説明

血清グルコース低下および血清脂質低下活性を有するα−フェニルチオカルボン酸およびα−フェニルオキシカルボン酸の使用

糖尿病、特に2型糖尿病、その合併症、様々な形態のインスリン抵抗性、および高脂血症の予防および治療のための医薬の調製のための式(I)のα-フェニルチオカルボン酸およびα-フェニルオキシカルボン酸の誘導体の使用が記載される:
【化1】


(式中、置換基は明細書中に記載の意味である)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載する本発明は、血清グルコース低下および/または血清脂質低下活性を有する医薬の調製のための一般式(I)のα-フェニルチオカルボン酸およびα-フェニルオキシカルボン酸の誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
糖尿病は世界中に広くみられる疾患であり、以下を含む主な臨床合併症を伴う:微小血管合併症、例えば、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害および糖尿病性腎症、および大血管性合併症、例えば、アテローム性動脈硬化症、末梢脈管障害、心筋梗塞および脳卒中。
【0003】
糖尿病を特徴づけるインスリン抵抗性はまた、以下に関係がある: 症候群X、多嚢胞性卵巣症候群、肥満、高血圧、高脂血症および高コレステロール血症 (J. Am Osteopath Assoc 2000 Oct; 100(10):621-34; JAMA 2002 Nov 27;288(20):2579-88)。
【0004】
高脂血症、高コレステロール血症および高血圧は、冠動脈心疾患 (CHD)の発症に決定的な役割を果たしていることが知られている。
【0005】
タンパク質グリコシル化の上昇は、上記の糖尿病の合併症にも関与していることが知られている(Diabetologia 2001 Feb; 44(2):129-46)。
【0006】
該合併症は個人の健康および福祉への深刻な脅威である。
【0007】
糖尿病性疾患の様々な臨床形態が知られており、もっとも一般的なのは2型および1型糖尿病である。2型糖尿病はインスリンの作用に対する感受性の低下(インスリン抵抗性)によって特徴づけられ、この欠陥を補償しようとして体内のインスリンレベルが上昇し、その結果、グルコースレベルが上昇する。インスリン抵抗性が2型糖尿病以外の多くの以下のような疾患に関与することを確認する多くの報告がなされてきた:例えば、異脂肪血症、肥満、動脈高血圧、脂肪肝および糖尿病疾患の特定の大血管性および微小血管の特徴。インスリン抵抗性と肥満、高血圧および異脂肪血症の連合は症候群Xとして知られている。
【0008】
2型糖尿病の治療のために、多数の薬剤が上市されており、例えば、ビグアナイドおよびスルホニルウレアが挙げられる。もっともよく知られたビグアナイドはメトホルミンであるが、その作用機構は明らかではなく、以下のような副作用を呈する:例えば、胃腸障害および腎不全、心不全、肝臓不全、肺不全等の症状におけるアシドーシスの危険。スルホニルウレアはβ-細胞によるインスリンの分泌を促進し、可能性のある副作用として低血糖の発症を有する。さらに、スルホニルウレアまたはメトホルミンによる単剤療法はいずれも長期には失敗に終わってしまう(UKPDS研究)。
【0009】
最近上市されたものとしてチアゾリジンジオンがあり、これはインスリン-感作性抗糖尿病薬であり、例えば、トログリタゾン (J. Med. Chem.、1989、32、421-428)、ピオグリタゾン (Arzneim. Forsch./Drug Res.、1990、40 (1)、37-42)、およびロシグリタゾン(Bioorg. Med. Chem. Lett.、1994、4、1181-1184)が挙げられ、これらは糖尿病性高血糖およびインスリンレベルを低下させることが出来る。トログリタゾンについての副作用が既に確認されておりその他のこのクラスに属する化合物についても心配されている: 肝毒性(これによってトログリタゾンが米国の市場から撤退した)、LDL-コレステロールの上昇、体重増加および浮腫。
【0010】
これら化合物はペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)に対して高い親和性を有する合成リガンドである (J. Biol. Chem.、1995、270、12953-12956)。
【0011】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)は、その機能が炭水化物および脂質代謝に関わる遺伝子発現の制御である核内受容体のスーパーファミリーに属する受容体である(J. Med. Chem.、2000、43、527-550)。様々なサブタイプのPPARが同定されている: PPARγ、PPARαおよびPPARβ(δとしても知られる)。ガンマアイソフォーム(PPARγ)は脂肪細胞の分化制御およびエネルギー恒常性に関与しており、アルファアイソフォーム(PPARα)は脂肪酸の酸化を制御し、その結果血漿脂質レベルを制御する。PPARαアゴニスト、例えばロシグリタゾンを用いてげっ歯類で得られる脂質の低下は、ヒト対象ではほとんどみられないのに対し、フィブラートによりげっ歯類にもたらされた脂質の減少はヒトにおいて確認されていることに注目されたい。PPARγ受容体の活性化と血清グルコース低下活性の相関は抗糖尿病作用を有する可能性のある新規薬剤の同定を目的とする構造-活性相関研究において確認されている (J. Med. Chem.、1996、39、665-668; J. Med. Chem.、1998、41、5020-5036; 5037-5054; 5055-5069)。インスリン-感作作用は活性化PPARγ受容体に制御される脂肪酸動員作用と関係しているようであり、これは、糖血症の改善とインスリンレベルの低下により組織のインスリン抵抗性の改善をもたらすと考えられている(Diabetes、1998、47、507-514)。
【0012】
ここ数年、混合特性分子、即ちPPARγおよびPPARαに対するリガンドが現れてきた(KRP 297、Diabetes、1998、47、1841-1847; DRF 2725、Diabetes、2001、50、suppl.2、A108; AZ 242、Diabetes、2001、50、suppl. 2、A121-A122; WO 01/16120)。この点に関して本発明者らは非常に最近のSmithkline Beecham patent (WO 02/067912、2002年9月6日公開)の公報を参照すべきである。これは「PPAR汎-アゴニスト」と称される新規クラスの化合物、即ち、3つのすべてのPPARアイソフォームを活性化することが出来、望ましくないPPARγ活性化の副作用を最小にすることが出来るアゴニストについて記載している。特に、この新規クラスの抗糖尿病薬は、PPARγ活性化に典型的な特性を維持するにも拘わらず、体重増加が少なく浮腫も軽いと考えられている。これら化合物は、血清グルコース低下および血清脂質低下作用を示しつつ、もっぱらPPARγ受容体のリガンドであったチアゾリドンジオンクラス化合物の最初のシリーズに典型的な副作用が少ないことにより、糖尿病性疾患の良好な制御を発揮することが可能である。特許WO 01/16120 および WO 02/067912に請求されている構造は共通の特性を共有し、これらはフィブラート-様部分を示す。
【0013】
しかし科学界がすべて上記のことに同意するわけではない。実際、チアゾリジンジオン誘導体にしろそうでないにしろ新世代化合物に関する研究は(MC555、J. Biol. Chem.、1998、Vol. 273 (49)、32679-32684; NC2100 Diabetes、2000、49、759-767、YM440、Metabolism、2000、49、411-417)、遺伝子トランス活性化試験、筋組織によるグルコース取り込みに対するインビトロ試験およびPPARγ受容体の発現が欠損したトランスジェニック動物におけるインビボ実験において、PPARγ受容体の活性化とこれら化合物の血清グルコース低下および血清脂質低下活性の間には直接の関係がないかもしれないことを示唆している (Toxicology Letters、2001、120、9-19)。
【0014】
このことの確認として、良好なPPARリガンドである必要はない、可能性のあるインスリン-感作薬を同定するために、糖尿病動物(db/dbマウス、ob/obマウス)のインビボスクリーニングを用いることを選択した研究者が多数いる。これらの実験から、多数の興味深い抗糖尿病活性を有する化合物が選択され、いまだ動物モデルにおける研究の過程にある (DRF 2189、J. Med. Chem.、1998、41、1619-1630; JTT-501、J. Med. Chem.、1998、41、1927-1933)。
【0015】
科学界は、インスリン感受性およびグルコース恒常性に対して同様またはすぐれた効果を有しつつ毒作用のない、異なる作用機作の新規化合物 (J. Med. Chem.、2001、44、2601-2611)であって、新旧の現在用いられている抗糖尿病薬よりもすぐれた血清脂質低下活性を有する化合物を探索する傾向にあるようである。
【0016】
高脂血症は糖尿病性疾患の重篤な一面であり、しばしば存在する高血圧とともに、アテローム性動脈硬化症および糖尿病の第一の死因である循環器疾患に対する危険因子を構成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
血中の脂質を低下させる必要性はしばしばフィブラートを用いて取り組まれており、これはインスリン抵抗性においては陽性の結果が得られているが、血清グルコース低下薬としては成功していない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の要約
このたび、以下に記載する式(I)の化合物が、血清グルコース低下 および/または 血清脂質低下薬として活性であり、特にHDL-コレステロールレベルを上昇させることが出来る薬剤であることが判明した。
【0019】
式(I)の化合物は毒性が低く、それゆえ高血糖および/または高脂血症の治療ならびにHDL-コレステロールレベルの上昇に有用である。
【0020】
好適な用途は以下の予防および治療である:糖尿病、特に2型糖尿病、糖尿病の微小血管合併症、例えば、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害および糖尿病性腎症、糖尿病の大血管性合併症、例えば、アテローム性動脈硬化症、末梢脈管障害、心筋梗塞、脳卒中、症候群X、多嚢胞性卵巣症候群、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、高血圧、様々な形態のインスリン抵抗性、脂肪肝、特にNAFLD (非アルコール性脂肪肝疾患)およびNASH (非アルコール性脂肪性肝炎)および冠動脈心疾患 (CHD)の一次および二次予防。
【0021】
本発明の1つの目的はそれゆえ式(I)の化合物およびその医薬上許容される塩、ラセミ混合物、単一の鏡像異性体、立体異性体または幾何異性体、および互変異性体の、糖尿病、特に2型糖尿病; 糖尿病の微小血管合併症、例えば、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害および糖尿病性腎症; 糖尿病の大血管性合併症、例えばアテローム性動脈硬化症、末梢脈管障害、心筋梗塞および脳卒中;症候群X、多嚢胞性卵巣症候群、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、高血圧、および様々な形態のインスリン抵抗性;脂肪肝、特にNAFLD (非アルコール性脂肪肝疾患)およびNASH (非アルコール性脂肪性肝炎)の予防および治療;冠動脈心疾患 (CHD)の一次および二次予防、およびHDL-コレステロールレベルの上昇のための医薬の調製のための使用である:
【化1】

[式中:
Rは、H;単環式、二環式または三環式であって、1以上のハロゲン基、ニトロ、ヒドロキシ、アルキルおよびアルコキシで置換されていてもよく、さらに1以上のハロゲン基で置換されていてもよい、アリールまたはヘテロアリール;
nは0-3;
pは0-1;
Xは-OH、-O-アルキルC1-C4;
R1およびR2、は同じであっても異なっていてもよく、以下から選択される: -H; アルキルC1-C5、-COX;
Qは以下から選択される: NH、O、S、-NHC(O)O-、NHC(O)NH-、-NHC(O)S-、-OC(O)NH-、-NHC(S)O-、-NHC(S)NH-、-C(O)NH-;
およびYはO、S]。
【0022】
本発明のさらなる目的は、活性成分として1以上の式(I)の化合物および少なくとも1つの医薬上許容される希釈剤および/または賦形剤を含む医薬組成物である。
【0023】
発明の詳細な説明
式(I)の化合物のなかで第一の群の好ましい化合物はRがアリールであり、1以上のハロゲン原子、アルキル、アルコキシまたはハロアルキル、好ましくはメチル、メトキシまたはトリフルオロメチル、ニトロ、モノ-またはジ-アルキルアミンで置換されていてもよい化合物である。
【0024】
この第一の群において、好ましくは pは1、nは0、1または2、およびQは酸素である。
【0025】
第二の群の好ましい化合物は、Rが、好ましくはヘテロ原子として窒素を含むヘテロアリール、例えば、インドールおよびカルバゾールであり、分子の残りに可能ないずれの位置を介して結合していてもよい化合物であり;なかでも特に好ましいのは1-インドリルおよび1-カルバゾリルである。
【0026】
第二の群において、好ましくは pは1、nは0、1または2、およびQは酸素である。
【0027】
特に好ましいのは以下の化合物であり、これらは以下に記載する一般方法および合成手順にしたがって調製される。以下の記載は例示のためであり、本発明を限定するものではない:
i.メチル 2-[3-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2195);
ii.2-[3-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチル-プロパン酸 (ST2518);
iii.メチル 2-[4-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST1929);
iv.メチル 2-[3-(2-(2,4-ジクロロフェニル)エトキシ)フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2534);
v.メチル 2-[4-(2-(2,4-ジクロロフェニル)エトキシ)フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2531);
vi.メチル 2-[3-(2-(カルバゾール-9-イル)エトキシ)フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2365);
vii.メチル 2-[4-(2-(カルバゾール-9-イル)エトキシ)フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2387);
viii.メチル 2-[4-[2-(1-インドリル)エトキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST1983);
ix.メチル 2-[3-[2-(1-インドリル)エトキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST2394);
x.メチル 2-[3-[2-(2-ナフチル)エトキシ]フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2167);
xi.メチル 2-[4-[2-(2-ナフチル)エトキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST2011).
xii.2-[4-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチル-プロパン酸 (ST2505);
xiii.2-[3-(2-(2,4-ジクロロフェニル)エトキシ)フェニルチオ]-2-メチルプロパン酸 (ST2653);
xiv.2-[4-(2-(2,4-ジクロロフェニル)エトキシ)フェニルチオ]-2-メチルプロパン酸 (ST2652);
xv.2-[3-(2-(カルバゾール-9-イル)エトキシ)フェニルチオ]-2-メチルプロパン酸 (ST2618);
xvi.2-[4-[2-(1-インドリル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチルプロパン酸 (ST2622):
xvii.2-[3-[2-(1-インドリル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチルプロパン酸 (ST2651);
xviii.2-[3-[2-(2-ナフチル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチル-プロパン酸 (ST2609);
xix.2-[4-[2-(2-ナフチル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチル-プロパン酸 (ST2036);
xx.メチル 2-[4-[2-(1-(5-メトキシ)インドリル)エトキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST2577);
xxi.メチル 2-[4-[2-(1-(5- ベンジルオキシ) インドリル)エトキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST2562);
xxii.メチル 2-[3-[5-(4-ニトロフェニル)フルフリルオキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST2501);
xxiii. 2-[4-[2-(1-(5-メトキシ)インドリル)エトキシ]フェニルチオ]イソ酪酸 (ST2733);
xxiv.2-[4-[2-(1-(5-ベンジルオキシ)インドリル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチルプロパン酸 (ST2740);
xxv.2-メチル-2-[3-[5-(4-ニトロフェニル)フルフリルオキシ]フェニルチオ] プロパン酸 (ST2753)。
【0028】
特に好ましいのは化合物、ST2518およびST2195である。
【0029】
式(I)の化合物は一般方法A-Cに記載の反応を用いて調製される。
【0030】
一般合成方法
以下の図は、式(I)の化合物の合成に用いる方法を図示する。
【0031】
特に断りのない限り、様々な記号の意味は一般式(I)に示すものと同じである。方法 Aに記載の加水分解手順はその他の方法にも適用できる。
【0032】
方法 A
【化2】

【0033】
一般式(I)の化合物の調製は一般式IIの化合物と塩基、好ましくは無機塩基、好ましくは水素化ナトリウムを反応させて対応するアニオンを形成し、それを次に一般式 IIIの化合物と反応させることによって行った。一般式 IIIの化合物は脱離基、例えば塩素、臭素、ヨウ素、メシル、トシルおよびジアゾ (ジアゾ基の場合、無機塩基の代わりに二価酢酸ロジウムダイマーを触媒として用いる)を含み、例えば、2-メチル-アルファ-ブロモイソブチラートであり、反応は極性溶媒、例えばアセトニトリル、トルエン、または好ましくはジメチルホルムアミド中で、18〜48時間温度10〜50℃、好ましくは25℃で行った。こうして得られた生成物を塩基または酸加水分解に供した。加水分解は、例えば、NaOH、または例えば、HCl/酢酸の混合物を用いて、温度10〜100℃、好ましくは 25℃で、1〜72時間、好ましくは 3時間行い、そして対応する酸I Aを得た。
【0034】
方法 B
【化3】

【0035】
一般式(I)の化合物の調製を一般構造 IVの化合物から出発して、これを一般構造 Vのアルコールと反応させて行った。反応はSynthesis 1981、1-28に記載の古典的ミツノブ反応条件で、無水および非プロトン性溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、エーテルまたは好ましくはテトラヒドロフランを用いて30分〜72時間、好ましくは 48時間、温度10〜40℃、好ましくは25℃で行った。
【0036】
方法 C
【化4】

【0037】
この方法で調製した化合物は、非プロトン性溶媒、例えば、トルエン、エーテル、ベンゼン、好ましくは テトラヒドロフランに溶解したVIから出発して得た。これに関連するイソシアナート、チオイソシアナートまたはクロロホルミエート VIIを、触媒量または化学量論量の無機または有機塩基、好ましくは トリエチルアミンの存在下で添加し、6 〜72時間、好ましくは 48時間、温度10〜40℃、好ましくは 25℃で反応させた。K がCOOHである場合、縮合剤、例えば、ジエチルホスホロシアニデート、EEDQ、DCCまたはCDIなどを、基質に対して1:3当量の比、好ましくは 1:1.5当量の比で用い、即ち、工程を酸塩化物の形成を介して行い、縮合反応を有機溶媒、例えば、DMF、CH3CN、CHCl3、THF等中で、温度20〜80℃、好ましくは 25℃、反応時間18時間〜3日間、好ましくは24時間にて行った。
【0038】
以下の実施例により本発明をさらに説明するが、限定するのもではない:
【実施例1】
【0039】
メチル 2-[3-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2195)の調製
中間生成物、メチル 2-(3-ヒドロキシ-フェニルチオ)イソブチラートの調製
方法 A (工程 1)
生成物を0℃で40 mLの無水CH3CN、NaH 80% (0.572 g 19.1 mmol)中の3-メルカプトエタノール (2.00 g、15.9 mmol)から出発して調製した。5分後、メチル-2-ブロモイソブチラート (2.88 g、15.9 mmol)を懸濁液に添加した。こうして得た反応混合物を室温で一晩マグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、混合物をH2Oに注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて乾燥させた。得られた残渣を溶出液としてCHCl3/CH3OH 98/2を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。2.900 gの生成物を得た(収率: 81%); Mp (融点): 41.5-42.5℃; TLC: シリカゲル、溶出液 CHCl3/CH3OH 98/2、Fr (前端比): 0.23; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.19 (t、1H)、7.00 (d、1H)、6.95 (brt、1H)、6.81 (dd、1H)、3.69 (s、3H)、1.50 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS - 3 (5 μm) 4.6 x 250 mm、T: 室温、移動相 CH3CN/H2O 50/50 (v/v)、pH: そのまま、流速: 0.75 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 13.82 分; KF: 0.3% H2O; E.A. C11H14O3Sであると確認
【0040】
メチル 2-[3-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2195)の調製
方法 B
生成物を15 mL の無水 THF中のメチル 2-(3-ヒドロキシフェニルチオ)イソブチラート (上記のように調製) (1.00 g、4.42 mmol)、および4-クロロフェネチルアルコール (0.692 g、4.42 mmol)から出発して調製した。これに、DIAD (1.16 g、5.75 mmol)およびトリフェニルホスフィン (1.500 g、5.75 mmol)を温度を30℃より低く維持しながら少しずつ添加した。反応を室温で一晩マグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、溶媒を蒸発させ、残渣をヘキサン/AcOEt 9/1を溶出液として用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。1.146 gの油状生成物を得た(収率: 71%); TLC: シリカゲル、溶出液 ヘキサン/AcOEt 9/1、Fr = 0.28; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.25 (m、6H)、7.00 (m、1H)、6.90 (d、1H)、4.15 (t、2H)、3.65 (s、3H)、3.08 (t、2H)、1.55 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS 3 (5 μm) 4.6 x 250 mm、T: 30℃、移動相 CH3CN/H2O 80/20 (v/v)、pH:そのまま、流速: 0.75 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 19.34 分; KF: 1.7% H2O; E.A. C19H21ClO3Sであると確認
【実施例2】
【0041】
2-[3-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチル-プロパン酸 (ST2518)の調製
方法 A (工程 2)
生成物を9 mL のメタノール中のST2195 (実施例1のようにして調製) (0.150 g、0.41 mmol)の溶液から出発して調製した。これに4 mL のNaOH 1Nを添加した。こうして得た溶液をマグネティックスターラーで撹拌して48時間室温で放置した。この後、溶液を水で希釈し、HCl 1Nで酸性にし、水相をAcOEtで抽出した。有機相を無水 Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。0.128 gの生成物を得た(収率: 88 %); Mp: 105-106℃; TLC: シリカゲル、溶出液 CHCl3/CH3OH 9.4/0.6、Fr: 0.42; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.45 (m、5H)、7.10 (m、2H)、6.80 (dd、1H)、4.15 (t、2H)、3.05 (t、2H)、1.50 (s、6H); HPLC: カラム: Symmetry - C18 (5μm) 4.6 x 250 mm、T: 30℃、移動相 CH3CN/酢酸アンモニウム 10 mM 35/65 (v/v)、pH:そのまま、流速: 0.80 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 4.66 分; E.A. C18H19ClO3Sであると確認
【実施例3】
【0042】
メチル 2-[4-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST1929)の調製
中間生成物、メチル 2-(4-ヒドロキシフェニルチオ)イソブチラート (ST1923)の調製
標題生成物を方法 A (工程 1)に記載の手順にしたがって調製した。10 mLの無水 CH3CN中の4-メルカプトエタノール (0.500 g、4.0 mmol)から出発し、これにNaH 80% (0.144 g、4.8 mmol)を添加した。混合物を0℃に冷却し、5 分後、メチル-α-ブロモイソブチラート (0.724 g、4.0 mmol)を添加した。反応を2日間室温でマグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、混合物をH2Oに注ぎ、酢酸エチルで抽出した;水相を次いでHCl 1Nで酸性にし、再び酢酸エチルで抽出した。プールした有機相を Na2SO4で乾燥させ、ろ過して蒸発させた。得られた残渣をCHCl3を溶出液として用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。0.760 gの生成物を得た(収率: 84%); Mp: 110-112℃; TLC: シリカゲル、溶出液 CHCl3、Fr: 0.11; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.30 (d、2H)、6.73 (d、2H)、5.57 (brm、1H)、3.70 (s、3H)、1.45 (s、6H); HPLC: カラム: Symmetry - C18、(5 μm) 4.6 x 250 mm、T: 30℃、移動相 CH3CN/H2O 50/50 (v/v)、pH:そのまま、流速: 0.75 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 10.14 分; E.A. (元素分析) C11H14O3Sであると確認
【0043】
メチル 2-[4-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST1929)の調製
標題生成物を方法 Bに記載の手順にしたがって調製した。20 mL の無水 THF中のメチル 2-(4-ヒドロキシフェニルチオ)イソブチラート (上記のように調製) (0.800 g、3.54 mmol)および4-クロロフェネチル アルコール (0.554 g、3.54 mmol)から出発した。DEAD (0.801 g、4.6 mmol) およびトリフェニルホスフィン (1.205 g、4.6 mmol)を温度を30℃より低く維持しながら少しずつ添加した。反応を室温で一晩マグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、溶媒を蒸発させ、残渣をヘキサン/酢酸エチル 9/1を溶出液として用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。0.416 gの油状生成物を得た(収率: 32%); TLC: シリカゲル、溶出液 ヘキサン/酢酸エチル 9/1、Fr: 0.32; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.40-7.19 (m、6H)、6.80 (d、2H)、4.15 (t、2H)、3.65 (s、3H)、3.08 (t、2H) 1.45 (s、6H); HPLC: カラム: Symmetry - C18、(5μm) 4.6 x 250 mm、T: 30℃、移動相 CH3CN/H2O 70/30 (v/v)、pH:そのまま、流速: 0.75 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 31.40 分; KF: 0.4% H2O; E.A. C19H21ClO3Sであると確認
【実施例4】
【0044】
メチル 2-[3-(2-(2,4-ジクロロフェニル)エトキシ)フェニルチオ]イソブチラート (ST2534)の調製
標題生成物を方法 Bに記載の手順にしたがって調製した。3 mL の無水 THFに溶解したメチル 2-(3-ヒドロキシフェニルチオ)イソ-ブチラート (実施例1のようにして調製) (0.280 g、1.24 mmol)およびDIAD (0.325 g、1.61 mmol)から出発し、4 mLの無水 THF中の2,4-ジクロロフェネチルアルコール (0.260 g、1.36 mmol)、およびトリフェニルホスフィン (0.422 g、1.61 mmol)の溶液に0℃で滴下した。反応を室温で一晩マグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、溶媒を蒸発させ、残渣をヘキサン/AcOEt 9.6/0.4を溶出液として用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。0.327 gの油状生成物を得た(収率: 66 %); TLC: シリカゲル、溶出液 ヘキサン/AcOEt 9/1、Fr: 0.34; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.40 (d、1H)、7.20 (m、3H)、7.00 (m、2H)、6.90 (dd、1H)、4.15 (t、2H)、3.65 (s、3H)、3.20 (t、2H)、1.45 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS - 3 (5 μm) 4.6 x 250 mm、T: 室温、移動相 CH3CN/H2O 90/10 (v/v)、pH:そのまま、流速: 0.8 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 12.40 分; KF: 0.2 % H2O; E.A. C19H20Cl2O3Sであると確認
【実施例5】
【0045】
メチル 2-[4-(2-(2,4-ジクロロフェニル)エトキシ)フェニルチオ]イソブチラート (ST2531)の調製
標題生成物を方法 Bに記載の手順にしたがって調製した。3 mLの無水 THFに溶解したメチル 2-(4-ヒドロキシフェニルチオ)イソ-ブチラート (実施例3のようにして調製) (0.280 g、1.24 mmol)およびDIAD (0.325 g、1.61 mmol)から出発し、4 mLの無水 THF中の2,4-ジクロロフェネチルアルコール (0.260 g、1.36 mmol)およびトリフェニルホスフィン (0.422 g、1.61 mmol)の溶液に0℃で滴下した。反応を室温で一晩マグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、溶媒を蒸発させ、残渣をヘキサン/AcOEt 9.6/0.4 を溶出液として用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。0.346 gの生成物を得た(収率: 70%); Mp: 73-74℃; TLC: シリカゲル、溶出液 ヘキサン/AcOEt 9/1、Fr: 0.26; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.35 (m、3H)、7.22 (m、2H)、6.83 (d、2H)、4.18 (t、2H)、3.65 (s、3H)、3.20 (t、2H)、1.45 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS - 3 (5 μm) 4.6 x 250 mm、T: 室温、移動相 CH3CN/H2O 85/15 (v/v)、pH:そのまま、流速: 1 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 12.58 分; KF: 0.4 % H2O; E.A. C19H20Cl2O3S であると確認
【実施例6】
【0046】
メチル 2-[3-(2-(カルバゾール-9-イル)エトキシ)フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2365)の調製
標題生成物を方法 Bに記載の手順にしたがって調製した。メチル 2-(3-ヒドロキシフェニルチオ)イソ-ブチラート (実施例1のようにして調製) (0.609 g、2.7 mmol)、9H-カルバゾール-9-エタノール (0.570 g、2.7 mmol)、DIAD (0.708 g、3.5 mmol)、およびトリフェニルホスフィン (0.917 g、3.5 mmol)から出発し、温度を30℃より低く維持しつつ14 mL の無水 THFに少しずつ添加した。反応を18時間室温でマグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、溶媒を蒸発させ、残渣をヘキサン/AcOEt 9/1を溶出液として用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。0.510 gの生成物を得た(収率: 45%); Mp: 101-103℃; TLC: シリカゲル、溶出液 ヘキサン/AcOEt 8/2、Fr: 0.38; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 8.05 (d、2H)、7.50 (m、4H)、7.15 (m、2H)、7.08 (t、1H)、7.00 (d、1H)、6.90 (s、1H)、6.80 (m、1H)、4.75 (t、2H)、4.35 (t、2H)、3.60 (s、3H)、1.40 (s、6H); HPLC: カラム: Symmetry - C18、(5μm) 4.6 x 150 mm、T: 室温、移動相 CH3CN/H2O 65/35 (v/v)、pH:そのまま、流速: 0.80 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 11.45 分; E.A. C25H25NO3Sであると確認
【実施例7】
【0047】
メチル2-[4-(2-(カルバゾール-9-イル)エトキシ)フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2387)の調製
生成物を方法 Bに記載の手順にしたがって調製した。メチル 2-(4-ヒドロキシフェニルチオ) イソブチラート (実施例3のようにして調製) (0.609 g、2.7 mmol)、9H-カルバゾール-9-エタノール (0.570 g、2.7 mmol)、DIAD (0.708 g、3.5 mmol)、およびトリフェニルホスフィン (0.917 g、3.5 mmol)から開始して温度を30℃より低く維持しながら14 mLの無水 THFに少しずつ添加した。反応を18時間室温でマグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、溶媒を蒸発させ、残渣をヘキサン/AcOEt 9/1を溶出液として用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。0.702 gの生成物を得た(収率: 62%); Mp: 72-74℃; TLC: シリカゲル、溶出液 ヘキサン/AcOEt 8/2、Fr: 0.30; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 8.05 (d、2H)、7.50 (m、4H)、7.15 (m、4H)、6.75 (d、2H)、4.75 (t、2H)、4.35 (t、2H)、3.60 (s、3H)、1.40 (s、6H); HPLC: カラム: Symmetry - C18、(5 μm) 4.6 x 150 mm、T: 室温、移動相 CH3CN/H2O 70/30 (v/v)、pH:そのまま、流速: 0.80 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 11.60 分; E.A. C25H25NO3Sであると確認
【実施例8】
【0048】
メチル 2-[4-[2-(1-インドリル)エトキシ]フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST1983)の調製
中間生成物、1-(2-ヒドロキシエチル)インドールの調製
J. Med. Chem.、1998、41/10、1619-1639に報告されている中間生成物をそこに記載の方法にしたがって調製した。ただし、反応持続時間 (30 分間ではなく30 時間とした)を変え、50 mlの無水 DMSO中のインドール (5.0 g、42.7 mmol)、KOH (3.6 g、64.1 mmol) およびブロモエタノール (6.4 g、51.3 mmol)から出発し、温度25-30℃とし、5 gの油状生成物 (収率: 73%)を得た。
【0049】
メチル 2-[4-[2-(1-インドリル)エトキシ]フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST1983)の調製
生成物を方法 Bに記載の手順にしたがって調製した。メチル 2-(4-ヒドロキシフェニルチオ) イソブチラート (実施例3のようにして調製) (0.671 g、2.97 mmol)、1-(2-ヒドロキシエチル)インドール (0.478 g、2.97 mmol)、DEAD (0.672 g、3.86 mmol)、およびトリフェニルホスフィン (1.011 g、3.86 mmol)から出発して15 mLの無水 THFに温度を30℃より低く維持しながら少しずつ添加した。反応を48時間室温でマグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、溶媒を蒸発させ、残渣をヘキサン/酢酸エチル 8/2を溶出液として用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。全部で0.500 gの純粋になっていない生成物を得、これを酢酸エチルに溶解し、NaOH 1Nの溶液で洗浄した。有機相を乾燥させ、蒸発させて残渣0.230 gを得、これをCHCl3で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーでさらに精製した。0.184 gの油状生成物を得た(収率: 17%); TLC: シリカゲル、溶出液 ヘキサン/酢酸エチル 8/2、Fr: 0.29; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.62 (d、1H)、7.40 - 7.10 (m、6H)、6.78 (d、2H)、6.50 (d、1H)、4.50 (m、2H)、4.24 (m、2H)、3.61 (s、3H)、1.40 (s、6H); HPLC: カラム: Symmetry - C18、(3.5 μm) 4.6 x 75 mm、T: 室温、移動相 CH3CN/H2O 60/40 (v/v)、pH:そのまま、流速: 0.90 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 10.70 分; KF: 1.7 % H2O; E.A. C21H23NO3Sであると確認
【実施例9】
【0050】
メチル 2-[3-[2-(1-インドリル)エトキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST2394)の調製
標題生成物を方法 Bに記載の手順にしたがって調製した。20 mLの無水 THF中のメチル 2-(3-ヒドロキシフェニルチオ) イソブチラート (実施例1のようにして調製) (1.00 g、4.42 mmol)、および1-(2-ヒドロキシエチル)インドール (実施例8のようにして調製) (0.711g、4.42 mmol)から出発し、これにDIAD (1.16 g、5.75 mmol)およびトリフェニルホスフィン (1.500 g、5.75 mmol)を温度を30℃より低く維持しながら少しずつ添加した。反応を室温で一晩マグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、溶媒を蒸発させ、残渣をヘキサン/AcOEt 8/2を溶出液として用いるシリカゲルクロマトグラフィーにて精製した。0.581 gの油状生成物を得た(収率: 35 %); TLC: シリカゲル、溶出液 ヘキサン/AcOEt 9/1、Fr: 0.22; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.62 (d、1H)、7.42 (d、1H),7.30 - 6.80 (m、7H)、6.52 (d、1H)、4.55 (m、2H)、4.30 (m、2H)、3.61 (s、3H)、1.50 (s、6H); HPLC: カラム: Supelco - C18 (5 μm) 4.6 x 150 mm、T: 30℃、移動相 CH3CN/H2O 70/30 (v/v)、pH:そのまま、流速: 0.90 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 6.36 分; E.A. C21H23NO3Sであると確認
【実施例10】
【0051】
メチル 2-[3-[2-(2-ナフチル)エトキシ]フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2167)の調製
生成物を方法 Bに記載の手順にしたがって調製した (ただしDEADの代わりにDIADを用いた)。20 mLの無水 THF中のメチル 2-(3-ヒドロキシフェニルチオ)イソブチラート (実施例1のようにして調製) (1.110 g、4.9 mmol)、2-(2-ナフチル)エタノール (0.842 g、4.9 mmol)、DIAD (1.290 g、6.37 mmol)、およびトリフェニルホスフィン (1.670 g、6.37 mmol)から出発した。反応を一晩室温でマグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、溶媒を蒸発させ、残渣をヘキサン/AcOEt 7/3を溶出液として用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。生成物をさらに酢酸エチルに溶解し、有機相をNa2CO3溶液で洗浄することにより精製した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。1.14 gの生成物を得た(収率: 61.2%); TLC: シリカゲル、溶出液 ヘキサン/AcOEt 9/1、Fr: 0.20; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.80 (m、3H)、7.75 (s、1H)、7.45 (m、3H)、7.25 (t、1H)、7.05 (m、2H)、6.90 (d、1H)、4.25 (t、2H)、3.65 (s、3H)、3.30 (t、2H)、1.50 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS - 3 (5μm) 4.6 x 250 mm、T: 室温、移動相 CH3CN/H2O 80/20 (v/v)、pH:そのまま、流速: 0.9 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 18.91 分; KF: 1.0 % H2O; E.A. C23H24O3Sであると確認
【実施例11】
【0052】
メチル 2-[4-[2-(2-ナフチル)エトキシ]フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2011)の調製
生成物を方法 Bに記載の手順にしたがって調製した。メチル 2-(4-ヒドロキシフェニルチオ) イソブチラート (実施例3のようにして調製) (1.000 g、4.42 mmol)、2-(2-ナフチル)エタノール (0.760 g、4.42 mmol)、DEAD (1.000 g、5.75 mmol)およびトリフェニルホスフィン (1.500 g、5.75 mmol)から出発し、温度を30℃より低く維持しながら、30 mL の無水 THFに少しずつ添加した。反応を室温で一晩マグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、溶媒を蒸発させ、残渣をヘキサン/AcOEt 9/1を溶出液として用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。1.262 gの生成物を得た(収率: 75%); Mp: 56-57℃; TLC: シリカゲル、溶出液 ヘキサン/AcOEt 9/1、Fr: 0.23; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ 7.85 - 7.70 (m、4H)、7.45 - 7.28 (m、5H)、6.83 (d、2H)、4.27 (t、2H)、3.65 (s、3H)、3.26 (t、2H)、1.45 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS - 3 (5 μm) 4.6 x 250 mm、T: 室温、移動相 CH3CN/H2O 80/20 (v/v)、pH:そのまま、流速: 0.75 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 23.51 分; KF: 0.16 % H2O; E.A. C23H24O3Sであると確認
【実施例12】
【0053】
2-[4-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチル-プロパン酸 (ST2505)の調製
方法 A (工程 2)
生成物を36 mLのメタノール中のST1929 (実施例3のようにして調製) (0.572 g、1.57 mmol)の溶液から出発して調製した。これに15.7 mLのNaOH 1Nを添加した。得られた溶液を一晩還流温度でマグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、溶液をHCl 1Nで酸性にし、水相をAcOEtで抽出した。有機相を無水 Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。生成物をヘキサン/AcOEt 7:3で溶出するシリカゲルカラムでのクロマトグラフィーによって精製した。 0.448 gの生成物を得た(収率: 81.5%); Mp: 87-88℃; TLC: シリカゲル、溶出液 ヘキサン/AcOEt 6/4、Fr: 0.3; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.40 (d、2H)、7.25 (d、2H)、7.20 (d、2H)、6.80 (d、2H)、4.15 (t、2H)、3.05 (t、2H)、1.50 (s、6H); HPLC: カラム: Symmetry - C18 (5μm) 4.6 x 250 mm、T: 室温、移動相 CH3CN/酢酸アンモニウム 10 mM 45/55 (v/v)、pH:そのまま、流速: 0.70 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 4.73 分; E.A. C18H19ClO3Sであると確認
【実施例13】
【0054】
2-[3-(2-(2,4-ジクロロフェニル)エトキシ)フェニルチオ]-2-メチルプロパン酸 (ST2653)の調製
方法 A (工程 2)
生成物を11 mLのCH3OH中のST2534 (実施例4のようにして調製) (0.700 g、1.75 mmol)の溶液から出発して調製した。これに21 mLのNaOH 1Nを添加した。得られた溶液を40℃で2日間マグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、CH3OHを減圧下で蒸発させ、水相をHCl 1Nで酸性にし、AcOEtで抽出した。有機相を無水 Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。0.486 gの生成物を得た(収率: 72%); Mp: 86-88℃; TLC: シリカゲル、溶出液 CHCl3/CH3OH 9.6/0.4、Fr: 0.18; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.40 (s、1H)、7.20 (m、3H)、7.05 (m、2H)、6.90 (d、1H)、4.15 (t、2H)、3.05 (t、2H)、1.45 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS 3 (5 μm) 4.6 x 250 mm、T: 室温、移動相 CH3CN/KH2PO4 50 mM 70/30 (v/v)、pH: およそ3 (H3PO4)、流速: 1 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 16.78 分; E.A. C18H18Cl2O3Sであると確認
【実施例14】
【0055】
2-[4-(2-(2,4-ジクロロフェニル)エトキシ)フェニルチオ]-2-メチルプロパン酸 (ST2652)の調製
方法 A (工程 2)
生成物を3 mLのテトラヒドロフラン中のST2531 (実施例5のようにして調製) (0.130 g、0.32 mmol)の溶液から出発して調製した。これに3 mLのLiOH水溶液(0.040 g、1.67 mmol)を添加した。得られた懸濁液を室温で一晩マグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、テトラヒドロフランを減圧下で蒸発させ、水相をHCl 1Nで酸性にし、AcOEtで抽出した。有機相を無水 Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた残渣をCHCl3/CH3OH 9.6/0.4で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーカラムで精製した。0.044 gの生成物を得た(収率: 36%); TLC: シリカゲル、溶出液 CHCl3/CH3OH 9.6/0.4、Fr: 0.20; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.40 (m、3H)、7.20 (m、2H)、6.80 (d、2H)、4.15 (t、2H)、3.15 (t、2H)、1.45 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS 3 (5 μm) 4.6 x 250 mm、T: 室温、移動相 CH3CN/KH2PO4 50 mM 65/35 (v/v)、pH: およそ3 (H3PO4)、流速: 1 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 27.20 分; E.A. C18H18Cl2O3Sであると確認
【実施例15】
【0056】
2-[3-(2-(カルバゾール-9-イル)エトキシ)フェニルチオ]-2-メチル-プロパン酸 (ST2618)の調製
方法 A (工程 2)
生成物を3 mLのテトラヒドロフラン中のST2365 (実施例6のようにして調製) (0.120 g、0.286 mmol)の溶液から出発して調製した。これに1 mLのLiOH (0.014 g、0.5 mmol)水溶液を添加した。こうして得られた懸濁液を室温で一晩マグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、テトラヒドロフランを減圧下で蒸発させ、水相をHCl 1Nで酸性にし、無水 Na2SO4 で抽出し、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。 0.042 gの生成物を得た(収率: 36 %); TLC: シリカゲル、溶出液 CHCl3/CH3OH 9.6/0.4、Fr: 0.24; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 8.05 (d、2H)、7.50 (m、4H)、7.10-7.00 (m、5H)、6.80 (d、1H)、4.70 (t、2H)、4.30 (t、2H)、1.50 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS 3 (5 μm) 4.6 x 250 mm、T: 室温、移動相 CH3CN/KH2PO4 50 mM 70/30 (v/v)、pH:そのまま、流速: 1 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 11.92 分; E.A. C24H23NO3S であると確認
【実施例16】
【0057】
2-[4-[2-(1-インドリル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチル-プロパン酸 (ST2622)の調製
方法 A (工程 2)
生成物を15 mLのCH3OH中のST1983 (実施例8のようにして調製) (1 g、2.71 mmol)の溶液から出発して調製した。これに30 mLの NaOH 1Nを添加した。得られた溶液を48時間40℃でマグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、CH3OH を減圧下で蒸発させ、水相をHCl 1Nで酸性にし、AcOEtで抽出した。有機相を無水 Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた残渣をCHCl3/CH3OH 9.6/0.4で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーカラムで精製した。0.679 gの 生成物を得た(収率: 70%); TLC: シリカゲル、溶出液 CHCl3/CH3OH 9.6/0.4、Fr: 0.27; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.60 (d、1H)、7.40 (d、3H)、7.20 (m、3H)、6.80 (d、2H)、6.50 (d、1H)、4.50 (t、2H)、4.25 (t、2H)、1.50 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisili ODS 3 (5μm) 4.6 x 250 mm、T: 室温、移動相 CH3CN/ KH2PO4 50 mM 70/30 (v/v)、pH:そのまま、流速: 1 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 8.30 分; E.A. C20H21NO3Sであると確認
【実施例17】
【0058】
2-[3-[2-(1-インドリル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチル-プロパン酸 (ST2651)の調製
方法 A (工程 2)
生成物を3 mLのテトラヒドロフラン中のST2394 (実施例9のようにして調製) (0.140 g、0.38 mmol)の溶液から出発して調製した。これに 2 mLのLiOH (0.040 g、1.67 mmol)の水溶液を添加した。得られた懸濁液を一晩室温でマグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、テトラヒドロフランを減圧下で蒸発させ、水相をHCl 1Nで酸性にし、AcOEtで抽出した。有機相を無水 Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた残渣をCHCl3/CH3OH 9.6/0.4で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーカラムで精製し、0.086 gの生成物を得た(収率: 63%); TLC: シリカゲル、溶出液 CHCl3/CH3OH 9.6/0.4、Fr: 0.19; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.60 (d、1H)、7.40 (d、1H)、7.20-7.00 (m、6H)、6.80 (d、1H)、6.50 (d、1H)、4.50 (t、2H)、4.20 (t、2H)、1.50 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS 3 (5 μm) 4.6 x 250 mm、T: 室温、移動相 CH3CN/ KH2PO4 50 mM 65/35 (v/v)、pH:そのまま、流速: 1 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 8.77 分; E.A. C20H21NO3Sであると確認
【実施例18】
【0059】
2-[3-[2-(2-ナフチル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチル-プロパン酸 (ST2609)の調製
方法 A (工程 2)
生成物を18 mLのCH3OH中のST2167 (実施例10のようにして調製) (0.270 g、0.71 mmol)の溶液から出発して調製した。これに15 mLのNaOH 2Nを添加した。得られた溶液を48時間還流温度でマグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後、反応混合物を冷却し、HCl 1Nで酸性にし、AcOEtで抽出した。有機相を無水 Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた残渣をヘキサン/AcOEt 7/3で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーカラムで精製した。0.030 gの生成物を得た(収率: 14%); TLC: シリカゲル、溶出液 ヘキサン/AcOEt 6/4、Fr: 0.24; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.80 (m、3H)、7.70 (s、1H)、7.40 (m、3H)、7.20 (m、1H)、7.10 (s、2H)、6.90 (d、1H)、4.20 (t、2H)、3.20 (t、2H)、1.50 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS 3 (5 μm) 4.6 x 250 mm、T: 室温、移動相 CH3CN/ KH2PO4 50 mM 70/30 (v/v)、pH:そのまま、流速: 1 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 11.77 分; E.A. C22H22O3Sであると確認
【実施例19】
【0060】
2-[4-[2-(2-ナフチル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチル-プロパン酸 (ST2036)の調製
方法 A (工程 2)
生成物を30 mL of CH3OH中のST2011 (実施例11のようにして調製) (0.498 g、1.29 mmol)の溶液から出発して調製した。これに12.9 mLのNaOH 1Nを添加した。得られた溶液を還流温度で一晩マグネティックスターラーで撹拌して放置した。この後反応混合物を冷却し、HCl 1Nで酸性にし、AcOEtで抽出した。有機相を無水 Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。0.450 gの生成物を得た(収率: 95%); Mp: 103-104℃; TLC: シリカゲル、溶出液 CHCl3/CH3OH 9.8/0.2、Fr: 0.13; 1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.80 (m、3H)、7.70 (s、1H)、7.40 (m、5H)、6.80 (d、2H)、4.20 (t、2H)、3.20 (t、2H)、1.50 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS 3 (5μm) 4.6 x 250 mm、T: 室温、移動相 CH3CN/KH2PO4 50 mM 75/25 (v/v)、pH:そのまま、流速: 0.75 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 13.10 分; E.A. C22H22O3Sであると確認
【実施例20】
【0061】
メチル 2-[4-[2-(1-(5-メトキシ)インドリル)エトキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST2577)の調製
方法 B
無水 THF (6 mL)中のST1923 (実施例3のようにして調製) (0.2 g、0.88 mmoles)の溶液に、2-(5-メトキシ-インドール-1-イル)-エタノール (5-メトキシ インドールおよび2-ブロモ-エタノールから出発して実施例8のようにして調製) (0.185 g、0.97 mmoles)、DIAD (0.230 g、1.14 mmoles) および、トリフェニル ホスフィン (0.299 g、1.14 mmoles)を少しずつ添加した。反応混合物を室温で一晩マグネティックスターラーで撹拌して放置し、溶媒を減圧下で除去し、残渣をAcOEtに溶解し、NaOH 1Nで洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。得られた残渣を溶出液としてヘキサン/AcOEt 87/13を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、0.180 gの最終生成物を得た(収率 51%). TLC: シリカゲル、溶出液: ヘキサン/AcOEt 7/3、Fr: 0.39; 1H NMR (300 MHz、CDCl3) δ 7.30 (m、3H)、7.15 (d、1H)、7.10 (d、1H)、6.90 (dd、1H)、6.78 (d、2H)、6.40 (d、1H)、4.50 (t、2H)、4.25 (t、2H)、3.85 (s、3H)、3.65 (s、3H)、1.40 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS 3 (5μm) 4.6 x 250mm、R.T.、移動相 CH3CN/H2O 85/15 v/v、pH そのまま、流速 0.75 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 7.80 分; A.E.: C22H25NO4Sであると確認
【実施例21】
【0062】
メチル 2-[4-[2-(1-(5-ベンジルオキシ)インドリル)エトキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST2562)の調製
方法 B
無水 THF (6 mL)中のST1923 (実施例3のようにして調製) (0.2 g、0.88 mmoles)の溶液に、2-(5-ベンジルオキシ-インドール-1-イル)エタノール (5-ベンジルオキシ インドールおよび2-ブロモ-エタノールから出発して実施例8のようにして調製) (0.26 g、0.97 mmoles)、DIAD (0.230g、1.14 mmoles)および、トリフェニル ホスフィン (0.299 g、1.14 mmoles)を少しずつ添加した。反応混合物を室温で一晩マグネティックスターラーで撹拌して放置し、溶媒を減圧下で除去し、残渣をAcOEtに溶解し、NaOH 1Nで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させた。得られた残渣を溶出液としてヘキサン/AcOEt 85/15を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、0.240 gの最終生成物を得た(収率 57%)。MP: 87-88℃; TLC: シリカゲル、溶出液: ヘキサン/AcOEt 7/3、Fr 0.41; 1H NMR (300 MHz、CDCl3) δ 7.45-7.2 (m、10H)、7.00 (dd、1H)、6.80 (d、2H)、6.40 (d、1H)、5.10 (s、2H)、4.50 (t、2H)、4.25 (t、2H)、3.60 (s、3H)、1.40 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS 3 (5μm) 4.6 x 250mm、R.T.、移動相 CH3CN/H2O 90/10 v/v、pH そのまま、流速 0.80 mL/分、205 nm UV 検出器、保持時間 8.21分; A.E.: C28H29NO4Sであると確認
【実施例22】
【0063】
メチル 2-[3-[5-(4-ニトロフェニル)フルフリルオキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST2501)の調製
方法 B
無水 THF (23 mL)中のメチル 2-(3-ヒドロキシ-フェニルチオ)イソブチラート (実施例1のようにして調製) (1.02 g、4.5 mmoles)の溶液に、5-ニトロフルフリル アルコール (0.986 g、4.5 mmoles)、DIAD (1.18 g、5.85 mmoles) および、トリフェニル ホスフィン (1.53 g、5.85 mmoles)を少しずつ添加した。反応混合物を室温で一晩マグネティックスターラーで撹拌して放置し、次いで溶媒を減圧下で除去し、残渣をAcOEtに溶解し、NaOH 1Nで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で除去した。得られた残渣を溶出液としてヘキサン/AcOEt 9.4/0.6を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、0.380 gの最終生成物を得た(収率 20%)。MP: 81-82℃; TLC: シリカゲル、溶出液: ヘキサン/AcOEt 7/3、Fr 0.45; 1H NMR (300 MHz、CDCl3) δ 8.22 (d、2H)、7.80 (d、2H)、7.22 (m、2H)、7.10-7.00 (m、3H)、6.80 (d、1H)、6.60 (d、1H)、5.10 (s、2H)、370 (s、3H)、1.50 (s、6H); HPLC: カラム: Symmetry C18 (5μm) 4.6 x 250mm、R.T.、移動相 CH3CN/H2O 85/15 v/v、pH そのまま、流速 0.85 mL/分、205nm UV 検出器、保持時間 6.24 分; A.E.: C22H21NO6Sであると確認
【実施例23】
【0064】
2-[4-[2-(1-(5-メトキシ)インドリル)エトキシ]フェニルチオ]イソ酪酸 (ST2733)の調製
方法 A (工程 2)
CH3OH (3.2 mL)中のST2577 (実施例20のようにして調製) (0.2 g、0.50 mmoles)の溶液に、NaOH 1N溶液(6 mL)を添加した。反応混合物を40℃で一晩マグネティックスターラーで撹拌して放置し、有機相を減圧下で除去し、水相をAcOEtで抽出した。水層を分離し、HCl 1Nで酸性にし、再びAcOEtで抽出した。この第二の有機抽出物を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させて、0.138 gの最終生成物を得た(収率 72%)。MP: 100-102℃; TLC: シリカゲル、溶出液: CHCl3/CH3OH 8/2、Fr: 0.62; 1H NMR (300 MHz、CDCl3) δ 7.40 (d、2H)、7.25 (s、1H)、7.10 (d、2H)、6.90 (d、1H)、6.78 (d、2H)、6.40 (d、1H)、4.50 (t、2H)、4.20 (t、2H)、3.80 (s、3H)、1.40 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS 3 (5μm) 4.6 x 250mm、R.T.、移動相 CH3CN/KH2PO4 50 mM 70/30、pH そのまま、流速 1 mL/分、205nm UV 検出器、保持時間 7.32 分; A.E.: C21H23NO4Sであると確認
【実施例24】
【0065】
2-[4-[2-(1-(5-ベンジルオキシ)インドリル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチルプロパン酸 (ST2740)の調製
方法 A (工程 2)
CH3OH (10 mL)中のST2562 (実施例21のようにして調製) (0.430 g、0.90 mmoles)の溶液に、NaOH 1N溶液(15 mL)を添加した。反応混合物を40℃で48時間マグネティックスターラーで撹拌して放置し、有機相を減圧下で除去し、水性残渣をAcOEtで抽出した。水相を分離し、HCl 1Nで酸性にし、AcOEtで再び抽出した。この第二の有機抽出物を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で蒸発させて0.310 gの最終生成物を得た(収率 74%). MP: 160-162℃; TLC: シリカゲル、溶出液: CHCl3/CH3OH 9/1、Fr.: 0.57; 1H NMR (300 MHz、CDCl3) δ 7.40-7.15 (m、10H)、7.20 (s、2H)、7.00 (d、1H)、6.90 (d、2H)、6.40 (s、1H)、5.15 (s、2H)、4.50 (t、2H)、4.20 (t、2H)、1.40 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS 3 (5μm) 4.6 x 250mm、R.T.、移動相: CH3CN/KH2PO4 50 mM 70/30、pH そのまま、流速 1 mL/分、205nm UV 検出器、保持時間 11.60 分; A.E. C27H27NO4Sであると確認
【実施例25】
【0066】
2-メチル-2-[3-[5-(4-ニトロフェニル)フルフリルオキシ] フェニルチオ]プロパン酸 (ST2753)の調製
方法 A (工程 2)
CH3OH (10 mL)中のST2501 (実施例22のようにして調製) (0.4 g、0.93 mmoles)の溶液に、NaOH 1N溶液(25 mL)を添加した。反応混合物を4日間40℃でマグネティックスターラーで撹拌して放置し、有機相を減圧下で除去し、水性残渣をAcOEtで抽出した。水相を分離し、HCl 1Nで酸性にし、再びAcOEtで抽出した。この第二の有機抽出物を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残渣をCHCl3/CH3OH 9.4/0.6で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、0.215 gの最終生成物 (収率 56%)を得た。MP: 137-138℃; TLC: シリカゲル、溶出液: CHCl3/CH3OH 9/1、Fr 0.53; 1H NMR (300 MHz、DMSO) δ 8.30 (d、2H)、8.00 (d、2H)、7.40 (m、2H)、7.10 (d、3H)、6.80 (s、1H)、4.20 (s、2H)、1.40 (s、6H); HPLC: カラム: Inertisil ODS 3 (5μm) 4.6 x 250mm、R.T.、移動相 CH3CN/KH2PO4 50 mM 70/30、pH そのまま、流速 1 mL/分、205nm UV 検出器、保持時間 11.38 分; A.E.: C21H19NO6Sであると確認
【実施例26】
【0067】
db/db マウスにおける抗糖尿病および血清脂質低下活性
実験動物における突然変異により、肥満、高脂血症およびインスリン抵抗性を伴う非-インスリン-依存性糖尿病を表すモデルの開発が可能となり、これによって、新規抗糖尿病化合物の効力の試験が可能となった(Reed and Scribner、Diabetes、Obesity and metabolism 1: 75 - 86、1999)。
【0068】
広く用いられている遺伝的糖尿病マウスモデルはC57BL/KsJ db/db マウスである。
【0069】
このモデルの遺伝的基礎はレプチン受容体遺伝子における欠失であり(db/db マウス)、これによってレプチン抵抗性が起こり、過食、肥満、高インスリン血およびインスリン抵抗性が導かれ、続いて不十分な島分泌および高血糖の症状がみられる(Kodama et al.、Diabetologia 37: 739-744、1994; Zhang et al.、Nature 372: 425-432、1994; Chen et al.、Cell 84: 491-495、1996)。
【0070】
高血糖には、肥満およびインスリン抵抗性が伴うため、db/db マウスはヒト対象における2型糖尿病と類似の特性を示し、インスリン-感作性化合物のアッセイに有用である。
【0071】
実験に用いたC57BL/KsJ db/db マウスはJackson Lab (via Ch. River)から得た。10日間の標準条件 (22 ± 2℃; 55 ± 15% 湿度; 15-20 換気/時間; 12-時間明暗周期、明期午前7時〜午後 7時)、 標準的 4 FR21飼料 (Mucedola)での順化後、血液サンプルをJelco 22G カテーテル (Johnson and Johnson)を用いて尾静脈から吸収後条件(絶食午前8.30〜午後4.30)にて採取した。グルコース、インスリン、トリグリセリド、コレステロール、遊離脂肪酸および尿素の血漿レベルを処置群におけるよく一致した分布のマウスについて確認した。
【0072】
処置の開始時にマウスの体重を確認し、水および飼料の消費のモニターについての準備を行った。
【0073】
マウスを1日2回 (午前8.30および午後6.30) 25 日間 (実験I)または12 日間 (実験II)、本発明による化合物によって経口により処置した。参照化合物としてロシグリタゾン、ベザフィブラートおよびフェノフィブラート (実験I)、または実施例1の化合物(実験II)を用いた。
【0074】
化合物は、10 ml/kgの媒体(脱イオンH2O中CMC 1%、Tween 80 0.5%含有)中、本発明による実施例1の化合物 ST2195の25 mg/kgに対応する用量で投与した。具体的には、ロシグリタゾンは、5 mg/kg (Lohray et al. J. Med Chem 41、1619 - 1630、1998)、ベザフィブラートは24.8 mg/kgそしてフェノフィブラートは24.7 mg/kgの用量で投与した。
【0075】
実験の過程において、血清グルコースレベル、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)知見、多数の脂質状態パラメーターおよび体重増加をモニターした。
【0076】
本発明による化合物は、摂食 (表1)、吸収後 (表2、2a、5および 5a)および絶食条件(表3および3a)において血清グルコースレベルを低下させることが出来ることが判明した。
【0077】
本発明による化合物はまた、グルコース耐性を上昇させ(表4および4a)、タンパク質グリコシル化の指標であり、上記のように糖尿病の微小血管および大血管性合併症の発達に重要な役割を果たすフルクトサミンを減少させることが出来た(表 5)。
【0078】
本発明による化合物はまた、ロシグリタゾンおよびフェノフィブラートと同様に、血清トリグリセリドレベルを低下させる良好な能力を示す(表6および6a)。
【0079】
さらに、ロシグリタゾンと異なり、本発明による化合物は、HDL-コレステロールレベル (表6および6a)を上昇させ、ロシグリタゾンによりもたらされるよりも少ない体重増加をもたらし、フィブラートによってもたらされるものと近かった(表7および7a)。
【0080】
HDL-コレステロール値の上昇はPPARα アゴニズムおよびアテローム性動脈硬化症のリスクが低いことのインジケーターを構成する。PPARαアゴニズムは、実際、組織における脂肪酸酸化を上昇させ、細胞内トリグリセリドの蓄積を低下させ、これらはインスリン抵抗性に対して有利に働く(Virkamaki et al.、Diabetes 50、2337 - 2343、2001; Mensink et al.、Diabetes 50、2545 - 2554、2001; Kelley and Goodpaster、Diabetes Care 24、933 - 941、2001)。
【0081】
表1 (実験I)
実施例1の化合物、フィブラート(実施例1の化合物25 mg/kgに対応する用量)およびロシグリタゾン(5 mg/kg)で1日2回経口処置したdb/db マウスの血液における、12 日間の処置後のグルコースレベル。
サンプルは最後の処置のおよそ15 時間後摂食状態において採取した。
平均値 ± S.E. およびコントロールに対する変化(%)
【表1】

【0082】
1群あたりの動物数: 6
スチューデントt検定: △ はコントロールに対してP <0.001
【0083】
表 2 (実験I)
実施例1の化合物、フィブラート (実施例1の化合物25 mg/kgに対応する用量)およびロシグリタゾン(5 mg/kg)で経口で1日2回処置した、12 日間の処置後のdb/db マウスの血液におけるグルコースレベル。
サンプルは吸収後条件 (絶食午前9時から午後5時)で最後の処置の8時間後に採取した。
平均値 ± S.E. およびコントロールに対する変化(%)
【表2−1】

【0084】
1群あたりの動物数: 6
スチューデントt検定:□および△はそれぞれコントロールに対してP <0.05およびP <0.001を示す。
【0085】
表 2a (実験II)
実施例1の化合物および実施例2の化合物 (実施例1の化合物25 mg/kgに対応する用量)で1日2回経口処置された、9 日間処置後のdb/db マウスの血液におけるグルコースレベル
サンプルは吸収後条件(絶食午前9時〜午後5時)、最後の処置の8時間後に採取した。
平均値 ± S.E. およびコントロールに対する変化(%)
【表2−2】

【0086】
1群あたりの動物数: 6
スチューデントt検定: ▽および△はそれぞれコントロールに対してP <0.01およびP <0.001。
【0087】
表 3 (実験I)
実施例1の化合物、フィブラート(実施例1の化合物25 mg/kgに対応する用量)およびロシグリタゾン (5 mg/kg)、で1日2回経口処置された、18 日間処置後のdb/db マウスの血液におけるグルコースレベル
サンプルは18時間の絶食状態中、最後の処置の6 時間後に採取した。
平均値 ± S.E. およびコントロールに対する変化(%)
【0088】
【表3−1】

【0089】
1群あたりの動物数: 6
スチューデントt検定: □および▽はそれぞれコントロールに対して P <0.02およびP <0.01を示す。
【0090】
表3a (実験II)
実施例1の化合物および実施例2の化合物 (実施例1の化合物25 mg/kgに対応する用量)で1日2回経口処置された11 日間処置後のdb/db マウスの血液におけるグルコースレベル
サンプルは18時間の絶食条件中、最後の処置の5 時間後に採取した。
平均値 ± S.E. およびコントロールに対する変化(%)
【0091】
【表3−2】

【0092】
1群あたりの動物数: 6
スチューデントt検定:△はコントロールに対してP <0.001を示す。
【0093】
表4(実験I)
実施例1の化合物、フィブラート(実施例1の化合物25 mg/kgに対応する用量)およびロシグリタゾン (5 mg/kg)で1日2回経口処置された18 日間処置後のdb/db マウスの血液におけるOGTTにおけるグルコースの濃度曲線下面積 (AUC)
18時間絶食中、最後の処置の5 時間後のマウスにおけるOGTT (グルコース 3 g/kg)。
平均値 ± S.E. およびコントロールに対する変化(%)
【0094】
【表4−1】

【0095】
1群あたりの動物数: 6
スチューデントt検定: ▽および△はそれぞれコントロールに対してP <0.01およびP <0.001を示す。
【0096】
表 4a (実験II)
実施例1の化合物および実施例2の化合物(実施例1の化合物25 mg/kgに対応する用量)で1日2回経口処置された、11 日間処置後のdb/db マウスの血液におけるOGTTにおけるグルコースの濃度曲線下面積 (AUC)
18時間絶食中、最後の処置の5 時間後のマウスにおけるOGTT (グルコース 3 g/kg)
平均値 ± S.E. およびコントロールに対する変化(%)
【0097】
【表4−2】

【0098】
1群あたりの動物数: 6
スチューデントt検定: △はコントロールに対してP <0.001を示す。
【0099】

表 5 (実験I)
実施例1の化合物、フィブラート(実施例1の化合物25 mg/kgに対応する用量)およびロシグリタゾン(5 mg/kg)で1日2回経口処置された、25 日間処置後のdb/db マウスにおける血漿グルコースおよびフルクトサミンレベル
サンプルは吸収後条件(絶食午前9時から午後4.30)で最後の処置の7.5 時間後に採取した。
平均値 ± S.E. およびコントロールに対する変化(%)
【0100】
【表5−1】

【0101】
1群あたりの動物数: 6
スチューデントt検定:■、▽および△はそれぞれコントロールに対して、P <0.02、P <0.01および P <0.001を示す。
【0102】
表 5a (実験II)
実施例1の化合物および実施例2の化合物(実施例1の化合物25 mg/kgに対応する用量)で1日2回経口処置された、12 日間処置後のdb/db マウスにおける血漿グルコースレベル
サンプルは吸収後条件(絶食午前9時から午後4.30) で最後の処置の7.5 時間後に採取した。
平均値 ± S.E. およびコントロールに対する変化(%)
【0103】
【表5−2】

【0104】
1群あたりの動物数: 6
スチューデントt検定: △はコントロールに対してP <0.001を示す。
【0105】
表 6 (実験I)
実施例1の化合物、フィブラート(実施例1の化合物25 mg/kgに対応する用量)およびロシグリタゾン (5 mg/kg)で1日2回経口処置された25 日間処置後のdb/db マウスにおける血漿トリグリセリドおよび HDL-コレステロールレベル
サンプルは吸収後条件(絶食午前9時から午後4.30)で最後の処置の7.5 時間後に採取した。
平均値 ± S.E. およびコントロールに対する変化(%)
【0106】
【表6−1】

【0107】
1群あたりの動物数: 6
スチューデントt検定: □、▽および△はそれぞれコントロールに対してP < 0.05、P <0.01および P <0.001を示す。
【0108】
表 6a (実験II)
実施例1の化合物および実施例2の化合物 (実施例1の化合物25 mg/kgに対応する用量)で1日2回経口処置された、12 日間処置後のdb/db マウスにおける血漿トリグリセリドおよびHDL コレステロールレベル
サンプルは 吸収後条件(絶食午前9時から午後4.30) で最後の処置の7.5 時間後に採取した。
平均値 ± S.E. およびコントロールに対する変化(%)
【0109】
【表6−2】

【0110】
1群あたりの動物数: 6
スチューデントt検定: ▽および△はそれぞれコントロールに対して P < 0.01および P <0.001を示す。
【0111】
表 7 (実験I)
実施例1の化合物、フィブラート (実施例1の化合物25 mg/kgに対応する用量)およびロシグリタゾン(5 mg/kg)で1日2回経口処置された25 日間処置後のdb/db マウスにおける最初と最後の体重
吸収後条件における測定(絶食午前9時から午後4.30)
平均値 ± S.E. およびコントロールに対する変化(%)
【0112】
【表7−1】

【0113】
1群あたりの動物数: 6
スチューデントt検定: ▽および△はコントロールに対してそれぞれP <0.01およびP <0.001を示す。
【0114】
表 7a (実験II)
実施例1の化合物および実施例2の化合物 (実施例1の化合物25 mg/kgに対応する用量)で1日2回経口処置された、12 日間処置後のdb/db マウスの最初と最後の体重
吸収後条件において測定(絶食午前9時から午後4.30)
平均値 ± S.E. およびコントロールに対する変化(%)
【0115】
【表7−2】

【0116】
1群あたりの動物数: 6
スチューデントt検定: □はコントロールに対してP <0.05を示す。
【実施例27】
【0117】
PPARαリガンドのアゴニスト活性を評価するための真核細胞の一過性トランスフェクション
本実施例において、本発明による化合物はPPARαアゴニスト活性も有することを示す。
PPARαアゴニストの同定は細胞生物学技術に基づくインビトロスクリーニングによって行う。
【0118】
真核細胞におけるトランス活性化アッセイにより、転写因子のその独自のプロモーター中の応答要素との相互作用を支持する仮定上のリガンドの能力を定量的に評価することが可能となる[Sladek R. et al.、in: Nuclear Receptor: A Practical Approach、Oxford Press pp. 63-68 (1999)]。
【0119】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)がその転写調節機能を発揮するために、その9-シスレチノイン酸受容体(RXR)との二量体化が必要である。形成された二量体は2つの受容体の少なくとも1つのリガンドの存在によって活性化された場合にのみ標的遺伝子プロモーターに位置するペルオキシソーム増殖因子応答要素 (PPRE)に結合することが出来る[Berger J. and Moller D.E.、Annu. Rev. Med. 53、409-35 (2002)]。
【0120】
したがってトランス活性化アッセイはあらかじめ選択された細胞株における以下の同時の存在を要求する:
a)十分な量のPPARα;
b)十分な量の9シスレチノイン酸受容体(RXR);
c)ウイルス異種プロモーターの上流に位置するPPREによって制御されるレポーター遺伝子を含むキメラプラスミド。本発明者らの場合ではレポーター遺伝子はクロラムフェニコール-アセチルトランスフェラーゼ (CAT)である。
【0121】
PPARαおよびRXRの内在レベルが不十分な場合は、関連する受容体の遺伝子を含む発現ベクターのトランスフェクションによって外部から補えばよい [Kersten S. and Wahli W. in: Nuclear Receptors: A Practical Approach、Oxford Press pag 74-76 (1999)]。
【0122】
プラスミド pCH110はβ-ガラクトシダーゼの遺伝子を含み、レポーター遺伝子 CATと共トランスフェクトされ、トランスフェクション効率についての内部コントロールおよび結果の正規化を提供する。
【0123】
このトランスフェクションおよびレポーター遺伝子系を用いても、使用した細胞株によって構成的に発現している内因性受容体による干渉を完全に排除することはできない。
【0124】
それゆえ可能性のある内在性受容体による干渉の問題に打ち勝つよう代わりの方法を用いた。
【0125】
このモデルにおいて、トランス活性化アッセイを用い、これは発現ベクター mPPARαLBD/Gal4DBDがトランスフェクトされた細胞によるキメラタンパク質の合成を可能にするものであり、キメラタンパク質において、PPARαのリガンド結合ドメイン (LBD)が酵母の転写因子 GAL4のDNA結合ドメイン (DBD)に融合している[Luckow B. et al.、Nucleic Acids Res. 15、5490 (1987)]。同時に、CAT レポーター遺伝子に融合したウイルスプロモーター E1bの上流に5コピーのGAL4に対する高親和性結合部位(UASとも称される、上流活性化配列)を含むウイルスプラスミド (pG5CAT)をトランスフェクトする [Moya-Camarena S.Y. et al.、J. Lipid Res. 40 (8)、1426-33 (1999)]。このモデルは可能性のある内在性受容体による干渉を排除する。
【0126】
これはE1bの活性化とCATの産生がGAL4DBDとその独自の応答要素 (UAS)の相互作用にっよってもっぱら起こるという事実による。転写因子 GAL4は真核細胞においては発現しないので、レポーター遺伝子のトランス活性化は、リガンドとPPARαのLBDの相互作用の結果として、キメラタンパク質 PPARα/GAL4 がプラスミド pG5CAT上の UAS配列を認識した場合にのみ起こる。発現ベクター およびレポーターベクターとともに、細胞は、トランスフェクションの効率および結果の正規化のための内部コントロールを提供するプラスミド pCH110によってもトランスフェクトした。
【0127】
実験手順
サル腎臓線維芽細胞細胞株(COS-7)を用いた[Elbrecht A. et al.、J. Biol. Chem. 274 (12)、7913-22 (1999)]。細胞を、レポーターベクター、融合タンパク質 Gal4DBD/PPARαLBDをコードする発現プラスミドおよびコントロールベクター pCH110で共トランスフェクトした。細胞を様々な濃度の被験化合物に曝し、CAT 活性を評価した。未処置細胞をコントロールとして用いた。
【0128】
細胞培養
サル腎臓線維芽細胞 (COS-7)を通常の細胞培養技術にしたがって、37℃で5% v/v二酸化炭素雰囲気で培地として、3.7 g/lの重炭酸ナトリウム、4 mM L-グルタミン、4.5 g/lのグルコース、1 mM ピルビン酸ナトリウムおよび10% v/vの胎児ウシ血清で改変したDMEM (ダルベッコ改変イーグル培地)を用いて、ストレプトマイシン 100 μg/mlおよびペニシリン 100 U/ml終濃度の存在下で培養した。
【0129】
COS-7 細胞の一過性トランスフェクション
細胞をDNAと複合体を形成でき、それを細胞へと輸送できる脂質の規定された混合物からなるトランスフェクション試薬FuGENE6 (Roche)を用いて共トランスフェクトした。トランスフェクションの24時間前に、細胞を12-ウェルプレートにおいて1.2 x 105 細胞/ウェルの密度で播き、37℃で5% v/v CO2雰囲気に維持した。血清を除いた培地をトランスフェクションの2時間前に交換し、細胞をトランスフェクション試薬FuGENE6で製造業者の指示に従って処理した。簡単に説明すると、ウェルあたり0.8 μgの発現ベクター、1.6 μgのレポーターベクター、0.8 μgのコントロール ベクターおよび9 μlのFuGENE6試薬を含むトランスフェクション混合物を血清を除いた培地の存在下で細胞に直接添加した。5時間後、トランスフェクション培地を、3種類の濃度(2、20 および100 μM)の被験分子の存在下または不在下で血清および抗生物質を含む1 mlの培地と交換した。PPARαの既知のリガンドであるWy-14,643 (2μM)を陽性参照化合物として用いた。
【0130】
細胞タンパク質抽出物の調製およびCAT 活性のアッセイ
5% v/v CO2雰囲気中37℃での48時間のインキュベーションの後、細胞を1 mlのリン酸バッファー(PBS)で2回洗浄し、TENバッファー (トリス[ヒドロキシメチル]アミノエタン 10 mM pH 8、エチレンジアミン-テトラ酢酸 1 mM pH 8、塩化ナトリウム 0.1 M)中にウェルから機械的に取り出した。3 分間、1000 rpmの遠心分離の後、細胞を65 μlの溶解バッファー (トリス-HCl 0.25 M、pH 8)に再懸濁し次いで3回の迅速な凍結乾燥サイクルによって溶解した。不溶性細胞物質 (細片)を15,000 rpm、15 分間、4℃の遠心分離によって除き、上清を回収し、CATおよびβ-ガラクトシダーゼ活性アッセイに用いた。
【0131】
細胞抽出物を-80℃でアッセイまで保存し、アッセイの前に終容積75 μl中のグリセロール (終濃度 10% v/v)およびβ-メルカプトエタノール(終濃度5 mM)を添加した。
【0132】
CAT 活性を評価するためのアッセイはSleigh [Sleigh M.J. Annal Biochem.、156 (1)、251-6 (1986)]に記載の方法を改変して行った。簡単に説明すると、20 μlのタンパク質細胞抽出物 (あらかじめ10 分間65℃に加熱し、内部脱アセチル化酵素活性を不活性化した)を10 μlのブチリル-コエンザイム A (3.5 mg/ml)、5 μlの[14C]-クロラムフェニコール (0.25 μCi)および65μlの蒸留H20を含有する溶液に添加した。2時間の37℃でのインキュベーションの後、反応を200 μlのキシレン/2,6,10,14テトラメチル-ペンタデカン(1:2 v/v)の溶液によってブロックした。
【0133】
激しい撹拌と最高速度での5 分間の遠心分離の後、150 μlの上清を5mlのシンチレーション液に添加し、β−カウンター (シンチレーター)で分析して、酵素反応の結果として形成した [14C] ブチリル-クロラムフェニコール含量を測定した。
【0134】
β-ガラクトシダーゼ活性の測定試験
トランスフェクションの効率に関するCAT 活性の正規化のための内部コントロールとして、共トランスフェクトされたプラスミド pCH110における対応する遺伝子によってコードされるβ-ガラクトシダーゼ活性を用いた。
【0135】
β-ガラクトシダーゼ 活性はSambrook [Sambrook et al. in: Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Edited by Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)]に記載の方法の改変によって測定した。簡単に説明すると、20μlのタンパク質抽出物を750μlの、1容積の2 mg/ml ONPG (O-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド)および3 容積の「Z バッファー」(リン酸バッファー中、10 mM 塩化カリウム、1 mM 塩化マグネシウム、50 mM β-メルカプトエタノール)を含む反応バッファーに添加した。反応を37℃で行い、典型的な黄色の着色が明らかに見えた際に200μLの炭酸ナトリウム 1 M 溶液の添加によって阻害した。サンプルを10 分間室温でインキュベートし、波長420 nm の吸光度(A420)を測定する分光光度計によって分析した。
【0136】
以下の式を用いてCAT アッセイ結果をβ-ガラクトシダーゼ活性に関して正規化した:

CATサンプルカウント/分(cpm) - ブランクカウント/分 (cpm)
β-ガラクトシダーゼユニット*

β-ガラクトシダーゼユニット *=
A420 x 希釈係数
インキュベーション時間(分)
【0137】
表 8は例示的に実施例1、2、4、10、13および18の化合物のPPARαアゴニスト活性を示す。
表 8
COS-7 細胞におけるmPPARαLBD/Gal4DBDによって媒介されるトランス活性化のアッセイ。結果は通常100%とされる参照化合物 (WY-14,643 2μM)の存在下で測定されたもののパーセンテージとしてのレポーター遺伝子 CATの活性化として表す。
【表8】

【実施例28】
【0138】
PPARγリガンドのアゴニスト活性を評価するための真核細胞の一過性トランスフェクション
この実施例において、本発明による化合物の多くはPPARγアゴニスト活性も有することが示される。
【0139】
PPARγアゴニストの同定は真核細胞における特異的トランス活性化アッセイによって行う。
【0140】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)はその転写調節機能を発揮するためには、その9-シスレチノイン酸受容体(RXR)との二量体化が必要である。形成された二量体は2つの受容体の少なくとも1つのリガンドの存在によって活性化された場合にのみ標的遺伝子プロモーターに位置するペルオキシソーム増殖因子応答要素 (PPRE)に結合することが出来る [Berger J. and Moller D.E.、Annu. Rev. Med. 53、409-35 (2002)]。
【0141】
PPARγに特異的なトランス活性化アッセイはしたがってあらかじめ選択された細胞株における以下の同時の存在を必要とする:
a)十分な量のPPARγ;
b)十分な量の9シスレチノイン酸受容体(RXR);
c)ウイルス異種プロモーターの上流に位置するPPREによって制御されるレポーター遺伝子を含むキメラプラスミド。本研究の場合、レポーター遺伝子はクロラムフェニコール-アセチルトランスフェラーゼ (CAT)である。
【0142】
用いたトランス活性化アッセイにおいて、あらかじめ選択された細胞が発現ベクター pSG5 Stop-mPPARg1によってトランスフェクトされ、このベクターはトランスフェクトされた細胞によるPPARγ受容体の合成を可能にする。同時に、レポーター遺伝子 CATに融合したウイルスチミジンキナーゼ(TK)の異種プロモーターの上流に、アシル-CoAオキシダーゼの遺伝子プロモーターにより単離されたペルオキシソーム増殖因子応答要素 (PPRE)を含むプラスミドレポーター(pBLCAT2-PPRE)をトランスフェクトする。RXR 受容体の内在性の細胞レベルは十分に高いため、RXRに特異的な発現ベクターをトランスフェクトする必要はない。CAT をコードする遺伝子の発現はTK プロモーターの制御下にあり、これはPPREを含まない。したがってCATレベルの上昇は、PPARγと RXRの二量体化に依存し、ペルオキシソーム増殖因子応答要素によって形成されるヘテロ二量体結合に依存する遺伝子転写の上昇の結果である。発現ベクターおよびレポーターベクターとともに、細胞はまた、トランスフェクションの効率および結果の正規化のための内部コントロールを提供するプラスミド pCH110によってもトランスフェクトする。
【0143】
実験手順
マウス胚性線維芽細胞の細胞株(NIH-3T3)を用いた[Hogan J.C. et al.、Biochem Biophys Res Commun. 287 (2)、484-92 (2001)]。細胞を、レポータープラスミド、PPARγ 受容体をコードする発現プラスミドおよびコントロールベクター pCH110でトランスフェクトした。細胞を様々な濃度の被験化合物に曝し、CAT 活性を評価した。未処理細胞をコントロールとして用いた。
【0144】
細胞培養
マウス胚性線維芽細胞(NIH-3T3)を37℃で5% v/v二酸化炭素雰囲気で3.7 g/l の重炭酸ナトリウム、4 mM L-グルタミン、4.5 g/lのグルコース、1 mM ピルビン酸ナトリウム および10% v/vのウシ血清で改変された培地 DMEM (ダルベッコ改変イーグル培地) を用いて、ストレプトマイシン 100 μg/mlおよびペニシリン 100 U/ml終濃度の存在下で通常の細胞培養技術に従って培養した。
【0145】
NIH-3T3 細胞の一過性トランスフェクション
細胞を先の実施例で記載したようにトランスフェクション試薬FuGENE6 (Roche)を用いて共トランスフェクトした。トランスフェクションの24時間前、細胞を12-ウェル プレート中8.0 x 104 細胞/ウェルの密度で播き、37℃で5% v/v CO2雰囲気で維持した。血清を除いた培地にトランスフェクションの2時間前に交換し、細胞を先の実施例に記載のようにトランスフェクション試薬FuGENE6で処理した。5時間後、トランスフェクション培地を、3種類の濃度(2、20および100 μM)の被験分子の存在下または不在下で1 mlの血清および抗生物質を含む培地で交換した。PPARγの既知のリガンドであるロシグリタゾンを陽性参照化合物として用いた。
【0146】
細胞タンパク質抽出物の調製およびCAT 活性のアッセイ
細胞タンパク質抽出物を調製し、CAT 活性アッセイを先の実施例の記載と同様に行った。
【0147】
β-ガラクトシダーゼ活性の測定試験
トランスフェクション効率についてのCAT 活性の正規化のための内部コントロールとして、共トランスフェクトされたプラスミド pCH110における対応する遺伝子にコードされるβ-ガラクトシダーゼ 活性を用いた。
【0148】
β-ガラクトシダーゼ活性は先の実施例に記載のように厳密に測定した。
【0149】
β-ガラクトシダーゼ 活性についてのCAT アッセイ結果の正規化のために、先の実施例に記載の式を用いた。
【0150】
表 9は例示的に多数の化合物のPPARγアゴニスト活性を表す。
表 9
NIH-3T3 細胞におけるPPARγに媒介されるトランス活性化のアッセイ。結果は通常100%とみなされる参照化合物(ロシグリタゾン2μM)の存在下で測定したもののパーセンテージとしての遺伝子-レポーター CATの活性化として表す。
【表9】

【0151】
表1-7aに示す得られた結果は、本発明による化合物が糖尿病および高脂血症の治療のため、HDL- コレステロールレベルの上昇のため、および糖尿病およびインスリン抵抗性に関連する合併症の予防および治療のため、CHDの一次および二次予防のため、そして潜在的に脂肪肝の治療のための有用な薬剤であることを示す。
【0152】
本発明の目的は、活性成分として少なくとも1つの式(I)の化合物を、単独でまたは1以上の式(I)の化合物と組み合わせて含むか、あるいは該1以上の式(I)の化合物をその他の本発明に示す疾患の治療に有用な活性成分と組み合わせて含む医薬組成物である。ここで例えばその他の成分は血清グルコース低下および血清脂質低下活性を示すものであり、それらは別々の製剤中に含まれていても併用療法に好適な形態であってもよい。本発明による活性成分は薬学で通常用いられる好適な媒体および/または賦形剤との混合物であろう。かかる媒体および/または賦形剤は例えば 「Remington's Pharmaceutical Sciences Handbook」、latest editionに記載のものである。本発明による組成物は治療上有効量の活性成分を含む。用量は当該分野の専門家、例えば臨床医または一次診療医によって、治療すべき疾患のタイプ、患者の状態、またはその他の同時投与される活性成分に応じて決定される。例えば、0.01〜400 mg/日の用量が示され、好ましくは 0.1〜200 mg/日である。
【0153】
医薬組成物の例は経口または非経口的 - 静脈内、筋肉内、皮下、経皮に投与されるものである。この目的のために好適な医薬組成物は錠剤、硬または軟カプセル、散剤、溶液、懸濁液、シロップおよび用時液体調製のための固体形態である。非経口投与用の組成物は、例えば、筋肉内、静脈内、皮下に注射可能なあらゆる形態、または溶液、懸濁液または乳濁液の形態である。リポソーム製剤も言及すべきである。その他の形態は、活性成分の徐放のための錠剤、または経口投与用の、適当な層で被覆した錠剤、マイクロカプセル化散剤、シクロデキストリンとの複合体およびデポー製剤、例えば、皮下用のもの、例えば蓄積注射またはインプラントである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

[式中:
Rは、-H;単環式、二環式または三環式であって1以上のハロゲン基、ニトロ、ヒドロキシ、アルキルおよびアルコキシで置換されていてもよく、これらは1以上のハロゲン基で置換されていてもよい、アリールまたはヘテロアリール;
nは0-3;
pは0-1;
Xは、-OH、-O-アルキルC1-C4;
R1およびR2は、同じであっても異なっていてもよく、以下から選択される: -H; アルキル C1-C5、-COX;
Qは以下から選択される: NH、O、S、-NHC(O)O-、NHC(O)NH-、-NHC(O)S-、-OC(O)NH-、-NHC(S)O-、-NHC(S)NH-、-C(O)NH-;
および、
YはO、S]
およびその医薬上許容される塩、ラセミ混合物、単一鏡像異性体、立体異性体または幾何異性体、および互変異性体の、高脂血症および高血糖の予防および治療用医薬の調製のための使用。
【請求項2】
Rが、1以上のハロゲン原子、アルキル、アルコキシまたはハロアルキル、好ましくはメチル、メトキシまたはトリフルオロメチル、ニトロ、モノ-またはジ-アルキルアミンで置換されていてもよいアリールであって、好ましくは pは1、nは0、1または2、およびQは酸素である、請求項1の使用。
【請求項3】
Rが好ましくはヘテロ原子として窒素を含有するヘテロアリール、例えば、インドールおよびカルバゾールであり、可能ないずれの位置を介して分子の残りに結合していてもよい;特に好ましくは1-インドリルおよび1-カルバゾリル基であり、好ましくは pは1、nは0、1または2、およびQは酸素である、請求項1の使用。
【請求項4】
化合物が以下からなる群から選択される請求項1の使用:
i.メチル 2-[3-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2195);
ii.2-[3-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチル-プロパン酸 (ST2518);
iii.メチル 2-[4-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST1929);
iv.メチル 2-[3-(2-(2,4-ジクロロフェニル)エトキシ)フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2534);
v.メチル 2-[4-(2-(2,4-ジクロロフェニル)エトキシ)フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2531);
vi.メチル 2-[3-(2-(カルバゾール-9-イル)エトキシ)フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2365);
vii.メチル 2-[4-(2-(カルバゾール-9-イル)エトキシ)フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2387);
viii.メチル 2-[4-[2-(1-インドリル)エトキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST1983);
ix.メチル 2-[3-[2-(1-インドリル)エトキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST2394);
x.メチル 2-[3-[2-(2-ナフチル)エトキシ]フェニルチオ]イソ-ブチラート (ST2167);
xi.メチル 2-[4-[2-(2-ナフチル)エトキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST2011).
xii.2-[4-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチル-プロパン酸 (ST2505);
xiii.2-[3-(2-(2,4-ジクロロフェニル)エトキシ)フェニルチオ]-2-メチルプロパン酸 (ST2653);
xiv.2-[4-(2-(2,4-ジクロロフェニル)エトキシ)フェニルチオ]-2-メチルプロパン酸 (ST2652);
xv.2-[3-(2-(カルバゾール-9-イル)エトキシ)フェニルチオ]-2-メチルプロパン酸 (ST2618);
xvi.2-[4-[2-(1-インドリル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチルプロパン酸 (ST2622):
xvii.2-[3-[2-(1-インドリル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチルプロパン酸 (ST2651);
xviii.2-[3-[2-(2-ナフチル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチル-プロパン酸 (ST2609);
xix.2-[4-[2-(2-ナフチル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチル-プロパン酸 (ST2036);
xx.メチル 2-[4-[2-(1-(5-メトキシ)インドリル)エトキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST2577);
xxi.メチル 2-[4-[2-(1-(5-ベンジルオキシ)インドリル)エトキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST2562);
xxii.メチル 2-[3-[5-(4-ニトロフェニル)フルフリルオキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST2501);
xxiii. 2-[4-[2-(1-(5-メトキシ)インドリル)エトキシ]フェニルチオ]イソ酪酸 (ST2733);
xxiv.2-[4-[2-(1-(5-ベンジルオキシ)インドリル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチルプロパン酸 (ST2740);
xxv.2-メチル-2-[3-[5-(4-ニトロフェニル)フルフリルオキシ]フェニルチオ]プロパン酸 (ST2753)。
【請求項5】
化合物が、メチル 2-[3-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]フェニルチオ]イソブチラート (ST2195)である請求項1の使用。
【請求項6】
化合物が2-[3-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]フェニルチオ]-2-メチルプロパン酸 (ST2518) である請求項1の使用。
【請求項7】
以下の予防および治療のための請求項1の使用:糖尿病、特に、2型糖尿病; 糖尿病の微小血管合併症、例えば、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害および糖尿病性腎症; 糖尿病の大血管性合併症、例えば、アテローム性動脈硬化症、末梢脈管障害、心筋梗塞および脳卒中。
【請求項8】
以下の予防および治療のための請求項1の使用:症候群X、多嚢胞性卵巣症候群、肥満、および様々な形態のインスリン抵抗性。
【請求項9】
以下の予防および治療のための請求項1の使用:脂肪肝、特に、NAFLD (非アルコール性脂肪肝疾患)およびNASH (非アルコール性脂肪性肝炎)。
【請求項10】
高脂血症、高コレステロール血症、高血圧の予防および治療、冠動脈心疾患 (CHD)の一次および二次予防、およびHDL-コレステロールレベルの上昇のための請求項1の使用。
【請求項11】
医薬が、錠剤、軟または硬カプセル、散剤、溶液、懸濁液、シロップ、用時液体調製のための固体形態、乳濁液、リポソーム製剤、活性成分の徐放形態、好適な層で被覆された被覆錠剤、マイクロカプセル化された散剤、シクロデキストリンとの複合体、デポー製剤、例えば皮下のもの、例えば蓄積注射またはインプラントの形態である、請求項1の使用。
【請求項12】
医薬が経口的または非経口的に投与されうる請求項1の使用。
【請求項13】
式(I)の化合物が用量範囲0.01〜400 mgで存在する請求項1の使用。
【請求項14】
式(I)の化合物が用量範囲0.1〜200 mgで存在する請求項1の使用。
【請求項15】
活性成分として、1以上の医薬上許容される媒体および/または成分との混合物中の少なくとも1つの式(I)の化合物を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2006−512362(P2006−512362A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561981(P2004−561981)
【出願日】平成15年12月16日(2003.12.16)
【国際出願番号】PCT/IT2003/000820
【国際公開番号】WO2004/056355
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(591043248)シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ (92)
【氏名又は名称原語表記】SIGMA−TAU INDUSTRIE FARMACEUTICHE RIUNITE SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】