ選択性は僅かのみである。複雑にしている要因は、イミダゾールまたはイミダゾリンであるαアドレナリン受容体リガンドがまたアドレナリン受容体以外のイミダゾリン結合部位とも中程度から高い親和性で結合する点にある。
【0003】
そのような3種類のαアドレナリン受容体サブタイプは共通した特性を数多く有する。それらは、アミン結合サブファミリーの7回膜貫通ドメインを有するG蛋白質共役受容体である。3種類のサブタイプは全部がGi/oシグナル伝達系と共役することで、アデニレートシクラーゼの活性、電位依存性Ca2+チャンネルの開放およびKチャンネルの開放を抑制する。この3種類の受容体をコードする遺伝子は異なる染色体に存在する異なる遺伝子であり(非特許文献2および3)、ヒトの場合、α2Aの遺伝子は第十染色体に存在し、α2B遺伝子は第二染色体に存在しそしてα2C遺伝子は第四染色体に存在する。これらのサブタイプは哺乳動物種全体に渡って良好に保存される。しかしながら、ラットおよびマウスの場合、齧歯類のα2Aアドレナリン受容体が古典的なα拮抗薬であるヨヒンビンおよびラウオルシンに対して示す親和性が低くなるようにアミノ酸が1個置換されている。そのようないわゆるα2Dアドレナリン受容体サブタイプがヒトα2Aサブタイプの齧歯類類似体に相当することは全体的な合意である。
【0004】
αアドレナリン受容体サブタイプは細胞および組織内に特異的に分布しており、明らかに、これらの受容体が示す生理学的機能および薬理学的活性プロファイルも様々である。また、受容体の合成および翻訳後イベントの両方に関して前記3種類の受容体に対して行われる調節特性も受容体遺伝子内の調節領域が異なりかつ蛋白質の構造が異なることで様々である。
【0005】
αアドレナリン受容体は、最初は、ノルエピネフリンの放出を調節する負のフィードバックループの一部として働くシナプス前受容体であるとして特徴づけられた。間もなくして、αアドレナリン受容体の位置はシナプス前に限定されないで、またシナプス後機能も有することが示された。α2Aアドレナリン受容体は、交感神経からのノルエピネフリン放出をフィードバックループの一部として調節する主要な阻害性シナプス前受容体(自己受容体)である。α2Cアドレナリン受容体は調査された中枢および末梢神経組織の全部において追加的シナプス前調節因子として機能することが分かった。しかしながら、α2Aおよびα2C受容体が神経に対して示す貢献度は中枢と末端の間で相対的に異なり、α2Cサブタイプが示す貢献度は交感神経末端部内の方がアドレナリン作動性中枢神経細胞内よりも大きい(非特許文献4および5)。α2Cアドレナリン受容体は特に活動電位頻度が低い時に神経伝達物質の放出を制御するに適する。対照的に、α2Aアドレナリン受容体は主に交感神経内の刺激頻度が高い時に機能すると思われ、従って、交感神経活性が最大の時に起こるノルエピネフリン放出の制御に関与している可能性がある(非特許文献6)。α2Bアドレナリン受容体はシナプス後細胞上に存在していて、交感神経から放出されるカテコールアミンが示す効果、例えば血管収縮などを媒介する。αアドレナリン受容体はこれら自身の神経伝達物質の放出を抑制するばかりでなくまた中枢および末梢神経系内の他のいろいろな神経伝達物質のエクソサイトーシスも調節し得る。脳内ではα2Aおよびα2Cアドレナリン受容体が基底核におけるドーパミン放出を抑制し得るばかりでなくマウス海馬または大脳皮質部分におけるセロトニン分泌も抑制し得る。対照的に、αアドレナリン受容体作動薬が胃腸運動性に対して示す阻害効果を媒介するのはα2Aサブタイプのみであった。α2Aとα2C受容体の間の機能的差の一部は、それらの細胞内位置の様式が異なることで説明可能である。α2Aおよびα2Bアドレナリン受容体をラット線維芽細胞内に発現させた時、それらは細胞膜を標的にする。作動薬による刺激を受けさせた時にエンドソーム内に逆吸収されるのはα2Bアドレナリン受容体のみである。α2Cアドレナリン受容体は主に細胞内膜区画内に局在していて、低温にさらされるとそこから細胞表面に位置を変え得る(非特許文献7を参照)。
【0006】
αアドレナリン受容体サブタイプが欠如しているか或はそれを過剰発現するように遺伝工学処理を受けさせたマウスを作り出すことによってサブタイプ特異的機能の理解に関して重要な情報がもたらされた(非特許文献8)。そのようなマウス株の表現型を検査することで、α2Aサブタイプが中枢および末梢交感神経からの神経伝達物質放出の阻害およびα作動薬が示す中枢媒介効果の大部分に関与していることが立証された。α2Bサブタイプは主にα作動薬によって誘発される初期の末梢高血圧反応に関与しておりかつ塩によって誘発される高血圧にも関与している(非特許文献9および10)。
【0007】
α2Cサブタイプが果たす生理学的役割を明らかにすることはより困難であることが分かった。それはCNS内にかなり幅広く分布しているにも拘らず、それが果たす役割は非選択的α作動薬が示す心臓血管効果の媒介にとって重要ではないと思われた。デクスメデトミジンで誘発させた低体温およびD−アンフェタミンで誘発させた過活動にそれが関与していることが示唆された(非特許文献11)。α2Cアドレナリン受容体が媒介する別の潜在的に重要な反応は皮膚動脈の収縮であり、それによって皮膚の血流が低下する(非特許文献12)。ダブルノックアウトマウスを用いて実施された最近の研究によって、α2Cアドレナリン受容体はまたシナプシス前レベルでも発現し、それがα2Aと一緒になって神経伝達物質放出の制御に積極的に関与していることが示唆された。α2Aアドレナリン受容体は特に刺激頻度が高い時に効力を発する一方、α2Cアドレナリン受容体はむしろ刺激頻度が低い時に働く。その上、α2Cサブタイプは運動行動および記憶過程の調節にも関与していることが示唆された(非特許文献13および14)。このサブタイプが引き金になる他の中枢効果には、また、ストレスおよび運動に対する驚愕反射および攻撃反応も含まれる(非特許文献15および16)。最後に、α2Cアドレナリン受容体がα2C作動薬媒介脊椎麻酔およびアドレナリン作動−オピオイド相乗効果に関与している可能性があることが最近指摘された(非特許文献17)。
【0008】
α受容体は中枢神経系内に幅広く分布していることから、それらはいろいろな行動機能に影響を与える。α2Cアドレナリン受容体の発現度合が変わった時の影響を異なる数種の行動パラダイムで評価(非特許文献18)した結果、α2Cアドレナリン拮抗薬はストレス関連精神病性障害の治療で治療的価値を有する可能性があることが分かった。その行動パラダイムの各々でα2Cサブタイプが行動媒介の点である種の直接的役割を果たすか否かもα2C受容体の発現度合が変わった時に影響が生じるか否かも明瞭ではなかった、と言うのは、他の神経伝達物質系の代謝または下流のモジュレーションも変化したからである。興味の持たれることは、α2C受容体欠如マウスでは孤立攻撃試験における驚愕反応が増強し、プレパルス抑制が低下しかつ攻撃待ち時間が短くなった点にある。このように、薬剤がα2Cアドレナリン受容体を経由して作用することは、驚愕反応の増強および感覚運動ゲーティング障害に関連した疾患、例えば統合失調症、注意力欠如障害、心的外傷後ストレス障害および薬物離脱などに治療的価値を有する可能性がある。α2Cサブタイプに加えて、α2Aアドレナリン受容体も重要である。
【0009】
遺伝子標的マウスを用いたαアドレナリン受容体生理学の研究が益々公開されるにつれて、状況が最初に予測されていたよりも複雑になってきている。実際、1種類のみのαアドレナリン受容体サブタイプが媒介することが確認されたα受容体の生物学的機能は数種類のみであった。他のα受容体媒介機能に関してアドレナリン作動性シグナル伝達を調節する方策には下記の異なる2種類の方策が存在することが浮上したと思われる:ある種の生物学的機能は2種類の対抗するα受容体サブタイプによって制御されることと、ある種の生物学的機能には同様ではあるが相補的な効果を有する2種類の受容体サブタイプが必要であること。古典的なαアドレナリン作動薬が示す効果の大部分をα2Aサブタイプが媒介することから、α2A選択的作動薬が示すであろう臨床プロファイルの方が現在入手可能な薬剤が示すそれよりも実質的に良好であることは疑わしい。α2Bまたはα2Cアドレナリン受容体の所に作用する薬剤がもたらす古典的なαアドレナリン副作用の方がα2A特異的薬剤のそれよりも少ない可能性がある。α2C選択的薬剤は少なくとも数種の神経系障害、特に中枢神経系障害に有用であり得る可能性は大きいと思われる。
【0010】
今日までのパイプラインデータベースを分析することでAkzo Nobel(Organon)、Novartis、PfizerおよびSchering AGを包含する会社が数種のアドレナリンα拮抗薬を市場に出していることが分かる。そのような化合物のいずれも前記3種類のαアドレナリン受容体のいずれに対しても選択的ではない。そのような化合物は主に鬱病、高血圧障害およびパーキンソン病に関連した運動障害に適応される。αアドレナリン受容体拮抗薬が臨床開発段階にある会社には、Britannia Pharmaceuticals、IVAX、Juvantia Pharmaceuticals、MAP Pharmaceuticals、Novartis、Novo Nordisk、Organon、Pierre FabreおよびSanofi−Aventisが含まれる。
【0011】
今日までに開発された選択的α2Cアドレナリン受容体拮抗薬に関して、臨床開発段階の化合物はOPC−28326のみである(Otsuka Pharmaceuticalsが高血圧障害および末梢血管病の目的でフェーズ2)。α2C拮抗薬の残りは臨床前開発段階にあるOy Juvantia Pharma Ltdによるα2C拮抗薬(特許文献1および2に公開されているJP 1514およびJP 1302)およびNovartis AGによるα2C拮抗薬(特許文献3および非特許文献19に公開されているNVP−ABE651およびNVP−ABE697)であり、それらは主に鬱病および統合失調症に適応される。加うるに、JuvantiaおよびKyowa Hakkoも鬱病およびパーキンソン病の目的で数種の化合物を挙げてはいるが、それらは非常に初期の開発段階(生物学的試験段階)にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO 01/64645
【特許文献2】WO 04/067513
【特許文献3】WO 01/55132
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Hieble,J.P.他、J.Med.Chem.1995、38、3415−3444
【非特許文献2】Bylund,D.B.他、Pharmacol.Rev.1994、46、121−136
【非特許文献3】Hieble,J.P.他、Pharmacol.Commun.1995、6、91−97
【非特許文献4】Philipp,M.他、Am.J.Physiol.Regul.Integr.Comput.Physiol.2002、283、R287−R295
【非特許文献5】Kable,J.W.他、J.Pharmacol.Exp.Ther.2000、293、1−7
【非特許文献6】Bucheler,M.M.他、Neuroscience 2002、109、819−826
【非特許文献7】a.o.Docherty J.R.他、Eur.J.Pharmacol.1998、361、1−15
【非特許文献8】MacDonald,E.他、Trends Pharmacol.Sci.1997、18、211−219
【非特許文献9】Link他、Science 1996、273、803−805
【非特許文献10】Makaritsis,K.P.他、Hypertension 1999、33、14−17
【非特許文献11】Rohrer,D.K.他、Annu.Rev.Pharmacol Toxicol.1998、38、351−373
【非特許文献12】Chotani,M.A.他、Am.J.Physiol.Heart Circ.Physiol.2004、286、59−67
【非特許文献13】Bjorklund,M.他、Neuroscience 1999、88、1187−1198
【非特許文献14】Tanila,H.他、Eur.J.Neurosci.1999、11、599−603
【非特許文献15】Sallinen,J.他、Neurosci.1998、18、3035−3042
【非特許文献16】Sallinen,J.他、Neurosci.1998、86、959−965
【非特許文献17】Fairbanks,C.A.他、J.Pharm.Exp.Ther.2002、300、282−290
【非特許文献18】Kable J.W.他、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、2000、293(1):1−7
【非特許文献19】J.Label Compd.Radiopham 2002、45、1180
【発明の概要】
【0014】
発明の説明
本発明の目的は、αアドレナリン受容体、特にα2Cアドレナリン受容体に対して結合親和性を示す化合物を特に拮抗薬として提供することにある。
【0015】
この目的を一般式(I)
【0016】
【化1】

【0017】
[式中、
、Aは、各々互いに独立して、窒素または炭素原子であるが、但しAとAが同時に炭素原子であることはないことを条件とし、
、Zは、各々互いに独立して、共有結合またはN−RでありかつRは水素、(C1−3)アルキル、アリールおよびアリール−(C1−3)アルキルから成る群より選択され、
nは、ゼロ、1、2または3に相当する整数であり、
は、水素およびハロから成る群より選択され、
Pは、フェニル、ビフェニル、1,1−ジフェニルメチルおよびベンジルオキシフェニルから成る群より選択される基であり、
は、共有結合、飽和もしくは不飽和(C1−8)炭化水素基であり、かつ1個以上の二価−CH−単位が場合により個々の二価フェニル単位に置き換わっていてもよくそして/または1個以上の水素原子がオキソ、(C1−3)アルキルオキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、ホルミル、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、モノ−およびジ((C1−3)アルキル)アミノ、カルボキシルおよびチオから成る群より選択される基に置き換わっていてもよく、
は、水素、−NR、Pir、−OR3a、SR3b、SO3c、アリールおよびHetから成る群より選択される基であり、かつ2個の基−OR3aが一緒になって二価基−O−(CH−O−を形成していてもよくかつsは1、2または3に相当する整数であり、
およびRは、各々互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ジアリールアルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアルキル、アルケニルカルボニル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシアルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニルアルキル、アルキルオキシカルボニルアルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、アリールアルケニルスルホニル、Het−スルホニル、アリールカルボニル、アリールオキシアルキル、アリールアルキルカルボニル、Het、Het−アルキル、Het−アルキルカルボニル、Het−カルボニル、H
et−カルボニルアルキル、アルキル−NR、カルボニル−NR、カルボニルアルキル−NR、アルキルカルボニル−NRおよびアルキルカルボニルアルキル−NRから成る群より選択される基であり、かつRおよびRは、各々独立して、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシカルボニルアルキル、アリール、アリールアルキル、Hetおよびアリール−NRから成る群より選択されかつRおよびRは各々互いに独立して水素またはアルキルであり、
Pirは、Nを少なくとも1個含有していてそれを通してX基と結合している基であり、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、アゼピル、ジアゼピル、モルホリニル、チオモルホリニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリルおよび1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリニルから成る群より選択されかつ各Pir基は場合によりヒドロキシ、ハロ、オキソ、(C1−3)アルキル、(C1−3)アルケニル(C1−3)アルキルオキシカルボニル、Het−カルボニル、(C1−3)アルキルアミノ、トリフルオロメチル、フェニル(C0−3)アルキル、ピリミジニル、ピロリジニルおよびピリジニルオキシから成る群より選択される1、2または3個の基で置換されていてもよく、
3a、R3b、R3cは、各々互いに独立して、水素、アルキル、トリハロアルキル、アリール、アリールアルキル、アルキルオキシアルキル、HetおよびHet−アルキルから成る群より選択される基であり、
Hetは、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、アゼピル、ジアゼピル、モルホリニル、チオモルホリニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリニル、フリル、テトラヒドロピラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ジオキソリル、ジチアニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、オキサジアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾピペリジニル、ベンゾモルホリニル、クロメニルおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジニルから成る群より選択される複素環式基であり、かつ各Het基は場合によりハロ、オキソ、(C1−3)アルキル、場合により(C1−3)アルキルオキシで置換されていてもよいフェニル、(C1−3)アルキルカルボニル、(C1−3)アルケニルチオ、イミダゾリル−(C1−3)アルキル、アリール(C1−3)アルキルおよび(C1−3)アルキルオキシカルボニルから成る群より選択される1個以上の基で置換されていてもよく、
アリールは、各々が場合によりオキソ、(C1−3)アルキル、(C1−3)アルキルオキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、ホルミル、エタノイル、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、モノ−およびジ((C1−3)アルキル)アミノ、モノ−およびジ((C1−3)アルキルカルボニル)アミノ、カルボキシル、モルホリニルおよびチオから成る群より各々互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいナフチルもしくはフェニルであり、
アルキルは、特に明記しない限り、炭素原子数が1から8の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基であるか、或は炭素原子数が3から7の環式飽和炭化水素基であるか、或は炭素原子数が1から8の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基と結合している炭素原子数が3から7の環式飽和炭化水素基であり、かつ各基は場合により1個以上の炭素原子がオキソ、(C1−3)アルキルオキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、ホルミル、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシルおよびチオから成る群より選択される1個以上の基で置換されていてもよく、
アルケニルは、更に二重結合を1個以上有するこの上で定義した如きアルキル基であり、
アルキニルは、更に三重結合を1個以上有するこの上で定義した如きアルキル基であり、アリールアルキルは、更に1個のCH基がフェニルに置き換わっているこの上で定義した如きアルキル基であり、そして
ジアリールアルキルは、更に2個のCH基がフェニルに置き換わっているこの上で定義した如きアルキル基である]
に従う化合物、これの製薬学的に許容される酸もしくは塩基付加塩、N−オキサイド形態物または第四級アンモニウム塩を用いて達成した。
【0018】
本発明は、また、製薬学的に許容される担体もしくは希釈剤を含有しかつ本発明に従う化合物、特に式(I)に従う化合物、これの製薬学的に許容される酸もしくは塩基付加塩、N−オキサイド形態物または第四級アンモニウム塩を有効成分として治療的に有効な量で含有して成る製薬学的組成物にも関する。
【0019】
本発明は、また、本発明に従う化合物をα−アドレナリン受容体の拮抗作用、特にα2Cアドレナリン受容体の拮抗作用に反応する障害または病気の予防および/または治療用の薬剤を製造する目的で用いることにも関する。
【0020】
特に、本発明は、本発明に従う化合物を中枢神経系の疾患、気分障害、不安障害、鬱および/または不安に関連したストレス関連障害、認知障害、人格障害、統合失調性感情障害、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症、慢性痛状態、神経変性病、中毒性障害、気分障害および性機能障害の予防および/または治療用の薬剤を製造する目的で用いることにも関する。
【0021】
本発明に従う化合物は、また、現在入手可能であるか或は開発中であるか或は将来利用可能になるであろう抗鬱薬、抗不安薬および/または抗精神病薬と組み合わせることでこの上に示した病気における効力および/または作用開始を向上させる追加的治療および/または予防薬として用いるにも適する可能性がある。これの評価を抗鬱薬、抗不安薬および/または抗精神病薬が有効であることが分かっている齧歯類モデルを用いて実施する。例えば、化合物にストレス誘発異常高熱の減衰に関する評価を抗鬱薬、抗不安薬および/または抗精神病薬と組み合わせた状態で受けさせる。
【0022】
従って、本発明は、また、本発明に従う化合物を抗鬱薬、抗不安薬および抗精神病薬の群から選択した他の1種以上の化合物を用いた時の追加治療薬として用いる使用、本発明に従う化合物を含有しかつ抗鬱薬、抗不安薬および抗精神病薬の群から選択した他の1種以上の化合物を含有して成る製薬学的組成物ばかりでなく、前記製薬学的組成物の製造方法、そして前記組成物を薬剤、特に鬱病および/または不安の治療における効力および/または作用開始を改善する薬剤を製造する目的で用いることにも関する。
【0023】
発明の詳細な説明
好適な態様において、本発明は、部分
【0024】
【化2】

【0025】
が以下に示す如き式(II−a)、(II−b)、(II−c)および(II−d):
【0026】
【化3】

【0027】
で表される二価基である本発明に従う化合物に関する。
【0028】
好適な態様において、本発明は、Rが水素またはp−アミノメチルベンジルである本発明に従う化合物に関する。最も好適には、Rは水素である。
【0029】
好適な態様において、本発明は、nが1、2または3である本発明に従う化合物に関する。
【0030】
好適な態様において、本発明は、Rが水素である本発明に従う化合物に関する。
【0031】
好適な態様において、本発明は、Pがフェニルである本発明に従う化合物に関する。
【0032】
好適な態様において、本発明は、Xが共有結合、C−炭化水素基、C−炭化水素基またはC−炭化水素基から成る群より選択される本発明に従う化合物に関する。
【0033】
の1つの好適な態様では、炭化水素基Xの1個の二価−CH−単位が二価のフェニル単位に置き換わっているか、或は炭化水素基Xの2個の水素原子がオキソ基に置き換わっている。
【0034】
更に好適な態様において、本発明は、Xが共有結合および以下に定義する如き基(aa)から(bm):
【0035】
【化4】

【0036】
の中のいずれか1つから成る群より選択される本発明に従う化合物に関する。
【0037】
前記基の各々をリンカーとして用いることができかつこのリンカーの左側(左側の結合
)またはこのリンカーの右側(右側の結合)が中心のピラジノン部分と連結していることは本発明の範囲内である。このことは特に非対称的リンカーに関係しており、従って2種類の形態で使用可能である。
【0038】
更に好適な態様において、本発明は、Xが共有結合および以下に定義する如き基(aa)、(ab)、(ac)、(ag)、(am)、(an)、(aq)、(as)および(be):
【0039】
【化5】

【0040】
の中のいずれか1つから成る群より選択される本発明に従う化合物に関する。
【0041】
本発明のいずれの態様においても、Xが環式単位、即ちフェニル単位またはシクロヘキシル単位であるか或は環式単位を含有する場合、その単位の結合位置はオルソ、メタまたはパラ位であってもよく、好適には、その単位の結合位置はメタまたはパラ位、最も好適にはパラ位である。
【0042】
好適な態様において、本発明は、Qが水素、−NR、Pir、−OR3a、SR3b、アリールおよびHetから成る群より選択される基である化合物に関する。
【0043】
好適な態様において、本発明は、RおよびRが各々互いに独立して水素、アルキルおよびアルキルオキシカルボニルから成る群より選択される基である化合物に関する。
【0044】
またはRがアルキル部分を含有して成る場合、そのアルキル部分は好適にはメチル、t−ブチル、または例えばフェニルアルキル部分中のアルキルの場合などのように1個の水素が結合に置き換わっていることで二価基を形成している意味でそれらから生じた二価部分である。
【0045】
更に好適な態様において、本発明は、PirがNを少なくとも1個含有していてそれを通してX基と結合している基であり、ピペリジニルおよびイソインドリルから成る群より選択されかつ各Pir基が場合により2個のオキソ基で置換されていてもよい、例えばイソインドリル−1,3−ジオンなどである本発明に従う化合物に関する。
【0046】
更に好適な態様において、本発明は、R3aおよびR3bが各々互いに独立してアルキル基である本発明に従う化合物に関する。好適には、R3aおよびR3bが各々互いに独立してメチルである。
【0047】
さらなる態様において、本発明は、Hetがピリジニル、フリル、テトラヒドロピラニル、チエニル、オキサジアゾリルおよびキノリニルから成る群より選択される複素環式基でありかつ各Het基が場合によりハロおよび場合により(C1−3)アルキルオキシで置換されていてもよいフェニルから成る群より選択される1個以上の基で置換されていてもよい本発明に従う化合物に関する。
【0048】
最も好適には、本発明は、アリールが各々が場合により(C1−3)アルキルおよびハロから成る群より選択される置換基で置換されていてもよいナフチルもしくはフェニルである本発明に従う化合物に関する。
【0049】
更に好適な態様において、本発明は、
、Aが各々互いに独立して窒素または炭素原子であるが、但しAとAが同時に炭素原子であることはないことを条件とし、
、Zが各々互いに独立して共有結合またはN−RでありかつRが水素およびアリール−(C1−3)アルキルから成る群より選択され、
nがゼロ、1、2または3に相当する整数であり、
が水素であり、
Pがフェニル、ビフェニル、1,1−ジフェニルメチルおよびベンジルオキシフェニルから成る群より選択される基であり、
が結合、飽和もしくは不飽和(C1−8)炭化水素基であり、かつ1個以上の二価−CH−単位が場合により個々の二価フェニル単位に置き換わっていてもよくそして/または1個以上の水素原子がオキソ基に置き換わっていてもよく、
が水素、−NR、Pir、−OR3a、SR3b、アリールおよびHetから成る群より選択される基であり、
およびRが各々互いに独立して水素、アルキルおよびアルキルオキシカルボニルから成る群より選択される基であり、
PirがNを少なくとも1個含有していてそれを通してX基と結合している基であり、ピペリジニル、イソインドリルから成る群より選択されかつ各Pir基が場合により2個のオキソ基で置換されていてもよく、
3a、R3b、R3cが各々互いに独立してアルキル基であり、
Hetがピリジニル、フリル、テトラヒドロピラニル、チエニル、オキサジアゾリルおよびキノリニルから成る群より選択される複素環式基であり、かつ各Het基が場合によりハロおよび場合により(C1−3)アルキルオキシで置換されていてもよいフェニルから成る群より選択される1個以上の基で置換されていてもよく、そして
アリールが各々が場合により(C1−3)アルキルおよびハロから成る群より各々互いに独立して選択される置換基で置換されていてもよいナフチルもしくはフェニルである、
本発明に従う化合物に関する。
【0050】
本出願の構成において、炭素原子数が異なると示さない限り、アルキルは炭素原子数が1から8の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基であるか、或は炭素原子数が3から7の環式飽和炭化水素基であるか、或は炭素原子数が1から8の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基の部分である炭素原子数が3から7の環式飽和炭化水素基であり、かつ各基は場合により1個以上の炭素原子がオキソ、(C1−3)アルキルオキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、ホルミル、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシおよびチオから成る群より選択される1個以上の基で置換されていてもよい。アルキルは好適にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンチル、オクチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチルおよびシクロヘキシルエチルである。最も好適には、アルキルは(C1−2)アルキル基である。
【0051】
本出願の構成において、アルケニルは、二重結合を1個以上有するこの上で定義した如きアルキル基である。アルケニルは好適にはエテニル、プロペニルおよびブテニルである。
【0052】
本出願の構成において、アルキニルは、三重結合を1個以上有するこの上で定義した如きアルキル基である。アルキニルは好適にはエチニルおよびプロピニルである。
【0053】
本出願の構成において、アリールアルキルは、1個のCH基がフェニル基に置き換わっているこの上で定義した如きアルキル基である。前記基の例はベンジルである。
【0054】
本出願の構成において、ジアリールアルキルは、2個のCH基がフェニル基に置き換わっているこの上で定義した如きアルキル基である。前記基の例はジフェニルメチルおよび1,1−ジフェニルエチルである。
【0055】
本出願の構成において、ハロはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの群から選択される置換基であり、そしてハロアルキルは、1個以上の炭素原子が1個以上のハロ原子で置換されている炭素原子数が1から6の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基または炭素原子数が3から7の環式飽和炭化水素基である。ハロは好適にはブロモ、フルオロまたはクロロであり、より好適には、ハロはフルオロである。ハロアルキルは好適にはトリフルオロアルキルであり、より好適には、ハロアルキルはトリフルオロメチルである。
【0056】
本出願の構成において、特に明記しない限り、結合は如何なる結合であってもよく、それには共有結合、単結合、二重結合、三重結合、配位結合および水素結合が含まれる。
【0057】
本出願の構成で、「本発明に従う化合物」は、一般式(I)に従う化合物、これの製薬学的に許容される酸もしくは塩基付加塩、N−オキサイド形態物または第四級アンモニウム塩を意味する。
【0058】
製薬学的に許容される酸付加塩には式(I)に従う化合物が形成し得る治療的に有効な無毒の酸付加塩形態物が含まれると定義する。式(I)に従う化合物の塩基形態物を適切な酸、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、特に塩酸、臭化水素酸など、硫酸、硝酸および燐酸など、有機酸、例えば酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、しゅう酸、マロン酸、こはく酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸およびパモ酸などで処理することで前記塩を得ることができる。
【0059】
逆に、前記酸付加塩形態物を適切な塩基で処理することで遊離塩基形態物に変化させることができる。
【0060】
また、酸性プロトンを含有する式(I)に従う化合物を適切な有機および無機塩基で処理することで治療的に有効な無毒の金属もしくはアミン付加塩形態物(塩基付加塩)に変化させることも可能である。適切な塩基塩形態物には、例えばアンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、特にリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒブラミン(hybramine)などの塩、およびアミノ酸、例えばアルギニンおよびリシンなどとの塩が含まれる。
【0061】
逆に、前記塩形態物を適切な酸で処理することで遊離形態物に変化させることができる。
【0062】
本出願の構成で用いる如き用語「付加塩」は、また、式(I)に従う化合物ばかりでなくこれの塩が形成し得る溶媒和物も包含する。そのような溶媒和物は例えば水化物、アルコラートなどである。
【0063】
式(I)に従う化合物のN−オキサイド形態物は、これに1または数個の窒素原子が酸化されていわゆるN−オキサイドになっている式(I)で表される化合物、特に1個以上の第三級窒素(例えばピペラジニルまたはピペリジニル基の)がN−酸化されたN−オキサイドを包含させることを意味する。技術者はそのようなN−オキサイドを独創的な技術を全く用いることなく容易に得ることができ、そしてそれらは式(I)に従う化合物の明らかな代替物である、と言うのは、そのような化合物はヒトの体内に吸収されて酸化させることによって生じる代謝産物であるからである。一般に公知のように、酸化は通常は薬剤代謝に関係する1番目の段階である(Textbook of Organic Medicinal and Pharmaceutical Chemistry、1977、70−75頁)。また一般に公知のように、ある化合物の代謝産物形態物を当該化合物自体の代わりにヒトに投与することでもほぼ同じ効果を得ることができる。
【0064】
式(I)で表される化合物から相当するN−オキサイド形態物への変換は、三価の窒素をN−オキサイド形態に変化させるに適することが当該技術分野で知られている手順に従って実施可能である。前記N−オキサイド化反応は、一般に、式(I)で表される化合物を適切な有機もしくは無機過酸化物と反応させることで実施可能である。適切な無機過酸化物には、例えば過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムなどが含まれ、適切な有機過酸化物には、ペルオキシ酸、例えば過安息香酸またはハロ置換過安息香酸、例えば3−クロロ過安息香酸など、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸など、アルキルヒドロパーオキサイド、例えばt−ブチルヒドロパーオキサイドなどが含まれ得る。適切な溶媒は、例えば水、低級アルカノール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエンなど、ケトン、例えば2−ブタノンなど、ハロゲン置換炭化水素、例えばジクロロメタンなど、そしてそのような溶媒の混合物である。
【0065】
式(I)に従う化合物の第四級アンモニウム塩は、式(I)に従う化合物の塩基性窒素と適切な第四級化剤、例えば場合により置換されていてもよいアルキルハライド、アリールハライドまたはアリールアルキルハライド、特にヨウ化メチルおよびヨウ化ベンジルなどの間の反応によって生じ得る化合物を定義するものである。また、良好な脱離基を有する他の反応体、例えばトリフルオロメタンスルホン酸アルキル、メタンスルホン酸アルキルおよびp−トルエンスルホン酸アルキルなどを用いることも可能である。第四級アンモニウム塩は正に帯電している窒素を少なくとも1個有する。製薬学的に許容される対イオンには、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロアセテートおよびアセテートイオンが含まれる。
【0066】
本発明は、また、本発明に従う薬理学的に有効な化合物、特に式(I)に従う化合物の誘導体化合物(通常は「プロドラッグ」と呼ぶ)も包含し、これは生体内で分解して本発明に従う化合物を生じる。プロドラッグが標的受容体の所で示す効力はそれらが分解して生じる化合物が示すそれよりも通常は(必ずしもではないが)低い。プロドラッグは、特に、所望化合物が示す化学的もしくは物理的特性によって投与が困難であるか或は投与の効率が良好でない時に有用である。例えば、所望化合物が示す溶解性が僅かのみであり得る場合、それは粘膜上皮を通して輸送される度合が劣るか或はそれが血漿中で示す半減期が望ましくなく短い可能性がある。プロドラッグに関するさらなる考察をStella,V.J.他、「Prodrugs」、Drug Delivery Systems、1985、112−176頁およびDrugs、1985、29、455−473頁に見ることができる。
【0067】
本発明に従う薬理学的に有効な化合物のプロドラッグ形態物は、一般に、エステル化またはアミド化される酸基を有する式(I)に従う化合物、これの製薬学的に許容される酸もしくは塩基付加塩、N−オキサイド形態物または第四級アンモニウム塩である。そのようなエステル化された酸基には式−COOR[式中、RはC1−6アルキル、フェニル、ベンジル、または下記の基:
【0068】
【化6】

【0069】
の中の1つである]
で表される基が含まれる。
【0070】
アミド化された基には、式−CONR[式中、RはH、C1−6アルキル、フェニルまたはベンジルであり、そしてRは−OH、H、C1−6アルキル、フェニルまたはベンジルである]で表される基が含まれる。アミノ基を有する本発明に従う化合物にケトンまたはアルデヒド、例えばホルムアルデヒドなどを用いた誘導体化を受けさせることでマンニッヒ塩基を生じさせることができる。その塩基は水溶液中で一次反応速度で加水分解を起こす。
【0071】
本出願の構成において、本発明に従う化合物にこれの立体化学異性体形態物の全部を包含させることを本質的に意図する。本明細書で用いる如き用語「立体化学異性体形態物」は、式(I)で表される化合物が取り得る可能な異性体形態物の全部を定義するものである。特に明記しない限り、化合物の化学的表示は可能なあらゆる立体化学異性体形態物の混合物を表し、前記混合物は、基本的分子構造を有するジアステレオマーおよび鏡像異性体の全部を含有する。より詳細には、立体中心はR配置またはS配置を取り得、二価の環式(部分)飽和基上の置換基はシス配置またはトランス配置のいずれかを取り得る。二重結合を含有する化合物は前記二重結合の所にE立体化学またはZ立体化学を取り得る。従って、式(I)で表される化合物の立体化学異性体形態物の全部を本発明の範囲内に包含させることを意図する。
【0072】
CASの命名慣例に従い、絶対配置が既知の2個の立体中心が分子中に存在する場合、RまたはS記述子に番号が最も小さいキラル中心、即ち基準中心を割り当てる(Cahn−Ingold−Prelogの配列規則を基に)。2番目の立体中心の形態を相対的記述子[R,R]または[R,S]で示し、ここで、Rを常に基準中心として指定し、そして[R,R]は同じキラリティーを持つ中心を示し、そして[R,S]は異なるキラリティーを持つ中心を示す。例えば、分子中で番号が最も小さいキラル中心がS配置を有しかつ2番目の中心がRである場合、その立体記述子はS−[R,S]であると指定することになるであろう。「α」および「β」を用いる場合、環の番号が最も低い環系が有する不斉炭素原子上の優先度が最も高い置換基の位置が随意常にその環系によって決まる平均面の「α」位にあるとする。前記基準原子が有する優先度が最も高い置換基の位置を基準にしたその環系内に存在する他の不斉炭素原子上の優先度が最も高い置換基[式(I)に従う化合物の中の水素原子]の位置がこの環系によって決まる平均面の同じ側に存在する場合にはそれを「α」と命名し、或はそれがこの環系によって決ま
る平均面のもう一方の側に存在する場合にはそれを「β」と命名する。
【0073】
本出願の構成において、本発明に従う化合物にこれの化学的元素の同位元素組み合わせの全部を包含させることを本質的に意図する。本出願の構成において、化学的元素を特に式(I)に従う化合物に関して述べる場合、これにそのような元素の同位元素および同位元素混合物の全部をそれらが天然に存在するか或は合成で生じさせたものであるかに拘わらずかつ天然に豊富に存在するか或は同位元素が豊富に存在する形態であるかに拘わらず包含させる。詳細には、水素を記述する場合のそれはH、H、Hおよびこれらの混合物を指すと理解し、炭素を記述する場合のそれは11C、12C、13C、14Cおよびこれらの混合物を指すと理解し、窒素を記述する場合のそれは13N、14N、15Nおよびこれらの混合物を指すと理解し、酸素を記述する場合のそれは14O、15O、16O、17O、18Oおよびこれらの混合物を指すと理解し、そしてフッ素を記述する場合のそれは18F、19Fおよびこれらの混合物を指すと理解する。
【0074】
従って、本発明に従う化合物には、本質的に、1個以上の元素の1種以上の同位元素を有する化合物およびこれらの混合物が含まれ、それらには、1個以上の非放射性原子がそれの放射性同位元素の中の1種に置き換わっている放射性化合物(また放射能標識付き化合物とも呼ぶ)が含まれる。用語「放射能標識付き」化合物は、放射性原子を少なくとも1個含有する式(I)に従う化合物、これの製薬学的に許容される酸もしくは塩基付加塩、N−オキサイド形態物または第四級アンモニウム塩のいずれかを意味する。例えば、化合物に陽電子またはガンマ線放射性同位元素による標識を付けることができる。放射性リガンド結合技術(膜受容体検定)では、H原子または125I原子が置き換えで選択される原子である。画像形成の場合に最も通常用いられる陽電子放出(PET)放射性同位元素は11C、18F、15Oおよび13Nであり、これらの発生は全部加速機を用いて行われ、そしてそれらが示す半減期はそれぞれ20、100、2および10分である。そのような放射性同位元素が示す半減期は非常に短いことから、それらを用いることができるのはそれらを発生させる場所に加速機が備わっている施設のみであり、従って、それらの使用は限定される。それらの中で最も幅広く用いられているのは18F、99mTc、201TIおよび123Iである。そのような放射性同位元素の取り扱い、それらの発生、単離および分子内への取り込みは当業者に公知である。
【0075】
そのような放射性原子を特に水素、炭素、窒素、硫黄、酸素およびハロゲンの群から選択する。その放射性原子を好適には水素、炭素およびハロゲンの群から選択する。
【0076】
そのような放射性同位元素を特にH、11C、18F、122I、123I、125I、131I、75Br、76Br、77Brおよび82Brの群から選択する。その放射性同位元素を好適にはH、11Cおよび18Fの群から選択する。
【0077】
調製
本発明に従う化合物の調製は一般に各々が当業者に公知である一連の段階を用いて実施可能である。特にピラジノン誘導体の調製は以下の調製方法の中の1つ以上に従って実施可能である。
【0078】
最終的化合物(I−a)の調製
最終的化合物I−a(これをまた他の最終的化合物用の中間体としても用いた)の調製は一般にスキーム1Aに示すようにして実施可能である。
【0079】
【化7】

【0080】
出発材料である2,3−ジクロロピラジンにアミノ誘導体を用いたアルキル化を受けさせる反応(スキーム1A)を非プロトン性溶媒、例えばDMFまたはDMSOなど中で無機塩基、例えばKCO、NaCO、NaOHまたはKOHなどを存在させて通常の加熱またはマイクロ波照射のいずれかを用いた便利な温度で反応の完了を確保する時間(通常の加熱下では典型的に約16時間であり得る)実施してもよい。
【0081】
加水分解反応を酸性無機溶媒、例えば10%のHCl水溶液など中で共溶媒、例えばTHFなどを用いて通常の加熱またはマイクロ波加熱下で反応の完了を確保する時間(通常の加熱下では典型的に約16時間であり得る)実施するか或は塩基性条件、例えばNaOH水溶液またはDMSO溶媒など中で反応の完了を確保する時間(マイクロ波照射下では典型的に約0.5時間であり得る)実施してもよい。
【0082】
最終的化合物(I−a)は、以下に示す反応スキームの化合物用の出発化合物である。変項Z、Z、A、A、n、Pは、特に明記しない限り、式(I)で定義した通りである。
【0083】
化合物I−aの調製をまた中間体I−bを用いて出発してそれと適切なアルデヒドをスキーム1Bに従って反応させることで実施することも可能である。
【0084】
【化8】

【0085】
この還元アミノ化反応を非プロトン性溶媒、例えば1,2−ジクロロエタンなど中で還元剤、例えばトリアセトキシホウ水素化ナトリウムなどを存在させて反応の完了を確保する時間(これは典型的に室温で約16時間であり得る)実施してもよい。
【0086】
が飽和もしくは不飽和炭化水素基である最終的化合物の調製
【0087】
【化9】

【0088】
化合物W−X−(Q中のW基は脱離基、例えばCl−、Br−、MeSOO−およびp−MePhSOO−などであり、Xは(C1−8)炭化水素基、より好適には(C1−6)炭化水素基、更により好適には(C1−5)炭化水素基、最も好適には(C1−4)炭化水素基である。変項Z、Z、A、A、n、Pは式(I)で定義した通りである。このアルキル化反応を非プロトン性溶媒、例えばCHCN、DMFまたはTHFなど中で無機塩基、例えばKCO、NaCO、CsCOなどまたは有機塩基、例えばTBD、PS−TBDなどを存在させて通常の加熱またはマイクロ波照射のいずれかを用いた便利な温度で反応の完了を確保する時間(マイクロ波照射下で約120℃の時には典型的に約20分であり得る)実施してもよい。
【0089】
最終的化合物:第一級アミンの調製
【0090】
【化10】

【0091】
フラグメント−(QがNHに相当する場合、最初に、アミノ基が保護基で保護されている相当する化合物I−cの合成をスキーム2Aに従って実施してもよい。次に、保護基除去反応をスキーム3Aに従って当業者に良く知られている合成方法を用いて実施してもよい。変項Z、Z、A、A、n、Pは式(I)で定義した通りである。
【0092】
薬理学
驚くべきことに、本発明に従う化合物、特に式(I)に従う化合物、これの製薬学的に許容される酸もしくは塩基付加塩、N−オキサイド形態物または第四級アンモニウム塩がαアドレナリン受容体、特にα2Cアドレナリン受容体に対して特に拮抗薬として結合親和性を有することを見いだした。
【0093】
本発明に従う化合物は、この上に記述した効力を有することを鑑み、αアドレナリン受容体の拮抗作用、特にα2Cアドレナリン受容体の拮抗作用が治療的に有用である病気の予防および/または治療で用いるに適する。特に、本発明に従う化合物は下記の病気の治療および/または予防で用いるに適し得る。
・ 下記を包含する中枢神経系障害:
・ 特に大鬱病障害、精神病性特徴、緊張病性特徴、憂鬱特徴、分娩後開始の非定型特徴を伴うか或は伴わずかつ再発する場合には季節パターンを伴うか或は伴わない鬱病、気分変調性障害、双極性I障害、双極性II障害、気分循環性障害、再発性短期鬱障害、混合型情動障害、特定不能な双極性障害、一般的健康状態による気分障害、物質誘発気分障害、特定不能な気分障害、季節情動障害および月経前不快気分障害を包含する気分障害
・ パニック発作、広場恐怖症、広場恐怖症を伴わないパニック障害、パニック障害病歴を伴わない広場恐怖症、特定恐怖症、社会恐怖症、脅迫神経症、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害、一般的健康状態による不安障害、物質誘発不安障害および特定不能な不安障害を包含する不安障害
・ 急性ストレス反応、適応障害(短期鬱反応、長期鬱反応、不安と鬱の混合型反応、他の主要な感情障害を伴う適応障害、主要な行動障害を伴う適応障害、感情と行動の混合型障害を伴う適応障害、他の特定の主要な症状を伴う適応障害)およびひどいストレスに対する他の反応を包含する鬱および/または不安に関連したストレス関連障害
・ 認知症、記憶喪失障害および特定不能な認知障害、特に変性障害、病変、外傷、感染、血管障害、毒素、酸素欠乏、ビタミン不足または内分泌障害によって引き起こされる認知症、またはアルコールまたは他のチアミン欠乏、単純ヘルペス脳炎および他の辺縁系脳炎による両側側頭葉損傷、酸素欠乏/低血糖/ひどいけいれんおよび手術による二次的ニューロン欠損、変性障害、血管障害または第三脳室付近の病変が原因で引き起こされる記憶喪失障害
・ 認知障害、特に他の病状による認知障害が原因で起こる認知障害
・ 妄想性人格障害、統合失調症的人格障害、統合失調症型人格障害、反社会的人格障害、境界型人格障害、演技性人格障害、自己愛性人格障害、回避性人格障害、依存性人格障害、脅迫性人格障害および特定不能な人格障害を包含する人格障害
・ 躁型、鬱型、混合型、妄想型、解体型、緊張型、未分化型および残遺統合失調症型の統合失調性感情障害、統合失調症様障害、統合失調症性感情障害、妄想障害、短期精神病性障害、共有型精神病性障害、物質誘発精神病性障害および特定不能な精神病性障害を包含するいろいろな原因で起こる統合失調症性感情障害
・ 無動症、無動−硬直症候群、ジスキネジーおよび薬物誘発パーキンソン病、ギレスデラトゥーレットシンドロームおよびそれの症状、振戦、舞踏病、ミオクローヌス、チックおよびジストニア
・ 注意力欠如/多動障害(ADHD)
・ パーキンソン病、薬物誘発パーキンソン病、脳炎後パーキンソン病、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン−ALS認知症症候群および大脳基底核石灰化
・ 早期もしくは後期発症の鬱気分を伴うアルツハイマー型認知症
・ 情動不安および攻撃性を包含する行動障害および認知症および知的障害における行動障害
・ 錐体外路運動障害
・ ダウン症
・ 静座不能
・ 神経性無食欲症、非定型神経性無食欲症、神経性多食症、非定型神経性多食症、他の精神病学的障害に関連した過食、他の精神病学的障害に関連した嘔吐および特定不能な摂食障害を包含する摂食障害
・ エイズ関連認知症
・ 神経障害性痛、炎症性痛、癌痛および手術(歯科手術を包含)後の手術後痛を包含する慢性痛状態[このような適応症にはまた急性痛、骨格筋痛、腰部痛、上肢痛、線維筋痛および筋筋膜疼痛症候群、口腔顔面痛、腹部痛、幻想痛、疼痛性チックおよび非定型顔面痛、神経根障害およびくも膜炎、高齢者病痛、中枢痛および炎症性痛も含まれ得る]
・ アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、クロイツフェルト・ヤコブ病、ピック病、脱髄障害、例えば多発性硬化症およびALSなど、他の神経障害および神経痛、多発性硬化症、筋委縮性側索硬化症、卒中および脳外傷を包含する神経変性病
・ 下記を包含する中毒性障害:
・ 生理学的依存を伴うか或は伴わない物質依存もしくは乱用、特に当該物質がアルコール、アンフェタミン、アンフェタミン様物質、カフェイン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、ニコチン、オピオイド、フェンシクリジン、フェンシクリジン様化合物、鎮静−睡
眠薬、ベンゾジアゼピンおよび/または他の物質、特に前記物質からの離脱およびアルコール離脱性せん妄の治療に有用な物質である物質依存もしくは乱用
・ 気分障害、特にアルコール、アンフェタミン、カフェイン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、ニコチン、オピオイド、フェンシクリジン、鎮静薬、睡眠薬、抗不安薬および他の物質によって誘発される気分障害
・ 不安障害、特にアルコール、アンフェタミン、カフェイン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、ニコチン、オピオイド、フェンシクリジン、鎮静薬、睡眠薬、抗不安薬および他の物質によって誘発される不安障害および不安を伴う適応障害
・ 禁煙
・ 肥満を包含する体重管理
・ 下記を包含する睡眠障害:
・ 原発性睡眠障害、別の精神障害に関連した睡眠障害、一般的健康状態に関連した睡眠障害および物質誘発睡眠障害としての嗅覚異常および/または睡眠時異常行動
・ 概日リズム障害
・ 睡眠の質の改善
・ 性欲障害、性的興奮障害、オルガスム障害、性交痛障害、一般的健康状態による性機能障害、物質誘発性機能障害および特定不能な性機能障害を包含する性機能障害。
【0094】
従って、本発明は、本発明に従う化合物を薬剤として用いることに関する。
【0095】
本発明は、また、本発明に従う化合物を中枢神経系の疾患、気分障害、不安障害、鬱および/または不安に関連したストレス関連障害、認知障害、人格障害、統合失調性感情障害、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症、慢性痛状態、神経変性病、中毒性障害、気分障害および性機能障害の予防および/または治療用薬剤を製造する目的で用いることにも関する。
【0096】
本発明に従う化合物を、現在入手可能であるか或は開発中であるか或は将来入手可能になるであろう抗鬱薬、抗不安薬および/または抗精神病薬と組み合わせてこの上に示した病気における特に効力および/または作用開始を改善するための追加的治療および/または予防薬として共投与することも可能である。本発明の化合物と他の薬剤を鬱および/または不安を予防および/または治療する目的で同時、個別または逐次的に用いる組み合わせ製剤として存在させてもよいことは理解されるであろう。そのような組み合わせ製剤を例えば対のパックの形態などにしてもよい。また、本発明の化合物と他の薬剤を同時または逐次的のいずれかで個別の製薬学的組成物として投与してもよいことも理解されるであろう。
【0097】
従って、本発明は、本発明に従う化合物を抗鬱薬、抗不安薬および抗精神病薬の群から選択した他の1種以上の化合物と組み合わせる追加的治療薬として用いることに関する。
【0098】
適切な種類の抗鬱薬には、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤(RIMA),セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗鬱薬(NaSSA)、コルチコトロピン放出因子(CRF)拮抗薬、α−アドレナリン受容体拮抗薬および非定型抗鬱薬が含まれる。
【0099】
ノルエピネフリン再取り込み阻害剤の適切な例には、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミン、トリミプラミン、アモキサピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、レボキセチンおよびこれらの製薬学的許容される塩が含まれる。
【0100】
選択的セロトニン再取り込み阻害剤の適切な例には、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリンおよびこれらの製薬学的に許容される塩が含まれる。
【0101】
モノアミンオキシダーゼ阻害剤の適切な例には、イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミン、セレギリンおよびこれらの製薬学的に許容される塩が含まれる。
【0102】
モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤の適切な例には、モクロベミドおよびこれの製薬学的に許容される塩が含まれる。
【0103】
セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤の適切な例には、ベンラファキシンおよびこれの製薬学的に許容される塩が含まれる。
【0104】
適切な非定型抗鬱薬には、ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドン、ビロキサジン、シブトラミンおよびこれらの製薬学的に許容される塩が含まれる。
【0105】
他の適切な抗鬱薬には、アジナゾラム、アラプロクレート、アミネプチン、アミトリプチリン/クロルジアゼポキシド組み合わせ、アチパメゾール、アザミアンセリン、バジナプリン、ベフラリン、ビフェメラン、ビノダリン、ビペナモール、ブロファロミン、ブプロピオン、カロキサゾン、セリクラミン、シアノプラミン、シモキサトン、シタロプラム、クレメプロール、クロボキサミン、ダゼピニル、デアノール、デメキシプチリン、ジベンゼピン、ドチエピン、ドロキシドパ、エネフェキシン、エスタゾラム、エトペリドン、フェモキセチン、フェンガビン、フェゾラミン、フルオトラセン、イダゾキサン、インダルピン、インデロキサジン、イプリンドール、レボプロチリン、リトキセチン、ロフェプラミン、メジフォキサミン、メタプラミン、メトラリンドール、ミアンセリン、ミルナシプラン、ミナプリン、ミルタザピン、モニレリン、ネブラセタム、ネフォパム、ニアラミド、ノミフェンシン、ノルフルオキセチン、オロチレリン、オキサフロザン、ピナゼパム、ピルリンドン、ピゾチリン、リタンセリン、ロリプラム、セルクロレミン、セチプチリン、シブトラミン、スルブチアミン、スルピリド、テニロキサジン、トザリノン、チモリベリン、チアネプチン、チフルカルビン、トフェナシン、トフィソパム、トロキサトン、トモキセチン、ベラリプリド、ビクアリン、ジメリジンおよびゾメタピンおよびこれらの製薬学的に許容される塩、およびセイヨウオトギリソウ(即ちHypericum perforatum)またはこれらの抽出液が含まれる。
【0106】
適切な種類の抗不安薬には、ベンゾジアゼピンおよび5−HT1A受容体作動薬または拮抗薬、特に5−HT1A部分作動薬、コルチコトロピン放出因子(CRF)拮抗薬、ムスカリン性コリン作用を有する化合物およびイオンチャンネルに作用する化合物が含まれる。ベンゾジアゼピンに加えて、他の適切な種類の抗不安薬は、非ベンゾジアゼピン系鎮静−睡眠薬、例えばゾルピデムなど、気分安定薬、例えばクロバザム、ガバペンチン、ラモトリギン、ロレクレゾール、オキソカルバマゼピン、スチリペントールおよびビガバトリンおよびバルビツール酸系睡眠薬である。
【0107】
適切な抗精神病薬をアセトフェナジン、特にマレイン酸塩、アレンテモール、特に臭化水素酸塩、アルペルチン、アザペロン、バテラピン、特にマレイン酸塩、ベンペリドール、ベンジンドピリン、特に塩酸塩、ブロフォキシン、ブロムペリドール、ブタクラモール、特に塩酸塩、ブタペラジン、カルフェナジン、特にマレイン酸塩、カルボトロリン、特に塩酸塩、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、シンペレン、シントリアミド、クロマクラン、特に燐酸塩、クロペンチキソール、クロピモジド、クロピパザン、特にメシル酸塩、クロロペロン、特に塩酸塩、クロチアピン、クロチキサミド、特にマレイン酸塩、クロザピン、シクロフェナジン、特に塩酸塩、ドロペリドール、エタゾレート、特に塩酸塩、フェニミド、フルシンドール、フルメザピン、フルフェナジン、特にデカン酸塩、エナント酸塩および/または塩酸塩、フルスピペロン、フルスピリレン、フルトロリン、ゲボトロリン、特に塩酸塩、ハロペミド、ハロペリドール、イロペリドン、イミドリン、特に塩酸塩、レンペロン、ロキサピン、マザペルチン、特にこはく酸塩、メソリダジン、メチアピン、ミレンペロン、ミリペルチン、モリンドン、特に塩酸塩、ナラノール、特に塩酸塩、ネフルモジド、特に塩酸塩、オカペリドン、オランザピン、オキシペロミド、ペンフルリドール、ペンチアピン、特にマレイン酸塩、ペルフェナジン、ピモジド、ピノキセピン、特に塩酸塩、ピパムペロン、ピペラセタジン、ピポチアジン、特にパルミチン酸塩、ピクインドン、特に塩酸塩、プロクロルペラジン、特にエジシル酸塩、プロクロルペラジン、特にマレイン酸塩、プロマジン、特に塩酸塩、ケチアピン、レモキシプリド、リスペリドン、リムカゾール、特に塩酸塩、セペリドール、特に塩酸塩、セルチンドール、セトペロン、スピペロン、スルピリド、チオリダジン、チオチキセン、トラジン、チオペリドン、特に塩酸塩、チオスピロン、特に塩酸塩、トリフルオペラジン、特に塩酸塩、トリフルペリドール、トリフルプロマジン、ジプラシドン、特に塩酸塩およびこれらの混合物から成る群より選択する。
【0108】
驚くべきことに、また、本発明に従うある種の化合物は適度な5−HT再取り込み阻害活性も示し、従って、鬱病の治療および/または予防で用いるにも非常に良好に適し得る。関連したαアドレナリン受容体拮抗作用を有する5−HT再取り込み阻害剤は中枢ノルアドレナリン作動性およびセロトニン作動性ニューロン系に対する二重の作用を有する新規な種類の抗鬱薬であり得ると考えている。そのような化合物は自己受容体を阻害することでモノアミン放出に対する効果が直ぐに現れることから、それの作用開始は現在入手可能な薬剤(これが充分に有効になるにはフィードバック機構に関与する自己受容体を脱感作させる必要がある)に比べて速い可能性がある。加うるに、α2Cアドレナリン受容体拮抗薬であるヨヒンビンで処置することで示されるように、α2Cアドレナリン受容体拮抗作用によって性機能が改善され、それによって、5−HT再取り込み阻害に関連した副作用の中の1つが軽減する可能性があり、かつNE作動性神経伝達の増強によって社会的機能を改善する効率の方がSSRIによるそれよりも高い(J.Ignacio Andres他、J.Med.Chem.(2005)、48巻、2054−2071)。
【0109】
製薬学的組成物
本発明は、また、製薬学的に許容される担体もしくは希釈剤を含有しかつ本発明に従う化合物、特に式(I)に従う化合物、これの製薬学的に許容される酸もしくは塩基付加塩、N−オキサイド形態物または第四級アンモニウム塩を有効成分として治療的に有効な量で含有して成る組成物にも関する。
【0110】
本発明に従う化合物またはこれのサブグループまたは組み合わせのいずれも投与の目的でいろいろな製薬学的形態物に構築可能である。適切な組成物として、全身投与用薬剤で通常用いられるあらゆる組成物を挙げることができる。
【0111】
本発明の製薬学的組成物を調製する時、有効量の個々の化合物を場合により付加塩形態で有効成分として製薬学的に許容される担体との密な混合物として一緒にするが、前記担体が取り得る形態は投与に望まれる製剤の形態に応じて幅広く多様であり得る。本製薬学的組成物を特に経口、直腸、経皮投与、非経口注入または吸入による投与に適した単位投薬形態物にするのが望ましい。例えば、本組成物を経口投薬形態物として調製する時、通常の製薬学的媒体のいずれも使用可能であり、例えば液状の経口用製剤、例えば懸濁液、シロップ、エリキシル、乳液および溶液などの場合には水、グリコール、油、アルコールなど、または粉末、ピル、カプセルおよび錠剤の場合には固体状担体、例えば澱粉、糖、カオリン、希釈剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などを用いてもよい。投与が容易なことから錠剤およびカプセルが最も有利な経口投薬単位形態物に相当し、この場合には明らかに固体
状の製薬学的担体を用いる。非経口用組成物の場合の担体は少なくとも大部分が一般に無菌水を含んで成るが、他の材料、例えば溶解性を補助する材料などを含有させることも可能である。例えば、注射可能溶液を調製することも可能であり、その場合の担体は食塩水溶液、グルコース溶液、または食塩水とグルコース溶液の混合物を含んで成る。また、注射可能懸濁液を調製することも可能であり、この場合には適切な液状担体、懸濁剤などを用いてもよい。また、使用直前に液状形態の製剤に変換することを意図した固体形態の製剤も包含させる。経皮投与に適した組成物の場合、その担体に場合により浸透向上剤および/または適切な湿潤剤を含めてもよく、それらを場合によりいずれかの性質を有する適切な添加剤と低い比率で組み合わせてもよく、そのような添加剤は、皮膚に対して有害な影響を大きな度合ではもたらさない添加剤である。前記添加剤は皮膚への投与を助長しそして/または所望組成物の調製に役立ち得る。そのような組成物はいろいろな様式で投与可能であり、例えば経皮パッチ、スポットオン(spot−on)、軟膏などとして投与可能である。
【0112】
上述した製薬学的組成物を投薬単位形態物として構築するのが特に有利である、と言うのは、その方が投与が容易でありかつ投薬が均一であるからである。本明細書で用いる如き「単位投薬形態物」は、各単位が必要な製薬学的担体と一緒に所望の治療効果をもたらすように計算して前以て決めておいた量の有効成分を含有する単位投薬物として用いるに適した物理的に個々別々の単位を指す。そのような単位投薬形態物の例は錠剤(切り目が入っている錠剤または被覆されている錠剤を包含)、カプセル、ピル、粉末、パケット、ウエハース、座薬、注射可能溶液もしくは懸濁液など、そしてそれらを複数に分けたものである。本発明に従う化合物は経口投与可能な効力のあるドーパミン拮抗薬であることから、前記化合物を含有して成る経口投与用製薬学的組成物が特に有利である。
【0113】
本発明は、また、本発明に従う化合物および抗鬱薬、抗不安薬および抗精神病薬の群から選択した他の1種以上の化合物を含有して成る製薬学的組成物ばかりでなく前記組成物を薬剤、特に鬱および/または不安を治療する時の効力および/または作用開始を改善する薬剤を製造する目的で用いることにも関する。
【0114】
以下の実施例は例証を意図したものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものでない。
【0115】
実験部分
本明細書では以降、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味し、「EtOAc」は酢酸エチルを意味し、「DMSO」はジメチルスルホキサイドを意味し、「DCM」はジクロロメタンを意味し、「1,2−DCE」は1,2−ジクロロエタンを意味し、「HPLC」は高性能液クロを意味し、「PS−TBD」は、ポリスチレンにつなぎ止められている二環式グアニジン部分(1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デコ−5−エン)で構成されている重合体担持塩基であり、そして「PS−NCO」は重合体担持イソシアネートを意味する。
【0116】
マイクロ波補助反応を単一モード反応槽:Emrys(商標)Optimizerマイクロ波反応槽(Personal Chemistry A.B.、現在はBiotage)[この装置の説明をwww.personalchemistry.comに見ることができる]および多モード反応槽:MicroSYNTH Labstation(Milestone,Inc.)[この装置の説明をwww.milestonesci.com.に見ることができる]内で実施した。
【0117】
A.中間体化合物の製造
a)中間体化合物I−1の製造
a1)(1−ベンジル−ピペリジン−4−イル)−(3−クロロ−ピラジン−2−イル)−アミンの製造
【0118】
【化11】

【0119】
2,3−ジクロロピラジン(10g、62.12ミリモル)と1−(ベンジル)−4−ピペリジンアミン(13.73mL、67.12ミリモル)をDMF(60ml)に溶解させた。次に、NaCO(10.09g、114.10ミリモル)を加えた。その反応物を130℃で16時間撹拌した。固体を濾過で取り出し、EtOAcで洗浄した後、溶媒を乾固まで蒸発させた。生成物をEtOAcに溶解させ、HOそして食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させた後、真空下で蒸発させた。(1−ベンジル−ピペリジン−4−イル)−(3−クロロ−ピラジン−2−イル)−アミンを15g(74%)得て、この生成物をさらなる精製を全く行うことなく用いた。
【0120】
a2)3−(1−ベンジル−ピペリジン−4−イルアミノ)−1H−ピラジン−2−オンの製造
【0121】
【化12】

【0122】
段階a1で得た(1−ベンジル−ピペリジン−4−イル)−(3−クロロ−ピラジン−2−イル)−アミン(7g、23.11ミリモル)をHCl(70ml、10%)に溶解させた後、密封型管に入れて110℃に16時間加熱した。明褐色の固体が沈澱し、それを濾過で取り出し、水で洗浄した後、真空下で乾燥させることで3−(1−ベンジル−ピペリジン−4−イルアミノ)−1H−ピラジン−2−オンを4.57g(70%)得た。
【0123】
a3)中間体化合物I−1の製造
【0124】
【化13】

【0125】
段階a2で得た3−(1−ベンジル−ピペリジン−4−イルアミノ)−1H−ピラジン−2−オン(4.17g、14.66ミリモル)をCHOH(62mL)に溶解させた後、Pd/C(4.17g、10%)および1,4−シクロヘキサジエン(27.96mL、293.2ミリモル)を加えた。その反応物を密封型管に入れて65℃に4時間加熱した。その反応物をセライトの上に置いて濾過した後、溶媒を乾固まで蒸発させることで所望の中間体化合物I−1を2.69g(94%)得た。
【0126】
b)中間体化合物I−2の製造
【0127】
【化14】

【0128】
中間体化合物I−1(5.15ミリモル)と4−ビフェニルカルボキサルデヒド(2.81g、15.45ミリモル)とトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(1.63g、7.72ミリモル)を1,2−DCE(30ml)に溶解させた。その反応物を室温で16時間撹拌した。溶媒を濃縮した。その残留物をEtOAcに溶解させた後、飽和NaCO水溶液そして飽和NaCl水溶液で洗浄した。その有機相を一緒にして乾燥(MgSO)させ、濾過した後、濃縮した。その残留物にisolute SCX−3のカートリッジを用いたキャッチアンドリリース(catch and release)による精製をMeOHそして次にMeOH/NH3中で受けさせた。そのアンモニア相を濃縮した。その残留物をSiO使用クロマトグラフィー[溶離剤DCE−MeOH(NH)を9−1から7−3]で精製することで中間体I−2(0.949g、51%)を得た。
【0129】
b)中間体化合物I−3の製造
【0130】
【化15】

【0131】
2,3−ジクロロピラジン(180mg、0.117ミリモル)と1−([1,1’−ビフェニル]−4−イルメチル)ピペラジン(CAS 84359−51−3、0.0981ミリモル)とNaOHペレット(400mg)を密封型管に入れて150℃に4時間加熱した。
次に、4MのNaOHを0.4mlおよびDMSOを0.4ml加えた後、150℃に更に5時間加熱した。粗生成物をDCMと水で抽出した。その有機相を一緒にして乾燥(MgSO)させ、濾過した後、濃縮した。その残留物にSiO使用クロマトグラフィーで精製することで中間体化合物I−3を得て、それをさらなる精製無しに次の反応段階で用いた。
【0132】
c)中間体化合物I−4の製造
【0133】
【化16】

【0134】
2,3−ジクロロピラジン(448mg、3ミリモル)と4−フェニルピペリジン(CAS:771−99−3、2.9ミリモル)をDMSO(0.400ml)に溶解させた。次に、NaOHペレット(1g、25ミリモル)を加えた。その反応物をマイクロ波照射下150℃で0.5時間撹拌した。
次に、4MのNaOHを0.4mlおよびDMSOを0.4ml加えた後、マイクロ波下で150℃に更に0.5時間加熱した。その混合物をEtOAcに溶解させ、HOそして食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)させた後、蒸発させた。その残留物をSiOの短い開放カラムクロマトグラフィーで精製することで中間体I−4を得て、それをさらなる精製無しに次の反応段階で用いた。
【0135】
d)中間体化合物I−5の製造
【0136】
【化17】

【0137】
化合物I−1(5.15ミリモル)とベンズアルデヒド(2.81g、15.45ミリモル)とトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(1.63g、7.72ミリモル)を1,2−DCE(30ml)に溶解させた。その反応物を室温で16時間撹拌した。溶媒を濃縮した。その残留物をEtOAcに溶解させた後、飽和NaHCO水溶液そして飽和NaCl水溶液で洗浄した。その有機相を一緒にして乾燥(MgSO)させ、濾過した後、濃縮した。その残留物にisolute SCX−3のカートリッジを用いたキャッチアンドリリースによる精製をMeOHそして次にMeOH/NH3中で受けさせた。そのアンモニア相を濃縮することで中間体I−5(1.30g、89%)を得た。
【0138】
e)中間体化合物I−6の製造
【0139】
【化18】

【0140】
化合物I−1(1g、5.15ミリモル)とフェニルアセトアルデヒド(CAS:122−78−1、1.81ml、15.45ミリモル)とトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(1.63g、7.72ミリモル)を1,2−DCE(30ml)に溶解させた。その反応物を室温で16時間撹拌した。溶媒を濃縮した。その残留物をEtOAcに溶解させた後、飽和NaHCO水溶液そして飽和NaCl水溶液で洗浄した。その有機相を一緒にして乾燥(MgSO)させ、濾過した後、濃縮することで中間体I−6(1.07g、71%)を得た。
【0141】
f)中間体化合物I−7の製造
【0142】
【化19】

【0143】
2,3−ジクロロピラジン(1g、4.5ミリモル)とN−メチル−N−(2−フェニルエチル)4ピペリジンアミン(CAS:142752−20−3、4.5ミリモル)をDMF(7.5ml)に溶解させた。次に、NaCO(0.84g、7.9ミリモル)を加えた。その反応物を130℃で5時間撹拌した。その反応混合物をHOで洗浄した後、DCMで抽出した。その有機相を一緒にして乾燥(NaSO)させ、溶媒を濃縮することで1.2g得た。この化合物を4MのNaOH(6ml)とDMSO(6ml)の混合物に入れて懸濁させた後、マイクロ波下で150℃に0.5時間加熱した。その混合物をEtOAcに溶解させた後、NHCl(10%)で洗浄した。その有機相を一緒にしてMgSOで乾燥させた後、蒸発させることで中間体化合物I−7(0.82g、58%)を得た。
【0144】
g)中間体化合物I−8の製造
【0145】
【化20】

【0146】
化合物I−1(0.6g、3.09ミリモル)とジフェニルアセトアルデヒド(CAS:947−91−1、9.27ミリモル)とトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(0.982g、4.63ミリモル)を1,2−DCE(30ml)に溶解させた。その反応物を室温で16時間撹拌した。溶媒を濃縮した。その残留物をEtOAcに溶解させた後、飽和NaHCO水溶液そして飽和NaCl水溶液で洗浄した。その有機相を一緒にして乾燥(MgSO)させ、濾過した後、濃縮した。その残留物をSiO使用クロマトグラフィー[溶離剤DCM/MeOH(NH)を9.5/0.5]で精製することで中間体I−8(0.867g、75%)を固体として得た。
【0147】
h)中間体化合物I−9の製造
【0148】
【化21】

【0149】
2,3−ジクロロピラジン(448mg、3ミリモル)と1−(2−フェニルエチル)−ピペラジン(CAS:5321−49−3、2.9ミリモル)をDMSO(0.400ml)に溶解させた。次に、NaOHペレット(1g、25ミリモル)を加えた。その反応物をマイクロ波照射下150℃で0.5時間撹拌した。
次に、4MのNaOH(0.4ml)およびDMSO(0.4ml)を加えた後、マイクロ波下で150℃に更に0.5時間加熱した。その混合物をEtOAcに溶解させ、HOそして食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)させた後、蒸発させた。その残留物をSiOの短い開放カラムクロマトグラフィーで精製することで中間体I−9を得て、それをさらなる精製無しに次の反応段階で用いた。
【0150】
i)中間体化合物I−10の製造
【0151】
【化22】

【0152】
化合物I−1(1.2g、6.18ミリモル)と4−ベンジルオキシベンズアルデヒド(CAS:4397−53−9、18.53ミリモル)とトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(1.96g、9.27ミリモル)を1,2−DCE(30ml)に溶解させた。その反応物を室温で64時間撹拌した。溶媒を濃縮した。その残留物をEtOAcに溶解させた後、飽和NaHCO水溶液そして飽和NaCl水溶液で洗浄した。その有機相を一緒にして乾燥(MgSO)させ、濾過した後、濃縮した。その残留物をSiO使用フラッシュクロマトグラフィー[溶離剤DCM/MeOHを95/5]で精製することで中間体I−10(2.05g、85%)を固体として得た。
【0153】
B.最終的化合物の製造
a)最終的化合物1−3の製造
【0154】
【化23】

【0155】
中間体化合物I−2(20mg、0.055ミリモル)と1−(2−クロロエチル)ピペリジンの一塩酸塩(0.16ミリモル)とPS−TBD(62mg、0.16ミリモル)をCHCN(1ml)に入れて懸濁させた。その反応物をマイクロ波下で120℃に20分間加熱した。前記樹脂を濾過で除去した後、その濾液を真空下で濃縮した。その結果として得た粗生成物にSCX−2カートリッジを用いたキャッチアンドリリースによる精製を受けさせることで精製された最終的化合物1−3を0.0115g(60%)得た。
【0156】
b)最終的化合物2−2の製造
【0157】
【化24】

【0158】
中間体化合物I−3(72mg、0.2ミリモル)とN−(3−ブロモプロピル)フタルイミド(0.4ミリモル)とPS−TBD(207mg、0.6ミリモル)をCHCN(2ml)に入れて懸濁させた。その反応物をマイクロ波下で120℃に15分間加熱した。前記樹脂を濾過で除去した後、その濾液を真空下で濃縮した。その結果として得た粗生成物をHPLCで精製することで精製された最終的化合物2−2を0.037g(35%)得た。
【0159】
c)最終的化合物3−3の製造
【0160】
【化25】

【0161】
2,3−ジクロロピラジン(500mg、3.35ミリモル)と1−([1,1’−ビフェニル]−3−イルメチル)ピペラジン(CAS 204634−72−0、3.2ミリモル)とNaOHペレット(1g、25ミリモル)を密封型管に入れて150℃に4時間加熱した。
次に、4MのNaOHを0.4mlおよびDMSOを0.4ml加えた後、150℃に更に5時間加熱した。粗生成物をDCMと水で抽出した。その有機相を一緒にして乾燥(MgSO)させ、濾過した後、濃縮した。その残留物をSiO使用クロマトグラフィーで精製することで最終的化合物3−3を得た(0.730g、63%)。
【0162】
d)最終的化合物3−5の製造
【0163】
【化26】

【0164】
最終的化合物3−3(69mg、0.2ミリモル)とN−(3−ブロモプロピル)フタルイミド(0.4ミリモル)とPS−TBD(207mg、0.6ミリモル)をCHCN(2ml)に入れて懸濁させた。その反応物をマイクロ波下で120℃に15分間加熱した。前記樹脂を濾過で除去した後、その濾液を真空下で濃縮した。その結果として得た粗生成物をHPLCで精製することで精製された最終的化合物3−5を0.043g(40%)得た。
【0165】
e)最終的化合物4−1の製造
【0166】
【化27】

【0167】
中間体化合物I−4(25mg、0.1ミリモル)と2−(ブロモメチル)ナフタレン(0.2ミリモル)とPS−TBD(103mg、0.3ミリモル)をCHCN(2ml)に入れて懸濁させた。その反応物をマイクロ波下で120℃に20分間加熱した。前記樹脂を濾過で除去した後、その濾液を真空下で濃縮した。その結果として得た粗生成物をHPLCで精製することで精製された最終的化合物4−1を0.028g(65%)得た。
【0168】
f)最終的化合物5−5の製造
【0169】
【化28】

【0170】
中間体化合物I−5(20mg、0.07ミリモル)とN−(3−ブロモプロピル)フタルイミド(0.21ミリモル)とPS−TBD(76mg、0.21ミリモル)をCHCN(1ml)に入れて懸濁させた。その反応物をマイクロ波下で120℃に20分間加熱した。前記樹脂を濾過で除去した後、その濾液を真空下で濃縮した。その結果として得た粗生成物にSCX−2カートリッジを用いたキャッチアンドリリースによる精製を受けさせることで精製された最終的化合物5−5を0.017g(53%)得た。
【0171】
g)最終的化合物6−6の製造
【0172】
【化29】

【0173】
中間体化合物I−6(20mg、0.067ミリモル)とN−(3−ブロモプロピル)フタルイミド(0.20ミリモル)とPS−TBD(69mg、0.20ミリモル)をCHCN(1ml)に入れて懸濁させた。その反応物をマイクロ波下で120℃に20分間加熱した。前記樹脂を濾過で除去した後、その濾液を真空下で濃縮した。その結果とし
て得た粗生成物にSCX−2カートリッジを用いたキャッチアンドリリースによる精製を受けさせることで精製された最終的化合物6−6を0.014g(43%)得た。
【0174】
h)最終的化合物7−5の製造
【0175】
【化30】

【0176】
最終的化合物7−7(20mg、0.064ミリモル)とN−(3−ブロモプロピル)フタルイミド(0.192ミリモル)とPS−TBD(71mg、0.192ミリモル)をCHCN(1ml)に入れて懸濁させた。その反応物をマイクロ波下で130℃に20分間加熱した。前記樹脂を濾過で除去した後、その濾液を真空下で濃縮した。その結果として得た粗生成物にSCX−2カートリッジを用いたキャッチアンドリリースによる精製を受けさせることで精製された最終的化合物7−5を0.0122g(36%)得た。
【0177】
i)最終的化合物7−7の製造
【0178】
【化31】

【0179】
化合物I−1(5.15ミリモル)とヒドロシンナムアルデヒド(CAS:104−53−0、2.81g、15.45ミリモル)とトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(1.63g、7.72ミリモル)を1,2−DCE(30ml)に溶解させた。その反応物を室温で16時間撹拌した。溶媒を濃縮した。その残留物をEtOAcに溶解させた後、飽和NaHCO水溶液そして飽和NaCl水溶液で洗浄した。その有機相を一緒にして乾燥(MgSO)させ、濾過した後、濃縮した。その残留物にisolute SCX−3のカートリッジを用いたキャッチアンドリリースによる精製をMeOHに続いてMeOH/NH中で受けさせた。アンモニア相を濃縮することで化合物7−7(1.30g、89%)を得た。
【0180】
j)最終的化合物8−1の製造
【0181】
【化32】

【0182】
中間体化合物I−7(50mg、0.160ミリモル)とN−(3−ブロモプロピル)フタルイミド(0.240ミリモル)とPS−TBD(160mg、0.48ミリモル)をCHCN(2.5ml)に入れて懸濁させた。その反応物をマイクロ波下で120℃に20分間加熱した。前記樹脂を濾過で除去した後、その濾液を真空下で濃縮した。その結果として得た粗生成物をHPLCで精製することで精製された最終的化合物8−1を0.038g(48%)得た。
【0183】
k)最終的化合物9−3の製造
【0184】
【化33】

【0185】
中間体化合物I−8(20mg、0.053ミリモル)と3−(boc−アミノ)プロピルブロマイド(0.160ミリモル)とPS−TBD(55mg、0.160ミリモル)をCHCN(1ml)に入れて懸濁させた。その反応物をマイクロ波下で120℃に20分間加熱した。前記樹脂を濾過で除去した後、その濾液を真空下で濃縮した。その結果として得た粗生成物にSCX−2カートリッジを用いたキャッチアンドリリースによる精製を受けさせることで精製された最終的化合物9−3を0.010g(37%)得た。
【0186】
l)最終的化合物9−3の製造
【0187】
【化34】

【0188】
最終的化合物9−3(15mg、0.028ミリモル)をTFA−DCM(25%)の混合物(1ml)に溶解させた。その反応物を室温で1時間撹拌した。溶媒を濃縮した。粗生成物をMeOHに溶解させた後、それにSCX−2カートリッジを用いたキャッチア
ンドリリースによる精製を受けさせることで化合物9−1を10mg(84%)得た。
【0189】
m)最終的化合物10−11の製造
【0190】
【化35】

【0191】
中間体化合物I−9(28mg、0.1ミリモル)と2−クロロ−5−(クロロメチル)チオフェン(0.2ミリモル)とPS−TBD(103mg、0.3ミリモル)をCHCN(2ml)に入れて懸濁させた。その反応物をマイクロ波下で120℃に20分間加熱した。前記樹脂を濾過で除去した後、その濾液を真空下で濃縮した。その結果として得た粗生成物をHPLCで精製することで精製された最終的化合物10−11を0.031g(75%)得た。
【0192】
n)最終的化合物11−5の製造
【0193】
【化36】

【0194】
中間体化合物I−10(29mg、0.073ミリモル)とN−(3−ブロモプロピル)フタルイミド(0.22ミリモル)とPS−TBD(76mg、0.22ミリモル)をCHCN(2ml)に入れて懸濁させた。その反応物をマイクロ波下で120℃に15分間加熱した。前記樹脂を濾過で除去した後、その濾液を真空下で濃縮した。その結果として得た粗生成物にSCX−2カートリッジを用いたキャッチアンドリリースによる精製を受けさせることで精製された最終的化合物11−5を0.023g(55%)得た。
【0195】
以下に示す化合物の調製を前記実施例、スキームおよび手順に従って実施した。
【0196】
【表1】

【0197】
【表2】

【0198】
【表3】

【0199】
【表4】

【0200】
【表5】

【0201】
【表6】

【0202】
【表7】

【0203】
【表8】

【0204】
【表9】

【0205】
【表10】

【0206】
【表11】

【0207】
【表12】

【0208】
C.薬理学的実施例
一般
式(I)で表される化合物とα2Cアドレナリン受容体の相互作用をインビトロ放射性リガンド結合実験で評価した。一般に、個々の受容体またはトランスポータに対して高い結合親和性を示す放射性リガンドを低濃度で用いてこれを個々の受容体またはトランスポータが豊富に存在する組織調製物サンプルと一緒にか或はクローン化ヒト受容体を発現する細胞の調製物と一緒に緩衝媒体中でインキュベートする。このインキュベーション中に前記放射性リガンドが前記受容体またはトランスポータと結合する。結合が平衡状態に到達した時点で前記受容体と結合した放射能を結合していない放射能から分離しそして前記受容体またはトランスポータと結合した放射能の計数を実施する。試験化合物と受容体の相互作用を競合結合実験で評価する。前記受容体もしくはトランスポータ調製物と放射性リガンドを含有する前記インキュベーション混合物に試験化合物をいろいろな濃度で添加する。その試験化合物はこれの結合親和性および濃度に比例して放射性リガンドの結合を抑制する。hα2Aおよびhα2C受容体結合で用いた放射性リガンドは[H]−ラウルオルシンであった。
【0209】
実施例C.1:α2Cアドレナリン受容体の結合実験
細胞培養物および膜調製物
ヒトアドレナリン作動性α2Aおよびα2C受容体のcDNAによる安定なトランスフェクションを受けさせておいたCHO細胞を熱不活化ウシ胎仔血清(Life Tech
nologies、Merelbeke−Belgium)を10%と抗生物質(100IU/mlのペニシリンG、100μg/mlの硫酸ストレプトマイシン、110μg/mlのピルビン酸および100μg/mlのL−グルタミン)を補充しておいたダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)/栄養素混合物Ham’s F12(1:1の比率)(Gibco、Gent−Belgium)に入れて培養した。細胞を収集する1日前に細胞に5mMの酪酸ナトリウムを用いた誘発を受けさせた。80−90%の集密度になった時点で細胞をCa2+もMg2+も入っていない燐酸塩緩衝食塩水に入れてかき落とした後、1500xgの遠心分離に10分間かけることで集めた。Ultraturraxホモジナイザーを用いて前記細胞を50mMのTris−HClに入れて均一にした後、23,500xgの遠心分離に10分間かけた。その沈澱物を再懸濁させて再び均一にすることで1回洗浄した後、最終的沈澱物をTris−HClに入れて再懸濁させ、1mlずつの分量に分けた後、−70℃で貯蔵した。
【0210】
αアドレナリン受容体サブタイプの結合実験
膜を解凍させた後、インキュベーション用緩衝液(25mMのグリシルグリシン、pH8.0)に入れて再び均一にした。総体積が500μlになるように2−10μgの蛋白質を[H]−ラウルオルシン(NET−722)(New England Nuclear、米国)(1nMの最終濃度)と一緒に競合因子の有り無しで25℃において60分間インキュベートした後、GF/Bフィルターが用いられているFiltermate
196収穫装置(Packard、Meriden、CT)を用いた迅速濾過を実施した。フィルターを氷冷濯ぎ用緩衝液(50mMのTris−HCl、pH7.4)で充分に濯いだ。フィルターに結合した放射能をTopcount(Packard、Meriden、CT)を用いたシンチレーション計数で測定し、その結果を1分当たりのカウント数(cpm)として表した。非特異的結合の測定では、hα2A受容体の場合にはオキシメタゾリンを1μM存在させそしてhα2C受容体の場合にはスピロキサトリンを1μM存在させて測定を実施した。
【0211】
実施例C2:5HTトランスポータの結合実験
ヒト血小板膜(Oceanix Biosciences Corporation、Hanover、MD、米国)を解凍させ、緩衝液(50mMのTris−HCl、120mMのNaClおよび5mMのKCl)で希釈した後、Ultraturraxホモジナイザーを用いて急速(最大で3秒)に均一にした。総体積が250μLになるように50−100μgの蛋白質を[H]パロキセチン(NET−869)(New England Nuclear、米国)(0.5nMの最終濃度)と一緒に競合因子の有り無しで25℃において60分間インキュベートした。GF/Bフィルター(これを0.1%のポリエチレンアミンで前以て湿らせておいた)が用いられているFiltermate 196収穫装置(Packard、Meriden、CT)を用いてインキュベーション混合物を迅速濾過することでインキュベーションを停止させた。フィルターを氷冷緩衝液で充分に濯いだ後、フィルターに結合した放射能の計数をTopcount液体シンチレーションカウンター(Packard、Meriden、CT)を用いて実施した。データをcpmとして表した。非特異的結合の測定ではイミプラミン(1μMの最終濃度)を用いた。
【0212】
データの分析および結果
化合物の存在下で実施した検定で得たデータの計算を試験化合物の存在無しに測定した結合全体に対するパーセントとして実施した。結合全体に対するパーセントを試験化合物濃度のlog値と対比させてプロットすることによる阻害曲線を自動的に生じさせ、そして正弦阻害曲線の適合を非線形回帰を用いて実施した。試験化合物が示すpIC50値を個々の曲線から引き出した。
【0213】
式(I)に従う化合物は全部10−6Mから10−9Mの範囲の試験濃度で少なくともhα2C部位の所(しばしばまたhα2A部位の所にも)に50%以上の阻害(pIC50)を濃度依存様式でもたらした。
【0214】
ある種の化合物はまた適度な5−HTT活性も示す。
【0215】
式(I)のいろいろな態様の大部分を網羅する選択した数の化合物が前記インビトロ検定で示した結果を表12に示す。
【0216】
【表13】

【0217】
【表14】

【0218】
【表15】

【0219】
D.組成物実施例
これらの実施例全体に渡って用いる如き「有効成分」(a.i.)は、式(i)で表される化合物、これの製薬学的に許容される酸もしくは塩基付加塩、立体化学異性体形態物、N−オキサイド形態物、第四級アンモニウム塩およびプロドラッグに関する。
【0220】
実施例D.1:経口ドロップ
500グラムの有効成分を0.5 lの2−ヒドロキシプロピオン酸と1.5 lのポリエチレングリコールに60〜80℃で溶解させる。30〜40℃に冷却した後、ポリエ
チレングリコールを35 l加えて、その混合物を充分に撹拌する。次に、1750グラムのサッカリンナトリウムを2.5 lの精製水に入れることで生じさせた溶液を加えた後、撹拌しながらココア香味料を2.5 lおよびポリエチレングリコールを体積が50
lになるに必要な量で加えることで、有効成分含有量が10mg/mlの経口ドロップ用溶液を生じさせる。その結果として得た溶液を適切な容器に充填する。
【0221】
実施例D.2:経口用溶液
9グラムの4−ヒドロキシ安息香酸メチルと1グラムの4−ヒドロキシ安息香酸プロピルを4 lの精製水に入れて沸騰下で溶解させる。この溶液の3 lに最初に10グラムの2,3−ジヒドロキシブタン二酸を溶解させた後、20グラムの有効成分を溶解させる。後者の溶液を前者の溶液の残りと一緒にした後、それに1,2,3−プロパントリオールを12 lおよび70%のソルビトール溶液を3 l加える。40グラムのサッカリンナトリウムを0.5 lの水に溶解させた後、ラズベリーのエキスを2mlおよびグーズベリーのエキスを2ml加える。その後者の溶液を前者と一緒にし、水を体積が20 lになるに必要な量で加えることで、有効成分含有量が茶サジ1杯(5ml)当たり5mgの経口用溶液を得る。その結果として得た溶液を適切な容器に充填する。
【0222】
実施例D.3:膜被覆錠剤
錠剤中心部の調製
有効成分が100グラムでラクトースが570グラムで澱粉が200グラムの混合物を充分に混合した後、5グラムのドデシル硫酸ナトリウムと10グラムのポリビニルピロリドンを約200mlの水に入れることで生じさせた溶液で湿らせる。この湿らせた粉末混合物をふるいにかけ、乾燥させた後、再びふるいにかける。次に、微結晶性セルロースを100グラムおよび水添植物油を15グラム加える。その全体を充分に混合した後、圧縮して錠剤にすることで、各々が有効成分を10mg含有する錠剤を10,000個得る。
【0223】
被覆
10グラムのメチルセルロースを75mlの変性エタノールに入れることで生じさせた溶液に、5グラムのエチルセルロースを150mlのジクロロメタンに入れることで生じさせた溶液を加える。次に、ジクロロメタンを75mlおよび1,2,3−プロパントリオールを2.5ml加える。10グラムのポリエチレングリコールを溶融させて75mlのジクロロメタンに溶解させる。後者の溶液を前者に加えた後、オクタデカン酸マグネシウムを2.5グラム、ポリビニルピロリドンを5グラムおよび濃カラー懸濁液を30ml加えて、その全体を均一にする。被覆装置を用いて、そのようにして得た混合物で前記錠剤中心部を被覆する。
【0224】
実施例D.4:注射用溶液
1.8グラムの4−ヒドロキシ安息香酸メチルと0.2グラムの4−ヒドロキシ安息香酸プロピルを約0.5 lの注射用水に入れて沸騰下で溶解させる。約50℃に冷却した後、撹拌しながら乳酸を4グラム、プロピレングリコールを0.05グラムおよび有効成分を4グラム加える。その溶液を室温に冷却した後、注射用水を1 lになるに必要な量で補充することで有効成分含有量が4mg/mlの溶液を得る。その溶液を濾過で滅菌した後、無菌の容器に充填する。
【0225】
E.物理−化学データ
一般的手順
脱気装置付きポンプ(四式もしくは複式)、オートサンプラー、カラムオーブン(40℃に設定)、ダイオードアレイ検出器(DAD)および以下に示す個々の方法で指定する如きカラムが備わっているHP 1100(Agilent Technologies)を用いてHPLC勾配をかけた。前記カラムから出る流れを分割してMS検出器に送った。このMS検出器にはエレクトロスプレーイオン化源が備わっている。窒素をネブライザーガスとして用いた。源の温度を140℃に維持した。データの取得をMassLynx−Openlynxソフトウエアを用いて実施した。
【0226】
E.1 LCMS−手順1
前記一般的手順に加えて、AgilentのXDB−C18カートリッジ(3.5μm、4.6x30mm)を用いた逆相HPLCを流量を1ml/分にして実施した。用いた勾配条件は下記である:A(0.5g/lの酢酸アンモニウム溶液)が80%でB(アセトニトリル)が10%でC(メタノール)が10%から6.0分かけてBが50%でCが50%にし、6.5分かけてBが100%にして7.0分間保持しそして7.6分かけて初期条件になるように平衡状態にして9.0分置く。注入体積を5μlにした。1.0秒のドゥエル時間を用いて1.0秒間に100から750まで走査することで高解像度質量スペクトル(飛行時間、TOF)を取得した。毛細管針の電圧を正イオン化モードの時には2.5kVにしそして負イオン化モードの時には2.9kVにした。コーン電圧を正および負両方のイオン化モードとも20Vにした。ロックマス較正で用いた基準物質はロイシン−エンケファリンであった。
【0227】
E.2 LCMS−手順2
前記一般的手順に加えて、AgilentのXDB−C18カートリッジ(3.5μm、4.6x30mm)を用いた逆相HPLCを流量を1ml/分にして実施した。用いた勾配条件は下記である:A(0.5g/lの酢酸アンモニウム溶液)が80%でB(アセトニトリル)が10%でC(メタノール)が10%から6.0分かけてBが50%でCが50%にし、6.5分かけてBが100%にして7.0分間保持しそして7.6分かけて初期条件になるように平衡状態にして9.0分置く。注入体積を5μlにした。0.1秒のドゥエル時間を用いて0.5秒間に100から750まで走査することで高解像度質量スペクトル(飛行時間、TOF)を正イオン化モードのみで取得した。毛細管針の電圧を2.5kVにしそしてコーン電圧を20Vにした。ロックマス較正で用いた基準物質はロイシン−エンケファリンであった。
【0228】
【表16】

【0229】
【表17】

【0230】
【表18】

【0231】
【表19】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

[式中、
、Aは、各々互いに独立して、窒素または炭素原子であるが、但しAとAが同時に炭素原子であることはないことを条件とし、
、Zは、各々互いに独立して、共有結合またはN−RでありかつRは水素、(C1−3)アルキル、アリールおよびアリール−(C1−3)アルキルから成る群より選択され、
nは、ゼロ、1、2または3に相当する整数であり、
は、水素およびハロから成る群より選択され、
Pは、フェニル、ビフェニル、1,1−ジフェニルメチルおよびベンジルオキシフェニルから成る群より選択される基であり、
は、共有結合、飽和もしくは不飽和(C1−8)炭化水素基であり、かつ1個以上の二価−CH−単位が場合により個々の二価フェニル単位に置き換わっていてもよくかつ1個以上の水素原子がオキソ、(C1−3)アルキルオキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、ホルミル、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、モノ−およびジ((C1−3)アルキル)アミノ、カルボキシルおよびチオから成る群より選択される基に置き換わっていてもよく、
は、水素、−NR、Pir、−OR3a、SR3b、SO3c、アリールおよびHetから成る群より選択される基であり、かつ2個の基−OR3aが一緒になって二価基−O−(CH−O−を形成していてもよくかつsは1、2または3に相当する整数であり、
およびRは、各々互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ジアリールアルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアルキル、アルケニルカルボニル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシアルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニルアルキル、アルキルオキシカルボニルアルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、アリールアルケニルスルホニル、Het−スルホニル、アリールカルボニル、アリールオキシアルキル、アリールアルキルカルボニル、Het、Het−アルキル、Het−アルキルカルボニル、Het−カルボニル、Het−カルボニルアルキル、アルキル−NR、カルボニル−NR、カルボニルアルキル−NR、アルキルカルボニル−NRおよびアルキルカルボニルアルキル−NRから成る群より選択される基であり、かつRおよびRは、各々独立して、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシカルボニルアルキル、アリール、アリールアルキル、Hetおよびアリール−NRから成る群より選択されかつRおよびRは各々互いに独立して水素またはアルキルであり、
Pirは、Nを少なくとも1個含有していてそれを通してX基と結合している基であり、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、アゼピル、ジアゼピル、モルホリニル、チオモルホリニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリルおよび1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリニルから成る群より選択されかつ各Pir基は場合によりヒドロキシ、ハロ、オキソ、(C1−3)アルキル、(C1−3)アルケニル(C1−3)アルキルオキシカルボニル、Het−カルボニル、(C1−3)アルキルアミノ、トリフルオロメチル、フェニル(C0−3)アルキル、ピリミジニル、ピロリジニルおよびピリジニルオキシから成る群より選択される1、2または3個の基で置換されていてもよく、
3a、R3b、R3cは、各々互いに独立して、水素、アルキル、トリハロアルキル、アリール、アリールアルキル、アルキルオキシアルキル、HetおよびHet−アルキルから成る群より選択される基であり、
Hetは、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、アゼピル、ジアゼピル、モルホリニル、チオモルホリニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリニル、フリル、テトラヒドロピラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ジオキソリル、ジチアニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、オキサジアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾピペリジニル、ベンゾモルホリニル、クロメニルおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジニルから成る群より選択される複素環式基であり、かつ各Het基は場合によりハロ、オキソ、(C1−3)アルキル、場合により(C1−3)アルキルオキシで置換されていてもよいフェニル、(C1−3)アルキルカルボニル、(C1−3)アルケニルチオ、イミダゾリル−(C1−3)アルキル、アリール(C1−3)アルキルおよび(C1−3)アルキルオキシカルボニルから成る群より選択される1個以上の基で置換されていてもよく、
アリールは、各々が場合によりオキソ、(C1−3)アルキル、(C1−3)アルキルオキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、ホルミル、エタノイル、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、モノ−およびジ((C1−3)アルキル)アミノ、モノ−およびジ((C1−3)アルキルカルボニル)アミノ、カルボキシル、モルホリニルおよびチオから成る群より各々互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいナフチルもしくはフェニルであり、
アルキルは、特に明記しない限り、炭素原子数が1から8の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基であるか、或は炭素原子数が3から7の環式飽和炭化水素基であるか、或は炭素原子数が1から8の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基と結合している炭素原子数が3から7の環式飽和炭化水素基であり、かつ各基は場合により1個以上の炭素原子がオキソ、(C1−3)アルキルオキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、ホルミル、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシルおよびチオから成る群より選択される1個以上の基で置換されていてもよく、
アルケニルは、更に二重結合を1個以上有するこの上で定義した如きアルキル基であり、アルキニルは、更に三重結合を1個以上有するこの上で定義した如きアルキル基であり、アリールアルキルは、更に1個のCH基がフェニルに置き換わっているこの上で定義した如きアルキル基であり、そして
ジアリールアルキルは、更に2個のCH基がフェニルに置き換わっているこの上で定義した如きアルキル基である]
に従う化合物、これの製薬学的に許容される酸もしくは塩基付加塩、これのN−オキサイド形態物またはこれの第四級アンモニウム塩。
【請求項2】
部分
【化2】

が以下に示す如き式(II−a)、(II−b)、(II−c)および(II−d):
【化3】

で表される二価基である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が水素またはp−アミノメチルベンジルであることを特徴とする請求項2記載の化合物。
【請求項4】
nが1、2または3であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
が水素であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
Pがフェニルであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
が共有結合、C−炭化水素基、C−炭化水素基またはC−炭化水素基から成る群より選択されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
炭化水素基Xの1個の二価−CH−単位が二価のフェニル単位に置き換わっているか、或は炭化水素基Xの2個の水素原子がオキソ基に置き換わっていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
が共有結合および以下に定義する如き基(aa)、(ab)、(ac)、(ag)、(am)、(an)、(aq)、(as)および(be):
【化4】

の中のいずれか1つから成る群より選択されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
が水素、−NR、Pir、−OR3a、SR3b、アリールおよびHetから成る群より選択される基であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
およびRが各々互いに独立して水素、アルキルおよびアルキルオキシカルボニルから成る群より選択される基であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
PirがNを少なくとも1個含有していてそれを通してX基と結合している基であり、ピペリジニルおよびイソインドリルから成る群より選択されかつ各Pir基が場合により2個のオキソ基で置換されていてもよいことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
3aおよびR3bが各々互いに独立してアルキル基であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
Hetがピリジニル、フリル、テトラヒドロピラニル、チエニル、オキサジアゾリルおよびキノリニルから成る群より選択される複素環式基であり、かつ各Het基が場合によりハロおよび場合により(C1−3)アルキルオキシで置換されていてもよいフェニルから成る群より選択される1個以上の基で置換されていてもよいことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
アリールが各々が場合により(C1−3)アルキルおよびハロから成る群より選択される置換基で置換されていてもよいナフチルもしくはフェニルであることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項16】
、Aが各々互いに独立して窒素または炭素原子であるが、但しAとAが同時に炭素原子であることはないことを条件とし、
、Zが各々互いに独立して共有結合またはN−RでありかつRが水素およびアリール−(C1−3)アルキルから成る群より選択され、
nがゼロ、1、2または3に相当する整数であり、
が水素であり、
Pがフェニル、ビフェニル、1,1−ジフェニルメチルおよびベンジルオキシフェニルから成る群より選択される基であり、
が結合、飽和もしくは不飽和(C1−8)炭化水素基であり、かつ1個以上の二価−CH−単位が場合により個々の二価フェニル単位に置き換わっていてもよくそして/または1個以上の水素原子がオキソ基に置き換わっていてもよく、
が水素、−NR、Pir、−OR3a、SR3b、アリールおよびHetから成る群より選択される基であり、
およびRが各々互いに独立して水素、アルキルおよびアルキルオキシカルボニルから成る群より選択される基であり、
PirがNを少なくとも1個含有していてそれを通してX基と結合している基であり、ピペリジニル、イソインドリルから成る群より選択されかつ各Pir基が場合により2個のオキソ基で置換されていてもよく、
3a、R3b、R3cが各々互いに独立してアルキル基であり、
Hetがピリジニル、フリル、テトラヒドロピラニル、チエニル、オキサジアゾリルおよびキノリニルから成る群より選択される複素環式基であり、かつ各Het基が場合によりハロおよび場合により(C1−3)アルキルオキシで置換されていてもよいフェニルから成る群より選択される1個以上の基で置換されていてもよく、そして
アリールが各々が場合により(C1−3)アルキルおよびハロから成る群より各々互いに独立して選択される置換基で置換されていてもよいナフチルもしくはフェニルである、
ことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項17】
薬剤として用いるための請求項1から16のいずれか1項記載の化合物。
【請求項18】
製薬学的に許容される担体もしくは希釈剤を含有しかつ請求項1から16のいずれか1項記載の化合物を有効成分として治療的に有効な量で含有して成る製薬学的組成物。
【請求項19】
更に抗鬱薬、抗不安薬および抗精神病薬から成る群より選択される他の1種以上の化合物も含有して成ることを特徴とする請求項18記載の製薬学的組成物。
【請求項20】
経口投与に適した形態であることを特徴とする請求項18および19のいずれか記載の製薬学的組成物。
【請求項21】
請求項18から20のいずれか1項記載の製薬学的組成物を製造する方法であって、製薬学的に許容される担体を治療的に有効な量の請求項1から16のいずれか1項記載の化合物と密に混合することを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項18から20のいずれか1項記載の製薬学的組成物を製造する方法であって、製薬学的に許容される担体を治療的に有効な量の請求項1から16のいずれか1項記載の化合物および抗鬱薬、抗不安薬および抗精神病薬から成る群より選択した他の1種以上の化合物と密に混合することを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項1から16のいずれか1項記載化合物の使用であって、αアドレナリン受容体の拮抗作用、特にα2Cアドレナリン受容体の拮抗作用が治療的に有用である病気の予防および/または治療用薬剤を製造するための使用。
【請求項24】
請求項1から16のいずれか1項記載化合物の使用であって、中枢神経系の疾患、気分障害、不安障害、鬱および/または不安に関連したストレス関連障害、認知障害、人格障害、統合失調性感情障害、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症、慢性痛状態、神経変性病、中毒性障害、気分障害および性機能障害の予防および/または治療用薬剤を製造するための使用。
【請求項25】
請求項1から16のいずれか1項記載化合物の使用であって、中枢神経系の疾患、気分障害、不安障害、鬱および/または不安に関連したストレス関連障害、認知障害、人格障害、統合失調性感情障害、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症、慢性痛状態、神経変性病、中毒性障害、気分障害および性機能障害の予防および/または治療用薬剤を製造する目的で抗鬱薬、抗不安薬および抗精神病薬から成る群より選択した他の1種以上の化合物と組み合わせる使用。

【公表番号】特表2010−505908(P2010−505908A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531832(P2009−531832)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060748
【国際公開番号】WO2008/043775
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】